有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、2023年度において新たに企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する『水の新たな価値』の開拓者」を定めました。また、当社グループの経営の中核的概念を、従来の「CSR」から「サステナビリティ」に広げ、企業活動と自然環境や社会システムとの相互影響を踏まえた持続的な成長を指向し、サステナビリティを標榜した企業ビジョンの実現に向けた当社グループの重要課題を「クリタグループのマテリアリティ」として定めました。当社グループは、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進し、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標①価値創造ストーリー当社グループは、企業理念の実現に向け社会と共に持続的、長期的に成長していくための道筋をクリタグループの価値創造ストーリーとして言語化しました。当社グループの一人ひとりが価値創造ストーリーの担い手となることで、企業理念の実現を目指してまいります。 (クリタグループの価値創造ストーリー)私たちクリタグループは、世界の様々な現場で日々変化する水の課題に対しソリューションを提供しております。現場から得られる水に関する課題や情報は、私たちの知として集約、蓄積されます。私たちはこの知の活用により、お客様の真の課題を理解し、お客様と共有できる形での価値の予測とともに最適なソリューションを提供します。私たちは、予測した価値の実現により、お客様と社会との共通価値を創造(Creating Shared Value:CSV)し、社会と産業を変えていきます。そして、創造した価値にふさわしい収益を得るとともに、お客様と社会からの信頼を基に更なる現場と新たな知を獲得していきます。 ②Value Pioneering Path当社グループは、マテリアリティへの取り組みを中期経営計画PSV-27の戦略と有機的に融合し、企業価値向上に結びつける経営を推進しております。あわせて、グループ全社におけるすべての取り組みを、「持続的な成長を支える取り組み」、「利益・キャッシュ・フローを創出する取り組み」、「財務活動および株主還元の取り組み」の3つに大別しております。これらの取り組みが、「売上拡大」、「収益性向上」、「ステークホルダーからの期待・信頼の獲得」、「資本コスト低減」、「資本効率性の向上」といった主要KPIの達成につながることを明確化し、グループ全社での意識づけと推進・管理を行っております。これらの取り組みを通じて各KPIの向上を図り、PSV-27計画に掲げる財務・非財務目標の達成につなげてまいります。さらに、これら一連の価値創出の全体像を「Value Pioneering Path」として体系化し、グループ一体となった取り組みを通じて企業価値の持続的な向上の実現を図っております。 ③中期経営計画当社グループは、2023年4月より5カ年の中期経営計画 Pioneering Shared Value 2027(PSV-27計画)をスタートさせました。マテリアリティの解決に繋がる社会価値を起点とした新事業の創出やCSVビジネスの展開に加え、顧客価値を起点とした既存ビジネスの深化・変革により、強固な社会価値・経済価値の創出基盤を確立することを目指しています。PSV-27計画最終年度(2027年度)の目標は次の通りとしております。 (財務指標)売上高 4,700億円売上高事業利益率※ 16%親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 12%以上投下資本利益率(ROIC) 10%以上 ※事業利益は、売上高から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除した恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の指標です。IFRSで定義されている指標ではありませんが、財務諸表利用者にとって有用であると考え、自主的に開示しております。 (主要な非財務指標)CSVビジネスによる節水貢献量 250百万㎥CSVビジネスによる温室効果ガス(GHG)削減貢献量 3,000千t-CO2以上CSVビジネスによる資源化貢献量・資源投入削減貢献量 300%増(2022年度比) (3) 会社の対処すべき課題PSV-27計画は、従来の当社グループの強みである「顧客親密性」と長期的な成長に向けた新たな挑戦により創出する「高い社会価値」の2つの競争優位性を軸に、より高く、新しい価値を生み出す独自のソリューションをお客様や社会に提供し、企業価値の向上に繋げていくものであります。企業ビジョンと、企業ビジョンの実現に向けた重要課題である「クリタグループのマテリアリティ」、そしてこのマテリアリティへの取り組みが有機的に組み込まれたPSV-27計画の関係を体系化し、当社グループが中期的に進むべき方向性を示したものが、前項の②「Value Pioneering Path」です。当社グループは、この価値開拓の道筋に沿って各戦略を推進し、企業ビジョンの実現を目指しております。当期は、企業価値向上への繋がりをより明確にするため、この道筋を「利益・キャッシュ・フローの創出」、「財務活動/株主還元」、「持続的な成長を支える取り組み」の3つに分類し、企業価値向上を実現する5つのアウトプットに繋げるべく、重要な経営指標の連鎖を可視化し、経営管理を強化しました。 PSV-27計画の3年目である当期を含めたこれまでの3年間における重点施策の取り組み実績は、次のとおりです。 1) 電子セグメント世界各国で見込まれる旺盛な半導体産業の設備投資需要を事業機会として取り込み、お客様のグローバルな事業展開に対応するため、開拓余地の大きい欧米地域および台湾での事業基盤構築に取り組むとともに、グローバルに大型の水処理装置案件の獲得に繋げました。 2) 一般水処理セグメントCSVビジネスの拡大に取り組み、新興国市場を含むグローバルで導入事例を拡大させました。お客様への提供価値が高く、既存事業と比較して収益性も高い当ビジネスの売上拡大を通じて、一般水処理セグメントの収益性の改善を図りました。 3) 新規事業の創出PSV-27計画の先の成長を見据え、社会課題を起点としたイノベーションに取り組み、グローバルで健康懸念が高まるPFASの除去・処理事業のほか、リチウム資源回収ビジネスなど、複数の新規事業を上市するとともに、宇宙関連事業では、月面水資源の確保・供給インフラの構築に向けて株式会社ispaceへ出資し、水資源開発に係る戦略的パートナーシップに合意しました。 4)財務戦略積極的な成長投資と安定的な配当の実施に加え、経営環境の変化に応じた機動的な資本政策の一環として、当期において150億円の規模で自己株式の取得を行いました。また、PSV-27計画の先を見据えた成長投資や資本効率の向上に向けて、財務戦略の強化を図りました。 これらの取り組みの結果、2025年度までの実績は次のとおり進捗しています。(注)当連結会計年度において、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の事業を非継続事業に分類しております。これにより、2025年度の売上高は、非継続事業を除いた継続事業の金額を表示し、事業利益率についても同様の基準で算出しているほか、2024年度の数値についても組み替えを行っております。なお、ROEおよびROICは、継続事業および非継続事業を合算したうえで算出しており、2025年度については非継続事業を除いた継続事業ベースの情報を当社で試算し、調整後ROEおよび調整後ROICとして併記しております。 PSV-27計画の4年目にあたる2026年度は、PSV-27計画達成の確度をより鮮明なものとする、極めて重要な1年と位置付け、当社グループの対処すべき課題として、次の4つに取り組んでまいります。 1) 電子セグメント中長期的に高成長が見込まれる電子市場でのプレゼンスを高めるべく、グローバルな事業基盤を活用し、水処理装置案件を継続的に獲得していくとともに、これを起点にサービス事業の拡大を目指します。同時に、お客様の旺盛な設備投資需要に対応するため、設計の自動化の導入やレディメイド型超純水製造設備「e-WT」などプレファブリケーション工法の活用、M&Aや協業も含めた外部リソースの活用により、生産キャパシティの向上を図ります。 2) 一般水処理セグメント電子産業以外の幅広い産業・地域を対象とする一般水処理セグメントでは、CSVビジネスを軸とした独自の価値提供モデルにより、事業領域や市場を開拓し、安定性と成長性を併せ持つ事業基盤の構築を目指します。この実現に向けて、地域特性に合わせた戦略によりCSVビジネスの拡大を加速させるとともに、自社製品に留まらない水処理装置の多角的な診断と最適化を行う新たなソリューションサービス「NEXTANCE(ネクスタンス)」を通じたメンテナンス事業領域の拡大に取り組みます。 3) 新規事業将来の成長の柱として有望な複数の事業の立ち上げを推進します。PFASの除去・処理事業については、厳格な規制が導入されている米国市場でのプレゼンス向上に向けて、革新的なPFAS吸着技術を持つCyclopure Inc.への出資を本年4月に決定しました。また、森林火災・リチウムイオンバッテリー火災や、食料自給率の低下といった社会課題に対応した新規事業の立ち上げにも取り組みます。 4) 財務戦略各事業の成長性や収益性を企業価値向上に繋げるべく、ROEの向上によるエクイティスプレッドの拡大を図ります。具体的には、成長分野への積極的な投資や事業再編などを通じて強固な事業ポートフォリオを構築するとともに、財務健全性を維持しながら、成長投資および株主還元を通じた最適な資本構成の実現に取り組みます。本年5月には、事業ポートフォリオの最適化に向けて、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の株式の譲渡を決定したほか、株主還元の一環で、350億円の自己株式を取得することを決定しました。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、2023年度において新たに企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する『水の新たな価値』の開拓者」を定めました。また、当社グループの経営の中核的概念を、従来の「CSR」から「サステナビリティ」に広げ、企業活動と自然環境や社会システムとの相互影響を踏まえた持続的な成長を指向し、サステナビリティを標榜した企業ビジョンの実現に向けた当社グループの重要課題を「クリタグループのマテリアリティ」として定めました。当社グループは、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進し、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標①価値創造ストーリー当社グループは、企業理念の実現に向け社会と共に持続的、長期的に成長していくための道筋をクリタグループの価値創造ストーリーとして言語化しました。当社グループの一人ひとりが価値創造ストーリーの担い手となることで、企業理念の実現を目指してまいります。 (クリタグループの価値創造ストーリー)私たちクリタグループは、世界の様々な現場で日々変化する水の課題に対しソリューションを提供しております。現場から得られる水に関する課題や情報は、私たちの知として集約、蓄積されます。私たちはこの知の活用により、お客様の真の課題を理解し、お客様と共有できる形での価値の予測とともに最適なソリューションを提供します。私たちは、予測した価値の実現により、お客様と社会との共通価値を創造(Creating Shared Value:CSV)し、社会と産業を変えていきます。そして、創造した価値にふさわしい収益を得るとともに、お客様と社会からの信頼を基に更なる現場と新たな知を獲得していきます。 ②Value Pioneering Path当社グループは、マテリアリティへの取り組みを中期経営計画PSV-27の戦略と有機的に融合し、企業価値向上に結びつける経営を推進しております。あわせて、グループ全社におけるすべての取り組みを、「持続的な成長を支える取り組み」、「利益・キャッシュ・フローを創出する取り組み」、「財務活動および株主還元の取り組み」の3つに大別しております。これらの取り組みが、「売上拡大」、「収益性向上」、「ステークホルダーからの期待・信頼の獲得」、「資本コスト低減」、「資本効率性の向上」といった主要KPIの達成につながることを明確化し、グループ全社での意識づけと推進・管理を行っております。これらの取り組みを通じて各KPIの向上を図り、PSV-27計画に掲げる財務・非財務目標の達成につなげてまいります。さらに、これら一連の価値創出の全体像を「Value Pioneering Path」として体系化し、グループ一体となった取り組みを通じて企業価値の持続的な向上の実現を図っております。 ③中期経営計画当社グループは、2023年4月より5カ年の中期経営計画 Pioneering Shared Value 2027(PSV-27計画)をスタートさせました。マテリアリティの解決に繋がる社会価値を起点とした新事業の創出やCSVビジネスの展開に加え、顧客価値を起点とした既存ビジネスの深化・変革により、強固な社会価値・経済価値の創出基盤を確立することを目指しています。PSV-27計画最終年度(2027年度)の目標は次の通りとしております。 (財務指標)売上高 4,700億円売上高事業利益率※ 16%親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 12%以上投下資本利益率(ROIC) 10%以上 ※事業利益は、売上高から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除した恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の指標です。IFRSで定義されている指標ではありませんが、財務諸表利用者にとって有用であると考え、自主的に開示しております。 (主要な非財務指標)CSVビジネスによる節水貢献量 250百万㎥CSVビジネスによる温室効果ガス(GHG)削減貢献量 3,000千t-CO2以上CSVビジネスによる資源化貢献量・資源投入削減貢献量 300%増(2022年度比) (3) 会社の対処すべき課題PSV-27計画は、従来の当社グループの強みである「顧客親密性」と長期的な成長に向けた新たな挑戦により創出する「高い社会価値」の2つの競争優位性を軸に、より高く、新しい価値を生み出す独自のソリューションをお客様や社会に提供し、企業価値の向上に繋げていくものであります。企業ビジョンと、企業ビジョンの実現に向けた重要課題である「クリタグループのマテリアリティ」、そしてこのマテリアリティへの取り組みが有機的に組み込まれたPSV-27計画の関係を体系化し、当社グループが中期的に進むべき方向性を示したものが、前項の②「Value Pioneering Path」です。当社グループは、この価値開拓の道筋に沿って各戦略を推進し、企業ビジョンの実現を目指しております。当期は、企業価値向上への繋がりをより明確にするため、この道筋を「利益・キャッシュ・フローの創出」、「財務活動/株主還元」、「持続的な成長を支える取り組み」の3つに分類し、企業価値向上を実現する5つのアウトプットに繋げるべく、重要な経営指標の連鎖を可視化し、経営管理を強化しました。 PSV-27計画の3年目である当期を含めたこれまでの3年間における重点施策の取り組み実績は、次のとおりです。 1) 電子セグメント世界各国で見込まれる旺盛な半導体産業の設備投資需要を事業機会として取り込み、お客様のグローバルな事業展開に対応するため、開拓余地の大きい欧米地域および台湾での事業基盤構築に取り組むとともに、グローバルに大型の水処理装置案件の獲得に繋げました。 2) 一般水処理セグメントCSVビジネスの拡大に取り組み、新興国市場を含むグローバルで導入事例を拡大させました。お客様への提供価値が高く、既存事業と比較して収益性も高い当ビジネスの売上拡大を通じて、一般水処理セグメントの収益性の改善を図りました。 3) 新規事業の創出PSV-27計画の先の成長を見据え、社会課題を起点としたイノベーションに取り組み、グローバルで健康懸念が高まるPFASの除去・処理事業のほか、リチウム資源回収ビジネスなど、複数の新規事業を上市するとともに、宇宙関連事業では、月面水資源の確保・供給インフラの構築に向けて株式会社ispaceへ出資し、水資源開発に係る戦略的パートナーシップに合意しました。 4)財務戦略積極的な成長投資と安定的な配当の実施に加え、経営環境の変化に応じた機動的な資本政策の一環として、当期において150億円の規模で自己株式の取得を行いました。また、PSV-27計画の先を見据えた成長投資や資本効率の向上に向けて、財務戦略の強化を図りました。 これらの取り組みの結果、2025年度までの実績は次のとおり進捗しています。(注)当連結会計年度において、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の事業を非継続事業に分類しております。これにより、2025年度の売上高は、非継続事業を除いた継続事業の金額を表示し、事業利益率についても同様の基準で算出しているほか、2024年度の数値についても組み替えを行っております。なお、ROEおよびROICは、継続事業および非継続事業を合算したうえで算出しており、2025年度については非継続事業を除いた継続事業ベースの情報を当社で試算し、調整後ROEおよび調整後ROICとして併記しております。 PSV-27計画の4年目にあたる2026年度は、PSV-27計画達成の確度をより鮮明なものとする、極めて重要な1年と位置付け、当社グループの対処すべき課題として、次の4つに取り組んでまいります。 1) 電子セグメント中長期的に高成長が見込まれる電子市場でのプレゼンスを高めるべく、グローバルな事業基盤を活用し、水処理装置案件を継続的に獲得していくとともに、これを起点にサービス事業の拡大を目指します。同時に、お客様の旺盛な設備投資需要に対応するため、設計の自動化の導入やレディメイド型超純水製造設備「e-WT」などプレファブリケーション工法の活用、M&Aや協業も含めた外部リソースの活用により、生産キャパシティの向上を図ります。 2) 一般水処理セグメント電子産業以外の幅広い産業・地域を対象とする一般水処理セグメントでは、CSVビジネスを軸とした独自の価値提供モデルにより、事業領域や市場を開拓し、安定性と成長性を併せ持つ事業基盤の構築を目指します。この実現に向けて、地域特性に合わせた戦略によりCSVビジネスの拡大を加速させるとともに、自社製品に留まらない水処理装置の多角的な診断と最適化を行う新たなソリューションサービス「NEXTANCE(ネクスタンス)」を通じたメンテナンス事業領域の拡大に取り組みます。 3) 新規事業将来の成長の柱として有望な複数の事業の立ち上げを推進します。PFASの除去・処理事業については、厳格な規制が導入されている米国市場でのプレゼンス向上に向けて、革新的なPFAS吸着技術を持つCyclopure Inc.への出資を本年4月に決定しました。また、森林火災・リチウムイオンバッテリー火災や、食料自給率の低下といった社会課題に対応した新規事業の立ち上げにも取り組みます。 4) 財務戦略各事業の成長性や収益性を企業価値向上に繋げるべく、ROEの向上によるエクイティスプレッドの拡大を図ります。具体的には、成長分野への積極的な投資や事業再編などを通じて強固な事業ポートフォリオを構築するとともに、財務健全性を維持しながら、成長投資および株主還元を通じた最適な資本構成の実現に取り組みます。本年5月には、事業ポートフォリオの最適化に向けて、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の株式の譲渡を決定したほか、株主還元の一環で、350億円の自己株式を取得することを決定しました。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要性がある会計方針」、「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。 (2) 経営成績当期における世界経済は、ウクライナ情勢の膠着および中東情勢の悪化、各国の通商政策変更に伴う重要物資のサプライチェーンの混乱、さらには物価上昇の影響などにより、先行き不透明な状況が続きましたが、全体では緩やかな持ち直しの動きが継続しました。国内では、製造業の生産活動は、年度前半において米国の関税引き上げの影響が一部にみられたことにより、横ばいとなりましたが、設備投資は、高水準の企業収益を背景に底堅い動きが続きました。海外では、米国経済は減速しながらも底堅く推移し、欧州でも持ち直しの動きが続きました。中国経済は内需を中心に減速感を強めましたが、中国を除くアジア諸国では、回復速度にばらつきがみられたものの、総じて緩やかな回復となりました。このような中、当社グループは、5ヵ年の中期経営計画 Pioneering Shared Value 2027(PSV-27計画)の3年目である当期において、「人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓く」という基本方針のもと、重点施策を推進しました。電子産業分野では、半導体製造の売上上位企業であるグローバルアカウントをはじめとするお客様との接点を強化するため、欧米地域で前年同期に獲得した案件の立ち上げに注力し、大型案件に対応可能な基盤を整備するとともに、エンジニアリング力と技術力を駆使して、グローバルにサービス事業の起点となる水処理装置案件の受注獲得を図りました。また、主に米国を中心に精密洗浄事業を展開しているペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.については、将来の成長性や収益性等を総合的に勘案し、同社の価値向上に資するオーナーのもとで、さらなる成長を図ることが最適であるとの判断のもと、2026年5月13日付でAEQUITA GmbH & Co. KGの子会社に譲渡することを決定し、株式譲渡契約を締結しました。当連結会計年度よりIFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」に従った売却目的保有への資産分類の要件を満たすことから、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の事業を非継続事業に分類するとともに、当連結会計年度の表示形式に合わせ、関連する前連結会計年度の連結財務諸表および注記を一部組み替えて表示しております。一般産業分野では、各国・地域において多様な事業に取り組むお客様の様々な課題に対し、最適なソリューションを提供するため、従来と比べて節水、GHG排出削減、廃棄物の資源化または資源投入量削減に大きく貢献する製品・サービスであるCSVビジネスの売上拡大を加速させました。拡大にあたっては、展開モデル数の拡充を図るとともに、グループ共通の情報基盤を活用した水平展開などに取り組みました。また、北米市場における当社グループのプレゼンスのさらなる向上を図るため、水処理薬品・装置の製造・販売等を主な事業とするクリタ・アメリカ,Inc.に、RO膜等向けの薬品の製造・販売を主な事業とするアビスタ・テクノロジーズ,Inc.を統合しました。また、社会課題を起点とした新規事業の創出・展開については、PFAS(有機フッ素化合物)の除去・処理事業の強化等に取り組みました。PFASは、環境中での残留性や人体への影響の懸念から、主に欧米や日本において規制が強化されつつあり、PFASの分析、除去および有害物質の無害化までを含めたワンストップソリューションへと進化させる取り組みを開始しております。以上の結果、当社グループ全体の継続事業の受注高は442,961百万円(前年同期比7.3%増)、売上高は402,889百万円(前年同期比3.6%増)となりました。利益につきましては、事業利益は、57,343百万円(前年同期比12.7%増)、営業利益は、58,290百万円(前年同期比16.8%増)、税引前利益は、58,160百万円(前年同期比14.7%増)、継続事業と非継続事業を合算した親会社の所有者に帰属する当期利益は、非継続事業となったペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.ののれんを含む固定資産の減損損失が3,418百万円増加したことから、15,957百万円(前年同期比21.4%減)となりました。当連結会計年度においては、継続事業ベースでその他の収益2,414百万円、その他の費用1,468百万円を計上しております。その他の収益は、前年同期比で704百万円減少しております。これは主に、当連結会計年度において一部顧客との超純水供給契約(電子市場)解約に伴う清算益785百万円を計上したものの、前年同期に計上した前受金取崩益1,653百万円がなくなったことによるものです。その他の費用は、前年同期比で2,630百万円減少しております。これは、主に、米国子会社クリタ・フラクタ・ホールディングス,Inc.(一般水処理市場)ののれんの減損損失2,501百万円がなくなったことによるものです。 (電子)当連結会計年度における継続事業ベース(以下同様)の受注高は、208,970百万円(前年同期比7.5%増)となりました。水処理装置は、世界的に半導体製造工場の増強投資が活発となったことを背景とした複数の大型案件の獲得により、高水準であった前年同期を上回る受注計上となったほか、メンテナンスにおいても、国内および韓国を中心にお客様の工場稼働が好調に推移したことを背景に増加しました。