2002

日清製粉グループ本社(2002)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

食料品 食品

事業の概要

  • 製粉事業の多角展開
    日清製粉グループは、中核である製粉事業を国内外で幅広く展開しています。日清製粉や熊本製粉が小麦粉を製造・販売するほか、アメリカ、カナダ、タイ、ニュージーランド、オーストラリアにも子会社を持ち、グローバルに小麦粉を供給しています。これにより、特定の地域に依存しない安定した収益基盤を構築しています。
  • 食品事業と製品多様化
    製粉事業で培った技術を活かし、食品事業も展開しています。日清製粉ウェルナは家庭用小麦粉、パスタ、冷凍食品などを手掛け、日清製粉プレミックスやマ・マーマカロニも関連製品を製造しています。さらに、オリエンタル酵母工業の食品素材や日清ファルマの健康食品・医薬品原薬など、幅広い製品ラインナップで消費者の多様なニーズに応えています。
  • 中食・惣菜事業の強化
    現代のライフスタイルの変化に対応し、中食・惣菜事業にも注力しています。トオカツフーズ、ジョイアス・フーズ、イニシオフーズが弁当、惣菜、調理麺などを製造・販売しており、日清製粉デリカフロンティアがこれら子会社の事業を支援・管理しています。これにより、家庭での調理機会が減少する中でも、食卓への貢献を続けています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 製粉事業
    小麦粉やふすまの製造・販売を国内外で行う事業です。売上高は4,435.92億円、営業利益は281.19億円と、グループ全体の収益の柱となっています。日清製粉や熊本製粉が国内を担い、アメリカ、カナダ、タイ、ニュージーランド、オーストラリアの子会社が海外市場で事業を展開しており、グローバルな供給体制を構築しています。
  • 加工食品事業
    プレミックス、パスタ、パスタソース、冷凍食品、健康食品などを製造・販売する事業です。売上高は2,062.52億円、営業利益は64.05億円です。日清製粉ウェルナが家庭用製品を、日清製粉プレミックスやマ・マーマカロニが専門製品を手掛け、タイ、ベトナム、中国、インドネシア、アメリカ、トルコにも拠点を持ち、多様な食品ニーズに対応しています。
  • 中食・惣菜事業
    弁当、惣菜、調理麺などの調理済み食品の製造・販売を行う事業です。売上高は1,560.76億円、営業利益は58.32億円です。トオカツフーズ、ジョイアス・フーズ、イニシオフーズが中心となり、デパートの直営店舗経営も行っています。現代のライフスタイルに合わせた利便性の高い食品を提供し、食卓を豊かにする役割を担っています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
FlourMilling 事業 4,436 281 6.3%
ProcessedFood 事業 2,063 64 3.1%
PreparedDishesAndOtherPreparedFoods 事業 1,561 58 3.7%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,432 文字
3【事業の内容】 当社グループ(当社、連結子会社67社及び持分法適用会社9社)の主な事業内容と、各関係会社等の当グループの事業に係わる位置付け、及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、事業内容の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。(1) 製粉事業 日清製粉㈱(連結子会社)及び熊本製粉㈱(連結子会社)は小麦粉、ふすま(副製品)等を製造・販売しております。フレッシュ・フード・サービス㈱(連結子会社)は主として冷凍食品及びその原材料の販売と小麦粉関連の商材を用いた飲食店経営を行っており、日清製粉㈱から関連商材及び小麦粉を仕入れております。ヤマジョウ商事㈱(連結子会社)及び石川㈱(持分法適用会社)は日清製粉㈱の特約店であります。なお、石川㈱は日清製粉㈱に包装資材の販売も行っております。 アメリカのMiller Milling Company, LLC(連結子会社)、カナダのRogers Foods Ltd.(連結子会社)、タイのNisshin-STC Flour Milling Co., Ltd.(連結子会社)及びニュージーランドのChampion Flour Milling Ltd.(連結子会社)は、小麦粉の製造を行い、北米、アジア及びオセアニアにて販売を行っております。オーストラリアのAllied Pinnacle Pty Ltd.(連結子会社)は小麦粉・プレミックス・ベーカリー関連原材料等の製造を行い、オセアニア及びアジアにて販売を行っております。 (2) 食品事業 ㈱日清製粉ウェルナ(連結子会社)はプレミックス等を製造・販売し、日清製粉㈱から仕入れる家庭用小麦粉、製造子会社が製造するパスタ・パスタソース・冷凍食品等、及び外部の取引先から仕入れる加工食品を販売しております。日清製粉プレミックス㈱(連結子会社)はプレミックスを製造・販売しております。マ・マーマカロニ㈱(連結子会社)はパスタ・冷凍食品を製造し、㈱日清製粉ウェルナが販売しております。 タイのThai Nisshin Technomic Co., Ltd.(連結子会社)及びベトナムのVietnam Nisshin Technomic Co., Ltd.(連結子会社)はプレミックスの製造を行い、東南アジアにて販売しております。中国の新日清製粉食品(青島)有限公司(連結子会社)はプレミックスの製造を行い、中国にて販売しております。インドネシアのPT. Indonesia Nisshin Technomic(連結子会社)は東南アジアにてプレミックスの販売を行っております。アメリカのMedallion Foods, Inc.(連結子会社)はパスタの製造を行い、主として㈱日清製粉ウェルナが輸入・販売を行っている他、プレミックスの製造を行い、主に北米にて販売しております。トルコのNisshin Seifun Turkey Makarna Ve Gida Sanayi Ve Ticaret A.S.(連結子会社)はパスタ、タイのThai Nisshin Seifun Co., Ltd.(連結子会社)はパスタソース・冷凍食品、Vietnam Nisshin Seifun Co., Ltd.(連結子会社)はパスタソースの製造を行い、主として㈱日清製粉ウェルナが輸入・販売をしております。 オリエンタル酵母工業㈱(連結子会社)は製パン用をはじめとした食品素材、生化学製品等の製造・販売及び創薬研究支援事業を行っております。 日清ファルマ㈱(連結子会社)は健康食品・医薬品原薬等を製造・販売しております。なお、同社は医薬品原薬の製造・販売を行うファインケミカル事業を本年3月に終了し、サプリメント製品の製造・販売等を行う健康食品事業をオリエンタル酵母工業㈱へ本年4月に移管しました。 (3) 中食・惣菜事業 トオカツフーズ㈱(連結子会社)は弁当・惣菜等調理済食品の製造・販売を行っております。㈱ジョイアス・フーズ(連結子会社)は調理麺等の製造・販売を行っております。イニシオフーズ㈱(連結子会社)は惣菜の製造・販売及びデパートの直営店舗の経営を行っております。㈱日清製粉デリカフロンティア(連結子会社)は中間持株会社として、これら3社の事業活動の支援及び管理を行っております。なお、当社グループの中食・惣菜事業の成長スピードを加速すべく、事業と組織の一体化を目的として、トオカツフーズ㈱は本年6月に㈱日清製粉デリカフロンティアを吸収合併する予定です。 (4) その他事業 日清エンジニアリング㈱(連結子会社)は穀類・食品・化学製品等の生産加工設備の設計・工事の請負・監理、粉体機器の製作・販売及び粉体加工事業を行っており、一部当社グループの工事の請負等をしております。 ㈱NBCメッシュテック(連結子会社)はメッシュクロス及び成形フィルターの製造・販売を行っております。 日清丸紅飼料㈱(持分法適用会社)は配合飼料を製造・販売しております。 日本ロジテム㈱(持分法適用会社)は貨物自動車運送事業・倉庫業等を営んでおり、一部当社グループ製品の輸送・保管を行っております。日清サイロ㈱(連結子会社)、阪神サイロ㈱(連結子会社)及び千葉共同サイロ㈱(持分法適用会社)は穀物の荷役保管業務を行っております。信和開発㈱(連結子会社)はスポーツ施設の経営をしております。 当社グループの状況について、事業系統図を示すと次のとおりであります。 (事業系統図)

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
原材料調達コストの上昇分を製品販売価格に十分に織り込めない場合があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
小麦粉加工技術、穀物科学、穀粉加工技術の研究開発、高食物繊維小麦粉「アミュリア」の開発。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:国際貿易交渉の進展と麦政策の変更 / 原材料調達 / 災害・事故・感染症
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

日清製粉グループは、長年にわたり培ってきた「日清製粉」ブランドの信頼性と、独自の製粉技術・ノウハウを有している。これが、他社との差別化要因となり、一定の価格決定力に繋がる可能性がある。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

