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オルガノ(6368)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

機械 機械

事業の概要

オルガノグループは、総合水処理エンジニアリング会社として、主に「水処理エンジニアリング事業」と「機能商品事業」を展開しています。水処理エンジニアリング事業では、純水・超純水製造設備、排水処理設備などのプラントの設計・建設から、消耗品交換、メンテナンス、運転管理までを一貫して提供し、これが主力事業です。機能商品事業では、水処理薬品や純水製造装置、食品素材などを提供しており、幅広い水処理ニーズに応えることで収益を上げています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

オルガノグループの事業セグメントは、主に「水処理エンジニアリング事業」と「機能商品事業」の2つです。水処理エンジニアリング事業は、純水・超純水製造設備や排水処理設備などのプラント事業、および消耗品交換やメンテナンス、運転管理を行うソリューション事業を含みます。このセグメントが売上1381.3億円、営業利益273.82億円と、グループの稼ぎ頭となっています。機能商品事業は、水処理薬品や標準型機器・機能材、食品素材などを提供しており、売上251.39億円、営業利益37.38億円です。海外での事業展開も積極的に行っており、グローバルな水処理ニーズに対応しています。

2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
WaterTreatmentEngineeringBusinessUnitReportabel 地域 1,381 274 19.8%
PerformanceProductsBusinessUnit 地域 251 37 14.9%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|845 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社、子会社11社、関連会社2社及び親会社(東ソー(株))で構成され、総合水処理エンジニアリング会社として水処理エンジニアリング事業と機能商品事業を行っております。当社グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。なお、以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。 報告セグメント主要製品・事業内容主な関係会社水処理エンジニアリング事業プラント事業純水・超純水製造設備、用水処理設備、排水処理・排水回収設備、有価物回収設備、プロセス関連設備当社オルガノプラントサービス(株)オルガノアクティ(株)オルガノ(アジア)SDN.BHD.オルガノ(蘇州)水処理有限公司オルガノ・テクノロジー有限公司オルガノ(タイランド)CO.,LTD.オルガノ(ベトナム)CO.,LTD.オルガノUSA, Inc.ソリューション事業消耗品交換、メンテナンス、運転管理、改造工事、水処理加工受託、包括メンテナンス機能商品事業水処理薬品事業RO水処理薬品、排水処理薬品、冷却水処理薬品、洗浄薬品、ボイラ水処理薬品当社オルガノ(アジア)SDN.BHD.オルガノ(蘇州)水処理有限公司オルガノ・テクノロジー有限公司オルガノ(タイランド)CO.,LTD.オルガノ(ベトナム)CO.,LTD.オルガノUSA, Inc.標準型機器・機能材事業純水・超純水製造装置、フィルタ機能材(分離精製材)食品事業食品素材、食品添加剤当社オルガノフードテック(株) ・親会社当社は東ソー(株)から水処理薬品の原材料の一部などの仕入れを行うとともに、同社に対し各種水処理装置及び関連薬品を販売するなどの取引を行っております。 事業の系統図は次のとおりであります。 (注)1 インドの市場調査を目的として、2026年2月19日付でオルガノインディアPVT.LTD.を設立しております。 2 東北電機鉄工(株)は、2026年4月1日付で電機鉄工(株)に社名変更しております。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
プロジェクトによっては輸送費や関税などの費用も積算コストに含めたうえで契約金額が決定されるケースが多い。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
超純水や溶剤・薬液などの更なる高度純度を目指す分離精製技術、高度分析技術の開発。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 高い(依存)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:海外事業(地政学リスク、為替変動、法規制) / 特定の市場・顧客への集中(電子産業分野、上位3社への営業債権集中) / 資材・工事調達(特定の取引先への依存、価格高騰、協力企業確保)
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

オルガノは水処理技術に関する長年の実績とノウハウを持つが、特許やブランド力が決定的な競争優位に直結しているとは言い難い。特定の顧客との強固な関係性は存在するものの、無形資産による明確なモートは限定的。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

水処理プラントは初期投資が大きく、運用保守にも専門知識が必要なため、顧客が他社へ乗り換える際のスイッチングコストは高い。特に大規模プラントや特殊用途では、既存サプライヤーとの継続的な関係が維持されやすい。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

オルガノの事業モデルは、ユーザー数が増えることでサービスの価値が増すネットワーク効果を生む構造ではない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

水処理装置の製造において、一定の規模の経済性は期待できるが、競合他社と比較して構造的なコスト優位性を示す明確な証拠はない。技術開発や調達における効率化努力は存在する。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

水処理プラント市場は、高度な技術と実績が求められるため、参入障壁が高く、オルガノのような大手企業が一定のシェアを占める寡占市場を形成している。特に半導体・液晶業界向けでは強みを持つ。

オルガノグループの優位性は、水処理に関する総合的な技術力とサービス提供能力にあります。プラントの設計・建設からメンテナンス、薬品供給までを一貫して手掛けることで、顧客の多様なニーズに対応し、高いスイッチングコストを生み出しています。特に、純水・超純水製造技術は半導体産業などで不可欠であり、専門性の高い技術が参入障壁となっています。また、海外展開を加速し、特定の地域に依存しない事業構造を目指すことで、リスク分散と持続的な成長を図っています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営方針■ 経営理念・長期経営ビジョン当社グループは1946年の創業以来、長きにわたって水に関わるお客様のさまざまなご要望やそれぞれの時代のニーズに応えてまいりました。昨今これまでにないほど「水」そして「環境」がクローズアップされており、産業の発展に伴う水使用量の増大や環境汚染、地球温暖化、世界規模での飲料水の不足、資源の枯渇などさまざまな課題が顕在化し、その解決が求められています。当社グループは、これまで水で培ってきた技術・サービスを駆使して、産業分野で必要とされる高度な水処理や、社会の基盤となる自然環境の保全と人々の豊かな生活に必要な水の創造など、産業・環境・生活の調和に貢献することが我々の大きな使命であると考えており、以下の経営理念及び長期経営ビジョンを掲げ経営に取り組んでおります。 経営理念オルガノは水で培った先端技術を駆使して未来をつくる産業と社会基盤の発展に貢献するパートナー企業としてあり続けます 長期経営ビジョン■ 付加価値の高い分離精製・分析・製造技術を基に、事業領域と展開地域を拡大し、産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスを絶えず提供します■ 昨日までのやり方を、明日に向けて、今日変える人をつくり、一人ひとりが働きがいと活力に満ちた企業を構築します (2) 経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき課題等① 経営環境当社グループを取り巻く経営環境は、中東情勢の緊迫化に起因するエネルギー供給不安や物価高、サプライチェーンへの影響など地政学リスクへの懸念により、引き続き不確実性の高い状況が続いております。このような環境下ではありますが、当社グループは、先端半導体を中心とする電子産業分野での活発な投資や、一般産業分野、電力分野、機能商品分野の堅調な需要に支えられ、直近数年間において増収増益を継続するなど、順調に事業規模の拡大を遂げております。