有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営方針■ 経営理念・長期経営ビジョン当社グループは1946年の創業以来、長きにわたって水に関わるお客様のさまざまなご要望やそれぞれの時代のニーズに応えてまいりました。昨今これまでにないほど「水」そして「環境」がクローズアップされており、産業の発展に伴う水使用量の増大や環境汚染、地球温暖化、世界規模での飲料水の不足、資源の枯渇などさまざまな課題が顕在化し、その解決が求められています。当社グループは、これまで水で培ってきた技術・サービスを駆使して、産業分野で必要とされる高度な水処理や、社会の基盤となる自然環境の保全と人々の豊かな生活に必要な水の創造など、産業・環境・生活の調和に貢献することが我々の大きな使命であると考えており、以下の経営理念及び長期経営ビジョンを掲げ経営に取り組んでおります。 経営理念オルガノは水で培った先端技術を駆使して未来をつくる産業と社会基盤の発展に貢献するパートナー企業としてあり続けます 長期経営ビジョン■ 付加価値の高い分離精製・分析・製造技術を基に、事業領域と展開地域を拡大し、産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスを絶えず提供します■ 昨日までのやり方を、明日に向けて、今日変える人をつくり、一人ひとりが働きがいと活力に満ちた企業を構築します (2) 経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき課題等① 経営環境当社グループを取り巻く経営環境は、中東情勢の緊迫化に起因するエネルギー供給不安や物価高、サプライチェーンへの影響など地政学リスクへの懸念により、引き続き不確実性の高い状況が続いております。このような環境下ではありますが、当社グループは、先端半導体を中心とする電子産業分野での活発な投資や、一般産業分野、電力分野、機能商品分野の堅調な需要に支えられ、直近数年間において増収増益を継続するなど、順調に事業規模の拡大を遂げております。当社グループの主力市場である電子産業分野においては、生成AI(人工知能)やデータセンター向けなどを中心に先端半導体の需要が急速に拡大しており、当面は供給が需要に追い付かない逼迫した状況が継続するとともに、今後も中長期的な市場拡大が見込まれております。これに伴い、当社グループが高いシェアを有する台湾市場や、新たに事業展開を推し進めている米国において、先端半導体に対する設備投資がこれまで以上に活発に進むものと想定しております。このような先端半導体市場の拡大によって電子材料など周辺分野の市場拡大も期待されます。チップの微細化や高性能化の進展に伴い、当社がこれまで水処理で培ってきた分離精製技術を半導体製造に用いられる各種の薬液や溶剤などの高度精製に応用・展開することにより、新たな事業分野の拡大が期待出来ます。また、先端半導体の微細化・積層化に伴い、当社グループに求められる技術要求は非常に高い水準となっております。加えて、環境負荷の低減や資源の有効活用など、サステナビリティに関する顧客の課題解決ニーズも一段と複雑化・多様化しております。さらに、事業構成に占める半導体分野の比率や、特定の主要顧客・特定地域(台湾・米国など)に対する集中度がより高まる見込みであるほか、中国やASEAN等の地域における市場環境の変化や、今後の大きな経済成長が見込まれるインド市場の動向など、各地域の特性に応じた機動的な事業展開がこれまで以上に求められております。 内部環境に目を向けますと、事業規模の急拡大およびグローバル展開の進展に伴い、それらを支える人的資本の確保など、経営基盤の整備の重要性が一段と高まっております。活発な投資が続く市場での事業機会を確実に捉えるためには、グローバルなエンジニアリング体制を支える専門人材の獲得競争の激化や、労働市場の変化に対応していく必要があります。加えて、事業環境が一段と複雑化する中、デジタル技術を活用した生産性向上が不可欠になっているほか、多様な人材が活躍できる職場環境に対する社会的な要請もこれまで以上に強まっております。したがって、現在の当社グループを取り巻く経営環境は、先端半導体を中心とした極めて大きな成長機会が存在する一方で、多様化・高度化する顧客ニーズや特定分野・地域への集中に起因する変化への対応力向上と、その成長を根底から支える人的資本など経営基盤の拡充が強く求められる局面にあると認識しております。 ② 経営戦略及び優先的に対処すべき課題等上述のとおり、当社グループの業績は、半導体を中心とする電子産業分野が大きく牽引し、順調に事業規模を拡大しております。特にAIやデータセンター向けの先端半導体の供給が需要に追い付かない状況が今後も継続し、台湾や米国において先端半導体製造への投資がこれまで以上に活発に進むと想定しております。このような状況を踏まえ、中長期の経営計画である“ORGANO 2030”における2030年度の数値目標につきましては、2026年度の計画値を起点とし、売上高は年平均成長率7%として2,600億円、営業利益率については18%以上へと見直すことといたしました。“ORGANO 2030”に向けては、活発な投資が続くと想定される先端半導体市場における事業機会に対応するため、グローバルでのエンジニアリング体制拡充を通じて納入キャパシティを拡大するとともに、当社のコア技術の深化と新たな価値の創出を目指した技術開発を加速してまいります。一方で、2030年度に向かう短期、中期の成長の中では、半導体分野の比率、特定顧客や特定地域への集中度がさらに高まる見込みであり、長期的な観点から、事業ポートフォリオ、地理的ポートフォリオを継続的に強化していく必要があると認識しております。事業ポートフォリオについては、安定収益が見込めるソリューション事業の成長を最優先課題とし、既存顧客へ満足度の高いソリューションを着実に提供するための体制を強化するとともに、新たな技術・製品の開発を通じて顧客の課題解決力・提案力の強化を目指します。また、機能商品事業においては、重点事業である水処理薬品、機能材料における水処理エンジニアリング事業とのシナジーを追求しつつ、競争力のある製品・技術の開発と拡販に注力してまいります。 地理的ポートフォリオの強化については、引き続き米国市場の開拓を最優先課題とします。当面は先端半導体案件を中心とする電子産業分野を柱としつつ、薬品事業、分離精製事業、小型装置事業、製薬分野向けの水処理装置事業、新規下水処理技術の実装など、多面的な展開を図ってまいります。また、今後大きな市場に成長することが期待されるインドについては現地法人を設立し、市場動向や事業環境などの詳細調査を実施したうえで、事業戦略を立案し、実行段階へと移行します。中国やASEANにおいては、地域ごとの事業環境の変化に対応した柔軟な展開を図ってまいります。 当社グループの成長を支える事業基盤については、長期的な視点に基づく要員体制の強化、研修・教育やスキルマップ活用による人材育成、AI・デジタル活用による業務効率化に引き続き取り組んでまいります。加えて、財務戦略・投資戦略に基づいて、研究開発投資、業務効率化のためのITインフラ投資などの成長投資を積極的に実行してまいります。さらには、事業継続の大前提である安全確保、コンプライアンス遵守を徹底するとともに、ESGの取組みも強化し、経営基盤の持続的な強化を進めてまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営方針■ 経営理念・長期経営ビジョン当社グループは1946年の創業以来、長きにわたって水に関わるお客様のさまざまなご要望やそれぞれの時代のニーズに応えてまいりました。昨今これまでにないほど「水」そして「環境」がクローズアップされており、産業の発展に伴う水使用量の増大や環境汚染、地球温暖化、世界規模での飲料水の不足、資源の枯渇などさまざまな課題が顕在化し、その解決が求められています。当社グループは、これまで水で培ってきた技術・サービスを駆使して、産業分野で必要とされる高度な水処理や、社会の基盤となる自然環境の保全と人々の豊かな生活に必要な水の創造など、産業・環境・生活の調和に貢献することが我々の大きな使命であると考えており、以下の経営理念及び長期経営ビジョンを掲げ経営に取り組んでおります。 経営理念オルガノは水で培った先端技術を駆使して未来をつくる産業と社会基盤の発展に貢献するパートナー企業としてあり続けます 長期経営ビジョン■ 付加価値の高い分離精製・分析・製造技術を基に、事業領域と展開地域を拡大し、産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスを絶えず提供します■ 昨日までのやり方を、明日に向けて、今日変える人をつくり、一人ひとりが働きがいと活力に満ちた企業を構築します (2) 経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき課題等① 経営環境当社グループを取り巻く経営環境は、中東情勢の緊迫化に起因するエネルギー供給不安や物価高、サプライチェーンへの影響など地政学リスクへの懸念により、引き続き不確実性の高い状況が続いております。このような環境下ではありますが、当社グループは、先端半導体を中心とする電子産業分野での活発な投資や、一般産業分野、電力分野、機能商品分野の堅調な需要に支えられ、直近数年間において増収増益を継続するなど、順調に事業規模の拡大を遂げております。当社グループの主力市場である電子産業分野においては、生成AI(人工知能)やデータセンター向けなどを中心に先端半導体の需要が急速に拡大しており、当面は供給が需要に追い付かない逼迫した状況が継続するとともに、今後も中長期的な市場拡大が見込まれております。これに伴い、当社グループが高いシェアを有する台湾市場や、新たに事業展開を推し進めている米国において、先端半導体に対する設備投資がこれまで以上に活発に進むものと想定しております。このような先端半導体市場の拡大によって電子材料など周辺分野の市場拡大も期待されます。チップの微細化や高性能化の進展に伴い、当社がこれまで水処理で培ってきた分離精製技術を半導体製造に用いられる各種の薬液や溶剤などの高度精製に応用・展開することにより、新たな事業分野の拡大が期待出来ます。また、先端半導体の微細化・積層化に伴い、当社グループに求められる技術要求は非常に高い水準となっております。加えて、環境負荷の低減や資源の有効活用など、サステナビリティに関する顧客の課題解決ニーズも一段と複雑化・多様化しております。さらに、事業構成に占める半導体分野の比率や、特定の主要顧客・特定地域(台湾・米国など)に対する集中度がより高まる見込みであるほか、中国やASEAN等の地域における市場環境の変化や、今後の大きな経済成長が見込まれるインド市場の動向など、各地域の特性に応じた機動的な事業展開がこれまで以上に求められております。 内部環境に目を向けますと、事業規模の急拡大およびグローバル展開の進展に伴い、それらを支える人的資本の確保など、経営基盤の整備の重要性が一段と高まっております。活発な投資が続く市場での事業機会を確実に捉えるためには、グローバルなエンジニアリング体制を支える専門人材の獲得競争の激化や、労働市場の変化に対応していく必要があります。加えて、事業環境が一段と複雑化する中、デジタル技術を活用した生産性向上が不可欠になっているほか、多様な人材が活躍できる職場環境に対する社会的な要請もこれまで以上に強まっております。したがって、現在の当社グループを取り巻く経営環境は、先端半導体を中心とした極めて大きな成長機会が存在する一方で、多様化・高度化する顧客ニーズや特定分野・地域への集中に起因する変化への対応力向上と、その成長を根底から支える人的資本など経営基盤の拡充が強く求められる局面にあると認識しております。 ② 経営戦略及び優先的に対処すべき課題等上述のとおり、当社グループの業績は、半導体を中心とする電子産業分野が大きく牽引し、順調に事業規模を拡大しております。特にAIやデータセンター向けの先端半導体の供給が需要に追い付かない状況が今後も継続し、台湾や米国において先端半導体製造への投資がこれまで以上に活発に進むと想定しております。このような状況を踏まえ、中長期の経営計画である“ORGANO 2030”における2030年度の数値目標につきましては、2026年度の計画値を起点とし、売上高は年平均成長率7%として2,600億円、営業利益率については18%以上へと見直すことといたしました。“ORGANO 2030”に向けては、活発な投資が続くと想定される先端半導体市場における事業機会に対応するため、グローバルでのエンジニアリング体制拡充を通じて納入キャパシティを拡大するとともに、当社のコア技術の深化と新たな価値の創出を目指した技術開発を加速してまいります。一方で、2030年度に向かう短期、中期の成長の中では、半導体分野の比率、特定顧客や特定地域への集中度がさらに高まる見込みであり、長期的な観点から、事業ポートフォリオ、地理的ポートフォリオを継続的に強化していく必要があると認識しております。事業ポートフォリオについては、安定収益が見込めるソリューション事業の成長を最優先課題とし、既存顧客へ満足度の高いソリューションを着実に提供するための体制を強化するとともに、新たな技術・製品の開発を通じて顧客の課題解決力・提案力の強化を目指します。また、機能商品事業においては、重点事業である水処理薬品、機能材料における水処理エンジニアリング事業とのシナジーを追求しつつ、競争力のある製品・技術の開発と拡販に注力してまいります。 地理的ポートフォリオの強化については、引き続き米国市場の開拓を最優先課題とします。当面は先端半導体案件を中心とする電子産業分野を柱としつつ、薬品事業、分離精製事業、小型装置事業、製薬分野向けの水処理装置事業、新規下水処理技術の実装など、多面的な展開を図ってまいります。また、今後大きな市場に成長することが期待されるインドについては現地法人を設立し、市場動向や事業環境などの詳細調査を実施したうえで、事業戦略を立案し、実行段階へと移行します。中国やASEANにおいては、地域ごとの事業環境の変化に対応した柔軟な展開を図ってまいります。 当社グループの成長を支える事業基盤については、長期的な視点に基づく要員体制の強化、研修・教育やスキルマップ活用による人材育成、AI・デジタル活用による業務効率化に引き続き取り組んでまいります。加えて、財務戦略・投資戦略に基づいて、研究開発投資、業務効率化のためのITインフラ投資などの成長投資を積極的に実行してまいります。さらには、事業継続の大前提である安全確保、コンプライアンス遵守を徹底するとともに、ESGの取組みも強化し、経営基盤の持続的な強化を進めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要、これらに関する経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度(2025年4月1日~2026年3月31日)における世界経済は、米国の通商政策や中国景気の減速による影響に加えて、中東情勢の緊迫化に起因するエネルギー供給不安や物価高、サプライチェーンへの影響など地政学リスクへの懸念により先行き不透明な状況が継続しましたが、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。当社グループの主力市場である電子産業分野においては、EV(電気自動車)市場の成長減速などに伴う車載向けなどのパワー半導体の需要低迷が続いた一方で、生成AI(人工知能)需要の急拡大及びデータセンター向け投資の本格化を背景に、先端半導体の量産に向けた設備投資が年間を通じて高い水準で推移しました。また、一般産業分野や、電力・上下水などの社会インフラ分野においては、メンテナンス需要を中心に堅調に推移しました。このような状況の下、当社グループは国内外の大型プロジェクトの受注・納入活動を進めるとともに、生産・納入キャパシティの拡大に努めてまいりました。米国での現地エンジニアリング体制の構築や、国内外でのソリューション体制強化、新たにインドでの拠点設立などの取組みを進めてまいりました。また、事業戦略と連動した技術開発や知財戦略の推進のほか、国内外における人的投資の拡大、サステナビリティやガバナンスの高度化、基幹システムの刷新など、経営基盤の強化にも取り組んでまいりました。この結果、当連結会計年度の業績は受注高167,956百万円(前連結会計年度比11.0%増)、売上高177,654百万円(同8.8%増)、営業利益37,648百万円(同21.0%増)、経常利益38,130百万円(同20.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益28,401百万円(同17.6%増)となり、ROE(自己資本当期純利益率)は21.5%(前連結会計年度は21.7%)となりました。受注高は期初計画を下回ったものの前年度実績を上回る水準を確保しました。売上高及び各段階利益については、前年度実績及び期初計画を上回り、前年度に続いて過去最高となる水準を達成いたしました。また、翌年度以降の売上のベースとなる繰越受注残高は96,503百万円(同8.8%減)となり、引き続き高い水準の受注残高を確保しております。 区 分第80期2025年3月期第81期(当連結会計年度)2026年3月期前連結会計年度比計画比期初計画実績受注高(百万円)151,272180,000167,956+11.0%△6.7%繰越受注残高(百万円)105,778110,77896,503△8.8%△12.9%売上高(百万円)163,269175,000177,654+8.8%+1.5%営業利益(百万円)31,12031,50037,648+21.0%+19.5%売上高営業利益率(%)19.118.021.2--経常利益(百万円)31,63932,00038,130+20.5%+19.2%親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)24,15024,20028,401+17.6%+17.4%自己資本当期純利益率(ROE)(%)21.718.821.5-- セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。(水処理エンジニアリング事業) ■受注高受注高は前連結会計年度比12.2%増となる141,685百万円となりました。電子産業分野においては、一部の大型案件で受注時期が翌期にずれ込んだため期初の想定は下回ったものの、台湾、米国、欧州において大型の半導体向けプロジェクトを受注したことに加え、設備保有型サービスや各種メンテナンスなどのソリューション事業も好調に推移し、受注高は前年度比で増加しました。一般産業分野においては、一部大型案件の受注動向により減少したものの、各種メンテナンスなどのソリューション案件は好調に推移しました。社会インフラ分野においては、火力発電所の新増設案件を受注したことなどから、受注高は増加しました。■売上高売上高は前連結会計年度比10.0%増となる151,961百万円となりました。電子産業分野においては、日本や台湾、米国におけるプラント案件が順調に進捗したことに加えて、設備保有型サービスや各種のメンテナンスなどのソリューション事業も好調に推移し、売上高が増加しました。一般産業分野においては、電子周辺分野などのプラント案件が順調に進捗したほか、ソリューション事業が好調に推移し、売上高は増加しました。社会インフラ分野においては、火力・原子力発電所などのメンテナンスを中心に堅調に推移しました。■営業利益営業利益は、前連結会計年度比25.4%増となる34,339百万円となりました。電子産業分野を中心とした売上高の拡大に加え、比較的収益性の高いソリューション事業の売上が増加しました。