事業の概要
- 多角的な事業展開神戸製鋼所は、鉄鋼・アルミなどの素材系事業、産業機械・建設機械などの機械系事業、そして電力事業という、非常に幅広い分野で事業を展開しています。これにより、特定の市場の変動に左右されにくい安定した収益構造を目指しています。
- 素材から完成品まで鉄鉱石から鉄鋼製品、アルミ製品を製造するだけでなく、それらの素材を加工した鋳鍛鋼品や溶接材料、さらにはタイヤ・ゴム機械や圧縮機などの産業機械、油圧ショベルといった建設機械まで手掛けています。素材供給から最終製品、プラント建設まで一貫したビジネスモデルが特徴です。
- グローバルな事業展開国内市場だけでなく、海外、特にアジア地域での売上が全体の34.5%を占めるなど、グローバルに事業を展開しています。これにより、世界各地の経済成長を取り込み、事業規模の拡大とリスク分散を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 鉄鋼アルミ事業線材、薄板、厚板、アルミ板などを製造・販売する神戸製鋼所の基幹事業です。自動車、建築、飲料容器など幅広い産業に素材を供給しており、売上高は1兆780億円と最も大きく、グループ全体の収益を牽引する中核事業です。
- 建設機械事業油圧ショベル、ミニショベル、クローラクレーンなどを製造・販売する事業で、売上高は3,878億円と大きな規模を誇ります。コベルコ建機が主要な関係会社であり、国内外のインフラ整備や建設需要を支える重要な役割を担っています。
- 電力事業電力供給と熱供給を行う事業で、売上高は2,588億円です。コベルコパワー神戸などが主要な関係会社であり、自社工場への安定供給だけでなく、外部への電力販売も行い、エネルギー分野での収益基盤を確立しています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| SteelAndAluminum | 事業 | 10,780 | − | − |
| AdvancedMaterials | 事業 | 3,044 | − | − |
| Welding | 事業 | 932 | − | − |
| Machinery | 事業 | 2,516 | − | − |
| Engineering | 事業 | 1,724 | − | − |
| ConstructionMachinery | 事業 | 3,879 | − | − |
| ElectricPower | 事業 | 2,588 | − | − |
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3【事業の内容】当社及び関係会社(子会社188社及び関連会社44社)は、次のとおり各種の事業を展開しております。セグメント毎の主な事業内容は、次のとおりであります。なお、主要な関係会社については、「4.関係会社の状況」に記載しております。鉄鋼アルミ当社及び子会社35社、関連会社15社により構成されており、主な製品は次のとおりであります。線材条鋼(線材、棒鋼)、薄板(熱延、冷延、表面処理)、厚板、アルミ板、その他(鋼片、鋳物用銑、製鋼用銑、スラグ製品) 素形材当社及び子会社11社、関連会社2社により構成されており、主な製品は次のとおりであります。鋳鍛鋼品、アルミニウム合金及びマグネシウム合金鋳造品、チタン及びチタン合金、アルミニウム合金鍛造品及び加工品、アルミ押出材及び加工品、銅圧延品、鉄粉 溶接当社及び子会社21社、関連会社2社により構成されており、主な製品及び事業内容は次のとおりであります。溶接材料(各種被覆アーク溶接棒、自動・半自動溶接用ワイヤ、フラックス)、溶接ロボット、溶接機、各種溶接ロボットシステム、溶接関連試験・分析・コンサルティング業 機械当社及び子会社40社、関連会社4社により構成されており、主な製品及び事業内容は次のとおりであります。エネルギー・化学関連機器、原子力関連機器、タイヤ・ゴム機械、樹脂機械、超高圧装置、真空成膜装置、金属加工機械、各種圧縮機、冷凍機、ヒートポンプ、各種プラント(製鉄圧延、非鉄等)、各種内燃機関、特殊合金他新材料(ターゲット材等)、各種材料の分析・解析 エンジニアリング当社及び子会社46社、関連会社10社により構成されており、主な製品及び事業内容は次のとおりであります。各種プラント(還元鉄、ペレタイジング、石油化学、原子力関連、水処理、廃棄物処理等)、新交通システム、医薬・ファインケミカル機械 建設機械子会社20社、関連会社6社により構成されており、主な製品は次のとおりであります。油圧ショベル、ミニショベル、環境リサイクル機械、クローラクレーン、ホイールクレーン、重機遠隔操作システム、クレーン施工計画支援ソフトウエア電力当社及び子会社3社により構成されており、主な事業内容は次のとおりであります。電力供給、熱供給 その他子会社12社、関連会社5社により構成されており、主な製品は次のとおりであります。高圧ガス容器 なお、これら8事業は本報告書「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメント区分と同一であります。 事業の内容を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 事業系統図 (注)1.→は、製品等の流れを表しております2.無印は連結子会社、*印は持分法適用会社であります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 鉄鋼事業において中国の過剰生産能力問題が解決に至らず、国際市場での厳しい競争があるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 設備 鉄鋼の高炉、転炉など高温、高圧での操業を行う大規模な生産設備が必要。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 低い(分散) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:主要市場の経済状況等による売上高や受注高の減少 / 製品需給・価格の変動による売上高の減少や収益の悪化 / 原材料等の価格変動によるコストの変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
神戸製鋼所は長年の歴史を持つ鉄鋼メーカーであり、特定の高機能素材(例:航空宇宙用特殊鋼、チタン合金)においては一定のブランド力と技術的ノウハウを有する。しかし、汎用鋼材においてはブランド力が競争優位に直結しにくい。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
顧客は特定の用途で神戸製鋼所の製品を採用している場合、品質や仕様の適合性から他社への切り替えには一定の手間やリスクが伴う。しかし、鉄鋼業界全体としては代替可能な製品も多く、スイッチングコストは限定的である。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
鉄鋼業は製造業であり、製品の利用拡大が直接的なネットワーク効果を生むビジネスモデルではない。プラットフォーム型ビジネスとは異なり、ユーザーが増えることで製品価値が向上する構造は見られない。
コスト優位★★☆☆☆
鉄鋼業は規模の経済が働きやすい産業であり、神戸製鋼所も生産効率の向上に努めている。しかし、原材料価格の変動やエネルギーコストの影響を受けやすく、構造的なコスト優位を確立するには限界がある。
規模の経済★★★★☆
神戸製鋼所は日本の主要鉄鋼メーカーの一つであり、一定の生産能力と販売網を持つ。特に特殊鋼や線材などの分野では、業界内での一定のシェアを確保しており、規模の経済による効率性は一定程度期待できる。
- 幅広い技術と製品群鉄鋼、アルミ、溶接、機械、エンジニアリング、建設機械、電力といった多岐にわたる事業領域で、それぞれ独自の技術と製品を持っています。これにより、顧客の多様なニーズに対応できるだけでなく、異なる事業間のシナジー効果も期待できます。
- 素材から機械までの一貫体制鉄鋼やアルミといった基礎素材の製造から、それらを活用した産業機械や建設機械の開発・製造までを一貫して行える点が強みです。これにより、素材の特性を最大限に活かした製品開発が可能となり、高い競争力を維持しています。
