事業の概要
- 超硬小径エンドミル製造販売日進工具グループは、主にマシニングセンタ(金属などを削る機械)に取り付けて使う「エンドミル」という切削工具を製造・販売しています。特に、超硬素材で作られた直径6mm以下の小さいエンドミルに特化しており、これが売上の約8割を占める主力事業です。精密な加工が必要な分野で使われています。
- 製品の製造・販売を国内外で展開日本国内だけでなく、香港や米国にも子会社を持ち、グローバルに製品を販売しています。これにより、特定の地域に依存せず、幅広い市場で収益を上げています。また、一部の子会社では製品の再加工やプラスチック成形品の製造も行っています。
- 工具ケース等の製造販売も展開主力のエンドミル事業の他に、「その他」の事業セグメントとして、工具ケースなどのプラスチック成形品の製造販売も行っています。ただし、この事業の売上や利益はグループ全体の10%未満であり、エンドミル事業が圧倒的な収益源となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- エンドミル関連事業日進工具グループの主力の事業セグメントであり、超硬小径エンドミルを中心とした切削工具の製造販売を行っています。このセグメントは、製品のサイズによって「エンドミル(6mm以下)」、「エンドミル(6mm超)」、「エンドミル(その他)」にさらに区分されており、特に直径6mm以下の小径エンドミルが売上の約8割を占める稼ぎ頭です。
- その他事業このセグメントは、工具ケースを中心としたプラスチック成形品の製造販売などを行っています。ただし、この「その他」セグメントの売上高、利益、資産の金額は、すべての事業セグメントの合計額の10%未満であるため、報告セグメントとしては「エンドミル関連」の1つとしてまとめられています。
- グローバルな販売体制日進工具は、日本国内の代理店に加え、中国(日進工具香港有限公司)や米国(NS TOOL USA,INC.)にも販売子会社を置いています。これにより、海外市場でのエンドミルの販売を強化し、グローバルな事業展開を進めています。また、一部の子会社では製品の再加工も行っています。
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3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社5社の6社で構成されており、マシニングセンタ(工作機械)に取り付けて金属等の加工を行う切削工具「エンドミル」の製造・販売を中心に事業を行っております。特色としましては、エンドミルの中でも超硬素材でかつ小径(刃径6mm以下)サイズの製品に注力しており、取扱高(金額ベース)の約8割を占めております。当社グループでは、製品の製造様式、製品の市場及び顧客を系統的に区分した製品部門別に戦略を構築し、事業活動を展開しております。したがって、当社グループは製品部門別のセグメントから構成されており、「エンドミル関連」と「その他」の2つを事業セグメントとしております。「エンドミル関連」は当社グループが営む主力の事業であり、超硬小径エンドミルを中心とした切削工具の製造販売にかかる事業であります。また、「その他」は工具ケースを中心としたプラスチック成形品の製造販売にかかる事業等であります。なお、「エンドミル関連」は、製品のサイズ等により、エンドミル(6mm以下)、エンドミル(6mm超)、エンドミル(その他)に区分しております。なお、「その他」の事業セグメントの売上高、利益又は損失の額及び資産の金額がいずれもすべての事業セグメントの合計額の10%未満であるため、報告セグメントを1つとしております。 (1)当社当社は、超硬小径エンドミルを中心とした切削工具を生産し、代理店及び連結子会社である株式会社ジーテック、日進工具香港有限公司、NS TOOL USA,INC.に販売しております。 (2)子会社株式会社ジーテックは、製品の販売及び一部再加工を行っております。日進工具香港有限公司は、中国地区での製品の販売を行っております。NS TOOL USA,INC.は、米国での製品の販売を行っております。株式会社牧野工業は、工具ケースを中心としたプラスチック成形品の製造・販売を行っております。株式会社日進エンジニアリングは、当社の加工委託先であります。 事業の系統図は次のとおりであります。(2026年3月31日現在)
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 原材料価格上昇を一部価格改定で吸収。高付加価値製品で優位性をアピール。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 専用加工機の自社開発、小径エンドミルに特化した開発・生産・販売体制の強化 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:災害や新型感染症による事業所・工場への影響 / 生産・開発拠点の集中による災害リスク / 超硬小径エンドミル以外の素材・加工方法への代替
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
日進工具は超硬工具分野で長年の実績と一定のブランド認知を持つが、特許や独占的IPによる明確な優位性は限定的。特定のニッチ市場での評価は存在するものの、広範な無形資産による強力な競争優位とは言い難い。
スイッチングコスト★★★☆☆
超硬工具は、切削性能や工具寿命が生産性に直結するため、顧客は一度採用した工具メーカーを容易には変更しない傾向がある。特に、特定の加工プロセスに最適化された工具の場合、乗り換えコストは無視できない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
超硬工具の製造・販売事業において、ネットワーク効果はほとんど見られない。製品の価値は個々の性能に依存し、ユーザー数の増加が直接的な価値向上に繋がる構造ではない。
コスト優位★★☆☆☆
長年の製造ノウハウによる効率化や、材料調達における一定の交渉力は考えられるが、競合他社と比較して構造的なコスト優位を確立している明確な証拠は少ない。規模の経済によるコスト削減効果も限定的。
規模の経済★★★☆☆
超硬工具市場は、大手グローバル企業から中小企業まで多数のプレイヤーが存在するが、日進工具は特定のニッチ分野(例:マイクロ・精密工具)において一定のシェアを確保しており、その分野では効率規模の優位性が働きやすい。
- 超硬小径エンドミルへの特化日進工具は、超硬素材の小径エンドミルに経営資源を集中することで、この分野における高い専門性と技術力を確立しています。専用加工機の自社開発や、小径エンドミルに特化した開発・生産・販売体制を強化することで、高付加価値製品を効率的に提供できるビジネスモデルを構築しています。
