事業の概要
- 資源事業が柱日鉄鉱業グループは、鉱石の採掘・加工・販売を行う「資源事業」を中核としています。特に石灰石や銅鉱石の生産・販売が主力で、これらがグループ全体の収益の大部分を占める基盤となっています。長年の経験と技術を活かし、社会のインフラを支える基礎素材を提供しています。
- 機械・環境事業鉱山機械や環境関連機器の製造・販売、水処理剤の提供を通じて、資源事業で培った技術を他の産業にも展開しています。特に破砕機やボールバルブ、集じん機などの製品があり、環境負荷低減にも貢献する事業です。
- 不動産・再生可能エネルギー事業不動産の売買・賃貸・管理に加え、地熱発電用蒸気の供給や太陽光発電による電力販売も行っています。これらは、安定的な収益源の確保と、持続可能な社会への貢献を目指す新たな事業の柱として位置づけられています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 鉱物資源事業売上高633.65億円、営業利益72.55億円と、グループ内で最も高い営業利益を上げています。主に石灰石の採掘・加工・販売が中心で、国内の鉄鋼・セメント産業向けに高品質な資源を安定供給しており、グループの収益の柱となっています。
- 金属資源事業売上高1139.94億円、営業利益9.45億円と、売上高は最大ですが営業利益率は低めです。電気銅や銅精鉱の生産・販売が中心で、チリ共和国のアタカマ鉱山での操業やアルケロス鉱山の開発を進めています。国際的な銅価格や為替の変動に影響を受けやすい特性があります。
- 機械・環境事業売上高147.68億円、営業利益20.66億円と、売上規模は小さいものの高い営業利益率を誇ります。鉱山用・建設用機械、環境浄化装置(ポリテツ、集じん機など)の製造・販売を手掛けており、資源事業で培った技術を応用し、国内外の市場開拓を進めています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| Mineral | 事業 | 634 | 73 | 11.4% |
| Metal | 事業 | 1,140 | 9 | 0.8% |
| MachineAndEnvironment | 事業 | 148 | 21 | 14.0% |
| RealEstate | 事業 | 29 | 17 | 58.4% |
| RenewableEnergy | 事業 | 18 | 5 | 27.1% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(連結財務諸表提出会社)及び子会社34社、関連会社4社により構成されており、当社及び連結子会社の主な事業は、資源事業(鉱石部門、金属部門)、機械・環境事業、不動産事業及び再生可能エネルギー事業であります。当該各事業に携わっている当社及び主要な子会社並びに関連会社の事業内容、位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりであります。 (1) 資源事業 鉱石部門区分会社名事業の内容提出会社当社鉱産物の採掘・加工製品、土石採取・加工製品、不燃建材関連商品、粉体製品及びこれらの販売に付随する仕入商品並びに燃料関連仕入商品の販売連結子会社釜石鉱山㈱清涼飲料水の製造・販売 船尾鉱山㈱石灰石の採掘・販売、タンカルの製造・販売 津久見石灰石㈱石灰石の加工及びタンカルの製造請負 八戸鉱山㈱石灰石の採掘・販売、タンカルの製造・販売 四浦珪石㈱けい石の採掘・販売 津久見共同採掘㈱石灰石の採掘請負 葛生石灰砕石㈱ドロマイト、石灰石及び砕石の採掘、加工請負 津久見車輛整備工業㈱重土工機及び車両等の整備・部品販売 日鉄鉱道南興発㈱生コンクリート及びコンクリート二次製品の製造・販売、リサイクル路盤材の仕入・販売 アテツ石灰化工㈱生石灰の製造・販売 北海道石灰化工㈱生石灰、消石灰及びタンカルの製造・販売 日鉄鉱コンサルタント㈱地質調査、物理探査、試錐、建設コンサルタント アイ総合技術㈱建設コンサルタント 新和商事㈱機材の仕入・販売、荷役業務請負 日鉄鉱建材㈱石灰石、砕石及びタンカルの仕入・販売非連結子会社八茎砕石㈱砕石の採掘・販売 金属部門区分会社名事業の内容提出会社当社電気銅、その他委託製錬製品の販売連結子会社アタカマ・コーザン鉱山特約会社銅、その他鉱物の採掘・販売連結子会社アルケロス鉱山㈱銅鉱山の開発関連会社日比共同製錬㈱銅の製錬 (2) 機械・環境事業 区分会社名事業の内容提出会社当社鉱山用、建設用、公害防止用、化学用、金属加工用機械、電気機器及び水処理剤の仕入・販売連結子会社㈱幸袋テクノ破砕機・電気機器の製造・販売 ㈱嘉穂製作所輸送機械の製造・販売及び修理、電気工事 日本ボールバルブ㈱ボールバルブの製造・販売 (3) 不動産事業 区分会社名事業の内容提出会社当社不動産の売買、賃貸、鑑定及び管理 (4) 再生可能エネルギー事業 区分会社名事業の内容提出会社当社地熱発電用蒸気の供給・販売、太陽光による発電及び電気の供給・販売連結子会社霧島地熱㈱地熱発電用蒸気供給の操業請負
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 銅の国際市況や鉄鋼・セメント需要に業績が大きく左右されるため |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 設備 鉱山開発には多額の調査費や開発費(坑道掘削、坑井掘削、生産設備建設等)を要する |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:鳥形山鉱業所での生産・輸送停止リスク / チリ共和国での銅鉱山操業・開発リスク / 銅価・為替・金利水準等の変動リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
日鉄鉱業は鉱業セクターに属し、特定の鉱床へのアクセス権や採掘技術に関するノウハウがintangible assetとなり得る。しかし、これらの資産は代替可能であったり、新たな技術開発によって陳腐化するリスクがあるため、スコアは低い。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
鉱業においては、特定の鉱山から他の鉱山への切り替えコストは限定的である。顧客側も、鉱物資源の調達先を比較的容易に変更できるため、スイッチングコストは低いと言える。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
