9005

東急(9005)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

陸運業 運輸・物流

事業の概要

  • 多角的な事業展開
    東急グループは、鉄道・バスなどの交通事業を基盤としつつ、不動産開発・賃貸・管理、百貨店・スーパーマーケットなどの生活サービス、ホテル・リゾート運営まで、幅広い事業を手掛けています。これにより、特定の事業に依存せず、多様な収益源を確保しています。
  • 沿線価値の創造と循環
    東急線沿線を中心に、交通インフラを整備し、その周辺で住宅地開発、商業施設運営、生活サービスを提供することで、地域の魅力を高め、新たな需要を創出しています。これにより、交通利用者の増加と不動産価値の向上という好循環を生み出すビジネスモデルです。
  • 地域密着型サービス
    東京都西南部や神奈川県といった東急線沿線地域に経営資源を集中させ、地域住民の生活に密着したサービスを総合的に提供しています。これにより、顧客の囲い込みと高いブランドロイヤルティを築き、安定的な収益基盤を構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 交通事業
    鉄道、バス、空港運営などを手掛ける基幹事業です。東急電鉄が東横線など9路線を運営し、伊豆急行や上田電鉄も旅客輸送を行います。2168.46億円の売上と289.93億円の営業利益を計上しており、安定した収益源となっています。
  • 不動産事業
    宅地造成販売、住宅建設販売、不動産賃貸、管理、仲介、建設などを展開する事業です。当社や関連会社の東急不動産が首都圏を中心に活動し、ベトナムでの開発も行っています。2042.31億円の売上に対し、483.98億円と最も高い営業利益を上げており、グループの稼ぎ頭です。
  • 生活サービス事業
    百貨店、スーパーマーケット、ショッピングセンター、クレジットカード、ケーブルテレビ、広告、映像などを提供する事業です。東急百貨店や東急ストア、イッツ・コミュニケーションズなどが主要な役割を担っています。5076.04億円と最も売上が大きいセグメントですが、営業利益は193.44億円です。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Transportation 事業 2,168 290 13.4%
RealEstate 事業 2,042 484 23.7%
LifeService 事業 5,076 193 3.8%
HotelAndResort 事業 1,263 67 5.3%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,253 文字
3【事業の内容】当社の企業グループは、当社、子会社130社及び関連会社41社で構成され、その営んでいる主要な事業内容は、次のとおりであります。なお、事業区分は、報告セグメントの区分と同一であります。当連結会計年度末現在の各事業に係る主な事業内容(交通事業)鉄軌道業では、連結子会社の東急電鉄㈱が東京都西南部及び神奈川県において、東横線・目黒線・東急新横浜線・田園都市線・大井町線・池上線・東急多摩川線・こどもの国線の鉄道8路線と東京都世田谷区において、世田谷線の軌道1路線の計9路線、営業キロ110.7kmで旅客輸送を行っております。連結子会社では、伊豆急行㈱が伊豆半島で伊東~伊豆急下田間、営業キロ45.7kmで旅客輸送を行っているほか、上田電鉄㈱が長野県において上田~別所温泉間、営業キロ11.6kmで旅客輸送を行っております。バス業では、連結子会社の東急バス㈱が東京都西南部及び神奈川県において、路線バスの運行を行っております。また、北海道では、連結子会社の㈱じょうてつが路線バスによる旅客輸送及び北海道一円を対象に貸切バス業を行っております。空港運営事業では、連結子会社の仙台国際空港㈱が宮城県の仙台空港において、滑走路の維持管理や着陸料等の収受を行う空港運営事業を行っております。鉄道車両関連事業では、連結子会社の東急テクノシステム㈱が、鉄道車両用機器の設計製作並びに更新修理定期検査の請負、鉄道関係電気工事の設計施工等を行っております。(不動産事業)不動産販売業では、当社が宅地を造成販売し、住宅等の建設販売を行うとともに、不動産コンサルティング業務を行っております。関連会社の東急不動産㈱では、首都圏・近畿圏及び地方中核都市等において、住宅地等の開発及び分譲並びに戸建住宅・中高層住宅・別荘等の建設及び分譲を行っております。また、連結子会社のベカメックス東急有限会社では、ベトナム・ホーチミン市において、住宅地等の開発及び分譲を行っております。不動産賃貸業では、当社が東京都・神奈川県等当社沿線を中心に、また、関連会社の東急不動産㈱が首都圏・近畿圏及び地方中核都市等においてオフィスビル等の不動産の賃貸を行っております。不動産管理業では、連結子会社の東急プロパティマネジメント㈱が、ビル等のプロパティマネジメント業務及び設備管理・清掃その他総合的管理運営業務を行うビル管理業、関連会社の東急リアル・エステート投資法人が、東急リアル・エステート・インベストメント・マネジメント㈱に資産運用業務を委託し、成長性、安定性及び透明性の確保を目指した資産運用を行っております。また、関連会社の㈱東急コミュニティーが、同様のビル管理業及びマンションの事務管理・設備管理等総合的管理運営業務を行うマンション管理業を行っております。不動産仲介業では、関連会社の東急リバブル㈱が関東地方を中心とする主要都市において、地域に密着したネットワークによる住宅等の斡旋・仲介及びそれらに付帯するサービスの提供・斡旋を行っております。建設業では、関連会社の東急建設㈱が、住宅・事務所・庁舎等の建築工事及び道路・鉄道・土地造成等の土木工事を行っております。また、関連会社の世紀東急工業㈱が、土木工事・舗装工事・水利工事・建築工事を行っております。(生活サービス事業)百貨店業では、連結子会社の㈱東急百貨店が、東京都、神奈川県、北海道札幌市において百貨店業を行っております。また、連結子会社の㈱ながの東急百貨店が長野県において同様の事業を展開しております。チェーンストア業では、連結子会社の㈱東急ストアが、首都圏を中心に食料品・衣料品・日用品等の生活用品を取り扱っております。ショッピングセンター業では、連結子会社の㈱東急モールズデベロップメント及び㈱SHIBUYA109エンタテイメントが、渋谷を中心に都市型ファッションビルを展開するとともに、東急線沿線を中心に商業施設の運営を行っております。クレジットカード業では、連結子会社の東急カード㈱が、クレジットカードの取扱いに関する業務を行っております。ケーブルテレビ事業では、連結子会社のイッツ・コミュニケーションズ㈱が、東京、川崎、横浜の当社沿線を中心に敷設された光ファイバーケーブル及び同軸ケーブルによるネットワークを通じ、ケーブルテレビサービス及びインターネット接続サービスを提供しております。広告業では、連結子会社の㈱東急エージェンシーが、各種広告の代理業務を行っております。映像事業では、連結子会社の㈱東急レクリエーションが、全国各地にシネマコンプレックス(複合映画施設)を展開するとともに、映像関連イベントの運営・受託、直営映画館での広告プランニングを行っております。 (ホテル・リゾート事業)ホテル業では、当社および連結子会社の㈱東急ホテルズがホテル経営と資産マネジメントを行い、連結子会社の東急ホテルズ&リゾーツ㈱が、「東急ホテル」「エクセルホテル東急」「東急REIホテル」の各ブランドに加え、東急ブランドホテルの枠を超える個性を有するホテルのブランド群「DISTINCTIVE SELECTION」にてホテルの運営(当連結会計年度末現在直営37店舗)を行っております。ゴルフ業では、連結子会社の㈱スリーハンドレッドクラブ、㈱東急セブンハンドレッドクラブなど5社がゴルフ場の営業を行っております。企業集団の状況について事業系統図を示すと次のとおりとなります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
鉄道・バスなどの公共交通機関は規制があるが、不動産や生活サービスは市場競争に晒される。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 ネットワーク
