7575

日本ライフライン(7575)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

卸売業 商社・卸売

事業の概要

  • 医療機器の製造販売
    日本ライフラインは、心臓血管領域を中心に医療機器の製造、輸入、販売を手掛けています。自社で製品を製造するだけでなく、海外からの仕入れも行い、幅広い医療ニーズに対応しています。特に、心臓の不整脈治療や大動脈疾患治療、脳血管内治療、消化器疾患治療など、専門性の高い分野に特化しています。
  • 医療機器の多角的な提供
    同社は、心臓ペースメーカや植込み型除細動器(ICD)といったリズムディバイスから、不整脈の検査・治療に使うカテーテル(EP/アブレーション)、人工血管やステントグラフト(心血管関連)、塞栓用コイル(脳血管関連)、消化器用ステントまで、多岐にわたる医療機器を提供しています。これにより、様々な疾患に対応できる総合的な医療ソリューションを提供しています。
  • 海外子会社との連携
    日本ライフラインは、連結子会社であるJLL Malaysia Sdn. Bhd.と連携し、一部製品の製造を海外で行っています。これにより、製造コストの最適化やグローバルなサプライチェーンの構築を図り、効率的な事業運営を実現しています。海外メーカーからの輸入も積極的に行い、最新の医療技術を日本市場に導入しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • リズムディバイス事業
    この事業では、心臓の不整脈治療に使われる心臓ペースメーカ、植込み型除細動器(ICD)、除細動機能付き両心室ペースメーカ(CRT-D)が主な商品です。日本ライフラインがこれらの商品を仕入れて販売しており、不整脈に苦しむ患者さんの命を救う重要な役割を担っています。
  • EP/アブレーション事業
    この事業では、心臓の不整脈を詳しく調べるための電気生理用カテーテル(EPカテーテル)と、不整脈を治療するためのアブレーションカテーテルを扱っています。日本ライフラインがこれらの製品を製造、仕入れ、販売しており、子会社のJLL Malaysia Sdn. Bhd.も一部製品の製造を担うことで、不整脈治療の進歩に貢献しています。
  • 心血管関連事業
    この事業では、大動脈疾患の治療に使われる人工血管、Frozen Elephant Trunk、ステントグラフトといった製品が主力です。日本ライフラインがこれらの製品の製造、仕入れ、販売を一貫して行っており、大動脈の病気を持つ患者さんの治療に不可欠な医療機器を提供しています。
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FY2026|813 文字
3【事業の内容】当社グループは、当社および子会社2社(連結子会社1社、非連結子会社1社)により構成されており、心臓血管領域を中心に医療機器の製造および販売を行っています。当社グループは医療機器事業の単一セグメントであり、これを構成する5つの品目区分別の概要は次のとおりです。 (リズムディバイス)不整脈の治療に用いる心臓ペースメーカやICD(植込み型除細動器)などの心臓植込み型電気デバイス、および、それらと心臓を接続するリードを抜去するためのリードマネジメントデバイスが主たる商品です。当社はこれらの商品の販売を行っています。 (EP/アブレーション)不整脈の治療に用いる検査・診断用のEP(電気生理用)カテーテル、大腿静脈用止血デバイス、心房中隔穿刺用高周波ワイヤ等が主たる製品です。当社はこれらの製品の製造および販売を行うほか、JLL Malaysia Sdn. Bhd.も一部製品の製造を行っています。 (心血管関連)大動脈疾患の治療に用いる人工血管、Frozen Elephant Trunkおよびステントグラフトが主たる製品です。当社はこれらの製品の製造および販売を行っています。 (脳血管関連)脳血管内治療に用いる塞栓用コイル、血栓吸引カテーテルおよびステントリトリーバーが主たる商品です。当社はこれらの商品の販売を行っています。 (消化器)消化器疾患の治療に用いる大腸用ステント、胃・十二指腸用ステント、肝癌治療用ラジオ波焼灼電極針および胆管チューブステントが主たる製品です。当社はこれらの製品の製造および販売を行うほか、JLL Malaysia Sdn. Bhd.も一部製品の製造を行っています。 事業の系統図は次のとおりです。(注)1 海外メーカーの場合は国内輸入元、国内メーカーの場合は国内総販売元を経由して商品を仕入れる場合があります。2 JLL Malaysia Sdn. Bhd.は連結子会社です。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
特定保険医療材料の価格は政府により保険償還価格として決定されるため
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
医療機器の製造販売には医薬品医療機器等法に基づく第一種医療機器製造販売業許可が必要
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:技術革新への対応 / 製品の不具合の発生 / 特定の仕入先に対する依存
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

医療機器卸売業という性質上、特定のメーカーとの強固な販売代理店契約や、長年の実績に基づく信頼が一定の無形資産となり得る。しかし、具体的な特許やブランド力による優位性は限定的と見られる。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

医療機器は、導入後の保守・メンテナンス体制や、既存システムとの互換性が重要視されるため、顧客(病院・クリニック)にとって切り替えには一定の手間とコストが発生する。特に高度医療機器では、専門知識を持つ担当者のサポートが不可欠であり、スイッチング・コストは中程度と評価できる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

医療機器の流通・卸売業であり、プラットフォーム型ビジネスではないため、ネットワーク効果は期待できない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

卸売業としての効率的な物流網や、大量仕入れによる価格交渉力は存在する可能性があるが、競合他社も同様の努力をしていると考えられ、構造的なコスト優位性は低いと推測される。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

医療機器卸売業において、一定のシェアと広範な販売網を有していると考えられる。特に、特定の地域や専門分野において、規模の経済による効率的なサービス提供が可能であれば、競争優位となり得る。しかし、業界全体が多数のプレイヤーで構成されている可能性もあり、寡占度は限定的かもしれない。

  • 専門領域での高い市場シェア
    日本ライフラインは、心臓血管領域を中心に、独自の技術や操作性が評価される医療機器を多数取り扱っており、一部製品では高い市場シェアを誇っています。特に、S-ICD(完全皮下植込み型除細動器)や心腔内除細動カテーテル、Frozen Elephant Trunk、大腿静脈用止血デバイスといったコア製品は、2025年3月期の売上高の約5割を占める主力商品であり、同社の競争力の源泉となっています。
  • 厳格な品質管理体制
    医療機器の製造販売には、高い安全性と有効性が求められます。日本ライフラインは、関連する規制や品質管理に関する規格に準拠し、厳格な品質管理体制を構築しています。これにより、製品の不具合による健康被害のリスクを低減し、医療現場からの信頼を獲得しています。この徹底した品質管理は、同社の製品に対する信頼性を高める重要な要素です。
  • 多様な製品ラインナップ
