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小森コーポレーション(6349)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

機械 機械

事業の概要

  • 印刷機械の製造販売
    小森コーポレーションは、主に印刷機械の製造と販売を行っています。これには、書籍や商業印刷に使われるオフセット印刷機だけでなく、パッケージ印刷向けの機械も含まれます。世界各地に子会社を展開し、グローバルな販売体制を築いています。
  • 資材・機材の供給とサービス
    印刷機械本体だけでなく、印刷に必要なインク供給装置、給紙・排紙装置、折り機、電気機器などの周辺機器や部品も供給しています。また、不動産管理を含む関連サービスも提供しており、顧客の印刷事業を多角的にサポートしています。
  • グローバルな生産・販売体制
    日本を中心に、欧州、中華圏、北米に生産拠点を持ち、世界中で製品を供給できる体制を構築しています。販売面では、各地域の重要拠点に子会社を配置し、それぞれの市場特性に合わせた販売戦略を展開することで、国際的な事業展開を強化しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 日本セグメント
    国内市場に加え、中南米やアジアの一部地域、海外証券印刷機の販売を担う主要セグメントです。当社グループ製品の大部分を生産しており、売上高は552.87億円、営業利益は70.33億円と、グループ全体の収益を牽引する稼ぎ頭となっています。
  • 北米セグメント
    アメリカ合衆国を主な販売地域とし、当社が製造する印刷機械の一部をKomori America Corporationが販売しています。売上高は92.85億円ですが、営業利益は0.08億円と、収益面では課題を抱えている状況です。
  • 欧州セグメント
    西欧、東欧、中東地域での販売を主とし、紙器印刷機械を製造販売するKomori-Chambon S.A.S.グループや、印刷後加工機を製造販売するMBO Postpress Solutions GmbHグループも含まれます。売上高は247.18億円ですが、営業利益は-7.76億円と赤字であり、収益改善が求められています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Japan 地域 553 70 12.7%
NorthAmerica 地域 93 0 0.1%
Europe 地域 247 -8 -3.1%
ChinaAreaReportableSegment 地域 143 3 1.8%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,635 文字
3 【事業の内容】当社グループは当社、子会社26社で構成され印刷機械の製造販売を主な内容とし、さらに事業に関連する資材・機材の供給及び不動産管理等のサービスを行っております。生産体制は日本を中心に欧州及び中華圏並びに北米で行う体制になっており、販売体制は、海外の重要販売拠点に子会社を展開してグローバルな体制になっております。海外の重要販売拠点となっている海外子会社はそれぞれ独立した経営単位で、各地域での包括的な販売戦略を立案し、事業活動を展開しております。各セグメントの事業内容は以下のとおりです。 (1) 報告セグメント「日本」は、一部の製品を除き当社グループの製品の大部分を生産しており、国内、中南米、及び一部のアジアや海外証券印刷機の販売が含まれます。 a. 当社は株式会社小森マシナリーより小型印刷機械を仕入、販売しております。 b. 当社は印刷機械を構成するインク供給、給紙、排紙、折機、電気機器等の各部分機器、及び機械を構成する部分品、並びに事業関連サービスを株式会社小森マシナリー、株式会社小森興産、株式会社小森エンジニアリングの各社から仕入れております。 c. 株式会社セリアコーポレーション及び株式会社セリアエンジニアリングは印刷機械その他印刷資機材を製造、仕入、販売しております。 (2) 報告セグメント「北米」は、主としてアメリカ合衆国での販売が含まれます。 a. 当社が製造販売する印刷機械の一部を、主としてアメリカ地域において、Komori America Corporationが販売しております。 (3) 報告セグメント「欧州」は、主として西欧、東欧、中東地域での販売が含まれます。また、紙器印刷機械の製造販売をしておりますKomori-Chambon S.A.S.グループ及び印刷後加工機製造販売会社のMBO Postpress Solutions GmbHグループが当セグメントに含まれております。 a. 当社が製造販売する印刷機械の一部を、主としてヨーロッパ地区において、Komori International(Europe) B.V.及び同社を経由して、Komori Italia S.r.l.、Komori U.K. Limited、Komori France S.A.S.、Komori Germany GmbHが販売しております。 b. Komori-Chambon S.A.S.グループは紙器印刷機械を製造販売する他、グループ各社を通じて販売することがあります。 c. MBO Postpress Solutions GmbHグループは、印刷後加工機を製造販売する他、グループ各社を通じて販売することがあります。 (4) 報告セグメント「中華圏」は、主として中国、香港、台湾での販売が含まれます。また、印刷機械及び印刷機械関連装置の製造販売をしております小森机械(南通)有限公司が当セグメントに含まれております。 a. 当社が製造販売する印刷機械の一部を、主として中国及び香港において小森香港有限公司及び小森(深圳)印刷技術有限公司が販売しております。 b. 当社が製造販売する印刷機械の一部を、台湾において小森台湾股份有限公司が販売しております。 c. 小森机械(南通)有限公司は印刷機械及び印刷機械関連装置を製造販売しております。 (5) 「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。 a. 主としてアセアン地域において、Komori Southeast Asia Pte. Ltd.及びKomori Malaysia Sdn.Bhd.が当社が製造販売する印刷機械の販売及びサービスの支援をしております。 b. 当社が製造販売する印刷機械の一部を、主としてインドにおいて、Komori India Private Limitedが販売しております。 事業の系統図は次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
