3878

巴川コーポレーション(3878)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 多角的な事業展開
    巴川コーポレーションは、トナー、半導体・ディスプレイ関連、機能性シート、セキュリティメディア、新規開発の5つの主要事業を展開しています。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、安定した収益基盤の構築を目指しています。
  • グローバルな製造販売網
    トナー事業では、米国、欧州、香港、中国に販売子会社を、中国に製造子会社を配置し、グローバルな生産販売体制を構築しています。これにより、世界中の需要家に対し効率的に製品を供給し、市場ニーズに対応しています。
  • 技術融合による新製品開発
    新規開発事業では、グループが保有する基礎技術や要素技術を組み合わせることで、新しい製品やサービスを生み出しています。これにより、将来の成長ドライバーを育成し、持続的な企業価値向上を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • トナー事業
    複合機・プリンター用トナーや粉体関連製品を事務機器メーカー等に販売する事業です。売上高124.15億円、営業利益8.49億円と、同社グループ内で最も大きな売上と利益を上げており、主要な収益源となっています。
  • 半導体・ディスプレイ関連事業
    FPD向け光学フィルムや半導体実装用テープ、静電チャックなどをICメーカー等に販売する事業です。売上高65.3億円に対し営業利益8.04億円と、売上規模はトナー事業に次ぐものの、高い利益率を誇る重要な事業セグメントです。
  • 機能性シート事業
    洋紙、電気絶縁紙、セラミック繊維シート、磁気記録関連製品、印刷・記録関連製品などを製造・販売する事業です。売上高112.09億円とトナー事業に次ぐ規模ですが、営業利益は0.58億円と低く、収益性の改善が課題となっている可能性があります。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
TonerBusiness 地域 124 8 6.8%
SemiconductorAndDisplayRelated 事業 65 8 12.3%
FunctionalSheet 事業 112 1 0.5%
SecurityMediaBusiness 地域 40 3 7.9%
NewBusinessDevelopment 地域 0 -8 -1,863.6%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,534 文字
3【事業の内容】 当社及び当社の関係会社(当社、連結子会社14社、非連結子会社3社、持分法適用関連会社1社及び持分法非適用関連会社1社(2026年3月31日現在)により構成)においては、トナー事業、半導体・ディスプレイ関連事業、機能性シート事業、セキュリティメディア事業、新規開発事業を主要な事業分野としております。 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりです。 以下の事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」の事業区分と同一です。 (トナー事業) トナー事業は、トナーの製造、販売に関する事業から成っております。当セグメントは、複合機・プリンター用トナー、粉体関連製品等の化成品を事務機器メーカー、複合機メーカー等へ販売しております。 当社は各子会社をその機能から製造会社と販売会社に区分し、グローバルな生産販売活動が最適となるよう、各拠点間で製品等を相互に供給しあい需要家へ販売しております。 子会社のTOMOEGAWA(U.S.A.)INC.、TOMOEGAWA EUROPE B.V.、TOMOEGAWA HONG KONG CO.,LTD.及び巴川(広州)国際貿易有限公司は販売機能を担っております。また、子会社の巴川影像科技(恵州)有限公司及び日彩影像科技(九江)有限公司は主として製造機能を担っております。 子会社の新巴川加工株式会社では、当社より半製品等の供給を受け、製造及び仕上加工を行っております。 (半導体・ディスプレイ関連事業) 半導体・ディスプレイ関連事業は、光学フィルムの製造、販売に関する事業、半導体実装用テープ、半導体関連部品の製造、販売に関する事業から成っております。当セグメントは、FPD向け光学フィルム等をフィルムメーカー等へ販売し、QFPリードフレーム固定テープや静電チャック等をICメーカー、リードフレームメーカー等へ販売しております。 子会社の新巴川加工株式会社では、当社より半製品等の供給を受け、製造及び仕上加工を行っております。 関連会社のTOPPAN・TOMOEGAWAオプティカルフィルム株式会社は、製品を製造し、需要家に販売しております。 (機能性シート事業) 機能性シート事業は、製紙・機能性不織布の抄造、販売に関する事業及び紙等への塗工、販売に関する事業から成っております。当セグメントは、木材パルプ由来の洋紙、電気絶縁紙、セラミック繊維シート等を代理店や需要家へ販売し、紙等に塗工した磁気記録関連製品、印刷・記録関連製品等の塗工紙を鉄道・バス会社、機器メーカー等に直接販売しております。また、紙ベースの再湿糊塗布製品、ガムテープ、米麦・セメント・塩用クラフト重袋等を需要家へ販売しております。 当社と各子会社は製品等を供給しあい、必要な加工等を各社で行い、需要家へと販売しております。 子会社の新巴川加工株式会社では、当社より半製品等の供給を受け、製造及び仕上加工を行っております。 (セキュリティメディア事業) セキュリティメディア事業は、有価証券、カード、帳票、磁気記録関連製品等の製造・加工及び情報処理関連事業を行っており、需要家へ販売しております。 (新規開発事業) 新規開発事業は、当社グループが保有する基礎・要素技術の融合を行い新製品開発と需要家への販売を行っております。 (その他の事業) その他の事業としては、不動産賃貸、物流サービス等を行っております。 子会社の巴川物流サービス株式会社は、当社グループの製品等の輸送、保管等を行っております。 以上の企業集団の概略を図示すれば次のとおりです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