- グローバルな供給・販売網海外売上高の過半をアジア地域が占めるなど、世界各地に生産拠点や販売ネットワークを構築しています。これにより、地域ごとの需要変動に対応しつつ、効率的なサプライチェーンを構築し、安定的な事業運営を可能にしています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、既知及び未知のリスクや不確実性及びその他の要素を内包するものです。「3 事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要素によって、当社の実際の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況が、こうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。 <企業理念>KOBELCOグループの現在のグループ企業理念は、2020年に制定したものであります。2017年に公表した品質事案を契機に、閉鎖的だった企業風土を変えるべく、「我々は何者なのか」「何を目指していくのか」をあらためて見つめ直し、企業理念を明文化するプロジェクトを実施しました。その際重視したのは、ボトムアップでつくり上げるという制定プロセスであります。経営層や特定のメンバーだけでなく、各職場において実施している「語り合う場」等での議論を通じ、グループ社員一人ひとりが考える機会を設けるとともに、そこからグループ社員の思いを抽出したうえで約1年をかけて制定しました。グループ企業理念は、いわゆるビジョンやミッションにあたる「KOBELCOが実現したい未来」「KOBELCOの使命・存在意義」に、共有すべき価値観や行動規範である「KOBELCOの3つの約束」「KOBELCOの6つの誓い」を加えた4つの要素で構成されております。「KOBELCOが実現したい未来」には、「末永く安全・安心に使える技術・製品・サービスを提供していくことに加え、社会に新しい価値を提供し、今を、そして、未来をより良いものにしよう」という、創業当時から脈々と受け継がれる精神が込められております。また、「KOBELCOの使命・存在意義」は、社会のニーズに向き合う中で培ってきた多様な人材・事業・技術のかけ算により、KOBELCOならではの社会課題の解決に挑みつづけるという「あるべき姿」そのものであります。当社グループは、グループ社員が一丸となって制定したグループ企業理念を胸に「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界。」の実現を目指してまいります。 <KOBELCOグループのマテリアリティ(中長期的な重要課題)>KOBELCOグループでは、グループ企業理念を起点としながら中長期的な時間軸の中で社会課題の解決や新たな価値創造を通じて、当社グループが収益力を確保しつつ持続的に成長し、社会にとってかけがえのない存在となるために取り組むべき5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。 (マテリアリティの特定プロセス)CSR委員会(現サステナビリティ推進委員会)委員長が中心となり、マテリアリティの評価プロセス及び分析結果の妥当性を検証し、優先的に取り組むべきマテリアリティを検討しました。特定されたマテリアリティについては、社外取締役も含めた経営層でグループ企業理念との整合性も確認しながら議論された後、取締役会で最終承認を受けて決定しております。 マテリアリティの各項目については具体的に実現するための指標・目標を設定しており、その進捗を管理しております。当社グループは、5つのマテリアリティに取り組むことで社会課題の解決を推進し、持続的な成長を達成していきます。 (注)S+3E:Safety + Energy Security, Economic Efficiency, Environment <企業構造と事業領域> 当社グループは、1905年(明治38年)に鋳鍛鋼メーカーとしてスタートし、機械事業、鉄鋼の圧延、銅、エンジニアリング、建設機械、アルミ、溶接とその事業を徐々に広げてまいりました。創業から120年を迎えた歴史の中で、社会のニーズに応え、選択と拡大を進めてきた結果、現在、鉄鋼やアルミ等の素材、鋳鍛鋼やアルミ鋳鍛等の素形材、溶接材料等からなる「素材系事業」、産業用機械、エンジニアリング、建設機械からなる「機械系事業」、そして「電力事業」の3つの事業領域で事業を展開しています。これらの幅広い事業分野で培った知見や技術力をもとに、お客様や社会が抱える課題の解決に貢献できる新たな価値を創り出せることこそが当社の強みであると考えています。 当社グループが提供する製品・サービスは、輸送機、電機、建設・土木、産業機械、社会インフラ等あらゆる産業の基礎資材となっています。当社グループは、独自の技術をもとにした代替困難な素材や部材、省エネルギーや環境に配慮した様々な機械製品やエンジニアリング技術等、当社グループ独自の多彩な製品群を幅広いお客様に供給することで、競争優位性を生みだしています。また、電力事業では、極めて重要な社会的インフラである電力の供給という公共性の高いサービスを提供しており、当社グループは社会的にも大きな責任を担っているものと考えています。 素材系事業、機械系事業のいずれにおいても、競合メーカーが国内外に多数存在します。 素材系事業においては、国内外の高炉メーカー、電炉メーカー、アルミメーカー等が競合先として存在しますが、当社グループは、鉄鋼、アルミといった様々な素材と、その圧延・鋳造・鍛造技術を活用した鋳鍛鋼、アルミ鋳鍛といった多様な素形材、加えて溶接材料・溶接技術を有する当社グループの特長を活かしたソリューション提案をお客様に行うことにより、輸送機関連の分野等で競争優位性の維持・強化を目指しています。 また、機械系事業においても、産業用機械、エンジニアリング、建設機械の製品・サービス毎に国内外に競合先が存在しますが、機械においては、例えば、当社は、スクリュ・ターボ・レシプロの全ての圧縮機タイプを持つ数少ないメーカーの一つであり、お客様の用途に合わせて最適な圧縮機を提供することで競争力の維持・強化に繋げています。エンジニアリングにおいては、例えば、当社グループの持つ天然ガスを還元剤とした直接還元製鉄法(MIDREX®プロセス)が直接還元鉄の生産において世界シェア60%程度を占めています。またMIDREX®プロセスと鉄鋼の高炉操業技術を融合し、高炉工程でのCO₂排出量を大幅に削減できる技術の実証に成功するなど、継続的な技術改良への取組みを進めています。加えて、天然ガスの代わりに水素を還元剤とした低炭素製鉄の実証を進め、世界初の100%水素直接還元鉄プラント商業機を受注するなど、技術革新にも挑戦する中で、競争優位性の維持を図っています。建設機械においては、油圧ショベルとクレーン事業に特化する中で、静音性・省エネ技術で高い評価をいただいています。これらの技術をさらに発展させるとともに、重機の遠隔操作と稼働データ活用を組み合わせた「K-DIVE®」や、クレーン施工計画を支援する「K-D2 PLANNER®」等、デジタル技術を活用したソリューションビジネスの展開を進め、競争力強化に取り組んでいます。 電力事業においては、神戸市に石炭火力発電所を、栃木県真岡市にはガス火力発電所を有しており、いずれも現在、実用化されている発電技術の中で最高効率の発電設備を導入し、省エネルギー法で定められた発電効率基準を満たすことにより、国内の火力発電所の高効率化・環境負荷低減に寄与します。なお、当社の100%子会社である(株)コベルコパワー神戸は、アンモニア20%混焼の既設改修について、電力広域的運営推進機関による長期脱炭素電源オークションへ応札し、落札されるなど、火力発電設備の更なる高効率化・低炭素化を進めています。 <KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)> 2024年5月に公表した「KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)」では、「“稼ぐ力の強化”と“成長追求”」、「カーボンニュートラル(CN)への挑戦」の2つを最重要課題といたしました。 「稼ぐ力の強化」により事業の土台をさらに強固なものとするとともに、経営資源を将来の成長機会に重点的に投入することで、安定的にROIC6%以上、将来の姿としてROIC8%以上を確保し、持続的に成長する企業グループを目指します。 「CNへの挑戦」については、当社グループの保有する多様な技術により、CO₂排出削減貢献と、新たな事業機会の創出を積極的に推進してまいります。また、当社グループの生産プロセスについても、2030年で2013年度比30~40%のCO₂を削減し、2050年でのCN実現に挑戦してまいります。 これらを実現・加速させる手段・ドライバーとして、「KOBELCO-X(コベルコ エックス)」と総称する様々な「X=変革・かけ算」に取り組み、当社グループ全体でサステナビリティ経営の強化、魅力ある企業への変革を果たし「未来に挑戦できる事業体」の確立を目指してまいります。 <当社グループを取り巻く事業環境> 「KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)」策定時点では、当社グループを取り巻く事業環境は、「持続可能な社会に向けた要請の高まり」や、「原材料調達コストの高騰」、「地産地消へ向かうサプライチェーンの再構築」、「国内人口減少に伴う国内需要逓減や働き手不足の顕在化」、「デジタル技術の急激な進歩」等の変化が起こることを想定していました。米国の関税政策やエネルギー政策の変更に加え、足もとにおいては中東情勢の緊迫化等、地政学的リスクの高まりにより先行き不透明な事業環境が継続しているものの、長期的な事業環境の想定に大きな変化はなく、引き続き、「“稼ぐ力の強化”と“成長追求”」、「CNへの挑戦」の2つの最重要課題に取り組んでまいります。 <4つの重点施策> 最重要課題である「“稼ぐ力の強化”と“成長追求”」、「CNへの挑戦」を実現するために、「将来の外部環境を見据えた“事業基盤の再整備”」、「既存事業における“新たな需要の捕捉”、“事業の幅の拡大”による成長」、「生産プロセスのCO₂削減」、「変革を通じたサステナビリティ経営の強化」の4つの重点施策を着実に実行してまいります。 