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東京海上ホールディングス(8766)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

保険業 金融(除く銀行)

事業の概要

  • 多角的な保険事業展開
    東京海上ホールディングスは、国内の損害保険と生命保険に加え、海外保険事業、さらには金融・その他事業も手掛けることで、収益源を多角化しています。これにより、特定の市場や事業に依存するリスクを軽減し、安定的な収益基盤を構築しています。
  • グローバルな保険提供
    海外保険事業は、同社グループの重要な収益源の一つであり、世界各地で保険サービスを提供しています。これにより、地域ごとの経済状況や災害リスクを分散し、グループ全体の安定性を高めています。
  • 金融・その他事業
    保険事業以外にも、金融サービスやその他の関連事業を展開しており、グループ全体の収益に貢献しています。これにより、保険事業で培ったノウハウや顧客基盤を活かし、新たな収益機会を創出しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 国内損害保険事業
    日本国内における損害保険の提供が主な事業内容で、売上高は3兆8679億円とグループ内で最も大きな規模を誇ります。自動車保険や火災保険など、個人や企業の様々なリスクに対応する商品を提供し、安定した収益基盤を形成しています。
  • 国内生命保険事業
    日本国内で生命保険商品を提供しており、売上高は6390億円です。医療保険や死亡保険など、お客様のライフステージに応じた保障を提供し、長期的な視点での顧客基盤を構築しています。
  • 海外保険事業
    世界各国で保険事業を展開しており、売上高は4兆3054億円と国内損害保険事業に匹敵する規模です。地域ごとのリスクを分散し、グローバルな視点での収益拡大を目指しており、グループ全体の成長を牽引する重要な事業領域です。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
DomesticPropertyAndCasualtyInsurance 事業 38,679 − −
DomesticLifeInsurance 事業 6,391 − −
OverseasInsurance 事業 43,054 − −
FinancialAndOther 事業 819 − −
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|392 文字
3【事業の内容】 当社グループは、当社、子会社436社および関連会社25社により構成されており、国内損害保険事業、国内生命保険事業、海外保険事業およびソリューション・その他事業を営んでいます。 また、当社は特定上場会社等です。特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 2026年3月31日現在の事業の系統図は以下のとおりです。 (注)1. 東京海上ダイレクト損害保険株式会社は、2025年10月1日付でイーデザイン損害保険株式会社から名称変更しました。2. Tokio Marine Life Insurance Singapore Pte. Ltd.は、2025年10月18日付でTokio Marine Life Insurance Singapore Ltd.から名称変更しました。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
リスクに見合った引受け、リスク分散および再保険手配で利益の安定化を図るため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
保険事業は国の許認可が必要であり、新規参入には高い規制障壁が存在する。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:経済・金融危機による保有資産価値の下落 / 巨大地震による多額の保険金支払 / サイバーリスクによる事業活動の停滞
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 13 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★★☆
根拠:強いブランド・特許・許認可

東京海上グループは、長年にわたり培ってきた「東京海上」ブランドの信頼性、グローバルな保険引受能力、およびリスク管理ノウハウが強固な無形資産となっている。特に、自然災害やサイバーリスクといった複雑化するリスクに対応する専門知識は、他社が容易に模倣できない競争優位性を形成している。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

法人向け保険契約では、複数年にわたる契約や、個別のリスクニーズに合わせたカスタマイズが一般的であり、契約更新時の切り替えには手間やコストが発生する。また、長年の取引で培われた信頼関係もスイッチングを抑制する要因となる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

保険業は、個々の契約者との関係性が主であり、プラットフォーム型のようなネットワーク効果は限定的である。契約者数が増加しても、個々の契約者の価値が直接的に向上するわけではない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

保険料率の算出や損害査定におけるデータ分析能力や、グローバルな事業展開による規模の経済性はコスト優位に寄与する可能性があるが、保険業全体として構造的なコスト優位性は確立しにくい。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

東京海上グループは、日本国内のみならず、米国、欧州、アジアなどグローバルに事業を展開しており、世界有数の保険グループとしての規模を誇る。この規模は、リスク分散、多様な市場へのアクセス、大規模案件の引受能力において優位性をもたらす。

  • 広範な事業ポートフォリオ
    国内損害保険、国内生命保険、海外保険、金融・その他事業という多岐にわたる事業を展開しており、特定の市場やリスクに偏らない強固な収益基盤を築いています。これにより、経済変動や災害リスクに対する耐性を高めています。
  • リスクベース経営の徹底
    リスク、資本、リターンの関係性を常に意識し、リスク対比での健全性と収益性を両立させる「リスクベース経営(ERM)」を推進しています。これにより、企業価値の持続的な拡大を目指し、資本配分や事業計画を最適化しています。
  • グローバルな事業展開
    海外保険事業を積極的に展開することで、地域ごとのリスクを分散し、安定した収益確保を図っています。これにより、世界経済の変動や特定の地域での大規模災害がグループ全体に与える影響を緩和しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • お客様中心の経営理念
    お客様の信頼をあらゆる活動の原点とし、最高品質の商品・サービスを提供することで、安心と安全を広げることを目指しています。これにより、顧客満足度を高め、長期的な顧客関係を構築し、企業価値の永続的な向上を図っています。
  • グローバル成長と規律
    中期経営計画では、グローバルなリスク分散とグループ一体経営を基本戦略とし、価値提供領域の拡大、販売チャネルの多様化、生産性向上を成長の柱としています。同時に、内部統制・ガバナンス強化と資本管理の高度化を規律の柱とし、持続的な成長と健全性を両立させます。
  • 財務目標と資本政策
    修正純利益の持続的な成長と規律ある資本政策を通じて、修正EPS(1株当たり利益)の年平均成長率8%以上、修正ROE(自己資本利益率)14%以上を目標としています。これにより、株主の期待に応え、企業価値の向上を目指すとともに、健全な財務基盤を維持します。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)経営方針①経営理念 当社は、東京海上グループの全役職員が共有する経営理念を策定しており、その内容は次のとおりです。<東京海上グループ経営理念> 東京海上グループは、お客様の信頼をあらゆる活動の原点におき、企業価値を永続的に高めていきます。 ○お客様に最高品質の商品・サービスを提供し、安心と安全をひろげます。 ○株主の負託に応え、収益性・成長性・健全性を備えた事業をグローバルに展開します。 ○社員一人ひとりが創造性を発揮できる自由闊達な企業風土を築きます。 ○良き企業市民として公正な経営を貫き、広く社会の発展に貢献します。②東京海上グループ中期経営計画2026 ~次の一歩の力になる。~ 東京海上グループは、事業環境が加速度的に変化するなかでも、お客様や社会の“いざ”をお守りするというパーパスを果たし続けるために、中期経営計画(2024年度~2026年度)においては、グローバルなリスク分散およびグループ一体経営をグループの基本戦略とし、成長の3本柱(①価値提供領域の飛躍的な拡大、②ディストリビューションの多様化・複線化および③生産性の徹底的な向上)ならびに規律の2本柱(①内部統制およびガバナンスの強化および向上ならびに②事業ポートフォリオおよび資本管理の高度化)をグループの重点戦略として取り組んでいます。 ③目標とする経営指標等 東京海上グループは、企業価値を的確に把握しその拡大に努める観点から、グループ全体の業績を示す経営指標として修正純利益および修正ROE(いずれも国際財務報告基準(IFRS))を掲げています。 2026年度の修正純利益および修正ROEは、前年の自然災害が少なかったことの反動の一方で、国内保険事業における自動車保険の収支改善、前年に実施したボルトオン買収の利益貢献および国内外の為替の影響により、本有価証券報告書提出日現在において、それぞれ9,500億円、13.0%を見込んでいます。なお、当事業年度までの経営指標としては修正純利益および修正ROE(いずれも日本基準)を掲げており、当事業年度の半期報告書提出日時点においては、それぞれ11,100億円、20.5%を見込んでいましたが、政策株式売却益の増加等により、実績はそれぞれ12,048億円、22.0%となりました。 修正純利益および修正ROE(いずれも国際財務報告基準(IFRS))は、それぞれ次の方法で算出します。・修正純利益*1 修正純利益=連結当期利益*2-キャピタル損益*3-ALM*4・ヘッジ関連損益-事業投資関連損益*5・修正純資産*1,6 修正純資産=連結純資産*7-含み損益・修正ROE 修正ROE=修正純利益÷修正純資産*1 調整額は税引後です。*2 連結財務諸表上の「親会社の所有者に帰属する当期利益」です。*3 ALM*4・ヘッジ関連損益以外のキャピタル損益をいいます。*4 ALMとは、資産・負債の総合管理をいいます。*5 その他無形資産償却額等を含みます。*6 平均残高ベースで算出しています。*7 連結財務諸表上の「親会社の所有者に帰属する持分合計」です。 (2)経営環境及び対処すべき課題 2026年度も、気候変動による災害の激甚化、AIの急速な進歩、変化の激しい各国の政治・社会情勢や地政学リスク等、国内外の先行きに対する不透明感が強い状況は続く見込みです。 こうした状況のなか、東京海上グループは、パーパスに基づく2035年にありたい姿(「Aspiration」)として、「日本発のグローバルカンパニーとして、安心・安全の提供を通じ、お客様や社会の“いざ”と“いつも”をお守りし、幸せにあふれる社会と未来の創造に挑戦し続ける」という姿を掲げています。2026年度は、「東京海上グループ中期経営計画2026~次の一歩の力になる。~」の最終年度となります。計画の達成に向けて、各事業がオーナーシップを発揮しながら、ソリューション事業を中心とした価値提供領域の飛躍的な拡大、ダイレクトチャネルの拡充等の販売チャネルの多様化・複線化、AI・データ等を活用したアンダーライティング(保険引受)の高度化・自動化や生産性の徹底的な向上、そして内部統制・ガバナンスの強化と資本管理の高度化に取り組んでまいります。 各事業における今後の取組みは、次のとおりです。<国内損害保険事業> 東京海上日動火災保険株式会社は、中期経営計画のキーコンセプトである「Re-New」のもと、「本当に信頼されるお客様起点の会社」となることをめざし、引き続き組織風土の変革を進めてまいります。また、「リスクソリューション(保険+α)で次代を支える会社」として、保険金支払いに留まらない事前(リスクや損害の発生の抑制)・事後(早期復旧や再発防止)の領域における商品・サービスの提供にも取り組んでまいります。東京海上ダイレクト損害保険株式会社は、AI・データ等を活用したアプリケーションの機能拡充等、ダイレクトの強みを活かしながらお客様起点で品質を高めることで事業基盤の強化を図ってまいります。<国内生命保険事業> 東京海上日動あんしん生命保険株式会社は、創業以来の理念に立ち返り、引き続き「お客様本位の生命保険事業」の運営に向けた取組みとガバナンスの強化に取り組んでまいります。また、お客様本位の取組みのさらなる強化と今後予想される環境変化に対応するための成長戦略である「あんしんReboot(再起動)」のもと、未病・早期発見・重症化予防等の領域における新たな保障・サービスの開発や、保障と一体型のヘルスケアサービスの提供等にも取り組みながら、持続的な成長の実現をめざします。<海外保険事業> 引き続き、高度な保険引受能力や専門性を活かした保険料収入の拡大、保険料率の見直し等を通じて、保険引受利益を持続的かつ安定的に拡大してまいります。加えて、競争力ある商品のグローバル展開や資産運用の高度化等、海外保険事業全体におけるシナジーの拡大とともに、収益性の向上に取り組んでまいります。また、さらなる質の高いポートフォリオの構築に向け、グローバルなリスク分散や戦略的なM&Aの実行に取り組んでまいります。<ソリューション・その他事業> 多様なリスクや損害そのものを減らすソリューションを保険と一体的に提供していくことで、社会全体のレジリエンス向上を実現するとともに、ソリューション事業を国内保険事業と海外保険事業に次ぐ東京海上グループの収益の柱とすることをめざします。お客様や社会の課題は多様化・複雑化していますが、当社はこの環境をお客様や社会のお役に立てる重要な成長機会として捉えています。ID&Eホールディングス株式会社および東京海上日動火災保険株式会社等が共創して取り組んでいる防災・減災領域をはじめ、モビリティ、ヘルスケア(予防・未病)や脱炭素社会への移行等の複数の領域においてソリューションを提供し、事業規模の拡大を図ってまいります。 これらの各事業を支え、「People's Business(人とその信頼からなる事業)」である保険事業を営む東京海上グループの競争力の源泉となるのは、昔も今もこれからも「人」です。すべてのステークホルダーの「幸せ(Happiness)」に貢献できる企業として、社員一人ひとりが適材適所でやりがいと誇りをもって活躍できるよう支援し、多様な人材が持てる力を遺憾なく発揮できる公正な環境を整えます。将来に向けた人材投資も行い、100年後もお客様や社会の“いざ”と“いつも”をお守りする存在であり続けるための人的資本および人材基盤の強化にグループを挙げて取り組んでまいります。 東京海上グループは、急速に進歩するAIをビジネスモデル変革の鍵と位置付けています。AIを徹底的に活用し、アンダーライティング(保険引受)や照会応答の高度化等を通じてお客様の安心や利便性を飛躍的に高めることに加え、生産性の向上にも取り組んでまいります。 2026年3月には、世界で最も成功した投資会社の一つであり、保険事業を中核に卓越した投資実績を有するBerkshire Hathawayグループとの戦略的提携に合意しました。同グループの強固な財務基盤および保険・再保険分野における豊富な引受経験と、当社のグローバルに展開する保険プラットフォーム、業界をリードする保険引受力等の双方の強みを結集するとともに、共同投資によるM&Aの実行等を通じて、当社の持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでまいります。 株主還元については、配当を基本とする方針としています。事業を通じた利益成長と配当の拡大は整合的であるべきとの考えに基づき、力強い利益成長を通じ、継続的な増配を実現できるよう努めてまいります。 当社は、2026年6月29日開催予定の第24回定時株主総会の承認が得られることを条件に、同日付で監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行します。これにより、「お客様の信頼をあらゆる活動の原点におく」という経営理念のもと、「成長戦略とガバナンスの高位均衡」の実現を、さらに進化、充実させながら、グループを挙げて業務に邁進してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)経営方針①経営理念 当社は、東京海上グループの全役職員が共有する経営理念を策定しており、その内容は次のとおりです。<東京海上グループ経営理念> 東京海上グループは、お客様の信頼をあらゆる活動の原点におき、企業価値を永続的に高めていきます。 ○お客様に最高品質の商品・サービスを提供し、安心と安全をひろげます。 ○株主の負託に応え、収益性・成長性・健全性を備えた事業をグローバルに展開します。 ○社員一人ひとりが創造性を発揮できる自由闊達な企業風土を築きます。 ○良き企業市民として公正な経営を貫き、広く社会の発展に貢献します。②東京海上グループ中期経営計画2026 ~次の一歩の力になる。~ 東京海上グループは、事業環境が加速度的に変化するなかでも、お客様や社会の“いざ”をお守りするというパーパスを果たし続けるために、中期経営計画(2024年度~2026年度)においては、グローバルなリスク分散およびグループ一体経営をグループの基本戦略とし、成長の3本柱(①価値提供領域の飛躍的な拡大、②ディストリビューションの多様化・複線化および③生産性の徹底的な向上)ならびに規律の2本柱(①内部統制およびガバナンスの強化および向上ならびに②事業ポートフォリオおよび資本管理の高度化)をグループの重点戦略として取り組んでいます。 ③目標とする経営指標等 東京海上グループは、企業価値を的確に把握しその拡大に努める観点から、グループ全体の業績を示す経営指標として修正純利益および修正ROE(いずれも国際財務報告基準(IFRS))を掲げています。 2026年度の修正純利益および修正ROEは、前年の自然災害が少なかったことの反動の一方で、国内保険事業における自動車保険の収支改善、前年に実施したボルトオン買収の利益貢献および国内外の為替の影響により、本有価証券報告書提出日現在において、それぞれ9,500億円、13.0%を見込んでいます。