3865

北越コーポレーション(3865)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

パルプ・紙 素材・化学

事業の概要

  • 紙パルプ事業
    北越コーポレーションは、パルプや紙の製造・販売を主力としています。自社で製造した製品は、主に自社販売会社や代理店を通じて顧客に届けられます。この事業は、同社の収益の大部分を占める基盤となっています。
  • パッケージング・紙加工事業
    紙器や液体容器の製造販売、紙加工品の製造・加工も手掛けています。これらの製品は、主に食品や飲料などのパッケージとして使用され、加工原紙の一部は自社から調達しています。
  • 多角的な事業展開
    上記主要事業に加え、バイオマス燃料チップの販売を行う木材事業、グループ設備の製作・保守や建設業を担うエンジニアリング事業、製品・原材料の運送・倉庫業、パレット製造・販売や古紙卸売業など、多岐にわたる事業を展開し、グループ全体の安定的な運営を支えています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 紙パルプ事業
    この事業は北越コーポレーションの主力であり、2802.43億円の売上高と182.51億円の営業利益を上げています。パルプや紙の製造・販売が主な内容で、国内外のグループ会社が連携して生産から販売までを手掛けています。同社の収益の大部分を占める稼ぎ頭です。
  • パッケージング・紙加工事業
    紙器や液体容器の製造販売、紙加工品の製造・加工を行っており、売上高は166.55億円、営業利益は2.28億円です。この事業は、食品や飲料などのパッケージ需要に応えるもので、一部の加工原紙は自社から調達しています。
  • その他事業
    有価証券報告書には具体的なセグメント別売上高の記載はありませんが、木材事業、建設業・機械製造・販売・営繕、運送・倉庫業、パレット製造・販売・古紙卸業など、多岐にわたる事業を展開しています。これらは主要事業を補完し、グループ全体の安定的な運営に貢献しています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
PaperPulp 事業 2,802 183 6.5%
PackagingAndPaperProcessing 事業 167 2 1.4%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,011 文字
3 【事業の内容】当社の企業集団は、当社、子会社22社及び関連会社6社で構成されております。当企業集団が営んでいる主な事業内容と当該事業に係る位置づけ及びセグメントとの関連は次のとおりであります。なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(セグメント情報等)」のセグメントと同一の区分であります。(1) 紙パルプ事業当社、Alberta-Pacific Forest Industries Inc.、Bernard Dumas S.A.S.及び北越東洋ファイバー㈱はパルプ・紙等を製造し、販売は主として当社、北越紙販売㈱、Alberta-Pacific Forest Industries Inc.及びその他の代理店を通じて行っております。㈱北越ペーパーテック新潟、㈱北越ペーパーテック紀州及び㈱北越ペーパーテック勝田は、製品の仕上、包装工程を受託しております。㈱北越ペーパーテック紀州及び㈱テクノ北越は、当社の紙製造に関する作業の請負をしております。MC北越エネルギーサービス㈱は、当社へ電力及び蒸気を供給しております。(2) パッケージング・紙加工事業北越パッケージ㈱及び東拓(上海)電材有限公司は、紙器・液体容器等の製造販売並びに紙加工品の製造、加工及び販売を行っております。また、その使用する加工原紙の一部を当社から購入しております。当社は、㈱ニッカンに紙の加工の一部を委託しており、その使用する加工用原紙の一部を供給しております。(3) その他① 木材事業㈱北越マテリアルは、バイオマスボイラー向け燃料チップの集荷及び販売を行っており、当社及び外部に販売しております。② 建設業、機械製造・販売・営繕㈱北越エンジニアリングは、当社グループの設備の一部を製作・納入するとともに、当社設備の保守・修繕作業を受託しております。また、同社は建設業を営み、請負工事等も行っております。③ 運送・倉庫業北越物流㈱及び北越水運㈱は、一般貨物運送業及び倉庫業を営み、当社の製品及び当社で使用する原材料の保管・運送を行っております。④ その他北越パレット㈱は、木材製品等を製造及び販売しており、当社には主にパレットを販売しております。また、古紙卸業を営み、当社及び外部に販売しております。 上記の企業集団の状況について事業の系統図を示すと次のとおりであります。 (注) 無印 連結子会社 ※ 持分法適用会社 △ 持分法非適用会社

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
製品は市況商品の割合が高く、経済情勢の変動に伴い製品価格が変動するリスクがあるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
紙パルプ産業は装置産業であり、生産コスト削減、品質向上、効率化のための設備投資が必要。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:製品需要及び価格の変動 / 原燃料市況の変動 / 海外の政治、経済情勢の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

北越コーポレーションは、長年培ってきた製紙技術や品質に対する信頼性はあるものの、特定の強力なブランドや特許による独占的な優位性は限定的。環境対応型製品など、技術革新による差別化は進めているが、競合他社も同様の取り組みを行っており、明確な無形資産としての強みは現時点では弱い。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

製紙業界では、顧客(印刷会社、包装材メーカー等)は品質や納期、価格を重視してサプライヤーを選定する。一度取引が始まると、品質基準の変更や新たなサプライヤー開拓の手間から、一定のスイッチングコストは存在する。しかし、代替可能な製品も多く、価格競争力や代替品の有無により、乗り換えのハードルはそれほど高くない。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

パルプ・紙業界のビジネスモデルにおいて、ネットワーク効果は基本的に発生しない。製品の価値は、生産技術や原材料、品質に依存し、ユーザー数の増加によって価値が増幅される構造ではない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

北越コーポレーションは、大規模な生産設備と効率的な生産プロセスにより、一定のコスト競争力を有している。特に、原燃料の調達やエネルギー効率の改善、製造工程の自動化・省力化を進めることで、業界平均と比較して有利なコスト構造を維持しようとしている。しかし、原材料価格の変動リスクは存在する。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

