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日本発條(5991)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

金属製品 建設・資材

事業の概要

  • 自動車部品製造販売: 日本発條グループは、自動車のサスペンションに使われるばね、シート、精密部品などを製造・販売しています。これらの製品は、自動車の乗り心地や安全性、快適性に直結する重要な部品であり、国内外の自動車メーカーに供給されています。自動車産業の動向が、グループ全体の売上と収益に大きく影響します。
  • 情報機器関連製品: ハードディスクドライブ(HDD)のサスペンションや半導体検査装置のプローブユニットなど、情報機器の性能を支える精密な部品も手掛けています。デジタル化の進展に伴い需要が高まる分野であり、高い技術力が求められる事業です。自動車関連事業と並ぶ、もう一つの柱となっています。
  • 多角的な事業展開: 上記の主要事業に加え、産業機械部品、セラミック製品、駐車装置、セキュリティ製品、ゴルフシャフトなど、幅広い製品・サービスを提供しています。物流やその他のサービス事業も展開しており、多様な事業ポートフォリオを構築することで、特定の市場変動リスクを分散し、安定的な収益基盤を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • ディスクドライブサスペンション事業: HDD(ハードディスクドライブ)用のサスペンションや半導体検査用プローブユニットなどを製造・販売する事業で、売上高は1,115.11億円、営業利益は266.73億円と、利益率が非常に高いのが特徴です。情報機器の高性能化に不可欠な精密部品であり、高い技術力と品質が求められます。グローバルな情報通信市場の動向に大きく影響されます。
  • 産業機械その他事業: 半導体プロセス部品、セラミック製品、ばね機構品、駐車装置、ゴルフシャフトなど、多岐にわたる製品・サービスを提供する事業です。売上高は1,151.79億円、営業利益は95.05億円です。自動車や情報機器以外の幅広い産業分野に貢献しており、事業の多角化を通じてリスク分散と安定収益に寄与しています。製品開発力と多様な顧客基盤が強みです。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
SuspensionSprings 地域 1,691 5 0.3%
Seating 事業 3,039 112 3.7%
PrecisionSpringsAndComponents 事業 1,020 43 4.2%
DiskDriveSuspension 地域 1,115 267 23.9%
IndustrialMachineryAndEquipmentAndOtherOperations 地域 1,152 95 8.3%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,322 文字
3【事業の内容】 当社グループは当社、子会社67社(うち海外39社)及び関連会社8社(うち海外6社)より構成されており、懸架ばね、シート及びシート部品、精密部品などの自動車関連部品の製造販売、並びに情報機器関連の製品・部品の製造販売、上記各事業に関連する物流及びその他のサービス事業活動を営んでおります。 当社グループの事業に係る位置づけ及びセグメントとの関連は次のとおりであります。なお、以下の事業区分はセグメントと同一の区分であります。事業区分売上区分地域 主要会社名懸架ばね事業コイルばね、板ばね、スタビライザ、アキュムレータ、ベローズ、トーションバー、スタビライザリンク、スタビリンカーほか国内製造販売日本発条株式会社、ニッパツ機工株式会社、株式会社スミハツ、株式会社ホリキリ、東北日発株式会社、ニッパツ九州株式会社海外製造販売ほかNHKスプリングタイランド社、NHKインターナショナル社、ニューメーサーメタルス社、NHKオブアメリカサスペンションコンポーネンツ社、広州日正弾簧有限公司、NHKスプリングインディア社、NHKスプリングメキシコ社、NHKスプリングハンガリー社、その他シート事業自動車用シート、シート用機構部品、内装品ほか国内製造販売日本発条株式会社、株式会社アイテス、東北日発株式会社、フォルシア・ニッパツ九州株式会社、ニッパツ水島株式会社、その他海外製造販売NHKスプリングタイランド社、NHKシーティングオブアメリカ社、NHKスプリングインディア社、その他精密部品事業モーターコア、薄板ばね、線ばね、HDD用機構部品、ファスナー(ねじ)、精密加工品ほか国内製造販売日本発条株式会社、日発精密工業株式会社、特殊発條興業株式会社、ニッパツフレックス株式会社、株式会社トープラ、その他海外製造販売NHKスプリングタイランド社、NHKオブアメリカサスペンションコンポーネンツ社、NHKスプリングプレシジョンオブアメリカ社、トープラアメリカファスナー社、NHKスプリングメキシコ社、広州日弘機電有限公司、NHKプレシジョンタイランド社、NHKオートモーティブコンポーネンツインディア社、その他 事業区分売上区分地域 主要会社名DDS事業HDD用サスペンション、半導体検査用プローブユニット国内製造販売日本発条株式会社海外製造販売NHKスプリングタイランド社、日發科技有限公司、日發電子科技(東莞)有限公司産業機器ほか事業半導体プロセス部品、セラミック製品、ばね機構品、配管支持装置、金属基板、駐車装置、セキュリティ製品、船舶用電子リモコン、ゴルフシャフト、照明器具ほか国内製造販売日本発条株式会社、横浜機工株式会社、日本シャフト株式会社、株式会社スミハツ、ニッパツ・メック株式会社、その他販売日発販売株式会社、株式会社ニッパツパーキングシステムズ、株式会社ニッパツサービス、その他運送日発運輸株式会社、その他海外製造販売ほかNHKマニュファクチャリングマレーシア社、日発投資有限公司、その他 事業の系統図は次のとおりであります。(注)◎印は、連結子会社を示します。※印は、持分法適用会社を示します。矢印は製品の流れを表します。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
原材料・諸資材・エネルギー価格の大幅な変動については、販売価格への転嫁を前提としている。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
広範囲にわたる技術を利用した製品開発力、品質管理基準に従った製品製造。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:世界経済の急激な変動 / 為替レートの変動 / 原材料・諸資材・エネルギーの価格変動並びに、原材料・部品の不足