なお、当事業年度までの経営指標としては修正純利益および修正ROE(いずれも日本基準)を掲げており、当事業年度の半期報告書提出日時点においては、それぞれ11,100億円、20.5%を見込んでいましたが、政策株式売却益の増加等により、実績はそれぞれ12,048億円、22.0%となりました。 修正純利益および修正ROE(いずれも国際財務報告基準(IFRS))は、それぞれ次の方法で算出します。・修正純利益*1 修正純利益=連結当期利益*2-キャピタル損益*3-ALM*4・ヘッジ関連損益-事業投資関連損益*5・修正純資産*1,6 修正純資産=連結純資産*7-含み損益・修正ROE 修正ROE=修正純利益÷修正純資産*1 調整額は税引後です。*2 連結財務諸表上の「親会社の所有者に帰属する当期利益」です。*3 ALM*4・ヘッジ関連損益以外のキャピタル損益をいいます。*4 ALMとは、資産・負債の総合管理をいいます。*5 その他無形資産償却額等を含みます。*6 平均残高ベースで算出しています。*7 連結財務諸表上の「親会社の所有者に帰属する持分合計」です。 (2)経営環境及び対処すべき課題 2026年度も、気候変動による災害の激甚化、AIの急速な進歩、変化の激しい各国の政治・社会情勢や地政学リスク等、国内外の先行きに対する不透明感が強い状況は続く見込みです。 こうした状況のなか、東京海上グループは、パーパスに基づく2035年にありたい姿(「Aspiration」)として、「日本発のグローバルカンパニーとして、安心・安全の提供を通じ、お客様や社会の“いざ”と“いつも”をお守りし、幸せにあふれる社会と未来の創造に挑戦し続ける」という姿を掲げています。2026年度は、「東京海上グループ中期経営計画2026~次の一歩の力になる。~」の最終年度となります。計画の達成に向けて、各事業がオーナーシップを発揮しながら、ソリューション事業を中心とした価値提供領域の飛躍的な拡大、ダイレクトチャネルの拡充等の販売チャネルの多様化・複線化、AI・データ等を活用したアンダーライティング(保険引受)の高度化・自動化や生産性の徹底的な向上、そして内部統制・ガバナンスの強化と資本管理の高度化に取り組んでまいります。 各事業における今後の取組みは、次のとおりです。<国内損害保険事業> 東京海上日動火災保険株式会社は、中期経営計画のキーコンセプトである「Re-New」のもと、「本当に信頼されるお客様起点の会社」となることをめざし、引き続き組織風土の変革を進めてまいります。また、「リスクソリューション(保険+α)で次代を支える会社」として、保険金支払いに留まらない事前(リスクや損害の発生の抑制)・事後(早期復旧や再発防止)の領域における商品・サービスの提供にも取り組んでまいります。東京海上ダイレクト損害保険株式会社は、AI・データ等を活用したアプリケーションの機能拡充等、ダイレクトの強みを活かしながらお客様起点で品質を高めることで事業基盤の強化を図ってまいります。<国内生命保険事業> 東京海上日動あんしん生命保険株式会社は、創業以来の理念に立ち返り、引き続き「お客様本位の生命保険事業」の運営に向けた取組みとガバナンスの強化に取り組んでまいります。また、お客様本位の取組みのさらなる強化と今後予想される環境変化に対応するための成長戦略である「あんしんReboot(再起動)」のもと、未病・早期発見・重症化予防等の領域における新たな保障・サービスの開発や、保障と一体型のヘルスケアサービスの提供等にも取り組みながら、持続的な成長の実現をめざします。<海外保険事業> 引き続き、高度な保険引受能力や専門性を活かした保険料収入の拡大、保険料率の見直し等を通じて、保険引受利益を持続的かつ安定的に拡大してまいります。加えて、競争力ある商品のグローバル展開や資産運用の高度化等、海外保険事業全体におけるシナジーの拡大とともに、収益性の向上に取り組んでまいります。また、さらなる質の高いポートフォリオの構築に向け、グローバルなリスク分散や戦略的なM&Aの実行に取り組んでまいります。<ソリューション・その他事業> 多様なリスクや損害そのものを減らすソリューションを保険と一体的に提供していくことで、社会全体のレジリエンス向上を実現するとともに、ソリューション事業を国内保険事業と海外保険事業に次ぐ東京海上グループの収益の柱とすることをめざします。お客様や社会の課題は多様化・複雑化していますが、当社はこの環境をお客様や社会のお役に立てる重要な成長機会として捉えています。ID&Eホールディングス株式会社および東京海上日動火災保険株式会社等が共創して取り組んでいる防災・減災領域をはじめ、モビリティ、ヘルスケア(予防・未病)や脱炭素社会への移行等の複数の領域においてソリューションを提供し、事業規模の拡大を図ってまいります。 これらの各事業を支え、「People's Business(人とその信頼からなる事業)」である保険事業を営む東京海上グループの競争力の源泉となるのは、昔も今もこれからも「人」です。すべてのステークホルダーの「幸せ(Happiness)」に貢献できる企業として、社員一人ひとりが適材適所でやりがいと誇りをもって活躍できるよう支援し、多様な人材が持てる力を遺憾なく発揮できる公正な環境を整えます。将来に向けた人材投資も行い、100年後もお客様や社会の“いざ”と“いつも”をお守りする存在であり続けるための人的資本および人材基盤の強化にグループを挙げて取り組んでまいります。 東京海上グループは、急速に進歩するAIをビジネスモデル変革の鍵と位置付けています。AIを徹底的に活用し、アンダーライティング(保険引受)や照会応答の高度化等を通じてお客様の安心や利便性を飛躍的に高めることに加え、生産性の向上にも取り組んでまいります。 2026年3月には、世界で最も成功した投資会社の一つであり、保険事業を中核に卓越した投資実績を有するBerkshire Hathawayグループとの戦略的提携に合意しました。同グループの強固な財務基盤および保険・再保険分野における豊富な引受経験と、当社のグローバルに展開する保険プラットフォーム、業界をリードする保険引受力等の双方の強みを結集するとともに、共同投資によるM&Aの実行等を通じて、当社の持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでまいります。 株主還元については、配当を基本とする方針としています。事業を通じた利益成長と配当の拡大は整合的であるべきとの考えに基づき、力強い利益成長を通じ、継続的な増配を実現できるよう努めてまいります。 当社は、2026年6月29日開催予定の第24回定時株主総会の承認が得られることを条件に、同日付で監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行します。これにより、「お客様の信頼をあらゆる活動の原点におく」という経営理念のもと、「成長戦略とガバナンスの高位均衡」の実現を、さらに進化、充実させながら、グループを挙げて業務に邁進してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当社グループは、当連結会計年度より従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値もIFRSに組み替えて比較分析を行っています。当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は、次のとおりです。① 財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度の世界経済は、米国の通商政策による悪影響が限定的に留まり、全体として緩やかに持ち直しました。米国はAI関連の設備投資や個人消費を中心に底堅さを維持した一方で、わが国経済は、物価上昇等を背景とした内需の弱さがみられ回復のペースは緩やかなものに留まりました。東京海上グループを取り巻く環境は、先行きの不透明感が増す昨今の地政学リスク、気候変動による災害の激甚化、サイバーリスクの増大等もあり、一層複雑化しています。 このような情勢のもと当社グループの当連結会計年度の財政状態および経営成績は、以下のとおりとなりました。 資産合計は、前連結会計年度末に比べて2兆5,052億円増加し、33兆26億円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べて1兆5,655億円増加し、24兆9,502億円となりました。資本合計は、前連結会計年度末に比べて9,397億円増加し、8兆523億円となりました。 保険サービス損益は、保険収益が7兆6,935億円、保険サービス費用が6兆1,143億円、再保険損益が△4,295億円となった結果、前連結会計年度に比べて1,869億円増加し、1兆1,496億円となりました。また金融損益は投資損益が6,665億円、保険金融損益が△6,413億円となった結果、前連結会計年度に比べて55億円減少し、252億円となりました。 これらの結果、保険サービス損益、金融損益にその他の損益を加減した当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度に比べて1,543億円増加し、7,507億円となりました。税引前利益に法人所得税費用などを加減した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて808億円増加し、5,312億円となりました。 報告セグメント別の状況は、以下のとおりです。 国内損害保険事業においては、保険収益は、前連結会計年度に比べて1,055億円増加し、3兆406億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて1,039億円増加し、2,375億円となりました。 