事業の概要
- 有価証券関連業が中核大和証券グループは、有価証券(株や債券など)やデリバティブ商品(将来の価格に基づいて価値が決まる金融商品)の売買、それらの売買の仲介、新しい有価証券の発行・販売の引き受けや募集の取り扱いなどを主な事業としています。これにより、お客様の資産運用や企業の資金調達をサポートし、手数料や売買益を得ています。
- 投資・金融サービス業証券業務だけでなく、銀行業を含む幅広い金融サービスを提供しています。これにより、お客様の多様な金融ニーズに応え、総合的な金融ソリューションを提供することで収益を上げています。単一の事業に依存せず、多角的なサービス展開が特徴です。
- グローバルな事業展開日本だけでなく、欧州、アジア、米州といった世界の主要な金融市場に拠点を持ち、グローバルなネットワークを活かして事業を展開しています。これにより、世界中のお客様の資金調達と運用の両面を支援し、国際的な市場での収益機会を追求しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- ウェルスマネジメント事業お客様の資産運用をサポートする事業で、2025年度の売上は2,403.43億円です。お客様の資産形成や保全に関するコンサルティング、商品提供が主な内容です。個人富裕層や法人顧客に対し、多様な金融商品やサービスを提供し、手数料収入や運用益を得ています。
- アセットマネジメント事業投資信託などの運用商品を通じて、お客様の資産を運用する事業で、2025年度の売上は1,243.03億円です。機関投資家や個人投資家から資金を預かり、株式や債券などに投資し、運用成果に応じて報酬を得ています。運用残高の拡大が収益に直結します。
- グローバルマーケッツ&インベストメントバンキング事業国内外の企業や機関投資家に対し、株式・債券の引受やM&A(企業の合併・買収)アドバイス、デリバティブ取引など、高度な金融サービスを提供する事業で、2025年度の売上は2,322.5億円です。企業の資金調達や成長戦略を支援し、手数料収入やトレーディング収益を得ています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| WealthManagement | 事業 | 2,403 | − | − |
| AssetManagement | 事業 | 1,243 | − | − |
| GlobalMarketsInvestmentBanking | 事業 | 2,323 | − | − |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】 当社及び当社の関係会社(連結子会社138社、持分法適用会社39社)の主たる事業は有価証券関連業を中核とする投資・金融サービス業であり、具体的な事業として有価証券及びデリバティブ商品の売買等及び売買等の委託の媒介、有価証券の引受け及び売出し、有価証券の募集及び売出しの取扱い、有価証券の私募の取扱いその他有価証券関連業並びに銀行業その他の金融業等を営んでおります。当社及び当社の関係会社は、日本をはじめ、欧州、アジア、米州の主要な金融市場に営業拠点を設置し、グローバルに展開するネットワークにより世界中のお客様の資金調達と運用の双方のニーズに対応した幅広いサービスを提供しております。 なお、当社は特定上場会社等であります。特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 株式の売買委託手数料率の自由化や規制緩和により競争が激化しているため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | なし 参入規制がほぼ撤廃され、国内外の金融グループ等が幅広い金融商品・サービスを提供している。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:国際紛争・対立の深刻化 / トランプ2.0(米国新政権の政策) / 中国経済危機
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
大和証券は長年の歴史と実績に裏打ちされたブランド力と信頼性を有する。特に富裕層向け資産管理サービスや機関投資家向けビジネスにおける強固な顧客基盤と人的ネットワークは、新規参入障壁となる無形資産である。M&Aアドバイザリーや投資銀行業務におけるノウハウ・実績も同様。
スイッチングコスト★★★☆☆
個人投資家においては、証券口座の切り替えは比較的容易だが、富裕層向けラップ口座やプライベートバンキングサービスでは、担当者との信頼関係や過去の実績が重視され、乗り換えには心理的・手続き的なハードルが存在する。機関投資家との取引では、長年の関係性や提供サービスの質が重視される。
ネットワーク効果★☆☆☆☆
証券取引プラットフォーム自体に強いネットワーク効果は見られない。ただし、情報提供やアナリストレポートの利用など、一部で限定的なネットワーク効果が働く可能性はあるが、主たる競争優位とは言えない。
コスト優位★☆☆☆☆
証券業は一般的に設備投資や人件費が高く、コスト競争力で優位を築くのは難しい。大和証券も例外ではなく、他社との抜本的なコスト構造の違いは小さいと考えられる。テクノロジー投資による効率化は進めているものの、決定的なコスト優位には至っていない。
規模の経済★★★★☆
日本の証券業界において、野村證券に次ぐ大手の一角であり、広範な支店網、多様な金融商品、グローバルなネットワークを有する。特に、投資銀行業務やM&Aアドバイザリー、富裕層向けサービスなど、高度な専門性と規模が要求される分野で強みを発揮しており、業界内での寡占的な地位を築いている。
- グローバルな事業基盤日本を含む世界各地に営業拠点を持ち、国際的なネットワークを構築しています。これにより、多様な地域のお客様のニーズに対応し、世界中の金融市場から収益機会を得られる点が強みです。特定の地域経済の変動リスクを分散できる効果も期待できます。
- 幅広い金融サービス有価証券関連業を中核としつつ、銀行業など多岐にわたる金融サービスを提供しています。これにより、お客様は資産運用から資金調達まで、様々な金融ニーズを大和証券グループで完結させることができ、顧客満足度を高め、顧客との長期的な関係を築きやすいという優位性があります。
- 統合的なリスク管理体制収益性や成長性を追求しつつ、事業に伴う多様なリスク(市場リスク、信用リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスクなど)を適切に認識・評価し、効果的に管理する体制を構築しています。ストレステストやトップリスク管理を活用し、資本や流動性への影響を計測することで、安定的な経営基盤を維持しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- お客様の資産価値最大化中期経営計画「“Passion for the Best”2026」において、お客様一人ひとりのニーズや課題を深く理解し、最適なソリューションを提供することで、お客様の資産価値を最大化することを経営の基本方針としています。これにより、顧客満足度を高め、長期的な信頼関係を構築することを目指しています。
- ウェルスマネジメント強化富裕層や法人のお客様向けに、オーダーメイドで付加価値の高い商品・サービス・ソリューションを拡充し、提供することを重視しています。デジタルマーケティングや外部提携、銀行ビジネスを活用して顧客基盤を拡大し、収益の安定化と成長を図ることを目指しています。
- アセットマネジメント高度化幅広い投資家層に魅力的な運用商品やブランドを確立し、オルタナティブ商品(伝統的な資産以外の投資商品)の展開を通じて運用残高の拡大を目指しています。運用力の強化・高度化、不動産アセットマネジメントの強化、オルタナティブファンドの拡大も推進し、収益源の多様化を図ります。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 2025年度、日本経済は「金利のある世界」が定着し、政策金利は約30年ぶりの水準にまで引き上げられました。株式市場では、高市新政権の発足や企業のガバナンス改革の進展、海外投資家からの資金流入を背景に、2月には日経平均株価は史上最高値59,332円を記録しました。一方、米国新政権の通商政策の本格化により世界経済は構造的な変化に直面するとともに、中東情勢における軍事的緊張の高まりなどを契機とした地政学的緊張は引き続きリスクとなっています。 当社グループでは、グループ中期経営計画~“Passion for the Best”2026~において「お客様の資産価値最大化」をグループ経営基本方針として掲げ、お客様のニーズや課題を深く理解し、お客様の状況や経済環境に応じた最善・最適で質の高いソリューションを提供することを強力に推進しています。中期経営計画の2年目となる2025年度は、ウェルスマネジメントビジネスの強化とアセットマネジメントビジネスの高度化を進展させるとともに、顧客基盤の拡充とソリューション機能強化・商品拡充を目指したインオーガニック戦略を継続して実行してまいりました。 なお、中期経営計画における2026年度の主な数値目標としては、連結経常利益2,400億円以上、連結ROE10%程度、ベース利益(ウェルスマネジメント部門、証券アセットマネジメント、不動産アセットマネジメントの経常利益合計)1,500億円等を定めております。 また、2025年度の状況及び今般の情勢に鑑み、2026年度の大和証券グループ経営方針を下記のとおり定めております。 2026年度 大和証券グループ経営方針 2025年度は、米国新政権の通商政策が本格化し、世界経済が構造的な変化に直面した年となった一方、日本においては、高市新政権の発足と衆議院解散・総選挙を経て、新たな政治体制へと移行しました。金融市場では、政策金利が約30年ぶりの水準まで引き上げられ、「金利のある世界」が定着しました。また、企業のガバナンス改革の進展や新政権の政策運営への期待を背景に海外投資家からの資金流入が続き、2月には日経平均株価が取引時間中に一時 59,332円に達し、過去最高値を更新しました。一方、3月末にかけては中東情勢における軍事的緊張の高まりなどを受け、世界経済の不確実性が高まり、金融市場は大きな変動を余儀なくされました。 こうした環境のもと、当社は「お客様の資産価値最大化」を経営の揺るぎない軸に据え、お客様一人ひとりへの深い理解に基づく質の高いコンサルティングと、最適なソリューションの提供を強力に推進してきました。その結果、当社が重視するベース利益※が想定を上回るペースで増加し、連結業績の安定性は着実に向上しました。 中期経営計画の最終年度となる2026年度は、依然として地政学リスクの高まりや原油価格の変動などに直面しているものの、新たな成長軌道を描き始めたわが国において、「貯蓄から投資」の流れを確かなものにするという当社の使命は、一層重要性を増しています。目先の環境変化にぶれることなく、総資産コンサルティングの高度化を推し進めるとともに、成長投資を着実に進展させることで、外部環境に左右されにくいより強固な収益構造の構築に愚直に取り組んでいきます。今年度は、以下に掲げる行動計画を着実に実行することで、資産運用立国の実現、わが国の成長型経済への移行に貢献していきます。 ※ベース利益=ウェルスマネジメント部門+証券アセットマネジメント+不動産アセットマネジメント経常利益合計 2026年度の各事業部門アクションプランは以下のとおりであります。 (1) ウェルスマネジメント部門① お客様に対する深い理解に基づいた最適なコンサルティングの提供によるウェルスマネジメントビジネスのさらなる深化② 富裕層や法人のお客様の高度なニーズに応えるオーダーメイドで付加価値の高い商品・サービス・ソリューションの拡充及び提供③ デジタルマーケティングによるお客様に合わせたタイムリーかつ適切なサービス提供体制の深化④ 外部提携、ワークプレイス(職域)ビジネスによる顧客基盤の拡大⑤ 銀行ビジネスを活用した顧客基盤の拡大及び、富裕層のお客様向けソリューションの提供 (2) アセットマネジメント部門① 幅広い投資家層に訴求する運用商品・ブランドの確立、魅力的なオルタナティブ商品の展開を通じたさらなる運用残高拡大② 外部提携も活用した運用力の強化・高度化、ゴールベースアプローチ型資産運用をはじめとしたサービス提供力の高度化③ 不動産アセットマネジメントにおける運用力・物件ソーシング力強化、運用商品拡大及びグループ内連携による運用残高拡大④ オルタナティブファンドの拡大に向けたパフォーマンスの追求と基盤の構築 (3) グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門① 幅広いお客様ニーズを捉えた多様なプロダクト・高度なソリューションの提供② ウェルスマネジメント部門をはじめとしたグループ連携の更なる強化によるビジネス基盤の拡大③ 未上場企業への更なるソリューションの提供及び国内外M&Aの強化④ 経営資源のリアロケーションを通じた収益性の向上 (4) その他(大和総研グループ)① シンクタンクとしての時宜を得た良質な情報発信による、社会・経済の健全な発展と資産運用立国への貢献② AI・データサイエンスの活用によるお客様の企業価値最大化への貢献③ ヘルステック事業を通じた人的資本経営への貢献
