8015

豊田通商(8015)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

卸売業 商社・卸売

事業の概要

  • 多角的な商品売買と事業投資
    豊田通商は、自動車関連商品から化学品、食品まで多岐にわたる商品の売買を国内外で行っています。さらに、これらの商品の製造・加工・販売、そして事業投資やサービスの提供も手掛けており、幅広い分野で収益を上げています。特に、世界中のサプライチェーンに深く関わることで、安定した収益基盤を築いています。
  • グローバルな事業展開
    日本だけでなく、世界120以上の国と地域で事業を展開しており、地域ごとのニーズに合わせたビジネスモデルを構築しています。これにより、特定の地域経済の変動リスクを分散し、安定的な成長を目指しています。各地域の市場特性を活かした事業展開が、同社の収益構造を支える重要な要素です。
  • つの営業本部体制
    2024年4月1日からは、メタル+(Plus)、サーキュラーエコノミー、サプライチェーン、モビリティ、グリーンインフラ、デジタルソリューション、ライフスタイル、アフリカの8つの営業本部体制に再編されました。これにより、それぞれの専門分野で事業を推進し、より効率的かつ戦略的な収益拡大を図っています。各本部が連携し、新たな価値創造を目指すビジネスモデルです。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 金属事業
    売上高1兆8182.1億円、営業利益374.45億円。鉄鋼製品、非鉄金属、レアメタルなどの取引や加工、リサイクルを手掛ける事業です。自動車産業をはじめとする幅広い産業に素材を供給しており、安定した需要に支えられています。特に、資源の安定供給と循環型経済への貢献を目指し、持続可能な社会の実現に貢献しています。
  • 自動車事業
    売上高1兆2523.64億円、営業利益379.68億円。自動車の販売、部品供給、アフターサービスなど、自動車関連の幅広い事業を展開しています。グローバルな自動車産業のサプライチェーンにおいて重要な役割を担っており、特に新興国市場での成長が期待されます。モビリティ社会の進化に対応し、新たな価値提供を目指しています。
  • 化学品・エレクトロニクス事業
    売上高1兆9297.4億円、営業利益249.5億円。化学品、合成樹脂、電子部品、半導体などの製品を取り扱っています。多様な産業分野に不可欠な素材や部品を提供しており、技術革新の進展とともに需要が拡大しています。特に、環境配慮型素材や高機能材料の開発・供給にも注力し、持続可能な社会の実現に貢献しています。
FY2016 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Metals 事業 18,182 374 2.1%
GlobalProductionPartsAndLogistics 事業 10,021 217 2.2%
Automotive 事業 12,524 380 3.0%
MachineryEnergyAndProject 事業 16,007 214 1.3%
ChemicalsAndElectronics 事業 19,297 250 1.3%
FoodAndAgribusiness 事業 4,162 36 0.9%
ConsumerProductsAndServices 事業 1,589 50 3.2%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,293 文字
3【事業の内容】 当社グループは、当社及び連結子会社815社・持分法適用会社227社で構成され、国内及び海外における各種商品の売買等を主要事業とし、これらの商品の製造・加工・販売、事業投資、サービスの提供などの事業に携わっております。 当社グループでは、メタル+(Plus)、サーキュラーエコノミー、サプライチェーン、モビリティ、グリーンインフラ、デジタルソリューション、ライフスタイル、アフリカの8営業本部に関係する事業として区分しており、それぞれの事業は、当社の営業本部及び営業本部直轄の関係会社により推進しております。各本部の事業内容は次のとおりであり、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」に掲げるセグメントの区分と同一であります。本部事業内容主な関係会社メタル+(Plus)自動車用鋼板・アルミ板、特殊鋼板・ステンレス鋼板、条鋼鋼管、電磁鋼板、建材 他豊田スチールセンター㈱、Guangqi Toyotsu Steel Processing Co., Ltd.、TT Automotive Steel (Thailand) Co., Ltd.他 43社サーキュラーエコノミー非鉄金属地金、貴金属地金、レアアース・レアメタル、精密無機化学品、軽圧品、伸銅品、電子材料・電池材料、鉄くず、非鉄金属くず、合金鉄、使用済み自動車・部品、廃触媒、自動車構成用部品、再生樹脂、合成樹脂、ゴム、有機化学品、油脂化学品、添加剤、医薬原料 他豊通マテリアル㈱、豊通ケミプラス㈱、Toyotsu Lithium Pte. Ltd.Toyotsu Rare Earths India Private Limited、Radius Recycling, Inc.、三洋化成工業㈱ (持)、KPX Holdings Co., Ltd. (持)他 136社サプライチェーンロジスティクス、モビリティパーツ製造・組付、モビリティアクセサリー開発・設計・販売、テクノパーク、空港運営、環境ソリューション、サプライチェーン・モビリティ関連事業開発 他豊通物流㈱、共和産業㈱、中央精機㈱ (持) 他 73社モビリティ乗用車、商用車、二輪車、トラック、バス、産業車輌、補給部品の輸入・販売事業、販売周辺事業(架装、中古車、販売金融等)、車両組み立て(ノックダウン生産)事業 他Toyota Tsusho South Pacific Holdings Pty Ltd、Toyota Caucasus LLC.、日野セールスサポート㈱ (持)、Purdy Motor, S.A. (持)他 102社グリーンインフラ自動車産業を中心とした製造・物流設備、部品・工具類、建設機械等、風力・太陽光、水力、地熱、バイオマス等の再生可能エネルギー発電事業、バイオ燃料、水素、LNG等各種燃料、カーボンクレジット、石油製品等の事業、電力・空港・港湾等のインフラ事業 他㈱ユーラスエナジーホールディングス、㈱豊通マシナリー、豊田通商マリンフューエル㈱ 他 271社デジタルソリューション自動車用構成部品、半導体・電子部品、モジュール製品、自動車用組込みソフト、ネットワーク構築・保守・運用・ヘルプデスク、情報通信機器、海外ITインフラ輸出、パソコン・周辺機器及び各種ソフトウェア、サイバーセキュリティ、ソフト開発 他㈱ネクスティ エレクトロニクス、エレマテック㈱、㈱トーメンデバイス 他 60社ライフスタイル飼料原料、穀物、加工食品、食品原料、農水畜産物、酒類、保険代理店事業・保険仲介事業、繊維製品、衣料、介護・医療関連用品、建築・住宅資材、オフィス家具、総合病院事業、ホテルレジデンス事業 他PT. Toyota Tsusho Real Estate Cikarang、NovaAgri Infra-Estrutura de Armazenagem e Escoamento Agrícola S.A.、第一屋製パン㈱ (持)、PT. Bungasari Flour Mills Indonesia (持)他 71社アフリカモビリティ(新車及び中古車販売・アフターサービス・生産支援、他)、グリーンインフラ(再生可能エネルギー・港湾開発、他)、ヘルスケア(医薬品の生産・卸売・小売)、コンシューマー(リテール事業の開発、他)CFAO SASAeolus SASToyota Tsusho Manufacturing Ghana Co. Limited 他 220社 その他経理、財務、人事、総務、コンピューター運営・管理等の職能業務 他豊通ヒューマンリソース㈱他 7社現地法人主要な海外拠点において当社と同様に複数の商品を取り扱う商社として多種多様な活動を行っております。Toyota Tsusho America, Inc.、Toyota Tsusho Europe S.A.、Toyota Tsusho (Thailand) Co.,Ltd.、Toyota Tsusho Thai Holdings Co., Ltd.、Toyota Tsusho Asia Pacific Pte. Ltd.、Toyota Tsusho India Private Limited、Toyota Tsusho (Australasia) Pty. Ltd.、Toyota Tsusho (Shanghai) Co., Ltd.、Toyota Tsusho (China) Co., Ltd.他 19社

