事業の概要
- 金型部品の製造販売: パンチ工業グループは、プラスチック金型やプレス金型の部品を製造・販売しています。これらの金型は、携帯電話や自動車部品など、私たちの身の回りにある多くの製品を作るために不可欠な「型」であり、その部品を提供することで収益を得ています。
- 幅広い顧客層と製品対応: 約6千社(国内)および約8千社(中国)の顧客と取引があり、自動車、家電、電子部品など多岐にわたる業界に製品を供給しています。標準品から顧客の細かい要望に応じた特注品まで幅広く対応することで、特定の顧客や業界に依存しない安定した事業基盤を築いています。
- グローバルな製造・販売体制: 国内に3工場、中国に6工場、ベトナムに1工場を持つほか、マレーシア、インド、米国など世界各地に販売拠点を展開しています。これにより、各地域のニーズに合わせた製品供給と、効率的なグローバルサプライチェーンを構築し、収益を上げています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 金型部品事業(国内): 日本国内における金型部品の製造・販売を担う事業です。パンチ工業株式会社がグループ統括機能と製造・販売を担い、株式会社ASCeがFA機器の設計・製造・販売を行っています。国内の顧客ニーズに応じた標準品から特注品まで幅広く提供し、国内市場での収益を確保しています。
- 金型部品事業(中国): 中国における金型部品の製造・販売を担う事業です。盤起工業(大連)有限公司が中国グループを統括し、傘下の4社が製造を、大連パンチが中国国内や欧米への販売を主に行っています。中国市場の成長を取り込み、グループ全体の収益の重要な柱となっています。
- 金型部品事業(東南アジア・その他海外): 東南アジア、インド、米国などにおける金型部品の製造・販売を担う事業です。マレーシアパンチが東南アジアグループを統括し、ベトナム工場が製造を、各国の現地法人が販売を行っています。グローバルな事業展開により、多様な市場での収益機会を追求しています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】当社グループは、当社及び関係会社14社により構成され、主にプラスチック金型やプレス金型の部品の製造・販売事業を行っております。 (1)当社グループの製品内容 ① 金型について 金型とは、プラスチック、金属などを使用した製品を製造するための金属の型のことであり、電気製品や自動車など幅広い分野で使用されております。 ② プラスチック金型とプレス金型についてイ.プラスチック金型携帯電話やデジタルカメラの外装など、多くのプラスチック製品の製造に用いられる金型であり、加熱溶融したプラスチック樹脂を、射出成型機に実装された金型に注入し、冷却、固化することにより製品が作られております。 (注)当社Webサイトより転記 ロ.プレス金型プレス機(上下運動する機械)に金型を装着し、上下に分かれた金型の間に材料(金属の鋼板)を入れ、プレス機を稼働することにより、金型で型どられた製品ができ上がります。 (注)当社Webサイトより転記 ③ 当社グループの製品についてイ.プラスチック金型部品a. 主な標準製品は、以下のとおりであります。b. 主な標準製品の用途・スプルーブシュスプルーブシュは、射出成型機の射出ノズルから溶融したプラスチックを金型へ流し込むための部品です。・ゲートブシュスプルーブシュから金型内の製品部にプラスチックを流す部分であり、成型後、金型を開く時にこの部分から製品部を切り離す部品です。・エジェクタピン成型品を金型から離し、突き出すための部品です。 ロ.プレス金型部品a. 主な標準製品は、以下のとおりであります。b. 主な標準製品の用途・ダイセットガイドダイセットガイドは、上型と下型の関係を正しく保つために使用される部品です。・パンチパンチは材料に押しつけて使われる工具で、通常はダイと対で使われ、材料に形状を転写します。・ストリッパガイドパンチ・ダイの関係をダイセットのガイドを用いて位置合わせをして、適正なクリアランスを保つために使用される部品です。(2)当社グループの事業内容金型部品事業の単一セグメントであるため、国内事業及び海外事業別に記載しております。 ① 当社及びグループ各社の機能と役割 会社名略称機能と役割国内事業パンチ工業株式会社(当社)―グループ統括機能。国内3工場、中国グループ各社、マレーシアパンチ、ベトナム工場で製造した製品と、協力工場で製造した製品等を、主として国内へ販売。株式会社ASCeアスク主としてFA機器を設計、製造し、アスク独自の開発機器を国内外へ販売。海外事業盤起工業(大連)有限公司大連パンチ中国グループ統括機能。傘下4社からの仕入れも含め、製造した製品、半製品、及び協力工場にて製造した製品等を、主として中国、欧州、米州及び当社グループに販売。盤起工業(瓦房店)有限公司瓦房店パンチ主として大連パンチ及び当社グループ向けの製品等を製造、販売。盤起工業(無錫)有限公司無錫パンチ主として大連パンチ向けの製品等を製造、販売。盤起工業(東莞)有限公司東莞パンチ主として大連パンチ向けの製品等を製造、販売。盤起弾簧(大連)有限公司盤起スプリング主として大連パンチ及び当社向けの製品等を製造、販売。PUNCH INDUSTRY INDIA PVT. LTD.インドパンチ主として大連パンチ製品等をインド国内へ販売。PUNCH INDUSTRY MALAYSIA SDN. BHD.マレーシア工場東南アジアグループ統括機能。自社及び中国グループ等で製造した製品と協力工場で製造した製品を、主として当社、欧州、東南アジアへ販売。PUNCH INDUSTRY SINGAPORE PTE. LTD.シンガポールパンチ当社及び中国グループ等で製造した製品と協力工場で製造した製品を主としてシンガポール国内へ販売。PUNCH INDUSTRY VIETNAM CO. LTD.ベトナムパンチ当社及び中国グループ等で製造した製品と協力工場で製造した製品を主としてベトナム国内へ販売。PT. PUNCH INDUSTRY INDONESIAインドネシアパンチ当社及び中国グループ等で製造した製品と協力工場で製造した製品を主としてインドネシア国内へ販売。PUNCH INDUSTRY SALES MALAYSIA SDN. BHD.マレーシアパンチ当社及び中国グループ等で製造した製品と協力工場で製造した製品を主としてマレーシア国内へ販売。PUNCH INDUSTRY MANUFACTURING VIETNAM CO. LTD.ベトナム工場主として当社向けの製品等を製造、販売。PUNCH INDUSTRY USA INC.USAパンチ主として大連パンチ製品等を米国内へ販売。(注)1.国内事業とは、当社及びアスクの事業を、海外事業とは、大連パンチ以下13社の事業を意味しております。 2.中国グループとは、大連パンチ及び傘下4社(瓦房店パンチ、無錫パンチ、東莞パンチ、盤起スプリング)の総称であります。 3.