4368

扶桑化学工業(4368)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • ライフサイエンス事業
    果実酸や有機酸をベースに、飲料や加工食品の酸味料、pH調整剤、酸化防止剤などの食品添加物、さらには洗剤、化粧品、コンクリート用混和剤といった工業用途の製品を製造・販売しています。幅広い分野で製品が使われており、安定した需要が見込めます。
  • 電子材料・機能性化学品事業
    半導体製造に不可欠な超高純度コロイダルシリカ(研磨剤原料)を中心に、プラスチックや塗料の添加剤、香料・化粧品の原料となるファインケミカルを製造・販売しています。特に半導体業界の微細化・高集積化に対応するCMPスラリー関連製品は、技術力の高さが求められる分野です。
  • 応用開発による価値提供
    果実酸などの自社製品を原料に、麺食品の品質改良剤、加工食品の日持ち向上剤、金属加工改善剤など、食品分野から工業分野まで多岐にわたる応用商品を開発・提供しています。これにより、顧客の課題解決に貢献し、製品の付加価値を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • ライフサイエンス事業
    この事業は、果実酸や有機酸、それらを応用した開発商品を製造・販売しており、飲料や加工食品の酸味料、工業用途の添加剤など幅広い分野で使われています。売上高は362.88億円、営業利益は52.89億円で、安定した収益源となっています。
  • 電子材料および機能性化学品事業
    半導体製造に使われる超高純度コロイダルシリカや、プラスチック・塗料の添加剤、香料・化粧品原料などを手掛けています。売上高は332.14億円、営業利益は131.71億円と、高い利益率を誇る稼ぎ頭の事業です。
  • グローバルな事業展開
    連結売上高の50.6%が海外で、特にアジアが33.9%、北米が15.6%を占めています。中国、米国、タイに連結子会社を持ち、世界各地で事業を展開することで、市場の多様化とリスク分散を図っています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
LifeScienceBusinessUnit 地域 363 53 14.6%
ElectronicMaterialsAndFunctionalChemicalsBusinessUnitReportableSegment 地域 332 132 39.7%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,156 文字
3【事業の内容】当社グループ(当社および連結子会社6社)は、「ライフサイエンス事業」および「電子材料事業」の2分野に関係する事業を行っています。当社グループにおける各事業の位置付けは次のとおりです。なお、次の2部門は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同じです。また、当連結会計年度より、従来「電子材料および機能性化学品事業」としていた報告セグメントの名称を「電子材料事業」に変更しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。(ライフサイエンス事業)当セグメントにおいては、(a)果実酸類、有機酸類、(b)応用開発商品の製造・販売を行っています。(a)果実酸類、有機酸類リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸等の果実酸類および無水マレイン酸等の有機酸を中心に製品構成しています。果実酸類は飲料、加工食品に使用する酸味料、pH調整剤、酸化防止剤等の食品分野での用途を中心に、洗剤、化粧品、表面処理剤、コンクリート用混和剤、電子機器等の工業分野での用途に至るまで幅広く使用されています。(b)応用開発商品果実酸等の当社グループ製品を原料として、食品分野、工業分野に幅広く用途開発する商品であり、① 麺食品の品質改良剤、② 加工食品の日持ち向上剤、③食品製造メーカーにおけるトータル・サニテーション、④ 金属加工の改善等に用いられています。[主な関係会社]当社(本社、東京本社、新大阪事業所、鹿島事業所、東京研究所、大阪工場)、青島扶桑精製加工有限公司、青島扶桑貿易有限公司、扶桑化学(青島)有限公司、FUSO (THAILAND) CO.,LTD.、PMP Fermentation Products, Inc. (電子材料事業)当セグメントにおいては、(a)電子材料、(b)機能性化学品の製造・販売を行っています。(a)電子材料研磨剤原料用途として利用されている超高純度コロイダルシリカを中心に製品構成しています。この製品は、半導体業界を中心に需要があり、微細化、高集積化される次世代半導体集積回路の製造に必要なCMP(化学的機械的平坦化)スラリーにも対応しています。(b)機能性化学品プラスチック、塗料の添加剤および香料、化粧品の原料としての用途に使用される樹脂添加剤や、精密化学薬品製造の技術を活かしたファインケミカルを販売しています。[主な関係会社]当社(東京本社、京都事業所、鹿島事業所、神戸研究所、東京研究所)、青島扶桑精製加工有限公司、扶桑化学(青島)有限公司(事業系統図)以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりです。※株式会社扶桑コーポレーションは、2026年3月31日付で解散しました。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
輸入品等の競合品との価格競争、国内外の市況の変動により販売価格、原価が影響を受ける可能性があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
超高純度コロイダルシリカの製造技術、CMPスラリーへの対応、精密化学薬品製造技術。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:市場動向の影響(景気変動、価格競争) / 自然災害・事故災害の発生 / 技術革新の影響(半導体業界)
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

同社は、リチウムイオン電池材料(電解質、正極材)や無機材料(軽質炭酸カルシウム)において、長年の研究開発で培われた独自の製造技術とノウハウを持つ。特に、高純度化技術や粒子設計技術は、特定の顧客ニーズに応える強みとなっているが、特許による独占性は限定的であり、ブランド力もBtoB中心のため、無形資産としての優位性は中程度。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

リチウムイオン電池材料は、顧客(電池メーカー)の仕様要求が厳しく、一度採用されると品質安定性や供給継続性の観点から、サプライヤーの変更は容易ではない。材料特性が最終製品の性能に直結するため、切り替えには多大な評価コストとリスクが伴う。無機材料においても、特定の用途では顧客の製造プロセスに最適化されており、スイッチング・コストは無視できない。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

同社の事業は、特定のプラットフォームやサービスを介したユーザー間の相互作用を前提とするものではなく、ネットワーク効果は期待できない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

軽質炭酸カルシウムなどの汎用性の高い無機材料においては、生産効率の改善やスケールメリットによるコスト削減努力は行われている。しかし、化学業界全体として原料価格の変動リスクや、競合他社との価格競争は避けられず、構造的なコスト優位性は限定的。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

リチウムイオン電池材料分野では、主要なプレイヤーとして一定の生産能力と供給実績を持つ。また、軽質炭酸カルシウムにおいても、国内有数のメーカーであり、一定の市場シェアを確保している。しかし、グローバルな大手化学メーカーと比較すると、規模の経済による絶対的な優位性はまだ発展途上である。

  • 幅広い用途展開
    果実酸類や有機酸類は、食品分野だけでなく、洗剤、化粧品、表面処理剤、コンクリート用混和剤、電子機器など、非常に多岐にわたる工業分野でも使用されています。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、安定した事業基盤を築いています。
  • 高純度技術と半導体対応
    電子材料事業では、半導体業界で需要の高い超高純度コロイダルシリカを主力製品としています。微細化・高集積化が進む次世代半導体製造に必要なCMP(化学的機械的平坦化)スラリーに対応できる高い技術力は、競争優位性となっています。
  • レジリエンス認証取得