コスト競争力強化が必須な印刷会社に対し、省力化・スキルフリー化ソリューションを提供。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
オフセット印刷機の品質・生産性向上技術、デジタル印刷機、PE技術、紙幣印刷機関連技術。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:オフセット印刷市場の縮小 / 欧米現地法人の収益力弱体化 / 海外事業に伴うカントリーリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

小森コーポレーションは印刷機械メーカーであり、特定の強力なブランド力や特許による独占的な競争優位性は限定的である。汎用品に近い性質を持つ製品が多く、無形資産によるモートは構築されていない。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

印刷機械は高額な設備投資であり、一度導入すると他社製品への切り替えには多大なコストとリスクが伴う。保守・メンテナンス体制やオペレーターの習熟度も乗り換え障壁となる可能性があるが、技術革新による代替リスクも存在する。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

印刷機械の利用において、ユーザーが増えることで機械自体の価値が向上するようなネットワーク効果は発生しない。プラットフォームビジネスではないため、ネットワーク効果は期待できない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

長年の製造業としての経験から、一定の生産効率やサプライチェーン管理能力は有していると考えられる。しかし、グローバルな競合他社と比較して、構造的なコスト優位性を確立しているとは言えない。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

印刷機械業界は、小森コーポレーション、ハイデルベルグ、マン・ローランド、富士フイルム(一部事業)などが主要プレイヤーであり、業界規模に対して少数の寡占状態にある。一定の生産規模と販売網を持つことで、新規参入障壁となっている。

  • グローバルな事業展開力
    小森コーポレーションは、日本、北米、欧州、中華圏など世界各地に生産・販売拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。これにより、特定の地域市場の変動リスクを分散し、多様な顧客ニーズに対応できる強みがあります。
  • パッケージ印刷市場への注力
    オフセット印刷市場が縮小傾向にある中、同社は成長が見込まれるパッケージ印刷市場への対応を強化しています。差別化された製品投入やソリューション提案を通じて、新たな収益源を確立しようとしており、市場の変化に合わせた戦略的な転換を図っています。
  • 品質管理と顧客対応体制
    同社は「顧客視点」に立った総合的な品質管理(知覚品質管理)を実施しており、製品の品質だけでなく、顧客対応やブランドイメージ全体を重視しています。グローバルCRMを活用した迅速なサービス対応体制も整備しており、顧客満足度向上とブランド価値維持に努めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、1923年の創業以来、品質と信頼を至上とするものづくりの原点にこだわり、印刷機械メーカーとしてまい進してまいりました。その活動の中で、「感動 = Beyond Expectations」は国内外で共感を持ってグループ社員に迎え入れられてきました。これからも当社グループは「感動創造活動」を通して、「感動企業の実現」への努力を重ねることで、企業としての社会的責任・使命を全うしてまいります。 また、株主の皆様やお客様をはじめ、取引先、地域社会、社員とその家族等、全てのステークホルダーの信頼と期待に応えるとともに、共存共栄を図ることを行動指針として活動しております。 (2) 会社の対処すべき課題及び中期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標 当社グループの事業環境につきましては、依然として不確実性が高く、地政学リスクに加え、通商政策や関税動向を含む経済情勢の変動に対して、迅速かつ機動的な経営判断と軌道修正が求められる状況が続いております。印刷業界においては、出版印刷分野及び商業印刷分野の市場縮小が続く一方で、高付加価値印刷やパッケージ印刷分野における需要は引き続き堅調に推移しており、構造変化の流れが定着しつつあります。特にアジア地域においては、パッケージ印刷を中心とした需要の拡大が継続しており、当社グループにとって成長を牽引する重要市場と位置付けております。一方で、材料費や物流費の高止まり、労働力不足、気候変動対策に伴う温室効果ガス排出量削減は、事業運営や収益構造に直接影響を及ぼす重要な経営課題となっており、継続的かつ実効性のある取組みが求められております。ワンパス両面機、多色機、検査装置等の高付加価値機能による生産性向上に加え、消費電力低減等環境性能向上に資する技術・製品は、競争力及び差別化の中核として、その重要性が一層高まっております。このような事業環境の中、2027年3月期は第7次中期経営計画の最終年度に位置付け、中期計画で掲げたサステナブルな経営体質の構築に向けた事業変革と経営基盤強化の取組みを、具体的な成果につなげる総仕上げの一年といたします。オフセット印刷機事業においては、パッケージ印刷分野を重点市場と位置付け、多色機構成や両面コーター等の高付加価値仕様を通じて、数量の確保と収益性向上の両立を図るとともに、高付加価値印刷を実現する要素技術の市場投入を着実に進めております。