当社グループの主力市場である電子産業分野においては、生成AI(人工知能)やデータセンター向けなどを中心に先端半導体の需要が急速に拡大しており、当面は供給が需要に追い付かない逼迫した状況が継続するとともに、今後も中長期的な市場拡大が見込まれております。これに伴い、当社グループが高いシェアを有する台湾市場や、新たに事業展開を推し進めている米国において、先端半導体に対する設備投資がこれまで以上に活発に進むものと想定しております。このような先端半導体市場の拡大によって電子材料など周辺分野の市場拡大も期待されます。チップの微細化や高性能化の進展に伴い、当社がこれまで水処理で培ってきた分離精製技術を半導体製造に用いられる各種の薬液や溶剤などの高度精製に応用・展開することにより、新たな事業分野の拡大が期待出来ます。また、先端半導体の微細化・積層化に伴い、当社グループに求められる技術要求は非常に高い水準となっております。加えて、環境負荷の低減や資源の有効活用など、サステナビリティに関する顧客の課題解決ニーズも一段と複雑化・多様化しております。さらに、事業構成に占める半導体分野の比率や、特定の主要顧客・特定地域(台湾・米国など)に対する集中度がより高まる見込みであるほか、中国やASEAN等の地域における市場環境の変化や、今後の大きな経済成長が見込まれるインド市場の動向など、各地域の特性に応じた機動的な事業展開がこれまで以上に求められております。 内部環境に目を向けますと、事業規模の急拡大およびグローバル展開の進展に伴い、それらを支える人的資本の確保など、経営基盤の整備の重要性が一段と高まっております。活発な投資が続く市場での事業機会を確実に捉えるためには、グローバルなエンジニアリング体制を支える専門人材の獲得競争の激化や、労働市場の変化に対応していく必要があります。加えて、事業環境が一段と複雑化する中、デジタル技術を活用した生産性向上が不可欠になっているほか、多様な人材が活躍できる職場環境に対する社会的な要請もこれまで以上に強まっております。したがって、現在の当社グループを取り巻く経営環境は、先端半導体を中心とした極めて大きな成長機会が存在する一方で、多様化・高度化する顧客ニーズや特定分野・地域への集中に起因する変化への対応力向上と、その成長を根底から支える人的資本など経営基盤の拡充が強く求められる局面にあると認識しております。 ② 経営戦略及び優先的に対処すべき課題等上述のとおり、当社グループの業績は、半導体を中心とする電子産業分野が大きく牽引し、順調に事業規模を拡大しております。特にAIやデータセンター向けの先端半導体の供給が需要に追い付かない状況が今後も継続し、台湾や米国において先端半導体製造への投資がこれまで以上に活発に進むと想定しております。このような状況を踏まえ、中長期の経営計画である“ORGANO 2030”における2030年度の数値目標につきましては、2026年度の計画値を起点とし、売上高は年平均成長率7%として2,600億円、営業利益率については18%以上へと見直すことといたしました。“ORGANO 2030”に向けては、活発な投資が続くと想定される先端半導体市場における事業機会に対応するため、グローバルでのエンジニアリング体制拡充を通じて納入キャパシティを拡大するとともに、当社のコア技術の深化と新たな価値の創出を目指した技術開発を加速してまいります。一方で、2030年度に向かう短期、中期の成長の中では、半導体分野の比率、特定顧客や特定地域への集中度がさらに高まる見込みであり、長期的な観点から、事業ポートフォリオ、地理的ポートフォリオを継続的に強化していく必要があると認識しております。事業ポートフォリオについては、安定収益が見込めるソリューション事業の成長を最優先課題とし、既存顧客へ満足度の高いソリューションを着実に提供するための体制を強化するとともに、新たな技術・製品の開発を通じて顧客の課題解決力・提案力の強化を目指します。また、機能商品事業においては、重点事業である水処理薬品、機能材料における水処理エンジニアリング事業とのシナジーを追求しつつ、競争力のある製品・技術の開発と拡販に注力してまいります。 地理的ポートフォリオの強化については、引き続き米国市場の開拓を最優先課題とします。当面は先端半導体案件を中心とする電子産業分野を柱としつつ、薬品事業、分離精製事業、小型装置事業、製薬分野向けの水処理装置事業、新規下水処理技術の実装など、多面的な展開を図ってまいります。また、今後大きな市場に成長することが期待されるインドについては現地法人を設立し、市場動向や事業環境などの詳細調査を実施したうえで、事業戦略を立案し、実行段階へと移行します。中国やASEANにおいては、地域ごとの事業環境の変化に対応した柔軟な展開を図ってまいります。 当社グループの成長を支える事業基盤については、長期的な視点に基づく要員体制の強化、研修・教育やスキルマップ活用による人材育成、AI・デジタル活用による業務効率化に引き続き取り組んでまいります。加えて、財務戦略・投資戦略に基づいて、研究開発投資、業務効率化のためのITインフラ投資などの成長投資を積極的に実行してまいります。さらには、事業継続の大前提である安全確保、コンプライアンス遵守を徹底するとともに、ESGの取組みも強化し、経営基盤の持続的な強化を進めてまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営方針■ 経営理念・長期経営ビジョン当社グループは1946年の創業以来、長きにわたって水に関わるお客様のさまざまなご要望やそれぞれの時代のニーズに応えてまいりました。昨今これまでにないほど「水」そして「環境」がクローズアップされており、産業の発展に伴う水使用量の増大や環境汚染、地球温暖化、世界規模での飲料水の不足、資源の枯渇などさまざまな課題が顕在化し、その解決が求められています。当社グループは、これまで水で培ってきた技術・サービスを駆使して、産業分野で必要とされる高度な水処理や、社会の基盤となる自然環境の保全と人々の豊かな生活に必要な水の創造など、産業・環境・生活の調和に貢献することが我々の大きな使命であると考えており、以下の経営理念及び長期経営ビジョンを掲げ経営に取り組んでおります。 経営理念オルガノは水で培った先端技術を駆使して未来をつくる産業と社会基盤の発展に貢献するパートナー企業としてあり続けます 長期経営ビジョン■ 付加価値の高い分離精製・分析・製造技術を基に、事業領域と展開地域を拡大し、産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスを絶えず提供します■ 昨日までのやり方を、明日に向けて、今日変える人をつくり、一人ひとりが働きがいと活力に満ちた企業を構築します (2) 経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき課題等① 経営環境当社グループを取り巻く経営環境は、中東情勢の緊迫化に起因するエネルギー供給不安や物価高、サプライチェーンへの影響など地政学リスクへの懸念により、引き続き不確実性の高い状況が続いております。このような環境下ではありますが、当社グループは、先端半導体を中心とする電子産業分野での活発な投資や、一般産業分野、電力分野、機能商品分野の堅調な需要に支えられ、直近数年間において増収増益を継続するなど、順調に事業規模の拡大を遂げております。当社グループの主力市場である電子産業分野においては、生成AI(人工知能)やデータセンター向けなどを中心に先端半導体の需要が急速に拡大しており、当面は供給が需要に追い付かない逼迫した状況が継続するとともに、今後も中長期的な市場拡大が見込まれております。これに伴い、当社グループが高いシェアを有する台湾市場や、新たに事業展開を推し進めている米国において、先端半導体に対する設備投資がこれまで以上に活発に進むものと想定しております。このような先端半導体市場の拡大によって電子材料など周辺分野の市場拡大も期待されます。チップの微細化や高性能化の進展に伴い、当社がこれまで水処理で培ってきた分離精製技術を半導体製造に用いられる各種の薬液や溶剤などの高度精製に応用・展開することにより、新たな事業分野の拡大が期待出来ます。また、先端半導体の微細化・積層化に伴い、当社グループに求められる技術要求は非常に高い水準となっております。加えて、環境負荷の低減や資源の有効活用など、サステナビリティに関する顧客の課題解決ニーズも一段と複雑化・多様化しております。さらに、事業構成に占める半導体分野の比率や、特定の主要顧客・特定地域(台湾・米国など)に対する集中度がより高まる見込みであるほか、中国やASEAN等の地域における市場環境の変化や、今後の大きな経済成長が見込まれるインド市場の動向など、各地域の特性に応じた機動的な事業展開がこれまで以上に求められております。 内部環境に目を向けますと、事業規模の急拡大およびグローバル展開の進展に伴い、それらを支える人的資本の確保など、経営基盤の整備の重要性が一段と高まっております。活発な投資が続く市場での事業機会を確実に捉えるためには、グローバルなエンジニアリング体制を支える専門人材の獲得競争の激化や、労働市場の変化に対応していく必要があります。加えて、事業環境が一段と複雑化する中、デジタル技術を活用した生産性向上が不可欠になっているほか、多様な人材が活躍できる職場環境に対する社会的な要請もこれまで以上に強まっております。したがって、現在の当社グループを取り巻く経営環境は、先端半導体を中心とした極めて大きな成長機会が存在する一方で、多様化・高度化する顧客ニーズや特定分野・地域への集中に起因する変化への対応力向上と、その成長を根底から支える人的資本など経営基盤の拡充が強く求められる局面にあると認識しております。 ② 経営戦略及び優先的に対処すべき課題等上述のとおり、当社グループの業績は、半導体を中心とする電子産業分野が大きく牽引し、順調に事業規模を拡大しております。特にAIやデータセンター向けの先端半導体の供給が需要に追い付かない状況が今後も継続し、台湾や米国において先端半導体製造への投資がこれまで以上に活発に進むと想定しております。このような状況を踏まえ、中長期の経営計画である“ORGANO 2030”における2030年度の数値目標につきましては、2026年度の計画値を起点とし、売上高は年平均成長率7%として2,600億円、営業利益率については18%以上へと見直すことといたしました。“ORGANO 2030”に向けては、活発な投資が続くと想定される先端半導体市場における事業機会に対応するため、グローバルでのエンジニアリング体制拡充を通じて納入キャパシティを拡大するとともに、当社のコア技術の深化と新たな価値の創出を目指した技術開発を加速してまいります。一方で、2030年度に向かう短期、中期の成長の中では、半導体分野の比率、特定顧客や特定地域への集中度がさらに高まる見込みであり、長期的な観点から、事業ポートフォリオ、地理的ポートフォリオを継続的に強化していく必要があると認識しております。事業ポートフォリオについては、安定収益が見込めるソリューション事業の成長を最優先課題とし、既存顧客へ満足度の高いソリューションを着実に提供するための体制を強化するとともに、新たな技術・製品の開発を通じて顧客の課題解決力・提案力の強化を目指します。また、機能商品事業においては、重点事業である水処理薬品、機能材料における水処理エンジニアリング事業とのシナジーを追求しつつ、競争力のある製品・技術の開発と拡販に注力してまいります。 地理的ポートフォリオの強化については、引き続き米国市場の開拓を最優先課題とします。当面は先端半導体案件を中心とする電子産業分野を柱としつつ、薬品事業、分離精製事業、小型装置事業、製薬分野向けの水処理装置事業、新規下水処理技術の実装など、多面的な展開を図ってまいります。また、今後大きな市場に成長することが期待されるインドについては現地法人を設立し、市場動向や事業環境などの詳細調査を実施したうえで、事業戦略を立案し、実行段階へと移行します。中国やASEANにおいては、地域ごとの事業環境の変化に対応した柔軟な展開を図ってまいります。 当社グループの成長を支える事業基盤については、長期的な視点に基づく要員体制の強化、研修・教育やスキルマップ活用による人材育成、AI・デジタル活用による業務効率化に引き続き取り組んでまいります。加えて、財務戦略・投資戦略に基づいて、研究開発投資、業務効率化のためのITインフラ投資などの成長投資を積極的に実行してまいります。さらには、事業継続の大前提である安全確保、コンプライアンス遵守を徹底するとともに、ESGの取組みも強化し、経営基盤の持続的な強化を進めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要、これらに関する経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日)における世界経済は、米国の通商政策や中国景気の減速による影響に加えて、中東情勢の緊迫化に起因するエネルギー供給不安や物価高、サプライチェーンへの影響など地政学リスクへの懸念により先行き不透明な状況が継続しましたが、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。当社グループの主力市場である電子産業分野においては、EV(電気自動車)市場の成長減速などに伴う車載向けなどのパワー半導体の需要低迷が続いた一方で、生成AI(人工知能)需要の急拡大及びデータセンター向け投資の本格化を背景に、先端半導体の量産に向けた設備投資が年間を通じて高い水準で推移しました。また、一般産業分野や、電力・上下水などの社会インフラ分野においては、メンテナンス需要を中心に堅調に推移しました。このような状況の下、当社グループは国内外の大型プロジェクトの受注・納入活動を進めるとともに、生産・納入キャパシティの拡大に努めてまいりました。米国での現地エンジニアリング体制の構築や、国内外でのソリューション体制強化、新たにインドでの拠点設立などの取組みを進めてまいりました。また、事業戦略と連動した技術開発や知財戦略の推進のほか、国内外における人的投資の拡大、サステナビリティやガバナンスの高度化、基幹システムの刷新など、経営基盤の強化にも取り組んでまいりました。この結果、当連結会計年度の業績は受注高167,956百万円(前連結会計年度比11.0%増)、売上高177,654百万円(同8.8%増)、営業利益37,648百万円(同21.0%増)、経常利益38,130百万円(同20.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益28,401百万円(同17.6%増)となり、ROE(自己資本当期純利益率)は21.5%(前連結会計年度は21.7%)となりました。受注高は期初計画を下回ったものの前年度実績を上回る水準を確保しました。売上高及び各段階利益については、前年度実績及び期初計画を上回り、前年度に続いて過去最高となる水準を達成いたしました。また、翌年度以降の売上のベースとなる繰越受注残高は96,503百万円(同8.8%減)となり、引き続き高い水準の受注残高を確保しております。 区 分第80期2025年3月期第81期(当連結会計年度)2026年3月期前連結会計年度比計画比期初計画実績受注高(百万円)151,272180,000167,956+11.0%△6.7%繰越受注残高(百万円)105,778110,77896,503△8.8%△12.9%売上高(百万円)163,269175,000177,654+8.8%+1.5%営業利益(百万円)31,12031,50037,648+21.0%+19.5%売上高営業利益率(%)19.118.021.2--経常利益(百万円)31,63932,00038,130+20.5%+19.2%親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)24,15024,20028,401+17.6%+17.4%自己資本当期純利益率(ROE)(%)21.718.821.5-- セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。(水処理エンジニアリング事業) ■受注高受注高は前連結会計年度比12.2%増となる141,685百万円となりました。電子産業分野においては、一部の大型案件で受注時期が翌期にずれ込んだため期初の想定は下回ったものの、台湾、米国、欧州において大型の半導体向けプロジェクトを受注したことに加え、設備保有型サービスや各種メンテナンスなどのソリューション事業も好調に推移し、受注高は前年度比で増加しました。一般産業分野においては、一部大型案件の受注動向により減少したものの、各種メンテナンスなどのソリューション案件は好調に推移しました。社会インフラ分野においては、火力発電所の新増設案件を受注したことなどから、受注高は増加しました。■売上高売上高は前連結会計年度比10.0%増となる151,961百万円となりました。電子産業分野においては、日本や台湾、米国におけるプラント案件が順調に進捗したことに加えて、設備保有型サービスや各種のメンテナンスなどのソリューション事業も好調に推移し、売上高が増加しました。一般産業分野においては、電子周辺分野などのプラント案件が順調に進捗したほか、ソリューション事業が好調に推移し、売上高は増加しました。社会インフラ分野においては、火力・原子力発電所などのメンテナンスを中心に堅調に推移しました。■営業利益営業利益は、前連結会計年度比25.4%増となる34,339百万円となりました。電子産業分野を中心とした売上高の拡大に加え、比較的収益性の高いソリューション事業の売上が増加しました。さらに、好採算のプラント案件の順調な進捗や、海外のプラント案件を中心に収益改善の取組みや原価低減による売上総利益率の改善があったことが大きく影響し、人件費やIT関連費用を中心とした販管費の増加を吸収して、増益となりました。 (機能商品事業) ■受注高・売上高受注高は前連結会計年度比5.3%増となる26,270百万円、売上高は同2.2%増となる25,693百万円となりました。食品分野において低採算取引の整理を進めた影響があったものの、標準型機器・機能材分野において、医療・研究機関向けの小型純水装置や半導体製造に用いる電子材料の高度分離・精製向け機能材の受注・販売が伸長しました。また、水処理薬品も電子産業向けのRO膜処理剤や排水処理剤などが好調に推移し、受注高・売上高ともに増加しました。■営業利益営業利益は前連結会計年度比11.5%減となる3,309百万円となりました。売上高の増加に加え、電子産業向けの水処理薬品や機能材など比較的利益率の高い製品の売上が伸長したことや、食品分野の低採算取引を整理したことなどから売上総利益率が改善したものの、人件費を中心とした販管費の増加を吸収しきれず、若干の減益となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業169,765+17.1機能商品事業12,285△0.5合計182,051+15.7 (注) 1 上記の金額は販売価格をもって表示しております。2 セグメント間取引については、相殺消去しております。