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ダイキン工業(6367)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

機械 機械

事業の概要

  • 空調・冷凍機事業
    ダイキン工業は、ルームエアコンから業務用パッケージエアコン、産業用冷凍機、さらには船舶用冷凍装置まで、幅広い空調・冷凍関連製品の製造・販売をグローバルに展開しています。世界170カ国以上で事業を展開し、家庭から工場、オフィス、商業施設まで多様な顧客ニーズに応える製品とサービスを提供することで収益を上げています。
  • 化学事業
    フッ素化学製品を主力としており、冷媒ガス、フッ素樹脂、半導体製造に使われる特殊な化成品などを製造・販売しています。これらの製品は、空調事業で培った技術を応用し、高機能材料として様々な産業分野に供給されており、同社の多角的な収益源の一つとなっています。
  • その他事業
    油圧機器や特機製品、電子システム関連のITソリューションも手掛けています。油圧機器は産業機械や建設機械に、特機製品は防衛省向けの部品や医療機器に、ITソリューションは設計開発支援などに活用されており、これら専門性の高い分野での事業も同社の収益構造を支えています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 空調・冷凍機事業
    ダイキン工業の最大の稼ぎ頭であり、売上高は43兆845億4800万円、営業利益は3兆509億8700万円を誇ります。ルームエアコン、業務用パッケージエアコン、産業用冷凍機、舶用冷凍装置など、幅広い製品を世界中で展開しており、同社の事業の中核を担っています。
  • 化学事業
    売上高2兆630億2800万円、営業利益461億1900万円を計上しています。冷媒ガス、フッ素樹脂、半導体用化成品など、高機能な化学製品を提供しており、空調事業で培った技術を応用して多角的な事業展開を支える重要なセグメントです。
  • その他事業
    有価証券報告書には具体的な売上・利益の記載はありませんが、油圧機器、特機製品(防衛省向け部品、医療機器)、電子システム関連のITソリューションなどが含まれます。これらの事業は、専門性の高い分野で独自の技術力を活かし、同社の事業ポートフォリオを多様化する役割を担っています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
AirConditioningAndRefrigerationEquipment 事業 43,845 3,510 8.0%
Chemicals 事業 2,630 461 17.5%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,207 文字
3 【事業の内容】当企業集団(当社及び当社の関係会社)が営んでいる主な事業は、空調・冷凍機、化学、油機及び特機製品の製造(工事施工を含む)、販売であり、連結財務諸表提出会社(以下、「当社」という。)はそれら全事業の製造、販売を行っております。関係会社は各社が、空調・冷凍機、化学、油機及び特機製品の製造、販売の一部を行っており、その事業概要は次のとおりであります。 (1) 空調・冷凍機事業イ 主な製品名住宅用機器:ルームエアコン、空気清浄機、ヒートポンプ式給湯機、遠赤外線暖房機、ヒートポンプ式温水床暖房 業務用機器:パッケージエアコン、スポットエアコン、空気清浄機、脱臭機、遠赤外線暖房機、全熱交換器、換気扇、ウォーターチリングユニット、アンモニアブラインチリングユニット、ターボ冷凍機、スクリュー冷凍機、ファンコイルユニット、エアハンドリングユニット、ルーフトップ、低温用エアコン、フリーザー、冷凍・冷蔵ショーケース、エアフィルタ、工業用集塵装置 舶用機器:海上コンテナ冷凍装置、舶用エアコン、舶用冷凍機 ロ 会社名 ①国内関係会社 [連結子会社]ダイキンHVACソリューション東京㈱、ダイキンエアテクノ㈱、㈱ダイキンアプライドシステムズほか販売会社10社、オーケー器材㈱、ダイキンレクザムエレクトロニクス㈱、ダイキントレーディング㈱、日本無機㈱ほか10社 [持分法適用会社]モリタニ・ダイキン㈱ほか4社 ②海外関係会社[連結子会社]大金(中国)投資有限公司、大金空調(上海)有限公司、大金空調(蘇州)有限公司、大金機電設備(蘇州)有限公司、深圳麦克維尓空調有限公司、麦克維尓空調制冷(武漢)有限公司麦克維尓中央空調有限公司、ダイキン インダストリーズ(タイランド)リミテッド、 サイアム ダイキン セールス カンパニー リミテッド、ダイキン コンプレッサー インダストリーズ リミテッド、 ダイキン エアコンディショニング(シンガポール)ピーティーイー リミテッド、ダイキン マレーシア センディリアン バハッド、 ダイキン マレーシア セールス アンド サービス センディリアン バハッド、ピーティー ダイキン エアコンディショニング インドネシア、ダイキン エアコンディショニング インディア プライベート リミテッド、 ダイキン オーストラリア プロプライアットリー リミテッド、ダイキン エア コンディショニング(ベトナム)ジョイント ストック カンパニー、ダイキン ヨーロッパ エヌ ブイ、AHT クーリングシステムズ ゲーエムベーハー、ダイキン インダストリーズ チェコ リパブリック エスアールオー、ダイキン エアコンディショニング フランス エスエイエス、ダイキン エアコンディショニング イタリア エスピーエイ、ダイキン アプライド ヨーロッパ エスピーエイ、ダイキン ウストゥマ ヴェ ソートゥマ システムレリ サナイ ティジャレット アーシェ、ダイキン アプライド アメリカズ インク、アメリカン エアフィルター カンパニー インク、ダイキン コンフォート テクノロジーズ ノース アメリカ インクほか230社 [持分法適用会社]珠海格力大金機電設備有限公司ほか7社 (2) 化学事業イ 主な製品名フルオロカーボンガス:冷媒 フッ素樹脂:四フッ化エチレン樹脂、溶融タイプ樹脂、フッ素ゴム、フッ素塗料、フッ素コーティング剤 化成品:半導体用エッチング剤、撥水撥油剤、離型剤、界面活性剤、フッ化カーボン、フッ素オイル、医農薬中間体 ロ 会社名 ①国内関係会社[連結子会社]ダイキンファインテック㈱ ②海外関係会社[連結子会社]大金フッ素化学(中国)有限公司、大金新材料(常熟)有限公司、ダイキン ケミカル ヨーロッパ ゲーエムベーハー、ダイキン アメリカ インクほか17社 [持分法適用会社]常熟淀川恵徳塑料制品有限公司 (3) その他事業イ 主な製品名 (油機関連)産業機械用油圧機器・装置:各種ポンプ、各種バルブ、油圧装置、油冷却装置、 インバータ制御ポンプ・モータ 建機・車両用油圧機器:油圧トランスミッション、各種バルブ 集中潤滑機器・装置:各種グリースポンプ、各種分配弁(特機関連)防衛省向け砲弾・誘導弾用部品・航空機部品、在宅酸素医療用機器、ヘルスケア用機器(電子システム関連)設計開発分野向けプロセス改善・ナレッジ共有システム、設備設計CAD/BIMシステム、分子シミュレーションソフト/インフォマティクス、CG/コンテンツ制作ソフト等のIT製品・ソリューション ロ 会社名 ①国内関係会社[連結子会社]ダイキン・ザウアーダンフォス㈱、ダイキン油機エンジニアリング㈱ほか1社 ②海外関係会社 [連結子会社] デュプロマティック エムエス エスピーエイほか14社 [持分法適用会社]デュプロマティック ミドルイースト エレクトロメカニカル エキップメントインストレーション アンド メンテナンス エルエルシーほか1社 上記の、当企業集団の事業を概要図で示すと次頁のとおりであります。 企業集団の概要図(当企業集団の概要図)当企業集団の主要な事業内容と連結子会社324社(国内31社、海外293社)及び持分法適用会社16社(国内5社、海外11社)の概要図は次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 強い
