有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針当社グループは、持続可能社会への急速な移行、環境変化や当社自体の変革をふまえ、グループの企業理念・ビジョン・経営姿勢・行動規準を以下の通り定義しております。■企業理念エンジニアリングとサービスを通じて、人に信頼され、社会に貢献する。■ビジョン2030年までに、マリンの領域を軸に、脱炭素社会の実現と、人口縮小社会の課題解決を目指す。■経営姿勢 ※新しい価値の創造を顧客と共に実現 ▶ 事業視点-潜在ニーズのマーケティングと周辺技術のイノベーションで事業を推進していく。健全な財務体質と堅実な利益を追求 ▶ 財務視点-限界利益/固定費の適時評価を軸に、事業や子会社を堅実に管理運営していく。人的資本経営の推進 ▶ 人事視点-社会や顧客と共に課題解決に挑み、その成果を分かち合い、三方良しの関係を築く。※当社は、2026年5月25日に開示した「三井E&S Rolling Vision 2026」の中で、「経営姿勢」の一部を改訂しております。■行動規準シンプル、ユニーク、プラクティカルな製品やサービスに挑戦-常に顧客目線で3つの価値が重なる製品やサービスを考え、堅実な事業へと育み、社会に貢献する。 (2)経営戦略等為替や市況など、当社グループを取り巻く事業環境は依然として大きく、かつ急激に変化を続けています。こうした環境下において、当社は持続的な成長を実現するため、ローリング方式による新たな中期経営計画「三井E&S Rolling Vision 2024」を2024年8月に開始し、「三井E&S Rolling Vision 2026」を2026年5月に策定しました。本計画では、2030年を見据えた長期ビジョンのもと、「脱炭素社会の実現」と「人口縮小社会の課題解決」をマテリアリティとして掲げ、機能戦略(財務・人材)及び事業戦略を一体的に推進します。中核事業である舶用推進システム事業及び物流システム事業については、「グリーン」と「デジタル」の視点からの進化を図り、環境対応型製品や自動化・遠隔化技術の開発・展開を強化します。さらに、第三の柱となる事業創生を担う成長事業推進事業は、保守・メンテナンスビジネスの拡大や新規事業の創出に注力し、将来の収益基盤の多様化を図ります。財務面では、ROICやWACCを意識した資本効率の向上を図りつつ、適正な配当政策を通じた株主還元を継続し、株主資本コストと負債コストのバランスを踏まえた企業価値向上に努めてまいります。 (3)経営環境等当連結会計年度の世界経済は、インフレの落ち着きや貿易量の持ち直しなどを背景に、底堅く推移しました。しかし、中東情勢の悪化に伴い、原油価格の急騰や物流・サプライチェーンの混乱が生じており、世界経済の不確実性を一層高めています。一方、国内経済は、中東情勢による不確実性は見込まれるものの、先行きは家計所得の改善による個人消費の持ち直しや企業業績及び設備投資の伸びなどによりゆるやかに回復していくものと想定されます。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「三井E&S Rolling Vision 2026」では、2028年度に、連結売上高:4,400億円、連結営業利益率:9.5%、自己資本比率:50%及びROIC:10%を経営数値目標として掲げております。また、当社グループは、以下の社会課題を経営上も重要と認識・対応しており、2030年度目標を設定しております。各課題の解決及び人材育成・多様性の確保に注力してまいります。マテリアリティ2030年度目標脱炭素社会の実現・環境対応製品の2022~30年度累積販売・稼働台数によるCO2削減▲1,000万t-CO2/年以上※2・グリーン電力拡大による生産活動のCO2削減▲1.0万t-CO2/年以上人口縮小社会の課題解決・港湾関連製品の自動化・システム化2022~30年度累積販売・稼働台数1,000件以上多様化確保への取り組み※1・従業員全体 女性比率:10%、外国人比率: 7%※1:提出会社単体として目標を設定しております。※2:同じ量の従来仕様(重油/軽油焚き)製品による排出量との比較による。 2025年度の達成・進捗状況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④経営計画の達成・進捗状況」に記載のとおりです。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、2024年度より、3年先までの目標をローリング方式で更新し続け、成長し続ける姿を描く中期経営計画を採用しており、2025年5月に、2024年度の決算実績及び事業環境の変化を踏まえ、3年後となる2027年度までの機能戦略(財務・人材)、事業戦略をローリングした「三井E&S Rolling Vision 2025」を策定しました。当社グループが中長期的に目指す姿へ向けて持続的な成長をしていくため、必要な事業投資を進めるとともに、適正な配当政策による株主還元を行い、株主資本コストと負債コストのバランスを意識し企業価値向上に努めてまいります。なお、当社グループはローリング方式による中期経営計画を継続しており、新たに「三井E&S Rolling Vision 2026」を策定し公表しております。 (財務戦略)当社グループは、財務基盤の改善を継続しつつ、資本コストや株価を意識した経営管理へ移行し、ROE(自己資本利益率)・PBR(株価純資産倍率)にも留意しながら、ROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均資本コスト)を上回る姿を目指します。また、成長フェーズに向けたキャッシュ配分として、2025年度から2027年度の営業キャッシュフローの約75%を事業成長投資・事業開発投資を中心に配分し、約25%を株主還元と財務基盤の強化に配分する方針です。株主還元については、株主の皆様に長期保有いただけるよう還元強化を進めており、直近では中間配当・増配を実施しております。これらの取り組みにより、収益力強化と資本効率改善の両立を図ってまいります。 (人材戦略)環境変化に柔軟に対応し持続的成長を実現するため、目指す組織風土と人材像を明確化し、「人材多様性の推進」、「人材流動化への対応」、「人的資本と環境整備への投資」を柱に取り組みを推進しております。また、取締役会は社外取締役の独立性・多様性を高めた少数精鋭の7名体制とし、機動性と監督機能の両立を図っております。加えて、キャリア採用の強化や、入社5~10年目までの人材ローテーション継続、選抜研修・階層別研修・基礎研修の再構築により、経営視点・広い視野・基礎的ビジネスリテラシーの獲得を支援するとともに、エンゲージメント・サーベイ等を通じたウェルビーイング向上施策も継続してまいります。さらに、持続的な企業価値向上に向けた成長加速のため、従業員と株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的として、2026年度より従業員持株会を活用した譲渡制限付株式報酬制度を導入いたします。 (事業戦略)当社グループでは、マテリアリティとして「脱炭素社会の実現」、「人口縮小社会の課題解決」の2つの柱を掲げ、中核事業の舶用推進システム事業・物流システム事業を「グリーン」と「デジタル」の切り口で発展させる戦略を継続しております。具体的な施策は次のとおりです。 ①中核事業の更なる成長中核事業を「舶用推進システム」、「物流システム」と明確にし、中核事業を軸に収益力強化を進めております。舶用推進システム分野では、LNG・LPG・メタノール等の二元燃料エンジンの需要増に対応した生産体制強化に加え、アンモニア焚きエンジン及び燃料供給装置等の開発・供給体制強化を通じて、海上物流分野の脱炭素化に貢献してまいります。物流システム分野では、米国・東南アジアをターゲットとする世界市場展開を加速し、生産能力拡大や輸送能力強化(クレーン運搬船の保有・活用等)により、需要拡大に確実に対応するとともに、水素駆動クレーン等の環境対応や、自動化クレーンなどの技術開発・市場投入を進めてまいります。 ②新規事業の展開中核事業の周辺領域において新しい製品やサービスを推進する事業を成長事業と位置づけ、新製品・新サービスの開発に注力しております。産業機械分野の経験を活かし、水素供給関連施設やSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)製造向けなど、エネルギー転換・化石燃料依存からの脱却に向けた市場へ製品供給を目指していきます。また、ドローン点検や船体汚損管理等のデジタル新事業、港湾ターミナル運営の効率化等のデジタルソリューションを通じて、保守・メンテナンス領域のサービス型ビジネスを拡大し、人口縮小社会の課題解決に貢献してまいります。 (サステナビリティ課題の取り組み)気候変動や人口縮小社会の到来は、当社グループの事業運営における重要な経営課題であると同時に事業機会と捉え、その対応として、戦略マテリアリティを「脱炭素社会の実現」と「人口縮小社会の課題解決」と設定しました。当社グループは舶用エンジン、港湾クレーンのリーディングカンパニーとして、環境対応製品や自動化・システム化の提供を通じた社会課題解決を推進してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針当社グループは、持続可能社会への急速な移行、環境変化や当社自体の変革をふまえ、グループの企業理念・ビジョン・経営姿勢・行動規準を以下の通り定義しております。■企業理念エンジニアリングとサービスを通じて、人に信頼され、社会に貢献する。■ビジョン2030年までに、マリンの領域を軸に、脱炭素社会の実現と、人口縮小社会の課題解決を目指す。■経営姿勢 ※新しい価値の創造を顧客と共に実現 ▶ 事業視点-潜在ニーズのマーケティングと周辺技術のイノベーションで事業を推進していく。健全な財務体質と堅実な利益を追求 ▶ 財務視点-限界利益/固定費の適時評価を軸に、事業や子会社を堅実に管理運営していく。人的資本経営の推進 ▶ 人事視点-社会や顧客と共に課題解決に挑み、その成果を分かち合い、三方良しの関係を築く。※当社は、2026年5月25日に開示した「三井E&S Rolling Vision 2026」の中で、「経営姿勢」の一部を改訂しております。■行動規準シンプル、ユニーク、プラクティカルな製品やサービスに挑戦-常に顧客目線で3つの価値が重なる製品やサービスを考え、堅実な事業へと育み、社会に貢献する。 (2)経営戦略等為替や市況など、当社グループを取り巻く事業環境は依然として大きく、かつ急激に変化を続けています。こうした環境下において、当社は持続的な成長を実現するため、ローリング方式による新たな中期経営計画「三井E&S Rolling Vision 2024」を2024年8月に開始し、「三井E&S Rolling Vision 2026」を2026年5月に策定しました。本計画では、2030年を見据えた長期ビジョンのもと、「脱炭素社会の実現」と「人口縮小社会の課題解決」をマテリアリティとして掲げ、機能戦略(財務・人材)及び事業戦略を一体的に推進します。中核事業である舶用推進システム事業及び物流システム事業については、「グリーン」と「デジタル」の視点からの進化を図り、環境対応型製品や自動化・遠隔化技術の開発・展開を強化します。さらに、第三の柱となる事業創生を担う成長事業推進事業は、保守・メンテナンスビジネスの拡大や新規事業の創出に注力し、将来の収益基盤の多様化を図ります。財務面では、ROICやWACCを意識した資本効率の向上を図りつつ、適正な配当政策を通じた株主還元を継続し、株主資本コストと負債コストのバランスを踏まえた企業価値向上に努めてまいります。 (3)経営環境等当連結会計年度の世界経済は、インフレの落ち着きや貿易量の持ち直しなどを背景に、底堅く推移しました。しかし、中東情勢の悪化に伴い、原油価格の急騰や物流・サプライチェーンの混乱が生じており、世界経済の不確実性を一層高めています。一方、国内経済は、中東情勢による不確実性は見込まれるものの、先行きは家計所得の改善による個人消費の持ち直しや企業業績及び設備投資の伸びなどによりゆるやかに回復していくものと想定されます。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「三井E&S Rolling Vision 2026」では、2028年度に、連結売上高:4,400億円、連結営業利益率:9.5%、自己資本比率:50%及びROIC:10%を経営数値目標として掲げております。また、当社グループは、以下の社会課題を経営上も重要と認識・対応しており、2030年度目標を設定しております。各課題の解決及び人材育成・多様性の確保に注力してまいります。マテリアリティ2030年度目標脱炭素社会の実現・環境対応製品の2022~30年度累積販売・稼働台数によるCO2削減▲1,000万t-CO2/年以上※2・グリーン電力拡大による生産活動のCO2削減▲1.0万t-CO2/年以上人口縮小社会の課題解決・港湾関連製品の自動化・システム化2022~30年度累積販売・稼働台数1,000件以上多様化確保への取り組み※1・従業員全体 女性比率:10%、外国人比率: 7%※1:提出会社単体として目標を設定しております。※2:同じ量の従来仕様(重油/軽油焚き)製品による排出量との比較による。 2025年度の達成・進捗状況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④経営計画の達成・進捗状況」に記載のとおりです。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、2024年度より、3年先までの目標をローリング方式で更新し続け、成長し続ける姿を描く中期経営計画を採用しており、2025年5月に、2024年度の決算実績及び事業環境の変化を踏まえ、3年後となる2027年度までの機能戦略(財務・人材)、事業戦略をローリングした「三井E&S Rolling Vision 2025」を策定しました。当社グループが中長期的に目指す姿へ向けて持続的な成長をしていくため、必要な事業投資を進めるとともに、適正な配当政策による株主還元を行い、株主資本コストと負債コストのバランスを意識し企業価値向上に努めてまいります。なお、当社グループはローリング方式による中期経営計画を継続しており、新たに「三井E&S Rolling Vision 2026」を策定し公表しております。 (財務戦略)当社グループは、財務基盤の改善を継続しつつ、資本コストや株価を意識した経営管理へ移行し、ROE(自己資本利益率)・PBR(株価純資産倍率)にも留意しながら、ROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均資本コスト)を上回る姿を目指します。また、成長フェーズに向けたキャッシュ配分として、2025年度から2027年度の営業キャッシュフローの約75%を事業成長投資・事業開発投資を中心に配分し、約25%を株主還元と財務基盤の強化に配分する方針です。株主還元については、株主の皆様に長期保有いただけるよう還元強化を進めており、直近では中間配当・増配を実施しております。これらの取り組みにより、収益力強化と資本効率改善の両立を図ってまいります。 (人材戦略)環境変化に柔軟に対応し持続的成長を実現するため、目指す組織風土と人材像を明確化し、「人材多様性の推進」、「人材流動化への対応」、「人的資本と環境整備への投資」を柱に取り組みを推進しております。また、取締役会は社外取締役の独立性・多様性を高めた少数精鋭の7名体制とし、機動性と監督機能の両立を図っております。加えて、キャリア採用の強化や、入社5~10年目までの人材ローテーション継続、選抜研修・階層別研修・基礎研修の再構築により、経営視点・広い視野・基礎的ビジネスリテラシーの獲得を支援するとともに、エンゲージメント・サーベイ等を通じたウェルビーイング向上施策も継続してまいります。