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
取り扱う相場商品には価格変動のリスクが存在するため
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:カントリーリスク / 世界マクロ経済環境の変化によるリスク / 自然災害等による影響
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

豊田通商はトヨタグループの一員としての信頼性や、長年にわたるグローバルなサプライチェーン構築で培われた信用力は無形資産と言える。しかし、特定の強力なブランドや特許、規制ライセンスに依存する度合いは低い。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

顧客との長期的な取引関係や、サプライヤーとの強固なネットワークは一定のスイッチング・コストを生む。特に、自動車産業や機械産業における部品調達・販売においては、代替サプライヤーへの切り替えには時間とコストがかかる可能性がある。

ネットワーク効果★☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

グローバルなサプライチェーン網は、多くの企業との関係性を構築しているが、プラットフォーム型ビジネスのような直接的なネットワーク効果(ユーザーが増えるほど価値が増す)は限定的である。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

商社としてのスケールメリットによる調達コストの低減や、効率的な物流網の構築はコスト優位性につながる可能性がある。しかし、同業他社も同様の取り組みを行っており、圧倒的なコスト優位性を確立しているとは言えない。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

豊田通商は、自動車、金属、機械、化学品、食品、リテールなど多岐にわたる事業領域でグローバルに事業を展開しており、その規模は業界内でも大きい。特に自動車関連事業におけるトヨタグループとの連携は、規模の経済を活かす上で強力な基盤となっている。