    同社は、リズムディバイス、EP/アブレーション、心血管関連、脳血管関連、消化器といった幅広い分野で製品を展開しています。これにより、特定の製品に依存することなく、多様な医療ニーズに対応できる柔軟性を持っています。また、新規性の高い製品の導入を積極的に推進することで、常に最新の医療技術を提供し、市場の変化に対応しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針 当社グループは「最新最適な医療機器を通じて健康社会の実現に貢献する」ことをMissionとして、主に国内の総合病院等の顧客向けに心臓血管領域を中心とする高度管理医療機器の製造および販売を中心とする事業を展開しています。 メーカー機能と商社機能の両方からなるハイブリッド型のビジネスモデルと全国規模の自社販売網を有していることが当社グループの特長であり、業界内でユニークなポジションを確立しています。メーカー機能は、自社製品を通じて、医師が日々の手術で用いる機器へのニーズをラインナップの豊富さや使いやすさという点において高い水準で満たしています。商社機能は、海外の優れたテクノロジーを素早く国内に導入することで、国内における最先端の医療へのアクセスを提供しています。当社グループは、自社製品と仕入商品を戦略的かつ選択的に組み合わせることで、柔軟で強靭なプロダクト・ポートフォリオを構築し、医療機器業界の中で差別化を図っています。 このハイブリッド型のビジネスモデルをさらに高度に洗練させる手段として、自社製品の研究開発の加速およびグローバル販路の拡大、ならびに新たな仕入商品のパイプライン獲得を目的として国内外の有望な企業等とのアライアンスに取組むことを基本的な経営方針としています。これにより、事業リスクを抑えつつ競争力のある医療機器をタイムリーに医療現場に提供し続けることが可能となり、Missionである「健康社会の実現」に貢献できると考えています。 (2)経営環境 日本の医療機器業界を取り巻く事業環境は、①高齢者人口の増加による構造的な需要の拡大、②医療提供体制のひっ迫、③マクロ経済の変化(円安やインフレ)が主なダイナミクスとなっており、昨今、個社業績への影響度をますます高めています。このような環境のもと、市場では医療トレンドが継続的に変化しており、その時々に合った医療現場の課題を解決する効率的なソリューションへのニーズがかつてないほど高まっています。 第一に、需要面においては、高齢者人口の増加を背景として、市場が継続的に拡大しています。とくに循環器領域における心房細動の症例数は、2010年代半ば以降、力強い増加トレンドが継続しています。また、2025年以降、75歳以上の後期高齢者が大きく増加することで、外科的な治療から身体への負担が少ない血管内治療(低侵襲治療)へのシフトが進むことも予想されています。低侵襲治療は対象患者の若年化を段階的に促すため、医療機器市場の拡大につながり、業界にとってプラス要因となります。このような構造的な需要の拡大は、今後も市場の成長を支える基盤となると予測されます。 第二に、医療の供給側である医療機関においては、慢性的なリソースのひっ迫が深刻な課題となっています。医師の働き方改革に伴う労働時間の短縮やスタッフ不足により、現場では手技の簡便化や処置時間の短縮といった「医療の効率化」を支える医療機器へのニーズが強まっています。これは単なる治療効果の追求にとどまらず、医療提供体制の維持に寄与する製品が選ばれる時代へと変化していることを示しています。 第三に、マクロ経済面では、円安の進行や世界的なインフレが当社グループの収益構造にも影響を及ぼしうる状況になっています。原材料費、物流費、人件費などの製造費用および販管費が上昇傾向にある一方、日本の国民皆保険制度のもとでは国が定める公定価格があるため、これらのコスト増を即座に販売価格へ転嫁することが困難です。このため、インフレは当社の利益を圧迫するリスクとして継続的に注視する必要があります。 以上の環境認識に基づき、当社グループは「事業のグローバル化を図ることによる国内リスクの分散」および「医療トレンドの変化に対応する適切な成長戦略の実行」を重要な経営課題と考えております。グローバル化については、国内製品の海外市場向け最適化とグローバル品質基準の確立が喫緊の取組事項です。医療トレンドの変化への対応については、不整脈治療におけるパルス・フィールド・アブレーション(PFA)に関連する研究開発や、血管内治療であるステントグラフトや経カテーテル生体弁(TAVI)のパイプライン獲得等が取組みの一例です。当社グループは自社の特徴であるメーカー機能と商社機能の「ハイブリッド型ビジネスモデル」を最大限に活用し、市場のニーズをいち早く製品ラインナップに組み込むことで、変化の激しい事業環境においても持続的な成長と収益性の確保を目指してまいります。 (3)経営戦略および対処すべき課題① 中期経営計画(2024年3月期~2028年3月期) 現行の中期経営計画の最終年度である2028年3月期の数値目標と達成見通しについては、次のとおりです。見通しが数値目標を下回っていますが、後述する重点施策を完遂することで、目標達成に向けた軌道修正を図ってまいります。 (数値目標) 売上高(2028年3月期)新領域*1売上高(2028年3月期)営業利益率(毎期)EPS(2028年3月期)ROIC(2028年3月期)数値目標700億円110億円20%水準145円13%見通し680億円70億円18%125円11~12%*1 脳血管関連、消化器および構造的心疾患 当社は上記の数値目標を達成するために、次の4つの重点施策に取り組んでまいります。 (i) 新領域(脳血管領域・消化器領域・構造的心疾患領域)の拡大 当社グループは、中長期的な持続成長に向け、心臓領域で培った知見や技術を応用できる「脳血管」「消化器」「構造的心疾患」の3領域を戦略的柱として、事業領域の拡大を加速させています。(A) 脳血管領域 2022年に締結したWallaby Medical社との長期独占販売契約に基づき、これまでに塞栓用コイル、血栓吸引カテーテル、ステントリトリーバー等の主要製品を順次投入してまいりました。これにより、国内市場でのブランド認知は着実に向上しております。 (今後の課題) 市場競争力が高いと期待される「フローダイバーター」の早期上市に注力し、脳血管関連全体の収益性を一段と高めてまいります。 (B) 消化器領域 自社開発を主軸とし、市場規模が大きい胆膵分野を中心にシェア拡大を図っています。心臓領域の独自技術(カテーテルシャフト技術等)を転用することで、新しい付加価値を創出しています。とくに胆管チューブステントは医療現場で高い評価を受け、シェアを拡大しています。 (今後の課題) 中長期での製品パイプライン構築が重要であると認識しています。既存品とのシナジーが見込める高単価の仕入商品の導入を加速させること等により、次の収益の柱の確立を図ってまいります。 (C) 構造的心疾患領域 2023年にMeril Life Sciences社と国内での長期独占販売契約を締結した経カテーテル生体弁(TAVI)は、国内市場規模が600~700億円と大きく、当社の最大の成長ドライバーと位置付けております。 (今後の課題) 当初想定していた薬事ストラテジーを見直す必要が生じており、2027年3月期に予定していた上市は遅延する見込みです。現在は、国内治験実施を含むバックアッププランの検討を進めております。 (ⅱ) 競争力のある製品の継続的導入(EP/アブレーション、心血管関連) 当社グループの既存領域の中でも、EP/アブレーションおよび心血管関連を自社製品が中心の中核事業と位置付けています。これらの事業において、市場のニーズに即した競争力ある製品を継続的に投入することを重要戦略としております。 (A) EP/アブレーション EP/アブレーションにおいては、当連結会計年度に国内で急速に普及した新技術であるPFAへの対応が最優先事項となっています。PFAは、合併症リスクの低減や手技時間の短縮により、心房細動における症例数のさらなる増加を後押しする一方、その急速な普及は、従来の治療法に特化した一部製品の需要を急減させるなど、当社の事業環境に大きな変化をもたらしました。このような環境変化に対し、当社はPFA時代の手技トレンドに合致した製品ポートフォリオの再構築を急務として進めております。具体的な実績として、心腔内除細動カテーテルでは、新しく追加した他社にはない鼠径部挿入モデルがPFAを用いる手技においても高い親和性を示し、依然として95%の圧倒的な市場シェアを維持することができました。また、周辺デバイスとして展開する大腿静脈用止血デバイスが上市後2年で全症例の40%以上に浸透したほか、2026年に上市した自社製品の心房中隔穿刺用高周波ワイヤも順調な立ち上がりを見せています。これらの製品はPFAを用いる手技においても収益の柱となることを見込んでいます。 (今後の課題) PFAの治療用カテーテルの自社開発、グローバル向け製品の開発、有望な製品や技術を持つ会社のM&Aなどを加速させてまいります。 (B) 心血管関連主力製品であるFrozen Elephant Trunkにおいて他社との競争が激化しておりますが、市場から要望が大きかった太径サイズをラインナップに加えることでシェアの下落に歯止めをかけ、90%の高いシェアを維持しております。 (今後の課題) Frozen Elephant Trunkの自社ブランドである「FROZENIX」シリーズの後継モデルを開発してまいります。現時点で唯一の未参入領域となっている胸部ステントグラフトのパイプライン導入に向けた準備を推進いたします。 (ⅲ) グローバル売上の拡大とOEM製造の推進 当社グループは、持続的な成長を実現するための最優先課題として、国内市場に依存しない収益基盤の構築に向けた「グローバル売上の拡大」と、自社のリソースを多角的に活用する「OEM製造の推進」を掲げています。既存の国内ビジネスで培った独自の技術力と製造機能をグローバル市場およびパートナー企業へ提供することで、事業ポートフォリオの拡充と収益性の向上を同時に追求してまいります。 グローバル売上の拡大については、段階的な市場開拓と、世界標準の品質管理体制の構築に注力しています。戦略の第1フェーズとして進めている中東・アジア地域への進出は、現地販売代理店との提携が順調に進捗しております。また、次なる成長の柱として米国市場での製造販売承認(FDA承認)取得に向けた準備を加速させており、FDA監査にも適応しうるグローバルな品質マネジメントシステム(QMS)の構築を推進しています。 OEM事業においては、当社の研究開発能力と高度な製造機能を外部に提供することで、新たな収益機会の創出を図っています。具体的な取り組みとして、再生医療分野におけるHeartseed社との協働・提携や、マレーシア工場におけるOEM製造計画等が着実に進んでいます。 (ⅳ) 資本効率を意識した経営の強化 当社グループは売上高や営業利益率のKPIに加えて、株主価値において重要な指標である1株当たり利益(EPS)や投下資本利益率(ROIC)を重視しており、これらを持続的に改善すべく適切な資本政策の実践に取り組んでいます。 原則的な考え方として、当社グループは営業キャッシュ・フローを主な原資とした成長投資と株主還元の最適化を図るキャッシュ・アロケーション・ポリシーを推進しています。2026年3月期から2028年3月期の3年間において、約270億円の営業キャッシュ・フローを見込んでおり、これを成長投資、設備更新、および株主還元へ戦略的に配分します。また、案件の規模や時期に応じ、手元資金に加えて外部借入を柔軟に活用することで、資本構成の最適化と投資機会の確保を両立させます。 成長投資は、今後加速させる方針としており、50〜100億円規模のM&A投資枠を設定するほか、将来のプロダクトパイプライン獲得を目的とする海外スタートアップへの投資やグローバル製造キャパシティの拡充に向けた投資を継続的に実行してまいります。あわせて、自社の研究開発投資は自社製品売上高の8~10%程度を目安として運用し、投資効率の最大化を図ります。 株主還元については、中期経営計画の残り2期(2027年3月期および2028年3月期)において、計画期間5年間の総還元額目標である270〜300億円の達成を最優先とした還元を実施する方針です。これにより、現行の基本方針(配当性向40%または株主資本配当率(DOE)5.0%のいずれか高い方)を上回る水準の配当を予定しており、2027年3月期は1株当たり56円(前期比2円増配、配当性向49.1%)、2028年3月期は57円程度(同1円程度の増配)を想定しています。(詳細については、第4 提出会社の状況(3)配当政策 もご参照ください) 適切な資本効率を維持するため、手元現預金の水準は厳格に管理し、余剰資金は機動的に還元に回すことを検討します。具体的には、期末現預金を70〜100億円程度を目途にコントロールし、将来の成長投資に向けたバッファ(30億円程度)を超える部分については、配当の追加や自己株式の取得といった積極的な還元策を検討することとしております。こうした規律あるキャッシュマネジメントを通じて、資本コスト(推定8~9%)を上回る投下資本利益率(ROIC)を意識した経営を徹底してまいります。 ② サステナビリティの取組み 当社ではサステナビリティの取組みを対処すべき課題と認識しています。 詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)経営方針 当社グループは「最新最適な医療機器を通じて健康社会の実現に貢献する」ことをMissionとして、主に国内の総合病院等の顧客向けに心臓血管領域を中心とする高度管理医療機器の製造および販売を中心とする事業を展開しています。 メーカー機能と商社機能の両方からなるハイブリッド型のビジネスモデルと全国規模の自社販売網を有していることが当社グループの特長であり、業界内でユニークなポジションを確立しています。メーカー機能は、自社製品を通じて、医師が日々の手術で用いる機器へのニーズをラインナップの豊富さや使いやすさという点において高い水準で満たしています。商社機能は、海外の優れたテクノロジーを素早く国内に導入することで、国内における最先端の医療へのアクセスを提供しています。当社グループは、自社製品と仕入商品を戦略的かつ選択的に組み合わせることで、柔軟で強靭なプロダクト・ポートフォリオを構築し、医療機器業界の中で差別化を図っています。 このハイブリッド型のビジネスモデルをさらに高度に洗練させる手段として、自社製品の研究開発の加速およびグローバル販路の拡大、ならびに新たな仕入商品のパイプライン獲得を目的として国内外の有望な企業等とのアライアンスに取組むことを基本的な経営方針としています。これにより、事業リスクを抑えつつ競争力のある医療機器をタイムリーに医療現場に提供し続けることが可能となり、Missionである「健康社会の実現」に貢献できると考えています。 (2)経営環境 日本の医療機器業界を取り巻く事業環境は、①高齢者人口の増加による構造的な需要の拡大、②医療提供体制のひっ迫、③マクロ経済の変化(円安やインフレ)が主なダイナミクスとなっており、昨今、個社業績への影響度をますます高めています。このような環境のもと、市場では医療トレンドが継続的に変化しており、その時々に合った医療現場の課題を解決する効率的なソリューションへのニーズがかつてないほど高まっています。 第一に、需要面においては、高齢者人口の増加を背景として、市場が継続的に拡大しています。とくに循環器領域における心房細動の症例数は、2010年代半ば以降、力強い増加トレンドが継続しています。また、2025年以降、75歳以上の後期高齢者が大きく増加することで、外科的な治療から身体への負担が少ない血管内治療(低侵襲治療)へのシフトが進むことも予想されています。低侵襲治療は対象患者の若年化を段階的に促すため、医療機器市場の拡大につながり、業界にとってプラス要因となります。このような構造的な需要の拡大は、今後も市場の成長を支える基盤となると予測されます。 第二に、医療の供給側である医療機関においては、慢性的なリソースのひっ迫が深刻な課題となっています。医師の働き方改革に伴う労働時間の短縮やスタッフ不足により、現場では手技の簡便化や処置時間の短縮といった「医療の効率化」を支える医療機器へのニーズが強まっています。これは単なる治療効果の追求にとどまらず、医療提供体制の維持に寄与する製品が選ばれる時代へと変化していることを示しています。 第三に、マクロ経済面では、円安の進行や世界的なインフレが当社グループの収益構造にも影響を及ぼしうる状況になっています。原材料費、物流費、人件費などの製造費用および販管費が上昇傾向にある一方、日本の国民皆保険制度のもとでは国が定める公定価格があるため、これらのコスト増を即座に販売価格へ転嫁することが困難です。このため、インフレは当社の利益を圧迫するリスクとして継続的に注視する必要があります。 以上の環境認識に基づき、当社グループは「事業のグローバル化を図ることによる国内リスクの分散」および「医療トレンドの変化に対応する適切な成長戦略の実行」を重要な経営課題と考えております。グローバル化については、国内製品の海外市場向け最適化とグローバル品質基準の確立が喫緊の取組事項です。医療トレンドの変化への対応については、不整脈治療におけるパルス・フィールド・アブレーション(PFA)に関連する研究開発や、血管内治療であるステントグラフトや経カテーテル生体弁(TAVI)のパイプライン獲得等が取組みの一例です。当社グループは自社の特徴であるメーカー機能と商社機能の「ハイブリッド型ビジネスモデル」を最大限に活用し、市場のニーズをいち早く製品ラインナップに組み込むことで、変化の激しい事業環境においても持続的な成長と収益性の確保を目指してまいります。 (3)経営戦略および対処すべき課題① 中期経営計画(2024年3月期~2028年3月期) 現行の中期経営計画の最終年度である2028年3月期の数値目標と達成見通しについては、次のとおりです。見通しが数値目標を下回っていますが、後述する重点施策を完遂することで、目標達成に向けた軌道修正を図ってまいります。 (数値目標) 売上高(2028年3月期)新領域*1売上高(2028年3月期)営業利益率(毎期)EPS(2028年3月期)ROIC(2028年3月期)数値目標700億円110億円20%水準145円13%見通し680億円70億円18%125円11~12%*1 脳血管関連、消化器および構造的心疾患 当社は上記の数値目標を達成するために、次の4つの重点施策に取り組んでまいります。 (i) 新領域(脳血管領域・消化器領域・構造的心疾患領域)の拡大 当社グループは、中長期的な持続成長に向け、心臓領域で培った知見や技術を応用できる「脳血管」「消化器」「構造的心疾患」の3領域を戦略的柱として、事業領域の拡大を加速させています。(A) 脳血管領域 2022年に締結したWallaby Medical社との長期独占販売契約に基づき、これまでに塞栓用コイル、血栓吸引カテーテル、ステントリトリーバー等の主要製品を順次投入してまいりました。これにより、国内市場でのブランド認知は着実に向上しております。 (今後の課題) 市場競争力が高いと期待される「フローダイバーター」の早期上市に注力し、脳血管関連全体の収益性を一段と高めてまいります。 (B) 消化器領域 自社開発を主軸とし、市場規模が大きい胆膵分野を中心にシェア拡大を図っています。心臓領域の独自技術(カテーテルシャフト技術等)を転用することで、新しい付加価値を創出しています。とくに胆管チューブステントは医療現場で高い評価を受け、シェアを拡大しています。 (今後の課題) 中長期での製品パイプライン構築が重要であると認識しています。既存品とのシナジーが見込める高単価の仕入商品の導入を加速させること等により、次の収益の柱の確立を図ってまいります。 (C) 構造的心疾患領域 2023年にMeril Life Sciences社と国内での長期独占販売契約を締結した経カテーテル生体弁(TAVI)は、国内市場規模が600~700億円と大きく、当社の最大の成長ドライバーと位置付けております。 (今後の課題) 当初想定していた薬事ストラテジーを見直す必要が生じており、2027年3月期に予定していた上市は遅延する見込みです。現在は、国内治験実施を含むバックアッププランの検討を進めております。 (ⅱ) 競争力のある製品の継続的導入(EP/アブレーション、心血管関連) 当社グループの既存領域の中でも、EP/アブレーションおよび心血管関連を自社製品が中心の中核事業と位置付けています。これらの事業において、市場のニーズに即した競争力ある製品を継続的に投入することを重要戦略としております。 (A) EP/アブレーション EP/アブレーションにおいては、当連結会計年度に国内で急速に普及した新技術であるPFAへの対応が最優先事項となっています。PFAは、合併症リスクの低減や手技時間の短縮により、心房細動における症例数のさらなる増加を後押しする一方、その急速な普及は、従来の治療法に特化した一部製品の需要を急減させるなど、当社の事業環境に大きな変化をもたらしました。このような環境変化に対し、当社はPFA時代の手技トレンドに合致した製品ポートフォリオの再構築を急務として進めております。具体的な実績として、心腔内除細動カテーテルでは、新しく追加した他社にはない鼠径部挿入モデルがPFAを用いる手技においても高い親和性を示し、依然として95%の圧倒的な市場シェアを維持することができました。また、周辺デバイスとして展開する大腿静脈用止血デバイスが上市後2年で全症例の40%以上に浸透したほか、2026年に上市した自社製品の心房中隔穿刺用高周波ワイヤも順調な立ち上がりを見せています。これらの製品はPFAを用いる手技においても収益の柱となることを見込んでいます。 (今後の課題) PFAの治療用カテーテルの自社開発、グローバル向け製品の開発、有望な製品や技術を持つ会社のM&Aなどを加速させてまいります。 (B) 心血管関連主力製品であるFrozen Elephant Trunkにおいて他社との競争が激化しておりますが、市場から要望が大きかった太径サイズをラインナップに加えることでシェアの下落に歯止めをかけ、90%の高いシェアを維持しております。 (今後の課題) Frozen Elephant Trunkの自社ブランドである「FROZENIX」シリーズの後継モデルを開発してまいります。現時点で唯一の未参入領域となっている胸部ステントグラフトのパイプライン導入に向けた準備を推進いたします。 (ⅲ) グローバル売上の拡大とOEM製造の推進 当社グループは、持続的な成長を実現するための最優先課題として、国内市場に依存しない収益基盤の構築に向けた「グローバル売上の拡大」と、自社のリソースを多角的に活用する「OEM製造の推進」を掲げています。既存の国内ビジネスで培った独自の技術力と製造機能をグローバル市場およびパートナー企業へ提供することで、事業ポートフォリオの拡充と収益性の向上を同時に追求してまいります。 グローバル売上の拡大については、段階的な市場開拓と、世界標準の品質管理体制の構築に注力しています。戦略の第1フェーズとして進めている中東・アジア地域への進出は、現地販売代理店との提携が順調に進捗しております。また、次なる成長の柱として米国市場での製造販売承認(FDA承認)取得に向けた準備を加速させており、FDA監査にも適応しうるグローバルな品質マネジメントシステム(QMS)の構築を推進しています。 OEM事業においては、当社の研究開発能力と高度な製造機能を外部に提供することで、新たな収益機会の創出を図っています。具体的な取り組みとして、再生医療分野におけるHeartseed社との協働・提携や、マレーシア工場におけるOEM製造計画等が着実に進んでいます。 (ⅳ) 資本効率を意識した経営の強化 当社グループは売上高や営業利益率のKPIに加えて、株主価値において重要な指標である1株当たり利益(EPS)や投下資本利益率(ROIC)を重視しており、これらを持続的に改善すべく適切な資本政策の実践に取り組んでいます。 原則的な考え方として、当社グループは営業キャッシュ・フローを主な原資とした成長投資と株主還元の最適化を図るキャッシュ・アロケーション・ポリシーを推進しています。2026年3月期から2028年3月期の3年間において、約270億円の営業キャッシュ・フローを見込んでおり、これを成長投資、設備更新、および株主還元へ戦略的に配分します。また、案件の規模や時期に応じ、手元資金に加えて外部借入を柔軟に活用することで、資本構成の最適化と投資機会の確保を両立させます。 成長投資は、今後加速させる方針としており、50〜100億円規模のM&A投資枠を設定するほか、将来のプロダクトパイプライン獲得を目的とする海外スタートアップへの投資やグローバル製造キャパシティの拡充に向けた投資を継続的に実行してまいります。あわせて、自社の研究開発投資は自社製品売上高の8~10%程度を目安として運用し、投資効率の最大化を図ります。 株主還元については、中期経営計画の残り2期(2027年3月期および2028年3月期)において、計画期間5年間の総還元額目標である270〜300億円の達成を最優先とした還元を実施する方針です。これにより、現行の基本方針(配当性向40%または株主資本配当率(DOE)5.0%のいずれか高い方)を上回る水準の配当を予定しており、2027年3月期は1株当たり56円(前期比2円増配、配当性向49.1%)、2028年3月期は57円程度(同1円程度の増配)を想定しています。(詳細については、第4 提出会社の状況(3)配当政策 もご参照ください) 適切な資本効率を維持するため、手元現預金の水準は厳格に管理し、余剰資金は機動的に還元に回すことを検討します。具体的には、期末現預金を70〜100億円程度を目途にコントロールし、将来の成長投資に向けたバッファ(30億円程度)を超える部分については、配当の追加や自己株式の取得といった積極的な還元策を検討することとしております。こうした規律あるキャッシュマネジメントを通じて、資本コスト(推定8~9%)を上回る投下資本利益率(ROIC)を意識した経営を徹底してまいります。 ② サステナビリティの取組み 当社ではサステナビリティの取組みを対処すべき課題と認識しています。 詳細については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。 