「KP‑Connect」を中核としたスマートファクトリー構想につきましては、KGC等を活用した実証・提案段階から、具体的な実装・展開段階へと進展しており、生産性向上、環境対応、人材不足への対応を目的に事業へ組み込みつつあります。DPS事業においては、「J‑throne 29」を中核商品として、重点市場・重点顧客を明確にした拡販活動を進めており、実機デモやサンプル評価を通じた提案力強化に加え、保守・サービスを含めたリカーリング型ビジネスモデルの確立に取り組んでおります。証券印刷機事業においては、銀行券印刷で培ってきた高度なセキュリティ印刷技術を一層高度化するとともに、国・企業・個人のアイデンティティー保護に資する社会的価値の高いソリューションの提供を進めております。PE(プリンテッドエレクトロニクス)事業につきましては、パートナー企業との共同開発や産学連携によるオープンイノベーションを通じて技術開発を加速させるとともに、将来的な事業化を見据えたアプリケーション開発を進めております。第7次中期経営計画の骨子、財務方針、目標としている経営指標は以下のとおりです。 ① 第7次中期経営計画の骨子a. 事業ポートフォリオ転換に向けた取組み強化(事業変革) i). 基盤事業(オフセット事業/証券印刷事業)の付加価値強化による収益力向上 ii). 成長事業 (DPS事業/PE事業) の技術基盤強化による2桁成長b. 経営基盤強化(戦略投資) i). 新規市場・成長市場の獲得へ向けた要素技術開発投資の拡大 ii). グローバル化が進む事業環境に合わせた事業体制の刷新とグローバル人財活用c. 筋肉質な経営体質への転換(経営体質改善) i). 事業別製販技サービス一体体制の本格運用と資産圧縮・効率化 ii). 販売/サービス顧客管理システム、人事システム、管理システムのグローバル対応 ② 第7次中期経営計画の財務方針a. 資本コストや株価を意識した経営の実現のため、経営資源の適切な配分を実施b. ROE向上のため総還元性向を50%とし、成長投資への配分比率を高める(収益向上・成長・サステナビリティへの積極投資)c. 第7次中期経営計画期間中は新たに最低配当額(40円)を導入し安定配当を継続するとともに、総還元性向(50%)は維持し株主還元を重視 ③ 第7次中期経営計画の目標とする指標(2027年3月期) 長期ビジョン「KOMORI 2030」に沿って、2030年までに2段階でROE向上を図り、第7次中期経営計画ではその1段階目として『成長投資』と『収益確保』のバランスをとってまいります。 第7次中期経営計画最終年度の経営目標は以下のとおりです。a. 営業利益率: 7.0%以上b. ROE: 6.0%以上
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、1923年の創業以来、品質と信頼を至上とするものづくりの原点にこだわり、印刷機械メーカーとしてまい進してまいりました。その活動の中で、「感動 = Beyond Expectations」は国内外で共感を持ってグループ社員に迎え入れられてきました。これからも当社グループは「感動創造活動」を通して、「感動企業の実現」への努力を重ねることで、企業としての社会的責任・使命を全うしてまいります。 また、株主の皆様やお客様をはじめ、取引先、地域社会、社員とその家族等、全てのステークホルダーの信頼と期待に応えるとともに、共存共栄を図ることを行動指針として活動しております。 (2) 会社の対処すべき課題及び中期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標 当社グループの事業環境につきましては、依然として不確実性が高く、地政学リスクに加え、通商政策や関税動向を含む経済情勢の変動に対して、迅速かつ機動的な経営判断と軌道修正が求められる状況が続いております。印刷業界においては、出版印刷分野及び商業印刷分野の市場縮小が続く一方で、高付加価値印刷やパッケージ印刷分野における需要は引き続き堅調に推移しており、構造変化の流れが定着しつつあります。特にアジア地域においては、パッケージ印刷を中心とした需要の拡大が継続しており、当社グループにとって成長を牽引する重要市場と位置付けております。一方で、材料費や物流費の高止まり、労働力不足、気候変動対策に伴う温室効果ガス排出量削減は、事業運営や収益構造に直接影響を及ぼす重要な経営課題となっており、継続的かつ実効性のある取組みが求められております。ワンパス両面機、多色機、検査装置等の高付加価値機能による生産性向上に加え、消費電力低減等環境性能向上に資する技術・製品は、競争力及び差別化の中核として、その重要性が一層高まっております。このような事業環境の中、2027年3月期は第7次中期経営計画の最終年度に位置付け、中期計画で掲げたサステナブルな経営体質の構築に向けた事業変革と経営基盤強化の取組みを、具体的な成果につなげる総仕上げの一年といたします。オフセット印刷機事業においては、パッケージ印刷分野を重点市場と位置付け、多色機構成や両面コーター等の高付加価値仕様を通じて、数量の確保と収益性向上の両立を図るとともに、高付加価値印刷を実現する要素技術の市場投入を着実に進めております。「KP‑Connect」を中核としたスマートファクトリー構想につきましては、KGC等を活用した実証・提案段階から、具体的な実装・展開段階へと進展しており、生産性向上、環境対応、人材不足への対応を目的に事業へ組み込みつつあります。DPS事業においては、「J‑throne 29」を中核商品として、重点市場・重点顧客を明確にした拡販活動を進めており、実機デモやサンプル評価を通じた提案力強化に加え、保守・サービスを含めたリカーリング型ビジネスモデルの確立に取り組んでおります。証券印刷機事業においては、銀行券印刷で培ってきた高度なセキュリティ印刷技術を一層高度化するとともに、国・企業・個人のアイデンティティー保護に資する社会的価値の高いソリューションの提供を進めております。PE(プリンテッドエレクトロニクス)事業につきましては、パートナー企業との共同開発や産学連携によるオープンイノベーションを通じて技術開発を加速させるとともに、将来的な事業化を見据えたアプリケーション開発を進めております。第7次中期経営計画の骨子、財務方針、目標としている経営指標は以下のとおりです。 ① 第7次中期経営計画の骨子a. 事業ポートフォリオ転換に向けた取組み強化(事業変革) i). 基盤事業(オフセット事業/証券印刷事業)の付加価値強化による収益力向上 ii). 成長事業 (DPS事業/PE事業) の技術基盤強化による2桁成長b. 経営基盤強化(戦略投資) i). 新規市場・成長市場の獲得へ向けた要素技術開発投資の拡大 ii). グローバル化が進む事業環境に合わせた事業体制の刷新とグローバル人財活用c. 筋肉質な経営体質への転換(経営体質改善) i). 事業別製販技サービス一体体制の本格運用と資産圧縮・効率化 ii). 販売/サービス顧客管理システム、人事システム、管理システムのグローバル対応 ② 第7次中期経営計画の財務方針a. 資本コストや株価を意識した経営の実現のため、経営資源の適切な配分を実施b. ROE向上のため総還元性向を50%とし、成長投資への配分比率を高める(収益向上・成長・サステナビリティへの積極投資)c. 第7次中期経営計画期間中は新たに最低配当額(40円)を導入し安定配当を継続するとともに、総還元性向(50%)は維持し株主還元を重視 ③ 第7次中期経営計画の目標とする指標(2027年3月期) 長期ビジョン「KOMORI 2030」に沿って、2030年までに2段階でROE向上を図り、第7次中期経営計画ではその1段階目として『成長投資』と『収益確保』のバランスをとってまいります。 第7次中期経営計画最終年度の経営目標は以下のとおりです。a. 営業利益率: 7.0%以上b. ROE: 6.0%以上
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。 また、2025年1月17日に行われたCanadian Primoflex Systems Inc.との企業結合について前連結会計年度において暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。 (1) 経営成績 当連結会計年度における世界経済は、比較的堅調に推移しました。年度初めには、米国の輸入関税政策をめぐり金融市場の混乱が見られましたが、年度末には概ね落ち着きを取り戻しました。一方で、ウクライナ情勢や中東情勢等の地政学リスクは継続し、不安定な市場環境が続きました。 印刷機械の市場動向は、地域ごとに濃淡が見られたものの、省エネ性能の向上や生産性向上、効率化を目的とした合理化投資への関心は各地域で継続しており、特に高付加価値印刷やパッケージ分野での設備需要は堅調に推移しました。 このような市場環境のもと、当社グループでは、菊半裁寸延オフセット枚葉印刷機「LITHRONE GX29 advance」を新たにラインアップに加え、カードや医薬品パッケージ等の多様化・高度化する印刷ニーズに対応し、同分野における付加価値を強化しました。この他に、オペレーティングシステムの強化や、「KP-Connect」による工程間データ連携を通じて、高速生産と損紙低減を両立し、印刷工場全体のスマートファクトリー化を推進しています。また、国内サービス体制の強化を目的として、2025年10月1日にコンタクトセンターを開設し、24時間受付体制の整備を通じて、業務効率化と顧客満足度のさらなる向上を目指しております。 以上の結果、当連結会計年度における受注高は114,534百万円(前連結会計年度比12.5%減少)となり、売上高は118,611百万円(前連結会計年度比6.8%増加)となりました。売上原価率は、前連結会計年度に比べ良化しました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ、売上高の増加に伴う販売出荷費が増加したこと、研究開発費が増加したこと等により増加しました。その結果、営業利益は、9,404百万円(前連結会計年度比32.2%増加)となりました。経常利益は、円安による為替差益の増加等により10,718百万円(前連結会計年度比40.8%増加)、税金等調整前当期純利益は10,814百万円(前連結会計年度比18.1%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,371百万円(前連結会計年度比1.7%増加)となりました。 また、海外売上高は85,485百万円(前連結会計年度比10.8%増加)で、売上高に占める割合は72.1%となりました。 地域別連結売上高の概況は以下のとおりです。(単位:百万円) 前連結会計年度(2024.4.1~2025.3.31)当連結会計年度(2025.4.1~2026.3.31)増減率(%)売上高111,050118,6116.8%内 訳日本33,92233,125△2.3%北米9,24812,55735.8%欧州24,71828,17814.0%中華圏19,18215,703△18.1%その他地域23,97829,04621.1% 日本市場では、合理化投資や省力化投資を目的としたオフセット枚葉印刷機の需要が引き続き堅調に推移しました。一方で、オフセット輪転印刷機では販売が進んだ前連結会計年度からの反動減が見られました。売上高は前連結会計年度比2.3%減少の33,125百万円となりました。 北米市場では、関税コストの価格転嫁に伴う影響から、個人消費や一部の設備投資には減速感が見られました。しかしながら、当社グループが強みとする証券印刷機や大型オフセット枚葉印刷機の納入が進んだことに加え、高度な技術力と長期的なサポート体制が評価され、売上高は大きく伸長しました。売上高は前連結会計年度比35.8%増加の12,557百万円となりました。 欧州市場では、米国との関税交渉が決着したことにより不確実性が低下し、輸出環境が改善しました。堅調な雇用・所得環境が個人消費を下支えし、景気は緩やかな回復を継続しました。前連結会計年度に開催された大型展示会に起因する受注残高が着実に売上として計上されたことに加え、紙器・パッケージ印刷分野を中心とした設備需要も回復基調にありました。売上高は前連結会計年度比14.0%増加の28,178百万円となりました。 中華圏市場では、不動産投資や大型インフラ投資の停滞が続き、景気の減速傾向が見られました。大手顧客を中心とした合理化投資は継続しているものの、商業印刷分野における中堅顧客では投資判断に慎重な姿勢が続きました。