5803

フジクラ(5803)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

非鉄金属 鉄鋼・非鉄

事業の概要

  • 多角的な事業展開
    フジクラは、情報通信、エレクトロニクス、自動車、エネルギー、不動産という非常に幅広い分野で事業を展開しています。これは、特定の市場の変動に左右されにくい安定した収益基盤を構築していることを示唆しています。
  • グローバルな製造・販売網
    同社は日本国内だけでなく、アジア、アメリカ、ヨーロッパなど世界各地に子会社や関連会社を持ち、製品の製造から販売、サービスまでをグローバルに展開しています。これにより、多様な地域の需要を取り込み、事業規模を拡大しています。
  • インフラと部品供給
    主力事業の多くは、光ファイバや電力ケーブルといった社会インフラを支える製品、あるいは自動車用ワイヤハーネスや電子部品といった最終製品に組み込まれる部品の製造・販売です。これは、社会の基盤を支える重要な役割を担っていることを意味します。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 情報通信システム事業
    光ファイバや光ケーブル、通信部品、ネットワーク機器などの製造・販売を手掛けており、売上高4,512.62億円、営業利益921.67億円と、フジクラグループで最も大きな収益源となっています。現代社会のデジタル化を支える基幹事業であり、国内外で幅広く展開しています。
  • エレクトロニクス事業
    プリント配線板、電子ワイヤ、ハードディスク用部品、各種コネクタなどを提供し、売上高1,858.99億円、営業利益229.02億円を計上しています。スマートフォンやPC、家電製品など、様々な電子機器に不可欠な部品を供給しており、技術革新のスピードが速い分野です。
  • 自動車製品事業
    自動車用ワイヤハーネスや電装品などを製造・販売しており、売上高1,770.55億円、営業利益58.21億円です。自動車の電動化や自動運転化が進む中で、その基盤となる部品を提供しており、グローバルな自動車産業の動向に影響を受けやすい事業です。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
TelecommunicationSystems 事業 4,513 922 20.4%
ElectronicsBusiness 地域 1,859 229 12.3%
AutomotiveProducts 事業 1,771 58 3.3%
PowerSystems 事業 1,452 119 8.2%
RealEstateBusinessUnit 地域 108 49 44.9%
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FY2026|3,050 文字
3【事業の内容】 当社及び当社の関係会社は、㈱フジクラ(当社)、子会社107社及び関連会社12社により構成されており、情報通信事業部門、エレクトロニクス事業部門、自動車事業部門、エネルギー事業部門、不動産事業部門に亘って、製品の製造、販売、サービス等の事業活動を展開しております。各事業における当社及び当社の関係会社の位置づけ等は次のとおりであります。 なお、次表の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 区分主要品種主な関係会社情報通信事業部門光ファイバ、光ケーブル、通信部品、光部品、光関連機器、ネットワーク機器、工事等当社[国内連結子会社]㈱フジクラハイオプト、フジクラプレシジョン㈱、フジクラソリューションズ㈱、㈱スズキ技研、藤倉商事㈱、㈱フジクラ・ダイヤケーブル、ファイバーテック㈱[在外連結子会社]Fujikura Fiber Optics Vietnam Ltd.、America Fujikura Ltd.、Verrillon Inc.、AFL Telecommunications LLC、藤倉烽火光電材料科技有限公司、AFL Telecommunications, Inc.、AFL Telecommunications Holdings LLC、AFL Network Services Inc.、Tier2 Technologies Ltd.、ATI Holdings, Inc.及びその子会社4社、AFL Telecomunicaciones de Mexico, S. de R.L. de C.V.、America Fujikura de Mexico S. de R.L. de C.V.、藤倉(中国)有限公司、AFL Telecommunications Australia pty Ltd.、Fujikura Asia Ltd.、Fujikura America, Inc.、Fujikura Europe Ltd.、Dossert Corporation、AFL Telecommunications Holdings UK Limited及びその子会社6社、AFL Solutions, Inc.、America Fujikura India Private Ltd.、AFL Netherlands B.V.、LFA Ventures LLC、AFL Enterprise Services, Inc.、ITC Service Group Intermediary LLC、ITC Service Group Acquisition LLC、Spligitty Fiber Optic Services, Inc.、AFL East Inc.、Beam Wireless Incorporated、藤倉香港貿易有限公司、ForzaTelecom NPC, LLC、DAS Group Professionals, LLC[在外持分法適用会社]南京華信藤倉光通信有限公司、US Conec Ltd.、Lat Long Infrastructure, LLC、Green Lambda Corporation、F3 Networks Canada Inc.、F3 GP Inc.