経営方針、経営環境、経営戦略および対処すべき課題ならびに経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご覧ください。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)当期の経営成績の概況 当連結会計年度における業績は、売上高は前期比4.6%増加、売上総利益は同2.9%増加、営業利益は同2.3%増加、親会社株主に帰属する当期純利益は同0.4%増加となりました。当期は中期経営計画(2024年3月期から2028年3月期までの5年間)の3期目にあたり、5つの重点施策として掲げた「競争力ある製品の継続的導入」「新領域の拡大」「グローバル売上高の拡大」「OEM製造の推進」「資本効率を意識した経営の強化」に着実に取り組みました。その結果、売上高および各段階利益は、ほぼ期初予想どおりの着地となり、いずれも過去最高を更新しました。 販売面では、中核事業のEP/アブレーションおよび心血管関連は、コア製品群の成長により、それぞれ前期比4.5%増収、3.7%増収と堅調に推移しました。EP/アブレーションでは、症例数の増加を背景に、心腔内除細動カテーテルや大腿静脈用止血デバイスが成長をけん引しました。心血管関連でも、自社製品のFrozen Elephant Trunk(FET)や人工血管が伸長しました。また、成長事業の新領域においても、脳血管関連が44.5%増収、消化器は17.4%増収*1の二桁成長となりました。一方、安定事業のリズムディバイスは、1.6%減収となりました。 販売費及び一般管理費は、中長期的な成長に向け、人件費や研究開発費を増加させた結果、前期比703百万円の増加となりました。これを受け、営業利益は前期比280百万円増加し、営業利益率は21.3%となりました。 なお、過度な円安は長期的にみて当社の業績にマイナスの影響を与える可能性がありますが、短期的な業績感応度としては小さいと認識しています。これは当社の商品仕入の約70%が為替の影響を受けない円建てでの取引であることに加え、売上原価の計算に移動平均法を適用しているためです。これらの構造により、一時的に調達コストが上昇した場合でも、その影響は長期間にわたって分散されます。 *1 終了事業のコロナリー・インターベンションを含む。これを除くベースでは前期比23.5%増収 (業績について) 当連結会計年度の業績の詳細は次のとおりです。 (単位:百万円)区分前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)増減増減率(%)金額構成比(%)金額構成比(%)① 売上高56,610100.059,187100.02,5774.6② 売上総利益34,19160.435,17459.49832.9③ 営業利益12,32621.812,60621.32802.3④ 経常利益12,33521.812,58821.32532.1⑤ 親会社株主に帰属する 当期純利益9,31716.59,35015.8320.4 ① 売上高 売上高は59,187百万円(前期比+4.6%)となりました。詳細は後段の「品目別売上高」に記載しています。 ② 売上総利益 売上総利益は35,174百万円(前期比+2.9%)となりました。製品ミックスにおいて、EP/アブレーションでPFA浸透の影響により自社製品の成長率が低かった一方で、仕入商品の成長率が高かったことから、自社製品比率は56.0%(前期比△1.4pt)となり、売上総利益率は59.4%(前期比△1.0pt)に低下しました。また、保険償還価格の改定や一部製品での商流変更などによる販売単価下落の影響がありましたが、販売数量が大幅に増加したことで、増益を確保しました。③ 営業利益 営業利益は12,606百万円(前期比+2.3%)、営業利益率は21.3%(前期比△0.5pt)となりました。販売費及び一般管理費は、703百万円増加しました。主な増減要因は以下のとおりです。(増加)・給与水準の引上げによる人件費の増加・PFAシステムの開発等に係る研究開発費の増加・営業活動量の増加に伴う販売関連費の増加(減少)・貸倒債権を一部回収したことによる貸倒引当金戻入の計上(前期に取引先の手形取引停止処分により貸倒引当金繰入を計上) ④ 経常利益 経常利益は12,588百万円(前期比+2.1%)となりました。営業外収益として、受取利息やスクラップ売却益などで392百万円を計上しました。営業外費用として、市場競争力が低下した一部製品(胆道鏡システムおよび内視鏡レーザーアブレーションカテーテル)の取扱い終了に伴う棚卸資産評価損等で410百万円を計上しました。 ⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益 親会社株主に帰属する当期純利益は9,350百万円(前期比+0.4%)となりました。特別損失として、本社移転に関連する費用等で229百万円を計上しました。税金費用については、税額控除を取得したこと等により、法人税等の負担率は24.5%となりました。 (品目別売上高) (単位:百万円) 区分 前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) 増減 増減率 (%)リズムディバイス13,26713,057△210△1.6EP/アブレーション27,84529,1091,2644.5心血管関連12,20612,6574513.7脳血管関連1,8422,66181944.5消化器1,4481,70125217.4合計56,61059,1872,5774.6※ 各品目区分に分類される主たる商品は次のとおりです。リズムディバイス心臓ペースメーカ、T-ICD(経静脈植込み型除細動器)、S-ICD(完全皮下植込み型除細動器)、CRT-P(両心室ペースメーカ)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)、AED(自動体外式除細動器)、リードマネジメントデバイス EP/アブレーションEP(電気生理用)カテーテル、アブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、食道温モニタリングカテーテル、スティーラブルシース、大腿静脈用止血デバイス、心房中隔穿刺用高周波ワイヤ 心血管関連人工血管、Frozen Elephant Trunk、ステントグラフト、心房中隔欠損閉鎖器具 脳血管関連塞栓用コイル、血栓吸引カテーテル、マイクロカテーテル、ステントリトリーバー 消化器胆管チューブステント、胆管拡張バルーン、造影カニューラ、ダブルルーメンダイレータ、内視鏡ガイドワイヤ、大腸用ステント、胃・十二指腸用ステント、肝癌治療用ラジオ波焼灼電極針 <相手先別売上高> (単位:百万円) 相手先 前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)販売高割合(%)販売高割合(%)ディーブイエックス株式会社5,4719.75,5719.4 ① リズムディバイス リズムディバイスの売上高は、13,057百万円(前期比△1.6%)となりました。ペースメーカは、他社のリードレスペースメーカの影響を受け低調に推移しました。コア製品のS-ICDは、他社の新製品の影響を受けつつも新規植込み市場が拡大したことで、前期並みとなりました。一方で、当期から新たに導入したリードマネジメントデバイスは収益に寄与しました。 ② EP/アブレーション EP/アブレーションの売上高は、29,109百万円(前期比+4.5%)となりました。心房細動の新しい治療法であるパルス・フィールド・アブレーション(PFA)が急速に普及する過程において、食道温モニタリングカテーテルを含む一部のEPカテーテルは低調に推移しました。一方で、心房細動のアブレーション症例数が前期比10%弱増加したことを背景に、コア製品の心腔内除細動カテーテルが好調に推移しました。大腿静脈用止血デバイスも、新規採用施設数の増加に加え、新サイズの導入により症例カバレッジが拡大し、大幅な増収となりました。さらに、第4四半期に上市した自社製品の心房中隔穿刺用高周波ワイヤ「XEROstar(ゼロスター)」は、非常に良好な立ち上がりとなりました。 ③ 心血管関連 心血管関連の売上高は、12,657百万円(前期比+3.7%)となりました。コア製品のFrozen Elephant Trunkは、期初に見込んだほどの市場拡大には至らなかったものの、販売数量を伸長させ高シェアを維持しました。人工血管についても、他社の一部製品ラインの縮小を追い風に、市場シェアが順調に拡大しました。また、第2四半期に上市したTAVI用センサー付きガイドワイヤや、再生医療等製品向けの投与カテーテルシステムも増収に寄与しました。 ④ 脳血管関連 脳血管関連の売上高は、2,661百万円(前期比+44.5%)となりました。血栓吸引カテーテルは、製品特性を訴求するマーケティング施策による差別化が奏功し、市場プレゼンスを大きく拡大しました。塞栓用コイルは、従来の脳血管や腹部向けの販売に留まらず放射線科等の新販路を開拓したことで、好調に推移しました。ステントリトリーバーも、順調に採用施設数が増加し、増収に寄与しました。 ⑤ 消化器 消化器の売上高は、1,701百万円(前期比+17.4%)となりました。2024年3月期で終了したコロナリー・インターベンション事業を除いたベースでの売上高は1,661百万円(前年同期比+23.5%)となりました。主力の胆管チューブステントは、市場から高い評価を獲得し販売は想定を上回るペースで推移しました。内視鏡ガイドワイヤや胆管拡張バルーンなどの製品も、着実に販売数量を伸ばしました。 (2)当期の財政状態の概況① 資産 当連結会計年度末の資産につきましては、流動資産が前連結会計年度末に比べ4,710百万円増加し、49,046百万円となりました。これは主として、棚卸資産が2,168百万円、現金及び預金が1,479百万円、受取手形及び売掛金が720百万円、それぞれ増加したことによるものです。 固定資産は前連結会計年度末に比べ378百万円増加し、31,164百万円となりました。これは主として、無形固定資産が345百万円減少した一方で、有形固定資産が626百万円増加したことによるものです。 以上の結果、資産合計は前連結会計年度末から5,088百万円増加し、80,211百万円となりました。 ② 負債 当連結会計年度末の負債につきましては、流動負債が前連結会計年度末に比べ736百万円減少し、13,597百万円となりました。これは主として、短期借入金が600百万円、1年内返済予定の長期借入金が120百万円、それぞれ減少したことによるものです。 また、固定負債は前連結会計年度末に比べ158百万円減少し、716百万円となりました。これは主として、役員株式報酬引当金が78百万円、リース債務が47百万円、それぞれ減少したことによるものです。 以上の結果、負債合計は前連結会計年度末から894百万円減少し、14,314百万円となりました。 ③ 純資産 当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ5,983百万円増加し、65,897百万円となりました。これは主として、剰余金の配当を3,722百万円実施した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益を9,350百万円計上したことにより利益剰余金が5,627百万円増加したことによるものです。 (3)当期のキャッシュ・フローの概況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,479百万円増加し、12,494百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。 ① 営業活動によるキャッシュ・フロー 当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、8,172百万円(前期は9,113百万円の収入)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の12,377百万円、減価償却費の1,656百万円であり、主な減少要因は、法人税等の支払額の3,276百万円、棚卸資産の増加額の2,164百万円です。 ② 投資活動によるキャッシュ・フロー 当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、2,048百万円(前期は1,801百万円の支出)となりました。これは主として、有形固定資産の取得による支出が1,900百万円、投資有価証券の取得による支出が557百万円、投資有価証券の売却による収入が765百万円となったことによるものです。 ③ 財務活動によるキャッシュ・フロー 当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、4,581百万円(前期は9,040百万円の支出)となりました。これは主として、配当金の支払額が3,725百万円、短期借入金の返済による支出が600百万円となったことによるものです。 (4)生産、受注および販売の実績① 生産実績 当連結会計年度における生産実績を商品区分別に示すと次のとおりであり、著しい変動はありません。 (単位:百万円) 区分 前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) 増減率 (%)リズムディバイス1912△36.2EP/アブレーション6,6546,581△1.1心血管関連1,6461,643△0.2消化器7457642.5合計9,0659,000△0.7(注)1 金額は製造原価によっています。 2 「脳血管関連」の生産実績は前連結会計年度、当連結会計年度ともに発生していないため表示を省略しています。 ② 受注実績 当社グループの事業形態は、原則として受注残高が発生しないため、記載を省略しています。 ③ 販売実績 販売実績については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご覧ください。 (5)資本の財源および資金の流動性に係る情報① 資本の財源 当社グループの主要な運転資金需要は、商品の仕入、製品製造のための材料費、労務費、経費ならびに販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、設備の新設および改修、商品パイプラインの確保等を目的とする商品仕入先に対する貸付等に係る投資です。 また、今後当社グループの企業価値向上への寄与が見込まれる場合には、M&A等を含めた投資の検討を行ってまいります。 これらの資金需要については、営業活動によるキャッシュ・フローおよび自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくことを基本としています。 なお、金融市場および手許資金等の状況を勘案し、必要と判断した場合には金融機関からの長期借入による対応も検討してまいります。 ② 資金の流動性 当社グループでは、資金調達の機動性および安定性を高めることを目的として、コミットメントライン契約を締結し、流動性リスクに備えています。当連結会計年度末におけるコミットメントラインの総額は8,000百万円、借入実行残高は2,900百万円、借入未実行残高は5,100百万円です。 (6)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成には、会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。 なお、当社グループで採用する重要な会計方針、会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

事業リスク

  • 技術革新と競合の激化
    医療機器業界は技術革新が活発で、競合他社による新製品の導入や、PFA(パルス・フィールド・アブレーション)のような新技術の普及により、同社製品の市場シェアが低下する可能性があります。特に、売上高の約5割を占めるS-ICDなどのコア製品が影響を受けると、経営成績や財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
  • 製品の不具合と訴訟リスク
    同社が取り扱う医療機器に不具合が発生し、健康被害が生じた場合、製品の販売停止や回収が必要となる可能性があります。また、損害賠償請求等の訴訟を提起されるリスクもあり、これらの事象が発生すれば、経営成績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。医療機器の性質上、このリスクは常に存在します。
  • 特定の仕入先への依存
    同社は、一部の商品や自社製品の原材料供給を特定の仕入先に依存しています。災害や仕入先の買収などにより供給が滞ったり、取引が終了したりした場合、該当製品の販売が継続できなくなり、経営成績や財務状況に影響を与える可能性があります。特に、上位5社の仕入先からの商品が連結売上高の約4割を占めており、この依存度は無視できないリスクです。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|7,061 文字