「将来の外部環境を見据えた“事業基盤の再整備”」については、収益化に時間を要しているアルミ板分野の自動車パネル事業において、中国鉄鋼業最大手の中国宝武鋼鉄集団有限公司が過半出資する宝武鋁業科技有限公司と、アルミパネルの製造・販売にかかる合弁会社を設立し中国国内における事業競争力の強化を進めております。アルミ素形材事業及び建設機械事業においては、価格改善やコストダウン等のベース収益改善の取組みに注力し収益力強化に取り組んでまいります。加えて、鉄鋼や溶接等その他の素材系事業においても、国内需要の縮小や、新興国での需要の増加、CN対応等、グローバルでの競争力維持への取組みを検討してまいります。 「既存事業における“新たな需要の捕捉”、“事業の幅の拡大”による成長」については、エネルギー転換等に関連した事業拡大や新規需要を成長の機会と捉え、機械やエンジニアリング事業を中心に、既存製品の拡販強化に加えて、これまでの事業活動で培った情報や技術・ノウハウと、DX関連技術のかけ算により、コト売りやソリューションビジネス等の新たな事業領域の拡大にも取り組んでまいります。 「生産プロセスのCO₂削減」については、電力事業において、アンモニア20%混焼の既設改修について、電力広域的運営推進機関による長期脱炭素電源オークションへ応札し、落札されるなど、更なる高効率化・低炭素化への取組みを進めています。鋼材事業では高炉へのHBI多配合や、バイオマス燃料の一種であるブラックペレットの事業化検討、スクラップ溶解炉の導入検討に取り組むなど、生産プロセスにおけるCO₂削減目標の達成への道筋具体化を進めてまいります。 「変革を通じたサステナビリティ経営の強化」については、AX~GXの「KOBELCO-X」の活動を通じて、事業戦略の実現を図り、サステナビリティ経営を強化してまいります。 <事業管理指標> 当社グループは、2024年4月にグループ企業理念の実現に向けた中長期的な重要課題であるマテリアリティに関する指標及び目標を設定しています。引き続き非財務指標も含めたサステナビリティ経営に取り組み、グループ全体で企業価値向上に取り組んでまいります。 なお、マテリアリティに関する指標・目標については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。また、「KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)」の進捗の詳細については、当社ホームページ(https://www.kobelco.co.jp)をご参照ください。 <財務戦略> 財務戦略の基本方針は、未来に挑戦できる事業体の確立に向けて「稼ぐ力の強化」や「成長の追求」を行いつつ、外部環境の変化による業績変動リスクや将来の大型投資に耐え得る財務基盤の更なる強化に取り組み、事業成長を支える財務体質への変革を図ってまいります。現中期経営計画期間においては、2026年度末の純資産比率40%台前半、D/Eレシオ※0.7倍台半ばを財務目標数値として定めております。 ※有利子負債÷自己資本
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、既知及び未知のリスクや不確実性及びその他の要素を内包するものです。「3 事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要素によって、当社の実際の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況が、こうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。 <企業理念>KOBELCOグループの現在のグループ企業理念は、2020年に制定したものであります。2017年に公表した品質事案を契機に、閉鎖的だった企業風土を変えるべく、「我々は何者なのか」「何を目指していくのか」をあらためて見つめ直し、企業理念を明文化するプロジェクトを実施しました。その際重視したのは、ボトムアップでつくり上げるという制定プロセスであります。経営層や特定のメンバーだけでなく、各職場において実施している「語り合う場」等での議論を通じ、グループ社員一人ひとりが考える機会を設けるとともに、そこからグループ社員の思いを抽出したうえで約1年をかけて制定しました。グループ企業理念は、いわゆるビジョンやミッションにあたる「KOBELCOが実現したい未来」「KOBELCOの使命・存在意義」に、共有すべき価値観や行動規範である「KOBELCOの3つの約束」「KOBELCOの6つの誓い」を加えた4つの要素で構成されております。「KOBELCOが実現したい未来」には、「末永く安全・安心に使える技術・製品・サービスを提供していくことに加え、社会に新しい価値を提供し、今を、そして、未来をより良いものにしよう」という、創業当時から脈々と受け継がれる精神が込められております。また、「KOBELCOの使命・存在意義」は、社会のニーズに向き合う中で培ってきた多様な人材・事業・技術のかけ算により、KOBELCOならではの社会課題の解決に挑みつづけるという「あるべき姿」そのものであります。当社グループは、グループ社員が一丸となって制定したグループ企業理念を胸に「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界。」の実現を目指してまいります。 <KOBELCOグループのマテリアリティ(中長期的な重要課題)>KOBELCOグループでは、グループ企業理念を起点としながら中長期的な時間軸の中で社会課題の解決や新たな価値創造を通じて、当社グループが収益力を確保しつつ持続的に成長し、社会にとってかけがえのない存在となるために取り組むべき5つのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。 (マテリアリティの特定プロセス)CSR委員会(現サステナビリティ推進委員会)委員長が中心となり、マテリアリティの評価プロセス及び分析結果の妥当性を検証し、優先的に取り組むべきマテリアリティを検討しました。特定されたマテリアリティについては、社外取締役も含めた経営層でグループ企業理念との整合性も確認しながら議論された後、取締役会で最終承認を受けて決定しております。 マテリアリティの各項目については具体的に実現するための指標・目標を設定しており、その進捗を管理しております。当社グループは、5つのマテリアリティに取り組むことで社会課題の解決を推進し、持続的な成長を達成していきます。 (注)S+3E:Safety + Energy Security, Economic Efficiency, Environment <企業構造と事業領域> 当社グループは、1905年(明治38年)に鋳鍛鋼メーカーとしてスタートし、機械事業、鉄鋼の圧延、銅、エンジニアリング、建設機械、アルミ、溶接とその事業を徐々に広げてまいりました。創業から120年を迎えた歴史の中で、社会のニーズに応え、選択と拡大を進めてきた結果、現在、鉄鋼やアルミ等の素材、鋳鍛鋼やアルミ鋳鍛等の素形材、溶接材料等からなる「素材系事業」、産業用機械、エンジニアリング、建設機械からなる「機械系事業」、そして「電力事業」の3つの事業領域で事業を展開しています。これらの幅広い事業分野で培った知見や技術力をもとに、お客様や社会が抱える課題の解決に貢献できる新たな価値を創り出せることこそが当社の強みであると考えています。 当社グループが提供する製品・サービスは、輸送機、電機、建設・土木、産業機械、社会インフラ等あらゆる産業の基礎資材となっています。当社グループは、独自の技術をもとにした代替困難な素材や部材、省エネルギーや環境に配慮した様々な機械製品やエンジニアリング技術等、当社グループ独自の多彩な製品群を幅広いお客様に供給することで、競争優位性を生みだしています。また、電力事業では、極めて重要な社会的インフラである電力の供給という公共性の高いサービスを提供しており、当社グループは社会的にも大きな責任を担っているものと考えています。 素材系事業、機械系事業のいずれにおいても、競合メーカーが国内外に多数存在します。 素材系事業においては、国内外の高炉メーカー、電炉メーカー、アルミメーカー等が競合先として存在しますが、当社グループは、鉄鋼、アルミといった様々な素材と、その圧延・鋳造・鍛造技術を活用した鋳鍛鋼、アルミ鋳鍛といった多様な素形材、加えて溶接材料・溶接技術を有する当社グループの特長を活かしたソリューション提案をお客様に行うことにより、輸送機関連の分野等で競争優位性の維持・強化を目指しています。 また、機械系事業においても、産業用機械、エンジニアリング、建設機械の製品・サービス毎に国内外に競合先が存在しますが、機械においては、例えば、当社は、スクリュ・ターボ・レシプロの全ての圧縮機タイプを持つ数少ないメーカーの一つであり、お客様の用途に合わせて最適な圧縮機を提供することで競争力の維持・強化に繋げています。エンジニアリングにおいては、例えば、当社グループの持つ天然ガスを還元剤とした直接還元製鉄法(MIDREX®プロセス)が直接還元鉄の生産において世界シェア60%程度を占めています。またMIDREX®プロセスと鉄鋼の高炉操業技術を融合し、高炉工程でのCO₂排出量を大幅に削減できる技術の実証に成功するなど、継続的な技術改良への取組みを進めています。