さらに、好採算のプラント案件の順調な進捗や、海外のプラント案件を中心に収益改善の取組みや原価低減による売上総利益率の改善があったことが大きく影響し、人件費やIT関連費用を中心とした販管費の増加を吸収して、増益となりました。 (機能商品事業) ■受注高・売上高受注高は前連結会計年度比5.3%増となる26,270百万円、売上高は同2.2%増となる25,693百万円となりました。食品分野において低採算取引の整理を進めた影響があったものの、標準型機器・機能材分野において、医療・研究機関向けの小型純水装置や半導体製造に用いる電子材料の高度分離・精製向け機能材の受注・販売が伸長しました。また、水処理薬品も電子産業向けのRO膜処理剤や排水処理剤などが好調に推移し、受注高・売上高ともに増加しました。■営業利益営業利益は前連結会計年度比11.5%減となる3,309百万円となりました。売上高の増加に加え、電子産業向けの水処理薬品や機能材など比較的利益率の高い製品の売上が伸長したことや、食品分野の低採算取引を整理したことなどから売上総利益率が改善したものの、人件費を中心とした販管費の増加を吸収しきれず、若干の減益となりました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業169,765+17.1機能商品事業12,285△0.5合計182,051+15.7 (注) 1 上記の金額は販売価格をもって表示しております。2 セグメント間取引については、相殺消去しております。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業141,685+12.294,212△9.5機能商品事業26,270+5.32,291+34.9合計167,956+11.096,503△8.8 (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業151,961+10.0機能商品事業25,693+2.2合計177,654+8.8 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.22,78514.044,81825.2 3 Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.については、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.及び同一の企業集団に対する売上高を含めております。 (2) 財政状態(資産)当連結会計年度末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ30,471百万円増加し、224,867百万円となりました。流動資産は、設備保有型サービスの設備完成によってリース投資資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ27,635百万円増加し、192,002百万円となりました。固定資産は、設備投資額の増加によって有形固定資産及び無形固定資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末から2,835百万円増加し、32,864百万円となりました。(負債)当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ8,703百万円増加し、81,904百万円となりました。流動負債は、主に大型の工事案件や設備保有型サービスの設備建設のための支出増加に伴い短期借入金が増加したことによって、前連結会計年度末に比べ6,537百万円増加し、70,939百万円となりました。固定負債は、主に長期借入金の調達によって前連結会計年度末から2,165百万円増加し、10,965百万円となりました。なお、当連結会計年度末における借入金合計は前連結会計年度末に比べ11,845百万円増加し、34,402百万円となっております。(純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ21,767百万円増加し、142,962百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等に伴う利益剰余金19,934百万円の増加によるものであります。 セグメントごとの資産は、次のとおりであります。水処理エンジニアリング事業の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ27,578百万円増加し、196,949百万円となりました。これは主に、現金及び預金、売掛金、設備保有型サービスの設備完成に伴うリース投資資産の増加によるものであります。機能商品事業の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ1,268百万円増加し、19,355百万円となりました。これは主に固定資産などの増加によるものであります。 (3) キャッシュ・フロー(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当社グループのキャッシュ・フローは、大型プロジェクトの工事進捗や代金の回収スケジュールに影響される傾向があります。そのため、当社は、プロジェクトの収益管理を徹底するとともに、安定収益源であるソリューション事業や機能商品事業を拡大し、収益基盤の安定化に取り組んでいます。また、財務基盤についても、受注の急減やプロジェクトの採算悪化といった不測の事態やキャッシュ・フローの変動に備えた安全性・健全性の確保を図りつつ、資本効率と株主還元の最適なバランスを追求してまいります。この資本効率の向上を図るうえで、収益性の向上、効率性の改善、および財務レバレッジの適切な活用を通じてROEを高めることが重要であると認識しています。当社の株主資本コストは現状8~10%程度と想定しておりますが、近年は収益性の改善によりROEが株主資本コストを大きく上回って推移しています。また、配当性向の改善などの株主還元施策やIR活動の強化などにも取り組んだ結果、株価は上昇傾向にあり、PERおよびPBRも大きく改善しています。 中長期経営計画である“ORGANO 2030”においては、この高いROE水準を維持するべく、収益性・効率性・財務レバレッジのそれぞれについて方向性を定め、ROE20%以上の維持を目指すこととしています。当連結会計年度におけるROEは、収益性が大きく改善した一方で、効率性および財務レバレッジが低下したことにより前期比0.2ptの低下となりました。しかしながら、ROEは21.5%という高い水準を維持しています。各要素の分析は以下のとおりです。収益性については、近年、プラント案件の採算性改善や比較的利益率の高いソリューション・機能商品事業の拡大などにより売上総利益率が大きく改善してまいりました。これにより、売上高当期純利益率は向上を続けておりますが、当連結会計年度においてもその傾向が継続しました。効率性については、設備保有型サービスへの投資を拡大した影響もあり、前期比で総資産回転率が若干低下しました。運転資本の効率性についてはキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の短縮に向けた取組みを進めているものの、依然として改善の余地があるものと認識しております。財務レバレッジについては、設備保有型サービスや人件費などキャパシティ拡大に向けた投資を拡大するとともに、配当増額による株主還元を強化しました。その資金の一部には借入金を活用したものの、利益成長により純資産の増加幅が負債の増加を上回った結果、財務レバレッジは低下する結果となりました。今後は、M&Aなどインオーガニックな成長に向けた投資も含め、更なる成長投資の拡充が必要であると考えており、十分な財務健全性を確保しつつ、適宜借入金等も活用しながら成長投資を加速させてまいります。 <キャピタルアロケーション>直近3カ年のキャピタルアロケーションの実績、および次期3カ年の計画は次の通りです。直近3カ年の実績直近3カ年においては、電子産業分野を中心とした利益成長により、事業収益から得られる資金が順調に拡大しました。資金の配分(支出面)については、設備保有型サービスへの投資を拡大したほか、配当性向を毎期段階的に引き上げるなど株主還元を強化してまいりました。一方で、さらなる成長に向けた成長投資・設備投資については、一定の水準にとどまり、今後の拡充余地を残す結果となりました。次期3カ年の計画次期3カ年においては、人件費や研究開発費、デジタル関連投資など固定費の拡大を想定するものの、売上拡大や設備保有型サービスの資金回収本格化により、事業収益から得られる資金はさらに拡大する見込みです。この増加する資金を原資として、設備保有型サービスへの継続投資や、配当性向のさらなる改善による株主還元の強化に取り組むとともに、キャパシティ拡大や経営インフラ整備、M&Aなどの成長投資を3カ年で積極的に拡大する計画です。また、売上拡大に伴い運転資本の増加が想定されますが、売掛債権の回収早期化など効率化に取り組んでまいります。成長投資の拡大や運転資本の増加によって手元資金を上回る資金需要が発生する場合には、借入金等の有利子負債も機動的に活用して対応してまいります。手元流動性の確保資金の流動性については、事業運営に必要な現預金水準として、月商の1.5~2.0倍程度を目安としております。ただし当面の間は、台湾や米国など海外の大型プラント案件の拡大に伴う売掛債権・契約資産の増加、工事代金や原材料の支払増加、さらには材料調達の長納期化に備えた在庫確保などを見据え、現預金を厚めに確保することを想定しています。 <株主還元>株主還元については、重要な経営課題の一つとして考えており、安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針としたうえで、収益の状況を勘案した利益配分に努めることとしております。具体的には、成長投資の拡大と株主還元の強化を両立させることを目指し、連結配当性向30%以上の水準を維持しつつ、さらなる連結配当性向の改善に取り組んでまいります。2026年3月期においては、業績の上方修正に伴い1株当たりの年間配当金も期初計画の170円から200円(連結配当性向32.4%)まで増額しました。2027年3月期も連結配当性向33.7%となる220円(2026年10月1日付の株式分割を考慮しない場合)を計画しており、株主還元と成長投資の両立と拡大を目指してまいります。(キャッシュ・フローの状況)当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ14,303百万円増加し、当連結会計年度末には31,055百万円となりました。活動ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当社グループは、水処理エンジニアリング事業が売上高の85.5%を占めており、同事業のキャッシュ・フローの状況によってグループ全体のキャッシュ・フローが大きく変動します。中でもプラント事業においては、大型装置の設計・製作・納入は長期にわたることがあり、債権の回収時期、原材料・外注費等の支払時期などによって営業活動によるキャッシュ・フローが大きく増減することがあります。また、設備を自らが設置・所有し、顧客にサービスを提供する設備保有型サービスにおいては、所有権移転外ファイナンス・リース取引として会計処理しておりますが、設備の製作から資金の回収までが長期にわたるため設備の製作や納入段階においては支出が大きく先行する傾向にあります。当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益の計上などによる資金の増加があった一方で、設備保有型サービスへの投資に伴う支出が増加し、営業活動から得られた資金は、前連結会計年度に比べ8,000百万円減少し、13,099百万円となりました。なお、キャッシュ・フロー計算書におけるリース投資資産の増加額18,344百万円及び棚卸資産の減少額4,025百万円には、設備保有型サービスの設備完成に伴う棚卸資産からリース投資資産への振替額が含まれております。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によって支出された資金は、前連結会計年度に比べ612百万円増加し、2,743百万円となりました。設備投資が増加したことなどから支出が増加しました。なお、設備投資の概要については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」をご参照ください。 <当社の設備保有型サービスへの投資額のキャッシュ・フロー計算書上の表示について>当社は、顧客工場・敷地内に水処理設備を当社の設備として設置し、当該設備をもとに水処理サービスを長期間にわたって提供する設備保有型サービスを展開しております。当社のキャッシュ・フロー計算書においては、この設備保有型サービスへの投資額(設備製作に係る支出)を、営業キャッシュ・フローの区分に表示しております。これは、当該サービスが当社の主目的たる営業取引であり、貸借対照表においては流動資産のリース投資資産(建設中は仕掛品)に計上しているためであります。一方で、この設備保有型サービスでは設備の製作に投下した資金の回収が長期間にわたるため、当該製作に係る支出は設備投資に近い性質も同時に有していると考えております。そのため、仮に当該支出を投資活動として捉えた場合には、当社のキャッシュ・フロー計算書は、その分だけ営業活動による支出額が大きく、投資活動による支出が小さく表示されていることになります。なお、当該支出を営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローに組み替えた場合のキャッシュ・フローの状況を示すと以下のとおりとなります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によって得られた資金は3,118百万円となりました。配当金の支払額の増加の一方で、設備保有型サービスへの投資額の増加などに伴い借入金が増加したことなどによって収入が増加しました。(前連結会計年度は20,821百万円の支出) (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り及び仮定を使用しております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は次のとおりであります。 (特に重要な会計上の見積り)① 工事契約に係る会計処理水処理エンジニアリング事業における大型案件は当社グループの売上高に占める割合が大きく、その収益認識の基礎となる工事原価総額の見積りが業績に与える影響は非常に大きいと認識しており、特に大型の案件では作業内容の特定やその原価の見積りに高い不確実性が伴います。また、工事着手後に生じる資材価格の変動や作業内容の変更などを適時・適切に工事原価へ反映する必要があることに加えて、工事原価総額の見積りは工事損失引当金の金額にも影響することなどから当社は、工事契約に係る会計処理を特に重要な会計上の見積りに該当すると考えております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。 (その他の重要な会計上の見積り)① 棚卸資産の評価棚卸資産の評価は、原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)によっております。営業循環過程から外れた滞留又は処分見込等の棚卸資産について、合理的に算定された価額によることが困難であるため、過去の実績から見積った年数及び割合を基に規則的に簿価を切り下げております。実際の正味売却価額が切下げ後の簿価と比べて大きく異なる場合は、棚卸資産の期末残高が過小もしくは過大になるほか、売上原価に影響を及ぼします。 ② 製品保証引当金完了した請負工事に係る瑕疵担保等に備えるため、将来の保証見込額を製品保証引当金として計上しております。見積りには、個別に見積可能なものについては、その見積額を計上しておりますが、多くの請負工事は個別の見積りが困難であるため、主に過去2年間の実績を基礎に見積りを行っております。しかし、想定を上回る重大な瑕疵や事故等の品質問題が発生した場合は、将来の業績が変動します。 ③ 固定資産の減損当社グループは、固定資産の減損の兆候判定、認識及び測定にあたり、将来の事業計画を基礎とした各資産グループの将来キャッシュ・フローの見積りを行っております。その将来キャッシュ・フローの見積りを修正した場合には、評価の結果が変わり、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額等を考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得見込額は業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合や予期しない変化などが生じた場合は、回収可能性の評価の見直しを行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。 ⑤ 退職給付債務及び費用当社グループの退職給付債務及び費用は、死亡率、退職率、昇給率や給与の変更及び割引率等の数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出されています。割引率は、日本の国債の利回りを基に、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用して算出しております。また、長期期待運用収益率については、過去の運用実績と将来収益に対する予測を評価することにより設定しております。これらの前提条件の見積りは合理的であると判断しておりますが、割引率の低下が数理計算上の退職給付債務の増加をもたらす可能性があるなど、主要な前提条件が実際の結果と異なった場合、退職給付債務及び費用が変動し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営方針■ 経営理念・長期経営ビジョン当社グループは1946年の創業以来、長きにわたって水に関わるお客様のさまざまなご要望やそれぞれの時代のニーズに応えてまいりました。昨今これまでにないほど「水」そして「環境」がクローズアップされており、産業の発展に伴う水使用量の増大や環境汚染、地球温暖化、世界規模での飲料水の不足、資源の枯渇などさまざまな課題が顕在化し、その解決が求められています。当社グループは、これまで水で培ってきた技術・サービスを駆使して、産業分野で必要とされる高度な水処理や、社会の基盤となる自然環境の保全と人々の豊かな生活に必要な水の創造など、産業・環境・生活の調和に貢献することが我々の大きな使命であると考えており、以下の経営理念及び長期経営ビジョンを掲げ経営に取り組んでおります。 経営理念オルガノは水で培った先端技術を駆使して未来をつくる産業と社会基盤の発展に貢献するパートナー企業としてあり続けます 長期経営ビジョン■ 付加価値の高い分離精製・分析・製造技術を基に、事業領域と展開地域を拡大し、産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスを絶えず提供します■ 昨日までのやり方を、明日に向けて、今日変える人をつくり、一人ひとりが働きがいと活力に満ちた企業を構築します (2) 経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき課題等① 経営環境当社グループを取り巻く経営環境は、米国による関税政策の見直しなどもあり引き続き不確実性の高い状況が続いておりますが、国内外において半導体を中心とする電子産業分野での活発な投資に加え、一般産業分野や社会インフラ分野でも堅調な需要が続いており、水処理エンジニアリング事業及び機能商品事業のいずれの事業においても、当社グループの業績は拡大を続けています。