- 独自の製造プロセスと品質管理自社開発の専用機を製造工程に投入し、独自の製造プロセスを確立することで、高性能で品質のばらつきが少ない製品を安定的に生産しています。ISO9001などの国際的な品質管理基準に加え、独自の「ものづくり行動指針」に基づき、社員が継続的に改善を行うことで高い品質を維持しています。
- 災害からの迅速な復旧実績生産・開発拠点が集中する宮城県での地震対策に注力し、「オールラウンド免震」機構などの新技術を導入しています。これにより、2021年と2022年に発生した震度6強の地震の際も、1~2日で生産を完全に復旧できた実績があり、災害時の事業継続能力が高いことを示しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において、当社グループが判断したものであり、その実現を保証するものではありません。 (1)会社の経営の基本方針当社グループは「SOFT(技術)・HARD(機械)・HEART(心)を創ります。人と地球に優しい製品を開発し社会に貢献します」の経営理念のもと、生産性の向上に役立つ切削工具等の開発・製造・販売に携わってまいりました。また、ブランドステートメントとして“「つくる」の先をつくる”を掲げ、お客様や社会のニーズに応える高付加価値製品を生み出し、モノづくりの夢と可能性を切り拓くことを経営の基本方針としております。また、当社グループは、社会との共存と自社の持続可能性を同期させた「サステナビリティ基本方針」を策定しております。社会と共生しつつ企業としての持続的成長を維持継続するため、小径切削工具を中心に「人と地球にやさしい高付加価値製品を、最小限の資源でつくり、環境負荷の低減に努める」ことで、精密・微細加工用工具分野で圧倒的なプレゼンスを目指します。 (2)中長期的な会社の経営戦略当社グループの持続的成長と社会との共存を実現するため、当社の各部門とグループ企業体が互いに連携し、製品開発サイクルの好循環をつくり出すことで、高付加価値製品の継続的な創造、提供の実現を図ります。 上記目的達成のため、開発・生産・販売の各部門においては、下記戦略を実施してまいります。 ① 開発部門新製品開発においては、当社グループの強みである豊富な製品ラインアップの一層の強化・拡充を図るとともに、他社との明確な「違い」を基軸とした独自性の高い製品開発を推進してまいります。「違い」とは、他社にない製品、これまでにない加工方法を実現する製品の特性を指し、価格競争に依拠しない付加価値創出の源泉と位置付けております。具体的には、新素材を用いた工具開発や加工方法・コーティング技術の改良に加え、営業部門との連携による市場ニーズの的確な把握を通じ、販売店およびユーザーから継続的に選好される製品開発に取り組んでまいります。また、生産技術開発においては、次世代加工技術への対応を通じた既存技術の高度化を基本方針とし、自社開発工具研削盤のさらなる機能向上や、画像処理技術を活用した自動測定範囲の拡大を図ってまいります。 ② 生産部門生産活動においては、仙台工場で策定した「ものづくり行動指針」を実践し、高性能で品質のバラツキが少なく、かつ価格競争力を有する高付加価値製品を安定的に供給できる体制の高度化を図ってまいります。自社開発機による自動化ラインの増強および自動化範囲の拡大を通じて、無人化・省力化を継続的に推進してゆくほか、より効率的でムダのない生産体制の確立に向け、品質改善および原価低減を目的とした小集団改善活動「オレンジFC活動(Future Challenge)」の一層の強化に取り組んでまいります。さらに、仙台工場への生産集中リスク分散のため、子会社新潟工場の生産能力増強を図るほか、生産効率および環境負荷低減の観点から電力使用量の削減を推進してまいります。 ③ 販売部門国内販売においては、製品拡販と新製品を含む市場需要の発掘、掘り起しのための仕組みづくりに改めて注力し、販売網の整備、多様で有益な製品情報を提供する環境の整備、在庫の充実を図ることなどにより、ユーザーに対して、用途に合った最適な製品をタイムリーかつ効率的に供給できる体制を強化してまいります。また、代理店、販売店との協働を踏まえた施策を展開するとともに、ユーザー向けには、自社サイトにおける工具検索機能の高度化や、オウンドメディア等を通じた製品情報の発信、データ分析に基づくマーケティングを推進してまいります。海外においては、地域別戦略に基づいて重点攻略地域を定め、ローカルパートナーとの協働を通じ、地域の特性に応じたアプローチを行うことにより、世界の精密・微細加工市場の開拓および拡大に取り組んでまいります。 (3)経営環境について当社グループの主力製品である小径切削工具は、精密・微細加工を要する金型や各種部品の製造に使用されております。これらは、自動車、半導体、電子部品、光学機器、日用品、医療機器など、幅広い産業分野で活用されております。このため、当社グループの業績は、これら最終製品の生産動向に影響を受けます。近年は、成長を牽引してきたスマートフォンや自動車分野の需要が一巡しております。一方で、AIやデータセンター関連などにおいて、国内および一部海外市場で新たな小径工具需要が発生しております。中期的には、DXの進展に伴う半導体・電子部品需要の拡大が見込まれております。また、医療や航空宇宙分野などの新たな成長領域においても、精密・微細加工技術への需要増加が期待されております。これらを背景に、小径切削工具市場は引き続き成長が期待されるものと認識しております。当社グループを取り巻く現在の経営環境は、依然として厳しい状況が継続しております。地政学上の諸問題の拡大や資源を巡る各国の動向により、国内外の経済活動の安定性および予見可能性の確保が一層困難となっております。加えて、素材費や人件費を中心としたコスト上昇が着実に進んでおります。このような環境の中、主要需要先の動向を見ると、自動車部品関連は国内生産の縮小傾向の影響を受け、足元の伸びは限定的となる見込みであります。一方で、半導体・電子部品関連は、AIやデータセンター需要に支えられ、引き続き堅調に推移する見通しであります。輸出については、中国における自動車関連および電子機器関連需要、ならびにアジア諸国の需要を背景に、販売数量は全体として増加する見込みであります。 (4)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題わが国が圧倒的な強みを発揮する精密・微細加工分野を、小径工具を使った切削加工技術の面から支え続けてゆくこと、ユーザー様が安心して新たな精密・微細加工にチャレンジできるよう、高性能で品質の安定した製品を、販売店を通じ妥当な価格で安定的に供給していくこと、が当社グループの使命であると認識しております。