競合他社との価格競争による影響で需要が減少するリスクがあるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
有効な知的財産権の構築と、粉体技術、粘接着技術、抄紙技術、塗工技術、特殊加工技術。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
会社が挙げる主要リスク:市場の変動及び技術革新による影響 / 主要原材料、燃料価格の変動による影響 / 海外の事業展開に伴う影響
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 5 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

提供された財務サマリに無形資産に関する具体的な情報や、ブランド力、特許、規制ライセンス、IPに関する記述がないため、現時点では評価不能。

スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト

化学品業界において、特定の用途向けにカスタマイズされた製品や、長年の取引実績に基づく信頼関係が存在する可能性はあるが、顧客が他社製品へ容易に切り替えられるリスクも否定できない。具体的なスイッチング・コストを示すデータは不足している。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

巴川コーポレーションの事業内容(化学品製造)において、ネットワーク効果が働くビジネスモデルは一般的ではなく、現時点では該当する要素は見当たらない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

長年の操業による生産ノウハウや、規模の経済によるコスト削減の可能性は示唆されるが、競合他社と比較した絶対的なコスト優位性を示す具体的なデータは提供されていない。原料調達力や製造プロセスの効率性に関する詳細な分析が必要。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

化学品業界は一般的に設備投資が大きく、一定の規模を持つ企業が有利となる傾向がある。巴川コーポレーションが業界内でどの程度のシェアを持ち、規模の経済を享受できているか、具体的な市場シェアや生産能力に関する情報が不足している。

  • 多様な産業への貢献
    同社は複合機・プリンター用トナー、半導体実装用テープ、光学フィルム、電気絶縁紙、セキュリティメディアなど、幅広い製品を多岐にわたる産業へ提供しています。これにより、特定の産業の景気変動に左右されにくい安定した事業構造を築いている可能性があります。
  • グローバルな生産・販売体制
    トナー事業では、米国、欧州、アジアに販売拠点を、中国に製造拠点を持ち、製品の相互供給を通じて最適なグローバル生産販売活動を展開しています。この国際的なネットワークにより、効率的なサプライチェーンと広範な市場アクセスを実現していると考えられます。
  • 長年の技術蓄積と応用力
    製紙・機能性不織布の抄造技術や紙への塗工技術、磁気記録関連製品の製造ノウハウなど、多岐にわたる分野で長年培ってきた技術を有しています。これらの基盤技術を組み合わせることで、新規開発事業を含む多様な製品開発に応用し、競争力を維持している可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループの経営理念は以下のとおりです。<TOMOEGAWAグループ経営理念>(ミッション:存在意義)感動こそが、持続可能な価値と考える。これまでも、これからも新製品・新技術開発に挑戦し、人や社会に新しい喜びを提案しつづける。(ビジョン:ありたい姿)グローバル視点の提案型ソリューションパートナーへ。前例にとらわれず、組織の壁を超え、チームと個の力を掛け合わせ、新たな感動を創造する。(バリュー:価値観)誠実 我々は事業に対しても人に対しても誠実を旨とする社会貢献 我々は事業を通じて社会に貢献する開拓者精神 我々は開拓者精神をもって事業に挺身する 具体的な経営方針としましては、「高機能性材料の提供のみにとどまらず、それらを活用したモジュール化、部品化、装置化までを手掛ける提案型ソリューションパートナーとなる」という覚悟のもと、半導体分野からメディカル、そして宇宙に至る領域に投資と挑戦を加速させ、「開拓者精神」をもって次々と新たな事業の柱を育て、社会や産業の基盤を支える「不可欠なテクノロジー」をもって社会貢献してまいります。 (2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標 当社グループは、2026年4月1日からの新体制発足に合わせ、2027年3月期を初年度とし2029年3月期を最終年度とする3ヶ年の第9次中期経営計画を策定しました。 本計画では、第8次中期経営計画までの成果と課題を踏まえ、既存事業の構造改革による収益基盤強化と新事業の創出を柱とする成長戦略を推進するとともに、知財戦略やパートナー連携を通じて事業拡大を図り、DX・AI活用による生産性向上と人的資本強化により持続的成長と強固な経営基盤の確立を目指します。そして将来の成長を見据えた設備投資を先行し、2029年4月以降を想定する第10次中期経営計画期間におけるさらなる飛躍を目指してまいります。 本計画最終年度においては、売上高400億円、営業利益20億円、経常利益22億円、ROE5.4%、新製品売上高比率30%の達成を目標としています。 (3)経営環境 わが国経済は、企業の設備投資の底堅さや雇用・所得環境の改善などにより引き続き緩やかな回復傾向となりました。一方で、国内では賃上げ効果を相殺するような物価上昇や海外では出口の見えないウクライナ情勢、中東紛争勃発によるエネルギー価格の上昇や石油関連製品の価格上昇及び供給不安など、依然として先行き不透明な状況が続いております。 