国内生命保険事業においては、契約上のサービス・マージン(以下、CSM)残高は、前連結会計年度に比べて318億円増加し、1兆1,497億円となりました。保険収益は、前連結会計年度に比べて14億円減少し、2,654億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて1,238億円減少し、2,048億円の損失となりました。 海外保険事業においては、保険収益は、前連結会計年度に比べて1,992億円増加し、4兆4,483億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて1,121億円増加し、5,027億円となりました。 ソリューション・その他事業においては、その他の収益は、前連結会計年度に比べて1,494億円増加し、3,276億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて26億円増加し、145億円となりました。 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。 営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税の支払額の増加等により、前連結会計年度に比べて6,233億円収入が減少し、1兆3,905億円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社の取得による支出の増加などにより、前連結会計年度に比べて2,220億円支出が増加し、4,027億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、資金調達目的の債券貸借取引受入担保金の純増減額の増加などにより、前連結会計年度に比べて5,818億円支出が減少し、6,420億円の支出となりました。 これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より3,925億円増加し、2兆3,324億円となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績 当社グループの主たる事業である保険業としての特性から、該当する情報がないので記載していません。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。 なお、本項に含まれる将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下、連結財務諸表規則)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。その作成には、経営者による会計方針の選択適用、合理的な見積りを必要としますが、実際には見積りと異なる結果となることもあります。 当社の連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針ならびに重要な会計上の見積りおよび判断は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要性がある会計方針 および 4. 重要な会計上の見積りおよび判断」をご参照ください。 ② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当連結会計年度における当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、以下のとおりです。なお、当社グループの課題認識および経営成績に重要な影響を与えるリスクについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営環境及び対処すべき課題」および「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。 a)経営成績の分析 当連結会計年度の状況については、以下のとおりです。連結主要指標 (単位:百万円) 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)増減増減率保険収益7,396,2217,693,560297,3384.0%保険サービス費用6,066,0206,114,38748,3660.8%再保険損益△367,482△429,502△62,020-保険サービス損益962,7181,149,670186,95119.4%金融損益30,79425,240△5,553△18.0%その他の収益210,637379,540168,90380.2%親会社の所有者に帰属する当期利益450,423531,25580,83117.9% 当連結会計年度の経営成績は、海外保険事業および国内損害保険事業における増収に加え、国内自然災害に係る発生保険金の減少や北米子会社を中心とする良好な保険引受成績などにより、保険サービス損益が改善しました。一方、国内生命保険事業における資産・負債管理の一環として実施した債券売却に伴う損失が増加したことなどにより、金融損益は減少しました。 主要指標の増減については以下のとおりです。 保険収益は、海外保険事業および国内損害保険事業における増収などにより、前連結会計年度に比べて2,973億円増加し、7兆6,935億円となりました。保険サービス費用は前連結会計年度に比べて483億円増加した一方で、再保険損益は再保険金回収の減少などにより、前連結会計年度に比べて620億円減少しました。 この結果、保険サービス損益は1,869億円増加し、1兆1,496億円となりました。 金融損益は、海外保険事業において投資損益が改善した一方で、国内生保事業において債券売却損を計上した影響などにより、前連結会計年度に比べて55億円減少し、252億円となりました。 保険サービス損益、金融損益にその他の損益を加減した当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度に比べて1,543億円増加し、7,507億円となりました。税引前利益に法人所得税費用などを加減した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べて808億円増加し、5,312億円となりました。 報告セグメント別の状況は、以下のとおりです。[国内損害保険事業] 国内損害保険事業において、東京海上日動は、「本当に信頼されるお客様起点の会社」になるため、引き続き「Re-New(新しい会社につくりかえる)」の取組みを推進しました。これまで以上にお客様の声を保険契約プロセスの改善や事故に遭われたお客様への対応に活用することで、お客様からの評価は着実に向上しています。また、「リスクソリューション(保険+α)で次代を支える会社」として、保険金支払いに留まらない事前(リスクや損害の発生の抑制)・事後(早期復旧や再発防止)の領域における商品・サービスの提供も進めています。 多様化・複雑化する社会課題に対し、グリーントランスフォーメーション(化石燃料をクリーンエネルギーに転換して活用していくための変革)、ヘルスケア、中小企業、サイバーリスクおよびレジリエンス(自然災害等の被害の極小化および早期復旧)を重点分野として定め、社会課題解決に貢献することを通じた新たなマーケット創造をめざし取組みを推進しました。 サイバーリスク分野では、中小企業専門のセキュリティ支援会社との協業によるセキュリティ診断やネットワークの遠隔監視等のサービスを提供しており、ご好評をいただいています。サイバー攻撃等に起因する第三者への損害賠償金や、原因調査・システム復旧等にかかる費用を幅広く補償するサイバーリスク保険と合わせて、近年急増しているサイバー攻撃への事前の備えとして、企業のセキュリティ対策を支援していきます。 東京海上グループのダイレクト損害保険事業でのさらなる成長を実現するため、2025年10月、イーデザイン損保を東京海上ダイレクトへ商号変更しました。これを契機に、手軽さや先進性を魅力としたダイレクトビジネスモデルの強化にも取り組んでいます。保険代理店およびダイレクトの双方でお客様から選ばれる保険グループとなることをめざします。 上記のとおり事業に取り組んだ結果、保険収益は、前連結会計年度に比べて1,055億円増加し、3兆406億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、当年度の自然災害が減少したことを主因として、前連結会計年度に比べて1,039億円増加し、2,375億円となりました。 (単位:百万円) 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)増減増減率保険収益2,935,0933,040,655105,5623.6%親会社の所有者に帰属する当期利益133,580237,541103,96077.8%(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額です。 [国内生命保険事業] 国内生命保険事業において、東京海上日動あんしん生命は、金融庁から、乗合代理店との適切な関係性の構築に向けた取組みにかかる報告徴求命令を2025年8月に受領し、同年9月に同命令に基づく報告を行いました。乗合代理店に対する指導・教育・管理の強化を徹底すると同時に、創業以来の理念に立ち返り、「お客様本位」を基軸とした健全な業務運営の定着に向けて、不断の改善に取り組んでいます。 