一方では、展示会等を通じた引き合いは継続しており、需要の見極めが進む局面となりました。その結果、売上高は前連結会計年度比18.1%減少の15,703百万円となりました。 アセアン、インド、オセアニア及び中南米を含むその他地域では、経済規模の拡大や人口増加を背景に、パッケージ印刷を中心とした印刷設備需要が着実に増加し、全体として堅調な推移となりました。売上高は前連結会計年度比21.1%増加の29,046百万円となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 a. 日本 セグメントの「日本」には、日本の国内売上高と、日本から海外の代理店地域や海外証券印刷機の直接売上高が計上されております。同代理店地域には、一部のアジアと中南米等が含まれております。上記記載のそれぞれの地域での業績を反映した結果、セグメントの「日本」の売上高は87,044百万円(前連結会計年度比5.2%増加)となり、セグメント利益は9,637百万円(前連結会計年度比37.0%増加)となりました。 b. 北米 セグメントの「北米」には、米国の販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました北米の状況の結果、セグメントの「北米」の売上高は12,740百万円(前連結会計年度比37.1%増加)となり、セグメント利益は625百万円(前連結会計年度は8百万円)となりました。 c. 欧州 セグメントの「欧州」には、欧州の販売子会社、欧州の紙器印刷機械製造販売子会社グループ及び印刷後加工機製造販売子会社グループの売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました欧州の状況の結果、セグメントの「欧州」の売上高は28,476百万円(前連結会計年度比13.0%増加)となり、紙器印刷機械製造販売子会社の受注増対応による人的資本の投資等により、セグメント損失は1,919百万円(前連結会計年度は778百万円)となりました。 d. 中華圏 セグメントの「中華圏」には、香港、中国深圳市、台湾の販売子会社及び中国南通市の印刷機械装置製造販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べました中華圏の状況の結果、セグメントの「中華圏」の売上高は13,601百万円(前連結会計年度比14.9%減少)となり、セグメント利益は133百万円(前連結会計年度比48.6%減少)となりました。 e. その他 「その他」には、インド、シンガポール及びマレーシアの販売子会社の売上高が計上されております。地域別売上高の概況で述べましたその他地域の状況の結果、売上高は7,133百万円(前連結会計年度比21.1%増加)となり、セグメント利益は492百万円(前連結会計年度比19.8%増加)となりました。 (2) 財政状態(資産) 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,212百万円増加し、178,158百万円(前連結会計年度比3.0%増加)となりました。資産の主な増加要因は、投資有価証券の増加4,078百万円、棚卸資産の増加2,149百万円、現金及び預金の増加1,946百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加1,578百万円等であります。主な減少要因は、有価証券の減少6,987百万円等であります。(負債及び純資産) 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,185百万円減少し、55,261百万円(前連結会計年度比3.8%減少)となりました。負債の主な減少要因は、1年内償還予定の社債の減少10,000百万円、電子記録債務の減少5,082百万円等であります。主な増加要因は、社債の増加9,000百万円、流動負債その他の増加1,498百万円、繰延税金負債の増加1,401百万円、契約負債の増加716百万円等であります。 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ7,397百万円増加し、122,896百万円(前連結会計年度比6.4%増加)となりました。純資産の主な増加要因は、利益剰余金の増加2,933百万円、その他有価証券評価差額金の増加2,844百万円、為替換算調整勘定の増加1,286百万円等であります。 この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の66.8%から69.0%(前連結会計年度比2.2ポイント増加)となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の2,176.79円から2,316.06円(前連結会計年度比139.27円増加)となりました。 (3) キャッシュ・フロー 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べ4,549百万円減少し、52,851百万円(前連結会計年度比7.9%減少)となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が17,018百万円の資金増加であったのに比較し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ13,485百万円増加幅が減少し、3,533百万円の資金増加となりました。資金増加の主な内訳は、税金等調整前当期純利益10,814百万円、減価償却費2,277百万円等であり、資金減少の主な内訳は、仕入債務の減少額5,740百万円、法人税等の支払額3,294百万円等であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が4,781百万円の資金減少であったのに比較し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ1,873百万円減少幅が縮小し、2,908百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出3,837百万円、定期預金の預入による支出2,088百万円等であり、資金増加の主な内訳は、定期預金の払戻による収入2,122百万円等であります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度が4,310百万円の資金減少であったのに比較し、当連結会計年度は、前連結会計年度に比べ1,762百万円減少し、6,072百万円の資金減少となりました。