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

長年の実績と自動車部品業界での一定の認知はあるが、特許やブランド力が突出しているわけではない。特定の技術やノウハウは存在する可能性が高いが、定量的な評価は困難。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

自動車メーカーとの長年の取引関係と、サプライヤー変更に伴う認証プロセスや開発コストを考慮すると、一定のスイッチング・コストが存在する。特に、ばね製品は安全性や性能に直結するため、容易な切り替えは難しい。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ネットワーク効果が働くビジネスモデルではない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

量産効果によるコスト競争力は一定程度見込まれるが、原材料価格の変動や競合他社との価格競争に晒される可能性があり、構造的なコスト優位性は限定的。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

自動車部品サプライヤーとして、特にばね分野において、日本国内およびグローバルで一定の生産規模とシェアを有している。この規模が、設備投資や研究開発における優位性につながっていると考えられる。

  • グローバルな生産・供給体制: 日本発條グループは、日本、アジア、米国、欧州など世界各地に生産拠点を持ち、主要な自動車メーカーや情報機器メーカーのグローバルなサプライチェーンに対応しています。例えば、タイにはNHKスプリングタイランド社、米国にはNHKインターナショナル社などがあり、地域ごとのニーズに合わせた製品供給が可能です。これにより、顧客への安定供給とコスト競争力を確保しています。
  • 多様な製品と技術力: 懸架ばね、シート、精密部品、HDD用サスペンションなど、多岐にわたる製品群と、それらを支える高度な技術力が強みです。特に、ばね技術や精密加工技術は長年の経験と研究開発によって培われており、自動車の軽量化や高性能化、情報機器の小型化・高密度化に貢献しています。これにより、幅広い顧客ニーズに応え、市場での競争力を維持しています。
  • 研究開発による新製品創出: 研究開発本部が主体となり、新技術の基礎研究から応用研究まで積極的に取り組んでいます。これにより、常に市場のニーズを先取りした魅力的な新製品の開発を目指しており、将来の成長と収益性を確保するための重要な要素となっています。例えば、自動車の電動化や自動運転化に対応する新素材や新機構の開発にも注力していると考えられます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは、2026年4月1日に新たに制定した「ニッパツグループ企業理念」を経営の基本方針として掲げております。企業理念のもと、グループの多様な技術と発想を生かし、常にお客様に魅力ある商品・サービスを提供するとともに、社会課題の解決と持続的な成長を通じて、ステークホルダーに信頼される企業集団を目指しております。 当社は自動車部品で培った「材料開発技術」、「金属加工技術」、「熱処理技術」、「シミュレーション技術」、「接合技術」といったコア技術を駆使し、自動車分野、情報通信分野及び産業・生活分野へ多くのキーパーツを提供しております。 今後ますます進む自動車の電動化、情報通信の高度化等、激変する事業環境への対応を加速し、将来に向けた安定的な収益基盤を確立するとともに、カーボンニュートラルをはじめとする社会課題に積極的に取り組み、「持続可能な社会」への貢献を目指します。 (2)経営戦略等 当連結会計年度は、2024年度を初年度とし、2026年度を最終年度とする中期経営計画「2026中計」の2年目の年度となりました。この「2026中計」においては、「人を大切にし、社会へ貢献する」「サステナビリティ活動の更なる推進」をスローガンに、「人を大切にする」「社会へ貢献する」「ちゃんと買って ちゃんと造って ちゃんと売る」を基本方針として、企業価値並びに収益力の向上を目指して取り組んでまいりました。 2026年度は、中期経営計画「2026中計」の最終年度となります。グループ経営方針は、引き続き「人の価値:従業員、ステークホルダーを大切にする」「社会的価値:社会課題の解決に貢献する」「経済的価値:儲かる会社を目指す」「製品の価値:なくてはならないキーパーツを提供する」の4つを掲げ、グループ一丸となって企業価値の向上に取り組むとともに、“4つの価値”を未来につないでまいります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、「2026中計」における経営目標を次のとおり定めております。 自動車関連市場、情報通信関連市場とも増収を計画しており、自動化推進や生産性改善を進め利益率の向上を目指します。 2025年度実績、2026年度予想、及び2026年度目標経営指標 2025年度実 績2026年度予 想2026年度目 標売上高(億円)8,1688,6008,500営業利益(億円)457590520経常利益(億円)521640570親会社株主に帰属する当期純利益(億円)278450430ROE 6.6%10.0%10%以上ROIC 6.8%8.0%7%以上配当性向 48.0%31.1%30%以上自己資本比率 59.3%61.4%50%以上(注)2026年度目標値の主な前提条件:全世界自動車生産台数98百万台、HDD生産台数118百万台、為替レート145円/米ドル (4)経営環境 当連結会計年度における世界経済は、地政学的リスクや金融政策をめぐる不確実性が継続する中でも、総じて底堅く推移しました。一方で、地域間で景気動向のばらつきが見られ、先行き不透明な状況が続いております。 当社グループの主要事業分野である自動車関連市場においては、全世界での自動車生産台数は増加したものの、国内や北米、メキシコが減少する等、全体としては地域差のある事業環境となりました。 当連結会計年度における自動車生産台数 台 数前期比内日系前期比全世界95,906千台3.3%24,781千台△0.7%国別国内8,186千台△1.0%--北米(米国・カナダ)11,675千台△1.6%4,185千台△1.3%メキシコ4,183千台△0.8%1,337千台1.1%タイ1,492千台0.9%1,164千台△4.7%中国34,080千台10.1%2,827千台△8.4%(注)上記台数は各拠点の決算期に応じて集計しております。 もう一方の主要な事業分野であります情報通信関連市場につきましては、AI・クラウドサービスの拡大を背景にデータセンター向け高容量HDDの需要が堅調に推移し、当社主力製品であるHDD用サスペンションの需要は引き続き高水準となりました。 (5)事業上及び財務上の対処すべき課題<事業全般> 世界経済は、各国での通商政策見直しや、中東情勢に端を発したエネルギー供給や価格動向への懸念により先行き不透明な状況が続き、特に自動車関連分野では、グローバル生産拠点の見直しや電動化の流れにも変化が見込まれます。また、インフレに伴うコストの上昇、人材確保の難しさなど、当社グループを取り巻く事業環境は厳しさを増しており、このような激変する事業環境への対応を加速しながら、持続的に成長していくことが当社グループの課題であります。 環境変化に柔軟に対応し、お客さまのご要望に向き合いながら、スピーディーな事業展開を行うとともに、多様な人材の成長と活躍を促し、なくてはならないキーパーツを提供することで、社会と地球環境課題の解決に貢献する会社になるという好循環を作り出し、ニッパツグループの価値を高めてまいります。 <懸架ばね事業> 懸架ばね事業は、原材料費や物流費、動力光熱費の高騰、価格競争の激化、北米拠点における安定的な労働力確保などの課題に直面しております。当社は、グローバル全拠点での安定生産・安定供給体制の構築を進めるとともに、北米拠点における売価改善、生産性向上、最適受注戦略の推進や、製品付加価値の向上、モノづくり改革を通じ、収益力の強化に取り組んでまいります。 自動車の電動化進展に伴い、軽量化、高耐久化、省スペース化への要求が一層高まる中、加工技術の高度化や新鋼種の開発を加速し、製品付加価値の向上を図ってまいります。また、西インドに自動車用懸架ばねの新工場を建設し、グローバルでの需要増に対応してまいります。 <シート事業> シート事業は、原材料費や物流費、動力光熱費などの高止まりへの対応として販売価格への転嫁を進めてきたものの、国内外での自動車生産台数の地域差の影響を受け、収益面では厳しい状況が続きました。引き続き、自動車メーカーとの関係を一層深化させ、高品質・高機能を強みとする独立系サプライヤーとして、顧客志向の徹底と品質第一の2点を軸にグローバルに事業を展開し、収益力の強化に努めてまいります。 当社シート事業は、金属加工、ウレタン、縫製などの主要工程を内製する体制と、車酔い低減シートに代表されるシートコンプリート品の総合的な設計・開発力を強みとしております。これらの強みを活かし、電動化や自動運転化の進展に対応した軽量化や乗り心地向上に応えるシートの開発に取り組んでまいります。 <精密部品事業> 精密部品事業は、原材料費や物流費等の高止まりに加え、自動車関連分野における電動化の進展、情報通信関連分野におけるHDD需要の変動への対応が課題であります。特に自動車関連分野では、各国の政策動向による市場環境の変化も見込まれることから、より迅速かつ柔軟な事業対応が求められております。 モーターコアにつきましては、グローバル生産体制の拡充を進めており、メキシコ拠点に続き、インド拠点においても生産体制構築に向けた投資を決定いたしました。成長が見込まれる電動化需要の取り込みを図るとともに、工法の見直しや新技術開発を通じて、競争力及び収益力の一層の強化を図ってまいります。 <DDS事業> DDS事業は、AI・クラウドサービスの拡大を背景とした高容量HDDの需要が堅調に推移しており、サスペンションの販売も高水準を維持しております。今後もHDDの高容量化が進展し、サスペンションに求められる機能は一層高度化すると見込まれることから、継続的な技術開発と生産性向上による競争力の維持・強化が重要な課題となります。 開発力・技術力・品質の向上に加え、AIを活用したAOI導入等の合理化施策を進め、適切な生産能力の増強を図ることにより、更なる収益確保に取り組んでまいります。 <産業機器ほか事業> 半導体プロセス部品につきましては、半導体市場において今後も旺盛な需要が見込まれていることから、伊勢原工場及び宮田工場の二体制のもと、最適な生産配分の推進、DXを活用した生産性の向上ならびに能力増強を進めることで、一層の収益力の向上に取り組んでまいります。 また、金属基板につきましては、車載LED・太陽光発電等の産業用をはじめとした従来製品に加え、自動車の電動化に対応した次世代製品について、開発・拡販を推進するとともに、駒ヶ根工場とマレーシア工場の最適な生産配分、生産性の向上並びに需要に併せた能力増強を進め、更なる収益の向上に取り組んでまいります。 その他事業につきましては、選択と集中を進めてまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針 当社グループは、2026年4月1日に新たに制定した「ニッパツグループ企業理念」を経営の基本方針として掲げております。企業理念のもと、グループの多様な技術と発想を生かし、常にお客様に魅力ある商品・サービスを提供するとともに、社会課題の解決と持続的な成長を通じて、ステークホルダーに信頼される企業集団を目指しております。 当社は自動車部品で培った「材料開発技術」、「金属加工技術」、「熱処理技術」、「シミュレーション技術」、「接合技術」といったコア技術を駆使し、自動車分野、情報通信分野及び産業・生活分野へ多くのキーパーツを提供しております。 今後ますます進む自動車の電動化、情報通信の高度化等、激変する事業環境への対応を加速し、将来に向けた安定的な収益基盤を確立するとともに、カーボンニュートラルをはじめとする社会課題に積極的に取り組み、「持続可能な社会」への貢献を目指します。 (2)経営戦略等 当連結会計年度は、2024年度を初年度とし、2026年度を最終年度とする中期経営計画「2026中計」の2年目の年度となりました。この「2026中計」においては、「人を大切にし、社会へ貢献する」「サステナビリティ活動の更なる推進」をスローガンに、「人を大切にする」「社会へ貢献する」「ちゃんと買って ちゃんと造って ちゃんと売る」を基本方針として、企業価値並びに収益力の向上を目指して取り組んでまいりました。 2026年度は、中期経営計画「2026中計」の最終年度となります。グループ経営方針は、引き続き「人の価値:従業員、ステークホルダーを大切にする」「社会的価値:社会課題の解決に貢献する」「経済的価値:儲かる会社を目指す」「製品の価値:なくてはならないキーパーツを提供する」の4つを掲げ、グループ一丸となって企業価値の向上に取り組むとともに、“4つの価値”を未来につないでまいります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、「2026中計」における経営目標を次のとおり定めております。 自動車関連市場、情報通信関連市場とも増収を計画しており、自動化推進や生産性改善を進め利益率の向上を目指します。 