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 2025年度、日本経済は「金利のある世界」が定着し、政策金利は約30年ぶりの水準にまで引き上げられました。株式市場では、高市新政権の発足や企業のガバナンス改革の進展、海外投資家からの資金流入を背景に、2月には日経平均株価は史上最高値59,332円を記録しました。一方、米国新政権の通商政策の本格化により世界経済は構造的な変化に直面するとともに、中東情勢における軍事的緊張の高まりなどを契機とした地政学的緊張は引き続きリスクとなっています。 当社グループでは、グループ中期経営計画~“Passion for the Best”2026~において「お客様の資産価値最大化」をグループ経営基本方針として掲げ、お客様のニーズや課題を深く理解し、お客様の状況や経済環境に応じた最善・最適で質の高いソリューションを提供することを強力に推進しています。中期経営計画の2年目となる2025年度は、ウェルスマネジメントビジネスの強化とアセットマネジメントビジネスの高度化を進展させるとともに、顧客基盤の拡充とソリューション機能強化・商品拡充を目指したインオーガニック戦略を継続して実行してまいりました。 なお、中期経営計画における2026年度の主な数値目標としては、連結経常利益2,400億円以上、連結ROE10%程度、ベース利益(ウェルスマネジメント部門、証券アセットマネジメント、不動産アセットマネジメントの経常利益合計)1,500億円等を定めております。 また、2025年度の状況及び今般の情勢に鑑み、2026年度の大和証券グループ経営方針を下記のとおり定めております。 2026年度 大和証券グループ経営方針 2025年度は、米国新政権の通商政策が本格化し、世界経済が構造的な変化に直面した年となった一方、日本においては、高市新政権の発足と衆議院解散・総選挙を経て、新たな政治体制へと移行しました。金融市場では、政策金利が約30年ぶりの水準まで引き上げられ、「金利のある世界」が定着しました。また、企業のガバナンス改革の進展や新政権の政策運営への期待を背景に海外投資家からの資金流入が続き、2月には日経平均株価が取引時間中に一時 59,332円に達し、過去最高値を更新しました。一方、3月末にかけては中東情勢における軍事的緊張の高まりなどを受け、世界経済の不確実性が高まり、金融市場は大きな変動を余儀なくされました。 こうした環境のもと、当社は「お客様の資産価値最大化」を経営の揺るぎない軸に据え、お客様一人ひとりへの深い理解に基づく質の高いコンサルティングと、最適なソリューションの提供を強力に推進してきました。その結果、当社が重視するベース利益※が想定を上回るペースで増加し、連結業績の安定性は着実に向上しました。 中期経営計画の最終年度となる2026年度は、依然として地政学リスクの高まりや原油価格の変動などに直面しているものの、新たな成長軌道を描き始めたわが国において、「貯蓄から投資」の流れを確かなものにするという当社の使命は、一層重要性を増しています。目先の環境変化にぶれることなく、総資産コンサルティングの高度化を推し進めるとともに、成長投資を着実に進展させることで、外部環境に左右されにくいより強固な収益構造の構築に愚直に取り組んでいきます。今年度は、以下に掲げる行動計画を着実に実行することで、資産運用立国の実現、わが国の成長型経済への移行に貢献していきます。 ※ベース利益=ウェルスマネジメント部門+証券アセットマネジメント+不動産アセットマネジメント経常利益合計 2026年度の各事業部門アクションプランは以下のとおりであります。 (1) ウェルスマネジメント部門① お客様に対する深い理解に基づいた最適なコンサルティングの提供によるウェルスマネジメントビジネスのさらなる深化② 富裕層や法人のお客様の高度なニーズに応えるオーダーメイドで付加価値の高い商品・サービス・ソリューションの拡充及び提供③ デジタルマーケティングによるお客様に合わせたタイムリーかつ適切なサービス提供体制の深化④ 外部提携、ワークプレイス(職域)ビジネスによる顧客基盤の拡大⑤ 銀行ビジネスを活用した顧客基盤の拡大及び、富裕層のお客様向けソリューションの提供 (2) アセットマネジメント部門① 幅広い投資家層に訴求する運用商品・ブランドの確立、魅力的なオルタナティブ商品の展開を通じたさらなる運用残高拡大② 外部提携も活用した運用力の強化・高度化、ゴールベースアプローチ型資産運用をはじめとしたサービス提供力の高度化③ 不動産アセットマネジメントにおける運用力・物件ソーシング力強化、運用商品拡大及びグループ内連携による運用残高拡大④ オルタナティブファンドの拡大に向けたパフォーマンスの追求と基盤の構築 (3) グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門① 幅広いお客様ニーズを捉えた多様なプロダクト・高度なソリューションの提供② ウェルスマネジメント部門をはじめとしたグループ連携の更なる強化によるビジネス基盤の拡大③ 未上場企業への更なるソリューションの提供及び国内外M&Aの強化④ 経営資源のリアロケーションを通じた収益性の向上 (4) その他(大和総研グループ)① シンクタンクとしての時宜を得た良質な情報発信による、社会・経済の健全な発展と資産運用立国への貢献② AI・データサイエンスの活用によるお客様の企業価値最大化への貢献③ ヘルステック事業を通じた人的資本経営への貢献
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に基づき作成されております。また、当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積りを行っており、これらの見積りは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積りと異なることがあり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。 ① トレーディング商品の評価当社グループでは、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって連結貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として連結損益計算書に計上しております。また、「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日)等を適用しており、トレーディング商品の時価は、時価の算定に用いたインプットの観察可能性及び重要性に応じて、3つのレベルに分類しております。これらの時価は「第5 経理の状況 (金融商品関係) 2. 金融商品の時価等及び時価のレベルごとの内訳等に関する事項」に記載しております。 時価測定に用いた評価技法及びインプットの詳細は以下のとおりであります。これらは、市場参加者が商品を評価するときに考慮するであろう当社グループによる仮定及び見積りを含んでおります。(ⅰ)商品有価証券等 主に同一又は類似の商品に関する市場価格を用いております。また、特定の負債性金融商品及び資産担保証券については、デリバティブ取引に準じた評価技法もしくは、ディスカウント・キャッシュ・フロー・モデルにより時価を測定しております。 (ⅱ)デリバティブ取引 上場デリバティブについては原則として市場価格を、店頭デリバティブについては、評価技法により時価を算定しております。 デリバティブ取引の時価には、信用リスク及び流動性リスクを考慮した調整が含まれており、時価測定においては、市場で一般に用いられるリスク中立測度の仮定のもとでの期待キャッシュ・フローの現在価値を、主に数値積分法、有限差分法及びモンテカルロ法による価格算定モデルにより算定しております。 価格算定モデルには、金利、為替レート、株価、ボラティリティ、相関係数などの様々なインプットがあります。また、市場で観察可能でないインプットとしては、相関係数、長期のボラティリティ、長期のクレジット・スプレッドなどがあります。 価格算定モデルの選択及びその価格算定モデルに投入するインプットの決定、信用リスク及び流動性リスクにかかる評価調整には見積り及び前提を含んでおり、特に、市場で観察可能でないインプットを使用する場合には、その見積り及び前提は、トレーディング商品の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。 算定に用いたインプットを含め、価格算定モデルは社内における指針に基づいて承認され、価格算定モデルの開発部署から独立した部署が、モデル内の仮定及び技法、算定に用いたインプットについて検証を行っております。また、価格算定モデルを観察可能な市場情報や代替可能なモデルとの比較分析等により、市場動向に合わせて調整する体制を構築しております。 経営者は、時価測定に用いられた前提は合理的であると考えております。しかしながら、これらの見積りには不確実性が含まれているため、将来キャッシュ・フローや時価の下落を引き起こすような見積りの変化が、評価金額に不利に影響し、結果として、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。 ② 有価証券の評価 当社グループでは、投資有価証券、営業投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。(ⅰ)投資有価証券 市場価格のあるものについては、市場価格が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当連結会計年度末における市場価格の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。市場価格の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、市場価格の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。市場価格のないものについては、実質価額が著しく低下し、かつ、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合には、減損処理を行っております。 (ⅱ)営業投資有価証券 営業投資有価証券は、アセットマネジメント部門における非上場株式、国内外の再生可能エネルギー、インフラストラクチャーへの投資等により構成されております。 営業投資有価証券の評価については、その評価額に基づき実質価額を見積り、その実質価額が帳簿価額を下回り、損失発生の可能性が高い場合には投資損失引当金を計上しております。さらに、実質価額が帳簿価額に比して50%以上下落し、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合には、減損処理を行っております。実質価額の算定の前提となる当社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。 1) 非上場株式 株式の評価額は、投資先の事業計画等をもとにした将来キャッシュ・フロー、類似取引事例との比較などにより算定しております。 2) 国内外の再生可能エネルギー、インフラストラクチャーへの投資等 評価額は、投資先の事業計画等をもとにした将来キャッシュ・フロー、財政状態などにより算定しております。 これらの評価額の測定には経営者が妥当と判断する見積り及び仮定を使用しており、これらの見積り及び仮定は、減損損失又は投資損失引当金の計上の要否の判断及び認識される損失金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。 経営者は、実質価額の見積りに用いられた仮定は合理的であると判断しております。ただし、これらの見積りには不確実性が含まれているため、将来の予測不能な前提条件の変化などにより、これらの評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来において当社及び連結子会社が減損処理又は投資損失引当金の計上を行う可能性があります。 ③ 固定資産の減損 当社グループでは、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、事業用資産のうち、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。 ④ 繰延税金資産の状況(ⅰ)繰延税金資産の算入根拠 当社グループでは、会計基準に従い、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。 (ⅱ)過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値) (単位:百万円)回次第84期第85期第86期第87期第88期決算年月2021年3月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月通算グループの課税所得92,842106,26351,393161,466147,874(注) 提出会社を通算親法人とする通算グループの所得を記載しております。また、記載した課税所得は法人税確定申告書上の繰越欠損金控除前の数値であり、その後の変動は反映されておりません。 なお、当連結会計年度末に係る連結貸借対照表上の繰延税金資産73億円のうち、提出会社を通算親法人とする通算グループの計上額合計は33億円であります。 (ⅲ)見積りの前提とした税引前当期純利益の見込額 提出会社を通算親法人とする通算グループの課税所得見積期間を3年とし、同期間の税引前当期純利益を4,818億円と見積もっております。 (ⅳ)繰延税金資産・負債の主な発生原因 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 税効果会計関係 1」に記載のとおりであります。 なお、ロシア・ウクライナ情勢及び中東情勢の緊迫化や、トランプ政権の関税政策による経済情勢や相場への影響は、現時点においてはこれらの見積りに重大な影響を及ぼしておりませんが、今後、入手可能となる情報等によりこれらの市場、経済又は地政学リスクが顕在化した場合には、会計上の見積りに用いられた前提条件に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループにおきましては、投資事業における保有資産の評価に関する見積りの変化による減損又は評価損の計上、不動産アセットマネジメント事業における資産の稼働率低下による財務内容悪化懸念などの可能性があります。 (2)当連結会計年度の財政状態の分析<資産の部> 当連結会計年度末の総資産は前年度末比2兆532億円(5.7%)増加の38兆776億円となりました。内訳は流動資産が同1兆9,438億円(5.7%)増加の36兆2,195億円であり、このうち現金・預金が同334億円(0.9%)増加の3兆7,901億円、有価証券が同5,538億円(34.9%)増加の2兆1,407億円、トレーディング商品が同4兆641億円(48.8%)増加の12兆3,916億円、営業貸付金が同8,170億円(29.2%)増加の3兆6,105億円、有価証券担保貸付金が同3兆2,248億円(21.0%)減少の12兆1,526億円となっております。固定資産は同1,094億円(6.3%)増加の1兆8,580億円となっております。 <負債の部・純資産の部> 負債合計は前年度末比1兆9,307億円(5.7%)増加の36兆318億円となりました。内訳は流動負債が同2兆2,845億円(7.4%)増加の32兆9,799億円であり、このうちトレーディング商品が同1兆3,235億円(17.8%)増加の8兆7,607億円、有価証券担保借入金が同1兆6,370億円(10.6%)減少の13兆8,084億円、銀行業における預金が同7,443億円(17.3%)増加の5兆420億円、短期借入金が同6,185億円(43.7%)増加の2兆339億円となっております。固定負債は同3,557億円(10.5%)減少の3兆436億円であり、このうち社債が同1,874億円(15.4%)減少の1兆310億円、長期借入金が同1,858億円(9.1%)減少の1兆8,507億円となっております。 純資産合計は同1,225億円(6.4%)増加の2兆458億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は5,139億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益を1,752億円計上したほか、配当金798億円の支払いを行ったこと等により、同799億円(7.7%)増加の1兆1,214億円となっております。