、F3 Limited Partnership、Avirata AFL Connectivity Systems Limitedエレクトロニクス事業部門プリント配線板、電子ワイヤ、ハードディスク用部品、各種コネクタ等当社[国内連結子会社]㈱東北フジクラ、藤倉商事㈱、㈱フジクラプリントサーキット、フジクラ電装㈱[在外連結子会社]Fujikura Electronics (Thailand) Ltd.、Fujikura Conec (THAILAND) LTD.、藤倉電子(上海)有限公司、藤倉連接器(上海)有限公司、Fujikura Electronics Vietnam Ltd.、 America Fujikura Ltd.、FUJIKURA CONEC VIETNAM COMPANY LIMITED、Fujikura Asia Ltd.、Fujikura Hong Kong Ltd.、FIMT Ltd.、Fujikura America, Inc.、Fujikura Europe Ltd.、Fujikura Electronic Components (Thailand) Ltd.、広州藤倉電線電装有限公司、藤倉香港貿易有限公司、藤倉(上海)商務服務有限公司、藤倉電子貿易服務(上海)有限公司、FPCL USA LLC自動車事業部門自動車用ワイヤハーネス、電装品等当社[国内連結子会社]フジクラ電装㈱、藤倉商事㈱[在外連結子会社]Fujikura Automotive (Thailand) Ltd.、Fujikura Automotive Vietnam Ltd.、珠海藤倉電装有限公司、広州藤倉電線電装有限公司、Fujikura Automotive America LLC、Fujikura Europe (Holding) B.V.、Fujikura Automotive Europe S.A.U.及びその子会社6社、Fujikura Automotive Holdings LLC、Fujikura Automotive Mexico Queretaro, S.A. de C.V.、Fujikura Automotive Mexico, S. de R.L. de C.V.、Fujikura Automotive Paraguay S.A.、Fujikura Automotive do Brasil Ltda.、Fujikura Asia Ltd.、Fujikura Europe Ltd.、America Fujikura Ltd.、Fujikura America, Inc.、Fujikura Automotive India Private Ltd.、Fujikura Automotive Services Inc.エネルギー事業部門電力ケーブル、通信ケーブル、アルミ線、被覆線等当社[国内連結子会社]西日本電線㈱、米沢電線㈱、沼津熔銅㈱、㈱シンシロケーブル、藤倉商事㈱、㈱フジクラ・ダイヤケーブル、フジクラ物流㈱、富士資材加工㈱、㈱フジクラビジネスサポート、㈱フジクラエナジーシステムズ[在外連結子会社]藤倉(中国)有限公司、Fujikura Asia Ltd.、Fujikura Europe Ltd.[国内持分法適用会社]藤倉化成㈱、㈱ビスキャス[在外持分法適用会社]Fujikura (Malaysia) Sdn.Bhd.、Barons & Fujikura EPC Co.,Ltd.不動産事業部門不動産賃貸等当社その他新規事業等当社[国内連結子会社]フジクラソリューションズ㈱、藤倉商事㈱、フジクラプレシジョン㈱[在外連結子会社]Fujikura Fiber Optics Vietnam Ltd.、Fujikura Europe Ltd.、Fujikura America, Inc.、藤倉(中国)有限公司 以上に述べた事項の概要図は次のとおりです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
銅価格の急激な変化による仕入価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
高密度・大容量伝送を可能にするマルチコアファイバ(MCF)と接続技術の実用化に向けた開発。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:需要動向 / 為替レートの変動 / 金利の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

フジクラは光ファイバーケーブル分野で長年の実績と技術力を有し、一部製品で高いブランド認知度を持つ。しかし、特許の有効性や競合他社の技術革新により、無形資産の優位性は限定的。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

通信インフラ分野では、一度導入されたケーブルシステムは交換に多大なコストと時間を要するため、顧客の乗り換え障壁は高い。特に大規模通信事業者との長期契約はスイッチング・コストを形成する。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

フジクラの事業には、ユーザー数の増加が製品・サービスの価値を直接的に高めるネットワーク効果は基本的に見られない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

非鉄金属の加工や電線製造において、規模の経済や生産効率の追求は行われているが、原材料価格の変動やグローバルな価格競争により、構造的なコスト優位性は確立されていない。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

光ファイバーケーブルや電線といったインフラ関連製品において、フジクラは業界内で一定のシェアを有しており、大規模な生産能力と供給網を持つ。しかし、グローバルにはより巨大な競合も存在する。

  • 幅広い技術と製品ポートフォリオ
    情報通信、エレクトロニクス、自動車、エネルギーといった多岐にわたる分野で製品を製造・販売しており、それぞれの分野で培った技術やノウハウを相互に活用できる可能性があります。これにより、顧客の多様なニーズに対応し、安定した事業運営に繋がります。
  • グローバルな事業展開力
