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日本精工(6471)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

機械 機械

事業の概要

  • 主要事業は軸受と精密機器
    日本精工は、自動車や産業機械に使われる「軸受(ベアリング)」という部品の製造・販売が主な事業です。軸受は機械の回転をスムーズにするための重要な部品で、自動車の車輪やエンジンのほか、工場の生産設備など幅広い分野で使われています。また、精密な動きを制御する「ボールねじ」や「リニアガイド」といった精密機器関連製品も手掛けています。
  • グローバルな製造・販売網
    日本精工は、日本だけでなく、米州、欧州、中国、アセアン・オセアニアなど世界各地に製造・販売拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。これにより、各地域の顧客ニーズに合わせた製品供給やサービス提供を可能にし、安定した収益基盤を築いています。
  • 多岐にわたる製品群
    自動車向けにはハブユニット軸受や自動変速機用部品、産業機械向けには玉軸受、円すいころ軸受、状態監視システムなど、多種多様な製品を提供しています。これらの製品は、それぞれの用途で高い性能と信頼性が求められ、同社の技術力が活かされています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 産業機械事業
    この事業では、一般産業向けの軸受(ベアリング)や、精密な動きを制御する精密機器関連製品(ボールねじ、リニアガイド、XYテーブル、メガトルクモータなど)を製造・販売しています。工場の生産設備、ロボット、医療機器など、幅広い産業分野で使われる基幹部品を提供しており、状態監視システムなども手掛けています。
  • 自動車事業
    自動車および自動車部品メーカー向けに、ハブユニット軸受、ニードル軸受、円すいころ軸受、自動変速機用部品などを製造・販売しています。自動車の電動化の進展に対応した製品開発にも注力しており、自動車の安全性や燃費向上に貢献する重要な部品を提供しています。
  • その他事業
    上記の主要事業以外に、鋼球や機械設備などの製造・販売も行っています。これらの製品は、同社の主要製品の製造プロセスを支える基盤となったり、関連する技術を活用して展開されたりするものです。連結子会社や持分法適用会社がそれぞれの役割を担い、事業全体を構成しています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|1,598 文字
3 【事業の内容】当社及び当社の関係会社(当社、子会社94社(うち連結子会社90社)及び関連会社18社(2026年3月31日現在)により構成)におきましては、産業機械事業、自動車事業、ステアリング事業等を行っています。産業機械事業については、一般産業向けの軸受、精密機器関連製品及び状態監視システム等の製造・販売を行っています。自動車事業については、自動車及び自動車部品メーカー向けの軸受、自動変速機用部品等の製造・販売を行っています。ステアリング事業については、自動車メーカー向けのステアリング等の製造・販売を行っています。 (ステアリング事業) 2025年9月1日に、JISが保有する当社の持分法適用関連会社であるNS&Cの全株式を取得したため、NS&C及び同社の子会社であるNSKステアリングシステムズ株式会社、NSKステアリングシステムズ・アメリカ社、NSKステアリングシステムズ・フランス社、NSKステアリングシステムズ・ポーランド社、NSKオートモーティブ・コンポーネンツ中国社、NSKステアリングシステムズ杭州社、その他6社は、当社の連結子会社となりました。 ステアリング事業以外の事業に係る主要な関係会社の異動はありません。 なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等] [連結財務諸表注記]4.セグメント情報」に記載のとおりです。 各事業における主要製品、当社及び関係会社の位置付け等は次のとおりです。 