省エネ高効率空調機や低温暖化冷媒の開発・普及、独自機能搭載製品の発売
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
空調コア技術の高度化、低温暖化冷媒の開発、CO2再利用技術、レーザー冷媒漏えい検知技術
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:市場環境の変化(政治・外交、貿易摩擦、景気後退、天候不順、感染症) / 為替相場・資金調達環境の変動 / 技術・商品・サービスに関連する競合激化や新技術の出現
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

ダイキンは「うるるとさらら」シリーズなど、独自の省エネ技術や快適性向上技術をブランドとして確立している。特に、エアコン分野における長年の研究開発で培われた技術力と、それを具現化する製品開発力は、他社が容易に模倣できない無形資産となっている。グローバルでのブランド認知度も高い。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

業務用エアコンや空調システムは、一度導入すると入れ替えに多額のコストと手間がかかる。また、ビル管理システムとの連携や、省エネ性能、メンテナンス体制など、導入後の運用面でのメリットが大きいため、顧客が競合他社へ乗り換えるインセンティブは働きにくい。保守・メンテナンス契約もスイッチングコストを増加させる要因。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ダイキン工業の主要事業である空調機器の販売・保守においては、直接的なネットワーク効果は限定的である。製品自体の価値はネットワーク参加者の数に依存しない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

グローバルでの生産・販売網の構築によるスケールメリットや、長年の経験に基づく効率的な生産プロセスは一定のコスト優位性をもたらしている。しかし、原材料価格の変動や為替の影響を受けやすく、構造的な圧倒的コスト優位とまでは言えない。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

ダイキンは空調業界において世界トップクラスの売上高を誇り、グローバルな生産・販売・サービスネットワークを構築している。この規模は、研究開発投資、調達力、ブランド力において競合他社に対する優位性を与え、業界の寡占化を支えている。

  • グローバルな事業展開力
    ダイキン工業は世界170カ国以上で事業を展開し、特に空調・冷凍機事業では海外売上高の割合が高いです。これにより、特定の地域経済の変動リスクを分散し、多様な市場ニーズに対応することで安定的な収益基盤を築いています。広範な販売網とサービス体制も強みです。
  • 多岐にわたる製品ラインナップ
    住宅用から業務用、産業用、さらには舶用まで、空調・冷凍機の幅広い製品群を提供しています。また、化学事業や油機事業も展開しており、多様な顧客層と用途に対応できる総合力が、競合他社に対する優位性となっています。
  • 技術開発力と品質管理
    顧客価値と社会的価値の創出を目指し、常に新しい技術・商品・サービスの開発に注力しています。厳格な設計審査と品質検査を世界各地で実施し、製品の品質と安全性を確保することで、顧客からの信頼を獲得し、ブランドイメージを維持・向上させています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社グループの使命・責任は、世界中の人に快適と安心を提供し続けることであり、経営の基本となる考え方を示す「グループ経営理念」の下、さまざまな社会課題の解決・地球環境への対応に積極的に取り組むとともに、高品質のプロダクト、素材、サービス、ソリューション、独自の技術革新の追求を通じて、お客様や社会に新たな価値を提供し続けることで、企業価値を高めてまいります。また、高い倫理性と公正な競争をベースとした企業活動を推進し、タイムリーで透明性のある情報開示と説明責任の遂行、地域社会への積極的貢献、ビジネスパートナーとの相互成長などをグループ共通の行動指針として徹底して実行するとともに、働く人の意欲と納得性を引き出し、一人ひとりの力を組織の力へと高めていくという「人を基軸におく経営」の実践、侃々諤々の議論をベースにした「フラット&スピードの組織運営」の徹底、一人ひとりの個性を活かす「ダイバーシティ経営」の推進など、当社の良き伝統に一層の磨きをかけることで、グローバルグループとして進化し続け、持続可能で豊かな未来を切り拓いてまいります。 (2)目標とする経営指標企業価値の最大化を経営の最重要課題の一つとして位置づけ、ROE(株主資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)など「率の経営」指標に加え、FCF(フリーキャッシュフロー)も重視しながら、積極的な事業展開と経営体質の強化を推進しております。特に、収益力の向上と投資効率改善によるキャッシュ創出力の強化を重視し、売上債権や在庫の圧縮など運転資本の改善を通じてキャッシュフローを創出することで、成長投資の推進と株主還元の充実を図り、持続的な企業価値向上に取り組んでまいります。 (3)中期的な会社の経営戦略当社グループでは、戦略経営計画「FUSION」を通じて、経営を取り巻く外部環境や現状認識を踏まえ、5年でめざすグループの発展の方向性を定めてまいりました。「FUSION」では、5年後の目指す姿を掲げ、前半3ヵ年の具体的な定量目標と実行計画を設定するとともに、2年経過後には後半3ヵ年計画を策定し、環境変化に応じた戦略の具体化と実行を進めております。この考え方のもと、当社グループでは2030年を見据えた「FUSION30」を2026年に策定し、実行を開始しております。経済価値と社会価値の創出に向け、「高収益領域での成長」「収益体質の強靭化」「さらなる成長に向けた重点領域の強化」「経営基盤の高度化」「持続的成長と企業価値向上に向けた資本政策」を実現するための重点テーマを設定し、その施策展開を進めております。 (4)企業集団の対処すべき課題各国の政策動向や地政学リスクの影響により、マクロ経済環境は引き続き先行き不透明な状況にあります。