鉱業ビジネスは、ネットワーク効果が働くビジネスモデルとは考えにくい。資源の採掘・販売が主であり、顧客数やサプライヤー数の増加が直接的な競争優位性に繋がる要素は少ない。
コスト優位★★☆☆☆
大規模な設備投資や、特定の鉱床開発における先行投資がコスト優位性をもたらす可能性がある。また、長年の操業で培われた効率的な採掘・精錬技術もコスト削減に寄与する可能性がある。
規模の経済★★★☆☆
鉱業は資本集約型産業であり、大規模な操業規模がコスト削減に繋がりやすい。また、資源の埋蔵量や採掘量が多いほど、固定費の吸収や交渉力の向上に有利となるため、スケールメリットは大きい。
- 高品質な石灰石の安定供給高知県にある鳥形山鉱業所は、国内最大規模かつ高品質な石灰石を生産しており、国内の鉄鋼・セメントメーカーに安定供給できる強みがあります。海上輸送を活用し、国内外への供給体制を構築している点が競争優位性となっています。
- 銅鉱山開発と探査技術チリ共和国のアタカマ鉱山での銅精鉱生産に加え、アルケロス鉱山の開発を進めるなど、海外での鉱物資源確保に積極的です。長年培った探査・開発技術と、戦略的パートナーシップによる資金調達で、資源の安定供給と収益性向上を目指しています。
- 多角的な事業展開と総合力資源事業を核としつつ、機械・環境、不動産、再生可能エネルギーといった多様な事業を展開しています。これにより、特定の事業に依存しすぎないリスク分散と、グループ全体の総合力を活かした持続的成長を目指せる点が強みです。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- ROIC経営の導入と浸透2024年度から2026年度の第3次中期経営計画では、投下資本利益率(ROIC)7%以上を2033年度の経営管理目標に設定し、資本効率を意識した経営を推進しています。各セグメントや事業所単位でROICを算出し、課題解決と改善に取り組んでいます。
- 新規資源の確保と開発資源事業では、鳥形山鉱山の生産・販売体制最適化に加え、チリ共和国のアルケロス鉱山の開発を2026年度の操業開始に向けて着実に進めています。また、新規鉱物資源の確保と開発にも積極的に取り組み、持続的な資源供給体制の強化を目指しています。
- 海外市場開拓と事業多角化機械・環境事業では、主力製品であるポリテツの台湾・ベトナムでの工場建設による海外市場開拓を進めています。石灰石の海外販売拡大や、地熱・太陽光発電といった再生可能エネルギー事業の強化も図り、事業ポートフォリオの多様化を進めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、資源事業を社業の柱とし、社会のニーズに応じた良質な資源の安定供給を図ることにより、発展・拡大してまいりました。今後とも、資源の開発・安定供給に努めてまいります。機械・環境事業につきましては、社会のニーズに応じた良質な商品を提供するとともに、事業フィールドの拡大を図ってまいります。さらに、不動産事業や再生可能エネルギー事業につきましても、総合資源会社としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現することにより、株主、取引先及び地域社会に貢献してまいります。 (2) 第3次中期経営計画の概要と実現に向けた取り組み当社グループは、2024年度から2026年度の3ヵ年を対象とする第3次中期経営計画を策定し、2024年5月に公表しております。当該計画の概要は、以下のとおりであります。 ① 長期ビジョン(2033年度のありたい姿)資源の開発・安定供給を通じて社会に貢献するとともに、「総合資源会社」としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現する。≪2033年度の経営管理目標≫ ROIC(投下資本利益率) 7%以上 当該計画期間では、第1次中期経営計画より掲げてきた長期ビジョン『資源の開発・安定供給を通じて社会に貢献するとともに、「総合資源会社」としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現する。』を2033年度のありたい姿として明示し、2033年度の経営管理目標をROIC7%以上に設定しております。ありたい姿とは、当社事業の基軸である資源事業では、資源の安定供給に努めるとともに、長年培った技術力を最大限に活かして、新規資源の確保・開発並びに鉱物資源の価値向上を図っていくこと、さらに地質コンサルティングなど鉱山周辺技術の開発に取り組み、「総合資源会社」としての事業基盤の更なる強化を目指しつつ、機械・環境事業、不動産事業、再生可能エネルギー事業など当社グループの総合力を発揮して、企業の持続的成長を実現するというものです。その実現に向けた定量目標として、今回新たに定めたものがROIC7%以上の達成であり、これは当社が想定する資本コストであるWACC6%を上回る水準となります。当該計画期間においては、2033年度のありたい姿からバックキャストすることで策定した成長戦略のもと、具体的な取り組みを実行してまいります。 ② 基本方針 ・ROIC経営を導入し管理にあたるとともに、全社から各セグメント、各セグメントから各事業所単位への浸透・定着と資本効率の向上を図る ・アルケロス鉱山の開発を着実に進め、操業開始を実現する ・鳥形山を中心とする石灰石供給体制の最適化に取り組む ・新市場開拓(石灰石・ポリテツ)に向けた取り組みを推進する ・権益(Major/Minor)やアプローチ(Green Field/Brown Field)にこだわらず、新規資源の確保と開発に取り組む ③ 各セグメントの戦略イ.資源事業(鉱石部門)の取り組み鉱物資源の価値向上に継続して取り組むだけでなく、高品位の石灰石を生産し、かつ生産量は国内最大規模を誇る鳥形山鉱山の強みをさらに活用し、国内石灰石鉱山の生産・販売体制の最適化に取り組み、鳥形山における生産量及び販売量13,500千トン/年の確保、生産効率の向上、さらにはBCPの強化を図ってまいります。また、太平洋に面し、6万トンクラスの大型船舶への対応が可能な船積施設を有している鳥形山の強みを活かし、石灰石の海外市場開拓にも注力するなど、国内の供給体制はより堅固にしつつ、海外向け販売の拡大と新市場の開拓に柔軟に対応してまいります。ロ.資源事業(金属部門)の取り組み引き続きアタカマ鉱山周辺地域の探鉱を進めることで新規鉱量の獲得と収益向上を図るとともに、アルケロス鉱山の開発を着実に進め、当該計画期間の最終年度となる2026年度の操業開始と収益貢献の実現を目指してまいります。