東南アジアグループとは、マレーシア工場及び傘下4社(シンガポールパンチ、ベトナムパンチ、インドネシアパンチ、マレーシアパンチ)の総称であります。 ② 国内事業及び海外事業イ.国内事業a. 当社での製造当社の強みである熱処理技術や研削加工技術を活かした社内生産と、長年にわたる事業経営とともに築き上げた約300社の協力工場に支えられた社外生産を両輪とする製造活動を主として行っております。また、多岐にわたる生産設備を保有し、標準製品についてはもとより、多様な特注品への対応も可能であり、上記の固有技術と併せ、当社の特徴となっております。(注)1.熱処理とは、加熱・冷却により金属の性質を変化させる処理です。2.研削加工とは、高速回転する砥石によって金属の表面を平滑にする加工です。3.標準製品とは、当社カタログに掲載している規格品のことです。4.特注品とは、カタログ規格から外れるサイズ、形状、又は全く特殊な形状のものです。b. 当社での販売全国に10ヵ所の販売拠点を配置し、顧客密着型の受注活動を基本に製造直販を行っております。標準製品についてはインターネットの普及に合わせ、Web受注体制を強化するとともに、3次元CAD(コンピューター支援設計)対応も積極的に取り入れ顧客の利便性向上に努めております。一方、特注品については顧客のニーズにきめ細かく対応しており、特注品への対応により標準製品の受注増にも繋がることも当社の特徴となっております。なお、当社は約6千社の顧客と取引をしており、その業界は自動車、家電をはじめ多方面にわたっております。従って、特定の顧客に過度に依存することもなく、安定的な受注を見込めることも当社の特徴であります。このような幅の広い顧客に対応するため、物流センター(東京ロジスティクスセンター)を設け、受注から納品まで一貫した物流システムを構築しております。以上のとおり、充実した生産設備を備えた製造部門と、顧客密着型の販売部門が一体となった製販一体型の事業を行っており、多品種にわたる標準製品から顧客仕様の特注品まで幅広く対応できることが、当社の大きな強みとなっております。c. アスクでの事業同社は当社の中期経営計画での取組みの一環として掲げる「FA領域の“特注品”の販売拡大」実現のために、戦略的に当社グループに取り込んだ会社であり、製造は北海道の同社工場で行っております。食品加工・自動車部品・電子デバイス・医療関連等のFA機器の自社開発に強みを持ち、当社と双方の販路の有効活用や技術交流等によるシナジー効果が発揮されるとともに、同社独自の特許を保有する技術等を活かしたFA機器を製造し外販しております。 ロ.海外事業基本的なビジネスモデルは国内事業と同じであり、主として中国、東南アジア、インド、米国を中心に事業を行っております。中国では中国内6工場での製造活動と、同じく中国内34ヵ所に販売拠点を展開し、約8千社の顧客と取引をしております。1990年に中国大連に進出以来、当社の技術を武器に積極的に事業展開を図りつつ、日本人責任者の指揮のもと、中国人スタッフを中心としたマネジメント体制を基本として安定的な事業運営を進めております。東南アジアではマレーシアパンチ及び同社の販売子会社4社を拠点として、当社及び大連パンチの製品を中心に事業展開し、インド及び米国では現地法人が大連パンチの製品を中心に、輸入販売を行っております。また、ベトナム工場は、主として日本向けに、カタログ品の一部の製造販売を行っております。 さらに、欧州、他地域については、日本、中国、東南アジアの各拠点が連携して事業展開しております。 以上を、事業系統図で示しますと、次のとおりであります。 [事業系統図]
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 標準製品は競争力強化、特注品は高い技術力と顧客密着型営業で差別化を図る。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 金型部品、FA部品・機器の製造で培った技術力、金属一体化技術「P-Bas」による新素材開発。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 低い(分散) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 成長投資 |
会社が挙げる主要リスク:中国におけるカントリーリスク / 為替相場の変動 / 顧客の属する業界の動向
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
パンチ工業は特定のブランド力や特許、規制ライセンスに依存する事業モデルではなく、汎用的な工業用プレス部品の製造が中心であるため、無形資産による競争優位性は限定的と判断される。
スイッチングコスト★★☆☆☆
自動車部品や産業機械部品など、顧客のサプライチェーンに組み込まれており、金型や仕様の変更には一定のコストや手間がかかる。しかし、代替サプライヤーの選択肢も存在するため、スイッチング・コストは中程度と評価。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
製品の利用が増えることで価値が増すようなネットワーク効果は、パンチ工業の事業モデルには見られない。個々の顧客との取引が基本であり、プラットフォーム型ビジネスではない。
コスト優位★★★☆☆
長年の製造ノウハウと効率的な生産体制の構築により、一定のコスト競争力を有していると考えられる。特に、量産効果や工程改善による原価低減努力が競争力の源泉となっている可能性がある。
規模の経済★★★☆☆
工業用プレス部品市場において、一定のシェアを確保しており、生産規模の経済性を活かした効率的なオペレーションが可能である。ただし、市場全体が巨大であるため、寡占状態とは言えない。
- 独自の技術力と生産体制: 長年培ってきた熱処理技術や研削加工技術を活かした社内生産と、約300社の協力工場との連携による社外生産を両輪で進めています。これにより、多種多様な製品を高品質かつ効率的に製造できる点が強みです。特に特注品への対応力は、顧客の多様なニーズに応える上で重要な競争優位となっています。
- 顧客密着型の販売ネットワーク: 国内に10ヵ所、中国に34ヵ所の販売拠点を持ち、顧客に寄り添った営業活動を展開しています。Web受注体制の強化や3次元CAD対応により顧客の利便性を高めつつ、特注品へのきめ細やかな対応を通じて、顧客との強固な関係を構築し、安定的な受注に繋げています。