北越コーポレーションは、日本国内有数の製紙メーカーであり、特に印刷用紙や情報用紙、包装用紙などの分野で高い生産能力と市場シェアを持つ。大規模な生産設備と販売網は、新規参入企業にとって大きな障壁となる。業界全体が成熟し、寡占化が進む中で、その規模は競争優位の源泉となっている。

  • 一貫生産体制とグループ連携
    パルプ・紙の製造から、製品の仕上げ・包装、さらには電力供給までをグループ会社が担うことで、効率的な生産体制を構築しています。これにより、コスト競争力の維持や品質管理の徹底に繋がっています。
  • 多様な事業による安定性
    紙パルプ事業を核としつつも、パッケージング・紙加工、木材、エンジニアリング、物流など多角的な事業を展開しています。これにより、特定の事業の市況変動リスクを分散し、グループ全体の経営の安定性を高めています。
  • 国際的な事業展開
    カナダやフランスでの紙パルプ事業、中国での紙加工事業など、海外にも生産拠点を持ち、グローバルな事業展開を行っています。これにより、海外市場の需要を取り込み、事業規模の拡大とリスク分散を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針① 会社の経営の基本方針 当社グループは、「北越グループ企業理念」のもと、紙パルプ事業及びパッケージング・紙加工事業を核として、魅力ある商品とサービスを広く社会に提供し、顧客、株主、取引先、地域社会をはじめとする総てのステークホルダーの支持と信頼に基づいた企業グループの安定的かつ持続的な成長と企業価値の向上を図ることを経営の基本方針としております。 また、「北越グループ企業理念」に掲げる「自然との共生」を達成するため、原料から製品に至るまでの環境へのあらゆる影響を最小限にとどめることにより、持続可能な社会の実現に貢献することを目的に「北越グループサステナビリティ基本方針」を制定しております。特に環境については、2050年までにCO2排出実質ゼロに挑戦するなど、気候変動問題に対する取組みを積極的かつ能動的に推進してまいります。 ② 目標とする経営指標当社グループは、事業活動の成果を示す売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益に加え、資本効率、財務健全性の観点からROE、ネットD/Eレシオを重要な経営指標として位置付け、これらの向上を通じて、企業価値の持続的な拡大を図ってまいります。 ③ 中長期的な会社の経営戦略当社グループは長期経営ビジョン「Vision 2030」に基づき、グローバル企業としての持続的な成長を目指してまいります。「Vision 2030」における企業グループイメージは、環境経営を基軸として、持続可能な社会の発展に貢献する企業グループ、多様な労働力と最新技術を活用し、時代に適応した新たな事業領域に挑戦する企業グループ、夢・希望・誇りが持てる働きがいのある企業グループであります。 また、長期経営ビジョン「Vision 2030」の企業グループイメージ実現に向けた最終ステップとして2026年4月より「中期経営計画 2030」をスタートさせました。「中期経営計画 2030」では、事業ポートフォリオシフトの加速、競争力強化による優位性の確立、サステナビリティ経営による価値創造の3つを基本方針としております。事業ポートフォリオシフトの加速については、輸出拡大の加速のための洋紙輸出営業本部、新規事業開発専門の組織として新規事業開発室をそれぞれ設置し、体制を整えております。今後も紙パルプの事業基盤に、環境経営、新規商品開発及びM&Aなどによる事業領域の拡大を加えて強力に推進していくことにより、継続的な企業価値の向上を目指してまいります。 (2) 経営環境及び対処すべき課題① 経営環境認識世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢の緊張が依然として継続する中、主要国における金融政策や通商政策を巡る不透明感も相まって、先行きの不確実性が高い状況が続いております。加えて、資源・エネルギー価格の変動や為替相場の不安定な動きなどが、各国経済や企業活動に影響を及ぼしております。このような環境下、国内紙パルプ産業においては、デジタル化の進展や人口構造の変化を背景とした需要構造の変化が引き続き進むとともに、エネルギー・原材料価格の高止まりや物流費の上昇、人手不足の深刻化など、引き続き厳しい事業環境が継続しております。 ② 対処すべき課題イ 事業ポートフォリオシフトの加速当社グループは、北米のパルプ事業や欧州の機能材事業などを展開しており、それらの強化を図るとともに、輸出製品の販売拡大も進め、事業ポートフォリオシフトを積極的に実行してまいりました。「中期経営計画 2030」では、主にパッケージング事業の拡大、白板紙再構築、輸出の拡大、戦略投資の4つの分野に注力してまいります。パッケージング事業の拡大については、伸長している包材事業の受注拡大に対応するため、グループ内製化や新商品開発等、生産能力の拡張を図ります。また、食品用高機能紙容器「ハロパック」の拡販・収益化を推進します。白板紙再構築については、食品一次容器やトレーディングカード等の成長分野への製品シフトを推進します。また、生産拠点の見直しにより、新潟工場及び関東工場で最適な生産体制の構築を検討してまいります。輸出の拡大については、2026年4月に新設した洋紙輸出営業本部のもと、安定した需要と十分な市場規模を有する海外市場への販売強化に取り組みます。具体的には、米国やインドをターゲットに、洋紙輸出比率を2025年度の27%から2030年度には38%まで高める方針であります。戦略投資については、2026年4月に新設した新規事業開発室のもと、当社グループの将来の持続的成長を支える新規事業の開拓を進めます。具体的には、機能材分野や紙加工分野などをターゲットに、国内外のM&A案件を検討してまいります。これらを通じて事業ポートフォリオの最適化を加速し、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。 ロ 競争力強化による優位性の確立当社グループは、国内紙パルプ業界をリードする環境競争力を有する製品をお客様に提供することにより、多くのご支持をいただいております。今後も「中期経営計画 2030」においてさらなる企業価値の向上を果たし、国内紙パルプ業界において揺るぎない地位の確立を目指し、既存事業の基盤強化と、環境事業への取り組みを重点戦略として推進してまいります。既存事業の基盤強化としては、当社グループのコア事業である洋紙事業のコスト競争力の徹底強化と品質確保、国内シェア拡大など、競争力強化を図ることで業界優位のポジション確立を目指すと共に、国内最大規模の基幹工場である新潟工場の高効率操業を活かしつつ、併せて製品全般について適時かつ適正な価格改定のアクションをとってまいります。また、当社は2024年5月に大王製紙㈱との戦略的業務提携基本契約を締結し、生産技術、製品物流、原材料購買におけるコストダウン施策において一定の収益改善効果を発現してきています。具体的には、当社において提携1年目である2024年度に13億円、2年目の2025年度には30億円を上回る収益改善効果を積み上げております。また、2026年3月には戦略的業務提携の深化を公表しており、両社が対等な資本関係を構築することで取り得る施策の範囲を拡大し、企業価値の一層の向上を目指してまいります。