2025年度実績、2026年度予想、及び2026年度目標経営指標 2025年度実 績2026年度予 想2026年度目 標売上高(億円)8,1688,6008,500営業利益(億円)457590520経常利益(億円)521640570親会社株主に帰属する当期純利益(億円)278450430ROE 6.6%10.0%10%以上ROIC 6.8%8.0%7%以上配当性向 48.0%31.1%30%以上自己資本比率 59.3%61.4%50%以上(注)2026年度目標値の主な前提条件:全世界自動車生産台数98百万台、HDD生産台数118百万台、為替レート145円/米ドル (4)経営環境 当連結会計年度における世界経済は、地政学的リスクや金融政策をめぐる不確実性が継続する中でも、総じて底堅く推移しました。一方で、地域間で景気動向のばらつきが見られ、先行き不透明な状況が続いております。 当社グループの主要事業分野である自動車関連市場においては、全世界での自動車生産台数は増加したものの、国内や北米、メキシコが減少する等、全体としては地域差のある事業環境となりました。 当連結会計年度における自動車生産台数 台 数前期比内日系前期比全世界95,906千台3.3%24,781千台△0.7%国別国内8,186千台△1.0%--北米(米国・カナダ)11,675千台△1.6%4,185千台△1.3%メキシコ4,183千台△0.8%1,337千台1.1%タイ1,492千台0.9%1,164千台△4.7%中国34,080千台10.1%2,827千台△8.4%(注)上記台数は各拠点の決算期に応じて集計しております。 もう一方の主要な事業分野であります情報通信関連市場につきましては、AI・クラウドサービスの拡大を背景にデータセンター向け高容量HDDの需要が堅調に推移し、当社主力製品であるHDD用サスペンションの需要は引き続き高水準となりました。 (5)事業上及び財務上の対処すべき課題<事業全般> 世界経済は、各国での通商政策見直しや、中東情勢に端を発したエネルギー供給や価格動向への懸念により先行き不透明な状況が続き、特に自動車関連分野では、グローバル生産拠点の見直しや電動化の流れにも変化が見込まれます。また、インフレに伴うコストの上昇、人材確保の難しさなど、当社グループを取り巻く事業環境は厳しさを増しており、このような激変する事業環境への対応を加速しながら、持続的に成長していくことが当社グループの課題であります。 環境変化に柔軟に対応し、お客さまのご要望に向き合いながら、スピーディーな事業展開を行うとともに、多様な人材の成長と活躍を促し、なくてはならないキーパーツを提供することで、社会と地球環境課題の解決に貢献する会社になるという好循環を作り出し、ニッパツグループの価値を高めてまいります。 <懸架ばね事業> 懸架ばね事業は、原材料費や物流費、動力光熱費の高騰、価格競争の激化、北米拠点における安定的な労働力確保などの課題に直面しております。当社は、グローバル全拠点での安定生産・安定供給体制の構築を進めるとともに、北米拠点における売価改善、生産性向上、最適受注戦略の推進や、製品付加価値の向上、モノづくり改革を通じ、収益力の強化に取り組んでまいります。 自動車の電動化進展に伴い、軽量化、高耐久化、省スペース化への要求が一層高まる中、加工技術の高度化や新鋼種の開発を加速し、製品付加価値の向上を図ってまいります。また、西インドに自動車用懸架ばねの新工場を建設し、グローバルでの需要増に対応してまいります。 <シート事業> シート事業は、原材料費や物流費、動力光熱費などの高止まりへの対応として販売価格への転嫁を進めてきたものの、国内外での自動車生産台数の地域差の影響を受け、収益面では厳しい状況が続きました。引き続き、自動車メーカーとの関係を一層深化させ、高品質・高機能を強みとする独立系サプライヤーとして、顧客志向の徹底と品質第一の2点を軸にグローバルに事業を展開し、収益力の強化に努めてまいります。 当社シート事業は、金属加工、ウレタン、縫製などの主要工程を内製する体制と、車酔い低減シートに代表されるシートコンプリート品の総合的な設計・開発力を強みとしております。これらの強みを活かし、電動化や自動運転化の進展に対応した軽量化や乗り心地向上に応えるシートの開発に取り組んでまいります。 <精密部品事業> 精密部品事業は、原材料費や物流費等の高止まりに加え、自動車関連分野における電動化の進展、情報通信関連分野におけるHDD需要の変動への対応が課題であります。特に自動車関連分野では、各国の政策動向による市場環境の変化も見込まれることから、より迅速かつ柔軟な事業対応が求められております。 モーターコアにつきましては、グローバル生産体制の拡充を進めており、メキシコ拠点に続き、インド拠点においても生産体制構築に向けた投資を決定いたしました。成長が見込まれる電動化需要の取り込みを図るとともに、工法の見直しや新技術開発を通じて、競争力及び収益力の一層の強化を図ってまいります。 <DDS事業> DDS事業は、AI・クラウドサービスの拡大を背景とした高容量HDDの需要が堅調に推移しており、サスペンションの販売も高水準を維持しております。今後もHDDの高容量化が進展し、サスペンションに求められる機能は一層高度化すると見込まれることから、継続的な技術開発と生産性向上による競争力の維持・強化が重要な課題となります。 開発力・技術力・品質の向上に加え、AIを活用したAOI導入等の合理化施策を進め、適切な生産能力の増強を図ることにより、更なる収益確保に取り組んでまいります。 <産業機器ほか事業> 半導体プロセス部品につきましては、半導体市場において今後も旺盛な需要が見込まれていることから、伊勢原工場及び宮田工場の二体制のもと、最適な生産配分の推進、DXを活用した生産性の向上ならびに能力増強を進めることで、一層の収益力の向上に取り組んでまいります。 また、金属基板につきましては、車載LED・太陽光発電等の産業用をはじめとした従来製品に加え、自動車の電動化に対応した次世代製品について、開発・拡販を推進するとともに、駒ヶ根工場とマレーシア工場の最適な生産配分、生産性の向上並びに需要に併せた能力増強を進め、更なる収益の向上に取り組んでまいります。 その他事業につきましては、選択と集中を進めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】経営成績等の状況の概要(1)経営成績 当社グループの主要な事業分野であります自動車関連市場においては、国内の自動車生産台数は8,186千台で前期比1.0%の減少となりました。また、北米(米国・カナダ)においては11,675千台で前期比1.6%減少、中国では34,080千台で前期比10.1%の増加、タイでは1,492千台で前期比0.9%の増加となりました(いずれも台数は各拠点の決算期に応じた集計)。 