  • グローバルな事業ネットワーク
    豊田通商は世界120以上の国と地域に広がる強固な事業ネットワークを持っています。この広範なネットワークは、多様な商品の調達、販売、物流を可能にし、特定の地域や市場の変動リスクを分散するだけでなく、新たなビジネスチャンスを創出する基盤となっています。特に新興国市場へのアクセスは、他社に対する優位性をもたらしています。
  • 多角的な事業ポートフォリオ
    自動車関連事業を中核としつつも、金属、化学品、食品、エネルギー、デジタルソリューションなど多岐にわたる事業を展開しています。この多角的なポートフォリオは、特定の市場の低迷が全体業績に与える影響を緩和し、安定した収益を確保する上で強みとなります。各事業が相互に連携し、新たな価値を生み出すシナジー効果も期待されます。
  • リスク管理体制の強化
    同社は「リスク管理基本方針」に基づき、財務的な企業体力であるリスクバッファー(RB)とリスクアセット(RA)の均衡を図る「リスクアセットマネジメント」を導入しています。特にカントリーリスクが高い新興国への投資では、貿易保険の活用や国別の上限設定により、過度な集中を防ぐなど、徹底したリスク管理体制が競争優位性を支えています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 企業理念「Be the Right ONE」の追求
    豊田通商グループは「人・社会・地球との共存共栄を図り、豊かな社会づくりに貢献する価値創造企業を目指す」という企業理念を掲げています。この理念に基づき、オープンでフェアな企業活動、社会的責任の遂行、地球環境の保全に努め、顧客、株主、従業員、地域社会などすべてのステークホルダーに満足してもらえる価値提供を目指しています。これは、同社の経営の根幹をなす考え方です。
  • GHG排出削減目標の達成
    同社は「未来の子供たちへより良い地球を届ける」というスローガンのもと、温室効果ガス(GHG)排出削減に貢献する事業を加速・推進しています。具体的には、2030年までにGHG排出量(Scope1, 2)を2019年比で50%削減し、2050年には実質カーボンニュートラルを目指す目標を設定しています。これは、グローバルな脱炭素社会への移行に貢献し、持続可能な成長を実現するための重要な戦略です。
  • つの価値領域での次元上昇
    成長戦略として、モビリティを中心とした「Core Value領域」、資源循環など社会課題解決に貢献する「Social Value領域」、再生可能エネルギーなど地球環境課題解決に貢献する「Nature Value領域」の3つの領域で事業を強化しています。これらの領域を掛け合わせることで新たな事業を創出し、社会や顧客へ唯一無二の価値を提供することを目指しています。多様な社員の力を結集し、サステナブルな成長を追求する方針です。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)経営方針 当社グループは、持続的な企業価値向上に向け、Mission・Vision・Values(MVV)を経営の根幹として位置付けております。Missionである「未来の子供たちにより良い地球を届ける」の実現を目指し、地球課題の解決と事業成長の両立を図っております。またVisionとして掲げる「Be the Right ONE(唯一無二の存在)」の基、当社ならではの価値創出を追求し、ステークホルダーから選ばれ続ける企業を目指してまいります。さらに、Valuesとしての「豊田通商DNA(Humanity、Gembality、Beyond)」を全ての事業活動の基盤とし、一人ひとりの行動につなげることで、グループ一体となった競争力の発揮と中長期的な成長の実現を図ってまいります。 (2)経営環境 地政学面では、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、米中関係に加え、中東情勢等を背景とする海上輸送の混乱は、物流コストやリードタイムの変動要因となるなど国際情勢の変化や安全保障を巡る動きは先行きが見通しづらくなっております。地球温暖化に伴う気候変動、自然災害の増加などは、かつてない速度と規模で変化しております。また、生成AI登場以来、AIは破壊的なスピードで進化しており、事業環境の転換を迫られるなど、不確実性の高い状況が続いております。 (3)経営戦略等 当社グループは、2025年4月に発表した中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)において、次元上昇による企業価値向上を目指すことを掲げました。具体的な指標としては、PBRを重視しております。収益性・資本効率性を示すROEと、成長期待値を示すPERの両面から改善を図ることで、PBRの向上を目指しております。その具体的な打ち手として、4つの次元上昇(成長戦略、財務・資本戦略、人財・組織戦略、サステナビリティ戦略)を通じて、異能の総合商社として持続的な成長を実現してまいります。 (4)事業上及び財務上の対処すべき課題 当社グループは成長戦略の実現を目指し、事業を通じた地球課題の解決に取り組んでおります。サプライチェーンにおいては、半導体やその原材料となるレアアース等の安定した調達が課題として顕在化しており、複数拠点によるサプライチェーンの構築が、企業の競争力と社会的責任の両面で不可欠となっております。このような状況の中でも、当社グループは、原材料の調達にとどまらず、リサイクルを含むサプライチェーン全体を守り、事業をつなぎ続ける存在として、その責任を果たしてまいります。 また、市場やお客様が必要とする多様な選択肢を提供し、選ばれ続ける存在であるために、モビリティを中心とした基盤ビジネスだけでなく、サーキュラーエコノミーやアフリカのビジネスに対しても積極的に投資を行ってまいります。 社会の変化に対して素早く、かつ柔軟に対応するためには、「人財・組織」の次元上昇も非常に重要なテーマであります。世界130ヵ国以上の多様性に富む7万人の社員一人ひとりが、それぞれの異能を持ち寄り、挑戦しながら前に進むことが必要であり、当社グループは、その集合体として生命体のように進化し続ける組織でありたいと考えております。「未来の子供たちにより良い地球を届ける」というミッションの基、他に類を見ない異能を発揮する「7万人の大旅団」として持続的な成長を実現してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)経営方針 当社グループは、持続的な企業価値向上に向け、Mission・Vision・Values(MVV)を経営の根幹として位置付けております。Missionである「未来の子供たちにより良い地球を届ける」の実現を目指し、地球課題の解決と事業成長の両立を図っております。またVisionとして掲げる「Be the Right ONE(唯一無二の存在)」の基、当社ならではの価値創出を追求し、ステークホルダーから選ばれ続ける企業を目指してまいります。さらに、Valuesとしての「豊田通商DNA(Humanity、Gembality、Beyond)」を全ての事業活動の基盤とし、一人ひとりの行動につなげることで、グループ一体となった競争力の発揮と中長期的な成長の実現を図ってまいります。 (2)経営環境 地政学面では、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、米中関係に加え、中東情勢等を背景とする海上輸送の混乱は、物流コストやリードタイムの変動要因となるなど国際情勢の変化や安全保障を巡る動きは先行きが見通しづらくなっております。地球温暖化に伴う気候変動、自然災害の増加などは、かつてない速度と規模で変化しております。また、生成AI登場以来、AIは破壊的なスピードで進化しており、事業環境の転換を迫られるなど、不確実性の高い状況が続いております。 (3)経営戦略等 当社グループは、2025年4月に発表した中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)において、次元上昇による企業価値向上を目指すことを掲げました。具体的な指標としては、PBRを重視しております。収益性・資本効率性を示すROEと、成長期待値を示すPERの両面から改善を図ることで、PBRの向上を目指しております。その具体的な打ち手として、4つの次元上昇(成長戦略、財務・資本戦略、人財・組織戦略、サステナビリティ戦略)を通じて、異能の総合商社として持続的な成長を実現してまいります。 (4)事業上及び財務上の対処すべき課題 当社グループは成長戦略の実現を目指し、事業を通じた地球課題の解決に取り組んでおります。