東京都西南部及び神奈川県における鉄軌道9路線、営業キロ110.7kmの旅客輸送ネットワーク。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:金融市場混乱・金利環境悪化・格下げ・信用不安 / DX対応遅延・システム障害 / 需要・事業性の予測見誤り
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

東急グループは、沿線に広がる強力なブランド力と、渋谷を中心とした都市開発における長年の実績を持つ。特に「東急沿線」というブランドは、住宅、商業施設、交通インフラ全体にわたり、地域住民からの信頼と愛着を生み出している。これは、新規参入企業が容易に模倣できない無形資産である。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

東急線沿線に居住する住民は、通勤・通学で東急線を利用することが多く、他の交通手段への乗り換えには時間的・金銭的コストが発生する。また、沿線の商業施設やサービスを利用する顧客も、利便性から継続利用する傾向があり、一定のスイッチング・コストが存在する。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

陸運業や不動産開発事業において、直接的なネットワーク効果は限定的である。顧客が増えることでサービス価値が向上するような、プラットフォーム型のビジネスモデルではない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

鉄道事業においては、インフラ維持・更新コストが継続的に発生する。規模の経済によるコスト優位性は存在するものの、新規参入障壁としてのコスト優位性は限定的。不動産開発においても、土地取得コストや建設コストは市場環境に左右される。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

東急線という広範な鉄道網と、沿線に展開する大規模な商業施設・住宅開発事業は、圧倒的な規模を持つ。この規模により、インフラ投資や開発プロジェクトにおいて効率性を発揮し、競合他社が容易に追随できない事業基盤を構築している。

  • 交通インフラの基盤
    東急電鉄が運営する9路線(営業キロ110.7km)は、東京都心と郊外を結ぶ重要な交通網であり、安定した顧客基盤と収益源を確保しています。この強固なインフラは、沿線開発や生活サービス事業の展開を支える土台となっています。
  • 沿線開発とブランド力
    長年にわたる鉄道沿線の開発実績と、「東急」ブランドの信頼性は、不動産事業において大きな競争優位性をもたらしています。住宅販売や商業施設運営において、高い集客力とブランド価値を発揮し、安定的な収益に貢献しています。
  • 多角化によるシナジー
    交通、不動産、生活サービス、ホテル・リゾートといった多岐にわたる事業をグループ内で展開することで、相互に顧客を送り込み、サービスを連携させるシナジー効果を生み出しています。これにより、顧客満足度を高め、グループ全体の収益力を向上させています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 持続的成長の追求
    2024年度を始期とする中期3か年経営計画では、安定的で成長力のある事業ポートフォリオを構築し、資本効率向上と財務健全性維持の両立を目指しています。株主資本コストを意識した経営を推進し、持続的な企業価値の向上と事業間連携によるコングロマリットプレミアムの創出を図ります。
  • 既存事業の収益力強化
    各事業の利益創出力と競争力を高めるため、「移動」を通じた社会価値提供と収益性の両立、バリューアップ投資と事業間連携による利益創出力の強化を重点施策としています。これにより、内部成長を実現し、安定的な収益基盤を盤石にすることを目指します。
  • 成長投資と事業領域拡大
    不動産開発事業を通じたエリア価値の継続的な向上、不動産販売事業の拡大とバリューチェーン強化、海外事業の継続推進、GX投資などを通じて、持続的成長のための成長投資を継続します。これにより、新たな収益源を確保し、事業領域の拡大を図ります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。(1)グループ理念当社グループは、「美しい時代へ―東急グループ」をグループスローガンとして掲げるとともに、「グループを共につくり支える志を持ち、共有する理念」として、以下のとおり「グループ理念」を定めております。(グループ理念)「存在理念」:美しい生活環境を創造し、調和ある社会と、一人ひとりの幸せを追求する。「経営理念」:自立と共創により、総合力を高め、信頼され愛されるブランドを確立する。〇市場の期待に応え、新たな期待を創造する。〇自然環境との融和をめざした経営を行う。〇世界を視野に入れ、経営を革新する。〇個性を尊重し、人を活かす。もって、企業の社会的責任を全うする。「行動理念」:自己の責任を果たし、互いに高めあい、グローバルな意識で自らを革新する。 (2)サステナブル経営の方針当社は、「安全・安心」、「まちづくり」、「生活環境品質」、「ひとづくり」、「脱炭素・循環型社会」、「企業統治・コンプライアンス」をサステナブル重要テーマ(マテリアリティ)として設定しており、これらに向き合い、「未来に向けた美しい生活環境の創造」および「事業を通じた継続的な社会課題解決」に取り組んでいくという“サステナブル経営”を経営の基本姿勢としています。 (3)中期3か年経営計画2024年度を始期とする中期3か年経営計画を策定し推進しております。本計画では、今後起こりうる経営環境変化に能動的に対応すべく、安定的で成長力ある事業ポートフォリオを構築しながら資本効率向上と財務健全性維持の両立を図るとともに、株主資本コストを意識した経営を推進し、持続的な企業価値の向上と事業間連携の深化によるコングロマリットプレミアムの創出を図ります。また本計画の策定にあわせて、『Creative Act.創造力でしなやかに“世界が憧れるまち”を』を、ビジョンワードとして設定しました。従業員ひとりひとりが輝ける会社となり、お客さまへの優れたサービスの提供と明るい未来の創造を目指していきます。本計画の概要は以下の通りです。 (目指すビジネスモデル)交通/不動産を軸とした事業間シナジーと再投資により持続的成長を実現する長期循環型事業 (基本方針)外部環境の変化が継続する中、本計画の3か年を再起動の期間と位置づけ、事業戦略・コーポレート戦略の推進により経営基盤を強化するとともに資本効率等を重視する経営への転換を図り、持続的な企業価値の向上につなげる。 (重点施策)1)既存事業の収益力向上による内部成長の実現(各事業の利益創出力・競争力の強化)・「移動」を通じた社会価値提供と収益性の両立・バリューアップ投資と事業間連携による利益創出力の強化2)持続的成長のための「成長投資継続」(事業領域の拡大)・不動産開発事業を通じたエリア価値の継続的な向上・不動産販売事業拡大とバリューチェーン強化、資産ポートフォリオ戦略・海外事業の継続推進、GX投資3)連結経営/事業推進基盤の強化・人材戦略、デジタル戦略の推進、事業ポートフォリオ管理と経営資源配分の最適化 (経営指標)具体的な数値目標については以下のとおりです。なお、2026年度、2027年度数値については2026年5月公表数値を記載しております。 定量指標2025年度実績2026年度予想2027年度目標EPS152.25円158.15円164.88円ROE10.0%9.6%9.3%ROA(総資産事業利益率)3.7%3.8%3.7%東急EBITDA2,279億円2,368億円2,400億円営業利益1,031億円1,100億円1,120億円親会社株主に帰属する当期純利益870億円900億円920億円有利子負債/東急EBITDA倍率6.1倍6.1倍6.0倍 従来は、規模の指標として、「営業利益」、「東急EBITDA」、健全性指標として「有利子負債(※)/東急EBITDA倍率を重視して参りましたが、本計画では資本効率を重視する経営へ深化させ、最も重視する経営指標を、「EPS」、「ROE」、「ROA(総資産事業利益率)」の3つと定めております。