事業の概要
- エレベーターの一貫事業守谷輸送機工業は、エレベーターの製造から販売、設置、そして設置後の保守・修理までを一貫して手掛ける専業メーカーです。特に荷物用エレベーターと船舶用エレベーターに強みを持ち、製品を販売して終わりではなく、長期的な保守契約を通じて安定した収益を確保するビジネスモデルを展開しています。
- 荷物用エレベーターが主力主に工場や倉庫向けの荷物用エレベーターを扱っており、フォークリフトの使用に耐える堅牢性や、冷凍・冷蔵倉庫向けの結露対策など、使用環境に応じた特殊な性能が求められる製品を提供しています。積載荷重2トン以上の中大型エレベーターや垂直自動搬送機「マックリフター」などが主な製品です。
- 保守・修理で安定収益エレベーターの販売だけでなく、設置後の保守・修理事業が収益の柱となっています。フルメンテナンス契約やPOG契約といった形で顧客と契約を結び、定期的な点検や故障時の修理を行うことで、長期にわたる安定した収益源を確保しています。これは、エレベーター業界全体で一般的なビジネスモデルです。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- エレベーター事業の単一セグメント守谷輸送機工業グループは、エレベーターの製造、販売、設置、保守・修理事業のみを行っており、事業セグメントは「エレベーター事業」の単一です。そのため、有価証券報告書ではセグメント別の詳細な記載は省略されています。
- 荷物用エレベーターが主力製品国内事業では、工場や倉庫向けの荷物用エレベーターが主要な稼ぎ頭です。2023年度の新規設置台数は392台で、そのうち工場・倉庫向けが386台を占めています。特に積載荷重3トン以上の大型エレベーターが362台と多く、中大型の荷物用エレベーターに強みを持っています。
- 船舶用エレベーターと海外展開船舶用エレベーターも重要な製品の一つで、大型外航船やフェリー向けに提供されています。国内だけでなく、中国や台湾などのアジア地域でも事業を展開しており、上海守谷電梯有限公司が中国での資材調達や船舶用エレベーターの設置・保守業務を担い、海外市場での収益確保にも貢献しています。
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3 【事業の内容】当社グループは、当社及び非連結子会社1社(上海守谷電梯有限公司)の計2社により構成されており、国内及び海外において、各種エレベーター及び垂直自動搬送機等の設計・開発、製造、販売、据付、保守・修理並びにリニューアル(保全修理・入替)に係る事業を行っております。なお、当社グループはエレベーター事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 (1) 事業の特徴当社は、1950年3月の設立以来、エレベーター専業メーカーとして、荷物用エレベーターを主力に、顧客の使用環境や搬送条件に応じた製品及びサービスを提供してまいりました。現在では、設計・開発、製造、販売、据付、保守・修理及びリニューアルまでを一貫して担う体制を整備し、新設・入替時の製品供給に加え、設置後のメンテナンス、修理、予防保全を目的とした修理、入替に対応する事業モデルを展開しております。国内では、主に荷物用及び船舶用エレベーターに係る事業活動を営んでおります。当社は3つの工場とサービスセンター、テクニカルセンター、鳥浜製品管理センター、11の支店・事務所及び保守・修理業務の委託先として50のサービス拠点を有して国内の全地域をカバーしているほか、本社内に「守谷サービス情報センター」を設置し、保守契約先からのエレベーター等の異常/故障の発生連絡に対して24時間365日の受付対応を行うなど、経営資源をエレベーター事業に集中して投下することで顧客の様々なニーズに応えております。海外では、上海守谷電梯有限公司が中国における資材調達窓口として当社の購買代理業務を担っており、当社グループの仕入コストの低減及び安定調達に寄与しております。また、中国等において、船舶用エレベーターの据付支援、部品供給等に係る業務を行っております。当社グループは、新設需要への対応に加え、保守・修理及びリニューアルに係る需要に継続的に対応することで、顧客への長期的な価値提供と安定的な収益基盤の形成を図っております。 (2) 主な製品・サービス① エレベーターa.荷物用エレベーターエレベーターは、人や荷物を載せて垂直又は斜めに移動させる昇降装置であり、かご(※1)の水平投影面積(※2)が1㎡超、又は天井の高さが1.2m超の大きさのものをいいます。用途に応じて、乗用、寝台用、荷物用、自動車用等に分類されます。分 類用 途 等乗用専ら人の輸送を目的としたもので、人荷共用(人・荷物共用)を含む寝台用病院、養護施設等において、寝台やストレッチャー(移動式寝台)に乗せた患者を輸送することを主目的とするもの荷物用専ら荷物を輸送することを目的とするもの自動車用専ら駐車場に設置され、自動車を輸送することを目的とするもの 当社は、主として荷物用エレベーターを取り扱っております。荷物用エレベーターは、物流施設、冷凍・冷蔵倉庫、半導体関連工場、その他の工場、データセンター、研究開発施設等において、重量物や大型荷物を安全かつ効率的に搬送するために使用されます。そのため、かご床や出入口まわりの堅牢性、フォークリフト等による長期使用に耐える耐久性、冷凍・冷蔵環境における結露対策、搬送作業における操作性及び安全性等が求められます。当社では、積載荷重(※3)が大きい中大型エレベーターを中心に、設置建物の用途、搬送物、使用頻度及び顧客の運用方法に応じた個別仕様への対応を行っております。また、荷物を連続して搬送できる垂直自動搬送機「マックリフター」、冷凍・冷蔵倉庫向けエレベーター、自動車用エレベーター、人荷共用エレベーター等、顧客の多様なニーズに対応した製品を展開しております。 荷物用大型エレベーターの設置例 マックリフターの設置例 当事業年度におけるエレベーター機種別等の設置台数は下表のとおりです。(単位:台) 区 分新規設置台数入替台数合 計荷 物 用大型(積載荷重3t以上)377( 15 )6(△11)383( 4 )中小型( 〃 3t未満)21( 10 )10( 7)31( 17 )小 計398( 25 )16( △4)414( 21 )人荷共用その他21( 4 )-( -)21( 4 )マックリフター-(△2 )9( 6)9( 4 )合 計419( 27 )25( 2)444( 29 ) (注)1.( )内の台数は、前事業年度と比較した増減台数です。2.「入替台数」は、既存のエレベーターを撤去し新たなエレベーターを設置した台数です。3.建物用途別の新規設置台数は次のとおりです。建 物 用 途新規設置台数(台)工 場・倉 庫416( 30 )そ の 他3( △3 )合 計419( 27 ) b.船舶用エレベーター船舶用エレベーターは、造船会社等を主な顧客として、大型外航船(※4)、フェリー等に設置されるエレベーターです。船舶用エレベーターには、建物用エレベーターとは異なり、船舶の振動、揺動、衝撃、海上環境における錆や水の飛沫等に対応する構造、防錆性及び防沫性能(※5)が求められます。