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業141,685+12.294,212△9.5機能商品事業26,270+5.32,291+34.9合計167,956+11.096,503△8.8 (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業151,961+10.0機能商品事業25,693+2.2合計177,654+8.8 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.22,78514.044,81825.2 3 Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.については、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.及び同一の企業集団に対する売上高を含めております。 (2) 財政状態(資産)当連結会計年度末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ30,471百万円増加し、224,867百万円となりました。流動資産は、設備保有型サービスの設備完成によってリース投資資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ27,635百万円増加し、192,002百万円となりました。固定資産は、設備投資額の増加によって有形固定資産及び無形固定資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末から2,835百万円増加し、32,864百万円となりました。(負債)当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ8,703百万円増加し、81,904百万円となりました。流動負債は、主に大型の工事案件や設備保有型サービスの設備建設のための支出増加に伴い短期借入金が増加したことによって、前連結会計年度末に比べ6,537百万円増加し、70,939百万円となりました。固定負債は、主に長期借入金の調達によって前連結会計年度末から2,165百万円増加し、10,965百万円となりました。なお、当連結会計年度末における借入金合計は前連結会計年度末に比べ11,845百万円増加し、34,402百万円となっております。(純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ21,767百万円増加し、142,962百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等に伴う利益剰余金19,934百万円の増加によるものであります。 セグメントごとの資産は、次のとおりであります。水処理エンジニアリング事業の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ27,578百万円増加し、196,949百万円となりました。これは主に、現金及び預金、売掛金、設備保有型サービスの設備完成に伴うリース投資資産の増加によるものであります。機能商品事業の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ1,268百万円増加し、19,355百万円となりました。これは主に固定資産などの増加によるものであります。 (3) キャッシュ・フロー(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当社グループのキャッシュ・フローは、大型プロジェクトの工事進捗や代金の回収スケジュールに影響される傾向があります。そのため、当社は、プロジェクトの収益管理を徹底するとともに、安定収益源であるソリューション事業や機能商品事業を拡大し、収益基盤の安定化に取り組んでいます。また、財務基盤についても、受注の急減やプロジェクトの採算悪化といった不測の事態やキャッシュ・フローの変動に備えた安全性・健全性の確保を図りつつ、資本効率と株主還元の最適なバランスを追求してまいります。この資本効率の向上を図るうえで、収益性の向上、効率性の改善、および財務レバレッジの適切な活用を通じてROEを高めることが重要であると認識しています。当社の株主資本コストは現状8~10%程度と想定しておりますが、近年は収益性の改善によりROEが株主資本コストを大きく上回って推移しています。また、配当性向の改善などの株主還元施策やIR活動の強化などにも取り組んだ結果、株価は上昇傾向にあり、PERおよびPBRも大きく改善しています。 中長期経営計画である“ORGANO 2030”においては、この高いROE水準を維持するべく、収益性・効率性・財務レバレッジのそれぞれについて方向性を定め、ROE20%以上の維持を目指すこととしています。当連結会計年度におけるROEは、収益性が大きく改善した一方で、効率性および財務レバレッジが低下したことにより前期比0.2ptの低下となりました。しかしながら、ROEは21.5%という高い水準を維持しています。各要素の分析は以下のとおりです。収益性については、近年、プラント案件の採算性改善や比較的利益率の高いソリューション・機能商品事業の拡大などにより売上総利益率が大きく改善してまいりました。これにより、売上高当期純利益率は向上を続けておりますが、当連結会計年度においてもその傾向が継続しました。効率性については、設備保有型サービスへの投資を拡大した影響もあり、前期比で総資産回転率が若干低下しました。運転資本の効率性についてはキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の短縮に向けた取組みを進めているものの、依然として改善の余地があるものと認識しております。財務レバレッジについては、設備保有型サービスや人件費などキャパシティ拡大に向けた投資を拡大するとともに、配当増額による株主還元を強化しました。その資金の一部には借入金を活用したものの、利益成長により純資産の増加幅が負債の増加を上回った結果、財務レバレッジは低下する結果となりました。今後は、M&Aなどインオーガニックな成長に向けた投資も含め、更なる成長投資の拡充が必要であると考えており、十分な財務健全性を確保しつつ、適宜借入金等も活用しながら成長投資を加速させてまいります。 <キャピタルアロケーション>直近3カ年のキャピタルアロケーションの実績、および次期3カ年の計画は次の通りです。直近3カ年の実績直近3カ年においては、電子産業分野を中心とした利益成長により、事業収益から得られる資金が順調に拡大しました。資金の配分(支出面)については、設備保有型サービスへの投資を拡大したほか、配当性向を毎期段階的に引き上げるなど株主還元を強化してまいりました。一方で、さらなる成長に向けた成長投資・設備投資については、一定の水準にとどまり、今後の拡充余地を残す結果となりました。次期3カ年の計画次期3カ年においては、人件費や研究開発費、デジタル関連投資など固定費の拡大を想定するものの、売上拡大や設備保有型サービスの資金回収本格化により、事業収益から得られる資金はさらに拡大する見込みです。この増加する資金を原資として、設備保有型サービスへの継続投資や、配当性向のさらなる改善による株主還元の強化に取り組むとともに、キャパシティ拡大や経営インフラ整備、M&Aなどの成長投資を3カ年で積極的に拡大する計画です。また、売上拡大に伴い運転資本の増加が想定されますが、売掛債権の回収早期化など効率化に取り組んでまいります。成長投資の拡大や運転資本の増加によって手元資金を上回る資金需要が発生する場合には、借入金等の有利子負債も機動的に活用して対応してまいります。手元流動性の確保資金の流動性については、事業運営に必要な現預金水準として、月商の1.5~2.0倍程度を目安としております。ただし当面の間は、台湾や米国など海外の大型プラント案件の拡大に伴う売掛債権・契約資産の増加、工事代金や原材料の支払増加、さらには材料調達の長納期化に備えた在庫確保などを見据え、現預金を厚めに確保することを想定しています。 <株主還元>株主還元については、重要な経営課題の一つとして考えており、安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針としたうえで、収益の状況を勘案した利益配分に努めることとしております。具体的には、成長投資の拡大と株主還元の強化を両立させることを目指し、連結配当性向30%以上の水準を維持しつつ、さらなる連結配当性向の改善に取り組んでまいります。2026年3月期においては、業績の上方修正に伴い1株当たりの年間配当金も期初計画の170円から200円(連結配当性向32.4%)まで増額しました。2027年3月期も連結配当性向33.7%となる220円(2026年10月1日付の株式分割を考慮しない場合)を計画しており、株主還元と成長投資の両立と拡大を目指してまいります。(キャッシュ・フローの状況)当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ14,303百万円増加し、当連結会計年度末には31,055百万円となりました。活動ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当社グループは、水処理エンジニアリング事業が売上高の85.5%を占めており、同事業のキャッシュ・フローの状況によってグループ全体のキャッシュ・フローが大きく変動します。