資金減少の主な内訳は、社債の償還支出10,000百万円、配当金の支払額4,433百万円、リース債務の返済による支出409百万円等であります。 (4) 生産、受注及び販売の状況a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)日本62,778△10.7欧州12,162+2.5中華圏2,032△11.3合計76,973△8.9 (注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。 2. 金額は平均販売価格で表示しております。 b. 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)日本52,011△2.433,658+5.4北米7,800△57.18,049△34.2欧州30,760+8.117,841+33.2中華圏15,788△15.411,072+8.0その他8,173△33.45,084△41.8合計114,534△12.575,705△1.1 (注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。 2. 受注残高には、見込み受注分は含まれておりません。 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)日本55,271△0.0北米12,689+36.7欧州28,178+14.0中華圏11,698△18.0その他6,900+20.6調整額(注2) (注3)3,872119.2合計118,611+6.8 (注)1. セグメント間取引については、相殺消去しております。 2. 報告セグメントにおいて代理人として処理した取引のうち、他の当事者がセグメント間に存在するため、連結損益計算書上は本人として処理される取引であります。 3. 履行義務の充足に係る進捗度に基づいて、一定期間にわたり収益を認識する取引のセグメント間取引に係る進捗度の調整であります。 (5) 経営成績に重要な影響を与える要因 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「3 事業等のリスク」に記載した項目が挙げられますが、特に影響が大きい要因は次のとおりであります。 当社グループの総売上高に占めるオフセット印刷機事業の割合は大きく、景気動向や法律・規制の施行、税制等の変更等に起因するオフセット印刷機の需要環境変動が、当社グループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。当連結会計年度のオフセット印刷機の需要環境は、米国関税問題や、地政学リスクが長期化する中で、地域によりばらつきはあるものの、総じて引き続き堅調に推移しました。一方で、電子媒体の増加が新興国を含め世界的に急速に浸透していますが、今後において人々の行動が変化して書籍、商業印刷の需要がさらに縮小した場合には、出版、商業用印刷向けオフセット印刷機の需要も縮小し、当社グループのオフセット事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対応した戦略として、パッケージ印刷向けの製品・サービスを拡充するとともに、DPS事業やPE事業等の成長事業や、MBOグループの印刷後加工機の事業とのシナジー効果を拡大し収益源の多様化・安定化を進めております。このように、オフセット事業以外の事業についても成長を促進することにより、個別事業の需要環境変動が発生したとしても経営成績への影響度を低減できるように図ってまいります。 次に、当社グループの海外売上高比率は全体の70%を超えており、かつ製造拠点が日本に集中していることから、為替変動の影響を受けやすい構造となっております。当社グループはこの為替変動リスクに対応すべく、円建て契約を優先するほか、先物為替予約で短期の変動リスクをヘッジする一方、部材等の海外調達比率を高め、また、一部製品の製造を海外製造子会社へ移管するとともにM&Aで海外生産を強化すること等により為替エクスポージャーを低減する努力を続けております。 足元では、インフレが継続し一部部材の調達環境が厳しくなっておりますが、継続して電子部品や一般市販部品のメーカーとの連携強化を図り適正な在庫確保を図るとともに代替可能部品の選定等対策を進めてまいります。今後とも、「3 事業等のリスク(4)災害等によるリスク」に記載した適正な部品在庫を確保するための対策を講じて安定稼働に努めてまいります。 (6) 資本の財源及び資金の流動性 当社グループは、経済・金融環境の変化に伴う需要変動リスクに備えて十分な手許流動性を確保することにより、安定した財務基盤の維持に努めております。運転資金及び事業投資資金については主として内部資金により調達しておりますが、財務運営の安定性を増すため、2025年4月に普通社債90億円を発行しております。今後の運転資金及び事業投資資金の需要については内部資金の範囲内と認識しておりますが、内部資金を超過する大型戦略投資資金が必要となる際には、借入金や社債により調達する可能性があります。なお、当社は格付け機関である格付投資情報センター(R&I)より長期格付けA-を取得しております。 (7) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標等 当社グループは、当連結会計年度から第7次中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)に取り組んでおります。同計画の骨子については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標」に記載しており、サステナブルな経営体質に向けた事業変革と経営基盤強化を推進し、企業価値向上を目指してまいります。 第7次中期経営計画の最終年度である2027年3月期の目標と、当連結会計年度の実績は以下のとおりです。 中期経営計画最終年度目標当連結会計年度実績営業利益率7.0%以上7.9%ROE6.0%以上6.2% (8) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