もう一方の主要な事業分野であります情報通信関連市場につきましては、HDD(Hard Disk Drive)の世界生産台数が前期比で増加し、データセンター向け高容量HDDが増加したことで、当社の主力製品でありますサスペンションの総需要は増加となりました。 以上のような経営環境のもと、売上高は816,879百万円(前期比1.9%増)、営業利益は45,784百万円(前期比12.2%減)、経常利益は52,189百万円(前期比10.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は27,862百万円(前期比42.2%減)となりました。 (2)当連結会計年度のセグメント別の売上高及び営業利益の概況[懸架ばね事業] 懸架ばね事業は、国内での需要減少があったものの、タイにおける原材料及び諸資材価格上昇分の製品売価への転嫁が進んだことや一部車種の台数増加により、売上高は167,417百万円(前期比1.0%減)、営業利益は727百万円(前期比56.6%増)となりました。営業利益の主な増減要因は以下のとおりであります。数量構成差 7億円売価改善・価格協力 8億円為替 △3億円固定費 △4億円合理化 8億円材料市況 △6億円関税 △6億円 [シート事業] シート事業は、国内及びタイでの日系メーカー減産影響や北米の車種・品種構成の変化等により、売上高は292,561百万円(前期比3.7%減)、営業利益は8,052百万円(前期比28.3%減)となりました。営業利益の主な増減要因は以下のとおりであります。数量構成差 △10億円売価改善・価格協力 △2億円為替 △3億円固定費 15億円材料市況 △9億円関税 △5億円一過性費用 △18億円 [精密部品事業] 精密部品事業は、データセンター向け高容量HDDの需要の増加によりHDD用機構部品の売上数量が増加し、またインドの子会社を連結範囲に加えたことで、売上高は105,612百万円(前期比3.5%増)となりました。一方、固定費の増加や関税影響等により、営業利益は3,651百万円(前期比14.9%減)となりました。営業利益の主な増減要因は以下のとおりであります。数量構成差 △1億円売価改善・価格協力 2億円為替 △2億円固定費 △7億円材料市況 5億円関税 △6億円連結子会社化 3億円 [DDS事業] DDS事業は、データセンター向け高容量HDDの需要が増加し、HDD用サスペンションの売上数量が前年同期比で増加したことにより、売上高は126,753百万円(前期比13.7%増)となりました。一方、固定費の増加等により、営業利益は26,058百万円(前期比2.3%減)となりました。営業利益の主な増減要因は以下のとおりであります。数量構成差 73億円売価改善・価格協力 △35億円為替 △17億円固定費 △30億円材料市況 2億円 [産業機器ほか事業] 産業機器ほか事業は、半導体プロセス部品の需要は継続的に増加しているものの、半導体プロセス部品と金属基板の将来的な需要増に対応するための設備投資に対する減価償却費の増加等により、売上高は124,535百万円(前期比8.1%増)、営業利益は7,294百万円(前期比23.3%減)となりました。営業利益の主な増減要因は以下のとおりであります。数量構成差 29億円為替 △2億円固定費 △31億円材料市況 △6億円その他 △14億円 (3)経営成績の分析①売上高、営業利益 「(2)当連結会計年度のセグメント別の売上高及び営業利益の概況」に記載のとおりです。 ②営業外損益 営業外損益は、6,404百万円の利益となり、前連結会計年度に比べ605百万円の増加となりました。持分法による投資利益が減少した一方で、為替レートの変動による為替差損や固定資産売却損が減少したことが主な要因となります。 ③特別損益 特別損益は、前連結会計年度の1,657百万円の利益から、当連結会計年度は1,881百万円の損失となり、前期比3,538百万円の変動となりました。投資有価証券売却益や退職給付信託返還益が増加した一方で、減損損失が増加したことが主な要因となります。 ④法人税等 税金等調整前当期純利益に対する税効果会計適用後の法人税等の負担率は43.1%となり、前連結会計年度の16.2%と比べ増加しました。前連結会計年度においては、評価性引当額の減少や税額控除等により負担率が低下しておりましたが、当連結会計年度においては、固定資産の減損損失の計上による評価性引当額の増加、海外子会社の留保利益に対する繰延税金負債の増加により、負担率が増加しました。 ⑤非支配株主に帰属する当期純利益 非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の1,788百万円に対し768百万円となりました。 ⑥親会社株主に帰属する当期純利益 親会社株主に帰属する当期純利益は27,862百万円で、前期比42.2%の減益となりました。1株当たり当期純利益は137.46円となり、前連結会計年度に比べ87.27円減少しました。 (4)財政状態の状況 当連結会計年度末の総資産については、為替レートの変動により在外子会社の資産の円換算額が押し上げられたほか、設備投資額等の増加により有形固定資産が増加しました。その結果、総資産は前連結会計年度末に比べ42,110百万円増加し、738,450百万円となりました。 負債については、有価証券売却に伴う未払法人税等が増加したことにより、前連結会計年度末に比べ12,246百万円増加し、285,414百万円となりました。 純資産については、退職給付に係る調整額が増えたことや親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加等に加え、為替が円安に推移したことによる為替換算調整勘定の増加により、前連結会計年度末に比べ29,863百万円増加し、453,035百万円となりました。 (5)キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は89,963百万円で前期比10.0%の増加となりました。 営業活動の結果得られた資金は、77,446百万円(前年同期比39.0%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上によるものであります。 投資活動の結果使用した資金は、41,606百万円(同12.9%減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出によるものであります。 財務活動の結果使用した資金は、26,953百万円(同14.1%増)となりました。これは主に、コマーシャル・ペーパーの発行による収入や長期借入れによる収入があったものの、コマーシャル・ペーパーの償還による支出や長期借入金の返済による支出、配当金の支払による支出によるものであります。 生産、受注及び販売の実績(1)生産実績 当社グループの生産実績は、販売実績と近似しておりますので、記載を省略しております。 (2)受注実績 当社グループの受注実績は、販売実績と近似しておりますので、記載を省略しております。 (3)販売実績 当社グループの販売実績は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(収益認識関係)1 顧客との契約から生じる収益を分解した情報」をご参照ください。 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月17日)現在において判断したものであります。 (1)重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、わが国において公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債の報告金額、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積り及び仮定を設定する必要があります。当社グループは、以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。 また、当連結会計年度末時点において行った重要な会計上の見積りに用いた仮定のうち、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に特に重要な影響を及ぼすリスクがあると考えている項目については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。 ① 重要な収益及び費用の計上基準 当社グループにおける重要な収益及び費用の計上基準につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) (4)会計方針に関する事項 (ホ)重要な収益及び費用の計上基準」をご参照ください。 ② 貸倒引当金 当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に再建計画などを考慮した上で、回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。 ③ 固定資産の減損 当社グループが有する固定資産について、損益報告や経営計画などの企業内部の情報、経営環境や市場価格などの企業外部の要因に関する情報に基づき、資産又は資産グループ別に減損の兆候の有無を確認しております。この判定により減損損失を認識すべきと判断した場合には、その帳簿価額を回収可能価額まで減損処理を行っております。 回収可能価額は、不動産鑑定結果などに基づく売却可能価額又は将来の経営計画に基づく将来キャッシュ・フローの割引現在価値で算出しており、経済環境の変化などによる、時価の変動、経営計画との乖離、割引率の変動により、減損額の算定に影響を与える可能性があります。 なお、原材料費・人件費・資源エネルギー価格、関税等の上昇影響に関しては、当連結会計年度末時点で入手可能な情報に基づき、顧客からの回収を見込むとともに、翌連結会計年度以降の一定期間にわたり当影響が引き続き影響するものとの仮定に基づいております。これらの仮定に対して大きな差が生じた場合には、今後の固定資産の減損処理に影響を与える可能性があります。 ④ 投資の減損 当社グループは、投資の評価にあたっては、時価の回復可能性があると認められる場合を除き、時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に減損処理を実施し、下落率が30%以上50%未満の場合には時価の回復可能性の判定を行い、回復可能性がないと判断した場合は減損処理を行っております。 回復可能性の判断においては、帳簿価額を下回った期間の長さ及び下落幅、当該会社の財務状況及び将来の展望を考慮しますが、市場の変化や経済環境の変化などにより投資の評価額が影響を受ける可能性があります。 ⑤ 繰延税金資産 当社グループは、繰延税金資産の計上にあたっては、連結会計年度末時点の将来減算一時差異に対して翌期以降で適用される法定実効税率を用いて計上しておりますが、将来的な課税当局による法定実効税率の変更により、繰延税金資産が増減し、利益を増減させる可能性があります。 また、繰延税金資産を、回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために、評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を評価するにあたっては、将来減算一時差異の解消スケジュール、将来の経営計画に基づく課税所得及び、慎重かつ実現可能性の高い継続的な税務計画を検討しますが、経営環境・経営計画の変化により、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産の調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。 ⑥ 退職給付費用 当社グループにおける退職給付費用及び債務は、その計算の際に使われた仮定により変動いたします。これらの仮定には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の期待収益率及び死亡率などの要因が含まれております。 割引率は、国債などの低リスクの債券の利回りに基づいて設定しており、年金資産の期待収益率は、企業年金基金などの年金資産における長期の収益率を基に設定しております。 これらの仮定と実際の結果との差額や、年金資産の時価の増減による影響は連結包括利益計算書を通じて即時認識されます。当社グループは使用した仮定が妥当なものであると考えておりますが、実績との差異又は仮定自体の変更により、退職給付費用及び退職給付に係る資産・負債に影響を与える可能性があります。 (2)当連結会計年度の経営成績の分析 「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要」に記載のとおりです。 (3)資本の財源及び資金の流動性についての分析① キャッシュ・フロー 「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要」に記載のとおりです。 ② 財務戦略の基本的な考え方 当社グループは、企業価値向上のために、適宜適切なタイミングで経営資源を配分することを財務戦略の基本としており、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行し、資本コストを意識した株主還元及び効率性と安全性のバランスが取れた資本構成を実現することが重要であると考えております。 当社グループの自己資本比率は50%超と健全性が高く、「シングルAフラット」の信用格付(格付投資情報センター(R&I)による格付)を取得しております。