さらに、持続的な企業価値向上に向けた成長加速のため、従業員と株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的として、2026年度より従業員持株会を活用した譲渡制限付株式報酬制度を導入いたします。 (事業戦略)当社グループでは、マテリアリティとして「脱炭素社会の実現」、「人口縮小社会の課題解決」の2つの柱を掲げ、中核事業の舶用推進システム事業・物流システム事業を「グリーン」と「デジタル」の切り口で発展させる戦略を継続しております。具体的な施策は次のとおりです。 ①中核事業の更なる成長中核事業を「舶用推進システム」、「物流システム」と明確にし、中核事業を軸に収益力強化を進めております。舶用推進システム分野では、LNG・LPG・メタノール等の二元燃料エンジンの需要増に対応した生産体制強化に加え、アンモニア焚きエンジン及び燃料供給装置等の開発・供給体制強化を通じて、海上物流分野の脱炭素化に貢献してまいります。物流システム分野では、米国・東南アジアをターゲットとする世界市場展開を加速し、生産能力拡大や輸送能力強化(クレーン運搬船の保有・活用等)により、需要拡大に確実に対応するとともに、水素駆動クレーン等の環境対応や、自動化クレーンなどの技術開発・市場投入を進めてまいります。 ②新規事業の展開中核事業の周辺領域において新しい製品やサービスを推進する事業を成長事業と位置づけ、新製品・新サービスの開発に注力しております。産業機械分野の経験を活かし、水素供給関連施設やSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)製造向けなど、エネルギー転換・化石燃料依存からの脱却に向けた市場へ製品供給を目指していきます。また、ドローン点検や船体汚損管理等のデジタル新事業、港湾ターミナル運営の効率化等のデジタルソリューションを通じて、保守・メンテナンス領域のサービス型ビジネスを拡大し、人口縮小社会の課題解決に貢献してまいります。 (サステナビリティ課題の取り組み)気候変動や人口縮小社会の到来は、当社グループの事業運営における重要な経営課題であると同時に事業機会と捉え、その対応として、戦略マテリアリティを「脱炭素社会の実現」と「人口縮小社会の課題解決」と設定しました。当社グループは舶用エンジン、港湾クレーンのリーディングカンパニーとして、環境対応製品や自動化・システム化の提供を通じた社会課題解決を推進してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要① 財政状態及び経営成績等の状況当連結会計年度の世界経済は、国際情勢や通商環境が不安定な中、主要国におけるインフレ率の安定化が進み、総じて底堅く推移しました。しかしながら、2月以降中東情勢が緊迫化し、供給制約に伴う資源価格の上昇、それに伴う物価上昇や個人消費の低迷など各国の経済が下振れる可能性も想定されます。国内経済においても、個人消費の持ち直しや企業業績の堅調さを背景に、緩やかな回復基調が続くものの、資源価格の動向や物価の上振れ懸念など引き続き注意が必要です。当社グループの舶用推進システム事業と関連性の高い造船業界では、日米協力に関する覚書の締結や「造船業再生ロードマップ」の策定など、建造能力拡大に向けた動きが徐々に進展しております。また、足元の建造船台はすでに埋まっており、一部の造船所では2030年納期の新造船を受注するなど、国内造船所各社は十分な手持ち工事量を確保しています。物流システム事業においても、米国市場での競争優位性を引き続き維持しており、アジア地域及び国内における新設、既存設備の増設、老朽化に伴う更新需要が堅調に推移しております。当社グループの主力事業の受注環境は当面、概ね良好な状況が続くものと見込んでおります。国際情勢の動向や、金利・為替レートの急激な変動といった要因には引き続き注意が必要ですが、当社グループでは、有利子負債を適切な水準に維持することや為替予約の活用などにより、これらのリスクに対して適切に対応しております。このように不確実性が高く、かつ変化の激しい外部環境の下で持続的な成長を実現するため、当社グループは、今後3年間の姿を固定的に定めるのではなく、常に計画を更新し続けるローリング方式の中期経営計画を採用しております。2024年度の決算実績も踏まえ、3年後となる2027年度までを対象とした機能戦略(財務・人材)及び事業戦略をローリングした「三井E&S Rolling Vision 2025」を2025年5月に策定しました。本計画では、中長期的に目指す姿へ向けて中核事業のさらなる成長と新規事業の拡大への事業投資を進めるとともに、適正な配当政策による株主還元を行い、株主資本コストと負債コストのバランスを意識し企業価値向上に努めてまいります。舶用推進システム事業においては、当社グループのグリーン技術に基づき、アンモニア焚きエンジンなどの二元燃料エンジンの開発・製造を強化するとともに、関連する周辺機器事業の拡大を進めております。また、舶用推進システムのサプライヤーとして、海上物流分野における脱炭素社会の実現に引き続き貢献してまいります。こうした取り組みの一環として、川崎重工業株式会社と共同で、液化アンモニアを燃料として使用可能なLPG/アンモニア運搬船について、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)より基本設計承認(AiP)を取得いたしました。これにより、アンモニア焚きエンジンの実用化に向けた技術的信頼性が一段と高まりました。また、環境省と国土交通省の連携事業である「ゼロエミッション船等の建造促進事業」に、「アンモニア燃料推進システムの生産能力増強」を応募し、採択されております。物流システム事業においては、2025年4月にクレーン輸送船「YAMATO」の引渡しを受け、同船を自社保有することで海上輸送能力を強化いたしました。これにより、世界市場への展開に向けた基盤を構築するとともに、将来の生産能力拡大に向けた投資も進めております。また、横浜港において水素燃料電池を用いた荷役機械の実証運転を開始し、環境対応技術の開発を推進しております。国内向け受注では、東京港中央防波堤外側コンテナ埠頭Y3バース向けにヤード用コンテナクレーン(トランステーナ)を17基受注、東南アジア向けでは、Westports Malaysia Sdn Bhd向けヤード用コンテナクレーンを15基受注するなど引き続き好調で、更に米国ロングビーチ港向けに岸壁用コンテナクレーン(ポーテーナ)2基を受注するなど、海外展開も着実に進展しております。こうした取り組みを通じて、国内外コンテナターミナル事業の発展に、より一層の貢献を果たしてまいります。成長事業推進事業においては、デジタル技術を活用した保守・メンテナンス分野の強化を進めております。具体的には、船体汚損の管理を行う新サービス「FALCONs(Fouling Advanced Lifecycle Control Service)」の提供、港湾クレーンや各種プラントなど多様な設備を対象としたドローンによる点検・保守サービスの展開、さらに港湾ターミナルの運営効率を向上させるソリューションの提供などを推進しております。また、財務基盤の強化や収益構造の改善に取り組んだ結果、当社は2025年12月24日付で、株式会社格付投資情報センター(R&I)より、発行体格付「A-」、方向性「ポジティブ」を新規に取得いたしました。 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 a. 財政状態当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ453億41百万円増加の4,945億54百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ143億23百万円減少の2,607億34百万円となりました。当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べ596億64百万円増加の2,338億19百万円となりました。 b. 経営成績当連結会計年度の経営成績は、受注高は3,158億4百万円(前期比△25.1%)、売上高は3,531億96百万円(前期比+12.1%)、営業利益は376億41百万円(前期比+62.7%)、経常利益は448億92百万円(前期比+61.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は384億56百万円(前期比△1.6%)となりました。 〔経営成績の推移:連結ベース〕 受注高(百万円)売上高(百万円)営業利益(百万円)経常利益(百万円)親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)1株当たり当期純利益(円)2026年3月期315,804353,19637,64144,89238,456381.152025年3月期421,699315,11223,13027,75639,074385.392024年3月期336,987301,87519,63020,71125,051255.73 セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度との比較については、変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。 (成長事業推進) 受注高は432億85百万円(△5.8%)、売上高は437億57百万円(+9.3%)、営業利益は87億72百万円(+28.4%)となりました。 (舶用推進システム)受注高は1,310億51百万円(△38.5%)、売上高は1,497億37百万円(+10.5%)、営業利益は144億74百万円(+93.6%)となりました。 (物流システム)受注高は665億58百万円(△12.6%)、売上高は651億85百万円(+3.9%)、営業利益は139億39百万円(+134.1%)となりました。 (周辺サービス)受注高は747億80百万円(△13.6%)、売上高は943億33百万円(+25.5%)、営業利益は8億26百万円(前期は16億15百万円の損失)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて212億12百万円増加して545億89百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、284億19百万円(前連結会計年度は148億52百万円の収入)となりました。これは主として、仕入債務の減少及び法人税等の支払などによる支出があった一方、税金等調整前当期純利益の計上並びに売上債権及び契約資産の減少などによる収入があったことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動による資金の収入は、25億52百万円(前連結会計年度は609億2百万円の収入)となりました。これは主として、有形及び無形固定資産の取得などによる支出があった一方、有形及び無形固定資産の売却及び関係会社株式の売却などによる収入があったことによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、104億17百万円(前連結会計年度は765億66百万円の支出)となりました。これは主として、長期借入金の返済及び配当金の支払などによる支出があったことによるものであります。 〔財政状態の推移:連結ベース〕 総資産(百万円)純資産(百万円)自己資本比率(%)営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)有利子負債残高(百万円)2026年3月期494,554233,81946.328,4192,552△10,41792,7212025年3月期449,212174,15437.814,85260,902△76,56697,8502024年3月期467,140146,51030.4△34,435△35424,110162,012 ③ 生産、受注及び販売の実績a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)成長事業推進44,62214.9舶用推進システム158,70414.0物流システム64,4624.0周辺サービス93,62727.3その他364△75.2合計361,78114.8 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.金額は、販売価格によっております。 b. 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)成長事業推進43,285△5.839,150△2.4舶用推進システム131,051△38.5142,295△12.1物流システム66,558△12.697,7261.9周辺サービス74,780△13.6183,461△2.8その他128△7.184△19.2合計315,804△25.1462,718△4.9 (注)セグメント間取引については、相殺消去しております。 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)成長事業推進43,7579.3舶用推進システム149,73710.5物流システム65,1853.9周辺サービス94,33325.5その他182△88.8合計353,19612.1 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a. 財政状態当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ453億41百万円増加の4,945億54百万円となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産が120億30百万円、流動資産その他が108億47百万円それぞれ減少した一方、現金及び預金が217億2百万円、投資有価証券が253億30百万円、投資その他の資産その他が190億75百万円それぞれ増加したことなどによります。負債は、前連結会計年度末と比べ143億23百万円減少の2,607億34百万円となりました。これは、電子記録債務が75億63百万円、長期借入金が63億80百万円それぞれ減少したことなどによります。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、その他有価証券評価差額金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ596億64百万円増加の2,338億19百万円となりました。 b. 経営成績当連結会計年度の受注高は、前連結会計年度と比べて1,058億95百万円減少(△25.1%)の3,158億4百万円となりました。売上高は、舶用推進システム事業において大型エンジン及び二元燃料エンジンが増加したことや物流システム事業において大型工事が順調に進捗したことなどにより、前連結会計年度と比べて380億83百万円増加(+12.1%)の3,531億96百万円となりました。営業利益は、売上高の増加に加えて、舶用推進システム事業及び物流システム事業の損益が改善したことなどにより、前連結会計年度と比べて145億11百万円増加(+62.7%)の376億41百万円となりました。経常利益は、営業利益の増加などにより前連結会計年度と比べて171億36百万円増加(+61.7%)の448億92百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、関係会社株式売却益が減少したことなどにより、前連結会計年度と比べて6億17百万円減少(△1.6%)の384億56百万円となりました。 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前連結会計年度との比較については、変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。 (成長事業推進)脱炭素分野では、国内初となる洋上水素ステーション向け高圧大流量水素圧縮機を納入しました。水素市場を含む脱炭素市場の立上りの遅れにより、高圧大流量水素圧縮機の新規受注には至りませんでしたが、国内製鉄所向け高炉用送風機は2024年度に引き続き大型案件2件を連続受注しました。デジタル分野では、設備点検における人手依存の解消を目的とし、ドローンによる点検からデータ管理・評価までを一体化した新しいデジタルソリューションの提供を開始しました。ドローン自動飛行ルート作成アプリ「ドローンスナップ」により同一画角で撮影した点検画像データを、一元管理する「ドローンスナップクラウド」上に蓄積し、時系列での比較・分析を可能とすることで、点検業務の安全性向上と共に効率化を実現しています。今後も様々な機能拡張を図り、点検品質の向上と設備保全の高度化を推進し、引き続き、人口縮小化社会における保守・メンテナンス分野の課題解決に取り組み、お客様の安定稼働・安全運転に貢献してまいります。受注高は、前期に産業機械製品の大型案件の受注があったことなどにより、前期と比べて26億68百万円減少(△5.8%)の432億85百万円となりました。売上高及び営業利益は、産業機械製品の増加に加えてアフターサービス事業が好調に推移したことにより、それぞれ前期と比べて37億39百万円増加(+9.3%)の437億57百万円、19億41百万円増加(+28.4%)の87億72百万円となりました。(舶用推進システム)GHG排出量削減を目的とした国際的な環境規制の強化を背景に、LNG、LPG、メタノール等を燃料とする舶用低速二元燃料エンジンの需要が拡大してきており、2025年度は当社においても受注・生産ともに堅調に推移しました。二元燃料エンジンについては、グループ会社である株式会社三井E&S DU(MESDU)が受注したWinterthur Gas & Diesel(WinGD)ライセンスのメタノール焚きエンジンを当社玉野工場において製造し、両ライセンスのエンジン生産体制を確立しました。MESDUではWinGDエンジンの引合いが増加しており、当社玉野・MESDU相生両工場でEverllence/WinGD両ライセンスエンジンを柔軟に生産し、顧客ニーズに応える高品質なエンジンを供給してまいります。将来のゼロエミッション燃料として期待されるアンモニアについては、2026年2月にEverllenceライセンスのアンモニア焚きエンジン及び当社製アンモニア燃料供給装置の船級・客先立会試験を完了しました。グループ会社であるTGE Marine Gas Engineering GmbHの知見も生かし、当社グループは推進システムサプライヤーとして燃料供給装置を含むアンモニア燃料推進システムを提供してまいります。アフターサービス事業については、ドック工事増加や環境規制対応需要を背景に、高水準の受注・売上を確保しています。受注高は、前期に大型エンジンの複数基を一括受注したことなどにより、前期と比べて818億81百万円減少(△38.5%)の1,310億51百万円となりました。売上高は、大型エンジン及び二元燃料エンジンが増加したことなどにより、前期と比べて142億30百万円増加(+10.5%)の1,497億37百万円となり、営業利益は、売上高の増加に加えて、アフターサービス事業が好調に推移したことなどにより、前期と比べて69億97百万円増加(+93.6%)の144億74百万円となりました。 (物流システム)ベトナムにおける大型案件の連続受注、カンボジアのODA案件など、海外での受注は好調を維持しております。国内においては、2025年度は案件が少ない状況でありましたが、ほぼ100%の受注率を達成し、国内外ともに目標値を達成しました。米国においては、国家安全保障に基づくコンテナクレーンの需要が高まる中、ポーテーナ2基を受注しました。これにより、米国港湾の顧客に信頼されるパートナーとしての地位をさらに確固たるものとしていきます。ベトナムにおいては、現地で生産したトランステーナ4基を納入しました。今後も引き続き、ベトナムでの生産拡大に向けて取り組んでまいります。また、今後拡大が見込まれる遠隔操作案件に関しては、東京港向けに遠隔操作トランステーナ17基を受注しました。さらに、製鉄所向けの製品出荷用クレーンについて、無線リモコン化改造工事を完了し、今後、デジタルという切り口で製品の価値を高め、人口縮小社会への課題解決に貢献してまいります。アフターサービス関連は、コンテナクレーンの稼働状況に応じた維持管理計画を含む予防保全の提案や大型案件の創出により引き続き好調です。パーツサプライでは、顧客が在庫の拡充を図る売れ筋部品や新規案件の推奨予備品、予備スプレッダなどの受注が好調です。受注高は、国内向けを始めアジア諸国や米国など海外向けにおいても着実に積み上げましたが、過去最高の受注高を記録した前期と比べて95億53百万円減少(△12.6%)の665億58百万円となりました。売上高は、大型工事の順調な進捗などにより、前期と比べて24億17百万円増加(+3.9%)の651億85百万円となり、営業利益は、売上高の増加や大型工事の採算改善などにより、前期と比べて79億84百万円増加(+134.1%)の139億39百万円となりました。 (周辺サービス)周辺サービス事業においては、国内子会社におけるシステム関連や鋼構造物等の安定した受注により売上を牽引しました。一方、海外子会社では受注契約時期の遅延などにより受注高は減少したものの、既受注工事が順調に進捗したことにより、売上高は増加し、採算も改善いたしました。受注高は、前期に大口工事の受注があったことなどにより、前期と比べて117億82百万円減少(△13.6%)の747億80百万円となりました。売上高は、主に海外子会社において増加したことにより、前期と比べて191億39百万円増加(+25.5%)の943億33百万円となり、営業損益は、海外子会社における採算の改善などにより、前期の16億15百万円の損失から8億26百万円の利益となりました。 c. キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析a. 資金需要当社グループの資金需要の主なものは、当社グループの製品製造のための材料費、外注費、人件費等の運転資金需要や、投資資金需要であります。このうち、運転資金需要については、今般の豊富な受注残高を背景に旺盛な状況が継続しております。投資資金需要は、主に中核事業のグリーン技術・デジタル技術を活用するために必要な成長投資資金及び製造工場を維持・増強するための設備投資資金になります。当社グループでは、有利子負債の過度な増加を抑制する観点から、運転資金の増加を適切にコントロールしていくとともに、設備投資、投融資などの長期性資金については、主力事業への成長投資資金に集中させることで、一時的な多額の資金支出を抑制していく方針としております。 b. 資金調達当社グループの運転資金需要、投資資金需要に対しては、事業活動で得たキャッシュ・フローにて賄うことを基本とし、日々の資金の動きで不足が生じた場合は、金融機関からの借入等により調達しております。借入金を適時調達できる状態を維持するため、取引金融機関とは長年にわたる良好な取引関係を維持・構築しており、加えて、一部の金融機関とはコミットメントラインを設定することにより、緊急の資金需要にも備えております。また、上場子会社を除いた国内連結子会社との間ではCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、グループ全体での資金効率を高め、安定的に資金の流動性を確保できる体制を構築しております。 なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。(単位:百万円) 合計返済・償還1年以内返済・償還1年超短期借入金49,04049,040-長期借入金43,6816,23237,449有利子負債 計※92,72155,27237,449リース債務5,8312,0503,780総計98,55257,32241,229 ※当社では、リース債務を別管理しております ④ 経営計画の達成・進捗状況当社グループは、2024年8月に公表したローリング方式の中期経営計画「三井E&S Rolling Vision 2024」及び2025年5月に公表した「三井E&S Rolling Vision 2025」(以下、「RV2025」)において、株主資本コスト及び負債コストを意識した経営へ移行し、投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を上回る状態の実現を目指しております。RV2025の初年度に当たる2025年度においては、ROIC9%を目標として設定しておりましたが、実績は16%となり、WACC9%を上回る結果となりました。また、同年度の配当性向についても、目標水準である15%を達成いたしました。一方で、2025年度は豊富な工事量を背景に計画を大幅に上回る営業利益を計上したものの、中東情勢の緊迫化や資源価格の上昇に伴う物価上昇などにより、不確実性の高い事業環境が継続しております。こうした状況を踏まえ、当社グループは、2028年を目標年度とする機能戦略(財務・人材)及び事業戦略をローリングした「三井E&S Rolling Vision 2026」(以下、「RV2026」)を2026年5月に策定いたしました。RV2026では、「グリーン技術」及び「デジタル技術」を活用し、マーケティングとイノベーションの両輪を回すことにより、中核事業である舶用推進システム事業、物流システム事業並びに新規事業の持続的な成長を図ることを成長戦略としております。また、戦略の推進に向けて投資活動の加速を図るとともに、人的資本経営の推進にも取り組んでまいります。当社グループの主力事業における受注環境は、当面、比較的良好な状況が継続するものと見込まれます。一方で、事業環境の不透明性を踏まえ、持続的な成長の実現に向けて必要な事業投資を着実に実行するとともに、適正な配当政策を通じた株主還元に努めてまいります。あわせて、株主資本コストと負債コストのバランスを意識した財務運営を行い、これらの取り組みを通じて中長期的な株主価値の向上を図ってまいります。 なお、RV2026の各施策につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。 <三井E&S Rolling Vision 2026 数値目標>指標(参考)2025年度計画 2025年度実績 2026年度計画 2027年度計画 2028年度計画連結売上高3,400億円3,532億円3,700億円4,100億円4,400億円連結営業利益率7.0%10.7%8.6%9.3%9.5%連結営業利益240億円376億円320億円380億円420億円自己資本比率39%46.3%48%48%50%ROIC(※)9%16.1%10%10%10%WACC-9%---※ ROIC=(営業利益-法人税等合計)÷(株主資本と有利子負債の前当期末平均) マテリアリティ項目(参考)2025年度目標 2025年度実績 2030年度目標環境対応製品の2022~30年度累積販売・稼働台数によるCO2削減 (単位:万t-CO2/年)88万t81万t1,000万t港湾関連製品の自動化・システム化2022~30年度累積販売・稼働台数 (単位:件)460件509件1,000件
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針当社グループは、持続可能社会への急速な移行、環境変化や当社自体の変革をふまえ、グループの企業理念・ビジョン・経営姿勢・行動規準を以下の通り定義しております。■企業理念エンジニアリングとサービスを通じて、人に信頼され、社会に貢献する。■ビジョン2030年までに、マリンの領域を軸に、脱炭素社会の実現と、人口縮小社会の課題解決を目指す。■経営姿勢新しい価値の創造を顧客と共に実現 ▶ 事業推進(顧客・取引先への約束)-潜在ニーズのマーケティングと周辺技術のイノベーションで事業を推進していく。健全な財務体質と堅実な利益を追求 ▶ 財務企画(株主・金融機関への約束)-限界利益/固定費の適時評価を軸に、事業や子会社を堅実に管理運営していく。サステナビリティの課題解決を推進 ▶ 人事総務(従業員・社会への約束)-従業員の健康と安全に配慮し、気候変動/人口縮小/多様性の社会課題に取り組んでいく。■行動規準シンプル、ユニーク、プラクティカルな製品やサービスに挑戦-常に顧客目線で3つの価値が重なる製品やサービスを考え、堅実な事業へと育み、社会に貢献する。 (2)経営戦略等為替や市況など、当社グループを取り巻く事業環境は依然として大きく、かつ急激に変化を続けています。こうした環境下において、当社は持続的な成長を実現するため、ローリング方式による新たな中期経営計画「三井E&S Rolling Vision 2024」を2024年8月に、「三井E&S Rolling Vision 2025」を2025年5月に策定しました。本計画では、2030年を見据えた長期ビジョンのもと、「脱炭素社会の実現」と「人口縮小社会の課題解決」をマテリアリティとして掲げ、機能戦略(財務・人材)及び事業戦略を一体的に推進します。中核事業である舶用推進システム事業及び物流システム事業については、「グリーン」と「デジタル」の視点からの進化を図り、環境対応型製品や自動化・遠隔化技術の開発・展開を強化します。さらに、第三の柱となる事業創生を担う成長事業推進事業は、保守・メンテナンスビジネスの拡大や新規事業の創出に注力し、将来の収益基盤の多様化を図ります。財務面では、ROICやWACCを意識した資本効率の向上を図りつつ、適正な配当政策を通じた株主還元を継続し、株主資本コストと負債コストのバランスを踏まえた企業価値向上に努めてまいります。 (3)経営環境等当連結会計年度の世界経済は、インフレの落ち着きや貿易量の持ち直しなどを背景に、底堅く推移しました。しかし、米国における新政権発足以降、その保護主義的かつ予見不可能な政策が地政学的対立や不安定化をもたらしており、世界経済の不確実性を一層高めています。一方、国内経済は、米国の政策による不確実性は見込まれるものの、先行きは家計所得の改善による個人消費の持ち直しや企業業績及び設備投資の伸びなどによりゆるやかに回復していくものと想定されます。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「三井E&S Rolling Vision 2025」では、2027年度に、連結売上高:3,800億円、連結営業利益率:7.4%、自己資本比率:42%及びROIC:9%を経営数値目標として掲げております。また、当社グループは、以下の社会課題を経営上も重要と認識・対応しており、2030年度目標を設定しております。各課題の解決及び人材育成・多様性の確保に注力してまいります。マテリアリティ2030年度目標脱炭素社会の実現・環境対応製品の2022~30年度累積販売・稼働台数によるCO2削減▲1,000万t-CO2/年以上※2・グリーン電力拡大による生産活動のCO2削減▲1.0万t-CO2/年以上人口縮小社会の課題解決・港湾関連製品の自動化・システム化2022~30年度累積販売・稼働台数1,000件以上多様化確保への取り組み※1・従業員全体 女性比率:10%、外国人比率: 5%※1:提出会社単体として目標を設定しております。※2:同じ量の従来仕様(重油/軽油焚き)製品による排出量との比較による。 2024年度の達成・進捗状況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④経営計画の達成・進捗状況」に記載のとおりです。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、2022年度から前倒しスタートした2023年度中期経営計画で掲げた2025年度の経営数値目標を2023年度に前倒しで達成しました。