また、「EPS」、「ROE」の分子となる「親会社株主に帰属する当期純利益」も、重視する指標に加えております。当社の株主資本コストは、2026年3月時点推計値として、CAPM(資本資産価格モデル)および株式益利回りより算出し、5.7%~7.9%と認識しており、規模拡大のみならず効率性や財務健全性を重視し、株主資本コストを意識した経営を推進してまいります。 〇経営指標(当社独自の指標等)採用に関する補足「ROA(総資産事業利益率)」の分子とする事業利益は、営業利益に、収支が会計ルール上、営業外収益で計上されてしまう海外事業や空港運営事業等の利益も加算した利益を指しております。なお、事業利益の算出方法は、以下のとおりです。事業利益=営業利益+上場会社を除く持分法投資損益+不動産事業等に係る受取配当東急EBITDAは、大規模工事の竣工等による営業利益の変動を補正したうえで、事業スキームの多様化を反映し、当社の稼ぐ力をより正確に表す指標として採用しております。なお、東急EBITDAの算出方法は、以下のとおりです。東急EBITDA=営業利益+減価償却費+固定資産除却費+のれん償却費+受取利息配当+持分法投資損益※ 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計 (投資計画・株主還元の考え方)投資計画については、今回アップデートを行い、本中期経営計画3か年合計で4,900億円を計画しております。内訳としては、鉄道事業投資に1,800億円、バリューアップ投資を含めた既存事業投資として1,300億円、不動産開発投資をはじめとした成長投資として1,800億円を見込んでおります。株主還元の考え方については、中期経営計画で定めた配当方針として安定配当の継続と、利益成長に応じた配当金の持続的な増加を掲げており、2026年度につきましては2円増配の1株あたり年間32円の配当を予定しております。また資本政策に関しても機動的かつ積極的に実施する方針としており、200億円、1,300万株を上限とする自己株式取得についても決議いたしました。業績や資金状況もふまえつつ、総還元性向40%を当面の目安として意識してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。(1)グループ理念当社グループは、「美しい時代へ―東急グループ」をグループスローガンとして掲げるとともに、「グループを共につくり支える志を持ち、共有する理念」として、以下のとおり「グループ理念」を定めております。(グループ理念)「存在理念」:美しい生活環境を創造し、調和ある社会と、一人ひとりの幸せを追求する。「経営理念」:自立と共創により、総合力を高め、信頼され愛されるブランドを確立する。〇市場の期待に応え、新たな期待を創造する。〇自然環境との融和をめざした経営を行う。〇世界を視野に入れ、経営を革新する。〇個性を尊重し、人を活かす。もって、企業の社会的責任を全うする。「行動理念」:自己の責任を果たし、互いに高めあい、グローバルな意識で自らを革新する。 (2)サステナブル経営の方針当社は、「安全・安心」、「まちづくり」、「生活環境品質」、「ひとづくり」、「脱炭素・循環型社会」、「企業統治・コンプライアンス」をサステナブル重要テーマ(マテリアリティ)として設定しており、これらに向き合い、「未来に向けた美しい生活環境の創造」および「事業を通じた継続的な社会課題解決」に取り組んでいくという“サステナブル経営”を経営の基本姿勢としています。 (3)中期3か年経営計画2024年度を始期とする中期3か年経営計画を策定し推進しております。本計画では、今後起こりうる経営環境変化に能動的に対応すべく、安定的で成長力ある事業ポートフォリオを構築しながら資本効率向上と財務健全性維持の両立を図るとともに、株主資本コストを意識した経営を推進し、持続的な企業価値の向上と事業間連携の深化によるコングロマリットプレミアムの創出を図ります。また本計画の策定にあわせて、『Creative Act.創造力でしなやかに“世界が憧れるまち”を』を、ビジョンワードとして設定しました。従業員ひとりひとりが輝ける会社となり、お客さまへの優れたサービスの提供と明るい未来の創造を目指していきます。本計画の概要は以下の通りです。 (目指すビジネスモデル)交通/不動産を軸とした事業間シナジーと再投資により持続的成長を実現する長期循環型事業 (基本方針)外部環境の変化が継続する中、本計画の3か年を再起動の期間と位置づけ、事業戦略・コーポレート戦略の推進により経営基盤を強化するとともに資本効率等を重視する経営への転換を図り、持続的な企業価値の向上につなげる。 (重点施策)1)既存事業の収益力向上による内部成長の実現(各事業の利益創出力・競争力の強化)・「移動」を通じた社会価値提供と収益性の両立・バリューアップ投資と事業間連携による利益創出力の強化2)持続的成長のための「成長投資継続」(事業領域の拡大)・不動産開発事業を通じたエリア価値の継続的な向上・不動産販売事業拡大とバリューチェーン強化、資産ポートフォリオ戦略・海外事業の継続推進、GX投資3)連結経営/事業推進基盤の強化・人材戦略、デジタル戦略の推進、事業ポートフォリオ管理と経営資源配分の最適化 (経営指標)具体的な数値目標については以下のとおりです。なお、2026年度、2027年度数値については2026年5月公表数値を記載しております。 定量指標2025年度実績2026年度予想2027年度目標EPS152.25円158.15円164.88円ROE10.0%9.6%9.3%ROA(総資産事業利益率)3.7%3.8%3.7%東急EBITDA2,279億円2,368億円2,400億円営業利益1,031億円1,100億円1,120億円親会社株主に帰属する当期純利益870億円900億円920億円有利子負債/東急EBITDA倍率6.1倍6.1倍6.0倍 従来は、規模の指標として、「営業利益」、「東急EBITDA」、健全性指標として「有利子負債(※)/東急EBITDA倍率を重視して参りましたが、本計画では資本効率を重視する経営へ深化させ、最も重視する経営指標を、「EPS」、「ROE」、「ROA(総資産事業利益率)」の3つと定めております。また、「EPS」、「ROE」の分子となる「親会社株主に帰属する当期純利益」も、重視する指標に加えております。当社の株主資本コストは、2026年3月時点推計値として、CAPM(資本資産価格モデル)および株式益利回りより算出し、5.7%~7.9%と認識しており、規模拡大のみならず効率性や財務健全性を重視し、株主資本コストを意識した経営を推進してまいります。 〇経営指標(当社独自の指標等)採用に関する補足「ROA(総資産事業利益率)」の分子とする事業利益は、営業利益に、収支が会計ルール上、営業外収益で計上されてしまう海外事業や空港運営事業等の利益も加算した利益を指しております。なお、事業利益の算出方法は、以下のとおりです。事業利益=営業利益+上場会社を除く持分法投資損益+不動産事業等に係る受取配当東急EBITDAは、大規模工事の竣工等による営業利益の変動を補正したうえで、事業スキームの多様化を反映し、当社の稼ぐ力をより正確に表す指標として採用しております。なお、東急EBITDAの算出方法は、以下のとおりです。東急EBITDA=営業利益+減価償却費+固定資産除却費+のれん償却費+受取利息配当+持分法投資損益※ 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計 (投資計画・株主還元の考え方)投資計画については、今回アップデートを行い、本中期経営計画3か年合計で4,900億円を計画しております。内訳としては、鉄道事業投資に1,800億円、バリューアップ投資を含めた既存事業投資として1,300億円、不動産開発投資をはじめとした成長投資として1,800億円を見込んでおります。株主還元の考え方については、中期経営計画で定めた配当方針として安定配当の継続と、利益成長に応じた配当金の持続的な増加を掲げており、2026年度につきましては2円増配の1株あたり年間32円の配当を予定しております。また資本政策に関しても機動的かつ積極的に実施する方針としており、200億円、1,300万株を上限とする自己株式取得についても決議いたしました。