加えて、天然ガスの代わりに水素を還元剤とした低炭素製鉄の実証を進め、世界初の100%水素直接還元鉄プラント商業機を受注するなど、技術革新にも挑戦する中で、競争優位性の維持を図っています。建設機械においては、油圧ショベルとクレーン事業に特化する中で、静音性・省エネ技術で高い評価をいただいています。これらの技術をさらに発展させるとともに、重機の遠隔操作と稼働データ活用を組み合わせた「K-DIVE®」や、クレーン施工計画を支援する「K-D2 PLANNER®」等、デジタル技術を活用したソリューションビジネスの展開を進め、競争力強化に取り組んでいます。 電力事業においては、神戸市に石炭火力発電所を、栃木県真岡市にはガス火力発電所を有しており、いずれも現在、実用化されている発電技術の中で最高効率の発電設備を導入し、省エネルギー法で定められた発電効率基準を満たすことにより、国内の火力発電所の高効率化・環境負荷低減に寄与します。なお、当社の100%子会社である(株)コベルコパワー神戸は、アンモニア20%混焼の既設改修について、電力広域的運営推進機関による長期脱炭素電源オークションへ応札し、落札されるなど、火力発電設備の更なる高効率化・低炭素化を進めています。 <KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)> 2024年5月に公表した「KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)」では、「“稼ぐ力の強化”と“成長追求”」、「カーボンニュートラル(CN)への挑戦」の2つを最重要課題といたしました。 「稼ぐ力の強化」により事業の土台をさらに強固なものとするとともに、経営資源を将来の成長機会に重点的に投入することで、安定的にROIC6%以上、将来の姿としてROIC8%以上を確保し、持続的に成長する企業グループを目指します。 「CNへの挑戦」については、当社グループの保有する多様な技術により、CO₂排出削減貢献と、新たな事業機会の創出を積極的に推進してまいります。また、当社グループの生産プロセスについても、2030年で2013年度比30~40%のCO₂を削減し、2050年でのCN実現に挑戦してまいります。 これらを実現・加速させる手段・ドライバーとして、「KOBELCO-X(コベルコ エックス)」と総称する様々な「X=変革・かけ算」に取り組み、当社グループ全体でサステナビリティ経営の強化、魅力ある企業への変革を果たし「未来に挑戦できる事業体」の確立を目指してまいります。 <当社グループを取り巻く事業環境> 「KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)」策定時点では、当社グループを取り巻く事業環境は、「持続可能な社会に向けた要請の高まり」や、「原材料調達コストの高騰」、「地産地消へ向かうサプライチェーンの再構築」、「国内人口減少に伴う国内需要逓減や働き手不足の顕在化」、「デジタル技術の急激な進歩」等の変化が起こることを想定していました。米国の関税政策やエネルギー政策の変更に加え、足もとにおいては中東情勢の緊迫化等、地政学的リスクの高まりにより先行き不透明な事業環境が継続しているものの、長期的な事業環境の想定に大きな変化はなく、引き続き、「“稼ぐ力の強化”と“成長追求”」、「CNへの挑戦」の2つの最重要課題に取り組んでまいります。 <4つの重点施策> 最重要課題である「“稼ぐ力の強化”と“成長追求”」、「CNへの挑戦」を実現するために、「将来の外部環境を見据えた“事業基盤の再整備”」、「既存事業における“新たな需要の捕捉”、“事業の幅の拡大”による成長」、「生産プロセスのCO₂削減」、「変革を通じたサステナビリティ経営の強化」の4つの重点施策を着実に実行してまいります。 「将来の外部環境を見据えた“事業基盤の再整備”」については、収益化に時間を要しているアルミ板分野の自動車パネル事業において、中国鉄鋼業最大手の中国宝武鋼鉄集団有限公司が過半出資する宝武鋁業科技有限公司と、アルミパネルの製造・販売にかかる合弁会社を設立し中国国内における事業競争力の強化を進めております。アルミ素形材事業及び建設機械事業においては、価格改善やコストダウン等のベース収益改善の取組みに注力し収益力強化に取り組んでまいります。加えて、鉄鋼や溶接等その他の素材系事業においても、国内需要の縮小や、新興国での需要の増加、CN対応等、グローバルでの競争力維持への取組みを検討してまいります。 「既存事業における“新たな需要の捕捉”、“事業の幅の拡大”による成長」については、エネルギー転換等に関連した事業拡大や新規需要を成長の機会と捉え、機械やエンジニアリング事業を中心に、既存製品の拡販強化に加えて、これまでの事業活動で培った情報や技術・ノウハウと、DX関連技術のかけ算により、コト売りやソリューションビジネス等の新たな事業領域の拡大にも取り組んでまいります。 「生産プロセスのCO₂削減」については、電力事業において、アンモニア20%混焼の既設改修について、電力広域的運営推進機関による長期脱炭素電源オークションへ応札し、落札されるなど、更なる高効率化・低炭素化への取組みを進めています。鋼材事業では高炉へのHBI多配合や、バイオマス燃料の一種であるブラックペレットの事業化検討、スクラップ溶解炉の導入検討に取り組むなど、生産プロセスにおけるCO₂削減目標の達成への道筋具体化を進めてまいります。 「変革を通じたサステナビリティ経営の強化」については、AX~GXの「KOBELCO-X」の活動を通じて、事業戦略の実現を図り、サステナビリティ経営を強化してまいります。 <事業管理指標> 当社グループは、2024年4月にグループ企業理念の実現に向けた中長期的な重要課題であるマテリアリティに関する指標及び目標を設定しています。引き続き非財務指標も含めたサステナビリティ経営に取り組み、グループ全体で企業価値向上に取り組んでまいります。 なお、マテリアリティに関する指標・目標については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。また、「KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)」の進捗の詳細については、当社ホームページ(https://www.kobelco.co.jp)をご参照ください。 <財務戦略> 財務戦略の基本方針は、未来に挑戦できる事業体の確立に向けて「稼ぐ力の強化」や「成長の追求」を行いつつ、外部環境の変化による業績変動リスクや将来の大型投資に耐え得る財務基盤の更なる強化に取り組み、事業成長を支える財務体質への変革を図ってまいります。現中期経営計画期間においては、2026年度末の純資産比率40%台前半、D/Eレシオ※0.7倍台半ばを財務目標数値として定めております。 ※有利子負債÷自己資本
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営成績の状況当連結会計年度の我が国経済は、米国の通商政策による輸出産業への影響が見られたものの、個人消費や企業の生産活動に持ち直しの動きが見られ、緩やかな回復基調が継続しました。海外経済は、米国では、物価高や金融政策の影響がありながらも、個人消費や設備投資を中心に底堅く推移しました。欧州では、サービス業を中心に緩やかな持ち直しの動きがみられました。中国では、不動産市場の低迷や個人消費の伸び悩みを背景に、景気回復の動きは緩やかなものにとどまりました。このような中、当社はKOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)に掲げた「稼ぐ力の強化」と「成長追求」に取り組むとともに、物価上昇に対する価格転嫁の推進や自助努力によるコストアップの抑制に継続して取り組んでまいりました。この結果、当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比1,184億円減収の2兆4,365億円となり、営業利益は、機械での既受注案件の進捗による売上高の増加などがあったものの、固定費を中心としたコストの増加や電力での燃料費調整の時期ずれによる増益影響の縮小や売電価格に関する一過性の増益影響(売電価格の指標となる石炭の輸入貿易統計価格と当社購入価格の差異)の縮小などに加え、神戸発電所3号機の定期点検の延長などによる売上高の減少などにより、前連結会計年度比288億円減益の1,298億円となりました。経常利益は、営業利益の減益や、前連結会計年度に計上した建設機械における欧州でのエンジン認証に関する補償金収入の剥落などにより、前連結会計年度比358億円減益の1,213億円となりました。特別損益は、政策保有株式や土地等の売却による増益があったものの、アルミ板で固定資産の減損損失を計上したことなどから4億円の損失となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比264億円減益の937億円となりました。 当連結会計年度のセグメント毎の状況は、次のとおりであります。 <素材系事業>[鉄鋼アルミ](鉄鋼)鋼材の販売数量は、人手不足や建設費上昇を背景とした建設需要の停滞などにより、前連結会計年度を下回りました。