- 多角的な顧客基盤: 国内外で合計1万社を超える顧客と取引があり、特定の顧客や業界に過度に依存しないバランスの取れた顧客構造が特徴です。自動車、家電、電子部品など幅広い分野に製品を供給することで、特定の市場の変動リスクを分散し、安定した事業運営を可能にしています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループのパーパス、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針当社グループは、「ものづくりによる信頼、真摯な技術、自由な創造力で、次世代の豊かな未来をカタチづくる」ことをパーパスに掲げ、持続的な企業価値の向上に努めております。また、ものづくりへの貢献によって、暮らしの当たり前を支えるとともに、新しい価値の創造で世界のニーズに応え続けることで、社会の持続可能な発展に貢献し、全てのステークホルダーに寄り添い、共に歩み、社会に価値を提供する誇りを持つ企業であり続けるために、「パンチグループの約束」を明示しております。 (パンチグループの約束)①お客様へ パンチグループのものづくりソリューションで、成長を支えます。 常にお客様の期待を上回る価値を提供します。②社員へ 誇りをもって働くことができる環境を提供し、一人一人の成長と自己実現を支援します。③社会へ 自然環境・社会の変化に向き合い、次世代へより良い未来を繋ぎます。 (2)経営環境①企業構造 プラスチック・プレス金型部品を中心に、さまざまな金型に必要となる、汎用性が高く高品質な標準製品やお客様のニーズにきめ細かくお応えすることが可能な特注品を豊富にラインアップし、金型部品単一セグメントとして、国内事業及び海外事業を展開しております。②市場環境 当連結会計年度における世界経済は、全般的に緩やかな回復基調にありますが、その一方で、原材料・エネルギーコストの高止まり、物価の上昇、地政学的問題などにより、依然として先行きは不透明な状況が続いております。また、アメリカ大統領の交代による政策転換により、特に中国との貿易において多大な影響が予想されることから、関係各国における景気停滞が懸念されております。加えて、中国では精密機器や電気自動車の輸出が好調な反面、長引く不動産不況と対中直接投資の大幅な減少により国内需要が低迷し、景気停滞が継続しております。③お客様動向 当社グループは、主として自動車関連、電子部品・半導体関連、家電・精密機器関連の分野において、国内外で1万社を超えるお客様にお取引を頂いておりますが、特定業種の景気変動の影響を受けにくいバランスのとれたポートフォリオであるとともに、近年は食品・飲料関連、医療関連、航空宇宙関連といった新分野への拡販にも注力しております。④競合他社の状況 当社グループは金型部品事業を主たる事業としておりますが、当該事業には高額な設備や高い技術力を有する加工者の確保等を必要とすることから、比較的参入障壁が高くなっております。 そうしたなかで、標準製品については、お客様のニーズに応じた製品開発やWeb受注などの顧客利便性の向上を図るほか、製造原価の低減にも積極的に取組んで競争力の強化に努める一方、特注品については、高い技術力に裏打ちされた一気通貫の生産体制と顧客密着型の営業体制をより強化することで、他社との差別化を図っております。 (3)経営戦略等 当社は2025年5月に、当社グループ長期ビジョン「Vision60」を策定・公表しました。 「Vision60」は、パーパスの実現へ向けて、10年後の当社グループの「ありたい姿」を示し、そこへ至る3つの中期経営計画の戦略をバックキャスティングにより定めたものです。絶え間なく変化し益々見通し難い経営環境の中、「Vision60」の下に経営陣と社員が心を合わせ、今後もステークホルダーの皆様のご期待に応えられるよう、事業の一層の発展と企業価値の向上に努めてまいります。 また当社は2026年5月に、2027年3月期から2029年3月期までの3ヵ年を対象とする中期経営計画「バリュークリエーション28」(以下、「VC28」)を策定・公表いたしました。 当社グループを取り巻く事業環境は、地政学リスクの高まり、原材料価格や人件費の上昇、為替変動に加え、少子高齢化を背景とした人財不足や自動化・省人化ニーズの加速など、大きく変化しております。こうした環境変化のもと、当社グループは、従来の事業基盤を維持・強化しつつも、収益性および資本効率のさらなる改善と、持続的な企業価値向上に向けて、事業構造・収益構造の進化が必要であると認識しております。 「VC28」は、長期ビジョン「Vision60」の実現に向けた最初の中期経営計画として、「収益性の改善」と「次の成長に向けた基盤構築」に集中するフェーズと位置づけております。 具体的には、以下の基本方針のもと経営を推進してまいります。 ① 既存事業(金型部品事業)における特注品特化と生産性向上による安定したキャッシュ創出力の強化 ② 自動化・省人化ニーズを背景としたFA事業の育成・拡大による第2の収益柱の確立 ③ R&Dおよび新事業への取組みを通じた中長期的成長機会の創出 ④ DX推進による業務効率化と固定費構造改革 ⑤ ROICを中核指標とした資本効率を重視する経営の徹底 これらの施策を通じて、収益性および資本効率の改善と持続的な成長投資の両立を図り、企業価値の向上を目指してまいります。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループは、中期経営計画「VC28」に基づき、「収益性の改善」と「次の成長に向けた基盤構築」を実現するため、基盤事業である金型部品事業において特注品特化や精密微細加工品の受注拡大、生産性向上、原価低減および間接業務のDX推進を通じて、安定的なキャッシュ創出力の強化と収益性の向上に取組んでまいります。 あわせて、自動化・省人化ニーズの高まりを背景に、FA事業を第2の収益柱として本格的に育成・拡大するとともに、既存顧客基盤の活用やM&A等を通じて事業領域の拡大を図り、収益基盤の多層化を推進してまいります。さらに、既存技術を基盤とした新事業の創出や航空宇宙分野等への取組み、外部連携を通じて中長期的な成長機会の創出にも取組んでまいります。 また、DXの推進による業務効率化と固定費構造の見直しにより収益体質の強化を図るとともに、ROICを中核指標とした資本効率を重視する経営を徹底し、資本コストを上回るリターンの創出に努めてまいります。加えて、営業活動から得られる資金をもとに、設備投資、R&D投資およびM&A投資を計画的に実行しながら、財務基盤の健全性を維持するとともに株主還元との適切なバランスを図り、企業価値の持続的向上を目指してまいります。 これらの取組みにより、「VC28」の最終年度において、売上高500億円、営業利益34億円、ROE8.0%以上およびROIC10.0%以上の達成を目指してまいります。 なお、「VC28」の詳細につきましては、当社Webサイト https://www.punch.co.jp/ir/library/#midterm をご参照ください。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループのパーパス、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針当社グループは、「ものづくりによる信頼、真摯な技術、自由な創造力で、次世代の豊かな未来をカタチづくる」ことをパーパスに掲げ、持続的な企業価値の向上に努めております。