中でもプラント事業においては、大型装置の設計・製作・納入は長期にわたることがあり、債権の回収時期、原材料・外注費等の支払時期などによって営業活動によるキャッシュ・フローが大きく増減することがあります。また、設備を自らが設置・所有し、顧客にサービスを提供する設備保有型サービスにおいては、所有権移転外ファイナンス・リース取引として会計処理しておりますが、設備の製作から資金の回収までが長期にわたるため設備の製作や納入段階においては支出が大きく先行する傾向にあります。当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益の計上などによる資金の増加があった一方で、設備保有型サービスへの投資に伴う支出が増加し、営業活動から得られた資金は、前連結会計年度に比べ8,000百万円減少し、13,099百万円となりました。なお、キャッシュ・フロー計算書におけるリース投資資産の増加額18,344百万円及び棚卸資産の減少額4,025百万円には、設備保有型サービスの設備完成に伴う棚卸資産からリース投資資産への振替額が含まれております。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によって支出された資金は、前連結会計年度に比べ612百万円増加し、2,743百万円となりました。設備投資が増加したことなどから支出が増加しました。なお、設備投資の概要については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」をご参照ください。 <当社の設備保有型サービスへの投資額のキャッシュ・フロー計算書上の表示について>当社は、顧客工場・敷地内に水処理設備を当社の設備として設置し、当該設備をもとに水処理サービスを長期間にわたって提供する設備保有型サービスを展開しております。当社のキャッシュ・フロー計算書においては、この設備保有型サービスへの投資額(設備製作に係る支出)を、営業キャッシュ・フローの区分に表示しております。これは、当該サービスが当社の主目的たる営業取引であり、貸借対照表においては流動資産のリース投資資産(建設中は仕掛品)に計上しているためであります。一方で、この設備保有型サービスでは設備の製作に投下した資金の回収が長期間にわたるため、当該製作に係る支出は設備投資に近い性質も同時に有していると考えております。そのため、仮に当該支出を投資活動として捉えた場合には、当社のキャッシュ・フロー計算書は、その分だけ営業活動による支出額が大きく、投資活動による支出が小さく表示されていることになります。なお、当該支出を営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローに組み替えた場合のキャッシュ・フローの状況を示すと以下のとおりとなります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によって得られた資金は3,118百万円となりました。配当金の支払額の増加の一方で、設備保有型サービスへの投資額の増加などに伴い借入金が増加したことなどによって収入が増加しました。(前連結会計年度は20,821百万円の支出) (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り及び仮定を使用しております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は次のとおりであります。 (特に重要な会計上の見積り)① 工事契約に係る会計処理水処理エンジニアリング事業における大型案件は当社グループの売上高に占める割合が大きく、その収益認識の基礎となる工事原価総額の見積りが業績に与える影響は非常に大きいと認識しており、特に大型の案件では作業内容の特定やその原価の見積りに高い不確実性が伴います。また、工事着手後に生じる資材価格の変動や作業内容の変更などを適時・適切に工事原価へ反映する必要があることに加えて、工事原価総額の見積りは工事損失引当金の金額にも影響することなどから当社は、工事契約に係る会計処理を特に重要な会計上の見積りに該当すると考えております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。 (その他の重要な会計上の見積り)① 棚卸資産の評価棚卸資産の評価は、原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)によっております。営業循環過程から外れた滞留又は処分見込等の棚卸資産について、合理的に算定された価額によることが困難であるため、過去の実績から見積った年数及び割合を基に規則的に簿価を切り下げております。実際の正味売却価額が切下げ後の簿価と比べて大きく異なる場合は、棚卸資産の期末残高が過小もしくは過大になるほか、売上原価に影響を及ぼします。 ② 製品保証引当金完了した請負工事に係る瑕疵担保等に備えるため、将来の保証見込額を製品保証引当金として計上しております。見積りには、個別に見積可能なものについては、その見積額を計上しておりますが、多くの請負工事は個別の見積りが困難であるため、主に過去2年間の実績を基礎に見積りを行っております。しかし、想定を上回る重大な瑕疵や事故等の品質問題が発生した場合は、将来の業績が変動します。 ③ 固定資産の減損当社グループは、固定資産の減損の兆候判定、認識及び測定にあたり、将来の事業計画を基礎とした各資産グループの将来キャッシュ・フローの見積りを行っております。その将来キャッシュ・フローの見積りを修正した場合には、評価の結果が変わり、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額等を考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得見込額は業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合や予期しない変化などが生じた場合は、回収可能性の評価の見直しを行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。 ⑤ 退職給付債務及び費用当社グループの退職給付債務及び費用は、死亡率、退職率、昇給率や給与の変更及び割引率等の数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出されています。割引率は、日本の国債の利回りを基に、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用して算出しております。また、長期期待運用収益率については、過去の運用実績と将来収益に対する予測を評価することにより設定しております。これらの前提条件の見積りは合理的であると判断しておりますが、割引率の低下が数理計算上の退職給付債務の増加をもたらす可能性があるなど、主要な前提条件が実際の結果と異なった場合、退職給付債務及び費用が変動し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

事業リスク

オルガノグループの主要なリスクは、海外事業における地政学リスクです。特に台湾、中国、東南アジアでの事業展開が多く、政治・経済の混乱、為替変動、法規制、地政学的緊張(台湾有事など)が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、大規模な自然災害が発生した場合、事業活動の遅延や停止、復旧費用が発生し、業績に影響を与えるリスクがあります。さらに、親会社である東ソー株式会社の資本政策や経営戦略の変更が、オルガノグループの事業展開や株価に影響を及ぼす可能性も考えられます。サイバー攻撃やシステム障害による情報漏洩や業務停滞も、業績に重大な影響を与えるリスクとして認識されています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|12,064 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在(2026年6月25日)において当社グループが判断したものであります。 <リスク管理プロセス>当社では主要なリスクを適切に管理するためにリスクマネジメント委員会を設置し、同委員会が中心となってリスクマネジメントを推進していく体制をとっております。なお、同委員会は業務執行取締役及び役付執行役員並びに主要リスク主管部門の部門長及び子会社の社長の中から選任された者で構成されております。 当社グループでは、リスクごとにリスク対策の方向性が大きく異なることから、リスクをリスク起因(内部要因・外部要因)と経験(新規性が高い・反復的)を軸とした4象限に区分しております。各部署・各グループ会社は毎年リスクを洗い出し、戦略リスクは「影響度」と「不確実性」、オペレーショナルリスクは「影響度」と「顕在化可能性」の2つの評価軸に基づいて評価を行います。リスクマネジメント委員会は、一定以上の評価結果となったリスクを抽出しそれらを統合・評価した上で主要なリスクの候補を抽出するとともに、主要なリスクごとにリスク対応の主管部門を選定します。抽出された主要なリスク及びその主管部門は取締役会にて議論した上で決定されます。 (リスクの4象限) (リスク評価のイメージ図)リスク対応の主管部門はリスク管理計画を策定し、リスクマネジメント委員会が当該計画を決議します。