特に重点分野である電子産業分野においては、生成AIの進展を背景に先端半導体の需要が拡大しており、今後も市場全体の成長が継続する見通しです。また、先端半導体需要の拡大によって電子材料など周辺分野の市場拡大も期待されますが、チップの微細化や高性能化の進展に伴い、当社がこれまで水処理で培ってきた分離精製技術を半導体製造に用いられる各種の薬液や溶剤などの高度精製に応用・展開することが期待されるなど、新たな事業分野の拡大が期待出来ます。地域別にみると米中対立や経済安全保障への対応、各国による支援策を受け、これまで中華圏に集中していた半導体製造拠点は、米国や欧州をはじめとする地域への回帰・再配置が進むほか、韓国・インドなどの地域でも半導体市場の成長が見込まれるなど、グローバルなサプライチェーンの構造も大きく変化しています。一方、顧客ニーズも進化しており、従来の品質やコストに加え、環境負荷の低減、人権尊重、企業統治などのESG要素を重視する傾向が強まっています。また、水処理設備の運転管理を含むアウトソーシング需要の拡大も見られ、電子産業分野に限らず、一般産業・社会インフラ・機能商品といった幅広い分野において、進化する顧客ニーズに沿った事業成長戦略が必要になっております。また、当社グループの事業活動を支えるバリューチェーンにおいては、少子高齢化、グローバルな人材獲得競争の激化、賃金水準の上昇、働き方の多様化の進行など、労働市場の変化が加速しています。加えて、原材料価格の高騰や人手不足に伴う供給不足も継続しており、バリューチェーンにおける各機能の強化がより一層必要な状況となっております。 ② 経営戦略及び優先的に対処すべき課題等当社グループは中長期の経営計画である“ORGANO 2030”を策定しております。これまで“ORGANO 2030”では2030年度までに売上高2,000億円以上、売上高営業利益率15%以上、ROE 12%以上を安定的に計上できる収益構造の構築を目標として掲げてまいりました。しかしながら、電子産業分野を中心に想定を上回る成長が見られ、2030年度の目標であった営業利益300億円を2024年度に達成することとなりました。そのため、電子産業分野の成長が今後も続き、他分野における水処理需要も堅調に推移するという想定のもと、2030年度の業績目標を見直し、売上高は2,500億円、売上高営業利益率は15%を必達目標として18%以上を目指し、ROEは15%以上を維持することといたしました。この達成に向けて、当社グループは「事業成長戦略」「バリューチェーン強化」「経営基盤の拡充」の3点を重要な課題として定め、それぞれの取組みを改めて整理いたしました。なお、当社グループは持続的な企業価値の向上と収益性改善の達成状況を評価するため、ROEと売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。●事業成長戦略当社グループの主力市場である電子産業分野においては、生成AIの進展によって先端半導体が市場の成長を牽引することが予想され、それに伴い電子材料をはじめとする周辺市場の拡大も期待されております。そのため、電子産業分野は引き続き当社グループの重点分野として、同市場への展開を起点に技術革新、エリア展開を加速させ、事業拡大を目指す方針を継続してまいります。また、今後さらなる成長を実現するためには、電子産業分野への取組みと並行して、事業ポートフォリオと世界展開における地理的なポートフォリオの強化が必要であると認識しております。事業ポートフォリオについては、当社グループが展開する水処理エンジニアリング事業及び機能商品事業のシナジーを一層強化し、顧客価値の最大化を目指すとともに、ソリューション事業を、安定収益基盤として利益を創出する領域(フィールドソリューション)と競争力確保と将来の売上貢献のための成長投資をする領域(アドバンストソリューション)に区分し、それぞれの特性に応じた戦略を講じていくことにより、成長を目指してまいります。世界展開のポートフォリオについては、新たな展開地域である米国市場の開拓を最優先課題としつつ、中華圏での継続的な成長の確保に努め、韓国やインドといった新たな地域への展開も積極的に進めてまいります。加えて、ASEAN地域については、当社グループのサプライチェーン、エンジニアリングリソース強化を担う拠点としての位置付けも考慮しながら事業展開を進めてまいります。これらの成長戦略の実現にあたっては、オーガニックな成長施策にとどまらず、他社との提携やM&Aなどのインオーガニックな手段についても柔軟に検討しながら、優先順位を明確化し、経営資源の戦略的な配分を図ってまいります。●バリューチェーン強化事業戦略を実行に移すには、それを支えるバリューチェーン上の各機能の強化が不可欠であります。生産・納入キャパシティの拡充及び業務効率化に向けたエンジニアリング体制の強化、事業戦略と連動した技術開発や知財戦略の推進による競争優位性の確立、顧客接点の強化に向けた国内外の拠点・ネットワークの再整備に取り組むことにより、施策の実行力と戦略の実現性を高めてまいります。●経営基盤の拡充事業成長戦略及びバリューチェーン強化を着実に実行していくうえで、それらを支える経営基盤のさらなる拡充が不可欠であります。当社グループでは、持続的な企業価値の向上を実現するため、人材・デジタル・財務・ESGといった複数の観点から戦略的な取組みを進めてまいります。中でも、人材は最も重要な経営資源であり、要員体制の強化と人材育成を基軸に据えております。さらに、それらを最大限に活かすために、デジタル技術の活用による業務プロセスの革新を推進し、継続的に生産性の向上を図ってまいります。また、事業継続の大前提である安全確保、コンプライアンス遵守を徹底するとともに、戦略的な財務運営やESGの取組みも強化し、経営基盤の持続的な強化を進めてまいります。 経営目標区 分第80期第81期 第83期 第86期2025年3月期(実績)2026年3月期(計画)2028年3月期(計画)2031年3月期(計画)受注高(百万円)151,272180,000240,000250,000売上高(百万円)163,269175,000224,000250,000営業利益(百万円)31,12031,50036,80045,000売上高営業利益率(%)19.118.016.418.0自己資本当期純利益率(ROE)(%)21.718.817.215.0
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営方針■ 経営理念・長期経営ビジョン当社グループは1946年の創業以来、長きにわたって水に関わるお客様のさまざまなご要望やそれぞれの時代のニーズに応えてまいりました。昨今これまでにないほど「水」そして「環境」がクローズアップされており、産業の発展に伴う水使用量の増大や環境汚染、地球温暖化、世界規模での飲料水の不足、資源の枯渇などさまざまな課題が顕在化し、その解決が求められています。当社グループは、これまで水で培ってきた技術・サービスを駆使して、産業分野で必要とされる高度な水処理や、社会の基盤となる自然環境の保全と人々の豊かな生活に必要な水の創造など、産業・環境・生活の調和に貢献することが我々の大きな使命であると考えており、以下の経営理念及び長期経営ビジョンを掲げ経営に取り組んでおります。 経営理念オルガノは水で培った先端技術を駆使して未来をつくる産業と社会基盤の発展に貢献するパートナー企業としてあり続けます 長期経営ビジョン■ 付加価値の高い分離精製・分析・製造技術を基に、事業領域と展開地域を拡大し、産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスを絶えず提供します■ 昨日までのやり方を、明日に向けて、今日変える人をつくり、一人ひとりが働きがいと活力に満ちた企業を構築します (2) 経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき課題等① 経営環境当社グループを取り巻く経営環境は、米国による関税政策の見直しなどもあり引き続き不確実性の高い状況が続いておりますが、国内外において半導体を中心とする電子産業分野での活発な投資に加え、一般産業分野や社会インフラ分野でも堅調な需要が続いており、水処理エンジニアリング事業及び機能商品事業のいずれの事業においても、当社グループの業績は拡大を続けています。特に重点分野である電子産業分野においては、生成AIの進展を背景に先端半導体の需要が拡大しており、今後も市場全体の成長が継続する見通しです。また、先端半導体需要の拡大によって電子材料など周辺分野の市場拡大も期待されますが、チップの微細化や高性能化の進展に伴い、当社がこれまで水処理で培ってきた分離精製技術を半導体製造に用いられる各種の薬液や溶剤などの高度精製に応用・展開することが期待されるなど、新たな事業分野の拡大が期待出来ます。地域別にみると米中対立や経済安全保障への対応、各国による支援策を受け、これまで中華圏に集中していた半導体製造拠点は、米国や欧州をはじめとする地域への回帰・再配置が進むほか、韓国・インドなどの地域でも半導体市場の成長が見込まれるなど、グローバルなサプライチェーンの構造も大きく変化しています。一方、顧客ニーズも進化しており、従来の品質やコストに加え、環境負荷の低減、人権尊重、企業統治などのESG要素を重視する傾向が強まっています。また、水処理設備の運転管理を含むアウトソーシング需要の拡大も見られ、電子産業分野に限らず、一般産業・社会インフラ・機能商品といった幅広い分野において、進化する顧客ニーズに沿った事業成長戦略が必要になっております。また、当社グループの事業活動を支えるバリューチェーンにおいては、少子高齢化、グローバルな人材獲得競争の激化、賃金水準の上昇、働き方の多様化の進行など、労働市場の変化が加速しています。加えて、原材料価格の高騰や人手不足に伴う供給不足も継続しており、バリューチェーンにおける各機能の強化がより一層必要な状況となっております。 ② 経営戦略及び優先的に対処すべき課題等当社グループは中長期の経営計画である“ORGANO 2030”を策定しております。これまで“ORGANO 2030”では2030年度までに売上高2,000億円以上、売上高営業利益率15%以上、ROE 12%以上を安定的に計上できる収益構造の構築を目標として掲げてまいりました。しかしながら、電子産業分野を中心に想定を上回る成長が見られ、2030年度の目標であった営業利益300億円を2024年度に達成することとなりました。そのため、電子産業分野の成長が今後も続き、他分野における水処理需要も堅調に推移するという想定のもと、2030年度の業績目標を見直し、売上高は2,500億円、売上高営業利益率は15%を必達目標として18%以上を目指し、ROEは15%以上を維持することといたしました。この達成に向けて、当社グループは「事業成長戦略」「バリューチェーン強化」「経営基盤の拡充」の3点を重要な課題として定め、それぞれの取組みを改めて整理いたしました。なお、当社グループは持続的な企業価値の向上と収益性改善の達成状況を評価するため、ROEと売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。●事業成長戦略当社グループの主力市場である電子産業分野においては、生成AIの進展によって先端半導体が市場の成長を牽引することが予想され、それに伴い電子材料をはじめとする周辺市場の拡大も期待されております。そのため、電子産業分野は引き続き当社グループの重点分野として、同市場への展開を起点に技術革新、エリア展開を加速させ、事業拡大を目指す方針を継続してまいります。また、今後さらなる成長を実現するためには、電子産業分野への取組みと並行して、事業ポートフォリオと世界展開における地理的なポートフォリオの強化が必要であると認識しております。事業ポートフォリオについては、当社グループが展開する水処理エンジニアリング事業及び機能商品事業のシナジーを一層強化し、顧客価値の最大化を目指すとともに、ソリューション事業を、安定収益基盤として利益を創出する領域(フィールドソリューション)と競争力確保と将来の売上貢献のための成長投資をする領域(アドバンストソリューション)に区分し、それぞれの特性に応じた戦略を講じていくことにより、成長を目指してまいります。世界展開のポートフォリオについては、新たな展開地域である米国市場の開拓を最優先課題としつつ、中華圏での継続的な成長の確保に努め、韓国やインドといった新たな地域への展開も積極的に進めてまいります。加えて、ASEAN地域については、当社グループのサプライチェーン、エンジニアリングリソース強化を担う拠点としての位置付けも考慮しながら事業展開を進めてまいります。これらの成長戦略の実現にあたっては、オーガニックな成長施策にとどまらず、他社との提携やM&Aなどのインオーガニックな手段についても柔軟に検討しながら、優先順位を明確化し、経営資源の戦略的な配分を図ってまいります。●バリューチェーン強化事業戦略を実行に移すには、それを支えるバリューチェーン上の各機能の強化が不可欠であります。生産・納入キャパシティの拡充及び業務効率化に向けたエンジニアリング体制の強化、事業戦略と連動した技術開発や知財戦略の推進による競争優位性の確立、顧客接点の強化に向けた国内外の拠点・ネットワークの再整備に取り組むことにより、施策の実行力と戦略の実現性を高めてまいります。●経営基盤の拡充事業成長戦略及びバリューチェーン強化を着実に実行していくうえで、それらを支える経営基盤のさらなる拡充が不可欠であります。当社グループでは、持続的な企業価値の向上を実現するため、人材・デジタル・財務・ESGといった複数の観点から戦略的な取組みを進めてまいります。中でも、人材は最も重要な経営資源であり、要員体制の強化と人材育成を基軸に据えております。さらに、それらを最大限に活かすために、デジタル技術の活用による業務プロセスの革新を推進し、継続的に生産性の向上を図ってまいります。また、事業継続の大前提である安全確保、コンプライアンス遵守を徹底するとともに、戦略的な財務運営やESGの取組みも強化し、経営基盤の持続的な強化を進めてまいります。 経営目標区 分第80期第81期 第83期 第86期2025年3月期(実績)2026年3月期(計画)2028年3月期(計画)2031年3月期(計画)受注高(百万円)151,272180,000240,000250,000売上高(百万円)163,269175,000224,000250,000営業利益(百万円)31,12031,50036,80045,000売上高営業利益率(%)19.118.016.418.0自己資本当期純利益率(ROE)(%)21.718.817.215.0
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要、これらに関する経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)における世界経済は、中国の景気低迷や中東情勢などの地政学的リスクの影響がみられたものの、米国を中心に底堅い動きが継続し、国内経済も雇用・所得環境の改善の動きが続く中で、緩やかな回復基調がみられました。一方で米国の通商政策による世界経済への影響が懸念され、先行きについては不透明感がみられます。当社グループの主力市場である電子産業分野においては、生成AI(人工知能)関連の半導体需要増加を受け、最先端半導体の設備投資が拡大するなど全体として好調な状況が継続いたしました。一方で、電気自動車(EV)やスマートフォン向けをはじめとするAI用途以外の半導体については需要が減少するなど、一部では停滞感も見られました。一般産業分野においては電子産業分野の設備投資拡大に連動して国内の電子周辺分野の設備投資が拡大しているほか、全体としてもメンテナンス需要が高い水準で推移いたしました。また、電力・上下水など社会インフラ分野においても設備の更新や各種メンテナンスなど堅調な状況が継続いたしました。このような状況の下、当社グループは国内外で大型プロジェクトの受注・納入活動を進めるとともに、プラントエンジニアリングプロセスの効率化を目指したDX関連の投資や、グローバルでの人材育成・活用施策の推進など生産・納入キャパシティの増強に取り組んでまいりました。また、次世代の技術や新たな事業の創出を目指した研究開発活動の拡充、採用や研修の拡充など人的資本の強化、サステナビリティやガバナンスの高度化、効率的かつ合理的なデジタル経営の推進に向けた基幹システムの刷新への取組みなど、各種施策を進めてまいりました。この結果、当連結会計年度の業績は受注高151,272百万円(前連結会計年度比4.7%増)、売上高163,269百万円(同8.6%増)、営業利益31,120百万円(同38.0%増)、経常利益31,639百万円(同35.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益24,150百万円(同39.5%増)となり、ROE(自己資本当期純利益率)は21.7%(前連結会計年度は18.4%)となりました。受注高は期初計画を下回ったものの前年度の実績を上回る受注高を確保いたしました。売上高及び各利益は前年度の実績及び期初の計画を上回り、前年度に続いて過去最高となる水準を達成いたしました。また、翌年度以降の売上のベースとなる繰越受注残は105,778百万円(同8.5%減)となり、引き続き高い水準の受注残高を確保しております。 区 分第79期2024年3月期第80期(当連結会計年度)2025年3月期前連結会計年度比計画比期初計画実績受注高(百万円)144,468155,000151,272+4.7%△2.4%繰越受注残高(百万円)115,618115,618105,778△8.5%△8.5%売上高(百万円)150,356155,000163,269+8.6%+5.3%営業利益(百万円)22,54423,00031,120+38.0%+35.3%売上高営業利益率(%)15.014.819.1--経常利益(百万円)23,42523,00031,639+35.1%+37.6%親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)17,31016,10024,150+39.5%+50.0%自己資本当期純利益率(ROE)(%)18.415.021.7-- セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法等を変更しているため、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいております。(水処理エンジニアリング事業) ■受注高受注高は前連結会計年度比4.9%増となる126,327百万円となりました。電子産業分野では、国内・中国・東南アジアで大型案件の受注時期に遅れがみられたため期初の想定を下回ったものの、台湾で想定を上回る受注を獲得したことなどにより、プラント事業の受注高が増加いたしました。また、設備保有型サービスや各種メンテナンスなど国内・海外ともにソリューション案件が好調に推移したことから、ソリューション事業の受注高も増加いたしました。一般産業分野においても好調なソリューション案件の影響に加えて、ハイパーカミオカンデ向けの超純水設備や電子周辺分野の大型案件を受注した影響などから受注高が増加いたしました。一方で、社会・インフラ分野は国内の発電所の更新工事の受注などがあったものの、浄水場の案件が減少したことにより受注高が若干減少する結果となりました。■売上高売上高は前連結会計年度比9.3%増となる138,130百万円となりました。