    一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会から国土強靭化貢献団体認証「レジリエンス認証」を取得しており、自然災害や事故発生時の事業継続計画(BCP)が整備されています。これにより、予期せぬ事態が発生しても事業への影響を最小限に抑える体制が整っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。(1)基本方針当社グループは、下記の社是、経営信条に則り、収益力・人財(材)力・技術力のレベルを高め、継続的発展を遂げる企業を目指すために、「企業価値」および「企業品質」をより高める企業経営をしていきます。社是「限りなき進歩と創造」経営信条一. 信用を重んじ確実を旨とする一. 技術を通じて国家社会に貢献し一. 社業の繁栄によって従業員の豊かさを築くそのために、ニッチな市場のニーズをとらえ、スピード、コスト、クオリティのバランスが高次元で調和している「金メダル製品」の開発を目指し、顧客満足の最大化を目指していきます。(2)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び対処すべき課題今後の世界経済および日本経済は、中東情勢の悪化の長期化や為替動向、継続的なインフレの影響などにより、景気の先行きが一層不透明になると考えています。このような状況を踏まえ、当社グループでは、2030年度を最終年度とする5カ年の新中期経営計画「飛躍2030」を策定し、取り組みを開始しました。最終年度には、売上高120,000百万円、営業利益36,000百万円を目指し、全社員一丸となって事業拡大に努めてまいります。新中期経営計画の詳細については、当社ホームページ(https://fusokk.co.jp/)をご参照ください。次期の売上高は、主に半導体市場の成長に伴う需要増加を背景に、増収を見込んでいます。営業利益については、継続的な物価上昇に伴う各種コストの増加が想定されるものの、販売数量の増加や販売価格の見直しにより、増益を見込んでいます。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、営業利益の増加に伴い、それぞれ増加する見込みです。前述のとおり世界経済の先行きは依然として不透明ですが、原料資材の確保に努めると同時に、原材料や製造コストの上昇に対しては、原価低減や販売価格の適正化を進めることで収益への影響を最小化できるよう取り組んでまいります。 〇連結業績計画および当期実績比較(単位:百万円) 2025年度実績2026年度計画増減額売上高76,92685,8008,873営業利益18,85024,3005,449経常利益19,57324,5004,926親会社株主に帰属する当期純利益14,31116,6002,288償却前営業利益29,78737,0007,212 〇ライフサイエンス事業連結業績計画(単位:百万円) 2025年度実績2026年度計画増減額売上高35,41136,400988営業利益5,3085,500191償却前営業利益6,9467,300353 〇電子材料事業連結業績計画(単位:百万円) 2025年度実績2026年度計画増減額売上高41,51449,4007,885営業利益15,92621,7005,773償却前営業利益25,02132,4007,378 <中期経営計画>当社は、2021年5月に2025年度を最終年度とする中期経営計画 “FUSO VISION 2025”を発表しており、2025年度終了時点における経営方針における成果は、下記のとおりとなりました。 ①既存事業における拡大する需要の取り込み、着実な対応2021年5月の当初計画の売上高・営業利益等の目標を2022年度に達成したため、2023年5月に最終年度(2025年度)の経営目標を変更しました。変更目標に対する達成率は下記の表のとおりです。 (単位:百万円) 2025年度実績(最終年度)FUSO VISION2025年度目標達成率当初計画売上高76,92685,00090.5%58,000営業利益18,85019,00099.2%14,000償却前営業利益29,78730,00099.3%20,000海外売上高比率55.1%50.0%達成50.0%未達成となった原因は、2023年度に半導体市況がパンデミック特需の反動とPC・スマホ需要の低迷などにより世界的にマイナス成長となり、電子材料事業で売上高、営業利益ともに落ち込んだことです。翌年度には市況は回復しましたが影響をカバーしきれず売上高は9.5%の乖離となりましたが、営業利益目標は、ほぼ達成することができました。 ②新規事業・分野への投資・挑戦2件のCVC(Corporate Venture Capital)ファンドへの出資を通じて、ファンドの理念に基づく各種産業の発展への貢献と、当社の新規事業の開発促進を目指しました。 [CVCファンドへの出資実績] ・食に関連するCVC「Future Food Fund(フューチャーフードファンド)」 ・素材・化学分野に特化した投資活動を行うユニバーサル マテリアルズ インキュベーター株式会社(UMI) ③持続的成長を支える経営基盤の強化経営基盤の強化に向けて、2024年 5月には東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を踏まえ、①収益力の向上、②市場への的確な情報提供によるβ値の低減、③持続的な成長に向けた投資機会の見極めと資本コストを意識した資金調達の実施に取り組み、継続したROE10%以上の確保を目指す方針としています。中期経営計画の5年間の内2023年度を除き、ROE10%以上を確保しています。 2021年度2022年度2023年度2024年度2025年度ROE15.4%17.4%9.1%11.7%12.9% <新中期経営計画>当社は、前中期経営計画において生産体制や組織の見直しや大型の設備投資もおこない、当社の事業分野において大きな成長機会を迎えていることから、2026年5月に2030年度を最終年度とする中期経営計画「飛躍2030」を発表しました。 [長期ビジョン]・グローバルニッチトップ企業として進化する・FUSOの技術で未来を支える・新事業創造に向けて限りなく挑戦する・「FUSOと出会えて良かった」を届ける [新中期経営計画“飛躍2030”概要]<経営上の目標の達成状況を判断するための指標等>当社グループは、将来の成長に向けた設備投資を行いながら、設備投資の採算性を考慮したうえで、営業利益と償却前営業利益を重要経営指標としています。また、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」として、ROIC13%以上を目指し経営を進めていきます。 (単位:百万円) 2025年度実績2030年度目標CAGR売上高76,926120,0009.3%営業利益18,85036,00013.8%償却前営業利益29,78756,70013.7% <事業戦略と価値向上に向けた全体構想> <新中期経営計画のリスクと機会>新中期経営計画の実現に向けたリスクと機会は下記の通りです。中東情勢などの地政学リスクについては将来予測の全てを織り込むことが難しいため、現時点で織り込んでおりませんが、監視・評価・対策を適時的確におこなうガバナンス体制を構築します。 <新中期経営計画の実現へ向けた管理体制>新中期経営計画の実現に向けた管理は、経営企画部が主幹となる企業価値向上委員会が統括します。同委員会は下部委員会としてサステナビリティ委員会、内部統制委員会を持ち、下部委員会および各部門から出された計画達成への推進策やリスクの報告を受けます。推進策と報告されたリスクは委員会の中で評価され、課題解決に向けた協議をおこない次回開催の委員会まで管理することにより実効性を高める仕組みとなっています。 [ガバナンス体制図(2026年4月以降)] <対処すべき課題>当社グループの事業展開において、以下を重点的テーマとして取り組んでいきます。 (ライフサイエンス事業)国内市場では、食品用途の販売は一定の堅調さは保っているものの、競争は一段と厳しさを増しています。工業用途や日用品用途での需要は一部回復傾向が見られましたが、全体としては低調な結果となりました。またインバウンド需要の落ち込みによりビタミンC類の販売も力強さに欠け、医薬品ビジネスも厳しい状況にあります。海外市場では、欧州向けのリンゴ酸や米国でのグルコン酸類でのシェアが回復したほか、中国を始めとするアジア地域を含め総じて堅調に推移しましたが、海外メーカーとの競争は一層の厳しさを増しています。中東情勢の不安定な状況による原材料の調達や輸送コストなどへの影響には迅速に対応してまいります。事業部全体でより綿密な連携が取れるよう、2026年度から組織体制を一部刷新し、事業戦略と海外運営における意思決定の迅速化を図り、調達から出荷まで業務の効率化を実現します。また、国内外のお客様や研究機関との連携を深め、新たな価値創造に繋げるために、2026年2月には東京研究所を拡張し、充実した実験・分析スペースとテストキッチンを備えました。販売面では、既存ビジネスに加えて、飼料や農薬用途などの新規用途開拓を進めます。また、海外リンゴ酸ビジネスにおいて、引き続き新規取引先の販売を強化して物量を増やし、事業全体で利益が最大化できるよう事業運営を進めます。海外では、米国の連結子会社PMP Fermentation Products, Inc.において、設備投資(2027年7月操業開始予定)を行っています。今後も拡大が見込まれる米国内のグルコン酸類の需要に応えられるよう、安定した供給体制を構築していきます。中国では日持ち向上剤や水産加工品向け品質改良剤といった製剤の拡販に努め、タイからは需要の高まる周辺国にもビジネスを展開していきます。今後も、果実酸総合メーカーとしてこれまで蓄積してきた販売チャネル、製造・開発ノウハウ、およびグローバルなネットワークを最大限に活用し、市場のニーズにいち早く応えることで、さらなる売上および利益の拡大に尽力します。 (電子材料事業)半導体市場はAIやデータセンター向けの旺盛な需要が全体をけん引し、大きく成長しました。また、従来の微細化の進展や高積層化に加えて、先端パッケージ技術など後工程でも高性能化が進み、CMP(化学的機械的平坦化)の用途拡大が進んでいます。このような背景を踏まえ各社の需要に応えることで、2025年度は当初想定以上の超高純度コロイダルシリカの出荷量を達成しています。拡大する需要や、新たに創出される需要の増加に対応するため、積極的な設備投資を進めています。2024年10月には京都事業所の新設備、また2025年8月には鹿島事業所に追加設備(Ⅱ期)が完成しました。なお、鹿島事業所の既存設備(Ⅰ期)については、既に高水準で稼働しています。