事業主要製品主要製造会社主要販売会社 産業機械 玉軸受 円筒ころ軸受 円すいころ軸受 自動調心ころ軸受 精密軸受 ボールねじ リニアガイド メガトルクモータ XYテーブル 状態監視システム等 ※ 日本精工㈱NSKマイクロプレシジョン㈱日本精工九州㈱井上軸受工業㈱NSKコーポレーション社NSKプレシジョン・アメリカ社NSKブラジル社NSKベアリング・ヨーロッパ社BKVドイツ社NSKベアリング・ポーランド社NSK合肥社NSK韓国社 日本精工㈱ NSKコーポレーション社 NSKプレシジョン・アメリカ社 NSKベアリング・メキシコ社 NSKブラジル社 NSK UK社 NSKドイツ社 BKVドイツ社 NSKフランス社 NSK中国社NSKインドネシア社NSKベアリング・マニュファク チュアリング(タイ)社 NSKベアリング・インド社 NSK韓国社 自動車 ハブユニット軸受 ニードル軸受 円筒ころ軸受 円すいころ軸受 玉軸受 ボールねじ 自動変速機用部品等 ※ 日本精工㈱NSKワーナー㈱NSKコーポレーション社NSKベアリング・ヨーロッパ社NSK昆山社NSK常熟社NSKベアリング・マニュファク チュアリング(タイ)社NSKベアリング・インド社NSK韓国社 ステアリング ステアリング 電動パワーステアリング等 NSKステアリングシステムズ㈱NSKステアリングシステムズ・ アメリカ社NSKステアリングシステムズ・ ポーランド社NSKステアリングシステムズ杭州社 NSKステアリング&コントロール㈱NSKステアリングシステムズ・ アメリカ社NSKステアリングシステムズ・ フランス社NSKオートモーティブ・ コンポーネンツ中国社 その他 鋼球、機械設備等 ㈱天辻鋼球製作所NSKマシナリー㈱ - ※ 持分法適用会社であり、当社及び持分法適用会社以外は連結子会社です。 以上の事業の概略を系統図によって示すと、次のとおりです。 なお、米州、欧州、中国及びアセアン・オセアニアにおきましては、NSKアメリカズ社、NSKヨーロッパ社、NSK中国社及びNSKインターナショナル(シンガポール)社が、それぞれの地域の関係会社の統括を行っています。 ※ 持分法適用会社であり、当社及び持分法適用会社以外は連結子会社です。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
高機能・新機能製品をタイムリーに市場へ供給する技術力があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
トライボロジー、材料、解析、メカトロ、生産技術といったコアテクノロジーを駆使している。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:技術革新に伴う市場変化や顧客要求への開発遅延 / 自然災害・パンデミック等へのBCP対応不備 / 重大な品質問題の発生リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

日本精工は長年の歴史と技術蓄積を持つが、特許やブランド力は競合他社と比較して突出しているとは言えない。特定のニッチ分野での技術的優位性は存在するものの、広範な無形資産としての強みは限定的。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

ベアリングは自動車、産業機械など幅広い分野で使用され、一度採用されると仕様変更やサプライヤー変更には多大なコスト(設計変更、テスト、認証等)がかかる。特に、性能要求の高い分野ではスイッチング・コストが高い。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ベアリング事業は直接的なネットワーク効果を生むビジネスモデルではない。プラットフォーム型サービスとは異なり、ユーザーが増えることで製品自体の価値が向上するわけではない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

生産効率の向上やグローバルな調達網の構築によりコスト競争力を維持しているが、SKFやNTNなどの競合も同様の取り組みを行っており、圧倒的なコスト優位を確立しているとは言えない。一部の汎用品では価格競争に晒される。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

ベアリング業界は、SKF、NTN、NSK、Timkenなど、少数のグローバル企業が市場を寡占している。日本精工は世界有数のベアリングメーカーであり、その生産規模と販売網は、新規参入や小規模メーカーに対する強力な参入障壁となっている。

  • 世界をリードする技術力
    日本精工は、軸受や精密機器の分野で長年にわたり培ってきた高い技術力を有しています。特に、摩擦を低減する「トライボロジー」技術とデジタル技術を融合させることで、製品の性能向上や新たな価値創造を目指しており、これが競争優位の源泉となっています。
  • 強固な顧客基盤とグローバル展開
    自動車メーカーや産業機械メーカーといった幅広い顧客に対し、世界各地の拠点を通じて製品を供給しています。これにより、特定の地域や産業に依存しすぎない安定した事業運営が可能となり、グローバルな市場での高いシェアを維持しています。
  • 品質と信頼性へのこだわり
    同社は「安全・品質・環境・コンプライアンス」を経営の最優先事項として掲げ、高品質な製品を提供することで顧客からの信頼を得ています。特に、自動車部品においては、わずかな不具合も許されないため、厳格な品質管理体制が強みとなっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 持続可能な社会への貢献と企業価値向上