決定した管理計画は主管部門の主導で実行し、リスクマネジメント委員会で状況をモニタリングします。リスクマネジメント委員会が取締役会へリスク管理計画の進捗状況を報告することで、取締役会はリスク対応の進捗状況を監督いたします。また、監査室が独立した立場からリスク管理プロセスの運用状況について内部監査を実施することにより、リスク管理の有効性を高めます。 以下の主要リスクの記載順は各象限内の重要性を反映しており、有価証券報告書提出日現在(2026年6月25日)における認識です。 1) 戦略リスク_エマージングリスク1-1) 海外事業(地政学リスク)前年度からの重要性の変化:増加 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社グループは、これまで台湾、中国、東南アジア等を中心に海外での事業活動を展開してきましたが、北米での事業拡大やインドへの現地法人設立などグローバルな事業展開を加速させております。しかしながら、海外市場においては予期しない政治・経済の混乱や為替の変動、進出先の法規制や商習慣への対応などのリスクが内在しております。近年では日中関係の悪化により、重要鉱物への輸出管理強化や安全保障を名目とした特定品目・企業への禁輸措置、また、自国での半導体製造拡大などサプライチェーンへの影響や、世界的な半導体製造拠点である台湾をめぐる緊張の高まりなど、当社グループの重点地域においても地政学的なリスクが高まっております。特に、台湾有事のリスクについては、軍事侵攻時だけではなく、中台関係・米中対立の先鋭化によっても当社グループの事業活動の制限が想定され、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、米国においては先端半導体の需要増加により、想定を超えるスピードで投資計画の検討が進んでおり、顧客の投資規模や受注スコープの拡大によって当社グループの受注規模が飛躍的に拡大する機会となっております。一方で、案件の大型化に伴い当社グループの対応リソース確保や米国特有のコストマネジメントの問題など、リスク管理の重要性が高くなっております。なお、直近での米国による関税政策は一旦落ち着きを見せ、当社グループへの影響も限定的ですが、米国の突発的な政策変更の可能性やEAR規制の影響によるリスクは依然として残っており、電子産業分野のプラント事業においては、世界情勢、および市況や景気動向によって設備投資の時期や規模が変動することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 [対応策]事業を展開する地域に対する情報収集を進め、継続的なモニタリングを行うことに加え、当社独自の差別化技術を開発・展開することでサプライチェーンに対する規制が強化された場合でも影響を受けにくいビジネスモデルの構築を目指してまいります。また、新たな地域・市場への展開を加速させ、特定の地域への集中によるリスクの分散に努めてまいります。輸出規制については、規制の遵守を徹底するとともに、代替品を採用するなど当社グループへの影響を最小限に留める対応を進めるとともに、国際情勢を注視しモニタリングを続けてまいります。台湾有事のリスクについてはシナリオ分析を行い、リスクシナリオごとに当社事業への影響の評価及びリスク対応策の検討を行っており、台湾・中国における危機管理計画を策定し、経営陣による計画の演習を実施する等、継続的に対応を進めております。米国のプロジェクト対応のリスクについては、部門横断のタスクチームを発足し、リスクの洗い出しと、それに伴って想定される各種課題に対応できるような仕組み、およびプロジェクトを着実に遂行する体制の構築とその運用を進めております。 1-2) 自然災害前年度からの重要性の変化:同水準 [リスクの内容と顕在化した際の影響]地震や台風等の想定を超える大規模な自然災害が発生した場合、事業活動の遅延・停止による損失、復旧費用等が発生するなど、その規模や範囲によっては業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。[対応策]当社グループは、自然災害発生時に事業への影響を最小限にとどめるため、主要事業の事業継続計画(BCP)を策定しております。事業に重大な影響を及ぼす事態の発生に際しても、影響を最小限にとどめるため、BCPの拡充や範囲拡大、グループ全体での管理体制強化などさらなる対応を進めてまいります。 1-3) 株主・株式に関するリスク前年度からの重要性の変化:同水準 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社の親会社は東ソー株式会社であり、同社は当社議決権の44.47%(間接所有を含む。)を所有しております。当社は同社の企業グループと関連した事業を営んでおりますが、両社の扱っている製品や取引先の点で明確な棲み分けがなされており、当社は上場会社として事業活動や経営判断において一定の経営の独立性が確保されていると認識しております。また、当社は同社から水処理薬品の原材料の一部などの仕入れを行うとともに、同社に対し各種水処理装置及び関連薬品を販売するなどの営業取引を行っておりますが、当社の営業取引関係における依存度は僅少であります。しかしながら、今後、同社の資本政策や経営戦略に変更が生じた場合や、資本効率の向上や少数株主保護などグループ経営のあり方に関する資本市場の動向などにより、当社グループの事業展開や株価等に影響を及ぼす可能性があります。[対応策]当社グループは、同社との適切なコミュニケーションを継続することで同社が資本政策等の変更を行った際の影響を軽減できるよう努めてまいります。また、当社は同社グループと少数株主間の利益相反問題を監視・監督し、少数株主の利益を適切に保護するために、独立社外取締役のみで構成される特別委員会を設置しております。同社グループと当社との間に重要な取引等が生ずる場合には、同委員会にて取引内容を審議し、取締役会に対して答申又は報告を行います。また更なる少数株主の利益保護及び経営の独立性の向上のため、2023年6月29日開催の第78回定時株主総会以後、取締役会に占める独立社外取締役の比率を過半数にしております。 1-4) サイバーセキュリティ前年度からの重要性の変化:増加 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社グループにおける各種ITツールやクラウドを活用した業務範囲は年々拡大しておりますが、コンピュータウイルスや不正アクセスなどのサイバー攻撃は、AIの急速な発展とともにその攻撃方法も多様化、増加をしております。外部からのシステム侵害等により情報システムが機能不全に陥り業務の停滞が生じた場合や、重要な機密情報が漏えいした場合などには、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。[対応策]情報システム部門を中心にウイルス検知や対策ツールの導入、ゼロトラストネットワークへの移行、セキュリティ教育の強化などグループ全体の情報セキュリティ対策を継続して行ってまいります。また、会社横断組織としてORGANO-CSIRTを設置し、インシデント発生時の即応性や損害の軽減、および被害から迅速に回復できるよう、レジリエンスを高める施策を推進しております。さらには、継続的な情報インフラの強化、各種システムのクラウドサービスへの移行にも取り組んでおります。 1-5) 地球環境・気候変動前年度からの重要性の変化:同水準 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社グループはお客様の水環境の保全、地球温暖化防止に貢献する製品やサービスの提供に努めていますが、より低いCO2排出製品やサービスへのニーズに応えられないことによる売上の低下や、当社グループ自身のGHG排出量に伴う炭素税費用の増加等が、サステナビリティの取組の中短期的なリスクとして業績に影響を及ぼす可能性があります。[対応策]当社グループにとって事業拡大の機会でもあり、当社の強みである高度な分離精製技術や水処理の総合エンジニアリング企業としての幅広い実績の活用を目指し、事業機会の指標化によるGHG削減貢献製品・サービスの増加を図ってまいります。また、主要工場での再生エネルギーの導入による自社のGHG排出量の削減にも取り組んでいきます。詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候変動問題への対応」に記載しております。 2) 戦略リスク_既存事業2-1) 特定の市場・顧客への集中前年度からの重要性の変化:増加 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社グループにおいては、水処理エンジニアリング事業が連結売上高の85.5%を占めており、半導体や電子部品等をはじめとする電子産業分野がその半分以上(当連結会計年度は71.1%)を占めております。特に半導体市場においては、顧客企業や設備の再編・統廃合が進む中、一件当たりの設備投資規模が拡大するなど、国内・台湾・米国などにおける主要顧客の動向が当社の業績に大きく影響する状況が続いております。また、当連結会計年度末における営業債権のうち56.7%が上位3社に対するものとなっているほか、特定顧客への売上高の割合が増加するなど、今後も主要な市場・顧客への集中度が一段と高くなることが見込まれます。