あんしん生命は、保障・健康増進・資産形成を重点領域と定め、中堅・中小企業、シニア層および就労世代それぞれのニーズに対応した商品・サービスを開発し、強みである生損一体のビジネスモデルを活かしつつ、お客様をお守りする領域の拡大に取り組んでいます。 2025年9月には、一時払終身保険「あんしん夢終身」を発売しました。健康状態にかかわらず一生涯の死亡保障を確保でき、終活・相続のお悩みを相談できるサービスも利用いただける、お客様の資産形成・相続対策のニーズにお応えする商品です。また、がんの最新治療等に関する費用に対し最大1億円の保障を付帯できる「あんしんがん治療保険」が引き続きご好評をいただくなど、同社は2026年「オリコン顧客満足度調査」の「がん保険ランキング」において、3年連続で総合1位を獲得しました。 各国における金融政策転換等によって、市場・経済環境の不確実性が増しているなか、資産と負債の総合管理(ALM)を基本とした資産運用に継続的に取り組み、既に引き受けている生命保険契約の長期負債の一部を2025年度も再保険会社に出再するなど、金利リスクコントロールの多様化および高度化に努めました。 上記のとおり事業に取り組んだ結果、CSM残高は、前連結会計年度に比べて318億円増加し、1兆1,497億円となりました。保険収益は、前連結会計年度に比べて14億円減少し、2,654億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、債券売却損を主因として、前連結会計年度に比べて1,238億円減少し、2,048億円の損失となりました。 (単位:百万円) 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)増減増減率CSM残高1,117,9521,149,76731,8142.9%保険収益266,877265,448△1,428△0.5%親会社の所有者に帰属する当期利益(△は損失)△80,979△204,860△123,880-(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額です。 [海外保険事業] 海外保険事業においては、グループ全体のグローバルな成長と分散の効いたポートフォリオの構築を実現すべく、持続的な内部成長と戦略的なM&Aを取組みの両輪としています。また、グループ各社の優れたノウハウを相互に活用し、保険料収入の拡大、資産運用の高度化、業務効率の向上等のシナジー実現にも幅広く取り組みました。 成長戦略の一環として、グループ会社各社が既存事業を強化する「ボルトオンM&A」を積極的に実行しています。2025年度は、米国において、今後の市場拡大が見込めるクラシックカー向けの保険代理店事業や、農畜産物の価格変動リスクに対し保険とソリューションをワンストップで提供する会社を買収しました。 世界中の各拠点が事業の成長実現をめざし、新たな保険商品の開発、高度な保険引受能力や専門性の活用、市場環境を踏まえた保険料率の見直しおよび販売チャネルの拡充による保険引受利益の拡大にも引き続き取り組んでいます。 2025年度は、北米のフィラデルフィア社、デルファイ社およびピュア社が過去最高益を達成しました。 上記のとおり事業に取り組んだ結果、保険収益は、北米およびブラジルの子会社における引受拡大等に伴う増収を主因に、前連結会計年度に比べて1,992億円増加し、4兆4,483億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、北米の子会社における好調な保険引受ならびに前年度のキャピタルロス増加の反動を主因として、前連結会計年度に比べて1,121億円増加し、5,027億円となりました。 (単位:百万円) 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)増減増減率保険収益4,249,0624,448,332199,2704.7%親会社の所有者に帰属する当期利益390,583502,750112,16728.7%(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額です。 [ソリューション・その他事業] 東京海上グループは、多様化・複雑化するお客様や社会の課題やリスクに対して最適な保険商品を提供し、「お客様や社会の“いざ” をお守りする」ことに加え、多様なリスクや損害そのものを減らすソリューションを提供しお客様や社会の“いつも” を支えている姿をめざしています。 ID&Eグループは、「世界をすみよくする」というミッションを果たすため、コンサルティング事業、都市空間事業およびエネルギー事業を主力事業として、世界各地で国づくり・まちづくりに貢献しています。長年、国内外の公共事業で培った高い技術力をもとに、社会の強靭化に直結するソリューションを保有しており、特に、コンサルティング事業については、東京海上グループが有する強固な顧客基盤を活用しながら、急拡大する民間防災市場に本格参入しました。建設コンサルティング業界国内最大手である同社の高度な技術と、東京海上日動が持つ膨大なリスク情報と保険金支払データを掛け合わせることで、災害レジリエンスにおける現状把握、対策実行、経済的補償(保険)および復旧・維持管理を一気通貫で支援し、現状復旧に留まらない「Build Back Better(被災前よりも強靭な状態への再建)」を実現していきます。 東京海上グループが中心となって物流会社8社と立ち上げた物流コンソーシアム「baton」において、2026年2月には国内初となる複数の物流事業者による中継輸送(ドライバー交替方式)の実証運行を開始しました。実証運行の検証を経て、対象路線の拡大や事業者向けアプリケーションの開発を進め、トラックのドライバー不足への対応、稼働率・積載率の向上等を図り、日本の物流産業のさらなる発展に貢献していきます。 東京海上アセットマネジメントは、年金の運用受託や投資信託の運用等、安定的な収益基盤であるアセットマネジメント事業に取り組んでいます。特に、年金基金等のお客様から運用商品やお客様本位の取組みを総合的にご評価いただいており、格付投資情報センター(R&I)が選定する「R&I顧客満足大賞2026」の年金部門において、「優秀賞」を受賞しました。 上記のとおり事業に取り組んだ結果、その他の収益は、前年度期中に買収したID&Eグループの損益を当年度からは通期で取り込んだことを主因に、前連結会計年度に比べて1,494億円増加し、3,276億円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、上記その他収益の増加等を主因として、前連結会計年度に比べて26億円増加し、145億円となりました。 (単位:百万円) 前連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)増減増減率その他の収益178,191327,646149,45583.9%親会社の所有者に帰属する当期利益11,84414,5152,67122.6%(注)諸数値はセグメント間の内部取引相殺前の金額です。 b)財政状態の分析 当連結会計年度の状況については、以下のとおりです。[資産] 当連結会計年度末の資産合計は、再保険契約資産の増加などにより、前連結会計年度に比べて2兆5,052億円増加し、33兆26億円となりました。[負債] 当連結会計年度末の負債合計は、保険契約負債の増加などにより、前連結会計年度に比べて1兆5,655億円増加し、24兆9,502億円となりました。[資本] 当連結会計年度末の資本合計は、利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度に比べて9,397億円増加し、8兆523億円となりました。 c)資金の流動性に係る情報 当社グループの短期的な資金需要として、主に日々の保険金の支払等がありますが、強固なリスク管理態勢の下で保険事業を運営し、安定的にプラスの営業キャッシュ・フローを確保することにより、十分な流動性を保持しています。また、大規模自然災害による大口の支払や市場の混乱等により資金繰りが悪化する局面に備え、流動性の高い債券を保有すること等により、適切な流動性管理を行っています。 事業投資等の中長期的な資金需要に対しては、グループ内の自己資金を活用するほか、外部からの資金調達を行う等、資金需要の性質に応じて適切な資金源を確保しています。 d)目標とする経営指標の分析 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針 ③目標とする経営指標等」に記載のとおりです。 (3)並行開示情報 連結財務諸表規則(第3編から第6編までを除く。以下、日本基準)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりです。 なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。また、百万円未満を切り捨てて記載しています。 