    日本精工は、「MOTION & CONTROL™を通じ、円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざす」という企業理念のもと、技術・製品・サービスを通じて社会から必要とされ、信頼され、選ばれ続ける企業を目指しています。これにより、長期的な企業価値の向上を図ります。
  • 『中期経営計画2026』に基づく事業基盤強化
    2022年度から2026年度までの5年間を対象とする中期経営計画を策定し、「収益を伴う成長」「経営資源の強化」「ESG経営」の3つの経営課題に取り組んでいます。具体的には、軸受・精機製品の競争力強化、自動車の電動化対応、アフターマーケット事業の拡大、生産拠点の再編などを進めます。
  • デジタル活用とESG経営の推進
    品質・技術・業務オペレーションのデジタル化を進め、生産性の向上と安全で環境に優しい工場を実現します。また、CO2排出量削減目標の達成や環境貢献型製品の開発、多様な人材の育成、ガバナンス強化など、ESG(環境・社会・ガバナンス)の視点を取り入れた経営を推進し、持続的な成長を目指します。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、「MOTION & CONTROL™を通じ、円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強める」という企業理念のもと、 ①世界をリードする技術力によって、顧客に積極的提案を行う ②社員一人ひとりの個性と可能性を尊重する ③柔軟で活力のある企業風土で時代を先取りする ④社員は地域に対する使命感をもとに行動する ⑤グローバル経営をめざすという経営姿勢により社会に貢献する企業を目指していきます。 (2) 経営環境及び対処すべき課題等当社グループを取り巻く事業環境は、世界的なインフレの継続、欧州や中国の経済回復の遅れに加え、米国の追加関税政策、中国のレアアース輸出規制及び中東情勢、それらに対する各国の経済政策や顧客・取引先の生産計画の変更などの影響により、先行きは未だ不透明な状況にあります。自動車産業においては、バッテリーEVの成長鈍化により、完成車メーカーの事業戦略にも大きな変化が見られます。また、産業全般における電動化・自動化・デジタル化などの技術革新により、企業として取り組むべき課題は拡大を続けています。さらには、環境問題、人権の尊重、少子高齢化問題への取り組みなど企業の社会的責任の重要性は増し、経営環境は急速に変化しています。このような環境下、当社グループは2022年度から2026年度までの5ヵ年を対象期間とする『中期経営計画2026』に則り、「収益を伴う成長」「経営資源の強化」「ESG経営」の3つの経営課題に取り組む一方、厳しい事業環境を鑑み、欧州の構造改革やインフレに対する製品への価格転嫁など、収益改善のための施策に取り組んできました。しかしながら、『中期経営計画2026』で想定していた事業環境に対してグローバル自動車生産台数の下振れに加え、工作機械など生産財及び家電など消費財の需要回復の遅れもあり、軸受業界全体の競争環境はより厳しいものになりました。そのため、更なる収益体質の改善と製品ポートフォリオの改善が必要であると判断し、1年前倒しで次期中期経営計画の策定に取り組み、2026年5月に当社グループが10年後に目指す姿である『NSKビジョン2036』と『中期経営計画2028』を発表しました。『NSKビジョン2036』は、「トライボロジーソリューションで理想の動きを共に実現する」です。当社グループは100年以上にわたり、製品の品質の向上と高機能化を通じて、自動車、鉄道、工作機械など社会を支えるさまざまな機械の発展に貢献してきました。次の社会では、デジタル技術の進展やフィジカルAIの出現により、ソフトウェア上で設計された理想の動きの具現化が求められます。その実現のためには、低摩擦化や耐久性に加え、摩擦を精緻に制御するための技術や製品が必要です。当社グループは、デジタル上の「理想の動き」を実現させるため、世の中に必要とされるパズルピースとして重要な役割を担い続けます。さらには、軸受を中心とした機械部品ビジネスだけでなく、ユニット製品によるシステムの最適化提案や顧客課題を解決するソリューションビジネスへの移行を目指します。また、『中期経営計画2028』においては、既存事業において安定した収益を生み出し続けながら、新事業・新領域において更なる成長を続けることを意味する“Bearings & Beyond”のもと、その実現を目指し、以下のような取り組みをしていきます。 “Bearings”の取り組みとして、既存事業において物量に頼らない体質改善と製品ポートフォリオの強化による収益性の向上を目指します。