環境事業の取り組み推進については、当社グループが先進的に進めてきた燃料転換や省エネ活動、CO2削減などの環境投資に加え、排出量取引制度への対応や、国内外CCS事業、紙・パルプの再生可能資源としての価値創造、北米の広大な森林資源の活用などを将来の新たな事業として位置付けて取り組みを進め、成長させてまいります。特に国内CCS事業については、紙パルプ業界で唯一の参画企業であり、これまでの環境事業への取り組みを活かして積極的に推進していきます。 ハ サステナビリティ経営による価値創造当社グループは、「Vision 2030」に掲げる「環境経営を基軸として、持続可能な社会の発展に貢献する企業グループ」の実現に向けて、サステナビリティを競争力の源泉と位置づけております。その中核となるのが、環境経営戦略の実践、人的資本経営、コーポレートガバナンスの強化であります。(a) 環境経営戦略の実践当社は、「北越グループ ゼロCO2 2050」の達成に向けて、CO2排出量削減を着実に進めるとともに、環境負荷の低い輸送や生産体制の構築を推進しております。例えば、鉄道貨物輸送を活用したモーダルシフトの拡大や、異業種とのラウンドマッチング輸送の開始など、物流面でのCO2排出量削減を具体的に進めております。さらに、CDPでは、フォレスト、水セキュリティの両分野で最高評価の「A」、気候変動で「A-」と、全ての分野で最上位のリーダーシップレベルを獲得するなど、当社の環境対応は外部からも高く評価されております。今後も、燃料転換やCCS事業、環境配慮型製品の展開など、環境事業の可能性を広げ、社会のカーボンニュートラル実現に貢献してまいります。(b) 人的資本経営当社は、社員一人ひとりが能力を発揮できる環境を構築することこそが、組織の創造性と競争力の源泉であると考えております。そのため、多様な人材の活躍を後押しし、働きがいのある職場づくり、健康経営、安全衛生活動に取り組んでおります。また、株式給付信託(従業員持株会処分型)の導入や、持株会奨励金の引き上げを通じて、従業員が自らの成長を企業価値の向上として実感できる仕組みも整えてまいりました。加えて、人権方針のもと、サプライチェーンも含めた人権尊重の取り組みを進め、外部環境の変化に柔軟に対応できるレジリエントな組織を構築してまいります。(c) コーポレートガバナンスの強化当社は、経営の監督と執行の役割を明確にし、透明性と実効性を高めることで、意思決定のスピードと質を両立させてまいります。取締役の任期短縮や、会長 グループCEOと社長 COOによる経営体制への移行もその一環であります。こうしたガバナンスの強化を通じて、資本効率を意識した経営を徹底し、稼ぐ力の最大化と企業価値の向上を実現してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針① 会社の経営の基本方針 当社グループは、「北越グループ企業理念」のもと、紙パルプ事業及びパッケージング・紙加工事業を核として、魅力ある商品とサービスを広く社会に提供し、顧客、株主、取引先、地域社会をはじめとする総てのステークホルダーの支持と信頼に基づいた企業グループの安定的かつ持続的な成長と企業価値の向上を図ることを経営の基本方針としております。 また、「北越グループ企業理念」に掲げる「自然との共生」を達成するため、原料から製品に至るまでの環境へのあらゆる影響を最小限にとどめることにより、持続可能な社会の実現に貢献することを目的に「北越グループサステナビリティ基本方針」を制定しております。特に環境については、2050年までにCO2排出実質ゼロに挑戦するなど、気候変動問題に対する取組みを積極的かつ能動的に推進してまいります。 ② 目標とする経営指標当社グループは、事業活動の成果を示す売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益に加え、資本効率、財務健全性の観点からROE、ネットD/Eレシオを重要な経営指標として位置付け、これらの向上を通じて、企業価値の持続的な拡大を図ってまいります。 ③ 中長期的な会社の経営戦略当社グループは長期経営ビジョン「Vision 2030」に基づき、グローバル企業としての持続的な成長を目指してまいります。「Vision 2030」における企業グループイメージは、環境経営を基軸として、持続可能な社会の発展に貢献する企業グループ、多様な労働力と最新技術を活用し、時代に適応した新たな事業領域に挑戦する企業グループ、夢・希望・誇りが持てる働きがいのある企業グループであります。 また、長期経営ビジョン「Vision 2030」の企業グループイメージ実現に向けた最終ステップとして2026年4月より「中期経営計画 2030」をスタートさせました。「中期経営計画 2030」では、事業ポートフォリオシフトの加速、競争力強化による優位性の確立、サステナビリティ経営による価値創造の3つを基本方針としております。事業ポートフォリオシフトの加速については、輸出拡大の加速のための洋紙輸出営業本部、新規事業開発専門の組織として新規事業開発室をそれぞれ設置し、体制を整えております。今後も紙パルプの事業基盤に、環境経営、新規商品開発及びM&Aなどによる事業領域の拡大を加えて強力に推進していくことにより、継続的な企業価値の向上を目指してまいります。 (2) 経営環境及び対処すべき課題① 経営環境認識世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢や中東情勢の緊張が依然として継続する中、主要国における金融政策や通商政策を巡る不透明感も相まって、先行きの不確実性が高い状況が続いております。加えて、資源・エネルギー価格の変動や為替相場の不安定な動きなどが、各国経済や企業活動に影響を及ぼしております。このような環境下、国内紙パルプ産業においては、デジタル化の進展や人口構造の変化を背景とした需要構造の変化が引き続き進むとともに、エネルギー・原材料価格の高止まりや物流費の上昇、人手不足の深刻化など、引き続き厳しい事業環境が継続しております。 ② 対処すべき課題イ 事業ポートフォリオシフトの加速当社グループは、北米のパルプ事業や欧州の機能材事業などを展開しており、それらの強化を図るとともに、輸出製品の販売拡大も進め、事業ポートフォリオシフトを積極的に実行してまいりました。「中期経営計画 2030」では、主にパッケージング事業の拡大、白板紙再構築、輸出の拡大、戦略投資の4つの分野に注力してまいります。パッケージング事業の拡大については、伸長している包材事業の受注拡大に対応するため、グループ内製化や新商品開発等、生産能力の拡張を図ります。また、食品用高機能紙容器「ハロパック」の拡販・収益化を推進します。白板紙再構築については、食品一次容器やトレーディングカード等の成長分野への製品シフトを推進します。また、生産拠点の見直しにより、新潟工場及び関東工場で最適な生産体制の構築を検討してまいります。輸出の拡大については、2026年4月に新設した洋紙輸出営業本部のもと、安定した需要と十分な市場規模を有する海外市場への販売強化に取り組みます。具体的には、米国やインドをターゲットに、洋紙輸出比率を2025年度の27%から2030年度には38%まで高める方針であります。戦略投資については、2026年4月に新設した新規事業開発室のもと、当社グループの将来の持続的成長を支える新規事業の開拓を進めます。具体的には、機能材分野や紙加工分野などをターゲットに、国内外のM&A案件を検討してまいります。