電子産業分野では、主に台湾において大型案件の工事が順調に進捗したことに加えて、国内で展開している設備保有型サービスや、納入設備に対する各種メンテナンスや消耗品交換、改造工事などのソリューション案件が国内外で好調に推移したことなどから売上高が増加いたしました。また、一般産業分野においても前年度以前に受注したプラント案件が順調に進捗したことや、ソリューション案件が好調に推移したことなどから売上高が増加し、社会・インフラ分野も国内の発電所を中心に堅調に推移したことにより売上高が増加いたしました。■営業利益営業利益は、前連結会計年度比43.3%増となる27,382百万円となりました。プラント案件の売上増加のほか、プラント事業よりも収益性が高いソリューション事業の売上が拡大したこと、利益率の改善があったことなどから営業利益が増加いたしました。利益率は、プラント事業において好調な設備投資を背景に受注環境が良好に推移したことや、収益性改善に向けた各種取組みなどによって改善したほか、ソリューション事業でも比較的収益性の高い設備保有型サービスの伸長などによって改善いたしました。 (機能商品事業) ■受注高・売上高受注高は前連結会計年度比3.7%増となる24,944百万円、売上高は同4.9%増となる25,139百万円となりました。好調な半導体需要を背景に、電子産業向けのRO膜処理剤や排水処理剤などの販売が好調に推移したことにより水処理薬品分野の売上高が増加したほか、電子材料の分離・精製に用いられるイオン交換樹脂などの機能材の販売が伸長したことなどから、標準型機器・機能材分野でも売上高が増加いたしました。一方で、加工食品等に向けた食品添加剤などを扱う食品分野では、不採算取引の整理を進めたことなどから減収となりました。■営業利益営業利益は前連結会計年度比8.9%増となる3,738百万円となりました。全般的な売上高の増加に加えて、比較的利益率の高い電子産業向けの水処理薬品や機能材などの売上が拡大したことや、原材料価格の上昇に伴う価格改定などの利益改善策を進めたことなどから営業利益が増加いたしました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業144,928+11.9機能商品事業12,352△2.6合計157,280+10.6 (注) 1 上記の金額は販売価格をもって表示しております。2 セグメント間取引については、相殺消去しております。3 当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しているため、前年同期比については組替え後の数値に基づき算出しております。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業126,327+4.9104,080△8.6機能商品事業24,944+3.71,698△4.2合計151,272+4.7105,778△8.5 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しているため、前年同期比については組替え後の数値に基づき算出しております。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業138,130+9.3機能商品事業25,139+4.9合計163,269+8.6 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しているため、前年同期比については組替え後の数値に基づき算出しております。3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.23,19815.422,78514.0 4 Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.については、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.及び同一の企業集団に対する売上高を含めております。 (2) 財政状態(資産)当連結会計年度末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ11,692百万円増加し、194,396百万円となりました。流動資産は、設備保有型サービスの設備完成によってリース投資資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ10,897百万円増加し、164,367百万円となりました。固定資産は、建設仮勘定など設備投資額の増加によって有形固定資産及び無形固定資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末から795百万円増加し、30,028百万円となりました。(負債)当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ7,354百万円減少し、73,201百万円となりました。流動負債は、主に大型の工事案件や設備保有型サービスの設備建設のための仕入債務が増加したものの、短期借入金が減少したことによって、前連結会計年度末に比べ8,201百万円減少し、64,401百万円となりました。固定負債は、主に長期借入金の調達によって前連結会計年度末から846百万円増加し、8,799百万円となりました。なお、当連結会計年度末における借入金合計は前連結会計年度末に比べ13,907百万円減少し、22,557百万円となっております。(純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ19,046百万円増加し、121,194百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等に伴う利益剰余金18,075百万円の増加によるものであります。 セグメントごとの資産は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法等を変更しているため、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいております。水処理エンジニアリング事業の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ12,970百万円増加し、169,371百万円となりました。これは主に、契約資産、設備保有型サービスの設備完成に伴うリース投資資産の増加によるものであります。機能商品事業の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ821百万円減少し、18,086百万円となりました。これは主に棚卸資産などの減少によるものであります。 (3) キャッシュ・フロー(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当社グループのキャッシュ・フローは、大型プロジェクトの工事進捗や代金の回収スケジュールに影響される傾向があります。そのため、当社は、プロジェクトの収益管理を徹底するとともに、安定収益源であるソリューション事業や機能商品事業の拡大に取り組むなど収益基盤の安定化に取り組んでいます。また財務基盤についても受注の急減やプロジェクトの採算悪化など不測の事態やキャッシュ・フローの変動に備えた安全化・健全化に取り組みつつ、資本効率と株主還元の最適なバランスを追求することが重要であると考えています。そのためには、収益性の向上、効率性の改善、財務レバレッジの活用を図りROEを向上させることが重要であると考えています。現状の当社の株主資本コストは7~9%程度と想定しておりますが、近年は収益性の改善によってROEが株主資本コストを大きく上回っています。また、増配継続などの株主還元施策やIR活動の強化などにも取り組んでおり、株価は上昇傾向で推移し、PER・PBRも大きく改善しました。2025年3月末は米国の関税政策などを背景にした株式市場の混乱により株価は下落したものの、PBRは2倍を超える水準を維持しております。また、中長期経営計画である"ORGANO 2030"では、はROE15%以上を安定的に計上できる体制を目指すこととし、収益性・効率性・財務レバレッジのそれぞれに方針を定め、さらなる改善を目指しています。当連結会計年度におけるROEの分析は次の通りです。当連結会計年度においては、水処理エンジニアリング事業における利益率の改善が寄与し、収益性が大きく改善しましたが、効率性についてはキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の短縮に向けた取組みを進めていますが、道半ばであり改善の余地がある状態と分析しております。また、人件費の拡大などキャパシティ拡大に向けた投資などにも積極的に取り組んでおりますが、M&Aなどインオーガニックな成長に向けた投資も含めた更なる投資の拡充が必要であります。財務健全性を十分に確保しながら、借入金など財務レバレッジを活用することで成長投資を拡大させてまいります。 <キャピタルアロケーション>2026年3月期から2028年3月期の3年間におけるキャピタルアロケーションは次の通りです。売上拡大や設備保有型サービスの回収本格化に加えて、借入金の活用やCCC短縮化への取組みによって収入の増加を想定する一方で、人件費やDX・RD投資や設備投資・M&Aなどの成長投資の積極的な拡大を計画するとともに、設備保有型サービスへの投資増加を見込んでいます。株主還元は増配の継続と配当性向の改善を継続する計画としております。なお、現預金は現行の水準である月商の1.5~2.0倍程度を目安とすることで事業運営に必要な資金の流動性を確保することとしております。<株主還元>株主還元については、重要な経営課題の一つとして考えており、安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針としたうえで、収益の状況を勘案した利益配分に努めることとしております。具体的には、増配の継続と連結配当性向30%以上の水準を目標とし、成長投資の拡大と株主還元の強化を両立させることを目指してまいります。2025年3月期においては、業績の上方修正に伴い年間配当も期初計画から160円(連結配当性向30.5%)まで増額いたしました。2026年3月期も継続増配となる170円(連結配当性向32.3%)を計画しており、株主還元と成長投資の両立と拡大を目指してまいります。 (キャッシュ・フローの状況)当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ891百万円減少し、当連結会計年度末には16,751百万円となりました。活動ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当社グループは、水処理エンジニアリング事業が売上高の84.6%を占めており、同事業のキャッシュ・フローの状況によってグループ全体のキャッシュ・フローが大きく変動します。中でもプラント事業においては、大型装置の設計・製作・納入は長期にわたることがあり、債権の回収時期、原材料・外注費等の支払時期などによって営業活動によるキャッシュ・フローが大きく増減することがあります。また、設備を自らが設置・所有し、顧客にサービスを提供する設備保有型サービスにおいては、所有権移転外ファイナンス・リース取引として会計処理しておりますが、設備の製作から資金の回収までが長期にわたるため設備の製作や納入段階においては支出が大きく先行する傾向にあります。当連結会計年度においては、設備保有型サービスへの投資などによる資金の減少に対し、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の回収などによる資金の増加があったことにより、前連結会計年度に比べ17,374百万円増加し、21,100百万円となりました。なお、キャッシュ・フロー計算書におけるリース投資資産の増加額7,697百万円及び棚卸資産の増加額472百万円には、設備保有型サービスの設備完成に伴う棚卸資産からリース投資資産への振替額が含まれております。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によって支出された資金は、前連結会計年度に比べ714百万円増加し、2,130百万円となりました。政策保有株式の売却による収入があったものの、設備投資が増加したことなどから支出が増加しました。なお、設備投資の概要については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」をご参照ください。 <当社の設備保有型サービスへの投資額のキャッシュ・フロー計算書上の表示について>当社は、顧客工場・敷地内に水処理設備を当社の設備として設置し、当該設備をもとに水処理サービスを長期間にわたって提供する設備保有型サービスを展開しております。当社のキャッシュ・フロー計算書においては、この設備保有型サービスへの投資額(設備製作に係る支出)を、営業キャッシュ・フローの区分に表示しております。これは、当該サービスが当社の主目的たる営業取引であり、貸借対照表においては流動資産のリース投資資産(建設中は仕掛品)に計上しているためであります。一方で、この設備保有型サービスでは設備の製作に投下した資金の回収が長期間にわたるため、当該製作に係る支出は設備投資に近い性質も同時に有していると考えております。そのため、仮に当該支出を投資活動として捉えた場合には、当社のキャッシュ・フロー計算書は、その分だけ営業活動による支出額が大きく、投資活動による支出が小さく表示されていることになります。なお、当該支出を営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローに組み替えた場合のキャッシュ・フローの状況を示すと以下のとおりとなります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によって支出された資金は前連結会計年度に比べ20,179百万円増加し、20,821百万円となりました。営業活動によるキャッシュ・フローの増加に伴い短期借入金が減少したことに加えて、配当金の支払額の増加などによって支出が増加いたしました。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り及び仮定を使用しております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりであります。 (特に重要な会計上の見積り)① 工事契約に係る会計処理水処理エンジニアリング事業における大型案件は当社グループの売上高に占める割合が大きく、その収益認識の基礎となる工事原価総額の見積りが業績に与える影響は非常に大きいと認識しており、特に大型の案件では作業内容の特定やその原価の見積りに高い不確実性が伴います。また、工事着手後に生じる資材価格の変動や作業内容の変更などを適時・適切に工事原価へ反映する必要があることに加えて、工事原価総額の見積りは工事損失引当金の金額にも影響することなどから当社は、工事契約に係る会計処理を特に重要な会計上の見積りに該当すると考えております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。 (その他の重要な会計上の見積り)① 棚卸資産の評価棚卸資産の評価は、原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)によっております。営業循環過程から外れた滞留又は処分見込等の棚卸資産について、合理的に算定された価額によることが困難であるため、過去の実績から見積った年数及び割合を基に規則的に簿価を切り下げております。実際の正味売却価額が切下げ後の簿価と比べて大きく異なる場合は、棚卸資産の期末残高が過小もしくは過大になるほか、売上原価に影響を及ぼします。 ② 製品保証引当金完了した請負工事に係る瑕疵担保等に備えるため、将来の保証見込額を製品保証引当金として計上しております。見積りには、個別に見積可能なものについては、その見積額を計上しておりますが、多くの請負工事は個別の見積りが困難であるため、主に過去2年間の実績を基礎に見積りを行っております。しかし、想定を上回る重大な瑕疵や事故等の品質問題が発生した場合は、将来の業績が変動します。 ③ 固定資産の減損当社グループは、固定資産の減損の兆候判定、認識及び測定にあたり、将来の事業計画を基礎とした各資産グループの将来キャッシュ・フローの見積りを行っております。その将来キャッシュ・フローの見積りを修正した場合には、評価の結果が変わり、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額等を考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得見込額は業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合や予期しない変化などが生じた場合は、回収可能性の評価の見直しを行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。 ⑤ 退職給付債務及び費用当社グループの退職給付債務及び費用は、死亡率、退職率、昇給率や給与の変更及び割引率等の数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出されています。割引率は、日本の国債の利回りを基に、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用して算出しております。また、長期期待運用収益率については、過去の運用実績と将来収益に対する予測を評価することにより設定しております。これらの前提条件の見積りは合理的であると判断しておりますが、割引率の低下が数理計算上の退職給付債務の増加をもたらす可能性があるなど、主要な前提条件が実際の結果と異なった場合、退職給付債務及び費用が変動し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営方針■ 経営理念・長期経営ビジョン当社グループは1946年の創業以来、長きにわたって水に関わるお客様のさまざまなご要望やそれぞれの時代のニーズに応えてまいりました。昨今これまでにないほど「水」そして「環境」がクローズアップされており、産業の発展に伴う水使用量の増大や環境汚染、地球温暖化、世界規模での飲料水の不足、資源の枯渇などさまざまな課題が顕在化し、その解決が求められています。当社グループは、これまで水で培ってきた技術・サービスを駆使して、産業分野で必要とされる高度な水処理や、社会の基盤となる自然環境の保全と人々の豊かな生活に必要な水の創造など、産業・環境・生活の調和に貢献することが我々の大きな使命であると考えており、以下の経営理念及び長期経営ビジョンを掲げ経営に取り組んでおります。 経営理念オルガノは水で培った先端技術を駆使して未来をつくる産業と社会基盤の発展に貢献するパートナー企業としてあり続けます 長期経営ビジョン■ 付加価値の高い分離精製・分析・製造技術を基に、事業領域と展開地域を拡大し、産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスを絶えず提供します■ 昨日までのやり方を、明日に向けて、今日変える人をつくり、一人ひとりが働きがいと活力に満ちた企業を構築します (2) 経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき課題等① 経営環境ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、米国と中国をめぐる各種の摩擦や中国・台湾の問題など地政学的なリスクの拡大に加え、新型コロナウイルスのような大規模な感染症の拡大、気候変動によるさまざまな影響の深刻化が懸念されるなど、社会・経済の先行きに対する不確実性や予測の困難性が非常に高い環境にあると言えます。