自己株式の控除額は同364億円(32.2%)増加の1,495億円、その他有価証券評価差額金は同300億円(60.0%)増加の802億円、為替換算調整勘定は同362億円(27.2%)増加の1,699億円、非支配株主持分は同7億円(0.3%)減少の2,764億円となっております。 (3)当連結会計年度の経営成績の分析① 事業全体の状況 当連結会計年度の営業収益は前年度比7.0%増の1兆4,679億円、純営業収益は同11.5%増の7,204億円となりました。 受入手数料は4,784億円と、同14.9%の増収となりました。委託手数料は、株式取引が増加したことにより、同23.2%増の1,096億円となりました。引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、エクイティ引受案件が減少したことにより、同16.7%減の399億円となりました。 トレーディング損益は、債券収益が減少したこと等により、同1.4%減の1,058億円となりました。 金融収支は、レポ取引費用が減少したこと等により、同18.7%増の926億円となりました。 販売費・一般管理費は同7.1%増の5,130億円となりました。取引関係費は、支払手数料が増加したこと等により、同9.2%増の1,001億円、人件費は、給料や業績に連動する賞与が増加したこと等により、同4.6%増の2,561億円となっております。 以上より、経常利益は同4.4%増の2,345億円となりました。 また、固定資産売却益や投資有価証券売却益等により特別利益が354億円(前年度41億円)、金融商品取引責任準備金繰入れや関係会社株式売却損等により特別損失が60億円(前年度98億円)となり、法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比13.5%増の1,752億円となりました。② セグメント情報に記載された区分ごとの状況 純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。 (単位:百万円) 純営業収益経常利益又は経常損失(△) 2025年3月期2026年3月期増減率構成比率2025年3月期2026年3月期増減率構成比率(注)ウェルスマネジメント部門255,841295,78815.6%41.1%80,664112,03338.9%47.4%アセットマネジメント部門102,517111,9309.2%15.5%77,41865,432△15.5%27.7% 証券アセットマネジメント57,96070,72222.0%9.8%27,84137,65235.2%- 不動産アセットマネジメント29,61936,88524.5%5.1%29,02933,05313.9%- オルタナティブアセットマネジメント14,9384,321△71.1%0.6%20,547△5,272--グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門234,196257,3959.9%35.7%42,73858,99538.0%24.9% グローバル・マーケッツ149,044168,47213.0%23.4%29,00540,80540.7%17.3% グローバル・インベストメント・バンキング85,15188,9224.4%12.3%11,60514,56625.5%6.2%その他・調整等53,43555,313-7.7%23,895△1,950--連結 計645,990720,42711.5%100.0%224,716234,5104.4%100.0%(注)経常利益又は経常損失(△)の構成比率は、当連結会計年度において経常利益であったセグメントの経常利益合計に占める、各セグメントの経常利益の割合としております。 [ウェルスマネジメント部門] ウェルスマネジメント部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料と、大和ネクスト銀行における預金の受入れ等による調達資金の運用から得られる利鞘収入です。経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。 当連結会計年度において大和証券は以下の事業計画に沿って活動を行いました。1.お客様に対する深い理解に基づいた最適なコンサルティングの提供によるウェルスマネジメントビジネスのさらなる深化2.富裕層や法人のお客様の高度なニーズに応えるオーダーメイドで付加価値の高い商品・サービス・ソリューションの拡充及び提供3.デジタルマーケティングによるお客様に合わせたタイムリーかつ適切なサービス提供体制の深化4.外部提携、ワークプレイス(職域)ビジネスによる顧客基盤の拡大 各項目の実績は以下のとおりです。1.当期も引き続き、お客様の資産状況やニーズなどのヒアリングを踏まえ、最適なポートフォリオ提案やソリューション提案を実践しました。これらの取組みにより、資産導入額は2007年以来の高水準、ラップ口座サービスの契約金額および株式投資信託の純増額は過去最高を記録するなど、顧客基盤の拡充およびマーケット環境に左右されにくい収益基盤の構築が進展しました。2.多様なお客様のニーズに応えられるよう、高度化するお客様のニーズに応えるべく、特定投資家向け銘柄制度(J-ships)の取扱い協会員として指定を受けるなど、商品・サービス・ソリューションの拡充に取り組みました。 3.グループ連携プラットフォームとして、資産管理および投資に関する情報を提供するスマートフォンアプリ「D-Port」を導入し、デジタル・営業店・コンタクトセンターが三位一体の体制となって、顧客に応じたアプローチを行う体制づくりに努めました。4.株式会社ゆうちょ銀行に提供している「ゆうちょファンドラップ」に加え、株式会社あおぞら銀行を含む4行において「みらい彩りラップ」の取扱いを開始するなど外部提携の拡大にむけた取組みを強化しました。その結果、提携先経由でのファンドラップの契約残高は大きく増加しています。さらに、2026年4月より、株式会社岩手銀行との協業を開始するなど、顧客基盤の拡大を着実に進めています。 当連結会計年度は、引き続きお客様の資産状況や課題を把握することにより、最適なポートフォリオ提案やソリューション提案を実践しました。この取組みにより、ラップ口座サービス及び株式投資信託の純増額は過去最高を記録するなど、顧客基盤の拡充及びマーケット環境に左右されにくい収益基盤の構築が進展し、資産導入額は1兆6,342億円と高水準を維持しました。投信代理事務手数料及びラップ関連収益は増収となり、残高ベース収益は前年度比10.3%増の1,232億円と順調に拡大しました。 当連結会計年度において大和ネクスト銀行は以下の事業計画に沿って活動を行いました。1.預金量の拡大と収益性の両立2.グループ内連携の強化3.国内外の金利環境に応じた運用残高の拡大及び運用高度化4.応援定期預金やESG投融資への継続的取り組み 各項目の当連結会計年度における実績は以下のとおりです。1.円預金について、金利環境の変化を踏まえた競争力のある金利水準を提供するとともに、預金残高の安定的な積み上げに取り組みました。外貨預金においても業界トップ水準の金利を維持し、各種キャンペーンの実施等を通じて新規預金の獲得を図りました。2.大和証券との連携のもと、お客様の資産運用・資金ニーズを踏まえた商品・サービスの提供を行うなど、証銀連携の取り組みを通じてグループ内連携の強化を進めました。3.国内外の金利環境及び市場動向を踏まえ、ポートフォリオの見直しや運用手法の高度化を進めるとともに、貸出や有価証券投資を通じた投融資に取り組み、収益機会の確保を図りました。4.応援定期預金の提供を継続するとともに、サステナビリティKPIの一つである、ESG投融資について、残高維持に向けた取り組みを行いました。 大和ネクスト銀行の当連結会計年度末の預金残高(譲渡性預金含む)は前年度末比17.5%増の5.0兆円、銀行口座数は前年度比20.8%増の228万口座となりました。 これらの結果、当連結会計年度のウェルスマネジメント部門における純営業収益は前年度比15.6%増の2,957億円、経常利益は同38.9%増の1,120億円となりました。 [アセットマネジメント部門]アセットマネジメント部門は、証券アセットマネジメント、不動産アセットマネジメント及びオルタナティブアセットマネジメントで構成されます。 証券アセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和アセットマネジメントにおける投資信託の組成と運用に関する報酬です。また、当社持分法適用関連会社である三井住友DSアセットマネジメントの投資信託組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益は、当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、マーケット環境によって変動するお客様の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、お客様の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。不動産アセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、大和証券リアルティ、大和証券オフィス投資法人及びサムティ・レジデンシャル投資法人の不動産運用収益等です。また、当社持分法適用関連会社であるSong Holdings合同会社(サムティホールディングスの親会社)、サムティアセットマネジメント及び大和証券リビング投資法人の損益は、当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因には、国内の不動産売買市場・賃貸需給の動向が挙げられます。 オルタナティブアセットマネジメントの主な収益源は、当社連結子会社である大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラの投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬、投資した株式からの配当、売電収入などのインカムゲインです。経営成績に重要な影響を与える要因には、株式市場やIPO市場の動向、投資先企業の評価額に影響を及ぼす可能性のある経済環境の状況、保有する有価証券や投資資産の流動性が挙げられます。 当連結会計年度において、アセットマネジメント部門は以下の事業計画を実行しました。1.幅広い投資家層に訴求する運用商品・ブランドの確立、魅力的なオルタナティブ商品の展開を通じたさらなる運用残高拡大2.かんぽ生命との資産運用分野における協業を軸にした運用の高度化、国内外における投資顧問ビジネスの基盤構築3.不動産アセットマネジメント事業における運用力・物件ソーシング力の強化、運用商品の拡大及びグループ内連携の推進4.オルタナティブファンドの拡大に向けたパフォーマンスの追求と基盤の構築各項目の実績は以下のとおりです。1.大和アセットマネジメントでは商品ブランドのマーケティングに注力し、iFreeシリーズやオルタナティブ商品への好調な資金流入により運用資産残高は過去最高水準となりました。2.2025年7月に、大和アセットマネジメントは三井物産オルタナティブインベストメンツ株式会社(新商号:大和かんぽオルタナティブインベストメンツ株式会社)を子会社化し、オルタナティブ資産運用分野へ本格参入しました。3.大和リアル・エステート・アセット・マネジメントでは運用する私募REITの物件取得や私募ファンドの運用受託を通じて運用資産残高が増加しました。4.大和PIキャピタルでは運営するプライベート・エクイティファンドにおいて飲食ビジネスを中心に投資を実行しました。大和企業投資では、「大和日台バイオベンチャー3号投資事業有限責任組合」を設立しました。証券アセットマネジメントは増収増益となりました。大和アセットマネジメントの運用資産残高は、資金純増と時価の上昇により、前年度末比10.9兆円増の44.2兆円となりました。その結果、証券アセットマネジメントの純営業収益は前年度比22.0%増の707億円、経常利益は同35.2%増の376億円となりました。不動産アセットマネジメントは運用する投資法人向けの物件売却による売却益の計上や運用報酬の積み上げにより増収増益となりました。私募REITの物件取得や私募ファンドの運用受託等により、大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及びサムティ・レジデンシャル投資法人の2社を合わせた運用資産残高は前年度末比2,015億円増の1兆7,978億円となりました。その結果、不動産アセットマネジメントの純営業収益は前年度比24.5%増の368億円、経常利益は同13.9%増の330億円となりました。オルタナティブアセットマネジメントは経常損失を計上しました。大和企業投資では、国内外の成長企業への投資や上場支援に貢献しながら、投資先の売却益により収益を確保しました。大和PIパートナーズでは、国内外で金銭債権投資、不動産ローン、企業向け投融資を実行するとともに、既存案件の回収を進めました。大和エナジー・インフラでは、持続可能な開発目標(SDGs)に資するエネルギー・インフラ関連投資を実行しながら、インカムゲイン及びキャピタルゲインを計上した一方で、再生可能エネルギー関連における一部投資先の再評価により引当金の計上及び減損処理を行いました。その結果、オルタナティブアセットマネジメントの純営業収益は前年度比71.1%減の43億円、経常損失は52億円となりました。これらの結果、当連結会計年度のアセットマネジメント部門の純営業収益は前年度比9.2%増の1,119億円、経常利益は同15.5%減の654億円となりました。 [グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門]グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引受けやM&Aアドバイザリー業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る顧客フロー収益及びトレーディング収益であり、地政学リスクや国際的な経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料であり、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。当連結会計年度において、グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門として以下の事業計画を実行しました。1.幅広いお客様ニーズを捉えた多様なプロダクト・高度なソリューションの提供2.ウェルスマネジメント部門をはじめとしたグループ連携の更なる強化によるビジネス基盤の拡大3.未上場企業への更なるソリューションの提供及び国内外M&Aの強化4.経営資源のリアロケーションを通じた収益性の向上各項目の実績は、以下のとおりです。1.