これらを通じて事業ポートフォリオの最適化を加速し、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。 ロ 競争力強化による優位性の確立当社グループは、国内紙パルプ業界をリードする環境競争力を有する製品をお客様に提供することにより、多くのご支持をいただいております。今後も「中期経営計画 2030」においてさらなる企業価値の向上を果たし、国内紙パルプ業界において揺るぎない地位の確立を目指し、既存事業の基盤強化と、環境事業への取り組みを重点戦略として推進してまいります。既存事業の基盤強化としては、当社グループのコア事業である洋紙事業のコスト競争力の徹底強化と品質確保、国内シェア拡大など、競争力強化を図ることで業界優位のポジション確立を目指すと共に、国内最大規模の基幹工場である新潟工場の高効率操業を活かしつつ、併せて製品全般について適時かつ適正な価格改定のアクションをとってまいります。また、当社は2024年5月に大王製紙㈱との戦略的業務提携基本契約を締結し、生産技術、製品物流、原材料購買におけるコストダウン施策において一定の収益改善効果を発現してきています。具体的には、当社において提携1年目である2024年度に13億円、2年目の2025年度には30億円を上回る収益改善効果を積み上げております。また、2026年3月には戦略的業務提携の深化を公表しており、両社が対等な資本関係を構築することで取り得る施策の範囲を拡大し、企業価値の一層の向上を目指してまいります。環境事業の取り組み推進については、当社グループが先進的に進めてきた燃料転換や省エネ活動、CO2削減などの環境投資に加え、排出量取引制度への対応や、国内外CCS事業、紙・パルプの再生可能資源としての価値創造、北米の広大な森林資源の活用などを将来の新たな事業として位置付けて取り組みを進め、成長させてまいります。特に国内CCS事業については、紙パルプ業界で唯一の参画企業であり、これまでの環境事業への取り組みを活かして積極的に推進していきます。 ハ サステナビリティ経営による価値創造当社グループは、「Vision 2030」に掲げる「環境経営を基軸として、持続可能な社会の発展に貢献する企業グループ」の実現に向けて、サステナビリティを競争力の源泉と位置づけております。その中核となるのが、環境経営戦略の実践、人的資本経営、コーポレートガバナンスの強化であります。(a) 環境経営戦略の実践当社は、「北越グループ ゼロCO2 2050」の達成に向けて、CO2排出量削減を着実に進めるとともに、環境負荷の低い輸送や生産体制の構築を推進しております。例えば、鉄道貨物輸送を活用したモーダルシフトの拡大や、異業種とのラウンドマッチング輸送の開始など、物流面でのCO2排出量削減を具体的に進めております。さらに、CDPでは、フォレスト、水セキュリティの両分野で最高評価の「A」、気候変動で「A-」と、全ての分野で最上位のリーダーシップレベルを獲得するなど、当社の環境対応は外部からも高く評価されております。今後も、燃料転換やCCS事業、環境配慮型製品の展開など、環境事業の可能性を広げ、社会のカーボンニュートラル実現に貢献してまいります。(b) 人的資本経営当社は、社員一人ひとりが能力を発揮できる環境を構築することこそが、組織の創造性と競争力の源泉であると考えております。そのため、多様な人材の活躍を後押しし、働きがいのある職場づくり、健康経営、安全衛生活動に取り組んでおります。また、株式給付信託(従業員持株会処分型)の導入や、持株会奨励金の引き上げを通じて、従業員が自らの成長を企業価値の向上として実感できる仕組みも整えてまいりました。加えて、人権方針のもと、サプライチェーンも含めた人権尊重の取り組みを進め、外部環境の変化に柔軟に対応できるレジリエントな組織を構築してまいります。(c) コーポレートガバナンスの強化当社は、経営の監督と執行の役割を明確にし、透明性と実効性を高めることで、意思決定のスピードと質を両立させてまいります。取締役の任期短縮や、会長 グループCEOと社長 COOによる経営体制への移行もその一環であります。こうしたガバナンスの強化を通じて、資本効率を意識した経営を徹底し、稼ぐ力の最大化と企業価値の向上を実現してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況当社グループにおきましては、世界的なパルプ市況の軟化や、国内洋紙の内需減退の継続及び輸出市況の軟化による販売数量の減少等により、減収減益となりました。当社グループの当期における業績は以下のとおりです。売 上 高287,736百万円(前連結会計年度比5.9%減)営 業 利 益7,539百万円(前連結会計年度比61.8%減)経 常 利 益11,271百万円(前連結会計年度比39.9%減)親会社株主に帰属する当期純利益7,299百万円(前連結会計年度比53.0%減) 主なセグメント別の経営成績は、下記のとおりであります。 紙パルプ事業紙パルプ事業につきましては、洋紙・パルプの販売数量減少により、減収減益となりました。品種別には、洋紙につきましては、国内販売は、需要の減少が継続していることにより、塗工紙等を中心に販売数量は減少し、輸出販売においても販売数量の減少と販売価格の低迷により減収となりました。板紙につきましては、価格改定を実施したことにより増収となりました。グレード別には、特殊白板紙は、価格改定を実施したものの、需要低迷により販売数量が減少し、減収となりました。高級白板紙は、トレーディングカード用途の需要が堅調で、新規案件の受注もあり販売数量が増加し、価格改定を実施したことも加わり、増収となりました。コート白ボールは、食品・菓子向けは需要低迷により、販売数量は減少したものの、拡販努力と価格改定を実施したことにより、増収となりました。段ボール原紙は、採算性の高い薄物強化芯等の拡販により、販売数量は増加し、増収となりました。機能材につきましては、機能紙分野においては、電子部品搬送用のチップキャリアテープ原紙は、自動車やAI関連需要の続伸で販売数量が増加し、特殊紙・情報用紙分野においては、主に輸出販売におけるタック関連等加工原紙等で販売数量が増加したことにより、増収となりました。パルプにつきましては、海外市場におけるパルプ価格の下落及び販売数量の減少により、減収となりました。以上の結果、紙パルプ事業の業績は以下のとおりとなりました。売上高261,384百万円(前連結会計年度比6.7%減)営業利益5,963百万円(前連結会計年度比67.3%減) パッケージング・紙加工事業パッケージング・紙加工事業につきましては、液体容器の価格改定及び販売数量の増加等により、増収増益となりました。 この結果、パッケージング・紙加工事業の業績は以下のとおりとなりました。売上高17,437百万円(前連結会計年度比4.7%増)営業利益558百万円(前連結会計年度比144.0%増) その他木材事業、建設業、運送・倉庫業、古紙卸業をはじめとするその他事業につきましては、主に建設業において外部受注が増加したことにより、増収となりましたが、損益面におきましては、運送・倉庫業のコストアップにより、減益となりました。この結果、その他事業の業績は以下のとおりとなりました。売上高8,914百万円(前連結会計年度比1.1%増)営業利益647百万円(前連結会計年度比24.4%減) 総資産は、前連結会計年度末に比べて1,691百万円増加し、420,574百万円となりました。