特に、米国の関税政策を始め、各国における経済安全保障政策の強化や通商政策の変化がサプライチェーンに影響を及ぼし、世界経済の先行きに対する不透明感を高めています。また、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の高騰や物流網の混乱により、世界経済の不確実性は極めて高い状態にあります。こうした中、戦略経営計画「FUSION30」において、「『環境と空気の新たな価値』を提供し、世界で選ばれ続ける高収益なサステナブル企業をめざす」ことを掲げ、「ソリューションプロバイダへの変革」をはじめとする重点テーマを設定しました。これらの取り組みを通じてめざす姿の実現を図る上で、開始年度である2026年度は稼ぐ力の向上を最重要課題と位置づけました。また、本年はグループ年頭方針を「一人ひとりの強い力で新たな時代を勝ち抜こう」と定め、激しい事業環境の変化に対応するとともに、競争力の一層の強化を図ってまいります。2026年度の具体的なテーマは以下のとおりです。 ・販売価格政策の推進と、営業力強化および差別化商品の市場投入加速・変動費低減によるコスト競争力の強化・グローバルにおけるサービス・ソリューション事業の収益拡大・固定費構造の可視化と抜本的見直しによる売上高固定費率の低減・買収会社の収益力強化による投資成果の早期最大化・グローバルグループ横断での先進事例の展開による事業体質の強化と成果創出
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社グループの使命・責任は、世界中の人に快適と安心を提供し続けることであり、経営の基本となる考え方を示す「グループ経営理念」の下、さまざまな社会課題の解決・地球環境への対応に積極的に取り組むとともに、高品質のプロダクト、素材、サービス、ソリューション、独自の技術革新の追求を通じて、お客様や社会に新たな価値を提供し続けることで、企業価値を高めてまいります。また、高い倫理性と公正な競争をベースとした企業活動を推進し、タイムリーで透明性のある情報開示と説明責任の遂行、地域社会への積極的貢献、ビジネスパートナーとの相互成長などをグループ共通の行動指針として徹底して実行するとともに、働く人の意欲と納得性を引き出し、一人ひとりの力を組織の力へと高めていくという「人を基軸におく経営」の実践、侃々諤々の議論をベースにした「フラット&スピードの組織運営」の徹底、一人ひとりの個性を活かす「ダイバーシティ経営」の推進など、当社の良き伝統に一層の磨きをかけることで、グローバルグループとして進化し続け、持続可能で豊かな未来を切り拓いてまいります。 (2)目標とする経営指標企業価値の最大化を経営の最重要課題の一つとして位置づけ、ROE(株主資本利益率)、ROIC(投下資本利益率)など「率の経営」指標に加え、FCF(フリーキャッシュフロー)も重視しながら、積極的な事業展開と経営体質の強化を推進しております。特に、収益力の向上と投資効率改善によるキャッシュ創出力の強化を重視し、売上債権や在庫の圧縮など運転資本の改善を通じてキャッシュフローを創出することで、成長投資の推進と株主還元の充実を図り、持続的な企業価値向上に取り組んでまいります。 (3)中期的な会社の経営戦略当社グループでは、戦略経営計画「FUSION」を通じて、経営を取り巻く外部環境や現状認識を踏まえ、5年でめざすグループの発展の方向性を定めてまいりました。「FUSION」では、5年後の目指す姿を掲げ、前半3ヵ年の具体的な定量目標と実行計画を設定するとともに、2年経過後には後半3ヵ年計画を策定し、環境変化に応じた戦略の具体化と実行を進めております。この考え方のもと、当社グループでは2030年を見据えた「FUSION30」を2026年に策定し、実行を開始しております。経済価値と社会価値の創出に向け、「高収益領域での成長」「収益体質の強靭化」「さらなる成長に向けた重点領域の強化」「経営基盤の高度化」「持続的成長と企業価値向上に向けた資本政策」を実現するための重点テーマを設定し、その施策展開を進めております。 (4)企業集団の対処すべき課題各国の政策動向や地政学リスクの影響により、マクロ経済環境は引き続き先行き不透明な状況にあります。特に、米国の関税政策を始め、各国における経済安全保障政策の強化や通商政策の変化がサプライチェーンに影響を及ぼし、世界経済の先行きに対する不透明感を高めています。また、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の高騰や物流網の混乱により、世界経済の不確実性は極めて高い状態にあります。こうした中、戦略経営計画「FUSION30」において、「『環境と空気の新たな価値』を提供し、世界で選ばれ続ける高収益なサステナブル企業をめざす」ことを掲げ、「ソリューションプロバイダへの変革」をはじめとする重点テーマを設定しました。これらの取り組みを通じてめざす姿の実現を図る上で、開始年度である2026年度は稼ぐ力の向上を最重要課題と位置づけました。また、本年はグループ年頭方針を「一人ひとりの強い力で新たな時代を勝ち抜こう」と定め、激しい事業環境の変化に対応するとともに、競争力の一層の強化を図ってまいります。2026年度の具体的なテーマは以下のとおりです。 ・販売価格政策の推進と、営業力強化および差別化商品の市場投入加速・変動費低減によるコスト競争力の強化・グローバルにおけるサービス・ソリューション事業の収益拡大・固定費構造の可視化と抜本的見直しによる売上高固定費率の低減・買収会社の収益力強化による投資成果の早期最大化・グローバルグループ横断での先進事例の展開による事業体質の強化と成果創出
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(経営成績等の状況の概要)当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。(1) 財政状態及び経営成績の状況当期の世界経済は、AI関連投資の拡大や内需の下支えなどを背景に、全体としては底堅く推移したものの、米国の関税政策や地政学リスクの高まりにより先行きの不透明感が増しました。米国経済は、AI関連投資が拡大したものの、金利の高止まりや物価上昇を背景に、住宅投資の低迷が続きました。欧州経済は、内需の持ち直しがみられる一方で、外需の弱さや関税を巡る不透明感が重しとなりました。中国経済は、不動産市場の低迷により厳しい状況が続きました。日本経済は、物価上昇が個人消費の抑制要因となる中、賃金上昇や設備投資の拡大を背景に底堅く推移しました。アジア経済は、外需減速の影響がみられたものの、ASEAN諸国を含め内需が全体を下支えしました。このような事業環境のもと、当社グループは、2025年度が最終年度となる戦略経営計画「FUSION25」で掲げた、カーボンニュートラルやソリューションの推進をはじめとする成長戦略を軸に、重点戦略テーマの実行を加速させ、中長期の成長と持続的な発展に向けた取り組みを推進しました。また、厳しい事業環境が続く中にあっても、収益基盤の強化と収益力の向上を実現すべく、当期は、以下の6テーマを経営トップ直轄の全社横断テーマとして定め、成果創出の最大化に取り組みました。 1. 