当社グループが対処すべき事業上の課題は、上記使命を踏まえ、内外の代理店、販売店による販売網の一段の充実を図りつつ、小径工具分野において、他社との明確な「違い」を有する独自性の高い新製品を継続的に供給するとともに、標準品においても圧倒的な品揃えと在庫水準を維持することで、ユーザーにとって代替困難なポジションを確立し、市場におけるプレゼンスの一層の向上を図ることであります。当社グループが対処すべき財務上の課題は、ここ数年成長が鈍化し設備投資が伸び悩んだため、総資産に占める現預金の割合が増加し資産効率の悪化を招いている点であります。これに対処するため当期は約13億円の自己株式取得を実施するなど資本政策を強化しましたが、今後は生産自動化や生産効率改善に向けての設備投資に加え、新製品戦略の強化等により早期に成長軌道へ復帰することで、増産のための設備投資にも現預金を振り向けることにより、資産効率を改善してまいる所存であります。なお、足元懸念材料であるタングステンの市場価格高騰による超硬素材の価格上昇につきましては、素材メーカーと協働しながら、十分な素材在庫を確保し対応してゆくほか、一段の原価低減活動の推進に加え、取引条件の見直しや製品価格の改定に着手しております。 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、売上よりも利益を優先する経営方針を掲げ、売上高経常利益率20%の確保を目標としております。当期の売上高経常利益率は21.2%、前期比2.3ポイント増となり、目標を上回りました。国内外での市況回復に加え、新製品戦略、営業体制強化、原価低減といった中期課題への対応が一定の成果を生んでおります。また、株主資本を効率的に活用する観点から自己資本純利益率(ROE)10%の確保も経営指標としております。当期は増益及び自己株式取得による資本効率の改善により、ROEは前期より0.9ポイント改善し8.0%の実績となりました。厳しい経営環境が続く中、足元施策の着実な遂行により、経常利益率の目標20%の継続達成と当社が認識する株主資本コスト(CAPM等を参考に算定)8.6%を上回るROEの回復を当面の目標としつつ、中期経営計画に基づく施策の推進により、再度の利益成長を目指します。次期の計数計画につきましては、タングステン価格の高騰から通期予算の策定が困難となっており、合理的な算定が可能となった段階で速やかに開示する予定であります。 (6)経営戦略の現状と見通し「中期的な会社の経営戦略」に記載の通り、この数年間市場成長が一時的に鈍化する中、製品開発を起点とする「高付加価値製品の循環戦略」を重点的に展開しており、開発部門では、前期に高硬度鋼材向けの新コーティングを使った製品やユニークなレンズ形状エンドミル等を開発し、当期は12の新製品(14型番)を市場に投入するなど、製品群の充実に継続して取り組んでおり、生産部門では、自社製研削盤の改善や測定技術の向上を図るとともに、小集団活動や自動化を推進して着実な原価低減を進めており、販売部門では、商流を重視し内外の販売網を活用して多様な製品を滞りなくユーザーに届ける仕組みの充実を図ってまいりました。今後の見通しにつきましては、精密・微細加工の市場は中長期的に着実な拡大が見込まれると想定し、引き続き小径工具の製造販売に特化し、他社との「違い」を追求しつつ市場と共に成長してゆくための中期的施策を策定し実行することで、再び持続的な利益成長の実現を目指してまいります。 (7)その他、会社の経営上重要な事項① 内部管理体制の整備・運用状況当社グループでは、社内規程や稟議制度を整備し、ルールに基づいた業務運営を実施しております。また、内部統制報告制度への対応につきましては、常務取締役を委員長とする「内部統制委員会」を設置し、内部統制の整備・運用の推進及びその評価、また監査法人により実施される内部統制監査への対応を行っております。 ② 指名・報酬委員会の設置当社グループでは、ガバナンス強化の観点から任意の指名・報酬委員会を設置しております。指名・報酬委員会は独立社外取締役が過半を構成し、委員長は独立社外取締役から選任される諮問委員会であり、取締役等の候補者の指名(監査等委員である取締役を除きます)や、取締役等の報酬(監査等委員である取締役を除きます)について取締役会より諮問を受け、審議内容を答申することで、取締役会の独立性を高めるものであります。 ③ 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けての対応当社グループは、資本コストを上回る資本効率の達成を重要課題と認識しており、詳細は「(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通りであります。当期は、中期経営課題である海外販売の強化と新製品の開発による製品群の充実が奏功し、また原価低減にも注力した結果、売上高経常利益率21.2%と目標を達成いたしました。また、低下が続いていたROEについては、増益及び自己株式取得による資本効率の改善により、当期は8.0%と前期より0.9ポイント改善しております。当社グループの中期的な経営課題については整理を終え対策に着手しており、当面は足元の事業計画を着実に遂行することにより、経常利益額および経常利益率の反転定着を図るとともに、グループ全体で中期課題の解決に取り組むことで、持続的成長の実現および資本コストを上回る水準へのROE回復を目指してまいります。 ④ その他その他の取組みといたしましては、監査等委員による各部門長へのヒアリングの実施、内部監査部門による各部門への内部監査の実施等を行っております。なお、内部監査につきましては、社長及び取締役会・監査等委員会へ報告、答申等を行うデュアルレポーティング制度を採用しております。コンプライアンスにつきましては、コンプライアンス担当役員を中心に推進を図っており、従業員研修会や社内業務連絡(コンプライアンス便り 月1回配信)で取り上げることにより、社内教育に努めております。また外部弁護士を窓口とする「コンプライアンス相談窓口」を設け、内部通報制度の窓口といたしております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において、当社グループが判断したものであり、その実現を保証するものではありません。 (1)会社の経営の基本方針当社グループは「SOFT(技術)・HARD(機械)・HEART(心)を創ります。人と地球に優しい製品を開発し社会に貢献します」の経営理念のもと、生産性の向上に役立つ切削工具等の開発・製造・販売に携わってまいりました。