要約連結貸借対照表(日本基準) (単位:百万円) 前連結会計年度(2025年3月31日)当連結会計年度(2026年3月31日)資産の部 現金及び現金同等物1,071,1381,033,052買現先勘定299,812-買入金銭債権3,051,9273,962,550金銭の信託7314有価証券19,262,98818,615,916貸付金3,140,3283,052,348有形固定資産562,056683,416無形固定資産1,158,1321,327,070その他資産2,578,2813,065,601退職給付に係る資産16,96720,849繰延税金資産112,395217,913支払承諾見返1,5281,410貸倒引当金△18,225△18,505資産の部合計31,237,34031,961,940負債の部 保険契約準備金23,178,78723,263,893社債227,246226,995その他負債2,101,9002,346,342退職給付に係る負債223,866213,295賞与引当金140,268154,190株式給付引当金3,6223,925特別法上の準備金150,455159,381繰延税金負債103,089133,643負ののれん3,0301,289支払承諾1,5281,410負債の部合計26,133,79426,504,368純資産の部 株主資本3,021,9563,394,747その他の包括利益累計額2,054,8862,025,600非支配株主持分26,70237,223純資産の部合計5,103,5455,457,571負債及び純資産の部合計31,237,34031,961,940 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)要約連結損益計算書 (単位:百万円) 前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)経常収益8,440,1148,872,277保険引受収益6,275,5296,527,988資産運用収益1,988,6461,984,577その他経常収益175,938359,711経常費用6,980,1077,523,647保険引受費用4,993,3325,278,975資産運用費用544,633554,145営業費及び一般管理費1,401,3941,650,600その他経常費用40,74739,924経常利益1,460,0071,348,630特別利益10,3547,965特別損失20,08921,628税金等調整前当期純利益1,450,2721,334,967法人税等合計396,529347,470当期純利益1,053,742987,496非支配株主に帰属する当期純利益△1,5337,068親会社株主に帰属する当期純利益1,055,276980,428 要約連結包括利益計算書 (単位:百万円) 前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)当期純利益1,053,742987,496その他の包括利益△604,252△25,360包括利益449,490962,135(内訳) 親会社株主に帰属する包括利益448,182951,124非支配株主に帰属する包括利益1,30711,010 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) (単位:百万円) 株主資本その他の包括利益累計額新株予約権非支配株主持分純資産合計当期首残高2,514,6222,661,980336,7045,183,341当期変動額507,334△607,093△3319,997△79,795当期末残高3,021,9562,054,886-26,7025,103,545 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) (単位:百万円) 株主資本その他の包括利益累計額新株予約権非支配株主持分純資産合計当期首残高3,021,9562,054,886-26,7025,103,545当期変動額372,791△29,286-10,521354,025当期末残高3,394,7472,025,600-37,2235,457,571 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準) (単位:百万円) 前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)営業活動によるキャッシュ・フロー1,345,080584,259投資活動によるキャッシュ・フロー164,619639,725財務活動によるキャッシュ・フロー△1,188,437△624,251現金及び現金同等物に係る換算差額61,55015,541現金及び現金同等物の増減額(△は減少)382,813615,275現金及び現金同等物の期首残高1,086,9811,469,794現金及び現金同等物の期末残高1,469,7942,085,069 要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)(連結範囲の変更) 当連結会計年度より、ID&Eホールディングス株式会社他95社は、株式の取得等により子会社となったため連結の範囲に含めています。 当連結会計年度より、Tysons Corner Owner, LLCは、重要性が低下したため連結の範囲から除いています。(持分法適用の範囲の変更) 当連結会計年度より、ID&Eホールディングス株式会社の株式を取得したことに伴い、同社の関連会社10社を持分法適用の範囲に含めています。 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)(連結範囲の変更) 当連結会計年度より、Agrihedge, Inc. 他21社は、株式の取得等により子会社となったため連結の範囲に含めています。 当連結会計年度より、Qdos Holdings Limited 他2社は、清算結了等により連結の範囲から除いています。(持分法適用の範囲の変更) 当連結会計年度より、Newa Insurance (Cambodia) Plc.他1社は、影響力が低下したこと等により持分法適用の範囲から除いています。 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報前連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) 「第5.経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 37.IFRSの初度適用」に記載のとおりです。 当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)(投資有価証券(資本性)) 日本基準においてその他有価証券に分類した株式は、売却損益および減損損失を純損益として認識しておりましたが、IFRSでは一部を除きFVOCIに指定し、公正価値の変動額をその他の包括利益として認識し、当該金融資産の認識を中止した場合には、その他の包括利益累計額を利益剰余金に振替えています。また、日本基準においては、非上場株式は原則として取得原価で測定していましたが、IFRSでは公正価値で測定しています。 この結果、IFRSの投資損益は、日本基準のこれに相当する項目に比べて、763,874百万円減少しています。また、IFRSでは日本基準に比べて、その他の包括利益(税効果調整後)が441,377百万円増加しています。 (保険契約および再保険契約) 日本基準およびIFRSにおける測定方法および表示方法には、次のとおり大きく異なる部分があることから、「認識および測定の差異」として日本基準における計上額の全額を取り消し、IFRSにおける計上額の全額を改めて計上しています。 ・分類および測定 日本基準においては、国内会社は保険業法および保険業法施行規則に基づき、在外子会社は実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」に基づきIFRSまたは米国会計基準に準拠して保険契約準備金を積み立てています。一方、IFRSでは「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針」に基づいて測定された保険契約を資産または負債として計上しています。日本基準およびIFRSにおける測定方法は、保険料配分アプローチ(以下、PAA)を適用して測定する契約に係る残存カバーに係る資産および負債については概ね類似していますが、同契約に係る発生保険金に係る資産および負債ならびにPAAを適用せずに測定する契約に係る資産および負債については、主に次の差異があります。・日本基準においては、生命保険の大宗および損害保険の一部に係る資産および負債を除き割引計算を行っていませんでしたが、IFRSでは原則として見積将来キャッシュ・フローに貨幣の時間価値を反映させて測定しています。・日本基準においては、明示的にはリスク調整を考慮していませんでしたが、IFRSでは非金融リスクに係るリスク調整を反映させて測定しています。・日本基準においては、明示的に未稼得利益を認識していませんでしたが、IFRSでは未稼得利益をCSMとして認識しています。・日本基準においては、原則として契約締結時点における見積りの前提に基づいていましたが、IFRSでは期末日現在における見積りに基づいて測定しています。・日本基準においては、主に国内保険会社において、新契約費は保険負債から控除せず、また発生時に費用として認識していましたが、IFRSでは保険獲得キャッシュ・フロー(新契約費)は保険負債から控除され、また規則的な方法で各期間に配分して保険収益および保険サービス費用を認識しています。・日本基準において「貸付金」に含めていた保険約款貸付金を、IFRSでは「保険契約資産」、「保険契約負債」に含めています。・日本基準において「その他資産」または「その他の負債」に含めていた発行した保険契約および保有する再保険契約に係る債権債務等を、IFRSでは「保険契約資産」、「保険契約負債」、「再保険契約資産」、「再保険契約負債」に含めています。