売上高は、171,797百万円(前年同期比1.4%増)となりました。水処理装置は、前年同期に中国で複数の大型案件の売上計上があった反動により減収となりましたが、メンテナンスが好調に推移し、増収となりました。利益につきましては、メンテナンスの増収効果に加え、水処理装置の採算性が改善したこともあり、事業利益は、27,657百万円(前年同期比5.6%増)、営業利益は、28,712百万円(前年同期比3.2%増)となりました。 (一般水処理)当連結会計年度の受注高は、233,991百万円(前年同期比7.1%増)となりました。水処理装置は、米国およびシンガポールで増加しました。水処理薬品は、中国と東南アジアにおいて市場環境の弱さがみられましたが、CSVビジネスの拡大により増加しました。これに加えて、土壌浄化が大型案件の獲得により大幅に増加したほか、メンテナンスおよび継続契約型サービスも増加しました。売上高は、231,091百万円(前年同期比5.4%増)となりました。水処理装置は、主に国内における大型案件の工事進捗により増収となったほか、水処理薬品、メンテナンスおよび継続契約型サービスも増収となりました。利益につきましては、増収効果に加え、付加価値の高いCSVビジネスの伸長もあり原価率が改善したことから、事業利益は29,700百万円(前年同期比20.1%増)となり、営業利益は、前年同期に計上したクリタ・フラクタ・ホールディングス,Inc.ののれんの減損損失2,501百万円がなくなったことなどにより、29,592百万円(前年同期比34.0%増)となりました。 なお、当連結会計年度における組織見直しにより「一般水処理市場」に属していたアルカデ・エンジニアリングGmbHとクリタ・アメリカ,Inc.(水処理装置事業)の一部を「電子市場」帰属に変更しました。この変更に伴い、前年同期の数値も組み替えて表示しております。 生産、受注および販売の実績(継続事業ベース)は、以下のとおりであります。①生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) 前年同期比(%)電子市場(百万円)170,16798.8一般水処理市場(百万円)232,549102.1合計(百万円)402,717100.7(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。 ②受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)電子市場208,970107.5131,989141.6一般水処理市場233,991107.157,587105.1合計442,961107.3189,577128.1(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 ③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) 前年同期比(%)電子市場(百万円)171,797101.4一般水処理市場(百万円)231,091105.4合計(百万円)402,889103.6(注)主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)㈱千代田組38,3379.8641,30710.25 (3) 財政状態①資産合計 564,422百万円(前連結会計年度末比15,473百万円増加)流動資産は248,985百万円となり、前連結会計年度末比28,035百万円増加しました。これは主に営業債権、その他の債権及び契約資産が19,220百万円、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.株式の譲渡契約が締結されたことに伴う振替により発生した売却目的で保有する資産が8,211百万円、それぞれ増加したことによるものであります。非流動資産は315,437百万円となり、前連結会計年度末比12,561百万円減少しました。これは主にその他の金融資産が7,943百万円増加したものの、有形固定資産が8,669百万円、使用権資産が1,965百万円、のれんが4,850百万円、繰延税金資産が3,886百万円、それぞれ減少したことによるものであります。有形固定資産、使用権資産、のれんの減少は、主に非継続事業に分類されたペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の減損損失計上によるものです。 ②負債合計 220,445百万円(前連結会計年度末比10,001百万円増加)流動負債は119,066百万円となり、前連結会計年度末比13,501百万円減少しました。これは主に未払法人所得税等が2,838百万円、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.株式の譲渡契約が締結されたことに伴う振替により発生した売却目的で保有する資産に直接関連する負債が10,349百万円、それぞれ増加したものの、営業債務及びその他の債務が10,991百万円、社債及び借入金が18,009百万円それぞれ減少したことによるものであります。社債及び借入金の減少は、短期借入金やコマーシャル・ペーパー発行等による増加の一方、社債の償還(30,000百万円)を実施したためであります。非流動負債は101,379百万円となり、前連結会計年度末比23,502百万円増加しました。これは主にリース負債が4,374百万円減少したものの、社債の新規発行(10,000百万円)や新たな長期借入等により社債及び借入金が27,619百万円増加したためであります。 ③資本合計 343,977百万円(前連結会計年度末比5,473百万円増加)これは主に市場買付による取得等により自己株式が14,919百万円増加し、資本合計に対する減少要因となったものの、円安外国通貨高に伴う在外営業活動体の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が15,301百万円、利益剰余金が4,772百万円それぞれ増加したためであります。なお、利益剰余金は、主に配当金により11,287百万円減少したものの、親会社の所有者に帰属する当期利益15,957百万円により増加しています。 当連結会計年度末における資産をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 (単位:百万円) 報告セグメント調整額(注)連結財務諸表計上額電子市場一般水処理市場計セグメント資産254,756230,500485,25779,165564,422(注)主なものは各報告セグメントに配分していない全社資産であります。 (4) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は65,251百万円(前連結会計年度末比2,299百万円増加)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動で得られた資金は55,592百万円(前年同期比32,168百万円減少)となりました。これは主に非継続事業からの税引前利益(△は損失)21,800百万円、営業債権、その他の債権及び契約資産の増減額(△は増加)17,512百万円、営業債務及びその他の債務の増減額(△は減少)6,700百万円、法人所得税の支払額14,460百万円で資金が減少したものの、税引前利益58,160百万円、減価償却費、償却費及び減損損失35,157百万円、売却目的で保有する処分グループを売却コスト控除後の公正価値で測定したことにより認識した損失19,907百万円で資金が増加したためであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動で使用した資金は34,021百万円(前年同期比18,053百万円減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出25,958百万円、無形資産の取得による支出3,670百万円、投資有価証券の取得による支出2,546百万円などで資金を使用したためであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動で使用した資金は23,309百万円(前年同期比2,139百万円減少)となりました。これは主に、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの純増減額(△は減少)11,344百万円、長期借入れによる収入19,936百万円、社債の発行による収入9,955百万円で資金が増加したものの、社債の償還による支出30,000百万円、自己株式の取得による支出15,165百万円、リース負債の返済による支出5,737百万円、配当金の支払額11,336百万円でそれぞれ資金を使用したためであります。 当社グループは事業運営上必要な流動性確保と安定した資金調達体制の確立を基本方針としております。短期運転資金、設備投資やその他成長分野への投資資金は自己資金を基本としつつも、必要に応じて債券市場での調達や銀行借入を実施しております。なお、当連結会計年度末において、当社は取引金融機関2社とコミットメント・ライン契約を締結しております(借入実行残高 -百万円、借入未実行残高 20,000百万円)。 (5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等中期経営計画「PSV-27」に対する達成状況については、以下のとおりであります。 2024年度実績2025年度実績2027年度目標売上高(百万円)388,814402,889470,000売上高事業利益率(%)13.1%14.2%16%親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)6.1%4.7%12%以上 調整後ROE-11.7%投下資本利益率(ROIC)8.8%8.3%10%以上 調整後ROIC-9.1%(注)当連結会計年度において、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の事業を非継続事業に分類しております。これにより、2025年度の売上高は、非継続事業を除いた継続事業の金額を表示し、事業利益率についても同様の基準で算出しているほか、2024年度の数値についても組み替えを行っております。なお、ROEおよびROICは、継続事業および非継続事業を合算したうえで算出しており、2025年度については非継続事業を除いた継続事業ベースの情報を当社で試算し、調整後ROEおよび調整後ROICとして併記しております。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、2023年度において新たに企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する『水の新たな価値』の開拓者」を定めました。また、当社グループの経営の中核的概念を、従来の「CSR」から「サステナビリティ」に広げ、企業活動と自然環境や社会システムとの相互影響を踏まえた持続的な成長を指向し、サステナビリティを標榜した企業ビジョンの実現に向けた当社グループの重要課題を「クリタグループのマテリアリティ」として定めました。当社グループは、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進し、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標①価値創造ストーリー当社グループは、企業理念の実現に向け社会と共に持続的、長期的に成長していくための道筋をクリタグループの価値創造ストーリーとして言語化しました。当社グループの一人ひとりが価値創造ストーリーの担い手となることで、企業理念の実現を目指してまいります。 (クリタグループの価値創造ストーリー)私たちクリタグループは、世界の様々な現場で日々変化する水の課題に対しソリューションを提供しております。現場から得られる水に関する課題や情報は、私たちの知として集約、蓄積されます。私たちはこの知の活用により、お客様の真の課題を理解し、お客様と共有できる形での価値の予測とともに最適なソリューションを提供します。私たちは、予測した価値の実現により、お客様と社会との共通価値を創造(Creating Shared Value:CSV)し、社会と産業を変えていきます。そして、創造した価値にふさわしい収益を得るとともに、お客様と社会からの信頼を基に更なる現場と新たな知を獲得していきます。 ②Value Pioneering Path当社グループは、マテリアリティへの取り組みを中期経営計画PSV-27の戦略と有機的に融合させております。この全容をPSV-27計画における価値開拓および企業ビジョン実現の道筋として「Value Pioneering Path」に示し、グループ一体の取り組みによって企業ビジョンの実現を目指しております。 ③中期経営計画当社グループは、2023年4月より5カ年の中期経営計画「PSV-27」(Pioneering Shared Value 2027)をスタートさせました。マテリアリティの課題解決に繋がる社会価値を起点とした新事業の創出やCSVビジネスの展開に加え、顧客価値を起点とした既存ビジネスの深化・変革により、強固な社会価値・経済価値の創出基盤を確立することを目指しています。PSV-27 計画最終年度(2027年度)の目標は次の通りとしております。 (財務指標)売上高 4,700億円売上高事業利益率※ 16%親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 12%以上投下資本利益率(ROIC) 10%以上 ※事業利益は、売上高から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除した恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の指標です。IFRSで定義されている指標ではありませんが、財務諸表利用者にとって有用であると考え、自主的に開示しております。 (主要な非財務指標)CSVビジネスによる節水貢献量 250百万㎥CSVビジネスによる温室効果ガス(GHG)削減貢献量 3,000千t-CO2以上CSVビジネスによる資源化貢献量・資源投入削減貢献量 300%増(2022年度比) 「PSV-27」では「人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓く」を基本方針とし、次の重点施策に取組んでいきます。 (重点施策)・電子産業への重点化超純水供給事業で蓄積した「水に関する知」をバリューチェーン全体で活用し、併せて営業・設計・調達の変革を実現することにより、圧倒的なスピードで深い顧客理解に基づくソリューションを提供し、世界の電子産業市場に対する事業展開を加速していきます。・多様な産業を通じた社会との共通価値の創出とグローバル展開各国・地域の顧客動向やニーズを一元的に把握し、CSVビジネスをはじめとした社会との共通価値を創出するソリューションをグローバルに展開します。また、サーキュラーエコノミーの視点で、企業と企業、企業と地域をつなげるソリューションを開発し提供していきます。・社会課題を解決するイノベーションの推進GHG排出削減、節水、資源循環などで社会に貢献する新たな領域の開発に中長期的な視点で取り組みます。また、外部機関との協業を推進し、新たな領域で確固たる競争優位性を確立していきます。・技術立社としての基盤強化技術立社を支える多様な分野の人材の獲得と育成を強化するとともに、世界の知財のビッグデータを駆使し、イノベーションや事業の方向付けを行います。また、デジタル技術を駆使した「水に関する知」の蓄積と利活用を進めていきます。・グループ経営基盤のさらなる強化当社の経営体制を変革し、コーポレート・ガバナンスの水準を一層高めていきます。また、多様な人材の育成と活躍の支援によるエンゲージメントの向上、生産プロセスの変革とサプライヤーとの共存共栄に基づく強固なサプライチェーンの構築、デジタル技術の早期確立と業務プロセスの変革によるデータドリブンな経営に取り組んでいきます。 (3) 会社の対処すべき課題当社グループが2023年度にスタートした5ヵ年の中期経営計画 Pioneering Shared Value 2027(PSV-27計画)は、人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓くことを基本方針としており、「顧客価値起点のトランスフォーメーションの実現」と「社会価値起点のイノベーションの創出」の2軸の競争戦略を通じて、企業ビジョンが目指す、社会に高い価値を提供するとともに、クリタグループが高収益企業へと成長することを目指しています。そのため、PSV-27計画には、企業ビジョン実現のための重要課題であるクリタグループのマテリアリティ解決の取り組みが有機的に組み込まれており、その全容は前項の②Value Pioneering Pathのとおりです。PSV-27計画の2年目である当期は、電子産業における事業基盤の強化とグローバル展開の推進に取り組み、世界四極(日本、アジア、北南米、EMEA)での電子事業戦略の基本方針に基づいた活動を推進し、米国および欧州での案件を受注したほか、精密洗浄事業の市況低迷や水供給事業の計画変更を受けて、サービス事業の拡大を図りました。社会との共通価値の創出の取り組みにおける重点施策であるCSVビジネス(注1)の拡大については、新規CSVビジネスの創出に向けた業務プロセスの運用を開始したほか、既存CSVビジネスを中東・アフリカ・インドでも展開しました。社会課題を解決するイノベーションの推進に向けては、1件の新規事業を開始しました。また、技術立社としての基盤強化に向けた「水に関する知」として蓄積すべき情報の活用について、当期は国内で製紙工場の紙製品製造工程における水質データなどを活用し、製造品質の低下やそれに伴う操業障害などを事前に予測して、その原因の推定を可能にする予兆診断サービスの本格展開を開始し、中国・ASEANでは遠隔支援サービスを拡大しました。2025年度には、世界四極共通のデータ基盤の本格稼働を見込んでいます。さらに、グループ経営基盤の更なる強化として、取締役会による「長期的な方向付け」の策定に向け、取締役会およびサステナビリティ諮問会議において、長期的な外部環境の変化や当社グループの価値提供のあり方について検討を行ったほか、タレントマネジメントプラットフォーム構築に向けた取り組みを進めました。これらの取り組みの結果、多くの重点施策で一定の成果が見られ、2024年度までの計画は次のとおり順調に進捗しています。しかしながら、前述の精密洗浄事業の市況低迷や水供給事業の計画変更等の影響を踏まえて、2025年度以降は計画達成に向けて中期的な視点で重点施策を推進する必要があります。PSV-27計画の3年目にあたる2025年度は、当社グループの対処すべき課題として、次の5つの重点施策に取り組んでまいります。1) 電子産業での重点化競合他社との差別化を推進し、海外および主要顧客における顕在・潜在案件の投資情報を事前に把握して確実に確保するとともに、EPC(注2)およびEP+モジュールを起点としたサービス事業の拡大に取り組みます。また、精密洗浄事業の選択と集中により収益性改善を図るとともに、連携して事業拡大を推進していきます。2) 多様な産業を通じた社会との共通価値の創出とグローバル展開CSVビジネスの既存展開および新規創出のさらなる加速を目指すとともに、PFAS需要への高まりに対してグローバルに対応していきます。また、低収益ビジネスの見直し、リカーリングビジネスの獲得による顧客生涯価値の最大化に取り組み、収益性と営業効率の向上を目指します。3) 社会課題を解決するイノベーションの推進新規事業創出の事業化テーマについて、社会価値と経済価値の両面から検証を行うとともに、顧客および社内外との意見交換を通じた大型化の検証と見直しを図ることで、新規事業立ち上げを目指します。また、既存事業の強化に向けて、新たな市場開拓・価値創出、シェア拡大に貢献する製品・サービスの競争力を生み出すコア技術の開発に取り組みます。4) 技術立社としての基盤強化新規事業案や開発テーマの中から、特許網構築やIPランドスケープの活用により競争優位性を強化できる対象を選定し、PSV-27計画達成への貢献を高める事業開発・市場展開策を具体化します。また、「水に関する知」として蓄積すべき情報の活用に向け、データ基盤を本格活用する範囲を拡大していきます。5) グループ経営基盤の更なる強化中長期視点での戦略的取り組みおよび企画力の強化に向けて、サステナビリティに関する社内外の情報やIPランドスケープを活用した洞察により、中長期的な経営戦略の核となる社会価値起点の新規事業の構想を立案するプロセスを構築していきます。また、タレントマネジメントプラットフォームにおいて、クリタグループ全体を対象にグループ人材の適所適材に向けた運用を開始します。 (注)1 社会価値が高い水処理に係る事業の中でも、従来に比べ節水、GHG排出削減、廃棄物の資源化または資源投入量の削減に大きく貢献する製品、技術、ビジネスモデルを「CSV(Creating Shared Value)ビジネス」として定めています。2 Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、2023年度において新たに企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する『水の新たな価値』の開拓者」を定めました。また、当社グループの経営の中核的概念を、従来の「CSR」から「サステナビリティ」に広げ、企業活動と自然環境や社会システムとの相互影響を踏まえた持続的な成長を指向し、サステナビリティを標榜した企業ビジョンの実現に向けた当社グループの重要課題を「クリタグループのマテリアリティ」として定めました。当社グループは、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進し、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標①価値創造ストーリー当社グループは、企業理念の実現に向け社会と共に持続的、長期的に成長していくための道筋をクリタグループの価値創造ストーリーとして言語化しました。当社グループの一人ひとりが価値創造ストーリーの担い手となることで、企業理念の実現を目指してまいります。 (クリタグループの価値創造ストーリー)私たちクリタグループは、世界の様々な現場で日々変化する水の課題に対しソリューションを提供しております。現場から得られる水に関する課題や情報は、私たちの知として集約、蓄積されます。私たちはこの知の活用により、お客様の真の課題を理解し、お客様と共有できる形での価値の予測とともに最適なソリューションを提供します。私たちは、予測した価値の実現により、お客様と社会との共通価値を創造(Creating Shared Value:CSV)し、社会と産業を変えていきます。そして、創造した価値にふさわしい収益を得るとともに、お客様と社会からの信頼を基に更なる現場と新たな知を獲得していきます。 ②Value Pioneering Path当社グループは、マテリアリティへの取り組みを中期経営計画PSV-27の戦略と有機的に融合させております。この全容をPSV-27計画における価値開拓および企業ビジョン実現の道筋として「Value Pioneering Path」に示し、グループ一体の取り組みによって企業ビジョンの実現を目指しております。 ③中期経営計画当社グループは、2023年4月より5カ年の中期経営計画「PSV-27」(Pioneering Shared Value 2027)をスタートさせました。マテリアリティの課題解決に繋がる社会価値を起点とした新事業の創出やCSVビジネスの展開に加え、顧客価値を起点とした既存ビジネスの深化・変革により、強固な社会価値・経済価値の創出基盤を確立することを目指しています。PSV-27 計画最終年度(2027年度)の目標は次の通りとしております。 (財務指標)売上高 4,700億円売上高事業利益率※ 16%親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 12%以上投下資本利益率(ROIC) 10%以上 ※事業利益は、売上高から売上原価ならびに販売費及び一般管理費を控除した恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の指標です。IFRSで定義されている指標ではありませんが、財務諸表利用者にとって有用であると考え、自主的に開示しております。 (主要な非財務指標)CSVビジネスによる節水貢献量 250百万㎥CSVビジネスによる温室効果ガス(GHG)削減貢献量 3,000千t-CO2以上CSVビジネスによる資源化貢献量・資源投入削減貢献量 300%増(2022年度比) 「PSV-27」では「人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓く」を基本方針とし、次の重点施策に取組んでいきます。 (重点施策)・電子産業への重点化超純水供給事業で蓄積した「水に関する知」をバリューチェーン全体で活用し、併せて営業・設計・調達の変革を実現することにより、圧倒的なスピードで深い顧客理解に基づくソリューションを提供し、世界の電子産業市場に対する事業展開を加速していきます。・多様な産業を通じた社会との共通価値の創出とグローバル展開各国・地域の顧客動向やニーズを一元的に把握し、CSVビジネスをはじめとした社会との共通価値を創出するソリューションをグローバルに展開します。