また、今後は従来のGreen Field案件だけでなく、有望な案件にマイナーで参入することで初期段階の探鉱リスクを軽減し、かつ開発までのリードタイムが比較的短いBrown Field案件もターゲットに加え、銅をはじめとする新規鉱物資源の確保と開発に取り組んでまいります。ハ.機械・環境事業の取り組み環境部門の主力製品であるポリテツは、新規顧客の獲得に加え、原料の多様化に注力し、安定供給体制の構築を図ってまいります。また、台湾及びベトナムをターゲットにして現地に工場を建設し、東アジア、東南アジアから海外市場の開拓を図ってまいります。機械部門においては、シンターラメラーフィルタの競争力強化による国内バグフィルタ市場への参入及び輸出拡大、プラズマ脱臭機の販路拡大、1人用BOX型喫煙ブース「COCOPA」の拡販に注力してまいります。 (3) 第3次中期経営計画の進捗について第3次中期経営計画では長期ビジョンである2033年度ROIC7%以上の達成に向けて、現状と目標とのギャップを解消するための各施策の着実な実行と達成を目標としております。第3次中期経営計画の2年目にあたる2025年度のROICは6.7%となり、計画に対して3.5%の改善となりました。主な要因は、有利子負債はアルケロス鉱山の開発資金の借入により計画なみであったものの、金属部門における銅価格の上昇や生産コストの減少等及び不動産事業の増収等により、営業利益が大幅な増益となったことによるものであります。また、2025年度の主な取り組みとしては、鳥形山の輸出対応力の強化のため、貯鉱設備の増強に向けた計画の具体化や台湾でのポリテツの製造・販売を目的とする現地企業との合弁会社の設立、米国のOracle Ridge銅探鉱プロジェクトへの参入、鹿児島県霧島市白水越地区において電源開発株式会社と共同し、地熱発電事業の調査・検討などを推進してまいりました。アルケロス鉱山の開発では、当初の計画に対して開発費用の増加や操業開始時期の遅れが生じておりますが、2011年の初期探鉱から始まった本プロジェクトは、2026年夏頃の操業開始を見込む最終ステージまで進展しております。これら将来の収益確保・向上に繋がる取り組みを着実に進めつつ、ROIC経営を意識した資本効率の改善・向上のため、政策保有株式の縮減方針の見直しや自己株式の取得を実施しております。2026年度は、アルケロス鉱山の操業開始に伴う減価償却費が増加する一方で、期中での操業開始、かつ試操業から本格操業までに一定の時間を要することから、本格操業に伴う収益への貢献は2027年度以降を見込んでおります。アルケロス鉱山の操業開始の実現を優先的に対処しつつ、第3次中期経営計画の最終年度でもあることから、基本方針及び各セグメントの取り組みを着実に進めるとともに、第3次中期経営計画で掲げているROICなどの経営目標に対する改善・向上に引き続き取り組んでまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、資源事業を社業の柱とし、社会のニーズに応じた良質な資源の安定供給を図ることにより、発展・拡大してまいりました。今後とも、資源の開発・安定供給に努めてまいります。機械・環境事業につきましては、社会のニーズに応じた良質な商品を提供するとともに、事業フィールドの拡大を図ってまいります。さらに、不動産事業や再生可能エネルギー事業につきましても、総合資源会社としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現することにより、株主、取引先及び地域社会に貢献してまいります。 (2) 第3次中期経営計画の概要と実現に向けた取り組み当社グループは、2024年度から2026年度の3ヵ年を対象とする第3次中期経営計画を策定し、2024年5月に公表しております。当該計画の概要は、以下のとおりであります。 ① 長期ビジョン(2033年度のありたい姿)資源の開発・安定供給を通じて社会に貢献するとともに、「総合資源会社」としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現する。≪2033年度の経営管理目標≫ ROIC(投下資本利益率) 7%以上 当該計画期間では、第1次中期経営計画より掲げてきた長期ビジョン『資源の開発・安定供給を通じて社会に貢献するとともに、「総合資源会社」としてグループの総合力を発揮し、持続的成長を実現する。』を2033年度のありたい姿として明示し、2033年度の経営管理目標をROIC7%以上に設定しております。ありたい姿とは、当社事業の基軸である資源事業では、資源の安定供給に努めるとともに、長年培った技術力を最大限に活かして、新規資源の確保・開発並びに鉱物資源の価値向上を図っていくこと、さらに地質コンサルティングなど鉱山周辺技術の開発に取り組み、「総合資源会社」としての事業基盤の更なる強化を目指しつつ、機械・環境事業、不動産事業、再生可能エネルギー事業など当社グループの総合力を発揮して、企業の持続的成長を実現するというものです。その実現に向けた定量目標として、今回新たに定めたものがROIC7%以上の達成であり、これは当社が想定する資本コストであるWACC6%を上回る水準となります。当該計画期間においては、2033年度のありたい姿からバックキャストすることで策定した成長戦略のもと、具体的な取り組みを実行してまいります。 ② 基本方針 ・ROIC経営を導入し管理にあたるとともに、全社から各セグメント、各セグメントから各事業所単位への浸透・定着と資本効率の向上を図る ・アルケロス鉱山の開発を着実に進め、操業開始を実現する ・鳥形山を中心とする石灰石供給体制の最適化に取り組む ・新市場開拓(石灰石・ポリテツ)に向けた取り組みを推進する ・権益(Major/Minor)やアプローチ(Green Field/Brown Field)にこだわらず、新規資源の確保と開発に取り組む ③ 各セグメントの戦略イ.資源事業(鉱石部門)の取り組み鉱物資源の価値向上に継続して取り組むだけでなく、高品位の石灰石を生産し、かつ生産量は国内最大規模を誇る鳥形山鉱山の強みをさらに活用し、国内石灰石鉱山の生産・販売体制の最適化に取り組み、鳥形山における生産量及び販売量13,500千トン/年の確保、生産効率の向上、さらにはBCPの強化を図ってまいります。