事業の概要
- 多岐にわたる事業展開三菱電機グループは、インフラ、インダストリー・モビリティ、ライフ、ビジネス・プラットフォーム、セミコンダクター・デバイスなど、6つのセグメントで幅広い事業を展開しています。社会インフラから家庭用電器まで、多種多様な製品やサービスを提供することで、特定の分野に依存しない安定した収益構造を築いています。
- グローバルな事業活動売上高の5割以上を海外が占めており、グローバル市場での存在感が非常に大きい企業です。日本国内向けの売上にも、顧客製品に組み込まれて海外に輸出されるものが含まれるため、世界経済の動向が直接的に業績に影響を与えます。
- 循環型デジタル企業への変革デジタル基盤「Serendie」を活用し、顧客データ分析やグループ内の知恵を融合させることで、新たなデジタルサービスを創出し、社会課題の解決に貢献する「循環型デジタル・エンジニアリング企業」への変革を目指しています。これにより、既存事業の強化と新規事業の創出を両立させ、持続的な成長を図ります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- インフラ事業社会インフラに関わる幅広い事業を展開しており、電力システム、交通システム、ビルシステムなどが含まれます。社会の基盤を支える重要な役割を担い、グローバル市場での展開も進めています。
- インダストリー・モビリティ事業産業用機器や自動車関連機器、FA(ファクトリーオートメーション)システムなどを提供しています。製造業の生産性向上やモビリティの進化に貢献し、企業の競争力強化を支援する事業です。
- ライフ事業家庭用電器製品や空調・換気システム、給湯器などを扱っています。人々の快適な暮らしを支える製品を提供し、省エネや環境配慮型の製品開発にも力を入れています。
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3 【事業の内容】 当社はIFRSに基づいて連結財務諸表を作成しています。三菱電機グループ(当社を中核として連結子会社256社、持分法適用会社38社を中心に構成)においては、インフラ、インダストリー・モビリティ、ライフ、デジタルイノベーション、セミコンダクター・デバイス、その他の6セグメントに関係する事業を行っており、その製品はあらゆる種類にわたります。 2025年度の三菱電機グループの主な事業内容と、主な関係会社の事業の種類別セグメントにおける関連は以下のとおりです。 なお、当連結会計年度より「ビジネス・プラットフォーム」を「デジタルイノベーション」に名称変更しています。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記 6.セグメント情報」をご参照ください。 (注) 1 総合販社欄の会社は複数事業の製品販売を担当している会社が多いため、事業別に区分せず一括して表示しています。2 連結子会社は 、持分法適用会社は で括っています。3 サイアム・コンプレッサー・インダストリー社は、2026年4月1日付で三菱電機サイアム・コンプレッサー・インダストリー社に商号変更しています。4 ㈱指月電機製作所は、保有株式の一部売却により、2026年6月2日付で持分法適用会社から除外しています。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 コンポーネント技術とデジタル技術の開発、デジタル基盤「Serendie」の活用 |
|---|---|
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:経済安全保障に関わるリスクの高まり / サプライチェーンを取り巻く環境変化への対応 / サイバー攻撃等の増大
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
三菱電機は、長年にわたり培ってきた「MITSUBISHI ELECTRIC」ブランド力と、FA(ファクトリーオートメーション)分野における高度な制御技術やIoTプラットフォーム「e-F@ctory」などのIP(知的財産)を有している。これらの無形資産は、高品質・高信頼性製品の提供を支え、顧客からの信頼獲得に貢献している。
スイッチングコスト★★★☆☆
FAシステムやビルシステムなど、一度導入されるとシステム全体の連携や運用ノウハウが蓄積されるため、顧客が競合他社へ乗り換える際の初期投資や再教育コスト、ダウンタイムリスクが大きい。特に、生産ラインやインフラに関わるシステムでは、スイッチングコストは顕著である。
ネットワーク効果★☆☆☆☆
IoTプラットフォーム「e-F@ctory」は、接続機器が増えるほどデータ活用が進み、顧客にとっての価値が増す可能性があるが、現時点ではそのネットワーク効果は限定的であり、競合プラットフォームとの差別化が課題となっている。
コスト優位★★☆☆☆
グローバルな生産体制と長年の効率化努力により、一定のコスト競争力はある。特に、規模の経済を活かした部品調達や生産プロセス最適化は強みだが、他社も同様の努力をしており、圧倒的なコスト優位性とは言えない。
- 広範な技術と製品群社会インフラから家電、半導体まで、非常に幅広い分野で製品とサービスを提供しており、多様な技術とノウハウを蓄積しています。これにより、顧客の様々なニーズに応えることができ、幅広い市場で競争力を維持しています。
- グローバルな事業基盤売上高の半分以上を海外で稼ぎ出すグローバルな事業展開は、特定の地域経済の変動リスクを分散し、安定した収益基盤を構築しています。世界中の顧客との関係性やサプライチェーンは、同社の強みの一つです。
- デジタル変革への注力デジタル基盤「Serendie」を活用したビジネスモデル変革や、DX・IT戦略推進のための新会社設立など、デジタル技術を積極的に取り入れ、新たな価値創造を目指しています。これにより、既存事業の効率化だけでなく、新しいデジタルサービスの提供を通じて競争優位性を確立しようとしています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- バランス経営と社会課題解決企業理念に基づき、「成長性」「収益性・効率性」「健全性」の3つの視点でのバランス経営を重視し、事業を通じて社会課題を解決することでサステナビリティを実現することを経営の根幹に置いています。これにより、企業価値の持続的向上とステークホルダーへの責任を果たします。
- 経営体質の強化と変革ROIC(投下資本利益率)を活用した事業運営を推進し、資産効率とキャッシュ創出力を重視した経営を目指しています。重点成長事業への積極投資と課題事業からの撤退・売却を検討し、事業ポートフォリオの最適化を図ることで、経営体質の強化と変革を進めます。
- サステナビリティ経営の推進カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーなど、5つの課題領域を明確化し、事業を通じて社会課題を解決することで、社会の持続可能性と事業発展の両立を目指します。2050年度までにバリューチェーン全体での温室効果ガス排出量実質ゼロを目標とし、環境負荷低減と企業価値向上を両立させます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針 三菱電機グループは、幅広い事業をグローバルで展開しながら、事業成長と社会・環境課題の解決に向け、リスクを恐れず新たな発想で価値を創出する「イノベーティブカンパニー」への変革を目指しています。昨今の急速に変化する社会や市場環境において、三菱電機グループが持続的に成長するためには、役員・従業員が、三菱電機グループの目指す方向性・姿を認識し、主体的に行動し続けることが必要です。そのため、個々人の考えや行動の土台となる「Purpose(存在意義)」「Guiding Principle(大切にする考え)」「Core Values(行動指針)」から構成される新たな理念として「Our Philosophy(私たちの理念)」を2026年4月に制定しました。三菱電機グループは、「Our Philosophy」のもと、サステナビリティを経営の根幹に据え、社会・顧客・株主・従業員をはじめとしたステークホルダーからの信頼を重んじていきます。また、「収益性」「資本効率」「成長性」を追求するとともに、顧客とつながり続けて社会課題を解決する新たな価値を創出し、企業価値の持続的向上を図っていきます。 (2) 経営環境及び対処すべき課題①経営環境 世界経済の先行きは、米国の通商政策の行方や中東情勢を背景とする資源価格上昇が景気の下押し要因となり、不透明感から緩やかな成長に留まることが見込まれます。今後、地政学的リスクの長期化に伴い、さらなる経営環境の変化も懸念されます。 ②対処すべき課題Serendieによる事業モデル変革の更なる推進 三菱電機グループは、顧客とつながり続ける「循環型 デジタル・エンジニアリング」を拡大することで、事業モデルを変革します。具体的には、現場ナレッジとAI・デジタルの掛け合わせでコンポーネントを強化するとともに、保守・サービスを通じて得られるお客様の運用データと、デジタル基盤「Serendie」を活用し、お客様の課題を解決する新たな製品・ソリューションを提供し続ける事業モデルを一層具現化していきます。これを実現するために、「循環型 デジタル・エンジニアリング」のコアとなるソリューション事業を戦略的に育成するとともに、中長期的に成長ドライバーとなる強いコンポーネント事業に経営資源を集中し、強化していきます。 また、先進的なグローバル企業と共創関係を構築し、三菱電機グループのアセットを結集することで、お客様が抱える複雑な経営課題に対するソリューションを開発します。開発した高度なソリューションは、様々なお客様に提案できるよう標準パッケージ化し、コンポーネントと組み合わせて幅広く展開していきます。加えて、自前主義に固執することなく、事業モデル変革に不可欠な技術や資産をM&A等により機動的に獲得し、変革をスピーディーに実行します。 ■「循環型 デジタル・エンジニアリング」の強化 経営体質の強化と人的資本価値の最大化 三菱電機グループは、ROIC*1を活用した事業運営を進めます。資産効率とキャッシュ創出力を重視した経営に取り組み、ROICツリー展開によるKPIと責任部門の明確化を通じ、あらゆる階層でROIC経営を引き続き推進します。具体的には、生産最適化等によるアセットライト施策や製品ラインアップの整理等による資産効率の向上を図ります。加えて、DX・AI活用による徹底的な業務変革等により費用構造の見直しを強力に進めていきます。 また、変革を牽引する最大の原動力は「人財」であり、従業員一人ひとりが失敗を恐れず新しいことに果敢に挑戦するマインドセット変革を推進します。私たちが判断に迷った際の拠り所となり、次の一歩を踏み出すときの指針となる新たな理念「Our Philosophy」を浸透させることで、変革を促進する人財戦略を強力に実行します。具体的には、従業員のキャリアオーナーシップに基づく自律的な成長を促すとともに、マネジメント層にはグローバル基準でのジョブグレード制度を適用、ジョブ型人財マネジメントへの転換を加速し、人的資本価値の最大化を目指します。 本質的なサステナビリティ経営と倫理・遵法の徹底 三菱電機グループは、社会課題解決と事業成長を同時に成し遂げる「トレード・オン」を追求し、本質的なサステナビリティ経営を推進します。「2030年度までに工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す」という中期目標に向けた削減活動や、社会課題の根本的な解決を目指した技術開発を加速させるとともに、多様性の推進やサプライチェーン全体での人権尊重への取組みを強化していきます。サステナビリティに関する具体的な考え方や取組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照ください。 倫理・遵法の徹底については、「Core Values」の一つである「WITH INTEGRITY 誠実」のもと、引き続きコンプライアンス施策を推進します。2021年度に開始した3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)については、組織自らが変革を進めていく自走する組織づくりへの取組みを継続していきます。 なお、事業等のリスクに関する具体的な考え方や取組みについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」を参照ください。 *1 ROIC(投下資本利益率):各事業部門での把握・改善が容易となるように、「資本」「負債」ではなく、資産項目(固定資産・運転資本等)に基づいて算出する三菱電機版ROIC 中期経営戦略 2030年度目標 三菱電機グループは、2025年度までの中期経営計画における目標として、売上高5兆円+、営業利益率8%+、ROE9%、キャッシュ・ジェネレーション*23.3兆円(2021年度-2025年度)を掲げていました。これに対し、2025年度の業績は売上高5兆8,947億円、営業利益率9.1%*3、ROE9.7%、キャッシュ・ジェネレーション3.4兆円(2021年度-2025年度)となり、すべての項目において目標を達成しました。2030年度に向けた中期経営戦略においては、調整後営業利益率*412%+、ROE12%、売上高成長率(2025年度-2030年度)3-5%を2030年度の目標*5に掲げ、収益率と資本効率の向上を最重視するとともに安定的な売上成長を図っていきます。 なお、セグメント別の事業戦略は次のとおりです。セグメント事業戦略インフラ広範な社会インフラ事業におけるグローバルレベルの顧客基盤・ストックを活かし、「世界の重要インフラの安定稼働とカーボンニュートラルの実現」と「日本・アジアの安全保障への貢献」に取り組みます。そのためにデータセンター関連事業や脱炭素コンポーネント、防衛・宇宙事業への重点的なリソース投入と、統合エンジニアリング力や高度なエネルギーマネジメント技術などを活かしたソリューション事業の拡大に注力します。インダストリー・モビリティコアコンポーネントにAI・デジタル技術を融合させることで、未来の“ものづくり”と“快適な移動”を支える新たな価値を創出します。インダストリー領域では重点成長事業におけるコンポーネントの提供価値拡大と、FAデジタルソリューションの事業モデル構築を加速します。モビリティ領域では、環境変化に対応した事業ポートフォリオの最適化と事業運営の効率化に加え、ソフトウエア領域での価値創造の追求等により、持続的な成長基盤の構築を図っていきます。ライフ人々の生活を支える空調や昇降機などの設備事業に加え、お客様とつながり続けることができる保守や運用管理などの循環型事業を通じて、あらゆる生活空間における快適で安全・安心な生活環境を創造するソリューションプロバイダとなることを目指します。顧客価値の創出を推進し、「グリーンエナジーソリューション」「安全・安心&快適ソリューション」「ビルマネジメントソリューション」を提供します。デジタルイノベーションDX・IT・セキュリティの取組みを通じて循環型 デジタル・エンジニアリングを推進するための経営基盤を構築します。これにより各種サービスをビジネスエリア・事業本部に提供し、ソリューションの創出を支え続けるとともに、情報システム・サービス事業の強化を図ります。セミコンダクター・デバイス社会のGX・DX実現に必要不可欠なキーデバイスの提供を通じて、三菱電機グループの統合ソリューションをコンポーネントから強化していくことに加え、社内関連事業の知見を幅広く取り込み、顧客目線で付加価値の高いデバイスの開発に取り組みます。パワーデバイスの事業ポートフォリオ最適化、光デバイスの市場リーダーシップ強化と並行した収益性・生産性を追求する抜本的な資本効率改善により、持続的成長を実現します。 *2 キャッシュ・ジェネレーション:営業キャッシュ・フローに研究開発費加算等し算出。*3 ネクストステージ支援制度特別措置影響を除く。*4 調整後営業利益率:「調整後営業利益」は、営業利益から事業・資産売却損益、減損損失等のその他の損益を控除し算出。なお、2025年度の調整後営業利益率は8.5%。*5 いずれも自動車機器事業を除く。 三菱電機グループは、上記戦略・施策を着実に実行することにより、更なる企業価値の向上を目指します。 なお、上記における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月19日)現在において当社が判断したものです。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針 三菱電機グループは、幅広い事業をグローバルで展開しながら、事業成長と社会・環境課題の解決に向け、リスクを恐れず新たな発想で価値を創出する「イノベーティブカンパニー」への変革を目指しています。