製パン・製菓業者にとって、小麦粉のサプライヤー変更は、製品の品質や製造プロセスへの影響を考慮すると、一定のスイッチングコストが発生しうる。しかし、小麦粉は汎用品としての側面も強く、代替サプライヤーの存在がスイッチングを容易にする可能性もある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

日清製粉グループの事業モデルにおいて、直接的なネットワーク効果は限定的である。顧客間のネットワークが売上や利益に大きく影響する構造ではない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

規模の経済によるコスト優位性は存在するが、原材料価格の変動や競合他社との価格競争により、その優位性は限定的になる可能性がある。また、物流コストも影響要因となる。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

国内トップクラスの製粉メーカーとしての規模は、原料調達における交渉力や、広範な販売網、効率的な生産体制に繋がる。これにより、一定のコスト優位性と市場シェアの維持が期待できる。

  • グローバルな生産・販売網
    日清製粉グループは、日本国内だけでなく、北米、アジア、オセアニアにも製粉工場や販売拠点を持ち、グローバルな生産・販売ネットワークを構築しています。これにより、特定の地域の市場変動や供給リスクを分散し、安定した事業運営を可能にしています。多様な地域での事業展開は、国際的な競争力を高める要因となります。
  • 多角的な食品関連事業
    製粉を基盤としながらも、パスタ、冷凍食品、プレミックス、健康食品、さらには製パン用素材や生化学製品、創薬研究支援まで、幅広い食品関連事業を展開しています。この多角化により、一つの事業分野の変動がグループ全体に与える影響を緩和し、安定した収益源を複数持つことで、企業としての強靭性を高めています。
  • 品質と安全への信頼
    食品を扱う企業として、製品の安全と品質には特に力を入れています。「消費者視点での品質保証」を基本とし、開発から製造、物流、営業まで全従業員への教育、安全性評価、食品防御の強化、国際規格認証取得など、厳格な品質管理体制を構築しています。これにより、消費者からの信頼を獲得し、ブランド価値を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営の基本方針 当社グループは、「信を万事の本と為す」と「時代への適合」を社是に、「健康で豊かな生活づくりに貢献する」を企業理念として、1900年の創業以来、事業を通じて社会貢献を果たし、食の中心企業として成長を継続してまいりました。また、グループ各社は「健康」を常に念頭においた製品やサービスの開発と提供に努め、「信頼」を築き上げるという決意をこめて「健康と信頼をお届けする」をコーポレートスローガンとしております。 これらの基本的な理念のもと、当社グループは長期的な企業価値の極大化を経営の基本方針とし、コア事業と成長事業へ重点的に資源配分を行いつつ、グループ経営を展開しております。 また、企業価値を高める規律としてのガバナンス(G)を強化し、環境(E)・社会(S)への取組みを事業戦略と深く関連させたサステナビリティ経営を推進していくことで、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、株主、顧客、取引先、社員、社会等の各ステークホルダーから積極的に支持され続ける企業グループとして発展を目指してまいります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標 当社グループは、「事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進」、「ステークホルダーとの関係に対する考え方を明確にした経営推進」、「ESGを経営方針に取り込み、社会の動きに合わせて実行」の3点を基本方針とする5年間(2022年度から2026年度)の中期経営計画「日清製粉グループ 中期経営計画2026」で策定した施策に取り組んでおります。同計画では、2026年度の数値目標として、売上高9,500億円、営業利益570億円、EPS(1株当たり当期純利益)140円を掲げておりましたが、当社グループを取り巻く環境の変化及び中東情勢の状況等に鑑み、業績予想におきましては、売上高は8,700億円、営業利益は460億円、EPSは政策保有株式の縮減等により147円としております。今後もEPS成長を継続することで、株主の皆様に対して、適切なTSR(株主総利回り)の実現を目指してまいります。 なお、「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の基準年度(2021年度)からの主要な経営指標の推移は次のとおりです(表示単位未満を四捨五入して表示しております)。 2021年度(基準年度)2022年度2023年度2024年度2025年度2026年度(業績予想) 2026年度目標(注)1売上高(億円)6,7977,9878,5828,5158,6508,700 9,500営業利益(億円)294328478464467460 570EPS59円△35円(注)2107円117円113円147円 140円(注)1 中期経営計画「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の最終年度の数値目標 2 豪州製粉事業における固定資産の減損損失計上に伴い、親会社株主に帰属する当期純損失となったことによるもの 「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の概要(2022年度~2026年度)<基本方針> ① 事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進 120年以上の歴史の中で築いてきた高い技術力と生産性、お客様からの信頼に裏付けされた強固な販売基盤等、当社グループの強みを活かせる事業領域において、今後も事業ポートフォリオの再構築を行い、4つの戦略(事業競争力強化戦略、研究開発戦略、新規事業開発・M&A戦略、デジタル戦略)を柱にグループ全体及び各事業の競争力を強化します。 ② ステークホルダーとの関係に対する考え方を明確にした経営推進 当社グループの第一の存在意義は、主要食糧である小麦粉や小麦粉関連製品を含めた「食」の安定供給にあることを認識し、すべてのステークホルダーを大切にし、世の中から信頼される企業を目指します。 ③ ESGを経営方針に取り込み、社会の動きに合わせて実行 持株会社である当社をはじめ各事業の経営トップの責務として、企業価値の極大化を追求し、社会の動きに合わせESG課題に主体的に取り組んでまいります。とりわけ世界の持続可能性に関わるE(環境)への対応を経営の最重要事項に位置付けます。 <環境政策> 当社グループでは、2050年にグループの自社拠点におけるCO2排出量実質ゼロを目指す長期目標を設定し、その通過点として2030年度までにグループの自社拠点におけるCO2排出量50%削減(2013年度比)を掲げております。目標達成に向けて、ロードマップに基づいて最大限の省エネ設備及び再生可能エネルギー設備の導入を行うとともに、オフサイト(当社グループ以外)の設備への投資や出資等によるエネルギー調達も検討してまいります。また、食品廃棄物、容器包装廃棄物、水使用量の削減への対応についても循環型社会形成に資する中長期目標を設定しており、目標達成に向け計画的に取組みを推進してまいります。 <資本政策> 小麦粉をはじめとした主要食糧等の安定供給という社会的責任を十分に勘案し、資本効率の向上と財務の安定性のバランスを取りながら資本構成を適切にコントロールしてまいります。中期経営計画期間5年間で得られる営業キャッシュ・フロー及び政策保有株式売却等で得られるキャッシュにつきましては、将来に向けた成長投資及びサステナブル投資、維持更新等の通常投資、株主還元等に適切に配分してまいります。また、財務健全性を確保しつつ適切な資本構成の維持・改善を推進するとともに、企業価値向上のため、非効率資産の縮減や事業部門別ROIC管理を通じて資本効率の向上に取り組んでまいります。 ・資本コストを意識し、資本収益性の更なる向上を目指して、事業部門別ROIC管理を推進いたします。・保有合理性の薄れた政策保有株式は、2024年度から2028年度までの5年間で400億円以上(年平均80億円程度)縮減し、縮減によって得られたキャッシュは成長投資等に活用してまいります。保有現預金は、主要食糧の安定供給という当社グループの社会的責任を勘案しつつ、連結売上高の1ヶ月分程度を目安といたします。・資本効率及び財務健全性の観点から、積極的な還元施策を推進するとともに、調達余力を活かし有利子負債も活用してまいります(中長期的にネットD/E比率0.3倍を目安)。・株主還元につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益から非経常的な特殊要因による損益を除外し、連結ベースでの配当性向を現中期経営計画最終年度(2026年度)までに「50%目安」へと引き上げることとしております。また、投資資金が余剰となった場合等は、更なる株主還元を検討してまいりたいと考えております。 (3) 経営環境及び対処すべき課題 国内外の食品業界では、事業活動を取り巻くコスト負担の増加が引き続き見込まれており、今後もインフレ環境が継続するものと想定されます。企業活動のデジタル化やサプライチェーンの高度化を背景に、サイバー攻撃等に起因するシステム障害が、製品の供給や、ひいては事業の継続に影響を及ぼすリスクも高まっております。さらに、国際情勢を背景として世界経済の先行きは依然として不安定な状況にあり、当社グループを取り巻く事業環境についても、今後の見通しは極めて予測困難な状況にあります。