これは主として、現金及び預金が2,478百万円、電子記録債権が2,118百万円、商品及び製品が2,533百万円、原材料及び貯蔵品が3,860百万円、有形固定資産が6,183百万円、投資有価証券が38,058百万円、退職給付に係る資産が7,643百万円それぞれ増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が3,198百万円、関係会社株式が59,971百万円それぞれ減少したことによるものであります。負債は、前連結会計年度末に比べて14,814百万円増加し、167,827百万円となりました。これは主として、有利子負債が8,377百万円、繰延税金負債が6,529百万円それぞれ増加したことによるものであります。純資産は、前連結会計年度末に比べて13,122百万円減少し、252,747百万円となりました。これは主として、その他有価証券評価差額金が9,477百万円、退職給付に係る調整累計額が3,595百万円それぞれ増加した一方で、自己株式が6,512百万円、持分法適用会社の持分法適用除外及び資本剰余金への振替等により利益剰余金が29,032百万円減少したことによるものであります。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べて1,272百万円増加し、26,421百万円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は10,192百万円(前連結会計年度比75.1%減)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益11,525百万円、減価償却費13,833百万円、売上債権の減少額1,842百万円、利息及び配当金の受取額2,833百万円、支出の主な内訳は、退職給付に係る資産の増加額7,635百万円、棚卸資産の増加額5,406百万円、法人税等の支払額6,013百万円であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は3,279百万円(前連結会計年度は18,816百万円の支出)となりました。支出の主な内訳は、定期預金の預入による支出2,381百万円、投資有価証券の取得による支出2,984百万円、有形固定資産の取得による支出16,690百万円、収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入7,387百万円、関係会社株式の売却による収入12,331百万円であります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は6,254百万円(前連結会計年度は19,121百万円の支出)となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入18,205百万円、社債の発行による収入15,000百万円、支出の主な内訳は、短期借入金の減少額7,202百万円、長期借入金の返済による支出17,599百万円、配当金の支払額4,051百万円、自己株式の取得による支出10,986百万円であります。 ③ 生産、受注及び販売の実績a. 生産実績当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、その内容、構造、形式等は必ずしも一様ではありません。このため、セグメントごとの生産高を表示することは困難であります。そこで、紙パルプ事業の主要生産会社である当社及びAlberta-Pacific Forest Industries Inc.の当連結会計年度における主たる品種別生産実績を示すと、次のとおりであります。 区分生産高(t)前年同期比(%)紙洋紙1,013,58797.4板紙362,64998.7合計1,376,23697.7パルプ1,454,88097.6 b. 受注実績当社グループは、一部受注生産を行っているものもありますが、大部分は一般市況及び直接需要を勘案して計画生産を行い、自由契約に基づき販売しております。このため、グループ会社の受注実績を把握することが困難であります。そこで、受注実績については記載を省略しております。 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)紙パルプ事業261,38493.3パッケージング・紙加工事業17,437104.7その他8,914101.1合計287,73694.1 (注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合 相手先前連結会計年度当連結会計年度販売高(百万円)割合(%)販売高(百万円)割合(%)新生紙パルプ商事㈱36,66912.035,23012.2国際紙パルプ商事㈱19,4196.418,6116.4 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.経営成績の分析 (単位:百万円) 前連結会計年度(2025年3月期)当連結会計年度(2026年3月期)連結業績予想(2026年3月期)売上高305,718287,736292,000営業利益19,7277,5398,000経常利益18,75911,27110,000親会社株主に帰属する当期純利益15,5297,2996,000 当連結会計年度においては、パルプ市況の世界的な軟化に加え輸出販売の数量減少や価格低下により、過去最高売上高を記録した前年からは減収となり、海外売上高比率も34.4%に減少いたしました。利益においては、生産効率改善の他、原燃料価格低下がありましたが、上記事由による減益影響や固定費増加により、営業利益は減益となりました。経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は、持分法による投資利益を計上したものの、営業利益の減益影響が大きく、減益となりました。なお、上表記載の連結業績予想(2025年10月28日開示)との比較においては、売上高はパルプ販売の数量減少や価格低下により乖離しましたが、営業利益は生産効率改善や原燃料価格低下があり概ね連結業績予想並みの結果となりました。経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は持分法による投資利益の増加等により連結業績予想を上回りました。 b.財政状態の分析当連結会計年度末の流動資産合計は、現金及び預金及び棚卸資産が増加し、9,844百万円増加しました。固定資産合計では、減価償却費を上回る設備投資を実施した一方、関係会社株式を売却したことで投資その他の資産が減少し、8,152百万円減少しました。負債合計は、有利子負債や繰延税金負債が増加したことにより、14,814百万円増加しました。純資産合計においては、自己株式の取得や持分法適用会社の持分法適用除外等により13,122百万円の減少となりました。以上により、財務健全性指標の一つである自己資本比率は59.9%と前連結会計年度より3.4ポイント低下しておりますが、財政状態の健全性は引き続き維持できているものと認識しております。 c.キャッシュ・フローの分析営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益の減少及び法人税等の支払い増加により、前連結会計年度から30,739百万円減少し10,192百万円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、各種設備投資を実施した一方、関係会社株式の売却収入により3,279百万円の支出に抑えられました。