また、太平洋に面し、6万トンクラスの大型船舶への対応が可能な船積施設を有している鳥形山の強みを活かし、石灰石の海外市場開拓にも注力するなど、国内の供給体制はより堅固にしつつ、海外向け販売の拡大と新市場の開拓に柔軟に対応してまいります。ロ.資源事業(金属部門)の取り組み引き続きアタカマ鉱山周辺地域の探鉱を進めることで新規鉱量の獲得と収益向上を図るとともに、アルケロス鉱山の開発を着実に進め、当該計画期間の最終年度となる2026年度の操業開始と収益貢献の実現を目指してまいります。また、今後は従来のGreen Field案件だけでなく、有望な案件にマイナーで参入することで初期段階の探鉱リスクを軽減し、かつ開発までのリードタイムが比較的短いBrown Field案件もターゲットに加え、銅をはじめとする新規鉱物資源の確保と開発に取り組んでまいります。ハ.機械・環境事業の取り組み環境部門の主力製品であるポリテツは、新規顧客の獲得に加え、原料の多様化に注力し、安定供給体制の構築を図ってまいります。また、台湾及びベトナムをターゲットにして現地に工場を建設し、東アジア、東南アジアから海外市場の開拓を図ってまいります。機械部門においては、シンターラメラーフィルタの競争力強化による国内バグフィルタ市場への参入及び輸出拡大、プラズマ脱臭機の販路拡大、1人用BOX型喫煙ブース「COCOPA」の拡販に注力してまいります。 (3) 第3次中期経営計画の進捗について第3次中期経営計画では長期ビジョンである2033年度ROIC7%以上の達成に向けて、現状と目標とのギャップを解消するための各施策の着実な実行と達成を目標としております。第3次中期経営計画の2年目にあたる2025年度のROICは6.7%となり、計画に対して3.5%の改善となりました。主な要因は、有利子負債はアルケロス鉱山の開発資金の借入により計画なみであったものの、金属部門における銅価格の上昇や生産コストの減少等及び不動産事業の増収等により、営業利益が大幅な増益となったことによるものであります。また、2025年度の主な取り組みとしては、鳥形山の輸出対応力の強化のため、貯鉱設備の増強に向けた計画の具体化や台湾でのポリテツの製造・販売を目的とする現地企業との合弁会社の設立、米国のOracle Ridge銅探鉱プロジェクトへの参入、鹿児島県霧島市白水越地区において電源開発株式会社と共同し、地熱発電事業の調査・検討などを推進してまいりました。アルケロス鉱山の開発では、当初の計画に対して開発費用の増加や操業開始時期の遅れが生じておりますが、2011年の初期探鉱から始まった本プロジェクトは、2026年夏頃の操業開始を見込む最終ステージまで進展しております。これら将来の収益確保・向上に繋がる取り組みを着実に進めつつ、ROIC経営を意識した資本効率の改善・向上のため、政策保有株式の縮減方針の見直しや自己株式の取得を実施しております。2026年度は、アルケロス鉱山の操業開始に伴う減価償却費が増加する一方で、期中での操業開始、かつ試操業から本格操業までに一定の時間を要することから、本格操業に伴う収益への貢献は2027年度以降を見込んでおります。アルケロス鉱山の操業開始の実現を優先的に対処しつつ、第3次中期経営計画の最終年度でもあることから、基本方針及び各セグメントの取り組みを着実に進めるとともに、第3次中期経営計画で掲げているROICなどの経営目標に対する改善・向上に引き続き取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国の経済は、食料品をはじめとする物価上昇の継続や、米国の通商政策を巡る不確実性の高まり、中東情勢の緊迫化に伴う景気の下振れ懸念が拡大したものの、賃金水準の上昇等を背景とした雇用・所得環境の改善に加え、株高等による資産効果や堅調な民間設備投資により下支えられ、景気は力強さを欠きながらも、緩やかな回復基調をたどりました。このような経済情勢のもと、当社グループにおきましては、資源事業及び不動産事業等における増収により、売上高は2,097億1千7百万円(前連結会計年度比6.6%増)と前期に比べ増加いたしました。損益につきましては、資源事業及び不動産事業等における増益により、営業利益は188億2千6百万円(前連結会計年度比83.5%増)、経常利益は202億2千1百万円(前連結会計年度比76.8%増)と前期に比べ大幅に増加いたしました。親会社株主に帰属する当期純利益は、税金費用が増加しましたものの、経常利益の増加により、140億3千3百万円(前連結会計年度比55.6%増)と前期に比べ大幅に増加いたしました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。[資源事業](鉱石部門)主力生産品である石灰石の販売価格上昇及び一部子会社の増収により、売上高は669億7百万円と前連結会計年度に比べ35億4千1百万円(5.6%)増加し、営業利益は80億7百万円と前連結会計年度に比べ7億5千1百万円(10.4%)増加いたしました。 (金属部門)アタカマ鉱山の増収及び電気銅の国内販売価格の上昇により、売上高は1,202億8千9百万円と前連結会計年度に比べ62億9千5百万円(5.5%)増加いたしました。営業利益は、アタカマ鉱山の増収及び生産コスト等の減少により、67億4千4百万円と前連結会計年度に比べ57億9千9百万円(613.3%)増加いたしました。 [機械・環境事業]機械部門の販売は前期なみに推移し、環境部門の販売が好調でありましたことから、売上高は159億5百万円と前連結会計年度に比べ11億3千7百万円(7.7%)増加いたしました。営業利益は、環境部門の主力商品である水処理剤の原材料価格の高騰等の影響があり、20億8千1百万円と前連結会計年度に比べ1千5百万円(0.7%)の増加にとどまりました。 [不動産事業]販売用不動産の売却により、売上高は47億4千6百万円と前連結会計年度に比べ18億7千1百万円(65.1%)増加し、営業利益は33億1千8百万円と前連結会計年度に比べ16億4千万円(97.7%)増加いたしました。 [再生可能エネルギー事業]太陽光発電部門は前期なみに推移しましたものの、地熱部門における増収により、売上高は18億6千8百万円と前連結会計年度に比べ1億4百万円(6.0%)増加いたしました。営業利益は、地熱部門の増収及び修繕費の減少により、6億4千5百万円と前連結会計年度に比べ1億6千8百万円(35.3%)増加いたしました。 ② 財政状態の状況[資産の部]当連結会計年度末における資産の部の合計は、前連結会計年度末に比べ702億3千2百万円(29.2%)増加し、3,104億1千2百万円となりました。