また、ものづくりへの貢献によって、暮らしの当たり前を支えるとともに、新しい価値の創造で世界のニーズに応え続けることで、社会の持続可能な発展に貢献し、全てのステークホルダーに寄り添い、共に歩み、社会に価値を提供する誇りを持つ企業であり続けるために、「パンチグループの約束」を明示しております。 (パンチグループの約束)①お客様へ パンチグループのものづくりソリューションで、成長を支えます。 常にお客様の期待を上回る価値を提供します。②社員へ 誇りをもって働くことができる環境を提供し、一人一人の成長と自己実現を支援します。③社会へ 自然環境・社会の変化に向き合い、次世代へより良い未来を繋ぎます。 (2)経営環境①企業構造 プラスチック・プレス金型部品を中心に、さまざまな金型に必要となる、汎用性が高く高品質な標準製品やお客様のニーズにきめ細かくお応えすることが可能な特注品を豊富にラインアップし、金型部品単一セグメントとして、国内事業及び海外事業を展開しております。②市場環境 当連結会計年度における世界経済は、全般的に緩やかな回復基調にありますが、その一方で、原材料・エネルギーコストの高止まり、物価の上昇、地政学的問題などにより、依然として先行きは不透明な状況が続いております。また、アメリカ大統領の交代による政策転換により、特に中国との貿易において多大な影響が予想されることから、関係各国における景気停滞が懸念されております。加えて、中国では精密機器や電気自動車の輸出が好調な反面、長引く不動産不況と対中直接投資の大幅な減少により国内需要が低迷し、景気停滞が継続しております。③お客様動向 当社グループは、主として自動車関連、電子部品・半導体関連、家電・精密機器関連の分野において、国内外で1万社を超えるお客様にお取引を頂いておりますが、特定業種の景気変動の影響を受けにくいバランスのとれたポートフォリオであるとともに、近年は食品・飲料関連、医療関連、航空宇宙関連といった新分野への拡販にも注力しております。④競合他社の状況 当社グループは金型部品事業を主たる事業としておりますが、当該事業には高額な設備や高い技術力を有する加工者の確保等を必要とすることから、比較的参入障壁が高くなっております。 そうしたなかで、標準製品については、お客様のニーズに応じた製品開発やWeb受注などの顧客利便性の向上を図るほか、製造原価の低減にも積極的に取組んで競争力の強化に努める一方、特注品については、高い技術力に裏打ちされた一気通貫の生産体制と顧客密着型の営業体制をより強化することで、他社との差別化を図っております。 (3)経営戦略等 当社は2025年5月に、当社グループ長期ビジョン「Vision60」を策定・公表しました。 「Vision60」は、パーパスの実現へ向けて、10年後の当社グループの「ありたい姿」を示し、そこへ至る3つの中期経営計画の戦略をバックキャスティングにより定めたものです。絶え間なく変化し益々見通し難い経営環境の中、「Vision60」の下に経営陣と社員が心を合わせ、今後もステークホルダーの皆様のご期待に応えられるよう、事業の一層の発展と企業価値の向上に努めてまいります。 また当社は2026年5月に、2027年3月期から2029年3月期までの3ヵ年を対象とする中期経営計画「バリュークリエーション28」(以下、「VC28」)を策定・公表いたしました。 当社グループを取り巻く事業環境は、地政学リスクの高まり、原材料価格や人件費の上昇、為替変動に加え、少子高齢化を背景とした人財不足や自動化・省人化ニーズの加速など、大きく変化しております。こうした環境変化のもと、当社グループは、従来の事業基盤を維持・強化しつつも、収益性および資本効率のさらなる改善と、持続的な企業価値向上に向けて、事業構造・収益構造の進化が必要であると認識しております。 「VC28」は、長期ビジョン「Vision60」の実現に向けた最初の中期経営計画として、「収益性の改善」と「次の成長に向けた基盤構築」に集中するフェーズと位置づけております。 具体的には、以下の基本方針のもと経営を推進してまいります。 ① 既存事業(金型部品事業)における特注品特化と生産性向上による安定したキャッシュ創出力の強化 ② 自動化・省人化ニーズを背景としたFA事業の育成・拡大による第2の収益柱の確立 ③ R&Dおよび新事業への取組みを通じた中長期的成長機会の創出 ④ DX推進による業務効率化と固定費構造改革 ⑤ ROICを中核指標とした資本効率を重視する経営の徹底 これらの施策を通じて、収益性および資本効率の改善と持続的な成長投資の両立を図り、企業価値の向上を目指してまいります。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループは、中期経営計画「VC28」に基づき、「収益性の改善」と「次の成長に向けた基盤構築」を実現するため、基盤事業である金型部品事業において特注品特化や精密微細加工品の受注拡大、生産性向上、原価低減および間接業務のDX推進を通じて、安定的なキャッシュ創出力の強化と収益性の向上に取組んでまいります。 あわせて、自動化・省人化ニーズの高まりを背景に、FA事業を第2の収益柱として本格的に育成・拡大するとともに、既存顧客基盤の活用やM&A等を通じて事業領域の拡大を図り、収益基盤の多層化を推進してまいります。さらに、既存技術を基盤とした新事業の創出や航空宇宙分野等への取組み、外部連携を通じて中長期的な成長機会の創出にも取組んでまいります。 また、DXの推進による業務効率化と固定費構造の見直しにより収益体質の強化を図るとともに、ROICを中核指標とした資本効率を重視する経営を徹底し、資本コストを上回るリターンの創出に努めてまいります。加えて、営業活動から得られる資金をもとに、設備投資、R&D投資およびM&A投資を計画的に実行しながら、財務基盤の健全性を維持するとともに株主還元との適切なバランスを図り、企業価値の持続的向上を目指してまいります。 これらの取組みにより、「VC28」の最終年度において、売上高500億円、営業利益34億円、ROE8.0%以上およびROIC10.0%以上の達成を目指してまいります。 なお、「VC28」の詳細につきましては、当社Webサイト https://www.punch.co.jp/ir/library/#midterm をご参照ください。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況(経営成績の状況) 売上高について、日本においては、2023年10月の経営合理化を契機に整備途上である営業体制の再構築や、物価高による個人消費の停滞等の影響を受け、前年を下回る結果となりました。一方、中国においては自動車関連を中心に受注が堅調に推移したほか、東南アジア地域および欧米他地域では、積極的な展示会出展や販売代理店との関係強化により、前年を上回る売上となりました。なお、当社及びアスク、インドパンチを除くグループ各社の決算期は12月であり、2025年1月から12月の業績が当連結会計年度の業績となります。 