財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債は増加したものの、自己株式取得の支出や配当金の支払いにより、6,254百万円の支出となりました。以上から、現金及び現金同等物の期末残高は前連結会計年度から1,272百万円増加の26,421百万円となっております。 d.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの取扱商品は市況商品が多く、需給動向や市場価格等の影響を大きく受けます。国内印刷情報用紙事業においては、構造的な需要減退が継続しており、市販パルプ事業は、世界的な需給バランスに加え、投機的な市場価格形成の影響が発生することから、大きな価格変動が生じます。当社グループが購入している原燃料につきましても市況商品が多く、価格変動リスクに晒されております。また国内事業においては輸入原燃料を多用しており、為替変動リスクだけでなく、各国の通商政策や地政学的リスクも、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。かかる認識の下、当社グループは事業ポートフォリオシフトに注力しており、取扱商品及び販売市場の拡充及び分散、特に輸出を含めた海外売上高比率の向上等による為替リスク軽減等に努めております。 e.当社グループの資本の財源及び資金の流動性当社グループは、事業活動に必要な流動性の安定確保と財務健全性の維持を基本方針としております。コマーシャル・ペーパーや長期社債発行等による直接調達及び金融機関借入等による間接調達を活用し、機動的かつ分散調達により安定的な財務基盤を確立しております。運転資金につきましては主にコマーシャル・ペーパーや短期借入金にて調達しており、いずれも調達枠には十分な余力を有しています。また、設備投資等につきましては主に長期社債、長期借入金等にて調達し、市場環境を鑑みながら調達手段を選択しております。安定的な財務基盤の指標の一つとして、有利子負債残高から現預金残高を差し引いた後のネット有利子負債残高を自己資本にて除したネットD/Eレシオを用いております。ネットD/Eレシオは一定水準以上であり、財務健全性は維持できております。なお、当社グループでは財務健全性を維持しつつ、有利子負債の有効活用により、財務レバレッジの改善に努め、資本コスト低減を進めてまいります。 (単位:百万円) 2025年3月期(前期)2026年3月期(当期)有利子負債残高88,97297,350現預金残高27,64430,123ネット有利子負債残高61,32867,227自己資本265,052251,816ネットD/Eレシオ0.23倍0.27倍 また、円滑な資金調達を継続するために株式会社格付投資情報センター(以下、「R&I」といいます。)及び株式会社日本格付研究所(以下、「JCR」といいます。)から格付を取得しており、下記格付の維持向上に努めてまいります。 R&IJCR短期格付a-1―(長期)発行体格付AA f.当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、全てのステークホルダーと共に持続的な成長を目指し、企業価値を向上させるために2030年を目標とする長期経営ビジョン「Vision 2030」を2020年5月に策定いたしました。その企業グループイメージの実現に向けた第2ステップとして、2023年4月より「事業ポートフォリオシフト」「競争力強化」「サステナビリティ(ESG)活動推進」を基本方針とした「中期経営計画 2026」に取り組んできました。最終年度となる当連結会計年度は中期経営計画には届きませんでしたが、前連結会計年度における営業利益は197億円を計上しており中期経営計画を概ね達成いたしました。 (単位:億円) 中期経営計画 2026(2026年3月期)2026年3月期(実績)売上高3,3002,877営業利益20075経常利益240112親会社株主に帰属する当期純利益20072ROE8.0%2.8%EBITDA390261 2026年4月からは「事業ポートフォリオシフトの加速」「競争力強化による優位性の確立」「サステナビリティ経営による価値創造」を基本方針とした「中期経営計画 2030」をスタートしております。本計画は長期経営ビジョン「Vision 2030」の実現に向けた最終ステップとなる重要な計画と認識しております。基本方針1つ目として、持続的成長に向け戦略投資による新規事業開拓の他、パッケージング事業拡大、白板紙再構築、輸出拡大を柱に事業構造の転換を加速します。基本方針2つ目は、既存事業の基盤強化と環境事業の推進を柱に収益を追求します。基本方針3つ目は、環境経営戦略の実践、人的資本経営、コーポレートガバナンス強化を経営へ直結させることで企業価値の最大化を図ります。上記基本方針に掲げる環境関連については、2021年に制定した「北越グループサステナビリティ基本方針」の下、「北越グループ ゼロCO2 2050」に挑戦すると共に、長期的な重要課題に積極的・能動的に取り組んでおります。2025年はCDPスコアにおいて、フォレスト分野に加え水セキュリティ分野でも最高評価のA評価となり、気候変動分野のA-評価と共に全ての分野で最上位のリーダーシップレベルを獲得いたしました。また、CCS事業につきましては、東新潟地域における事業の実現を目指しております。引き続き、サステナビリティ推進本部を中心に環境課題への対応を含めたサステナビリティ活動を推進し、企業価値の向上を図ります。 また、2024年5月に大王製紙㈱と戦略的業務提携を開始以降、生産技術、原材料購買、製品物流の各分野において積極的に活動しており、2年目となる当連結会計年度においても提携効果を発現し、収益改善に寄与しました。2026年3月には戦略的業務提携を深化させるべく、戦略的業務提携に関する覚書を締結しました。取り得る施策の具体的な範囲を拡大し、中長期的な企業価値向上に資する取り組みを推進してまいります。 g.主なセグメント別の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容紙パルプ事業のセグメント売上高は261,384百万円と前連結会計年度比6.7%の減少となり、セグメント利益は5,963百万円となりました。当該セグメントの売上高は連結売上高の90.8%を占めております。また当該セグメントの資産は総資産の94.4%を占め、当該セグメントの財政状態及び経営成績が連結財政状態及び経営成績に大きな影響を与えるものと考えております。当連結会計年度においては、国内での紙需要減退による販売数量減少に加え、輸出市況の弱含みから販売数量は減少し、紙販売数量合計は前年を下回りました。また、国内販売価格については、洋紙は前年に改定した価格を維持し、白板紙は価格改定により上昇しましたが、洋紙輸出販売価格についてはドル建値低下と円高進行により低下しました。利益面では、生産効率改善に努め、円高進行や原油価格低下による原燃料価格低下のコストダウンもありましたが、販売数量減少及び販売価格低下の影響が大きく減益となりました。カナダにおける市販パルプ事業では、世界的なパルプ市況軟化による販売数量及び販売価格の低下に加え、修繕費負担が増加する年度だったことから、減収減益となりました。