3【事業等のリスク】(1)リスクマネジメント体制 当社グループは、医療機器の安定供給という社会的責任を果たし、持続的な企業価値向上を実現するため、適切なリスク管理体制の構築を推進しています。その中核を担う組織として、取締役会が任命したチーフ・リスクマネジメント・オフィサー(CRO)を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置し、リスク管理の全社的推進とリスク管理に必要な情報共有を図っています。同委員会は、コンプライアンス、サステナビリティ、情報セキュリティ、投融資の各委員会および各部門との連携のもと、リスクの特定・評価・対応方針の決定や対応状況の確認等を行い、これらを取締役会へ適宜報告しています。 また、重大なリスクが顕在化し全社的対応を要する緊急事態が発生した場合は、社長執行役員を本部長とする対策本部を即座に設置し、損失を最小限に抑える体制を整えています。 (2)リスクマネジメントプロセス 当社グループでは、PDCAサイクルにより、リスクマネジメントプロセスの継続的な見直しを実施しています。各部門において、事業活動に影響を及ぼす可能性のあるリスクを洗い出し、影響度、発生可能性および対応状況等を踏まえて評価したうえで、必要な対策を策定・実行しています。また、これらのリスクへの対応状況については、定期的にモニタリングを行い、対策の有効性を評価するとともに、必要に応じて改善を図ることで、リスクの未然防止、影響の低減およびリスクマネジメント体制の実効性向上に努めています。 (3)リスクの評価 当社グループでは、経営に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それらについて「経営への影響度」と「発生可能性」の二軸による評価を行い、リスクマップを作成して分析しています。リスクマップ上に設定した「リスク許容限度(曲線)」を超える最優先対策領域に位置するリスクについて、リスクマネジメント委員会で審議のうえ、優先的に対応すべき重要なリスクと選定し、取締役会へ報告しています。2026年3月期における評価の結果、リスク許容限度を超え、優先的に対応すべきと判断した主要なリスクの状況は以下の通りです。 (4)主要なリスク 本項に含まれる将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 ① 事業戦略に関するリスクⅰ 技術革新および競争環境の変化経営への影響度:大 / 発生可能性:中リスク:当社グループが販売する医療機器の中には、その独自性や操作性が評価され、高い市場シェアを有する製品があります。しかしながら、医療機器業界では競合企業による研究開発が活発に行われており、当社製品と競合する医療機器が市場に導入された場合や、革新的な医療機器の上市により治療方法が大きく変化した場合、また、PFA(パルス・フィールド・アブレーション)等の新技術の普及が進んだ場合、当社製品の市場シェアが低下し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。とくに、コア製品であるS-ICD(完全皮下植込み型除細動器)や、コア製品である心腔内除細動カテーテル、Frozen Elephant Trunkおよび大腿静脈用止血デバイスの4品目は、2026年3月期の売上高の約5割を占めており、当該リスクが顕在化した場合、一定の影響があると認識しています。対応策:当社グループでは、コア製品における競合他社の新規参入に対応するため、製品ラインナップの強化・拡充を図るとともに、医療技術の動向を注視し、新規性の高い製品の迅速な導入・開発を推進することで、当該リスクの低減に努めています。 ⅱ 製品の不具合の発生経営への影響度:大 / 発生可能性:中リスク:当社グループが取り扱う医療機器において、製品の不具合に起因する健康被害の発生やその懸念が生じた場合、製品の販売停止や回収 (リコール) 等の措置を講じる可能性があります。また、製品の不具合に起因して健康被害が発生した場合には、損害賠償請求等の訴訟を提起されるリスクがあります。これらの事象が顕在化した場合、当社グループの社会的信用の低下、ならびに経営成績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。対応策:当社グループでは、医療機器の有効性や安全性を最優先課題とし、関連する規制や品質管理に関する規格に準拠し、厳格な品質管理体制を構築することで、リスクの低減に努めています。 ⅲ 特定の仕入先に対する依存経営への影響度:大 / 発生可能性:中リスク:当社グループは、一部の商品や自社製品の原材料供給を特定の仕入先に依存しています。災害やその他の要因により商品や原材料の供給が滞った場合や、競合企業による仕入先の買収等に伴い取引が終了した場合には、該当製品の販売継続が困難となり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。とくに、2026年3月期において、仕入先上位5社からの調達商品等が連結売上高の約4割を占めており、これら主要仕入先に係るリスクが顕在化した場合、一定の影響が生じる可能性が高いことを認識しています。対応策:過去に仕入先の買収に伴う販売契約の終了が複数回発生しており、当該リスクを完全に回避することは困難であると認識しています。そのため、当社グループでは、仕入先との契約期間の長期化や支配権変更 (チェンジ・オブ・コントロール) 時の補償条件の設定を進めるとともに、代替仕入先の確保等を通じて、リスクの低減に努めています。 ⅳ 投融資および債権の回収遅延・不能経営への影響度:中 / 発生可能性:中リスク:当社グループの資産には、海外スタートアップを中心とする取引先への投資有価証券および貸付金が含まれています。当社グループは、独自の技術を有し特定のメーカー系列に属さない独立性の高い取引先への投融資を通じて協力関係を強化し、製品開発の支援を通じた将来の商品パイプラインの確保を図っています。しかしながら、これらの投資有価証券および貸付金は、取引先の経営状況の悪化や事業計画の遅れに伴い、投資有価証券評価損や貸倒引当金の計上が必要となるケースがあり、リスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。対応策:当社グループでは過去に取引先への投融資に関連する損失計上が複数回発生しています。将来のパイプライン確保という戦略上の観点から、当該リスクを完全に回避することは困難であると認識しています。そのため、当社グループでは、リスク低減に向け「投融資委員会」を設置し、新規の投融資案件の慎重な審査を行うとともに、既存の投融資案件についても取引先の経営成績、財政状態および事業計画の進捗状況を定期的にモニタリングし、評価および継続の可否を厳格に審議する体制を整備・運用しています。 ②経営基盤に関するリスクⅰ 労働環境経営への影響度:中 / 発生可能性:高リスク:過重労働による労働災害やハラスメントの発生は、従業員の心身の健康を損なうだけでなく、生産性の低下や損害賠償請求、社会的信用の失墜を招き、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。対応策:当社グループでは、過重労働や心身の不調の早期発見と予防に向け、健康診断およびストレスチェックにおいて、全従業員の受診・受検率100%を徹底するとともに、産業医等によるメンタルヘルス対策を実施しています。また、ハラスメントの発生防止に向け、全従業員を対象とした定期的な研修の実施に加え、ハラスメント事案の早期発見と速やかな是正措置を講じる相談窓口を運用しています。 ⅱ 情報セキュリティおよびシステム障害経営への影響度:中 / 発生可能性:中リスク:当社グループは、販売物流、生産管理、経理等の広範な業務においてITシステムを活用しています。そのため、サイバー攻撃やシステム障害等による大規模なシステムトラブルが発生し復旧が長期化した場合や、不正アクセス等により個人情報や製品情報等の機密情報が漏洩した場合、事業活動の停滞、社会的信用の低下、損害賠償請求等の訴訟の提起を招き、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。対応策:当社グループでは、情報セキュリティ関連規程の整備や有事のマネジメント体制の構築に加え、サイバー攻撃に対する防御策を強化しています。具体的には、全従業員を対象とした標的型攻撃メール訓練の継続実施や最新セキュリティシステムの導入により全社的な意識向上を図っています。