このような状況の中、当社グループにおいては、構造改革を着実に推進させるとともに、当社が競争力を有する半導体・ディスプレイ関連事業が年度を通じて堅調に推移したほか、機能性シート事業における機能性不織布関連製品が大きく伸長したこともあり、前年度から続くモノクロトナーの市況低迷の影響により連結売上高の3割強を占めるトナー事業が伸び悩んだものの、グループ全体としては前年実績を大きく上回る結果となりました。①トナー事業 モノクロトナー事業は、世界市場では2020年において新型コロナウイルス感染症の影響で数量が大きく減少したあと、その反動需要により2021年、2022年と増加しましたが、その後2023年に大きく減少したことに加え、中国メーカーの市場参入もあり業界全体での需給バランスが崩れ、価格競争が激化しているほか、中国経済の不振により2025年も販売低迷が続きました。今後も2~3%の減少が続くと見ております。こうした状況の中、当社としては、独立系トナーメーカーとして売上、開発力、品質、原材料購買力、供給安定性などNo.1のポジションを活かし、緩やかに縮小する市場の中で価格競争に打ち勝ってシェアを伸ばすことを引き続き目指してまいります。 一方、カラートナー事業についても、世界市場は2023年に大きく数量を減らしましたが、モノクロトナーのような落ち込みではありませんでした。付加価値の高いカラートナーとして今後の成長を見込んでいましたが、先行きは若干不透明なところがあります。ただし、トナー全体に占めるウエイトは引き続き伸びており、積極的に新製品開発などを進め、売上、数量、シェアの伸長を引き続き目指してまいります。 なお、複写機・複合機の世界出荷台数がモノクロ・カラーを問わず減少している中、当事業の環境変化への対応と成長戦略の方向性についても対処すべき課題として認識しております。 ②半導体・ディスプレイ関連事業 半導体実装用テープ事業は、主力のリードフレーム固定テープが高い信頼性と採用実績から車載用途を中心に使用されており、家電、自動車のエレクトロニクス化の流れにおいて半導体産業が成長している状況で、中期的な成長を見込んでおります。また、半導体製造に使われるQFN用接着テープについても、市場の成長に加え、当社シェアを伸ばすことでリードフレーム固定テープに次ぐ主力製品に育成していくことを目指しております。さらに、将来的な成長が期待できる半導体製造装置向けフレキシブル面状ヒーターについては、量産体制構築に向けた設備投資を行うなど、早期の量産・販売に向けた準備を着実に進めております。 ディスプレイ用光学フィルム事業は、スマートフォン、タブレットパソコン、ウェアラブル、車載用途を中心とした中小型パネル市場で展開しております。特に、高い信頼性を必要とする車載においては、ディスプレイ用飛散防止フィルムとして高いシェアを得ており更なるシェア拡大を進めます。高付加価値を必要とするハイエンドLCD・OLED向けにおいては継続した拡販活動、並びに新製品開発・新規受託の両面からビジネス拡大に取り組んでおります。 ③機能性シート事業 構造改革を進めている製紙関連事業は、設備の老朽化が進んでいることから、継続的な価値最大化を狙い、マシン統合などの稼働設備の効率化や業務改善を積極的に進めており、2019年末の7号抄紙機停機、2022年3月末の9号抄紙機停機に加え、2027年3月末を目途として1号抄紙機及び2号抄紙機を停機することを決定しました。これにより、一連の製紙関連事業の構造改革は完遂し、国内での製紙生産から撤退することとなります。 成熟事業である塗工紙関連事業は、磁気乗車券等の製品群を取り扱っております。非接触方式に変わる等、システム変更による別素材・方式での代替が徐々に進んでいましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い市場縮小が加速いたしました。今後は、株式会社NichiRicaを含め、同社と補完関係にある相互の製造設備の有効活用や当社グループの粘接着技術及び塗工・加工技術の強化によるシナジー効果の具現化を加速してまいります。 一方、成長事業として位置付けている機能性シート関連事業は、当社の強みである抄紙技術を活かし、パルプ以外のさまざまな原料の繊維を用いて機能性不織布関連の製品化を進めてまいりました。その事業の特性上少量多品種生産への対応が必要とされるため、大手製紙会社の参入がなく、競争環境に恵まれた事業であり、今後様々なビジネスチャンスが期待できます。 ④セキュリティメディア事業 有価証券印刷やICカード、ポイントカード、プリペイドカード等の製造、加工及び情報処理関連事業を行うセキュリティメディア事業においては、コンビカードへの切り替えが進んでいることに加え、環境系素材を活用した展開も進めています。今後は、デジタル社会におけるセキュリティの追求、キャッシュレスに代表される決済手段の多様化といったニーズへの対応、さらなる事業シナジーの追求を通じて成長戦略の実現に向けた取り組みを推進してまいります。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループは、急速に変化する経営環境のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、2027年3月期を初年度とする第9次中期経営計画を策定しました。本計画は、第8次中期経営計画で進めてきた事業ポートフォリオ転換及び構造改革に伴う収益基盤の強化を踏まえ、次期成長フェーズである第10次中期経営計画の本格的事業成長に向けた準備段階となる3ヶ年の計画と位置付けています。 当社グループは、再定義した経営理念のもと、顧客満足と社会的価値の両立を図る価値創造経営を推進するとともに、事業活動を通じて得られた成果を成長投資や社会への還元につなげることで、「持続可能な企業価値の向上」を目指しています。その実現に向け、以下の対処すべき課題に重点的に取り組んでまいります。①製紙・塗工紙事業における構造改革を完遂し、安定的かつ強固な収益基盤を確立する②フレキシブル面状ヒーターやグリーンチップCMFをはじめとする新製品について、課題解決型の技術開発により確実に立ち上げる③独自の発想を生かした複合化技術の開発や、それらの新分野・新市場への展開を進めるとともに、知的財産を戦略的に確保する④海外市場を含む新規市場の開拓及び事業部間連携による横断的な事業展開を強化する⑤パートナー企業との協業を通じて、単独では実現できない付加価値創出を進める⑥DX及びAIの活用により、業務の見える化と生産性向上を推進し、筋肉質な経営体制を構築する⑦多様な人財一人ひとりの強みを生かす人財戦略を強化し、挑戦と協働を促す企業文化を醸成する⑧事業拡大に伴うリスク低減を図り、社会から信頼される企業基盤を確立する これらの課題への対応にあたっては、事業成長に資する設備投資や研究開発投資を優先しつつ、資産圧縮による資本効率化を進めながら、財務健全性の確保と株主還元とのバランスを意識した資本配分を行い、将来の成長に向けた投資余力の確保に努めてまいります。 