当社では、シンドラーエレベータ株式会社から船舶用エレベーターの技術等を譲り受けて2003年8月に船舶用エレベーターの販売を開始して以来、国内及びアジア市場を中心に事業を展開しております。 ② 保守・修理当社では、自社製エレベーターを中心に、顧客との間でエレベーターに関する保守契約・点検契約を締結し、建築基準法や労働安全衛生法で義務付けられた定期検査・定期点検、メンテナンス、修理、部品交換等を行っております。契約形態としては、主にフルメンテナンス契約(保守契約)とPOG契約(点検契約) があります。契約の種類契約内容の特徴等フルメンテナンス契約(保守契約)エレベーターの運転機能を常に安全かつ良好に維持するため、点検・調整、修理、部品交換等を行い、人為的・外的要因等による場合を除き、部品交換・修理費用が定額の契約料金に含まれる。POG契約(点検契約)「P:パーツ」「O:オイル」「G:グリス」の頭文字を取ったもので、基本的な点検を中心とし、点検の結果、部品交換や修理等が必要となった場合に、顧客に別途費用が発生する。 当社は、保守・修理及びリニューアルを、製品の販売・据付後も継続的に発生する重要な事業と位置付けており、保守・点検契約台数の積上げ、保守品質の向上、故障・不具合の未然防止及び計画修理の提案に取り組んでおります。また、老朽化した既設エレベーターについては、修理対応に加え、部分改修及び入替更新の提案を行うことで、顧客の安全かつ安定的な運用を支援しております。 ※1.エレベーターの人や荷物を乗せる箱 ※2.真上から見たときの面積 ※3.積載する荷物の最大重量 ※4.自国と外国の間を結ぶ外国航路に就航する船舶 ※5.錆や水の飛まつによる有害な影響を防ぐ性能 当社グループの事業系統図は次のとおりです。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 原材料価格や賃金上昇時に販売価格への転嫁を進める方針であるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 規制 建設業法に基づく一般建設業許可、クレーン等安全規則に基づくエレベーター製造許可が必要。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:資材等の調達コスト上昇 / 賃金の上昇 / 人材の確保及び育成
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
守谷輸送機工業は、特定のブランド力や特許、規制ライセンス、独占的IPに関する公開情報が乏しく、無形資産による競争優位性は現時点では確認できません。
スイッチングコスト★★☆☆☆
コンベヤシステムは、一度導入すると設備投資が大きく、既存システムとの互換性や運用ノウハウの蓄積から、顧客が他社製品へ乗り換える際のスイッチングコストは一定程度存在すると考えられます。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
同社の事業は、特定のプラットフォーム上でユーザーが増えることで価値が増大するようなネットワーク効果を生むビジネスモデルではありません。
コスト優位★☆☆☆☆
大量生産による規模の経済や、独自の製造プロセスによる顕著なコスト優位性を示す情報は確認されていません。標準的な製造業のコスト構造と考えられます。
規模の経済★★★☆☆
コンベヤシステム業界において、守谷輸送機工業は一定のシェアを持ち、特定の分野(例:物流センター向け)で存在感を示しています。業界規模に対して最適な少数寡占の一角を担っている可能性があります。
- 荷物用・船舶用特化の技術力同社は荷物用エレベーターと船舶用エレベーターに特化しており、それぞれの用途に合わせた高い技術力とノウハウを持っています。例えば、荷物用では堅牢性や特殊環境対応、船舶用では船の揺れや衝撃に耐える構造、防錆・防沫性能など、専門的な要求に応える製品を提供できる点が強みです。
- 全国をカバーする保守体制国内に2つの工場、テクニカルセンター、サービスセンター、10の支店・事務所、そして51のサービス拠点を持ち、国内全域をカバーする広範な保守・修理ネットワークを構築しています。さらに「守谷サービス情報センター」を設置し、24時間365日の受付対応を行うことで、顧客の緊急ニーズに迅速に対応できる体制が整っています。
- 中国での資材調達と事業展開非連結子会社である上海守谷電梯有限公司が中国における資材調達窓口として機能しており、グループ全体の仕入れコスト削減に貢献しています。また、中国市場においても船舶用エレベーターの設置や保守業務を展開しており、アジア市場での事業基盤を築いている点も競争優位性の一つです。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものです。 (1) 会社経営の基本方針当社は、「信頼と誠実」を社是とし、「安全」、「堅牢」、「融通性」という基本コンセプトを守りながら、お客様の安全・安心を第一に、質実堅牢な製品づくりで「お客様の声」に応え続けていくことを経営方針としております。具体的には、次の全社活動方針を掲げて、製品品質の維持・向上を重点課題として取り組んでおります。① 原価低減と生産性向上に向けた活動の推進② 特色ある製品や仕組み、サービスの創造③ 安定した製品品質と故障の削減④ 労働災害ゼロ活動の推進⑤ 情報システム、データの利活用推進 (2) 経営上の目標を達成するための客観的な指標等当社では、持続的な成長と収益性の向上を図ることで企業価値を高めていくことが経営上の重要課題であると認識しており、売上高総利益率及び売上高営業利益率を主要な指標と位置付けております。 (3) 経営環境一般社団法人日本エレベーター協会刊行「ElevatorJournalNo.55 2025.8」によると、2024年度の国内におけるエレベーター(ホームエレベーターを除く。)の新規設置台数は、建設業における2024年問題の影響等により、前年度比4.5%減の19,563台、建物用途別では、当社の主な顧客である工場・倉庫向けエレベーターは同比7.6%減の2,222台、当社の主要製品である荷物用エレベーターは同比8.2%減の1,236台となりました。保守台数については、累積設置台数の増加に伴って、同比2.0%増の687,078台となりました。工場・倉庫向けの荷物用エレベーターについては、eコマース市場の拡大等を背景とした物流施設に対する投資意欲は、引き続き底堅く推移すると見込んでおり、保守・修理に対する需要の継続的な増加と合わせて、当社のビジネス機会にプラスとなるものと判断しております。船舶用エレベーターについては、造船市況の影響を受けますが、海運市況の改善などから新造船への需要は回復してきております。また、環境負荷が低いアンモニアや水素を燃料とする次世代船などへのニーズもあり、船舶用エレベーターに対する潜在的な需要は大きいものと判断しております。 (4) 中長期的な会社の経営戦略エレベーター業界の大手各社がグローバルな生産・販売体制を敷いてインド・東南アジアを中心に積極的な海外展開を図っている状況のなか、当社といたしましては、経営資源を主に国内での荷物用エレベーターの製造、販売、据付及び保守・修理の一貫した事業並びに国内外での競争力を備えた船舶用エレベーターの分野に集中して投下することで競争力を高める方針としております。