    世界中に多数の子会社や関連会社を有し、製品の製造から販売、サービスまでをグローバルに展開しています。これにより、特定の地域に依存することなく、世界中の市場機会を捉え、リスクを分散しながら事業を拡大できる強みがあります。
  • 社会インフラを支える基盤
    光ファイバや電力ケーブルなど、現代社会に不可欠なインフラ製品を供給している点は大きな強みです。これらの製品は安定した需要が見込まれるため、景気変動の影響を受けにくい安定した収益源となり得ます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針 「進取の精神」と「技術のフジクラ」をDNAに、“つなぐ”テクノロジー™を通じて顧客価値の創造と社会への貢献を実現することが、当社グループの存在意義(Purpose)です。世界は大きな変革の局面にあり、多様な技術革新が同時並行で進展しています。当社グループにおいても、こうした変化を的確に捉え、事業構造や経営基盤の変革を進めていくことが求められています。2026年5月に公表した「2028年中期経営計画」(以下「28中期」)は、その変革の起点であり、本計画が始まる2026年度を当社グループの「第4の創業」のスタートと位置付けることといたしました。 (2) 経営環境 2026年度の当社グループを取り巻く環境は、米国の関税政策の動向や中東情勢を含む地政学リスク等を背景に、先行き不透明な状況が続くものと見込まれます。 一方、情報通信事業は、生成AIの普及・拡大を背景とした、ハイパースケールデータセンタの建設投資や、これらを相互に接続するData Center Interconnect(DCI)を含む情報インフラ投資が継続し、光配線ソリューションの需要は高水準で推移する見通しです。また、通信インフラ市場では、各国の高度デジタル社会の実現に向けた設備投資需要が継続すると見込まれます。当社は、光ファイバケーブルをはじめとした光配線ソリューション製品の旺盛な需要に確実に対応すべく、生産能力・供給体制を強化してまいります。 エレクトロニクス事業では、FPC(フレキシブルプリント配線板)やコネクタが多く使用される主要顧客のスマートフォン需要は堅調に推移すると見込まれます。しかし、メモリ価格の高騰等により端末価格が上昇した場合、買い替え需要に影響を及ぼす可能性があるため、引き続き動向を注視してまいります。 自動車事業では、地域ごとに差はあるものの、世界の自動車生産台数は2025年度比で増加するものと見込まれます。しかし、米国政府による自動車への追加関税の発動や、EV市場の成長鈍化については慎重に見極め、適切に対応してまいります。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題①2028年中期経営計画 当社は、2026年度より始まる今後3年間を見通した「28中期」を策定し、本年5月に公表いたしました。 前中期経営計画では持続的成長に向けて、経営管理の高度化と戦略的な事業運営、並びに事業ポートフォリオの再構築を推進し、収益力の向上と財務体質の健全化を図ってきました。28中期においては、強固な財務基盤を土台に、これまでの「守りの選択と集中」から「攻めの選択と集中」へと舵を切り、成長分野への戦略的投資を加速してまいります。前中期経営計画で核心的事業領域と位置付けた「情報インフラ」、「情報ストレージ」、「情報端末」の3つの分野に引き続き注力し、特に高度デジタル社会の進展に伴うデータセンタ需要の拡大により今後も成長が見込まれる「情報インフラ」、「情報ストレージ」の分野に経営リソースを重点的に配分していく方針です。また、データセンタを支えるエネルギーの安定的かつクリーンな供給が重要な社会課題となっており、その解決手段の一つとして期待されるフュージョンエネルギー(核融合)分野においても、当社の技術力を活かした取組みを進めてまいります。 28中期では、更なる飛躍に向けた成長投資、財務体質の維持、並びに株主還元のバランスを図り、資本効率を重視した経営を継続します。投資については、自己資本比率50%を維持しながら、投資対効果とリスクを踏まえつつ、成長分野へ経営資源を重点的に配分してまいります。また、株主還元については連結配当性向40%を目安といたします。 最終年度(2028年度)の目標としては、売上高1兆6,000億円、営業利益3,150億円、ROE(株主資本利益率)28.5%、ROIC(投下資本利益率)21.6%を目指してまいります。 [情報ストレージ分野] 生成AIの普及・拡大により高い成長が期待されるデータセンタ市場向けに、工期の短縮及び省スペース化に貢献する光ファイバケーブル及び多心光コネクタに加え、エンジニアリングサービスを含む高密度光配線ソリューションの拡充・拡販を図ります。加えて、HDD用部品の生産体制やサーマル製品の開発を強化することで、データセンタ構築に貢献してまいります。 [情報インフラ分野] 戦略商品である「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable®」(以下「SWR®/WTC®」)をはじめとする高密度光配線ソリューション製品を中核に、データセンタ需要の拡大に伴う通信インフラの高度化に対応すべく、供給体制及びコスト競争力の強化を進めます。米国、日本、英国といった既存重点市場の深耕に加え、アジア・オセアニア等、グローバルでの市場及び顧客の開拓を推進し、今後世界的に拡大が見込まれる生成AIの普及に伴う情報通信インフラ基盤の構築に貢献してまいります。 [情報端末分野] エレクトロニクス事業で培ってきた高精度・微細加工技術及び高密度配線技術と、自動車事業が有する優良な顧客基盤及びグローバルな生産拠点という、両事業の強みを最大限に活用し、共創を一層深化させることで、新たなビジネスの創出を目指してまいります。特に、今後の成長が期待される次世代車やAIロボット等、高度化する情報端末分野への貢献を目指してまいります。 ②事業部門ごとの重点課題[情報通信] 情報通信事業では、生成AIの普及・拡大を背景に、北米市場を中心としたハイパースケールデータセンタ向け需要が引き続き拡大すると見込んでいます。また、当該需要を支える高密度光配線や、データセンタ間通信を含む光通信インフラの重要性が一段と高まる中、光ファイバケーブル及び多心光コネクタの需要は今後も高水準で推移すると想定しています。 