また、中長期的には、世界の持続可能性にかかわる地球温暖化や、人権問題等の社会課題への意識の高まり、デジタル技術やフードテック等の技術革新の急速な進展等、事業環境が大きく変化していくことも想定されます。 そのような中、当社グループでは、事業を通じて社会貢献を果たし、食の中心企業として成長を継続するために、小麦粉をはじめとする「食」の安定供給という社会的使命を果たしていくとともに、2026年度は、複合的なインフレ対抗策の実行、事業ポートフォリオの再評価と成長戦略の実行、危機対応力に優れたガバナンス体制の構築を最優先課題として取り組んでまいります。 <2026年度の最優先課題>① 複合的なインフレ対抗策の実行 日本経済におけるインフレや金利上昇といった構造変化は、事業戦略の基本を大きく変化させることが想定され、特に、原材料価格や人件費、物流費等のコスト上昇への対応は事業運営上の重要な課題となります。これらを踏まえ、販売増、コストダウン、ブランド強化・付加価値化、適正な価格改定といった収益拡大の複合的な対抗策を立案し、実行してまいります。その具体的な取組みとして、国内製粉事業では、高食物繊維小麦粉「アミュリア」や国内産小麦使用粉等の高付加価値製品の拡販を進め、加工食品事業では、「マ・マー」、「青の洞窟」をはじめとする製品ブランド力の向上を図ってまいります。また、働き方改革による生産性向上とデジタル化による効率化を図り、中食・惣菜事業、製粉事業、加工食品事業等の自動化・省人化を推進してまいります。 ② 事業ポートフォリオの再評価と成長戦略の実行 事業の更なる成長や業績向上のためには、競争上の優位性を適切に評価した上で、事業戦略を継続的に見直していく必要があると認識しております。あわせて、当該評価を踏まえた中長期視点の適切な成長投資を進めるとともに、必要に応じて経営資源の再配分を実行してまいります。当社が成長事業と位置付ける海外事業では、北米製粉事業の持続的成長戦略ならびに豪州製粉事業の構造改革による事業再生を推進し、また、インドイースト事業は業績の改善に向けて更なる販売拡大、製品価格改定、製造コスト低減等の各施策を進めてまいります。 ③ 危機対応力に優れたガバナンス体制の構築 事業ポートフォリオの強化に伴い、事業領域や地域の拡大が進むとともに、経理・財務、コンプライアンス、サイバーセキュリティ、品質保証、労務管理等、国内外を問わずリスク対応に求められる能力は年々高度化しております。こうした環境変化を踏まえ、経営資源の適切な再配分を進めるとともに、経営管理体制の複雑性を見直して効率性を高めることにより、ガバナンス体制の最適化に取り組んでまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営の基本方針 当社グループは、「信を万事の本と為す」と「時代への適合」を社是に、「健康で豊かな生活づくりに貢献する」を企業理念として、1900年の創業以来、事業を通じて社会貢献を果たし、食の中心企業として成長を継続してまいりました。また、グループ各社は「健康」を常に念頭においた製品やサービスの開発と提供に努め、「信頼」を築き上げるという決意をこめて「健康と信頼をお届けする」をコーポレートスローガンとしております。 これらの基本的な理念のもと、当社グループは長期的な企業価値の極大化を経営の基本方針とし、コア事業と成長事業へ重点的に資源配分を行いつつ、グループ経営を展開しております。 また、企業価値を高める規律としてのガバナンス(G)を強化し、環境(E)・社会(S)への取組みを事業戦略と深く関連させたサステナビリティ経営を推進していくことで、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、株主、顧客、取引先、社員、社会等の各ステークホルダーから積極的に支持され続ける企業グループとして発展を目指してまいります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標 当社グループは、「事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進」、「ステークホルダーとの関係に対する考え方を明確にした経営推進」、「ESGを経営方針に取り込み、社会の動きに合わせて実行」の3点を基本方針とする5年間(2022年度から2026年度)の中期経営計画「日清製粉グループ 中期経営計画2026」で策定した施策に取り組んでおります。同計画では、2026年度の数値目標として、売上高9,500億円、営業利益570億円、EPS(1株当たり当期純利益)140円を掲げておりましたが、当社グループを取り巻く環境の変化及び中東情勢の状況等に鑑み、業績予想におきましては、売上高は8,700億円、営業利益は460億円、EPSは政策保有株式の縮減等により147円としております。今後もEPS成長を継続することで、株主の皆様に対して、適切なTSR(株主総利回り)の実現を目指してまいります。 なお、「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の基準年度(2021年度)からの主要な経営指標の推移は次のとおりです(表示単位未満を四捨五入して表示しております)。 2021年度(基準年度)2022年度2023年度2024年度2025年度2026年度(業績予想) 2026年度目標(注)1売上高(億円)6,7977,9878,5828,5158,6508,700 9,500営業利益(億円)294328478464467460 570EPS59円△35円(注)2107円117円113円147円 140円(注)1 中期経営計画「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の最終年度の数値目標 2 豪州製粉事業における固定資産の減損損失計上に伴い、親会社株主に帰属する当期純損失となったことによるもの 「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の概要(2022年度~2026年度)<基本方針> ① 事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進 120年以上の歴史の中で築いてきた高い技術力と生産性、お客様からの信頼に裏付けされた強固な販売基盤等、当社グループの強みを活かせる事業領域において、今後も事業ポートフォリオの再構築を行い、4つの戦略(事業競争力強化戦略、研究開発戦略、新規事業開発・M&A戦略、デジタル戦略)を柱にグループ全体及び各事業の競争力を強化します。 ② ステークホルダーとの関係に対する考え方を明確にした経営推進 当社グループの第一の存在意義は、主要食糧である小麦粉や小麦粉関連製品を含めた「食」の安定供給にあることを認識し、すべてのステークホルダーを大切にし、世の中から信頼される企業を目指します。 ③ ESGを経営方針に取り込み、社会の動きに合わせて実行 持株会社である当社をはじめ各事業の経営トップの責務として、企業価値の極大化を追求し、社会の動きに合わせESG課題に主体的に取り組んでまいります。とりわけ世界の持続可能性に関わるE(環境)への対応を経営の最重要事項に位置付けます。 <環境政策> 当社グループでは、2050年にグループの自社拠点におけるCO2排出量実質ゼロを目指す長期目標を設定し、その通過点として2030年度までにグループの自社拠点におけるCO2排出量50%削減(2013年度比)を掲げております。目標達成に向けて、ロードマップに基づいて最大限の省エネ設備及び再生可能エネルギー設備の導入を行うとともに、オフサイト(当社グループ以外)の設備への投資や出資等によるエネルギー調達も検討してまいります。また、食品廃棄物、容器包装廃棄物、水使用量の削減への対応についても循環型社会形成に資する中長期目標を設定しており、目標達成に向け計画的に取組みを推進してまいります。 <資本政策> 小麦粉をはじめとした主要食糧等の安定供給という社会的責任を十分に勘案し、資本効率の向上と財務の安定性のバランスを取りながら資本構成を適切にコントロールしてまいります。中期経営計画期間5年間で得られる営業キャッシュ・フロー及び政策保有株式売却等で得られるキャッシュにつきましては、将来に向けた成長投資及びサステナブル投資、維持更新等の通常投資、株主還元等に適切に配分してまいります。また、財務健全性を確保しつつ適切な資本構成の維持・改善を推進するとともに、企業価値向上のため、非効率資産の縮減や事業部門別ROIC管理を通じて資本効率の向上に取り組んでまいります。 ・資本コストを意識し、資本収益性の更なる向上を目指して、事業部門別ROIC管理を推進いたします。・保有合理性の薄れた政策保有株式は、2024年度から2028年度までの5年間で400億円以上(年平均80億円程度)縮減し、縮減によって得られたキャッシュは成長投資等に活用してまいります。保有現預金は、主要食糧の安定供給という当社グループの社会的責任を勘案しつつ、連結売上高の1ヶ月分程度を目安といたします。・資本効率及び財務健全性の観点から、積極的な還元施策を推進するとともに、調達余力を活かし有利子負債も活用してまいります(中長期的にネットD/E比率0.3倍を目安)。・株主還元につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益から非経常的な特殊要因による損益を除外し、連結ベースでの配当性向を現中期経営計画最終年度(2026年度)までに「50%目安」へと引き上げることとしております。また、投資資金が余剰となった場合等は、更なる株主還元を検討してまいりたいと考えております。 (3) 経営環境及び対処すべき課題 国内外の食品業界では、事業活動を取り巻くコスト負担の増加が引き続き見込まれており、今後もインフレ環境が継続するものと想定されます。企業活動のデジタル化やサプライチェーンの高度化を背景に、サイバー攻撃等に起因するシステム障害が、製品の供給や、ひいては事業の継続に影響を及ぼすリスクも高まっております。