また、事業の多角化及び海外拠点の拡大を見据え、グループ全体のガバナンス、内部統制及びリスクマネジメント体制の強化を進め、将来の成長を支える経営基盤の整備に継続して取り組んでまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針 当社グループの経営理念は以下のとおりです。<TOMOEGAWAグループ経営理念>(ミッション:存在意義)感動こそが、持続可能な価値と考える。これまでも、これからも新製品・新技術開発に挑戦し、人や社会に新しい喜びを提案しつづける。(ビジョン:ありたい姿)グローバル視点の提案型ソリューションパートナーへ。前例にとらわれず、組織の壁を超え、チームと個の力を掛け合わせ、新たな感動を創造する。(バリュー:価値観)誠実 我々は事業に対しても人に対しても誠実を旨とする社会貢献 我々は事業を通じて社会に貢献する開拓者精神 我々は開拓者精神をもって事業に挺身する 具体的な経営方針としましては、「高機能性材料の提供のみにとどまらず、それらを活用したモジュール化、部品化、装置化までを手掛ける提案型ソリューションパートナーとなる」という覚悟のもと、半導体分野からメディカル、そして宇宙に至る領域に投資と挑戦を加速させ、「開拓者精神」をもって次々と新たな事業の柱を育て、社会や産業の基盤を支える「不可欠なテクノロジー」をもって社会貢献してまいります。 (2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標 当社グループは、2026年4月1日からの新体制発足に合わせ、2027年3月期を初年度とし2029年3月期を最終年度とする3ヶ年の第9次中期経営計画を策定しました。 本計画では、第8次中期経営計画までの成果と課題を踏まえ、既存事業の構造改革による収益基盤強化と新事業の創出を柱とする成長戦略を推進するとともに、知財戦略やパートナー連携を通じて事業拡大を図り、DX・AI活用による生産性向上と人的資本強化により持続的成長と強固な経営基盤の確立を目指します。そして将来の成長を見据えた設備投資を先行し、2029年4月以降を想定する第10次中期経営計画期間におけるさらなる飛躍を目指してまいります。 本計画最終年度においては、売上高400億円、営業利益20億円、経常利益22億円、ROE5.4%、新製品売上高比率30%の達成を目標としています。 (3)経営環境 わが国経済は、企業の設備投資の底堅さや雇用・所得環境の改善などにより引き続き緩やかな回復傾向となりました。一方で、国内では賃上げ効果を相殺するような物価上昇や海外では出口の見えないウクライナ情勢、中東紛争勃発によるエネルギー価格の上昇や石油関連製品の価格上昇及び供給不安など、依然として先行き不透明な状況が続いております。 このような状況の中、当社グループにおいては、構造改革を着実に推進させるとともに、当社が競争力を有する半導体・ディスプレイ関連事業が年度を通じて堅調に推移したほか、機能性シート事業における機能性不織布関連製品が大きく伸長したこともあり、前年度から続くモノクロトナーの市況低迷の影響により連結売上高の3割強を占めるトナー事業が伸び悩んだものの、グループ全体としては前年実績を大きく上回る結果となりました。①トナー事業 モノクロトナー事業は、世界市場では2020年において新型コロナウイルス感染症の影響で数量が大きく減少したあと、その反動需要により2021年、2022年と増加しましたが、その後2023年に大きく減少したことに加え、中国メーカーの市場参入もあり業界全体での需給バランスが崩れ、価格競争が激化しているほか、中国経済の不振により2025年も販売低迷が続きました。今後も2~3%の減少が続くと見ております。こうした状況の中、当社としては、独立系トナーメーカーとして売上、開発力、品質、原材料購買力、供給安定性などNo.1のポジションを活かし、緩やかに縮小する市場の中で価格競争に打ち勝ってシェアを伸ばすことを引き続き目指してまいります。 一方、カラートナー事業についても、世界市場は2023年に大きく数量を減らしましたが、モノクロトナーのような落ち込みではありませんでした。付加価値の高いカラートナーとして今後の成長を見込んでいましたが、先行きは若干不透明なところがあります。ただし、トナー全体に占めるウエイトは引き続き伸びており、積極的に新製品開発などを進め、売上、数量、シェアの伸長を引き続き目指してまいります。 なお、複写機・複合機の世界出荷台数がモノクロ・カラーを問わず減少している中、当事業の環境変化への対応と成長戦略の方向性についても対処すべき課題として認識しております。 ②半導体・ディスプレイ関連事業 半導体実装用テープ事業は、主力のリードフレーム固定テープが高い信頼性と採用実績から車載用途を中心に使用されており、家電、自動車のエレクトロニクス化の流れにおいて半導体産業が成長している状況で、中期的な成長を見込んでおります。また、半導体製造に使われるQFN用接着テープについても、市場の成長に加え、当社シェアを伸ばすことでリードフレーム固定テープに次ぐ主力製品に育成していくことを目指しております。さらに、将来的な成長が期待できる半導体製造装置向けフレキシブル面状ヒーターについては、量産体制構築に向けた設備投資を行うなど、早期の量産・販売に向けた準備を着実に進めております。 ディスプレイ用光学フィルム事業は、スマートフォン、タブレットパソコン、ウェアラブル、車載用途を中心とした中小型パネル市場で展開しております。特に、高い信頼性を必要とする車載においては、ディスプレイ用飛散防止フィルムとして高いシェアを得ており更なるシェア拡大を進めます。高付加価値を必要とするハイエンドLCD・OLED向けにおいては継続した拡販活動、並びに新製品開発・新規受託の両面からビジネス拡大に取り組んでおります。 ③機能性シート事業 構造改革を進めている製紙関連事業は、設備の老朽化が進んでいることから、継続的な価値最大化を狙い、マシン統合などの稼働設備の効率化や業務改善を積極的に進めており、2019年末の7号抄紙機停機、2022年3月末の9号抄紙機停機に加え、2027年3月末を目途として1号抄紙機及び2号抄紙機を停機することを決定しました。これにより、一連の製紙関連事業の構造改革は完遂し、国内での製紙生産から撤退することとなります。 成熟事業である塗工紙関連事業は、磁気乗車券等の製品群を取り扱っております。非接触方式に変わる等、システム変更による別素材・方式での代替が徐々に進んでいましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い市場縮小が加速いたしました。今後は、株式会社NichiRicaを含め、同社と補完関係にある相互の製造設備の有効活用や当社グループの粘接着技術及び塗工・加工技術の強化によるシナジー効果の具現化を加速してまいります。 一方、成長事業として位置付けている機能性シート関連事業は、当社の強みである抄紙技術を活かし、パルプ以外のさまざまな原料の繊維を用いて機能性不織布関連の製品化を進めてまいりました。その事業の特性上少量多品種生産への対応が必要とされるため、大手製紙会社の参入がなく、競争環境に恵まれた事業であり、今後様々なビジネスチャンスが期待できます。 ④セキュリティメディア事業 有価証券印刷やICカード、ポイントカード、プリペイドカード等の製造、加工及び情報処理関連事業を行うセキュリティメディア事業においては、コンビカードへの切り替えが進んでいることに加え、環境系素材を活用した展開も進めています。今後は、デジタル社会におけるセキュリティの追求、キャッシュレスに代表される決済手段の多様化といったニーズへの対応、さらなる事業シナジーの追求を通じて成長戦略の実現に向けた取り組みを推進してまいります。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 当社グループは、急速に変化する経営環境のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、2027年3月期を初年度とする第9次中期経営計画を策定しました。本計画は、第8次中期経営計画で進めてきた事業ポートフォリオ転換及び構造改革に伴う収益基盤の強化を踏まえ、次期成長フェーズである第10次中期経営計画の本格的事業成長に向けた準備段階となる3ヶ年の計画と位置付けています。 当社グループは、再定義した経営理念のもと、顧客満足と社会的価値の両立を図る価値創造経営を推進するとともに、事業活動を通じて得られた成果を成長投資や社会への還元につなげることで、「持続可能な企業価値の向上」を目指しています。その実現に向け、以下の対処すべき課題に重点的に取り組んでまいります。①製紙・塗工紙事業における構造改革を完遂し、安定的かつ強固な収益基盤を確立する②フレキシブル面状ヒーターやグリーンチップCMFをはじめとする新製品について、課題解決型の技術開発により確実に立ち上げる③独自の発想を生かした複合化技術の開発や、それらの新分野・新市場への展開を進めるとともに、知的財産を戦略的に確保する④海外市場を含む新規市場の開拓及び事業部間連携による横断的な事業展開を強化する⑤パートナー企業との協業を通じて、単独では実現できない付加価値創出を進める⑥DX及びAIの活用により、業務の見える化と生産性向上を推進し、筋肉質な経営体制を構築する⑦多様な人財一人ひとりの強みを生かす人財戦略を強化し、挑戦と協働を促す企業文化を醸成する⑧事業拡大に伴うリスク低減を図り、社会から信頼される企業基盤を確立する これらの課題への対応にあたっては、事業成長に資する設備投資や研究開発投資を優先しつつ、資産圧縮による資本効率化を進めながら、財務健全性の確保と株主還元とのバランスを意識した資本配分を行い、将来の成長に向けた投資余力の確保に努めてまいります。 また、事業の多角化及び海外拠点の拡大を見据え、グループ全体のガバナンス、内部統制及びリスクマネジメント体制の強化を進め、将来の成長を支える経営基盤の整備に継続して取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。 ①財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度は、トナー事業において、前連結会計年度から続くモノクロトナーの市況が低迷した一方で、機能性シート事業では、機能性不織布関連製品の販売が大きく伸長、電子材料事業においても、車載用光学フィルム製品及び半導体実装用テープの販売が増加しました。さらに、全社を挙げて取り組んできた価格転嫁の効果もあり、売上高は35,552百万円となり、前年同期比では、1,120百万円の増収(前年同期34,432百万円、前年同期比3.3%増)となりました。 利益面では、開発費用の増加や新製品量産体制構築及びDX推進に伴う積極的な設備投資により、減価償却費や修繕費等が増加しましたが、増収及び製品構成の改善による粗利率の上昇がこれらを吸収しました。また、人件費の増加や各種原材料の価格上昇に対しても、引き続き価格転嫁を進めた結果、営業利益は1,618百万円となり、前年同期比で335百万円の増益(同1,282百万円、同比26.2%増)となりました。経常利益についても、1,853百万円と前年同期比で286百万円の増益(同1,566百万円、同比18.3%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、製造設備の減損損失や老朽化施設の解体に伴う固定資産除却損を計上したものの、経常利益が増加したことから945百万円となり、前年同期比で195百万円の増益(同749百万円、同比26.1%増)となりました。 なお、2025年8月に、資本効率の向上及び機動的な資本政策の実施を目的として自己株式(193百万円)を取得しておりますが、純利益の計上などにより純資産比率は44.2%と前連結会計年度末に比べ1.6%改善しました。連結貸借対照表における資産の部は、前連結会計年度末に比べ4,854百万円増加し、50,941百万円となりました。