また、ブランドステートメントとして“「つくる」の先をつくる”を掲げ、お客様や社会のニーズに応える高付加価値製品を生み出し、モノづくりの夢と可能性を切り拓くことを経営の基本方針としております。また、当社グループは、社会との共存と自社の持続可能性を同期させた「サステナビリティ基本方針」を策定しております。社会と共生しつつ企業としての持続的成長を維持継続するため、小径切削工具を中心に「人と地球にやさしい高付加価値製品を、最小限の資源でつくり、環境負荷の低減に努める」ことで、精密・微細加工用工具分野で圧倒的なプレゼンスを目指します。 (2)中長期的な会社の経営戦略当社グループの持続的成長と社会との共存を実現するため、当社の各部門とグループ企業体が互いに連携し、製品開発サイクルの好循環をつくり出すことで、高付加価値製品の継続的な創造、提供の実現を図ります。 上記目的達成のため、開発・生産・販売の各部門においては、下記戦略を実施してまいります。 ① 開発部門新製品開発においては、当社グループの強みである豊富な製品ラインアップの一層の強化・拡充を図るとともに、他社との明確な「違い」を基軸とした独自性の高い製品開発を推進してまいります。「違い」とは、他社にない製品、これまでにない加工方法を実現する製品の特性を指し、価格競争に依拠しない付加価値創出の源泉と位置付けております。具体的には、新素材を用いた工具開発や加工方法・コーティング技術の改良に加え、営業部門との連携による市場ニーズの的確な把握を通じ、販売店およびユーザーから継続的に選好される製品開発に取り組んでまいります。また、生産技術開発においては、次世代加工技術への対応を通じた既存技術の高度化を基本方針とし、自社開発工具研削盤のさらなる機能向上や、画像処理技術を活用した自動測定範囲の拡大を図ってまいります。 ② 生産部門生産活動においては、仙台工場で策定した「ものづくり行動指針」を実践し、高性能で品質のバラツキが少なく、かつ価格競争力を有する高付加価値製品を安定的に供給できる体制の高度化を図ってまいります。自社開発機による自動化ラインの増強および自動化範囲の拡大を通じて、無人化・省力化を継続的に推進してゆくほか、より効率的でムダのない生産体制の確立に向け、品質改善および原価低減を目的とした小集団改善活動「オレンジFC活動(Future Challenge)」の一層の強化に取り組んでまいります。さらに、仙台工場への生産集中リスク分散のため、子会社新潟工場の生産能力増強を図るほか、生産効率および環境負荷低減の観点から電力使用量の削減を推進してまいります。 ③ 販売部門国内販売においては、製品拡販と新製品を含む市場需要の発掘、掘り起しのための仕組みづくりに改めて注力し、販売網の整備、多様で有益な製品情報を提供する環境の整備、在庫の充実を図ることなどにより、ユーザーに対して、用途に合った最適な製品をタイムリーかつ効率的に供給できる体制を強化してまいります。また、代理店、販売店との協働を踏まえた施策を展開するとともに、ユーザー向けには、自社サイトにおける工具検索機能の高度化や、オウンドメディア等を通じた製品情報の発信、データ分析に基づくマーケティングを推進してまいります。海外においては、地域別戦略に基づいて重点攻略地域を定め、ローカルパートナーとの協働を通じ、地域の特性に応じたアプローチを行うことにより、世界の精密・微細加工市場の開拓および拡大に取り組んでまいります。 (3)経営環境について当社グループの主力製品である小径切削工具は、精密・微細加工を要する金型や各種部品の製造に使用されております。これらは、自動車、半導体、電子部品、光学機器、日用品、医療機器など、幅広い産業分野で活用されております。このため、当社グループの業績は、これら最終製品の生産動向に影響を受けます。近年は、成長を牽引してきたスマートフォンや自動車分野の需要が一巡しております。一方で、AIやデータセンター関連などにおいて、国内および一部海外市場で新たな小径工具需要が発生しております。中期的には、DXの進展に伴う半導体・電子部品需要の拡大が見込まれております。また、医療や航空宇宙分野などの新たな成長領域においても、精密・微細加工技術への需要増加が期待されております。これらを背景に、小径切削工具市場は引き続き成長が期待されるものと認識しております。当社グループを取り巻く現在の経営環境は、依然として厳しい状況が継続しております。地政学上の諸問題の拡大や資源を巡る各国の動向により、国内外の経済活動の安定性および予見可能性の確保が一層困難となっております。加えて、素材費や人件費を中心としたコスト上昇が着実に進んでおります。このような環境の中、主要需要先の動向を見ると、自動車部品関連は国内生産の縮小傾向の影響を受け、足元の伸びは限定的となる見込みであります。一方で、半導体・電子部品関連は、AIやデータセンター需要に支えられ、引き続き堅調に推移する見通しであります。輸出については、中国における自動車関連および電子機器関連需要、ならびにアジア諸国の需要を背景に、販売数量は全体として増加する見込みであります。 (4)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題わが国が圧倒的な強みを発揮する精密・微細加工分野を、小径工具を使った切削加工技術の面から支え続けてゆくこと、ユーザー様が安心して新たな精密・微細加工にチャレンジできるよう、高性能で品質の安定した製品を、販売店を通じ妥当な価格で安定的に供給していくこと、が当社グループの使命であると認識しております。当社グループが対処すべき事業上の課題は、上記使命を踏まえ、内外の代理店、販売店による販売網の一段の充実を図りつつ、小径工具分野において、他社との明確な「違い」を有する独自性の高い新製品を継続的に供給するとともに、標準品においても圧倒的な品揃えと在庫水準を維持することで、ユーザーにとって代替困難なポジションを確立し、市場におけるプレゼンスの一層の向上を図ることであります。当社グループが対処すべき財務上の課題は、ここ数年成長が鈍化し設備投資が伸び悩んだため、総資産に占める現預金の割合が増加し資産効率の悪化を招いている点であります。これに対処するため当期は約13億円の自己株式取得を実施するなど資本政策を強化しましたが、今後は生産自動化や生産効率改善に向けての設備投資に加え、新製品戦略の強化等により早期に成長軌道へ復帰することで、増産のための設備投資にも現預金を振り向けることにより、資産効率を改善してまいる所存であります。なお、足元懸念材料であるタングステンの市場価格高騰による超硬素材の価格上昇につきましては、素材メーカーと協働しながら、十分な素材在庫を確保し対応してゆくほか、一段の原価低減活動の推進に加え、取引条件の見直しや製品価格の改定に着手しております。 