昨今の急速に変化する社会や市場環境において、三菱電機グループが持続的に成長するためには、役員・従業員が、三菱電機グループの目指す方向性・姿を認識し、主体的に行動し続けることが必要です。そのため、個々人の考えや行動の土台となる「Purpose(存在意義)」「Guiding Principle(大切にする考え)」「Core Values(行動指針)」から構成される新たな理念として「Our Philosophy(私たちの理念)」を2026年4月に制定しました。三菱電機グループは、「Our Philosophy」のもと、サステナビリティを経営の根幹に据え、社会・顧客・株主・従業員をはじめとしたステークホルダーからの信頼を重んじていきます。また、「収益性」「資本効率」「成長性」を追求するとともに、顧客とつながり続けて社会課題を解決する新たな価値を創出し、企業価値の持続的向上を図っていきます。 (2) 経営環境及び対処すべき課題①経営環境 世界経済の先行きは、米国の通商政策の行方や中東情勢を背景とする資源価格上昇が景気の下押し要因となり、不透明感から緩やかな成長に留まることが見込まれます。今後、地政学的リスクの長期化に伴い、さらなる経営環境の変化も懸念されます。 ②対処すべき課題Serendieによる事業モデル変革の更なる推進 三菱電機グループは、顧客とつながり続ける「循環型 デジタル・エンジニアリング」を拡大することで、事業モデルを変革します。具体的には、現場ナレッジとAI・デジタルの掛け合わせでコンポーネントを強化するとともに、保守・サービスを通じて得られるお客様の運用データと、デジタル基盤「Serendie」を活用し、お客様の課題を解決する新たな製品・ソリューションを提供し続ける事業モデルを一層具現化していきます。これを実現するために、「循環型 デジタル・エンジニアリング」のコアとなるソリューション事業を戦略的に育成するとともに、中長期的に成長ドライバーとなる強いコンポーネント事業に経営資源を集中し、強化していきます。 また、先進的なグローバル企業と共創関係を構築し、三菱電機グループのアセットを結集することで、お客様が抱える複雑な経営課題に対するソリューションを開発します。開発した高度なソリューションは、様々なお客様に提案できるよう標準パッケージ化し、コンポーネントと組み合わせて幅広く展開していきます。加えて、自前主義に固執することなく、事業モデル変革に不可欠な技術や資産をM&A等により機動的に獲得し、変革をスピーディーに実行します。 ■「循環型 デジタル・エンジニアリング」の強化 経営体質の強化と人的資本価値の最大化 三菱電機グループは、ROIC*1を活用した事業運営を進めます。資産効率とキャッシュ創出力を重視した経営に取り組み、ROICツリー展開によるKPIと責任部門の明確化を通じ、あらゆる階層でROIC経営を引き続き推進します。具体的には、生産最適化等によるアセットライト施策や製品ラインアップの整理等による資産効率の向上を図ります。加えて、DX・AI活用による徹底的な業務変革等により費用構造の見直しを強力に進めていきます。 また、変革を牽引する最大の原動力は「人財」であり、従業員一人ひとりが失敗を恐れず新しいことに果敢に挑戦するマインドセット変革を推進します。私たちが判断に迷った際の拠り所となり、次の一歩を踏み出すときの指針となる新たな理念「Our Philosophy」を浸透させることで、変革を促進する人財戦略を強力に実行します。具体的には、従業員のキャリアオーナーシップに基づく自律的な成長を促すとともに、マネジメント層にはグローバル基準でのジョブグレード制度を適用、ジョブ型人財マネジメントへの転換を加速し、人的資本価値の最大化を目指します。 本質的なサステナビリティ経営と倫理・遵法の徹底 三菱電機グループは、社会課題解決と事業成長を同時に成し遂げる「トレード・オン」を追求し、本質的なサステナビリティ経営を推進します。「2030年度までに工場・オフィスからの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す」という中期目標に向けた削減活動や、社会課題の根本的な解決を目指した技術開発を加速させるとともに、多様性の推進やサプライチェーン全体での人権尊重への取組みを強化していきます。サステナビリティに関する具体的な考え方や取組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照ください。 倫理・遵法の徹底については、「Core Values」の一つである「WITH INTEGRITY 誠実」のもと、引き続きコンプライアンス施策を推進します。2021年度に開始した3つの改革(品質風土、組織風土、ガバナンス)については、組織自らが変革を進めていく自走する組織づくりへの取組みを継続していきます。 なお、事業等のリスクに関する具体的な考え方や取組みについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」を参照ください。 *1 ROIC(投下資本利益率):各事業部門での把握・改善が容易となるように、「資本」「負債」ではなく、資産項目(固定資産・運転資本等)に基づいて算出する三菱電機版ROIC 中期経営戦略 2030年度目標 三菱電機グループは、2025年度までの中期経営計画における目標として、売上高5兆円+、営業利益率8%+、ROE9%、キャッシュ・ジェネレーション*23.3兆円(2021年度-2025年度)を掲げていました。これに対し、2025年度の業績は売上高5兆8,947億円、営業利益率9.1%*3、ROE9.7%、キャッシュ・ジェネレーション3.4兆円(2021年度-2025年度)となり、すべての項目において目標を達成しました。2030年度に向けた中期経営戦略においては、調整後営業利益率*412%+、ROE12%、売上高成長率(2025年度-2030年度)3-5%を2030年度の目標*5に掲げ、収益率と資本効率の向上を最重視するとともに安定的な売上成長を図っていきます。 なお、セグメント別の事業戦略は次のとおりです。セグメント事業戦略インフラ広範な社会インフラ事業におけるグローバルレベルの顧客基盤・ストックを活かし、「世界の重要インフラの安定稼働とカーボンニュートラルの実現」と「日本・アジアの安全保障への貢献」に取り組みます。そのためにデータセンター関連事業や脱炭素コンポーネント、防衛・宇宙事業への重点的なリソース投入と、統合エンジニアリング力や高度なエネルギーマネジメント技術などを活かしたソリューション事業の拡大に注力します。インダストリー・モビリティコアコンポーネントにAI・デジタル技術を融合させることで、未来の“ものづくり”と“快適な移動”を支える新たな価値を創出します。インダストリー領域では重点成長事業におけるコンポーネントの提供価値拡大と、FAデジタルソリューションの事業モデル構築を加速します。モビリティ領域では、環境変化に対応した事業ポートフォリオの最適化と事業運営の効率化に加え、ソフトウエア領域での価値創造の追求等により、持続的な成長基盤の構築を図っていきます。ライフ人々の生活を支える空調や昇降機などの設備事業に加え、お客様とつながり続けることができる保守や運用管理などの循環型事業を通じて、あらゆる生活空間における快適で安全・安心な生活環境を創造するソリューションプロバイダとなることを目指します。顧客価値の創出を推進し、「グリーンエナジーソリューション」「安全・安心&快適ソリューション」「ビルマネジメントソリューション」を提供します。デジタルイノベーションDX・IT・セキュリティの取組みを通じて循環型 デジタル・エンジニアリングを推進するための経営基盤を構築します。これにより各種サービスをビジネスエリア・事業本部に提供し、ソリューションの創出を支え続けるとともに、情報システム・サービス事業の強化を図ります。セミコンダクター・デバイス社会のGX・DX実現に必要不可欠なキーデバイスの提供を通じて、三菱電機グループの統合ソリューションをコンポーネントから強化していくことに加え、社内関連事業の知見を幅広く取り込み、顧客目線で付加価値の高いデバイスの開発に取り組みます。パワーデバイスの事業ポートフォリオ最適化、光デバイスの市場リーダーシップ強化と並行した収益性・生産性を追求する抜本的な資本効率改善により、持続的成長を実現します。 *2 キャッシュ・ジェネレーション:営業キャッシュ・フローに研究開発費加算等し算出。*3 ネクストステージ支援制度特別措置影響を除く。