また、患者さまのプライバシーに関わる重要情報等については、2021年12月にプライバシーマークを取得し、適切な保護措置を講じる体制を整備しています。 ⅲ 人材の確保・育成経営への影響度:中 / 発生可能性:中リスク:専門性を有する人材の確保が困難となった場合、製品の上市遅延や中長期的な事業成長の鈍化等を招く可能性があります。また、女性管理職をはじめとする多様な人材の確保が停滞した場合、イノベーションの阻害や人材市場における競争力低下を招くおそれがあります。対応策:当社グループでは、「多様な人材が活躍できる職場づくり」と「企業競争力を高める人材育成」をマテリアリティに掲げ、施策を推進しています。具体的には、自社や環境の変化を踏まえた人事制度の整備・最適化を進め、多様なライフステージにある従業員が十分に能力を発揮し、働きがいと働きやすさを実現できる環境整備に取り組んでいます。また、会社の持続的な成長やグローバル展開を支えるため、マネジメント人材や若手リーダー、グローバル人材の育成・強化に注力しています。 ⅳ 事業継続に係る法的規制および許認可の維持経営への影響度:大 / 発生可能性:低リスク:当社グループは、医療機器の製造販売を行うにあたり、医薬品医療機器等法 (薬機法) の規制を受けており、当社は以下のとおり第一種医療機器製造販売業許可を監督官庁より取得しています。現在、当社グループは各規制を遵守し、業許可の基準を満たしていますが、万が一、当該許可が行使できない場合や取消処分等の事態が生じた場合、医療機器の販売継続ができなくなるリスクがあります。また、新たな医療機器の国内販売をするにあたり、仕入先が薬事承認を取得する一部の商品を除き、当社グループが同法の定めに従い、品質、有効性および安全性等に関する審査を受け、監督官庁の承認を取得する必要があります。これらの承認が取得できない場合や、承認取得までの期間が想定を超えて長期化した場合には、販売戦略の変更が余儀なくされ、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。対応策:当社グループでは、薬事・品質保証部門を中心に法令遵守体制の徹底を図るとともに、承認取得プロセスの効率化を図っています。また、監督官庁との適切なコミュニケーションを密に行うことでリスクの低減に努めています。 許認可等の名称許認可等の内容有効期限主な許認可取消し事由第一種医療機器製造販売業許可証第一種医療機器製造販売に関する許可許可番号:13B1X000072027年6月30日(5年ごとの更新)不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は許可の取消し(医薬品医療機器等法第75条) ⅴ コンプライアンス経営への影響度:大 / 発生可能性:低リスク:不適切な会計処理、国内外の公務員等に対する贈収賄、入札談合や販売価格拘束等の独占禁止法違反、およびインサイダー取引等の違法行為が発生した場合、多額の課徴金や刑事罰の科刑、社会的信用の失墜を招き、当社グループの経営成績や事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。また、他社の知的財産権侵害に伴う製品の供給停止や損害賠償、内部者による技術情報の漏えいも、経営に甚大な影響を与えるリスクがあると認識しています。対応策:当社グループでは、職務上の適切な権限分離を進めるとともに、定期的な内部監査の実施や内部通報制度の適切な運用により、不正を誘発しない組織的な抑止力を維持しています。また、継続的な教育研修や法務的審査を通じて、公正な取引慣行の徹底と権利侵害の防止に努めています。 ③外部環境に関するリスクⅰ 環境規制の強化経営への影響度:中 / 発生可能性:高リスク:国内外における脱炭素化の進展に伴い、温室効果ガスの排出規制や炭素税等の新たな公課負担を含めた環境関連の法規制が強化される傾向にあります。特に、クリーンルーム等を擁する製造拠点は電力消費量が多く、エネルギーコストの上昇や法遵守コストの増大が、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。対応策:当社グループは、環境負荷の低減を事業継続上の重要課題と捉え、サステナビリティ推進体制のもとで対策を実行しています。具体的には、自社工場への太陽光発電システムの導入等による二酸化炭素排出量の削減に注力しています。また、将来的な法規制強化を見据え、製造工程における排ガス処理装置の適切な運用・設備更新に加え、滅菌工程における環境配慮型の代替技術の調査・研究を継続的に実施しています。 ⅱ 保険償還価格の改定および医療市場の変化経営への影響度:大 / 発生可能性:高リスク:当社グループが販売する医療機器の多くは、特定保険医療材料に指定されており、その価格 (保険償還価格) は政府によって決定されています。医療費抑制策の一環として、保険償還価格は継続的に改定されており、大幅な引下げが行われた場合、当社グループの製品販売価格が下落し、経営成績および財政状態に影響を与えるリスクがあります。2024年6月に実施された改定では、2025年3月期の連結売上高に対して前期比で約2%のマイナス影響がありました。また、少子高齢化に伴う国内市場の構造的縮小や、社会保障財政の悪化に伴う医療保険制度の抜本的な見直しがなされた場合、当社グループの事業モデルや業績に重大な変化をもたらすおそれがあると認識しています。対応策:当社グループでは医療保険制度や保険償還価格の改定に関する改定動向を常に注視するとともに、改定の影響を受けにくい新規性・独自性の高い製品の導入・開発を推進しています。また、国内の市場構造の変化に対しては、グローバル市場への展開加速、製品ラインナップの拡充、および新たな商材の探索を通じて収益基盤の多様化を進めることで、リスクの低減と中長期的な持続可能性の確保に努めています。 ⅲ 大規模災害および不慮の事故経営への影響度:大 / 発生可能性:低リスク:地震、台風、洪水等の自然災害や火災等の不慮の事故により、当社グループまたは取引先の拠点・設備に甚大な被害が発生した場合や、物流インフラの寸断に伴いサプライチェーンの復旧に時間を要する場合、製品の安定供給が困難となり、事業活動が停滞し、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。対応策:当社グループでは、災害防災マニュアルや事業継続基本規程の整備、BCP(事業継続計画)の策定、および社員安否確認システムの導入等の対策を講じています。また、サプライチェーンの寸断リスクに対しては、主要な製品や原材料における仕入先・調達ルートの複線化や適正な在庫水準の維持を進めることで、リスクの低減に努めています。 以下の事項については、現時点で当社グループの経営成績等に与える直接的な影響は一定の範囲内に留まるものと認識しています。しかしながら、将来的な外部環境の不確実性に備え、その動向を継続的に管理・注視しているリスクです。 ⅳ 外国為替相場の変動やインフレーションリスク:仕入商品および自社製品の部材・原材料については、急激な円安の進行やインフレーションに伴う調達コストの上昇が、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。対応策:現時点において、当社グループの商品仕入高の約70%は円建て取引であり、為替変動の直接的な影響は限定的です。外国通貨建ての一部取引については、一定以上の為替変動が生じた際に価格改定を行う為替条項を契約内に設定する等のリスク低減を図っています。また、一時的なコスト増加が発生した場合でも、売上原価の計算に移動平均法を採用しているため、損益に与える影響は長期にわたって平準化される仕組みとなっています。 ⅴ 医療供給体制のひっ迫リスク:国内の医療現場において、循環器内科、心臓血管外科、小児循環器科を志望する若手医師が、その業務の厳しさから減少傾向にあり、今後増加が見込まれる診療ニーズとの乖離が懸念されています。国による看護師や臨床工学技士等への業務移管等の対策は進められているものの、医師不足により将来的に症例数の伸び率が鈍化した際、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。対応策:当社グループでは、手技時間の短縮や医療安全の向上、操作の簡素化に寄与する高度医療機器の積極的な開発・上市を推進しています。これにより、医療従事者の負担軽減と、医療現場の効率化を通じた症例数の維持・拡大を図り、リスクの低減に努めています。

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