販売力・営業力強化 ・利益率重視の販売施策2. 新商品・差別化商品投入の加速 ・厳しい事業環境下で拡販と売価維持・アップの両立3. 米国関税措置の対応を含むサプライチェーンの強化4. コストダウンの極大化 ・ベースモデルのコストダウン ・銅からアルミ、ステンレスなどへの材料置換 ・米国関税措置の対応5. グローバルでのサービス・ソリューション事業の加速 ・市場・用途別のソリューション展開 ・保守・修理サービス・部品販売の収益化6. デジタル投資、プロセスイノベーションの成果創出 これらの取り組みを進めるにあたっては、先行き不透明な事業環境が続く中でも、グローバルグループ一丸となって重点施策を徹底・実行し、マイナス影響の極小化に努めました。また、当期計画の達成に向け、事業環境の変化に対しても機動的かつ柔軟に対応してまいりました。当期の経営成績については、売上高は5兆150億36百万円(前期比5.5%増)となりました。利益面では、営業利益は4,149億91百万円(前期比3.3%増)、経常利益は4,081億71百万円(前期比11.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,752億29百万円(前期比4.0%増)となりました。 セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。 ① 空調・冷凍機事業空調・冷凍機事業セグメント合計の売上高は、前期比5.4%増の4兆6,211億31百万円となりました。営業利益は、前期比7.4%増の3,769億91百万円となりました。国内空調では、業務用市場の需要は、インバウンド需要等を背景とした小売店舗などの建築着工件数が増加したほか、オフィス・商業施設を中心とする更新需要が堅調に推移し、前期を上回りました。住宅用市場の需要は、4月からの猛暑予測による先行需要の増加に加え、夏季の記録的な猛暑や、8月30日開始の東京ゼロエミポイント事業の影響もあり、前期を上回りました。当社グループは、このような状況下で、業務用空調機器市場においては、省エネ性と施工性に優れた「FIVE STAR ZEAS」に加え、低温暖化冷媒R32を採用し業界トップレベルの省エネ性を実現したビル用マルチエアコン「VRV 7」や、既設配管を再利用してスムーズな空調機器の更新を可能にする「VRV Q」シリーズなど、高付加価値商品を中心にユーザー提案を強化し、売上高は前期を上回りました。住宅用空調機器市場においては、省エネ意識の高まりや夏場の使用時間増加を背景に、高温下でも安定した冷房性能を発揮する高外気タフネス冷房機能に加え、冷房しながら除湿を行い、湿度を抑えつつ冷やしすぎを防いで快適性を高めるプレミアム冷房を備えた高省エネ機種『うるさらX』を中心にユーザー提案を強化し、売上高は前期を上回りました。米州では、住宅用空調機器については、米国関税に起因するインフレや住宅ローン金利の高止まりなど、依然として厳しい経済情勢が続く中、空調機器の更新需要の低迷や昨年度の冷媒規制に伴う駆け込み需要の影響で流通在庫が高止まりしていることから、需要の停滞が継続しました。このような状況の中、当社グループは、顧客の取り戻し、既存販売店の支援及び新規販売店の開発に取り組みました。また、環境性と省エネ性に優れた低温暖化冷媒R32機の拡販によるシェア拡大、省エネ性能の高い環境プレミアム商品『Fit(フィット)』の拡販、さらに、販売価格政策・コストダウンの推進により利益率の改善・向上にも努めました。これらの取り組みの結果、売上高は前期を上回りました。アプライド空調事業については、メキシコのチラー工場の活用に加え、既存工場の生産能力を拡充することで需要を着実に取り込み、さらにサービス事業の拡大も相まって販売は伸長しました。特に、市場成長が続くデータセンター向け分野においては、カスタムエアハンドリングユニットメーカーでの新工場稼働による生産能力増強を活かした販売拡大や、新規買収の効果も寄与し、売上高は前期を上回りました。中国では、不動産不況の影響により需要が大きく減速し、地域全体の売上高は前期を下回りました。利益面では、高付加価値商品の拡販、ソリューションの強化、コストダウン等に取り組み、これまでの高水準を維持しました。住宅用空調機器市場では、景気が減速する中、ユーザーダイレクトのオフラインの小売販売に加え、ライブ放送・Web戦略・SNSなどオンラインを組み合わせた当社グループ独自の販売活動を強化しました。また、空調・換気・ヒートポンプ床暖房・空気質センサーなどのシステム商品の販売に加え、IoTやデータ分析を活用し、顧客ごとに最適な空気質やライフスタイルに応じた提案を行うホームソリューションを強化しました。業務用空調機器市場では、カーボンニュートラル政策の推進による政府物件・工場・グリーンビル(環境性能が高まるよう配慮して設計された建物)などの市場に対し、省エネを切り口とした提案を強化しました。アプライド空調機器市場では、半導体・医療関連など底堅い需要がある分野に資源を投入したことに加え、サービス・保守事業の強化、省エネ更新・改造提案を強化しました。アジア・オセアニアでは、アセアン地域・インドでの天候不順等により、地域全体の売上高は前期を下回りました。住宅用空調機器については、アセアン地域・インドで昨年に比べ低温・多雨となった影響で需要が低迷し、流通在庫が高止まりしました。このような状況下で、販売店や消費者への販促施策の強化に取り組んだものの、売上高は前期を下回りました。一方、業務用空調機器については、アセアン地域で景気の先行き不透明感の高まりによりプロジェクトの遅延や投資の見直しが発生する中、販売店の開発・育成、インドでの継続的な販売拡大により、売上高は前期を上回りました。アプライド空調機器については、データセンター向け等の販売を強化しました。欧州では、地域全体の売上高は前期を上回りました。住宅用空調機器では、従来、空調機の普及率が低かったドイツや英国に加え、7月以降に需要回復が続いたフランスでの高付加価値商品の拡販により、売上高は前期を上回りました。住宅用ヒートポンプ式温水暖房機器では、需要は緩やかな回復基調ですが、燃焼式暖房の規制遅れ、補助金の制度や運用方法が安定せず、本格的な回復には至っておりません。当社グループは、燃焼式暖房からの置換が進むドイツで新商品を活用して販売を伸ばしたことに加え、為替のプラス効果もあり、売上高は前期を上回りました。業務用空調機器では、環境意識の高まりを背景にした低温暖化冷媒R32を採用した製品の提案強化及び各国での販売店開発により、売上高は前期を上回りました。中近東・アフリカでは、売上高は前期を上回りました。サウジアラビアやUAEでは大型物件向け販売が拡大しました。トルコでは、上期は住宅用空調機器、下期は業務用空調機器の販売が大きく伸長しました。フィルタ事業では、中国における価格競争の激化や、国内での投資抑制を背景とした市場縮小が続いたものの、全体として需要は堅調に推移し、売上高は前期を上回りました。米国では、低収益事業縮小の影響がありましたが、OEMでの大型受注もあり、売上高は前期を上回りました。欧州では、南欧での大型案件の出荷や北欧地域での更新需要の獲得で売上を伸ばし、売上高は前期を上回りました。