今後も50%以上の水準を維持することを目標と定め、引き続き信用格付の維持・向上と更なるリスク耐性の強化を図ってまいります。 また、2026年度を最終年度とする「2026中計」では、財務指標目標としてROE10%以上、ROIC7%以上を掲げております。2025年度実績ではROE6.6%、ROIC6.8%となりましたが、引き続き資本コストや資本収益性を十分に意識し、持続的な成長の実現に向けた投資を推進してまいります。株主還元については、株主の皆様への利益配当を最重要事項と認識しており、経営の持続的成長を維持していく中で、引き続き継続的な安定配当を方針として掲げ、連結配当性向30%以上を指針としております。なお、内部留保につきましては、事業基盤の強化と更なる収益規模拡大のための事業投資資金等に充当していくことを基本方針としております。 ③ 資金調達の考え方 当社グループでは、製品製造のための材料及び部品、研究開発費等、事業活動に係る運転資金については、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、債権回収までに必要な資金については、コマーシャル・ペーパーや銀行借入によって、連結売上高の1.5ヶ月分を目安に流動性の保持を図っております。 設備投資資金については、カーボンニュートラル対応を含め、各事業の設備投資計画に基づき、国内外での資金調達について、市場金利動向や為替動向、あるいは既存借入金の返済時期等を総合的に勘案し、銀行借入及び社債の発行等によって資金を賄っております。 当連結会計年度末時点における有利子負債残高は前連結会計年度末に比べて7,546百万円減少し、64,271百万円となりました。 また、当社グループでは、グループ間融資によって資金融通を行う事で資金効率を高めております。一部の海外関係会社については、現地金融機関より調達をしております。その際、当社が関係会社の借入に対し債務保証の差入れを行うことがあります。 なお、インフレに伴うコストの上昇、各国での通商政策見直しや、中東情勢に端を発したエネルギー供給や価格動向への懸念等により先行き不透明な状況が続いておりますが、営業キャッシュ・フローの下振れリスクに備えて、当座貸越枠に加え、政策保有株式の売却等により手元流動性を確保する体制を整えております。今後も、非常時に備えた資金調達の確保に努めてまいります。

事業リスク

  • 世界経済の変動: 自動車関連や情報通信関連製品をグローバルに供給しているため、世界経済の景気後退や需要縮小は、グループの経営成績と財政状態に大きな影響を与える可能性があります。特に、インフレによるコスト高騰や為替変動、国際政治情勢の不安定化は、先行き不透明感を増し、予測困難なリスク要因となります。
  • 為替レートの変動: 海外での生産・販売活動が多いため、現地通貨建ての売上や費用が円換算される際に為替レートの影響を受けます。円高は輸出製品の価格競争力を低下させ、円安は原材料の輸入コストを高騰させるため、予測を超える為替変動は業績に悪影響を及ぼす可能性があります。為替ヘッジ取引でリスク軽減を図っていますが、完全に排除はできません。
  • 原材料・エネルギー価格の高騰と不足: 鋼材などの原材料や電気・ガスといったエネルギーの価格変動は、製造コストに直接影響します。価格転嫁が遅れると利益を圧迫する可能性があります。また、自然災害やサプライチェーンの混乱、国際情勢の変化により原材料や部品が不足した場合、生産活動が滞り、経営成績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|4,022 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項について、以下のとおり記載いたします。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の影響の最小化に向けた対応に努めてまいります。 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月17日)現在において当社グループが判断したものであります。 (1)世界経済の急激な変動 当社グループでは、自動車関連及び情報通信関連の製品をグローバルに供給していることから、世界的な景気の変動に強く影響されます。世界的なインフレの長期化、金融引締めや金利動向の変化、地政学リスクの高まり、主要国における経済政策・産業政策の転換等により、各地域で予測を超える景気後退や需要の縮小が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 また、こうした複合的な要因が同時に顕在化することで、事業環境の先行き不透明感が高まっており、これらの影響を合理的に見積もることは困難であります。 (2)為替レートの変動 当社グループの事業には、海外における製品の生産と販売が含まれております。各地域における売上高、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されており、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。 また、日本で生産し輸出する事業において、他の通貨に対する円高は、グローバル市場における当社グループ製品の相対的な価格競争力を低下させます。一方、海外からの原材料の調達において、他の通貨に対する円安は、原材料調達コストを高騰させます。したがって、予測を超えた為替変動が当社グループの業績及び財務状態に影響を与える可能性があります。 当社グループは、機動的な為替ヘッジ取引を行い、短期的な変動による悪影響を最小限に抑えるよう努めておりますが、リスクを完全に排除することは困難であり、当社グループの経営成績及び財政状態に少なからず影響を与える可能性があります。 (3)原材料・諸資材・エネルギーの価格変動並びに、原材料・部品の不足 当社グループは、鋼材などの主要原材料及び諸資材、電気・ガス等のエネルギーを外部より調達しております。これらの供給元とは、取引基本契約を締結し、安定的な取引を行っております。市況の変化による原材料・諸資材・エネルギー価格の大幅な変動については、販売価格への転嫁を前提としておりますが、価格転嫁の反映時期がずれることにより、業績に与える影響が会計期間を超える可能性があります。 また、供給元の不慮の事故や自然災害、輸出又は輸入規制の変更、経済安全保障を背景とした供給制限、各国間での政治情勢によるサプライチェーンへの影響や資源高などにより、原材料や部品の不足が生じないという保証はありません。