サプライチェーンにおいては、半導体やその原材料となるレアアース等の安定した調達が課題として顕在化しており、複数拠点によるサプライチェーンの構築が、企業の競争力と社会的責任の両面で不可欠となっております。このような状況の中でも、当社グループは、原材料の調達にとどまらず、リサイクルを含むサプライチェーン全体を守り、事業をつなぎ続ける存在として、その責任を果たしてまいります。 また、市場やお客様が必要とする多様な選択肢を提供し、選ばれ続ける存在であるために、モビリティを中心とした基盤ビジネスだけでなく、サーキュラーエコノミーやアフリカのビジネスに対しても積極的に投資を行ってまいります。 社会の変化に対して素早く、かつ柔軟に対応するためには、「人財・組織」の次元上昇も非常に重要なテーマであります。世界130ヵ国以上の多様性に富む7万人の社員一人ひとりが、それぞれの異能を持ち寄り、挑戦しながら前に進むことが必要であり、当社グループは、その集合体として生命体のように進化し続ける組織でありたいと考えております。「未来の子供たちにより良い地球を届ける」というミッションの基、他に類を見ない異能を発揮する「7万人の大旅団」として持続的な成長を実現してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)業績等の概要①経営環境 当連結会計年度の世界経済を概観いたしますと、米国の関税措置に端を発する通商政策の不透明感が年間を通じて影を落としましたが、景気は概ね堅調を維持いたしました。一方で、中東やウクライナでの紛争による緊張が不確実性と結び付き、原油や天然ガス等、エネルギーの供給懸念が高まる等、世界経済の見通しへ重石となりました。 米国経済は、良好な所得環境と株高による資産効果を背景に、年度前半では堅調な個人消費に支えられ高い成長を記録したものの、年度後半には関税引き上げに伴う物価上昇や雇用情勢の悪化等が個人消費を下押しし、景気拡大ペースは鈍化いたしました。欧州経済は、米国の関税措置が輸出の重石となったものの、好調な観光業や底堅い民間消費が下支えし、持ち直しの動きが見られました。中国経済は、2025年通年での経済成長率は政府目標を達成したものの、不動産市場や耐久消費財の買い替え等の内需を中心に停滞感が強く、実勢では景気は弱含みました。新興国経済は、内需が堅調なインドやAIブーム等を背景に対米輸出が拡大したベトナムを中心に堅調に推移するも、米国の関税措置により先行き不透明感が残りました。 こうした中、わが国経済は、米国の通商政策等による影響が残るものの、1月の実質賃金ではプラスに転じる等、緩やかに回復いたしました。一方、中東情勢の緊迫化による原油価格の高騰、円安加速による物価高の継続、日中関係の緊張等、今後に懸念も残りました。 ②セグメント別の事業活動(Ⅰ)メタル+(Plus) 2025年4月に、CO₂排出量が従来よりも極めて少ない方法で製造される「グリーンスチール」の原料となる電解鉄を製造する、米国のElectra Steel Inc.に出資いたしました。鉄鋼業界において製造工程での脱炭素化が重要な課題となる中、本出資を通じて鉄鋼業界及び自動車業界におけるグリーンスチールの普及を支援しております。2025年8月に開催された第9回アフリカ開発会議(TICAD9)においてもナミビア政府と覚書を締結する等、持続可能で一貫したサプライチェーンの構築を加速してまいります。(Ⅱ)サーキュラーエコノミー 2025年7月に、米国Radius Recycling, Inc.(以下「Radius社」という。)の全株式の取得を完了し、完全子会社化いたしました。Radius社は米国、カナダ等に100か所を超える再生資源回収拠点に加え、米国オレゴン州に電炉を保有しております。これらのRadius社の強みと当社が長年培ってきた「再資源化機能」「再資源化技術」「品質管理・クローズドループの構築」を融合し、「金属スクラップ」「ELV(使用済み自動車)」「車載用電池」の3領域を中心にシナジーを創出することで、循環型静脈事業の更なる拡大を図るとともに、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを加速してまいります。(Ⅲ)サプライチェーン 2026年2月に、㈱アイシン、Minth Group Limited、当社の3社は、米国市場における車載用アルミボデー骨格部品の供給体制強化を目的として、カナダ・オンタリオ州にアルミボデー骨格部品の生産を行う合弁会社ATM Automotive Parts Inc.を設立いたしました。アルミ押出成形技術によって製造される、バッテリーEVやプラグインハイブリッド車に搭載される電池を安全かつ効率的に保持・固定するための構造部品の需要は着実に増加しております。両社の技術・ノウハウを融合し、更に合弁会社の運営に当社が加わることで、米国において高品質かつ高効率なものづくりを実現し、競争力のある生産体制の確立を図ってまいります。(Ⅳ)モビリティ 当社は、2026年2月に、オーストラリアにおいて中古車の買取・販売事業を展開するMCT Automotive Group Pty Ltdを、現地法人であるToyota Tsusho (Australasia) Pty. Ltd.を通じて買収いたしました。同国の中古車市場は、継続的な人口増加を背景に、今後も堅調な需要拡大が見込まれております。今回の完全子会社化を通じて、当社がこれまで培ってきたモビリティ・バリューチェーンの知見・ノウハウとMCT Automotive Group Pty Ltdのオンラインを活用した買取・販売の強みを最大限活用し、お客様の安心・安全なカーライフの実現に貢献してまいります。(Ⅴ)グリーンインフラ 当社グループで再生可能エネルギー事業を手掛ける㈱ユーラスエナジーホールディングスは、2025年4月にテラスエナジー㈱と経営統合し、国内でNo.1の風力・太陽光の発電容量を有する発電事業者となりました。また、「再エネや蓄電池を統合制御するサービスプラットフォーム」や「お客様に安定的に再エネを届ける仕組み」を構築し、再エネを「つくる」だけでなく、「集める・整える」「届ける」までバリューチェーンを拡大し、カーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。(Ⅵ)デジタルソリューション 当社と当社グループの㈱ユーラスエナジーホールディングスは、送電網の負荷軽減、再生可能エネルギーの導入拡大と地産地消の促進、更にデータセンターの地方分散に貢献し、地域におけるエネルギーとデジタルインフラの新たな価値創出を実現するため、北海道稚内市において、風力発電由来の再生可能エネルギーを活用したグリーンデータセンター事業「宗谷グリーンデータセンターI」を開始いたします。本事業では、ユーラスエナジーグループが運営する樺岡ウインドファームに隣接するデータセンターを建設し、樺岡ウインドファーム直結で「生グリーン電力」を供給いたします。2026年4月に着工し、2027年中の本格稼働を目指してまいります。(Ⅶ)ライフスタイル 2026年3月に、当社は第34回地球環境大賞において、「日本経済団体連合会会長賞」を受賞いたしました。廃漁網を100%再生したナイロン素材ブランド「NetPlus®」を活用した資源循環事業において、米国のBureo Inc.及び千葉県のEllange㈱と協働し、日本における廃漁網リサイクルスキームを推進する取り組みが、本表彰制度での受賞につながりました。当社は、2023年にBureo Inc.へ出資し、「NetPlus®」の販路構築や製品開発等、商用パートナーとして協働しております。今後は、日本国内で生産されるリサイクルナイロン素材を幅広い産業へ展開し、商品化を進めることで、海洋汚染改善、資源循環の推進及び温室効果ガス排出量削減への貢献を目指してまいります。(Ⅷ)アフリカ 2025年12月に、CFAO SAS傘下のTOYOTA TSUSHO MANUFACTURING GHANA CO. LIMITEDは、ガーナにおけるトヨタ自動車㈱及び日野自動車㈱の代理店事業を譲り受けました。これにより、アフリカにおける当社グループによる直営のトヨタ自動車㈱の代理店は36カ国目となります。TOYOTA TSUSHO MANUFACTURING GHANA CO. LIMITEDは、車両組立に加え、販売機能を新たに有することで、製造から販売までを担っております。今後、アフターサービスや保険事業を含むモビリティバリューチェーンの強化を通じ、ガーナ及びアフリカにおける持続的な事業成長を目指してまいります。 ③業績 (単位:億円) 前連結会計年度(2025年3月期)当連結会計年度(2026年3月期)増減収益103,095115,61912,524売上総利益11,21112,6441,433営業活動に係る利益4,9715,452481当期利益(親会社所有者帰属)3,6253,70580総資産70,57485,23614,662 (2)仕入、成約及び販売の実績①仕入の実績 仕入と販売との差額は僅少であるため、記載は省略しております。 ②成約の実績 成約と販売との差額は僅少であるため、記載は省略しております。 ③販売の実績 「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ③業績」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記4.セグメント情報」を参照してください。 (3)経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表を作成するに当たり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に記載しております。また、重要な見積り及び判断については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。 ②当連結会計年度の経営成績の分析 当社グループの当連結会計年度の収益は、自動車販売の増加及び自動車生産関連の取り扱い増加等により、前連結会計年度を1兆2,524億円(12.1%)上回る11兆5,619億円となりました。 利益につきましては、営業活動に係る利益は、販売費及び一般管理費の増加の一方で、売上総利益の増加等により、前連結会計年度を481億円(9.7%)上回る5,452億円となりました。当期利益(親会社の所有者に帰属)は、営業活動に係る利益の増加等により、前連結会計年度を80億円(2.2%)上回る3,705億円となりました。 セグメントごとの業績は、次のとおりであります。 (Ⅰ)メタル+(Plus) 当期利益(親会社の所有者に帰属)については、北米を中心とした自動車生産関連の取り扱い増加の一方で、鋼材価格の下落等により、前連結会計年度を3億円(0.7%)下回る431億円となりました。(Ⅱ)サーキュラーエコノミー 当期利益(親会社の所有者に帰属)については、資源市況の上昇の一方で、一過性要因等により、前連結会計年度を21億円(4.5%)下回る448億円となりました。(Ⅲ)サプライチェーン 当期利益(親会社の所有者に帰属)については、豪亜を中心とした自動車部品の取り扱い増加等により、前連結会計年度を36億円(7.2%)上回る528億円となりました。(Ⅳ)モビリティ 当期利益(親会社の所有者に帰属)については、豪亜を中心とした海外自動車販売台数増加等により、前連結会計年度を66億円(11.5%)上回る639億円となりました。(Ⅴ)グリーンインフラ 当期利益(親会社の所有者に帰属)については、国内発電事業における一過性損失等により、前連結会計年度を186億円(51.0%)下回る179億円となりました。(Ⅵ)デジタルソリューション 当期利益(親会社の所有者に帰属)については、デバイス関連の取り扱い増加及びICT事業における案件増加等により、前連結会計年度を32億円(10.5%)上回る339億円となりました。(Ⅶ)ライフスタイル 当期利益(親会社の所有者に帰属)については、国内不動産事業における一過性利益等により、前連結会計年度を54億円(34.6%)上回る207億円となりました。(Ⅷ)アフリカ 当期利益(親会社の所有者に帰属)については、西アフリカ地域を中心とした自動車販売台数増加等により、前連結会計年度を145億円(18.2%)上回る940億円となりました。 次期の業績の見通しにつきましては、当期利益(親会社の所有者に帰属)は4,000億円となる見込みであります。 ③財政状態 資産につきましては、現金及び現金同等物で4,519億円、棚卸資産で4,444億円、有形固定資産で2,769億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ1兆4,662億円増加の8兆5,236億円となりました。また、資本につきましては、FVTOCIの金融資産が752億円減少した一方で、当期利益(親会社の所有者に帰属)等により利益剰余金が4,460億円、在外営業活動体の換算差額が1,490億円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ5,553億円増加の3兆3,011億円となりました。 その結果、親会社所有者帰属持分比率(自己資本比率)は37.0%、ネットDERは0.3倍となりました。 ④資本の財源及び資金の流動性についての分析(a)キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による増加、投資活動及び財務活動による減少等により1兆4,037億円となり、前連結会計年度末より4,519億円の増加となりました。資金の増減額は前連結会計年度と比べて3,207億円の増加となっており、この主な増加または減少要因は以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において、営業活動による資金の増加は4,611億円となりました。これは税引前利益等によるものであります。前連結会計年度比では507億円の収入減少となりましたが、これは主に運転資本が1,714億円増加したこと等によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は281億円となりました。これは有形固定資産及び子会社の取得による支出等によるものであります。前連結会計年度比では957億円の支出減少となりましたが、これは主に投資の売却等による収入が2,502億円増加したこと等によるものであります。 以上の結果、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは4,330億円の資金の増加となりました。前連結会計年度比では450億円の増加となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において、財務活動による資金の減少は332億円となりました。これは主に配当金の支払いによる支出等によるものであります。前連結会計年度比では2,758億円の支出減少となりました。 (b)財務戦略 当社グループでは、財務健全性を維持した安定的成長を目指して、「資産の効率化」と「資産の内容に見合った調達」を柱とする財務戦略を推進しております。 「資産の効率化」については、“最小限の資金で最大限の利益確保”を目指し、売掛債権回収の早期化、在庫の削減等による運転資本の効率化や不稼動・非効率固定資産の削減など、資金の効率化を進めております。これらの活動により得られる資金を、より将来性の高い事業への投資や、有利子負債の圧縮に充当することにしており、“企業価値の向上”と“財務の健全性向上”の両立を目指しております。 一方、「資産の内容に見合った調達」については、固定資産は長期借入金と株主資本でカバーし、運転資本は短期借入金でカバーすることを原則としておりますが、同時に運転資本の底溜り部分も長期資金でまかなうことを方針としております。また、連結ベースでの資金管理体制については、親会社からの国内グループファイナンスに一元化するとともに、海外子会社の資金調達についても、アジア及び欧米の海外現地法人などにおいて集中して資金調達を行い、子会社への資金供給をするというキャッシュマネジメントシステムを活用したグループファイナンスを行うことで、連結ベースでの資金の効率化に努め、資金管理体制の更なる充実を図っております。更には、当社グループの資金調達の安全のため、マルチカレンシー・リボルビング・ファシリティー(複数通貨協調融資枠)等を設定するなど、不測の事態にも対応できるように備えております。 今後の資金調達について、当社グループの営業活動が生み出すキャッシュ・フロー、資産の内容、経済情勢、金融環境などを考慮し、資産の一層の効率化と安定的な資金調達に対応していきたいと考えております。 当連結会計年度末の流動比率は連結ベースで160%となっており、流動性の点で当社の財務健全性を維持しております。また、当社及び連結子会社では、主として現預金及び上述コミットメントラインの設定により、十分な流動性を確保しております。 当連結会計年度末時点での当社の長期及び短期の信用格付けは次のとおりであります。 長期短期格付投資情報センター(R&I)AA-(安定的)a-1+スタンダード&プアーズ(S&P)A(安定的)A-1ムーディーズ(Moody's)A3(安定的)-