さらに、2024年度は中核事業の工事の順調な進捗、営業外損益の改善などから通期の業績予想を上回る結果となりました。 一方で、当社グループは、事業基盤の強化及び変化の激しい事業環境を踏まえ、3年後の姿を固定するのではなく常に更新し続け、成長し続ける姿を描くローリング式中期経営計画として「三井E&S Rolling Vision 2024」(以下、「RV2024」)を2024年8月に策定しました。また、策定した財務戦略、人材戦略、事業戦略を着実に実行するとともに、その結果を反映したRolling Vision 2025を新たに策定しております。これを継続し、持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。 (財務戦略)2024年7月にA種優先株式の全部取得及び消却を完了したほか、有利子負債の大幅な圧縮並びに借入金の短期から長期への一部転換を実施し、当社グループの流動比率は大幅に改善しました。RV2024では「株主資本コスト、負債コストを意識した経営」を掲げています。投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を上回る姿を目指しております。ROICを高めていくため、着実な投資を行うなど資本を有効に活用し十分な利益をあげてまいります。 (人材戦略)2024年6月26日開催の第121回定時株主総会にて新たに2名の女性取締役を選任し、取締役の女性比率は25%となりました。人材多様性の推進、人材流動化への対応、人的資本と環境整備への投資に取り組み、環境変化に柔軟に対応しながら持続的な成長を実現してまいります。 (事業戦略)当社グループでは、マテリアリティとして「脱炭素社会の実現」、「人口縮小社会の課題解決」の2つの柱を掲げ、中核事業の舶用推進システム事業・物流システム事業を「グリーン」と「デジタル」の切り口で発展させる戦略を継続しております。具体的な施策は次のとおりです。 ①中核事業の更なる成長中核事業を「舶用推進システム」、「物流システム」と明確にし、中核事業を軸に収益力強化を進めてまいります。舶用推進システム分野では、アンモニア焚きエンジン開発、LNG・メタノール焚きエンジンの生産設備増強により、海上物流分野の脱炭素化の需要増加に確実に対応、物流システム分野では、米国、日本での水素駆動クレーンの商業運転などの実証ステージを経て脱炭素関連製品の市場投入を進めていきます。 ②新規事業の展開中核事業の周辺領域において新しい製品やサービスを推進する事業を成長事業と位置づけており、脱炭素を念頭に置いた新製品やサービスの開発に注力しています。2025年3月には「航海中の燃料消費量削減・CO2排出量削減」及び「生態系移動リスクの低減」に貢献する当社が開発した船体汚損コントロール手法「FALCONs」(Fouling Advanced Lifecycle Control Service)を用いた初の入港船がニュージーランド当局(MPI)から基準適合評価を取得することができました。今後も更なる事業拡大及び企業価値向上に取り組んでまいります。産業機械分野の経験を活かし、水素供給関連施設やSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)製造向けなど、エネルギー転換、化石燃料依存からの脱却に向けた市場へ製品供給を目指していきます。また、港湾クレーンのドローンによる点検サービスや港湾ターミナルの運営効率化などのデジタル技術高度化による保守メンテナンスサービスを通じて、人口縮小社会の課題解決に貢献していきます。 (サステナビリティ課題の取り組み)気候変動や人口縮小社会の到来は、当社グループの事業運営における重要な経営課題であると同時に事業機会と捉え、その対応として、戦略マテリアリティを、「脱炭素社会の実現」と「人口縮小社会の課題解決」と設定しました。当社グループは舶用エンジン、港湾クレーンの国内シェアトップのリーディングカンパニーの責務として、この戦略マテリアリティに向け、環境対応、遠隔・自動化の開発等、中長期の目標を掲げ、取り組みを推進してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針当社グループは、持続可能社会への急速な移行、環境変化や当社自体の変革をふまえ、グループの企業理念・ビジョン・経営姿勢・行動規準を以下の通り定義しております。■企業理念エンジニアリングとサービスを通じて、人に信頼され、社会に貢献する。■ビジョン2030年までに、マリンの領域を軸に、脱炭素社会の実現と、人口縮小社会の課題解決を目指す。■経営姿勢新しい価値の創造を顧客と共に実現 ▶ 事業推進(顧客・取引先への約束)-潜在ニーズのマーケティングと周辺技術のイノベーションで事業を推進していく。健全な財務体質と堅実な利益を追求 ▶ 財務企画(株主・金融機関への約束)-限界利益/固定費の適時評価を軸に、事業や子会社を堅実に管理運営していく。サステナビリティの課題解決を推進 ▶ 人事総務(従業員・社会への約束)-従業員の健康と安全に配慮し、気候変動/人口縮小/多様性の社会課題に取り組んでいく。■行動規準シンプル、ユニーク、プラクティカルな製品やサービスに挑戦-常に顧客目線で3つの価値が重なる製品やサービスを考え、堅実な事業へと育み、社会に貢献する。 (2)経営戦略等為替や市況など、当社グループを取り巻く事業環境は依然として大きく、かつ急激に変化を続けています。こうした環境下において、当社は持続的な成長を実現するため、ローリング方式による新たな中期経営計画「三井E&S Rolling Vision 2024」を2024年8月に、「三井E&S Rolling Vision 2025」を2025年5月に策定しました。本計画では、2030年を見据えた長期ビジョンのもと、「脱炭素社会の実現」と「人口縮小社会の課題解決」をマテリアリティとして掲げ、機能戦略(財務・人材)及び事業戦略を一体的に推進します。中核事業である舶用推進システム事業及び物流システム事業については、「グリーン」と「デジタル」の視点からの進化を図り、環境対応型製品や自動化・遠隔化技術の開発・展開を強化します。さらに、第三の柱となる事業創生を担う成長事業推進事業は、保守・メンテナンスビジネスの拡大や新規事業の創出に注力し、将来の収益基盤の多様化を図ります。財務面では、ROICやWACCを意識した資本効率の向上を図りつつ、適正な配当政策を通じた株主還元を継続し、株主資本コストと負債コストのバランスを踏まえた企業価値向上に努めてまいります。 (3)経営環境等当連結会計年度の世界経済は、インフレの落ち着きや貿易量の持ち直しなどを背景に、底堅く推移しました。しかし、米国における新政権発足以降、その保護主義的かつ予見不可能な政策が地政学的対立や不安定化をもたらしており、世界経済の不確実性を一層高めています。一方、国内経済は、米国の政策による不確実性は見込まれるものの、先行きは家計所得の改善による個人消費の持ち直しや企業業績及び設備投資の伸びなどによりゆるやかに回復していくものと想定されます。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「三井E&S Rolling Vision 2025」では、2027年度に、連結売上高:3,800億円、連結営業利益率:7.4%、自己資本比率:42%及びROIC:9%を経営数値目標として掲げております。また、当社グループは、以下の社会課題を経営上も重要と認識・対応しており、2030年度目標を設定しております。各課題の解決及び人材育成・多様性の確保に注力してまいります。マテリアリティ2030年度目標脱炭素社会の実現・環境対応製品の2022~30年度累積販売・稼働台数によるCO2削減▲1,000万t-CO2/年以上※2・グリーン電力拡大による生産活動のCO2削減▲1.0万t-CO2/年以上人口縮小社会の課題解決・港湾関連製品の自動化・システム化2022~30年度累積販売・稼働台数1,000件以上多様化確保への取り組み※1・従業員全体 女性比率:10%、外国人比率: 5%※1:提出会社単体として目標を設定しております。※2:同じ量の従来仕様(重油/軽油焚き)製品による排出量との比較による。 2024年度の達成・進捗状況は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④経営計画の達成・進捗状況」に記載のとおりです。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、2022年度から前倒しスタートした2023年度中期経営計画で掲げた2025年度の経営数値目標を2023年度に前倒しで達成しました。さらに、2024年度は中核事業の工事の順調な進捗、営業外損益の改善などから通期の業績予想を上回る結果となりました。 一方で、当社グループは、事業基盤の強化及び変化の激しい事業環境を踏まえ、3年後の姿を固定するのではなく常に更新し続け、成長し続ける姿を描くローリング式中期経営計画として「三井E&S Rolling Vision 2024」(以下、「RV2024」)を2024年8月に策定しました。また、策定した財務戦略、人材戦略、事業戦略を着実に実行するとともに、その結果を反映したRolling Vision 2025を新たに策定しております。これを継続し、持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。 (財務戦略)2024年7月にA種優先株式の全部取得及び消却を完了したほか、有利子負債の大幅な圧縮並びに借入金の短期から長期への一部転換を実施し、当社グループの流動比率は大幅に改善しました。RV2024では「株主資本コスト、負債コストを意識した経営」を掲げています。投下資本利益率(ROIC)が加重平均資本コスト(WACC)を上回る姿を目指しております。ROICを高めていくため、着実な投資を行うなど資本を有効に活用し十分な利益をあげてまいります。 (人材戦略)2024年6月26日開催の第121回定時株主総会にて新たに2名の女性取締役を選任し、取締役の女性比率は25%となりました。人材多様性の推進、人材流動化への対応、人的資本と環境整備への投資に取り組み、環境変化に柔軟に対応しながら持続的な成長を実現してまいります。 (事業戦略)当社グループでは、マテリアリティとして「脱炭素社会の実現」、「人口縮小社会の課題解決」の2つの柱を掲げ、中核事業の舶用推進システム事業・物流システム事業を「グリーン」と「デジタル」の切り口で発展させる戦略を継続しております。具体的な施策は次のとおりです。 ①中核事業の更なる成長中核事業を「舶用推進システム」、「物流システム」と明確にし、中核事業を軸に収益力強化を進めてまいります。舶用推進システム分野では、アンモニア焚きエンジン開発、LNG・メタノール焚きエンジンの生産設備増強により、海上物流分野の脱炭素化の需要増加に確実に対応、物流システム分野では、米国、日本での水素駆動クレーンの商業運転などの実証ステージを経て脱炭素関連製品の市場投入を進めていきます。 ②新規事業の展開中核事業の周辺領域において新しい製品やサービスを推進する事業を成長事業と位置づけており、脱炭素を念頭に置いた新製品やサービスの開発に注力しています。2025年3月には「航海中の燃料消費量削減・CO2排出量削減」及び「生態系移動リスクの低減」に貢献する当社が開発した船体汚損コントロール手法「FALCONs」(Fouling Advanced Lifecycle Control Service)を用いた初の入港船がニュージーランド当局(MPI)から基準適合評価を取得することができました。今後も更なる事業拡大及び企業価値向上に取り組んでまいります。産業機械分野の経験を活かし、水素供給関連施設やSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)製造向けなど、エネルギー転換、化石燃料依存からの脱却に向けた市場へ製品供給を目指していきます。また、港湾クレーンのドローンによる点検サービスや港湾ターミナルの運営効率化などのデジタル技術高度化による保守メンテナンスサービスを通じて、人口縮小社会の課題解決に貢献していきます。 (サステナビリティ課題の取り組み)気候変動や人口縮小社会の到来は、当社グループの事業運営における重要な経営課題であると同時に事業機会と捉え、その対応として、戦略マテリアリティを、「脱炭素社会の実現」と「人口縮小社会の課題解決」と設定しました。当社グループは舶用エンジン、港湾クレーンの国内シェアトップのリーディングカンパニーの責務として、この戦略マテリアリティに向け、環境対応、遠隔・自動化の開発等、中長期の目標を掲げ、取り組みを推進してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要① 財政状態及び経営成績等の状況当連結会計年度の世界経済は、安定性を保ってはいるものの、米国の好調をアジア及び一部欧州の弱さが相殺するなど、その基盤の強さは国・地域により異なります。そのような状況下、米国の新政権が「米国第一」を方針に、相互関税の導入や不法移民対策等を矢継ぎ早に実施し、その保護主義的かつ予見不可能な政策で世界経済に影響を与え、特に米中対立は激化の様相を呈しております。一方、国内経済は、家計所得の改善による個人消費の持ち直しや企業業績及び設備投資の伸びなどによるゆるやかな回復を想定しておりますが、直接間接を問わず米国の政策から受ける影響は無視できない状況にあります。当社グループの舶用推進システム事業と関連性の高い造船業界では、期近船台が完売し、商談が4年以上の先物まで進むなど、国内造船所は十分な手持ち工事量を確保しております。また、物流システム事業についても、米国では関税の影響が想定されるものの引き続き優位性は維持しており、アジア地域の物流需要も堅調、国内においても新設、増設に加え、老朽化更新などの需要が堅調と、主力事業の受注環境は総じて良好と認識しております。ただし、米国の相互関税に対する各国の対応、金利・為替の急激な変動等、先行きの不確実性は高まっています。それぞれのリスクに対しては、有利子負債の圧縮や為替予約等を通じて適切に対応しておりますが、当面は予断を許さない状況が続くものと認識しております。このような状況下、2024年6月に実施した三井海洋開発株式会社の株式の一部売却等によって得た約700億円の資金は、事業戦略、財務戦略、及びステークホルダーへの利益還元の3点から、以下の用途に段階的に充てて実行しております。① 物流システム事業の米国含めた世界市場展開に必要な投資、舶用推進システム事業に関連する重要部品の技術開発や製造に必要な投資、及びサプライチェーンの強化に必要な投資② A種優先株式の償還、有利子負債の大幅な圧縮による財務健全性の向上、並びにこれに伴う金融費用の大幅な低減③ 一般株主への利益還元及び人材育成や住宅支援等の制度改革を軸とした人的資本への投資①については、米国を含む海外向けクレーン・ビジネスの柔軟性向上と短納期対応の実現に向けクレーン輸送船の保有計画を進め、2025年4月に取得完了いたしました。②については、2024年7月にA種優先株式の全部取得及び消却を完了したほか、有利子負債の大幅な圧縮並びに借入金の短期から長期への一部転換を実施し、当社グループの流動比率は大幅に改善しました。③については、利益還元として2024年8月及び2025年2月に配当予想を上方修正し、人材育成の一環として博士人材向け支援制度を導入し、その他にも人事制度、教育制度の全面的見直し、当社並びに当社グループ内での人材流動化を図っております。今後も各種投資の継続的な実施、利益成長に伴う更なる財務基盤の強化や利益還元の段階的な拡大を可能とする好循環を生みだし、当社グループの進化と持続に向けた企業価値向上に繋げてまいります。一方、為替や市況など当社グループをとりまく事業環境は大きく、かつ急激に変化を続けております。当社グループは、事業基盤の強化及び変化の激しい事業環境を踏まえ、3年後の姿を固定するのではなく常に更新し続け、成長し続ける姿を描くローリング式中期経営計画として「三井E&S Rolling Vision 2024」を2024年8月に策定しました。