その場合は、生産活動の低下を招くことで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 (4)関税の引き上げ 当社グループは米国をはじめ海外各国に生産拠点を有しており、原材料や部品等を他国から調達した場合には関税の課税対象となります。米国に端を発した各国での通商政策や経済安全保障政策の見直しにより、各国間での関税率の引き上げや対象商品の拡大等の見直しが急速に進められており、その動向は不透明であります。変更される関税につきましては、販売価格への転嫁を前提としておりますが、価格転嫁の実現度合いや反映時期によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 (5)新製品開発力 当社グループでは、当社研究開発本部が主体となって、新技術の基礎研究及び応用研究を積極的に行っており、継続して魅力ある新製品を開発できるものと考えておりますが、新製品の開発と市場への投入プロセスは複雑かつ不確実であり、以下をはじめとする、様々なリスクが含まれます。・長期の開発期間を要する新製品開発について、必要となる資金と資源を継続的に充当できないリスク。・大規模投資・資源投入により新製品を開発するも、回収不能となるリスク。・競合他社との競争激化による販売価格の下落により、収益性が低下するリスク。・競合他社による新技術の開発や市場ニーズの変化に伴う開発途中段階での技術の新規性の喪失により、コスト優位性が低下するリスク。 上記のリスクをはじめとする諸要因から、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 (6)知的財産権の侵害 当社グループの製品は、広範囲にわたる技術を利用していることから、第三者による知的財産権不正利用の防止や知的財産権の侵害抑止への対策が完全とは言い切れません。また、当社グループが意図せず他社の知的財産権を侵害したとして製品の販売中止や賠償金の支払いを求められる可能性もあります。その場合、係争となることやライセンス費用又は和解費用を負担することで、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 (7)製品の品質不具合 当社グループは各生産拠点において、世界的に認められた品質管理基準に従って製品を製造しております。しかし、全ての製品において欠陥がなく、将来にわたってリコールが発生しないという保証はありません。また、製造物賠償責任については保険に加入しておりますが、最終的に負担すべき賠償額が、この保険によって十分にカバーされるという保証はありません。大規模なリコールや製造物賠償責任につながるような製品の欠陥は、多額のコストや当社グループの評価に重大な影響を与え、それにより売上高が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 (8)法的規制等 当社グループは、事業展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障又はその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替、雇用、環境・リサイクル関連等の法規制を受けております。 このような多岐にわたる法的規制等に対しては、継続的にコンプライアンスの実践に努めておりますが、万一、これらを順守できなかった場合、当社グループには、直接的な費用の増加や社会的制裁、風評被害等、有形無形の損害が発生する可能性があります。 (9)人権・労働環境等 当社グループは、国内外で事業を展開しており、原材料や資材を調達するサプライヤーも多くの国や地域に及びます。これらの国や地域においては、人権や労働安全衛生等に係る問題への企業の対応に関心が高まっており、法令及び規制も変化しております。 当社グループやサプライチェーンにおいて、児童労働、強制労働、外国人労働者への差別、ハラスメント等、種々の人権に係る問題や、労働災害などが発生し、これに適切に対応できなかった場合、生産や調達への影響に加え、当社グループの社会的な信用が低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 (10)海外市場への事業展開 当社グループの事業展開においては、地域・国によっては、文化的な違い、法制度の違い、社会的・政治的不安定さ等から、社会的共通資本(インフラ)が未整備なことによる当社グループの事業活動の制限等、以下に掲げるような予期せぬ事態が発生するリスクが内在しており、これらが発生した場合には、現地での生産に支障が起きる可能性があります。・予期しない法律又は規制の変更や、労働市場の変化などによる人材確保の難しさ、労働争議の発生及び人件費の急激な上昇・過激なデモ、暴動、テロその他の要因による社会的混乱 また、これらの事態が長期化すれば、当社グループの経営成績及び財政状態に一層大きな影響を与えるおそれもあります。 (11)災害等による影響 地震、台風、水害等の自然災害や火災、停電等の事故、感染症が発生した場合、製造拠点の設備故障、損壊による追加費用発生や最適なサプライチェーンが維持できないことにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 当社では、当社グループのリスク管理も対象範囲とするサステナビリティ推進委員会を設置し、対象となる事象の予見と未然防止、事象発生の報告、再発防止策の検討等を実施しております。平時においては企業活動にかかわるリスクについての洗い出し、BCP(事業継続計画)やリスク管理規程等を定めるとともに、教育・啓発活動の実施によりリスク発生の未然防止の推進を実施しております。リスクが顕在化した場合には、迅速に対策本部を設置し、その指揮のもとに所管部門及び関係部門が一体となって対応を行う体制となっております。しかし、各生産拠点で発生する大規模災害や、広範囲にわたる停電、感染症の発生、当社グループの保有する設備の損壊、製品の輸送手段や経路の断絶等、生産・納入活動の中断事象が発生した場合には、これらのリスク管理活動の実施にもかかわらず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 (12)情報セキュリティに関するリスク 当社グループの事業活動における情報システムの重要性は非常に高まっており、ハード面・ソフト面を含めた適切なセキュリティ対策を講じております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず、想定を超えるサイバー攻撃、不正アクセスなどにより、基幹情報システムの停止や企業情報・個人情報の流出等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

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