流動資産につきましては、売掛金及び仕掛品の増加等により、前連結会計年度末に比べ289億円(28.3%)増加し、1,308億7千1百万円となりました。固定資産につきましては、設備投資による有形固定資産及び保有株式の時価上昇による投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ413億3千1百万円(29.9%)増加し、1,795億4千万円となりました。 [負債の部]当連結会計年度末における負債の部の合計は、前連結会計年度末に比べ545億8千2百万円(61.9%)増加し、1,427億8千9百万円となりました。流動負債につきましては、買掛金及び短期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ155億5千6百万円(28.0%)増加し、711億6千3百万円となりました。固定負債につきましては、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ390億2千5百万円(119.7%)増加し、716億2千6百万円となりました。 [純資産の部]当連結会計年度末における純資産の部の合計は、為替換算調整勘定が減少しましたものの、利益剰余金及びその他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末に比べ156億5千万円(10.3%)増加し、1,676億2千2百万円となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ54億4千6百万円(14.4%)増加し、432億3千6百万円となりました。 [営業活動によるキャッシュ・フロー]当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益226億8千8百万円、減価償却費74億5千3百万円の計上等により、75億8千万円の収入(前連結会計年度に比べ101億3千3百万円(57.2%)の収入減少)となりました。 [投資活動によるキャッシュ・フロー]当連結会計年度においては、有形固定資産の取得による支出等により、328億3千4百万円の支出(前連結会計年度に比べ205億7千5百万円(167.8%)の支出増加)となりました。 [財務活動によるキャッシュ・フロー]当連結会計年度においては、配当金の支払による支出がありましたものの、長期借入れによる収入等により、317億2千6百万円の収入(前連結会計年度に比べ382億3百万円の収入増加)となりました。 ④ 生産、受注及び販売の状況イ.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前連結会計年度比(%)資源事業 (鉱石部門)29,742+4.7 (金属部門)105,132+1.4機械・環境事業3,392△3.8不動産事業--再生可能エネルギー事業1,051△5.6合計139,319+1.9 (注) 1 金額は、製造原価によっております。2 上記の金額は、生産品銘柄(委託分を含む)に限定し、役務工事等の金額は除いております。 ロ.受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(百万円)前連結会計年度比(%)受注残高(百万円)前連結会計年度比(%)資源事業 (鉱石部門)4,768+45.01,118+82.5 (金属部門)----機械・環境事業4,895+15.22,280+47.3不動産事業----再生可能エネルギー事業----合計9,663+28.23,399+57.3 (注) 1 セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。2 上記の金額以外の生産は、見込生産を行っております。 ハ.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前連結会計年度比(%)資源事業 (鉱石部門)66,907+5.6 (金属部門)120,289+5.5機械・環境事業15,905+7.7不動産事業4,746+65.1再生可能エネルギー事業1,868+6.0合計209,717+6.6 (注) 1 セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合につきましては、その割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容イ.当連結会計年度の経営成績等の分析当連結会計年度の経営成績等の分析については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 第3次中期経営計画の概要と実現に向けた取り組み」及び「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。ロ.当連結会計年度の経営成績等に重要な影響を与える要因当連結会計年度の経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。ハ.資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの運転資金需要の主なものは、生産事業所等における操業費、仕入商品の購入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用、法人税等の支払いによるものであります。また、設備資金需要の主なものは、資源事業を中心とした老朽設備の更新工事に加え、アルケロス鉱山開発工事の設備投資等を目的としたものであります。当社グループの運転資金及び設備資金については、主に自己資金及び借入金により調達しております。なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は640億円であります。今後、アルケロス鉱山開発工事等の設備投資の実施により、設備資金の需要が増加してまいりますが、投資内容を精査し、投資額を抑制することに加え、運転資金の必要額を見直すことで、借入額の圧縮に努めてまいります。また、手許資金については、各部署からの報告に基づき当社経理部が随時、資金繰計画を作成・更新しております。そのうえで、複数の金融機関における短期借入金(当座貸越)の信用枠の設定やコミットメントライン契約の維持により借入余力を確保するとともに、公募普通社債の発行登録を維持し、臨機応変な資金調達に対応できる準備を行っております。それらの施策により大型投資を着実に実行しつつ、万が一営業キャッシュ・フローが悪化した場合にも対応できる十分な流動性を確保しております。② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