さらに、半導体市況は今後も継続的な成長が見込まれることから、2026年3月には京都事業所に追加の設備増強を実施することを決定いたしました。2029年2月に設備の完工を予定しており、現生産能力の2割増となる見通しです。これら設備増設による生産能力増強に加えて、高濃度・高効率生産品目の拡充を進め、設備面および製品面の両側面から供給能力を強化してまいります。研究開発では、従来どおりケイ素化学を基軸として多方面への事業展開を推進しています。半導体分野では、微細化や高集積化が一層進展しており、それらのニーズに対応すべく、様々な大きさや硬さ、表面修飾を施した粒子などの製品開発を続けています。また、半導体研磨用途以外にも、低誘電材用途やトナー外添剤用途など、様々な用途に貢献できる特徴的な材料の研究開発を進めています。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、将来の成長に向けた設備投資は不可欠であると考えて、設備投資の採算性を慎重に検討した上で「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)を最重要経営指標としています。併せて、総資産回転率等の資産効率、自己資本利益率等の収益性、自己資本比率等の安全性等、複数の指標のバランスを考慮して経営を進めています。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。(1)基本方針当社グループは、下記の社是、経営信条に則り、収益力・人財(材)力・技術力のレベルを高め、継続的発展を遂げる企業を目指すために、「企業価値」および「企業品質」をより高める企業経営をしていきます。社是「限りなき進歩と創造」経営信条一. 信用を重んじ確実を旨とする一. 技術を通じて国家社会に貢献し一. 社業の繁栄によって従業員の豊かさを築くそのために、ニッチな市場のニーズをとらえ、スピード、コスト、クオリティのバランスが高次元で調和している「金メダル製品」の開発を目指し、顧客満足の最大化を目指していきます。(2)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び対処すべき課題今後の世界経済および日本経済は、中東情勢の悪化の長期化や為替動向、継続的なインフレの影響などにより、景気の先行きが一層不透明になると考えています。このような状況を踏まえ、当社グループでは、2030年度を最終年度とする5カ年の新中期経営計画「飛躍2030」を策定し、取り組みを開始しました。最終年度には、売上高120,000百万円、営業利益36,000百万円を目指し、全社員一丸となって事業拡大に努めてまいります。新中期経営計画の詳細については、当社ホームページ(https://fusokk.co.jp/)をご参照ください。次期の売上高は、主に半導体市場の成長に伴う需要増加を背景に、増収を見込んでいます。営業利益については、継続的な物価上昇に伴う各種コストの増加が想定されるものの、販売数量の増加や販売価格の見直しにより、増益を見込んでいます。経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も、営業利益の増加に伴い、それぞれ増加する見込みです。前述のとおり世界経済の先行きは依然として不透明ですが、原料資材の確保に努めると同時に、原材料や製造コストの上昇に対しては、原価低減や販売価格の適正化を進めることで収益への影響を最小化できるよう取り組んでまいります。 〇連結業績計画および当期実績比較(単位:百万円) 2025年度実績2026年度計画増減額売上高76,92685,8008,873営業利益18,85024,3005,449経常利益19,57324,5004,926親会社株主に帰属する当期純利益14,31116,6002,288償却前営業利益29,78737,0007,212 〇ライフサイエンス事業連結業績計画(単位:百万円) 2025年度実績2026年度計画増減額売上高35,41136,400988営業利益5,3085,500191償却前営業利益6,9467,300353 〇電子材料事業連結業績計画(単位:百万円) 2025年度実績2026年度計画増減額売上高41,51449,4007,885営業利益15,92621,7005,773償却前営業利益25,02132,4007,378 <中期経営計画>当社は、2021年5月に2025年度を最終年度とする中期経営計画 “FUSO VISION 2025”を発表しており、2025年度終了時点における経営方針における成果は、下記のとおりとなりました。 ①既存事業における拡大する需要の取り込み、着実な対応2021年5月の当初計画の売上高・営業利益等の目標を2022年度に達成したため、2023年5月に最終年度(2025年度)の経営目標を変更しました。変更目標に対する達成率は下記の表のとおりです。 (単位:百万円) 2025年度実績(最終年度)FUSO VISION2025年度目標達成率当初計画売上高76,92685,00090.5%58,000営業利益18,85019,00099.2%14,000償却前営業利益29,78730,00099.3%20,000海外売上高比率55.1%50.0%達成50.0%未達成となった原因は、2023年度に半導体市況がパンデミック特需の反動とPC・スマホ需要の低迷などにより世界的にマイナス成長となり、電子材料事業で売上高、営業利益ともに落ち込んだことです。翌年度には市況は回復しましたが影響をカバーしきれず売上高は9.5%の乖離となりましたが、営業利益目標は、ほぼ達成することができました。 ②新規事業・分野への投資・挑戦2件のCVC(Corporate Venture Capital)ファンドへの出資を通じて、ファンドの理念に基づく各種産業の発展への貢献と、当社の新規事業の開発促進を目指しました。 [CVCファンドへの出資実績] ・食に関連するCVC「Future Food Fund(フューチャーフードファンド)」 ・素材・化学分野に特化した投資活動を行うユニバーサル マテリアルズ インキュベーター株式会社(UMI) ③持続的成長を支える経営基盤の強化経営基盤の強化に向けて、2024年 5月には東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請を踏まえ、①収益力の向上、②市場への的確な情報提供によるβ値の低減、③持続的な成長に向けた投資機会の見極めと資本コストを意識した資金調達の実施に取り組み、継続したROE10%以上の確保を目指す方針としています。中期経営計画の5年間の内2023年度を除き、ROE10%以上を確保しています。 2021年度2022年度2023年度2024年度2025年度ROE15.4%17.4%9.1%11.7%12.9% <新中期経営計画>当社は、前中期経営計画において生産体制や組織の見直しや大型の設備投資もおこない、当社の事業分野において大きな成長機会を迎えていることから、2026年5月に2030年度を最終年度とする中期経営計画「飛躍2030」を発表しました。 [長期ビジョン]・グローバルニッチトップ企業として進化する・FUSOの技術で未来を支える・新事業創造に向けて限りなく挑戦する・「FUSOと出会えて良かった」を届ける [新中期経営計画“飛躍2030”概要]<経営上の目標の達成状況を判断するための指標等>当社グループは、将来の成長に向けた設備投資を行いながら、設備投資の採算性を考慮したうえで、営業利益と償却前営業利益を重要経営指標としています。また、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」として、ROIC13%以上を目指し経営を進めていきます。 (単位:百万円) 2025年度実績2030年度目標CAGR売上高76,926120,0009.3%営業利益18,85036,00013.8%償却前営業利益29,78756,70013.7% <事業戦略と価値向上に向けた全体構想> <新中期経営計画のリスクと機会>新中期経営計画の実現に向けたリスクと機会は下記の通りです。中東情勢などの地政学リスクについては将来予測の全てを織り込むことが難しいため、現時点で織り込んでおりませんが、監視・評価・対策を適時的確におこなうガバナンス体制を構築します。 <新中期経営計画の実現へ向けた管理体制>新中期経営計画の実現に向けた管理は、経営企画部が主幹となる企業価値向上委員会が統括します。同委員会は下部委員会としてサステナビリティ委員会、内部統制委員会を持ち、下部委員会および各部門から出された計画達成への推進策やリスクの報告を受けます。推進策と報告されたリスクは委員会の中で評価され、課題解決に向けた協議をおこない次回開催の委員会まで管理することにより実効性を高める仕組みとなっています。 [ガバナンス体制図(2026年4月以降)] <対処すべき課題>当社グループの事業展開において、以下を重点的テーマとして取り組んでいきます。 (ライフサイエンス事業)国内市場では、食品用途の販売は一定の堅調さは保っているものの、競争は一段と厳しさを増しています。工業用途や日用品用途での需要は一部回復傾向が見られましたが、全体としては低調な結果となりました。またインバウンド需要の落ち込みによりビタミンC類の販売も力強さに欠け、医薬品ビジネスも厳しい状況にあります。海外市場では、欧州向けのリンゴ酸や米国でのグルコン酸類でのシェアが回復したほか、中国を始めとするアジア地域を含め総じて堅調に推移しましたが、海外メーカーとの競争は一層の厳しさを増しています。中東情勢の不安定な状況による原材料の調達や輸送コストなどへの影響には迅速に対応してまいります。事業部全体でより綿密な連携が取れるよう、2026年度から組織体制を一部刷新し、事業戦略と海外運営における意思決定の迅速化を図り、調達から出荷まで業務の効率化を実現します。