引受ビジネス、M&Aの取組みとして、株式の非公開化や政策保有株式の売却、金利上昇局面における前倒し負債調達、業界再編、といったお客様の多様なニーズを的確に捉えた提案を行い、案件の獲得に取り組みました。2.ウェルスマネジメント部門との連携強化として、外国株の売買代金・預り残高の拡大やポートフォリオ提案の推進など外貨資産領域に注力しました。3.未上場企業のお客様に対してIPOに留まらない多様なソリューションを提供し、国内外M&Aビジネスにおいては、効率的な収益拡大のためにアドバイザリーサービスの高付加価値化に取り組みました。4.グローバル・インベストメント・バンキングでは、テーマ別でのアプローチや大型案件に注力することで収益性の向上に取り組みました。グローバル・マーケッツでは、海外投資家からの継続的な日本株への関心の高さを背景とした体制強化など、お客様ニーズに合わせたリソースの再配分を進め、収益向上を図りました。グローバル・マーケッツのエクイティ収益は、好調な株式市場を背景に機関投資家及び個人投資家の日本株フローが拡大したことに加え、個人投資家の外国株の売買が増加基調となったことにより、増収となりました。フィクスト・インカム収益は、国内において金利上昇を背景に機関投資家のポートフォリオ入れ替えニーズが強まり、増収となりました。海外においても米国金利の高いボラティリティの影響により増収となりました。その結果、グローバル・マーケッツの当連結会計年度の純営業収益は前年度比13.0%増の1,684億円、経常利益は同40.7%増の408億円となりました。グローバル・インベストメント・バンキングでは、株式会社コーエーテクモホールディングス、信越化学工業株式会社の株式売出しや株式会社JVCケンウッドによる転換社債型新株予約権付社債及びKDDI株式会社による普通社債などで主幹事を務めたほか、伊藤忠商事株式会社による本邦初となるオレンジボンド(注1)の引受における主幹事及びStructuring Agent(注2)を務めました。当連結会計年度の引受け・売出し手数料は、前年度比16.7%減の399億円となりました。M&Aアドバイザリー業務では、NTT株式会社による株式会社NTTデータの完全子会社化、パラマウントベッドホールディングス株式会社の非上場化、株式会社パロマ・リームホールディングスによるフランスのGroupe Atlanticの株式過半数取得など、多くの案件に関与しました。これらの結果、グローバル・インベストメント・バンキングの当連結会計年度の純営業収益は前年度比4.4%増の889億円、経常利益は同25.5%増の145億円となりました。 その結果、当連結会計年度のグローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門における純営業収益は前年度比9.9%増の2,573億円、経常利益は同38.0%増の589億円となりました。 (注)1 オレンジボンド:女性活躍推進等、ジェンダー平等に資するプロジェクトに対する資金調達を目的とした債券。2 Structuring Agent:フレームワークの策定や第三者評価の取得に関する助言を通じて、オレンジボンドなどの発行支援を行う者。 [その他] その他の事業には、主に大和総研によるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務などが含まれます。 当連結会計年度において大和総研グループは以下の事業計画を実行しました。1.シンクタンクとしての時宜を得た良質な情報発信による、社会・経済の健全な発展と資産運用立国への貢献2.AI・データサイエンスの活用によるお客様の企業価値最大化への貢献3.ヘルステック事業を通じた人的資本経営への貢献 各項目の当連結会計年度における実績は以下のとおりです。1.国内外の経済見通しや金融制度、人的資本経営、サステナビリティ、IT・デジタル技術等に関する調査・分析を行い、レポートや出版物、セミナー等による情報発信や政策提言活動を通じて、プレゼンス向上に寄与しました。2.金融機関や事業法人向けに業務高度化・効率化のソリューションを提供したほか、開発の効率化・期間短縮を進めました。新規事業では、生成AIを活用した自律検証型システムマイグレーションツールやWeb3技術を活用したデジタル証明書サービスの展開を推進しました。3.健康保険組合向け情報管理システム等について、商品性強化やサービス品質向上を目的とした再構築と機能改善を行いました。また、従業員向けの健康支援サービスを正式リリースしたほか、企業および健康保険組合向けのヘルスケアデータ分析支援サービス開発を進めました。 大和総研は、当社グループのシステム開発を着実に遂行したほか、高付加価値のソリューション提案により、お客様との関係を強化したこと、また、大口顧客向けシステム開発案件を手掛けたこと等により、当社グループの収益に貢献しました。 当連結会計年度において、その他・調整等に係る純営業収益は553億円(前年度534億円)、経常損失は19億円(前年度経常利益238億円)となりました。 ③ 目標とする経営指標の達成状況等 当社グループでは、2024年度から2026年度にかけての中期経営計画~“Passion for the Best”2026~を公表し、業績KPIとして連結経常利益、連結ROE及びベース利益(注1)を掲げています。また、グループ経営基本方針である「お客様の資産価値最大化」を追求するお客様資産KPIとして、預り資産(注2)、ストック関連資産(注3)及びアセットマネジメント部門AUM(注4)を設定しています。 中期経営計画2年目となる当連結会計年度においては、業績KPIは、連結経常利益2,400億円以上の目標に対し2,345億円、連結ROE10%程度の目標に対し10.3%、ベース利益1,500億円の目標に対して1,827億円となり、順調な業績を上げることができました。お客様資産KPIは、預り資産120兆円の目標に対し104兆円、ストック関連資産13.6兆円の目標に対し12.2兆円、AM部門AUM44兆円の目標に対し46.1兆円となり、着実に目標値に向けて増加しています。 2025年度は、米国新政権の通商政策の本格化により世界経済が構造的な変化に直面する一方、国内では高市新政権の発足や企業のガバナンス改革の進展を背景に海外投資家からの資金流入が続き、日経平均株価が史上最高値を更新するとともに、「金利のある世界」が定着するなど、大きな転換点を迎えた一年となりました。当社ではこうした経済環境を追い風に、グループ経営基本方針である「お客様の資産価値最大化」に向けて、ウェルスマネジメントビジネスの強化やアセットマネジメントビジネスの高度化が着実に進捗した一年となりました。また、中長期的な経営指針となる「2030Vision」の根底に取り入れたサステナビリティへの取組み推進においても、サステナブルファイナンスへの社会的ニーズの一層の高まりを受けてSDGs債の引受け実績を積み上げ、着実な進捗があったと評価しています。 (注)1 ベース利益:ウェルスマネジメント部門、証券アセットマネジメント、不動産アセットマネジメントの経常利益合計2 預り資産:大和証券の預り資産残高3 ストック関連資産:投資信託、ファンドラップ、外貨預金4 AM部門AUM:大和アセットマネジメント、大和ファンド・コンサルティング、大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、サムティ・レジデンシャル投資法人、大和PIパートナーズ、大和エナジー・インフラ、大和企業投資のAUM合計 ④ 経営成績の前提となる2025年度のマクロ経済環境<海外の状況> 2025年の世界経済を振り返ると、米国による追加関税措置があったにも関わらず、底堅い景気が続きました。この背景には、第二次トランプ政権が実施した関税率が公表当初よりも低下し、景気への悪影響が軽減されたことに加え、拡張的な財政政策や積極的なAI関連投資などが下支えしたことがあります。他方で、2026年の世界経済は成長の鈍化が見込まれます。IMF(国際通貨基金)が2026年4月に公表した世界経済見通しによれば、2026年の世界経済の実質GDP成長率は前年比+3.1%と、2025年の同+3.4%から減速すると予想されています。2026年2月末からの中東情勢の悪化が世界経済の下押し要因となっています。原油価格の上昇はインフレ圧力を強化し、家計の実質的な購買力を押し下げるとともに、金利上昇といった金融環境のタイト化を通じて、設備投資や住宅投資の重石となることが想定されます。 主要先進国・地域については、まず、米国の2026年1-3月期の実質GDP成長率が、前期比年率+2.0%と2025年10-12月期の同+0.5%から加速しました。政府支出が2025年10-12月期に発生した政府閉鎖による急減から反動増となったことに加え、AI関連の設備投資が全体を押し上げました。 金融面では、FRB(連邦準備制度理事会)は関税率引き上げによるインフレ再加速への警戒から2025年1-8月にかけて金利を据え置きました。他方、2025年夏場以降は雇用環境の悪化懸念が高まったことから、2025年9-12月に合計0.75%ptの利下げを実施しました。この結果、FF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジは3.50-3.75%と、FOMC参加者が想定する景気に中立的な金利水準(中立金利)の上限付近まで低下しました。FFレートが中立金利の上限に位置する中で、2026年1月以降、FRBは再び金利を据え置いています。パウエルFRB議長は、2026年4月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、わずかに引き締め的な金利水準にある現状は、中東情勢の混乱を巡って不確実性が高い中で様子見をするのに適していると述べています。 続いて、欧州経済(ユーロ圏経済)は、減速傾向を示しています。2026年1-3月期のユーロ圏の実質GDP成長率は前期比年率+0.6%と、2025年10-12月期の同+0.8%から減速しました。実質GDP成長率を国別に見ると、スペインが高成長を維持するとともに、財政支出を拡大させたドイツの成長ペースが加速した一方、フランスやイタリアが減速しました。金融面では、ECB(欧州中央銀行)は2024年6月から利下げフェーズへと転じた後、2025年1-6月にかけて合計1.00%ptの利下げを実施しました。他方で、インフレ2%目標の達成が近づいたとの認識から、2025年7月以降は政策金利(預金ファシリティ金利)を据え置き、様子見姿勢を続けています。ラガルドECB総裁は、2026年4月のECB理事会で政策金利の水準が良好な位置にあること、エネルギー価格上昇に伴う二次的な影響は見られないこと、データ等を精査・再検討する必要があること等から、様子見が妥当との見解を示しています。最後に、新興国全体を概観すると、2025年は米国による追加関税措置がある中でも景気の底堅さが継続してきましたが、足元では中東情勢の混乱によるエネルギー価格の上昇が成長率鈍化をもたらしうるリスク要因となっています。IMFは2026年の新興国の実質GDP成長率を前年比+3.9%と見込んでおり、2025年の同+4.4%から減速すると予想しています。具体的には、原油高が続けば、原油備蓄量の小さいインドネシアや、ベトナム、原油輸入依存度の高いタイ、インドを中心に悪影響が拡大することが懸念されています。なお、原油高は資源輸出国に追い風となりえますが、武力攻撃によるインフラへの直接的な被害が大きい中東諸国を中心に短期的には景気の落ち込みが大きいと考えられます。世界第二位の経済規模を誇る中国に関しては、2026年1-3月期の実質GDP成長率は前年同期比+5.0%と2025年10-12月期の同+4.5%から加速しました。設備・住宅投資などを含む総資本形成が加速し、全体を押し上げた一方、最終消費支出と純輸出のプラス幅は縮小しました。当面は不動産不況が継続するとともに、個人消費は家電や自動車といった買い替え補助金政策の変更等によって伸び悩むことが想定され、内需は厳しい状況が継続すると考えられます。 <日本の状況> 日本経済は、個人消費や設備投資、輸出の増加を主因として、2024年4-6月期から5四半期連続でプラス成長を続けました。2025年7-9月期は、トランプ米政権による高関税政策(トランプ関税)の下で輸出が減少したり、建築基準法等の改正(2025年4月)前に生じた駆け込み需要の反動で、民間住宅が大きく落ち込んだりした結果、前期比年率△2.5%となりました。10-12月期は、設備投資が好調だったほか、民間住宅が持ち直しに転じたことなどから、前期比年率+0.8%のプラス成長に転じました。2026年1-3月期は、個人消費や輸出が堅調に推移したことで、前期比年率+2.1%程度のプラス成長で着地しました。 需要項目ごとにみると、個人消費は持ち直しを続けています。賃金上昇が物価上昇に追い付かない中で、実質賃金が低下を続けたことなどを背景に、個人消費は2023年4-6月期から5四半期連続で減少しました。しかし、2024年7-9月期以降は春闘での高水準の賃上げなどを受けて所得環境の改善が進んでいることもあり、増加基調が定着しています。2026年1-3月期も、非耐久財やサービスを中心に増加しました(前期比+0.3%)。 企業部門の需要である設備投資も、総じて増加基調にあります。設備投資は2023年度、外需における先行き不透明感の高まりや、自動車の減産などを背景に横ばい圏で推移しました。2024年4-6月期以降は自動車の生産体制が正常化したり、高水準の企業収益が続く中で省力化投資やデジタル化、脱炭素への対応が広がったりしたことを受けて、振れを伴いつつも増加しました。2026年1-3月期も前期比+0.3%と増加し、研究開発や建設、機械など、幅広く投資が進んだとみられます。 輸出は、2024年1-3月期には前述した自動車の減産などを受けて前期比△2.9%と減少しました。4-6月期には設備投資同様、自動車の増産を受けて持ち直しに転じ、その後はインバウンド消費を含むサービス輸出の拡大なども重なり、2025年4-6月期まで増加基調を維持しました。7-9月期は前期比△1.6%と、トランプ関税の影響などから減少に転じたものの、10-12月期は前期比+0.2%、2026年1-3月期は前期比+1.7%と持ち直しました。 金融面では、日本銀行は、2024年3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の解除と、短期金利に加えて長期金利(10年国債利回り)も操作対象とする金融緩和措置(イールドカーブ・コントロール)の撤廃を決定し、短期金利を操作目標とする通常の金融政策へ移行しました。そして、2024年7月の金融政策決定会合において、短期金利の誘導目標を0.25%程度に引き上げました。その後も、基調的な物価上昇率が目標水準である2%に向けて徐々に高まっているとの判断のもと、2025年1月と12月の金融政策決定会合において、短期金利の誘導目標をそれぞれ0.50%程度、0.75%程度へ段階的に引き上げました。また、国債の買入れに関しては、2024年7月の金融政策決定会合で長期国債買入れ予定額を原則として毎四半期4,000億円程度ずつ減額する計画を示し、2025年6月には、2026年4月以降の減額幅を毎四半期2,000億円程度ずつに縮小する方針を示しました。