事業リスク
- 主要事業拠点への依存売上高の17.6%を占める鳥形山鉱業所は、石灰石生産の約半分を担っています。多雨地域に位置し、台風や集中豪雨、南海トラフ巨大地震による生産・輸送停止のリスクがあり、経営成績や財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
- 銅価格・為替変動リスク電気銅や銅精鉱の生産・販売は国際市況に左右され、銅価格の変動は業績に大きく影響します。また、海外子会社の財務諸表の円換算や外貨建て仕入れがあるため、為替相場の変動も売上高や営業利益に影響を及ぼす可能性があります。
- 休廃止鉱山の鉱害リスク長年の事業活動により全国に多数の休廃止鉱山を所有しており、自然災害等で鉱害が発生した場合、鉱業法に基づき賠償義務を負うリスクがあります。定期的な巡視や点検、維持保全工事でリスク軽減を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスク要因については以下のものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 主要事業拠点に関するリスク① 鳥形山鉱業所(高知県)当社グループの売上高の17.1%(当連結会計年度実績)を占める石灰石の約半量は、鳥形山鉱業所で生産されております。鳥形山鉱業所からの出荷の大部分は海上輸送によっているため、台風の襲来等に伴う荷役作業の滞留により、生産・販売に支障を来すことがあります。また、鳥形山鉱山は、直近10年間の年間平均降水量が約4,000mmと多雨地域に位置することから、集中豪雨による生産設備への浸水等により、生産・販売に支障を来す可能性があります。また、南海トラフ巨大地震が発生した場合、大きな揺れや津波の影響により、甚大な被害が生じることが予測されており、その被害規模によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。これらのリスクが顕在化することにより、当社グループの経営方針に掲げる「社会のニーズに応じた良質な資源の安定供給を図る」ことが困難となるため、最も重大なリスクの一つであると認識しております。このようなリスクに対し、当社グループではBCM推進室主導のもと、年間複数回、関係部署を交えた定期的な会議を実施しております。会議では主要設備の見直しを含むリスク対策に係る意見交換及び情報の共有化を図るとともに、適宜BCP(事業継続計画)を改正するなどの対策を講じております。鳥形山鉱山から海岸選鉱場へ石灰石を輸送する長距離ベルトコンベア(全長23.3㎞)などの主要設備において重大な事故が発生した場合、事故の規模によっては長期間にわたり石灰石の生産・輸送・出荷が停止することから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対し、当社グループでは設備点検や監視体制の強化などのインシデント対策を図るとともに、難燃性コンベアベルトへの変更といった事故発生による被害軽減対策などを進めております。さらに、石灰石出荷基地である袖ヶ浦物流センター(千葉県)をはじめ、各事業拠点からの応援出荷などの安定供給体制の強化・見直しに努めております。 ② 操業及び開発中の銅鉱山(チリ共和国)当社グループの主要品目の一つである銅精鉱(生産品)は、アタカマ鉱山で生産・販売されております。アタカマ鉱山は、チリ共和国北部のアタカマ州に位置しておりますが、当該地域は乾燥帯であり、年間平均降水量が10mm未満と極めて少ないことから降雨対策用のインフラ整備が遅れております。そのため、まとまった降雨が発生すると大規模な洪水となりやすく、洪水被害により生産・販売に支障を来す可能性があります。このようなリスクに対し、アタカマ鉱山では土盛設置による溢水の浸入防止、バリケード設置によるプラント敷地周辺への流入水防止、変電所用地の嵩上げ、事務所等の従業員区域の高台化などの対策を講じております。2023年8月にチリ共和国において、銅のロイヤルティ課税を引き上げる新鉱業ロイヤルティ法が施行され、2024年1月から適用が開始されておりますが、アタカマ鉱山及び開発中のアルケロス鉱山は主な増税対象から外れていることから、現時点での影響は軽微であります。しかしながら、法改正の内容によっては、チリ共和国での銅鉱山の操業・開発計画等に変更が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対し、当社グループでは最新情報を把握するよう努めるとともに、本邦の関係省庁と緊密に連携し対応を協議することや連絡体制を構築するなどの対策を講じております。一般的に、金属鉱山では採掘及び開発対象の奥地化、深部化、鉱石品位の低下、不純物の増加などの問題が生じ、生産コストや初期開発費用が上昇しております。チリ共和国における銅鉱山においても、生産コストや初期開発費用が上昇していることから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対し、操業体制の最適化、銅精鉱の実収率改善や選鉱プロセスの最適化を進めることで、生産コストを抑制し収益性の向上を目指しております。さらに、戦略的パートナーシップにより、資金調達コストを削減し、リスクを分散するなどの対策を講じております。 (2) 災害等に関するリスク① 休廃止鉱山の管理に関するリスク当社グループは、長年の事業活動の結果、全国各地に多数の休廃止鉱山を所有しております。集中豪雨や地震等の自然災害の影響等により、当社グループの休廃止鉱山において鉱害が発生した場合、鉱業法により最終鉱業権者が賠償義務を負うことから、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対し、当社グループでは鉱山保安法に基づく定期的な巡視や点検を実施し、また、堆積場の保全や坑廃水による水質汚濁を防止するため、必要に応じて休廃止鉱山施設の維持保全工事を実施しております。 ② 労働災害・事故に関するリスク当社グループにおいて重篤な労働災害や設備トラブルなどの不測の事態が発生し、生産活動が停止した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対し、当社グループでは当社保安環境部による当社及び関係会社の事業所や生産設備等の保安巡視に加え、全国各地で保安研修会を開催するなど、全社的な労働安全衛生管理活動の展開により、労働災害・事故の発生防止に努めるなどの対策を講じております。 (3) 銅価・為替・金利水準等の変動に関するリスク① 銅価の変動に関するリスク当社グループでは、国内において電気銅を生産しているほか、チリ共和国のアタカマ鉱山において銅精鉱を生産しており、銅の国際市況により業績が大きく変動します。今後の銅価の状況によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。銅価の変動が当社グループの経営成績に与える影響額は、翌連結会計年度において1ポンド当たりの価格が10セント変動(上昇)すると、連結売上高で年間20.8億円、連結営業利益で年間4.5億円の変動(増加)をもたらすと試算しております。当社金属部門の事業に係る銅価等の価格変動リスクに対しては、商品先渡取引によるリスクヘッジを実施するなどの対策を講じております。 ② 為替の変動に関するリスク当社グループは、電気銅の生産にあたり外貨建の銅鉱石の仕入取引があるほか、連結財務諸表を作成するにあたり海外連結子会社の財務諸表を円換算していることなどから、為替相場の変動により業績が大きく変動します。今後の為替相場の推移によっては、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。為替の変動が当社グループの経営成績に与える影響額は、翌連結会計年度において1米ドル当たりの価格が5円変動(円安方向へ推移)すると、連結売上高で年間38.8億円、連結営業利益で年間1.9億円の変動(増加)をもたらすと試算しております。当社金属部門の事業に係る為替変動リスクに対しては、通貨オプション取引によるリスクヘッジを実施するなどの対策を講じております。 ③ 金利水準等の変動に関するリスク当社グループの当連結会計年度末における有利子負債残高は640億円であり、今後の市中金利の動向次第では収益を圧迫する可能性があります。また、チリ共和国でのアルケロス鉱山開発のための資金調達により、開発期間においては有利子負債残高が大幅に増加していることから、金利水準の変動によるリスクは従来以上に大きくなります。このようなリスクに対し、当社グループでは金利動向を注視し、柔軟に資金調達手段を検討するとともに、長期借入金において、固定金利又は金利スワップ契約の締結により金利変動リスクを回避するなどの対策を講じております。 (4) 経営環境に関するリスク ① 鉄鋼・セメント需要への依存に関するリスク当社グループの主力生産品である石灰石は、主に国内の鉄鋼メーカーやセメントメーカーに向けて販売しており、今後、公共投資や民間設備投資の減少、自動車などの工業製品の減産、得意先の生産設備におけるトラブル、製鉄所の組織再編や製造方法における技術革新により、主要取引先の鉄鋼・セメント等の生産量が減少した場合や製鉄の原材料が変更された場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対し、当社グループでは随時業界全体や個別の取引先などの動向について情報収集に努めるとともに、国内外において新規顧客の開拓を検討するなどの対策を講じております。 ② 資源開発に関するリスク当社グループが取り組んでいる銅などの非鉄金属の探鉱や鉱山開発並びに地熱資源の調査・開発には、多額の調査費や開発費(坑道掘削、坑井掘削、生産設備建設等)を要します。そのため、鉱物の価格水準や資源量が想定を下回った場合をはじめ、政府及び行政機関からの許認可取得や金融機関からの資金調達などが難航した場合における計画の大幅な見直しにより投資回収が困難となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対し、当社グループでは定期的に鉱物の価格水準や資源量を確認のうえ適宜計画を見直し、政府及び行政機関と適切な関係を維持し許認可取得手続を円滑に進めるほか、政府系金融機関及び主要な借入先であるメガバンクへの緊密な情報提供を通じてコミュニケーションを強化し、柔軟な資金調達を図るなどの対策を講じております。 ③ 事業の国際展開に関するリスク当社グループは、チリ共和国で銅鉱山を運営しているほか、世界の国・地域においても事業活動を展開しております。現地において、テロや紛争などの政情悪化、感染症の流行、災害やストライキなどの事象が発生し、事業活動に波及した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対し、当社グループでは事業活動を行っている国・地域の最新情報を把握するよう努めるとともに、本邦の関係省庁と緊密に連携し対応を協議することや緊急連絡体制を構築するなどの対策を講じております。なお、ウクライナ情勢につきましては、経済制裁、各国規制等の影響や物流の混乱及びエネルギー価格の高騰等に伴い、世界経済が不安定となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 ④ 環境規制に関するリスク今後の関連法令の改正によっては、当社グループにおいて新たな環境対策費用や設備投資等の負担が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、国内外における環境規制の強化やSDGsなどの社会的要請の高まりにより、当社グループの本業である鉱山業の稼行や鉱山開発が制限された場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対し、当社グループでは環境に関わる規制や社会の動向を注視するとともに、国際環境管理規格ISO14001の認証取得、社有林の森林認証取得、鉱山跡地や堆積場の緑化等を行い、国内外の各拠点で環境保全に努めております。他方、環境規制の強化等は、当社グループの機械・環境事業における主力商品である集じん機や水処理剤の需要拡大に繋がる機会であり、規制強化が見込まれる国・地域や産業において、新規顧客の開拓に注力してまいります。なお、当社は2022年6月にTCFDの提言への賛同を表明し、気候変動の影響評価及びその情報開示に取り組んでおります。TCFDの提言を踏まえた取り組みにつきましては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取り組み」に記載のとおりであります。 ⑤ 原材料調達に関するリスク原材料等の調達が長期化することで、設備投資プロジェクトや設備修繕計画に遅延が生じる場合、また、調達価格の高騰や原料供給先の事業縮小・撤退に伴う代替原料調達などにより生産コストが上昇する場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対し、原材料の調達先の多様化や在庫管理の強化、代替原料の研究・開発などの対策を講じております。なお、中東情勢につきましては、原油の価格高騰及び調達の困難化が長期に及ぶ場合、鉱山重機等に使用する軽油等の燃料費や生産設備稼働のための電力料の増加等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 (5) 企業統治に関するリスク ① コンプライアンス・内部統制に関するリスク役員又は従業員が、事業に関連する法令や規制、様々な利害関係者との関係において、社会的な要請や期待に応えられなかった場合、事業活動の制限や信用の低下などにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対し、当社グループでは業務執行部門から独立した当社内部監査部が中心となり、国内の当社本社・事業所・支店及び関係会社並びに海外の関係会社の内部監査を実施しております。また、継続的に開催している階層別コンプライアンス研修の実施、財務報告に係る内部統制の整備・運用などにより、コンプライアンス・内部統制の強化・拡充に努めております。 ② 品質保証・管理に関するリスク契約不適合や欠陥等のある製商品・サービスを顧客に提供した結果、顧客の生命や身体に危害を与えることやクレーム等が発生することにより、製商品の回収費用をはじめ、顧客に対する補償や訴訟関連費用等が発生した場合、また、当社グループに対する信用が低下した場合において、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対し、当社グループでは契約不適合や欠陥等のある製商品・サービスを顧客に提供することのないよう品質保証・管理に努めております。当社では、品質保証委員会を定期的に開催し、当社グループにおいて顧客へ提供する製商品・サービスの品質に関するリスクを把握・評価し、当該リスクに対応した取り組みの検討を行っております。当連結会計年度における具体的な取り組みとして、品質保証委員会を2回開催し、各事業所における品質管理状況の調査報告などを行っております。 ③ 情報セキュリティに関するリスクインターネットを利用する業務などの情報セキュリティには、悪質なメールの受信や不正なアクセス、また、パソコンや電子記憶媒体の盗難等により、重要な企業情報が漏洩、改ざんされることやパソコン等を踏み台にマルウェアを拡散される脅威が存在します。当社グループは、基幹システムの運用や電子データの管理・伝達において、IT機器やそれらを含む社内外のネットワークを利用して業務を行っているため、前述の脅威によりセキュリティリスクが顕在化する可能性があります。また、テレワーク勤務制度の導入に伴い、マルウェアの感染リスクや端末の紛失・盗難リスク等の情報セキュリティに関するリスクが増大しております。仮に重大インシデントが発生した場合、当社グループだけでなく、ネットワークやシステム等で通信・接続されるサプライチェーンを含むステークホルダーの業務に支障が生じ、復旧費用の発生や当社グループの信用低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対し、情報セキュリティ方針のもと、当社情報システム部が中心となり、当社グループで利用しているソフトウェア等の更新管理やマルウェア対策ソフトウェアの導入、ネットワーク内の多層防御の構築、社外で使用するパソコンに保存するデータや通信データの暗号化設定に加え、情報セキュリティリテラシーを高め、標的型サイバー攻撃のリスク低減を目的に、eラーニング等によるセキュリティアウェアネストレーニングを実施しております。また、内部監査において監査対象部署に対し、情報セキュリティの重要性やIT管理に関する規程の周知徹底を行うなどの対策を講じております。 (6) 感染症に関するリスク未知なる病原体による感染症の拡大は、国内外の政治経済や企業活動に多大な影響を与える事象であり、感染の広がり方や収束時期を予想することは困難であります。当社グループは、全国各地に鉱山をはじめとする事業拠点や関係会社を有しており、海外に営業拠点を置くほか、チリ共和国では銅鉱山を操業・開発しております。これら国内外の各拠点で集団感染が発生した場合、営業活動や操業の中断による生産・販売、製商品サービスの提供に支障を来す可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の世界的流行時のように、緊急事態宣言の発出や各国政府による都市封鎖や国境封鎖、外出禁止令等の措置がなされた場合には、各拠点の活動そのものが制限され、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクに対し、当社グループではテレワーク勤務や時差出勤等の柔軟な勤務体制の導入といった各拠点において最良と思われる防疫環境を整備しながら、国・地域の感染状況や防疫措置等の最新情報を把握するなど、事業活動への影響を最小限にとどめる対策に努めております。 (7) 訴訟に関するリスク当社の連結子会社である日鉄鉱コンサルタント㈱(以下、「コンサル社」という。)は、2023年6月、北海道磯谷郡蘭越町において発生した蒸気噴出事故(以下、「本件事故」という。)に関し、工事発注者である三井石油開発㈱(現・三井エネルギー資源開発㈱、以下、「MOECO社」という。)に対し、本件事故発生までコンサル社が実施した工事の出来高、本件事故発生に伴いコンサル社が実施した現場作業費及びコンサル社が被った損害等21億2千9百万円の支払いを求めて、2024年9月に訴訟を提起いたしました。一方、MOECO社においても本件事故発生はコンサル社の安全施工義務違反に起因するものとして、コンサル社に対し、本件事故発生に伴いMOECO社が被ったとされる損害等34億6千4百万円の支払いを求める訴訟を2024年10月に提起し、2024年11月に訴状を受領しました。両訴訟は、東京地方裁判所において併合審理されることとなり、現在も係争中であります。これらの訴訟等において、当社グループに不利な結果が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。