アジア・中東では、中国は不動産不況の長期化や需要の停滞が長引いている影響で販売は減少しましたが、マレーシアやタイの電子半導体、そのほか病院等の市場での拡販、中東の大口顧客からの新規受注が好調に推移したため、中東・インドを含むアジア地域全体の販売は増加しました。また、国内では、新設投資の停滞や半導体需要回復の遅れ、市場縮小の影響を受け、売上高は前期を下回りました。ガスタービン・集塵機事業は、集塵機事業において堅調な販売が続いたものの、海上油田向け特殊フィルタの販売低調により、売上高は前期並みとなりました。舶用事業では、冷凍機の販売が前期を下回りましたが、海上コンテナ冷凍装置の販売を伸ばし、舶用事業全体の売上高は前期を上回りました。 ② 化学事業化学事業セグメント合計の売上高は、前期比7.0%増の2,814億69百万円となりました。営業利益は、半導体需要減速の影響を大きく受け、前期比28.3%減の330億89百万円となりました。フッ素化学製品全体の販売は、半導体分野での流通在庫調整の長期化に加え、その他主要市場での需要の回復遅れが見られる中、比較的堅調な領域での拡販に努めた結果、売上高は前期を上回りました。フッ素樹脂は、新たなデータセンター分野での旺盛な需要の取り込みに注力しましたが、米国や中国の建築・建設市場の低迷や半導体向け流通在庫調整等の影響により、売上高は前期並みとなりました。一方、フッ素ゴムについては、中国や欧米での自動車市場向けを中心とする拡販により、売上高は前期を上回りました。化成品は、表面防汚コーティング剤や中間体機能材分野での需要に厳しさが見られたものの、半導体プロセス向けエッチング剤の分野で新たに連結対象拠点が加わった影響もあり、売上高は前期を上回りました。フルオロカーボンガスについては、米国・アジア・欧州での拡販に努めた結果、売上高は前期を上回りました。 ③ その他事業その他事業セグメント合計の売上高は、前期比7.3%増の1,124億35百万円となりました。営業利益は、前期比8.4%増の49億25百万円となりました。油機事業では、産業機械用油圧機器は、国内市場並びに米国市場向けの販売が増加したことにより、売上高は前期を上回りました。一方、建機・車両用油圧機器は、国内主要顧客向けの販売が減少したことにより、売上高は前期を下回りました。特機事業では、医療用酸素濃縮装置及び低酸素システム(酸素濃度をコントロールすることで、短時間で高い運動効果が得られる高地空間を再現する機器)の受注が増加し、売上高は前期を上回りました。電子システム事業では、データサイエンスソフトの販売は減少しましたが、品質課題の解決・設計開発期間の短縮・コストダウン支援といった顧客ニーズに合致した設計・開発分野向けデータベースシステム『Smart Innovator(スマートイノベーター)』の拡販と、設備CADシステムの増販により、売上高は前期並みとなりました。 総資産は、5兆8,092億40百万円となり、前連結会計年度末に比べて6,758億24百万円増加しました。流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加等により、前連結会計年度末に比べて4,092億26百万円増加し、3兆2,628億80百万円となりました。固定資産は、機械装置及び運搬具の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,665億98百万円増加し、2兆5,463億59百万円となりました。負債は、支払手形及び買掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,259億78百万円増加し、2兆4,927億2百万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や為替の変動によるその他の包括利益累計額の増加等により、前連結会計年度末に比べて4,498億45百万円増加し、3兆3,165億38百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の54.6%から55.9%となり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の9,567.14円から11,097.60円となりました。また、有利子負債については、1年内返済予定の長期借入金の増加等により、前連結会計年度に比べて1,077億55百万円増加し、1兆946億56百万円となりましたが、総資産の増加により有利子負債比率(有利子負債/総資産)は、19.2%から18.8%となりました。 (2) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、営業活動では、売上債権の増加等により、前連結会計年度に比べて486億2百万円収入が減少し、4,658億48百万円の収入となりました。投資活動では、有形固定資産の取得による支出の減少等により、前連結会計年度に比べて151億67百万円支出が減少し、3,222億39百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入れによる収入の減少等により、前連結会計年度に比べて29億9百万円支出が増加し、1,563億78百万円の支出となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた現金及び現金同等物の当連結会計年度の増減額は、前連結会計年度末に比べて228億9百万円増加し、484億18百万円のキャッシュの増加となりました。 (生産、受注及び販売の状況)(1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)空調・冷凍機事業3,182,2495.3化学事業257,069△0.7その他事業103,5656.1合計3,542,8844.9 (注) 1 金額は販売価格によっております。 (2) 受注状況当社グループの製品は、大部分見込み生産であるため、受注高及び受注残高の記載は省略しております。 (3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)空調・冷凍機事業4,621,1315.4化学事業281,4697.0その他事業112,4357.3合計5,015,0365.5 (注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。2 いずれの相手先についても総販売実績に対する割合が100分の10未満のため、相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合の記載を省略しております。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)以下に記載の内容については、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の計上、当連結会計年度における収益、費用の計上については、現況や過去の実績に基づいた合理的な基準による見積りが含まれております。なお、連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (2) 財政状態①資産総資産は、5兆8,092億40百万円となり、前連結会計年度末に比べて6,758億24百万円増加しました。