事業リスク

  • カントリーリスク
    豊田通商は海外の多岐にわたる地域で事業を展開しているため、各国の政治情勢、政府規制、経済状況の変化が事業に影響を与える可能性があります。例えば、資金移動の規制や政情不安は、製品の製造・購買や投資の損失につながる恐れがあります。貿易保険や国別の上限設定でリスクを低減していますが、完全に回避することは難しく、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 世界マクロ経済環境の変化
    世界的な景気後退や地政学的な緊張(ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢など)は、個人消費や設備投資の低迷を引き起こし、自動車関連商品やその他の商品の販売に悪影響を与える可能性があります。特に、同社が主要事業とする自動車関連分野は景気変動の影響を受けやすいため、世界経済の動向が経営成績や財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
  • 自然災害・パンデミック
    地震、台風、テロ、パンデミックなどの予期せぬ事態は、サプライチェーンの寸断、事業活動の停止、従業員の安全確保に影響を及ぼす可能性があります。同社は事業継続計画(BCP)を策定し、対策を講じていますが、大規模な災害が発生した場合、事業継続が困難になり、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|9,997 文字
3【事業等のリスク】(1)当社グループのリスク管理①リスク管理基本方針 当社グループは、「リスク管理基本方針」において「リスク」を「業務に不測の損失を生じさせ、当社グループの財産、信用等を毀損する可能性を有するもの」と定義し、業務から生じる様々な「リスク」について認識・検討を行い、経営の安全性を確保し、企業価値を高めるため、適切かつ統制された範囲内でリスクを取ることを基本的な考え方としております。 また、同方針に基づき、連結ベースのリスクエクスポージャー(RA元本)に与信格付やカントリーリスク等に基づく最大予想損失率であるリスクウェイト(RW)を乗じてリスクアセット(RA)を算出し、当社の財務的な企業体力であるリスクバッファー(RB) との均衡を図る「リスクアセットマネジメント」に取り組んでおります。 財務基本方針である「RA÷RB<1.0」を堅持するため、投資パイプライン等を踏まえたRA÷RBのシミュレーションを行い、投資と財務健全性の両立を図っております。相対的にカントリーリスクが高い新興国へのエクスポージャーについては、NEXI(㈱日本貿易保険)の保険等によるリスクヘッジの他、リスクバッファーに応じて国別の上限値を設定し、特定国への過度な集中を防ぐカントリーリスク管理を行っております。 また、取引審査や投資案件の協議ではRVA(Risk adjusted Value Added)による評価を実施し、リスクに対する十分なリターン確保の意識付けを図っております。 これらの取り組みによるRAの管理とRBの継続的な積み上げの結果、2026年3月期は引き続きRAがRBの範囲内(RA÷RB=0.6<1.0)となっており、健全かつ安定した財務体質を維持しております。 [地域別RAの分散状況(2026年3月末)] ②リスク管理体制 リスク管理基本方針を具体的に遂行する体制として、COSO-ERMフレームワークなどの考え方を参考に、従来各リスクに対してリスク主管部が個別に行ってきたリスク管理に加えて、よりグローバルなリスク管理を推進するため、2020年4月に「統合リスク管理委員会」を発足いたしました。同委員会は、CFOを委員長とし、海外各地域のリスク担当ヘッドである地域CFOを中心に、営業本部企画部長や各リスク主管担当役員・部長により構成されております。 当社グループの経営に重大な影響を及ぼすリスクを明確化し、経営目標に関する全社的な重要リスクの特定及び対応方針の協議・決定と、リスク管理プロセスの有効性検証を行い、社長への報告及び取締役会へリスクマネジメントに関する議題の提言を行っております。取締役会はその提言に基づいてリスク管理プロセスの有効性を継続的に監督し、変更が必要な場合は適切な措置を講じております。 [当社グループのリスクマネジメント体制] (注)2026年3月現在 同委員会では、「Check10」「安全とコンプライアンス総点検」「戦略/BCP」「サステナビリティ」の4つの活動を通じてリスク管理を推進しております。 まず、「Check10」は当社として特に注力すべき10のリスク項目を抽出し、毎年各リスクに対してグループ会社各社が当該項目の達成度を自己点検し、グループ会社の所在する地域の中心となる地域統括部門が点検結果をレビュー、その結果を踏まえてグループ会社各社が改善活動を行う仕組みであります。Check10では、リスク項目ごとにリスクの大きさと管理体制の2軸評価による評点を付けてヒートマップを作成、グループ会社各社のリスク項目ごとのリスク管理状況を視える化することで、脆弱な部分をあぶり出し、適切に改善策を打つことを狙いとしております。改善には必要に応じてリスク主管部が支援を行っております。 「安全とコンプライアンス総点検」は、当社グループ全体で共有している「安全とコンプライアンスはすべての仕事の入口」との価値観に基づき、当社単体の全部署・国内外拠点及びグループ会社各社において、自部署・自社の事業運営に必要な許認可・登録等の取得状況、並びに法令等に基づく品質・認証基準の遵守状況の点検を自ら実施するとともに、そのプロセスと結果を所管本部の役員等が現地現物でチェックする活動であります。「Check10」と「安全とコンプライアンス総点検」の活動を拡充することにより、本社のリスク主管部とグループ会社各社の連携強化のみならず、当該地域内での関係強化も図り、連結ベースでの統合的なリスク管理体制の構築を図っております。 「戦略/BCP」の取り組みについては、外部環境の変化に伴う不確実性の高まりにより、当社への事業影響が増加する中、外部環境(PEST)分析を基にして事業戦略及びBCPに与えるリスクと機会を考察の上、シナリオごとの対策を講じてまいります。 「サステナビリティ」の取り組みについては、サステナビリティに関連するリスク・機会について当社の成長戦略と連動させることを目的とした分析と対策を講じてまいります。 以上のとおり、当社グループ事業遂行上に存在する重要性・緊急性の高いリスクを要素ごとに分類し、それぞれの性質に応じた社内管理体制を構築し、統合リスク管理委員会へ報告するプロセスを適切に遂行してまいります。 [Check10のリスク項目] [Check10 リスク影響度と管理体制による2軸評価] [リスク評価結果(ヒートマップ)のイメージ] (2)個別のリスクについて 当有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的であると判断したものであります。<全社管理が必要なリスク>①カントリーリスク 当社グループは、海外の多岐の地域にわたり、商取引及び事業活動を行っており、各国の政府による規制・政治的不安・資金移動の規制等による製品の製造・購買に伴うリスクに加え、投資の損失またはその他の資産が毀損するリスクが存在しております。当社グループは、カントリーリスクが高い国における商取引及び投資については、貿易保険等によりリスクを低減することに努めております。また、最大想定損失額であるリスクアセットの上限値を各国ごとに設定し、定めた上限値の範囲内に抑えることで、特定の地域または国に対するリスクの過度な集中を防ぐことに努めております。しかしながらこうした管理やヘッジ策を講じていてもなお、取引先所在国や当社グループが事業活動を行う国の環境の悪化によるリスクを完全に回避することは難しく、状況によっては債権回収や事業遂行の遅延・不能等により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ②世界マクロ経済環境の変化によるリスク 当社グループは、国内及び海外における自動車関連商品、その他各種商品の販売を主要事業として、これらの商品の製造・加工・販売、事業投資、サービスの提供等多岐にわたる事業を行っております。このため、日本及び関係諸国の政治経済状況の影響を受けております。