この結果、国内売上高は11,016百万円(前期比5.1%減)、中国売上高は24,903百万円(前期比6.5%増)、東南アジア・インド地域の売上高は2,041百万円(前期比4.6%増)、欧米他地域の売上高は4,139百万円(前期比6.9%増)となり、連結売上高は42,100百万円(前期比3.1%増)となりました。 また、業種別では、自動車関連は17,784百万円(前期比3.4%増)、電子部品・半導体関連は7,199百万円(前期比3.0%増)、家電・精密機器関連は3,897百万円(前期比1.6%増)、その他は13,218百万円(前期比3.3%増)となりました。 利益面につきましては、日本における原材料の高騰や協力工場からの仕入れ品価格の上昇、エネルギーコストの高止まり等の影響が継続したものの、中国での売上増加等によりカバーしました。その結果、営業利益は2,031百万円(前期比20.5%増)、経常利益は2,201百万円(前期比36.4%増)となりました。一方で、当社が2022年10月に株式を取得したアスクののれんについて2026年3月期第3四半期に減損損失が発生したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は851百万円(前期比1.9%減)となりました。(財政状態の状況)a. 資産の部当連結会計年度末における総資産は34,300百万円となり、前連結会計年度末と比較し1,330百万円の増加となりました。これは、主として受取手形の増加、売掛金の増加等によるものであります。b. 負債の部総負債は11,220百万円となり、前連結会計年度末と比較し289百万円の増加となりました。これは、主として未払費用の増加、支払手形及び買掛金の増加等によるものであります。c. 純資産の部純資産は23,079百万円となり、前連結会計年度末と比較し1,041百万円の増加となりました。これは、主として親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加、為替換算調整勘定の増加等によるものであります。 ②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ16百万円減少し、6,433百万円となりました。a. 営業活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは1,865百万円の収入(前期は2,271百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益1,688百万円、減損損失517百万円及び減価償却費1,177百万円の非資金項目の他、法人税の支払額790百万円、売上債権の増加額462百万円によるものであります。b. 投資活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは1,276百万円の支出(前期は2,415百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出1,064百万円等によるものであります。c. 財務活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは696百万円の支出(前期は181百万円の収入)となりました。これは、短期借入金の純増による増加額900百万円、長期借入金の返済による支出923百万円、配当金の支払額519百万円等によるものであります。 ③生産、受注及び販売の実績a. 生産実績 当連結会計年度の生産実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。事業の名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前年同期比(%) 国内事業(百万円) 4,28597.2 海外事業(百万円) 14,652104.7 合計(百万円) 18,937102.9(注)1.当社グループは、金型部品事業の単一セグメントであるため、「第1 企業の概況 3.事業の内容(2)当社グループの事業内容」に記載の国内事業及び海外事業の別に記載しております。2.金額の表示は製造原価によっており、事業区分間の取引については相殺消去しております。 b. 受注実績 当社では標準製品の場合、受注から製造、出荷までを1日から数日で完了いたします。また、特注品でも、おおむね2週間以内の出荷となっております。したがって、受注残高は軽微であり受注実績の記載を省略しております。 c. 販売実績 当連結会計年度の販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。事業の名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前年同期比(%) 国内事業(百万円) 11,07994.4 海外事業(百万円) 31,021106.7 合計(百万円) 42,100103.1(注)1.当社グループは、金型部品事業の単一セグメントであるため、「第1 企業の概況 3.事業の内容(2)当社グループの事業内容」に記載の国内事業及び海外事業の別に記載しております。2.事業区分間の取引については相殺消去しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 ②当連結会計年度の財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(当社グループの当連結会計年度の経営成績等及び経営成績に重要な影響を与える要因)当社グループは、創業60周年を迎える2034年度のありたい姿を示す長期ビジョン「Vision60」を2025年5月に策定しました。「脱・金型部品依存」をキーワードに掲げ、金型部品事業の持続的な成長に加え、成長事業と位置付けるFA事業の拡大に取組んでまいりました。また、2024年10月に締結した株式会社ミスミグループ本社との資本業務提携によるシナジー効果の発揮に向け、商品相互供給や物流面での連携強化を進めるとともに、特注品ビジネスを中心とした高付加価値化に取組んできました。2026年3月期の経営数値目標としては、売上高39,880百万円、営業利益1,150百万円、親会社株主に帰属する当期純利益180百万円を掲げておりました。これに対して経営成績は、売上高42,100百万円、営業利益2,031百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は851百万円となり、目標を上回る結果となりました。財政状態につきましては、前連結会計年度末に対して、主として受取手形及び売掛金の増加等により総資産が増加した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加や為替換算調整勘定の増加等により純資産が増加しました。その結果、自己資本比率は67.3%(前連結会計年度末は66.7%)となり、財務基盤の健全性は維持されております。 (経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)当社グループは、事業の収益性評価基準として「売上高営業利益率」を、総合的な経営効率の評価基準として「自己資本利益率(ROE)」及び「投下資本利益率(ROIC)」を重要な経営指標と定め、その向上に努めることを目標としております。特にROICについては、「ROIC経営」の実践を通じて、稼ぐ力の強化によりROICの向上を図るとともに、「加重平均資本コスト(WACC)」の低減により、両数値の差であるEVAスプレッドを拡大することを目指します。なお、「VC28」においては、最終年度にROIC10.0%以上、ROE8.0%以上の達成を目標としております。 ③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。 当連結会計年度において、中国を中心とした海外事業が好調に推移したことで営業キャッシュ・フローはプラスとなりました。一方、投資については、成長に必要な投資の選択と集中で支出をコントロールし、フリー・キャッシュフローは589百万円となりました。 (財務政策)当社グループが事業活動から得た資金については、健全な財務基盤を維持しつつ、成長戦略投資と株主還元に最適なバランスで分配することを方針としております。ROICを経営の中核指標とし、収益性の改善、成長投資、株主還元を一体で考える経営への転換により、キャピタルアロケーションの基本方針に則り、資本コストや株価を意識した経営をより一層徹底してまいります。 資本コストや株価を意識した経営について(資本効率性の目標数値) 「VC28」の最終年度である2029年3月期において、ROEは8.0%以上、ROICは10.0%以上とし、ROE・ROICを株主資本コスト・WACC以上に引き上げることを目標としております。 (取組み) これらの目標達成のためには、資本収益性と株式市場での評価の両面において、向上に向けた取組みが必要と認識しております。具体的には、①DXと自動化の推進、特注品拡販による収益性の向上 ②安定配当の継続と機動的な自己株式取得による財務健全性と株主還元の両立 ③FA事業拡大とM&Aによる事業領域の拡大 ④積極的な情報開示とESG重視のIR強化による株主対話の推進 等に取組んでまいります。PBR1倍超の実現に向け、成長期待の醸成と株主・投資家との信頼関係を深め、市場から正当に評価される企業を目指します。 (キャピタルアロケーション) 「VC28」では、成長投資を最優先としつつ、株主還元にも注力する方針です。営業キャッシュフローを中心に、設備投資、M&A、R&D投資を行い、健全な財務構造を維持しながら企業価値向上につなげてまいります。 (株主還元方針) 株主還元については、配当性向30%以上、DOE3%以上を基準とした安定配当を継続いたします。また、市場環境や業績動向・財務状況を踏まえ、自己株式の取得を機動的に実施し、業績変動に左右されにくい還元方針をあわせることで、中長期的な株主価値の向上を目指してまいります。
事業リスク
- 中国におけるカントリーリスク: パンチ工業グループは1990年から中国で事業を展開しており、連結営業利益の重要な基盤となっています。しかし、政情不安、通商摩擦、反日感情の高まり、人件費の高騰などが生じた場合、事業環境が大きく変化し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
- 為替相場の変動リスク: グローバルに事業を展開しているため、人民元、米ドル、マレーシアリンギットなどの現地通貨建ての取引や海外子会社の決算を円に換算する際に、為替相場の変動が経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。特に人民元の変動は、売上や営業利益に大きな影響を及ぼす可能性があります。
- 主要原材料の仕入れ依存リスク: 主要原材料である鋼や超硬材の仕入れを特定の専門商社やメーカーに依存しています。これらの仕入先の経営戦略の変更、取引条件の大幅な変更、業績変動などがあった場合、原材料の安定供給が困難になったり、調達コストが増大したりする可能性があり、経営成績に影響を及ぼす恐れがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。(1)リスクマネジメント体制 当社グループは、全執行役員等で構成されるリスクマネジメント委員会を定期的に開催し、グループのリスクについて慎重かつ適正に審議を行っております。当委員会では、組織に関係する様々なリスクを一元的に洗い出し、その中でも当社グループとして事業に与える影響が大きなリスクを特定し対応策を講じるとともに、そのリスクの継続的なモニタリングを実施しております。また、リスクの発生可能性と影響度合いは、様々な社会環境の変化に応じて常に変動しているため、グループとして認識するリスクは定期的かつ必要に応じ随時見直しを行っております。(2)経営環境関連リスク ① 中国におけるカントリーリスクについて 当社グループは1990年より中国事業を行っており、商慣習や雇用面で日本と異なる環境の中にあって、これまで事業の撤退や大規模な雇用調整もなく現在に至っており、連結営業利益の重要な基盤となっております。今後とも、新たな加工技術の開発や成長が期待できる分野への販売強化により、事業の拡大を見込んでおりますが、政情不安、通商上の摩擦、反日感情の高まり、都市開発政策による立退き命令、人件費の高騰等、事業環境に大きな変化があった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対し、政治・経済情勢、事業活動を規制する法律や政策、都市開発政策等について注視する一方で、何らかの変化・変更があった場合には迅速に対応する体制としております。現状の中国情勢を勘案するとこれらリスクの発生可能性はあるものの、影響の程度については、限定的と認識しております。 ② 東南アジア及びその他の地域におけるカントリーリスクについて当社グループは、2013年のマレーシア工場完全子会社化を契機に、その後ベトナムに工場を設置するなど東南アジアでの事業を拡大しているほか、インドや欧米での事業展開にも取組んでおりますが、現地の政情不安、規制強化、経済状況の変化、通貨不安等により事業環境に大きな変化があった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対し政治・経済情勢、事業活動を規制する法律や政策等について注視し、何らかの変化・変更があった場合には迅速に対応する体制としておりますが、顕在化するリスクやその影響は様々であると認識しており、海外グループ会社の所在国の現状を考慮すると、いずれのリスクも顕在化する可能性は低いと考えております。 ③ 為替相場の変動について連結決算においては、海外グループ会社決算を現地通貨から邦貨換算いたしますので、制度的に人民元、米ドル、インドルピー、マレーシアリンギット等による為替変動リスクがあります。