流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加等により、前連結会計年度末に比べて4,092億26百万円増加し、3兆2,628億80百万円となりました。固定資産は、機械装置及び運搬具の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,665億98百万円増加し、2兆5,463億59百万円となりました。 ②負債及び純資産負債は、支払手形及び買掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べて2,259億78百万円増加し、2兆4,927億2百万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や為替の変動によるその他の包括利益累計額の増加等により、前連結会計年度末に比べて4,498億45百万円増加し、3兆3,165億38百万円となりました。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の54.6%から55.9%になり、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の9,567.14円から11,097.60円となりました。 (3) 経営成績①売上高当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比5.5%増の5兆150億36百万円となりました。空調・冷凍機事業では、米州・中国の住宅用の需要減少、アジアでの景気低迷と天候不順の影響を受けましたが、アプライド・業務用など需要が好調な事業で販売を拡大しました。米州で住宅用ユニタリーのシェアを挽回したほか、日本・欧州では高付加価値商品の拡販、中国では住宅用マルチエアコンの販売に注力しました。その結果、売上高は前連結会計年度比5.4%増の4兆6,211億31百万円となりました。化学事業では、半導体分野の需要回復遅れ、流通在庫の調整により、半導体製造装置向けの高機能樹脂の販売が減少したこと等により、売上高は前連結会計年度比7.0%増の2,814億69百万円となりました。その他事業全体では、産業機械用油圧機器の国内市場並びに米国市場向けの販売が増加したこと等により、売上高は前連結会計年度比7.3%増の1,124億35百万円となりました。 ②営業費用、営業利益売上原価は、前連結会計年度比5.0%増加し、3兆2,825億19百万円となりました。販売費及び一般管理費については、前連結会計年度比7.6%増加し、1兆3,175億24百万円となりました。人件費の増加が主な要因であります。以上の結果、営業利益は前連結会計年度比3.3%増の4,149億91百万円となりました。なお、セグメントの営業損益については、空調・冷凍機事業では、前連結会計年度比7.4%増の3,769億91百万円の営業利益となり、化学事業では、前連結会計年度比28.3%減の330億89百万円の営業利益となり、その他事業は前連結会計年度比8.4%増の49億25百万円の営業利益となりました。 ③営業外損益、経常利益営業外損益は、インフレ会計調整額(営業外収益)が増加したこと等により、前連結会計年度に比べて284億2百万円増加し、68億20百万円のマイナスとなりました。経常利益は、前連結会計年度比11.4%増の4,081億71百万円となりました。 ④特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益特別損益は、減損損失が増加したこと等により、前連結会計年度に比べて141億92百万円減少し、45億43百万円のマイナスとなりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比4.0%増の2,752億29百万円となりました。 (4) キャッシュ・フロー営業活動では、売上債権の増加等により、前連結会計年度に比べて486億2百万円収入が減少し、4,658億48百万円の収入となりました。投資活動では、有形固定資産の取得による支出の減少等により、前連結会計年度に比べて151億67百万円支出が減少し、3,222億39百万円の支出となりました。財務活動では、長期借入れによる収入の減少等により、前連結会計年度に比べて29億9百万円支出が増加し、1,563億78百万円の支出となりました。これらの結果に為替換算差額を加えた現金及び現金同等物の当連結会計年度の増減額は、前連結会計年度末に比べ228億9百万円増加し、484億18百万円のキャッシュの増加となりました。 当社グループでは、投資は成長の基盤と考えており、投資によって事業拡大を図るとともに、財務体質の強化、企業価値の一層の向上と株主への利益還元の向上を図ってまいります。具体的には、新製品に対応した設備投資、生産性向上・生産能力拡大のための投資などに加え、各戦略的投資を実行し、グローバルでの事業拡大及び競争力強化を図ってまいります。これらの投資に必要な資金は内部留保の蓄積を基本とした自己資金に加え、必要に応じ、金融機関からの借入や社債等で調達します。当連結会計年度では、投資活動によるキャッシュ・フロー(3,222億39百万円の支出)は、営業活動によるキャッシュ・フロー(4,658億48百万円の収入)を下回りました。株主への配当は、これまでの配当実績を踏まえ、配当性向の水準を意識しつつ、安定性を重視しながら、継続的な増配の実現に努めてまいります。 キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。 2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期2026年3月期自己資本比率(%)51.551.954.054.655.9時価ベースの自己資本比率(%)171.6160.9123.692.194.2キャッシュ・フロー対有利子負債比率 (年)3.45.62.41.92.3インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)27.77.89.011.912.0 (注) 自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い ※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。※営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用しております。

事業リスク

  • 市場環境の変動
    世界経済の景気後退、政治・外交情勢の不安定化、貿易摩擦、異常気象、感染症の流行などが、事業を展開する国・地域の市場環境を悪化させる可能性があります。これにより、製品の需要が減少し、売上や利益が計画通りに伸びず、会社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 為替相場と資金調達の変動