また、国内外のお客様や研究機関との連携を深め、新たな価値創造に繋げるために、2026年2月には東京研究所を拡張し、充実した実験・分析スペースとテストキッチンを備えました。販売面では、既存ビジネスに加えて、飼料や農薬用途などの新規用途開拓を進めます。また、海外リンゴ酸ビジネスにおいて、引き続き新規取引先の販売を強化して物量を増やし、事業全体で利益が最大化できるよう事業運営を進めます。海外では、米国の連結子会社PMP Fermentation Products, Inc.において、設備投資(2027年7月操業開始予定)を行っています。今後も拡大が見込まれる米国内のグルコン酸類の需要に応えられるよう、安定した供給体制を構築していきます。中国では日持ち向上剤や水産加工品向け品質改良剤といった製剤の拡販に努め、タイからは需要の高まる周辺国にもビジネスを展開していきます。今後も、果実酸総合メーカーとしてこれまで蓄積してきた販売チャネル、製造・開発ノウハウ、およびグローバルなネットワークを最大限に活用し、市場のニーズにいち早く応えることで、さらなる売上および利益の拡大に尽力します。 (電子材料事業)半導体市場はAIやデータセンター向けの旺盛な需要が全体をけん引し、大きく成長しました。また、従来の微細化の進展や高積層化に加えて、先端パッケージ技術など後工程でも高性能化が進み、CMP(化学的機械的平坦化)の用途拡大が進んでいます。このような背景を踏まえ各社の需要に応えることで、2025年度は当初想定以上の超高純度コロイダルシリカの出荷量を達成しています。拡大する需要や、新たに創出される需要の増加に対応するため、積極的な設備投資を進めています。2024年10月には京都事業所の新設備、また2025年8月には鹿島事業所に追加設備(Ⅱ期)が完成しました。なお、鹿島事業所の既存設備(Ⅰ期)については、既に高水準で稼働しています。さらに、半導体市況は今後も継続的な成長が見込まれることから、2026年3月には京都事業所に追加の設備増強を実施することを決定いたしました。2029年2月に設備の完工を予定しており、現生産能力の2割増となる見通しです。これら設備増設による生産能力増強に加えて、高濃度・高効率生産品目の拡充を進め、設備面および製品面の両側面から供給能力を強化してまいります。研究開発では、従来どおりケイ素化学を基軸として多方面への事業展開を推進しています。半導体分野では、微細化や高集積化が一層進展しており、それらのニーズに対応すべく、様々な大きさや硬さ、表面修飾を施した粒子などの製品開発を続けています。また、半導体研磨用途以外にも、低誘電材用途やトナー外添剤用途など、様々な用途に貢献できる特徴的な材料の研究開発を進めています。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、将来の成長に向けた設備投資は不可欠であると考えて、設備投資の採算性を慎重に検討した上で「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)を最重要経営指標としています。併せて、総資産回転率等の資産効率、自己資本利益率等の収益性、自己資本比率等の安全性等、複数の指標のバランスを考慮して経営を進めています。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における世界経済は、インフレ圧力の緩和を背景に全体として緩やかな成長を維持しましたが、金融政策の転換局面や地政学リスクの影響により、回復の足取りには地域差が認められました。米国は企業活動や政府支出に支えられ底堅く推移した一方、高金利の影響から雇用や消費の伸びは鈍化しました。中国は不動産市場の調整により内需が低調となる中、輸出が下支えとなり一定の成長を確保しました。日本は企業収益の改善を背景に緩やかな回復基調を維持しましたが、物価上昇が個人消費に影響を及ぼしました。このような情勢の下、当社グループは、持続可能な成長を目指し、国内外での事業拡大と効率的な運営体制の構築を推進しました。営業面では、海外拠点との連携強化や製品管理・販売体制の効率化を促進し、現地生産や技術サポートを活用した市場拡大に取組みました。生産面では安全操業・安定生産を継続しつつ、鹿島事業所において超高純度コロイダルシリカの新製造設備の稼働を開始し、新設備の立上げを通じた生産能力の向上に取り組むと同時に、顧客からの認証取得に向けた対応を進めました。また、これらの生産体制強化と並行して、中長期的な事業継続および従業員の就業環境改善を見据え、大阪工場の耐震補強工事ならびに鹿島事業所の分析棟の新設工事を進めました。さらに、今後の需要拡大に備え、京都事業所における超高純度コロイダルシリカの生産設備の新設、ならびに米国子会社PMP Fermentation Products, Inc.におけるグルコン酸ナトリウムの増設投資を決定しました。研究開発にも一層力を入れ、東京研究所の増床を実施するとともに、研究開発体制の強化を図りました。ライフサイエンス事業部でコート果実酸や食品添加物製剤といった高付加価値品、電子材料事業部で半導体の微細化・多層化・高性能化といった技術的課題に対応できる製品開発、中空シリカ等の新製品開発にそれぞれ注力し、多様な分野での事業展開を進めました。 a. 財政状態(資産の部)当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ11,423百万円増加し、78,476百万円となりました。これは主に、現金及び預金、受取手形及び売掛金、商品及び製品、未収消費税等の増加によるものです。特に現金及び預金の増加が大きく、設備投資や長期借入金の返済等の支出はありますが、収益の増加により大きく増加しました。固定資産は、前連結会計年度末に比べ669百万円減少し、73,780百万円となりました。これは主に鹿島事業所の超高純度コロイダルシリカ製造設備Ⅱ期建設工事の完成に伴い建物及び構築物、機械装置及び運搬具等が増加しましたが、完成に伴う建設仮勘定の減少、減価償却費の計上が大きく、全体で減少しました。以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ10,754百万円増加し、152,256百万円となりました。(負債の部)当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,354百万円増加し、19,844百万円となりました。これは主に、設備関係未払金は減少しましたが、長期借入金の内、1年以内返済予定の金額を固定負債から流動負債へ振替したことによる増加、利益の増加に伴う未払法人税等の増加によるものです。固定負債は、前連結会計年度末に比べ3,768百万円減少し、15,195百万円となりました。これは主に、前述の長期借入金の流動負債への振替によるものです。以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ2,413百万円減少し、35,039百万円となりました。(純資産の部)当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ13,167百万円増加し、117,216百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上、円安に伴う海外子会社の剰余金の換算による為替換算調整勘定の増加によるものです。 b. 経営成績当連結会計年度の売上高は、76,926百万円(前連結会計年度比10.7%増、7,424百万円増)となりました。利益面では、営業利益は18,850百万円(同16.1%増、2,620百万円増)、経常利益は19,573百万円(同18.2%増、3,011百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は14,311百万円(同23.1%増、2,688百万円増)となりました。売上高、営業利益は、後述の各セグメントの要因により増収増益となりました。経常利益は営業利益の増加に加え、為替差益の増加により増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増加に加え、投資有価証券売却益の発生により増益となりました。当社グループの報告セグメントの業績は、次のとおりです。なお、当連結会計年度より、従来「電子材料および機能性化学品事業」としていた報告セグメントの名称を「電子材料事業」に変更しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。(ライフサイエンス事業)ライフサイエンス事業の業績は、外部顧客に対する売上高が35,411百万円(前連結会計年度比2.4%減、876百万円減)、営業利益は5,308百万円(同0.4%増、18百万円増)となりました。国内市場では食品・飲料用途における果実酸類の需要は堅調に推移しましたが、医薬品や日用品用途の需要が軟化しました。海外市場では中国市場の低迷に伴う厳しい競争環境下、リンゴ酸のシェアアップや米国の市場拡大に取組み、アジアや米国を中心に販売が増加した一方、欧州での販売は伸び悩みました。その結果、売上高は前連結会計年度を下回りました。営業利益は、売上は減少した一方で、前期の鹿島事業所の定期修繕の長期化によるコスト増加要因が解消されたことに加え、原材料価格の低下や海外子会社の収益寄与により、前連結会計年度を上回り減収増益となりました。 (電子材料事業)電子材料事業の業績は、外部顧客に対する売上高が41,514百万円(前連結会計年度比25.0%増、8,301百万円増)、営業利益は15,926百万円(同20.9%増、2,755百万円増)となりました。半導体市場の需要は堅調に推移し、特にAI用途を中心に拡大しました。主力製品である超高純度コロイダルシリカは、旺盛な需要に対して安定供給に努めた結果、販売数量が増加しました。売上高は、円高の影響による減少はありましたが、特にアジア向けの販売数量の増加により、前連結会計年度を上回りました。