このような案件規模拡大の動きは当社グループのさらなる成長への機会となる一方、戦略上重要な案件を受注出来なかった場合には失注による直接的な収益への影響の他、将来のソリューション売上への影響など、当社グループの業績へ大きな影響を及ぼす可能性があります。また、特定の大型案件へのリソースの集中によって他の分野の受注機会を喪失するリスクや、顧客の事業戦略に当社が適切に対応できなかった場合や、顧客に予期せぬ財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、当社が進出している地域の情勢が大きく悪化した場合など、リスクが顕在化した際の影響が大きくなる可能性があります。さらに、市場参加者が限定されている電子産業分野において、新たな市場参加者が台頭した場合や、代替技術や代替製品の開発によって参入障壁が低くなった場合などは競争がさらに激化し、将来の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 [対応策]当社グループは、電子産業市場に対するマーケティング機能の強化に取組み、顧客ニーズに基づいた技術開発を加速させることで、顧客への提供価値の最大化を目指してまいります。2026年度以降も複数の半導体大型プロジェクトの受注を計画しており、重要な大型案件の確実な受注をすると同時に、設備保有型サービスなどのソリューションサービスや水処理薬品の拡販などの取組みを進めることでプラント分野の受注変動の影響を安定化する取組みも進めております。また、案件規模・案件数の増加に対応するため、デジタル技術を活用した設計業務の自動化・効率化、グローバルエンジニアリングセンター(GEC)や外注の活用による効率化を進めるなど、グループ全体で納入体制の拡充に努めております。加えて客先の与信管理の強化などに取り組むことでリスクの低減を図っております。 2-2) 資材・工事調達前年度からの重要性の変化:増加 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社グループは、製造や建設等に使用する資材を外部から調達するとともに工事等を外部へ委託しております。主要資材であるイオン交換樹脂などについては、その仕入れを特定の取引先に依存しているため、供給元の経営戦略の変更や取引条件の大幅な変更等により調達が困難になった場合や納期が長期化した場合などには、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、中東情勢の悪化による資材の供給不安、エネルギー価格の高騰や円安の進行などの影響により、資材価格の上昇は続いております。サプライチェーンの混乱による重要資材の納期の長期化などの状況は、現時点での当社グループへの影響は限定的ですが、中東情勢の悪化が長期にわたる場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、大型プロジェクトに必要な設計や現地工事などを担うパートナー企業の能力にも依存しており、電子産業分野の案件規模の拡大の影響を受ける可能性があります。今後、市況の変動等により資材価格・工事費等の高騰が加速した場合や工事等の協力企業が確保できない場合などには、仕入価格や工事原価の上昇により、業績に影響を及ぼす可能性があります。[対応策]当社グループは重要な取引先との安定的な関係の維持に取り組むとともに、複数の取引先からの調達や代替品の検討など中長期的な調達・供給機能の強化に向けた取組みをグローバルな視点で進めております。また、顧客との交渉の継続や、海外を含む調達先の新規開拓により価格高騰のリスクの軽減に努めるとともにM&Aも視野に入れたパートナー企業の開拓などを進め、業績への影響を最小限に抑えるよう努めてまいります。 2-3) 法規制・社会的責任前年度からの重要性の変化:同水準 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社グループ及び当社グループの主要な顧客はグローバルに事業を展開しているため、多くの国・地域における法規制を受けております。近年では、企業の社会的責任や調達活動を含むサステナビリティに関する取組みに対し、規制当局や顧客の関心が高まっており、中でも人権に関する課題については特に関心が高まっております。これらの関心の高まりなどによって法規制等が強化された場合は、対応に係るコストが増加するだけではなく、当社グループの事業活動に制約が生じる可能性があります。また、万が一対応に不備があった場合には、当社グループに対する社会的信頼が低下し、顧客の喪失等につながる可能性があります。[対応策]当社グループは、「人権の尊重」及び「サプライチェーンマネジメントの強化」を重要課題(マテリアリティ)として定めており、当社グループだけでなくサプライチェーン全体で人権保護の推進に向けた取組みを強化する方針としております。具体的には、「オルガノグループサプライチェーン CSR推進ガイドブック」を整備した上で、主要サプライヤーに対して労働者の人権保護の項目を含むCSRアンケートを実施しております。また、サプライヤー向けにグリーン調達説明会を開催するなど、サプライヤーとの連携強化にも取り組んでおります。さらには、人権方針を策定し、人権に関する問題発生を未然に防ぐ仕組みの構築を推進しております。 3) 戦略リスク_新規事業/投資リスク3-1) 技術・研究開発前年度からの重要性の変化:同水準 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社グループの事業展開においては、いずれも技術開発の強化が成長のドライビングフォースとなっております。そのため、主要顧客である半導体業界が進める微細化や積層化に対応する技術開発の遅れや、ソリューションサービスにおけるICT/AI技術の活用遅れなどによる競争力の低下、サステナビリティ課題に着目した商材の不足などが発生した場合には、成長戦略を進めることが著しく困難になり業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。[対応策]これらのリスクに対応するため、当社グループは、「両利きの開発」によりコア技術の深化と未来社会の価値創出を目指し、半導体の微細化に伴う高純度化対応技術や持続可能な社会に貢献するGHG排出削減技術、水・資源循環技術の開発を強化しています。今後も技術研究投資を積極的に行っていくほか、重点分野の技術開発ロードマップに基づいた研究開発を推進するとともに、中長期的な研究開発テーマ創出を目的とするリサーチ機能と外部共創機能を強化し、新規事業分野では投資のステージゲートの設定により効率的な開発に取り組んでまいります。 3-2) 設備投資、M&A前年度からの重要性の変化:同水準 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社は、客先構内に設備を保有し顧客に水処理サービスを提供する設備保有型サービスを展開しておりますが、近年、電子産業分野の設備規模の拡大に比例して、同サービスの設備投資規模も拡大しております。設備保有型サービスの金額は連結貸借対照表においてリース投資資産として計上されており、当連結会計年度末のリース投資資産は53,856百万円となっております。設備保有型サービスは、投資の回収が長期にわたるため、顧客の信用リスクに晒されており、顧客の予期しない財政状態の悪化などが発生した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは長期的な成長に向けて、M&Aなどインオーガニックな成長に向けた投資の拡大、エンジニアリング・キャパシティ拡大に向けた国内外のパートナー企業の開拓を進めていく方針ですが、M&Aによって期待する成果が得られない場合やパートナー企業の力量不足などが発生した場合などは、当社グループの将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。[対応策]当社グループは、設備保有型サービスやM&A等リスク資産に対する投資枠を設定し、成長と資本効率性を意識しつつ許容できるリスクを決定することで、リスクが顕在化した場合でも財務の健全性が一定程度維持できるように適切なリスクテイクの実現を促進してまいります。 4) オペレーショナルリスク4-1) 生産・納入能力前年度からの重要性の変化:同水準 [リスクの内容と顕在化した際の影響]長期的に予想される市場の拡大に対応するためには、さらなるリソースの拡充・体制の強化が不可欠な状況にあります。また、電子産業分野を中心にイオン交換樹脂は需要が拡大しておりますが、その供給の一部は当社工場の生産能力に依存しております。これまでもキャパシティの拡充に向けて各種の取組みを進めておりますが、これらの取組みによって期待する成果が得られない場合には、リソース不足による成長機会を逸するだけでなく、競合他社への切替えによる市場シェアの低下、既存顧客からの信頼喪失などに繋がる可能性があります。[対応策]当社グループは、生産・納入能力拡大のために、エンジニアを中心としたグローバルでの人員増加を計画している他、デジタル技術を活用した設計業務の自動化・効率化、グローバルエンジニアリングセンター(GEC)や外注の活用による効率化を進めるなど、グループ全体で納入体制の拡充に努めております。また、イオン交換樹脂の供給能力向上に向けた投資など、安定供給確保に向けた取組みも進めております。 