このような事業環境の下、当社は生産能力の増強を重要課題の一つと位置付け、各種施策を推進してまいります。光ファイバケーブルについては、2026年3月に日米で合計最大3,000億円を投じ、生産能力を現状の最大3倍に拡大する方針を決定いたしました。また、多心光コネクタについても、MT/MMCフェルールの増産に加え、ベトナムやメキシコ、ポーランド工場等における配線部品の生産能力強化を進めています。今後の米国における一層のAIインフラ強化や、各国におけるデータ管理需要の高まりを背景としたグローバルでのAIインフラ拡大を見据え、これら製品の供給能力強化を進めてまいります。 また、新製品の継続的な開発・投入による競争優位性の維持・強化も重要課題です。当社の戦略商品であるSWR®/WTC®は細径高密度の実現によって、限られた布設スペースの有効活用及び接続時間の短縮に寄与する点が、データセンタ市場における競争力の源泉となっています。当社はこれまで細径・高密度ケーブルの新製品を継続的に創出し、差別化優位性を確立しており、2025年度には、ハイパースケールデータセンタ向けに、世界初となる13,824心SWR®/WTC®の販売を開始したほか、国内のデータセンタ市場向けには4,000心SWR®/WTC®を製品化しました。今後も供給能力の強化と新製品の開発を推進していくとともに、光ファイバケーブル、融着接続機、光コネクタ、光コンポーネント、通信エンジニアリングに至るまで、通信ネットワーク布設に関わるトータルソリューションを強みとして、グローバルでの事業基盤の拡大を図ってまいります。 [エレクトロニクス・自動車] 2026年度よりエレクトロニクス事業部門と自動車事業部門を統合し、新たに電子・電装事業部門として運営いたします。前述の通り、次世代車、AIロボットといった新たな事業機会の拡大を見据え、両事業のシナジー創出を図り、更なる成長につなげてまいります。 エレクトロニクス事業では、データセンタ向けサーバ、スマートフォン等の情報端末及び産業機器向け市場に対し、コネクタ、電子ワイヤ、HDD部品、サーマル製品等の多様かつユニークな製品群を有しています。これらは高速大容量化・小型化・高機能化が求められており、当社独自の技術によりその実現に貢献することで、事業拡大を図っていく方針です。FPCについては、強みを発揮できる高付加価値製品へのシフトを継続し、技術力強化と生産性向上を通じて競争力を高めてまいります。 自動車事業は、アジア、欧州、北南米の3つのブロックに分けて展開しています。グローバルに展開する生産・供給体制の最適化を進め、収益性の継続的な改善に努めます。また、自動車業界がCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展という大きな変革期にあることを踏まえ、高速通信対応や電力制御等の領域で、当社の配線・接続・電子部品技術を活かした新製品開発を推進し、差別化を図るとともに、将来の成長に向けた事業基盤を築いてまいります。 [エネルギー] エネルギー事業では、汎用低圧ケーブル、高圧ケーブル、架空送電線等、電力インフラに不可欠な製品を供給しております。国内市場が成熟・安定期に入っていることを踏まえ、事業の選択と集中により効率的な事業運営を進めてまいります。加えて、都市再開発やデータセンタ建設、高経年化した送電線の更新、レジリエンス強化等の需要を着実に取り込んでまいります。 [研究開発部門] 研究開発部門では、2026年度よりリソースの最適配分を行い、短期の事業化が見込まれるテーマは事業部門に移管するとともに、中長期にわたり独自性・優位性を持つコア技術の創出に注力していく方針です。さらに、エンドユーザーのニーズを踏まえた用途開発を通じて、新規事業創出につなげていきます。 重点技術領域としては超電導、ファイバレーザ及び次世代光ファイバを掲げ、取り組んでいきます。超電導分野では、高温超電導線材の性能向上、長尺化及び製造技術の高度化を通じ、将来のエネルギー・産業分野への応用を見据えた技術基盤の強化と用途展開を進めます。ファイバレーザ分野では、高出力化・高効率化・高信頼性化により先端加工分野における技術力向上を図り、新素材加工や半導体加工等への適用を目指します。次世代光ファイバ分野においては、マルチコアファイバやホローコアファイバによる細径化及び低損失化を推進するとともに、PANDAファイバやイメージファイバの技術応用を通じて、CPO(Co-Packaged Optics)等の光電融合技術の発展に貢献してまいります。 また、既存領域・新領域を問わず、事業戦略と連動した知的財産活動を推進します。具体的には、IPランドスケープや生成AI等の活用により知財の創出を促進するとともに、保有知財を積極的に活用することで、技術の優位性を持続的な事業成長につなげてまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針 「進取の精神」と「技術のフジクラ」をDNAに、“つなぐ”テクノロジー™を通じて顧客価値の創造と社会への貢献を実現することが、当社グループの存在意義(Purpose)です。世界は大きな変革の局面にあり、多様な技術革新が同時並行で進展しています。当社グループにおいても、こうした変化を的確に捉え、事業構造や経営基盤の変革を進めていくことが求められています。2026年5月に公表した「2028年中期経営計画」(以下「28中期」)は、その変革の起点であり、本計画が始まる2026年度を当社グループの「第4の創業」のスタートと位置付けることといたしました。 (2) 経営環境 2026年度の当社グループを取り巻く環境は、米国の関税政策の動向や中東情勢を含む地政学リスク等を背景に、先行き不透明な状況が続くものと見込まれます。 一方、情報通信事業は、生成AIの普及・拡大を背景とした、ハイパースケールデータセンタの建設投資や、これらを相互に接続するData Center Interconnect(DCI)を含む情報インフラ投資が継続し、光配線ソリューションの需要は高水準で推移する見通しです。また、通信インフラ市場では、各国の高度デジタル社会の実現に向けた設備投資需要が継続すると見込まれます。当社は、光ファイバケーブルをはじめとした光配線ソリューション製品の旺盛な需要に確実に対応すべく、生産能力・供給体制を強化してまいります。 