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、売上よりも利益を優先する経営方針を掲げ、売上高経常利益率20%の確保を目標としております。当期の売上高経常利益率は21.2%、前期比2.3ポイント増となり、目標を上回りました。国内外での市況回復に加え、新製品戦略、営業体制強化、原価低減といった中期課題への対応が一定の成果を生んでおります。また、株主資本を効率的に活用する観点から自己資本純利益率(ROE)10%の確保も経営指標としております。当期は増益及び自己株式取得による資本効率の改善により、ROEは前期より0.9ポイント改善し8.0%の実績となりました。厳しい経営環境が続く中、足元施策の着実な遂行により、経常利益率の目標20%の継続達成と当社が認識する株主資本コスト(CAPM等を参考に算定)8.6%を上回るROEの回復を当面の目標としつつ、中期経営計画に基づく施策の推進により、再度の利益成長を目指します。次期の計数計画につきましては、タングステン価格の高騰から通期予算の策定が困難となっており、合理的な算定が可能となった段階で速やかに開示する予定であります。 (6)経営戦略の現状と見通し「中期的な会社の経営戦略」に記載の通り、この数年間市場成長が一時的に鈍化する中、製品開発を起点とする「高付加価値製品の循環戦略」を重点的に展開しており、開発部門では、前期に高硬度鋼材向けの新コーティングを使った製品やユニークなレンズ形状エンドミル等を開発し、当期は12の新製品(14型番)を市場に投入するなど、製品群の充実に継続して取り組んでおり、生産部門では、自社製研削盤の改善や測定技術の向上を図るとともに、小集団活動や自動化を推進して着実な原価低減を進めており、販売部門では、商流を重視し内外の販売網を活用して多様な製品を滞りなくユーザーに届ける仕組みの充実を図ってまいりました。今後の見通しにつきましては、精密・微細加工の市場は中長期的に着実な拡大が見込まれると想定し、引き続き小径工具の製造販売に特化し、他社との「違い」を追求しつつ市場と共に成長してゆくための中期的施策を策定し実行することで、再び持続的な利益成長の実現を目指してまいります。 (7)その他、会社の経営上重要な事項① 内部管理体制の整備・運用状況当社グループでは、社内規程や稟議制度を整備し、ルールに基づいた業務運営を実施しております。また、内部統制報告制度への対応につきましては、常務取締役を委員長とする「内部統制委員会」を設置し、内部統制の整備・運用の推進及びその評価、また監査法人により実施される内部統制監査への対応を行っております。 ② 指名・報酬委員会の設置当社グループでは、ガバナンス強化の観点から任意の指名・報酬委員会を設置しております。指名・報酬委員会は独立社外取締役が過半を構成し、委員長は独立社外取締役から選任される諮問委員会であり、取締役等の候補者の指名(監査等委員である取締役を除きます)や、取締役等の報酬(監査等委員である取締役を除きます)について取締役会より諮問を受け、審議内容を答申することで、取締役会の独立性を高めるものであります。 ③ 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けての対応当社グループは、資本コストを上回る資本効率の達成を重要課題と認識しており、詳細は「(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通りであります。当期は、中期経営課題である海外販売の強化と新製品の開発による製品群の充実が奏功し、また原価低減にも注力した結果、売上高経常利益率21.2%と目標を達成いたしました。また、低下が続いていたROEについては、増益及び自己株式取得による資本効率の改善により、当期は8.0%と前期より0.9ポイント改善しております。当社グループの中期的な経営課題については整理を終え対策に着手しており、当面は足元の事業計画を着実に遂行することにより、経常利益額および経常利益率の反転定着を図るとともに、グループ全体で中期課題の解決に取り組むことで、持続的成長の実現および資本コストを上回る水準へのROE回復を目指してまいります。 ④ その他その他の取組みといたしましては、監査等委員による各部門長へのヒアリングの実施、内部監査部門による各部門への内部監査の実施等を行っております。なお、内部監査につきましては、社長及び取締役会・監査等委員会へ報告、答申等を行うデュアルレポーティング制度を採用しております。コンプライアンスにつきましては、コンプライアンス担当役員を中心に推進を図っており、従業員研修会や社内業務連絡(コンプライアンス便り 月1回配信)で取り上げることにより、社内教育に努めております。また外部弁護士を窓口とする「コンプライアンス相談窓口」を設け、内部通報制度の窓口といたしております。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。① 経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、米国の追加関税政策により一時的に輸出企業に影響が見られたものの、旺盛なAI関連需要に牽引され、緩やかな回復基調が継続しました。当社グループ製品の主要需要先の状況といたしましては、国内ではAI及びデータセンター分野が活況となったことにより、半導体関連では製造装置から検査工程に至るまで幅広く需要が活発となり、電子部品・デバイス関連についても概ね堅調に推移しました。自動車関連においては、HV車を中心に、量産及び部品加工で回復基調が見られました。さらに海外では、中華圏を含むアジアを中心に自動車や光学、データセンター関連向けが好調に推移しました。このような環境の中、当社グループでは、アジャイル型開発を推進し、当期は2026年3月までに規格追加を含む新製品14型番を市場投入しました。3月には、サーメットロングネックラジアスエンドミル「CHR430R」、高硬度鋼高精度加工用2枚刃ボールエンドミル「MSBSH230」、高硬度鋼加工用4枚刃・6枚刃ラジアスエンドミル「MHDSH445R・MHDSH645R」、Mスレッドミル(めねじ用)「MMTM」を発売しました。生産面では、売上増に伴う増産による量産効果に加えて、当社グループの小集団改善活動である「オレンジFC活動」を中心に、高精度、高品質を維持しながら効率的な生産体制を構築することにより、コスト削減を実現しました。これらの結果、当連結会計年度における売上高は9,494百万円(前期比0.7%増)、営業利益は1,959百万円(同10.9%増)、経常利益は2,011百万円(同13.