また、サーキュラーエコノミーの視点で、企業と企業、企業と地域をつなげるソリューションを開発し提供していきます。・社会課題を解決するイノベーションの推進GHG排出削減、節水、資源循環などで社会に貢献する新たな領域の開発に中長期的な視点で取り組みます。また、外部機関との協業を推進し、新たな領域で確固たる競争優位性を確立していきます。・技術立社としての基盤強化技術立社を支える多様な分野の人材の獲得と育成を強化するとともに、世界の知財のビッグデータを駆使し、イノベーションや事業の方向付けを行います。また、デジタル技術を駆使した「水に関する知」の蓄積と利活用を進めていきます。・グループ経営基盤のさらなる強化当社の経営体制を変革し、コーポレート・ガバナンスの水準を一層高めていきます。また、多様な人材の育成と活躍の支援によるエンゲージメントの向上、生産プロセスの変革とサプライヤーとの共存共栄に基づく強固なサプライチェーンの構築、デジタル技術の早期確立と業務プロセスの変革によるデータドリブンな経営に取り組んでいきます。 (3) 会社の対処すべき課題当社グループが2023年度にスタートした5ヵ年の中期経営計画 Pioneering Shared Value 2027(PSV-27計画)は、人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓くことを基本方針としており、「顧客価値起点のトランスフォーメーションの実現」と「社会価値起点のイノベーションの創出」の2軸の競争戦略を通じて、企業ビジョンが目指す、社会に高い価値を提供するとともに、クリタグループが高収益企業へと成長することを目指しています。そのため、PSV-27計画には、企業ビジョン実現のための重要課題であるクリタグループのマテリアリティ解決の取り組みが有機的に組み込まれており、その全容は前項の②Value Pioneering Pathのとおりです。PSV-27計画の2年目である当期は、電子産業における事業基盤の強化とグローバル展開の推進に取り組み、世界四極(日本、アジア、北南米、EMEA)での電子事業戦略の基本方針に基づいた活動を推進し、米国および欧州での案件を受注したほか、精密洗浄事業の市況低迷や水供給事業の計画変更を受けて、サービス事業の拡大を図りました。社会との共通価値の創出の取り組みにおける重点施策であるCSVビジネス(注1)の拡大については、新規CSVビジネスの創出に向けた業務プロセスの運用を開始したほか、既存CSVビジネスを中東・アフリカ・インドでも展開しました。社会課題を解決するイノベーションの推進に向けては、1件の新規事業を開始しました。また、技術立社としての基盤強化に向けた「水に関する知」として蓄積すべき情報の活用について、当期は国内で製紙工場の紙製品製造工程における水質データなどを活用し、製造品質の低下やそれに伴う操業障害などを事前に予測して、その原因の推定を可能にする予兆診断サービスの本格展開を開始し、中国・ASEANでは遠隔支援サービスを拡大しました。2025年度には、世界四極共通のデータ基盤の本格稼働を見込んでいます。さらに、グループ経営基盤の更なる強化として、取締役会による「長期的な方向付け」の策定に向け、取締役会およびサステナビリティ諮問会議において、長期的な外部環境の変化や当社グループの価値提供のあり方について検討を行ったほか、タレントマネジメントプラットフォーム構築に向けた取り組みを進めました。これらの取り組みの結果、多くの重点施策で一定の成果が見られ、2024年度までの計画は次のとおり順調に進捗しています。しかしながら、前述の精密洗浄事業の市況低迷や水供給事業の計画変更等の影響を踏まえて、2025年度以降は計画達成に向けて中期的な視点で重点施策を推進する必要があります。PSV-27計画の3年目にあたる2025年度は、当社グループの対処すべき課題として、次の5つの重点施策に取り組んでまいります。1) 電子産業での重点化競合他社との差別化を推進し、海外および主要顧客における顕在・潜在案件の投資情報を事前に把握して確実に確保するとともに、EPC(注2)およびEP+モジュールを起点としたサービス事業の拡大に取り組みます。また、精密洗浄事業の選択と集中により収益性改善を図るとともに、連携して事業拡大を推進していきます。2) 多様な産業を通じた社会との共通価値の創出とグローバル展開CSVビジネスの既存展開および新規創出のさらなる加速を目指すとともに、PFAS需要への高まりに対してグローバルに対応していきます。また、低収益ビジネスの見直し、リカーリングビジネスの獲得による顧客生涯価値の最大化に取り組み、収益性と営業効率の向上を目指します。3) 社会課題を解決するイノベーションの推進新規事業創出の事業化テーマについて、社会価値と経済価値の両面から検証を行うとともに、顧客および社内外との意見交換を通じた大型化の検証と見直しを図ることで、新規事業立ち上げを目指します。また、既存事業の強化に向けて、新たな市場開拓・価値創出、シェア拡大に貢献する製品・サービスの競争力を生み出すコア技術の開発に取り組みます。4) 技術立社としての基盤強化新規事業案や開発テーマの中から、特許網構築やIPランドスケープの活用により競争優位性を強化できる対象を選定し、PSV-27計画達成への貢献を高める事業開発・市場展開策を具体化します。また、「水に関する知」として蓄積すべき情報の活用に向け、データ基盤を本格活用する範囲を拡大していきます。5) グループ経営基盤の更なる強化中長期視点での戦略的取り組みおよび企画力の強化に向けて、サステナビリティに関する社内外の情報やIPランドスケープを活用した洞察により、中長期的な経営戦略の核となる社会価値起点の新規事業の構想を立案するプロセスを構築していきます。また、タレントマネジメントプラットフォームにおいて、クリタグループ全体を対象にグループ人材の適所適材に向けた運用を開始します。 (注)1 社会価値が高い水処理に係る事業の中でも、従来に比べ節水、GHG排出削減、廃棄物の資源化または資源投入量の削減に大きく貢献する製品、技術、ビジネスモデルを「CSV(Creating Shared Value)ビジネス」として定めています。2 Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設)。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要性がある会計方針」、「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。 (2) 経営成績当期における世界経済は、ウクライナおよび中東情勢の悪化が長期化していることに加え、米国の通商政策変更の影響により先行き不透明な状況が続き、一部の国・地域では景気回復の動きに力強さを欠きましたが、持ち直しの動きが継続しました。国内では、製造業の生産活動は、一部自動車メーカーの生産停止解除や半導体などの電子部品の在庫調整の進展から持ち直しの動きがみられましたが、年度後半にかけて回復の動きが鈍化しました。設備投資は、高水準の企業収益を背景に底堅い動きが続きました。海外では、米国経済は、堅調に推移しましたが、欧州および中国は、内需に力強さが見られず、回復の動きに停滞感がみられました。中国を除くアジア諸国は、一部に弱さがみられたものの、持ち直しの動きが続きました。このような中、当社グループは、5か年の中期経営計画「PSV-27」(Pioneering Shared Value 2027)の2年目である当期において、「人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓く」という基本方針のもと、電子産業市場分野では、デジタル技術を活用して、安全運転、環境負荷低減、コストダウンに係るノウハウやデータを蓄積し、可視化した「水に関する知」を駆使しお客様の多様な課題の解決に貢献するサービスラインアップを拡充し、顧客接点の拡大を図りました。また、グローバルに電子産業のパートナーとなることを目指す中、欧米における新たな事業基盤構築に取り組み、米国および欧州において半導体工場向けの水処理装置案件の受注を獲得しました。韓国では、主に同国の電子産業に対するサービスの提案・提供力を強化し、社会との共通価値を創造するCSVビジネスの展開を加速するため、水処理装置の製造・販売およびメンテナンス・サービス事業を展開してきた韓水テクニカルサービス株式会社と水処理薬品の製造・販売事業を展開してきた株式会社韓水を統合し、栗田韓水株式会社として事業を展開しております。一般産業市場分野では、各国・地域において多様な事業に取り組む顧客の動向やニーズをグループ共通のデータ基盤により一元的に把握し、グループ横断的に利活用することでCSVビジネスの拡大に取り組みました。また、事業基盤の強化に向けた取り組みとして、国内では、水処理薬品とメンテナンス・サービスを一体化したワンストップ営業を実現し、顧客現場との接点を強化するため、国内販売事業会社等11社をクリタ東日本株式会社とクリタ西日本株式会社の2社に再編しました。海外では、世界有数の経済規模を有し、水処理需要が高まっているインドにクリタ・アクアケミ・インディア・プライベート・リミテッドを設立し、同国のお客様の水や環境に係る課題に応えるソリューションを迅速に提供するための体制整備に取り組みました。以上の結果、当社グループ全体の受注高は432,953百万円(前年同期比11.0%増)、売上高は408,888百万円(前年同期比6.3%増)となりました。利益につきましては、事業利益は、49,184百万円(前年同期比17.0%増)、営業利益は、31,275百万円(前年同期比24.1%減)、税引前利益は、31,821百万円(前年同期比23.7%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は、20,305百万円(前年同期比30.4%減)となりました。当連結会計年度においては、その他の収益3,140百万円、その他の費用21,050百万円を計上しております。その他の収益は、一部顧客との超純水供給契約(電子市場)解約に伴う前受金取崩益1,653百万円を計上したことなどにより前年同期比で1,172百万円増加しております。その他の費用には、主に米国および欧州において精密洗浄事業を展開している米国子会社ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(電子市場)の有形固定資産(建物使用権資産含む)の減損損失15,522百万円、同社ののれんの減損損失967百万円、主に水道管等の劣化予測ソフトウエアサービスを提供している米国子会社クリタ・フラクタ・ホールディングス,Inc.(一般水処理市場)ののれんの減損損失2,501百万円が含まれており、前年同期比で18,259百万円増加しております。この結果、営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は減益となりました。のれんを含む固定資産は、減損兆候が存在する場合はその都度、のれんについては減損兆候の有無にかかわらず、毎年定期的に減損テストを実施しており、減損損失は使用価値と会計上の簿価を比較することにより算出しております。ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(電子市場)の有形固定資産(建物使用権資産含む)の減損損失は、一部の主要顧客の半導体工場の稼働率低迷や工場建設計画の変更、遅延の影響により建設中のアイルランドと米国アリゾナ州の精密洗浄工場の使用価値が著しく低下したため認識しております。なお、アイルランドの精密洗浄工場の建設は中止し、撤退することを決定しております。のれんの減損損失を測定する際に必要となる使用価値は、予測される将来キャッシュ・フローを適切な割引率で割り引くことによって算出します。ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(電子市場)については、主要顧客の半導体工場稼働率回復の動きが想定を下回ったことにより影響を受けた当連結会計年度を含めた過去の業績達成状況を踏まえ、慎重に見積りを行い、前連結会計年度末における将来キャッシュ・フローの見積りの基礎である事業計画を下方修正しました。クリタ・フラクタ・ホールディングス,Inc.(一般水処理市場)についても、事業体制整備の遅れにより想定した収益獲得の早期実現が困難となったことや当連結会計年度を含めた過去の業績達成状況を踏まえ、前連結会計年度末の事業計画を下方修正しました。これらの結果、両社ののれんの使用価値が会計上の簿価を下回ったため、減損損失を認識しております。 (電子)受注高は、194,994百万円(前年同期比17.6%増)となりました。水処理装置は、主に欧州向けの大型案件を受注したことにより増加しました。継続契約型サービスは、新規に稼働した超純水供給事業案件の売上や一過性の収益計上の貢献により増加し、メンテナンスも主に中国および台湾の顧客からの需要をとりこみ増加しました。精密洗浄は、半導体市況の回復を背景に増加しましたが、海外顧客の洗浄ニーズが本格的な回復には至っておらず、増加は緩やかなものとなりました。売上高は、181,194百万円(前年同期比4.9%増)となりました。水処理装置は、前年同期の国内大型案件の売上計上の反動で減少しましたが、継続契約型サービス、メンテナンスおよび精密洗浄は増加しました。利益につきましては、継続契約型サービスの伸長や比較的原価率が高い装置案件が減少したことによる売上原価率改善の影響を受け、事業利益は、24,216百万円(前年同期比21.5%増)、営業利益は、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.ののれんを含む固定資産の減損損失16,490百万円計上があり、8,945百万円(前年同期比55.7%減)となりました。 (一般水処理)受注高は、237,958百万円(前年同期比6.1%増)となりました。水処理装置は、国内および米国における大型案件の受注計上などにより増加し、メンテナンスおよび継続契約型サービスも増加しました。水処理薬品は、欧州、中国および東南アジアの一部において、製造業の生産活動回復の動きに弱さがみられ、円安による円換算額増加の影響を除くと減少しました。売上高は、227,693百万円(前年同期比7.3%増)となりました。水処理装置は、主に米国大型案件の工事進捗による売上計上で増加し、メンテナンス、継続契約型サービスも増収となりました。水処理薬品は、受注高と同様に、為替影響を除くと減収となりました。利益につきましては、増収影響に加え、付加価値の高いCSVビジネスの伸長もあり原価率が改善したことから、事業利益は24,969百万円(前年同期比13.0%増)となり、営業利益は、クリタ・フラクタ・ホールディングス,Inc.ののれんの減損損失2,501百万円を計上したことなどにより22,331百万円(前年同期比6.2%増)となりました。 生産、受注および販売の実績は、以下のとおりであります。①生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 前年同期比(%)電子市場(百万円)181,770105.5一般水処理市場(百万円)226,609106.5合計(百万円)408,380106.0(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。 ②受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)電子市場194,994117.678,392121.4一般水処理市場237,958106.169,586117.3合計432,953111.0147,978119.4(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 ③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 前年同期比(%)電子市場(百万円)181,194104.9一般水処理市場(百万円)227,693107.3合計(百万円)408,888106.3(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 (3) 財政状態①資産合計 548,949百万円(前連結会計年度末比8,458百万円減少)流動資産は220,950百万円となり、前連結会計年度末比7,068百万円減少しました。これは主に現金及び現金同等物が8,942百万円増加したものの、営業債権及びその他の債権が13,051百万円、その他の金融資産が1,769百万円それぞれ減少したことによるものであります。非流動資産は327,998百万円となり、前連結会計年度末比1,390百万円減少しました。これは主に有形固定資産が4,458百万円、繰延税金資産が3,837百万円、それぞれ増加したものの、のれんが4,654百万円、使用権資産が3,070百万円、その他の金融資産が1,453百万円、それぞれ減少したことによるものであります。有形固定資産の増加は、減価償却費の計上26,070百万円と前述のペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(電子市場)の有形固定資産の減損損失計上による減少があったものの、超純水供給事業(電子市場)用設備の取得などの設備投資45,953百万円があったためであります。のれんの減少は、主に第4四半期連結会計期間において、クリタ・フラクタ・ホールディングス,Inc.(一般水処理市場)の「のれん」2,501百万円とペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の「のれん」967百万円を減損損失計上したことによるものであります。 ②負債合計 210,444百万円(前連結会計年度末比13,551百万円減少)流動負債は132,567百万円となり、前連結会計年度末比13,947百万円増加しました。これは主に社債及び借入金が14,796百万円増加したことによるものであります。社債及び借入金の増加は、コマーシャル・ペーパーの償還による減少があったものの、2025年12月に償還予定の社債30,000百万円を非流動負債から流動負債に振替したことによるものであります。非流動負債は77,877百万円となり、前連結会計年度末比27,498百万円減少しました。これは主に社債及び借入金が22,388百万円、その他の非流動負債が2,821百万円それぞれ減少したためであります。社債及び借入金の減少は、長期借入金による資金調達10,000百万円増加があったものの、前述の社債の流動負債への振替によるものであります。 ③資本合計 338,504百万円(前連結会計年度末比5,093百万円増加)資本合計の増加は主に年度末にかけての円高外国通貨安の進行に伴う在外営業活動体の換算差額の減少によりその他の資本の構成要素が5,594百万円減少したものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等により利益剰余金が11,320百万円増加したことによるものであります。 当連結会計年度末における資産をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 (単位:百万円) 報告セグメント調整額(注)連結財務諸表計上額電子市場一般水処理市場計セグメント資産261,586218,126479,71369,235548,949(注)主なものは各報告セグメントに配分していない全社資産であります。 (4) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は62,951百万円(前連結会計年度末比8,942百万円増加)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動で得られた資金は87,760百万円(前年同期比36,886百万円増加)となりました。これは主に法人所得税の支払額11,170百万円で資金が減少したものの、税引前利益31,821百万円、減価償却費、償却費及び減損損失54,689百万円、営業債権及びその他の債権の増減額(△は増加)9,803百万円で資金が増加したためであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動で使用した資金は52,074百万円(前年同期比16,273百万円増加)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出49,859百万円、無形資産の取得による支出3,827百万円などで資金を使用したためであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動で使用した資金は25,448百万円(前年同期比10,111百万円増加)となりました。これは主に長期借入れによる収入9,962百万円で資金が増加したものの、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの純増減額(△は減少)15,143百万円、配当金の支払額9,956百万円、リース負債の返済による支出6,290百万円で資金を使用したためであります。 当社グループは事業運営上必要な流動性確保と安定した資金調達体制の確立を基本方針としております。短期運転資金、設備投資やその他成長分野への投資資金は自己資金を基本としつつも、必要に応じて債券市場での調達や銀行借入を実施しております。なお、当連結会計年度末において、当社は取引金融機関2社とコミットメント・ライン契約を締結しております(借入実行残高 -百万円、借入未実行残高 20,000百万円)。 (5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等中期経営計画「PSV-27」に対する達成状況については、以下のとおりであります。 2024年3月期実績2025年3月期実績2028年3月期目標売上高(百万円)384,825408,888470,000売上高事業利益率(%)10.9%12.0%16%親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)9.3%6.1%12%以上投下資本利益率(ROIC)7.2%8.8%10%以上