エレクトロニクス事業では、FPC(フレキシブルプリント配線板)やコネクタが多く使用される主要顧客のスマートフォン需要は堅調に推移すると見込まれます。しかし、メモリ価格の高騰等により端末価格が上昇した場合、買い替え需要に影響を及ぼす可能性があるため、引き続き動向を注視してまいります。 自動車事業では、地域ごとに差はあるものの、世界の自動車生産台数は2025年度比で増加するものと見込まれます。しかし、米国政府による自動車への追加関税の発動や、EV市場の成長鈍化については慎重に見極め、適切に対応してまいります。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題①2028年中期経営計画 当社は、2026年度より始まる今後3年間を見通した「28中期」を策定し、本年5月に公表いたしました。 前中期経営計画では持続的成長に向けて、経営管理の高度化と戦略的な事業運営、並びに事業ポートフォリオの再構築を推進し、収益力の向上と財務体質の健全化を図ってきました。28中期においては、強固な財務基盤を土台に、これまでの「守りの選択と集中」から「攻めの選択と集中」へと舵を切り、成長分野への戦略的投資を加速してまいります。前中期経営計画で核心的事業領域と位置付けた「情報インフラ」、「情報ストレージ」、「情報端末」の3つの分野に引き続き注力し、特に高度デジタル社会の進展に伴うデータセンタ需要の拡大により今後も成長が見込まれる「情報インフラ」、「情報ストレージ」の分野に経営リソースを重点的に配分していく方針です。また、データセンタを支えるエネルギーの安定的かつクリーンな供給が重要な社会課題となっており、その解決手段の一つとして期待されるフュージョンエネルギー(核融合)分野においても、当社の技術力を活かした取組みを進めてまいります。 28中期では、更なる飛躍に向けた成長投資、財務体質の維持、並びに株主還元のバランスを図り、資本効率を重視した経営を継続します。投資については、自己資本比率50%を維持しながら、投資対効果とリスクを踏まえつつ、成長分野へ経営資源を重点的に配分してまいります。また、株主還元については連結配当性向40%を目安といたします。 最終年度(2028年度)の目標としては、売上高1兆6,000億円、営業利益3,150億円、ROE(株主資本利益率)28.5%、ROIC(投下資本利益率)21.6%を目指してまいります。 [情報ストレージ分野] 生成AIの普及・拡大により高い成長が期待されるデータセンタ市場向けに、工期の短縮及び省スペース化に貢献する光ファイバケーブル及び多心光コネクタに加え、エンジニアリングサービスを含む高密度光配線ソリューションの拡充・拡販を図ります。加えて、HDD用部品の生産体制やサーマル製品の開発を強化することで、データセンタ構築に貢献してまいります。 [情報インフラ分野] 戦略商品である「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable®」(以下「SWR®/WTC®」)をはじめとする高密度光配線ソリューション製品を中核に、データセンタ需要の拡大に伴う通信インフラの高度化に対応すべく、供給体制及びコスト競争力の強化を進めます。米国、日本、英国といった既存重点市場の深耕に加え、アジア・オセアニア等、グローバルでの市場及び顧客の開拓を推進し、今後世界的に拡大が見込まれる生成AIの普及に伴う情報通信インフラ基盤の構築に貢献してまいります。 [情報端末分野] エレクトロニクス事業で培ってきた高精度・微細加工技術及び高密度配線技術と、自動車事業が有する優良な顧客基盤及びグローバルな生産拠点という、両事業の強みを最大限に活用し、共創を一層深化させることで、新たなビジネスの創出を目指してまいります。特に、今後の成長が期待される次世代車やAIロボット等、高度化する情報端末分野への貢献を目指してまいります。 ②事業部門ごとの重点課題[情報通信] 情報通信事業では、生成AIの普及・拡大を背景に、北米市場を中心としたハイパースケールデータセンタ向け需要が引き続き拡大すると見込んでいます。また、当該需要を支える高密度光配線や、データセンタ間通信を含む光通信インフラの重要性が一段と高まる中、光ファイバケーブル及び多心光コネクタの需要は今後も高水準で推移すると想定しています。 このような事業環境の下、当社は生産能力の増強を重要課題の一つと位置付け、各種施策を推進してまいります。光ファイバケーブルについては、2026年3月に日米で合計最大3,000億円を投じ、生産能力を現状の最大3倍に拡大する方針を決定いたしました。また、多心光コネクタについても、MT/MMCフェルールの増産に加え、ベトナムやメキシコ、ポーランド工場等における配線部品の生産能力強化を進めています。今後の米国における一層のAIインフラ強化や、各国におけるデータ管理需要の高まりを背景としたグローバルでのAIインフラ拡大を見据え、これら製品の供給能力強化を進めてまいります。 また、新製品の継続的な開発・投入による競争優位性の維持・強化も重要課題です。当社の戦略商品であるSWR®/WTC®は細径高密度の実現によって、限られた布設スペースの有効活用及び接続時間の短縮に寄与する点が、データセンタ市場における競争力の源泉となっています。当社はこれまで細径・高密度ケーブルの新製品を継続的に創出し、差別化優位性を確立しており、2025年度には、ハイパースケールデータセンタ向けに、世界初となる13,824心SWR®/WTC®の販売を開始したほか、国内のデータセンタ市場向けには4,000心SWR®/WTC®を製品化しました。今後も供給能力の強化と新製品の開発を推進していくとともに、光ファイバケーブル、融着接続機、光コネクタ、光コンポーネント、通信エンジニアリングに至るまで、通信ネットワーク布設に関わるトータルソリューションを強みとして、グローバルでの事業基盤の拡大を図ってまいります。 [エレクトロニクス・自動車] 2026年度よりエレクトロニクス事業部門と自動車事業部門を統合し、新たに電子・電装事業部門として運営いたします。前述の通り、次世代車、AIロボットといった新たな事業機会の拡大を見据え、両事業のシナジー創出を図り、更なる成長につなげてまいります。 