・日本基準において保有する再保険契約に係る資産を「支払備金」または「責任準備金等」から控除していましたが、IFRSでは保有する再保険契約に係る資産および負債を「再保険契約資産」および「再保険契約負債」として区分掲記しています。 この結果、IFRSの保険契約資産、保険契約負債、再保険契約資産および再保険契約負債の純額(負債)は、日本基準のこれらに相当する項目の純額(負債)に比べて、5,512,957百万円減少しています。 ・保険収益の表示 日本基準においては、「保険引受収益」に保険契約者から収受した時点で認識する収入保険料に加えて、保険契約準備金の一部である責任準備金および支払備金の各々について、減少した場合にその減少分を「責任準備金等戻入額」、「支払備金戻入額」として含めていましたが、IFRSにおける「保険収益」にはサービスの提供に応じた収益を含めています。また、この「保険収益」からは投資要素を除外しています。 ・保険サービス費用の表示 日本基準においては、「保険引受費用」に保険契約者に支払った時点で認識する支払保険金に加えて、保険契約準備金の一部である責任準備金および支払備金の各々について、増加した場合にその増加分を「責任準備金等繰入額」、「支払備金繰入額」として含めていましたが、IFRSにおける「保険サービス費用」には、発生保険金に係る負債の増減を含めています。 日本基準における「保険引受費用」には新契約費および維持費の双方を発生時に認識していますが、IFRSにおける「保険サービス費用」では、保険獲得キャッシュ・フローについては保険期間に配分して費用認識しています。また、この「保険サービス費用」からは投資要素を除外しています。 (のれん) 日本基準においてはのれんについて一定期間で均等償却していましたが、IFRSでは移行日以降の償却を停止し、減損テストを実施しています。この結果、IFRSの一般管理費は、日本基準のこれに相当する項目に比べて、88,861百万円減少しています。

事業リスク

  • 経済・金融市場の変動
    世界的な金融危機や地政学リスク、大規模災害などにより、保有資産の価値が下落する可能性があります。特に、日本国債の暴落やハイパーインフレーションは、資産価値に大きな影響を及ぼすリスクとして認識されており、ストレステストやエクスポージャー管理で対応しています。
  • 大規模自然災害の発生
    巨大地震や巨大風水災、火山噴火などの大規模自然災害が発生した場合、甚大な人的・物的被害により、多額の保険金支払が発生するリスクがあります。これに対し、リスク評価の適切化、再保険手配、危機管理態勢の整備などで対応しています。
  • サイバー攻撃・情報漏えい
    サイバー攻撃によるシステム障害や顧客情報の漏えい、従業員による重要情報の不正持ち出しなどにより、多額の損失やレピュテーション(企業の評判)の毀損が発生するリスクがあります。情報セキュリティ研修やグループ全体の監視体制強化で対策を講じています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|6,974 文字
3【事業等のリスク】 東京海上グループは、「リスク」、「資本」および「リターン」の関係を常に意識し、リスク対比での健全性と収益性を両立しながら高いROEをめざす「リスクベース経営(ERM:Enterprise Risk Management)」を行っています。 ○リスクベース経営(ERM)のイメージ図 具体的には、リスクアペタイト・フレームワークを起点に、事業計画の策定および検証ならびに事業計画に基づいた資本配分計画を決定するERMサイクルにより「リスク」、「資本」および「リターン」を適切にコントロールし、企業価値の持続的な拡大をめざしています。 ○ERMサイクルのイメージ図(注)1.環境変化等により新たに現れるリスクであり、従来リスクとして認識されていないものおよびリスクの程度が著しく高まったものをいいます。2.財務の健全性、業務継続性等に極めて大きな影響を及ぼすリスクをいいます。具体的には、エマージングリスクおよび前事業年度のグループの重要なリスクにつき、影響度(経済的影響、業務継続への影響およびレピュテーションへの影響で評価し、最も大きいものを採用)ならびに頻度・蓋然性を評価し、以下の5×5のマトリクスを用いて特定しています。 (1)定性的リスク管理 事業運営を行うなかで直面する様々なリスクを網羅的に把握して対応するため、エマージングリスクの洗出しならびに重要なリスクの特定、評価および対応策のPDCAを実施し、毎年取締役会に報告しています。 ○重要なリスクの一覧重要なリスク/シナリオ対応例①経済・金融危機〇リーマンショック級の世界金融危機、地政学リスクや大規模災害等に起因する金融・資本市場の混乱等により、東京海上グループの保有資産の価値が下落する。〇政府への信認毀損による日本国債暴落、ハイパーインフレーション等により、東京海上グループの保有資産の価値が下落する。<経済的影響への対応>・地政学リスク等の市場への影響を調査する。・信用リスク集積管理等により、エクスポージャーをコントロールする。・ストレステストを行い、資本十分性や資金流動性を確認する。・金融危機のアクションプランを整備する。②巨大地震〇首都直下地震、南海トラフ巨大地震、米国における大規模地震が発生し、人的・物的被害が甚大となり、東京海上グループの事業を含む社会や経済活動が停滞するとともに保険金支払が多額になる。<経済的影響への対応>・リスクの集積を含めて適切にリスクを評価し、お客様のニーズに沿った商品の開発を行いつつ、リスクに見合った引受け、リスク分散および再保険手配を行うことで利益の安定化を図る。・②、③および⑤はストレステストを行い、②および⑤については資本十分性や資金流動性を、③については資金流動性を確認する。 <事業継続への影響やレピュテーションへの対応>・危機管理態勢(後記(3)参照)や事業継続計画等を整備し、有事訓練により実効性を確認する。③巨大風水災・セカンダリーぺリル(含む気候関連物理的リスク)〇巨大台風や集中豪雨の発生や、雹災、森林火災、洪水等のセカンダリーペリルの多発により、物的被害が甚大となり、東京海上グループの事業を含む社会や経済活動が停滞するとともに保険金支払が多額になる。④火山噴火〇富士山噴火等が発生し、降灰等により物的被害が甚大となり、東京海上グループの事業を含む社会や経済活動が停滞するとともに保険金支払が多額になる。⑤新ウイルスのまん延〇致死率の高い感染症がまん延し、保険金支払が多額になる。⑥インフレーション〇原材料費の高騰や世界的な物価の急激な上昇等により、保険金支払単価が上昇し、リスクに見合った商品改定や再保険調達ができず保険引受利益が減少する。<経済的影響への対応>・インフレーションの保険商品への影響を分析し、リスクに見合った商品改定や引受けを行うとともに、合理的な条件で再保険を調達する。⑦サイバーリスク〇多くの東京海上グループの顧客やそのサプライチェーンがサイバー攻撃を受け、保険金支払が多額になる。〇東京海上グループや外部委託先のシステムがサイバー攻撃を受け、事業活動の停止による利益の減少や情報漏えいによるレピュテーションの毀損が発生する。<経済的影響への対応>・リスクの集積を含めて適切にリスクを評価し、お客様のニーズに沿った商品の開発を行いつつ、リスクに見合った引受け、リスク分散および再保険手配を行うことで利益の安定化を図る。 <事業継続への影響やレピュテーションへの対応>・危機管理態勢(後記(3)参照)や事業継続計画等を整備し、有事訓練により実効性を確認する。・外部委託管理に関する施策の展開やサイバーセキュリティ態勢の整備を行う。⑧法令・規制への抵触/コンダクトリスク〇保険業法、競争法(独占禁止法、不正競争防止法等)、個人情報保護、マネー・ローンダリング防止、米中対立やウクライナ戦争に関連した経済制裁強化等に関する規制等に抵触し、行政処分、罰金等を科されるとともに、レピュテーションを毀損する。〇業界・企業慣行と世間の常識の乖離や重要法令への意識・知識不足、健全な企業文化の醸成・浸透の不十分さ等により、顧客に不利益が発生すること、東京海上グループの取組みが社会から不適切とみなされることにより、レピュテーションを毀損する。<事業継続への影響やレピュテーションへの対応>・グループ会社の法令遵守状況をモニタリングし、態勢整備に向けた支援を行う。・国内外の社会環境、行政機関の動向、法令規制改正等を把握し、必要な対策を講じる。・従業員の意識や行動に関する調査について、設問を見直すとともに、好取組事例の収集や展開を行い、東京海上グループの取組みを改善する。⑨重要情報の漏えい・不正取得〇従業員による他社の重要情報の不正取得や東京海上グループの保有する個人情報等の重要情報の不正持出し等により重大な情報漏えいが発生し、お客様からの信頼を失い、レピュテーションを毀損する。○東京海上グループや外部委託先の従業員によるAIの不適切利用により重大な情報漏えいが発生し、お客様からの信頼を失い、レピュテーションを毀損する。<事業継続への影響やレピュテーションへの対応>・情報セキュリティや情報保護について、各社の運用状況をモニタリングし、グループとして必要な支援を行う。・情報セキュリティ研修等の従業員のセキュリティ意識・知識向上に向けた対策を行う。・AIやデータの利活用に関するグループ共通のルール、AIガバナンス基盤の整備等を通じて、当社やグループ会社の態勢整備を行う。⑩AI/データガバナンスの不足〇AIやデータの利活用を進めるなかで、脆弱性・誤情報の出力や倫理上の課題等を適切に管理できないことにより、訴訟やレピュテーションの毀損が発生する。または、生産的な事業活動が阻害される。