負債の部は、前連結会計年度末に比べ1,990百万円増加し、28,447百万円となりました。純資産については2,863百万円増加し、22,494百万円となりました。 セグメントの業績は以下のとおりです。トナー事業 トナー事業においては、前連結会計年度から続くモノクロ製品の市況低迷による影響により、上期を中心に受注減少が続きました。 利益面では、市場環境の想定以上の悪化に加え、在庫調整に伴う生産量抑制の影響もあり減益となりました。 この結果、売上高は11,513百万円(同12,415百万円、同比7.3%減)となり、セグメント(営業)利益は453百万円(同849百万円の利益、同比46.6%減)となりました。半導体・ディスプレイ関連事業 半導体・ディスプレイ関連事業においては、車載用光学フィルム製品が好調だったことに加え、半導体実装用テープの販売が堅調を維持したほか、製品価格改定を進めたことなどにより増収となりました。 利益面では、新製品の立ち上げに伴う経営資源の投入は昨年を上回ったものの、競争力ある既存製品の売上増加に加え、価格転嫁の取組みにより前年同期を大きく上回る利益となりました。 この結果、売上高は7,182百万円(同6,530百万円、同比10.0%増)となり、セグメント(営業)利益は1,045百万円(同804百万円の利益、同比29.9%増)となりました。機能性シート事業 機能性シート事業においては、機能性不織布ユニットの特殊抄紙技術を活かした製品が大きく売上を伸ばしたほか、製品価格改定を進めたことなどにより増収となりました。 利益面では、価格転嫁の取組みに加え、機能性不織布ユニットの増収などにより、前年同期比で増益となりました。 この結果、売上高は12,283百万円(同11,209百万円、同比9.6%増)となり、セグメント(営業)利益は582百万円(同58百万円の利益、同比887.0%増)と大幅増益となりました。セキュリティメディア事業 セキュリティメディア事業においては、宣伝印刷物等の受注は減少したものの、コンビカードの販売が引き続き好調だったほか、通帳類等の重要印刷物が増加したことにより、売上高は4,236百万円(同3,987百万円、同比6.3%増)となりました。 利益面では、増収効果が大きく、セグメント(営業)利益は372百万円(同313百万円の利益、同比18.8%増)となりました。 新規開発事業 新規開発事業においては、iCas及びGREEN CHIP関連製品の開発と販売を進めており、半導体製造装置向け新製品やセルロースマイクロファイバー混合樹脂等の上市に向け専心しております。売上高は68百万円(同44百万円、同比54.6%増)となり、セグメント(営業)損失は941百万円(同820百万円の損失)となりました。その他の事業 その他の事業においては、売上高は267百万円(同244百万円、同比9.5%増)となり、セグメント(営業)利益は102百万円(同52百万円の利益、同比94.5%増)となりました。 ②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ195百万円増加し、5,048百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果得られた資金は3,339百万円(前年同期比1,539百万円の収入増)となりました。これは主に、売上債権の増加額479百万円や法人税等の支払額377百万円などがあったものの、税金等調整前当期純利益1,478百万円や減価償却費1,928百万円などがあったことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は3,734百万円(前年同期比975百万円の支出増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,256百万円や無形固定資産の取得による支出355百万円などがあったことによるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果得られた資金は473百万円(前期は500百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出1,768百万円や自己株式の取得による支出193百万円などがあったものの、長期借入れによる収入2,787百万円などがあったことによるものです。 ③生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)前期比(%)トナー事業(百万円)8,689△10.0半導体・ディスプレイ関連事業(百万円)4,5748.0機能性シート事業(百万円)10,8462.6セキュリティメディア事業(百万円)3,2974.9新規開発事業(百万円)3762.7合計(百万円)27,445△0.6 (注)金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。 b.受注実績 当社グループ(当社及び連結子会社)は、一般市況及び直接需要を勘案して生産を行っております。 c.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)前期比(%)トナー事業(百万円)11,513△7.3半導体・ディスプレイ関連事業(百万円)7,18210.0機能性シート事業(百万円)12,2839.6セキュリティメディア事業(百万円)4,2366.3新規開発事業(百万円)6854.6報告セグメント計(百万円)35,2853.2その他の事業(百万円)2679.5合計(百万円)35,5523.3 (注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ①重要な会計方針及び見積り連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりです。 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.経営成績等1)財政状態 当連結会計年度末の資産の合計は50,941百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,854百万円の増加となりました。