4-2) 人材確保前年度からの重要性の変化:同水準 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社グループの競争力は、優れた知識・能力・経験を持つ各国・各地域の従業員によって支えられております。このため、従業員の離職や人材確保に失敗した場合などは生産キャパシティや納入品質の低下、受注機会を喪失するなどの影響が生じる可能性があります。特に電子産業分野の受注が拡大している中、従業員の離職や人材確保の失敗はその影響が大きくなる可能性があり、非常に重要なリスクであると認識しております。また、少子・高齢化社会を背景に優秀な人材や特にデジタル化を担う人材の確保については世界的に競争が激しくなることが予想されます。加えて、人材の多様性の確保に失敗した場合には、意思決定の同質化に陥る危険性があります。このため、多様性の確保を含む人材の確保や育成が進まなかった場合は、長期的に当社グループの競争力が低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。[対応策]当社グループは、人材の活用に向けて適正配置や業務の見直し、デジタル技術を活用した業務効率化、協力会社の活用などを進めております。また、人的資本の観点からも対策を推進すべく、階層別研修や機能別研修を実施しているほか、デジタル人材育成のための教育を進めるなど、人材育成のための取組みを進めております。また、当社グループは、「多様な人材が活躍し働きがいのある職場づくり」をマテリアリティとしており、多様な人材の確保に向けて、国籍や性別を問わず優秀な人材の採用、育成の強化に努めております。 4-3) 製品・サービスの品質、製品安全、契約不適合前年度からの重要性の変化:低下 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社グループが提供する製品・サービス等において重大な契約不適合、事故等の品質問題が発生した場合は、製品・サービス等の品質に対する信頼性の低下によって顧客基盤の喪失や保険の補償範囲を超える損害賠償責任の発生などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。設備保有型サービスなどの拡大に伴い、運転管理の受託も拡大しているため、設備の安定稼働に対する重要性が増加しております。本件に対して、内部品質監査の徹底、および緊急時対応訓練の定期的・継続的な実施により、安定稼働のための管理・操業能力は着実に向上しており、リスクは低下しております。水処理エンジニアリング事業は、電子産業分野に限らず個別受注生産を主としており、設備の建設期間や規模・契約形態などに応じて長期契約となるケースも多いため、受注後の仕様や工程の変更、資材価格・工事費等の変動や災害の発生などに伴い見積りに対して実績のコストが超過する可能性があるほか、顧客の要求する仕様や納期などに未達となった場合の損害賠償や費用負担等の発生が業績に影響を及ぼす可能性があります。[対応策]当社グループは、品質マネジメントシステムの整備や取引先の品質調査の強化、生産プロセスの改善などの取組みを通して継続的な品質の確保及び向上に努めるとともに、発生した不適合については、関係部署へ水平展開することで再発防止に努めております。また、非常時を想定した緊急対応訓練を行い、トラブルが発生した際の対応能力を高め、各種保険の拡充も進めることで、リスクが顕在化した際の影響の低減に努めております。長期契約特有のリスクについては、取締役会や経営会議において大型案件の受注審議を実施しているほか、月次事業報告会において受注案件の予算実績状況の報告・確認を行うことで長期契約特有のリスク軽減に努めております。 4-4) 安全前年度からの重要性の変化:同水準 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社グループが行う水処理設備の製作・納入、メンテナンス、運転管理等においては、顧客工場における建設工事や自社工場での組立・製造作業など生産活動を伴います。また、当社グループは水以外の各種溶剤の分離精製に関する事業展開を進めており、開発センターや顧客工場で有機溶剤等の化学物質を取り扱っております。当社グループの事業規模拡大への対応やキャパシティ拡大のために人員の増強と育成を図っておりますが、それに伴う若年者や作業経験の浅い作業員も比例して増加しており、リスクの重要性は高い状態にあると認識しております。これらの生産活動や化学物質の取扱いに関して、重大な労働災害や事故等が発生した場合は大幅な納期遅延等の発生に伴う費用の増加や損害賠償の発生などの直接的損害に加えて、当社グループの安全性に対する顧客の信頼及び社会的評価が失墜するなど重大な影響が生じる可能性があります。[対応策]当社グループは「労働安全衛生の推進」をマテリアリティの一つとしており、「安全はすべてに最優先する」との考えのもと、事業年度ごとに安全衛生管理方針を策定した上で、重点実施事項等を計画・実行しております。現在は、全社安全体制強化プロジェクトを発足し、不安全が発生する根本原因の究明および、それに伴う課題を抽出し、労働災害撲滅に向けた取り組みを推進・実行している最中であり、これにより具体策を講じ周知浸透を図るとともに、安全意識のさらなる向上に努めてまいります。 4-5) コンプライアンス・内部統制前年度からの重要性の変化:同水準 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社グループの事業展開は、各国・各地域の各種法令や関係する許認可・規制等を遵守して進めてまいります。しかし、意図せずに法令や規制に違反したと判断された場合や共謀による不正などが発生した場合などには、社会的信用の低下を招くほか、行政処分等の措置を受けるなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは顧客情報を含む様々な秘密情報を扱っておりますが、社内の情報管理不備により故意又は過失による秘密情報漏洩を防ぐことが出来なかった場合は、当社グループの信用が失墜するなど、重要な影響が生じる可能性があります。[対応策]当社グループは、代表取締役社長自らがメッセージを発信し不正が発生しない企業風土の醸成に努めているほか、マテリアリティとして「コンプライアンスの強化」を設定し、社員教育の充実など内部統制の強化に努めております。また、当社グループは役員と従業員が遵守すべき基本的な行動指針として「オルガノグループ企業行動指針」を定め、海外子会社への展開やアンケートの実施など企業行動指針の浸透に向けた取組みを継続しております。また、コンプライアンス委員会によるコンプライアンス体制の構築およびコンプライアンス教育の実施や、内部通報制度の国内外での整備、その内容を従業員へ周知することで、コンプライアンス違反等の未然防止・早期発見に努めております。情報管理については、外部デバイスの接続制限やPCログの取得等のハード面での対策とともに、新たに情報セキュリティポリシーを策定し、情報システム部を中心とした部門横断メンバーによる情報セキュリティ定例会を定期的に開催、社内管理体制の更新や情報セキュリティ意識向上のための浸透策等、ソフト面についても適切に運用を継続することで、情報漏洩リスクの低減を図っております。 4-6) 知的財産権前年度からの重要性の変化:同水準 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社グループは、他社の権利を尊重しつつ、保有する知的財産権の適切な保全に努めておりますが、第三者が当社グループの知的財産権を侵害して不正に使用することを完全に防止することは困難であります。当社グループが、意図せず他社の知的財産権を侵害してしまう場合などには、損害賠償責任を負うなど、業績に影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループは新たな展開地域として北米での事業拡大を掲げており、近年は展開地域の拡大によって海外における知的財産権に関するリスクの重要性が増加していると認識しております。[対応策]これらのリスクを低減するため、当社グループは、自社技術を国内はもとより中国等の新興国にも積極的に特許出願することによって確実に保護するとともに、海外を含めた他社出願状況を定期的に監視し、他社の知的財産権を侵害することのないよう努めております。 4-7) 環境問題前年度からの重要性の変化:同水準 [リスクの内容と顕在化した際の影響]当社グループの事業は、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、廃棄物処理、有害物質などに関する様々な環境規制の適用を受けております。今後これらの規制が強化された場合は対応に係るコストが増加するだけではなく、当社グループの事業活動に制約が生じる可能性があります。また、不測の事態等によって環境汚染を引き起こしてしまった場合や規制に違反してしまった場合は、対応のための多額の費用負担が発生するだけでなく、当社グループに対する社会的信頼が低下し、顧客の喪失等につながる可能性があります。[対応策]これらのリスクに対しては、リスクアセスメントの実施によりリスクを事前に抽出するとともに、公害防止法令についての講習や予防教育の実施など、教育の充実化によってリスクの予防に努めているほか、適切な設備納入・管理、モニタリングを徹底することで、リスクの未然防止に努めております。

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