業績や資金状況もふまえつつ、総還元性向40%を当面の目安として意識してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(業績等の概要)(1)業績当期における我が国経済は、原材料価格や工事費の高騰、金利上昇、中東情勢をはじめとする地政学リスクや通商政策の動向などの影響により、経済の先行きは不透明な状況が続いたものの、個人消費の持ち直しやインバウンド需要の拡大もあり、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。 当社グループにおいては、『Creative Act.』をビジョンワードとする中期3か年経営計画に基づき、今後起こりうる経営環境変化に能動的に対応すべく、安定的で成長力ある事業ポートフォリオの構築に取り組んでまいりました。当連結会計年度の営業収益は、ホテル・リゾート事業を中心に全ての事業で好調に推移したことにより、1兆861億7千9百万円(前年同期比3.0%増)、営業利益は1,031億9千3百万円(同0.3%減)、経常利益は1,161億3千2百万円(同7.8%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、870億7千1百万円(同9.3%増)となりました。セグメントの業績は以下のとおりであり、各セグメントの営業収益は、セグメント間の内部営業収益又は振替高を含んで記載しております。なお、各セグメントの営業利益をセグメント利益としております。 (交通事業)東急電鉄㈱では、安全投資と成長投資の両輪による鉄道事業の持続的成長を目指し、鉄道施設の適切な維持更新や、激甚化する自然災害への対策、デジタル技術を活用した運営等に取り組んでおります。更なる安全性と快適性を追求した大井町線の新型車両導入および目黒線の車両リニューアル、3D式踏切障害物検知装置の高度化の実施、BCP強化を目的とした市が尾大規模蓄電池の設置等、計594億円の設備投資を実施しました。また、さらなる鉄道ネットワークの改良として、蒲田駅と京急蒲田駅間の0.8kmをつなぐ新空港線の速達性向上計画について、2025年10月に国土交通省より認定を受けました。運行頻度や車両編成数、整備効果等、具体的な計画内容の認定を受けたことにより、新線開通へ大きく前進しました。また、東京都・品川区と協力して進める大井町線戸越公園駅付近の連続立体交差事業について、2026年2月に国土交通省から認可されました。踏切解消による安全・安定輸送に加え、利便性の向上を目指し、2026年度より工事を進めてまいります。快適でシームレスな乗車体験の提供に向けて、2026年3月に関東の鉄道事業者11社局による「クレジットカード等のタッチ決済による後払い乗車サービス」の相互利用を開始しました。今後も更なる利便性向上を図ります。 このほか、東急バス㈱および㈱じょうてつは乗務員不足と国の制度拡充を踏まえ、外国人運転士を受け入れ・育成しています。東急バス㈱は2025年度採用の7名中3名が単独乗務開始、㈱じょうてつは2025年度採用の3名を2028年度乗務開始へ向け養成し、今後も、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍するダイバーシティ経営を推進してまいります。東急電鉄㈱の輸送人員は、定期・定期外ともに前年を上回り、定期で3.4%増加、定期外で2.7%増加し、全体では3.1%の増加となりました。また、運賃収入は輸送人員の増加に伴い、定期で0.4%増収、定期外で2.6%増収し、全体では1.8%の増収となりました。連結子会社の輸送人員は、伊豆急行㈱で3.0%増加いたしました。バス業では、東急バス㈱の輸送人員が0.4%減少いたしました。この結果、交通事業全体の営業収益は2,269億4千6百万円(同2.9%増)、営業利益は273億4千1百万円(同5.7%減)となりました。 (東急電鉄㈱の鉄軌道業の営業成績)種別単位第156期第157期2024.4.1~2025.3.312025.4.1~2026.3.31営業日数日365365営業キロ程キロ110.7110.7客車走行キロ千キロ156,282155,720輸送人員定期外千人489,438502,515定期千人594,441614,509計千人1,083,8791,117,024旅客運輸収入定期外百万円92,28094,709定期百万円57,89358,128計百万円150,173152,837運輸雑収百万円13,39013,524収入合計百万円163,563166,361一日平均収入百万円448456乗車効率%44.045.4 (注) 乗車効率の算出方法乗車効率=輸送人員×平均乗車キロ× 100客車走行キロ平均定員 (不動産事業)不動産事業では、ホテル、商業施設等の売り上げが好調に推移し、賃料収入が増加したことや、資産回転型ビル事業において物件売却があったこと等により、営業収益は2,629億9千5百万円(同3.6%増)となりました。一方、不動産販売業において前年に大型マンション販売があった反動減等により、営業利益は435億9千5百万円(同9.9%減)となりました。2025年4月、当社が参画する宮益坂地区第一種市街地再開発事業は、東京都知事より市街地再開発組合の設立認可を受けました。渋谷エリアに不足する大規模ホール及び宿泊滞在施設の整備や、官民連携の産業育成支援施設の創造により、東京の代表的なビジネス・交流拠点の一つとなり、世界をリードする国際ビジネス交流都市・東京渋谷の発展に寄与することを目指します。また、2025年5月には渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)の工事に着工しました。2030年度には多層な歩行者ネットワークが概成、2031年度には渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)の完成等、2034年度の全体完成に向け、各鉄道駅間の乗換えやまちへのアクセスを飛躍的に改善させるとともに、魅力あるスポットへの利便性を高めてまいります。駅とまちが一体となった都市再生に関するモデル的プロジェクトとして、世界中から常に注目を集める渋谷の核となることを目指して、引き続き自治体・地元・事業者が連携して事業を推進し、渋谷のまちの成長に貢献してまいります。 さらに、当社および東急電鉄㈱、鷺沼駅前地区市街地再開発組合は、2026年3月より、鷺沼駅の改良工事を実施し、駅まち一体の都市空間整備に着手しました。商業・住宅・公共施設・交通広場からなる複合再開発を通じて、駅を中心に多様なライフスタイルに対応した、地域生活の核となる拠点形成を図ります。当社含め8社が参画し、開発を行ったJR関内駅前の「BASEGATE 横浜関内」が、2026年3月19日にグランドオープンしました。当街区は、オフィスや新産業創造拠点、飲食店を中心とした商業エリア、旧横浜市庁舎行政棟を保存・活用したホテル等からなる、「新旧融合」の大規模複合街区プロジェクトで、連日賑わいを見せております。海外では、ベトナム国ビンズン新都市において、ベカメックス東急有限会社は新たな高級分譲マンション「MIDORI PARK The TENⅡ(地上14階 ・総戸数374戸)」を2026年3月に着工しました。本物件近接の商業施設「MIDORI PARK SQUARE」のエリア拡張も行い、生活利便性を高めています。ビンズン新都市はベトナム行政再編 に伴い、新ホーチミン市北部の中心拠点となりました。2026年度に15周年を迎えるベカメックス東急有限会社は今後もビンズン新都市の発展に寄与してまいります。 (生活サービス事業)当社は、生活サービス事業を街の生活基盤として沿線価値の向上に寄与するものと位置づけるとともに、収益力の向上に取り組んでまいりました。同事業は、魅力ある施設づくりに加えて、お客さまの期待を上回る商品やサービスの提供に努めるとともに、交通事業、不動産事業をはじめとする各事業との相乗効果を発揮するため、グループ間連携をさらに促進しております。リテール事業においては、マーケットの変化に対応するため構造改革を推進しており、2025年4月、東急百貨店や東急スクエア等の当社商業施設を運営する子会社6社を傘下に置く、東急リテールマネジメント㈱を設立しました。経営効率の高度化とスケールメリットを活かした事業展開を進めます。