販売価格は、物価上昇分の価格転嫁は進展したものの、原料価格の下落の影響などにより、前連結会計年度を下回りました。この結果、売上高は、前連結会計年度比10.1%減の8,222億円となりました。経常利益は、販売数量の減少やメタルスプレッドの悪化に加え、固定費を中心としたコストが増加した他、在庫評価影響の悪化などにより、前連結会計年度比204億円減益の38億円となりました。(アルミ板)アルミ板の販売数量は、神鋼汽車鋁材(天津)有限公司の子会社から関連会社への変更により、前連結会計年度を下回りました。販売価格は、地金価格が上昇したことなどにより、前連結会計年度を上回りました。この結果、売上高は、前連結会計年度比13.4%減の1,746億円となりました。経常損益は、価格転嫁の進展やコスト改善等があったものの、在庫評価益の縮小などにより、前連結会計年度比3億円悪化の9億円の損失となりました。 鉄鋼アルミ全体では、売上高は、前連結会計年度比10.7%減の9,969億円となり、経常利益は、前連結会計年度比207億円減益の28億円となりました。 [素形材]素形材の販売数量は、堅調な造船向け需要を背景に鋳鍛鋼で前連結会計年度を上回りました。一方、自動車向け需要が低迷したアルミ押出、サスペンションでは前連結会計年度を下回りました。この結果、売上高は、前連結会計年度比5.0%増の3,328億円となり、経常利益は、価格転嫁が進展したものの、自動車向けを中心とした販売数量の減少、在庫評価益の縮小などにより、前連結会計年度比20億円減益の87億円となりました。 [溶接]溶接材料の販売数量は、国内、海外向けともに、前連結会計年度並となりました。販売価格は、価格転嫁の進展などにより、前連結会計年度を上回りました。この結果、売上高は、前連結会計年度比2.7%増の964億円となり、経常利益は、労務費等の固定費を中心にコストが増加したものの、価格転嫁の進展などにより、前連結会計年度比6億円増益の58億円となりました。 <機械系事業>[機械]受注高は、等方圧加圧装置(IP装置)での好調な需要などにより、前連結会計年度比2.9%増の2,701億円となり、受注残高は2,412億円となりました。売上高は、前連結会計年度比6.6%増の2,827億円となり、経常利益は、売上高の増加やサービス案件の増加による採算改善などにより、前連結会計年度比141億円増益の467億円となりました。 [エンジニアリング]受注高は、廃棄物処理関連事業で複数の案件を受注した前連結会計年度に比べ、19.8%減の1,321億円となり、受注残高は3,860億円となりました。売上高は、既受注案件の進捗などにより、前連結会計年度比10.9%増の1,938億円となったものの、経常利益は、案件構成差等により、前連結会計年度比34億円減益の126億円となりました。 [建設機械]油圧ショベルの販売台数は、欧州、中国、東南アジア等での需要回復が進んだことなどから、前連結会計年度を上回りました。一方、クローラクレーンの販売台数は、物価高騰影響による国内での需要減などの影響により、前連結会計年度を下回りました。この結果、売上高は、前連結会計年度並の3,895億円となり、経常利益は、エンジン認証問題に関する補償金収入の剥落などにより、前連結会計年度比64億円減益の123億円となりました。 <電力事業>[電力]販売電力量は、神戸発電所3号機の定期点検の延長などにより前連結会計年度を下回りました。販売電力単価は発電用石炭価格の変動に伴い前連結会計年度比で下落しました。この結果、売上高は、前連結会計年度比21.5%減の2,032億円となり、経常利益は、売上高の減少と、神戸発電所3・4号機における燃料費調整の時期ずれによる増益影響の縮小や神戸発電所1~4号機における売電価格に関する一過性の増益影響の縮小などにより、前連結会計年度比175億円減益の347億円となりました。 <その他>売上高は、前連結会計年度比34.0%減の58億円となり、経常利益は、前連結会計年度比12億円増益の50億円となりました。 (2)財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末とおおむね同水準の2兆8,651億円となりました。負債については、借入金の返済などにより、前連結会計年度末に比べ1,192億円減少し1兆5,347億円となりました。純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどから、前連結会計年度末に比べ933億円増加し1兆3,304億円となりました。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標目標指標推移目標指標目標(2025年度以降)2022年度(実績)2023年度(実績)2024年度(実績)2025年度(実績)ROIC(税引後事業利益/投下資本)6%以上4.9%6.7%6.9%5.3%D/Eレシオ(有利子負債/自己資本)0.7倍半ば1.00倍0.83倍0.76倍0.61倍純資産比率(純資産/総資産)40%台前半34.0%38.6%42.8%46.4% (4)生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における下記セグメントの生産実績は、次のとおりであります。セグメントの名称区分生産数量(千トン)前連結会計年度(2024年4月~ 2025年3月)当連結会計年度(2025年4月~ 2026年3月)差異前期比 (%)鉄鋼アルミ粗鋼6,0135,853△160△2.7%アルミ板307268△39△12.6%素形材アルミ押出4442△1△2.9%銅板545511.4%(注)粗鋼には、高砂製作所の電炉の生産数量を含めております。また、前連結会計年度末で神鋼汽車鋁材(天津)有限公司を子会社から関連会社に変更したことに伴い、当連結会計年度のアルミ板の生産数量に含めておりません。 b.受注実績当連結会計年度における下記セグメントの受注実績は、次のとおりであります。セグメントの名称区分受注高(百万円)前連結会計年度(2024年4月~2025年3月)当連結会計年度(2025年4月~2026年3月)差異前期比(%)機械国内114,045129,24715,20213.3%海外148,469140,866△7,603△5.1%合計262,515270,1137,5982.9%エンジニアリング国内104,26587,013△17,252△16.5%海外60,44845,096△15,351△25.4%合計164,713132,109△32,603△19.8% セグメントの名称区分受注残高(百万円)前連結会計年度末(2025年3月)当連結会計年度末(2026年3月)差異前期比(%)機械国内74,35283,1178,76411.8%海外180,119158,107△22,011△12.2%合計254,471241,225△13,246△5.2%エンジニアリング国内306,847270,303△36,544△11.9%海外135,123115,748△19,375△14.3%合計441,971386,051△55,920△12.7% c.販売実績当連結会計年度におけるセグメント毎の販売実績は、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度(2024年4月~ 2025年3月)当連結会計年度(2025年4月~ 2026年3月)差異前期比 (%) 鉄鋼914,422822,256△92,165△10.1 アルミ板201,738174,660△27,077△13.4鉄鋼アルミ1,116,160996,917△119,243△10.7素形材317,129332,86915,7395.0溶接93,91196,4632,5522.7機械265,157282,74117,5846.6エンジニアリング174,848193,89819,04910.9建設機械388,038389,5601,5220.4電力258,807203,201△55,605△21.5その他8,9285,894△3,033△34.0調整額△67,949△64,9662,983-合計2,555,0312,436,581△118,450△4.6(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先前連結会計年度(2024年4月~2025年3月)当連結会計年度(2025年4月~2026年3月)金額 (百万円)割合 (%)金額 (百万円)割合 (%)神鋼商事(株)289,83511.3267,07211.0 (5)資本の財源及び資金の流動性に関する情報①資本の財源及び資金の流動性a.財務戦略「KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)」における財務戦略の基本方針は、未来に挑戦できる事業体の確立に向けて「稼ぐ力の強化」や「成長追求」に取り組むとともに、外部環境の変化による業績変動リスクや将来の大型投資に耐え得る財務基盤の更なる強化を図り、事業成長を支える財務体質への変革を目指すこととしております。本中期経営計画期間においては、2026年度末の純資産比率40%台前半、D/Eレシオ※0.7倍台半ばを財務目標数値として定めておりますが、2025年度末の純資産比率は46.4%、D/Eレシオは0.61倍と着実に改善しております。