さらに、国際情勢を背景として世界経済の先行きは依然として不安定な状況にあり、当社グループを取り巻く事業環境についても、今後の見通しは極めて予測困難な状況にあります。また、中長期的には、世界の持続可能性にかかわる地球温暖化や、人権問題等の社会課題への意識の高まり、デジタル技術やフードテック等の技術革新の急速な進展等、事業環境が大きく変化していくことも想定されます。 そのような中、当社グループでは、事業を通じて社会貢献を果たし、食の中心企業として成長を継続するために、小麦粉をはじめとする「食」の安定供給という社会的使命を果たしていくとともに、2026年度は、複合的なインフレ対抗策の実行、事業ポートフォリオの再評価と成長戦略の実行、危機対応力に優れたガバナンス体制の構築を最優先課題として取り組んでまいります。 <2026年度の最優先課題>① 複合的なインフレ対抗策の実行 日本経済におけるインフレや金利上昇といった構造変化は、事業戦略の基本を大きく変化させることが想定され、特に、原材料価格や人件費、物流費等のコスト上昇への対応は事業運営上の重要な課題となります。これらを踏まえ、販売増、コストダウン、ブランド強化・付加価値化、適正な価格改定といった収益拡大の複合的な対抗策を立案し、実行してまいります。その具体的な取組みとして、国内製粉事業では、高食物繊維小麦粉「アミュリア」や国内産小麦使用粉等の高付加価値製品の拡販を進め、加工食品事業では、「マ・マー」、「青の洞窟」をはじめとする製品ブランド力の向上を図ってまいります。また、働き方改革による生産性向上とデジタル化による効率化を図り、中食・惣菜事業、製粉事業、加工食品事業等の自動化・省人化を推進してまいります。 ② 事業ポートフォリオの再評価と成長戦略の実行 事業の更なる成長や業績向上のためには、競争上の優位性を適切に評価した上で、事業戦略を継続的に見直していく必要があると認識しております。あわせて、当該評価を踏まえた中長期視点の適切な成長投資を進めるとともに、必要に応じて経営資源の再配分を実行してまいります。当社が成長事業と位置付ける海外事業では、北米製粉事業の持続的成長戦略ならびに豪州製粉事業の構造改革による事業再生を推進し、また、インドイースト事業は業績の改善に向けて更なる販売拡大、製品価格改定、製造コスト低減等の各施策を進めてまいります。 ③ 危機対応力に優れたガバナンス体制の構築 事業ポートフォリオの強化に伴い、事業領域や地域の拡大が進むとともに、経理・財務、コンプライアンス、サイバーセキュリティ、品質保証、労務管理等、国内外を問わずリスク対応に求められる能力は年々高度化しております。こうした環境変化を踏まえ、経営資源の適切な再配分を進めるとともに、経営管理体制の複雑性を見直して効率性を高めることにより、ガバナンス体制の最適化に取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定を必要とします。当社グループはこれら見積り及び仮定について過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これら見積り及び仮定と実績が異なる場合があります。① 棚卸資産 棚卸資産は、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき、取得原価と正味売却価額のいずれか低い価額で測定しております。また、需要の変化によって過剰又は滞留する棚卸資産についても、簿価を切り下げております。市況の変動や需要動向により、追加の評価減が必要となる可能性があります。② 貸倒引当金 当社グループは、金銭債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、必要な貸倒引当金を計上しております。顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。③ 投資有価証券の減損 当社グループでは投資有価証券を所有しておりますが、市場価格のない株式等以外のものについては時価法を、市場価格のない株式等については原価法を採用しております。当社グループでは、市場価格のない株式等以外のものについては、時価が取得価額に比べ50%以上下落した場合には減損処理し、30%から50%の下落の場合には、当該有価証券発行会社の業績等を勘案し必要に応じ減損処理しております。市場価格のない株式等については、その実質価額が取得価額に比べ著しく下落した場合、回復の見込が確実と認められる場合を除き、減損処理しております。 当社グループでは投資有価証券について必要な減損処理をこれまでに行ってきており、現状では減損すべき投資有価証券はありませんが、将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が発生し、減損処理が必要となる可能性があります。④ 企業結合 当社グループは、企業結合により取得した企業又は事業の取得原価は、時価で算定しております。取得原価は、受け入れた資産及び引き受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なもの(識別可能資産及び負債)の企業結合日時点の時価を基礎として、当該資産及び負債に対して配分しております。取得原価が、企業結合日における識別可能資産及び負債の正味価額を上回る場合にその超過額をのれんとして会計処理しております。 取得した資産、特に無形資産の時価の算定は、多くの場合、経営者の重要な判断を必要とします。当社グループは、独立の第三者による評価結果を利用し、入手可能な過去の情報と将来の見通し及びその仮定に基づいて時価を算定しております。経営者は、これらの判断及び評価は合理的であると判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等の結果によって実際の結果と異なる可能性があります。⑤ 固定資産の減損 当社グループは、固定資産の帳簿価額が回収不能であると判断された場合、回収可能価額まで減額しております。減損の兆候が生じた資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、減損損失を認識するかどうかの判定を行っております。割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合、減損処理が必要と判断し、当該資産又は資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のいずれか高い金額としております。減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において見積もられる将来キャッシュ・フローは、合理的な仮定に基づいております。また、使用価値の算定に際して用いられる割引率は、貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクを反映しております。 経営者は、減損の兆候及び減損損失の認識に関する判断、及び回収可能価額の見積りに関する評価を行っており、これらの判断及び評価は合理的であると判断しております。当社グループには、現状では減損すべき固定資産はありませんが、将来の企業環境の変化等により、回収可能価額が帳簿価額を下回ることとなった場合には減損処理が必要となる可能性があります。⑥ 繰延税金資産 当社グループは、繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び税務計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。しかしながら、繰延税金資産の回収見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩又は追加計上により利益が変動する可能性があります。⑦ 退職給付に係る負債 当社グループの退職一時金制度及び既退職の年金受給者を対象とする確定給付企業年金制度における退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の給付水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。割引率は期末における複数の格付機関による直近の格付けがダブルA格相当以上を得ている社債等の市場利回りに基づき、長期期待運用収益率は保有している年金資産の運用方針や過去の運用実績等に基づき決定しております。実績が前提条件と異なる場合、又は、前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。 (2) 財政状態及び経営成績の状況及び経営者の視点による認識及び分析・検討内容① 当連結会計年度の経営成績の概況及び分析 当連結会計年度につきましては、国内景気はインバウンド需要が堅調であった一方で、長引く物価高騰により個人消費の節約志向が継続しております。また、足元では中東情勢の緊迫化による原油価格の高騰を背景に、原材料価格やエネルギー価格、その他資材等のコスト上昇が懸念され、当社グループを取り巻く環境の先行きは極めて不透明で予測困難な状況となっております。 このような中、当社グループは、小麦粉をはじめとする「食」の安定供給を確保し、各事業において安全・安心な製品をお届けするという使命を果たすとともに、2026年度を最終年度とする「日清製粉グループ 中期経営計画2026」で策定した施策に取り組んでおります。 製粉事業につきましては、日清製粉株式会社において、最新の自動化・デジタル技術を駆使した「スマート工場」である水島工場が昨年5月に稼働しました。これに伴い岡山工場、坂出工場をそれぞれ昨年7月、9月に閉鎖しました。また、米国のMiller Milling Company, LLCにおいては、更なる生産体制強化への対応を進めており、昨年3月にサギノー工場の新生産ラインが稼働するとともに、7月にウィンチェスター工場も増強工事が完了しております。