このうち流動資産は22,723百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,083百万円の増加となり、その主な要因は、受取手形が減少したものの、現金及び預金や電子記録債権及び売掛金が増加したことなどによるものです。固定資産は28,218百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,771百万円の増加となり、その主な要因は設備投資による有形固定資産の増加に加え保有株式の時価評価による投資有価証券の増加や年金資産の時価評価による退職給付に係る資産が増加したことなどによるものです。 当連結会計年度末の負債の合計は28,447百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,990百万円の増加となりました。このうち流動負債は20,973百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,775百万円の増加となり、その主な要因は、支払手形及び買掛金が減少したものの、短期借入金や1年内返済予定の長期借入金が増加したことなどによるものです。固定負債は7,474百万円となり、前連結会計年度末に比べ785百万円の減少となり、その主な要因は、繰延税金負債が増加したものの、長期借入金が減少したことなどによるものです。当連結会計年度末における有利子負債残高は15,281百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,260百万円の増加となりました。 また、当連結会計年度末の純資産合計は22,494百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,863百万円の増加となりました。これは当社における自己株式の取得があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金の増加とその他有価証券評価差額金の増加があったほか、為替相場変動に伴う為替換算調整勘定や退職給付に係る調整累計額が増加したことなどによるものです。 2)経営成績 当連結会計年度の経営成績につきましては、トナー事業において、前連結会計年度から続くモノクロトナーの市況が低迷した一方で、機能性シート事業では、機能性不織布関連製品の販売が大きく伸長、電子材料事業においても、車載用光学フィルム製品及び半導体実装用テープの販売が増加したほか、全社を挙げて取り組んできた価格転嫁の効果もあり、売上高は35,552百万円となり、前連結会計年度と比べ1,120百万円増加いたしました。利益面では、開発費用の増加や新製品量産体制構築及びDX推進に伴う積極的な設備投資により、減価償却費や修繕費等が増加しましたが、増収及び製品構成の改善による粗利率の上昇がこれらを吸収し、人件費の増加や各種原材料の価格上昇に対しても、引き続き価格転嫁を進めた結果、営業利益は1,618百万円となり、前連結会計年度と比べ335百万円の増加となりました。各事業及びセグメント別の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。 当連結会計年度の経常利益につきましては、営業外収益にディスプレイ向けフィルム加工を行う関連会社からの持分法による投資利益182百万円を計上したことなどから1,853百万円となり、前連結会計年度と比べ286百万円の増加となりました。 親会社株主に帰属する当期純利益は、製造設備の減損損失や老朽化施設の解体に伴う固定資産除却損を計上したものの、経常利益が増加したことから945百万円となり、前連結会計年度と比べ195百万円の増加となりました。 3)キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ195百万円増加し、5,048百万円となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。 b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、当社グループは様々な業界に製品を提供しており、ビジネスの拡大を目指して、北米、欧州、アジアなどの国、地域で事業展開を積極的に推進しているなかで、これらの製品を取り巻く事業環境の変動や市況変動並びに技術革新等の影響を強く受けます。また、収益面では、特に主要原材料である各種石油化学製品・原紙・パルプ等及び燃料であるLNG等の価格変動が、業績に影響を与える可能性があります。従って、当社グループはこれらの経営成績に影響を与えるリスク要因を分析し、個々に対策を立案し実行に移しております。なお、この詳細は「3 事業等のリスク」に記載しております。 c.資本の財源及び資金の流動性1)資金需要 当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループ既存製品の製造に係る費用及び製品の品質向上、原価低減のための設備改善並びに新製品開発投資等によるものです。 2)財務政策 当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金については、自己資金及び金融機関からの借入等により資金調達をすることとしております。借入等による資金調達に関しては、運転資金としての短期借入金、設備等の長期借入金を当社及び各連結子会社が調達しております。その一部はグループ内資金の効率化を目的とし一部グループ会社間で資金融通を行っております。 また、緊急時の流動性補完枠として既存取引のある金融機関5行と総額4,000百万円のシンジケート形式のコミットメントラインを設定しており、十分な手元流動性の確保に努めております。 d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループが経営上の目標の達成状況を判断する客観的な指標は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略及び目標とする経営指標」で掲げた売上高、営業利益、経常利益、ROE(自己資本利益率)、新製品売上高比率(連結売上高に占める新製品売上高の比率)に加え、営業利益率、D/Eレシオ(連結純資産に占める有利子負債の割合)、純資産比率です。