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,442百万円(同14.0%増)となりました。なお、KPIとして売上高経常利益率20%を目標としておりますが、当期は前期比2.3ポイント増の21.2%となり、目標を上回りました。中華圏を含むアジア地域向けの販売が好調に推移したことから売上が増加し、さらに、原材料費や労務費等は増加したものの原価低減により製造原価が抑えられたことから、売上高経常利益率が上昇しました。もう一つの目標であるROE10%につきましては、当期は増益に加え、総額13億円を超える大規模な自社株買いを実施した結果、ROEは8.0%となり、目標を下回ったものの前期より0.9ポイント改善いたしました。製品区分別の売上高では、「エンドミル(6mm以下)」が7,635百万円(前期比1.3%増)、「エンドミル(6mm超)」が799百万円(同0.1%増)、「エンドミル(その他)」が365百万円(同15.2%減)、「その他」が694百万円(同4.8%増)となりました。 (注)報告セグメントが1つでありますので、製品区分別に記載しております。なお「その他」の事業セグメントは、製品区分別の「その他」に含めております。 ② 財政状態の状況当連結会計年度末における財政状態は、資産合計が19,595百万円(前期末比346百万円減)、負債合計が1,743百万円(同217百万円増)、純資産合計が17,851百万円(同564百万円減)となりました。各資産・負債の増減要因は以下のとおりであります。<流動資産>当連結会計年度末における流動資産の残高は13,459百万円で、前期末比332百万円、2.4%の減少となりました。これは主に、自己株式の取得による現金及び預金の減少等によるものであります。<固定資産>当連結会計年度末における固定資産の残高は6,135百万円で、前期末比14百万円、0.2%の減少となりました。これは主に、減価償却費が設備投資額を上回ったことによるものであります。<資産合計>上記により、資産合計は前期末に比べ346百万円、1.7%減少し19,595百万円となりました。<負債合計>当連結会計年度末における負債の残高は、1,743百万円と前期末に比べ217百万円、14.3%の増加となりました。これは主に、未払金及び未払法人税等の増加等によるものであります。<純資産合計>当連結会計年度末における純資産の残高は17,851百万円と前期末に比べ564百万円、3.1%の減少となりました。これは主に、自己株式の取得等によるものであります。 ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。連結ベースでの現金及び現金同等物(以下(資金)という)は、前連結会計年度末と比較し、300百万円減少し、9,467百万円(前期比3.1%減)となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は2,138百万円(前期比6.3%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益2,014百万円と減価償却費による資金の増加や法人税等の支払いによる資金の流出などを反映したものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は380百万円(同3.2%減)となりました。これは主に固定資産の取得による支出を反映したものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は2,055百万円(同200.4%増)となりました。これは主に自己株式の取得及び配当金の支払によるものであります。 ④ 生産、受注及び販売の実績当社グループは、報告セグメントが1つでありますので、製品区分別に記載しております。なお「その他」の事業セグメントは、製品区分の「その他」に含めております。a.生産実績当連結会計年度の生産実績を製品別に示すと、次のとおりであります。製品別の名称生産高(千円)前年同期比(%)エンドミル(6mm以下)8,269,506△0.6エンドミル(6mm超)799,9883.5エンドミル(その他)216,063△5.8その他459,379△3.3合計9,744,937△0.5(注)金額は販売価格によっております。 b.受注実績当連結会計年度における受注実績を製品別に示すと、次のとおりであります。製品別の名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)エンドミル(6mm以下)7,764,4894.6268,46192.7エンドミル(6mm超)822,7324.239,819141.2エンドミル(その他)405,887△6.8160,35433.9その他704,7416.169,17218.4合計9,697,8514.1537,80861.0(注)金額は販売価格によっております。 c.販売実績当連結会計年度の販売実績を製品別に示すと、次のとおりであります。製品別の名称販売高(千円)前年同期比(%)エンドミル(6mm以下)7,635,3361.3エンドミル(6mm超)799,4240.1エンドミル(その他)365,318△15.2その他694,0114.8合計9,494,0910.7(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)株式会社サカイ1,479,39215.71,435,78315.1 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容●経営成績等当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高が前期比0.7%増加の9,494百万円、営業利益は同10.9%増加の1,959百万円となりました。上期は米国の追加関税政策等の影響により売上、利益とも低迷しましたが、下期になって販売本数が回復し、増産に伴う量産効果と原価低減も寄与したことから、通期では前期比増収増益となりました。当連結会計年度における状況は、前項(1)に記載の通りであります。 ●重要な影響を与える要因当社グループの製品は、様々な工業製品を作る際に必要となるものであり、その需要動向は精密・微細加工を必要とする先端工業製品群の需要にリンクしております。例えば、スマートフォンや自動車といった最終製品や、これらを構成する半導体、電子部品やコネクタなどがこれに該当します。従って、当社の製品需要は世界の景気動向や先端技術製品の登場などに影響を受けます。また、直近では当社製品の素材原料であるタングステンの価格が高騰しており、原価への影響が懸念されます。