    海外売上高の割合が高いため、為替レートの変動は海外事業の円換算価値に大きく影響します。また、原材料の調達や商品の取引が外貨建てで行われるため、為替変動が製造コストや売上高に影響を与える可能性があります。さらに、経済環境の変化による金利上昇は、資金調達コストを増加させ、会社の財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
  • サプライチェーンの途絶と調達価格の高騰
    自然災害、感染症の拡大、サプライヤーの経営悪化などにより、原材料や部品の供給が滞ったり、納期が遅れたりする可能性があります。また、急激な需給環境の変化や為替変動により、調達価格が大幅に高騰するリスクもあります。これらの要因は、生産活動に支障をきたし、製造コストの増加や売上機会の損失につながり、会社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|5,503 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与え、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると経営者が認識している主なリスクは以下のとおりであります。なお、以下に記載の内容は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 市場環境に関連するリスク①市場環境の変化に関連するリスク当社グループは、空調をはじめとする各事業領域において、開発・調達・生産・販売・サービスなどの事業活動をグローバルに展開し、販売網強化によるシェア向上、競争力ある商品・サービスの提供、固定費削減などにより、事業拡大と収益性向上に努めております。しかしながら、政治・外交情勢の不安定化、貿易摩擦、関税の引き上げ等の各国の政策動向、景気の後退、天候不順、感染症のまん延などにより、当社グループが事業展開する国・地域の市場環境が悪化した場合、事業拡大・収益性向上が計画通りに進まない可能性があります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ②為替相場・資金調達環境の変動に関連するリスク当社グループの連結売上高に占める海外売上高の割合は高く、今後もグローバル展開の加速により、海外売上高の割合がさらに増加する見込みです。連結財務諸表の作成にあたっては、各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目を円貨換算しております。従って、換算時の為替レートにより、これらの項目は、各地域の現地通貨における価値が変わらなかったとしても円貨換算後の価値が影響を受けることになります。また、部材の調達、商品やサービスについて外貨建てで取引しているものもあり、為替動向によって製造コストや売上高に影響する可能性があります。当社グループでは、これらの為替リスクを回避するため、短期的には為替予約などによりリスクヘッジを行っており、中長期的には為替変動に連動した最適調達・生産分担の構築、通貨毎の輸出入バランス化等により為替変動に左右されない体質の実現に取り組んでおります。また、当社グループでは事業活動に必要となる資金を、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーや社債によって調達しており、経済環境が変動した際に、金融機関の貸出姿勢や資金調達市場の状況が変化し、必要な資金が調達できないリスク及び調達金利が上昇するリスクがあります。これらのリスクに備え、コミットメントラインの設定、金利スワップ等による金利の固定化などの取り組みを行っておりますが、資金調達コストが上昇し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響する可能性があります。 ③有価証券の時価の変動に関連するリスク当社グループは、戦略的観点から当社の企業価値の向上が期待できる企業の株式を保有しておりますが、株式市況の動向によっては、評価額が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響する可能性があります。 (2) 事業活動に関連するリスク①技術・商品・サービスに関連するリスク当社グループは、顧客価値・社会的価値の創出を目指し、常にお客様に満足頂ける技術・商品・サービスの開発に注力しております。しかしながら、当社グループの想定とは異なる新たな技術・商品・サービスの出現や、新規参入を含む競合激化などの急激な環境変化により、技術・商品戦略の修正や転換が必要となる可能性があります。このような場合、新商品・サービスの投入や新たな事業の立ち上げが遅れ、競合他社や新規参入企業に対する優位性が低下し、その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ②買収・他社との提携等に関連するリスクこれまで当社グループは、事業のグローバル展開や品揃え・販売体制の強化などのために、既存の経営資源を活用した自前での成長に加えて、企業買収を活用してきました。今後、事業領域の拡大や事業構造の転換を加速させるためにも、提携・連携・M&Aを積極的に行ってまいります。案件の検討段階では、事業拡大に向けた戦略に留まらず、事業運営上のリスクについても検証を行うなど、案件の実行後には事業統合が円滑に進むように努めております。しかしながら、案件の実行後に、市場環境の悪化や、対象企業の経営資源が十分に活用できない、対象企業との連携が円滑に進まないなど、統合が計画通りに進まない可能性があります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③商品・サービスの品質と責任当社グループでは、世界170カ国以上で事業を展開しており、現地のニーズに合致した商品・サービスの提供に努めております。また、各地域において厳格な設計審査と品質検査を実施し、品質・安全性の確保に万全を期すとともに、ビジネスがさらに拡大する中で、各地域の品質・安全性の取組み状況を確認する品質保証委員会を設置し、グローバルレベルでの商品・サービスの品質向上を図っています。しかし、万一商品の安全性に関する問題が発生した場合には、顧客の安全を第一に考え、事故の発生や拡大を防止するため、修理・交換、新聞などでの告知、販売事業者等社外の関係者への情報開示など、製造物責任法に基づく責務を果たします。これらの対策には多額の費用が発生する可能性があるため生産物賠償責任保険等に加入していますが、保険の補償限度額を超える場合やブランドイメージの低下により売上が減少する場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④調達に関連するリスク当社グループでは、サプライヤーの経営状況の悪化、自然災害や事故の発生等の状況下においても、原材料や部品等が安定的かつタイムリーに、また合理的な価格で供給されることを確保するため、サプライヤーの複数化・自国・自地域内調達化、部品の共通化・標準化等の対応を進めております。また、サプライチェーンCSR推進ガイドラインを策定し、サプライヤーに対して人権・環境・コンプライアンス等のCSR取り組みの実施をお願いしております。