・欧州の構造改革の完遂及び日本の構造改革の着手、それらに伴うグローバル生産再編を実行します。・開発、設計の段階から生産、販売までの連携によるコストダウン、及びデジタル技術の活用による業務効率化に取り組み、国際的な競争優位性の向上に取り組みます。・アフターマーケット向けなどの高収益製品や、小型軽量化、低摩擦化、特殊環境への対応など当社の技術の強みを活かした差別化製品を拡大し、収益性の向上を目指します。 “Beyond”の取り組みとして、新たな収益の柱を育てるため、成長領域へのリソースの移動と将来を見据えた組織体制の整備を行います。・進展を続ける自動車の電動化に伴い、電動ブレーキ用ボールねじは高シェアを維持しながら更なる成長を目指します。それに加え、これまで培ってきた技術基盤や顧客基盤を活かし、メカユニット製品を継続的に開発し、安全で環境にやさしいモビリティの実現に貢献していきます。・補修や交換のための製品の提供だけでなく、状態監視ソリューション、寿命予測、リコンディショニングなどの技術サービスを合わせて提供することにより、循環型社会の発展に貢献していきます。・AIの発展に伴い急拡大していくロボット産業において、ロボットの関節を支える軸受、アームを伸縮させる直動製品の提供に加えて、外部との協業を積極的に行い、アクチュエータなどのユニット製品の開発やロボットの実装化のための技術サービスの提供に挑戦し、高齢化社会における労働力不足の解決に貢献していきます。 当社グループは、以上の経営課題に取り組み、改善の積み上げと次のステージへの挑戦を続け、未来志向の高い目標に向かって、前進を続ける活力のある会社を目指します。当社のコアバリューである「安全・品質・環境・コンプライアンス」を経営の意思決定や行動において最優先される共通の価値基準とし、企業理念に基づいた企業活動とMOTION & CONTROL™の進化を通じて、社会的課題の解決と社会の持続的発展への貢献を続けていきます。 (3) 目標とする経営指標当社は2026年5月に『中期経営計画2028』(2027年3月期から2029年3月期)を発表しました。世界的なインフレの継続、欧州や中国の経済回復の遅れに加え、地政学的リスクの影響など事業環境の先行きは不透明な状態が続いています。このような環境下で新事業・新領域において新たな収益の柱を育てるため、成長領域へのリソースの移動と将来を見据えた組織体制の整備を通じて持続的成長を目指すと共に、既存事業においては構造改革を進め、物量に頼らない体質改善と製品ポートフォリオの強化によって、ROE8%の早期実現に向けた収益改善に継続して取り組んでいきます。さらには、『NSKビジョン2036』の実現に向けた事業ポートフォリオ変革を通じて、ROE10%以上の収益構造の構築を目指します。 経営指標 事業ポートフォリオの変革収益を伴う成長営業利益率8%以上資本コストを上回る資本効率性の追求ROE8%ROIC6%持続的な成長を支える財務基盤の安定維持ネットD/Eレシオ0.4倍未満 また、非財務目標として、環境についてはCO2排出量の削減及び環境貢献型製品の開発、安全な職場環境づくりに対しては休業度数率の減少に取り組んでいます。また、人的資本の価値最大化を目指し、持続可能なエンゲージメントスコアの向上などに取り組んでいます。 当社とNTN株式会社は、共同株式移転の方法により共同持株会社を設立し、経営統合(以下「本経営統合」)を行うことについて基本的な合意に達し、2026年5月12日付で、それぞれの取締役会において本経営統合に関する基本合意書を締結することを決議し、締結いたしました。詳細は、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等] [連結財務諸表注記]32.後発事象」に記載のとおりです。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 会社の経営の基本方針当社グループは、「MOTION & CONTROL™を通じ、円滑で安全な社会に貢献し、地球環境の保全をめざすとともに、グローバルな活動によって、国を越えた人と人の結びつきを強める」という企業理念のもと、 ①世界をリードする技術力によって、顧客に積極的提案を行う ②社員一人ひとりの個性と可能性を尊重する ③柔軟で活力のある企業風土で時代を先取りする ④社員は地域に対する使命感をもとに行動する ⑤グローバル経営をめざすという経営姿勢により社会に貢献する企業を目指していきます。 (2) 経営環境及び対処すべき課題等当社グループを取り巻く事業環境は、世界的なインフレの継続、欧州や中国の経済回復の遅れに加え、米国の追加関税政策、中国のレアアース輸出規制及び中東情勢、それらに対する各国の経済政策や顧客・取引先の生産計画の変更などの影響により、先行きは未だ不透明な状況にあります。自動車産業においては、バッテリーEVの成長鈍化により、完成車メーカーの事業戦略にも大きな変化が見られます。