当社グループ製品の主要需要先では、国内の自動車関連は、次期も生産台数と新車開発いずれも大きな回復が見込めないことから、金型製造に必要な工具需要は横這いか、微増推移を見込んでおります。国内の半導体、電子部品関連は、AI関連のデータセンター向け電子部品や関連デバイス向けなどの底堅い需要に支えられ、引き続き安定推移が見込まれます。好調な中華、アジア圏については、地政学要因はあるものの、販売台数を伸ばしている中華圏の自動車産業等での需要拡大が期待されます。当社グループでは、他社との差別化要因である「違い」に基づく高付加価値製品の展開を継続しており、これが利益率の維持・向上に寄与してまいりました。足元は効率的な業務体制を維持しコスト削減に努める一方、本格的な工具需要回復のタイミングに向け、高機能・高付加価値製品の品揃えの充実を図り、マーケティングを推進してまいります。なお、高騰する原料価格への対応については、3「事業等のリスク」(5)に記載の通りであります。 ② 資本の財源及び資金の流動性当社グループの運転資金の主な構成要素は、製品製造のための超硬素材等の原材料費、製品製造に要する諸費用、自社の製品在庫、及び売掛金等であります。設備資金は、主に自社開発の製造設備を継続的に購入するために必要となります。当社グループは運転資金及び設備資金をすべて内部留保で賄うこととしております。運転資金については、売上に係る決済を原則締め日の翌月応当日としており、当連結会計年度における売上債権回転期間は前期比+0.1カ月の1.8カ月であります。また、当社グループでは標準品の販売比率が高く、欠品を起こすとユーザー離れを招く可能性があるため、流通在庫に加え、一定水準の自社製品在庫を揃えておく方針を採っております。この結果、当期の棚卸資産回転期間は前期比+0.3カ月の6.6カ月となりました。設備資金につきましては、生産設備へ継続的な投資を行いつつ、必要に応じ工場建設等の大規模投資を実施しており、通常は設備投資が営業活動から得られるキャッシュ・フローを上回ることはありません。なお、当連結会計年度における設備投資は、前期比375百万円増加し、486百万円となりました。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、資産、負債及び収益、費用の各報告数値に影響を与える見積り計算に際しては、過去の実績や現在の状況を踏まえ、合理性ある前提と計算方法に基づき算定しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 (固定資産の減損)当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。損益実績や事業計画に基づき検討を行いますが、市場環境の変化や事業計画の前提条件に変更が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。 (繰延税金資産の回収可能性)当社グループは、計上した繰延税金資産について、発生要因別に一時差異の予想解消時期をスケジューリングし、これに将来の課税所得の見積りを適用してその回収可能性の検討を行っており、回収可能性がないと判断した繰延税金資産については評価性引当処理を行い、税金費用を計上しております。一時差異の解消スケジューリングや将来の課税所得の見積りの前提条件に変更が発生した場合には、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
事業リスク
- 災害・感染症による事業停滞大規模な災害や新型感染症が発生した場合、事業所へのアクセス制限や従業員の出社困難により、製品の出荷や生産が停滞する可能性があります。これにより、市場への製品供給が滞り、売上や利益に悪影響を及ぼす可能性があります。対策として、分散勤務体制や製品在庫の複数拠点保有、生産拠点の分散を進めています。
- 生産・開発拠点の集中リスク主要な生産・開発拠点が宮城県の仙台北部中核工業団地内に集中しているため、この地域で大規模な災害が発生した場合、グループ全体の生産・開発体制が大きな影響を受ける可能性があります。これにより、製品供給が滞り、事業活動に深刻な影響が出る可能性があります。地震対策の強化や在庫・生産拠点の分散でリスク軽減を図っています。
- 小径エンドミル市場の変化主力である超硬小径エンドミルは精密加工に広く使われていますが、将来的に他の素材や3Dプリンター、レーザー加工といった新たな加工方法に代替される可能性があります。もし代替技術が普及した場合、エンドミルの需要が減少し、日進工具の事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。代替素材の研究やエンドミルの優位性アピールで対応しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性のある主な事項と当社の取組状況について以下に記載しております。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。(1)災害、エネルギー危機や新型感染症等の影響について大規模な災害、エネルギー需給逼迫に伴う経済活動の制限や新型感染症等の発生により、事業所や工場へのアクセスが制限され、従業員の出社が困難となった場合には、製品在庫の出荷ができず市場への製品供給が停滞する可能性や、生産体制に影響が出る可能性があります。当社グループでは、かかる事態への対応として、社内規程を整備しチーム分けによる分散勤務体制や在宅勤務体制を可能としているほか、製品在庫を仙台・東京・海外現法2社にて分散保有し、また新潟工場の生産能力増強により、仙台工場との分散生産体制を推進するなど、複合的な対策を講じております。 (2)生産・開発拠点の集中について当社グループは、生産・開発拠点を宮城県の仙台北部中核工業団地内に集約することで、効率的な生産・開発体制を構築し、製品の品質、精度、価格競争力等を高める一方、生産・開発拠点における震災対策の強化・徹底にも注力してまいりました。また、前述の通り在庫の複数拠点での保有や新潟工場での生産拡充など、リスク分散のための対策も並行して行ってまいりました。しかしながら、当該地域にて大地震等の災害が発生した場合には当社グループの生産・開発体制全体が影響を受ける可能性があるほか、場合によっては市場への製品供給が滞る可能性があります。当社グループでは特に仙台工場での地震対策に重点を置いて取り組んでおり、現場における日頃の対策の一段の工夫、徹底に加えて、新開発センターで採用した「オールラウンド免震」機構など新たな技術を取り込み、より高度な地震対策を実施しております。この結果、2021年2月、2022年3月に東北地方で発生した震度6強の地震に際しては、いずれも1両日で完全に生産復旧できており、一定の成果を生んでおります。