営業利益は、京都事業所や鹿島事業所の新規製造設備の稼働に伴い、減価償却費や立ち上げ費用が増加しましたが、売上増加、生産拡大による効果が寄与し、前連結会計年度を上回り増収増益となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益および減価償却費の発生により取得した資金を有形固定資産の取得、法人税等の支払、配当金の支払等に充てた結果、前連結会計年度末に比べ8,659百万円増加し、37,896百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果取得した資金は、24,793百万円(前連結会計年度は22,701百万円の取得)となりました。これは主に、法人税等の支払に対して、税金等調整前当期純利益による収入および減価償却費の発生による収入があったためです。売上債権、仕入債務等の運転資金の増加、法人税等の支払額の増加等、支出は増加しましたが、税金等調整前当期純利益による収入および減価償却費の増加による収入増加が大きく、前連結会計年度に対して収入が増加しました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、11,069百万円(前連結会計年度は20,538百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得によるものです。継続してきた大型設備投資が完成し、有形固定資産の取得による支出が減少したため、前連結会計年度に対して支出が減少しました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、5,905百万円(前連結会計年度は2,409百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済、配当金の支払によるものです。増配による配当金の支払額の増加、長期借入金の返済が始まり、前連結会計年度に対して支出が増加しました。③ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前年同期比ライフサイエンス25,240,828千円△2.8%電子材料45,070,61529.0合計70,311,44315.4(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。b.受注実績当社グループは、見込み生産を行っているため、受注高および受注残高を把握していません。c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前年同期比ライフサイエンス35,411,140千円△2.4%電子材料41,514,88325.0合計76,926,02310.7(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。2.最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。相手先前連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)FUJIFILM Electronic Materials Taiwan Co.,Ltd.8,994,25412.910,674,92413.9 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額および収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断および仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断および仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っています。しかしながら、これらの見積り、判断および仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりです。 ② 連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりです。a. 経営成績等の状況 経営成績の分析(ライフサイエンス事業)「Ⅰ.海外ビジネス拡大」「Ⅱ.国内シェア確保」「Ⅲ.新生産体制・効率化」「Ⅳ.FFAビジネスの面拡大」の各テーマに取り組みました。Ⅰ.海外ビジネス拡大Ⅰ-1.リンゴ酸類前連結会計年度比25%以上の物量増加、アジア市場でのシェア拡大、エジプト、ポルトガル、北欧、メキシコ等の新規取引先への販売強化、物量増加による操業度向上によるコストダウンによる収益性向上を目標として取り組みを進めました。その結果、新規顧客の獲得、既存市場でのシェアアップにより前連結会計年度比20%物量が増加しました。また、時間当たりの生産量増加への取り組みを進めコストダウンによる競争力強化に努めました。 Ⅰ-2.グルコン酸類(PMP Fermentation Products, Inc.)米国子会社PMP Fermentation Products, Inc.において、2023年度に完成した設備増強による製造能力を活用し、安定供給体制の構築、顧客とのアライアンス強化により、米国内でのさらなるシェア拡大、物量の3%増加を目指しました。その結果、新主発酵槽を活用した交互運転の開始による安定操業、コストダウン効果に加え、農業用途への営業強化等の施策も行い、前年比10%物量が増加しました。今後、さらなる需要の拡大が見込まれるため、結晶缶等を増設する設備投資を決定し、引き続き供給能力の強化を行ってまいります。 Ⅰ-3.アジア(海外子会社)中国市場においては、中国子会社である青島扶桑精製加工有限公司において、FFA製品※の製造ラインを拡充し供給力を拡大するとともに、顧客ニーズに応じた新製品の上市、積極的な展示会の出展、情報発信を行いFFA製品※の販売拡大を目指しました。その結果、FFA製品※の生産能力は約1.5倍に拡大し、米飯向け等の新製品の上市、展示会を通した新規案件も約200件獲得し、中国市場において販売は増加しました。東南アジア市場においては、タイ子会社であるFUSO(THAILAND) CO., LTD.を中心に日本、中国との連携を深め、有機酸類の販売強化、ベトナム市場で果実酸販売増、FFA製品※を含めて、機能性製品やコート果実酸等の拡販を目指しました。その結果、飲料用途では大口先の不振はありましたが、リンゴ酸の販売は前連結会計年度比増加し、グルコン酸亜鉛の販売も好調に推移し、東南アジア市場の販売は増加しました。※食品添加物製剤(Formulation of Food Additives)、食品素材・食品添加物製剤(Formulation of Food Materials and Food Additives)、機能性食品素材・食品添加物(Functional Food Material and Food Additive)、機能性果実酸(Functional Fruits Acid)の商品群をFFAと総称しています。Ⅱ.国内シェア確保Ⅱ-1.果実酸類リンゴ酸においては、タイムリーな価格改定とシェアの最適化を行い、利益の最大化を目指すとともに、飼料、農業用途等の新規用途の開拓を行いました。その結果、価格改定は浸透し、販売物量も増加しました。原料価格の低下や稼働率向上による原価低下の効果もあり、利益率は改善しました。クエン酸においては、大手飲料メーカーの入札案件を確実に獲得し、物量の増加を目指すとともに、顧客ごとの競争優位性を分析、把握し、利益率の向上を目指しました。その結果、販売価格は軟調に推移しましたが、販売物量は大手家庭用品向けを中心に増加しました。 Ⅱ-2.ビタミンC類他ビタミンCにおいては、需要増に対応できる安定的な供給体制の構築を進めるとともに、メインユーザーへの販売強化、その他用途の需要取り込み、一般用・医療用医薬品への提案促進による販売増加を目指しました。その結果、サプリ向けの新規顧客は獲得できましたが、大手顧客において販売物量が減少し、前年に対して売上高が減少しました。フマル酸においては、主要用途において需要減少が見込まれる中、価格対応によって物量の確保を目指しました。その結果、海外向けの販路の開拓を進めるとともに、国内大口顧客において物量を確保することができました。 Ⅲ.新生産体制・効率化安全・環境対応、安定操業、保全体制の充実により、供給体制の強化を図りました。 Ⅲ-1.大阪工場リンゴ酸設備の耐震補強工事の実施、新事務所棟の建設準備を進め、設備の老朽化対応を行い、供給体制の強化を目指すとともに、多能工化を進め省力化による効率化、コストダウンを目指しました。その結果、リンゴ酸設備の耐震工事は予定通り完成し、新事務所棟の建設も決定しました。また、各製造ラインにおいて研修、教育を実施し多能工化を推進しました。 Ⅲ-2.鹿島事業所マレイン酸タンク等の定期修繕対応、有機酸設備の老朽化対応に取り組むとともに、拡大する電子材料事業対応と合わせて新分析棟の建設準備を進めました。その結果、定期修繕は予定通り完了し、リンゴ酸、フマル酸の生産量は増加しました。老朽化対応はコンディションベースで優先順位をつけて年度を分散して実施していきます。また、新規保全システムの導入により、設備保全体制のDX化を推進しました。新分析棟は建設を決定し、今後の両事業の生産拡大に対応できる体制構築を進めます。 Ⅳ.FFAビジネスの面拡大営業開発強化とグローバル展開により販売強化を行いました。営業開発強化においては、コート果実酸、米飯向け製剤、酸化防止製造、褐変防止製剤等の製品力を活かして、顧客ニーズを捉えて採用数の加速を目指しました。また、高純度有機酸「アプリシャス」の内製化が完了し、本格採用に向けた活動を始動しました。その結果、一部用途において需要の減退の影響があった製品はありましたが、着実に数量の増加につなげています。