*4 調整後営業利益率:「調整後営業利益」は、営業利益から事業・資産売却損益、減損損失等のその他の損益を控除し算出。なお、2025年度の調整後営業利益率は8.5%。*5 いずれも自動車機器事業を除く。 三菱電機グループは、上記戦略・施策を着実に実行することにより、更なる企業価値の向上を目指します。 なお、上記における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月19日)現在において当社が判断したものです。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】三菱電機グループが当連結会計年度中にとった主な施策及び翌連結会計年度以降に向けての施策については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」などに記載のとおりですが、これらの施策の実施状況を踏まえた当連結会計年度に関する財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は以下のとおりです。 (1) 業績概要 当連結会計年度の日本の景気は、底堅い個人消費や設備投資といった内需が下支えとなり、緩やかな回復基調が続きました。米国の景気は、関税影響の下押し要因はあるものの、データセンターを中心としたAIなどのテクノロジー関連の投資拡大や個人消費が下支えとなり、堅調に推移しました。中国の景気は、輸出の増加や政府施策による下支えがありつつも、不動産不況や内需の弱さが続いたことで成長が鈍化し、緩やかな減速傾向で推移しました。 このような状況の中、三菱電機グループは、ビジネスエリア経営体制のもと、事業変革・ポートフォリオ戦略の加速と事業競争力強化・経営体質強化に取り組んでまいりました。 その結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなりました。 <連結決算概要> 前連結会計年度当連結会計年度前連結会計年度比売上高55,217億円58,947億円3,730億円増営業利益3,918億円4,330億円412億円増税引前当期純利益4,372億円5,260億円888億円増親会社株主に帰属する当期純利益3,240億円4,077億円836億円増 ①売上高 売上高は、為替円安の影響や価格改善の効果などにより、前連結会計年度比3,730億円増加の5兆8,947億円となりました。インフラ部門では、社会システム事業は国内の交通事業や海外向けUPS*1事業の増加、エネルギーシステム事業は国内外の電力流通事業で増加し、防衛・宇宙システム事業は防衛システム事業の大口案件により増加しました。ライフ部門では、ビルシステム事業は中東の関係会社の連結子会社化影響に加え、海外(除く中国)向けや国内リニューアル事業で増加し、空調・家電事業は円安の影響や価格改善の効果に加え、欧州・国内・北米での家庭用・業務用空調機器で増加しました。インダストリー・モビリティ部門では、FAシステム事業はスマートフォン、AI関連の設備投資や工作機械関連需要により増加しましたが、自動車機器事業は中国における日系自動車メーカーの販売の落ち込みや、北米向けカーマルチメディアの事業縮小により減少しました。デジタルイノベーション部門では、ITインフラ・セキュリティ事業、製造DXソリューション事業などにより増加しました。セミコンダクター・デバイス部門は前連結会計年度並みとなりました。 *1 UPS:Uninterruptible Power Supply / 無停電電源装置 <売上高における為替影響額> 前連結会計年度期中平均レート当連結会計年度期中平均レート当連結会計年度売上高への影響額連結合計--約460億円増内、米ドル153円151円約90億円減内、ユーロ164円176円約410億円増内、人民元21.1円21.4円約40億円増 ②営業利益 営業利益は、インフラ部門での大幅な増益をはじめ、すべてのセグメントで増益となり、前連結会計年度比412億円増加の4,330億円となりました。営業利益率は、売上原価率の改善などにより、前連結会計年度比0.2ポイント改善の7.3%となりました。 売上原価率は、価格改善やインフラ部門、インダストリー・モビリティ部門等での売上構成の改善などにより、前連結会計年度比1.5ポイント改善しました。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比724億円増加し、売上高比率は前連結会計年度比0.2ポイント改善しました。その他の損益は、特別退職金の計上などにより前連結会計年度比835億円減少し、売上高比率は前連結会計年度比1.5ポイント悪化しました。 ③税引前当期純利益 税引前当期純利益は、営業利益の増加などにより、前連結会計年度比888億円増加の5,260億円、売上高比率は8.9%となりました。 ④親会社株主に帰属する当期純利益 親会社株主に帰属する当期純利益は、税引前当期純利益の増加などにより、前連結会計年度比836億円増加の4,077億円、売上高比率は6.9%となりました。 なお、ROEは前連結会計年度比1.3ポイント改善の9.7%となりました。 事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりです。① インフラ社会システム事業の事業環境は、国内外の公共分野や交通分野における設備投資が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は海外の交通事業の大口案件の減少などにより前連結会計年度を下回りましたが、売上高は国内の交通事業や海外向けUPS事業の増加などにより、前連結会計年度を上回りました。エネルギーシステム事業の事業環境は、再生可能エネルギーの拡大やデータセンターの増設などを背景に需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内外の発電事業の増加などにより前連結会計年度を上回り、売上高は国内外の電力流通事業の増加などにより前連結会計年度を上回りました。防衛・宇宙システム事業の事業環境は、政府関連予算の増加などにより防衛・宇宙分野ともに需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、防衛システム事業の大口案件の増加により、受注高・売上高ともに前連結会計年度を上回りました。この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比119%の1兆4,634億円となりました。営業利益は、売上高の増加や売上案件の変動などにより、前連結会計年度比652億円増加の1,547億円となりました。 ② インダストリー・モビリティFAシステム事業の事業環境は、中国におけるスマートフォン、工作機械関連の需要や、日本・中国などにおけるAI関連の半導体などの設備投資需要が増加しました。このような状況の中、同事業は、スマートフォン、AI関連の設備投資や工作機械関連需要の増加などにより、受注高・売上高ともに前連結会計年度を上回りました。自動車機器事業の事業環境は、新車販売台数がインド・中国・欧州を中心に増加し、その他の地域では前連結会計年度並みとなりました。このような状況の中、同事業は、中国における日系自動車メーカーの販売減少による影響や、北米向けカーマルチメディアの事業縮小などにより、売上高は前連結会計年度を下回りました。この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比102%の1兆6,738億円となりました。営業利益は、FAシステム事業は売上高の増加や価格改善の効果などにより増加し、自動車機器事業は価格改善の効果や費用の削減などにより増加しました。部門全体では、前連結会計年度比484億円増加の1,310億円となりました。 ③ ライフビルシステム事業の事業環境は、国内などの一部地域でリニューアル需要が拡大しました。このような状況の中、同事業は、中東の関係会社の連結子会社化影響に加え、海外(除く中国)向けの増加や国内のリニューアル事業の増加などにより、受注高・売上高ともに前連結会計年度を上回りました。空調・家電事業の事業環境は、国内で家庭用・業務用空調機器の需要が堅調に推移したほか、欧州でも需要回復の動きが継続しました。このような状況の中、同事業は、円安の影響や価格改善の効果に加え、欧州・国内・北米 での家庭用・業務用空調機器の増加などにより、売上高は前連結会計年度を上回りました。