また、2025年9月に、韓国で複数の商業施設を展開する㈱新世界と、相互送客・プロモーション等の業務提携に向けた基本合意書を締結しました。 ㈱東急グルメフロントは、ラグジュアリーティーブランド「TWG Tea」を国内で9店舗展開しており、2025年12月には日本初上陸となる「Bacha Coffee(バシャ コーヒー)銀座」を開業しました。Bacha Coffeeは、35か国から厳選した100%アラビカ種のスペシャルティコーヒーを200種類以上取りそろえたコーヒーブランドで、店舗には連日多くのお客さまにご来店いただいております。ICT・メディア事業においては、当社は、インディーズアーティストの創作・表現活動を支援し、世の中を楽しくする“舞台”を街につくる目的で立ち上げた「FROM STREET PROJECT」の一環として、新宿・東急歌舞伎町タワーでの経験を活かし、渋谷駅周辺の広場や店頭スペースにて施設管理者公認のストリートライブ「Shibuya Street Live」を2026年3月より開催しています。生活サービス事業では、㈱東急レクリエーションで好調な映画市況を取り込んだことや、㈱東急パワーサプライで電力調達原価の低下があったことなどから、営業収益は5,332億7千1百万円(同1.1%増)、営業利益は218億6千8百万円(同13.0%増)となりました。 (ホテル・リゾート事業)ホテル・リゾート事業では、都心エリアのホテルを中心としてインバウンド需要を取り込んだことなどにより好調に推移し、ホテルの客室平均単価は26,681円(同+2,761円)となりました。この結果、営業収益は1,393億4千6百万円(同9.8%増)、営業利益は97億1千万円(同46.0%増)となりました。東急ホテルズ&リゾーツ㈱は2026年4月、福井県初出店となる「JAM 福井勝山東急ホテル&リゾーツ」のフランチャイズ契約によるホテルとしての開業等、オーナーへのノウハウやブランドの提供による新規出店を広げています。また、2026年3月、東急ホテルズ&リゾーツ㈱は世界最大級の独立系ホテルブランドによるアライアンスである「Global Hotel Alliance(GHA)」に加盟しました。これにより自社ブランドの独立性を維持しながら、3,400万人のGHA会員へPRが可能となり、顧客基盤の拡大・強化を加速させます。本加盟を受け「東急ホテルズ コンフォートメンバーズ」は、2027年9月に、東急ホテルズを含むGHA加盟ホテルの会員特典を利用できる「TOKYU HOTELS DISCOVERY」へと生まれ変わり、世界に利用範囲が広がります。今後も、「世界から幅広く選ばれるホテルチェーン」となるため、持続的な成長と価値創出に取り組んでまいります。 (2)キャッシュ・フロー当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は796億2千6百万円となり、前連結会計年度に比べて213億7百万円増加いたしました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,091億5千9百万円に減価償却費885億4千8百万円、法人税等の支払額243億1千4百万円などを調整し、1,277億4千7百万円の収入となりました。前連結会計年度に比べ、税金等調整前当期純利益の増益があったものの、大型物件の販売に係る売上債権回収の反動減により、273億5千7百万円の収入減となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出1,593億2千4百万円等があり、1,749億8千4百万円の支出となりました。前連結会計年度に比べ、固定資産の取得による支出が増加したこと等により、609億7千1百万円の支出増となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金や社債の発行による資金調達等により、683億8千6百万円の収入となりました。 (3)財政状態当連結会計年度末の総資産は、分譲土地建物の増加等により、2兆9,228億2千8百万円(前期末比2,238億4千7百万円増)となりました。負債は、有利子負債(※)が、1兆3,847億2千8百万円(同930億4百万円増)となり、1兆9,633億2千2百万円(同1,366億3千6百万円増)となりました。純資産は、自己株式の取得があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により、9,595億6百万円(同872億1千万円増)となりました。 ※ 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計 (生産、受注及び販売の状況)当社グループの各事業は、受注生産形態をとらない事業が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。このため生産、受注及び販売の状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (1)業績」における各セグメント業績に関連付けて示しております。(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容2025年度は、安定的で成長力ある事業ポートフォリオの構築を掲げた、中期3か年経営計画の2年目でありました。ホテル・リゾート事業を中心に全ての事業で好調に推移し、構造改革や、内部成長施策、付加価値創造の効果もあり、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、過去最高益水準となりました。その結果、1株あたり当期純利益、ROE、ROA(総資産事業利益率)の指標も中期経営計画に掲げた目標を達成することができました。また、有利子負債/東急EBITDA倍率は6.1倍となり、前年に引き続き財務健全性と資本効率の両立を図りました。施策面でも、持続的な企業価値向上と事業間連携の深化によるコングロマリットプレミアムの創出を図っております。交通事業では、各路線での輸送人員の増加により増収となりましたが、事業の継続性や将来にわたる競争力確保を目的に、設備投資や修繕工事、採用活動、従業員待遇の強化等を先行して実施したことなどにより減益となりました。なお、2026年度も東急新横浜線の需要定着や沿線人口増加等を背景とした輸送需要の継続的な高まりにより2.4%の輸送人員増加を見込んでいるほか、鉄道施設や設備の適切な維持更新や自然災害対策、またデジタル技術を活用した運営・お客さまサービスの高度化、新たな移動需要の創出などを目的として、総額約641億円の設備投資を行います。今後も、持続的な成長のために輸送需要の創出を図るとともに、安全投資、設備更新、サービス維持に必要な費用執行等のコストコントロールを着実に行いながら、増益を目指してまいります。不動産事業では、賃貸業ではインフレを上回るペースでのオフィス賃料増額改定の推進や、商業施設やホテルにおける歩合賃料の増加により、全体の賃料収入は拡大いたしました。販売業では、前年度の大型物件販売の反動がありながらも、国内では資産回転型ビル事業での物件売却、海外では好調なマンション需要を取り込んだことにより想定を上回る単価での販売があり、増収を確保いたしました。特に渋谷エリアでは、今年度着工いたしました渋谷スクランブルスクエア第Ⅱ期(中央棟・西棟)をはじめ、Shibuya Upper West Project、宮益坂地区第一種市街地再開発事業の3つの大型プロジェクトを推進しております。当社としましては、工事費や工期をコントロールしながら着実に推進し、既存物件の収支と併せてエリア全体の価値を向上させることにより、更なる増収を目指してまいります。生活サービス事業においては、大型タイトルのヒットにより好調となった映画市況を東急レクリエーションで取り込んだことなどにより、大幅な増益となりました。また、電力小売事業を営む東急パワーサプライでは、電力調達コストの安定化に取り組んだことに加え、イッツ・コミュニケーションズや東急ロイヤルクラブなど当社グループの顧客基盤を活用したグループシナジーを発揮し、業績は好調に推移しております。ホテル・リゾート事業においては、旺盛なインバウンド需要などを背景とし、客室平均単価は過去最高の水準で推移しました。