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、本年度新たに企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する「水の新たな価値」の開拓者」を定めました。また、当社グループの経営の中核的概念を、現行の「CSR」から「サステナビリティ」に広げ、企業活動と自然環境や社会システムが相互に影響し合った持続的な成長を指向し、サステナビリティを標榜した「企業ビジョン」の実現に向けた当社グループの重要課題を「クリタグループのマテリアリティ」として定めました。当社グループは、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進し、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標①中期経営計画当社グループは、2018年4月より5カ年の中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)において、CSRを経営の中核に位置付け、「既成概念を壊し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高め、顧客親密性を最大化する」を基本方針に掲げ、収益性の向上を目指して取り組んできました。価値創造ストーリーの実現に向け、激変する事業環境下でも価値創造の源泉となる人材の重要性を強く認識し、育成や活躍推進に注力しています。海外事業では世界四極体制の基盤を確立し、グローバルにグループ連携が進みつつあります。しかしながら、ビジネスモデルの変容は道半ばであり、既存ビジネスの中には収益性や強靭性に課題を残すものもあり、新たな収益の柱となる新規事業の創出には至りませんでした。地域特性・市場特性に合わせた製品・サービスの展開を加速させていく必要があります。これらを踏まえ、2023年度より新中期経営計画「PSV-27」(Pioneering Shared Value 2027)をスタートさせました。PSV-27 計画最終年度(2027年度)の業績目標は次の通りです。 売上高 4,500億円売上高事業利益率 16%※親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 12%以上投下資本利益率(ROIC) 10%以上 ※事業利益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の指標であります。 「PSV-27」では「人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓く」を基本方針とし、次の重点施策に取組んでいきます。 (重点施策)・電子産業への重点化超純水供給事業で蓄積した「水に関する知」をバリューチェーン全体で活用し、併せて営業・設計・調達の変革を実現することにより、圧倒的なスピードで深い顧客理解に基づくソリューションを提供し、世界の電子産業市場に対する事業展開を加速していきます。・多様な産業を通じた社会との共通価値の創出とグローバル展開各国・地域の顧客動向やニーズを一元的に把握し、CSVビジネスをはじめとした社会との共通価値を創出するソリューションをグローバルに展開します。また、サーキュラーエコノミーの視点で、企業と企業、企業と地域をつなげるソリューションを開発し提供していきます。・社会課題を解決するイノベーションの推進CO₂排出削減、節水、資源循環などで社会に貢献する新たな領域の開発に中長期的な視点で取り組みます。また、外部機関との協業を推進し、新たな領域で確固たる競争優位性を確立していきます。・技術立社としての基盤強化技術立社を支える多様な分野の人材の獲得と育成を強化するとともに、世界の知財のビッグデータを駆使し、イノベーションや事業の方向付けを行います。また、デジタル技術を駆使した「水に関する知」の蓄積と利活用を進めていきます。 ・グループ経営基盤のさらなる強化当社の経営体制を変革し、コーポレートガバナンスの水準を一層高めていきます。また、多様な人材の育成と活躍の支援によるエンゲージメントの向上、生産プロセスの変革とサプライヤーとの共存共栄に基づく強固なサプライチェーンの構築、デジタル技術の早期確立と業務プロセスの変革によるデータドリブンな経営に取り組んでいきます。 ②価値創造ストーリー当社グループは、企業理念の実現に向け社会と共に持続的、長期的に成長していくための道筋をクリタグループの価値創造ストーリーとして言語化しました。当社グループの一人ひとりが価値創造ストーリーの担い手となることで、企業理念の実現を目指してまいります。 (クリタグループの価値創造ストーリー)私たちクリタグループは、世界の様々な現場で日々変化する水の課題に対しソリューションを提供しております。現場から得られる水に関する課題や情報は、私たちの知として集約、蓄積されます。私たちはこの知の活用により、お客様の真の課題を理解し、お客様と共有できる形での価値の予測とともに最適なソリューションを提供します。私たちは、予測した価値の実現により、お客様と社会との共通価値を創造(Creating Shared Value:CSV)し、社会と産業を変えていきます。そして、創造した価値にふさわしい収益を得るとともに、お客様と社会からの信頼を基に更なる現場と新たな知を獲得していきます。 (3) 会社の対処すべき課題当社グループは、2018年4月より5カ年の中期経営計画「MVP-22」に取り組み、品質とスピードを飛躍的に高めた新しいビジネスプロセスの変革と、顧客価値および社会との共通価値を創造・提供するビジネスモデルへの変容を加速することで、高い収益性と成長力ならびに社会課題の解決力を備えたグループになることを目指してきました。この結果、買収効果も併せ海外を中心に売上高は伸長しました。利益面では、目標としていた売上高事業利益率15%は未達となったものの、サービス契約型ビジネスの拡大や低収益事業からの撤退等により収益性は着実に改善しました。一方でビジネスモデルの変容については、全ての事業において従来のモノ売りから価値提供型のサービスへの転換を進め、サービス契約型ビジネスの拡大は着実に進展したものの、市場特性を踏まえた柱となる新たなビジネスモデルの創出・提供には至らずに課題を残しました。これらを踏まえて、2023年度からスタートした新中期経営計画「PSV-27」(Pioneering Shared Value 2027)の策定にあたっては、企業ビジョンを「持続可能な社会の実現に貢献する『水の新たな価値』の開拓者」に改め、経営戦略の中核を、これまでの「CSR(Corporate Social Responsibility)」から「サステナビリティ」へと拡大し、企業活動と自然環境や社会システムが相互に影響し合った持続的な成長を指向しました。本計画では、顧客を取り巻く事業環境や顧客にとっての競争優位性など、市場特性を一層深く考察したうえで、市場ごとに付加価値の高い製品・サービスをスピード感をもって展開していきます。また、ビジネスモデルの変容・ビジネスプロセスの変革によるサービス事業の多様化と深化、社会価値起点のビジネスを強化することで、顧客層や既存顧客との現場接点を拡大し、収益性の向上を目指します。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、本年度新たに企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する「水の新たな価値」の開拓者」を定めました。また、当社グループの経営の中核的概念を、現行の「CSR」から「サステナビリティ」に広げ、企業活動と自然環境や社会システムが相互に影響し合った持続的な成長を指向し、サステナビリティを標榜した「企業ビジョン」の実現に向けた当社グループの重要課題を「クリタグループのマテリアリティ」として定めました。当社グループは、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進し、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標①中期経営計画当社グループは、2018年4月より5カ年の中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)において、CSRを経営の中核に位置付け、「既成概念を壊し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高め、顧客親密性を最大化する」を基本方針に掲げ、収益性の向上を目指して取り組んできました。価値創造ストーリーの実現に向け、激変する事業環境下でも価値創造の源泉となる人材の重要性を強く認識し、育成や活躍推進に注力しています。海外事業では世界四極体制の基盤を確立し、グローバルにグループ連携が進みつつあります。しかしながら、ビジネスモデルの変容は道半ばであり、既存ビジネスの中には収益性や強靭性に課題を残すものもあり、新たな収益の柱となる新規事業の創出には至りませんでした。地域特性・市場特性に合わせた製品・サービスの展開を加速させていく必要があります。これらを踏まえ、2023年度より新中期経営計画「PSV-27」(Pioneering Shared Value 2027)をスタートさせました。PSV-27 計画最終年度(2027年度)の業績目標は次の通りです。 売上高 4,500億円売上高事業利益率 16%※親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 12%以上投下資本利益率(ROIC) 10%以上 ※事業利益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の指標であります。 「PSV-27」では「人材・技術・しくみを磨き上げ、圧倒的なスピードと課題解決力で、期待を超える価値を切り拓く」を基本方針とし、次の重点施策に取組んでいきます。 (重点施策)・電子産業への重点化超純水供給事業で蓄積した「水に関する知」をバリューチェーン全体で活用し、併せて営業・設計・調達の変革を実現することにより、圧倒的なスピードで深い顧客理解に基づくソリューションを提供し、世界の電子産業市場に対する事業展開を加速していきます。・多様な産業を通じた社会との共通価値の創出とグローバル展開各国・地域の顧客動向やニーズを一元的に把握し、CSVビジネスをはじめとした社会との共通価値を創出するソリューションをグローバルに展開します。また、サーキュラーエコノミーの視点で、企業と企業、企業と地域をつなげるソリューションを開発し提供していきます。・社会課題を解決するイノベーションの推進CO₂排出削減、節水、資源循環などで社会に貢献する新たな領域の開発に中長期的な視点で取り組みます。また、外部機関との協業を推進し、新たな領域で確固たる競争優位性を確立していきます。・技術立社としての基盤強化技術立社を支える多様な分野の人材の獲得と育成を強化するとともに、世界の知財のビッグデータを駆使し、イノベーションや事業の方向付けを行います。また、デジタル技術を駆使した「水に関する知」の蓄積と利活用を進めていきます。 ・グループ経営基盤のさらなる強化当社の経営体制を変革し、コーポレートガバナンスの水準を一層高めていきます。また、多様な人材の育成と活躍の支援によるエンゲージメントの向上、生産プロセスの変革とサプライヤーとの共存共栄に基づく強固なサプライチェーンの構築、デジタル技術の早期確立と業務プロセスの変革によるデータドリブンな経営に取り組んでいきます。 ②価値創造ストーリー当社グループは、企業理念の実現に向け社会と共に持続的、長期的に成長していくための道筋をクリタグループの価値創造ストーリーとして言語化しました。当社グループの一人ひとりが価値創造ストーリーの担い手となることで、企業理念の実現を目指してまいります。 (クリタグループの価値創造ストーリー)私たちクリタグループは、世界の様々な現場で日々変化する水の課題に対しソリューションを提供しております。現場から得られる水に関する課題や情報は、私たちの知として集約、蓄積されます。私たちはこの知の活用により、お客様の真の課題を理解し、お客様と共有できる形での価値の予測とともに最適なソリューションを提供します。私たちは、予測した価値の実現により、お客様と社会との共通価値を創造(Creating Shared Value:CSV)し、社会と産業を変えていきます。そして、創造した価値にふさわしい収益を得るとともに、お客様と社会からの信頼を基に更なる現場と新たな知を獲得していきます。 (3) 会社の対処すべき課題当社グループは、2018年4月より5カ年の中期経営計画「MVP-22」に取り組み、品質とスピードを飛躍的に高めた新しいビジネスプロセスの変革と、顧客価値および社会との共通価値を創造・提供するビジネスモデルへの変容を加速することで、高い収益性と成長力ならびに社会課題の解決力を備えたグループになることを目指してきました。この結果、買収効果も併せ海外を中心に売上高は伸長しました。利益面では、目標としていた売上高事業利益率15%は未達となったものの、サービス契約型ビジネスの拡大や低収益事業からの撤退等により収益性は着実に改善しました。一方でビジネスモデルの変容については、全ての事業において従来のモノ売りから価値提供型のサービスへの転換を進め、サービス契約型ビジネスの拡大は着実に進展したものの、市場特性を踏まえた柱となる新たなビジネスモデルの創出・提供には至らずに課題を残しました。これらを踏まえて、2023年度からスタートした新中期経営計画「PSV-27」(Pioneering Shared Value 2027)の策定にあたっては、企業ビジョンを「持続可能な社会の実現に貢献する『水の新たな価値』の開拓者」に改め、経営戦略の中核を、これまでの「CSR(Corporate Social Responsibility)」から「サステナビリティ」へと拡大し、企業活動と自然環境や社会システムが相互に影響し合った持続的な成長を指向しました。本計画では、顧客を取り巻く事業環境や顧客にとっての競争優位性など、市場特性を一層深く考察したうえで、市場ごとに付加価値の高い製品・サービスをスピード感をもって展開していきます。また、ビジネスモデルの変容・ビジネスプロセスの変革によるサービス事業の多様化と深化、社会価値起点のビジネスを強化することで、顧客層や既存顧客との現場接点を拡大し、収益性の向上を目指します。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要な会計方針」、「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。 (2) 経営成績当期における世界経済は、ウクライナ情勢の長期化や新型コロナウイルスの感染再拡大などにより、サプライチェーンの混乱とともに原材料やエネルギー価格が高騰し、先行きの不透明感が高まりましたが、緩やかな回復が継続しました。当社グループを取り巻く市場環境は、国内においては、年度前半における半導体不足や原材料の供給不足などにより、製造業の生産活動の一部に弱さが見られたものの、設備投資は持ち直しの動きが継続しました。海外においては、米国・欧州および中国を除くアジア諸国の景気には回復の動きが見られましたが、中国では新型コロナウイルス感染拡大防止のための都市封鎖や行動制限の影響が残り、景気が減速しました。このような中、当社グループは、中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)の最終年度となる当期において、社会やお客様への提供価値を起点とした確固たる収益基盤の確立を目指し、節水やCO₂排出削減、廃棄物削減といった環境負荷低減に寄与するCSVビジネスの拡大や、生産性の向上をはじめとするお客様の課題解決に貢献する総合ソリューションの提案に向けた取り組みを強化しました。また、成長基盤の構築に向け、当社グループ内で展開しているサービス契約型ビジネスのベストプラクティスを水平展開するとともに、より幅広いお客様の多様なニーズに対応すべく、本ビジネスのラインナップ拡充にも努めました。コスト構造改善についてはサプライチェーンの最適化に向けた体制の整備を進めるとともに、原材料や物流コスト上昇への対策を進めました。これらの結果、当連結会計年度の受注高は374,268百万円(前年同期比18.7%増)、売上高は344,608百万円(前年同期比19.6%増)となりました。利益につきましては、事業利益は38,589百万円(前年同期比17.1%増)、営業利益は29,058百万円(前年同期比18.7%減)、税引前利益は30,151百万円(前年同期比0.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は20,134百万円(前年同期比9.0%増)となりました。当連結会計年度においては、その他の収益1,564百万円、その他の費用11,095百万円を計上しております。その他の収益は、前連結会計年度に不動産売却に伴う一時的な利益(固定資産売却益)を計上していたため、前年同期比で4,555百万円減少しております。その他の費用には、クリタ・アメリカ, Inc.(水処理薬品事業)ののれんの減損損失7,646百万円が含まれています。同社ののれんの減損損失は、新型コロナウイルス感染拡大後の水処理薬品市場の変動、物流混乱や物価高騰の影響等を勘案し事業計画を下方修正したこと、および米国におけるインフレ抑制のための政策金利の引き上げに伴う回収可能価額算定に使用する割引率の上昇により影響を受けた結果、回収可能価額が会計上の簿価を下回ったため生じたものです。また、当連結会計年度において、米国子会社ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(水処理装置事業)の株式を追加取得(100%子会社化)するため、当社は、クリタ・アメリカ・ホールディングス,Inc.の増資を引き受け、払い込みを完了しております。この増資決定後に設定した為替予約によるデリバティブ取引差益を金融収益へ計上したことや、前連結会計年度において計上したペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(水処理装置事業)の非支配株主と締結した株式の先渡契約に係る負債の事後測定による金融費用がなくなったことから、税引前利益および親会社の所有者に帰属する当期利益は増益となりました。 (水処理薬品事業)国内では、半導体不足などの原材料の供給制約により一部顧客の工場稼働に影響があったものの、値上げの取り組みに加え、顧客の環境負荷やコスト低減に効果のあるサービス契約型案件の提案活動などに注力した結果、受注高・売上高は、ともに前年同期と比べ増加しました。海外では、CSVビジネス等の付加価値の高いサービスの展開による成果に加え、原材料価格や物流コストの上昇を受けた値上げの取り組み、円安が進んだことに伴う海外子会社の円換算額の増加もあり、受注高・売上高は、ともに増加しました。この結果、当社グループの水処理薬品事業全体の受注高は136,863百万円(前年同期比15.6%増)、売上高は136,139百万円(前年同期比15.7%増)となりました。利益につきましては、主に増収効果が原材料価格や物流コストの上昇などによる費用増加を吸収したことから、事業利益は16,286百万円(前年同期比19.8%増)となりましたが、営業利益は、クリタ・アメリカ, Inc.ののれんの減損損失7,646百万円の計上があり、7,606百万円(前年同期比47.8%減)となりました。 (水処理装置事業)国内では、電子産業分野向けの水処理装置の受注高は、前連結会計年度の大型案件の受注計上の反動で大幅な減少となったものの、高い水準での受注計上となりました。売上高は、受注残からの売上計上などにより大幅に増加しました。同分野向けのメンテナンス・サービスの受注高・売上高は、顧客の工場稼働率が堅調に推移したことを背景とした、増設および消耗品交換などの修繕案件の受注・売上計上により、ともに増加しました。一般産業分野向けの水処理装置の受注高は、前連結会計年度の大型案件の受注取消があったことにより増加しましたが、売上高は減少しました。同分野向けのメンテナンス・サービスは、メンテナンス需要回復により、受注高・売上高ともに増加しました。電力分野向け水処理装置の受注高・売上高は、減少しました。土壌浄化の受注高は減少しましたが、売上高は中小規模の案件の需要を取り込み、増加しました。海外では、円安が進んだことに伴う海外子会社の円換算額の増加に加え、東アジアの電子産業向けの水処理装置の大型案件の受注・売上計上により、受注高・売上高ともに増加しました。なお、超純水供給事業の国内および海外を合わせた売上高は、当連結会計年度に開始した契約案件の売上貢献もあり、増収となりました。これらの結果、当社グループの水処理装置事業全体の受注高は237,404百万円(前年同期比20.6%増)、売上高は208,468百万円(前年同期比22.2%増)となりました。利益につきましては、主に、売上高の増加が材料・部品調達に係る費用増加などを吸収し、事業利益は22,378百万円(前年同期比15.4%増)となり、営業利益は21,526百万円(前年同期比1.7%増)となりました。 生産、受注および販売の実績は、以下のとおりであります。①生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 前年同期比(%)水処理薬品事業(百万円)137,300114.5水処理装置事業(百万円)210,223123.1合計(百万円)347,524119.5(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。 ②受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)水処理薬品事業136,863115.66,284115.1水処理装置事業237,404120.6112,478134.6合計374,268118.7118,762133.4(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 ③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) 前年同期比(%)水処理薬品事業(百万円)136,139115.7水処理装置事業(百万円)208,468122.2合計(百万円)344,608119.6(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 (3) 財政状態①資産合計 501,538百万円(前連結会計年度末比31,557百万円増加)流動資産は196,416百万円となり、前連結会計年度末に比べ18,020百万円増加しました。これは主に増収影響により営業債権及びその他の債権が11,407百万円増加したことに加え、現金及び現金同等物、棚卸資産がそれぞれ4,737百万円、3,715百万円増加したためであります。非流動資産は305,121百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,536百万円増加しました。有形固定資産の増加17,703百万円は、主に超純水供給事業(水処理装置事業)に係る設備の新規取得によるものであります。その他の金融資産の減少7,578百万円および繰延税金資産の増加3,913百万円は、主に政策保有株式の一部を売却したためであります。 ②負債合計 205,778百万円(前連結会計年度末比13,659百万円増加)流動負債は109,468百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,459百万円減少しました。これは主に、コマーシャル・ペーパーの発行と新規の借入を実施したことにより社債及び借入金が20,818百万円増加したものの、その他の金融負債が主に米国のペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(水処理装置事業)の非支配株主と締結した先渡契約を履行したことで19,610百万円減少したことに加え、営業債務及びその他の債務が6,502百万円減少したためであります。非流動負債は96,310百万円となり、前連結会計年度末に比べ18,119百万円増加しました。これは主に第2回無担保社債10,000百万円の発行と新規の借入を実施したことにより社債及び借入金が17,805百万円増加したためであります。 ③資本合計 295,759百万円(前連結会計年度末比17,897百万円増加)主に親会社の所有者に帰属する当期利益の計上などにより利益剰余金が17,566百万円増加したためであります。 当連結会計年度末における資産をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 (単位:百万円) 報告セグメント調整額(注)連結財務諸表計上額水処理薬品事業水処理装置事業計セグメント資産144,467303,233447,70153,836501,538(注)主なものは各報告セグメントに配分していない全社資産であります。 (4) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は50,468百万円(前連結会計年度末比4,737百万円増加)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は48,631百万円(前年同期比19,894百万円増加)となりました。これは主に税引前利益30,151百万円、減価償却費、償却費及び減損損失37,276百万円などで資金が増加したものの、法人所得税の支払額17,094百万円、営業債権及びその他の債権の増減額(△は増加)10,172百万円などで資金が減少したためであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動で使用した資金は46,274百万円(前年同期比6,345百万円増加)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入8,854百万円で資金を得た一方で、有形固定資産の取得による支出53,384百万円などで資金を使用したためであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動で得られた資金は1,101百万円(前年同期比9,028百万円増加)となりました。これは主に連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出23,272百万円、配当金の支払額8,699百万円などで資金を使用したものの、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの純増減額(△は減少)18,722百万円、長期借入れによる収入9,988百万円、社債の発行による収入9,955百万円などで資金を調達したためであります。 当社グループは事業運営上必要な流動性確保と安定した資金調達体制の確立を基本方針としております。短期運転資金、設備投資やその他成長分野への投資資金は自己資金を基本としつつも、必要に応じて債券市場での調達や銀行借入を実施しております。なお、当連結会計年度末において、当社は取引金融機関2社とコミットメント・ライン契約を締結しております(借入実行残高 -百万円、借入未実行残高 20,000百万円)。 (5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等中期経営計画「MVP-22」に対する達成状況については、以下のとおりであります。 2023年3月期実績2023年3月期目標売上高年平均成長率(M&A等による上積みを除いた自律的成長分)3.7%3%以上売上高事業利益率11.2%15%親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)7.1%10%以上