この計画のもとで、中核事業の舶用推進システム事業・物流システム事業を「グリーン」と「デジタル」の切り口で発展させる戦略を継続しております。舶用推進システム事業では、アンモニア燃料について、当社を含む日本5社連合とMAN Energy Solutionsの6社間で、アンモニア燃料船の商用化に向けた共同開発を進めることに合意し、覚書を締結しました。また、当社の三井-MAN B&W エンジン生産量は累計1億2千万馬力を2024年11月に達成し、2025年2月には世界初アンモニア焚き大型低速二元燃料エンジン及び燃料供給装置商用機の試験運転を開始しました。今後も世界初号機となるMAN B&Wアンモニア焚機関及びアンモニア燃料供給装置等周辺システムを供給し、舶用推進システムサプライヤーとして海上物流分野で脱炭素社会の実現に持続的に貢献してまいります。物流システム事業では、当社と当社の子会社パセコ社(本社:米国 カリフォルニア)が、ブルックフィールド社(本社:カナダ トロント)と、米国カリフォルニアにおいて港湾クレーンの最終組立を行うための検討を進めております。米国での新政権発足に伴い、脱炭素化の流れは一時的に後退する可能性はあるものの、港湾物流事業の米国市場環境は大きく変化しないものと想定しており、引き続き米国の港湾インフラの安全確保と脱炭素化の社会課題解決に当社が貢献できることを期待しています。その第一段として、2024年2月に米国政府が発表した重要な商業用港湾に配備されている中国製のクレーンに対するサイバーリスク管理対策にかかる指令文書公示後、当社初の米国のカリフォルニア州ロングビーチ港向けに、将来のゼロエミッション化を見据えたニアゼロエミッション型タイヤ式門型クレーン(三井パセコトランステーナ)8基を2024年11月に受注しております。 さらに、中核事業の周辺領域において新しい製品やサービスを推進する事業を成長事業と位置づけており、2024年10月に洋上水素ステーション用途の高圧大流量往復動圧縮機を1台受注しました。引き続き、脱炭素化を念頭に置いた新製品やサービスの開発に注力してまいります。その他、船体汚損管理サービス、港湾クレーンのドローンによる点検サービス及び港湾ターミナルの運営効率化など、デジタル技術高度化による保守メンテナンスサービスの分野でのビジネスを拡大させることにより人口縮小社会の課題解決に取り組み、更なる企業価値向上に取り組んでまいります。 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 a. 財政状態当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ179億27百万円減少の4,492億12百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ455億71百万円減少の2,750億58百万円となりました。当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べ276億43百万円増加の1,741億54百万円となりました。 b. 経営成績当連結会計年度の経営成績は、受注高は4,216億99百万円(前期比+25.1%)、売上高は3,151億12百万円(前期比+4.4%)、営業利益は231億30百万円(前期比+17.8%)、経常利益は277億56百万円(前期比+34.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益は390億74百万円(前期比+56.0%)となりました。 〔経営成績の推移:連結ベース〕 受注高(百万円)売上高(百万円)営業利益(百万円)経常利益(百万円)親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)1株当たり当期純利益(円)2025年3月期421,699315,11223,13027,75639,074385.392024年3月期336,987301,87519,63020,71125,051255.732023年3月期322,351262,3019,37612,53215,554177.47 セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。 (成長事業推進) 受注高は459億53百万円(△1.9%)、売上高は400億17百万円(△1.9%)、営業利益は68億31百万円(+16.1%)となりました。 (舶用推進システム)受注高は2,129億32百万円(+44.2%)、売上高は1,355億6百万円(+1.1%)、営業利益は74億76百万円(+16.2%)となりました。 (物流システム)受注高は761億12百万円(+7.8%)、売上高は627億67百万円(+31.8%)、営業利益は59億54百万円(+94.9%)となりました。 (周辺サービス)受注高は865億62百万円(+20.9%)、売上高は751億93百万円(+1.4%)、営業損失は16億15百万円(前期は23億54百万円の利益)となりました。 (海洋開発)持分法による投資利益は、当社の持分法適用関連会社であった三井海洋開発株式会社及びその関係会社において、FPSOの建造工事の進捗による収益計上などにより、37億57百万円(△41.0%)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて1億40百万円減少して333億76百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、148億52百万円(前連結会計年度は344億35百万円の支出)となりました。これは主として、売上債権及び契約資産の増加及び下請法代金支払遅延等防止法の運用改正に伴う手形サイト短縮に起因する仕入債務の減少などによる支出があった一方、税金等調整前当期純利益の計上及び契約負債の増加などによる収入があったことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動による資金の収入は、609億2百万円(前連結会計年度は3億54百万円の支出)となりました。これは主として、関係会社株式の売却などによる収入があったことによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、765億66百万円(前連結会計年度は241億10百万円の収入)となりました。これは主として、長期借入れなどによる収入があった一方、短期借入金の返済及びA種優先株式の消却を目的とする自己株式の取得などによる支出があったことによるものであります。 〔財政状態の推移:連結ベース〕 総資産(百万円)純資産(百万円)自己資本比率(%)営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)有利子負債残高(百万円)2025年3月期449,212174,15437.814,85260,902△76,56697,8502024年3月期467,140146,51030.4△34,435△35424,110162,0122023年3月期439,959110,68624.2△15,043△2,9999,515141,547 ③ 生産、受注及び販売の実績a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)成長事業推進38,839△4.6舶用推進システム139,270△3.2物流システム62,00738.1周辺サービス73,526△6.0海洋開発--その他1,470△70.8合計315,1140.8 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.金額は、販売価格によっております。3.海洋開発セグメントは、持分法適用関連会社で構成されていたため、生産実績は記載しておりません。なお、2024年6月に同セグメントを構成していた三井海洋開発株式会社及びその関係会社を持分法適用の範囲から除外しております。 b. 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)成長事業推進45,953△1.940,12414.7舶用推進システム212,93244.2161,81991.7物流システム76,1127.895,88417.8周辺サービス86,56220.9188,7894.8海洋開発----その他137△53.4104△93.3合計421,69925.1486,72227.3 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.海洋開発セグメントは、持分法適用関連会社で構成されていたため、受注実績は記載しておりません。なお、2024年6月に同セグメントを構成していた三井海洋開発株式会社及びその関係会社を持分法適用の範囲から除外しております。 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)成長事業推進40,017△1.9舶用推進システム135,5061.1物流システム62,76731.8周辺サービス75,1931.4海洋開発--その他1,626△69.0合計315,1124.4 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。3.海洋開発セグメントは、持分法適用関連会社で構成されていたため、販売実績は記載しておりません。なお、2024年6月に同セグメントを構成していた三井海洋開発株式会社及びその関係会社を持分法適用の範囲から除外しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a. 財政状態当連結会計年度末の財政状態の概況は、関係会社株式の一部売却により得た資金を有利子負債の圧縮に充てたことにより、総資産が圧縮されております。また、合わせて短期借入金から長期借入金への一部転換を行ったことにより、短期借入金は大幅に減少し、流動比率が大きく改善されております。資産は、前連結会計年度末と比べ179億27百万円減少の4,492億12百万円となりました。これは、受取手形、売掛金及び契約資産が109億36百万円、繰延税金資産が74億40百万円それぞれ増加した一方、投資有価証券が464億62百万円減少したことなどによります。負債は、前連結会計年度末と比べ455億71百万円減少の2,750億58百万円となりました。これは、契約負債が133億78百万円、長期借入金が330億12百万円それぞれ増加した一方、短期借入金が1,019億30百万円減少したことなどによります。純資産は、A種優先株式の取得及び消却による資本剰余金の減少などがあった一方、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末と比べ276億43百万円増加の1,741億54百万円となりました。 b. 経営成績当連結会計年度の受注高は、前連結会計年度と比べて847億12百万円増加(+25.1%)の4,216億99百万円となりました。売上高は、物流システム事業において大型工事が順調に進捗したことにより、前連結会計年度と比べて132億37百万円増加(+4.4%)の3,151億12百万円となりました。営業利益は、物流システム事業の損益が改善したことなどにより、前連結会計年度と比べて35億円増加(+17.8%)の231億30百万円となりました。経常利益は、持分法による投資利益の計上及び金融費用の大幅な減少などにより前連結会計年度と比べて70億44百万円増加(+34.0%)の277億56百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、関係会社株式売却益の計上などにより、前連結会計年度と比べて140億23百万円増加(+56.0%)の390億74百万円となりました。 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 (成長事業推進)脱炭素分野では、中核事業の周辺領域で新しい製品やサービスを推進しており、水素燃料船に水素供給を行う日本初の洋上水素ステーション向けとして、新規に開発した高圧大流量水素圧縮機を国内で初受注しました。また、国内製鉄所向け高炉用送風機の大型案件を受注したほか、国内外のSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)製造プラント用途や水素関連用途での往復動圧縮機の引き合いにも多数対応中であり、世界的な脱炭素化の流れに当社の技術を活用し、水素関連市場への取り組みを強化していきます。デジタル分野では、港湾における荷役業務の効率化を目的とし、コンテナターミナルの荷役計画や荷役機器に関する各種データの収集、整理、分析、及び運用手法を組み合わせることで、デジタル化による効率向上、持続可能な港湾維持、国際競争力強化を支援する港湾デジタルソリューションの開発を進めています。港湾機能の維持、生産性向上・強化の必要性は、今後ますます高まってくると予想され、これら製品・サービスの提供を通じて、労働人口減少対策や国際競争力強化へ貢献していきます。 受注高及び売上高は、産業機械製品や建設機械用エンジンの減少などにより、それぞれ、前期と比べて8億75百万円減少(△1.9%)の459億53百万円、7億92百万円減少(△1.9%)の400億17百万円となったものの、営業利益は、産業機械製品の採算が改善したことなどにより、前期と比べて9億48百万円増加(+16.1%)の68億31百万円となりました。(舶用推進システム)GHG排出量削減需要により二元燃料エンジンの受注が増加しており、二元燃料エンジンの受注割合は2023年度の10%から、2025年度は20%まで伸びる見通しです。2024年度はメタノール焚きエンジンの受注が増加し、2015年以来となるメタノール焚きエンジンを納入しました。また、MAN Energy Solutions SE(MAN)のライセンスエンジンのみならず、Winterthur Gas & Diesel Ltd.(WinGD)のライセンスのメタノール焚きエンジンの需要も伸びており、玉野工場では両ライセンスのエンジンの試運転が可能な運転設備の増強を進めています。アンモニア焚きエンジンに関して、2025年2月に世界初となる大型低速2サイクルエンジン商用機のアンモニア燃料による試験運転を開始しました。他社に先駆けて安全性や信頼性向上のための各種試験を実施し、ゼロエミッション船の普及に向けたエンジン並びに燃料供給装置を市場投入いたします。また、当社玉野工場及び連結子会社である株式会社三井E&S DU 相生工場の一体運営により、両工場でMAN/WinGD両ライセンスエンジンの柔軟な生産体制を構築し、顧客ニーズに対応した高品質なエンジンを供給してまいります。アフターサービスについては、環境規制対応の需要などにより受注・売上ともに好調で、2025年度以降も電子制御エンジンのドック工事の増加により、高水準が続くものと見込んでいます。受注高は、大型エンジンや二元燃料エンジンの案件が増加したことなどにより、前期と比べて652億61百万円増加(+44.2%)の2,129億32百万円となりました。売上高は、前期並みの1,355億6百万円(前期:1,340億33百万円)となり、営業利益は、アフターサービス事業が好調に推移したことなどにより、前期と比べて10億45百万円増加(+16.2%)の74億76百万円となりました。(注)「MAN Energy Solutions SE」は2025年6月に「Everllence SE」へ商号変更しております。 (物流システム)ベトナムにおける大型案件の連続受注、バングラデシュのODA案件など、海外での受注は好調を維持しております。国内においても主要港、地方港ともに需要が堅調であり、国内外合わせ2期連続で過去最高の受注高となりました。