今後も一段の収益性向上とチェーンとしての価値向上を進めるべく、2026年3月には独立系ホテルブランドにより構成される世界最大級のホテルアライアンス「Global Hotel Alliance」に日系ホテルチェーンとして初めて加盟し、顧客基盤の拡大・強化を加速させるほか、店舗網の再構築にも取り組むなど、様々な施策を進めてまいります。中期経営計画の最終年度となる2026年度の連結業績予想につきましては、中東情勢や金融環境等、世界経済の先行きは不透明であるものの、交通事業や不動産事業を中心に、定住人口や関係人口の増加による人流改善やインフレを超える賃料、販売価格の引き上げ等、引き続き良好な事業環境が継続することを見込んでおります。交通事業における輸送人員の増加、不動産事業における賃料の増額改定、ホテル・リゾート事業におけるレベニューマネジメントなどを進め、従業員の更なる待遇改善等に伴う人件費の増加も織り込みながら、営業収益は前年度から538億円増収の1兆1,400億円、営業利益は前年度から68億円増益の1,100億円を見込んでおります。なお、不動産販売業を除く営業利益は、955億円と66億円増益となり、更なる内部成長を目指します。また、経常利益は前年度の負ののれん計上の反動により47億円減益の1,114億円となるものの、更なる経営努力により、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度から29億円増益の900億円となる見通しであります。また、2027年度の計画値については昨年5月に公表した数値からアップデートを行っております。2027年度は、2025年5月に公表した数値より、営業収益は350億円増収の1兆1,800億円、営業利益は20億円増益の1,120億円、親会社株主に帰属する当期純利益は100億円増益の920億円といたしました。世界情勢には不確実性も伴いますが、今後も着実に利益を伸ばし、1株あたり純利益の成長を実現させていく考えです。 (2)資本の財源及び資金の流動性2024年度を始期とする中期3か年経営計画では、資本効率向上と財務健全性維持の両立を図ってまいります。経営指標についても、規模拡大のみならず、効率性や財務健全性を重視し、株主資本コストを強く意識した経営を推進いたします。2027年度にはROE9.3%、一株あたり当期純利益は164.88円を目標として掲げております。本中期経営計画における3か年合計のキャッシュ・フロー計画は今回アップデートを行い、営業キャッシュ・フロー6,000億円、入替等の資産売却等700億円等、合計8,500億円のキャッシュイン、投資キャッシュ・フロー4,900億円、分譲土地建物の取得2,200億円、株主還元1,200億円等、合計8,500億円のキャッシュアウトを計画しております。投資キャッシュ・フローの内訳は、鉄道事業投資に1,800億円、バリューアップ投資を含めた既存事業投資として1,300億円、不動産開発投資をはじめとした成長投資として1,800億円を見込んでおります。当社における資金調達については、負債調達環境の変化(金利上昇・年限短期化)や将来の大型投資により、調達コストが増加する可能性をふまえ、格付け維持による調達競争力や中長期的な安定調達手段の確保を行い、財務健全性と資本効率の両立を図ってまいります。運転資金の調達については、短期社債(コマーシャル・ペーパー)及びキャッシュマネジメントシステムでの調達枠を設定しており、積極的に活用することで調達コストの削減を図るとともに、危機対応型のコミットメントラインを設定し、不測の事態へも対応可能な状況にあります。当社の“サステナブル経営”を推進する資金調達手段として、2025年度も「サステナブルファイナンス・フレームワーク」を活用したグリーンボンド・生命保険会社からのサステナビリティ・リンク・ローンの他、DBJ-対話型によるサステナビリティ・リンク・ローンにて資金調達を実施いたしました。また、2025年9月公表の「環境ビジョン2040」で掲げた、2050年GHG排出量実質ゼロに向けたGHG排出量削減目標をKPI(キー・パフォーマンス・インディケーター)及びSPT(サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット)として、新たなサステナブルファイナンス・フレームワークを2026年5月に設定しており、「次の100年」に向け、社会とともに持続的に成長することを目指しております。株主還元については、業績や資金状況もふまえつつ、総還元性向40%を当面の目安として意識してまいります。2025年度は年間30円の配当とし、2026年度につきましては2円増配の年間32円の配当予想に加えて200億円、1,300万株を上限とする自己株式取得についても決議いたしました。引き続き、中期経営計画で定めた還元方針をベースとして着実に利益を積み増し、それを原資に配当水準の持続的な増加を目指してまいります。 ※1 有利子負債:借入金、社債、コマーシャル・ペーパーの合計※2 設備投資・投融資の金額については、投資計画の進捗説明を主眼とし一部組替を行っており、「キャッシュ・フロー計算書」とは数値が異なります (3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社は、創業以来、事業を通じて社会課題の解決に取り組み、時代の変化に適合しながら、国や都市・地域の発展とともに着実に成長してまいりました。今後も、社会環境の変化に対応しながらサステナブル経営を行うべく、2024年度を始期とする中期3か年経営計画を推進しております。当社および連結子会社では、交通、不動産、生活サービス、ホテル・リゾートの各セグメントにおいて多様な事業展開を行っており、多額の固定資産を保有するとともに、設備投資・投融資等、継続的な投資を実施しております。したがって、当社および連結子会社においては、固定資産を中心とした資産ポートフォリオの管理、とりわけ減損損失の判定が、重要な会計上の見積りに該当いたします。減損損失の判定にあたっては、事業や物件ごとに資産のグルーピングを行い、収益性や市場性、用途変更や除売却等の意思決定の有無等により兆候判定を行っております。また減損損失の認識・測定においては、将来キャッシュ・フローを直近の実績や事業計画等の意思決定に基づいて合理的に見積りを行うほか、不動産等の時価のある資産については必要に応じ鑑定等の外部評価に基づく適正な価額を用い、投資額や帳簿価額の回収可否について判定を行っております。なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

事業リスク

  • 経営環境変化への対応
    金融市場の混乱、金利上昇、DX対応の遅延、少子高齢化や人口減少による需要減、生活スタイルの変化、新たなビジネスモデルの登場など、多様な経営環境の変化が業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、鉄道沿線地域に経営資源が集中しているため、沿線人口の減少や利用形態の変化は大きなリスクとなり得ます。
  • 安全管理と品質維持
    鉄道、バス、不動産、生活サービスなど、顧客の生活に密着した事業を展開しているため、人為的事故、品質管理の不備、システム障害、テロ等の発生は、人的被害や事業中断、ブランドイメージの低下、顧客からの信頼喪失につながり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。ホームドア設置や防犯カメラ設置などで対策を講じています。
  • サステナビリティ評価
    SDGsへの対応やESG投資方針に沿った取り組みが不十分な場合、ステークホルダーからの評価や信頼が低下するリスクがあります。脱炭素、循環型社会の実現に向けた「環境ビジョン2030」の推進や、ESG評価改善の取り組みを継続することで、このリスクに対応しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|7,076 文字