また、グローバル展開にともない、外貨建取引が増加し、為替が大きく変動した場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対しては取引通貨毎の債権債務のマリーや、先物為替予約等によるリスクヘッジ策を講ずるとともに、為替変動に左右されにくい体質づくりに取組んでおります。為替変動による影響額の予測は困難でありますが、連結決算における人民元の変動による換算額への影響額は、当連結会計年度において為替レートが1人民元あたり1円変動した場合、売上については約13億円、営業利益については約9千万円となります。 ④ 有利子負債について当社グループでは、事業拡大にともなう生産設備等への投資の実施により、相応の有利子負債残高を有しており、金融情勢や金融機関等の融資姿勢の変化により資金調達が困難となる場合や、市場金利の上昇等により資金調達コストが増大した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社は、主要取引金融機関とのコミットメントライン契約に「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりの財務制限条項が付されております。これに抵触した場合には最大で24億円の借入金について期限の利益を喪失することとなり、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対し当社グループでは、利益の確保や運転資金の圧縮による自己資金の創出により有利子負債依存度の軽減を図るほか、金融政策動向のモニタリングの実施や資金調達先の多様化の推進、取引金融機関との良好な関係を維持することで、資金調達リスクの低減を図っております。これらの影響については、顕在化するリスクの内容により、その影響額は様々であると認識しておりますが、昨今の金融情勢や金融機関等の融資姿勢を考慮すると、いずれのリスクも顕在化する可能性は低いと考えております。また、財務制限条項については、その遵守条件を充足するよう適切な事業運営を行っており、抵触する可能性は低いものと考えております。 (3)業界及び事業関連リスク ① 顧客の属する業界の動向について当社グループは、国内外で1万社を超える顧客と取引をしており、特定の顧客グループへ依存することのない、バランスのとれた顧客構造であると考えております。一方、これらの顧客の属する業界は、自動車関連、電子部品・半導体関連、家電・精密機器関連が多く、従って、これらの業界の市況や価格動向、競争激化等が、生産動向や設備投資動向を左右し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状、顧客及び顧客の属する業界の動向については、日常の営業活動による情報収集を基に分析等を行い、大きな変動が予見される場合は、営業政策や生産体制の変更を含む適切な対応策を講じております。なお、リスクの具現化の内容や規模により影響額は様々であり、また、経済情勢や顧客の属する業界の状況により発生可能性も異なるため、リスクの程度を予測することは困難であると考えております。 ② 競合について当社グループの事業である金型部品事業につきましては、技術面、価格面、納期面等において同業他社との競合がありますが、策定した事業戦略が計画通り進捗しない場合や、想定を超えた同業他社の動き等があった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。競合リスクについては日常的に顕在化する可能性があり、その影響については顕在化する内容により変動するため合理的に見積ることは困難であると考えております。現状の対応として、標準製品については、顧客ニーズに応じた製品開発やWeb受注などの顧客利便性の向上を図るほか、製造原価低減に積極的に取組み競争力の強化に努める一方、特注品については、高い技術力に裏打ちされた一気通貫の生産体制と顧客密着型の営業体制をより強化することで差別化を図っております。また、同業他社の1社と資本業務提携契約を締結し、両社の成長発展と社会貢献を企図し、新たな取組みをスタートさせております。従って、資本業務提携が計画通り進捗しない場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 主要原材料の仕入れについて当社グループは、主要原材料である鋼や超硬材等の仕入れの多くを特定の専門商社やメーカーに依存しております。当社グループは、これらの仕入先から、安定的に供給を受ける体制を構築しておりますが、仕入先の経営戦略の変更や取引条件の大幅な変更、業績変動などが、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これら仕入リスクについては主要仕入先との関係の維持・強化を図っており、現状、仕入先との友好的な取引関係に変化はなく安定的な原材料供給体制を維持・継続しております。従いまして当該リスクの顕在化の可能性は低いと考えております。 ④ 製品の品質について当社グループは、国際的な品質管理基準に基づき、製品の品質確保に万全を期しておりますが、製品の不具合による重大な事故、クレーム等の発生により損害賠償請求訴訟等が生じた場合、多額の補償費用等が発生する可能性があります。また、当該問題により、対象製品のみならず、当社グループの製品全体の評価にも重大な影響を与え、ブランドイメージの低下、顧客の流出などを招き、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状においては、当社グループは品質管理基準の適切な運用を実施しており、品質に関するリスクの顕在化の可能性は低いと考えております。 ⑤ 未開拓・新分野事業について当社グループは、既存のプラスチック金型部品やプレス金型部品に加え、今後の成長戦略として未開拓事業や新分野への事業参入を計画する場合がありますが、経済状況の変化、関連する技術革新の動向、競合他社等の動きによって計画が想定通り進捗しない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。未開拓や新分野事業に進出する場合は、ある程度リスクを受容することも必要と認識しておりますが、進出の際には当社の強みを活かせる分野に的を絞るほか、市場規模の算定や戦略体系の構築、競合先の状況把握等、事業シミュレーションを十分に行いリスクに備えております。これらのリスクが具現化した場合、その影響額は新規事業の規模や投資額等により異なるため予測は困難であると認識しております。 ⑥ 債権回収について当社グループは、国内外で1万社を超える顧客と取引をしており、それぞれの顧客に対して与信管理を徹底しておりますが、顧客の経営状態の悪化などにより債権回収が困難になった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。