この結果、部門全体では、売上高は前連結会計年度比106%の2兆3,182億円となりました。営業利益は、ビルシステム事業は売上高の増加や売上案件の変動などにより増加し、空調・家電事業は為替の影響や費用の増加に加え、素材高騰影響などにより減少しました。部門全体では、前連結会計年度比132億円増加の1,705億円となりました。 ④ デジタルイノベーション情報システム・サービス事業の事業環境は、レガシーシステムの更新やデジタルトランスフォーメーション(DX)導入関連の需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、ITインフラ・セキュリティ事業、製造DXソリューション事業などの増加により、受注高・売上高ともに前連結会計年度を上回り、売上高は前連結会計年度比108%の1,580億円となりました。営業利益は、売上高の増加などにより、前連結会計年度比10億円増加の119億円となりました。 ⑤ セミコンダクター・デバイス半導体・デバイス事業の事業環境は、パワー半導体の需要停滞が継続しましたが、通信用光デバイスの需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は電鉄・電力向けパワー半導体、通信用光デバイスの増加などにより前連結会計年度を上回り、売上高は前連結会計年度並みの2,871億円となりました。営業利益は、売上構成の変動影響などにより、前連結会計年度比69億円増加の475億円となりました。 ⑥ その他売上高は、前連結会計年度の物流関係会社の持分法適用会社化や、当連結会計年度の子会社の譲渡に伴う減少などにより、前連結会計年度比97%の8,235億円となりました。営業利益は、前連結会計年度の物流関係会社株式の一部譲渡影響による減少はあるものの、当連結会計年度の子会社株式の譲渡影響や売上案件の変動などにより、前連結会計年度比15億円増加の531億円となりました。 顧客の所在地別の売上高の状況は、次のとおりです。① 日本社会システム事業や防衛・宇宙システム事業などの増加により、前連結会計年度比108%の2兆9,323億円となりました。 ② 北米自動車機器事業などの減少はありましたが、エネルギーシステム事業や空調・家電事業などの増加により、前連結会計年度比107%の8,527億円となりました。北米のうち米国については、自動車機器事業などの減少はありましたが、エネルギーシステム事業などの増加により、前連結会計年度比109%の7,297億円となりました。 ③ アジア自動車機器事業などの減少はありましたが、FAシステム事業やビルシステム事業などの増加により、前連結会計年度比104%の1兆2,237億円となりました。アジアのうち中国については、自動車機器事業などの減少はありましたが、FAシステム事業などの増加により、前連結会計年度比102%の5,404億円となりました。 ④ 欧州自動車機器事業などの減少はありましたが、空調・家電事業やビルシステム事業などの増加により、前連結会計年度比108%の7,753億円となりました。 ⑤ その他その他の地域にはオセアニアなどが含まれており、前連結会計年度比101%の1,105億円となりました。 (2) 生産、受注及び販売の実績① 生産実績 三菱電機グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、ソフトウエアやサービスなどの無形財も多く含まれることから、セグメントごとの生産規模を金額あるいは数量で示していません。 ② 受注実績 当連結会計年度における受注実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。事業の種類別セグメントの名称受注高(百万円)前連結会計年度比(%)インフラ1,978,516103インダストリー・モビリティ(FAシステム)865,647122ライフ(ビルシステム)726,267105デジタルイノベーション156,227104セミコンダクター・デバイス320,467119(注) 「インダストリー・モビリティ」セグメントのうち自動車機器事業、「ライフ」セグメントのうち空調・家電事業、及び「その他」については、受注生産形態をとらない製品が多く、受注規模を金額で示していません。 ③ 販売実績 当連結会計年度における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりです。事業の種類別セグメントの名称販売高(百万円)前連結会計年度比(%)インフラ1,463,400119インダストリー・モビリティ1,673,871102ライフ2,318,257106デジタルイノベーション158,021108セミコンダクター・デバイス287,148100その他823,56197消去△829,511-計5,894,747107(注) 各種類別セグメントの金額には、セグメント間の内部売上高(振替高)を含めて表示しています。 (3) 資産及び負債・資本の状況分析総資産残高は、前連結会計年度末比9,818億円増加の7兆3,575億円となりました。退職給付に係る資産が3,001億円、のれん及び無形資産が2,538億円増加したことがその主な要因です。退職給付に係る資産の増加は、株価上昇影響などによるものです。負債の部は、その他の金融負債が2,159億円、契約負債が819億円増加したことなどから、負債残高は前連結会計年度末比4,282億円増加の2兆7,275億円となりました。資本の部は、株主への配当金1,136億円、自己株式の取得1,014億円による減少等はありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益4,077億円の計上等により、親会社株主に帰属する持分は前連結会計年度末比5,345億円増加の 4兆4,842億円、親会社株主帰属持分比率は60.9%(前連結会計年度末比△1.0ポイント)となりました。 前連結会計年度末当連結会計年度末前連結会計年度末比売掛債権回転率3.71回転3.36回転0.35回転減棚卸資産回転率4.44回転4.67回転0.23回転増D/Eレシオ0.09倍0.08倍△0.01親会社株主帰属持分比率61.9%60.9%1.0ポイント減(注)1 売掛債権回転率は、売上債権と契約資産の合計より算出しています。 2 D/Eレシオ(負債資本倍率)は社債、借入金及びリース負債残高を株主資本*で除することにより算出しています。* 株主資本:親会社株主に帰属する持分 (4) 資本の財源及び資金の流動性①財務戦略に関する基本的な考え方三菱電機グループは、健全な財務体質を維持するため、業績向上による資金収支の改善に加え、棚卸資産の縮減活動、売掛債権の回収促進といった資産の効率化、グループ内資金の更なる有効活用による資金の効率化に引き続き取り組んでいきます。また、2030年度に向けた新たな中期経営戦略におけるキャピタル・アロケーション方針のもと、積極的な成長投資と株主還元の拡大をバランス良く実行し、更なる資本効率の向上を図ってまいります。なお、成長戦略を進めていく中で、必要となります設備投資、研究開発、M&A等の資金につきましては、重点成長事業を中心とした営業活動において創出されたキャッシュ・フローを源泉に、自己資金の活用を図りつつ、必要に応じて金融機関等から機動的に資金調達を行っています。金融機関等からの資金調達にあたっては、一定の財務規律をもって実施し、レバレッジ活用の目安はD/Eレシオ0.3倍程度として取り組んでいきます。 ②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローが5,759億円の収入となった一方、投資活動によるキャッシュ・フローが3,444億円の支出となったため、フリー・キャッシュ・フローは2,315億円の収入となりました。これに対し、財務活動によるキャッシュ・フローは3,048億円の支出となったことなどから、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末比257億円減少の7,316億円となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純利益の増加等により、前連結会計年度比1,200億円の収入増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社の取得の増加等により、前連結会計年度比1,526億円の支出増加となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得の増加等により、前連結会計年度比394億円の支出増加となりました。 ③財源及び流動性運転資金需要のうち主なものは、生産に必要な材料購入費の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、設備投資、M&A等によるものです。短期運転資金は、自己資金と金融機関からの短期借入等により、設備投資や長期運転資金は、自己資金の活用を図りつつ金融機関からの長期借入及び社債により調達を行っています。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7,316億円、社債、借入金及びリース負債残高は3,632億円です。社債、借入金及びリース負債の内訳は、短期借入金364億円、コマーシャル・ペーパー300億円、社債499億円、長期借入金1,005億円、リース負債1,463億円です。三菱電機グループは、上記施策を着実に展開することにより、更なる企業価値の向上を目指します。 (5) 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断当社の連結財務諸表はIFRSに基づいて作成しています。これらの連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を使用する必要があります。実際の業績は、これらの見積りとは異なる場合があります。当社の連結財務諸表の金額に重要な影響を与える可能性のある主要な会計上の見積り及び仮定は以下のとおりです。 ①一定の期間にわたり履行義務を充足する契約における見積総費用 インフラ部門、ライフ部門及びデジタルイノベーション部門における一定の要件を満たす特定の工事請負契約については、当該工事請負契約の当期末時点の進捗度に応じて収益を計上しています。進捗度は、当連結会計年度までの発生費用を工事完了までの見積総費用と比較することにより測定しています。 見積総費用は、契約ごとに当該工事請負契約の契約内容、要求仕様、技術面における新規開発要素の有無、過去の類似契約における発生原価実績などのさまざまな情報に基づいて算定しています。 工事請負契約は、契約仕様や作業内容が顧客の要求に基づき定められており契約内容の個別性が強く、また比較的長期にわたる契約が多いことから、作業工程の遅れ等による当初見積りに対する原価の増加や、新規開発技術を利用した工事遂行における当初想定していない事象の発生による原価の変動など、工事の進行途中の環境の変化によって、見積総費用が変動することがあります。 経営者は、四半期ごとに当四半期までの発生費用と事前の見積りとの比較や、その時点での工事の進捗状況等を踏まえた最新の情報に基づいて見直した工事請負契約の見積総費用を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループが認識する収益の金額に影響を与える可能性があります。 ②引当金の認識及び測定 受注工事損失引当金は、インフラ部門、ライフ部門及びデジタルイノベーション部門における工事請負契約において、当該工事の見積総費用が請負受注金額を超える可能性が高く、かつ予想される損失額を合理的に見積もることができる場合に、将来の損失見込額を引当金として計上しています。当連結会計年度末における受注工事損失引当金の残高は、44,500百万円です。 見積総費用は、契約ごとに当該工事請負契約の契約内容、要求仕様、技術面における新規開発要素の有無、過去の類似契約における発生原価実績などのさまざまな情報に基づいて算定しています。 工事請負契約は、契約仕様や作業内容が顧客の要求に基づき定められており契約内容の個別性が強く、また比較的長期にわたる契約が多いことから、作業工程の遅れ等による当初見積りに対する原価の増加や、新規開発技術を利用した工事遂行における当初想定していない事象の発生による原価の変動など、工事の進行途中の環境の変化によって、見積総費用が変動することがあります。 経営者は、四半期ごとに当四半期までの発生費用と事前の見積りとの比較や、その時点での工事の進捗状況等を踏まえた最新の情報に基づいて見直した将来工事損失見込額を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループの損益に影響を与える可能性があります。 製造上やその他の不具合に対し、製品の種類や販売地域及びその他の要因ごとに定められた期間又は一定の使用条件に応じて製品保証を行っており、期末日現在において将来の費用発生の可能性が高く、その金額を合理的に見積もることができる場合に、製品保証引当金を計上しています。将来の発生費用は、主に過去の無償工事実績及び補修費用に関する現状に基づいて見積っています。当連結会計年度末における製品保証引当金の残高は、84,420百万円です。 経営者は、発生費用の見積り額を妥当なものと考えていますが、将来の状況の変化によって見積りと実績が乖離した場合は、三菱電機グループの損益に影響を与える可能性があります。 ③有形固定資産の回収可能価額 有形固定資産は、減損の兆候の有無を判断しており、減損の兆候が存在する場合は、減損テストを実施しています。 資産又は資金生成単位の見積回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。使用価値の算定における見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産に固有のリスクを反映した税引前割引率を用いて現在価値に割り引いています。資産又は資金生成単位の帳簿価額が見積回収可能価額を超過する場合には、当期の純損益において減損損失を認識しています。 経営者は、使用価値の算定における見積将来キャッシュ・フロー及び処分コスト控除後の公正価値の見積りはいずれも妥当なものと考えていますが、三菱電機グループのビジネスや前提条件の変化等によって見積りが変更となることにより資産又は資金生成単位の見積回収可能価額が変動し、結果として、将来において有形固定資産の減損損失の認識に影響を与える可能性があります。 これらの前提条件を用いた見積りは、合理的であると判断していますが、翌連結会計年度において、経済環境の変化等により、見直しが必要となった場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。 ④のれん及び無形資産の回収可能価額 耐用年数を確定できる無形資産は、減損の兆候の有無を判断しており、減損の兆候が存在する場合は、減損テストを実施しています。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については少なくとも1年に一度、同時期に減損テストを実施しています。 重要なのれんはライフ部門に含まれる空調・家電事業及びビルシステム事業並びにデジタルイノベーション部門に配分されたのれんであり、減損テストの回収可能価額は、使用価値と処分コスト控除後の公正価値のうちいずれか大きい方の金額としています。 使用価値は、過去の経験及び外部からの情報を反映し、主として経営者が承認した今後5年度分の事業計画及び成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積り額を現在価値に割り引いて算定しています。割引率は、税引前の加重平均資本コストを基に算定しており、当連結会計年度における割引率は、12.1%~14.8%です。成長率は、のれんが配分されている資金生成単位グループが属する市場の長期期待成長率を参考に算定しており、当連結会計年度における成長率は1.0%~2.0%です。 処分コスト控除後の公正価値は、過去の経験及び外部からの情報を反映し、主に将来予測及び永久成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積り額を現在価値に割り引いて算定しています。割引率は、税引前の加重平均資本コストを基に算定しており、当連結会計年度における割引率は、主に15.3%です。永久成長率は、資金生成単位が属する市場の長期期待成長率を参考に算定しており、当連結会計年度における永久成長率は、2.2%です。 経営者は、事業計画や成長率を基礎としたキャッシュ・フローの見積り額や割引率は妥当なものと考えていますが、三菱電機グループのビジネスや前提条件の変化等によってキャッシュ・フローの見積り額や割引率が変更となることにより回収可能価額が変動し、結果として、将来においてのれん及び無形資産の減損損失の認識に影響を与える可能性があります。 ⑤繰延税金資産の回収可能性 繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。繰延税金資産は期末日に見直し、税務便益が実現する可能性が高くない場合は、繰延税金資産の計上額を減額しています。 三菱電機グループは繰延税金資産の実現可能性の評価にあたり、繰延税金資産の一部又は全部が実現する可能性が実現しない可能性より高いかどうかを考慮しています。繰延税金資産の実現は、最終的には将来減算一時差異、未使用の税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除が減算可能な期間における将来課税所得によって決定されます。その評価にあたり、予定される繰延税金負債の戻入、予測される将来課税所得及び税務戦略を考慮しています。 経営者は、当連結会計年度末の認識可能と判断された繰延税金資産が実現する蓋然性は高いと考えていますが、繰延期間における将来の見積課税所得が減少した場合には、実現する可能性が高いと考えられる繰延税金資産は減少することとなります。 ⑥確定給付制度債務の測定 三菱電機グループは、従業員を対象とする従業員非拠出制の確定給付型退職給付制度を採用しています。従業員の確定給付制度債務は、割引率、退職率、一時金選択率や死亡率など年金数理計算上の基礎率に基づき算定しています。確定給付制度債務の現在価値及び制度資産の公正価値の再測定による変動は、発生した期においてその他の包括利益として一括認識し、直ちに利益剰余金に振り替えています。 割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定しており、当連結会計年度末の割引率は3.1%です。 経営者は、年金数理計算上の基礎率の算定は妥当なものと考えていますが、実績との差異又は基礎率自体の変更により、確定給付制度債務の金額に影響を与える可能性があります。 ⑦金融商品の公正価値 三菱電機グループは、主に取引関係維持・強化を目的として保有している資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しています。このうち非上場株式及び出資金の公正価値については、投資先の純資産等に関する定量的な情報及び投資先の将来キャッシュ・フローに関する予想等を総合的に勘案して算定しています。 経営者は、公正価値の見積りは妥当なものと考えていますが、投資先の業績や将来キャッシュ・フロー等の見積りの前提条件が変動した場合は、三菱電機グループのその他の包括利益の金額に影響を与える可能性があります。
事業リスク
- 経済安全保障リスク米国政権の関税強化や各国の輸出規制、国際情勢の緊張など、経済安全保障に関するリスクが高まっています。これにより、製品需要や顧客の販売動向が変化し、三菱電機グループの事業活動や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
- サプライチェーン変動リスク感染症や自然災害による供給混乱、経済安全保障規制の拡大、人権課題への対応など、サプライチェーンを取り巻く環境変化が事業活動や業績に影響を与える可能性があります。特定地域への依存を減らすための調達複線化や在庫確保が急務となっています。
- サイバー攻撃の増大高度化するサイバー攻撃により、顧客情報や企業機密の漏洩、工場生産への影響、さらには重要インフラ制御システムの混乱を引き起こすリスクが増大しています。これにより、事業活動や業績に悪影響を及ぼすだけでなく、顧客や社会への影響も懸念されます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】(1) 三菱電機グループのリスクマネジメント体制 三菱電機グループは、予防重視の内部統制システムの強化を図るため、リスク管理を事業遂行に組み込み、事業の規模・特性等に応じて管理するとともに、グループ全体に共通する重要なリスクについてはグループ経営に与える影響度に応じた重点付けを行いながら管理しています。 大規模災害や社会的リスクなどの従来型リスクへの対応にとどまらず、経済安全保障を含む地政学リスク、AI等の技術革新、サステナビリティなどの分野における新たなリスクに対する探索と備えも戦略的に推進します。 三菱電機グループでは、各部門及び国内外の関係会社が主体的にリスクマネジメントを遂行することに加えて、三菱電機の各コーポレート部門(リスク所管部門)がそれぞれの専門領域において各部門及び国内外の関係会社を統括/評価します。更にCRO(Chief Risk Management Officer)及び法務・リスクマネジメント統括部がグループ全体を統括し、リスクマネジメント・コンプライアンス委員会で経営判断のうえ、必要に応じて組織横断的で柔軟なチーム行動により効果的かつ戦略的なリスクマネジメントが可能な体制を構築しています。特に経営の監督と執行にかかわる重要事項については、取締役会、執行役会議において審議・決定します。 (2) 事業等のリスク 事業の遂行に当たっては、様々な要素が三菱電機グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。具体的に三菱電機グループの財政状態及び経営成績や、投資家の判断に影響を及ぼす可能性がある要因のうち、三菱電機グループとしてリスク制御策の取組状況も考慮したうえで、特に重要なリスクをマッピング・類型化し、主なものについて「外部環境リスク(地政学リスク、AI等の技術革新、サステナビリティなど)」「BCP上のリスク」「内部リスク」に分類し、三菱電機グループのリスクマップを策定しました。リスクマップの各象限に応じた対応を進めることで、インパクトの縮小化、リスクへの備えの実効性・効率向上を図る一方で、必要に応じたリスク制御強化に柔軟に取り組みます。 三菱電機グループにおける、主要な事業等のリスクは以下のとおりです。 <外部環境リスク(地政学リスク、AI等の技術革新、サステナビリティなど)>①経済安全保障に関わるリスクの高まり 米国政権による関税強化、各国の輸出規制、長期化するウクライナ情勢に加え、中東情勢の緊迫化に伴う地域情勢の不透明感は、経済安全保障に関するリスクのレベルを引き上げ、社会情勢を不安定化させるとともに、世界経済に対しても大きく影響を与えています。 三菱電機グループは、社会インフラから家庭電器まで広範な領域で事業を展開し、海外向けが売上高の5割超を占めています。また、日本国内向けの売上には国内で利用される製品だけでなく、顧客の製品に組み込まれて海外に輸出される製品も含まれています。経済安全保障リスクの高まりによる社会・経済・政治的混乱により、当社製品の需要や、当社製品を組み込んだ顧客の製品の販売動向が変化した場合には、三菱電機グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 こうした各国の経済安全保障政策の急激な変化に対応すべく、政策動向や法制度の調査・分析、全社における機微技術管理、情報セキュリティ、投資、開発、サプライチェーン等に関わる経済安全保障の観点から見た統合的なリスク制御を行っています。 ②サプライチェーンを取り巻く環境変化 地政学リスクの増大に伴う物流網の途絶や原材料価格の変動、自然災害等による供給混乱、あるいは各種経済安全保障規制の拡大や人権課題への対応など、サプライチェーンを取り巻く多角的な環境の変化により、三菱電機グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、各国の輸出管理強化が続く中、特定地域への依存を減らす取組みが急務となっています。 これらの状況を踏まえ、サプライチェーンの強靭化に向けて、調達複線化、在庫確保、代替品探索、技術開発、新ルート開拓などの具体的な取組みを進めています。 三菱電機グループは、これらの取組みを通じて、調達リスクに迅速かつ適切に対応し、競争力ある製品・サービスを継続的に市場に供給していきます。 ③サステナビリティ関連の社会要請 企業に対する人権や環境(カーボンニュートラル、サーキュラ―エコノミーなど)といったサステナビリティ上の社会要請が近年増加しており、人権侵害の有無等を基準とする取引先の選別、自社及びサプライチェーンを含む人権や環境に関わるデューデリジェンスの実施、環境に配慮した製品設計や再生材料の使用などを要請する法令の制定が、日本や欧米を始め多極的に進められています。 