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する“水と環境の独創的価値の創造者”」の実現を目指し事業活動を展開しております。また、CSR(Corporate Social Responsibility)に関する方針として「水と環境の問題にソリューションを提供し、未来への責任を果たす」を定め、CSRを経営の中核に位置付け、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進しております。そして当社グループは、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標①中期経営計画当社グループは、2018年4月より5カ年の中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)をスタートさせ、成長投資と収益性の改善に注力しております。MVP-22計画最終年度(2022年度)の業績目標は次のとおり設定しております。 売上高年平均成長率 3%以上(M&A等による上積みを除いた自律的成長分)売上高事業利益率 15%※親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 10%以上 ※事業利益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の指標であります。なお、直近の事業年度を取り巻く環境および事業の展開状況を鑑み、2022年度の連結業績予想では、売上高事業利益率を11.7%としております。 MVP-22計画の策定に先立ち、当社グループの競争力の源泉(バリュープロポジション)を「顧客親密性」と特定しました。顧客親密性とは、単なる顧客との物理的、時間的な密着度ではなく、顧客にとっての必要不可欠なパートナーとしての存在価値の大きさを意味しております。誰よりも顧客を知り、顧客と共に課題解決に取り組むことで、長期的に強固な関係構築を目指していきます。MVP-22計画では「既成概念を壊し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高め、顧客親密性を最大化する」を基本方針として、「社会との共通価値の創造」、「ソリューション提供の高速化」、「収益性のさらなる向上」、「コーポレートガバナンスの強化」、「働き方・意識改革とICT活用」を目指し、次の重点施策にスピードを上げて取組んでおります。水処理薬品事業では、ビジネスモデルの変革と海外事業基盤の強化を進め、収益性の向上を目指しております。水処理装置事業では、超純水供給事業で培った知見や技術力を、大型のEPC(プラント建設などにおける設計(Engineering)、資材調達(Procurement)、建設工事(Construction)の一連の工程を請け負う案件)を起点とするメンテナンスと運転管理の包括契約提案につなげ、収益性の向上を目指しております。 (重点施策)・CSV(Creating Shared Value)ビジネスの展開自然環境、産業、人々の生活に貢献する独創性の高い技術・商品・サービスで収益を拡大する。・総合ソリューションの拡充水処理薬品、水処理装置、メンテナンスの技術・商品・サービスを駆使した総合ソリューションを顧客に迅速に展開する。・水処理装置事業の生産体制の再構築生産体制・プロセスを抜本的に見直し、生産活動の品質とスピードを飛躍的に高める。・新事業の創出とイノベーション推進既存の事業領域を拡大・拡充するとともに、新たな収益の柱となる事業領域を創出する。・研究開発の基盤強化と推進技術立社としての強固な基盤を構築し、先進的な研究開発を推進する。・グループガバナンスの体制整備グループ各社における内部統制の実効性を向上させる。 ②価値創造ストーリー当社グループは、社会と共に持続的、長期的に成長していくための道筋をクリタグループの価値創造ストーリーとして言語化しました。併せて、MVP-22計画における戦略ストーリーを作成しました。当社グループの一人ひとりが価値創造ストーリーの担い手となることで、企業理念の実現を目指してまいります。 (クリタグループの価値創造ストーリー)私たちクリタグループは、世界の様々な現場で日々変化する水の課題に対しソリューションを提供しております。現場から得られる水に関する課題や情報は、私たちの知として集約、蓄積されます。私たちはこの知の活用により、お客様の真の課題を理解し、お客様と共有できる形での価値の予測とともに最適なソリューションを提供します。私たちは、予測した価値の実現により、お客様と社会との共通価値を創造(Creating Shared Value:CSV)し、社会と産業を変えていきます。そして、創造した価値にふさわしい収益を得るとともに、お客様と社会からの信頼を基に更なる現場と新たな知を獲得していきます。 ③気候変動問題への対応当社グループは、気候変動問題を世界共通で取り組むべき喫緊の課題と捉えており、TCFD※提言に基づき、事業活動に伴って発生する温室効果ガス(GHG)の継続的な削減と、事業を通したお客様におけるGHG排出削減に取り組んでおります。※気候変動関連の情報開示と金融機関の対応について検討するため金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」 (ガバナンス)当社グループは、当社の取締役を委員長とするE&S(Environmental & Social)委員会を設置し、当社グループにおける気候変動問題への取り組みを統括しております。E&S委員会と各本部・関係会社・その他の委員会は取締役会の指示の下、連携して活動を推進しております。なお、気候変動問題への取り組み全般の監督を担う取締役会は、E&S委員会から原則として年2回の報告を受け、必要な施策を決定しております。 (戦略)当社グループは、2種類のシナリオ(1.5℃および4℃)※に基づき、「発生可能性」と「影響度」の2軸でリスクと機会および事業への影響を評価し、当社グループの施策を策定しております。※気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)が予測する、工業化以前の水準からの気温上昇が1.5℃となるシナリオおよび最も気温上昇が高いシナリオになります。 分類リスク・機会の内容時間軸当社グループの施策短期中期長期政策と法・炭素税の導入や増加(リスク)・GHG(温室効果ガス)排出量の多い製品やサービスへの規制(リスク)・GHG排出量の少ないエネルギーへの転換を支援する政策インセンティブの普及(機会)□☑☑・デジタル技術の活用や設計等の見直しによる製品やサービスの低炭素化・代替燃料や再生可能エネルギーへの転換によるScope1および2の削減・バイオマス発電など、再生可能エネルギー関連事業の展開・拡大テクノロジー・GHG排出量の少ない製品やサービスへの転換が進む(リスク・機会)☑☑☑市場・化石燃料関連セクターからの需要減少(リスク)・デジタルトランスフォーメーションの加速による電子産業の需要増加(機会)・原料、エネルギーコストの高騰(リスク)□☑☑物理的な影響・サイクロンや洪水などによる工場停止や工期遅延の増加(リスク)・冷却設備の稼働率増加(機会)☑☑☑・水害対策など、自然災害に備えた事業継続体制の継続的強化資源効率・効率的な生産や流通プロセスの普及(機会)・水使用量の削減(機会)☑☑☑・デジタル技術の活用や低動力技術の展開・バイオマス発電など、再生可能エネルギー関連事業の展開・拡大エネルギー源・GHG排出量の少ないエネルギーの普及(機会)・分散型エネルギー源への転換(機会)☑☑☑製品とサービス・GHG排出量の少ない製品およびサービスの需要増加(機会)・GHG排出削減に向けた多様な技術ニーズの増加(機会)☑☑☑レジリエンス・燃料、水資源等の代替や多様化(リスク・機会)☑☑☑※短期(1~3年)、中期(3~5年)、長期(5~20年)と設定しました。 (リスク管理)当社グループに関わるリスクの監視およびマネジメントは、社長室長を担当役員として推進しております。社長室長は、「全社リスクマップ」に基づき、当社グループのリスクの分析・評価を定期的に行うとともに、継続的にリスクの監視を行うことで、その発生防止に努めております※。気候変動に関連するリスクは全社リスクマップに統合され、E&S委員会委員長を責任者として全社のリスク管理体制に基づきリスクの低減を推進しております。※当社グループのリスクマネジメント体制については以下のリンク先をご参照ください。https://www.kurita.co.jp/csr/csr_activity_risk/index.html (指標と目標)当社グループは、CSRに関する取り組みを推進するため、重点的に取り組む7つのテーマをグループ共通の「CSRに関する方針」に定めております。気候変動問題への取り組みとなるテーマ5においては、パリ協定に沿った取り組みとするため、従来の目標に加え、SBTi※1が示す手法に沿い、2019年度を基準年として2030年度にScope1、2およびScope3※2排出を27.5%削減し、2050年度にはScope1、2を100%削減する「Well-below 2℃水準(2℃を十分に下回る水準)」にて長期目標を新たに設定し、Scope1、2およびScope3の削減に取り組んでおります。※1企業に対し、気候変動による世界の平均気温の上昇を、工業化以前と比べ2℃を十分に下回るレベルに抑えるという目標に向けて、科学的知見と整合した削減目標を設定することを推進するイニシアチブです。 ※2Scope1: 事業活動に伴う直接排出量。Scope2: 事業活動で使用した熱・エネルギーの製造段階における間接排出量。Scope3: 事業活動に関連する他社からの間接排出量。 CSRに関する方針の重点的に取り組むテーマ指標長期目標2030年度2050年度5.持続可能なエネルギー利用を実現するScope1および2排出削減(2019年度からの削減割合)27.5%100%Scope3排出削減(2019年度からの削減割合)27.5%- (3) 会社の対処すべき課題当社は、企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する『水と環境の独創的価値の創造者』」の実現を目指し、2018年度よりMVP-22計画に取り組んでおります。MVP-22計画では、CSRを経営の中核に据え、社会との共通価値の創造に努めております。また、当社の競争力の源泉が「顧客親密性」であることを明確化し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高めたビジネスプロセスを実行することで、顧客に新たな価値を提供し、高い収益性と持続的な成長を実現することを目指しております。MVP-22計画の4年目である当期は、新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済との両立の模索が各国で続き、さらにロシアがウクライナに侵攻するなど、不安定な情勢が続きました。原材料・物流・エネルギーコストの高騰、サプライチェーンの混乱、円安の進行など、外部環境の変化が激しい中で当社グループは、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた今後の事業の在り方を考え、ビジネスプロセスの変革とビジネスモデルの変容、総合ソリューションの展開、経営資源の最適活用と体質強化に注力しました。また、価値創造ストーリーの実現に向け、当社の取締役会として保有すべきスキルの再定義やグループの人材戦略の策定、事業ポートフォリオの管理方針の策定などに取り組みました。これらを踏まえ、当社グループの対処すべき課題は、持続可能な社会の実現に向け、DX推進によるビジネスプロセスの変革とビジネスモデルの変容、および気候変動問題への対応を含む社会価値に寄与するソリューションモデルの創出と展開の加速、そしてグループの中長期成長に資する収益基盤の構築と捉えております。MVP-22計画の最終年度となる2022年度は、次の4つの重点施策に取り組んでまいります。 ①社会との共通価値創造に寄与するソリューションの展開と有望市場への取り組み強化社会との共通価値を創造するソリューションの展開を組織横断で強力に推進します。また、カーボンニュートラルの実現に寄与する脱炭素やサーキュラーエコノミー等の実現に向けた新たな技術およびソリューションの創出に取り組むとともに、CSVビジネスの展開を加速します。さらに今後も活況が見込まれる電子市場の顧客に対し、グループ全体でサービス事業を集中展開していきます。 ②顧客提供価値の向上とビジネスプロセスの見直しによるコスト構造の変革急激に変化する外部環境を踏まえ、顧客の安定操業および事業継続への寄与に重点を置き、商品・サービス・ソリューションを見直すなど顧客に提供する価値を向上していきます。また、生産能力向上およびコスト競争力強化を可能とするスタートアップ企業等との協業や、国・地域を横断して組成したチームによるグローバルでの調達先見直しなどのコストダウンに関する取り組みを強力に加速し、コスト構造を変革させます。さらにアフターコロナの働き方も視野に、拠点の在り方や仕事のやり方を抜本的に見直していきます。 ③デジタルトランスフォーメーションの加速によるビジネスプロセスの変革とビジネスモデルの変容デジタル技術やツールの活用を加速することによって、内務、開発、生産、営業の各機能が相互に連携し、顧客への価値提供を最大化するビジネスプロセスを確立するとともに、多様な現場接点で収集したデータを「水に関する知」として活用し、デジタルによる顧客接点の構築も含め、新たな顧客提供価値を生み出す体制を構築します。また、メタ・アクアプロジェクトによる設計の自動化や最適化、水処理装置の運転効率化と最適化、データインフラの構築を推進していきます。 ④グループの中長期成長に資する基盤の構築持続的な企業価値向上と高収益性体質への変容に向け、低収益性事業の再生や継続可否の精査を加速し、事業ポートフォリオの最適化を図ります。また、2022年4月に新たな研究開発拠点としてKurita Innovation Hub(クリタイノベーションハブ)を開所しました。「社内外の多様な人々が集い、つながる、技術革新・社会変革の中心地(ハブ)」として、様々なステークホルダーとの交流・協働を通じてイノベーション創出の加速を目指します。また、ダイバーシティへの取り組みを強化し、人材の多様性とエンゲージメントの高い組織づくりに注力していきます。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する“水と環境の独創的価値の創造者”」の実現を目指し事業活動を展開しております。また、CSR(Corporate Social Responsibility)に関する方針として「水と環境の問題にソリューションを提供し、未来への責任を果たす」を定め、CSRを経営の中核に位置付け、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進しております。そして当社グループは、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標①中期経営計画当社グループは、2018年4月より5カ年の中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)をスタートさせ、成長投資と収益性の改善に注力しております。MVP-22計画最終年度(2022年度)の業績目標は次のとおり設定しております。 売上高年平均成長率 3%以上(M&A等による上積みを除いた自律的成長分)売上高事業利益率 15%※親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE) 10%以上 ※事業利益は、売上高から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した恒常的な事業の業績を測る当社グループ独自の指標であります。なお、直近の事業年度を取り巻く環境および事業の展開状況を鑑み、2022年度の連結業績予想では、売上高事業利益率を11.7%としております。 MVP-22計画の策定に先立ち、当社グループの競争力の源泉(バリュープロポジション)を「顧客親密性」と特定しました。顧客親密性とは、単なる顧客との物理的、時間的な密着度ではなく、顧客にとっての必要不可欠なパートナーとしての存在価値の大きさを意味しております。誰よりも顧客を知り、顧客と共に課題解決に取り組むことで、長期的に強固な関係構築を目指していきます。MVP-22計画では「既成概念を壊し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高め、顧客親密性を最大化する」を基本方針として、「社会との共通価値の創造」、「ソリューション提供の高速化」、「収益性のさらなる向上」、「コーポレートガバナンスの強化」、「働き方・意識改革とICT活用」を目指し、次の重点施策にスピードを上げて取組んでおります。水処理薬品事業では、ビジネスモデルの変革と海外事業基盤の強化を進め、収益性の向上を目指しております。水処理装置事業では、超純水供給事業で培った知見や技術力を、大型のEPC(プラント建設などにおける設計(Engineering)、資材調達(Procurement)、建設工事(Construction)の一連の工程を請け負う案件)を起点とするメンテナンスと運転管理の包括契約提案につなげ、収益性の向上を目指しております。 (重点施策)・CSV(Creating Shared Value)ビジネスの展開自然環境、産業、人々の生活に貢献する独創性の高い技術・商品・サービスで収益を拡大する。・総合ソリューションの拡充水処理薬品、水処理装置、メンテナンスの技術・商品・サービスを駆使した総合ソリューションを顧客に迅速に展開する。・水処理装置事業の生産体制の再構築生産体制・プロセスを抜本的に見直し、生産活動の品質とスピードを飛躍的に高める。・新事業の創出とイノベーション推進既存の事業領域を拡大・拡充するとともに、新たな収益の柱となる事業領域を創出する。・研究開発の基盤強化と推進技術立社としての強固な基盤を構築し、先進的な研究開発を推進する。・グループガバナンスの体制整備グループ各社における内部統制の実効性を向上させる。 ②価値創造ストーリー当社グループは、社会と共に持続的、長期的に成長していくための道筋をクリタグループの価値創造ストーリーとして言語化しました。併せて、MVP-22計画における戦略ストーリーを作成しました。当社グループの一人ひとりが価値創造ストーリーの担い手となることで、企業理念の実現を目指してまいります。 (クリタグループの価値創造ストーリー)私たちクリタグループは、世界の様々な現場で日々変化する水の課題に対しソリューションを提供しております。現場から得られる水に関する課題や情報は、私たちの知として集約、蓄積されます。私たちはこの知の活用により、お客様の真の課題を理解し、お客様と共有できる形での価値の予測とともに最適なソリューションを提供します。私たちは、予測した価値の実現により、お客様と社会との共通価値を創造(Creating Shared Value:CSV)し、社会と産業を変えていきます。そして、創造した価値にふさわしい収益を得るとともに、お客様と社会からの信頼を基に更なる現場と新たな知を獲得していきます。 ③気候変動問題への対応当社グループは、気候変動問題を世界共通で取り組むべき喫緊の課題と捉えており、TCFD※提言に基づき、事業活動に伴って発生する温室効果ガス(GHG)の継続的な削減と、事業を通したお客様におけるGHG排出削減に取り組んでおります。※気候変動関連の情報開示と金融機関の対応について検討するため金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」 (ガバナンス)当社グループは、当社の取締役を委員長とするE&S(Environmental & Social)委員会を設置し、当社グループにおける気候変動問題への取り組みを統括しております。E&S委員会と各本部・関係会社・その他の委員会は取締役会の指示の下、連携して活動を推進しております。なお、気候変動問題への取り組み全般の監督を担う取締役会は、E&S委員会から原則として年2回の報告を受け、必要な施策を決定しております。 (戦略)当社グループは、2種類のシナリオ(1.5℃および4℃)※に基づき、「発生可能性」と「影響度」の2軸でリスクと機会および事業への影響を評価し、当社グループの施策を策定しております。※気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)が予測する、工業化以前の水準からの気温上昇が1.5℃となるシナリオおよび最も気温上昇が高いシナリオになります。 分類リスク・機会の内容時間軸当社グループの施策短期中期長期政策と法・炭素税の導入や増加(リスク)・GHG(温室効果ガス)排出量の多い製品やサービスへの規制(リスク)・GHG排出量の少ないエネルギーへの転換を支援する政策インセンティブの普及(機会)□☑☑・デジタル技術の活用や設計等の見直しによる製品やサービスの低炭素化・代替燃料や再生可能エネルギーへの転換によるScope1および2の削減・バイオマス発電など、再生可能エネルギー関連事業の展開・拡大テクノロジー・GHG排出量の少ない製品やサービスへの転換が進む(リスク・機会)☑☑☑市場・化石燃料関連セクターからの需要減少(リスク)・デジタルトランスフォーメーションの加速による電子産業の需要増加(機会)・原料、エネルギーコストの高騰(リスク)□☑☑物理的な影響・サイクロンや洪水などによる工場停止や工期遅延の増加(リスク)・冷却設備の稼働率増加(機会)☑☑☑・水害対策など、自然災害に備えた事業継続体制の継続的強化資源効率・効率的な生産や流通プロセスの普及(機会)・水使用量の削減(機会)☑☑☑・デジタル技術の活用や低動力技術の展開・バイオマス発電など、再生可能エネルギー関連事業の展開・拡大エネルギー源・GHG排出量の少ないエネルギーの普及(機会)・分散型エネルギー源への転換(機会)☑☑☑製品とサービス・GHG排出量の少ない製品およびサービスの需要増加(機会)・GHG排出削減に向けた多様な技術ニーズの増加(機会)☑☑☑レジリエンス・燃料、水資源等の代替や多様化(リスク・機会)☑☑☑※短期(1~3年)、中期(3~5年)、長期(5~20年)と設定しました。 (リスク管理)当社グループに関わるリスクの監視およびマネジメントは、社長室長を担当役員として推進しております。社長室長は、「全社リスクマップ」に基づき、当社グループのリスクの分析・評価を定期的に行うとともに、継続的にリスクの監視を行うことで、その発生防止に努めております※。気候変動に関連するリスクは全社リスクマップに統合され、E&S委員会委員長を責任者として全社のリスク管理体制に基づきリスクの低減を推進しております。※当社グループのリスクマネジメント体制については以下のリンク先をご参照ください。https://www.kurita.co.jp/csr/csr_activity_risk/index.html (指標と目標)当社グループは、CSRに関する取り組みを推進するため、重点的に取り組む7つのテーマをグループ共通の「CSRに関する方針」に定めております。気候変動問題への取り組みとなるテーマ5においては、パリ協定に沿った取り組みとするため、従来の目標に加え、SBTi※1が示す手法に沿い、2019年度を基準年として2030年度にScope1、2およびScope3※2排出を27.5%削減し、2050年度にはScope1、2を100%削減する「Well-below 2℃水準(2℃を十分に下回る水準)」にて長期目標を新たに設定し、Scope1、2およびScope3の削減に取り組んでおります。※1企業に対し、気候変動による世界の平均気温の上昇を、工業化以前と比べ2℃を十分に下回るレベルに抑えるという目標に向けて、科学的知見と整合した削減目標を設定することを推進するイニシアチブです。 ※2Scope1: 事業活動に伴う直接排出量。Scope2: 事業活動で使用した熱・エネルギーの製造段階における間接排出量。Scope3: 事業活動に関連する他社からの間接排出量。 CSRに関する方針の重点的に取り組むテーマ指標長期目標2030年度2050年度5.持続可能なエネルギー利用を実現するScope1および2排出削減(2019年度からの削減割合)27.5%100%Scope3排出削減(2019年度からの削減割合)27.5%- (3) 会社の対処すべき課題当社は、企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する『水と環境の独創的価値の創造者』」の実現を目指し、2018年度よりMVP-22計画に取り組んでおります。MVP-22計画では、CSRを経営の中核に据え、社会との共通価値の創造に努めております。また、当社の競争力の源泉が「顧客親密性」であることを明確化し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高めたビジネスプロセスを実行することで、顧客に新たな価値を提供し、高い収益性と持続的な成長を実現することを目指しております。MVP-22計画の4年目である当期は、新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済との両立の模索が各国で続き、さらにロシアがウクライナに侵攻するなど、不安定な情勢が続きました。原材料・物流・エネルギーコストの高騰、サプライチェーンの混乱、円安の進行など、外部環境の変化が激しい中で当社グループは、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた今後の事業の在り方を考え、ビジネスプロセスの変革とビジネスモデルの変容、総合ソリューションの展開、経営資源の最適活用と体質強化に注力しました。また、価値創造ストーリーの実現に向け、当社の取締役会として保有すべきスキルの再定義やグループの人材戦略の策定、事業ポートフォリオの管理方針の策定などに取り組みました。これらを踏まえ、当社グループの対処すべき課題は、持続可能な社会の実現に向け、DX推進によるビジネスプロセスの変革とビジネスモデルの変容、および気候変動問題への対応を含む社会価値に寄与するソリューションモデルの創出と展開の加速、そしてグループの中長期成長に資する収益基盤の構築と捉えております。MVP-22計画の最終年度となる2022年度は、次の4つの重点施策に取り組んでまいります。 ①社会との共通価値創造に寄与するソリューションの展開と有望市場への取り組み強化社会との共通価値を創造するソリューションの展開を組織横断で強力に推進します。また、カーボンニュートラルの実現に寄与する脱炭素やサーキュラーエコノミー等の実現に向けた新たな技術およびソリューションの創出に取り組むとともに、CSVビジネスの展開を加速します。さらに今後も活況が見込まれる電子市場の顧客に対し、グループ全体でサービス事業を集中展開していきます。 ②顧客提供価値の向上とビジネスプロセスの見直しによるコスト構造の変革急激に変化する外部環境を踏まえ、顧客の安定操業および事業継続への寄与に重点を置き、商品・サービス・ソリューションを見直すなど顧客に提供する価値を向上していきます。また、生産能力向上およびコスト競争力強化を可能とするスタートアップ企業等との協業や、国・地域を横断して組成したチームによるグローバルでの調達先見直しなどのコストダウンに関する取り組みを強力に加速し、コスト構造を変革させます。さらにアフターコロナの働き方も視野に、拠点の在り方や仕事のやり方を抜本的に見直していきます。 ③デジタルトランスフォーメーションの加速によるビジネスプロセスの変革とビジネスモデルの変容デジタル技術やツールの活用を加速することによって、内務、開発、生産、営業の各機能が相互に連携し、顧客への価値提供を最大化するビジネスプロセスを確立するとともに、多様な現場接点で収集したデータを「水に関する知」として活用し、デジタルによる顧客接点の構築も含め、新たな顧客提供価値を生み出す体制を構築します。また、メタ・アクアプロジェクトによる設計の自動化や最適化、水処理装置の運転効率化と最適化、データインフラの構築を推進していきます。 ④グループの中長期成長に資する基盤の構築持続的な企業価値向上と高収益性体質への変容に向け、低収益性事業の再生や継続可否の精査を加速し、事業ポートフォリオの最適化を図ります。また、2022年4月に新たな研究開発拠点としてKurita Innovation Hub(クリタイノベーションハブ)を開所しました。「社内外の多様な人々が集い、つながる、技術革新・社会変革の中心地(ハブ)」として、様々なステークホルダーとの交流・協働を通じてイノベーション創出の加速を目指します。また、ダイバーシティへの取り組みを強化し、人材の多様性とエンゲージメントの高い組織づくりに注力していきます。