事業リスク

  • 市場変動と技術革新のリスク
    同社が製品を提供する多様な業界において、市場の変化や競合との価格競争により需要が急減する可能性があります。また、技術革新により既存製品が陳腐化したり、市場が縮小したりすることで、業績に悪影響を及ぼす恐れがあります。
  • 原材料・燃料価格変動のリスク
    プラスチックフィルム、石油化学製品、原紙、パルプなどの主要原材料や、LNGなどの燃料の購入価格が急激に変動した場合、製造コストが増加し、同社の業績に悪影響を与える可能性があります。特に国際情勢による価格変動は予測が困難です。
  • 海外事業展開に伴うリスク
    北米、欧州、アジアなどグローバルに事業を展開しているため、テロ、治安悪化、紛争、戦乱、法令・税制・関税の変更などが生じた場合、事業活動が阻害され、同社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。地政学リスクは特に注意が必要です。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,101 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 関連するリスク主要な取組(1)市場の変動及び技術革新による影響・当社グループは、様々な業界に製品を提供しております。これらの製品は、お客様が属する業界・市場の変化や競合他社との価格競争による影響などにより、需要が急速に減少するリスクがあります。また、技術革新に伴う既存製品の陳腐化や需要減少あるいは市場の縮小などが、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。・市場動向の見極め、特に市場が縮小している事業に対する構造改革の推進・競合に対する差別化、技術、サービス向上・新製品開発促進・他社との共同開発事業推進(2)主要原材料、燃料価格の変動及び供給停止による影響・当社グループは、プラスチックフィルムをはじめとする各種石油化学製品・原紙・パルプ等を原材料として使用し、また燃料として主にLNGを使用しています。国際紛争などにより購入価格が急激に変動した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。・さらにサプライチェーン全体の中で中間素材メーカーである当社の前後で供給・生産停止が生じた場合に、当社も大きな影響を受ける可能性があります。・エネルギー供給リソースの多元化・市場動向の見極め・省エネルギー化・セカンドリソースの探索(3)巨大地震や豪雨・水害等の大規模災害発生による影響・東南海地震のような巨大地震、線状降水帯や大型台風による風水害が発生した場合、その規模・継続時間や発生箇所によっては相当期間、生産、営業活動に影響を与える可能性があります。・BCP改訂と地震保険付与・生産設備のみならず事務所等への耐震補強工事・ 新設、災害時の早期復旧を目的とした投資の促進・地震に伴う津波や風水害に対する予防措置のブラッシュアップ・非常時対応強化(4)サイバー攻撃による影響・当社グループのIT環境がサイバー攻撃を受けた場合に、相当期間、生産、営業活動に影響を与える可能性があります。・対策体制の整備により、防御、検知力、発生時の対応力、発生後の復旧力の強化を推進(5)海外の事業展開に伴う影響・当社グループは、ビジネスの拡大を目指し、北米、欧州並びにアジアに対しグローバルな事業展開を積極的に推進しております。これに伴いテロ、治安悪化、紛争、戦乱、法令・税制・関税・環境規制等の変更の事象が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。・当社グループ従業員の安全確保のためテロ・治安悪化対応マニュアル制定、運用・海外拠点への安全情報提供・海外法令・税制 動向把握(6)知的財産権をめぐる影響・当社グループは、有効な知的財産権を構築することで事業活動を優位に進めています。現時点では、業績に影響を及ぼす訴訟は発生していませんが、今後、他社との間で知的財産権をめぐる係争や特許侵害等の問題が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。・知的財産リスクマネジメント(7)資金調達・当社は安定的な資金調達を図るため、複数の金融機関との間でコミットメントライン契約など資金の安定供給に資する契約を締結しております。今後、金利の上昇などにより調達コストが上昇することは、当社の業績に影響を及ぼす恐れがあります。・財務体質の維持・強化・資金調達先及び機関の適切な分散・各種リスク要因の適時の分析と対応・最新の情報に基づく適時の計画の見直し(8)外国為替変動による影響・当社グループは、原材料の購入及び製品の販売等において、外貨ベースでの取引を行っております。足元、輸出取引に若干の偏りが見られることから為替レートの変動の影響を受けることになるため、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。・当社グループの在外子会社等の外貨建の財務諸表項目は、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。・拠点・地域毎の外貨ポジション管理と本社部門によるモニタリングの強化・為替予約(9)取引先の信用リスクによる影響・取引先における予期せぬ突然の破綻等の事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。・取引先与信管理・情報収集・債権保全(10)コンプライアンスに係るリスク・当社は内部統制基本方針のもと当社グループ各社における行動指針を定めコンプライアンスの徹底を進めております。こうした取り組みにもかかわらず重大な法令違反を起こした場合、社会的信用の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。・コンプライアンス推進体制を強化しコンプライアンス教育のブラッシュアップ・予防対策に重点を置き発生を未然に防止する施策の展開・国際規制への対応力強化

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