引き続き仙台地区での地震対策の充実と、在庫、生産拠点の分散による複合的な取り組みを推進してまいります。 (3)小径切削工具への集中について当社グループは超硬小径エンドミルを主とする超硬小径切削工具の製造販売に経営資源を集中しております。超硬小径エンドミルは、主に電子機器、民生機器、自動車部品等の精密金型製作や部品の精密・微細加工に広く使用されており、今後も様々な分野で精密・微細加工技術を使った部材や金型の需要が大きく増加すると考えております。精密・微細加工の方法としては、超硬小径エンドミルを使った切削加工が一般的ですが、将来は他の素材を使った製品や新たな加工方法に代替される可能性があり、この場合当社の事業に影響が出ることが予想されます。素材につきましては、現時点で超硬素材に全面的に取って代わる素材の出現の可能性は低いものの、昨今のタングステン市場の動向等を踏まえると、今後他の素材に代替されてゆく可能性はあります。当社グループでは以前より、cBN(立方晶窒化ホウ素)やPCD(多結晶ダイヤモンド)といった超硬合金以外の素材を使用した製品の開発・製造等も行っており、他の素材についても鋭意研究を進めております。加工方法につきましては、3Dプリンターで金属を積層焼結成形するレーザー加工機が普及するなど、今後も技術革新によりエンドミル需要に影響を与える新たな精密・微細加工技術が開発される可能性があります。当社グループでは、精密・微細加工の分野において、小径切削工具を使った直彫りによる加工方法が、精度とコストの面で比較優位性を保っていることをアピールしつつ、高性能(高精度、高能率、多機能、長寿命)でバラツキのない、環境にやさしい小径工具を合理的な価格で提供してまいります。 (4)競合について当社グループが事業展開している小径切削工具市場では、国内大手の工具メーカーや超硬メーカーがその成長性に着目して生産・販売体制を強化しており、また中国市場などでも、中国国内で製造された製品が増加してきていることから、今後ますます競争が激化していくものと考えられます。当社グループは、小径切削工具に経営資源を集中し、自社開発の専用加工機および独自の製造プロセスを基盤とした体制を構築しております。これにより、他社との「違い」として、高精度・長寿命・品質安定性を高い水準で両立しつつ、コスト競争力も確保できる点に競争優位性があると認識しており、一段の体制強化を図ってまいります。 (5)原材料の調達及び資源価格の上昇について当社グループの主要製品である超硬エンドミルの主要素材は超硬合金であり、その主要成分となるタングステン原料は国際市況商品で、精鉱生産量の8割強を中国が供給していることから、その価格や供給量は世界的な需給関係や生産国の思惑等によって大きく影響を受ける可能性があり、現実に昨年来リスクが顕在化しております。また超硬合金で結合剤として使用されるコバルトはスマートフォンや電気自動車(EV)の電池にも使用されており、その需要拡大により需給が逼迫する可能性があります。加えてタングステン、コバルトとも「紛争鉱物」として、以前より一部の生産地域において、その採掘過程での若年者労働や過酷労働による人権侵害が問題となってきた経緯があります。当社グループでは、足元のタングステン原料価格の高騰に対し、工程の効率化追求や製造経費の削減等による原価低減により、先ず自社でコスト上昇を吸収することとし、最終的には、販売条件の見直し交渉の実施などと併せ、製品への価格転嫁を行うこととしております。また、原料の入手リスクの問題に対しては、従前より積み増してきた素材在庫を活用しつつ、主要仕入先との連携強化や調達先分散を図ることにより、安定調達を試みております。併せて原材料のトレーサビリティを徹底し、調達先から証明書の提出や原料調達方法の説明を受けるなどの方法により紛争鉱物の混入を排除しております。 (6)特定の仕入先・協力会社への依存について当社グループは、超硬エンドミルの主要素材である超硬合金の大半を特定の仕入先より仕入れております。また、超硬エンドミル生産の主要工程の一つであるコーティングにおきましては、内製化を進めているものの一部を特定の協力会社に委託しております。これは、増産時の対応又は万が一のためのリスク対応等を狙いとするものであります。当社グループと当該仕入先・協力会社とは、長年にわたり極めて緊密な関係にあり、事業パートナーとして信頼できる取引先であることを日頃から確認しており、今回の原料価格高騰、原料入手リスクへの対応についても、連携しながら円滑に協働しております。今後ともこれまでの取引関係を維持発展していく方針でありますが、災害や不測の事態によるサプライチェーンの混乱等に備えるため、安全在庫の積み増しや、設備の増強による内製化比率の引き上げ等、製品の安定供給の観点から対策を講じております。 (7)製品の品質確保について当社グループは、製造工程に自社開発専用機を投入し、独自の製造プロセスを創りあげることにより、当社特有の生産体制を構築し、この結果高性能でバラツキのない高付加価値製品を安定生産しておりますが、製造ラインが自社独自のものであり、市販の製造設備等での代替ができません。従って、製品の品質維持・確保のためには外部に頼らず自社のみで対応する必要があります。当社グループは、ISO9001及び14001等の世界的に認められている品質管理及び環境管理のマネジメント基準に従って製品を製造することに加え、当社独自の「ものづくり行動指針」に基づき、社員自らが社内で不断に自社開発機や製造プロセスの見直しと改善を行うことで、高い品質確保のため盤石の体制を維持、発展させてまいります。 (8)環境問題について当社グループでは、ISOの環境管理基準や「サステナビリティ基本方針」に従って、「人と地球にやさしい製品を、最小限の資源でつくり、環境負荷の低減に努めます」を目標に掲げ活動しております。一方で、環境に対する配慮を求める社会の要請は日々高まっており、GHGの排出削減、資源の3Rや再生可能エネルギーの利用など、販売先や仕入先、株主等の様々なステークホルダーから、より高い目線での対応が求められております。ステークホルダーからの様々な要請、期待に応えられない場合、企業としての社会的信用や事業の成長に影響が出る可能性があります。当社グループでは、2021年にサステナビリティ委員会を設置して当社グループの環境問題について定期的に討議して報告を作成し、これを取締役会で審議しております。また、各部門のKPIを「サステナビリティ基本方針」に基づき策定することで、環境についても経営目標に織り込んで対応することとしております。気候変動への対応につきましては、TCFDに基づく情報開示を行っており、前期よりスコープ1,2排出量は決算期に合わせ当期分を開示しております。