引き続き、稼ぐ力の強化・成長追求に向けた投資、将来の資金需要を踏まえた資産売却・現預金水準の圧縮等による資本効率の最大化を推進してまいります。※有利子負債÷自己資本 b.資金需要の主な内容当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化に資するための研究開発費が主な内容です。投資活動については、設備老朽化に伴う更新投資や事業伸張・生産性向上を目的とした設備投資及び事業遂行に関連した投融資が主な内容です。今後、将来見込まれる成長分野での資金需要や、最新の市場環境及び受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行う一方、必要な設備投資や研究開発投資等を継続してまいります。 ②当連結会計年度の実績a.キャッシュ・フローの状況の分析当連結会計年度のキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上などにより、営業活動によるキャッシュ・フローが2,016億円の収入となりました。一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費と同程度の有形及び無形固定資産の取得による支出があったものの、投資有価証券の売却などにより△736億円の支出となり、その結果、フリーキャッシュ・フローは1,280億円の収入となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済などにより△1,624億円の支出となり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ308億円減少し、1,890億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 棚卸資産の増加や支払債務の減少などにより運転資本が増加した前連結会計年度に比べ、収入は534億円増加しました。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資有価証券の売却などにより、前連結会計年度に比べ、支出は402億円減少しました。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 社債の発行額の減少に加え、当連結会計年度に社債の償還を行ったことなどにより、前連結会計年度に比べ、支出は661億円増加しました。 (単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度差異営業キャッシュ・フロー1,4822,016534投資キャッシュ・フロー△1,138△736402フリーキャッシュ・フロー3431,280936財務キャッシュ・フロー△962△1,624△661(うち、株主還元)(△355)(△374)(△19)株主還元後のフリーキャッシュ・フロー△11905917現金及び現金同等物の期末残高2,1981,890△308 b.有利子負債の状況 有利子負債は、借入金の返済などにより前連結会計年度に比べ1,164億円減少の7,699億円となり、自己資本は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより995億円増加の1兆2,613億円となりました。 当社グループでは、製品の生産・販売に伴う運転資金に加え、大型設備の維持・更新等に必要な資金を安定的に確保する必要があります。運転資金は景気動向等により変動し、設備資金は回収期間が長期にわたるため、短期資金を活用しつつ、長期資金を中心に調達し、資金調達リスクの抑制に努めております。このため、当連結会計年度末の有利子負債の構成は、返済期限が1年以内のものが1,857億円、返済期限が1年を超えるものが5,842億円となっております。 (単位:億円) 前連結会計年度当連結会計年度有利子負債(注1) (リース債務を含む)8,8637,699自己資本 11,61712,613D/Eレシオ (有利子負債/自己資本)0.76倍0.61倍 (注1)当連結会計年度末現在の有利子負債の内訳(単位:億円) 合計1年内1年超短期借入金357357-長期借入金5,3631,0794,283社債1,4501001,350コマーシャル・ペーパー260260-リース債務26860208合計7,6991,8575,842 (6)重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用しております。 連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、連結貸借対照表上の資産及び負債の計上額、並びに、連結損益計算書上の収益及び費用の計上額に影響を与えるような会計上の見積りを行う必要があります。会計上の見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っておりますが、前提条件や事業環境等に変化が生じた場合には、見積りと将来の実績が異なることがあります。 会計上の見積りが必要となる項目のうち、経営者が当社グループの財政状態又は経営成績に対して重要な影響を与える可能性があると認識している主な項目は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
事業リスク
- 経済状況と市場競争自動車、造船、建設など主要な需要分野の経済状況や、海外の地政学的リスク、通商規制の動向が業績に影響を与える可能性があります。また、国内外の競合他社との厳しい競争により、製品価格の下落や受注減少のリスクがあります。
- 原材料価格と需給変動鉄鉱石、石炭、非鉄金属などの原材料価格や海上運賃の変動は、国際市況や為替相場に大きく左右されます。これらの価格が大幅に変動した場合、製品価格への転嫁が遅れることで、収益が悪化する可能性があります。特に中国の過剰生産能力問題は鉄鋼の需給と価格に影響を与えます。
- サプライチェーンと事故災害調達先の取引関係の変化、災害、事故、関税政策の変更、地政学的リスクなどにより、原材料や資機材の安定調達が困難になる可能性があります。また、高温高圧設備を扱う事業特性上、重大な労働災害や設備事故が発生した場合、生産停止や信頼失墜に繋がり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、下記の(1)事業環境の変化及び(2)グループ経営全般に重大な影響を及ぼす事項のとおりであります。当社グループでは、事業推進上想定される事業環境変化に伴うリスクについては、経営者の意見を踏まえて、事業部門又は本社部門が中心となってリスク対策に取り組んでおります。また、事故や災害、法令違反等、グループ経営全般に重大な影響を及ぼすリスクについても、経営者の意見を踏まえて抽出しております。リスクマネジメント体制としては、全体の管理者である全社総括責任者として社長、全社リスク管理統括責任者として内部統制・監査部総括役員を置き、個々のリスクのグループ横断的な管理活動の推進者として担当役員(リスクオーナー)、リスク対策実行責任者には事業部門長や本社担当役員を指名することにより、全社的なリスク管理体制を構築しております。また、経営審議会の補佐機関として設置したリスクマネジメント委員会では、リスクマネジメント全般に関する基本方針の立案・評価、リスクマネジメントの重要課題に関する具体方針の立案、「トップリスク」「重要リスク」のリスク対策実行計画の評価、全社リスク管理計画の立案・評価などを行っております。委員長には全社リスク管理統括責任者、また、委員には全リスクオーナーを指名しております。リスクマネジメント委員会の活動状況は定期的に経営審議会へ報告し、経営審議会での議論結果を踏まえてリスクオーナーへの指示を行っております。なお、経済安全保障リスクや地政学的リスクへの対応など複数のリスクに跨る場合には、リスクマネジメント委員会の下でグループ横断的な対応を検討しております。投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、「第2 事業の状況」の他の項目、「第5 経理の状況」の注記事項、その他においても記載しておりますので、併せてご参照ください。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)事業環境の変化①主要市場の経済状況等当社グループの国内向け販売は、自動車、造船、電気機械、建築・土木、IT、飲料容器、産業機械などを主な需要分野としております。海外向け販売は、当連結会計年度の売上高の34.8%であり、アジア地域が海外売上高の過半を占めております。当社グループは鉄鋼やアルミなどの素材、鋳鍛鋼やアルミ鋳鍛などの素形材、溶接材料などからなる素材系事業と産業用機械、エンジニアリングや建設機械といった機械系事業、さらに電力事業と複数のビジネスドメインを持つことで、安定性を担保するとともに、たゆまぬ技術開発を行って競争力の維持を図っておりますが、当社グループの業績は、これらの需要分野の動向、需要地域における経済情勢等により、売上高や受注高の減少の影響を受けることに加え、お客様の財政状態の悪化による債権回収の遅延等の影響を受ける可能性があります。