サステナビリティに関わるリスクの中で、カーボンニュートラル、サーキュラ―エコノミーに関しては、欧州を中心に関連する制度の整備が進んでおり、特に炭素価格制度、排出権取引、再生材利用や環境配慮設計に関する規制などは、企業の意思決定プロセスやビジネスモデルの転換を促すものであり、これらに適時適切な経営判断を行わない場合には、三菱電機グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。三菱電機グループとして、これらの規制や社会要請を捉え、迅速かつ的確に取り組みを進めています。例えば、カーボンニュートラルに関しては、外部環境変化も考慮した社内炭素価格の運用を通じて、Scope1,2の削減に向けた脱炭素設備投資の導入を促進していきます。 また、その他にも、三菱電機グループは、人権に関する取組みを求める法令への違反や、人権侵害に加担した企業とみなされた場合の経済制裁や社会的評価の低下をリスクとして認識しています。これらのリスクに対して、三菱電機グループとして国連「ビジネスと人権に関する指導原則」など国際規範に基づく取組みを強化するとともに、グローバルサプライチェーンにおいて社会的責任を推進する企業同盟であるRBA(Responsible Business Alliance)に即して、三菱電機グループのバリューチェーンにおける人権デューデリジェンスの取組みを強化しています。 サステナビリティに関わるリスクへの取組みを加速する手段やツールとして、自社及び取引先の炭素排出量などの非財務情報を可視化するシステム構築の検討を進めます。 三菱電機グループは、これらの取組みを通じて、サステナビリティに関する社会要請に迅速かつ適切に対応し、企業評価の向上を目指します。 ④サイバー攻撃等の増大 三菱電機グループの顧客・ステークホルダーの皆様からお預かりした情報、営業情報や技術情報、知的財産などの企業機密が、AI技術を悪用した高度なサイバー攻撃等によるコンピューターウイルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により、滅失もしくは社外に漏洩した場合、又は工場の生産に影響を与えるようなサイバー攻撃事案が発生した場合は、三菱電機グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、顧客に納入した製品に未知の脆弱性があった場合、顧客の提供するサービス及び社会に大きな影響を与える可能性があります。 AI技術の進展に伴い、脆弱性探索やマルウェア生成等の攻撃スピード・規模が劇的に増加し、これら高度な攻撃がIT環境のみならずOT(Operational Technology:製造現場やプラントで用いられる設備やシステムを制御・運用する技術)環境にも侵入することで、通信、電力などの重要インフラ制御システムや、工場管理システム等の混乱を引き起こすリスクが急速に拡大しています。一方、制度面では、サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)の2027年開始などサイバー対策の強化が順次具体化されています。三菱電機グループは関係機関との情報交換を密に実施しながら、AIを防御に活用する取組みを含め、高度な攻撃に対応する体制の構築と、対応能力の強化を進めていきます。 また、人的情報漏洩防止策の強化も重要な取組みの一環として位置づけ、機密情報の保全を推進し、事業活動及び業績への影響を最小限に抑えることを目指します。 ⑤ゲームチェンジ/技術革新 上記で述べたような国際的な法規制や社会的な価値観、社会構造の変化とともに、技術革新の加速と競争の激化が進んでおり、ゲームチェンジ・リスクが高まっています。そのような不確実性が高まる事業環境の変化をタイムリーに捉え、国際的な法規制を遵守しリスクを抑えつつ、ビジネスチャンスに変えていく柔軟な対応が求められています。特にAIについては、各国において人権保護やイノベーション促進を目的とする規制が拡大しています。このような中、三菱電機グループでは、三菱電機グループ倫理ポリシーを掲げ、AIのリスクに応じて経営層や社外有識者を交えて利活用手法のリスク評価を実施する体制を導入しました。 また、研究開発においては、大学など社外研究機関・他企業・顧客との連携・共創を通じて、グループ内外の知見を融合することにより未来社会をデザインし、新しい価値のタイムリーな創出を図ります。 <BCP上のリスク(感染症・大規模災害等)>⑥BCP上のリスク 三菱電機グループは、製造・販売拠点、研究開発拠点、及び本社を含む主要施設を日本国内外に多数有しており、感染症や大規模災害(地震、津波、台風、水害、火山噴火、火災)等により三菱電機グループの拠点が被害を受けることで、事業活動が中断する可能性があります。また、サプライチェーンの混乱に伴い調達、生産、物流等に影響が生じ、多額の損失が発生する可能性があります。 これらに対し、三菱電機グループはリスクマネジメント・コンプライアンス委員会において経営課題として対処すべきBCP上のリスクについて検討を行い、経営上のBCP対策を確実に実行していくプロセスを構築し、実践しています。 また、感染症や大規模災害等の緊急事態の際は、全社緊急対策室を設置し、全社の情報を一元管理するとともに、各事業拠点単位での安全確保と事業活動の復旧・継続(BCP)に取り組みます。 <内部リスク(製品・サービスの品質及びコンプライアンスリスク等)>⑦内部リスク 製品やサービスの欠陥や瑕疵等による損失計上やコンプライアンス違反の発生による社会的評価の低下は、経営全般に影響を及ぼす可能性があります。 これら内部リスクの多くは人財等のリソース不足により引き起こされると考えていますが、その対応として、ビジネスとリソースのギャップや事業環境から無理やひずみが生じている等、内部リスクが顕在化しやすい拠点について、コーポレート部門や事業部門とのコミュニケーションを通じて予防対処に取り組むと共に、DXとAIを活用した業務改革、デジタル技術活用による生産性向上の徹底を通じたリスク制御に取り組んでいます。 また、スピークアップ促進の取組みや内部監査・各種点検活動等、実効性のある内部統制システムの構築を通じた内部リスクの早期発見・対処にも努めています。 三菱電機グループにおいては過去に複数のコンプライアンス違反を起こしてきた事実を真摯に受け止め、それらに通底する背景や課題を振り返る風化防止活動に取り組むとともに、2026年4月に策定したOur Philosophy(私たちの理念)Core Values(行動指針)の一つである「WITH INTEGRITY 誠実」の浸透による未然防止に努めます。 <複雑化・複合化するリスクと金融市場の不確実性> 上記に述べたリスクの他に下記のリスクについて認識しています。 ⑧金融市場(為替相場、株式相場)リスクの影響について 上記①~⑦項で示す複雑化する各個別リスク、あるいはそれらの複合リスクにより、為替相場、株式相場が影響を受ける場合、三菱電機グループは、以下の影響を受ける可能性があります。<為替相場> 三菱電機グループの売上は北米、欧州、中国がおよそ10%ずつを占めていることに加え、当社における米ドル建てやユーロ建てでの輸入部材購入、アジア地域の製造拠点における当該地国以外の通貨建て輸出売上や輸入部材購入があります。 為替予約等により為替の変動の影響を回避するようにしていますが、為替レートの急変により、当社の想定している為替レートから大きく変動すると、三菱電機グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。<株式相場> 三菱電機グループは、「政策保有株式は原則保有しない」という考え方を基本方針としていますが、一方で、事業運営上、必要性が認められると判断した株式については保有することがあります。株式相場の下落は、三菱電機グループが保有する市場性のある株式の価値の減少や、年金資産の減少をもたらす可能性があります。 かかるリスクへの対応として、保有株式については、採算性、事業性、保有リスク等の観点から総合的に保有意義の有無を判断し、毎年、執行役会議及び取締役会にて検証・確認を行っています。保有意義が希薄と判断した株式は、当該企業の状況等を勘案した上で売却を進めるなど縮減を図ることとしています。 なお、上記における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月19日)現在において当社が判断したものです。