MD&A(経営者による分析)
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「3.重要な会計方針」、「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。 (2) 経営成績当期における世界経済は、新型コロナウイルス変異株の感染拡大による行動制限や物流混乱の影響により回復の勢いが弱くなることもありましたが、各国の景気対策やワクチン接種の普及により経済活動が正常化に向かったことで持ち直しの動きがみられました。当社グループを取り巻く市場環境は、国内においては、製造業の生産活動は半導体不足など原材料の供給制約により一部に弱さがみられましたが、回復傾向が続き設備投資も持ち直しの動きがみられました。海外においては、欧米および中国の景気は緩やかな回復が続きましたが、アジアの一部は新型コロナウイルス感染の再拡大の影響により景気の回復に弱さがみられました。このような中、当社グループは、中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)の4年目である当期において、顧客にとって長期的に必要不可欠なパートナーとなることを目指し、社会や顧客の課題に対する深い理解に基づいた節水やCO2排出削減、廃棄物削減といった環境負荷低減、生産性の向上など顧客の課題解決に貢献する総合ソリューションやCSVビジネスの拡大に注力しました。また、収益性の改善に向けて、高収益事業である超純水供給事業や精密洗浄事業では、顧客の生産能力拡大への対応や新規案件の開拓に取り組み成果を上げ、水処理装置の設計、施工プロセスにおいては、不適合再発・未然防止モデルの活用により追加コストの発生抑制を図りました。海外では、世界各地域における事業ポートフォリオや生産販売体制の見直しにより、高収益事業の拡大を進めるとともに、外部環境に左右されにくい事業体制の構築に取り組みました。また、中東のクリタ・アクアケミーLtd.とその子会社2社およびカナダのキーテック・ウォーター・マネジメントを連結子会社化し、経営成績を新規に連結しております。これらの結果、当連結会計年度の受注高は315,240百万円(前年同期比20.2%増)、売上高は288,207百万円(前年同期比7.6%増)となりました。利益につきましては、事業利益は32,944百万円(前年同期比11.8%増)、営業利益は35,734百万円(前年同期比13.3%増)、税引前利益は30,079百万円(前年同期比3.2%増)となりましたが、米国のペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の非支配株主と締結した先渡契約に係る負債の事後測定により金融費用5,496百万円を計上したことから、親会社の所有者に帰属する当期利益は18,471百万円(前年同期比3.2%減)となりました。なお、当連結会計年度においては、その他の収益6,119百万円、その他の費用3,329百万円を計上しております。その他の収益には、主に旧本社(新宿)と大阪支社の不動産を売却したことによる固定資産売却益4,079百万円が含まれております。一方、その他の費用には固定資産の減損損失1,028百万円が含まれております。固定資産の減損損失は、主に当社の国内水処理装置事業の製造拠点再編に伴う山口事業所閉鎖や中国における水処理薬品の生産体制見直しによる栗田水処理新材料(江陰)有限公司(水処理薬品事業)の工場稼働停止決定に伴い発生したものであります。 (水処理薬品事業)受注高・売上高につきましては、国内では、製造業の生産活動回復の動きを受け、顧客の工場稼働率が上昇し増加しました。海外では、前期の新型コロナウイルス感染拡大による経済活動停滞に伴う需要減少の反動増に加え、第1四半期連結会計期間に買収した中東およびカナダの子会社の経営成績を新規に連結したことや円安が進んだことに伴う海外子会社の円換算額の増加もあり、受注高・売上高はともに増加しました。これらの結果、当社グループの水処理薬品事業全体の受注高は118,401百万円(前年同期比14.3%増)、売上高は117,672百万円(前年同期比14.0%増)となりました。利益につきましては、営業活動の通常状態への回復が進んだことに伴う経費の増加や原材料価格高騰の影響がありましたが、売上高が増加したことにより、事業利益は13,589百万円(前年同期比10.6%増)となり、営業利益は海外子会社での為替差益計上もあり、14,560百万円(前年同期比23.2%増)となりました。 (水処理装置事業)国内では、電子産業分野向けの水処理装置の受注高は大型案件の受注により大幅に増加し、売上高も大型案件の工事進捗により増加しました。同分野向けのメンテナンス・サービスの受注高・売上高は、顧客の工場稼働率が堅調に推移したことを背景とした増設および消耗品交換などの修繕案件により、増加しました。一般産業分野向けの水処理装置は、受注高が大型案件の受注取消により大幅に減少し、売上高も大型案件の売上計上が一巡し減少しました。同分野向けのメンテナンス・サービスの受注高は、採算性を重視した営業活動により減少しましたが、売上高は顧客の工場稼働率の回復を背景に需要が伸長し、増加しました。電力分野向け水処理装置は、大型案件の受注の減少と受注残からの売上計上の一巡により、受注高・売上高ともに減少しました。土壌浄化の受注高は増加しましたが、売上高は大型案件の売上計上が一巡し、減少しました。海外では、東アジアの電子産業向けの水処理装置の大型案件の受注・売上計上があったことに加え、精密洗浄の需要が伸長したことにより、受注高・売上高ともに増加しました。なお、超純水供給事業の国内および海外を合わせた売上高は、前期に開始した契約案件に加え、新規稼働した案件の売上貢献により増収となりました。これらの結果、当社グループの水処理装置事業全体の受注高は196,839百万円(前年同期比24.0%増)、売上高は170,534百万円(前年同期比3.7%増)となりました。利益につきましては、主に原価低減など収益性改善に努めた結果、事業利益は19,391百万円(前年同期比13.2%増)となり、営業利益は前期にその他の収益に計上した超純水供給事業における一部顧客との契約の解除に伴う清算益2,066百万円がなくなったものの、21,169百万円(前年同期比7.8%増)となりました。生産、受注および販売の実績は、以下のとおりであります。①生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) 前年同期比(%)水処理薬品事業(百万円)119,951117.3水処理装置事業(百万円)170,819103.4合計(百万円)290,770108.7(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。 ②受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)水処理薬品事業118,401114.35,459114.5水処理装置事業196,839124.083,542146.6合計315,240120.289,001144.1(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 ③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 セグメントの名称 当連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) 前年同期比(%)水処理薬品事業(百万円)117,672114.0水処理装置事業(百万円)170,534103.7合計(百万円)288,207107.6(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。 (3) 財政状態①資産合計 469,981百万円(前連結会計年度末比45,053百万円増加)流動資産は178,396百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,914百万円増加しました。これは主に有形固定資産の取得による支出や法人所得税の支払等により現金及び現金同等物が16,498百万円減少したものの、増収影響により営業債権及びその他の債権が11,147百万円増加したことに加え、その他の流動資産、棚卸資産がそれぞれ3,784百万円、3,221百万円増加したためであります。非流動資産は291,585百万円となり、前連結会計年度末に比べ43,140百万円増加しました。有形固定資産の増加(43,431百万円)は、主に当社が2022年4月に東京都昭島市で新たな研究開発拠点Kurita Innovation Hub(クリタイノベーションハブ)を開設したことや超純水供給事業 (水処理装置事業)に係る設備の新規取得によるものであります。のれんの増加(7,396百万円)は、海外子会社で計上しているのれんの円換算額が円安により増加したことに加えて、第1四半期連結会計期間より中東のクリタ・アクアケミーLtd.(水処理薬品事業)の株式51%分を取得し、その100%子会社2社も含めて連結子会社化したこと、およびカナダのキーテック・ウォーター・マネジメント(水処理薬品事業)を買収し、連結子会社化したことによるものであります。その他の金融資産の減少(10,552百万円)および繰延税金資産の増加(2,872百万円)は、主に政策保有株式の一部を売却したためであります。 ②負債合計 192,119百万円(前連結会計年度末比25,029百万円増加)流動負債は113,927百万円となり、前連結会計年度末に比べ38,975百万円増加しました。これは主にその他の金融負債、営業債務及びその他の債務、社債及び借入金がそれぞれ19,613百万円、11,461百万円、7,735百万円増加したためであります。その他の金融負債は、米国のペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.(水処理装置事業)の非支配株主と締結した先渡契約に係る負債を事後測定したことに加え、非流動負債から振り替えた結果、増加しました。非流動負債は78,191百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,946百万円減少しました。これは主に前述した先渡契約に係る負債を流動負債へ振り替えたことで、その他の金融負債が11,946百万円減少したためであります。 ③資本合計 277,862百万円(前連結会計年度末比20,025百万円増加)主に親会社の所有者に帰属する当期利益の計上などにより利益剰余金が15,935百万円、円安外国通貨高に伴う在外営業活動体の換算差額の計上などによりその他の資本の構成要素が3,661百万円それぞれ増加したためであります。 当連結会計年度末における資産をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 (単位:百万円) 報告セグメント調整額(注)連結財務諸表計上額水処理薬品事業水処理装置事業計セグメント資産148,267274,119422,38647,595469,981(注)主なものは各報告セグメントに配分していない全社資産であります。 (4) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は45,730百万円(前連結会計年度末比16,497百万円減少)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は28,737百万円(前年同期比11,265百万円減少)となりました。これは主に税引前利益30,079百万円、減価償却費及び償却費23,412百万円などで資金が増加したものの、法人所得税の支払額13,308百万円、営業債権及びその他の債権の増減額6,713百万円などで資金が減少したためであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動で使用した資金は39,929百万円(前年同期比29,158百万円増加)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入で9,197百万円、有形固定資産の売却による収入で8,743百万円の資金を得た一方で、有形固定資産の取得による支出55,096百万円などで資金を使用したためであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動で使用した資金は7,927百万円(前年同期比10,925百万円減少)となりました。これは主に短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの純増減額で7,577百万円の資金を得た一方で、配当金の支払額8,797百万円、リース負債の返済による支出5,005百万円などで資金を使用したためであります。 当社グループは事業運営上必要な流動性確保と安定した資金調達体制の確立を基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本とし、設備投資やその他成長分野への投資資金は自己資金を基本としつつも、必要に応じて債券市場での調達や銀行借入を想定しております。なお、当連結会計年度末において、取引金融機関1社とコミットメント・ライン契約を締結しております(借入実行残高 -百万円、借入未実行残高 20,000百万円)。 (5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等中期経営計画「MVP-22」に対する達成状況については、以下のとおりであります。 2021年3月期実績2022年3月期実績2023年3月期目標売上高年平均成長率(M&A等による上積みを除いた自律的成長分)△1.1%0.2%3%以上売上高事業利益率11.0%11.4%15%親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)7.7%7.0%10%以上
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する“水と環境の独創的価値の創造者”」の実現を目指し事業活動を展開しています。また、CSRに関する方針として「水と環境の問題にソリューションを提供し、未来への責任を果たす」を定め、CSRを経営の中核に位置付け、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進しています。そして当社グループは、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標当社グループは、2018年4月より5ヵ年の中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)をスタートさせました。MVP-22計画最終年度(2022年度)の業績目標は次のとおりです。 売上高年平均成長率 3%以上(M&A等による上積みを除いた自律的成長分)売上高営業利益率 15%自己資本当期純利益率(ROE) 10%以上 MVP-22計画では「既成概念を壊し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高め、顧客親密性を最大化する」を基本方針として、「社会との共通価値の創造」、「ソリューション提供の高速化」、「収益性のさらなる向上」、「コーポレートガバナンスの強化」、「働き方・意識改革とICT活用」を目指し、次の重点施策にスピードを上げて取組んでおります。 (重点施策)①CSV(Creating Shared Value)ビジネスの展開自然環境、産業、人々の生活に貢献する独創性の高い技術・商品・サービスで収益を拡大する。②総合ソリューションの拡充水処理薬品、水処理装置、メンテナンスの技術・商品・サービスを駆使した総合ソリューションを顧客に迅速に展開する。③水処理装置事業の生産体制の再構築生産体制・プロセスを抜本的に見直し、生産活動の品質とスピードを飛躍的に高める。④新事業の創出とイノベーション推進既存の事業領域を拡大・拡充するとともに、新たな収益の柱となる事業領域を創出する。⑤研究開発の基盤強化と推進技術立社としての強固な基盤を構築し、先進的な研究開発を推進する。⑥グループガバナンスの体制整備グループ各社における内部統制の実効性を向上させる。 (3) 会社の対処すべき課題中期経営計画「MVP-22」の初年度である2018年度は、CSVビジネスの展開と総合ソリューションの拡充に注力し、米国のU.S.ウォーター・サービス,Inc.の買収により米国において水処理薬品、水処理装置、メンテナンス・サービスによる総合ソリューションを拡大展開するための事業基盤を獲得するとともに、米国で半導体向け精密洗浄事業を展開するペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の25%株式取得に関する契約を締結し、半導体市場における精密洗浄のグローバルサプライヤーとして付加価値の高いソリューションを提供するためのサービス事業の基盤を強化しました。さらに、米国で人工知能/機械学習を活用した水道管の劣化予測ソフトウエアサービスを展開するベンチャー企業フラクタ,Inc.の株式の過半数を取得し、人工知能と機械学習の最先端技術、ノウハウを取得し、水と環境の分野でIoT/AIを活用したイノベーションにより新たなビジネスモデルを創出する体制を強化しました。また、コーポレートガバナンスのさらなる強化にも取り組み、社長をはじめとした経営層の後継者育成に関わる仕組みを整備するとともに、政策保有株式の縮減に関する方針を明確化し、保有株式の売却に注力しました。MVP-22計画の達成に向けた当社グループのさらなる変革には、従来のビジネスモデル、ビジネスプロセスから早期脱却を図り、顧客にとって他に替え難い独創性の高い総合ソリューションの提供に邁進していくことが必要です。そのために、MVP-22計画の2年目となる2019年度は、国内における市場別・地域別営業体制を一層強化し総合ソリューションの展開を加速するとともに、海外においては買収事業のPMIを迅速に完遂し、グループとしての最適かつ一体的な運営体制を軌道に乗せることで、中間年度以降の飛躍的な変革に向けた土台を固めていきます。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する“水と環境の独創的価値の創造者”」の実現を目指し事業活動を展開しています。また、CSRに関する方針として「水と環境の問題にソリューションを提供し、未来への責任を果たす」を定め、CSRを経営の中核に位置付け、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進しています。そして当社グループは、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標当社グループは、2018年4月より5ヵ年の中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)をスタートさせました。MVP-22計画最終年度(2022年度)の業績目標は次のとおりです。 売上高年平均成長率 3%以上(M&A等による上積みを除いた自律的成長分)売上高営業利益率 15%自己資本当期純利益率(ROE) 10%以上 MVP-22計画では「既成概念を壊し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高め、顧客親密性を最大化する」を基本方針として、「社会との共通価値の創造」、「ソリューション提供の高速化」、「収益性のさらなる向上」、「コーポレートガバナンスの強化」、「働き方・意識改革とICT活用」を目指し、次の重点施策にスピードを上げて取組んでおります。 (重点施策)①CSV(Creating Shared Value)ビジネスの展開自然環境、産業、人々の生活に貢献する独創性の高い技術・商品・サービスで収益を拡大する。②総合ソリューションの拡充水処理薬品、水処理装置、メンテナンスの技術・商品・サービスを駆使した総合ソリューションを顧客に迅速に展開する。③水処理装置事業の生産体制の再構築生産体制・プロセスを抜本的に見直し、生産活動の品質とスピードを飛躍的に高める。④新事業の創出とイノベーション推進既存の事業領域を拡大・拡充するとともに、新たな収益の柱となる事業領域を創出する。⑤研究開発の基盤強化と推進技術立社としての強固な基盤を構築し、先進的な研究開発を推進する。⑥グループガバナンスの体制整備グループ各社における内部統制の実効性を向上させる。 (3) 会社の対処すべき課題中期経営計画「MVP-22」の初年度である2018年度は、CSVビジネスの展開と総合ソリューションの拡充に注力し、米国のU.S.ウォーター・サービス,Inc.の買収により米国において水処理薬品、水処理装置、メンテナンス・サービスによる総合ソリューションを拡大展開するための事業基盤を獲得するとともに、米国で半導体向け精密洗浄事業を展開するペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の25%株式取得に関する契約を締結し、半導体市場における精密洗浄のグローバルサプライヤーとして付加価値の高いソリューションを提供するためのサービス事業の基盤を強化しました。さらに、米国で人工知能/機械学習を活用した水道管の劣化予測ソフトウエアサービスを展開するベンチャー企業フラクタ,Inc.の株式の過半数を取得し、人工知能と機械学習の最先端技術、ノウハウを取得し、水と環境の分野でIoT/AIを活用したイノベーションにより新たなビジネスモデルを創出する体制を強化しました。また、コーポレートガバナンスのさらなる強化にも取り組み、社長をはじめとした経営層の後継者育成に関わる仕組みを整備するとともに、政策保有株式の縮減に関する方針を明確化し、保有株式の売却に注力しました。MVP-22計画の達成に向けた当社グループのさらなる変革には、従来のビジネスモデル、ビジネスプロセスから早期脱却を図り、顧客にとって他に替え難い独創性の高い総合ソリューションの提供に邁進していくことが必要です。そのために、MVP-22計画の2年目となる2019年度は、国内における市場別・地域別営業体制を一層強化し総合ソリューションの展開を加速するとともに、海外においては買収事業のPMIを迅速に完遂し、グループとしての最適かつ一体的な運営体制を軌道に乗せることで、中間年度以降の飛躍的な変革に向けた土台を固めていきます。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。 (1) 経営成績当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題により景気の先行きに不透明感が高まり、年度後半にかけて中国及び欧州の経済成長は減速しましたが、米国の景気は堅調に推移し、中国を除くアジアの新興諸国も景気回復の動きが続いたことから、総じて緩やかに成長しました。国内経済は、個人消費が伸び悩むなど力強さはないものの、緩やかな成長が続きました。当社グループを取り巻く市場環境は、国内においては、夏期に自然災害が相次いだことにより製造業の生産活動は、一時的に低下したものの、底堅く推移しました。設備投資は、高水準な企業収益を背景に増加しました。海外では、東アジアの電子産業を中心に活発な設備投資が継続しました。このような中、当社グループは5ヵ年の中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)をスタートさせました。「既成概念を壊し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高め、顧客親密性を最大化する」という基本方針のもと、当連結会計年度は、水処理薬品、水処理装置、メンテナンス・サービスの技術・商品・サービスを駆使した総合ソリューションによる顧客への価値の提供に注力しました。