ロシア・ウクライナや中東情勢、米国や中国等の影響による世界的な景気後退に伴う個人消費や設備投資の低迷が、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③自然災害等による影響について 2011年3月の東日本大震災と同年10月のタイ大洪水でサプライチェーンが深刻な影響を受けたため、2012年4月に専門組織として総務部内にBCP推進室を設置いたしました。現在はコンプライアンス・危機管理部の危機管理・BCM推進室が、「豊田通商グループ事業継続基本方針」に従い、地震、台風等の自然災害、テロ、パンデミック等、あらゆるシナリオにおいても社員が出社不可、本社が入館不可、IT使用不可、長期停電のように重要な経営資源が使用不可になった場合のリスクへの対応として、国内外210事業でオールハザードの事業継続計画(BCP)により平時の対策と有事の対策を文書化し、事業継続マネジメント(BCM)の運用を実施しております。また、毎年3月と9月には、大規模地震によって名古屋本社または東京本社が重度に被災するシナリオで状況付与訓練(参加者にシナリオを開示せず臨機応変に対応させる訓練)を実施し、災害対策初動マニュアル並びに対策の継続的改善を実施しております。しかしながら、地震・洪水等の自然災害により、当社グループの事業活動に支障が生じ、追加の対策コストが必要となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④特定の販売先への依存 当社グループの収益のうち、トヨタ自動車㈱グループへの収益が占める比率は20.0%であります。従いまして、トヨタ自動車㈱グループとの取引の動向が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤金利変動リスク 当社グループは、営業債権等による信用供与・有価証券取得・固定資産取得等のために金融機関からの借入及びコマーシャル・ペーパー、社債の発行等により事業資金を手当てしておりますが、一部が変動金利条件となっており、金利上昇局面では利息負担が増加するリスクがあります。ただし、その相当部分は、変動による影響を転嫁できる営業資産に見合っております。また当社グループでは、アセット・ライアビリティ・マネジメント(ALM)を通じて金利変動リスクをミニマイズすべく取り組んでおりますが、完全に金利変動リスクを回避できるものではなく、今後の金利動向によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 ⑥上場有価証券の価格変動リスク 当社グループは、取引先との関係維持・強化、事業収益拡大及び企業価値向上を目的に、活発な市場で取引されている有価証券を保有しております。活発な市場で取引されている有価証券は価格変動の影響を受けることがあり、価格下落の場合には当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 <Check10にて注視しているリスク>①商品リスク 当社グループが取り扱う非鉄金属・レアアース・食料・繊維等の相場商品には価格変動のリスクが存在いたします。そのため、商品ごとにポジション限度枠を設定し、限度枠内での運用状況を定期的にモニタリングしております。こうした価格変動のリスクを低減する施策を講じておりますが、必ずしも価格変動リスクを完全に回避できるものではなく、商品市況や相場の動向によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 ②信用リスク 当社グループは多様な営業活動により生じた国内外の取引先に対する金銭債権回収に関するリスクが存在いたします。こうした信用リスクに対応するため、当社グループでは取引先に対し、売掛金・前払金等の取引種別ごとに債権限度、約定限度枠を設定、全社システムによりグループの信用リスクを把握しております。また、財務内容を基にした当社独自基準の格付(8段階)を定め定期的に取引先の状況を確認し、低格付の取引先に対しては、取引条件の見直し、債権保全、撤退等の取引方針を定め、個別に重点管理を行い、損失発生の防止に努めております。このような与信管理を行っておりますが、取引先の財務内容が悪化した場合や予期せぬ事態発生によるリスクを完全に回避することは難しく、取引先の倒産等による債権回収が困難となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③事業投資リスク 当連結会計年度末現在、当社は815社の連結子会社及び227社の持分法適用会社を有しており、既存提携関係の強化や新規提携を行うことにより既存事業の拡大や機能強化または新規事業への参入を目指しております。 当社グループの投資スタンスは、短期的な利益を狙うのではなく中長期的に事業を育て、当社グループのバリューチェーンの拡大・強化につながるような戦略的投資を基本としております。「当社ならでは」の強みを発揮できる事業に経営資源を集中するため、全社方針を踏まえて営業本部の方針や投資パイプラインを方針会議で協議し、一定額を超える投資は投資戦略会議で戦略性・優先順位付けを協議し、推進可否の見極めを行っております。 投資案件の検討過程では、コーポレート部門が専門的観点で事業計画を検証しております。投資案件ごとにリスク評価と低減策の協議・意見出しを行い、投融資協議会・委員会の議論を経て最終的な機関決定に至っております。また、投資意思決定の迅速化を目的に、一定の条件や金額的重要性に応じた決裁権者の設定や、国内外の一部の関係会社への決裁権限の委譲を進めております。投資実行後は、課題のある案件について、コーポレート部門と営業本部共働で課題の進捗管理・支援を継続的に実施しております(チェック&サポート活動)。また、業績悪化兆候、事業計画進捗、撤退条件等の投資モニタリングを実施し、計画どおりに進行していない案件に対する再建・撤退ルールを厳格に運用しております。 当社はかねてより、投下資本(使用資金)に求める期待収益率(使用資金コスト率)を超えた付加価値を測る TVA(※1)とリスクを測るRVA(※2)を投資の定量評価指標に活用しておりました。 企業価値への貢献度を評価できるTVAを活用しつつ、投下資本から生まれるリターンの効率性をより強く意識するため、投資案件審議のKPIとしてROIC(※3)を採用しております。ROICと対比関係にある「使用資金コスト率」は、株主資本と有利子負債のコストの加重平均としております。株主資本を当社のROE目標を意識したコストとして設定することで、資金効率の改善や利益率の改善、売上拡大を通じたROIC向上が、ROE目標達成に結びつくよう設計しております。また、カントリーリスクに応じた調整を加えることで、グローバルな当社の事業に応じた目線設定を行っております。 しかしながら、事業環境の変化や技術革新、その他不測の事態により投資先企業の価値または株式の市場価値が低迷した場合には、当社グループが投資金額の全部もしくは相当部分を失う、またはこれらの投資先企業に対する追加の資金提供を余儀なくされることがあります。このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 [投資サイクル] ※1 TVA:Toyotsu Value Achievementの略称=(基礎収益-利息収支)×(1-各国税率)-使用資金× 国別使用資金コスト率 -基礎収益とは、営業活動以外から発生した、非経常的で臨時的、かつ多額の損益を調整した税引前 当期利益であり、営業本部・事業体の「稼ぐ力」を示す -国別使用資金コスト率とは、営業活動・事業活動に要する使用資金から生じる、国別資本コストと 国債利回りの加重平均によるコスト率を示す※2 RVA:Risk adjusted Value Addedの略称=税引後基礎収益-リスクアセット×リスクコスト率 -リスクアセットとは、不測の事態が起こった場合に発生し得る最大予想損失額 -リスクコスト率とは、当社の株主資本利益率(ROE)目標値13%以上を目線とした株主期待収益率※3 ROIC:Return on Invested Capitalの略称=(基礎収益-利息収支)×(1-各国税率)÷使用資金 ④外国為替リスク 当社グループが行っている商品の売買及び投資活動等のうち、外国通貨建ての取引については、外国為替の変動による影響を受けることがあります。当社グループはこうした外国為替のリスクを一定程度まで低減するよう為替予約等によるヘッジ策を講じておりますが、必ずしも完全に回避できるものではありません。 