また、海外の各需要地域における地政学的リスク、各地域における事業の監督や調整の困難さ、労働問題、関税、輸出入規制、通商・租税その他の法的規制の動向が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、各製品市場において、国内外の競合各社との厳しい競争状態にあり、競合各社による当社製品よりも高性能な製品開発や迅速な新製品の導入等、その状況次第では売上高や受注高の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ②製品需給・価格の変動当社グループは各製品の市場及び地域的な市場において競合他社との競争を行っております。経済市況や市場動向の変化、地政学的リスク、法規制及び競争環境の変化等を受けて需要家の事業戦略や購買方針に当社グループの想定を超えて変更が発生する場合、売上高や受注高の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特に鉄鋼事業において中国における過剰生産能力問題が十分な解決に至っておらず、過剰供給に起因する国際市場での厳しい競争は国内外での鋼材の需給状況や製品価格の変動の原因となっております。当社グループの国内鋼材販売の形態は、大きくは製品数量・規格等を直接お客様との間で取り決めて出荷する「紐付き」と、お客様が不特定の状態で出荷する「店売り」とに分かれますが、当社の場合ほとんどが「紐付き」であります。鋼材の需給状況が変動した場合、「店売り」価格の方がより敏感に連動するものの、最終的には「紐付き」価格も影響を受けることになります。また、輸出鋼材の販売数量・価格についても、各需要地域における鋼材需給等により影響を受けます。これらの変動が想定を超えて発生する場合、売上高の減少や収益の悪化等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。機械系事業においては、汎用品、受注生産品ともに、その製品需給が当社グループの想定以上に急激に変動する可能性があり、価格については、特に海外市場向けの製品について、通貨価値の変動等により影響を受ける可能性があります。これらの急激な変動を受け、売上高の減少、契約キャンセルによる損失の発生、債権回収の遅延等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ③原材料等の価格変動等当社グループが調達している鉄鉱石、石炭、合金鉄・非鉄金属、スクラップ等の鉄鋼原料価格及びそれらの輸送に関わる海上運賃等は、国際的な市況、為替相場、法規制、自然災害、地政学的リスク等により影響を受けます。特に、鉄鉱石及び石炭については、大きな消費国となった中国における需給状況と世界的にも限られた原産国や供給者の供給能力が、国際市況に与える影響が大きくなっております。調達先の分散や調達先との関係強化などを通じてこれらの安定調達に努めるとともに、原材料等の価格変動の製品価格への転嫁にも努めておりますが、原材料価格・運賃が大幅に変動する場合には、コストの変動等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、アルミ、銅につきましては、地金価格の変動は基本的にお客様に転嫁する仕組みとなっておりますが、地金価格の市況が短期間に大きく変動した場合には、会計上の在庫評価影響などによって、当社グループの業績に一時的に影響が生じる可能性があります。さらに、当社グループは、耐火物等の副資材、機械製造関連と設備投資関連の資材及び電装品、油圧機器、内燃機器等の資機材を外部調達しており、価格変動を抑える取組みはしているものの、調達先の賃金上昇や物価上昇等によりこれら資機材の価格が変動する場合、機械製造コストや設備投資コストの変動につながり、当社グループの業績に影響を及ぼします。 ④サプライチェーンにおけるリスク当社グループのサプライチェーンにおいて、調達先の分散や調達先との関係強化などを通じて原材料や資機材等の安定調達に努めておりますが、調達先との取引関係に重大な変更があった場合や、災害や事故、急激な関税政策の変更や地政学的リスク等による混乱が生じた場合、売上高の減少やコストの増加等によって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループではCSR調達基本方針を策定し、お取引先の皆様と社会的責任を共有し、“責任あるサプライチェーンの構築”に向けた取組みを推進しておりますが、サプライチェーンで法令違反や人権・労働等に関する問題が発生した場合には、調達や生産への影響に加えて、当社グループの信頼の毀損に繋がり、売上高の減少によって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (2)グループ経営全般に重大な影響を及ぼす事項①労災、設備事故等当社グループの生産設備の中には、鉄鋼の高炉、転炉など高温、高圧での操業を行っている設備があります。また、高熱の生産物、可燃性のガス、化学薬品等を取り扱っている事業所もあります。日常的に、高温高圧部分や可動部の多い設備の取扱い、高所での作業、危険物の取扱いがあるなど、従業員の労働環境としても、労働災害の主要な原因となる、「転落・墜落」や「挟まれ・巻き込まれ」、「飛来・落下」等の事象が他業種に比べ発生しやすい環境にあります。対人・対物を問わず、安全や防災に関する法令を遵守し、事故の防止対策には万全を期しておりますが、万一重大な労働災害や設備事故等が発生した場合には、当社グループの生産活動等に支障をきたし、生産量減少に伴う売上の減少や破損設備の復旧に伴う費用の発生、事故に関連する補償の実施等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ②自然災害、パンデミック、戦争・テロ当社グループの国内外の製造拠点等においては、大規模地震や台風等の自然災害、感染症等の大規模流行、戦争やテロ、暴動に対して発生時の損害を最小限に抑えるため、緊急対応策の準備、連絡体制の整備、定期的な見直しや訓練の実施等を行っております。しかし、これら大規模災害等により直接的に被害を受ける、もしくは物流網や供給網の混乱、インフラの障害等により事業活動に支障が生じた場合には、売上高や受注高の減少、生産コストの上昇や復旧コストの発生等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、感染症等のパンデミックへの対策として、感染者が増加した場合には、事業継続のため、勤務体制の見直しや補助人員の確保等を行うこととしております。加えて、政府が発出する要請事項や市中感染状況を踏まえ、事業活動継続と感染リスク抑制の両面の観点より、当社グループ全体に対して感染予防のための行動ガイドラインや関連する通達を適宜発信し、感染予防・感染拡大防止の周知・徹底を図っております。しかしながら、当社グループの事業所において大規模な感染が発生して事業運営が一時的に困難になる場合や、国内・海外ともに需要家の活動水準が低下し、製品需要の大幅な下振れが発生する場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ③品質に関するリスク当社グループは、品質不適切行為を踏まえ、品質ガバナンス体制を再構築するなどの活動を鋭意遂行し、信頼の回復に努めてまいりました。前中期期間では、お客様からの更なる信頼回復と向上、不適切事案の風化防止等を目的とした「信頼向上プロジェクト」を設置し、社長直下で、各事業のマネジメントを強化し、お客様や社会に役立つために課題を設定し、全員参加でこれを達成することを目的にした「KOBELCO TQM推進会議」と、「お客様信頼向上会議」にて、お客様との接点を強化する活動や現場への信頼回復・向上活動の意義浸透を推進する活動を進めてまいりました。2024年度より、これらの活動を、経営審議会の補佐機関である「KOBELCO TQM推進委員会」に移行することで、グループ全体でKOBELCO TQM活動の取組みを強化・推進することといたしました。JIS等の規格を基に社内で設定した基準のもと、製品の品質と信頼性の維持向上に努めておりますが、万一、品質ガバナンス体制に運用上の問題が発生した場合や製品に品質上の欠陥が発生した場合、訴訟もしくはその他のクレームによる費用の発生や、販売量の減少等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ④環境規制、気候関連規制等の影響鉄鋼やアルミ、銅を中心に、その生産活動の過程において廃棄物、副産物等が発生します。当社グループでは、国内外の法規制に則った適切な対応に努めておりますが、関連法規制に違反するような事象が発生した場合、原状回復や対策実施に多額の費用が発生する可能性があります。また、関連法規制の強化等によって、過去に売却した工場跡地等であっても土壌汚染の浄化のための費用が発生するなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループはCO2排出量が多いと指摘される鉄鋼事業や電力事業を主要な事業として営んでおり、CO2削減関係の重要事項は経営に重要な影響を与えうることから、全社横断的に検討・活動を行っております。排出量取引制度に関しては2026年度から2030年度までのベンチマークが設定されており、ベンチマークと当社の排出原単位の差異を注視しております。