2026年4月には、事業環境の大きな変化に対応するため、新たに洋紙輸出営業本部を新設し、国内事業と海外事業の競争力強化を同時に推進する体制を再構築しました。米国市場の販売強化やカスタマイズ商品への対応を図り、洋紙販売数量における輸出比率及び当社グループの海外売上高比率を高めてまいります。当該セグメントの売上高及び収益力を安定かつ強化するべく、引き続き事業ポートフォリオシフトに取り組んでまいります。 パッケージング・紙加工事業のセグメント売上高は17,437百万円と前連結会計年度比4.7%の増加となり、セグメント利益は558百万円となりました。当該セグメントの国内事業においては、液体容器の価格改定や食品一次容器の新規受注増加等から増収となりました。利益面では、上記事由や加工設備増強による外注加工費減少等により、増益となりました。また、中国における紙加工事業においては、有利品種の販売増加や生産コスト削減に取り組んだことにより増収増益となりました。引き続き、紙パルプ事業セグメント内の板紙事業と連携し当社グループの素材開発・原紙生産から製品まで一貫生産できる強みを活かし、需要増加が期待される紙容器・包材等のパッケージング事業に注力してまいります。 その他事業のセグメント売上高は8,914百万円と前連結会計年度比1.1%の増加となり、セグメント利益は647百万円となりました。当該セグメントは木材事業、建設業、輸送・倉庫業、古紙卸業等の多岐に亘っております。主に建設業において外部受注が増加したこと等から増収となりましたが、物流費等のコスト上昇により減益となりました。引き続き、当社グループが有する経営資源の有効活用を目的に安定した利益確保に努めてまいります。 ② 次期の見通し我が国経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により緩やかな回復の継続が期待されるものの、中東情勢の緊迫化に伴う原油価格高騰と原油由来製品の供給不安により景気変動リスクが増大しており、先行きの不確実性は高まっております。次期の見通しにつきましては、輸出販売の数量増加を計画し、パルプ市況回復による販売数量増加及び価格上昇により、売上高は増収を見込んでおります。利益面では、上記事由による増益が見込まれるものの、原油高及び円安による原燃料価格上昇のコストアップ影響が大きく、減益を予想しております。当社グループは、「北越グループサステナビリティ基本方針」に掲げる持続可能な社会の実現に貢献すべく、新たにスタートさせた「中期経営計画 2030」の基本方針に則した事業活動を推進し、企業価値向上を目指してまいります。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

事業リスク

  • 製品需要と価格の変動
    紙パルプ製品は景気や需要構造の変化、市況の影響を受けやすく、需要減少や価格下落が経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は「中期経営計画2026」で事業ポートフォリオシフトや競争力強化を掲げ、収益拡大を目指しています。
  • 原燃料市況の変動
    木材チップ、古紙、薬品、ガス、重油などの原燃料価格は、国際情勢の変動により大きく変動するリスクがあります。これらの価格上昇は製造コストを押し上げ、経営成績に影響を与えるため、サプライヤーの多様化による安定調達に努めています。
  • 海外の政治経済情勢
    海外からの原燃料調達や海外での事業展開において、現地の政治・経済情勢の変化、規制強化、政治不安などが事業運営に影響を及ぼす可能性があります。海外子会社では、現地弁護士等の助言に基づき、法改正等への迅速な対応体制を構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|4,364 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下「経営成績等」といいます。)に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクと対応の状況は、以下のとおりであります。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (特に重要なリスク)(1)製品需要及び価格の変動について当社グループは、紙パルプ事業及びパッケージング・紙加工事業を主力事業としており、景気後退や需要構造の変化等による需要減少の影響を受けることがあります。また、当社グループの製品は市況商品の割合も高いため、経済情勢の変動に伴い製品価格が変動するリスクがあります。これらの製品需要及び価格変動が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、「中期経営計画 2030」において「事業ポートフォリオシフトの加速」、「競争力強化による優位性の確立」及び「サステナビリティ経営による価値創造」を基本方針に掲げ、更なる事業基盤強化による収益拡大に向け取り組んでおります。 (2)原燃料市況の変動について当社グループは、主として木材チップ、古紙、薬品、ガス、重油等の原燃料を購入しておりますが、ロシア・ウクライナ問題、中東情勢の緊迫化などの国際情勢の変化に端を発する国内外の市況変動により、物流費用や原燃料等購入価格が変動するリスクがあります。その結果、これら原燃料費等の価格変動が当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、「北越グループ原材料調達基本方針」を踏まえて、サプライヤーの多様化等により有利購買、安定調達に努めております。 (3)海外の政治、経済情勢の変動について当社グループは、木材チップ、重油等の原燃料の多くを海外から調達しております。また、カナダ、フランスで紙パルプ事業を、中国で紙加工事業を展開しております。中東情勢の緊迫化などの現地の政局や経済情勢の変化による原燃料確保の困難な状況や価格の乱高下、または現地政府による規制や政治不安等による経済環境の悪化等のリスクがあり、それらが発生した場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、海外子会社では、現地弁護士やコンサルタント等のアドバイスに基づき法改正等に対する迅速な対応を行うことでリスクを軽減する体制を構築しております。 (4)法規制及び訴訟等について当社グループは、環境関係法令、公正取引関係法令、安全衛生関係法令、労働関係法令その他の各種法令等の適用を受けており、これらの改正等に適切に対応するため、追加の費用が発生する可能性があります。また、訴訟等のリスクに晒される可能性がないとは言えません。それらが発生した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは「北越グループ企業理念」及び「北越グループ行動規範」を制定し、当社グループ全社員に対し、法令・定款の遵守は勿論のこと、社内規程の遵守も徹底しております。 (5)設備投資について紙パルプ産業は装置産業であり、当社グループでは、生産コストの削減、品質向上、効率化等を目的とした設備投資を行っており、多くの有形固定資産を保有しております。設備投資の決定は、製品市場の需給予測など当社グループの慎重な分析に基づいております。しかし、将来的な事業環境の急激な変化等により、固定資産の価値が予想以上に減少した場合、減損処理が必要となり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。