今後は経営環境等を踏まえ、次の「事業戦略」を展開して持続的な成長と企業価値の向上の実現を目指してまいります。① 荷物用エレベーターの販路拡大に努めます。 荷物用エレベーターの販売における主要な取引先は物流施設・倉庫関連ですが、顧客ニーズの多様化を受けて、製造業の工場やデータセンター・都市再開発案件など、周辺領域からの受注が増加しております。荷物用エレベーターの販路拡大は、その後の保守・修理や入替といったリピート需要の増加にもつながることから、さらなる営業強化に努めてまいります。 ② 船舶用エレベーターの販売拡大を図ります。 造船業は、日本政府の総合経済対策における重点戦略の一つとして、今後積極的な支援が期待されるとともに、環境対策や世界的な物流量の回復に伴って新造船への投資需要が高まることが見込まれることから、荷物用エレベーターの実績・ノウハウを活かした新製品の開発や設計部門の増強などの施策を講じて、船舶用エレベーターの拡販を図ってまいります。③ 自社製エレベーターの安全かつ安定的な稼働を確保するための「予防保全」を積極的に提案し、保守・修理売上高の拡大に努めます。 近年、社会インフラの老朽化・脆弱性に対する危機意識の高まりを受けて、当社のお取引先からもエレベーターの稼働停止に伴う業務停滞リスクを回避するためのメンテナンスニーズが増加しております。当社の保守契約エレベーターの点検・稼働状況などの最新情報をデータベース化したうえで、計画的な修理対応を積極的にご提案することにより、故障・不具合による稼働停止を未然に防止するとともに、保守・修理売上のさらなる増加を図ってまいります。④ 生産・技術力の高度化とデジタル活用により、コスト競争力の強化を図ります。 既存事業の収益力向上には、売上の拡大とともに、コスト競争力のさらなる強化が重要と考えております。当社は、2025年12月に製品開発拠点等の建設用地として取得した土地・建物(仮称:福浦第2工場)を活用して、生産体制の最適化を図るとともに、製品品質の向上とコストダウンを両立するための研究開発を加速してまいります。また、本社工場内のテストタワーに加えて、当該敷地に「第2テストタワー」の建設(2029年3月期末に竣工予定)を計画していきます。併せて、最新のデジタル技術を積極的に取り入れて、デジタル基盤の強化、保守サービスの高度化、顧客接点のデジタル化などを推進してまいります。⑤ 荷物用エレベーターの横展開を目指した新規事業への種まきを積極的に推進します。 当社の主力製品である中・大型荷物用エレベーターで培ってきた技術力と販売力を活かして、高機能・超大型など、当社ならではの高付加価値製品の販売を強化するとともに、新たな領域として人荷用エレベーターなどの開発・販売にも着手してまいります。また、物流施設や工場の自動化の進展を見据え、次世代エレベーター機能や、搬送ロボットなどとの連携を視野に入れた製品・技術の開発も検討してまいります。⑥ 持続的な企業価値向上に資する人材の確保・育成に努めます。 持続的な企業価値向上において、人材は最大の資産であると考え、人材の確保・育成に向けて、積極的な投資を行ってまいります。人材の確保については、既存事業を支える人材とともに、DX・AIなどの成長領域に必要となる専門性の高い人材の確保に努めていきます。併せて、これまで培ってきた技術力・専門性の継承を進めつつ、将来のマネジメントを担う次世代リーダーの育成に向けた、中長期視点での人材育成体系の構築など、人材の育成にも積極的に取り組んでまいります。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社では「事業戦略」の推進に注力するとともに、次の経営課題に対処してまいります。① 資材等の安定的な調達と販売価格見直しによるコストアップの吸収 国内外の複数の調達先との取引関係を強化して、安定的な資材調達ができる体制を確保してまいります。輸入資材を含む資材価格の上昇、外注費や運搬費、従業員人件費の上昇等を、企業努力により吸収することができない場合には、販売価格の見直しを検討してまいります。② (仮称)福浦第2工場の活用 2025年12月に取得した仮称:福浦第2工場を活用して、工場の生産機能の最適化を進めるとともに、本社工場周辺に点在している倉庫を整理・集約することで、生産の効率化を図ってまいります。③ リニューアル需要(保全修理・入替)案件への対応強化 インフラ・各種施設の老朽化に対するリスク管理意識が高まる中で、当社の保守契約先に対して計画的な「保全修理」の提案を、引き続き積極的に行うことにより、自社製エレベーターの安全かつ安定的な稼働の確保に取り組んでまいります。また、中長期的に潜在需要が見込まれる入替案件の受注にも取り組んでまいります。 ④ 人材の確保・育成 持続的な企業価値向上において人材は最大の資産であり、優秀な人材の確保とその育成に取組んでまいります。具体的には、ベースアップ(4年連続)等により、従業員の待遇改善を図るとともに、技術研修部(2024年4月設置)において従業員の基礎教育研修に力を入れています。また、2025年3月期に続き、2026年3月期も教育・採用担当者の増員を行うなど、新卒・中途の積極的な採用を更に進めております。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものです。 (1) 会社経営の基本方針当社は、「信頼と誠実」を社是とし、「安全」、「堅牢」、「融通性」という基本コンセプトを守りながら、お客様の安全・安心を第一に、質実堅牢な製品づくりで「お客様の声」に応え続けていくことを経営方針としております。具体的には、次の全社活動方針を掲げて、製品品質の維持・向上を重点課題として取り組んでおります。① 原価低減と生産性向上に向けた活動の推進② 特色ある製品や仕組み、サービスの創造③ 安定した製品品質と故障の削減④ 労働災害ゼロ活動の推進⑤ 情報システム、データの利活用推進 (2) 経営上の目標を達成するための客観的な指標等当社では、持続的な成長と収益性の向上を図ることで企業価値を高めていくことが経営上の重要課題であると認識しており、売上高総利益率及び売上高営業利益率を主要な指標と位置付けております。 (3) 経営環境一般社団法人日本エレベーター協会刊行「ElevatorJournalNo.55 2025.8」によると、2024年度の国内におけるエレベーター(ホームエレベーターを除く。)の新規設置台数は、建設業における2024年問題の影響等により、前年度比4.5%減の19,563台、建物用途別では、当社の主な顧客である工場・倉庫向けエレベーターは同比7.6%減の2,222台、当社の主要製品である荷物用エレベーターは同比8.2%減の1,236台となりました。保守台数については、累積設置台数の増加に伴って、同比2.0%増の687,078台となりました。工場・倉庫向けの荷物用エレベーターについては、eコマース市場の拡大等を背景とした物流施設に対する投資意欲は、引き続き底堅く推移すると見込んでおり、保守・修理に対する需要の継続的な増加と合わせて、当社のビジネス機会にプラスとなるものと判断しております。