2024年7月に月額5.7兆円程度であった買入れ額は、2026年度末で同2.1兆円程度へと減額され、日本銀行の保有する国債残高は2027年3月に減額開始前の2024年6月から16~17%減少すると見込まれています。さらに、2025年9月の金融政策決定会合では、日本銀行が保有するETFおよびJ-REITについて、それぞれ簿価で年間3,300億円程度、50億円程度のペースで市場への売却を行うことを決定しました。 為替市場をみると、2025年度は円高から円安基調への転換が進みました。2025年初以降、トランプ政権の関税政策が米国に景気後退をもたらすとの見方が強まったことで円高が進み、ドル円レートは4月に一時1ドル139円台となりました。ただしその後は、米中関税交渉の進展や堅調な米経済指標を背景とした早期利下げ期待の後退、高市早苗政権の誕生を受けた財政拡張懸念の高まりなどから、ドル円レートは2026年初にかけて円安が進行しました。1月下旬には日米当局による為替介入への警戒感が強まる中で一時円高方向に振れましたが、2月末の米国・イスラエルによるイランへの攻撃を受け、リスク回避のドル買い圧力や資源価格高騰を受けた貿易赤字の拡大懸念から、ドル円レートは再び円安方向で推移しました。 株式市場では、2025年度は下落から始まったものの、その後は概ね上昇傾向で推移しました。2025年に入ると、世界的な景気後退リスクの高まりから日経平均株価は軟調な動きとなり、4月には米国の関税政策の強化を背景に一時は約1年5カ月ぶりの安値まで落ち込みました。しかし、その後は生成AI市場の成長期待を受けた半導体関連銘柄への買い、米関税措置に関する日米協議の合意、高市政権の政策期待等が相場を押し上げ、日経平均株価は2026年2月に史上最高値を更新しました。もっとも、2月末の米国・イスラエルによるイランへの攻撃を受け、中東情勢の悪化と原油の供給不安が意識され、株価は3月にかけて大幅に下落しました。 2026年3月末の日経平均株価は51,063円72銭(2025年3月末比15,446円16銭高)、10年国債利回りは2.366%(同0.869%ptの上昇)、為替は1ドル159円63銭(同10円49銭の円安)となりました。 (4)当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析① 営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。 (単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期営業活動によるキャッシュ・フロー△454,066438,963投資活動によるキャッシュ・フロー△353,443△583,599財務活動によるキャッシュ・フロー199,019199,423現金及び現金同等物に係る換算差額△3,763△21,861現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△612,25332,925現金及び現金同等物の期首残高4,351,9513,739,698現金及び現金同等物の期末残高3,739,6983,772,624 当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減などにより、4,389億円(前年度は△4,540億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出や売却及び償還による収入などにより、△5,835億円(同△3,534億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額などにより、1,994億円(同1,990億円)となりました。これらに為替変動の影響等を加えた結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比329億円増加の3兆7,726億円となりました。 ② 資本の財源及び流動性に係る情報(ⅰ)流動性の管理<財務の効率性と安定性の両立> 当社グループは、多くの資産及び負債を用いる有価証券関連業務や、投融資業務を行っており、これらのビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。 当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。 財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。 当社は、「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性のうち流動性に係る健全性の状況を表示する基準」(平成26年金融庁告示第61号)により連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)及び連結安定調達比率(以下、「NSFR」という。)を所定の比率(それぞれ100%)以上に維持することが求められており、当第4四半期日次平均のLCRは125.8%です。また、当第4四半期末のNSFRは有価証券報告書提出日における速報値で125.3%となっており、確定値は算出完了次第、当社ホームページにて公表する予定です。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCR及びNSFRを流動性に係るリスクアペタイトとして管理・モニタリングしていることに加え、一定期間無担保調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように流動性ストレステストを中心とした流動性リスク管理態勢を構築しております。短期の無担保調達資金の十分性検証として、様々なストレスシナリオを想定したうえで、資金流出見込額をカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しております。長期の無担保調達資金の十分性検証として、ストレス期に換金性の低い資産に対する安定的な資金調達額を定期的にモニタリングしております。 当第4四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。 (単位:億円) 日次平均(自 2026年1月 至 2026年3月)適格流動資産(A)30,784資金流出額(B)54,437資金流入額(C)29,972連結流動性カバレッジ比率(LCR) 算入可能適格流動資産の合計額(D)30,784 純資金流出額(E)24,465 連結流動性カバレッジ比率(D)/(E)125.8% <グループ全体の資金管理> 当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っており、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。 <コンティンジェンシー・ファンディング・プラン> 当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。 当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。 また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券、大和ネクスト銀行及び一部の海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。 なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。 (ⅱ)株主資本 当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開し、新たな価値の提供に資する投融資を行うためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。 当連結会計年度末の株主資本は、前連結会計年度末比437億円増加し、1兆4,858億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は5,139億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益を1,752億円計上したほか、配当金798億円の支払いを行ったこと等により、同799億円増加し1兆1,214億円となりました。自己株式の控除額は同364億円増加し、1,495億円となっております。 ③ 財務戦略 当社グループの財務戦略の基本は、成長投資、資本効率性、財務健全性及び株主還元の最適なバランスを図り、健全な利益の確保を通じた持続的成長を実現することです。 持続的な成長の実現に際しては、規制並びに制度対応と適正な自己資本水準を維持することを重視しております。強固な財務基盤を堅持するため、過去の金融危機時のストレス・シナリオにも耐えうる資本のバッファーを加味して、連結総自己資本規制比率には社内管理水準を設定しております。 成長投資に関しましては、当連結会計年度も既存事業の競争力強化のための投資や事業ポートフォリオ多様化のための出資などを実行いたしました。その上で、連結総自己資本規制比率は、速報ベースで社内管理水準を上回っておりますので、証券ビジネスの顧客基盤拡大に向けた投資やコアビジネスと親和性のある周辺領域への投資は、今後も常に検討してまいります。 株主還元策については「第4提出会社の状況 3配当政策」に記載のとおりです。 当社の資金調達の方法については、「② 資本の財源及び流動性に係る情報」に記載しております。
事業リスク
- 国際情勢と経済の変動国際紛争の深刻化(米中対立、ロシア・ウクライナ、中東情勢など)や、トランプ政権の通商政策、中国経済の低迷などは、世界経済の悪化や金融市場の不安定化を招く可能性があります。これにより、株価や債券価格の変動、為替の急激な変動が収益に悪影響を及ぼすリスクがあります。
- 国内経済と金融政策日本の財政不安による国債格下げや円資産の暴落、スタグフレーション(景気停滞と物価上昇の同時進行)のリスクがあります。日本銀行の金融政策正常化に伴う金利上昇は、企業や家計の資金調達コスト増加、投資・消費マインドの変化を通じて、景気の下押し要因となり、収益に影響を与える可能性があります。
- システム・サイバー攻撃AIの悪用などで高度化・多発化したサイバー攻撃や大規模なシステム障害が発生した場合、重要業務の停止や顧客情報の漏えいにつながる可能性があります。これにより、会社の評判が大きく損なわれたり、ビジネス機会を喪失したりするリスクがあります。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項に関し、以下のようなリスクがあげられます。これらのリスクは必ずしもすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では想定していないリスクや重要性が乏しいと考えられるリスクも、今後当社グループの財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 当社グループでは、収益性や成長性を追求する一方で、事業に伴う各種のリスクを適切に認識・評価し効果的に管理することが重要であると考えております。当社グループで展開するビジネスには、多種多様なリスクが存在します。健全な財務構造や収益構造を維持するためには、事業特性やリスク・プロファイルを踏まえてこれらのリスクを認識し、かつ適切な評価のもとに管理していくことが重要であると考えております。 当社グループは、自己勘定を活用して一時的に販売目的の商品ポジションを保有し、お客様への商品提供を行うため、相場変動やヘッジが機能しないことに起因する市場リスク、取引先や発行体に対する信用リスク、外貨を含めた流動性リスクのほか、業務を執行するうえで必然的に発生するオペレーショナルリスクや意思決定にモデルを使用することによるモデルリスクなどが生じます。また、成長投資を実行することに伴い、投資先の業績や信用状態の悪化、市場環境の変化などに起因する投資リスクも発生します。そのため、ストレステストやトップリスク管理を活用し、フォワードルッキングな視点でグループ内における資本や流動性に与える影響を計測するなど、統合的なリスク管理を行っています。 トップリスク 当社グループは、多様なリスクの中から、当社グループの事業の性質に鑑みて特に注意すべき事象をトップリスクとしてモニタリングしております。有価証券報告書提出日現在におけるトップリスクは下表のとおりです。 リスク事象具体例国際紛争・対立の深刻化・経済・技術分野での米中デカップリングの進展を背景に、中国の対外姿勢が強硬化し、台湾海峡の緊張が拡大。シーレーン航行の制約(検査強化・迂回等)が増大し、サプライチェーンの混乱・断裂を通じて世界経済の悪化へと波及・ロシアがサイバー攻撃・エネルギー供給の武器化など多面的なハイブリッド戦争を強化し、軍事衝突はNATO参戦を伴う大規模危機へ拡大。商品市況が急騰し、世界経済の深刻な悪化へ波及・ハマス・イスラエルの停戦交渉がまとまらず決裂。アラブやイランなどの周辺国が本格参戦して中東地域が戦争状態へと突入し、シーレーン封鎖による原油価格高騰、不確実性の拡大と相まって世界経済の悪化に波及トランプ2.0・米国の通商政策(関税強化)や外交政策(軍事・経済介入)が中国・欧州等の報復措置を招き、世界貿易が減速。加えて、移民政策(不法移民の大量送還等)による労働供給の縮小や減税政策による財政赤字の拡大が重なり、インフレ再燃と金利上昇を通じて米国経済は急速に悪化中国経済危機・不動産市況の回復の遅れと内需低迷によるデフレが長引き、中国経済が低迷。世界経済の悪化に波及日本の財政不安による国債格下げや円資産の暴落・日本政府が財政再建に消極的で、減税を含む拡張的な政策が前面化する一方、財政健全化対応が後ろ倒しとなることで財政リスクが意識され、国債格下げや海外勢の円資産売りが進行。また、国債格下げに伴い、当社の資金調達コストも上昇日本のスタグフレーションリスク・円安基調や資源・食料価格の上振れに加え、人手不足(少子高齢化、労働供給制約等)によるコスト増が継続し、インフレが粘着化。賃金と物価の好循環には至らず消費が減速し、日本経済はスタグフレーションに陥る金融危機の再来・特定テーマ(特定取引)にポジションが過度に集中し、相場反転局面において損失拡大やマージン増加を契機に一斉の巻き戻し(同時解消・デレバレッジ)が発生。株式・債券を中心に価格急変と流動性枯渇(スプレッド拡大)が連鎖し、信用収縮・資金調達環境の悪化へ波及AI・デジタルへの対応の遅れ・金融サービスのデジタル化が加速する中、AI・Web3.0等の新技術活用やデータ・業務のデジタル化が不十分なまま競争環境が変化し、顧客接点・効率化・新サービス開発等で後れを取り当社競争力が低下・AI活用に伴うリスク(データ・プライバシー、セキュリティ等)への対応が不十分となり、当社のレピュテーションが毀損し、ビジネス機会も喪失大規模地震・大規模地震(首都直下型地震、南海トラフ地震等)による日本経済への甚大な影響が発生。