特に、顧客の「節水」「CO2削減」「廃棄物削減」効果に優れ、社会との共通価値の創造を促進する技術・商品・サービスをCSV(Creating Shared Value)ビジネスと位置付け、排水回収システムを用いた顧客の水資源問題の解決に貢献する再生水供給サービス、ボイラ内のスケール(難溶性物質)生成を防止することによりボイラの省エネルギー稼働に貢献する水処理薬品、ごみ焼却施設に適用することで廃棄物削減と持続可能なエネルギー利用の実現に貢献する乾式メタン発酵技術を用いて発生するガスを利用する資源循環設備向け大型案件などを展開しました。また、IT・センシング技術を活用した競争力のある商品・サービスの開発と市場展開により総合ソリューションの強化を図りました。海外では、米国において水処理薬品・水処理装置を製造・販売するU.S.ウォーター・サービス,Inc.を買収したほか、半導体向けの精密洗浄事業を展開するペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の25%株式取得に関する契約を締結するなど、米国での総合ソリューション展開に向けた事業基盤を強化しました。さらに、水と環境の分野でIoT/AIを活用した新たなデジタルビジネスの創出、拡大を狙い、米国で水道管の劣化予測ソフトウエアサービスを展開するフラクタ,Inc.の株式を過半数取得し子会社化しました。これらの結果、当連結会計年度の受注高は258,439百万円(前年同期比2.8%増)、売上高は259,409百万円(前年同期比9.5%増)となりました。利益につきましては、営業利益は24,326百万円(前年同期比8.2%増)、経常利益は23,919百万円(前年同期比8.2%増)、税金費用の一時的増加があり親会社株主に帰属する当期純利益は17,323百万円(前年同期比3.2%減)となりました。なお、当連結会計年度から、主に水処理装置事業において工事進行基準の適用範囲を拡大した影響として、売上高は7,355百万円、営業利益及び経常利益は1,421百万円それぞれ増加しました。また、特別損益に政策保有株式の売却益8,676百万円を計上した一方で、クリタ・ヨーロッパGmbHのアルミナ化合物事業譲渡に伴う損失額2,867百万円、栗田水処理新材料(江陰)有限公司ののれんの減損損失1,097百万円を計上するなど合わせて5,063百万円を特別損失に計上しました。なお、栗田水処理新材料(江陰)有限公司ののれんの減損損失計上は、中国における人口密集区の危険化学品生産企業に対する規制強化に伴う生産制約を解消するため、同社の水処理薬品生産機能を新規に設立した栗田工業(泰興)水処理有限公司の工場(2020年度後半に操業開始予定)へ移管を決定したことによるものです。 (水処理薬品事業)MVP-22計画において水処理薬品事業は、ビジネスモデル変革と海外事業基盤の強化を進め、収益性の向上を目指しています。国内では、顧客工場全体の水処理の最適化を実現するため、顧客窓口を一本化したワントップ体制のもと、水処理のさまざまな視点から顧客の課題を把握し、総合ソリューション提案を推進しました。また、国内事業運営の効率化のために販売拠点の移転・統合を実施しました。海外では、U.S.ウォーター・サービス,Inc.を買収し、米国全土をカバーする事業基盤を獲得しました。一方で、ドイツ子会社であるクリタ・ヨーロッパGmbHにおいて収益性の低いアルミナ化合物事業を売却しました。また、東南アジアにおける水処理薬品の需要拡大に対応するため、マレーシアに水処理薬品製造工場を新設しました。商品・サービスにつきましては、ボイラの省エネルギー稼働に貢献する水処理薬品「セタミン®」や「ドリームポリマー®」を配合した水処理薬品などのCSVビジネスの提案に注力しました。また、IT・センシング技術である「S.sensing®」の活用を進めたほか、紙の製造プロセスの乾燥工程における熱伝導効率の改善により蒸気使用量の削減を実現するサービス契約型ビジネスを推進しました。受注高・売上高につきましては、国内では、前連結会計年度における機器・役務のスポット案件計上の反動があったものの、新商品・新サービスを活用した課題解決提案により新規の顧客開拓に努め、冷却水薬品、鉄鋼向けプロセス薬品などが増加し、全体の受注高・売上高は増加しました。海外では、アジアを中心に水処理需要が増加したことに加え、前連結会計年度の第4四半期に連結子会社となった韓国の㈱韓水の経営成績の連結対象期間が11ヵ月分増加したことにより、受注高・売上高ともに増加しました。利益につきましては、主に海外売上高が増加したことにより、増益となりました。この結果、当社グループの水処理薬品事業全体の受注高は102,939百万円(前年同期比13.9%増)、売上高は102,088百万円(前年同期比13.0%増)、営業利益は8,327百万円(前年同期比16.0%増)となりました。 (水処理装置事業)MVP-22計画において水処理装置事業は、超純水供給事業で培った知見や技術力を、大型のEPC(プラント建設などにおける設計(Engineering)、資材調達(Procurement)、建設工事(Construction)の一連の工程を請け負う案件)を起点とするメンテナンスと運転管理の包括契約提案につなげ、収益性の向上を目指しています。国内では、省エネルギー、廃棄物削減、生産技術の進化、排水などのリサイクルを実現するため、顧客の製造プロセスやユーティリティ設備の理解を深め、総合ソリューション提案を推進したほか、ITやIoTを活用し、設計や運転管理の効率向上に取り組みました。また、将来の収益につながる超純水供給事業用設備への投資を積極的に行いました。海外では、ペンタゴン・テクノロジーズ・グループ,Inc.の25%株式取得を決定し半導体市場における精密洗浄の付加価値の高いソリューションを提供するための事業基盤を強化しました。商品・サービスにつきましては、CSVビジネスである「CORR®システム(The Customized Optimal Ready-made Recycle System)」などの排水回収システムを用いた再生水供給サービスや産業廃棄物及び一般廃棄物から電気・熱として利用できるバイオガスを生成する縦型乾式メタン発酵技術「KURITA DRANCO PROCESS®」などの提案を推進しました。国内の受注高・売上高につきましては、電子産業分野においては、水処理装置が大型案件の受注と工事進捗により受注高・売上高とも増加し、メンテナンス・サービスも顧客工場の稼働率上昇を背景とした改造・増設案件の増加により受注高・売上高とも増加しました。一般産業分野においては、水処理装置の受注高は、乾式メタン発酵技術を用いて発生するガスを利用する資源循環設備向け大型案件の受注により増加しましたが、売上高は減少しました。メンテナンス・サービスは顧客工場の設備更新や生産能力増強を目的とした増設案件が増加し、受注高・売上高とも増加しました。電力分野向け水処理装置及び土壌浄化の受注高は大型案件の受注により増加し、売上高も前連結会計年度に受注した大型案件の工事進捗により増加しました。海外では、水処理装置の受注高は、前連結会計年度における大型案件受注の反動で減少しましたが、売上高は中国・韓国の電子産業分野における大型案件の工事進捗により増加しました。なお、超純水供給事業の国内及び海外を合わせた売上高は、増設案件の収益計上があり増加しました。事業全体の利益につきましては、増収に加え、不採算案件発生の影響をコスト削減努力で吸収したことにより増益となりました。この結果、当社グループの水処理装置事業全体の受注高は155,500百万円(前年同期比3.5%減)、売上高は、工事進行基準の適用範囲拡大もあり、157,321百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益は15,932百万円(前年同期比4.0%増)となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。①生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)前年同期比(%)水処理薬品事業(百万円)101,69212.9水処理装置事業(百万円)154,1385.7 合計(百万円)255,8308.4 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 ②受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)水処理薬品事業102,93913.94,53619.7水処理装置事業155,500△3.567,803△5.1合計258,4392.872,339△3.8 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 ③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)前年同期比(%)水処理薬品事業(百万円)102,08813.0水処理装置事業(百万円)157,3217.4 合計(百万円)259,4099.5 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 (2) 財政状態①総資産 349,885百万円(前連結会計年度末比26,839百万円増加)流動資産は149,550百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,859百万円減少しました。これは主に増収により売上債権が12,383百万円増加した一方で、工事進行基準の適用範囲拡大に伴い、当該適用対象案件についての計上がなくなったことにより仕掛品が2,386百万円、北米における買収(水処理薬品事業、水処理装置事業)や超純水供給事業(水処理装置事業)への設備投資等により現金及び預金と有価証券を合わせた手元資金が24,503百万円それぞれ減少したことによるものであります。固定資産は200,335百万円となり、前連結会計年度末に比べ37,698百万円増加しました。これは主に政策保有株式売却等により投資有価証券が13,480百万円減少した一方で、前述の買収や超純水供給事業への設備投資等により有形固定資産、無形固定資産がそれぞれ23,641百万円、22,955百万円増加したことによるものであります。 ②負債 110,412百万円(前連結会計年度末比28,219百万円増加)流動負債は68,072百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,923百万円増加しました。これは主に超純水供給事業の設備取得により未払金が8,742百万円、前受金の増加等により「その他」が4,048百万円増加したことによるものであります。固定負債は42,339百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,295百万円増加しました。これは主に長期前受金の収受により「その他」が14,877百万円増加したことによるものであります。 ③純資産 239,473百万円(前連結会計年度末比1,380百万円減少)純資産は239,473百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,380百万円減少しました。これは主に株主資本が10,801百万円増加した一方で、その他の包括利益累計額が12,000百万円減少したことによるものであります。株主資本の増加は、期末配当金及び中間配当金の計上を上回る親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、利益剰余金が11,084百万円増加したことによるものであります。一方、その他の包括利益累計額の減少は、政策保有株式売却に伴い保有する投資有価証券の含み益が減少したことにより、その他有価証券評価差額金が7,907百万円、円高外国通貨安に伴い為替換算調整勘定が4,584百万円それぞれ減少したことによるものであります。 当連結会計年度末における資産、負債をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:百万円) 報告セグメント調整額(注)連結財務諸表計上額水処理薬品事業水処理装置事業計セグメント資産111,580196,152307,73342,152349,885セグメント負債34,10576,660110,765△353110,412 (注)調整額は、次のとおりであります。1. セグメント資産の主なものは、各報告セグメントに配分していない全社資産であります。全社資産の内訳は、前連結会計年度68,890百万円、当連結会計年度42,205百万円(預金、有価証券及び長期投資資金等)であります。2. セグメント負債は、セグメント間債権債務消去に伴うものであります。 (3) キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は35,548百万円(前連結会計年度末比23,369百万円減少)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は38,478百万円(前年同期比17,070百万円増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益27,532百万円、のれん償却を含む減価償却費17,761百万円、前受金の増加額15,920百万円等で資金が増加した一方、売上債権の増加額10,907百万円、法人税等の支払額8,915百万円等で資金が減少したためであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動で使用した資金は51,559百万円(前年同期比35,631百万円増加)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入が13,335百万円あった一方で、事業買収に伴う支出で33,374百万円、有形固定資産の取得による支出で28,600百万円それぞれ資金を使用したためであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動で使用した資金は11,280百万円(前年同期比1,139百万円減少)となりました。これは主に配当金の支払額で6,009百万円、短期借入金の純増減額で2,417百万円それぞれ資金を使用したためであります。 当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本とし、設備投資やその他成長分野への投資資金は自己資金を基本としつつも、必要に応じて銀行借入による調達を想定しております。なお、当連結会計年度末において、取引金融機関4社とコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高 - 百万円、借入未実行残高70,600百万円)。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、本年度新たに定めた企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する“水と環境の独創的価値の創造者”」の実現を目指しております。また、昨年度CSRに関する方針として「水と環境の問題にソリューションを提供し、未来への責任を果たす」を定め、CSRを経営の中核に位置付け、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進していくものとしました。そして当社グループは、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標当社グループは平成27年度から中期経営計画「CK-17」(Competitive Kurita 2017)に取組んで参りました。しかしながら、平成28年度に減収減益となるなど、当初の中期経営計画の達成には至りませんでした。 「CK-17」計画では、「顧客に高い付加価値を提供するため、あらゆる仕事を基本から見直す」基本方針のもと、持続的な成長に向け「グループの総合力発揮」、「海外事業の拡大」および「収益性の改善」を目指し、高い専門性とコミュニケーション能力を有し主体的に行動する人材、顧客へスピーディに課題解決策を提供する仕組み、競争優位性の高い商品・サービスと先進的なマネジメントを体現するビジネスモデルの確立に注力いたしました。 人材につきましては、様々なプログラムを実行し専門性の向上を図ったものの、課題解決に必要な専門性のレベルは一層高まりつつあり、今後も継続的に取り組む必要があります。仕組みにつきましては、IT戦略室の設置や顧客視点での組織改編など、顧客親密性の向上とソリューションの提供に向けた仕組みの変革に着手しましたが、既存のビジネスモデルからの脱却には至っておらず、さらなる取組みの強化と加速を図る必要があります。また、商品・サービス、ビジネスモデルの確立につきましては、水処理薬品事業、水処理装置事業それぞれにおいて競争力の高い商品・サービスを創出したものの、新たなビジネスモデルの創出と顧客視点でのソリューションの展開は道半ばであり、さらなる加速を図る必要があります。 これらを踏まえ、当社グループは、中期経営計画の期間を従来の3カ年から5カ年へ変更し、本年度より新中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)をスタートさせました。「MVP-22」計画最終年度(平成34年度)の業績目標は次のとおりです。 売上高年平均成長率 3%以上(M&A等による上積みを除いた自律的成長分)売上高営業利益率 15%自己資本当期純利益率(ROE) 10%以上 「MVP-22」では、「既成概念を壊し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高め、顧客親密性を最大化する」ことを基本方針として、「社会との共通価値の創造」、「ソリューション提供の高速化」、「収益性のさらなる向上」、「コーポレートガバナンスの強化」、「働き方・意識改革とICT活用」を目指し、以下の重点施策にスピードを上げて取組んで参ります。 (重点施策)1)CSV(Creating Shared Value)ビジネスの展開自然環境、産業、人々の生活に貢献する独創性の高い技術・商品・サービスで収益を拡大する。2)総合ソリューションの拡充水処理薬品、水処理装置、メンテナンスの技術・商品・サービスを駆使した総合ソリューションを顧客に迅速に展開する。3)水処理装置事業の生産体制の再構築生産体制・プロセスを抜本的に見直し、生産活動の品質とスピードを飛躍的に高める。 4)新事業の創出とイノベーション推進既存の事業領域を拡大・拡充するとともに、新たな収益の柱となる事業領域を創出する。5)研究開発の基盤強化と推進技術立社としての強固な基盤を構築し、先進的な研究開発を推進する。6)グループガバナンスの体制整備グループ各社における内部統制の実効性を向上させる。 (3) 会社の対処すべき課題「CK-17」計画においては、1、2年目の基本方針を「顧客に高い付加価値を提供するため、あらゆる仕事を基本から見直す」、当期の基本方針を「顧客に最良のソリューションを提供することにより顧客親密性を高める」として、海外事業の拡大、ビジネスプロセス変革による収益性の改善、ならびに新たな商品・サービスおよびビジネスモデルの創出に取り組みました。 海外事業の拡大については、欧州・米国での水処理薬品事業の買収、海外事業会社の再編、ならびにシンガポールの研究開発拠点設立等により事業基盤を拡充し、3年間で海外売上高は倍増しました。収益性の改善については、ビジネスプロセス変革は途上であり、改善成果は十分とは言えませんが、原価管理の徹底および設計の標準化等により水処理装置事業の工事案件の採算性が改善しました。新たな商品・サービスおよびビジネスモデルの創出については、ソリューション推進部門を設置し、IT・センシング技術を活用した商品・サービスを展開しましたが、圧倒的な優位性を持つビジネスモデルへの転換には至っておりません。 現状の当社グループの優先課題は、顧客親密性の向上および高収益体質への転換に向けて、ビジネスプロセスおよびビジネスモデルの変革のスピードを加速することと捉えています。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、本年度新たに定めた企業ビジョン「持続可能な社会の実現に貢献する“水と環境の独創的価値の創造者”」の実現を目指しております。また、昨年度CSRに関する方針として「水と環境の問題にソリューションを提供し、未来への責任を果たす」を定め、CSRを経営の中核に位置付け、企業価値の向上と競争優位の創出に邁進していくものとしました。そして当社グループは、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示を通じ、より透明性の高い経営の実現を目指しております。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標当社グループは平成27年度から中期経営計画「CK-17」(Competitive Kurita 2017)に取組んで参りました。しかしながら、平成28年度に減収減益となるなど、当初の中期経営計画の達成には至りませんでした。 「CK-17」計画では、「顧客に高い付加価値を提供するため、あらゆる仕事を基本から見直す」基本方針のもと、持続的な成長に向け「グループの総合力発揮」、「海外事業の拡大」および「収益性の改善」を目指し、高い専門性とコミュニケーション能力を有し主体的に行動する人材、顧客へスピーディに課題解決策を提供する仕組み、競争優位性の高い商品・サービスと先進的なマネジメントを体現するビジネスモデルの確立に注力いたしました。 人材につきましては、様々なプログラムを実行し専門性の向上を図ったものの、課題解決に必要な専門性のレベルは一層高まりつつあり、今後も継続的に取り組む必要があります。仕組みにつきましては、IT戦略室の設置や顧客視点での組織改編など、顧客親密性の向上とソリューションの提供に向けた仕組みの変革に着手しましたが、既存のビジネスモデルからの脱却には至っておらず、さらなる取組みの強化と加速を図る必要があります。また、商品・サービス、ビジネスモデルの確立につきましては、水処理薬品事業、水処理装置事業それぞれにおいて競争力の高い商品・サービスを創出したものの、新たなビジネスモデルの創出と顧客視点でのソリューションの展開は道半ばであり、さらなる加速を図る必要があります。 これらを踏まえ、当社グループは、中期経営計画の期間を従来の3カ年から5カ年へ変更し、本年度より新中期経営計画「MVP-22」(Maximize Value Proposition 2022)をスタートさせました。「MVP-22」計画最終年度(平成34年度)の業績目標は次のとおりです。 売上高年平均成長率 3%以上(M&A等による上積みを除いた自律的成長分)売上高営業利益率 15%自己資本当期純利益率(ROE) 10%以上 「MVP-22」では、「既成概念を壊し、仕事の品質とスピードを飛躍的に高め、顧客親密性を最大化する」ことを基本方針として、「社会との共通価値の創造」、「ソリューション提供の高速化」、「収益性のさらなる向上」、「コーポレートガバナンスの強化」、「働き方・意識改革とICT活用」を目指し、以下の重点施策にスピードを上げて取組んで参ります。 (重点施策)1)CSV(Creating Shared Value)ビジネスの展開自然環境、産業、人々の生活に貢献する独創性の高い技術・商品・サービスで収益を拡大する。2)総合ソリューションの拡充水処理薬品、水処理装置、メンテナンスの技術・商品・サービスを駆使した総合ソリューションを顧客に迅速に展開する。3)水処理装置事業の生産体制の再構築生産体制・プロセスを抜本的に見直し、生産活動の品質とスピードを飛躍的に高める。 4)新事業の創出とイノベーション推進既存の事業領域を拡大・拡充するとともに、新たな収益の柱となる事業領域を創出する。5)研究開発の基盤強化と推進技術立社としての強固な基盤を構築し、先進的な研究開発を推進する。6)グループガバナンスの体制整備グループ各社における内部統制の実効性を向上させる。 (3) 会社の対処すべき課題「CK-17」計画においては、1、2年目の基本方針を「顧客に高い付加価値を提供するため、あらゆる仕事を基本から見直す」、当期の基本方針を「顧客に最良のソリューションを提供することにより顧客親密性を高める」として、海外事業の拡大、ビジネスプロセス変革による収益性の改善、ならびに新たな商品・サービスおよびビジネスモデルの創出に取り組みました。 海外事業の拡大については、欧州・米国での水処理薬品事業の買収、海外事業会社の再編、ならびにシンガポールの研究開発拠点設立等により事業基盤を拡充し、3年間で海外売上高は倍増しました。収益性の改善については、ビジネスプロセス変革は途上であり、改善成果は十分とは言えませんが、原価管理の徹底および設計の標準化等により水処理装置事業の工事案件の採算性が改善しました。新たな商品・サービスおよびビジネスモデルの創出については、ソリューション推進部門を設置し、IT・センシング技術を活用した商品・サービスを展開しましたが、圧倒的な優位性を持つビジネスモデルへの転換には至っておりません。 現状の当社グループの優先課題は、顧客親密性の向上および高収益体質への転換に向けて、ビジネスプロセスおよびビジネスモデルの変革のスピードを加速することと捉えています。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、欧米景気の着実な回復と中国をはじめとするアジア諸国の景気の持ち直しにより、総じて堅調に推移しました。国内経済は、個人消費の持ち直しや海外経済の回復に伴う企業収益の改善により景気回復の動きが続きました。