3【事業等のリスク】当社グループでは、定期的にリスク認識の再評価、及びリスク軽減に対する取り組み状況の評価を行い、発生の回避及び発生した場合の影響最小化に向けての対応に努めております。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある連結経営上の最重要リスクとして、「経営環境変化への対応に関するリスク」、「安全管理への対応に関するリスク」、「情報セキュリティに関するリスク」、「コンプライアンスに関するリスク」、「働き方・人材確保に関するリスク」、「長期・広範な人流阻害に伴うリスク」の6つを設定しております。リスクの内容及びリスクコントロールの取り組みは次のとおりであります。なお、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。また、以下の記載は、当社グループの事業等のリスクをすべて網羅することを意図したものではないことにご留意ください。 (1)経営環境変化への対応に関するリスク① 金融市場混乱・金利上昇・格下げ・信用不安により、財務状況が悪化するリスク当社グループは、これまで鉄軌道業をはじめとする各事業の必要資金の多くを、社債や金融機関からの借入により調達しているため、市場金利が上昇した場合や、格付機関が当社の格付けを引き下げた場合、ESG関連評価機関の評価が低下した場合には、相対的に金利負担が重くなったり、資金調達の条件が悪化したりすることにより、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、引き続き、資金調達の多様化を進め、金利の長期固定化や返済期限の平準化等により再調達リスクを抑制しつつ、コマーシャル・ペーパーの活用等、短期金融市場活用による機動的資金調達力の向上、及び価格政策等の推進により、金利上昇を上回る内部成長の実現に取り組んでおります。 ② 各種市況の悪化により、工事費等、調達コストの高騰が発生し、収益性が低下するリスク当社グループは、原材料・労務費等の市場価格動向を踏まえコスト削減を行っていますが、工事費等の調達コストが高騰した場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、バリューエンジニアリングやコストダウン、調達チャネルの多様化、継続的な工事内容の精査等、市場動向を踏まえた市況変化への対応力強化に取り組んでおります。 ③ 需要・事業性の予測(インフレ影響、為替影響、インバウンド需要等)見誤りにより、収益確保、事業継続が困難となるリスク当社グループは鉄道沿線地域に経営資源が集中しており、少子高齢化や人口減少による既存事業の需要減少、生活スタイルの変化による既存の交通やオフィス・商業施設の利用減少、新たな産業やビジネスモデルの登場による既存事業の競争力低下等が起こった場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、「中期3か年経営計画」により、各種施策を実施しておりますが、需要の予測値との乖離や経済情勢の変化等によって、これらの計画が予定通り進捗しない場合や、想定した収益や期待した効果を生まない場合があり、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため経営陣は、各事業の業績動向、業績変化の兆候について早期に把握するとともに、対策の議論、意思決定、及びモニタリングを迅速かつ適切に行い、商品企画やデジタル施策強化による販路拡大、特定の国・地域に偏らない集客エリア拡大等に取り組んでおります。 ④ DX対応遅延・システム障害、生成AI活用不足により、収益確保・事業継続が困難となるリスク当社グループは、ITシステムやクラウドサービス等の情報システムネットワークを活用して事業を行っておりますが、ITインフラの複雑化に伴ってシステム障害対応も複雑化し、重大なシステム障害が発生した場合、システム復旧や損害賠償の支払等が発生するほか、顧客の信頼を失うことで、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、DXに対する資金、人材、その他リソースの不足等により、消費者ニーズや社会情勢の変化に適切に対応できず、ビジネスモデルが陳腐化することによって競争力が低下する可能性があります。このため、ITシステムを一元的に管理・支援する体制を構築するとともに、社長(委員長)、役付役員等を構成員とするDX委員会が決定するデジタル・ITに関する重要方針に従い、グループ横断的なデジタル・マーケティング戦略を推進しております。加えて、生成AIシステム利用に関する注意点やリスク例の周知にも取り組んでおります。 ⑤ SDGsへの対応やESG投資方針に沿った取り組みが進まないことにより、ステークホルダーからの評価・信頼が低下するリスク当社グループは、SDGsへの対応やESG投資方針に沿った取り組みを積極的に行っていますが、この取り組みが進まない場合、ステークホルダーの皆さまからの評価・信頼が低下する可能性があります。このため、2025年9月に改定した「環境ビジョン2040」では、自社の環境目標をより高い水準に更新するとともに「街への取り組み目標」を新たに定め、脱炭素や循環型社会の実現に向けて、TNFD対応やカーボンニュートラルに向けた移行計画の検討等、ESG評価改善の取り組みを継続するほか、ESG関連方針を取引先(サプライチェーン)へ浸透させるための取り組みを推進しております。 ⑥ 事業展開エリアでの政権交代・税制等行政施策の変更等に伴う市況激変リスク景気低迷の長期化による世帯年収の減少や増税等による個人消費の低迷継続、各事業における法制度の変更等が生じた場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、市況及び政治・経済・法制度の変化を見据えた中長期的な運営方針を構築し、修繕・設備投資を含む適切な事業計画の策定、利便性向上や魅力的なテナントミックス、話題性の提供による施設集客力の維持向上等、各種対策に取り組んでおります。 (2)安全管理への対応に関するリスク① 人為的事故(業務委託先起因を含む)の発生により、損害補償とともにサービス・施設への信頼を損なうリスク重大な人為的事故(業務委託先起因を含む)等が発生し、人的被害や事業の中断等が生じた場合には、当社グループのブランドイメージの低下やお客さまからの信頼・信用を失うことで、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループは、安全基本方針に沿って事故、設備や情報システムの故障、食品、建設工事等の品質問題、その他の理由によるトラブルの発生を想定したさまざまな施策を講じており、東急線全駅(※)へのホームドア・センサー付固定式ホーム柵の設置、事故等発生状況の情報収集・展開による再発防止策の実践、委託先に対する業務管理、安全配慮義務遵守の徹底、過去の事故に対する再発防止策の有効性評価などに取り組んでおります。 ※ 世田谷線・こどもの国線を除く ② 品質管理不備、製品欠陥・リコール、お客さまからのクレーム・ご意見等への対応が不十分で、品質を維持したサービスの提供ができなくなるリスク当社グループは、鉄道、不動産、生活サービス、ホテル・リゾート事業など、お客さまの生活に密着した事業を展開しておりますが、不適切な商品管理体制や従業員の教育不足等の人為的な理由により、提供商品やサービスの不具合、食品安全衛生上の事故等が発生した場合、お客さまの生命・身体・財産の毀損による損害賠償等が発生するほか、お客さまの信頼・信用を失うことで、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、グループ経営理念に則り、安全基本方針を定め、お客さまの安心と信頼を基本としたクオリティある商品・サービスを提供するため、関連する法令等の遵守、安全に関する取り組みと継続的な改善により、安全がすべてに優先するという企業文化の確立・維持・向上に取り組んでおります。 ③ テロ、政情不安による治安悪化に伴う施設損壊・お客さまの死傷等によりサービスの提供停止とともに、社会的信頼が損なわれるリスクテロ等の外的要因による重大な事故等が発生し、人的被害や事業の中断等が生じた場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループは、テロ等の不法行為による災害、その他の理由によるトラブルの発生を想定したさまざまな施策を講じており、東急電鉄㈱所属の全車両への車両内防犯カメラの設置、駅施設や商業施設等への警備員の効果的配置等、安全の取り組みを進めております。 ④ 保険料率の高騰や保険会社による引受制限等により、事故対応において保険対応ができなくなるリスク自然災害の増加など、社会情勢の変化を踏まえた保険料率の高騰や保険会社による引受制限等により、事故対応において保険対応ができなくなる可能性があります。このため、当社グループでは、保険の補償範囲の見直し、自家保険化に関する検討に加え、事故時の保険金額請求是非の検証についても進めております。 (3)情報セキュリティに関するリスク① 情報管理上の不備(ITセキュリティを含む)により、機密情報、個人情報の漏洩・紛失が発生し、その処理とともに社会的信頼を損なうリスク当社グループは、社会的なインフラを担うシステムやサービスを提供しており、サービス提供に支障をきたすような運用中の障害、個人情報を含む機密情報の大規模な漏洩・紛失等が生じた場合には、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、設備や情報システムの故障、その他の理由によるトラブルの発生を想定したさまざまな施策を講じており、交通・決済・通信等重要なインフラを担う連結各社において外部によるセキュリティアセスメントの実施及び改善計画策定等、各種対策に取り組んでおります。 ② サイバー攻撃、コンピューターネットワークへの不正アクセス等によるサービスの提供停止とともに、社会的信頼が損なわれるリスク当社グループは、社会的なインフラを担うシステムやサービスを提供しており、サイバー攻撃やコンピューターネットワークへの不正アクセス等によるサービスの停止や顧客情報、当社グループの経営・業務運営上の情報等の漏洩、データの破壊・改ざん等が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、ゼロトラストに基づくアクセス管理を強化するとともに、ウイルス対策や不正侵入防止監視ツールの導入等の技術的対策の実施、従業員への標的型攻撃メール訓練等によるセキュリティ教育等の実施、大規模インシデントを想定したルール等の整備及び発生時の対応訓練など各種セキュリティ対策に取り組んでおります。 (4)コンプライアンスに関するリスク① コンプライアンス違反、グループガバナンスの徹底不足による子会社・孫会社の不祥事の発生により、その損失処理とともに企業としての社会的信頼を損なうリスク当社グループは、鉄軌道業、不動産事業をはじめとする各種事業において、関係法令を遵守し、企業倫理に従って事業を行っておりますが、これらに反する行為が発生し、社会的信頼を損なった場合には、お客さまや取引先の離反等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、経営トップによるコンプライアンス遵守メッセージの発信、コンプライアンス全般及び法改正対応に関する啓発や研修の実施、子会社・孫会社に対するコンプライアンスセルフチェックの実施、腐敗行為防止方針に基づく取引先等との接待・贈答に関する調査など、継続的にコンプライアンス・リスクマネジメント委員会が中心となって、コンプライアンス・リスクマネジメント体制の強化に取り組んでおります。 ② 経理統制体制の脆弱さにより、会計等処理に重大なミス・不正が生じ不適正な財務諸表を公表する等、社会的信用力が低下するリスク当社グループは、関係法令を遵守し、各国の会計基準に基づき、連結経理体制の最適化、ガバナンス強化に向け、各種施策を講じておりますが、これらに反する行為が発生し、社会的信頼を損なった場合には、お客さまや取引先の離反等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、連結経理体制の最適化、国内連結各社の会計システム共通化による業務標準化等に取り組んでおります。 ③ 内部通報に対して適切な措置が取られず、コンプライアンス違反が見過ごされ、企業としての社会的信用力が低下するリスク当社グループでは、不正・不祥事を含むコンプライアンス上の課題の早期発見、是正を図るため、法令違反、社内規程違反などに関する通報やコンプライアンス的に問題と思われる行為などに関する相談を受け付ける内部通報窓口を設置していますが、内部通報に対して適切な対策が取られず、コンプライアンス違反が見過ごされることにより、社会的信頼を損なった場合には、お客さまの信頼・信用を失うことで、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、内部通報窓口は、社内のほか、弁護士事務所にも窓口を設置し、当社グループの従業員(取引先を含む)などからの通報・相談に対応しております。また、通報したこと、相談したこと、調査に応じたことによって、報復などの不利益な取り扱いを受けることがないよう、内部通報制度に関する規程で通報者、相談者、調査協力者の保護を明確にし、徹底しております。 (5)働き方・人材確保に関するリスク① 生産年齢人口減少傾向に加え、社員の定着率低下、離職率増加により、適切な人材資源が不足・安定的な確保ができず、サービスを持続的に提供できなくなるリスク少子高齢化や人口減少ならびに就労・雇用環境の変化による人材流動性の高まりにより、人材流出や採用難が今後深刻化し、人員不足に起因するサービスの低下や風評等につながる場合には、お客さまや取引先の離反等により、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、エンゲージメントを軸とした働きがいと働きやすさを高める職場環境整備の改善活動や健康経営・DEIへの取り組みを通じ、総合的な観点から当社グループの魅力を高め続け、正社員・フルタイム勤務者に依存しない多様で柔軟な働き方の提供に加え、多様な人材の採用力強化、専門人材育成等の施策を通じて、人材の確保・育成に努めております。 ② 処遇改善や柔軟な働き方への対応が遅れ、人材資源の質的な確保・育成ができず、人材力・技術力の低下がブランド価値の毀損につながるリスク当社グループにおいて、処遇改善や柔軟な働き方への対応の遅れにより人材の質的な確保・育成ができなかった場合、事業機会の逸失、サービス品質の低下、事業運営が困難となり、ステークホルダーからの信頼を損ない、ブランド価値を毀損するリスクがあります。このため、採用競争力を意識した処遇の見直し、デジタル人材をはじめとした戦略的な制度設計方針などの金銭的なアプローチ及び事業独自の人材育成プログラムの構築や戦略的人事ローテーションによる持続的な人材育成や、柔軟な働き方、福利厚生の充実など、非金銭的なアプローチの両面から総合的な改善を続けております。 (6)長期・広範な人流阻害に伴うリスク① 地震・風水害・噴火等の自然災害により長期・広範な人流阻害が発生し、採算性が低下するリスク当社グループの事業エリアにおいて、地震・風水害・噴火等の自然災害により、施設損壊・人的被害等による事業の中断、長期・広範な人流阻害が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループ全体でのBCM体制の強化、気候変動に伴う営業損失・社会的影響評価の実施に加え、防災啓発、耐震補強工事、初動対応計画の策定・訓練実施、大規模震災に備えたリスクファイナンスなど、予防・被害最小化の両面から各種対策を継続的に進めております。 ② 感染症等の外的要因により長期・広範な人流阻害が発生し、採算性が低下するリスク感染症等の外的要因によって、長期・広範な人流阻害が発生した場合、営業制限等による事業活動停止が発生し、採算性の低下につながる可能性があります。このため、新型感染症等発生への継続的な体制整備を図り、感染症等の影響期間中にも人流に左右されない取り組みを進めております。 ③ 事業エリアにおける人口減少に伴う人流阻害が発生するリスク当社グループの事業エリアにおける居住人口が減少することにより、人流阻害が発生する可能性があります。このため、沿線の魅力づけによる居住人口の確保に取り組むほか、乗車サービスの認知度向上、沿線の魅力発信・プロモーション実施、移動創出に向けたマーケティング等、新たな移動喚起に向けた取り組みを進めております。

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