これからのオルガノが向かう事業の方向性はこうした変化に沿って考える必要がありますが、水に関わる事業を展開する当社にとって、気候変動や環境保全、水資源の有効活用などSDGsに対する役割を果たすことでサステナブルな社会の実現とともに当社の持続可能な成長を如何に実現するか、社会的な価値の追求によって顧客価値を如何に実現していくか、ということが重要なポイントになると考えています。当社の主要市場である電子産業分野は、微細化や積層化など先端半導体技術の進展や、電気自動車・自動運転技術などの拡大、再生可能エネルギー分野の成長などによって半導体や電子部品などのさらなる市場の拡大が期待されております。加えて、チップの微細化や高性能化に伴って、当社がこれまで水処理で培ってきた分離精製技術を半導体製造に用いられる各種の薬液や溶剤などの高度精製に応用・展開することが期待されるなど、新たな事業分野を拡大するチャンスを秘めた市場と捉えています。加えて、リチウムイオンバッテリーの製造市場や新たな抗体医薬品の市場に向けても当社技術の展開を進めており、こうした活動を通じて気候変動への対応や省エネルギーの実現、ライフサイエンス技術の発展などへの貢献と事業の成長を両立させることが大きな課題であると考えています。また、地域別にみると、これまで日本や韓国・台湾など東アジア地域に集中していた半導体製造が米国や欧州に回帰する動きや、中国に集中していた生産機能を東南アジア地域などに分散する動きが見られるなど、よりグローバルな事業展開が求められております。当社の強みは「現場力とそこで生み出す最適化の力」にあると考えています。その源泉となる納入・生産の現場に目を向けると、建設工事や設備の運転管理・メンテナンスなど現地・現場での作業が不可欠な業務が多く残る中で労働力不足の問題が各所でみられ、設備のリモートでの監視や自動運転などのニーズはますます高まっています。当社においてもセンサーやIoTなどの技術を利用した自動監視システムや、遠隔での設備診断・エンジニアへの指導などのデジタルテクノロジーを活用した技術・サービスの開発を進めておりますが、今後さらなるITインフラの拡充や、設備の保守・点検、消耗品交換などのメンテナンスサービスとデジタル技術を融合させた新たなソリューションサービスの展開などといった取組みを今まで以上に加速させていきます。 ② 経営戦略及び優先的に対処すべき課題等当社グループは、長期経営計画である“ORGANO2030”に基づいて毎年3か年の中期経営計画をローリングして策定しております。“ORGANO2030”では売上高2,000億円、売上高営業利益率15%の達成を業績の目標イメージとして、重点事業や成長地域・成長ドライバー、事業基盤の強化策などの議論を進めるとともに、サステナビリティ目標である「継続的な事業成長の実現」と「事業基盤の構築」の達成に向け、マテリアリティの特定やそれぞれの課題に対する定量的目標の設定を進めております。当連結会計年度においては、国内外での活発な受注環境を背景に、大型プロジェクトの設計・納入対応に向けてグループ内のエンジニアリングリソースの活用やアウトソーシングの拡大を推進いたしました。しかしながら、中長期的な目標達成に向けてはさらなるリソースの拡充や人材の育成が不可欠であり、資材の確保や価格の高騰、米国による対中半導体規制の影響などサプライチェーンに対する課題と合わせ、さらなる対応が必要な状況にあります。また、ソリューションサービスや研究開発においては、設備の運転データなどを活用した新たなソリューションサービスの展開や、次世代超純水システムに向けた技術の開発・高度分析技術の進展など一定の成果が見られたものの、新たな事業の創出に向けてはさらなる強化・拡充が求められております。2025年度を最終年度とする新たな中期経営計画においては、この3年間を当社が新たなステージに移行するための重要な期間と位置付け、事業基盤の強化と事業展開の拡大に取り組んでまいります。具体的には、重点分野として「電子産業」、「薬品事業」、「機能材料」を掲げ、デジタル技術を活用した設計業務の自動化・効率化やキャパシティの拡大など「エンジニアリング体制の強化」、海外でのサービス拡大やデータ活用型のサービス強化など「ソリューションサービスの展開」、高度な分離精製・分析技術の深化や新事業の創出に向けた「研究開発体制の拡充」などの課題への対応、及びサステナビリティ目標の達成に向けて各種施策の実行やパートナー企業との連携強化・投資の拡大などを進めます。最終年度である2025年度における経営目標は売上高1,700億円、営業利益185億円、売上高営業利益率10.9%を目指し、ROEは12%以上を安定的・継続的に達成できる収益構造の構築に取り組んでまいります。なお、当社グループは持続的な企業価値の向上と収益性改善の達成状況を評価するため、ROEと売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。 経営目標区 分第78期第79期第80期第81期2023年3月期(実績)2024年3月期(計画)2025年3月期(計画)2026年3月期(計画)受注高(百万円)173,491150,000160,000170,000売上高(百万円)132,426150,000160,000170,000営業利益(百万円)15,21216,00017,20018,500売上高営業利益率(%)11.510.710.810.9自己資本当期純利益率(ROE)(%)14.512.612.712.6
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営方針■ 経営理念・長期経営ビジョン当社グループは1946年の創業以来、長きにわたって水に関わるお客様のさまざまなご要望やそれぞれの時代のニーズに応えてまいりました。昨今これまでにないほど「水」そして「環境」がクローズアップされており、産業の発展に伴う水使用量の増大や環境汚染、地球温暖化、世界規模での飲料水の不足、資源の枯渇などさまざまな課題が顕在化し、その解決が求められています。当社グループは、これまで水で培ってきた技術・サービスを駆使して、産業分野で必要とされる高度な水処理や、社会の基盤となる自然環境の保全と人々の豊かな生活に必要な水の創造など、産業・環境・生活の調和に貢献することが我々の大きな使命であると考えており、以下の経営理念及び長期経営ビジョンを掲げ経営に取り組んでおります。 経営理念オルガノは水で培った先端技術を駆使して未来をつくる産業と社会基盤の発展に貢献するパートナー企業としてあり続けます 長期経営ビジョン■ 付加価値の高い分離精製・分析・製造技術を基に、事業領域と展開地域を拡大し、産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスを絶えず提供します■ 昨日までのやり方を、明日に向けて、今日変える人をつくり、一人ひとりが働きがいと活力に満ちた企業を構築します (2) 経営戦略、経営環境及び優先的に対処すべき課題等① 経営環境ロシアによるウクライナへの軍事侵攻、米国と中国をめぐる各種の摩擦や中国・台湾の問題など地政学的なリスクの拡大に加え、新型コロナウイルスのような大規模な感染症の拡大、気候変動によるさまざまな影響の深刻化が懸念されるなど、社会・経済の先行きに対する不確実性や予測の困難性が非常に高い環境にあると言えます。これからのオルガノが向かう事業の方向性はこうした変化に沿って考える必要がありますが、水に関わる事業を展開する当社にとって、気候変動や環境保全、水資源の有効活用などSDGsに対する役割を果たすことでサステナブルな社会の実現とともに当社の持続可能な成長を如何に実現するか、社会的な価値の追求によって顧客価値を如何に実現していくか、ということが重要なポイントになると考えています。当社の主要市場である電子産業分野は、微細化や積層化など先端半導体技術の進展や、電気自動車・自動運転技術などの拡大、再生可能エネルギー分野の成長などによって半導体や電子部品などのさらなる市場の拡大が期待されております。加えて、チップの微細化や高性能化に伴って、当社がこれまで水処理で培ってきた分離精製技術を半導体製造に用いられる各種の薬液や溶剤などの高度精製に応用・展開することが期待されるなど、新たな事業分野を拡大するチャンスを秘めた市場と捉えています。加えて、リチウムイオンバッテリーの製造市場や新たな抗体医薬品の市場に向けても当社技術の展開を進めており、こうした活動を通じて気候変動への対応や省エネルギーの実現、ライフサイエンス技術の発展などへの貢献と事業の成長を両立させることが大きな課題であると考えています。また、地域別にみると、これまで日本や韓国・台湾など東アジア地域に集中していた半導体製造が米国や欧州に回帰する動きや、中国に集中していた生産機能を東南アジア地域などに分散する動きが見られるなど、よりグローバルな事業展開が求められております。当社の強みは「現場力とそこで生み出す最適化の力」にあると考えています。その源泉となる納入・生産の現場に目を向けると、建設工事や設備の運転管理・メンテナンスなど現地・現場での作業が不可欠な業務が多く残る中で労働力不足の問題が各所でみられ、設備のリモートでの監視や自動運転などのニーズはますます高まっています。当社においてもセンサーやIoTなどの技術を利用した自動監視システムや、遠隔での設備診断・エンジニアへの指導などのデジタルテクノロジーを活用した技術・サービスの開発を進めておりますが、今後さらなるITインフラの拡充や、設備の保守・点検、消耗品交換などのメンテナンスサービスとデジタル技術を融合させた新たなソリューションサービスの展開などといった取組みを今まで以上に加速させていきます。 ② 経営戦略及び優先的に対処すべき課題等当社グループは、長期経営計画である“ORGANO2030”に基づいて毎年3か年の中期経営計画をローリングして策定しております。“ORGANO2030”では売上高2,000億円、売上高営業利益率15%の達成を業績の目標イメージとして、重点事業や成長地域・成長ドライバー、事業基盤の強化策などの議論を進めるとともに、サステナビリティ目標である「継続的な事業成長の実現」と「事業基盤の構築」の達成に向け、マテリアリティの特定やそれぞれの課題に対する定量的目標の設定を進めております。当連結会計年度においては、国内外での活発な受注環境を背景に、大型プロジェクトの設計・納入対応に向けてグループ内のエンジニアリングリソースの活用やアウトソーシングの拡大を推進いたしました。しかしながら、中長期的な目標達成に向けてはさらなるリソースの拡充や人材の育成が不可欠であり、資材の確保や価格の高騰、米国による対中半導体規制の影響などサプライチェーンに対する課題と合わせ、さらなる対応が必要な状況にあります。また、ソリューションサービスや研究開発においては、設備の運転データなどを活用した新たなソリューションサービスの展開や、次世代超純水システムに向けた技術の開発・高度分析技術の進展など一定の成果が見られたものの、新たな事業の創出に向けてはさらなる強化・拡充が求められております。2025年度を最終年度とする新たな中期経営計画においては、この3年間を当社が新たなステージに移行するための重要な期間と位置付け、事業基盤の強化と事業展開の拡大に取り組んでまいります。具体的には、重点分野として「電子産業」、「薬品事業」、「機能材料」を掲げ、デジタル技術を活用した設計業務の自動化・効率化やキャパシティの拡大など「エンジニアリング体制の強化」、海外でのサービス拡大やデータ活用型のサービス強化など「ソリューションサービスの展開」、高度な分離精製・分析技術の深化や新事業の創出に向けた「研究開発体制の拡充」などの課題への対応、及びサステナビリティ目標の達成に向けて各種施策の実行やパートナー企業との連携強化・投資の拡大などを進めます。最終年度である2025年度における経営目標は売上高1,700億円、営業利益185億円、売上高営業利益率10.9%を目指し、ROEは12%以上を安定的・継続的に達成できる収益構造の構築に取り組んでまいります。なお、当社グループは持続的な企業価値の向上と収益性改善の達成状況を評価するため、ROEと売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。 経営目標区 分第78期第79期第80期第81期2023年3月期(実績)2024年3月期(計画)2025年3月期(計画)2026年3月期(計画)受注高(百万円)173,491150,000160,000170,000売上高(百万円)132,426150,000160,000170,000営業利益(百万円)15,21216,00017,20018,500売上高営業利益率(%)11.510.710.810.9自己資本当期純利益率(ROE)(%)14.512.612.712.6
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要、これらに関する経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 経営成績当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻や米中摩擦など地政学的なリスクの影響が長期化する中、エネルギーや食糧価格などに端を発するインフレーションの進行や、それに伴う各国の金融政策見直しなどの影響で回復のペースが鈍化し、景気の停滞感が色濃くなりつつあります。当社グループの主力市場である電子産業分野においては、メモリなどを中心に半導体市況が悪化したことに加え、米国による対中半導体規制の影響などにより一部の顧客で減産や設備投資を縮小・延期する動きが見られた一方、台湾における最先端半導体向けの大型投資や、日本や中国・マレーシアなどではシリコンウェハーや車載用・パワー半導体などに対する設備投資が活発に推移いたしました。また一般産業分野においてはコロナ禍の影響による大型投資の減少からの回復が見られ、電力・上下水など社会インフラ分野では国内のソリューション事業を中心に堅調に推移いたしました。このような状況の下、当社グループは国内外における大型プロジェクトの受注・納入活動を進めるとともに、各国におけるサプライチェーンや納入体制の整備、エンジニアリング業務の効率化やソリューションサービスの拡大に向けたデジタル化の推進、次世代の超純水システムや分離精製技術の創出に向けた研究開発の拡充、リスク管理などのガバナンス体制やサステナビリティ方針の策定・マテリアリティの特定など経営基盤の強化に向けた取組みを進めてまいりました。この結果、当連結会計年度は受注高173,491百万円(前連結会計年度比27.9%増)、売上高132,426百万円(同18.2%増)、営業利益15,212百万円(同40.2%増)、経常利益16,020百万円(同38.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益11,730百万円(同27.4%増)となり、ROE(自己資本当期純利益率)は14.5%(前連結会計年度は12.9%)となりました。受注高、売上高及び各利益とも前年度の実績及び期初の計画を上回り、いずれも過去最高となる水準を達成いたしました。また、翌年度以降の売上のベースとなる繰越受注残は117,659百万円(同36.2%増)となり、半導体関連の大型プロジェクトなどの受注残を中心に高い水準の残高を確保しております。 区 分第77期2022年3月期第78期(当連結会計年度)2023年3月期前連結会計年度比計画比期初計画実績受注高(百万円)135,698125,000173,491+27.9%+38.8%繰越受注残高(百万円)86,41786,417117,659+36.2%+36.2%売上高(百万円)112,069125,000132,426+18.2%+5.9%営業利益(百万円)10,85011,70015,212+40.2%+30.0%売上高営業利益率(%)9.79.411.5--経常利益(百万円)11,54511,70016,020+38.8%+36.9%親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)9,2108,20011,730+27.4%+43.1%自己資本当期純利益率(ROE)(%)12.910.614.5-- セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。 (水処理エンジニアリング事業) ■受注高受注高は前連結会計年度比31.3%増となる152,422百万円となりました。主力市場である電子産業分野において、国内での半導体プロジェクトや台湾での先端半導体向け投資、国内でのシリコンウェハー向け案件など大型の工事案件を受注したことに加え、中国やマレーシアなどでの車載用やパワー半導体などに対する投資が活発に推移したことなどから受注高は大きく増加いたしました。また一般産業分野においても、製薬や食品、電子産業の周辺分野などで大型の設備投資が回復し受注が拡大しております。電力・上下水など社会インフラ分野においては、国内のソリューション案件などを中心にほぼ前年度並の受注高を確保しております。■売上高売上高は前連結会計年度比20.4%増となる111,601百万円となりました。電子産業分野において一部の案件でスケジュールの見直しや原材料の調達・工事の遅れが影響したものの、全体的には受注案件の工事が概ね順調に進捗し、メンテナンスや改造工事、設備保有・加工受託などのソリューション事業も好調であったことなどから売上が増加いたしました。また一般産業分野においても大型案件の受注回復やソリューション事業の伸長などにより売上が拡大しており、電力・上下水など社会インフラ分野においては国内のソリューション案件などを中心にほぼ前年度並の売上高を確保いたしました。■営業利益営業利益は、前連結会計年度比42.7%増となる12,966百万円となりました。電子産業分野を中心とした売上拡大の効果によって売上総利益が増加したことに加え、大型プロジェクトの利益改善などによって利益率も前年度に比べ改善したことなどから、人件費や外注費などを中心とした販管費の増加を上回り、営業利益は前年度比で増加しております。 (機能商品事業) ■受注高・売上高受注高は前連結会計年度比7.6%増となる21,068百万円、売上高は同7.6%増となる20,824百万円となりました。電子産業分野に向けた各種の水処理薬剤の販売が拡大したことに加え、標準型機器・フィルタ分野ではピューリックμ(ミュー)など小型純水装置の販売が好調に推移いたしました。また食品分野でも食品添加剤などの売上が増加しております。■営業利益営業利益は前連結会計年度比27.4%増となる2,246百万円となりました。各分野における売上拡大の効果に加え、原材料価格の上昇などコスト増に対して値上げなどの価格転嫁が進んだことも影響し、前年度比で営業利益が増加いたしました。 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業127,482+38.4機能商品事業10,522+12.9合計138,005+36.1 (注) 1 上記の金額は販売価格をもって表示しております。2 セグメント間取引については、相殺消去しております。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業152,422+31.3116,323+36.3機能商品事業21,068+7.61,335+23.1合計173,491+27.9117,659+36.2 (注) セグメント間取引については、相殺消去しております。