食品事業につきましては、株式会社日清製粉ウェルナにおいて、ロサンゼルス・ドジャース所属の大谷翔平選手を起用した積極的な販売促進活動を行っております。また、同社は、昨年で70周年、30周年をそれぞれ迎えた「マ・マー」、「青の洞窟」のリブランディングを契機として製品の見直しや新製品の投入を行い、更なる製品需要の喚起に取り組んでおります。なお、日清ファルマ株式会社は、医薬品原薬の製造・販売を行うファインケミカル事業を本年3月31日に終了し、サプリメント製品の製造・販売等を行う健康食品事業を酵母・バイオ事業のオリエンタル酵母工業株式会社へ本年4月1日に移管しました。中食・惣菜事業につきましては、事業環境の変化に迅速に対応し成長スピードを加速すべく、事業と組織の一体化を目的として、本年6月よりトオカツフーズ株式会社を事業持株会社とする事業体制に変更することを決定しました。また、株式会社ノムラフーズにおいて、最新の自動化・省人化技術を導入し、環境へも配慮した「次世代型冷凍食品工場」である新工場を京都府宇治市に建設しており、2027年6月頃の稼働を予定しております。 当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、海外製粉事業における小麦相場の下落や為替換算の影響等があったものの、エンジニアリング事業における大型工事の増加、加工食品事業及び酵母・バイオ事業の出荷増等、中食・惣菜事業の販売堅調等により、8,650億4百万円(前期比101.6%)となりました。利益面では、国内製粉事業における水島工場稼働に伴う立上げ費用の発生、海外製粉事業及びメッシュクロス事業における出荷減等はあったものの、加工食品事業及び酵母・バイオ事業の出荷増及び価格改定の実施、エンジニアリング事業の受注増等により、営業利益は466億85百万円(前期比100.7%)、経常利益は513億97百万円(前期比104.4%)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式の縮減を進めたものの、インドイースト事業での固定資産の減損損失計上により、325億89百万円(前期比94.0%)となりました。 (前期比較) (単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期前期差前期比売上高851,486865,00413,518101.6%営業利益46,38046,685305100.7%経常利益49,21051,3972,187104.4%親会社株主に帰属する当期純利益34,68432,589△2,09594.0% セグメント別の経営成績及び経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 ※全社共通費用である㈱日清製粉グループ本社の費用については、事業規模に応じて各事業に配賦しておりましたが、近年における事業ポートフォリオ進化の積極的な推進により、新規M&Aやその後のPMI推進及び現地法制への適合をはじめとした成長投資への対応が増加している実態を踏まえ、当連結会計年度より配賦基準を変更しております。この変更に伴い、各事業とも当該変更影響を補正した前期実績を併記しております。なお、各事業の業績の説明における営業利益の前期比は、上記の変更影響を補正した数値を記載しております。 2026年3月期 売上高・営業利益 (単位:百万円) 売上高営業利益実績前期差実績前期差 (補正後 ※)製粉事業428,533△15,05927,724△395(△1,669)食品事業216,62010,3688,2241,818(2,727)中食・惣菜事業164,5528,4765,680△152(115)その他55,2989,7325,480△769(△672)調整--△424△195(△195)連結計865,00413,51846,685305(305) (注)1 売上高はセグメント間取引消去後です。 2 営業利益の調整額はセグメント間取引消去等です。 1) 製粉事業 (単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期前期差前期比売上高443,592428,533△15,05996.6%営業利益28,11927,724△39598.6%(前年実績補正後 ※)(29,393)-(△1,669)(94.3%) 国内製粉事業につきましては、インバウンド需要が堅調であったことに加え、拡販への取組みにより、出荷は前年を上回りました。 また、輸入小麦の政府売渡価格が5銘柄平均で昨年4月に4.6%、10月に4.0%各々引き下げられたことを受け、それぞれ昨年7月及び本年1月に業務用小麦粉の価格改定を実施しました。 海外製粉事業につきましては、小麦相場下落や為替換算の影響等により、売上高は前年を下回りました。 この結果、製粉事業の売上高は、4,285億33百万円(前期比96.6%)となりました。営業利益は、国内製粉事業における水島工場稼働に伴う立上げ費用の発生に加え、海外製粉事業での出荷減の影響等もあり、277億24百万円(前期比94.3% ※)となりました。 2) 食品事業 (単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期前期差前期比売上高206,252216,62010,368105.0%営業利益6,4058,2241,818128.4%(前年実績補正後 ※)(5,497)-(2,727)(149.6%) 加工食品事業につきましては、国内において市場環境は厳しいものの積極的な拡販施策を実施したことにより、出荷は前年を上回りました。海外においても業務用プレミックスの出荷が堅調に推移したことにより、売上高は前年を上回りました。なお、生パスタの新市場創造を目指し、もちもち食感を徹底的に追求した「マ・マー もちもち生パスタ」シリーズや、より本格的な生パスタが楽しめる「青の洞窟 生パスタ」を発売しました。 酵母・バイオ事業につきましては、国内においてパン酵母(イースト)や培養用基材等の出荷が堅調に推移したことに加え、インドにおいて出荷増となったことにより、売上高は前年を上回りました。 健康食品事業につきましては、消費者向け製品の出荷減により、売上高は前年を下回りました。 この結果、食品事業の売上高は2,166億20百万円(前期比105.0%)となりました。営業利益は、加工食品事業及び酵母・バイオ事業における出荷増及び価格改定の実施等により、82億24百万円(前期比149.6% ※)となりました。 3) 中食・惣菜事業 (単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期前期差前期比売上高156,076164,5528,476105.4%営業利益5,8325,680△15297.4%(前年実績補正後 ※)(5,564)-(115)(102.1%) 中食・惣菜事業につきましては、販売が堅調に推移したことにより、売上高は1,645億52百万円(前期比105.4%)となりました。営業利益は、各種のコスト上昇はあったものの、販売増及び生産性の向上により、56億80百万円(前期比102.1% ※)となりました。 4) その他事業 (単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期前期差前期比売上高45,56555,2989,732121.4%営業利益6,2505,480△76987.7%(前年実績補正後 ※)(6,153)-(△672)(89.1%) エンジニアリング事業につきましては、プラントエンジニアリングにおける大型工事の増加により、売上高は前年を上回りました。 メッシュクロス事業につきましては、太陽光パネル向けスクリーン印刷用資材の出荷減により、売上高は前年を下回りました。 この結果、その他事業の売上高は552億98百万円(前期比121.4%)となり、営業利益は、メッシュクロス事業の出荷減により、54億80百万円(前期比89.1% ※)となりました。 ② 当連結会計年度の財政状態の概況及び分析 (単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期前期末差流動資産338,728353,35614,628固定資産450,984496,34845,364資産合計789,713849,70559,992流動負債147,313156,5609,247固定負債139,829154,70614,876負債合計287,143311,26624,123純資産合計502,570538,43935,868負債純資産合計789,713849,70559,992 当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況は以下のとおりです。 流動資産は3,533億56百万円で、棚卸資産の増加等に伴い、前年度末に比べ146億28百万円増加しました。固定資産は4,963億48百万円で、インドイースト事業において固定資産の減損損失を計上したことによる減少はあったものの、保有している投資有価証券の時価評価の増加等に伴い、前年度末に比べ453億64百万円増加しました。この結果、資産合計は8,497億5百万円となり、前年度末に比べ599億92百万円増加しました。 また、流動負債は1,565億60百万円で、支払手形及び買掛金の増加等に伴い、前年度末に比べ92億47百万円増加しました。固定負債は1,547億6百万円で、繰延税金負債の増加等に伴い、前年度末に比べ148億76百万円増加しました。この結果、負債合計は3,112億66百万円となり、前年度末に比べ241億23百万円増加しました。純資産合計は親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加、配当金の支出及び自己株式の取得による減少、その他の包括利益累計額の増加等により、前年度末に比べ358億68百万円増加し、5,384億39百万円となりました。 ③ 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 (3) キャッシュ・フローの状況及び資本の財源及び資金の流動性についての分析① キャッシュ・フローの状況 (単位:百万円) 2025年3月期2026年3月期前期差営業活動によるキャッシュ・フロー55,20969,19413,985投資活動によるキャッシュ・フロー△34,961△32,5482,412財務活動によるキャッシュ・フロー△35,432△40,783△5,351現金及び現金同等物に係る換算差額△5123,5444,056現金及び現金同等物の増減額△15,696△59315,103連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の増減額21-△21現金及び現金同等物の期末残高92,00591,411△593 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 税金等調整前当期純利益511億87百万円に、非資金損益項目である減価償却費及び減損損失等を足し戻した資金増加が、法人税等の支払等の資金減少を上回ったことにより、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは691億94百万円の資金増加(前連結会計年度は552億9百万円の資金増加)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 有形及び無形固定資産の取得に411億74百万円を支出したこと等により、当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは325億48百万円の資金減少(前連結会計年度は349億61百万円の資金減少)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 株主の皆様への利益還元といたしまして配当に173億90百万円を支出したことに加え、自己株式の取得により179億17百万円を支出したこと等により、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは407億83百万円の資金減少(前連結会計年度は354億32百万円の資金減少)となりました。 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は914億11百万円となりました。 ② 資本の財源及び資金の流動性についての分析 当連結会計年度末の有利子負債(リース債務含む)残高は927億円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、当社グループの資金は、当面充分な流動性を確保しております。 当社グループは、「日清製粉グループ 中期経営計画2026」に基づき、小麦粉をはじめとした主要食糧等の安定供給という社会的責任を充分に勘案し、資本効率の向上と財務の安定性のバランスを取りながら資本構成を適切にコントロールしてまいります。持続的成長、EPS(1株当たり当期純利益)成長を実現するために、環境投資、デジタル投資、新規事業開発・M&A投資、研究開発投資、人材育成を含めた成長投資を促進するとともに、株主還元につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益から非経常的な特殊要因による損益を除外し、連結ベースでの配当性向を現中期経営計画最終年度までに50%目安へ引き上げることとしております。また、財務状況等を踏まえ、更なる株主還元を検討してまいりたいと考えております。なお、今後の重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。 そのための資金は、内部及び外部の両財源より調達してまいります。内部からの資金捻出は、既に導入しておりますキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を利用した国内連結子会社の資金の一元管理、及び政策保有株式の縮減を含めた資産の圧縮に引き続き取り組むことにより、外部からは当社グループの健全な財務体質を背景に有利子負債等により、調達してまいります。 (4) 中期経営計画「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の進捗状況 中期経営計画「日清製粉グループ 中期経営計画2026」の進捗状況につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標」に記載のとおりであります。 (5) 生産、受注及び販売の実績a 生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)増減率(%)金額(百万円)金額(百万円)製粉427,987410,216△4.2食品126,041129,1082.4中食・惣菜146,796154,6975.4その他17,52415,678△10.5合計718,348709,700△1.2 (注) 金額は、期間中の平均販売価格等により算出しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。 b 受注実績 重要な受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。 c 販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)増減率(%)金額(百万円)金額(百万円)製粉443,592428,533△3.4食品206,252216,6205.0中食・惣菜156,076164,5525.4その他45,56555,29821.4合計851,486865,0041.6 (注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)㈱ファミリーマート113,03213.3121,50514.0 主要な原材料価格及び販売価格の変動については「(2) 財政状態及び経営成績の状況及び経営者の視点による認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。

事業リスク

  • 国際貿易交渉と麦政策変更
    CPTPP協定や日EU・EPA、日米貿易協定などの進展により、小麦関連製品の貿易自由化が進み、国内市場での競争激化や需要変動のリスクがあります。また、国内の麦政策見直しにより、小麦の調達・販売方法が変更され、製粉・加工食品市場が混乱する可能性があり、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
  • 製品安全問題の発生
    食品業界では食の安全・安心への関心が高まっており、厳格な対応が求められています。自社工場や外部委託先で製品安全対策を継続していますが、想定外の事象が発生した場合、製品回収や出荷停止に至る可能性があります。これにより、ブランドイメージの失墜や多額の損失が発生し、業績に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。
  • 災害・事故・感染症の影響
    地震や風水害などの大規模自然災害、火災・爆発事故、新たな感染症の流行は、工場設備の損壊や製品供給の停止を引き起こす可能性があります。これにより、顧客への製品供給に支障が生じ、事業継続が困難になるだけでなく、復旧費用や機会損失により、経営成績に大きな悪影響を及ぼすリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|9,103 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 当社グループでは、「日清製粉グループリスクマネジメント規程」「日清製粉グループクライシスコントロール規程」を制定し、リスクに対する適切な対応を確保し、リスクの予防・制御を目的とした日常的なリスクマネジメント活動を強化しております。また、当社社長を委員長、各事業会社社長等を委員とするリスクマネジメント委員会を設置し、当社グループ全体のリスクマネジメントを統括しているとともに、グループの主要事業会社においてリスクマネジメント委員会を設置し、各事業におけるリスク管理を実践しております。さらに、リスクマネジメント委員会の下部組織として、企画部会、災害部会、海外安全対策部会を設置し、課題ごとの具体策を検討・提言する体制を整備しております。 この体制のもと、リスクマネジメント委員会とその下部組織は、当社グループの事業運営において想定される様々なリスクを認識し、そのリスクへの具体的な対応策を整え、重要な経営判断や投資判断にあたっては、これらのリスク認識を踏まえた検討を行うことで、事業の持続的成長と中長期的な企業価値向上に資するガバナンスの確保に努めております。 以上述べた事項をリスクマネジメント体制図によって示すと次のとおりであります。 (米国を含めた世界各国の政治判断による影響について) ウクライナ情勢や中東情勢をはじめとする地政学的緊張の高まり、ならびに主要国の対外政策を巡る動向などを受け、従来の国際協調の枠組みは歴史的な転換期を迎えており、当社グループを取り巻く環境の先行きは一層不透明な状況となっております。 中東情勢は依然として先行き不透明な状況が続いております。仮に関係国間で停戦が実現した場合であっても、原材料価格やエネルギーコストを中心とした市況への影響は収束までに一定の時間を要する可能性があります。