また、当社への人的・物的被害も発生新たな感染症の流行・未知の感染症の発生等により国内外で感染が再拡大し、グローバルで経済活動が長期停滞サイバー攻撃・AIの悪用によって高度化・多発化したサイバー攻撃(サードパーティ経由を含む)を受け、システムダウンによる重要業務の停止や、顧客情報の漏えいが発生。結果、当社のレピュテーションが毀損し、ビジネス機会も喪失システム障害・人為的過失、機器の故障、自然災害、サードパーティ(クラウドサービス等)のサービス停止などを要因としてシステム障害が発生し、重要業務の継続が困難となる。結果、当社のレピュテーションが毀損し、ビジネス機会も喪失役職員による不適切な行為・役職員自身または役職員の関与による市場の健全性を損ねる行為(インサイダー取引・相場操縦等)、その他の犯罪行為(顧客資産の窃盗等)により、当局からの制裁金が課される又は使用者責任を問われるうえ、当社のレピュテーションが毀損し、ビジネス機会も喪失マネロン・テロ資金供与への対応不備・マネー・ローンダリング、テロ資金供与等の金融犯罪対策に不備があり、行政処分を受ける。また、当社のレピュテーションが毀損し、ビジネス機会も喪失 トップリスクは経営陣が選定する体制としており、選定に際しては、経営陣が広範なリスクを認識・議論できるような枠組みを整備しております。具体的には、広範なリスク事象を網羅的に「見える化」するために、社内外より収集したリスク事象を基に、関連部署が整理・抽出したリスク事象をトップリスクの候補とします。その上で当社グループの取締役・執行役が、当社グループの業績に与える影響度と当該リスク事象の発生可能性からフォワードルッキングに評価してトップリスクを当該候補から抽出して選定します。かかる評価に際しては、以下のリスクマップが活用されます。 (1)日本及び世界の景気、経済情勢、金融市場の変動に関するリスク2025年度の日本経済は、企業部門の底堅さや雇用・所得環境の改善等を背景に、内需を中心とした緩やかな回復が続いた一方、食料品等を中心とする物価上昇の影響が残り、賃金上昇が物価上昇に追い付かない局面では個人消費の回復力が弱まり得る状況がみられました。また、海外経済や通商政策等を巡る不確実性が高い中、輸出や企業活動は外部環境の影響を受けやすい状況にあります。日本銀行は金融政策の正常化を進め、2025年1月に短期金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)の誘導目標を0.5%程度へ引き上げ、同年12月には0.75%程度へ引き上げました。金融政策の正常化に伴う金利上昇は、企業・家計の資金調達コストの増加、投資・消費マインドの変化、資産価格の調整等を通じて、景気の下押し要因となる可能性があります。加えて、為替の急激な変動や資源価格・エネルギー価格の上振れ等が生じた場合には、輸入物価を通じた物価上昇や企業収益の圧迫等により、日本経済が下振れするリスクも存在します。世界経済においては、地政学リスクの高まりが続く中、とりわけ中東情勢の緊迫化(軍事的衝突の拡大・長期化を含む)は、エネルギー等のコモディティ価格の変動、インフレ期待の変化、金融環境の変化、ならびに海上・航空輸送の混乱等を通じて、世界経済の成長鈍化や金融市場の不安定化を招くおそれがあります。また、主要国・地域における金融政策運営の不確実性や金利水準の高止まり・変化の可能性は、株式・債券・為替等の金融市場におけるボラティリティ上昇やリスク回避姿勢の強まりをもたらす可能性があります。中国を含む一部地域では、不動産市場の調整等を背景に景気回復が弱含む可能性があり、新興国においては、高インフレ、債務問題、地政学リスク等が複合的に作用し、経済・金融の不安定化を招くリスクがあります。世界的に財政状況や経済状況が急速に悪化した場合には、金融危機や経済危機に発展する可能性も否定できません。このように、日本における財政政策・金融政策の効果が期待通り得られない場合や、世界景気や経済情勢の停滞若しくは悪化等、日本を取り巻く経済環境に悪影響を及ぼす事象が発生した場合には、企業業績の悪化、株価の下落、為替・金利の変動等により様々なリスクが顕在化することが想定されます。このような事態は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 (2)外的要因によるリスク 当社グループの主たる事業である有価証券関連業務は、マーケットに急激な変動を生じさせる予測不可能な出来事の発生により大きな影響を受ける傾向があります。例えば、2001年9月に発生した米国同時多発テロ、2011年3月に発生した東日本大震災のほか、2024年3月における日本銀行によるマイナス金利の解除及び利上げといった各国の金融政策の転換による金融・証券市場への影響は、当社グループの業績に重大な影響を及ぼしました。 このように、戦争・テロ行為、地震・津波・洪水等の自然災害、各種感染症の大流行や情報・通信システム・電力供給といったインフラストラクチャーの障害等の外的要因は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3)気候変動等に関するリスク 当社グループは、気候変動への取組みが重要な経営課題であると認識しております。 当社グループの移行リスク(気候関連リスクのうち、脱炭素社会への移行に伴うもの)としては、「カーボンプライシング等の政策の変化による、投資・運用先等におけるコスト増加、及びこれに伴う収益悪化(政策/法律)」、「エネルギー関連技術の変化による、投資・運用先等のコスト増加、及びこれに伴う収益悪化(技術)」、「脱炭素社会への移行による、ファンド運用パフォーマンスの低下や残高減少、及びこれに伴う信託報酬・販売関連収益の減少(市場)」、「気候変動対策の取組み不足や、環境負荷の高い事業に係る投資・引受に伴う評判悪化(レピュテーション)」が挙げられます。 当社グループの物理的リスク(気候関連リスクのうち、物理的な被害に起因するもの)としては、「異常気象や風水害等による取引先や投資・運用先等の被災に伴う、引受・M&A関連ビジネスの停滞、及びファンド運用パフォーマンスの低下や信託報酬・販売関連収益の減少(急性/慢性)」、「豪雨や巨大台風による、太陽光/風力発電設備等の投資物件の価値低下や売却機会の減少、及びこれらに伴う収益悪化(急性/慢性)」、「自然災害の激甚化による金融システム障害、当社グループの各事業拠点やデータセンター等の被災に伴う復旧・修繕費用の増加(急性/慢性)」が挙げられます。 これらの事態は、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4)競争状況に伴うリスク 株式の売買委託手数料率の自由化をはじめ、ファイアーウォール規制の見直し等、一連の大幅な規制緩和を契機として、当社グループの主たる事業である有価証券関連業務における競争は、厳しいものとなっています。参入規制がほぼ撤廃されて、銀行その他の証券会社以外の国内外の金融グループ等は、幅広い金融商品・サービスの提供を行うことにより、顧客基盤及び店舗ネットワークを構築・強化しております。 当社グループは、これら国内外の金融グループ等に対して、競合する事業における価格やサービス面等の点で十分な競争力を発揮できるという保証はなく、これが発揮できない場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 (5)グループ戦略が奏功しないリスク 当社グループは、有価証券関連業務を中核とする投資・金融サービス業や不動産・ヘルスケア・再生可能エネルギーなど新たな事業領域となる業務を行うグループ会社群によって構成されており、これらグループ会社が連携することで付加価値の高い投資・金融サービスを提供する等、グループ全体の企業価値を最大化することを目指しております。しかしながら、①国内外の経済・金融情勢が悪化した場合、②競争環境の変化により、当社グループの期待する収益を得られない場合、③当社グループ内外との事業提携・合弁関係、業務委託関係が変動あるいは解消した場合、④当社グループ内の組織運営効率化のための施策が想定どおりに進まない場合、及び⑤法制度の大幅な変更があった場合をはじめとする様々な要因により、上記のグループ戦略に変更が生じる場合や、グループ会社間の業務、その他の連携が十分に機能しない場合には、グループ戦略が功を奏しない可能性や想定していた成果をもたらさない可能性があり、その場合、当社グループの事業、財政状態及び経営戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)業績の変動性に伴うリスク 当社グループの主たる事業である有価証券関連業務をはじめ、その他の主要業務であるアセットマネジメント業務、投資業務は、お客様との取引から得られる手数料、トレーディング損益、営業投資有価証券関連損益等が大幅に変動するという特性を持っております。当社グループでは業績の安定性を向上させるべく、ウェルスマネジメント部門における預り資産の拡大やアセットマネジメント部門における契約資産残高の拡大、グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門の収益構造の多様化、市場リスクや信用リスクをはじめとする各種リスクの管理強化、経費管理の徹底等の努力を行っておりますが、これらの施策は有価証券関連業務に伴う業績の変動性をカバーすることを保証するものではなく、とりわけ経済・金融情勢が著しく悪化した場合には、当社グループの業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社グループの過去3連結会計年度における連結業績の推移は次のとおりです。 (単位:百万円)回次第87期第88期第89期決算年月2024年3月2025年3月2026年3月営業収益1,277,4821,372,0141,467,983純営業収益590,910645,990720,427経常利益174,587224,716234,510親会社株主に帰属する当期純利益121,557154,368175,281 (7)ウェルスマネジメント部門におけるビジネス・リスク ウェルスマネジメント部門では、市況の低迷でお客様の証券投資需要が低調となったり、証券市場のリスクを避ける投資行動が強まったり、リスク資産を保有することそのものに対して消極的な傾向が強まったりすると、収益が大きく低下する可能性があります。また、店舗、営業員、オンライン取引システム等を必要とするため、不動産関係費、人件費、システム投資等に係る減価償却費等の固定的経費を要する傾向があります。したがって、上記のような要因により収益が大きく低下したときは、経費抑制努力では対応しきれず、採算割れとなるリスクがあります。なお、連結子会社である株式会社大和ネクスト銀行(以下、「大和ネクスト銀行」という。)に起因する「銀行業に伴うビジネス・リスク」は(8)に記載しています。 (8)銀行業に伴うビジネス・リスク 当社グループのウェルスマネジメント部門では、連結子会社である大和ネクスト銀行が、同行の銀行代理店である大和証券株式会社(以下、「大和証券」という。)を通じて、お客様向けサービスを提供しております。 大和ネクスト銀行においては、大和証券やインターネット等を通じたお客様からの預金受入れ等により調達した資金を、貸出や債券その他有価証券投資等により運用しておりますが、銀行業は、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、システムリスク、コンプライアンスリスク、事務リスク、情報セキュリティリスク、外部委託にかかるリスク、イベントリスク、レピュテーショナルリスク、自己資本比率低下リスク等、様々なリスクへの対応が必要となります。このような広範に渡るリスクの管理態勢の整備、維持及び改善等の対応を進めておりますが、これらの対応が不十分であった場合、金融政策の変更等による運用資産の利回り低迷や調達金利の上昇等により期待された利鞘が確保できない場合、競合する他の銀行との差別化戦略が期待どおりに進まず競争力が発揮できなかった場合等においては、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 加えて、大和ネクスト銀行は、2026年4月27日付で、オリックス株式会社との間で、その完全子会社であるオリックス銀行株式会社(以下、「オリックス銀行」という。)の発行済株式の全てを取得(以下、「本株式取得」という。)し、オリックス銀行を大和ネクスト銀行の完全子会社化することを内容とする株式譲渡契約を締結いたしました。本株式取得の完了後、将来的には、大和ネクスト銀行とオリックス銀行の合併を予定しております。本株式取得は、関係当局の許認可等の取得を前提としており、これらの前提条件が充足されない場合や手続に想定以上の時間を要する場合等には、本株式取得の実行時期が変動し、又は実行されない可能性があります。 本株式取得の実行後は、オリックス銀行が営む不動産関連融資をはじめとする貸出業務等が加わることにより、当社グループの銀行業の事業規模が拡大いたします。これに伴い、上記の各リスクのプロファイルが従来から変化し、特に不動産関連融資に係る信用リスクや特定の業種・資産等への与信集中リスクが増大いたします。今後の金利環境や不動産市況の変動、貸出先の信用状態の悪化等により与信関係費用が増加した場合等においては、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、本株式取得後の経営統合(システム・事務・人材・リスク管理態勢等の統合を含む。)が想定どおりに進捗しない場合、期待されるシナジーが十分に発現しない場合、規模拡大後の事業に応じたリスク管理・コンプライアンス・システム対応等が十分に行えなかった場合、又は本株式取得に伴い計上されるのれん等について将来において減損損失の認識が必要となった場合等においては、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (9)アセットマネジメント部門におけるビジネス・リスク アセットマネジメント部門は、証券アセットマネジメント、不動産アセットマネジメント及びオルタナティブアセットマネジメントの各ビジネスにより構成されております。 証券アセットマネジメントの収益は、運用資産の残高に基づく一定料率又は実績連動の報酬です。市場の変動によって運用資産の評価額が下落した場合や、お客様の資産運用の動向が変化(預金等の安定運用志向の高まりを含む。)したり、あるいは当社グループの運用実績が競合他社に比べて低迷する等して、解約等が増加し、運用資産が減少した場合には、当社グループの収益は減少します。 他方、証券アセットマネジメントの経費構造は、システム関連経費や人件費が中心であり、固定費的な要素が強いため、収益の低下が著しい場合には採算割れとなるリスクがあります。 不動産アセットマネジメントの収益は、運用資産の残高や不動産売買金額に基づく一定料率の報酬の他、不動産開発利益、不動産賃貸事業利益等から構成されております。