<事業継続への影響やレピュテーションへの対応>・AIやデータの利活用に関するグループ共通のルール、AIガバナンス基盤の整備等を通じて、当社やグループ会社の態勢整備を行う。⑪地政学リスク○国家間の対立が軍事衝突に発展し、人的・物的被害が甚大となり、東京海上グループの事業を含む社会や経済活動が停滞する。〇国際秩序の乱れにより事業環境が悪化し、東京海上グループの事業を含む社会や経済活動が停滞する。<事業継続への影響やレピュテーションへの対応>・危機管理態勢(後記(3)参照)や事業継続計画等を整備し、有事訓練により実効性を確認する。(経済的影響への対応は上記①に記載)・情報収集や外部専門家の知見も活用し、適切な状況把握や将来予測を行う。⑫ビジネスモデル変革に伴うリスク〇デジタルトランスフォーメーションやAIの進化等に対しビジネスモデルの変革が遅れることにより、東京海上グループの競争優位性が失われ、収入保険料や利益が大きく減少する。〇保険業界の構造変化に対応するために進めるビジネスモデル変革において、対応の不備により顧客や代理店から理解・支持を十分に得られず、レピュテーショナルリスクが顕在化し、企業価値を毀損する。<経済的影響への対応>・デジタル・AIの活用に関する重点領域を選定し、集中的に投資することで、競争優位性を確保する。 <事業継続への影響やレピュテーションへの対応>・新たなビジネスモデルについて丁寧に説明を行い、理解を高める。⑬当社事業におけるディスラプション〇革新的な新規参入者、モビリティ産業の構造転換等により、当社事業領域でのディスラプションが発生し、東京海上グループのビジネスモデルの競争優位性が失われ、収入保険料や利益が大きく減少する。<経済的影響への対応>・モビリティ産業の構造転換を見据えた中長期的な事業戦略を構築する。・デジタル保険販売を進めてノウハウを蓄積し、販売モデルを構築する。・保険に留まらないソリューション事業の確実な成長に向けた取組みを展開する。⑭システム障害〇当社グループ会社や外部委託先等のシステムに障害等が発生して長期間停止することにより、事業継続に重大な影響が生じるとともに、レピュテーショナルリスクが顕在化し、企業価値を毀損する。<事業継続への影響やレピュテーションへの対応>・ITガバナンスを確保するための具体的な運営指針を定めた基準に基づき、グループ会社の管理態勢整備を支援するとともに、リスクの高い開発プロジェクトを特定し、リスクの程度に応じた支援を実施する。 ○エマージングリスクの例エマージングリスク/シナリオ対応例①脱炭素・自然共生社会への不適切な対応(気候・自然関連移行リスク)〇脱炭素・自然共生社会への移行に乗り遅れた投資先企業の企業価値が下落し、東京海上グループの保有資産の価値も下落する。〇脱炭素・自然共生社会への東京海上グループの取組みが社会から不適切とみなされ、レピュテーションを毀損する。・電力・エネルギーセクターとの取引に専門性を有する一部のグループ会社において、石炭を主業とする企業への保険引受・ファイナンス提供を厳格化している。・東京海上スマートGXやTokio Marine GX等、新たな脱炭素技術に関連する保険商品・リスクコンサルティングサービスを提供する新会社を設立するとともに、ID&Eによる自然関連リスクのコンサルティング等、自然資本関連ソリューションを提供している。②地球温暖化、自然資本・生物多様性の喪失(気候・自然関連物理的リスク)〇地球温暖化や自然資本・生物多様性の喪失の進行により自然災害の激甚化等が進み、短期的にも長期的にも保険金支払が増大する。・当社ポートフォリオにおける自然資本・生物多様性の観点で、重要セクターのひとつである自動車セクターのバリューチェーン分析を実施している。・分析を通じて、当社の自然資本・生物多様性のリスク・機会を特定し、Climate & Nature Reportへ開示している。③ビジネスパートナーリスク〇企業活動に対するバリューチェーン全体を見渡した責任・期待が高まっているなか、業務提携・委託・協業先において、不祥事や事故が発生し、当社の事業継続やレピュテーションに重大な影響が生じる。・「責任ある調達のためのガイドライン」を定め、基本的な考え方をグループ内へ周知したうえで、ビジネスパートナーにも取組みへの協力を促している。・外部委託先やビジネスパートナー選定における経済安全保障に関する観点を整理のうえ、各社での取組みを推進している。④事業ポートフォリオの拡大・変遷に伴う経営管理リスク〇グループ会社に対して、業態・規模・地域性等に即した最適な経営管理を行えず、当該グループ会社で大規模な不適正事案が発生し、業績が悪化するとともに、当社が経営責任を問われる。・ソリューション事業の新たな取組みについては、経営支援チームを組成して内部統制の態勢整備を行うとともに、PoC(実証実験)を通じてリスクの抑制を図っている。・ソリューション事業の買収案件に関しては、PMI(Post Merger Integration)チームを編成して買収先の実態を把握したうえで、内部統制の整備や当社における経営管理態勢の構築を行っている。⑤グローバルな人権尊重対応の遅れ〇人権尊重に関する東京海上グループの取組みが社会から不適切とみなされ、レピュテーションを毀損する。・当社事業に関係する主要なステークホルダーの人権課題に対するリスクを特定した「人権リスクマップ」を作成し、第三者の視点に基づく分析等も踏まえて更新している。・「ビジネスと人権に関する有識者ダイアログ」を開催し、外部有識者から実務面の課題について助言を得ている。 (2)定量的リスク管理 格付けの維持および倒産の防止を目的として、保有しているリスク対比で実質純資産が十分な水準にあることを多角的に検証し、財務の健全性が確保されていることを、取締役会において確認しています。 具体的には、99.5%バリューアットリスク(VaR)(注)1で定量評価し、実質純資産(注)2をリスク量で除したエコノミック・ソルベンシー・レシオ(以下「ESR」といいます)の水準により、資本の十分性を確認しています。なお、2025年9月末までは99.95%VaRによるESRを用いて資本の十分性を確認していましたが、2026年3月末から日本国内において新資本規制(経済価値ベースのソルベンシー規制)が導入されたことに伴い、グローバルピアとの比較可能性や新資本規制との整合性等を重視し、2026年3月末より99.5%VaRによるESRへ定義を変更しました。 東京海上グループのESRのターゲットは、AA格相当の資本水準を維持することを目的として、190%以上と設定しています。2026年3月末時点におけるESRは268%となり、資本が十分な水準にあることを確認しています。なお、2026年度は、自己株式取得について年間を通じて4,000億円(注)3を、期中の市場環境や株価の状況等を総合的に勘案して機動的に実施する方針を2026年5月20日付で公表しており、これを考慮した場合のESRは255%となります。また、重要なリスクのうち、経済・金融危機、巨大地震および新ウイルスのまん延については、経済的損失が極めて大きいと想定されるシナリオならびに複数の重要なリスクが同時期に発現するシナリオに基づき、資本十分性および資金流動性に関するストレステストを実施しています。また、巨大風水災についても資金流動性に関するストレステストを実施しています。その結果、いずれも問題がないことを確認しています。(注)1.将来の一定期間のうちに、一定の確率の範囲内で被る可能性のある最大損失額のことをいいます。99.5%VaRとは、今後1年間の損失が99.5%の確率でその額以内に収まる金額水準です。2.財務会計上の連結純資産に、生保保有契約価値の加算やのれんの控除等の調整を加えて算出します。3. 2026年3月23日付で公表した、Berkshire Hathawayグループとの戦略的提携に伴う2,874億円の自己株式取得を除いた額です。なお、当該自己株式取得は、同グループに対する自己株式の第三者割当に伴う株式数の増加による1株当たり価値の希薄化を抑えるために実施するものであり、同額の自己株式の処分をあわせて行うことから、資本水準への影響は限定的で、ESRへの影響はありません。 ○ESRの状況 (3)危機管理 定性的リスク管理および定量的リスク管理を行っていても、全てのリスクを完全にコントロールすることは困難であり、また、自然災害のように発生を抑えることが不可能なリスクも存在します。 そのため、有事に際して被る経済的損失等を極小化し、迅速に通常業務へ復旧するため、危機管理態勢や緊急事態時アクション等を整備しています。 また、当社はグループ会社に対し支援・指示・指導を行い、グループ会社は当社に対し報告・連絡・相談を行うことで、グループ会社においても平時から危機管理態勢や緊急事態時アクション等の整備を行うとともに、緊急事態時においては復旧や事業継続を迅速・的確に対応できるよう努めています。 さらに、自然災害やサイバー攻撃等、緊急事態(注)となり得る事象を想定した模擬訓練を実施し、緊急事態時の実践力・応用力も高めています。(注)東京海上グループの各社と顧客・代理店等の利害関係者との関係に重大な影響が生じる事態または東京海上グループの各社の業務に著しい支障が生じると判断される事態です。具体的には、自然災害、パンデミック、システム障害、サイバー攻撃、重要情報の漏えい、重大な法令違反および業務停止命令等、重要なリスクの発現やそれに準じた事態の発生を想定しています。 ○東京海上グループの危機管理態勢 なお、本項の記載には将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

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