そのため、設備投資後も市場動向を常に注視し、最適な生産体制を維持する努力を続けております。 (6)自然災害・設備トラブルについて地震、洪水、台風、大雪等の自然災害、事故やテロ、突発的な設備トラブルの発生等のような予測不可能な事由により、当社グループの生産設備が大きな損害を受け、生産の継続が困難になるとともに、公共交通機関や公共道路の断絶等によるサプライチェーンの寸断等が発生し、復旧に多大な時間と費用が掛かるに至った場合には、当社グループの企業業績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは日常の保全体制の継続と設備トラブル発生時に適用される各種損害保険の付保や「緊急事態対応規程」に基づくBCP(事業継続計画)及び「緊急事態対応基準」等を策定しており、自然災害をはじめとした緊急事態に対処する態勢をとっております。 (7)気候変動について気候変動による地球温暖化や異常気象は、干ばつや森林火災、集中豪雨、大型台風、土砂災害などをもたらす原因となり、木材原料やその他の原材料の調達に影響を及ぼすほか、当社グループの所有する森林資産の価値を棄損する等のリスクになります。また、当社グループのみならずサプライチェーンが被害を受けることにより様々な事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは従来から気候変動リスクを低減するため、バイオマス燃料などへの燃料転換の設備投資を進め、率先して温室効果ガスの発生削減に取り組んでおり、TCFDに基づきリスクや機会を経営戦略に反映して、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする環境経営を推進しております。こうした取り組みの結果、2025年度、国際的な非営利団体CDPより、「気候変動」の分野において「A-」、「フォレスト」の分野において「A」、「水セキュリティ」の分野で「A」の評価を獲得しました。 (8)情報セキュリティについて当社グループは、特に重要な業務システムをプライベート・クラウド上に構築し情報セキュリティ上のリスクを低減しております。しかし、それらにサイバー攻撃等による情報セキュリティ事故が発生した場合、業務遂行に支障をきたし、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは「北越グループ情報セキュリティ基本方針」を定め、リスクの特定とその低減・回避・移転策を実施しています。具体的には、役職員に対する教育及び標的攻撃型メール訓練、IT・OT(Operational Technology)環境を対象としたセキュリティ脆弱性診断及び対策、コンピューター端末・サーバー上での不正なプログラムの実行を阻止するアプリケーションの導入等を実施し、ウイルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、社外への情報漏洩の防止に努めております。また、グループ各社の守るべき情報資産のバックアップ体制の構築、またサイバー保険への加入等により、インシデント発生時の緊急対応体制の整備も図っております。 (9)人材の確保について昨今の少子高齢化等による労働力不足により、人材の確保が困難となる可能性があります。また、労働環境の悪化や職場の安全衛生管理上の問題、従業員のモチベーションの低下等により、労働生産性の悪化、更には人材流出につながる可能性があります。それらが発生した場合には、当社グループの営業活動等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは、「北越グループダイバーシティ方針」及び「北越グループ人材育成方針」に則り、新規採用、経験者採用、多様な人材の採用及び確保並びに働きやすい会社風土の醸成及び仕事と生活の調和のための施策等、人的資本経営の推進を進めております。 (10)労働安全衛生について当社グループでは、抄紙機をはじめ多数の生産設備を保有しており、重篤な労働災害が発生した場合、生産活動等に支障をきたし、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、安全と健康が経営の根幹であることを基本とした「北越グループ安全衛生基本方針」を掲げ、その実現に向けて、安全衛生活動「hSA25」に沿って「安全人材育成」、「設備安全の推進」、「安全管理のしくみ構築」を維持、強化することにより、安全衛生パフォーマンスのさらなる向上を目指しています。 (11)企業買収等について当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を十分に理解したうえで、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。しかしながら、株式の大規模買付行為等の中には、経営を一時的に支配して当社の有形・無形の重要な経営資産を大規模買付者又はそのグループ会社等に移譲させることを目的としたものなど、当社の中長期的な企業価値ないし株主の皆様共同の利益を棄損するものがあります。そのため、当社の企業価値ないし株主の皆様共同の利益を毀損する大規模買付行為等を行おうとする者に対しては、株主の皆様の検討のための時間と情報の確保に努めるなど、会社法、金融商品取引法、企業買収における行動指針その他関連法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。 (重要なリスク)(12)株価の変動について当社グループは、取引先を中心に株式を保有しておりますが、市場性のある株式については、各種要因による株価の変動により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、特に政策保有株式の保有による企業価値向上効果やリスクについて、毎年取締役会で検証しております。 (13)為替変動について当社グループは、製品輸出取引、原燃料輸入取引及び海外子会社の業績において為替変動の影響を受けることがあります。この為替変動が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を回避するため、一部為替予約によるリスクヘッジを実施しております。 (14)金利変動について当社グループは一定の有利子負債を有しており、今後の市場金利上昇は、当社グループの経営成績や投資戦略等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、グループファイナンスの実施等、グループ資金の効率化に努めております。 (15)連結子会社の内部統制について当社グループは、国内の他、カナダ、フランスで紙パルプ事業を、中国で紙加工事業を展開しております。国内外連結子会社における内部統制に予期せぬ脆弱性があった場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。そのため、当社の内部監査部門であるグループ統制管理室による管理下で、経営から独立した専任の内部監査人の設置、海外連結子会社においては内部監査部門の設置または現地の専門コンサルタントによるアドバイザリー業務の実施等により、内部統制の強化を図っております。

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