不動産市場の変動等により、運用資産の評価額下落や運用資産の収益性低下、不動産売買取引の減少、不動産取引価格の低迷、不動産開発用地の取得価格上昇、建設資材の価格上昇等が生じた場合に、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 他方、不動産アセットマネジメントの経費構造は、人件費や不動産関係費、不動産賃貸事業費用等から構成されており、これらの費用の上昇及び収益の著しい低下等が生じた場合に、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、不動産アセットマネジメントには、当社グループの連結子会社である大和証券オフィス投資法人及びサムティ・レジデンシャル投資法人、持分法適用関連会社である大和証券リビング投資法人が含まれております。これらの不動産投資法人は、投資信託及び投資法人に関する法律に基づく投資法人であり、株式会社東京証券取引所不動産投資信託証券市場に上場し、投資口及び投資法人債の発行並びに金融機関等からの借入れ等により資金調達をし、大和証券オフィス投資法人は主としてオフィスビル、サムティ・レジデンシャル投資法人は主として賃貸住宅、及び大和証券リビング投資法人は主として賃貸住宅及びヘルスケア施設を中心とした不動産及び不動産を信託財産とする信託受益権等に対して投資し、不動産の賃貸や売却等により回収することを主たる事業としております。 大和証券オフィス投資法人、サムティ・レジデンシャル投資法人及び大和証券リビング投資法人の事業は、市場環境や経済情勢の変動、調達金利の変動、テナントの入退居、賃料の改定・不払い、テナント・信託の受託者その他関係者の倒産等、固定資産税その他諸費用の変動、不動産に係る欠陥・瑕疵の存在、災害等による建物の滅失・劣化・毀損、所有権その他不動産の権利関係、有害物質の存在、環境汚染、行政法規・税法(投資法人と投資主の二重課税を排除するための税法上の要件を含む。)その他法令等の制定・変更、取引所規則等の制定・変更等の様々な事情により影響を受ける可能性があります。これらにより、期待する水準又は時期による賃料や売却収入が得られなかったり、評価損が発生したりした結果、大和証券オフィス投資法人、サムティ・レジデンシャル投資法人及び大和証券リビング投資法人が損失を計上した場合等には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 オルタナティブアセットマネジメントでは、当社グループが運営管理するファンドの資金により、主に国内外のベンチャー企業、中小企業等への投資を行うファンド運営業務と、自己の資金により、主に国内外の中小企業やエネルギー及びインフラストラクチャー分野の国内外の資産等への投資を行うプリンシパル・インベストメント業務を行っており、ファンド運営業務ではファンドからの管理報酬及び成功報酬を、プリンシパル・インベストメント業務では、投資期間中のインカムゲインや売却時のキャピタルゲインを、それぞれ主な収益源としています。 ファンド運営業務では、その特性上、投資活動の成否はキャピタリスト等の人材に大きく依存し、有能な人材を確保・育成し定着できない場合、投資活動に支障をきたすリスクがあります。また、ファンド募集において、ファンド出資者から十分な資金を集めることができない場合、投資活動に支障をきたす可能性があるほか、管理報酬が減少し当社グループの業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。さらに、投資対象となる中小企業等は、ビジネスモデルや経営基盤が安定していない、創業者等の特定の人物に対する依存度が著しく高い、経営に何らかのリスク要因を抱える等、多種多様なリスク要因を包含しております。また、投資対象のベンチャー企業等が株式公開を目指す場合には、実際の公開に至るまでの、投資期間も長期に亘る傾向があります。加えて、投資先企業のすべてが株式公開を実現する保証はなく、投資先企業の株式公開が実現した場合においても、当該企業の株式等の取得原価を上回る価額で当該株式等を売却できるとは限りません。これらの要因により、投資先企業が倒産する可能性のほか、取得原価を上回る価額で株式等を売却できずに期待されたキャピタルゲインが実現しない可能性や売却損又は評価損が発生する可能性があり、ファンドのパフォーマンスに、ひいては当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 プリンシパル・インベストメント業務では、保有する有価証券や投資資産の流動性が低く保有期間が長くなる傾向にあること、投資先の分散によるリスク抑制が行い難いこと、中小企業等への投資の場合は投資開始時点で経営に何らかのリスク要因のある企業へ投資する場合があること、国内外の法規制等により株式等の処分が妨げられ、処分までに長期間を要する場合があること、エネルギー及びインフラストラクチャー分野の国内外の資産等への投資の場合は投資資産の対象企業その他関係者の信用状態の変化、経済環境の変化、公的施策の動向、規制の強化、政情不安、自然災害、為替・金利動向、資源価格の動向、投資資産の所在国のカントリーリスク等による影響を受ける可能性があること等、多種多様なリスク要因を包含しています。これらの要因により、保有期間中に期待したインカムゲインが得られない可能性や、評価損が発生する可能性があり、また、売却する場合において、取得原価を上回る価額で売却できるとは限らないため、期待された売却益が実現しない可能性や売却損が発生する可能性があります。 (10)グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門におけるビジネス・リスク グローバル・マーケッツ&インベストメント・バンキング部門は、グローバル・マーケッツとグローバル・インベストメント・バンキングの各ビジネスにより構成されております。 グローバル・マーケッツにおける現物取引やデリバティブ取引等のトレーディング業務には、市場動向や税制、会計制度の変更等の影響でお客様の取引需要が減少して収益が低下するリスクや、急激かつ大幅な市況変動でディーラーの保有ポジションの時価が不利な方向に変動して損失が発生するリスク、低流動性のポジションを保有していたため市況変動に対応して売却することができず損失が発生するリスク等があります。 これらのうち、主要なものは市場リスク(株式・金利・為替・コモディティ等の相場が変動することにより損失を被るリスク)と信用リスク(与信先の財務状況の悪化等により、資産(オフバランス資産を含む。)の価値が減少ないし消失し、あるいは債務が履行されないことにより損失を被るリスク)です。当社グループでは、各商品のトレーディングにかかるリスクを軽減するために、各商品の過去の市場価格の推移や各商品の価格変動の相関を参考に、必要に応じて様々なヘッジ取引を行っておりますが、予想を超える市場の変動や突発的に発生する個別の事象等により、ヘッジが有効に機能しない可能性もあります。さらに、トレーディング・ポジションの内容が特定の銘柄や業種等に偏ると、ポートフォリオ全体の分散効果が得られにくくなるほか、ポジションの円滑な処分も困難になるため、リスクが顕在化した場合の損失額が大きく膨らむ傾向があります。 グローバル・マーケッツにおけるブローカレッジ業務では、市況の低迷でお客様の証券投資需要が低調となったり、リスクを避ける投資行動が強まったり、リスク資産を保有することそのものに対して消極的な傾向が強まったりすると、収益が大きく低下する可能性があります。また、法人のお客様向けの大規模な取引システム等を必要とするため、システム投資等に係る減価償却費等の固定的経費を要する傾向があります。したがって、上記のような要因により収益が大きく低下したときは、経費抑制努力では対応しきれず、採算割れとなるリスクがあります。 また、グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、法人のお客様の財務面でのニーズに対応して、債券、上場株式、新規公開株式、資産流動化証券等の引受け、募集・売出しを行うほか、仕組み証券やストラクチャード・ファイナンスの組成に関する業務、M&A、事業再編や新規公開に関するアドバイザリー業務も行います。これらの業務には、概して証券市況に影響されて取引規模及び取引量が急激に変動する特性があります。また、引受業務には、引受けた証券が市況の下落等で円滑に投資家に販売できない場合、引受けた証券を保有すること等により、市場価値の下落による損失を被るリスクがあります。引受業務におけるポジション・リスクは、単一の銘柄でかつ巨額なポジションとなり、適時に効果的なリスク回避の手段をとることができないため、通常のトレーディングにおけるポジション・リスクよりも重大なリスクとなり得ます。また、引受業務には、有価証券の募集・売出しにかかる発行開示が適切になされなかった場合には、金融商品取引法に基づき引受会社として投資家から損害賠償請求を受けるリスクがあります。 (11)投資有価証券に関するリスク 当社グループは、提携・友好関係の維持や構築等を目的として、対象企業等の株式等を保有することがあります。このうち、市場性のある株式等については市場価格の下落により、それ以外の株式等については当該対象企業等の財政状態及び経営成績の悪化等に起因する評価損あるいは減損損失が発生することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、上記株式等について、保有意義の希薄化等を理由に売却を実行する際、市場環境若しくは対象企業等の財政状態及び経営成績等によっては、期待する価格又は時期に売却できない可能性があります。 (12)海外事業に関するリスク 当社グループは、欧米等の先進国並びに新興国市場を含むアジアに広範な事業基盤を有しております。 海外の事業基盤は、国内の事業基盤と比較すると、お客様の取引ニーズの変動や市場環境、政治・金融・経済情勢の変動等の影響をより強く受ける場合があり、これらの変動の程度やリスク管理の状況によっては減収又は損失を被る可能性があります。また、海外事業については、投下した資本並びに収益が為替変動リスクに晒されていることや、事業を展開する国における法規制等の変更により、当社グループ又は当社グループが出資する合弁会社等の事業が制約を受ける可能性があることのほか、投下資本の価値が変動する可能性があります。 (13)自己資本規制・流動性規制に関するリスク 当社グループは、当社が金融商品取引法上の最終指定親会社に該当するため、「最終指定親会社及びその子法人等の保有する資産等に照らし当該最終指定親会社及びその子法人等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成22年金融庁告示第130号)の適用を受け、同告示第2条に基づいて連結自己資本規制比率を所定の比率(連結普通株式等Tier1比率4.5%、連結Tier1比率6%、連結総自己資本規制比率8%。以下、「最低所要連結自己資本規制比率」と総称する。)以上に維持する必要があります。また、当社グループは2025年3月末からバーゼルⅢ最終化を適用しております。 当社グループは、上記の最低所要連結自己資本規制比率の充足に加え、2016年3月末以降は、資本保全バッファー比率2.5%とカウンター・シクリカル・バッファー比率の合計に、当社がD-SIBs(Domestic Systemically Important Banks: 国内のシステム上重要な銀行)に指定されたことによる上乗せ分0.5%を加えた最低資本バッファー比率の維持が必要となっています。当社グループは、「最終指定親会社及びその子法人等の保有する資産等に照らし当該最終指定親会社及びその子法人等の自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準の補完的指標として定めるレバレッジに係る健全性を判断するための基準」(平成31年金融庁告示第13号)が適用され、2024年6月末から連結レバレッジ比率を3.15%以上に維持することが求められています。当社グループは、「金融商品取引法第57条の17第1項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性のうち流動性に係る健全性の状況を表示する基準」(平成26年金融庁告示第61号)が適用されており、同告示に基づき2015年3月末から連結流動性カバレッジ比率、さらに2021年9月末からは連結安定調達比率を所定の比率(100%)以上に維持する必要があります。また、連結子会社のなかにも同様に類似の規制を受けている会社があります。大和証券、リテラ・クレア証券株式会社・大和コネクト証券株式会社及び大和かんぽオルタナティブインベストメンツ株式会社は、金融商品取引法に定める自己資本規制比率を同法に基づいて120%以上に維持する必要があります。大和ネクスト銀行は、「銀行法第14条の2の規定に基づき、銀行がその保有する資産等に照らし自己資本の充実の状況が適当であるかどうかを判断するための基準」(平成18年金融庁告示第19号)に定める自己資本比率(国内基準)を同告示に基づいて4%以上に維持する必要があります。(大和ネクスト銀行も2025年3月末からバーゼルⅢ最終化を適用しております。)海外の連結子会社についても同様の会社があります。 当社グループの上記比率又は連結子会社の自己資本規制比率が著しく低下した場合には、レピュテーショナルリスクの波及や信用水準の低下により流動性懸念が生ずる可能性があります。さらに、上記の各規制により要請される最低基準を下回った場合に有効な対策(資本増強策等)を講じられない場合には、内外の監督当局から業務改善命令や業務の全部又は一部の停止等の措置を受ける可能性があります。 当社グループにおいて上記の自己資本規制・流動性規制を遵守するために、規制により要請される最低水準に適切なバッファーを上乗せした社内管理水準を会議体で決議して、自己資本規制比率・流動性規制比率のモニタリングを行い、遵守状況について経営に報告しております。 規制比率がこの社内管理水準を下回った場合には、CFOは、規制担当部署を通じ原因の発生したグループ会社に対し、当該状況、要因及び事後の対応方針等を報告させます。また必要に応じて、社内管理水準を回復するよう予め定めた対応策を実施します。 もっとも、これらの対応策にもかかわらず自己資本規制・流動性規制を遵守できなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14)当社グループが発行する有価証券に関するリスク 当社株式は、東京及び名古屋の各金融商品取引所に上場しており、その売買については金融商品取引法をはじめとする関連法令及び各金融商品取引所が定める諸規則等に基づいて行われております。これらの規則等により、当社に係る重要情報の周知を目的として売買停止の措置がなされ、あるいは当社株式について大量の注文執行により売買が一時的に停止される等、当社株式の売買ができなくなる状況が生じる可能性があります。 当社は、ストック・オプションの目的で新株予約権を発行しておりますが、将来において新株予約権の行使がなされた場合は、1株当たり利益が希薄化する可能性があります。