現時点において当社グループの事業運営に重大な支障は生じておりませんが、今後発生し得る原材料のコストアップ、供給の途絶、遅延など様々なリスクへの対応に向け、当社グループ内における情報収集・共有を迅速に行うと共に、国際商品市況を含む関連動向については、引き続き注視してまいります。 以下の主要なリスクについては、そのリスクが将来的に顕在化する可能性の程度、顕在化した場合の影響度をそれぞれ3段階で評価しております。この評価は上記リスクマネジメント委員会で判断したものであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ① 国際貿易交渉の進展と麦政策の変更 可能性の程度:高 影響度:大 CPTPP協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)、及び日EU・EPA、日米貿易協定等、国際貿易交渉の進展により、貿易の自由化に向けた潮流は加速しております。これらを背景に、主要国における農業政策や貿易制度の見直しが継続的に議論されており、今後の動向次第では、国内事業に影響が及ぶ可能性があります。今後国内事業においては、小麦関連製品の国境措置の低下に伴う需要構造の変化、競争の激化、主要先進国における政策変更の影響等により、当社グループの製粉事業、加工食品事業を始めとする小麦粉関連事業全般に影響が及ぶことが予想されます。 また、国内での麦政策の見直し等により、現行の国家貿易のあり方を含む小麦の管理手法(調達・在庫・売渡方法など)が変更される可能性があり、その結果、国内小麦粉・二次加工品市場において変動が生じ、関連業界の競争環境の変化や再編等が進む可能性があります。これらにより、当社グループの製粉事業、加工食品事業において、業績や事業運営に影響を及ぼすリスクの発生の可能性があります。<主要な対応策> このような貿易自由化・麦政策変更等に伴うリスクに対応するため、当社グループはグローバルな生産体制の整備、国内小規模工場の閉鎖および大型臨海工場への生産集約、新技術の活用によるローコストオペレーションの推進、顧客ニーズの変化への的確な対応、海外事業拡大の一層の加速等に継続的に取り組んでおり、今後も事業環境の変化に対応できるより強固な企業体質の構築に努めてまいります。② 製品安全 可能性の程度:低 影響度:大 食の安全・安心についての社会的関心が年々高まっており、食品業界におきましては、より一層厳格な対応が求められるようになっております。当社グループは、自社工場、及び生産の外部委託先に対して製品安全に関する取り組みを継続的に実施しておりますが、外的要因も含め、当社グループの想定範囲を超えた事象が発生した場合、製品回収、出荷不能品が発生する可能性があります。<主要な対応策> このような製品安全上のリスクに対応するため、当社グループは「消費者視点での品質保証」を基本とし、開発から製造・物流・営業まで、全ての業務に携わる従業員への教育・指導、新規原材料・新製品に対する安全性の総合的評価(セイフティレビュー)、食品防御(フードディフェンス)の取り組み強化、食品安全マネジメントシステムの国際規格であるISO・FSSC等の認証取得と継続的な実効性検証、生産の外部委託先に対する自社工場と同様の管理の徹底等、製品の品質保証体制の維持・向上に取り組んでおります。③ 災害・事故・感染症 可能性の程度:中 影響度:大 当社グループは、安全・安心な製品を安定的に供給するために工場等の設備維持・安全確保に努めておりますが、地震や風水害などの大規模自然災害、火災・爆発などの事故や新たな感染症の流行が発生した場合、損害発生、顧客への製品供給に支障をきたすなどの可能性があります。<主要な対応策> このような災害・事故に係るリスクに対応するため、当社グループは地震・風水害など自然災害の発生時に人的被害・工場等の設備破損が生じないように主要工場の耐震補強、水害対策等を進めるとともに、火災・爆発などの事故発生防止の体制作りの強化(設備・安全監査の実施、設備安全に関する規程整備を含む)、大規模地震に備えたBCP(事業継続計画)及び風水害に備えたタイムライン等を整備しております。そして、当社グループに影響のある大規模自然災害が発生した場合に備え、訓練を適宜実施しており、早期に最高本部(グループ本社役員で構成)を設置し、グループ間の情報共有と初動から事業継続に至るまでの対応に備えております。南海トラフ地震の発生も差し迫ったリスクとして捉えており、気象庁から臨時情報(巨大地震警戒、巨大地震注意)が発令された際の対応について各事業場と共有し、被害が見込まれる事業場において必要な事前準備を進めるよう周知徹底を図っております。加えて火山噴火を想定した対応についても順次進めております。また、発生後の経過と終息を予測することの難しい新たな感染症に対しては、BCP(事業継続計画)及び感染防止対策等を整備しており、今後も新たな感染症の発生等に迅速かつ的確に対応するために、必要に応じて感染症対策会議(仮称)を開催可能な体制を維持します。なお、大規模自然災害対策にあたっては、近年の災害甚大化に伴う国の災害想定見直しを逐次確認し、それに対応した対策見直しを行っております。 ④ 他社とのアライアンス及び企業買収、新たな事業展開の効果の実現 可能性の程度:中 影響度:大 当社グループは、事業ポートフォリオの強化を図り、長期的な企業価値の極大化を実現するため、国内外において他社とのアライアンス及び企業買収、また、新たな事業展開のための投資を行っております。アライアンス及び買収後の事業、並びに新たに展開した事業が市場環境の変化、事業仮説やシナジー創出の難易度の高まり等により、当初の想定通りに進捗しない場合等には、その効果を実現できない可能性があり、その結果新規事業等が期待されるキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、収益性低下により投資額の回収が見込めなくなることにより、多額の減損損失を計上する必要が生じた場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。<主要な対応策> 当社グループは今後も事業ポートフォリオの強化を進めてまいりますが、他社とのアライアンス及び企業買収、また、新たな事業展開に向けた投資については、独自のガイドラインに基づく案件の事前検証を行うとともに、投資実行後においても事業の進捗状況や収益性を継続的にモニタリングし、必要に応じて戦略・体制の見直しを行うことでリスクの低減を図り、確実な事業継承・立上げやPMI活動の充実等に取り組んでまいります。また、リスクが顕在化した場合は、その経緯や状況の把握・分析に努め、実効性のある打ち手を講じるとともに、将来のアライアンスや企業買収、事業展開の実行に際しノウハウとして役立ててまいります。⑤ 原材料調達 可能性の程度:中 影響度:大 当社グループは、各事業において環境・人権というサプライチェーン上の課題へも配慮しながら安全かつコスト競争力がある原材料の持続的な調達に努めております。一方で、感染症・天災・テロ・ウクライナや中東をはじめとする紛争等による原材料供給の停滞・途絶、異常気象による小麦を始めとする農産物の不作、新興国の経済成長による需要拡大、原材料生産地域等での地政学的リスクの顕在化等を要因とした主要原材料の高騰や供給不足、人件費及び輸送・物流コストの上昇等により、適正な調達コストの維持困難や既存製品の製造停止・減産等のリスクが発生する可能性があります。また、輸入小麦価格の大幅な引き上げ等による原材料調達コスト及びその他製造・販売・輸送に関するコストの上昇分を小麦粉及び製品の販売価格に織り込めず、価格改定を十分に行えない場合、当社グループの利益に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、原材料調達に係る環境・人権課題等の社会的課題に適切に対応しなかった場合、社会からの信頼が失墜し、企業ブランド・競争力の低下に繋がるおそれがあります。<主要な対応策> 当社グループは原材料調達、生産における継続的なローコストオペレーションを推進するとともに、国内外の原材料原産地の状況把握に努め、調達先の分散化や代替原材料候補の探索を行い、原材料の安定調達に努めております。また、マーケットの変化に適合した新製品開発や高付加価値化戦略等により製品の適正価値維持に取り組むとともに、上昇した調達コストを適切に反映した製品の価格改定を着実に進めてまいります。併せて、サプライヤーの皆様のご協力のもと、サプライチェーンを通じて公正で倫理的な取引を基本とし、環境・人権等の社会的責任に配慮した責任ある調達活動を推進しております。 これらの取組みにより、安全な原材料を安定的かつ持続可能な形で調達することで、小麦粉や小麦粉関連製品を含めた「食」の安定供給を支え、ステークホルダーおよび社会から信頼される企業を目指してまいります。⑥ 情報セキュリティ・DX(デジタルトランスフォーメーション) 可能性の程度:中 影響度:大 当社グループは、業務効率の最適化を実現するため基幹系を始めとして多くのシステムを活用しておりますが、システム運用上のトラブルの発生、当社グループの予測不能なウィルスの侵入・サイバーテロやグループ内情報への不正アクセスなどによるシステムダウンにより、支払処理を含む顧客対応に支障をきたす可能性や、営業秘密・個人情報の社外への流出などによる費用の発生、社会的信用の低下などにより事業活動に影響を及ぼす可能性があります。一方、生成AIをはじめ新たな情報技術を活用したデジタルトランスフォーメーションへの対応の遅れ、またはこれらの技術活用に向けた投資が業務改革や事業競争力の向上に十分結びつかない場合には、市場の環境変化に伴う事業競争力や不測の異常事態発生時における事業継続の対応力の低下を招く可能性があります。<主要な対応策> このようなリスクを低減するため、当社グループでは「情報セキュリティ基本規程」に基づく積極的な情報セキュリティ活動(教育訓練含む)を展開するとともにセキュリティ関連の情報収集に努め、より高度なコンピューターウィルス対策の実行、基幹系サーバの二重化、第三者機関によるセキュリティ診断等、グループ全体として適切なセキュリティ対策、及びIT管理体制の構築に取り組んでおります。