また、当社は海外に多くのグループ会社が存在しており、各社の財務諸表を円貨に換算する際に、為替変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 ⑤資金調達リスク 当社グループは、事業資金を国内外の金融機関からの借入及びコマーシャル・ペーパー、社債の発行等により調達しているため、金融市場の混乱や格付機関による当社信用格付けの大幅な引き下げ、取引金融機関の融資方針変更等の事態が生じた場合、当社グループの資金調達に制約が課される可能性や、調達コストが増加する可能性があります。そのため、資産構成に合わせた最適資金調達を行うと同時に、長期資金の返済・償還時期の分散を図ることで借り換えリスクの低減を図っております。また、現預金、コミットメントライン等の活用により、安定的な流動性を確保すると同時に、金融機関との良好な取引関係の維持に努めておりますが、リスクを完全に回避できるものではありません。このようなリスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥人事労務リスク・人権リスク(a)人事労務リスク 当社グループは、各国・各地域で事業を行うにあたり、本社及び海外拠点にて研修実施やツールの提供などによる労務管理知識向上や事業継続計画(BCP)整備による体制強化を働きかけておりますが、ストライキなどの労働争議を原因として操業が停止・制限される事態が発生した場合には、サプライチェーンや当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (b)人権リスク 当社グループは、各国・各地域で事業を行うにあたり、全連結子会社への人権デューデリジェンスを通じた人権尊重に取り組んでいる他、国連「世界人権宣言」を含む国際人権章典、「ビジネスと人権に関する指導原則」などの国際基準に則った「豊田通商グループ人権方針」を定め、サプライヤーを含む全てのビジネスパートナーの皆様に対し、当該方針を遵守いただくことを働きかけております。しかしながら、不測の事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑦情報セキュリティリスク 当社グループは、トヨタグループ及び豊田通商グループ標準の情報セキュリティ規程・ガイドラインを制定し、グループ全体の対応状況の可視化と継続的な改善を実施しております。また、本ガイドラインに合わせ、ネットワークやメールセキュリティ等のITインフラ領域については、システム共通化によって、グループ全体で効率的に有効性を高める施策を実施しております。サイバー攻撃対応体制も構築し、定常的に製品脆弱性情報やセキュリティ事故等の脅威情報の収集と、迅速な対策・予防措置を実施しております。また、昨今のサイバー攻撃トレンドに鑑み、攻撃を受けた際に被害を最小化する施策として、常時通信監視及び端末のふるまい監視・自動隔離を導入しております。しかしながら、外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピューターウイルス侵入等による機密情報・個人情報の漏洩、設備・通信障害等による情報システム停止等の可能性は排除できず、この場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑧コンプライアンスリスク 当社グループは、国内外において多岐にわたる事業を行っており、日本における会社法、税法、独占禁止法、金融商品取引法、贈収賄関連諸法、安全保障貿易管理等貿易関連及び制裁関連諸法等の各種法令、事業活動を行う各国・地域の各種法令・規制といった様々な分野における広範な法律及び規制に服しております。当社では、役職員の職務の執行がこれら法令、規制及び企業倫理に適合することをコンプライアンスの基本方針としております。コンプライアンス専任部署であるコンプライアンス・危機管理部は、同部をハブとしたグローバルネットワークを通じてグループ全体のコンプライアンス体制を強化し、法務部等、関連するコーポレート部署の協力を得て、各種コンプライアンス施策(コンプライアンストップメッセージ、階層別コンプライアンス教育、グローバル内部通報制度整備等)を策定・実施することで、法令遵守の徹底等コンプライアンス意識の向上を図っております。 なお、物流関連のコンプライアンスリスクについては、国内の外国為替及び外国貿易法・関税法等、海外では当該国の法令、それに加えて国内・海外ともに米国制裁法・米国再輸出規制等を遵守する貿易管理体制を整えることや、国内外において輸入通関時のHSコード誤りによる事後追徴を回避するための適切なHSコード判定規程の制定に努めております。また、物流業者の起用においては当社の管理規則に則った物流業者選定ルールの浸透を図り、物流業者の関与する不正・異常損等の発生を阻止する対策を行っております。 しかしながら、このような施策を講じても、事業活動におけるコンプライアンスリスクは完全に排除できるものではなく、役職員が不正・不法行為を行った場合、社会的な信用を毀損する可能性があります。このような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑨安全関連リスク 従業員並びに委託者の労働災害、及び火災・爆発により、当社グループの事業活動に支障が生じる可能性があります。災害未然防止に関する設備、作業標準の整備、教育、日常管理を行っておりますが、大規模な労働災害、及び火災・爆発の発生等により追加の対策コストが必要となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑩環境関連リスク 気候変動、水資源及び生物多様性保全を含む環境関連リスクについては、当社グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性があると認識しております。これらのリスクについては、安全・環境会議及びサステナビリティ推進委員会において審議のうえ、その内容が取締役会へ適宜報告されており、担当部門等を通じて事業戦略や各種活動に反映しております。 気候変動に関しては、影響が相対的に大きいと想定される事業を対象として、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に沿ったシナリオ分析を実施しております。当該分析においては、「リスク」として移行リスク及び物理リスクを、「機会」として資源効率、エネルギー源、製品及びサービス、市場等を対象に整理・評価を行っております。また、当社単体及び国内外の連結子会社を含む当社グループの事業活動に伴うGHG排出量(Scope1、Scope2)について、2030年までに2019年比50%削減を目指すとともに、2050年にネット・ゼロとする目標を設定しております。さらに、2018年に策定したサステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)においては、「クリーンエネルギーや革新的技術を活用し、自動車/工場・プラントCO₂を削減することで脱炭素社会移行に貢献」することを掲げております。 気候変動や森林破壊、人口増加等を背景として、世界的に水不足、水質の悪化、洪水及び生物多様性の毀損が進行しており、水資源の持続可能な利用や生物多様性の維持は、当社グループの事業活動に影響を及ぼすリスク要因の一つであると認識しております。水関連リスクについては、連結子会社を主な対象として、世界資源研究所(WRI)が提供する水リスク評価ツールであるAqueductを用いた調査を実施し、その結果を踏まえ、利用効率の改善や使用量削減等、リスクの状況に応じた対応を行っております。 生物多様性に関しては、新規の投資案件等において、生態系サービスへの影響について可能な範囲で事前の調査・評価を行い、森林保全や環境負荷の低減に努めております。既存事業については、ISO14001に基づく環境マネジメントシステムの内部監査等を通じ、水資源を含む環境リスクの把握及び評価を実施しております。しかしながら、これらの取り組みを講じている場合であっても、気候変動の進行や自然環境の変化、関連法規制の強化等により予期せぬ事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

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