今後CO2等の排出に関連して新たな規制や排出量取引制度の変更、炭素賦課金が導入された場合には、鉄鋼や電力を中心に当社グループの事業活動が制約を受け、売上高の減少やコストの増加等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、CO2削減への取組みの詳細は「第2 事業の状況」、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」の「(2)気候変動」をご参照ください。 ⑤法令・公的規制当社グループは、国内、海外において多岐にわたる分野で事業活動を行っており、その遂行にあたっては、当社グループが展開している様々な事業に関連する法令(安全保障貿易管理、独占禁止、贈収賄規制などに関するもの)、その他の公的規制や社会規範を遵守し、公正で健全な企業活動を行うことを指針としております。しかしながら、法令違反等を理由として罰金等を科される状況が発生した場合には、当社グループの業績や社会的信用力に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥訴訟等のリスク当社グループは国内、海外において多岐にわたる分野で事業活動を行っており、その遂行にあたってはそれぞれの国の法令や公的規制、社会規範を遵守することを指針としております。万一これらに反する事象が発生し、訴訟等が提起された場合もしくは、すでに提起された訴訟等において当社グループに不利な判断がなされた場合には、損害賠償等の関連する費用の発生等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、国内外において多岐にわたるJV契約や受注契約、購買契約、技術契約、電力供給契約、プロジェクトファイナンス関連契約などを締結しております。これらの契約の締結に際し、当社グループに不利もしくは履行不能な条件や、必要条件の欠落が無いかなど、社内で十分な審査を行うよう努めております。しかし、契約締結後に当初想定できなかった経済環境の変化や契約内容の検討不足、予測できない商務的もしくは技術的なトラブルが発生し、契約相手との間でペナルティーの支払い、追加費用の発生、事業上の制約の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑦人材確保に関するリスク当社グループは、事業の維持・成長に必要な人材の確保のために、多様な背景を持つ社員一人ひとりが持てる能力や専門性を最大限発揮し、活き活きと働くことが出来るよう、労働条件の改善、職場環境の整備や人材育成の取組みを進めております。しかし、今後、少子化や人材の流動化の加速、また労働市場の需給バランスの変化等によって人材の確保が想定どおりに進まない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑧財務リスクa)為替レートの変動当社グループの外貨建取引は主として米ドル建で行われております。当社グループは、短期的な対応として為替予約等を実施しておりますが、変動リスクを完全に排除することは困難であり、為替レートの変動は、外貨建取引に関わる損益の変動や海外子会社の業績の変動等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。b)金利率の変動等当連結会計年度末における当社グループの有利子負債残高は7,699億円であります。当社グループは新規の長期借入金・社債等に関し、固定金利での調達や金利スワップ契約等を実施しておりますが、中長期的な金融情勢の変化等による金利率及びその他の条件の変動等が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。c)融資・債務保証等当社グループは、関係会社等に対して融資等、及び関係会社やお客様等における一部の金融機関借入等に対して債務保証等を行っております。将来、これらの融資等の回収が滞ったり、債務保証等の履行を求められる状況が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。d)棚卸資産の価値下落当社グループが保有している棚卸資産について、収益性の低下等に伴い資産価値が低下した場合は、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。e)投資有価証券の価値変動等当社グループが保有する投資有価証券の当連結会計年度末の連結貸借対照表計上額は2,154億円であります。上場株式の株価変動などに伴う投資有価証券の価値変動は、当社グループの業績に影響を及ぼします。加えて、年金資産のうち退職給付信託を構成する上場株式の株価変動により、退職給付会計における数理計算上の差異が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。退職給付信託を除く年金資産については、年金制度の予定利率や財政状態を勘案したうえで、元本毀損リスクの極力低い安全性資産中心の運用を行うよう努めております。f)繰延税金資産の計上当社グループでは繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して計上しております。しかしながら、今後将来の課税所得の見積り等に大きな変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しが発生し、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。g)固定資産の価値下落当社グループが保有している固定資産について、時価の下落・収益性の低下等に伴い資産価値が低下した場合は、当社グループの業績に影響が生じる可能性があります。なお、詳細な内容については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。h)資金調達当社グループは、主に銀行借入、社債発行及びコマーシャル・ペーパーの発行等により事業活動に必要な資金を確保しております。従って、景気の後退や金融環境の悪化、当社グループの信用低下等により、資金調達が想定どおりの条件で適時に実施できない場合には、事業計画の変更や資金調達コストの上昇等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループはカーボンニュートラルの実現に向けて、CO₂排出量の削減に取り組んでおりますが、ダイベストメントの動向次第では、その影響を受け、資金調達が想定どおり行えなくなる可能性があります。 ⑨中期経営計画の実現等当社グループは、2024年5月に「KOBELCOグループ中期経営計画(2024~2026年度)」を策定し、公表しております。主要な取組みとして、「稼ぐ力の強化と成長追求」と「カーボンニュートラルへの挑戦」を掲げております。本中期経営計画は、策定時点で入手可能な情報による判断及び仮定に基づいており、判断や仮定に内在する不確定性及び今後の事業運営や内外の状況変化による変動可能性など様々な要因によって、計画した成果が得られない可能性があります。 ⑩知的財産権の保護及び第三者の権利侵害当社グループでは保有する知的財産の適切な保全(特許・実用新案・意匠権等の取得や技術情報の秘密管理)に努めております。しかし、第三者により製品や技術等が模倣されたり、意図せぬ技術流出が発生した場合、当社グループの製品や技術等が陳腐化するなどの影響が発生し、売上高の減少等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループでは、製品等の開発やエンジニアリング、製造、使用及び販売、その他の事業活動によって、第三者の知的財産権、その他の権利を侵害しないよう、あらかじめ調査を行い、必要に応じて実施許諾を受けるなどの措置を講じております。しかし、第三者からの知的財産権、その他の権利の侵害に関して紛争が生じた場合、紛争に関連する製品等の製造・販売等の差し止めや多額の損害賠償金・和解金の支払い等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 ⑪情報セキュリティ当社グループは事業活動において顧客情報・個人情報等を入手することがあり、また営業上・技術上の秘密情報を保有しており、グローバルに様々なシステムを構築し事業活動を行っております。当社グループはサイバー攻撃等による不正アクセスや情報漏洩等を防ぐため、管理体制を構築し適切な安全措置を講じております。しかし、顧客情報・個人情報等の漏洩や滅失等の事故が発生した場合には、損害賠償や当社グループの社会的信用の低下等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、営業上・技術上の秘密情報の漏洩や滅失等の事故が発生した場合や、第三者に不正使用された場合、サイバー攻撃等によるシステム障害が発生した場合には、生産や業務の停止、競争優位性の喪失、社会的信用の低下等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 なお、当連結会計年度末現在では予測できない上記以外の事象の発生により、当社グループの財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。