また、新たな情報技術の活用においても、機動性重視の対応方針の下、グループ横断で優先順位をつけた業務のデジタル化やデジタルトランスフォーメーションによる事業モデルの変革に取り組んでおります。また、デジタル教育やその基盤となる人材育成等の取組み、生成AI等のデジタルツール類の社内導入・活用等を進めております。⑦ 環境課題 可能性の程度:中 影響度:大 当社グループは、企業活動を通じて省エネルギー、廃棄物削減など環境負荷低減に積極的に取り組んでおります。しかしながら、当社グループの想定範囲を超えた環境に係る法的規制の変更、強化等の他、ステークホルダーからの環境対応要請の急激な高まり等により、これまでの想定を超える費用が発生する可能性があります。また、気候変動・水問題及び食品廃棄物・容器包装プラスチック廃棄物等のグローバルな環境課題に対して適切な対応ができなかった場合、地球環境保全に貢献できないだけでなく、当社グループの企業ブランド価値が低下し、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。<主要な対応策> 当社グループは地球環境保全を経営の最重要課題の一つとして「日清製粉グループ環境基本方針」を制定しております。ISO14001グループ認証を維持し、食品廃棄物の発生抑制や再利用、環境配慮設計の推進などの「食品廃棄物、容器包装廃棄物への対応」及び事業活動におけるCO2の排出量削減や水使用量削減などの「気候変動及び水問題への対応」を当社グループのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)に位置付け、2021年8月に、気候変動、食品廃棄物、容器包装廃棄物、水資源の4つの環境課題を中長期目標として設定し、環境保全、環境負荷軽減に取り組んでおります。 気候変動への対応といたしましては、目標年に向けた段階的な取組みを見える化するためのCO2削減ロードマップを作成し、また、CO2排出量の財務インパクトを可視化してCO2排出量削減に資する設備投資等を促進するため、インターナルカーボンプライシング(ICP)を導入しております。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づくシナリオ分析を実施し、炭素価格の上昇、異常気象の激甚化、農産物の生産量低下の影響と対応策について有価証券報告書や統合報告書に開示しております。 環境課題中長期目標の取組みや新たな課題等については、2023年度に設置したサステナビリティ委員会にて協議、確認し、下部専門委員会である環境委員会にてグループ横断で対応を推進しております。 今後、グループの総合力を結集して環境課題中長期目標の達成に向け取り組み、気候変動影響による自社のリスクと機会への対応を継続してまいります。⑧ 海外事業 可能性の程度:中 影響度:大 当社グループは、アジア、北米、オセアニアを中心に積極的にグローバル展開を推進し、海外売上高比率は30%前後で推移しております。また、コスト競争力強化のため、グローバルな最適生産体制の構築にも取り組んでおります。今後も海外事業基盤の拡大に取り組んでまいりますが、海外においては、政治あるいは経済の予期しない変動や法律・規制の変更、訴訟の提起、テロあるいは紛争等の発生、新型感染症の流行による事業活動の制約・停滞などにより、業績悪化、事業継続に支障が生じるなどの可能性があります。<主要な対応策> このような海外事業におけるリスクを低減するため、グループ横断のリスクマネジメント委員会の下部組織である海外安全対策部会や外部専門家等を通じて、現地経営環境を継続的にモニタリングし、それを踏まえた事業運営の適切な管理・サポート等の実施や、現地に派遣する従業員への研修などを行うとともに、現地従業員の安全確保に努めております。⑨ 為替変動 可能性の程度:中 影響度:中 当社グループは、加工食品事業をはじめ各事業において、原材料・製品の一部を海外より調達しており、為替変動により調達コストが増加する可能性があります。また、製粉事業においては副産物のふすま価格が為替で変動する輸入ふすま価格の影響を受ける可能性があります。海外事業においては損益、財務状況の外貨から円貨への換算額が為替変動により悪影響を受ける可能性があります。<主要な対応策> このような為替変動によるリスクに対応するため、当社グループではグループ横断の為替委員会を設置し、為替予約ルールの設定、為替に関する情報共有及び対策の協議を行うなど、為替変動により業績が大きく左右されないよう取り組んでおります。⑩ 人材の確保等 可能性の程度:中 影響度:中 当社グループは、持続的な企業価値向上のため事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進等の基本方針に基づく事業戦略を推進しており、それらに対応するための多様な人材を確保・育成する必要があります。しかし、労働力人口の減少や雇用情勢の変動等により、当社グループのそれぞれの事業で必要とする人材の確保・育成等ができない場合には、長期的に当社グループの競争力が低下する可能性があります。<主要な対応策> このような人材の確保に係るリスクに対応するため、当社グループでは、「人材力向上」と「組織力向上」の2つの観点による人材戦略を実行しており、新卒採用活動におけるグループ一括採用の導入やリファラル・アルムナイ採用の導入等、様々な手法によって採用活動を強化するとともに、次世代の経営者、デジタル人材、グローバル人材を育成するための教育・研修の充実に取り組んでおります。また、多様な価値観を持つ従業員一人ひとりが能力を十分に発揮できる、健全で働きがいのある労働環境の確保や業務効率化等による労働時間の削減や適切な労務管理に努めております。また、女性活躍の推進に向け、女性の事業経営者候補に対する個人別育成計画策定、社外メンターを活用したメンタリングの実施等、様々な取り組みを進めております。 ⑪ 人権課題 可能性の程度:低 影響度:大 国内外に広く事業領域を展開している当社グループにとって、自社及びそのサプライチェーン上の各種差別、ハラスメント、児童労働、強制労働等の人権諸課題への対応、及び関連法規制の順守は非常に重要な課題と認識しております。人種・国籍・性別・性的指向及び性自認・年齢・障がいの有無をはじめ、価値観・宗教・信条等の違いを認め合い、お互いを尊重し合う多様性に配慮した職場づくり及び企業活動が実現できない場合には、当社グループ及びブランドへのネガティブな評判が拡がるとともに、社員一人ひとりが能力を発揮出来ず、当社グループが求める優秀な人材の確保も困難になり、中長期的に当社グループの競争力が低下する可能性があります。<主要な対応策> 当社グループは2019年に5つの「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」を特定し、経営の最重要課題の一つと位置付けております。そしてマテリアリティの一つに「健全で働きがいのある労働環境の確保」を掲げており、従業員の健康や働きがいのある労働環境の確保等にグループ全体で取り組んでおります。人権課題への対応としては、人権に対する意識を高めるために専門部署を設置し、すべての役員・社員を対象に毎年人権啓発研修を実施しております。研修では、同和問題や職場のハラスメント問題をはじめ、ジェンダーギャップ解消、LGBTQへの理解促進、ビジネス遂行上の人権問題等、様々なテーマを取り上げ、身近な問題として人権を考えるとともに、人権視点で日常業務に取り組むよう啓発を行っております。また、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた「日清製粉グループ人権方針」を制定し、2021年より、サプライチェーンを含む主要事業の人権デュー・デリジェンスに取り組んでおります。⑫ 新技術への対応 可能性の程度:中 影響度:中 当社グループは、それぞれの事業において、急激な市場の変化や技術の進化・変化に適切な対応が取れず、製品開発技術力・生産技術力の低下、及び基盤技術の陳腐化に繋がった場合に加え、新技術を活用した新たな事業や事業モデルの探索において、事業化の難易度が想定以上に高い場合には、顧客ニーズに適合した魅力ある新製品開発ができずに、出荷低迷、企業ブランド価値の低下により経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。<主要な対応策> このような新技術への対応遅れ等のリスクに対応するため、当社グループでは、グループ横断プロジェクト等を活用した技術の進化と技術者の育成、グループシナジー効果を活用した技術領域の拡大、産官学共同研究等外部からの技術導入の推進等、社内外のリソースを活用し最大化することで継続的に技術力を強化し、市場で求められる製品開発に取り組んでまいります。特にデジタル技術に関しては人材育成が急務となっており、グループのデジタル活用をリードする人材の育成に取り組んでおります。 上記以外にも当社グループが事業活動を展開するうえで、経済情勢や業界環境の変化に伴う主要製品の出荷変動、単価下落リスクの他、国内外での法的規制・訴訟リスク、商標権・特許権等の知的財産権に伴うリスク、取引先(生産委託先を含む)の経営環境の変化によるリスクなど、様々なリスクが当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性がありますが、事業ポートフォリオの変化や事業構造の転換に伴い顕在化する新たなリスクについても適切に把握・管理し、これらのリスク回避、低減に向けて適切に取り組んでまいります。

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