また、産業全般における電動化・自動化・デジタル化などの技術革新により、企業として取り組むべき課題は拡大を続けています。さらには、環境問題、人権の尊重、少子高齢化問題への取り組みなど企業の社会的責任の重要性は増し、経営環境は急速に変化しています。このような環境下、当社グループは2022年度から2026年度までの5ヵ年を対象期間とする『中期経営計画2026』に則り、「収益を伴う成長」「経営資源の強化」「ESG経営」の3つの経営課題に取り組む一方、厳しい事業環境を鑑み、欧州の構造改革やインフレに対する製品への価格転嫁など、収益改善のための施策に取り組んできました。しかしながら、『中期経営計画2026』で想定していた事業環境に対してグローバル自動車生産台数の下振れに加え、工作機械など生産財及び家電など消費財の需要回復の遅れもあり、軸受業界全体の競争環境はより厳しいものになりました。そのため、更なる収益体質の改善と製品ポートフォリオの改善が必要であると判断し、1年前倒しで次期中期経営計画の策定に取り組み、2026年5月に当社グループが10年後に目指す姿である『NSKビジョン2036』と『中期経営計画2028』を発表しました。『NSKビジョン2036』は、「トライボロジーソリューションで理想の動きを共に実現する」です。当社グループは100年以上にわたり、製品の品質の向上と高機能化を通じて、自動車、鉄道、工作機械など社会を支えるさまざまな機械の発展に貢献してきました。次の社会では、デジタル技術の進展やフィジカルAIの出現により、ソフトウェア上で設計された理想の動きの具現化が求められます。その実現のためには、低摩擦化や耐久性に加え、摩擦を精緻に制御するための技術や製品が必要です。当社グループは、デジタル上の「理想の動き」を実現させるため、世の中に必要とされるパズルピースとして重要な役割を担い続けます。さらには、軸受を中心とした機械部品ビジネスだけでなく、ユニット製品によるシステムの最適化提案や顧客課題を解決するソリューションビジネスへの移行を目指します。また、『中期経営計画2028』においては、既存事業において安定した収益を生み出し続けながら、新事業・新領域において更なる成長を続けることを意味する“Bearings & Beyond”のもと、その実現を目指し、以下のような取り組みをしていきます。 “Bearings”の取り組みとして、既存事業において物量に頼らない体質改善と製品ポートフォリオの強化による収益性の向上を目指します。・欧州の構造改革の完遂及び日本の構造改革の着手、それらに伴うグローバル生産再編を実行します。・開発、設計の段階から生産、販売までの連携によるコストダウン、及びデジタル技術の活用による業務効率化に取り組み、国際的な競争優位性の向上に取り組みます。・アフターマーケット向けなどの高収益製品や、小型軽量化、低摩擦化、特殊環境への対応など当社の技術の強みを活かした差別化製品を拡大し、収益性の向上を目指します。 “Beyond”の取り組みとして、新たな収益の柱を育てるため、成長領域へのリソースの移動と将来を見据えた組織体制の整備を行います。・進展を続ける自動車の電動化に伴い、電動ブレーキ用ボールねじは高シェアを維持しながら更なる成長を目指します。それに加え、これまで培ってきた技術基盤や顧客基盤を活かし、メカユニット製品を継続的に開発し、安全で環境にやさしいモビリティの実現に貢献していきます。・補修や交換のための製品の提供だけでなく、状態監視ソリューション、寿命予測、リコンディショニングなどの技術サービスを合わせて提供することにより、循環型社会の発展に貢献していきます。・AIの発展に伴い急拡大していくロボット産業において、ロボットの関節を支える軸受、アームを伸縮させる直動製品の提供に加えて、外部との協業を積極的に行い、アクチュエータなどのユニット製品の開発やロボットの実装化のための技術サービスの提供に挑戦し、高齢化社会における労働力不足の解決に貢献していきます。 当社グループは、以上の経営課題に取り組み、改善の積み上げと次のステージへの挑戦を続け、未来志向の高い目標に向かって、前進を続ける活力のある会社を目指します。当社のコアバリューである「安全・品質・環境・コンプライアンス」を経営の意思決定や行動において最優先される共通の価値基準とし、企業理念に基づいた企業活動とMOTION & CONTROL™の進化を通じて、社会的課題の解決と社会の持続的発展への貢献を続けていきます。 (3) 目標とする経営指標当社は2026年5月に『中期経営計画2028』(2027年3月期から2029年3月期)を発表しました。世界的なインフレの継続、欧州や中国の経済回復の遅れに加え、地政学的リスクの影響など事業環境の先行きは不透明な状態が続いています。このような環境下で新事業・新領域において新たな収益の柱を育てるため、成長領域へのリソースの移動と将来を見据えた組織体制の整備を通じて持続的成長を目指すと共に、既存事業においては構造改革を進め、物量に頼らない体質改善と製品ポートフォリオの強化によって、ROE8%の早期実現に向けた収益改善に継続して取り組んでいきます。