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業111,601+20.4機能商品事業20,824+7.6合計132,426+18.2 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)Taiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.15,47213.8-- 3 当連結会計年度のTaiwan Semiconductor Manufacturing Company, Ltd.については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。 (2) 財政状態(資産)当連結会計年度末における総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ34,348百万円増加し、164,854百万円となりました。流動資産は、主に売上高の増加に伴う売掛金及び契約資産の増加や水処理加工受託用設備の建設に伴う仕掛品の増加などによって前連結会計年度末に比べ33,903百万円増加し、136,765百万円となりました。固定資産は、当連結会計年度から稼働した開発センター新実験棟に関連する設備等の減価償却が進んだ影響で有形及び無形固定資産が減少した一方で、繰延税金資産や持分法適用会社の増益等による投資有価証券の増加などによって投資その他の資産が増加したことで、前連結会計年度末から444百万円増加し、28,088百万円となりました。(負債)当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ23,981百万円増加し、78,483百万円となりました。流動負債は、主に大型の工事案件や水処理加工受託用設備の建設の影響で短期借入金や仕入債務が増加したことで、前連結会計年度末に比べ25,666百万円増加し、68,738百万円となりました。固定負債は、主に長期借入金の返済によって前連結会計年度末から1,685百万円減少し、9,744百万円となりました。なお、当連結会計年度末における借入金合計は前連結会計年度末に比べ17,391百万円増加し、33,019百万円となっております。(純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ10,366百万円増加し、86,371百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等に伴う利益剰余金9,383百万円の増加によるものであります。 セグメントごとの資産は、次のとおりであります。水処理エンジニアリング事業の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ34,049百万円増加し、141,199百万円となりました。これは主に、売掛金及び契約資産、水処理加工受託用設備の建設に伴う仕掛品の増加によるものであります。機能商品事業の資産の残高は、前連結会計年度末に比べ624百万円増加し、18,387百万円となりました。これは主に売掛金などの増加によるものであります。 (3) キャッシュ・フロー(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)当社グループにおける資金の配分方針については、次のとおりであります。成長投資については、新たな中期経営計画において策定した重点分野に対して経営資源を重点的に配分していく方針であります。いずれの重点分野も戦略の実現には研究開発の強化が必須であるため、連結売上高の2.5%を目途に技術研究費を増加させ、重点分野に集中的に資金を配分する方針であります。設備投資についても同様に重点分野へ集中的に資金の配分を行ってまいります。株主還元についても、重要な経営課題の一つとして考えており、安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針とした上で、収益の状況を勘案した利益配分に努めることとしております。また、当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期の運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期の運転資金は金融機関からの長期借入を基本としております。 (キャッシュ・フローの状況)当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,639百万円減少し、当連結会計年度末には15,558百万円となりました。活動ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当社グループは、水処理エンジニアリング事業が売上高の84.3%を占めており、同事業のキャッシュ・フローの状況によってグループ全体のキャッシュ・フローが大きく変動します。中でもプラント事業においては長期にわたる大型プラント建設工事を行っており、それらの工事代金の回収時期、原材料・外注費等の支払時期などによって営業活動によるキャッシュ・フローが大きく増減することがあります。また、設備を自らが設置・所有し、顧客にサービスを提供する水処理加工受託業務においては、設備の製作から資金の回収までが長期にわたるため設備の製作時においては支出が先行する傾向にあります。当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益を16,035百万円計上したものの、売上債権及び契約資産の増加額19,954百万円及び棚卸資産の増加額17,295百万円などにより、営業活動によって支出された資金は18,536百万円となりました(前連結会計年度は10,787百万円の収入)。これは、大型プラント案件の代金回収の時期が翌期に集中していることに加えて、水処理加工受託用設備の建設が進捗していることで支出が先行したためであります。そのため、棚卸資産の増加額17,295百万円には、当該水処理加工受託用設備の建設に係る仕掛品の増加額が約14,500百万円含まれております。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によって支出された資金は、前連結会計年度に比べ210百万円減少し、1,309百万円となりました。設備投資の概要については、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」をご参照ください。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によって支出された資金は、14,706百万円となりました(前連結会計年度は2,586百万円の収入)。営業活動における支出増加により短期借入金が増加しております。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結貸借対照表上の資産、負債の計上額、及び連結損益計算書上の収益、費用の計上額に影響を与える見積り及び仮定を使用しております。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりであります。 (特に重要な会計上の見積り)① 工事契約に係る会計処理水処理エンジニアリングリング事業における大型案件は当社グループの売上高に占める割合が大きく、その収益認識の基礎となる工事原価総額の見積りが業績に与える影響は非常に大きいと認識しており、特に大型の案件では作業内容の特定やその原価の見積りに高い不確実性が伴います。また、工事着手後に生じる資材価格の変動や作業内容の変更などを適時・適切に工事原価へ反映する必要があることに加えて、工事原価総額の見積りは工事損失引当金の金額にも影響することなどから当社は、工事契約に係る会計処理を特に重要な会計上の見積りに該当すると考えております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。 (その他の重要な会計上の見積り)① 棚卸資産の評価棚卸資産の評価は、原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)によっております。営業循環過程から外れた滞留又は処分見込等の棚卸資産について、合理的に算定された価額によることが困難であるため、過去の実績から見積った年数及び割合を基に規則的に簿価を切り下げております。実際の正味売却価額が切下げ後の簿価と比べて大きく異なる場合は、棚卸資産の期末残高が過小もしくは過大になるほか、売上原価に影響を及ぼします。 ② 製品保証引当金完了した請負工事に係る瑕疵担保等に備えるため、将来の保証見込額を製品保証引当金として計上しております。見積りには、個別に見積可能なものについては、その見積額を計上しておりますが、多くの請負工事は個別の見積りが困難であるため、主に過去2年間の実績を基礎に見積りを行っております。しかし、想定を上回る重大な瑕疵や事故等の品質問題が発生した場合は、将来の業績が変動します。 ③ 固定資産の減損当社グループは、固定資産の減損の兆候判定、認識及び測定にあたり、将来の事業計画を基礎とした各資産グループの将来キャッシュ・フローの見積りを行っております。その将来キャッシュ・フローの見積りを修正した場合には、評価の結果が変わり、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額等を考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得見込額は業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合や予期しない変化などが生じた場合は、回収可能性の評価の見直しを行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。 ⑤ 退職給付債務及び費用当社グループの退職給付債務及び費用は、死亡率、退職率、昇給率や給与の変更及び割引率等の数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づき算出されています。割引率は、日本の国債の利回りを基に、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用して算出しております。また、長期期待運用収益率については、過去の運用実績と将来収益に対する予測を評価することにより設定しております。これらの前提条件の見積りは合理的であると判断しておりますが、割引率の低下が数理計算上の退職給付債務の増加をもたらす可能性があるなど、主要な前提条件が実際の結果と異なった場合、退職給付債務及び費用が変動し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営理念当社グループは1946年の創業以来、長きにわたって水に関わるお客様のさまざまなご要望やそれぞれの時代のニーズに応えてまいりました。昨今これまでにないほど「水」そして「環境」がクローズアップされており、産業の発展に伴う水使用量の急激な増大や環境汚染、地球温暖化、世界規模での飲料水の不足、資源の枯渇などさまざまな課題が顕在化し、その解決が求められています。当社グループは、これまで水で培ってきた技術・サービスを駆使して、産業分野で必要とされるより高度な水処理や、社会の基盤となる自然環境の保全と人々の豊かな生活に必要な水の創造など、産業・環境・生活の調和に貢献することが我々の大きな使命であると考えており、以下の経営理念の下経営に取り組んでおります。 <経営理念>オルガノは水で培った先端技術を駆使して未来をつくる産業と社会基盤の発展に貢献するパートナー企業としてあり続けます (2) 中長期的な経営ビジョン当社グループは、経営理念をより具体化するものとして10年後を見据えた長期経営ビジョン、3年後を見据えた中期の経営ビジョンを以下のとおり掲げております。<長期経営ビジョン>■ 付加価値の高い分離精製・分析・製造技術を基に、事業領域と展開地域を拡大し、産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスを絶えず提供します■ 昨日までのやり方を、明日に向けて、今日変える人をつくり、一人ひとりが働きがいと活力に満ちた企業を構築します<中期経営ビジョン>■ 主要アジア経済圏において、電子分野をはじめとする産業に、最適な品質の水を、最も合理的なコストで、最もタイムリーに提供できる、収益力あるエンジニアリング会社■ 独自の分離精製プロセスにより、次世代産業の価値創造を支える事業を創出する会社■ 高付加価値の機能商品を生み出し続け、グローバルに展開する会社 (3) 経営環境及び対処すべき課題等当連結会計年度におきましては、重点分野として「電子産業」「機能商品」「新規事業」に注力するとともに、技術・研究開発への積極的な投資拡大を掲げ各種の取組みを進めた結果、過去最高の受注高・売上高を達成するなど、当初の計画を大きく上回る業績を達成いたしました。特に電子産業分野においては、日本・中国・台湾でそれぞれ大型の半導体案件の受注に成功するとともに、プロジェクトにおける各種の原価低減策やソリューションサービスの拡大などによって収益性にも改善が見られ、機能商品事業における新商品の開発・投入や中国・台湾・東南アジアなど海外での営業展開などと合わせ、業績の改善に大きく貢献いたしました。しかしながら、新規事業の分野においてはリチウムイオン電池向けの精製・回収設備やバイオ医薬向けの連続クロマト装置など、技術開発の面では一定の成果が見られたものの、事業化の面では想定よりも遅れが見られるなど、新たな事業の創出に向けては未だ課題のある状況です。このような状況の下、当社グループは中期経営ビジョンとして「主要アジア経済圏において、電子産業をはじめとする産業に、最適な品質の水を、最も合理的なコストで、最もタイムリーに提供できる、収益力あるエンジニアリング会社」、「独自の分離精製プロセスにより、次世代産業の価値創造を支える事業を創出する会社」、「高付加価値の機能商品を生み出し続け、グローバルに展開する会社」を掲げ、さらなる成長に向けた事業基盤・体制や各種の仕組みづくりに注力してまいります。 具体的には、当連結会計年度に引き続き「電子産業」「機能商品」「新規事業」を重点分野として、中国をはじめとする国内外のソリューション体制の強化による電子産業分野のさらなる拡大、新商品開発や中国・台湾・東南アジアなど海外市場での生産・販売体制の確立による機能商品事業の強化、二次電池や電子材料・バイオ医薬分野への分離・精製技術の展開などによる新規事業の創出に取り組んでまいります。また、この中期経営計画を実行する体制や人材・技術開発等の強化策として、海外人材の活用や海外現地法人の事業体制の拡充、グローバルエンジニアリングセンターの設立などによる海外事業基盤の強化を図るとともに、既存事業におけるコア技術の深化や新規事業に向けた革新技術の創出など、技術の進化と生産性の向上に向けた取組みも進めてまいります。なお、当社グループは持続的な企業価値の向上と収益性改善の達成状況を評価するため、連結ROE(自己資本利益率)と連結売上高営業利益率を重要な指標として位置づけております。当中期経営計画の最終年度である2021年度の経営目標は売上高1,000億円以上、営業利益70億円以上、営業利益率7.0%以上とし、継続的・安定的にROE8.0%以上を計上できる収益構造の構築を目指します。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営理念当社グループは1946年の創業以来、長きにわたって水に関わるお客様のさまざまなご要望やそれぞれの時代のニーズに応えてまいりました。昨今これまでにないほど「水」そして「環境」がクローズアップされており、産業の発展に伴う水使用量の急激な増大や環境汚染、地球温暖化、世界規模での飲料水の不足、資源の枯渇などさまざまな課題が顕在化し、その解決が求められています。当社グループは、これまで水で培ってきた技術・サービスを駆使して、産業分野で必要とされるより高度な水処理や、社会の基盤となる自然環境の保全と人々の豊かな生活に必要な水の創造など、産業・環境・生活の調和に貢献することが我々の大きな使命であると考えており、以下の経営理念の下経営に取り組んでおります。 <経営理念>オルガノは水で培った先端技術を駆使して未来をつくる産業と社会基盤の発展に貢献するパートナー企業としてあり続けます (2) 中長期的な経営ビジョン当社グループは、経営理念をより具体化するものとして10年後を見据えた長期経営ビジョン、3年後を見据えた中期の経営ビジョンを以下のとおり掲げております。<長期経営ビジョン>■ 付加価値の高い分離精製・分析・製造技術を基に、事業領域と展開地域を拡大し、産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスを絶えず提供します■ 昨日までのやり方を、明日に向けて、今日変える人をつくり、一人ひとりが働きがいと活力に満ちた企業を構築します<中期経営ビジョン>■ 主要アジア経済圏において、電子分野をはじめとする産業に、最適な品質の水を、最も合理的なコストで、最もタイムリーに提供できる、収益力あるエンジニアリング会社■ 独自の分離精製プロセスにより、次世代産業の価値創造を支える事業を創出する会社■ 高付加価値の機能商品を生み出し続け、グローバルに展開する会社 (3) 経営環境及び対処すべき課題等当連結会計年度におきましては、重点分野として「電子産業」「機能商品」「新規事業」に注力するとともに、技術・研究開発への積極的な投資拡大を掲げ各種の取組みを進めた結果、過去最高の受注高・売上高を達成するなど、当初の計画を大きく上回る業績を達成いたしました。特に電子産業分野においては、日本・中国・台湾でそれぞれ大型の半導体案件の受注に成功するとともに、プロジェクトにおける各種の原価低減策やソリューションサービスの拡大などによって収益性にも改善が見られ、機能商品事業における新商品の開発・投入や中国・台湾・東南アジアなど海外での営業展開などと合わせ、業績の改善に大きく貢献いたしました。しかしながら、新規事業の分野においてはリチウムイオン電池向けの精製・回収設備やバイオ医薬向けの連続クロマト装置など、技術開発の面では一定の成果が見られたものの、事業化の面では想定よりも遅れが見られるなど、新たな事業の創出に向けては未だ課題のある状況です。このような状況の下、当社グループは中期経営ビジョンとして「主要アジア経済圏において、電子産業をはじめとする産業に、最適な品質の水を、最も合理的なコストで、最もタイムリーに提供できる、収益力あるエンジニアリング会社」、「独自の分離精製プロセスにより、次世代産業の価値創造を支える事業を創出する会社」、「高付加価値の機能商品を生み出し続け、グローバルに展開する会社」を掲げ、さらなる成長に向けた事業基盤・体制や各種の仕組みづくりに注力してまいります。 具体的には、当連結会計年度に引き続き「電子産業」「機能商品」「新規事業」を重点分野として、中国をはじめとする国内外のソリューション体制の強化による電子産業分野のさらなる拡大、新商品開発や中国・台湾・東南アジアなど海外市場での生産・販売体制の確立による機能商品事業の強化、二次電池や電子材料・バイオ医薬分野への分離・精製技術の展開などによる新規事業の創出に取り組んでまいります。また、この中期経営計画を実行する体制や人材・技術開発等の強化策として、海外人材の活用や海外現地法人の事業体制の拡充、グローバルエンジニアリングセンターの設立などによる海外事業基盤の強化を図るとともに、既存事業におけるコア技術の深化や新規事業に向けた革新技術の創出など、技術の進化と生産性の向上に向けた取組みも進めてまいります。