船舶用エレベーターについては、造船市況の影響を受けますが、海運市況の改善などから新造船への需要は回復してきております。また、環境負荷が低いアンモニアや水素を燃料とする次世代船などへのニーズもあり、船舶用エレベーターに対する潜在的な需要は大きいものと判断しております。 (4) 中長期的な会社の経営戦略エレベーター業界の大手各社がグローバルな生産・販売体制を敷いてインド・東南アジアを中心に積極的な海外展開を図っている状況のなか、当社といたしましては、経営資源を主に国内での荷物用エレベーターの製造、販売、据付及び保守・修理の一貫した事業並びに国内外での競争力を備えた船舶用エレベーターの分野に集中して投下することで競争力を高める方針としております。今後は経営環境等を踏まえ、次の「事業戦略」を展開して持続的な成長と企業価値の向上の実現を目指してまいります。① 荷物用エレベーターの販路拡大に努めます。 荷物用エレベーターの販売における主要な取引先は物流施設・倉庫関連ですが、顧客ニーズの多様化を受けて、製造業の工場やデータセンター・都市再開発案件など、周辺領域からの受注が増加しております。荷物用エレベーターの販路拡大は、その後の保守・修理や入替といったリピート需要の増加にもつながることから、さらなる営業強化に努めてまいります。 ② 船舶用エレベーターの販売拡大を図ります。 造船業は、日本政府の総合経済対策における重点戦略の一つとして、今後積極的な支援が期待されるとともに、環境対策や世界的な物流量の回復に伴って新造船への投資需要が高まることが見込まれることから、荷物用エレベーターの実績・ノウハウを活かした新製品の開発や設計部門の増強などの施策を講じて、船舶用エレベーターの拡販を図ってまいります。③ 自社製エレベーターの安全かつ安定的な稼働を確保するための「予防保全」を積極的に提案し、保守・修理売上高の拡大に努めます。 近年、社会インフラの老朽化・脆弱性に対する危機意識の高まりを受けて、当社のお取引先からもエレベーターの稼働停止に伴う業務停滞リスクを回避するためのメンテナンスニーズが増加しております。当社の保守契約エレベーターの点検・稼働状況などの最新情報をデータベース化したうえで、計画的な修理対応を積極的にご提案することにより、故障・不具合による稼働停止を未然に防止するとともに、保守・修理売上のさらなる増加を図ってまいります。④ 生産・技術力の高度化とデジタル活用により、コスト競争力の強化を図ります。 既存事業の収益力向上には、売上の拡大とともに、コスト競争力のさらなる強化が重要と考えております。当社は、2025年12月に製品開発拠点等の建設用地として取得した土地・建物(仮称:福浦第2工場)を活用して、生産体制の最適化を図るとともに、製品品質の向上とコストダウンを両立するための研究開発を加速してまいります。また、本社工場内のテストタワーに加えて、当該敷地に「第2テストタワー」の建設(2029年3月期末に竣工予定)を計画していきます。併せて、最新のデジタル技術を積極的に取り入れて、デジタル基盤の強化、保守サービスの高度化、顧客接点のデジタル化などを推進してまいります。⑤ 荷物用エレベーターの横展開を目指した新規事業への種まきを積極的に推進します。 当社の主力製品である中・大型荷物用エレベーターで培ってきた技術力と販売力を活かして、高機能・超大型など、当社ならではの高付加価値製品の販売を強化するとともに、新たな領域として人荷用エレベーターなどの開発・販売にも着手してまいります。また、物流施設や工場の自動化の進展を見据え、次世代エレベーター機能や、搬送ロボットなどとの連携を視野に入れた製品・技術の開発も検討してまいります。⑥ 持続的な企業価値向上に資する人材の確保・育成に努めます。 持続的な企業価値向上において、人材は最大の資産であると考え、人材の確保・育成に向けて、積極的な投資を行ってまいります。人材の確保については、既存事業を支える人材とともに、DX・AIなどの成長領域に必要となる専門性の高い人材の確保に努めていきます。併せて、これまで培ってきた技術力・専門性の継承を進めつつ、将来のマネジメントを担う次世代リーダーの育成に向けた、中長期視点での人材育成体系の構築など、人材の育成にも積極的に取り組んでまいります。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社では「事業戦略」の推進に注力するとともに、次の経営課題に対処してまいります。① 資材等の安定的な調達と販売価格見直しによるコストアップの吸収 国内外の複数の調達先との取引関係を強化して、安定的な資材調達ができる体制を確保してまいります。輸入資材を含む資材価格の上昇、外注費や運搬費、従業員人件費の上昇等を、企業努力により吸収することができない場合には、販売価格の見直しを検討してまいります。② (仮称)福浦第2工場の活用 2025年12月に取得した仮称:福浦第2工場を活用して、工場の生産機能の最適化を進めるとともに、本社工場周辺に点在している倉庫を整理・集約することで、生産の効率化を図ってまいります。③ リニューアル需要(保全修理・入替)案件への対応強化 インフラ・各種施設の老朽化に対するリスク管理意識が高まる中で、当社の保守契約先に対して計画的な「保全修理」の提案を、引き続き積極的に行うことにより、自社製エレベーターの安全かつ安定的な稼働の確保に取り組んでまいります。また、中長期的に潜在需要が見込まれる入替案件の受注にも取り組んでまいります。 ④ 人材の確保・育成 持続的な企業価値向上において人材は最大の資産であり、優秀な人材の確保とその育成に取組んでまいります。具体的には、ベースアップ(4年連続)等により、従業員の待遇改善を図るとともに、技術研修部(2024年4月設置)において従業員の基礎教育研修に力を入れています。また、2025年3月期に続き、2026年3月期も教育・採用担当者の増員を行うなど、新卒・中途の積極的な採用を更に進めております。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概況当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。なお、当社はエレベーター事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載は省略しております。 ① 財政状態及び経営成績の状況 経営成績 当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善により、緩やかな回復基調で推移しましたが、米国の通商政策の影響のほか中東情勢の緊迫化による資源価格の上昇に伴い、更なる物価上昇が見込まれるなど、その先行きは依然として不透明な状況が続いております。 主として荷物用エレベーターを製造・販売、据付及び保守・修理を展開する当社としましては、製造・販売において、建物建築スケジュールが技術労働者不足の影響等により遅れたため、当社のエレベーター工事の着工が先送りされる案件があったほか、マルチテナント型の物流施設の需要に一服感があるものの、半導体などの工場、データセンター、冷凍冷蔵倉庫等の高付加価値案件の需要が増加しており、受注状況は概ね堅調です。 保守・修理においては、保守・点検契約台数が7,700台を超えました。