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と共同で実証を行っている世界初のゼロ・エミッショントランステーナ(水素燃料電池パワーパック駆動のトランステーナ)については、米国ロサンゼルス港にて実証事業を開始し、想定を上回る燃費効率を実現しています。国内においても、東京港及び横浜港にて既設トランステーナを水素燃料電池パワーパックに換装、神戸港では水素エンジン発電機に換装し、それぞれ稼働実証を行っております。引き続き、脱炭素社会へ向け製品の商業化を進めてまいります。また、米国での港湾インフラの安全確保に貢献するために、Build America Buy America Act(BABA)への準拠に関して、既にクレーンを構成する調達品のうち55%の米国製品の採用及び米国におけるクレーンの最終組立については検討を終えましたが、米国の政権交代により戦略の見直しが必要となっていることから、米国の政策を引き続き注視し、事前検討・準備を進めています。アフターサービス関連では、老朽化更新に伴う既設機の改修工事が好調なことに加え、国内及び米国・東南アジア・アフリカなど国内外のパーツサプライが受注・売上ともに好調で昨年に続き過去最高を記録しました。クレーンリモートモニタリングシステムは、国内の地方港を中心に既設の搭載に加え、新設クレーンにも搭載を開始しており、メンテナンスサービスの拡充を進めてまいります。受注高は、国内を始めアジア諸国や米国など海外でも大型案件の受注が続き、過去最高の受注高を記録した前期と比べて55億39百万円増加(+7.8%)の761億12百万円となりました。売上高は、大型工事の順調な進捗などにより、前期と比べて151億30百万円増加(+31.8%)の627億67百万円となり、営業利益は、売上高の増加や大型工事の採算改善などにより、前期と比べて28億99百万円増加(+94.9%)の59億54百万円となりました。この結果、受注高、売上高及び営業利益いずれも過去最高を記録しました。 (周辺サービス)周辺サービス事業においては、国内子会社におけるシステム関連の安定した受注と売上により牽引されました。しかし、海外子会社での受注契約時期の遅延や工事採算の悪化により、利益面で前期を下回る結果となりました。受注高は、予定していた案件を順調に獲得した結果、前期と比べて149億44百万円増加(+20.9%)の865億62百万円となりました。売上高は、前期並みの751億93百万円(前期:741億41百万円)となり、営業損益は、海外子会社における長期契約工事の将来コスト増加分を反映した影響などにより、前期の23億54百万円の利益から16億15百万円の損失となりました。 (海洋開発)当社の持分法適用関連会社であった三井海洋開発株式会社及びその関係会社において、FPSOの建造工事の順調な進捗による収益計上などにより、持分法による投資利益は、37億57百万円となりました。前期と比べて26億9百万円減少(△41.0%)したのは、2024年6月に三井海洋開発株式会社の株式の一部を売却し、持分法適用の範囲から除外したことに伴い、同社グループに係る持分法による投資損益の認識が2024年1月から3月までの3ヵ月分となったことによります。 c. キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析a. 資金需要当社グループの資金需要の主なものは、当社グループの製品製造のための材料費、外注費、人件費等の運転資金需要や、投資資金需要であります。このうち、運転資金需要については、今般の豊富な受注残高を背景に旺盛な状況が継続しております。投資資金需要は、主に中核事業のグリーン戦略・デジタル戦略を推進するために必要な成長投資資金及び製造工場を維持・増強するための設備投資資金になります。当社グループでは、有利子負債の過度な増加を抑制する観点から、運転資金の増加を適切にコントロールしていくとともに、設備投資、投融資などの長期性資金については、主力事業への成長投資資金に集中させることで、一時的な多額の資金支出を抑制していく方針としております。 b. 資金調達当社グループの運転資金需要、投資資金需要に対しては、事業活動で得たキャッシュ・フローにて賄うことを基本とし、日々の資金の動きで不足が生じた場合は、金融機関からの借入等により調達しております。借入金を適時調達できる状態を維持するため、取引金融機関とは長年にわたる良好な取引関係を維持・構築しており、加えて、一部の金融機関とはコミットメントラインを設定することにより、緊急の資金需要にも備えております。また、上場子会社を除いた国内連結子会社との間ではCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、グループ全体での資金効率を高め、安定的に資金の流動性を確保できる体制を構築しております。 なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。(単位:百万円) 合計返済・償還1年以内返済・償還1年超短期借入金47,85447,854-長期借入金49,9966,16643,829有利子負債 計※97,85054,02143,829リース債務7,3932,0505,343総計105,24456,07149,173 ※当社では、リース債務を別管理しております ④ 経営計画の達成・進捗状況当社グループは、2022年5月に公表した2023年度中期経営計画において、有利子負債の削減や資産の有効活用を重視し、売上至上主義からの脱却を図るなど、健全な財務体質と堅実な利益の追求を目的として、連結営業利益率、自己資本比率及びNET有利子負債EBITDA倍率を経営指標として選定しました。2025年度を最終年度とする本中計では、連結営業利益率:6.0%、自己資本比率:26.0%、NET有利子負債EBITDA倍率:5.0倍を目標として設定しておりましたが、2023年度において、すべての指標を前倒しで達成いたしました。一方で、為替や市況など、当社グループを取り巻く事業環境は依然として大きく、かつ急激に変化していることを踏まえ、3年後の姿を固定するのではなく常に更新し続け、成長し続ける姿を描くローリング式中期経営計画として「三井E&S Rolling Vision 2024」(以下、「RV2024」)を2024年8月に策定しました。本計画では、舶用推進システム事業及び物流システム事業を中核とし、「グリーン」と「デジタル」の視点から事業を発展させる戦略を継続しております。更に、2024年度の業績がRV2024の計画を上回り進捗したこと、事業環境が変化していることを踏まえ、2027年度までの機能戦略(財務・人材)及び事業戦略をローリングした「三井E&S Rolling Vision 2025」(以下、「RV2025」)を2025年5月に策定しました。米国市場におけるビジネス環境の不透明性を考慮してその動向を慎重に見極めつつ、RV2025の数値計画達成に向け、中核事業のさらなる成長と新規事業の拡大を進めてまいります。当社グループは、2030年に目指す姿の実現に向けて、必要な事業投資を着実に進めるとともに、適正な配当政策を通じた株主還元を行い、株主資本コストと負債コストのバランスを意識した企業価値の向上に努めてまいります。 RV2024、RV2025の各施策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載しております。 <RV2025数値目標>指標(参考)2024年度計画 2024年度実績 2025年度計画 2026年度計画 2027年度計画連結売上高3,000億円3,151億円3,400億円3,700億円3,800億円連結営業利益率5.7%7.3%7.0%7.0%7.4%自己資本比率37%37.8%39%40%42%ROIC(※)6%9.9%9%9%9%※ ROIC=(営業利益-法人税等合計)÷(株主資本と有利子負債の前当期末平均)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針当社グループは、「社会に人に信頼されるものづくり企業であり続ける」ことを企業理念としております。この企業理念のもと、船舶、海洋、機械、その他IT・サービス関連など広範囲の事業分野において培った複合技術とグローバルな事業活動で積み重ねた経験を総合的に調和させた製品・サービスを提供する“ものづくり企業”として、社会や人々からの期待に応え信頼を高めることを経営の基本方針としております。また、2020年度にスタートした「2020年度中期経営計画(以下、20中計)」では、当社を取り巻く環境の変化や、当社自体の変革をふまえ、当社の存在意義を再認識し、グループの経営姿勢と行動規準を見直し、以下のとおりとしました。■経営姿勢新しい価値の創造を顧客と共に実現します健全な財務体質と堅実な利益を追求します健康で安全に働ける環境整備を推進します■行動基準シンプルで、ユニークで、実用的な製品やサービスに挑戦していきます (2)経営戦略等当社グループは、2020年8月に公表した「20中計」を2020年度よりスタートさせました。「20中計」のビジョンは「全ての機械にデジタル価値を付加する企業」を目指す姿として、パワーメカトロニクス製品を軸としたサービス(LSS事業)を展開し、従来型のフロー型ビジネスから、長期的に収益を上げられるストック型ビジネスへの転換を進めております。2019年度にスタートした「三井E&Sグループ 事業再生計画」では、財務・収益体質の強化、事業構造の変革という2つの戦略を掲げ、「資産売却と協業の推進」を進めてまいりました。「20中計」では更なる財務体質の改善、事業領域の集中と協業、経営基盤の強化といった、3つの基本方針を定め、次の「23中計」での売上高経常利益率6%達成へ繋げていくことを目指しております。事業再生計画の達成状況については、「資産及び事業の売却案件の実行」、「事業構造の改革及び、協働事業に関する他社との協業の促進」等の各施策を進めた結果、資金確保に関しては、一定の目途が付けられる状況に至りました。引続き、「20中計」を加速することで、グループの企業価値向上に取り組んでまいります。 (3)経営環境等当社グループを取り巻く事業環境は、米国及び中国間の通商問題、英国のEU離脱、為替、油価の変動をはじめとする資源相場のボラティリティの増大に加え、新型コロナウイルスの感染拡大といった世界経済の先行き不透明感が一層増す中、新造船市場の低迷、中国・韓国の競合企業の攻勢による価格競争の激化等、既存のビジネスモデルからの変革が求められる環境となっております。一方、新型コロナウイルスの影響が沈静化した後には、新興国を中心としたエネルギー需要の増加や環境・省エネ志向の高まり、さらには国内のインフラ更新需要の増大等、事業拡大の機会も再び大きくなるものと想定されます。このような外部環境の変化に対し当社グループは、「20中計」において、「財務体質の改善」、「事業領域の集中と協業」、「経営基盤の強化」を基本方針とした戦略を掲げ、差別化やコスト競争力の強化、収益の安定化を図り、グループ総合力を活かし、社会ニーズに応えてまいります。なお、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴い、当社グループ事業においても市況面の悪化、経済活動の停滞を受け、受注遅れや資材調達等に影響が出ているものもあります。主な事業等への影響については、「2 事業等のリスク」又は「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 b. 経営成績」に記載のとおりです。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「20中計」の実行により、2022年度において、NET有利子負債EBITDA倍率:5倍未満、売上高経常利益率:4.0%以上、及び総資産回転率:0.80倍以上を経営数値目標として掲げ、その達成に全力を注いでまいります。「20中計」の達成・進捗状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④経営計画の達成・進捗状況」に記載のとおりです。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、エンジニアリング事業の海外大型EPCプロジェクトの損失により、財務基盤が大きく毀損 したことから、この回復を急務としております。また、造船事業やエンジニアリング事業など既存事業の収益も低迷しており、不採算事業からの撤退や新たな収益の柱となる成長事業の育成が必要と考えております。このような状況のもと、当社グループは、ステークホルダーの皆様の信頼回復に向け「三井E&Sグループ 事業再生計画」に加え、「20中計」を策定し、財務基盤の回復及び収益体質の強化を目指し、総力を挙げて取り組んでまいります。具体的には以下のとおりです。 (財務体質及び収益体質の強化) 事業、資産の売却を実行した結果、資金の確保に関しては、一定の目途が付けられる状況に至りました。既に、「財務体質の改善」、「事業領域の集中と協業」、「経営基盤の強化」を基本方針とした戦略に着手しており、事業規模及び人員規模をスリム化し、財務体質の更なる改善に努めます。 (事業構造の変革) 「20中計」では、「全ての機械にデジタル価値を付加する企業」を目指す姿とし、機械・システム及び海洋開発の事業領域へ集中する一方、他の事業は協業による市場創出を進めます。具体的な施策は 次のとおりです。 ① 機械事業、海洋事業の強化 グループ内の事業再編に伴う人員再配置と並行し、研究開発部門、アフターサービス部門については、人材リソースの強化を進めております。今後は舶用推進システム全般への拡張、LSS事業(製品ライフサイクル対応型事業及び顧客問題解決型事業)の強化、海外への事業展開による収益力強化を進めてまいります。 ② 造船事業、社会インフラ事業の再編 造船事業については、千葉工場における商船新造事業からは撤退、艦艇事業は事業譲渡のための株式譲渡契約を締結、商船事業は資本提携に向けた株式譲渡契約を締結しております。商船を対象としたエンジニアリングと委託建造事業にポートフォリオを変革していきます。 また、社会インフラ事業は、橋梁等建設事業の一部株式の譲渡を完了しております。 ③ エンジニアリング事業の再編 社長直下にエンジニアリング事業管理室を設立し、エンジニアリング事業のガバナンス体制の再構築を進め、既受注の発電土木プロジェクトの遂行と収益改善を進めています。また、化学プラント事業、及び環境関連事業は事業譲渡のための株式譲渡を完了し、エンジニアリング事業の整理とそれらの事業に関連する人員の再配置を進めております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営方針当社グループは、「社会に人に信頼されるものづくり企業であり続ける」ことを企業理念としております。この企業理念のもと、船舶、海洋、機械、その他IT・サービス関連など広範囲の事業分野において培った複合技術とグローバルな事業活動で積み重ねた経験を総合的に調和させた製品・サービスを提供する“ものづくり企業”として、社会や人々からの期待に応え信頼を高めることを経営の基本方針としております。また、2020年度にスタートした「2020年度中期経営計画(以下、20中計)」では、当社を取り巻く環境の変化や、当社自体の変革をふまえ、当社の存在意義を再認識し、グループの経営姿勢と行動規準を見直し、以下のとおりとしました。■経営姿勢新しい価値の創造を顧客と共に実現します健全な財務体質と堅実な利益を追求します健康で安全に働ける環境整備を推進します■行動基準シンプルで、ユニークで、実用的な製品やサービスに挑戦していきます (2)経営戦略等当社グループは、2020年8月に公表した「20中計」を2020年度よりスタートさせました。「20中計」のビジョンは「全ての機械にデジタル価値を付加する企業」を目指す姿として、パワーメカトロニクス製品を軸としたサービス(LSS事業)を展開し、従来型のフロー型ビジネスから、長期的に収益を上げられるストック型ビジネスへの転換を進めております。