高純度有機酸「アプリシャス」は、2026年度本格稼働の目途をつけて販売拡大を目指す体制構築を実施しました。グローバル展開においては、中国市場、タイ市場において現地子会社を中心に日本を含めた連携を強化し、中国市場においては、日持ち向上剤、無リン保水剤等、タイ市場においては日持ち向上剤、歩留まり向上剤等、各市場、ユーザーニーズの特性に合わせた商品群の開発、販売を強化しました。その結果、中国市場、タイ市場ともに新規採用が大きく増加し、着実に販売を増加させています。 ライフサイエンス事業の経営成績は、外部顧客に対する売上高は、前連結会計年度に比べ876百万円減少し35,411百万円となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ18百万円増加し、5,308百万円となりました。売上高は、リンゴ酸の国内外の売上増加、海外子会社の円安効果を含めた増収の増加要因はありますが、日本においては、日用品、医薬品用途の需要減少、原料価格低下に伴う販売価格低下、シェア確保のための価格対応等の減少要因、海外市場においては中国経済の低迷の影響による競争環境激化の影響による価格対応等により、前連結会計年度比で減少しました。営業利益は、売上減少の影響はあるものの、前期の鹿島事業所の定期修繕の長期化によるコストアップの影響が解消されたこと、原料価格低下によるコストダウン、海外子会社の収益が円安効果を含めて貢献し、前連結会計年度比で増加し、減収増益となりました。引き続き、既存製商品では特に海外市場での販売力の強化、拡大を図り、シェアの拡大に努め、新商品の開発、拡販を世界的に進めるとともに、生産効率の向上を図り、業績の拡大を目指します。 (電子材料事業)「Ⅰ.半導体市場需要回復への対応」「Ⅱ.新生産体制の早期確立」「Ⅲ.外部環境変化への迅速・柔軟な対応」「Ⅳ.次世代製品開発」の各テーマに取り組みました。Ⅰ.半導体市場需要回復への対応Ⅰ-1.最先端技術への対応、新規需要の取り込み半導体の最先端技術は、ナノメートルからオングストロームへ進化し、顧客の要求事項の高度化は継続し、より高純度な製品が求められています。また、AI半導体等によるプロセス構造の変化により新たな半導体製造プロセスにおける新規の需要が増加し、当社製品である「超高純度コロイダルシリカ」の必要性も高まっています。加えて、中国市場において国家戦略に基づき半導体市場の成長は継続し、需要は大きく増加しています。このような状況下、当社は品質向上への技術的取り組みを進め、粒度分布制御技術により、粗大粒子や微粒子を低減した製品ラインナップの拡充、新規製造プロセスに対応した製品開発を行いました。その結果、重要なユーザー向けの最先端製造プロセスで採用されました。引き続き、次期製造プロセスにおける要求事項の確認を進め、最先端技術への対応を継続して取り組んでまいります。また、中国市場においては、拡大する需要に対し、情報収集を継続するとともに、営業を強化し、売上は増加しました。 Ⅰ-2.各顧客の需要予測に基づく生産・在庫・出荷調整半導体市場の2025年度の需要は、2024年度を上回って推移することが予測され、2030年度まで拡大が継続することを見込んでいました。このような状況下、当社主力製品の「超高純度コロイダルシリカ」の半導体市場での需要予測の調査を進めるとともに、顧客各社の需要を確認し需要量の確定を行い、次期の投資判断、費用負担について顧客との合意形成を進めました。その結果、半導体市場は好調なAI需要に牽引され、先端半導体の生産量が増加し、当社顧客においても使用量、在庫量の増加により、当社製品の販売量が増加しています。今後も、AI需要、CMPプロセスの継続的な増加、微細化が牽引してさらなる需要の増加を予測しています。当社顧客の需要予測においても、2030年度まで年平均8~10%の成長率が予測されています。その需要予測に対応するため、2026年3月に投資額400億円の超高純度コロイダルシリカ新規設備投資を京都事業所に建設することを決定しました。2029年2月操業開始を予定しており、稼働後には2025年度比で生産能力が2割増加する予定です。また、各顧客に対して長期信頼関係の構築を継続するとともに、新規設備投資に対する費用負担について合意を得て、2026年度以降は5~10%の価格改定を予定しています。 Ⅱ.新生産体制の早期確立Ⅱ-1.鹿島(Ⅰ期・Ⅱ期)京都新ライン稼働・認定当社は増加する需要に対応するため、超高純度コロイダルシリカの新設備の建設を行ってきました。2023年度には鹿島事業所に鹿島Ⅰ期設備が完成、2024年度には京都事業所に新製造ラインが完成、2025年度には鹿島事業所に鹿島Ⅱ期設備が完成しました。新製造設備の製品の採用に際しては、顧客の認定が必要のため、早期認定に努めてまいりました。その結果、鹿島Ⅰ期設備に関しては、認定が完了し2024年度末よりフル稼働となり、稼働率向上が2025年度の利益増に貢献しています。京都事業所新製造ラインに関しては、想定より早期に認定が進捗し、2025年度末よりフル操業を行える体制に移行しています。鹿島Ⅱ期設備に関しては、早期認定に向けて活動を開始しています。引き続き、新設備をフル活用して、安定供給を継続してまいります。また、2026年3月に京都事業所に新設備の建設を決定し、さらなる供給力の強化を進めてまいります。 Ⅱ-2.高濃度化及び高生産性製品の拡充半導体需要の増加に伴う当社製品の需要増加に対応するため新製造設備の建設を進めるとともに、より効率的な生産品目への移行により、さらなる供給力の向上に努めました。高濃度化、生産性の高い品目の開発を進め、ラインナップを拡充し、顧客への提案、認定を継続しました。その結果、全生産量に占める比率が向上し、効率化が進展しました。引き続き、開発を進め製品ラインナップを拡充し、既存品目から移行を進め、さらなる効率化を目指します。 Ⅲ.外部環境変化への迅速・柔軟な対応半導体市場が成長する中、日本経済は、円安、インフレが継続しています。また、サプライチェーンの安定化、米中対立の影響等の各課題に対して取り組みました。円安、インフレに伴うコストアップに対しては、生産の効率化や購入量増加に伴うコストダウン等の自助努力によるコストアップの吸収を図るとともに、各顧客に対して価格転嫁を実施してきました。2025年度に関しては、大きな価格変動が少なく、価格をほぼ維持することができました。次期設備投資に関する価格転嫁に対しては、顧客の合意を得て、着実に設備投資を実施してまいります。サプライチェーンリスクへの対応としましては、超高純度コロイダルシリカの主原料である金属ケイ素の安定調達のため購入国の分散に取り組みました。複数の国からテスト購入を実施し、使用可能性について検証を実施しました。その結果、購入先を複数化することができました。引き続き、必要量の安定調達、価格の安定に取り組んでまいります。米中の貿易摩擦等の外部環境の影響は、相互関税の直接的な影響はなく、半導体製品の輸出入規制による直接的な影響もありませんでした。今後も、米中の貿易摩擦、中東情勢等の外部環境のリスクに対して、情報収集に努め、早期の対応の実施により業績への影響を最小化できるよう努めてまいります。 Ⅳ.次世代製品開発超高純度コロイダルシリカのCMP用途の開発としては、半導体の次世代製造プロセスであるA16、A14世代向けの要求事項に適した開発を継続し、認定活動、サンプルワークを継続するとともに、最先端品、高レート・高生産性品の開発を進めました。また、新規材料、新規用途品の開発を行い、複数社からの引き合いを獲得するとともに用途探索を継続しています。中空サブミクロンシリカ(ミラリカ™)は低誘電剤用途向け中心に複数社のサンプルワークを継続し、2026年度量産化に向けて、製造ラインの構築を進めています。また、展示会への出展を通じて、新規製品のアピール、新規顧客の開拓を進めています。 電子材料事業の経営成績は、外部顧客に対する売上高は前連結会計年度に比べ8,301百万円増加し、41,514百万円となりました。営業利益は前連結会計年度に比べ2,755百万円増加し、15,926百万円となりました。半導体市場は、PC・スマートフォン向け等の需要は低調に推移しましたが、引き続きAI半導体向けの需要が好調に推移しました。加えて、中国市場の需要も大きく伸び、超高純度コロイダルシリカの販売数量は大幅に増加し、売上高は前連結会計年度比で増加しました。営業利益は、鹿島事業所、京都事業所の新設備稼働に伴う減価償却費の増加、製造ライン増加に伴う固定費の増加、資材価格の上昇等のコストアップ要因はありましたが、売上高増加の効果に加え、新規設備を含む製造稼働率上昇による増産効果、生産効率化によるコストダウン効果により、前連結会計年度比で増加し、増収増益となりました。半導体の需要は、中長期的に成長が続くことが予測されています。最先端半導体への技術対応、需要の増加に対応した製販体制の早期構築に対応する必要があります。引き続き、最先端分野へ対応した製品開発、供給能力の強化等、各課題への対応を継続し、業績の拡大を目指します。 (売上高)前述のとおり、前連結会計年度に比べライフサイエンス事業は減少しましたが、電子材料事業の増加が大きく、7,424百万円増加し、76,926百万円となりました。 (営業利益)前述のとおり、前連結会計年度に比べライフサイエンス事業は微増、電子材料事業の増加が大きく、2,620百万円増加し、18,850百万円となりました。 (経常利益)当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べ402百万円増加し、879百万円となりました。これは主に、受取利息の増加に加え、為替差益が前連結会計年度に比べ338百万円増加したためです。営業外費用は、前連結会計年度に比べ11百万円増加し、156百万円となりました。これは主に、投資事業組合運用損が増加したためです。経常利益は、営業利益の増加に加え、上記要因により前連結会計年度に比べ3,011百万円増加し、19,573百万円となりました。 (親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ96百万円増加し、193百万円となりました。これは主に、固定資産売却益は減少しましたが、政策保有株式の売却に伴う投資有価証券売却益が184百万円増加したためです。特別損失は、前連結会計年度に比べ153百万円減少し、238百万円となりました。これは主に、固定資産除却損が減少したためです。法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額は、税金等調整前当期純利益の増加により法人税等合計で前連結会計年度に比べ571百万円増加し、5,216百万円となりました。経常利益の増加に加え、特別損益の増加により、税金等調整前当期純利益は増加しました。法人税等は増加しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて2,688百万円増加し、14,311百万円となりました。財政状態の分析財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりです。キャッシュ・フローの分析キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。b. 資本の財源および資金の流動性についての分析当社グループの運転資金需要のうち主なものは、棚卸資産の購入費用、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。運転資金の財源は、自己資金および金融機関からの短期借入等を基本としています。当連結会計年度は、新たな短期借入は行っておらず、当連結会計年度末に短期借入金の残高はありません。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資、事業買収等によるものです。投資資金の財源は主に、自己資金および金融機関からの長期借入等によります。当連結会計年度において新たな長期借入は行っていません。当連結会計年度末の長期借入金の残高は、2025年度に完成した鹿島事業所超高純度コロイダルシリカ製造設備の投資資金約200億円に対し、2023年度に銀行より長期借入で調達した200億円の内、31億円を返済した残り169億円です。当連結会計年度に実施した設備投資に係る資金の財源は、前述の長期借入金と自己資金を充当しています。当社グループの成長のためには、増加が見込まれる需要に対応した継続した設備投資、最先端技術に対応した研究開発投資が重要と認識しています。投資に関しては、自己資金を中心に、必要に応じて外部調達により実行いたします。株主還元についても重要と認識しています。今後の成長投資と株主還元のバランスを取り、最適な資本構成による資本コストの最適化を考慮して、資金の配分を決定してまいります。 c. 経営成績に重要な影響を与える要因「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。 d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当連結会計年度における当社の最重要指標である「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)は、前連結会計年度に比べ5,247百万円増加し、29,787百万円となりました。減価償却費は、前連結会計年度に比べライフサイエンス事業、電子材料事業ともに増加し、全体で増加しました。ライフサイエンス事業においては、大阪工場のリンゴ酸設備の耐震工事、その他の更新工事によるものです。電子材料事業においては2024年度途中に完成した京都事業所の新規製造設備の償却が通年で影響したこと、2025年度に完成した新規製造設備の償却開始によるものです。営業利益は、前述のとおりライフサイエンス事業、電子材料事業で減価償却費の増加額以上に増加したため、全体で償却前営業利益が前連結会計年度比で増加しました。総資産回転率は0.52回で、前連結会計年度に比べ僅かですが向上しました。総資産は、進めてきた大型設備投資が完成し、固定資産は前連結会計年度末に比べ微減でしたが、好調な収益による現金及び預金の増加により流動資産が増加し、全体で増加しました。総資産は増加しましたが、売上高の増加が上回り、総資産回転率は向上しました。ROE(自己資本利益率)は12.9%で、前連結会計年度に比べて向上しました(前連結会計年度は11.7%)。分母である純資産は利益の計上により増加しましたが、分子である親会社株主に帰属する当期純利益が増加したためです。今後も新規製造設備の本稼働に伴い、減価償却費の増加によるコストアップが想定されていますが、収益性の向上により、継続的にROE(自己資本利益率)の向上を目指します。自己資本比率は77.0%で前連結会計年度より向上し、引き続き水準以上の安全性は確保できています。利益の増加により純資産が増加し、自己資本比率は向上しました。今後も、増加が見込まれる需要に対応するための継続的な大型設備投資や研究開発投資が成長の源泉であり、投資を継続するためにも、一定水準以上の純資産の厚みが必要であると考えています。最適な資本のバランスの維持を意識しつつ、資本コストを意識した最適な資金調達の検討を行います。投資計画、還元政策を考慮し、効率性、収益性のより一層の向上を目指します。

事業リスク

  • 市場変動と価格競争
    ライフサイエンス事業は食品分野が主ですが、工業分野では景気変動の影響を受けやすく、輸入品などとの価格競争も激しいです。電子材料事業は半導体業界の好不況の波に大きく左右されるため、特定の会計期間の業績に影響が出る可能性があります。
  • 自然災害・事故災害
    大規模な自然災害や製造・研究設備での事故が発生した場合、生産や物流、情報機器、研究機器に被害が生じ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。サプライチェーン上の重要な取引先での被害も同様に影響するリスクがあります。
  • 海外事業と原材料調達
    海外売上高が連結売上高の50.6%を占め、中国からの原材料調達の割合も大きいため、各国のカントリーリスク、為替変動、中国の社会経済情勢の変化が業績に影響を与える可能性があります。調達困難や価格上昇のリスクも存在します。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|5,434 文字
3【事業等のリスク】<経営上のリスク管理体制>当社は、代表取締役を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置し、年2回の委員会で事業リスクの識別・評価・管理をおこなっています。「リスクの識別」では、物理的、経済的もしくは信用上の損失に係るリスクまたは不利益を生じさせる可能性を指す13のリスクを識別範囲としており、各部門が識別したリスクを報告しています。リスクの評価では、リスク管理統括部署である総務部が取り纏め、それぞれのリスクとして出された項目を3段階で評価をおこない、対策の緊急度と合わせてリスクマネジメント委員会に提出します。リスクマネジメント委員会では、識別・評価されたリスクを審議し管理リスクとして登録されます。登録されたリスクは、次回の委員会で取組み結果が報告され、進捗中のものは課題や完了時期の確認がおこなわれる仕組みとなっています。また、緊急性や重要度が高い「緊急事態」が出現した場合には、対策本部を設置して対応する体制となっています。 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。(1)市場動向の影響についてライフサイエンス事業の製品は、加工食品・飲料等の食品分野が主な用途ですが、金属加工・コンクリート混和剤等の工業分野でも広く使用されています。食品分野では、比較的景気変動の影響は限定的と言われていますが、異常気象・自然災害等により需要が大きく変動する可能性があります。工業分野では、食品分野に比べ、景気変動の影響をより一層受けるリスクが存在します。また、どの用途においても、輸入品等の競合品との価格競争、国内外の市況の変動により販売価格、原価が影響を受ける可能性があります。そのため、ライフサイエンス事業の特定の会計期間の業績に影響を及ぼす可能性があります。電子材料事業は、半導体業界を中心に製品および商品を販売しており、その半導体業界の特徴として、好況・不況の景気の波が激しいことが挙げられます。そのため、半導体業界の景気変動の波を受けるリスクが存在し、当社グループの電子材料事業の特定の会計期間の業績に影響を及ぼす可能性があります。(主なリスクへの対応・取り組み)両事業とも、特定の分野・地域・ユーザーの依存度を分散するよう、新規用途を獲得するため積極的に情報収集・製品開発を行っています。特に、半導体業界は、短期的な景気の変動はあるものの、中長期的には成長が続くものと想定しています。その想定に沿って、短期的な不況に耐えうる財務体質の強化を目指しています。(2)自然災害・事故災害の発生について大規模地震等の自然災害、製造および研究設備等における事故が発生した場合には、生産および物流設備、情報機器、研究機器等への被害により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。上記リスクは、当社グループだけでなく、重要な取引先でも発生する可能性があり、サプライチェーンへの影響により、当社グループの業績に影響を与える可能性もあります。自然災害等の損失最大予想額は、サステナビリティ報告書に記載しています。(主なリスクへの対応・取り組み)当社は、一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会より国土強靭化貢献団体認証「レジリエンス認証」を取得しています。