なお、当社グループは持続的な企業価値の向上と収益性改善の達成状況を評価するため、連結ROE(自己資本利益率)と連結売上高営業利益率を重要な指標として位置づけております。当中期経営計画の最終年度である2021年度の経営目標は売上高1,000億円以上、営業利益70億円以上、営業利益率7.0%以上とし、継続的・安定的にROE8.0%以上を計上できる収益構造の構築を目指します。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は決算日における資産・負債の数値並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを過去の実績等を勘案し合理的に行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性が存在するためこれら見積りと異なる場合があります。 (2) 経営成績当連結会計年度におけるわが国経済は、年度の前半まで緩やかな成長基調が続いたものの、年度の後半より中国・欧州経済の減速や、これまで成長の牽引役であった米国経済の下振れリスクなどから先行きの不透明感が強まり、2019年3月の月例経済報告で政府の景気基調判断が3年ぶりに下方修正されるなど、年度末にかけて成長鈍化の動きが見られました。当社グループを取り巻く事業環境につきましても、年度の前半までは主要市場である日本・中国・台湾の電子産業分野で活発な設備投資が続いたことに加え、国内の一般産業分野においても、能力増強や省力化に向けた設備投資が堅調に推移するなど好調な状況が続きました。しかしながら、年度の後半から中国・欧州経済の減速や半導体メモリー市況の悪化、米中貿易摩擦に伴う通商政策の影響などから、企業の設備投資や生産の動きに陰りが見られ、特に電子産業分野では大型設備投資に様子見の動きが広がるなど、先行きに対する不透明感が強くなっております。このような状況の下、当社グループは既存事業におけるコスト競争力・生産性向上への取組みと、差別化製品・技術の創出に向けた研究開発への資源投入拡大をドライビングフォースとして、新商品の開発と海外への販路転換による「機能商品事業の強化」、コスト構造の改革とソリューションビジネスの強化、中国市場でのシェア拡大を狙った「電子産業分野の拡大」、水処理技術で培った高度な分離・精製プロセスを二次電池、電子材料・ガス・バイオ医薬などの分野に展開する「新規事業の開拓」を注力分野として取組みを進めてまいりました。 この結果、当連結会計年度における業績は受注高103,838百万円(前連結会計年度比17.9%増)、売上高92,273百万円(同16.5%増)、営業利益6,558百万円(同71.6%増)、経常利益6,538百万円(同66.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,452百万円(同60.2%増)となりました。また、ROE(自己資本利益率)は8.4%(前連結会計年度は5.5%)、売上高営業利益率は7.1%(同4.8%)となっております。 セグメント別の業績は次のとおりであります。 [水処理エンジニアリング事業]当事業におきましては、電力・上下水分野は前期をやや下回る水準で推移したものの、電子産業分野において年度前半まで半導体関連の活発な大型設備投資が見られた日本・中国・台湾のプラント部門の受注・売上が大幅に増加したことに加え、顧客工場の設備稼働率も高い水準を維持したことからメンテナンス・消耗品交換等のソリューションサービス部門も好調に推移いたしました。また、一般産業分野においても国内を中心に堅調な設備投資・生産活動が続き、プラント・ソリューションサービス部門とも受注・売上が拡大いたしました。この結果、受注高85,943百万円(前連結会計年度比21.2%増)、売上高74,653百万円(同20.1%増)となりました。利益面につきましては、売上拡大による増収効果に加え、受注環境の改善や国内外の大型プロジェクトにおける各種の原価低減策などの効果によってプラント部門の採算性が改善した結果、営業利益5,316百万円(同121.2%増)となりました。 [機能商品事業]当事業におきましては、標準型水処理機器部門における新商品の投入や、水処理薬品部門における電子産業向け各種水処理薬剤の売上拡大など国内での伸長に加え、中国・台湾・東南アジアなど海外における標準型水処理機器・水処理薬品の営業活動の強化によって受注・売上ともに増加し、受注高17,894百万円(前連結会計年度比4.3%増)、売上高17,620百万円(同3.3%増)となりました。 一方利益面につきましては、売上高が増加したものの、新商品・新技術への開発投資の拡大や、生産体制・営業体制の強化に伴う経費などの増加によって営業利益1,242百万円(同12.4%減)となりました。 (3) 生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業69,225+21.7機能商品事業7,431+6.4合計76,656+20.0 (注) 1 上記の金額は販売価格をもって表示しております。2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業85,943+21.258,544+22.4機能商品事業17,894+4.3816+50.6合計103,838+17.959,360+22.7 (注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業74,653+20.1機能商品事業17,620+3.3合計92,273+16.5 (注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。 (4) キャッシュ・フロー当社グループのキャッシュ・フローは、水処理エンジニアリング事業の大型案件における工事代金の回収時期等によって大きく増減することがあります。また、必要に応じて金融機関からの借入や有形・無形固定資産等への投資を行っており、それらによってもキャッシュ・フローが大きく増減する場合があります。当連結会計年度は、前連結会計年度を上回る税金等調整前当期純利益6,392百万円(前連結会計年度は3,928百万円)を計上したことに加え、水処理エンジニアリング事業の大型案件における工事代金の回収が進んだことなどにより、営業活動によって得られた資金は、前連結会計年度から5,021百万円増加し5,646百万円となりました。一方で財務活動においては有利子負債の削減が進み、当連結会計年度における資金は、前連結会計年度末に比べ2,623百万円増加し、11,276百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によって得られた資金は、5,646百万円となりました。これは主に、売上債権の増加4,168百万円による資金の減少に対し、税金等調整前当期純利益6,392百万円、仕入債務の増加2,972百万円による資金の増加があったことによるものであります。(前連結会計年度は624百万円の収入)(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によって支出された資金は、153百万円となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入428百万円による資金の増加に対して、有形固定資産の取得による支出473百万円、無形固定資産の取得による支出145百万円による資金の減少があったことによるものであります。(前連結会計年度は1,313百万円の支出)(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によって支出された資金は、2,759百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出1,200百万円、配当金の支払額656百万円による資金の減少があったことによるものであります。(前連結会計年度は2,121百万円の支出) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品・製品等の購入・製造費用や研究開発費を含む販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、主に有形・無形固定資産等への投資であります。当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期の運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期の運転資金は金融機関からの長期借入を基本としております。 (5) 財政状態当社グループの財政状態は、水処理エンジニアリング事業の受注実績や経営成績の変動によって増減し、特に大型案件に関連する資産及び負債の残高が財政状態に重要な影響を与えております。当連結会計年度末における総資産の残高は主に、リース投資資産が償却等によって減少したのに対し、現金及び預金の他、売上高の増加に伴い受取手形及び売掛金が増加したことなどから前連結会計年度に比べ5,221百万円増加し、101,257百万円となりました。 (流動資産)当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ5,747百万円増加し、76,037百万円となりました。これは主に、リース投資資産1,666百万円の減少に対し、現金及び預金2,623百万円、受取手形及び売掛金3,796百万円の増加によるものであります。(固定資産)当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ525百万円減少し、25,220百万円となりました。これは主に、有形固定資産580百万円の減少によるものであります。 (流動負債)当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ2,974百万円増加し、39,930百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金2,822百万円の増加によるものであります。(固定負債)当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ867百万円減少し、6,531百万円となりました。これは主に、長期借入金1,200百万円の減少によるものであります。(純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ3,114百万円増加し、54,795百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等に伴う利益剰余金3,796百万円の増加によるものであります。 なお、セグメント別の資産の状況は次のとおりであります。水処理エンジニアリング事業の資産は、売上債権の他、リース投資資産や仕掛品などを中心として構成されております。機能商品事業の資産は、売上債権の他、商品、製品及び原材料などを中心として構成されております。 (6) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、持続的な企業価値の向上が当社グループに課せられた重要なミッションであると考えており、連結ROE(自己資本利益率)を重要な指標として位置付けております。ROEの向上に向けては収益性を向上させる必要があると分析しており、ROEと同様に連結売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。具体的には、2021年度の売上高1,000億円以上、営業利益70億円以上、営業利益率7.0%以上とし、継続的・安定的にROE8.0%以上を計上できる収益構造の構築を目指しております。当連結会計年度におけるROEは8.4%(前連結会計年度は5.5%)、売上高営業利益率は7.1%(同4.8%)でありました。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営理念当社グループは昭和21年の創業以来、長きにわたって水に関わるお客様のさまざまなご要望やそれぞれの時代のニーズに応えてまいりました。昨今これまでにないほど「水」そして「環境」がクローズアップされており、産業の発展に伴う水使用量の急激な増大や環境汚染、地球温暖化、世界規模での飲料水の不足、資源の枯渇などさまざまな課題が顕在化し、その解決が求められています。当社グループは、これまで水で培ってきた技術・サービスを駆使して、産業分野で必要とされるより高度な水処理や、社会の基盤となる自然環境の保全と人々の豊かな生活に必要な水の創造など、産業・環境・生活の調和に貢献することが我々の大きな使命であると考えており、以下の経営理念の下経営に取り組んでおります。 <経営理念>オルガノは水で培った先端技術を駆使して未来をつくる産業と社会基盤の発展に貢献するパートナー企業としてあり続けます (2) 中長期的な経営ビジョン当社グループは、経営理念をより具体化するものとして10年後を見据えた長期経営ビジョン、3年後を見据えた中期の経営ビジョンを以下のとおり掲げております。<長期経営ビジョン>■ 付加価値の高い分離精製・分析・製造技術を基に、事業領域と展開地域を拡大し、産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスを絶えず提供します■ 昨日までのやり方を、明日に向けて、今日変える人をつくり、一人ひとりが働きがいと活力に満ちた企業を構築します<中期経営ビジョン>■ 主要アジア経済圏において、電子分野をはじめとする産業に、最適な品質の水を、最も合理的なコストで、最もタイムリーに提供できる、収益力あるエンジニアリング会社■ 独自の分離精製プロセスにより、次世代産業の価値創造を支える事業を創出する会社■ 高付加価値の機能商品を生み出し続け、グローバルに展開する会社 (3) 経営環境及び対処すべき課題等前連結会計年度に策定した中期経営計画におきましては、機能商品分野・電子産業分野・電力分野を重点分野として注力するとともに、新たな市場・事業の創出を目指した研究開発等の積極的な推進を掲げ、各種の取組みを進めてまいりました。この結果、当初の計画を上回る水準の業績を達成し、特に機能商品分野・電子産業分野においては、標準型機器の新商品の上市や水処理薬品の海外展開、中国市場における大型の半導体工場案件の受注など一定の成果を挙げることができました。しかしながら、電力分野においては国内の原子力発電所再稼動の停滞に加え、新規の設備投資を期待した東南アジア地域の石炭火力発電所の建設計画も「脱炭素」の流れの中で計画の中止・延期が懸念されるなど厳しい事業環境が続いております。また、新事業として取組みを進めているリチウムイオン電池向けの精製・回収設備についても事業化の遅れが見られるなど、将来の事業展開に向けた成果には未だ課題のある状況です。このような状況の下、当社グループは「分離精製・分析・製造技術を基にした事業領域と展開地域の拡大」と「産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスの提供」を長期的な経営ビジョンとして掲げ、技術開発・研究開発への積極的な投資をドライビングフォースとして、新商品の開発と海外展開の拡大による「機能商品事業の強化」、コスト構造の改革と中国市場でのシェア拡大、ソリューションビジネスの強化による「電子産業分野の拡大」、独自の分離精製プロセスを二次電池・電子材料・ガス・バイオ医薬などの分野に展開する「新事業分野の開拓」を新たな中期経営計画の柱として取組みを進めていくことといたします。また、この中期経営計画を遂行するための施策を実行するに当たり、経営基盤の強化策として、施策の担い手となる人財の育成や柔軟な活用、組織体制整備・最適化、生産性の向上を目指した情報システムの革新、労働災害の撲滅に取り組んでまいります。なお、持続的な企業価値の向上と収益性の改善の達成状況を判断するため、連結ROE(自己資本利益率)と連結売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。具体的には、平成32年度までにROE・売上高営業利益率5%以上を安定的に達成できる収益構造を確立し、平成32年度の売上高900億円、営業利益50億円の達成を目指すとともに、将来的にはROE8%以上の達成を目指してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営理念当社グループは昭和21年の創業以来、長きにわたって水に関わるお客様のさまざまなご要望やそれぞれの時代のニーズに応えてまいりました。昨今これまでにないほど「水」そして「環境」がクローズアップされており、産業の発展に伴う水使用量の急激な増大や環境汚染、地球温暖化、世界規模での飲料水の不足、資源の枯渇などさまざまな課題が顕在化し、その解決が求められています。当社グループは、これまで水で培ってきた技術・サービスを駆使して、産業分野で必要とされるより高度な水処理や、社会の基盤となる自然環境の保全と人々の豊かな生活に必要な水の創造など、産業・環境・生活の調和に貢献することが我々の大きな使命であると考えており、以下の経営理念の下経営に取り組んでおります。 <経営理念>オルガノは水で培った先端技術を駆使して未来をつくる産業と社会基盤の発展に貢献するパートナー企業としてあり続けます (2) 中長期的な経営ビジョン当社グループは、経営理念をより具体化するものとして10年後を見据えた長期経営ビジョン、3年後を見据えた中期の経営ビジョンを以下のとおり掲げております。<長期経営ビジョン>■ 付加価値の高い分離精製・分析・製造技術を基に、事業領域と展開地域を拡大し、産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスを絶えず提供します■ 昨日までのやり方を、明日に向けて、今日変える人をつくり、一人ひとりが働きがいと活力に満ちた企業を構築します<中期経営ビジョン>■ 主要アジア経済圏において、電子分野をはじめとする産業に、最適な品質の水を、最も合理的なコストで、最もタイムリーに提供できる、収益力あるエンジニアリング会社■ 独自の分離精製プロセスにより、次世代産業の価値創造を支える事業を創出する会社■ 高付加価値の機能商品を生み出し続け、グローバルに展開する会社 (3) 経営環境及び対処すべき課題等前連結会計年度に策定した中期経営計画におきましては、機能商品分野・電子産業分野・電力分野を重点分野として注力するとともに、新たな市場・事業の創出を目指した研究開発等の積極的な推進を掲げ、各種の取組みを進めてまいりました。この結果、当初の計画を上回る水準の業績を達成し、特に機能商品分野・電子産業分野においては、標準型機器の新商品の上市や水処理薬品の海外展開、中国市場における大型の半導体工場案件の受注など一定の成果を挙げることができました。しかしながら、電力分野においては国内の原子力発電所再稼動の停滞に加え、新規の設備投資を期待した東南アジア地域の石炭火力発電所の建設計画も「脱炭素」の流れの中で計画の中止・延期が懸念されるなど厳しい事業環境が続いております。また、新事業として取組みを進めているリチウムイオン電池向けの精製・回収設備についても事業化の遅れが見られるなど、将来の事業展開に向けた成果には未だ課題のある状況です。このような状況の下、当社グループは「分離精製・分析・製造技術を基にした事業領域と展開地域の拡大」と「産業と社会の価値創造と課題解決を推進する製品・サービスの提供」を長期的な経営ビジョンとして掲げ、技術開発・研究開発への積極的な投資をドライビングフォースとして、新商品の開発と海外展開の拡大による「機能商品事業の強化」、コスト構造の改革と中国市場でのシェア拡大、ソリューションビジネスの強化による「電子産業分野の拡大」、独自の分離精製プロセスを二次電池・電子材料・ガス・バイオ医薬などの分野に展開する「新事業分野の開拓」を新たな中期経営計画の柱として取組みを進めていくことといたします。また、この中期経営計画を遂行するための施策を実行するに当たり、経営基盤の強化策として、施策の担い手となる人財の育成や柔軟な活用、組織体制整備・最適化、生産性の向上を目指した情報システムの革新、労働災害の撲滅に取り組んでまいります。なお、持続的な企業価値の向上と収益性の改善の達成状況を判断するため、連結ROE(自己資本利益率)と連結売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。具体的には、平成32年度までにROE・売上高営業利益率5%以上を安定的に達成できる収益構造を確立し、平成32年度の売上高900億円、営業利益50億円の達成を目指すとともに、将来的にはROE8%以上の達成を目指してまいります。