2019年度にスタートした「三井E&Sグループ 事業再生計画」では、財務・収益体質の強化、事業構造の変革という2つの戦略を掲げ、「資産売却と協業の推進」を進めてまいりました。「20中計」では更なる財務体質の改善、事業領域の集中と協業、経営基盤の強化といった、3つの基本方針を定め、次の「23中計」での売上高経常利益率6%達成へ繋げていくことを目指しております。事業再生計画の達成状況については、「資産及び事業の売却案件の実行」、「事業構造の改革及び、協働事業に関する他社との協業の促進」等の各施策を進めた結果、資金確保に関しては、一定の目途が付けられる状況に至りました。引続き、「20中計」を加速することで、グループの企業価値向上に取り組んでまいります。 (3)経営環境等当社グループを取り巻く事業環境は、米国及び中国間の通商問題、英国のEU離脱、為替、油価の変動をはじめとする資源相場のボラティリティの増大に加え、新型コロナウイルスの感染拡大といった世界経済の先行き不透明感が一層増す中、新造船市場の低迷、中国・韓国の競合企業の攻勢による価格競争の激化等、既存のビジネスモデルからの変革が求められる環境となっております。一方、新型コロナウイルスの影響が沈静化した後には、新興国を中心としたエネルギー需要の増加や環境・省エネ志向の高まり、さらには国内のインフラ更新需要の増大等、事業拡大の機会も再び大きくなるものと想定されます。このような外部環境の変化に対し当社グループは、「20中計」において、「財務体質の改善」、「事業領域の集中と協業」、「経営基盤の強化」を基本方針とした戦略を掲げ、差別化やコスト競争力の強化、収益の安定化を図り、グループ総合力を活かし、社会ニーズに応えてまいります。なお、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴い、当社グループ事業においても市況面の悪化、経済活動の停滞を受け、受注遅れや資材調達等に影響が出ているものもあります。主な事業等への影響については、「2 事業等のリスク」又は「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 b. 経営成績」に記載のとおりです。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「20中計」の実行により、2022年度において、NET有利子負債EBITDA倍率:5倍未満、売上高経常利益率:4.0%以上、及び総資産回転率:0.80倍以上を経営数値目標として掲げ、その達成に全力を注いでまいります。「20中計」の達成・進捗状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④経営計画の達成・進捗状況」に記載のとおりです。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、エンジニアリング事業の海外大型EPCプロジェクトの損失により、財務基盤が大きく毀損 したことから、この回復を急務としております。また、造船事業やエンジニアリング事業など既存事業の収益も低迷しており、不採算事業からの撤退や新たな収益の柱となる成長事業の育成が必要と考えております。このような状況のもと、当社グループは、ステークホルダーの皆様の信頼回復に向け「三井E&Sグループ 事業再生計画」に加え、「20中計」を策定し、財務基盤の回復及び収益体質の強化を目指し、総力を挙げて取り組んでまいります。具体的には以下のとおりです。 (財務体質及び収益体質の強化) 事業、資産の売却を実行した結果、資金の確保に関しては、一定の目途が付けられる状況に至りました。既に、「財務体質の改善」、「事業領域の集中と協業」、「経営基盤の強化」を基本方針とした戦略に着手しており、事業規模及び人員規模をスリム化し、財務体質の更なる改善に努めます。 (事業構造の変革) 「20中計」では、「全ての機械にデジタル価値を付加する企業」を目指す姿とし、機械・システム及び海洋開発の事業領域へ集中する一方、他の事業は協業による市場創出を進めます。具体的な施策は 次のとおりです。 ① 機械事業、海洋事業の強化 グループ内の事業再編に伴う人員再配置と並行し、研究開発部門、アフターサービス部門については、人材リソースの強化を進めております。今後は舶用推進システム全般への拡張、LSS事業(製品ライフサイクル対応型事業及び顧客問題解決型事業)の強化、海外への事業展開による収益力強化を進めてまいります。 ② 造船事業、社会インフラ事業の再編 造船事業については、千葉工場における商船新造事業からは撤退、艦艇事業は事業譲渡のための株式譲渡契約を締結、商船事業は資本提携に向けた株式譲渡契約を締結しております。商船を対象としたエンジニアリングと委託建造事業にポートフォリオを変革していきます。 また、社会インフラ事業は、橋梁等建設事業の一部株式の譲渡を完了しております。 ③ エンジニアリング事業の再編 社長直下にエンジニアリング事業管理室を設立し、エンジニアリング事業のガバナンス体制の再構築を進め、既受注の発電土木プロジェクトの遂行と収益改善を進めています。また、化学プラント事業、及び環境関連事業は事業譲渡のための株式譲渡を完了し、エンジニアリング事業の整理とそれらの事業に関連する人員の再配置を進めております。
MD&A(経営者による分析)
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要① 財政状態及び経営成績等の状況当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況が続いているものの、持ち直しの傾向にあります。米国では、個人消費や設備投資の増加等により景気回復が続いております。欧州では、新型コロナウイルス感染症の再拡大の影響により経済活動が抑制され、景気の回復は弱い動きとなっております。中国では、経済活動正常化に向けた経済対策や世界的な情報通信機器需要の拡大に伴う輸出及び設備投資等が増加し、景気は回復傾向にあります。国内経済においては、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中、2020年5月の緊急事態宣言の解除後は、経済活動レベルの段階的な引き上げにより、徐々に持ち直しの動きが見られたものの、感染再拡大が深刻化しており、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような状況下、当社グループは、エンジニアリング事業の海外EPCプロジェクトにおいて、大規模な損失が連続して発生したため、財務基盤が著しく毀損し、自己資本の回復と資金の確保が急務となりましたが、2019年5月に「三井E&Sグループ 事業再生計画」を策定し、2019年11月に計画の一部見直しを行い、「資産及び事業の売却案件の追加と実行の加速」、「事業構造の改革及び、協働事業に関する他社との協業の促進」等の各施策を進めた結果、資金の確保に関しては、一定の目途が付けられる状況に至りました。事業再生計画の各施策は順次実施しており、2020年10月1日付で「株式会社三井E&S鉄構エンジニアリング(同日付で三井住友建設鉄構エンジニアリング株式会社に商号変更)の一部株式譲渡」及び2021年4月1日付で「三井E&S環境エンジニアリング株式会社(同日付でJFE環境テクノロジー株式会社に商号変更)の株式譲渡」を完了しております。また、2021年3月29日付で「三井E&S造船株式会社の艦艇事業等の譲渡」の最終契約及び、2021年4月23日付で「三井E&S造船株式会社の商船事業の一部株式譲渡」の最終契約の締結を完了しており、事業再生計画は着実に進展していると認識しております。さらに、当社グループは、2020年8月に2020年度中期経営計画を策定し、「財務体質の改善」、「事業領域の集中と協業」、「経営基盤の強化」を基本方針とした戦略に着手しております。事業の集中と協業を明確にし、アライアンスによる市場創出を進め、「全ての機械にデジタル価値を付加する企業」を目指してまいります。事業再生計画における各施策の完遂と、2020年度中期経営計画に示す戦略を実行・加速することで、この難局を乗り切り、グループの企業価値向上に向けて取り組んでまいります。 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 a. 財政状態当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べて739億30百万円減少の7,664億49百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比べて644億76百万円減少の6,705億48百万円となりました。当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて94億54百万円減少の959億1百万円となりました。 b. 経営成績当連結会計年度の経営成績は、受注高は5,766億68百万円(前期比△42.2%)、売上高は6,638億34百万円(前期比△15.6%)、営業損失は122億43百万円(前期は620億79百万円の営業損失)、経常損失は82億23百万円(前期は604億57百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億34百万円(前期は862億10百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。 〔経営成績の推移:連結ベース〕 受注高(百万円)売上高(百万円)営業損失(△)(百万円)経常損失(△)(百万円)親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)(百万円)1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)(円)2021年3月期576,668663,834△12,243△8,2231341.672020年3月期996,848786,477△62,079△60,457△86,210△1,066.472019年3月期710,127656,504△59,703△50,502△69,599△861.09 セグメントごとの経営成績は次のとおりとなりました。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。 (船舶)受注高は574億96百万円(前期比△16.3%)、売上高は923億94百万円(前期比△19.7%)、営業損失は20億21百万円(前期は28億59百万円の損失)となりました。 (海洋開発)受注高は3,208億10百万円(前期比△49.6%)、売上高は3,099億49百万円(前期比△6.9%)、営業損失は217億83百万円(前期は49億19百万円の損失)となりました。 (機械)受注高は1,253億19百万円(前期比△28.1%)、売上高は1,590億48百万円(前期比△7.7%)、営業利益は98億19百万円(前期比△17.6%)となりました。 (エンジニアリング)受注高は227億3百万円(前期比△52.9%)、売上高は384億26百万円(前期比△44.8%)、営業利益は2億87百万円(前期は714億23百万円の損失)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは74億78百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは211億15百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローは68億13百万円の支出となったことなどにより、前連結会計年度末に比べて187億91百万円増加(+16.1%)して1,354億82百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動による資金の収入は、74億78百万円(前連結会計年度は372億13百万円の支出)となりました。これは主として、受注工事損失引当金の減少、たな卸資産の増加、及び仕入債務の減少などによる支出があった一方、売上債権の減少並びに利息及び配当金の受取りなどによる収入があったことによるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動による資金の収入は、前連結会計年度に比べて630億10百万円減少して211億15百万円となりました。これは主として、有形及び無形固定資産の取得及び貸付けによる支出などがあった一方、「三井E&Sグループ 事業再生計画」に基づく資産及び事業の売却を実施したことによる収入、貸付金の回収による収入などがあったことによるものであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べて200億11百万円減少して68億13百万円となりました。これは主として、短期借入金の純増加による収入などがあった一方、長期借入金の返済及び社債の償還による支出などがあったことによるものであります。 〔財政状態の推移:連結ベース〕 総資産(百万円)純資産(百万円)自己資本比率(%)営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)有利子負債残高(百万円)2021年3月期766,44995,9018.87,47821,115△6,813174,9362020年3月期840,380105,3557.7△37,21384,125△26,825187,1172019年3月期999,100280,23916.066,176△130△53,340213,293 ③ 生産、受注及び販売の実績a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)船舶91,224△21.0海洋開発326,342△0.9機械155,104△13.1エンジニアリング49,569△29.6その他63,735△32.0合計685,976△12.9 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.金額は、販売価格によっております。3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。4.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。 b. 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)船舶57,496△16.362,734△35.6海洋開発320,810△49.61,237,132△10.4機械125,319△28.193,482△26.0エンジニアリング22,703△52.957,089△22.9その他50,339△27.5108,762△23.2合計576,668△42.21,559,202△14.3 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)船舶92,394△19.7海洋開発309,949△6.9機械159,048△7.7エンジニアリング38,426△44.8その他64,015△33.7合計663,834△15.6 (注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。3.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため記載しておりません。4.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、主な内容は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a. 