事業リスク

  • オフセット印刷市場の縮小
    インターネットや電子書籍の普及により、書籍や商業印刷の需要が世界的に減少しており、主力製品であるオフセット印刷機の売上が減少するリスクがあります。この市場縮小がさらに進むと、同社のオフセット事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 海外事業に伴うカントリーリスク
    海外での事業展開は、暴動、内乱、テロ、自然災害、感染症などの予測困難な外的要因や、通商政策の変更(関税措置や輸出入規制強化など)によって、財政状態や経営成績に悪影響を受ける可能性があります。これにより、コスト増加や市場アクセス制限が生じるリスクがあります。
  • サプライチェーンの不安定化
    原材料やエネルギー価格の高騰、為替変動、物流費の上昇などにより、調達コストが高止まりするリスクがあります。また、少子高齢化や人手不足による取引先の廃業・事業譲渡が増加しており、部品や資材の安定的な調達に支障をきたし、生産や納期に影響が出る可能性もあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|4,762 文字
3 【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 事業環境に関するリスク ① オフセット印刷市場が縮小するリスク 当社グループは、これまで出版、商業印刷向けオフセット印刷機を主軸に事業を展開してきましたが、印刷業界は、インターネットや電子書籍の浸透によって、特に欧米・日本では書籍、商業印刷の需要が縮小しており、商業印刷向けオフセット印刷機の売上高が減少してきております。今後、電子媒体の増加が新興国を含め世界的に急速に浸透することによって書籍、商業印刷の需要がさらに縮小した場合には、出版、商業用印刷向けオフセット印刷機の需要も縮小し、当社グループのオフセット事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 一方、厚紙(加飾、医薬、中間箱)、段ボール、ラベル、軟包装等といったパッケージ市場は持続的に成長していることから、パッケージ印刷はこれからも成長が見込まれます。当社グループは、今後、オフセット事業の主力分野を商業印刷からパッケージ印刷市場への対応を強化し、製品戦略としてROIを軸とした製品ポジショニングの見直しによる競争力向上と生産体制の再構築を行い、差別化商品の市場投入、ブランド認知度の向上、ソリューション提案による領域の拡大等の施策を行ってまいります。 ② 欧米の現地法人の収益力が弱体化するリスク 現地法人では、電子媒体の増加に伴い、販売主力機である商業印刷向けオフセット印刷機の需要が減少傾向にあり、収益力が弱体化する可能性があります。 そのため、オフセット印刷機の入れ替え需要の獲得、部品販売や保守サービスの推進、さらに資材及び機材販売の強化に乗り出しております。また、商業印刷向けオフセット印刷機の需要は漸次減少しつつも、一定の入れ替え需要は存在しております。しかしながら、印刷会社においてコスト競争力の強化が必須になっており、印刷工程の省力化、スキルフリー化が求められております。その対策として、当社グループが開発した「KP-Connect」やDPSを活用し、リカーリングインカムの増大を構築すべく工程最適化ソリューションの提案による商機拡大を図ってまいります。 ③ 海外事業に伴うカントリーリスク 当社グループは、海外事業の展開に伴い、外国企業に対する暴動、内乱、テロ、戦争、自然災害、感染症の発生等、予測困難な外的要因により、財政状態及び経営成績に悪影響を受ける可能性があります。加えて、特定国における通商政策の変更、特に米国における関税措置(いわゆる「トランプ関税」等)や輸出入規制の強化は、当社グループの調達・販売活動に影響を及ぼすリスク要因となります。これにより、コスト構造の変動や市場アクセスの制限が生じる可能性があります。さらに、近年の中東地域を中心とした地政学的緊張の高まりは、原油価格の変動や海上輸送の遅延・コスト上昇等を通じて、サプライチェーンの安定性や調達コストに影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、こうしたハザードリスクや政策リスクに対し、全社的な対応方針を定め、客先対応ルールの整備、定期的な市場調査情報の取得とリスク評価を通じて、中期計画への影響分析を行う等、リスクの最小化に努めています。 ④ サプライチェーンリスク 当社グループでは、原材料・エネルギー、その他物価上昇に伴う値上げリスクについて、原材料やエネルギー価格の変動が事業運営に与える影響を注視しています。近年、国際情勢や為替の変動、物流費の上昇等を背景に、調達コストが高止まりする傾向が続いており、製品の価格設定や収益性に影響を及ぼす可能性があり、環境対応や制度変更に伴うコスト増加も想定され、これらが中長期的な経営資源の配分に影響を与えるリスクも存在します。当社グループは、調達先の見直しや省エネ施策の推進、製品設計の工夫等を通じて、影響の最小化に取り組んでいます。 また、中東地域を中心とした地政学的緊張の高まり等により、海上輸送の遅延や物流コストの上昇、原材料の供給不安が発生する可能性があり、サプライチェーンに影響を及ぼすリスクが存在します。これにより、部品・資材の調達遅延や生産・納期への影響が生じる可能性があります。 当社グループでは、調達先の分散や在庫管理の見直し、新規サプライヤーの開拓等を通じて、供給の安定化に取り組んでいます。 ⑤ 製品の品質クレームにより損害が生じるリスク 当社グループが製造・販売する製品に販売、製造、サービスに起因する製品の品質クレームが発生した場合は、補修等の損失や損害賠償による損失が発生し、さらには信用問題とともにブランドが毀損する可能性があります。 そのため、当社グループは、「顧客視点」の総合的な品質管理として知覚品質管理を実施しております。