エレベーターの安全かつ安定的な稼働を確保するための「予防保全」を目的とした修理案件は、顧客ニーズと相まって伸長しました。 また、原価・運用面においては、海外を含む調達先の見直し、部品の見直し、内製化による原価コントロールを引き続き進めており、その一環として、2026年3月に芳賀工場が稼働開始しました。人員増強による施工能力・保全能力の拡充にも継続して取り組んでいます。この結果、当事業年度の売上高は23,589,633千円(前事業年度比21.4%増)、営業利益は6,071,257千円(同48.3%増)、経常利益は6,127,678千円(同46.0%増)、当期純利益は4,138,302千円(同45.7%増)となりました。なお、当事業年度末における受注残高は23,755,115千円(前事業年度末比10.6%増)となりました。 財政状態 (資産)当事業年度末における総資産は、20,854,309千円(前事業年度末17,190,150千円)となり、3,664,158千円増加しました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産の増加1,522,293千円、芳賀工場の竣工等による建物(純額)の増加337,086千円、製品開発拠点等の建設用地(横浜市金沢区 仮称:福浦第2工場)の取得に伴う土地の増加2,698,775千円、現金及び預金の減少1,431,494千円によるものです。 (負債)当事業年度末における負債は、5,969,680千円(前事業年度末5,702,753千円)となり、266,926千円増加しました。これは主に、未払法人税等の増加476,837千円、未払費用の増加246,743千円、前受金の増加101,232千円、支払手形の減少517,891千円によるものです。 (純資産)当事業年度末における純資産は、14,884,628千円(前事業年度末11,487,397千円)となり、3,397,231千円増加しました。これは、配当金の支払による減少844,887千円、当期純利益の計上による増加4,138,302千円などによるものです。 ② キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べ1,431,560千円減少し、4,308,064千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は2,763,921千円(前事業年度は1,997,480千円の収入)となりました。収入の主な内訳は、税引前当期純利益が6,127,678千円、減価償却費が176,985千円、未払費用の増加額が246,743千円、前受金の増加額が101,232千円です。支出の主な内訳は、法人税等の支払額が1,629,026千円、売上債権及び契約資産の増加額が1,522,295千円、仕入債務の減少額が446,757千円、棚卸資産の増加額が211,761千円となります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動に使用した資金は3,341,292千円(前事業年度は261,322千円の支出)となりました。支出の主な内訳は、製品開発拠点等の建設用地(仮称:福浦第2工場)の取得及び芳賀工場の竣工等に伴う有形固定資産の取得による支出3,257,961千円となります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動に使用した資金は846,298千円(前事業年度は499,226千円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額844,887千円によるものです。 ③ 生産、受注及び販売の状況当社はエレベーター事業の単一セグメントであるため、「生産、受注及び販売の状況」につきましては、セグメント別の記載を省略しております。 a.生産・販売実績当事業年度における生産・販売実績を売上種類ごとに示すと、次のとおりです。 売上種類の名称生産高・販売高(千円)前事業年度比(%)エレベーター(船舶用を除く。)10,733,619112.6船舶用エレベーター1,021,079115.3保守・修理10,786,722119.9合計22,541,420116.1 (注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。2.「船舶用エレベーター」には部品の販売額が、「保守・修理」には保守点検業務にかかる受託金額がそれぞれ含まれております。 b.受注実績当事業年度における受注実績を売上種類ごとに示すと、次のとおりです。 売上種類の名称受注高(千円)前事業年度比(%)受注残高(千円)前事業年度比(%)エレベーター(船舶用を除く。)12,712,74694.618,363,654112.1船舶用エレベーター1,582,626140.72,916,364123.8保守・修理5,286,358104.02,475,09690.4合計19,581,73099.723,755,115110.6 (注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。2.「保守・修理」については、修理・改修業務にかかる受注高及び受注残高を記載しており、保守契約に基づく保守点検業務については、受注高及び受注残高に含めておりません。3.上記金額のうち外貨建については、㈱三菱UFJ銀行が公表した各期末日におけるTTM(公表仲値)によって円換算しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりです。当社は、財務諸表作成において必要な見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報等を勘案した上で行っておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(売上高)当事業年度の売上高は23,589,633千円(前事業年度比21.4%増)となりました。売上種類別の変動要因は次のとおりです。a. 「エレベーター(船舶用を除く。)」の売上高は、おおむね順調に推移し、11,821,082千円(前事業年度比24.4%増)となり、このうち、新規設置の売上高は10,664,482千円(同27.3%増)、入替の売上高は1,156,599千円(同2.5%増)となりました。なお、設置台数は、 新規設置が419台(前事業年度は392台)、入替が25台(同23台)です。b.「船舶用エレベーター」の売上高は、堅調な受注を背景に981,828千円(前事業年度比4.7%増)となりました。 c.「保守・修理」の売上高は、保守台数、修理工事ともに順調に推移し、10,786,722千円(前事業年度比19.9%増)となりました。なお、保守・点検契約の新規契約台数は343台(前事業年度は429台)、再契約台数は48台(同53台)、解約・休止台数は109台(同152台)、期末の保守・点検契約台数は7,727台(同7,445台)となりました。(売上原価、売上総利益)当期製品製造原価は15,203,483千円(前事業年度比13.5%増)となりました。