財政状態当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べ739億30百万円減少の7,664億49百万円となりました。これは、現金及び預金が192億42百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が484億12百万円、短期貸付金が78億48百万円、有形固定資産が284億12百万円それぞれ減少したことなどによります。負債は、前連結会計年度末と比べ644億76百万円減少の6,705億48百万円となりました。これは、短期借入金が361億82百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が230億33百万円、1年内返済予定の長期借入金が195億31百万円、受注工事損失引当金が214億62百万円、修繕引当金が68億41百万円、長期借入金が210億54百万円それぞれ減少したことなどによります。純資産は、非支配株主持分が減少したことなどにより、前連結会計年度末と比べ94億54百万円減少の959億1百万円となりました。 b. 経営成績当連結会計年度の受注高は、連結子会社の三井海洋開発株式会社が大型FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)プロジェクトを受注しましたが、前期と比べて4,201億79百万円減少(△42.2%)の5,766億68百万円となりました。売上高は、海洋開発部門において新型コロナウイルス感染症の影響に伴うFPSO建造工事の進捗遅れ等により前期と比べて1,226億43百万円減少(△15.6%)の6,638億34百万円となりました。営業損失は、エンジニアリング部門でインドネシア共和国向け火力発電所土木建築工事における大幅な損失を前期に引き当てたことによる改善がみられた一方で、海洋開発部門において新型コロナウイルス感染症の影響による建造費用増加により、122億43百万円(前期は620億79百万円の営業損失)となりました。経常損失は、営業損失の計上及び持分法投資利益が増加したことなどにより、82億23百万円(前期は604億57百万円の経常損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、非支配株主に帰属する当期純損失の計上により、1億34百万円(前期は862億10百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較は変更後の報告セグメントの区分に基づき記載しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。 (船舶)一般商船分野においては、新型コロナウイルス感染症の拡大によって海上荷動きが滞り、一時市況が急落しましたが、コンテナやバルクマーケットについて荷動きが回復し、8月以降堅調に推移しております。また、ガス運搬船やタンカー等エネルギー輸送関連も、世界経済の停滞にも関わらず堅調に推移がみられ、コスト競争力のある造船所には大型コンテナ船、大型タンカー、ばら積み貨物運搬船の発注が相次いでおります。石油・ガス開発市場は新型コロナウイルス感染症の拡大及びそれに伴う原油価格下落により、プロジェクトの計画遅延、中断が相次いだものの、経済活動の再開、産油国の協調減産合意等により石油・ガス需要は回復に向かっております。LNG船、FPSOの需要も底堅く推移するものと考えられます。カーボンニュートラル実現へ向けアンモニアや水素等次世代エネルギーを活用した船舶技術開発も期待されております。 一方、艦船・官公庁船分野においては、艦船、巡視船、漁業取締船、練習船などの特殊船が継続的に発注されており、今後も各省庁における新規船舶の増勢、代替船需要は底堅く続くものと思われます。加えて、深刻な乗組員の不足を背景に各省庁とも省人化、無人化技術の導入が喫緊の課題となっており、当社グループは、課題解決のキーとなる自律化船、無人機、維持整備管理技術を有していることから、今後、ビジネスチャンスの拡大が期待されます。このような状況下、当社グループは一般商船分野においては、これまで培ってきたエンジニアリング能力を活用し、国内外のパートナー企業と連携を取りながら当社設計のライセンス供与、環境対応船の開発、設計受託業務などの営業活動を中心に進めており、国内外を問わずエネルギーエンジニアリング分野において収益向上及び社会貢献につながるよう取り組みを進めております。艦船・官公庁船分野においては、多種多様な船種を開発、設計し、継続的な受注・建造を果たしており、特に設計、現場、品質における若手の練成が進み、前期の引渡し実績船においても客先から高い評価と信頼を獲得しております。当社グループに与えられた一定の評価をもとに、さらに新たな商機となるであろう自律化船、無人機、維持整備管理技術とも併せ、積極的な受注活動を図ってまいります。受注高は、練習船やばら積み貨物運搬船などを受注しましたが、前期と比べて112億2百万円減少(△16.3%)の574億96百万円となりました。売上高は、建造船工事の減少などにより、前期と比べて227億16百万円減少(△19.7%)の923億94百万円となり、営業損失は、不採算工事の減少などにより、前期と比べて8億38百万円改善の20億21百万円となりました。 (海洋開発)原油価格は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う原油需要の低下等により、WTIが一時マイナスになったものの、足元では、新型コロナウイルス感染症ワクチンの実用化による経済活動の正常化に対する期待から1バレル60米ドル前後まで回復しています。一方、中長期的には石油会社による深海域を中心とした開発は、エネルギー資源の持続的な供給の観点から継続的に行われると考えられ、FPSO事業は安定した成長が見込まれております。また、FPSOに次ぐ将来の収益源育成に向けては、FPSO事業で培った技術と能力を応用し、浮体式洋上風力発電設備の事業化や水素の原料にもなるメタンハイドレートの回収技術開発を進めてまいります。受注高は、FPSO建造プロジェクトなどを受注しましたが、前期と比べて3,152億92百万円減少(△49.6%)の3,208億10百万円となりました。売上高は、FPSO建造工事が進捗したものの、前期と比べて229億49百万円減少(△6.9%)の3,099億49百万円となり、営業損失は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響を織り込んだことなどにより、前期と比べて168億63百万円悪化の217億83百万円となりました。 (機械)舶用ディーゼル機関については、船腹の需給ギャップが解消されない中での新型コロナウイルス感染症の影響、新たな船舶に対する環境規制の決定時期による新造船需要の低迷もあり船価回復に至っておらず、厳しい事業環境が続いています。期初計画は、165基/375万馬力の生産量を予定していましたが、148基/331万馬力に留まる結果となりました。来期は125基/300万馬力を予想していますが、底打ち感があり、回復の兆しが見られます。現在、引合いのあるコンテナ船などの主機の他、ガス燃料船用の主機を成長分野と位置付けて営業活動を行っています。運搬機については、海外市場における新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、先行き不安による入札の延期などがあり、受注は厳しい状況が続いています。一方、国内市場においては、東京、横浜等の主要港で大型コンテナクレーンの新規投入が計画されており、地方港においても、7港で新規投入が計画されるなど、新型コロナウイルス感染症の影響は少なく、また、販売を開始したコンテナヤードクレーンの脱炭素化を目指したニアゼロエミッショントランステーナの需要が堅調となっています。産業機械については、往復動圧縮機において原油価格の低迷、軸流圧縮機・炉頂圧回収タービンにおいて鋼材需要の減衰による投資抑制があり、受注は非常に厳しいものとなりました。プロセス機器については、国内顧客から当社グループの特殊技術を評価して頂いており、堅調に受注しています。産業界の急速な脱炭素化の流れに対応し、水素関連市場への取組みを強化しており、顧客からの評価が高いプロセス機器において顧客製品の製造プロセスへの提案活動を通じてシステムとして提供する事業展開を進め、成長に繋げていきます。ソリューション事業については、レーダ事業、ロボティクス事業に加え、水理実験施設や大型可動構造物、素粒子物理学実験設備などを対象とする設備機械事業にも注力し、事業拡大を図ります。アフターサービスを中心としたLSS事業(製品ライフサイクル対応型事業及び顧客問題解決型事業)については、電子制御機関を中心に環境規制や新燃料対応への部品サービス、レトロフィットビジネスが好調に推移しています。今後は遠隔による状態監視や自動診断などAI・ICTを活用した予防保全ビジネスを積極的に展開していきます。 受注高は、新造船市況の低迷に伴う舶用ディーゼル機関の受注減少及び新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う投資先送りによるコンテナクレーン、産業機械などの減少により、前期と比べて490億38百万円減少(△28.1%)の1,253億19百万円となりました。売上高は、造船所での生産調整の影響を受けて舶用ディーゼル機関の引渡しが先送りになっていることなどにより、前期と比べて132億44百万円減少(△7.7%)の1,590億48百万円となり、営業利益は、売上高の減少などにより前期と比べて20億94百万円減少(△17.6%)の98億19百万円となりました。 (エンジニアリング)環境分野については、連結子会社である三井E&S環境エンジニアリング株式会社に環境事業を集約しておりましたが、当該子会社を2021年4月1日にJFEエンジニアリング株式会社へ譲渡し、撤退いたしました。バイオマス事業分野については、国内新設事業からの撤退を決定しており、連結子会社である市原グリーン電力株式会社の株式持分を株式会社タケエイに譲渡いたしました。また、建設中でありました市原バイオマス発電株式会社向け発電所建設工事については完成・引渡しを行いました。海外インフラ分野については、ベトナムにおいて建設中でありました火力発電所土木建築工事について完成・引渡しを行いました。現在、インドネシアで建設中の火力発電所土木建築工事について確実な工事遂行に注力しております。本工事完了後は、同事業から撤退し、そのリソースを当社グループの成長の見込める事業に再配置いたします。受注高は、前期に化学プラント事業の子会社を譲渡した影響などにより、前期と比べて255億25百万円減少(△52.9%)の227億3百万円となりました。売上高は、新規受注を控えた影響に加え連結子会社の減少により前期と比べて311億95百万円減少(△44.8%)の384億26百万円となり、営業利益は、前期に多額の受注工事損失引当金を計上したことにより717億11百万円改善の2億87百万円となりました。 c. キャッシュ・フローの状況当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析a. 資金需要当社グループは個々の契約金額が大きな製品、建造物を受注生産しており、運転資金は工事にかかる材料費、請負工事費、及び人件費が占めておりますが、個々の工事の契約による支払い条件、工事の進捗により、一時的な運転資金が大きくなりやすい傾向があります。投資資金の主なものは、製造工場を維持・増強するための設備資金となっており、足元では非中核事業や不稼働資産の売却を行って、運転資金、投資資金へ充当しております。なお、現在当社グループは事業再生計画実行の途上にあることから、設備投資、投融資などの長期的な資金は、主力事業とする海洋事業分野、機械事業分野に集中させ、またリース取引を活用することで、当面の間は抑制していく方針としています。 b. 資金調達当社グループの運転資金、投資資金は主に営業活動による収入を財源とすることを基本としていますが、受注金額が大きく、また工期も長い工事が多いことから、金融機関からの長期借入金や社債発行による資金調達も実施しております。近年は資産売却による収入が多かったこともあり、短期借入金も多用しております。これらの借入金を適時調達できる状態を維持する為、主要取引金融機関とは長年にわたり良好な取引関係を維持しており、一部の金融機関とはコミットメントラインを設定し、緊急の資金需要にも備えています。また、上場子会社を除いた連結子会社との間でCMS(キャッシュ・マネージメント・システム)を導入して、グループ全体での資金効率を高め、安定的に資金の流動性を確保できる体制を構築しております。 なお、当連結会計年度末の有利子負債の内訳は次のとおりであります。(単位:百万円) 合計返済・償還1年以内返済・償還1年超短期借入金70,85270,852-長期借入金58,67820,71337,964社債35,00015,00020,000リース債務10,4053,0007,405合計174,936109,56765,369 ④ 経営計画の達成・進捗状況当社グループは、エンジニアリング事業における過年度の大規模な損失により、財政基盤が著しく毀損し、自己資本の回復と資金の確保が急務となっており、2019年度から2022年度までを事業再生計画期間とする「三井E&Sグループ 事業再生計画」を2019年5月に策定して、財務体質及び収益体質の強化、並びに事業構造の変革を推し進めております。また、当該期間中に発生した追加損失を受けて、2019年11月に計画の一部見直しを行い、「資産及び事業の売却案件の追加と実行の加速」、「事業構造の改革及び協働事業に関する他社との協業の促進」を対策に加えて推進しております。さらに、当社グループは、2020年8月に「20中計」を策定し、各戦略に着手しており、事業の集中と協業を明確にし、アライアンスによる市場創出を進め、「全ての機械にデジタル価値を付加する企業」を目指して施策を推進しております。「20中計」では、有利子負債の削減や資産の有効活用を重視し、また売上至上主義から脱却し、利益追求を重視する観点から、経営指標としてNET有利子負債EBITDA倍率、売上高経常利益率及び総資産回転率を選定しており、2022年度において、NET有利子負債EBITDA倍率:5倍未満、売上高経常利益率4.0%以上、及び総資産回転率:0.8倍以上の達成を目指します。なお、当連結会計年度においては、三井海洋開発株式会社で新型コロナウイルス感染症の影響による建造費用増加があったこと等から経常損失となりましたが、千葉工場の土地の一部譲渡や子会社を含めた株式等の資産売却、社会インフラ事業(橋梁、橋梁保全、沿岸事業)の一部株式譲渡等、「資産売却と協業の推進」を加速させた結果、総資産及び有利子負債は減少しております。機械・システム及び海洋開発の事業領域へ集中することを通じた事業構造の改革に加え、艦艇事業譲渡のための株式譲渡契約の締結、商船事業の資本提携に向けた株式譲渡契約の締結、環境関連事業の譲渡等他社との協業を推し進め、数値目標の達成に向けて取り組んでおります。「20中計」の各施策については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりです。 <20中計の進捗>指標2022年度目標2020年度実績目標との差異売上高7,700億円6,638億円△1,062億円売上高経常利益率4.0%以上△1.2%△5.2%総資産回転率0.80倍以上0.87倍+0.07倍NET有利子負債EBITDA倍率(※)5倍未満7.04倍△2.04倍※ NET有利子負債EBITDA倍率=(有利子負債残高-現金及び預金)÷(営業利益+減価償却費+持分法による投資損益) <2020年度計画との比較(ご参考)>指標2020年度計画2020年度実績目標との差異売上高6,300億円6,638億円+338億円営業利益又は営業損失(△)△100億円△122億円△22億円経常利益又は経常損失(△)△70億円△82億円△12億円親会社株主に帰属する当期純利益0億円1億円+1億円