しかしながら、上記のような対応が短期的には困難な場合があるほか、世界的な感染症の拡大や大規模災害などの想定を超えるような甚大な事象が発生した場合には、原材料や部品等の供給不足、納入遅延等が発生する可能性があります。また、サプライチェーン上において労働者の権利侵害等の重大な法令違反があった場合には、発注元として当社の社会的信用が低下する可能性があります。当社グループとサプライヤーは、契約により原材料や部品等の価格を決定しております。長期契約の活用など安定した価格で調達できるよう努めておりますが、急激な需給環境の変化や為替相場の変動等により、調達価格の高騰が避けられないこともあります。これらの場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤法的規制当社グループは、世界170カ国以上で事業を展開しており、競争法、贈賄防止法、個人情報保護法、デジタル・AI規制関連法、経済安全保障規制関連法、人権や労働関係法、製品・サービス安全規制関連法、環境規制関連法、サステナビリティ規制関連法等の世界各国・各地域の法律や規制の適用を受けております。各国において、より厳格な法規制の導入や当局の法令解釈や運用指針の変更により、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。当社グループでは、コンプライアンスの徹底に向け、役員・従業員一人ひとりが取るべき行動を明示した「グループコンプライアンス行動指針」及び「グループ人権方針」等の具体的な取り組み方針を定めております。競争法やハラスメントなど各テーマについて教育研修を実施するとともに、年1回、法令・規程どおりに日々の業務を行っているかをセルフチェックする「自己点検」を導入し、コンプライアンス意識を高めるとともに、監査を実施し、遵守状況を確認しております。しかしながら、法令違反が生じた場合には、課徴金等の行政処分を受ける可能性があります。また、ブランドイメージの低下により売上が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥情報セキュリティ国内外において、大規模なサイバー攻撃・情報漏えい事案が依然として発生しており、情報セキュリティに対するリスク対策の重要性が一段と高まっています。当社グループは、事業を展開するにあたり、第三者の機密情報や顧客の個人情報を取得することがあり、また、当社独自の機密情報も扱っております。このため、ハッカーによる不正アクセスやサイバー攻撃を受け、個人情報や機密情報が外部へ流出したり、各拠点の生産ラインや物流システムが停止したりするなど、事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのような事態が生じた場合、多額の損害賠償金や制裁金の支払を要する場合があります。さらに、多大な対策費用を支払うことになり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらの事象の発生を防ぐため、当社では、情報セキュリティ担当役員を委員長とする審議機関「情報セキュリティ委員会」を設置し、情報セキュリティ戦略・対策方針を審議し、情報セキュリティシステムの強化、秘密表示の徹底、外部からのアクセス制限、社内規程の整備や教育研修などの対策を講じております。同委員会で審議した重要事項や全社へ周知・徹底すべき事項は、「企業倫理・リスクマネジメント委員会」、代表取締役社長兼COOを委員長とする「内部統制委員会」へ報告するとともに、取締役会にも報告を行っております。また、海外グループ会社を含めた全社のセキュリティ管理体制を強化しております。 (3) 気候変動等環境に関連するリスク気候変動はグローバルに取り組むべき社会課題の一つであり、当社グループは、「環境社会をリードする」とのグループ環境基本方針に基づいて、省エネ高効率空調機や低温暖化冷媒の開発・普及、建物全体でエネルギーを効率的に利用するソリューションの創出などにより、温室効果ガス(CO2・フロン)の排出を抑制し、気候変動の緩和に積極的に取り組んでおります。しかしながら、低炭素社会への移行に伴い、温室効果を有する冷媒ガスの使用・排出規制や省エネルギー規制がさらに強化される場合、規制に適合するために必要なコストが増加する可能性があります。また、仮にこれらへの十分な対応が困難であったり、遅れが生じた場合には、製品の販売に支障が出るなど、円滑な事業活動に影響が及ぶ可能性があります。物理的なリスクとしては、異常気象に伴う大規模災害発生時に当社グループの従業員、生産設備、システム、サプライチェーン等に被害が発生し、事業活動に大きな影響を受ける可能性があります。また、当社グループでは、事業活動による環境汚染の発生を防止すべく、規制の遵守は当然のこと、より厳しい自主基準を設けるなど万全を期しております。しかしながら、当社が排出した化学物質等に起因して結果的に環境汚染問題が発生した場合には、これに対して浄化処理、損害賠償等の対応を行う必要が生じ、そのための費用が発生する可能性があります。また、社会的信用の低下が発生する可能性があります。以上のようなリスクの顕在化により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響が及ぶ可能性があります。 (4) その他①固定資産の減損当社グループは、事業用の資産や企業買収の際に生じるのれんなど様々な有形・無形の固定資産を計上しており、これらの資産については、減損損失の兆候の有無を判定しております。減損の兆候があると認められる場合には、将来キャッシュ・フローの総額を見積り、減損損失の有無を判定しております。判定に必要な将来キャッシュ・フローは経営計画を基礎とし、将来の不確実性を考慮して見積っております。今後の業績変動等により減損損失を認識する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、継続的な業績のモニタリングを行っており、投資に対する回収が困難となる前に対策を講じるように努めております。 ②自然災害等当社グループは、世界中に研究開発・製造・販売・サービスの拠点を有しております。近年わが国では、地震・津波・台風・豪雨などの自然災害に見舞われております。当社では、このような自然災害に備え、各事業所で施設の耐震化を進めるほか、津波・大雨・洪水等に対する対策を進めております。また、自然災害に関する防災規程を制定し、定期的に防災訓練を実施するなどにより、自然災害による影響の極小化を図っております。特に南海トラフ地震等の巨大地震時に、当社が事業継続に関して行う基本的事項を全社規程として定めるとともに、各事業部門においても事業継続するための具体的項目を部門規程に定めるなど、巨大地震に備えています。しかしながら、甚大な自然災害により、当社グループの従業員・生産設備・システム等に被害が発生し、事業活動に大きな影響を受ける可能性があります。海外においても、各種の自然災害のほか、テロや暴動・戦争等によって、当社グループの事業拠点だけではなくサプライチェーンや顧客が被害を受けることも考えられ、これらにより当社グループの事業活動に障害や遅延が発生する可能性があります。

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