このうち、当期総製造費用に材料費が占める割合は、原価コントロール等により低下しました。同じく労務費が占める割合は、人員増加、内製化等により、前事業年度に比して上昇しました。工事損失引当金戻入額18,195千円(前事業年度は128,827千円の戻入)の計上などにより、売上原価は15,182,924千円(前事業年度比14.5%増)、売上総利益は8,406,708千円(同36.1%増)、売上高総利益率は、35.6%(前事業年度は31.8%)となりました。 (販売費及び一般管理費、営業利益)販売費及び一般管理費は、2,335,451千円(前事業年度比12.2%増)となりました。人員増に伴い主として人件費が増加しております。以上の結果、営業利益は、6,071,257千円(前事業年度比48.3%増)となり、売上高営業利益率は25.7%(前事業年度は21.1%)となりました。 (営業外損益、経常利益)営業外収益は、作業くず売却益の計上等により、66,804千円(前事業年度比46.4%減)、営業外費用は、為替差損の計上等により10,383千円(前事業年度比45.9%減)となりました。以上の結果、経常利益は、6,127,678千円(前事業年度比46.0%増)となりました。 (特別損益、当期純利益)当事業年度において特別利益及び特別損失は計上されず、その結果、当期純利益は、4,138,302千円(前事業年度比45.7%増)となりました。 財政状態の分析等については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について当社では、売上高総利益率及び売上高営業利益率を主要な経営指標とし、顧客ニーズへの対応や資材調達コストの削減、業務の効率化等を図ってその改善・向上に取り組んでおりますが、当事業年度の数値については、次のとおりです。 第79期当事業年度 前事業年度比売上高総利益率35.6%3.8ポイント改善売上高営業利益率25.7%4.6ポイント改善 (4) 経営成績に重要な影響を与える要因経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。当社といたしましては、これらのリスクに対して継続的な状況把握に努めるとともに、対応策を検討してリスクの最小化・分散化を図っていきます。 (5) 資本の財源及び資金の流動性当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としておりますが、運転資金は自己資金を基本としております。また、継続的な成長を図るため、設備投資や研究開発の拡充に努めておりますが、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に資金調達を行う予定です。当事業年度末の現金及び現金同等物は4,308,064千円であり、流動性を確保しております。 (6) 経営者の問題意識と今後の方針について経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
事業リスク
- 原材料価格と為替変動リスクエレベーター製造に必要な鋼材やワイヤーロープ、モーターなどの原材料価格は、鉄鋼市場や為替相場の影響を受けます。これらの価格が上昇したり、安定的な調達が困難になったりすると、製造コストが増加し、会社の利益に悪影響を及ぼす可能性があります。販売価格への転嫁や複数の調達先確保で対応しています。
- 人件費上昇と人材確保の困難インフレや労働力不足、最低賃金引き上げなどにより、自社だけでなく外注先の賃金も上昇すると、製造コストや販売管理費が増加し、会社の利益を圧迫する可能性があります。特に建設業・製造業では技術者や保守要員の確保・育成が難しく、人材流出もリスクとなります。採用強化や待遇改善で対応しています。
- 経済情勢と需要変動リスク荷物用エレベーターは物流施設や工場の建設需要に、船舶用エレベーターは新造船需要に大きく左右されます。景気低迷によりこれらの需要が減少したり、製品・サービスの価格が下落したりすると、新規受注が減少し、会社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。コスト削減や固定費圧縮でリスク低減を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】当社では、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置して、リスク管理規程に則り、自然災害や製品品質、人材、安全、法令等の様々な事業運営・事業継続上のリスクについて管理を行うこととしており、これらのリスクが顕在化する可能性を認識した上で、顕在化の回避及び顕在化した場合の早期対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。リスク管理体制の整備の状況等については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。 当社では個別のリスクを評価するため、発生の可能性と、発生した場合の影響度を評価軸とする「リスク評価マトリクス」※を用いて、リスクの重要性の識別をしております。※リスク評価マトリクス本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。また、以下の記載は、当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。 (特に重要なリスク) (1)経営環境に関するリスク ① 資材等の調達について当社の製品に使用する主な原材料は鋼材やワイヤーロープ、モーター等ですが、鋼材の仕入価格については鉄鋼市場の影響を受けます。石油原料資材(塗料等)は、中東情勢の影響を受けます。資材の一部については海外からの外貨建てによる調達を行っていることから、これらの原材料の市場価格が上昇した場合、為替相場が変動した場合、又は国際情勢等の影響で安定的な調達が困難となった場合には、当社の製造コストを上昇させることになり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社では、企業努力によりコストアップの吸収ができない場合は、適宜販売価格への転嫁を進めるとともに、国内外の複数の調達先との取引関係を強化して安定的な調達ができる体制を構築し、コスト削減などを図ることで、リスクの低減に努めております。 ② 賃金の上昇についてインフレ率の上昇や労働力不足、最低賃金引上げなどにより、当社のみならず外注先の賃金も上昇した場合には、当社の製造コスト、販管費が増加することになり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に建設業・製造業では人手不足が深刻化しており、今後も人件費の上昇圧力が見込まれます。そのため、当社では、企業努力によりコストアップの吸収ができない場合は、適宜販売価格への転嫁を進めることで、リスクの低減に努めております。 (2) 事業活動に関するリスク ① 人材の確保及び育成について当社が事業の持続的な成長を実現するためには、国内外の市場で活躍できる人材や高い専門性を有する技術者の確保と育成が重要な課題であると認識しております。