債権回収リスクに関しては、顧客の経営状態の把握や、売掛金年齢管理による回収促進の徹底、取引信用保険等の債権保全策の導入など対策を講じておりますが、そのリスクを完全に回避できるものではなく、経済情勢等によっても変化するものと認識しております。しかしながら当社グループの取引先は数も多く分散していることから、リスクが顕在化した場合、その影響額は限定的であると認識しております。 ⑦ 国内物流体制について当社グループは、国内物流について、資本業務提携先への業務委託により東京ロジスティクスセンター(以下、TLC)にて一括集中管理体制で運営することを基本とし、一部地域を除き翌日配送体制となっております。しかしながら、TLCでの何等かのトラブルや自然災害等による物流業務上での支障が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状、TLCにおける物流業務については、委託先に当社社員が常駐し定期的な打合せを実施する一方で、トラブル発生時や自然災害発生時の物流対応についてルールを策定するなど業務上のリスク回避に向けた取組みを行っており、当該リスクの発生の可能性は低いと考えております。 ⑧ 情報システムについて当社グループの事業は、販売管理システム及び生産管理システムをベースにオペレーションが行われているほか、様々な業務管理システムとコミュニケーションツール等を利用して日常業務が行われており、これらのシステムの運用上の安全性は十分に確保されていると考えております。しかしながら、自然災害、ハードウエア・ソフトウエアの不具合等を原因とするシステム障害や、ネットワークへの不正アクセス、コンピューターウイルスの感染等による情報漏洩など、予測不可能な事象が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状、当社グループでは、各管理システムの安定稼働を維持するためデータセンターの活用を進めるとともに、情報システムの安全性や情報セキュリティ強化のため、関連規程を整備し、グループが保有する情報を適切に管理しております。また、昨今、在宅勤務等の拡大もあり、通信ネットワークの監視を通じた外部からの攻撃への対応等を強化するとともに、従業員の情報セキュリティ意識の向上を図るため教育・訓練を実施し、リスクの低減を図っております。これらの対応策により当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えております。 ⑨ 固定資産について当社グループは、顧客の幅広いニーズに対応すべく多くの生産設備等の固定資産を保有しております。これらについては「固定資産の減損に係る会計基準」を適用し、現時点で必要な減損処理は実施しておりますが、今後当社事業所及びグループ会社における損益やキャッシュ・フローの状況等によっては、さらに減損処理が必要となり当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、現時点で当該リスクの顕在化による当社グループへの影響は限定的であると認識しておりますが、今後、経営環境の変化を注視しながら、さらなる受注獲得やコスト低減に取組んでまいります。(4)その他のリスク ① 人材について当社グループは、優秀な人材の確保と育成を重要課題としております。グループの人事制度に基づいた人事諸施策を実施し、必要に応じ社外からの有能な人材を確保するとともに、グループにおいて定めた人材育成方針に基づき、多様な施策や取組みから人材の育成を行っております。しかしながら、これらの諸施策が有効に機能しなかった場合や、人材市場の状況により必要人材のタイムリーな確保ができない場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状においては、社員の働き方を改革し、ワークライフバランスの最適化やダイバーシティ経営の実現に向けた取組み等を推進しております。また採用計画に基づく適切な採用活動を通じて安定した人材確保に努めており、これらのリスクが顕在化する可能性は低いと考えております。 ② 重要な訴訟等について当社グループが、国内外で事業を行っていくうえで、各国の法制度の違いなどにより、知的財産権に関する訴訟の当事者となる可能性があります。このほか、事業を行っていくうえで重要な訴訟等が提起された場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいては、保有する知的財産権の維持・保護には最善の努力を尽くしており、また事業に係る法律関連事項については専門家と十分協議して推進しており、現状、第三者との間で訴訟に発展するような案件が発生する可能性は低いと考えております。 ③ 税制度について当社グループは、各国の税法を遵守し事業活動を行っておりますが、事業のグローバル化の進展にともない、特に海外において、税制の改正や税務行政の変更、また、税務申告や移転価格税制における各国の税務当局との見解の相違等により、予期せぬ税負担が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの対策として、各国の税制の理解や新たな税制改正の内容を正確に把握するなどグループ内の情報共有を緊密に行い、また、移転価格税制については、適宜専門家とも協議しながら移転価格ポリシーの整備等を進めており、これらのリスクが顕在化する可能性は低いと考えております。 ④ 環境対策について当社グループは、企業の社会的責任として、環境問題への取組みを非常に重要な課題と位置付けておりますが、予期せぬ環境問題が発生した場合や、関連法規などの改正等により、生産設備の変更や廃棄物処理方法の変更が必要となった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。現状、当社グループにおいては、「環境理念」や「環境行動指針」を定めるなど、環境問題に積極的に取組んでおり、当該リスクの顕在化の可能性は低いと考えております。 ⑤ 災害・感染症等について当社グループは、日本国内の他、中国・東南アジア・インド・米国に製造・販売拠点等をもって事業を運営しておりますが、これらの事業拠点において、地震、台風等の自然災害や火災等の事故災害が発生した場合、あるいはそれらの災害により電力供給や通信インフラ等に深刻な支障が生じた場合、また、戦争・テロ等の勃発や感染症が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの災害等のリスクに対しては、被害の最小化と早期復旧を目的に、災害対応規程やBCP対応ガイドラインを定め、危機管理の徹底と速やかな対応体制の整備を図っております。また、感染症が発生した場合の対応策として、従業員の健康維持と感染拡大の防止を目的に、在宅勤務やWeb会議等の積極的な活用や従業員の体調管理の徹底を行うこととしております。これら災害や感染症等のリスクについては全てを回避することはできず、また、リスクの影響額を予測することは極めて困難であると考えております。