エレクトロニクス事業では、データセンタ向けサーバ、スマートフォン等の情報端末及び産業機器向け市場に対し、コネクタ、電子ワイヤ、HDD部品、サーマル製品等の多様かつユニークな製品群を有しています。これらは高速大容量化・小型化・高機能化が求められており、当社独自の技術によりその実現に貢献することで、事業拡大を図っていく方針です。FPCについては、強みを発揮できる高付加価値製品へのシフトを継続し、技術力強化と生産性向上を通じて競争力を高めてまいります。 自動車事業は、アジア、欧州、北南米の3つのブロックに分けて展開しています。グローバルに展開する生産・供給体制の最適化を進め、収益性の継続的な改善に努めます。また、自動車業界がCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の進展という大きな変革期にあることを踏まえ、高速通信対応や電力制御等の領域で、当社の配線・接続・電子部品技術を活かした新製品開発を推進し、差別化を図るとともに、将来の成長に向けた事業基盤を築いてまいります。 [エネルギー] エネルギー事業では、汎用低圧ケーブル、高圧ケーブル、架空送電線等、電力インフラに不可欠な製品を供給しております。国内市場が成熟・安定期に入っていることを踏まえ、事業の選択と集中により効率的な事業運営を進めてまいります。加えて、都市再開発やデータセンタ建設、高経年化した送電線の更新、レジリエンス強化等の需要を着実に取り込んでまいります。 [研究開発部門] 研究開発部門では、2026年度よりリソースの最適配分を行い、短期の事業化が見込まれるテーマは事業部門に移管するとともに、中長期にわたり独自性・優位性を持つコア技術の創出に注力していく方針です。さらに、エンドユーザーのニーズを踏まえた用途開発を通じて、新規事業創出につなげていきます。 重点技術領域としては超電導、ファイバレーザ及び次世代光ファイバを掲げ、取り組んでいきます。超電導分野では、高温超電導線材の性能向上、長尺化及び製造技術の高度化を通じ、将来のエネルギー・産業分野への応用を見据えた技術基盤の強化と用途展開を進めます。ファイバレーザ分野では、高出力化・高効率化・高信頼性化により先端加工分野における技術力向上を図り、新素材加工や半導体加工等への適用を目指します。次世代光ファイバ分野においては、マルチコアファイバやホローコアファイバによる細径化及び低損失化を推進するとともに、PANDAファイバやイメージファイバの技術応用を通じて、CPO(Co-Packaged Optics)等の光電融合技術の発展に貢献してまいります。 また、既存領域・新領域を問わず、事業戦略と連動した知的財産活動を推進します。具体的には、IPランドスケープや生成AI等の活用により知財の創出を促進するとともに、保有知財を積極的に活用することで、技術の優位性を持続的な事業成長につなげてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 財政状態及び経営成績の状況①経営成績 当社グループの当連結会計年度の売上高は11,824億円(前年度比20.7%増)、営業利益は1,887億円(同39.2%増)、経常利益は1,995億円(同45.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,572億円(同72.5%増)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 [情報通信事業部門] 生成AIの普及・拡大を背景としたデータセンタ向けの需要が引き続き伸長したことにより、売上高は前年度比44.7%増の6,530億円、営業利益は同65.7%増の1,527億円となりました。 [エレクトロニクス事業部門] 川下におけるサプライチェーン問題の発現、競争の激化、及びタイバーツ高によるコスト増加により、売上高は前年度比7.3%減の1,723億円、営業利益は同66.5%減の77億円となりました。 [自動車事業部門] 当期間に売価転嫁できない銅価高騰影響があるものの、一過性のインフレ影響等の売価反映が進み、売上高は前年度比1.3%増の1,794億円、営業利益は前年度比17.0%増の68億円となりました。 [エネルギー事業部門] 高採算製品の出荷増加や売価改善、銅価高騰に起因するデリバティブ評価益もあり、売上高は前年度比8.1%増の1,570億円、営業利益は同58.6%増の189億円となりました。 [不動産事業部門] 当社旧深川工場跡地再開発事業である「深川ギャザリア」の賃貸収入等により、売上高は前年度比1.9%増の110億円、営業利益は同2.1%増の50億円となりました。 ②財政状態 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較し、1,391億円増加の9,695億円となりました。これは主に、情報通信事業部門における需要増を背景に、売上債権及び棚卸資産等の流動資産、及び有形固定資産が増加したことによるものです。 負債の部は、前連結会計年度末と比較し、187億円減少の3,763億円となりました。これは主に、有利子負債が減少したことによるものです。 純資産の部は、前連結会計年度末と比較し、1,579億円増加の5,932億円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び為替変動に伴う為替換算調整勘定の増加によるものであり、配当金の支払いに伴う利益剰余金の減少が一部相殺しました。 (2) キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益2,046億円等を源泉とした収入により、1,329億円の収入(前年度比170億円の収入増加)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に362億円の支出(前年度比153億円の支出増加)となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは借入金の返済や配当金の支払による支出を中心に1,113億円の支出(前年度比539億円の支出増加)となりました。 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は1,789億円(前年度比53億円の減少)となりました。 