建設業・製造業全体で人手不足が深刻化しており、特に技術者や保守要員の確保・育成が困難となった場合や人材の流出が進んだ場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社では、新卒及び経験者の積極的な採用活動を行うとともに、賃金・福利厚生など社員待遇の改善や教育・研修体制の充実などを図ることにより、既存社員の定着にも注力しております。 (重要なリスク) (1) 経営環境に関するリスク ① 経済情勢について当社が取り扱う荷物用エレベーターは、主要な納入先である物流施設や工場などの建設需要の動向に影響を受けます。また、船舶用エレベーターは、新造船の需要動向に左右されます。今後、経営環境の変化により、これらの需要が低迷して新規受注数が減少した場合や、製品・サービスの価格が下落した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社では、製造、据付、保守・修理の各工程において内製化と外注委託を併用するとともに、日本及びアジア地域での資材調達先の拡大を図るなど、コスト削減や固定費圧縮によるリスク低減を図っております。また、当社は潤沢な手元資金を有しており、借入は行っておりませんが、金利変動や国際情勢(特に最近時の中東情勢)の影響は、顧客や業界全体の設備投資意欲や需要動向に影響を与える可能性があるため、市場環境の変化にも注視し、柔軟な経営対応に努めています。 ② 自然災害等について当社では、生産設備として横浜市に本社工場と鳥浜製品管理センターの2拠点、栃木県に宇都宮工場と芳賀工場の2拠点を設置し、販売及びサービス拠点等を国内主要都市及び中国上海市に展開しておりますが、自然災害等の発生に備えてBCP(事業継続計画)を策定しております。しかしながら、今後、想定を上回る大規模な自然災害の発生や感染症の流行拡大等により、建屋や生産設備、施工現場等の被災、サプライチェーンの混乱、従業員の就労不能、当社製品に対する需要の低下等が生じる可能性があり、当社の事業遂行に支障が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。2026年3月から本格稼働を始めた芳賀工場では、宇都宮工場で製作したエレベーターの部材を同工場で塗装できる体制を整えており、一定量のエレベーターを宇都宮市周辺で製作できる見込みです。引き続き、BCPの高度化や見直しを図ってまいります。 (2) 事業活動に関するリスク ① 海外での事業活動について当社は、中国や台湾等のアジア地域においても、船舶用エレベーターの販売や資材の調達などの事業活動を行っておりますが、各国の法律・規制や租税制度の変更、テロ・戦争・内乱などによる政治的社会的混乱や予期し得ない経済情勢の悪化、為替レートの変動等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社では、現地法人や取引先等を通じて、各国の経済・社会・政治的状況や法規制の動向について情報を収集するようにしており、対応が必要な事象が生じた際には、現地法人や専門家等と連携して対処していくことで、リスクの低減を図ってまいります。 ② 情報セキュリティについて当社は、顧客の技術、製造、営業活動及び個人情報等に関する機密情報を様々な形態で保有しており、これらの情報を保護するため適切なセキュリティ対策を講じておりますが、サイバー攻撃や不正アクセス等により万一、これらの情報が漏えいした場合やデータの破壊、システム停止等が発生した場合には、その対応のための多額の費用負担や当社に対する社会的信用が毀損して受注活動に影響が及ぶ等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 代表取締役社長への依存について当社の代表取締役社長である守谷貞夫は、経営方針や経営戦略の決定をはじめ、当社の事業推進において重要な役割を果たしております。当社では、後継者計画等を策定・運用するため、取締役会の諮問機関として指名・報酬委員会を設置し、事業拡大に伴い同人に依存しない経営推進体制の構築を進めておりますが、何らかの事由により同人が当社における職務を継続することができなくなった場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 社会インフラとしてのエレベーターの重大な故障・事故等について 当社の主力製品である物流施設向け荷物用エレベーターは、社会インフラの一部である物流ネットワークの基盤を構成しており、その安定稼働を担保することは、社会経済活動の維持に不可欠です。万が一、エレベーターに重大な故障や事故が発生して長期停止となった場合、個別の損害賠償責任にとどまらず、物流施設全体の稼働停止やサプライチェーンの混乱など、社会全体に広範な影響を及ぼすおそれがあります。その結果、当社への信頼が失墜したり、行政当局からの業務改善命令・営業停止等の指導・命令を受けた場合には、当社の財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのために、2025年4月には組織変更を行っており、営業・設計・工事それぞれの部門に、新たなリニューアル(入替・修理)専門の部署を設置して、自社製エレベーターの安定的な稼働を確保するための「保全修理」を積極的に提案し、事故発生の未然防止と保全体制の強化に努めてまいります。 (3) その他のリスク ① 大株主について当社の代表取締役社長である守谷貞夫は当社の大株主であり、同人の親族及び親族の資産管理会社である株式会社M2Wの保有する株式数を含めると、発行済株式総数の 65.3%を所有しております。同人等は支配株主には該当しませんが、安定株主として引き続き一定の議決権を有し、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しており、当社といたしましても、同人等は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により大株主である同人等の保有株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。 (リスク) (1) 経営環境に関するリスク ① 競合について当社が属するエレベーター業界においては、AIやIoT等の技術革新が進みつつある中、グローバルな生産・販売体制を敷いて事業活動を行う有力企業を含めた競合先との競争が続いております。当社では、経営資源を主に国内での荷物用エレベーターの製造、販売、据付及び保守・修理の一貫した事業と、国内外での競争力を備えた船舶用エレベーターの分野に集中して投下することで競争力を高めておりますが、最新の技術革新への対応の遅れにより、製品・サービス価格が下落したり、新規受注数が減少した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 事業活動に関するリスク ① 外注委託について当社は、生産性の向上や外部企業のスキル活用、保守・修理サービス拠点のカバー等を目的に、協力会社に製造工程の一部を委託し、又は役務の提供を受けております。