この知覚品質管理は、「ブランド管理」を軸にし、「総合製品品質管理」、「顧客対応品質管理」、「見栄え品質管理」を行っており、顧客視点での品質保証体制を整備しております。また、グローバルCRMを活用したサービスケースの迅速な対応を体制強化してまいります。 ⑥ 情報セキュリティの侵害に係るリスク 情報セキュリティが侵害され、情報漏洩、データの破壊や改ざん、業務やサービスの停止等の被害が発生した場合、当社グループの業績に影響を与えるのみならず、当社グループへの信用失墜につながる可能性があります。 そのため当社グループは、情報セキュリティの推進に係るポリシーを「情報セキュリティ基準」や具体的な利用・運用ルールの要領として定めるとともに、推進組織として情報セキュリティ委員会を設置し、国内外グループ会社を含めセキュリティ体制の構築、維持、整備を行っております。また、定期的な脆弱性診断やリスクアセスメントを実施することにより、リスクを早期に発見し、対策を講じる体制を構築しております。また、一般従業員向けメール訓練や教育も実施する等のリスクを未然に防ぐ対応も実施しております。 今後も脅威動向の変化を捉え、サイバーセキュリティ対策への取組みを継続してまいります。 (2) 成長事業に関するリスク ① DPS事業の拡大が停滞するリスク 印刷業界では、印刷品質と生産性の両面においてデジタル印刷機への需要が根強く、当社グループとしても引き続きプロユース向けデジタル印刷機の商品化に取り組んでおります。 コニカミノルタ社と共同開発したB2サイズのデジタル印刷機「Impremia IS29」については、技術課題を克服し、製品としての完成度が向上しております。B2サイズ市場は登場から約10年が経過し、競合他社による次世代機の開発計画や新規参入の動きも見られることから、当社グループとしても次世代製品の開発を進めております。 そのような環境の中、オフセット印刷機の高速・高精度な搬送技術を応用した次世代型B2枚葉UVインクジェット印刷機「J-throne 29」については、量産展開を開始しており、市場浸透の拡大に取り組んでおります。一方で、市場の立ち上がりや顧客の投資動向、競合状況等によっては、当社が想定する成長が実現できない可能性があります。 ② PE(プリンテッドエレクトロニクス)事業における、対象分野の変動リスク 市場変化のスピードに追随できず、事業収益を大幅に低下するリスクがある成長事業の一つの柱であるPE事業では、開発対象分野の技術革新の影響により収益が見込めると判断した分野が急速に収縮したり、他の分野が急速に立ち上がったり等の環境に置かれています。 従って新しい市場開拓に時間を要し、対象分野の急速な市場変化により想定した事業拡大等ができず、事業収益が大幅に低下するリスクがあります。 当社グループは市場調査を徹底し事業推進体制による商品化機能を強化しております。さらに次世代プリンテッドエレクトロニクスのイノベーションを推進するために、山形大学と包括的な連携協定を締結いたしました。今後は市場変化を見極めながら次世代プリンテッドエレクトロニクスの開発を推進してまいります。 (3) 財務に関するリスク ① 為替レート変動によるリスク 当社グループの主要な海外市場は、欧州、北米、中国を含むアジアであり、海外売上高比率は全体の70%超となっております。円以外の主要な取引通貨はドル、ユーロであり、為替変動の影響を受けやすい構造となっており、想定為替レートに対し急激な円高が発生した場合は売上高、利益の減少等収益に影響を与えます。 為替レート変動によるリスクを軽減するため、当社グループは原材料や部品の海外調達や、一部製品の海外生産を実施しております。また、円建て契約を優先するほか、先物為替予約等でヘッジすることにより短期のリスクの合理的な軽減を図っております。しかしながら、大幅な変動が生じた場合には、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ② のれんの減損が顕在化するリスク 当社グループは、印刷需要が伸びている新興国市場でのシェア拡大及び世界的に需要が拡大しているパッケージ印刷分野での製品・サービス拡充を目的とした企業買収を行っております。この企業買収に伴い、のれんを計上しておりますが、買収後の事業が計画に対して実績が下回る等により、その乖離が継続して生じた場合は、のれんの減損損失の発生等により、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、企業買収に当たりましては、企業価値算定、投下資金の回収見込み、買収金額の妥当性、リスク等について取締役会で十分な審議を行った上で意思決定を行っております。また買収後は出向者の派遣及び連携の強化等を通じて、管理及び事業の推進体制を整え、リスクの軽減に努めております。 ③ 棚卸資産の過多によりキャッシュ・フローが悪化するリスク 当社グループが販売予測の前提条件と実績の乖離により過剰な製品在庫を生じさせた場合は、生産調整にとどまらずキャッシュ・フローを悪化させる可能性があります。 そのため、過剰な製品在庫を生じさせない対策として、適正在庫の全社目標を設定するとともに、関係会社ごとに売上水準に合わせた在庫目標を設定し、月次で乖離を管理しております。一方で、昨今の電子部品等の供給リスクに対しては、中長期的な販売予測を元に部品毎に適正在庫量を設定することで、棚卸資産の管理と安定供給生産の両立を目指してまいります。 (4) 災害等によるリスク 緊急事態における本社機能、製造拠点の集中に係るリスク 当社グループは、地震・風水害・感染症の拡大等の緊急事態に備え、本社機能及び生産拠点の事業継続計画(BCP)を整備しています。これらの事象は、業務の中断や物流の停滞を引き起こし、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、近年の通信インフラの早期復旧傾向を踏まえ、代替拠点の確保に代えて、クラウド環境の活用やリモートアクセス体制の強化を進めています。また、災害時における従業員の安全確認と迅速な初動対応を目的として、安否確認システムを導入し、情報収集と社内連携の円滑化を図っています。今後も、定期的な訓練や体制の見直しを通じて、BCPの実効性向上に努めてまいります。

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