当社グループを取り巻く市場環境は、国内においては、輸出の回復や需要の持ち直しなどにより製造業の生産活動は回復基調が続き、設備投資も堅調に推移しました。海外においては、東アジアの電子産業を中心に設備投資が活発化しました。 このようななか、当社グループは「顧客に最良のソリューションを提供することにより顧客親密性を高める」という基本方針のもと、海外事業基盤の拡充と収益性の改善に向けたサービス事業の開発に注力しました。 海外事業基盤の拡充については、米国では、新たに当社グループの一員となったフレモント・インダストリーズ,LLCと既存の米国子会社であるクリタ・アメリカInc.とが協働し、シナジー発揮に向けた取り組みを進めました。欧州では、クリタ・ヨーロッパGmbHの紙・パルプ向けプロセス薬品の生産能力強化のため、フランスのAkzo Nobel社から生産拠点を取得しました。アジアでは、韓国におけるソリューション提供力強化に向けて持分法適用関連会社の(株)韓水の株式を追加取得し、連結子会社としました。サービス事業の開発については、当社が保有する水処理装置と水処理薬品の要素技術を組み合わせた、水の再利用に貢献する標準型排水回収システムを用いたビジネスモデルの開発に取り組みました。また、IT・センシング技術を活用した競争力のある商品・サービスの開発とその市場展開や、環境負荷低減、省エネルギー、生産性向上など顧客の課題解決に貢献する提案営業を継続的に推進しました。結果として、当連結会計年度の受注高は251,447百万円(前年同期比15.0%増)、売上高は236,815百万円(前年同期比10.6%増)となりました。利益につきましては、営業利益は22,475百万円(前年同期比15.5%増)、経常利益は22,104百万円(前年同期比10.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、17,897百万円(前年同期比23.4%増)となりました。なお、韓国の持分法適用関連会社の(株)韓水の株式を追加取得し、同社を連結子会社としたことに伴い、段階取得に係る差益2,443百万円を特別利益に計上しています。また、政策保有株式等の売却により投資有価証券売却益1,720百万円を特別利益に計上しています。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。(水処理薬品事業)当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画「CK-17」において水処理薬品事業は、国内市場における収益基盤を再構築するとともに、海外市場におけるシェアを拡大し、日本・アジア・欧州・北南米地域での世界四極体制の構築を目指しました。国内では、当連結会計年度より水処理薬品事業部門と水処理装置事業のメンテナンス・サービス部門を一つの本部に集約し、両事業運営を融合した下で、顧客課題に対する総合的なソリューション提案を推進しました。また、経営効率の改善のため、一部販売子会社を統合しました。海外では、フランスの生産拠点取得、韓国の連結子会社化により四極体制の基盤を強化しました。また、当連結会計年度より海外の水処理薬品事業と水処理装置事業の本社機能を一つの本部に集約し、海外の事業運営の最適化を図るとともに、総合的なソリューション提案を推進しました。 商品・サービスにつきましては、IT・センシング技術である「S.sensing®」を活用したサービス契約型ビジネスの提案を推進しました。また、処理効果の診断技術、および顧客の省エネルギー、環境負荷低減、生産性向上に貢献する水処理薬品の開発に取り組みました。 受注高・売上高につきましては、国内では、顧客工場の操業度回復に加え、新商品・新サービスを活用した課題解決提案により新規の顧客開拓に努め、主力商品のボイラ薬品、冷却水薬品が増加しました。また、紙・パルプ向けプロセス薬品および鉄鋼向けプロセス薬品も伸長し、受注高・売上高はともに増加しました。海外では、各地域で増収となったことに加え、買収した米国子会社の経営成績を第1四半期連結会計期間から新規に連結したこと、第4四半期連結会計期間から韓国関連会社を連結子会社化したことにより、受注高・売上高ともに増加しました。事業全体の利益につきましては、増収による増益要因がありましたが、海外事業の積極展開による人件費増加やIT関連費用の増加により販売費および一般管理費が増加し、減益となりました。この結果、水処理薬品事業全体の受注高は90,358百万円(前年同期比10.0%増)、売上高は90,361百万円(前年同期比10.4%増)、営業利益は7,180百万円(前年同期比0.7%減)となりました。(水処理装置事業)「CK-17」計画において水処理装置事業は、収益・コスト構造を見直し、安定収益を確保できる体制を整備するとともに、収益の柱となる新たなビジネスモデルを創出し、事業の持続的成長を目指しました。 国内では、顧客課題に対する総合的なソリューション提案を水処理薬品事業部門と連携し推進しました。また、半導体関連市場の好況による大型案件増加への対応と収益性向上のため、ITの活用および設計の標準化による生産プロセスの効率化に取り組みました。さらに、エネルギー市場分野を中心に、当社技術を活かした新たな事業・ビジネスモデルの創出に取り組みました。海外では、事業運営の最適化による収益性改善を狙い、台湾での現地法人設立および体制整備を行いました。商品・サービスにつきましては、国内では、純水供給サービス「KWSS(Kurita Water Supply Service)」を中心としたサービス契約型ビジネスの提案を推進しました。また、超純水供給事業においてIoT、AIを活用した運転管理の最適化に取り組みました。海外では、水の再利用に貢献する「冷却水ブロー水回収システム」の提案と標準型排水回収システム「CORR™システム(The Customized Optimal Ready-made Recycle System)」を用いたサービス契約型のビジネスモデルの確立に取り組みました。 国内の受注高・売上高につきましては、電子産業分野においては、水処理装置は大型案件の受注と工事進捗により受注高・売上高ともに大幅に増加し、メンテナンス・サービスも、顧客工場の操業度上昇を背景とした増設、改造案件の受注により、受注高・売上高ともに増加しました。一般産業分野においては、水処理装置の受注高は減少しましたが、売上高は増加しました。メンテナンス・サービスの受注高は、顧客工場の設備更新や増設案件を中心に増加しましたが、売上高はやや減少しました。電力分野向け水処理装置の受注高は減少しましたが、売上高は増加しました。土壌浄化の受注高は横ばいとなりましたが、売上高は前連結会計年度の大型案件の売上計上の反動で減少しました。海外の受注高は、中国および韓国の大型案件の受注により大幅に増加し、売上高も当連結会計年度に受注した大型案件の工事進捗により増加しました。なお、超純水供給事業の売上高は、増設案件の収益計上があったものの、前連結会計年度における一部顧客との契約変更による減収もあり、減少しました。事業全体の利益につきましては、増収となったことに加え、工事案件の工程・原価管理の徹底により収益性が改善したことにより増益となりました。この結果、水処理装置事業全体の受注高は161,088百万円(前年同期比17.9%増)、売上高は146,453百万円(前年同期比10.7%増)、営業利益は15,312百万円(前年同期比25.3%増)となりました。生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)前年同期比(%)水処理薬品事業(百万円)90,088+10.7水処理装置事業(百万円)145,811+9.8 合計(百万円)235,899+10.1 (注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 b. 受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)水処理薬品事業90,358+10.03,791△0.1水処理装置事業161,088+17.971,417+25.8合計251,447+15.075,209+24.2 (注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日)前年同期比(%)水処理薬品事業(百万円)90,361+10.4水処理装置事業(百万円)146,453+10.7 合計(百万円)236,815+10.6 (注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。 (2)財政状態の状況① 総資産323,046百万円(前連結会計年度末比23,797百万円増加)流動資産は162,004百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,074百万円増加しました。これは主に現金及び預金と有価証券を合わせた手元資金が12,264百万円減少した一方で、主に年度後半の水処理装置事業の増収に伴い売掛金が18,555百万円増加したことによるものであります。 固定資産は161,042百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,724百万円増加しました。これは主に有形固定資産が11,992百万円、無形固定資産が5,695百万円それぞれ増加したことによるものであります。有形固定資産の増加は主に超純水供給事業(水処理装置事業)への設備投資によるもので、既存設備の減価償却費を大きく上回りました。また、無形固定資産の増加は韓国の持分法適用関連会社であった(株)韓水(水処理薬品事業)の株式追加取得により、のれんを5,155百万円、無形資産その他に含まれる顧客関連資産を733百万円それぞれ計上したことが主な要因であります。② 負債82,193百万円(前連結会計年度末比11,703百万円増加)流動負債は56,149百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,739百万円増加しました。これは主に買掛金が5,086百万円、未払金が2,976百万円それぞれ増加したことによるものであります。 固定負債は26,044百万円となり、前連結会計年度末に比べ36百万円の微減となりました。③ 純資産240,853百万円(前連結会計年度末比12,095百万円増加)純資産は240,853百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,095百万円増加しました。これは主に株主資本が6,477百万円、その他の包括利益累計額が4,703百万円それぞれ増加したことによるものであります。株主資本の増加は主に利益剰余金が3,563百万円増加したことに加え、自己株式が2,948百万円減少(純資産の増加)したことによるものです。なお、経営環境に応じた機動的な資本政策の一環として当連結会計年度において自己株式の取得及び消却を実施しております。その他の包括利益累計額の増加は、円安外国通貨高に伴い為替換算調整勘定が3,600百万円増加したことや、保有する投資有価証券の含み益増加によりその他有価証券評価差額金が1,766百万円増加したことが主な要因であります。 当連結会計年度末における資産、負債をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。(単位:百万円) 報告セグメント調整額(注)連結財務諸表計上額水処理薬品事業水処理装置事業計セグメント資産95,589158,631254,22068,826323,046セグメント負債29,19853,16782,366△17282,193 (注)調整額は、次のとおりであります。1.セグメント資産の主なものは、各報告セグメントに配分していない全社資産であります。全社資産の内訳は、前連結会計年度84,550百万円、当連結会計年度68,890百万円(預金、有価証券及び長期投資資金等)であります。2.セグメント負債は、セグメント間債権債務消去に伴うものであります。 (3)キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は58,917百万円(前連結会計年度末比6,521百万円減少)となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動で得られた資金は21,408百万円(前年同期比12,533百万円減少)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益25,535百万円、のれん償却を含む減価償却費16,861百万円等で資金が増加した一方、売上債権の増加額16,332百万円、法人税等の支払額6,170百万円等で資金が減少しました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動で使用した資金は15,928百万円(前年同期比14,809百万円増加)となりました。これは主に定期預金の預入・払戻による差引収入で5,787百万円資金が増加した一方、超純水供給事業用設備等の有形固定資産の取得による支出で17,924百万円、韓国の持分法適用関連会社であった(株)韓水の株式追加取得に伴い、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出で4,012百万円資金を使用したためです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動で使用した資金は12,419百万円(前年同期比2,265百万円増加)となりました。これは主に配当金の支払額で5,819百万円、自己株式の取得による支出で5,592百万円資金を使用したためです。 当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金を基本とし、設備投資やその他成長分野への投資資金は自己資金を基本としつつも、必要に応じて銀行借入による調達を想定しております。なお、当連結会計年度末において、取引金融機関4社とコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高 - 百万円、借入未実行残高70,600百万円)。
経営方針・経営戦略
3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、企業ビジョン「水と環境の先進的マネジメント企業」の実現を目指して事業活動を展開しております。企業ビジョンの実現に向けた経営の指針として、①世界トップクラスの水・環境事業、②新しい事業の創出、③技術立社、④国内外グループ総力の発揮、⑤人材強化、⑥社会的責任の遂行の6つを掲げ、そのために経営者と社員全員が共有し大切にする5つの価値(公正・透明・誠実・安全・共生)を定めています。さらに、法令遵守と社会倫理に基づいた正しい行動を具体的に実践していくために、「グループ行動準則」を定め、事業活動を行っていく上での判断・行動の基本としています。また、コーポレートガバナンスに関する方針を定め、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示に努め、説明責任を果たすことを通して、より透明性の高い経営の実現を目指しています。 (2) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、平成27年4月より3ヵ年の中期経営計画「CK-17」(Competitive Kurita 2017)を遂行中です。「勝てる人材、勝てるしくみ、勝てる商品」の実現を基本テーマとし、①競争力のある商品・サービスの創出、②新市場の開拓、③生産体制の最適化とグループネットワークの活用、に取り組んでいます。競争力のある商品・サービスの創出に向けては、欧州・北米の買収事業も含めて、グローバルな研究開発体制の構築を進めます。また、IT・センシング技術を活用した商品・サービスの競争力強化とビジネスプロセスの変革を通じて顧客の課題解決に貢献する提案力・対応力を高め、顧客親密性の向上を図ります。新市場の開拓においては、引き続きM&Aによる事業基盤の獲得を進めるほか、今年度出資した米国ベンチャー企業との提携関係を活用し、新たな節水事業モデルの創出と国内での市場開拓に挑戦します。生産体制の最適化とグループネットワークの活用に対しては、買収した事業を含め、グループ全体で生産拠点、販売ネットワークの再編に取り組みます。また、ITを取り入れた生産業務プロセスの変革により、業務効率化とコストダウンを図ります。 (3) 対処すべき課題 当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、企業ビジョン「水と環境の先進的マネジメント企業」の実現を目指して事業活動を展開しています。3ヵ年の中期経営計画「CK-17」(Competitive Kurita 2017)の中間年度である平成28年度は、海外事業のさらなる拡大に向け、米国における企業買収、海外子会社の再編および新会社設立、韓国における超純水供給事業の展開により、事業基盤を整備・強化しました。また、IT・センシング技術の活用による商品・サービスの付加価値向上、工事案件の工程・原価管理の徹底による採算性向上など今後の収益性改善につながる成果を得ることができました。さらに、ESG(環境、社会、統治)課題への対応の一環として、当社グループの全ての役員・従業員が遵守すべき基本的な行動を定めた「クリタグループ行動準則」を制定しました。当社グループのさらなる発展のためには、継続して事業の変革、事業基盤の整備、技術・商品開発などの取り組みを強化するとともに、顧客の信頼獲得を第一義とする事業の在り方を追求していくことが重要であると考えます。CK-17計画の最終年度となる平成29年度は、「顧客に最良のソリューションを提供することにより顧客親密性を高める」を基本方針として、以下の課題を解決し新たな中期経営計画の土台を固めます。※顧客親密性とは、単なる顧客との物理的、時間的な密着度ではなく、顧客にとって必要不可欠なパートナーとしての存在価値の大きさを意味しています。 1) ビジネスプロセスの変革と総合ソリューション提案の推進顧客に最良の価値を提供するビジネスプロセス(バリューチェーン)の変革により業務の品質と効率を向上させ、顧客課題の解決力強化と顧客対応スピードの改善を図ります。 IT・センシング技術を活用した競争力のある商品・サービスを市場投入するとともに、マーケティングを強化し、水処理薬品、水処理装置、メンテナンス・サービスの技術・ノウハウを駆使した総合ソリューション提案を強力に推進します。 2) 成長分野への集中投資と事業の再構築海外市場を成長分野と位置付け、当社グループの経営資源を集中投下し、M&Aによる事業基盤の構築・整備、各地域の強みのある技術、商品、ソリューション、ビジネスモデルの相互供給により、海外事業の拡大を加速させます。 水処理装置事業において、一層のサービス化を推進します。国内外超純水供給事業への投資の拡大、純水供給・排水回収分野でのサービス型ビジネスモデルの展開を図るとともに、エネルギー・インフラを中心とした成長市場でも、運転管理やメンテナンスのノウハウを活かした新たな契約ビジネスを創出します。 水処理薬品事業においても、国内の営業・サービス体制を見直し、大規模から小規模顧客まで、各顧客のニーズに合わせた商品・サービスをスピーディーに提供していくことで事業の収益性を改善します。 3) CSR活動の強化による企業価値の向上当社グループは、持続可能な成長を目指し、長期的な視点で企業価値の増大を図ります。 そのため、取締役会の実効性向上に継続して取り組み、株主・投資家をはじめとするステークホルダーとの対話に努め、透明性の高い経営を実行していきます。 働き方改革を進め、従業員が公私両面において幸福、充足感を得られるようにし、優秀な人材の確保、モチベーションの向上・研鑽促進・能力発揮、組織としての対応力の向上等を通じて競争力を高め、収益向上につなげます。
対処すべき課題
3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。(1) 会社経営の基本方針当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、企業ビジョン「水と環境の先進的マネジメント企業」の実現を目指して事業活動を展開しております。企業ビジョンの実現に向けた経営の指針として、①世界トップクラスの水・環境事業、②新しい事業の創出、③技術立社、④国内外グループ総力の発揮、⑤人材強化、⑥社会的責任の遂行の6つを掲げ、そのために経営者と社員全員が共有し大切にする5つの価値(公正・透明・誠実・安全・共生)を定めています。さらに、法令遵守と社会倫理に基づいた正しい行動を具体的に実践していくために、「グループ行動準則」を定め、事業活動を行っていく上での判断・行動の基本としています。また、コーポレートガバナンスに関する方針を定め、株主・投資家をはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に対する適正かつ迅速な情報開示に努め、説明責任を果たすことを通して、より透明性の高い経営の実現を目指しています。 (2) 中長期的な会社の経営戦略当社グループは、平成27年4月より3ヵ年の中期経営計画「CK-17」(Competitive Kurita 2017)を遂行中です。「勝てる人材、勝てるしくみ、勝てる商品」の実現を基本テーマとし、①競争力のある商品・サービスの創出、②新市場の開拓、③生産体制の最適化とグループネットワークの活用、に取り組んでいます。競争力のある商品・サービスの創出に向けては、欧州・北米の買収事業も含めて、グローバルな研究開発体制の構築を進めます。また、IT・センシング技術を活用した商品・サービスの競争力強化とビジネスプロセスの変革を通じて顧客の課題解決に貢献する提案力・対応力を高め、顧客親密性の向上を図ります。新市場の開拓においては、引き続きM&Aによる事業基盤の獲得を進めるほか、今年度出資した米国ベンチャー企業との提携関係を活用し、新たな節水事業モデルの創出と国内での市場開拓に挑戦します。生産体制の最適化とグループネットワークの活用に対しては、買収した事業を含め、グループ全体で生産拠点、販売ネットワークの再編に取り組みます。また、ITを取り入れた生産業務プロセスの変革により、業務効率化とコストダウンを図ります。 (3) 対処すべき課題 当社グループは「“水”を究め、自然と人間が調和した豊かな環境を創造する」を企業理念とし、企業ビジョン「水と環境の先進的マネジメント企業」の実現を目指して事業活動を展開しています。3ヵ年の中期経営計画「CK-17」(Competitive Kurita 2017)の中間年度である平成28年度は、海外事業のさらなる拡大に向け、米国における企業買収、海外子会社の再編および新会社設立、韓国における超純水供給事業の展開により、事業基盤を整備・強化しました。また、IT・センシング技術の活用による商品・サービスの付加価値向上、工事案件の工程・原価管理の徹底による採算性向上など今後の収益性改善につながる成果を得ることができました。さらに、ESG(環境、社会、統治)課題への対応の一環として、当社グループの全ての役員・従業員が遵守すべき基本的な行動を定めた「クリタグループ行動準則」を制定しました。当社グループのさらなる発展のためには、継続して事業の変革、事業基盤の整備、技術・商品開発などの取り組みを強化するとともに、顧客の信頼獲得を第一義とする事業の在り方を追求していくことが重要であると考えます。CK-17計画の最終年度となる平成29年度は、「顧客に最良のソリューションを提供することにより顧客親密性を高める」を基本方針として、以下の課題を解決し新たな中期経営計画の土台を固めます。※顧客親密性とは、単なる顧客との物理的、時間的な密着度ではなく、顧客にとって必要不可欠なパートナーとしての存在価値の大きさを意味しています。 1) ビジネスプロセスの変革と総合ソリューション提案の推進顧客に最良の価値を提供するビジネスプロセス(バリューチェーン)の変革により業務の品質と効率を向上させ、顧客課題の解決力強化と顧客対応スピードの改善を図ります。 IT・センシング技術を活用した競争力のある商品・サービスを市場投入するとともに、マーケティングを強化し、水処理薬品、水処理装置、メンテナンス・サービスの技術・ノウハウを駆使した総合ソリューション提案を強力に推進します。 2) 成長分野への集中投資と事業の再構築海外市場を成長分野と位置付け、当社グループの経営資源を集中投下し、M&Aによる事業基盤の構築・整備、各地域の強みのある技術、商品、ソリューション、ビジネスモデルの相互供給により、海外事業の拡大を加速させます。 水処理装置事業において、一層のサービス化を推進します。国内外超純水供給事業への投資の拡大、純水供給・排水回収分野でのサービス型ビジネスモデルの展開を図るとともに、エネルギー・インフラを中心とした成長市場でも、運転管理やメンテナンスのノウハウを活かした新たな契約ビジネスを創出します。 水処理薬品事業においても、国内の営業・サービス体制を見直し、大規模から小規模顧客まで、各顧客のニーズに合わせた商品・サービスをスピーディーに提供していくことで事業の収益性を改善します。 3) CSR活動の強化による企業価値の向上当社グループは、持続可能な成長を目指し、長期的な視点で企業価値の増大を図ります。 そのため、取締役会の実効性向上に継続して取り組み、株主・投資家をはじめとするステークホルダーとの対話に努め、透明性の高い経営を実行していきます。 働き方改革を進め、従業員が公私両面において幸福、充足感を得られるようにし、優秀な人材の確保、モチベーションの向上・研鑽促進・能力発揮、組織としての対応力の向上等を通じて競争力を高め、収益向上につなげます。