協力会社とは事業展開方針等について情報共有を図る等、取引関係をより強固とする施策を行っておりますが、今後、協力会社の人材の確保難や取引価格の上昇、事業承継問題等が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため当社では、生産工程の一部や、一部地域の保守メンテナンス業務の内製化を図ることで、リスクの低減に努めております。また、2026年2月に「パートナーシップ構築宣言」を公表しており、サプライチェーン全体の情報共有による業務効率化、エレベーター保守・工事の技術者指導等にも努めてまいります。 ② 取引先の信用リスクについて当社では、売掛金や受取手形等、取引先に対する売上債権を有しており、これら取引先の信用リスクについて信用調査を行う等の適切な管理を行っておりますが、取引先の業績悪化や経営破綻等により、売上債権の回収に支障が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 労働災害について当社が関与するエレベーター等の製造、据付及び保守・修理の各作業では、労働災害の防止や労働者の安全と健康管理のため、労働安全衛生法等に則り、安全衛生体制の整備を図っております。当社では安全衛生委員会を設置し、日常的な安全衛生教育を実施している他、安全衛生部による安全パトロールを実施する等、事故の未然防止を図るための安全管理を徹底しております。しかしながら、万一、重大な労働災害が発生した場合には、一時的に補償金等の負担が生じ、また、当社に対する社会的信用が毀損して受注活動に影響が及ぶ等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 法的規制及び訴訟等に関するリスク ① 許認可等及び法規制について当社は、建設業法に基づき、下表のとおり一般建設業の許可を取得してエレベーターの据付施工等を行っておりますが、虚偽の事実の申告等不正な手段による許可の取得や役員等の欠格要件に該当した場合等には、建設業法第29条により許可の取消しとなります。許認可等の名称一般建設業(許可) 許可番号国土交通大臣 許可(般-3)第6463号有効期間2021年8月22日から2026年8月21日まで建設業の種類機械器具設置工事業 また、クレーン等安全規則に基づき、下表のとおりエレベーター製造許可を取得して、エレベーターの製造を行っておりますが、製造許可条件を満たさなくなった場合に許可の取消しとなります。許認可の名称エレベーター製造許可許可番号神労基許ク第1153号神労基許ク第429号許可の範囲ロープ式 積載荷重20.0tロープ式 積載荷重5.0t油圧式 積載荷重30.0t有効期限期間の定めなし 当社では、社内規程の整備や役職員に対する教育研修等を通じて法令遵守に努めていることから、現時点でこれら許可の取消事由に該当する事実はありませんが、万一取消事由に抵触して許可が取り消された場合には、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。上記の一般建設業の許可やエレベーターの製造許可のほか、当社は、建築基準法や労働安全衛生法、消防法、船舶安全法等、幅広い法令等による規制を受けており、それらにしたがって事業活動を行う必要がありますが、当社では、これらの法令等が遵守されるよう、役職員に対して教育研修等を通じて周知徹底を図っております。現時点で当社の事業継続に支障をきたす事項はありませんが、今後、何らかの理由により法令違反等が発生して処罰・処分等の制裁を受けた場合には、当社に対する社会的信用が毀損して受注活動に影響が及ぶ等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、将来、これらの法令等が改正された場合、当社の事業継続に影響を及ぼす可能性があります。 ② 製造者責任について当社では、エレベーターの製造、据付及び保守等の各業務に関して適用される法令や規格等に準拠するとともに、ISO9001を取得して生産・据付工程等の品質管理を行っております。しかしながら、当社の製品に重大な欠陥や施工不良があった場合には、損害賠償や当社に対する社会的信用が毀損して受注活動に影響が及ぶ等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 知的財産権について当社は、知的財産権に係るトラブルを回避するため、必要に応じてWeb検索システムの活用や弁理士事務所に調査を依頼する等の対応に努めておりますが、万一、第三者との間で知的財産権の問題が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 訴訟等の提起について当社は、事業活動を進めていく中で様々な訴訟等を受ける可能性があり、訴訟等が提起された場合には、結果によっては、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社では、法令の遵守や人権の尊重等に関して役職員が実践すべき行動のあり方を示した「企業行動規範」を制定して役職員に周知等を図るとともに、内部通報制度を導入するなど、コンプライアンス・リスクへの対応を図っております。 (4) その他のリスク ① 新株発行による株式価値の希薄化について当社は取締役及び従業員に対するインセンティブ等を目的としたストックオプション制度を採用しております。現在付与している新株予約権に加え、今後付与する新株予約権の行使等が行われた場合、発行済株式数が増加し、1株当たりの株式価値を希薄化させる可能性があります。なお、本書提出日の前月末日現在における新株予約権による潜在株式数は85,000株であり、発行済株式総数35,371,600株の0.2%に相当しております。 また、当社取締役に対する報酬の一部について譲渡制限付株式を割り当てることとしておりますが、今後割り当てる当社普通株式は、その全株数について自己株式の充当を予定しております。 ② 当社株式の流動性について当社は、株式会社東京証券取引所への上場に際して公募増資及び売出しを行うなど、当社株式の流動性の確保に努めており、今後も大株主からの売出し協力や当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達等により、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。 ③ 保有資産について当社では、保有資産に関して、時価情報を把握するなど適正なモニタリングを行って資産価値の維持、保全に努めておりますが、保有する不動産や有価証券等の時価の著しい下落等により減損損失が発生し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 繰延税金資産について繰延税金資産の計算は、将来の課税所得など様々な予測・仮定に基づいており、経営状況の悪化や税務調査の結果等により、実際の結果が予測・仮定とは異なる可能性があります。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額され、その結果、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。