また、当社株式を大量に保有する株主が当社株式を売却することに伴って、株価が下落する可能性があります。 (15)流動性リスク 当社グループは、多くの資産及び負債を用いる有価証券関連業務や、投融資業務を行っております。このため、適切な流動性を確保し、財務の安定性を維持することが必要となります。しかし、市場環境の変化や当社グループ各社の財務内容の悪化(当社の信用格付の低下を含む)などにより、資金繰りに支障をきたすリスク、あるいは通常よりも著しく高いコストでの資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスクがあります。 当社グループの資金調達が困難になった場合には、保有する資産を圧縮する等の対応が必要となります。しかし、市場環境の悪化により市場全体の流動性が低下すると、当社グループが売却しようとする資産のうち信用度の低い資産の流動性はより一層低下し、保有資産の処分ができなくなったり、取得原価を大幅に下回る価格であっても売却せざるを得なくなるリスクがあります。 こうした流動性リスクが顕在化した場合、当社グループの業務継続が困難になる可能性や、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (16)オペレーショナルリスク 当社グループは、多様な業務を行うことに伴うオペレーショナルリスクに晒されており、かかるリスクが顕在化した場合には、当社グループが損失を被ること等により、当社グループの業績及び社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、オペレーショナルリスクを以下のように分類して管理しております。・事務リスク役職員が正確な事務を怠る、あるいは事故・不正等を起こすことにより損失を被るリスク・システムリスクコンピュータシステムのダウン又は誤作動、システムの不備等に伴い、損失を被るリスク、さらにコンピュータが不正に使用されることにより損失を被るリスク・情報セキュリティリスク情報資産に対する脅威の発現のために、情報セキュリティ(機密性、完全性、可用性の維持)が確保されないリスク・コンプライアンスリスク役職員が企業倫理及び法令諸規則等に従わないことにより損失を被るリスク(役職員の不適切な行為により、お客様、お取引先に不利益が生じる、又は市場の健全性が損なわれるリスクであるコンダクトリスクを含む)並びにお客様等との法的紛争により損失を被るリスク・リーガルリスク不適切な契約締結、契約違反により損失を被るリスク・人的リスク労務管理や職場の安全環境上の問題が発生することにより損失を被るリスク、必要な人的資源が確保されないリスク・有形資産リスク自然災害や外部要因又は役職員の過失などの結果、有形資産の毀損等により損失を被るリスク 当社グループでは、特に有価証券関連業務において、取引の執行や決済等を処理するコンピュータシステムのダウン又は誤作動、システムの不備、システムの新規開発・統合等に起因するシステム障害、サイバー攻撃等によるデータの改ざんやお客様の情報の流出等が発生した場合、業務が正常に行えなくなることによる機会損失や損害賠償責任の発生、社会的信用の低下等を通じて当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 なお、当社グループが最近重要性を増していると認識しているオペレーショナルリスクとしては、以下が挙げられます。・サイバーセキュリティリスク外部からのサイバー攻撃によるシステムサービスの停止、情報漏えい、データ改ざん等により損失を被るリスク・マネー・ローンダリング及びテロ資金供与にかかわるリスク金融庁作成の「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」をはじめ、各国の規制等に基づき態勢整備を実施するも有効に機能せず、当社グループがマネー・ローンダリング等に関与してしまうリスク・外部委託先管理リスク業務委託先の不適切な選定、契約不備、倒産・買収等による業務撤退、不正行為、過失等により損失を被るリスク (17)規制等に関するリスク 当社グループの各社は、その業務の種類に応じた法令や自主規制団体の規程等による規制を受けております。グループの主たる証券会社である大和証券をはじめ、大和アセットマネジメント株式会社、大和企業投資株式会社等が、金融商品取引業者として金融商品取引法等の規制を受けているほか、大和ネクスト銀行が銀行法等の規制を受けております。 また、大和証券は貸金業等の兼業業務に関して関係法令上の規制にも服しております。さらに、当社グループは金融商品取引法の定めにより、親法人等・子法人等が関与する行為の弊害防止のため、当該関係を利用した一定の取引の制限や、親法人等・子法人等間での情報授受や利用の制限等を受けており、お客様の利益が不当に害されることがないよう、適切な情報管理と内部管理体制の整備が求められております。また、当社は、一部のグループ各社の主要株主として、監督当局が公益又は投資家保護のために必要かつ適当であると認めるときは報告・資料提出命令を受ける等一定の規制を受ける可能性があります。一方、海外の子会社には現地の法制上、証券会社や金融機関としての規制を受けるものもあります。 なお、当社は、特別金融商品取引業者である大和証券の最終指定親会社として監督当局の連結規制・監督の対象となっております。また、当社グループは「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」における「指定親会社グループ」に該当し、連結自己資本の適切性を含む一定の事項について連結ベースでの監督を受けております。 上記のように、当社グループの事業の多くは行政及び自主規制団体による監督・規制やグローバルな金融規制のもとにあり、将来における法規・規程、政策、規制の変更が当社グループの事業活動や経営体制、さらには当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (18)法令遵守に関するリスク 当社グループは、グループ全体の内部統制機能を強化し、より充実した内部管理体制の構築に努めるとともに、役職員に対する教育・研修等を通じ、インサイダー取引規制を含め法令遵守の徹底に注力しております。しかしながら、事業を進めていく上で、その執行過程に関与する役職員の故意又は過失により法令違反行為が発生する可能性は排除し得ず、周到な隠蔽行為を伴った意図的な違法行為等については、長期間にわたって発覚しない可能性もあるため、当社グループの業績に悪影響を与えるような規模の損害賠償を取引先等から求められる可能性があります。 さらに、役職員の不正行為のみならず、法人としての当社又はグループ会社に法令違反その他の問題が認められた場合には、監督当局から課徴金の納付命令、業務の制限又は停止等の処分・命令を受ける可能性があります。また、当社グループは情報管理の徹底や「個人情報の保護に関する法律」への対応については万全の体制を敷いていると認識しておりますが、過失や不正行為等により当社グループの保有する顧客情報等各種の情報が外部に流出した場合、当社グループの信用が失墜し、クレームや損害賠償請求、監督当局からの処分等を受ける可能性があります。 当社グループの事業は、お客様からの信用に基づく部分が大きいため、法令遵守上の問題が発生し当社グループに対する社会的信用が低下した場合には、お客様との取引が減少し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす事態が生じる可能性があります。 (19)財務報告に係る内部統制に関するリスク 当社は、金融商品取引法の財務報告に係る内部統制に関する規定及び関連する諸規則の施行に伴い、財務報告に係る内部統制に必要な体制整備・運営に努めております。まず業務プロセスの選定に際しては、連結ベースの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価をもとに、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性を考慮しております。業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、重要な事業拠点における重要な勘定科目を選定し、これに至る業務プロセスを主な評価対象としております。評価対象とした各プロセス並びに全社的な観点で評価する決算・財務報告プロセスについては、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点の整備及び運用状況を検証することによって、内部統制の有効性に関する評価を行っております。しかしながら、こうした取組みが有効に機能せず、監査法人による内部統制監査の結果、財務報告に係る内部統制に重要な不備が発見された場合等においては、当社グループの社会的信用が低下し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (20)訴訟リスク 当社グループでは、経営方針等において、お客様本位の営業姿勢を掲げており、今後もより一層のサービスの拡充に努めていく所存ではありますが、お客様に対する説明不足やお客様との認識の不一致等によってお客様に損失が発生した場合には、当社グループが訴訟の対象となることがあります。その損失が当社グループの責任に起因する場合、当社グループは民法上、金融商品取引法上、又はその他の根拠に基づく損害賠償義務を負う可能性があります。このほか当社グループは、広範な事業を行い、様々な規制に服していることから、多数の当事者を巻き込み、多額の請求金額に上るものを含め、様々な訴訟リスクに晒されており、訴訟に伴う損害賠償そのもののみならず訴訟内容に起因する社会的信用の低下が当社グループの事業活動や経営体制、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループが事業に関して使用している商標やビジネスモデル等のなかには、現在出願中のため、権利が確定していないものもあります。当社グループの確認の不備等がなかった場合においても、結果として当社グループが第三者の知的財産権を侵害し、損害賠償請求又は差止請求を受ける可能性があります。 (21)レピュテーショナルリスク 当社グループの事業は、法人、個人のお客様や市場関係者からの信用に大きく依存しております。「3 事業等のリスク」に記載した事象が発生した場合、特に「(16)オペレーショナルリスク」、「(18)法令遵守に関するリスク」、「(19)財務報告に係る内部統制に関するリスク」及び「(20)訴訟リスク」に記載したように、当社グループや役職員の責任に起因する法令違反や訴訟等が発生した場合には、当社グループの社会的信用が低下する可能性があります。また、憶測に基づいたり、必ずしも正確な事実に基づいていない風説・風評の流布に晒された場合、その内容が正確でないにもかかわらず、当社グループの社会的信用が低下する可能性もあります。その結果、お客様による取引停止等が生じ、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (22)リスク管理及び手続の有効性に関するリスク 当社グループは、リスク管理方針を踏まえて手続の強化に努めておりますが、リスク管理の有効性は事業内容やグループ内各企業の特性により異なります。また、新しい分野への急速な業務展開に際しては、必ずしも有効に機能しない可能性があります。 なお、リスク管理方針については、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ④リスクアペタイト・フレームワーク及び⑤リスク管理体制の整備の状況」に記載しております。 リスク管理の前提としては、市場や投資先に関する情報の収集・分析・評価が重要となりますが、その情報自体が不正確、不完全、あるいは最新のものではないことにより、適切な評価が行えない場合があり、また、一部のリスク管理手法においては、過去の動向に基づく定量的判断を伴うものがあるため、予想を超えた変容や突発的事象に対しては、必ずしも有効でない可能性があります。リスク管理が有効に機能しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (23)優秀な人材を確保・育成できないリスク 当社グループでは、有価証券関連業務を中心に高度な専門性を必要とする業務を行っております。いずれの分野でも高いパフォーマンスを発揮するには、優秀な人材の確保と専門人材の育成が前提となるため、業務特性に応じた人事制度、研修制度の充実及びその継続的な改善、採用活動の強化に努めております。しかしながら、金融業界内外において、人材獲得競争は激しく、優秀な人材の採用と育成が困難な状態や外部、特に競合他社への大量流出等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (24)会計基準や税制等の変更に関するリスク 日本の会計基準は国際財務報告基準(IFRS)とのコンバージェンスを進めているところであり、ここ数年の間に数多くの改正が行われ、今後もさらなる改正が予定されております。また、IFRS任意適用を促進する方策も打ち出されており、将来日本においてIFRSが強制適用される、あるいは当社がIFRSの任意適用を行う可能性もあります。これらの改正、強制適用あるいは任意適用が行われた場合、当社グループの事業運営や業績等の実体に変動がない場合であっても、例えば収益の認識、資産・負債の評価、連結範囲の見直し等に係る会計処理方法が変更されることに伴い、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、税制等が変更されることとなった場合においても、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (25)その他のリスク 当社グループでは、コンピュータシステムの取得・構築に係る投資により発生する償却コスト及び維持・運営コストの増大が業績に悪影響を及ぼす可能性があるほか、店舗・オフィス等の不動産やコンピュータシステム等について、資産の陳腐化や収益性若しくは稼働率の低下が生じた場合又はこれらの処分が行われた場合には、減損処理による損失計上や除売却損失の計上が必要となる可能性もあります。 このほか、当社グループは税効果会計に係る会計基準に基づいて、税務上の便益を将来の課税所得等に関する見積りや仮定に基づき繰延税金資産として計上しております。実際の課税所得等は見積りや仮定と異なる可能性があり、将来において繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合には繰延税金資産は減額され、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼすことになります。 リスクが顕在化する時期 当社グループは、可能なものについては、リスクが顕在化する時期について短期、中長期等の想定を置き、発生の可能性、発生時の影響度等も勘案して、各種ストレステストに反映させる対応をしております。