グループの生産および物流設備、システムサーバーなどの情報機器、研究設備等が自然災害・事故災害に被災した場合は、当社グループで策定しているBCPの手続きにより、適切な情報収集・対応策を実施することで、最短での復旧を目指します。また、重要な取引先で被害が発生した場合に備えてBCPの対応状況を含むサプライチェーンアンケートを行い、BCP対策の整備を奨励するとともに、仕入の複数購買等の施策をできる限り実施し、サプライチェーンの維持・管理に努めています。 (3)技術革新の影響について電子材料事業の主要な納入先である半導体業界は技術革新の激しい業界であり、新規技術の開発・応用がなされた場合、市場が大きく変化する可能性があります。(主なリスクへの対応・取り組み)常に半導体業界の最先端の動向・情報を収集し、最先端の技術に対応した製品開発を行い、供給体制を構築しています。また、半導体研磨分野で培った技術を活かし、中空ナノシリカ、トナー市場向けナノパウダー等の製品で半導体以外の市場の開拓を進め、依存度を下げます。(4)海外事業について当社グループの事業は世界的に広がっており、当連結会計年度における海外売上高の連結売上高に占める比率は55.1%(北米15.8%、アジア38.4%、ヨーロッパ0.9%、その他0.1%)と海外向けの売上高の重要性が高くなっています。また、在外の連結子会社は、中国、米国およびタイに合わせて5社あり、子会社を通じて海外においても事業を行っています。海外市場で事業を行う際には、社会的・経済的なカントリーリスク、人事・労務問題の環境の相違、法令等の規制強化等、特有のリスクがあり、それらが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(主なリスクへの対応・取り組み)各国固有のカントリーリスクがあり、それを全て無くすことは困難ですが、各子会社へ駐在員を派遣し、専門家、業界団体等を活用し、各種リスクが顕在化する前段階での情報収集を実施し、早期対応に努めます。(5)原材料の調達について当社グループの原材料の調達活動において、中国からの調達のウエイトが大きなものとなっています。このため、中国の社会経済情勢の影響を受けた際には、調達が困難となる可能性や調達価格が上昇する可能性があり、特定の会計期間における業績が影響を受ける可能性があります。(主なリスクへの対応・取り組み)中国以外の国からの調達も検討する等、分散化によりリスクの軽減を図っています。さらに、当社および現地法人を通じて、仕入れ先との協力関係を強化し、情報収集、早期の対応が可能な体制を構築しています。また、調達価格が上昇した場合は、各種コスト削減や収益構造の見直しに加え、販売価格の改定による対応も図っていきます。(6)為替変動の影響について(4)海外事業について(5)原材料の調達について、で記載のとおり、海外向けの売上高、海外からの仕入高、在外子会社の財務諸表の換算、また、在外子会社も現地通貨と取引通貨が違う場合、それぞれ為替相場の変動リスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(主なリスクへの対応・取り組み)海外向けの売上高、海外からの仕入高のバランスをとることで、為替リスクの軽減を図っています。また、長期の販売契約を締結する際には、為替予約を利用して、仕入価格の固定化を図るなど、為替リスク軽減に努めています。在外子会社の財務諸表を換算する際の為替リスクの回避は困難であり、海外子会社については、現地通貨での業績管理を行い、現地通貨ベースでの業績の向上を目指します。在外子会社が現地通貨以外の通貨で取引する場合は、基軸通貨である米ドルで取引を行い、為替の変動幅を最小限に抑えます。(7)化学品に対する法規制について世界的に環境問題に対する関心が高まる中、化学品への規制が強まる傾向にあります。このような状況下、当社グループの製品の製造・販売についても法律等により規制される可能性があります。(主なリスクへの対応・取り組み)国内外の化学品への規制について、当社・子会社において、常に動向を注視し、情報収集を行い、必要な場合、担当部門において専門家や業界団体の助言等を得て、早期の対応に努めています。 (8)知的財産権について知的財産権の取得および利用については、常に当社グループのスケジュール通りとなる保証はなく、市場競争力に影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ訴訟等の当事者になる可能性があり、その際には費用の発生や人的資源の投入を強いられる可能性があります。(主なリスクへの対応・取り組み)知的財産権やノウハウ等は、今後の事業展開や競争力に直結するため、非常に重要であると認識しています。これまで自社権利の取得、活用、保護、ならびに他社権利の尊重について各事業部で対応していましたが、その重要性を鑑み、2023年4月1日付で管理本部内に「法務知財室」を設置しました。法務知財室の主導のもと、各事業部と協力して対応しています。また、発明審査委員会を開催し、社内で知的財産権について情報共有を図り、適正な管理運用を行う体制を構築しています。(9)製造物責任について当社グループでは、製品が顧客であるユーザーで原料として使用される、BtoBと呼ばれる商流が大部分を占めており、当社グループの製品に問題等が発生した場合には、ユーザーから一般消費者向けの製品へも影響を与えるなど、影響の範囲が大きく広がる可能性があります。その結果、当社グループの業績に対して影響を与えるとともに、企業への信頼についても影響を受ける可能性があります。(主なリスクへの対応・取り組み)経営信条の一つに「信用を重んじ確実を旨とする」とあるとおり、メーカーとして品質・信頼の確保が重要であると認識し、行動規範に品質の維持、コンプライアンス活動の推進等必要な事項を定め、社内に周知徹底しています。また、両事業とも品質保証部門に対する体制の強化を図り、当社グループの製商品に対する品質管理を行うとともに、国内外の関係部門、調達先等に関与し、工程管理による不良の低減等の品質保証活動を推進しています。(10)設備投資計画について当社グループは既存設備の更新だけでなく、新規設備投資等により事業の拡大を図っています。しかしながら、当社グループの製品に対する需要が期待どおりに推移しなかった場合は、生産設備の稼働率低下により、収益性が低下し、減損損失の計上・固定費の負担等、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。(主なリスクへの対応・取り組み)新規製造設備への投資決定の際に、ユーザーからの要望・市場調査を念入りに行う等、十分な検討を重ねて決定しています。新規製造設備や設備更新の際は、省人化、省エネルギー化等、コストの最小化、効率化を推進した設備の導入を進め、稼働率の低下にも耐えうる企業体質を目指しています。(11)棚卸資産について(1)市場動向の影響について、で記載したとおり、景気変動の影響を受けた際に棚卸資産が大きく増加し、陳腐化することで、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、原料価格・為替の変動により棚卸資産の簿価が市場価格より高くなり、低価法が適用されると、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。(主なリスクへの対応・取り組み)適時、販売状況・販売計画を確認し、生産・購買と販売のバランスをとり、タイムリーに生産計画・購買計画を立案・修正し、実行しています。また、原料価格を販売価格へ転嫁し、適切な利幅を維持出来るよう、契約の見直しを実施しています。 (12)情報セキュリティについてコンピューターウイルスによる感染や外部からの不正アクセス等によって、営業機密や個人情報の漏洩が発生した場合には、取引先からの損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。(主なリスクへの対応・取り組み)当社は、全社の情報セキュリティを管理する管理本部領域においてISMS認証を取得しています。災害対策やセキュリティレベルを高めるためにクラウド化等を進めるとともに、ファイアウォールの強化や監視ソフトの導入など、情報セキュリティの強化を状勢変化に対応し進めています。また、インシデント発生時への対応訓練や社員に対してe-ラーニングを活用した情報セキュリティ教育を行っています。(13)気候変動について気候変動の直接的な影響として、自然災害の増加、甚大化が想定されます。このリスクに対しては、(2)自然災害・事故災害の発生について、で記載しています。その他に間接的な影響として、気候変動緩和策へ対応した結果、調達先および販売先が限定される可能性や、温暖化対策の施策によるコスト増加により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。(主なリスクへの対応・取り組み)環境規制や関連法規等を遵守した上で、気候変動などの環境問題への対応を課題として捉えています。省エネの推進、CO2の算定を進め国内の過去3期(2021年度~2023年度)Scope1~3の算出を完了しました。主要製品のカーボンフットプリントの算出も取り組んでおり、2024年度分の算出を完了しています。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)が提言している4つの柱(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿って、気候変動が当社グループに与える影響を分析し、政府の進める政策に協調するために対策を検討・実施しています。

このページのバフェット流コメンタリーは順次自動生成中です。生成されると、ここに「数値の読み解き方」「同業比較」「投資判断のポイント」を表示します。

もっと深く分析したい?

モート先生 AI が 扶桑化学工業 の事業を 4 賢人の理論で詳しく解説します

モート先生に聞く →