MD&A(経営者による分析)
3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は決算日における資産・負債の数値並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを過去の実績等を勘案し合理的に行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性が存在するためこれら見積りと異なる場合があります。 (2) 経営成績当連結会計年度における世界経済は、世界貿易量の伸びが実質経済成長率の伸びを上回り、IMFが2018~2019年の世界経済成長率予測を上方修正するなど、景況感が大きく改善する中で推移いたしました。また、国内経済においても好調な輸出や設備投資などを背景に実質GDPの成長率が8四半期連続でプラスとなるなど、緩やかな成長が継続いたしました。当社グループを取り巻く事業環境は、電力・上下水分野及び東南アジア地域においてやや勢いを欠く状況が続いたものの、全般的には製造業を中心とした企業部門の生産活動や設備投資の堅調な動向を受けて概ね好調に推移いたしました。特に電子産業分野においては、好調なIoT投資やデータセンターなどに向けた半導体・電子部品等の需要拡大を背景に、国内及び中国で大規模な設備投資が相次ぐなど、引き続き活発な状況で推移しております。このような状況の下、当社グループは「電子産業」「機能商品」「電力」の各分野における事業拡大と、水以外の各種溶剤や電子材料、ガス等の分離・精製・回収など新たな事業分野への展開を目指した技術の確立に向け、中国・台湾・東南アジアなど海外における受注・納入体制の強化や新商品・新技術開発に向けた研究開発投資の拡大などに取り組んでまいりました。この結果、当連結会計年度の当社グループの業績は、受注高88,049百万円(前連結会計年度比18.9%増)、売上高79,226百万円(同2.3%減)、営業利益3,821百万円(同7.1%減)、経常利益3,933百万円(同5.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2,780百万円(同1.8%増)となりました。また、ROE(自己資本利益率)は5.5%(前連結会計年度は5.7%)、売上高営業利益率は4.8%(同5.1%)となっております。 セグメント別の業績は次のとおりであります。[水処理エンジニアリング事業]当事業におきましては、電子産業分野において、国内・中国で半導体・電子部品等の設備投資が活発に推移したことから大型案件の受注が続き、大幅に受注高が増加いたしました。売上高につきましては、前連結会計年度まで大型案件の売上が続いた台湾において大型投資に一服感が見られた影響で減少しておりますが、国内・中国での大型案件の売上やメンテナンス・消耗品交換等のソリューションサービスの売上が拡大したことから増加いたしました。一般産業分野においては、老朽化設備の更新や合理化・省力化投資を中心に設備投資が堅調に推移し、受注高は増加いたしましたが、大型案件の売上を計上した前連結会計年度と比較して売上高は減少いたしました。電力・上下水分野においては、国内の設備投資に勢いを欠く中、東南アジア地域での石炭火力発電所計画に延期が見られるなど厳しい状況が続き、受注高・売上高ともに減少いたしました。一方利益面につきましては、売上高が減少する中、国内外のプラント案件において取り組んだ各種の原価低減策などによって利益率が改善し、売上総利益が増加したものの、新技術の開発に向けた研究開発投資の拡大や営業・技術・納入体制の強化等によって販売費及び一般管理費が増加し、営業利益は減少いたしました。この結果、受注高70,889百万円(前連結会計年度比23.0%増)、売上高62,164百万円(同3.9%減)、営業利益2,403百万円(同4.0%減)となりました。 [機能商品事業]当事業におきましては、新たに上市した卓上型の超純水・純水装置ピューリック・ピュアライトαシリーズが好調に推移した標準型水処理機器分野、またRO膜処理剤や排水処理薬剤などの海外展開や国内の電子産業・一般産業向けの販売が伸長した水処理薬品分野の受注・売上が拡大いたしました。一方利益面につきましては、売上の拡大によって売上総利益が増加したものの、新商品の開発に向けた研究開発投資の拡大や販売体制の強化等によって販売費及び一般管理費が増加し、営業利益は減少いたしました。この結果、受注高17,160百万円(前連結会計年度比4.5%増)、売上高17,061百万円(同3.9%増)、営業利益1,418百万円(同11.9%減)となりました。 (3) 生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業56,878△6.5機能商品事業6,9833.0合計63,862△5.5 (注) 1 上記の金額は販売価格をもって表示しております。2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業70,88923.047,83523.2機能商品事業17,1604.554122.3合計88,04918.948,37723.2 (注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)水処理エンジニアリング事業62,164△3.9機能商品事業17,0613.9合計79,226△2.3 (注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。 (4) キャッシュ・フロー当社グループのキャッシュ・フローは、水処理エンジニアリング事業の大型案件における工事代金の回収時期等によって大きく増減することがあります。また、必要に応じて金融機関からの借入や有形・無形固定資産等への投資を行っており、それらによってもキャッシュ・フローが大きく増減する場合があります。当連結会計年度は、前連結会計年度並みの税金等調整前当期純利益3,928百万円(前連結会計年度は4,000百万円)を計上したものの、主に水処理エンジニアリング事業の大型案件における収益認識と工事代金の回収のタイミングのズレにより、営業活動によって得られた現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度から5,985百万円減少し624百万円となりました。営業活動によって得られた資金が少なかったことに加え、投資活動及び財務活動によって資金が支出されたため、当連結会計年度における資金は、前連結会計年度末に比べ2,687百万円減少し、8,652百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によって得られた資金は、624百万円となりました。これは主に、売上債権の増加3,199百万円による資金の減少に対し、税金等調整前当期純利益3,928百万円、リース投資資産の減少1,598百万円による資金の増加があったことによるものであります。(前連結会計年度は6,610百万円の収入)(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によって支出された資金は、1,313百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出837百万円及び無形固定資産の取得による支出309百万円によるものであります。(前連結会計年度は1,312百万円の支出)(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によって支出された資金は、2,121百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出1,200百万円、配当金の支払額633百万円による資金の減少があったことによるものであります。(前連結会計年度は994百万円の支出) 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品・製品等の購入・製造費用や研究開発費を含む販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要は、主に有形・無形固定資産等への投資であります。当社グループは事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期の運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入、設備投資や長期の運転資金は金融機関からの長期借入を基本としております。 (5) 財政状態当社グループの財政状態は、水処理エンジニアリング事業の受注実績や経営成績の変動によって増減し、特に大型案件に関連する資産及び負債の残高が財政状態に重要な影響を与えております。当連結会計年度末における総資産の残高は主に、現金及び預金の他、リース投資資産が償却によって減少したのに対し、大型案件の売上債権の回収時期の影響等によって受取手形及び売掛金が増加したことや、受注残高の増加に伴う仕掛品の増加などから前連結会計年度に比べ646百万円増加し、96,052百万円となりました。 (流動資産)当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ387百万円増加し、70,993百万円となりました。これは主に、現金及び預金2,687百万円、リース投資資産1,594百万円の減少に対し、受取手形及び売掛金3,502百万円、仕掛品を中心としたたな卸資産698百万円の増加によるものであります。(固定資産)当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ258百万円増加し、25,058百万円となりました。これは主に、無形固定資産168百万円、投資有価証券195百万円の増加によるものであります。 (流動負債)当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ677百万円減少し、36,963百万円となりました。これは主に、前受金670百万円の増加に対し、支払手形及び買掛金614百万円、未払消費税等のその他流動負債618百万円の減少によるものであります。(固定負債)当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べ1,322百万円減少し、7,407百万円となりました。これは主に、長期借入金1,200百万円の減少によるものであります。(純資産)当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ2,646百万円増加し、51,681百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等に伴う利益剰余金2,146百万円の増加によるものであります。 なお、セグメント別の資産の状況は次のとおりであります。水処理エンジニアリング事業の資産は、売上債権の他、リース投資資産や仕掛品などを中心として構成されております。機能商品事業の資産は、売上債権の他、商品、製品及び原材料などを中心として構成されております。 (6) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、持続的な企業価値の向上が当社グループに課せられた重要なミッションであると考えており、連結ROE(自己資本利益率)を重要な指標として位置付けております。ROEの向上に向けては収益性を改善する必要があると分析しており、ROEと同様に連結売上高営業利益率を重要な指標として位置付けております。具体的には、平成32年度までにROE・売上高営業利益率5%以上を安定的に達成できる収益構造を確立し、平成32年度の売上高900億円、営業利益50億円の達成を目指すとともに、将来的にはROE8%以上の達成を目指しております。当連結会計年度におけるROEは5.5%(前連結会計年度は5.7%)、売上高営業利益率は4.8%(同5.1%)であり、5%以上を安定的に達成できる収益構造の確立には、まだ道半ばの状況です。当社グループは収益性を改善するため、機能商品事業の強化、コスト構造の改革、ソリューションビジネスの強化などの取組みを進め、目標の達成を目指してまいります。
経営方針・経営戦略
3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 会社経営の基本的な方針当社グループは「Ecologically Clean」を企業コンセプトに「かけがえのない地球の未来を見つめ“心”と“技”で水の価値を創造する」ことを企業理念として掲げ、産業と人と自然の調和に貢献する企業を目指しております。当社グループの経営理念は、以下のとおりであります。・地球を大切にする経営・お客様を大切にする経営・人を大切にする経営・技術を大切にする経営・株主を大切にする経営 (2) 中長期的な経営ビジョン当社グループは、常に3年先を見通した事業運営を継続するため、終了年度を固定せず毎年ローリングする中期経営計画に取り組んでおります。新たな中期経営計画では、これまでの経営ビジョンに、中長期的な成長の礎を築くことを目的として新しい事業創出を目指すビジョンを加え、以下の2つを経営ビジョンといたしました。 ・主要アジア経済圏において、産業が求める品質の水を、最も合理的なコストで、最もタイムリーに提供できる、収益力あるエンジニアリング会社。・非水溶媒、ガス体の分離、精製、回収に関わる独自性ある技術と事業を常に創出・展開する会社。 (3) 経営環境及び対処すべき課題等当連結会計年度は、当社が強みを持ち中期経営計画の重点分野とした「電子」「電力」「機能商品事業」において当社グループの利益の多くを創出しました。 今後は、IoT関連産業の拡大による半導体需要の伸長とともに、高精細化、新素材等の技術革新が進展し、水だけでなく高純度のガスの必要性がより大きくなるとみられます。また、電気自動車の普及によってリチウムイオン電池等の二次電池の市場が今後さらに拡大し、それに伴って製品に含まれる有価物の精製・回収・再利用ニーズ等も高まると予想されます。 収益性の高い企業グループに成長してゆくために、既存の強い事業を中心とした戦略の実行に加え、これまで水処理分野で培ってきた技術と経験を活かし、水以外の液体、さらにはガスの分離・精製など新たな事業分野への展開を検討してまいります。また既存事業のコスト競争力の強化、収益性を重視した案件の発掘や事業体制の見直し・再構築による収益力向上、差別化技術や製品の改良・深化に注力するとともに、新規事業探索や研究開発に従前以上の経営資源を投入してまいります。 当連結会計年度に策定した中期経営計画では、平成30年度までに連結ROE(自己資本当期純利益率)を安定的に5%以上、それを実現するために連結売上高営業利益率5%以上を安定的に達成できる収益構造とすることを目標経営指標といたしました。当連結会計年度は目標経営指標を達成いたしましたが、安定した収益基盤が構築できたとは言えない状況です。平成29、30年度はより意欲的な研究開発、新規事業創出への経営資源投入を行うことにより力を蓄える期間と定め、平成31年度以降に安定的に連結ROE・連結売上高営業利益率5%を達成できる収益構造の確立を目指します。平成31年度の連結での売上高、営業利益目標はそれぞれ86,000百万円、4,300百万円といたします。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
対処すべき課題
3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 会社経営の基本的な方針当社グループは「Ecologically Clean」を企業コンセプトに「かけがえのない地球の未来を見つめ“心”と“技”で水の価値を創造する」ことを企業理念として掲げ、産業と人と自然の調和に貢献する企業を目指しております。当社グループの経営理念は、以下のとおりであります。・地球を大切にする経営・お客様を大切にする経営・人を大切にする経営・技術を大切にする経営・株主を大切にする経営 (2) 中長期的な経営ビジョン当社グループは、常に3年先を見通した事業運営を継続するため、終了年度を固定せず毎年ローリングする中期経営計画に取り組んでおります。新たな中期経営計画では、これまでの経営ビジョンに、中長期的な成長の礎を築くことを目的として新しい事業創出を目指すビジョンを加え、以下の2つを経営ビジョンといたしました。 ・主要アジア経済圏において、産業が求める品質の水を、最も合理的なコストで、最もタイムリーに提供できる、収益力あるエンジニアリング会社。・非水溶媒、ガス体の分離、精製、回収に関わる独自性ある技術と事業を常に創出・展開する会社。 (3) 経営環境及び対処すべき課題等当連結会計年度は、当社が強みを持ち中期経営計画の重点分野とした「電子」「電力」「機能商品事業」において当社グループの利益の多くを創出しました。 今後は、IoT関連産業の拡大による半導体需要の伸長とともに、高精細化、新素材等の技術革新が進展し、水だけでなく高純度のガスの必要性がより大きくなるとみられます。また、電気自動車の普及によってリチウムイオン電池等の二次電池の市場が今後さらに拡大し、それに伴って製品に含まれる有価物の精製・回収・再利用ニーズ等も高まると予想されます。 収益性の高い企業グループに成長してゆくために、既存の強い事業を中心とした戦略の実行に加え、これまで水処理分野で培ってきた技術と経験を活かし、水以外の液体、さらにはガスの分離・精製など新たな事業分野への展開を検討してまいります。また既存事業のコスト競争力の強化、収益性を重視した案件の発掘や事業体制の見直し・再構築による収益力向上、差別化技術や製品の改良・深化に注力するとともに、新規事業探索や研究開発に従前以上の経営資源を投入してまいります。 当連結会計年度に策定した中期経営計画では、平成30年度までに連結ROE(自己資本当期純利益率)を安定的に5%以上、それを実現するために連結売上高営業利益率5%以上を安定的に達成できる収益構造とすることを目標経営指標といたしました。当連結会計年度は目標経営指標を達成いたしましたが、安定した収益基盤が構築できたとは言えない状況です。平成29、30年度はより意欲的な研究開発、新規事業創出への経営資源投入を行うことにより力を蓄える期間と定め、平成31年度以降に安定的に連結ROE・連結売上高営業利益率5%を達成できる収益構造の確立を目指します。平成31年度の連結での売上高、営業利益目標はそれぞれ86,000百万円、4,300百万円といたします。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。