当連結会計年度については、業績好調及び資本効率改善等により、ネットキャッシュ残高は962億円(前年度比584億円増)となりました。 2023年度から2025年度の3か年累計の営業キャッシュ・フローは、前中期経営計画を超過したため、超過したキャッシュは成長投資と株主還元に充当することといたしました。2026年度につきましては、28中期のもと、更なる飛躍に向けた成長投資、財務体質の維持、並びに株主還元のバランスを図りながら、資本効率を重視した経営を実行してまいります。 (3) 生産、受注及び販売の実績 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額又は、数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の実績については、「(1)財政状態及び経営成績の状況」における各セグメント経営成績に関連付けて示しています。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

事業リスク

  • 景気変動と需要動向
    フジクラの製品はインフラや最終消費財の部品が多いため、経済全体の景気変動や、各市場での設備投資の動向、競合状況、顧客の購買方針の変化などが業績に直接影響を与えます。特に景気後退期には、製品需要の減少により収益が悪化する可能性があります。
  • 為替・金利・原材料価格変動
    海外での事業展開が広いため、為替レートの変動は海外収益の円換算価値に影響を与え、業績を悪化させる可能性があります。また、金利上昇は借入金の利息負担を増やし、銅などの主要原材料やエネルギー価格の高騰は製造コストを押し上げ、利益を圧迫するリスクがあります。
  • 災害・感染症・地政学リスク
    国内外に多数の工場を持つため、地震や台風などの自然災害、感染症の流行、あるいは各国の政治経済情勢の不安定化、貿易摩擦、紛争・テロなどが生産活動やサプライチェーンに大きな影響を及ぼす可能性があります。これにより、生産停止やコスト増加、事業活動の制限が生じ、業績に悪影響を与える恐れがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|3,952 文字
3【事業等のリスク】(リスクマネジメントの目的・体制・活動) 当社は、経営環境の変化に伴い顕在化し得る不確実性が、当社グループの経営目標の達成及び企業価値の向上に影響を及ぼし得ることを踏まえ、リスクを適切に識別・評価し、事業機会の最大化と損失の最小化の両面からリスクマネジメントを推進することが、経営上重要であると認識しております。 当社は、管理すべきリスクを、事業機会に関連するリスク(戦略リスク)と、事業活動の遂行に関連するリスク(業務リスク)に分類しております。戦略リスクは取締役会及び経営執行会議等におけるトップマネジメントの合議により管理し、業務リスクはリスクマネジメント委員会が管理する体制としております。 また、当社グループは国内外で事業活動を行っており、各事業の特性やサプライチェーンの状況を踏まえ、各部門及び関係会社が把握するリスク情報を適時に共有し、必要に応じて経営レベルで協議・対応方針の検討を行うことにより、リスクの変化を継続的にモニタリングしております。 (当社グループの主要なリスク) 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。ただし、以下は当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載以外のリスクも存在し、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 需要動向 当社グループの経営成績は、製品が主としてインフラ用や最終消費財の部品等であるため、景気循環の影響を受けることはもとより、各マーケットの設備投資の動向や競合環境、サプライヤの動向、顧客の購買政策の変化や信用状況等によって影響を受けます。当社グループは、市場動向や需要変動を把握し、それに応じた生産・在庫・コストの調整等により影響の低減に努めておりますが、景気後退等に伴い短期的に需要が大きく変動した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 為替レートの変動 当社グループは、実需の範囲内で通貨ヘッジ取引を行い、外貨建売上取引等における為替変動による悪影響を最小限に抑える努力をしておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、為替レートの変動は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの事業には、海外における製品の生産、販売が含まれており、各地域における現地通貨建ての収益、費用、資産等の各項目は連結財務諸表作成のため、円換算しており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。(3) 金利の変動 当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しておりますが、金利が上昇した場合には、支払利息が増加し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4) 原材料等の調達及び価格変動に関するリスク 当社グループは、事業に必要な原材料や副資材、重要な希少資源等の調達において、計画的かつ安定的な数量の確保に取り組んでおります。しかしながら、サプライチェーンの混乱や需給の逼迫、供給元の方針変更、資源の枯渇等により必要量の確保に至らなかった場合や、これらの原材料等の価格並びにエネルギー価格の高騰が著しく進んだ場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。 また、当社グループの製品の主要な材料である銅の価格は、国際的な需給動向等の影響により変動しますが、銅価格の急激な変化による仕入価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、銅価格の著しい変動によって当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。 (5) 製品の欠陥及び品質に関するリスク 当社グループは、全社方針『フジクラ クオリティ方針』のもと、品質管理体制の強化及び品質コンプライアンス意識の向上に取り組むとともに、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。また、万が一の場合に備えて、製造物責任賠償については保険に加入しております。 しかしながら、重大なクレームや製造物責任賠償につながるような製品及びサービスの欠陥あるいは品質問題が発生した場合、製品回収や補償のための費用、品質管理体制の改善・強化に要するコスト、また信用低下による販売活動への影響が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 法的規制等 当社グループの事業活動においては、事業展開する各国の様々な法的規制の適用を受けております。このような規制には、事業・投資を行うために必要な政府の許認可、商取引、輸出入に関する規制、租税、金融取引、環境に関する法規制等があります。当社グループはこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、将来において法的規制の重要な変更や強化が行われた場合、当社グループがこれらの法規制に従うことが困難になり事業活動が制限されたり、規制遵守のためのコスト負担が増加すること等により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 訴訟、規制当局による措置その他の法的手続等 当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しております。訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局により課徴金等が賦課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 政治経済情勢 当社グループは、情報通信事業部門、エレクトロニクス事業部門、自動車事業部門、エネルギー事業部門等、国内外にて事業展開しております。当社グループでは、各国・地域における政治経済情勢や通商環境の動向、及び地政学的リスクについて継続的に把握・分析し、事業への影響の低減に向けた対応策を講じておりますが、各国の政治経済情勢の急激な変化、貿易摩擦の激化、並びに紛争・テロの発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (9) 知的財産 当社グループは、特許権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図ると共に、第三者の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。しかし、製品の構造・製造技術の多様化や、海外での事業活動の拡大等により、当社グループの製品が意図せず他社の製品の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害しても、各国の法制度等の相違により、適切な保護が得られるとは限らず、当社グループの事業活動や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10) 情報セキュリティに関するリスク 当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報・顧客情報を含む機密事項を有しております。これらの情報の秘密保持については、最大限の対策を講じておりますが、第三者によるサイバー攻撃やコンピューターウイルス感染等の予期せぬ事態により情報が外部に流出する可能性があり、その結果、当社グループのイメージの低下や損害賠償の発生等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、同様の予期せぬ事態により、当社グループの情報システム及びネットワークの正常な運営が妨げられた場合、事業の停止や生産効率の低下、復旧のための費用増等、当社グループの生産体制、経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。(11) 災害、感染症等のリスクについて 当社グループでは、大規模地震・風水害等の自然災害の発生、新型インフルエンザ等の感染症の発生・流行拡大、火災・爆発・停電等の危機の発生に伴い、製造拠点やサプライチェーンの被災等により事業活動が停滞し、稼働率及び売上の低下等の影響を受けるリスクを想定しております。当該リスクに対し、各事業部及び製品ごとに事業継続計画(BCP)を策定し、想定される影響やリスクへの対策を講じるとともに、BCPの見直し・更新や継続的な教育・訓練を通じて対応力の維持・強化を推進しております。また、発災直後の初動対応力の強化を目的として、本社では災害対策本部における対応手順の確認訓練を毎年実施しております。さらに、当社グループの各事業所及び各拠点においては、2025年に全社防災ガイドラインを策定しており、各拠点の取組のモニタリングや支援を行う等、危機対応力の維持・強化に向けたPDCA活動を展開しております。 (12) 人財確保に関するリスク 当社は、グループの成長の原動力は人財であるとの認識のもと、柔軟な働き方や多様性を実現する労働環境の整備、キャリア形成支援、公正な評価制度の整備や適材適所の配置等の人財マネジメント諸施策を実行し、多様な人財がグローバルに活躍できる組織作りを推進しております。しかしながら、人財の獲得競争は国内外とも激しくなっており、必要な人財の確保や流出防止ができない場合、当社の競争力の源泉である開発力や技術力の停滞、デジタル技術の活用の遅れといった事業活動への制約が生じ、当社グループの事業活動や生産体制、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

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