さらには、『NSKビジョン2036』の実現に向けた事業ポートフォリオ変革を通じて、ROE10%以上の収益構造の構築を目指します。 経営指標 事業ポートフォリオの変革収益を伴う成長営業利益率8%以上資本コストを上回る資本効率性の追求ROE8%ROIC6%持続的な成長を支える財務基盤の安定維持ネットD/Eレシオ0.4倍未満 また、非財務目標として、環境についてはCO2排出量の削減及び環境貢献型製品の開発、安全な職場環境づくりに対しては休業度数率の減少に取り組んでいます。また、人的資本の価値最大化を目指し、持続可能なエンゲージメントスコアの向上などに取り組んでいます。 当社とNTN株式会社は、共同株式移転の方法により共同持株会社を設立し、経営統合(以下「本経営統合」)を行うことについて基本的な合意に達し、2026年5月12日付で、それぞれの取締役会において本経営統合に関する基本合意書を締結することを決議し、締結いたしました。詳細は、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等] [連結財務諸表注記]32.後発事象」に記載のとおりです。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2026年6月22日)現在において当社グループが判断したものです。 (1) 重要性がある会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、連結財務諸表規則第312条の規定によりIFRS会計基準に準拠して作成しています。連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような見積り・予測を必要とします。結果として、このような見積りと実績が異なる場合があります。なお、連結財務諸表作成にあたっての重要性がある会計方針及び見積り等については、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等] (1) [連結財務諸表] [連結財務諸表注記] 2.作成の基礎 (6) 見積り及び判断の利用、3.重要性がある会計方針」に記載のとおりです。 (2) 財政状態及び経営成績の状況①事業全体の概況当社グループは、当社のコアバリューである「安全・品質・環境・コンプライアンス」を経営の意思決定や行動において最優先される共通の価値基準とし、「収益を伴う成長」「経営資源の強化」「ESG経営」の3つの経営課題に取り組んでいます。当連結会計年度の世界経済を概観すると、インフレの落ち着きを背景に景気は緩やかに回復傾向を示しています。一方で、不安定な国際情勢による地政学的リスクに加え、米国の関税政策をはじめとする各国の政策運営や金融市場を巡る不確実性は依然として高く、先行きに対する警戒感は強まっています。地域別にみると、日本は個人消費に持ち直しの動きがみられるなど、景気は緩やかに回復しています。米州は労働市場に弱さがみられますが底堅い成長が続いています。欧州はインフレが落ち着きつつあるものの、設備投資の需要は低迷が続いています。中国では不動産市場の低迷に加え、政府の景気刺激策の一服がみられ景気は足踏み状態となっています。このような経済環境において、当連結会計年度の売上高は9,116億44百万円(前期比+14.4%)となりました。営業利益は388億12百万円(前期比+36.4%)、税引前利益は380億39百万円(前期比+51.5%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は228億67百万円(前期比+114.8%)となりました。当社は、2025年9月1日にジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第参号投資事業有限責任組合(以下「JIS」)から、JISが保有するステアリング事業をグローバルに統括する当社の持分法適用関連会社であるNSKステアリング&コントロール株式会社(以下「NS&C」)の全株式を取得しました。NS&C及び同社の子会社を連結の範囲に含めたことにより、当社グループの業績には支配獲得日(2025年9月1日)以降のNS&C及び同社の子会社の売上高、損益が含まれています。また当連結会計年度末において取得資産及び引受負債の公正価値測定を実施し取得原価の配分が完了しました。この結果、「その他の営業収益」に負ののれんの発生益85億27百万円、「その他の営業費用」に段階取得にかかる差損46億62百万円等、一時的な損益を計上しています。 ②セグメントごとの業績(産業機械事業)設備投資の需要が緩やかに回復したことにより、当連結会計年度は対前期比で増収となりました。地域別では、日本は工作機械向けの販売増加などにより増収となりました。米州ではアフターマーケットや半導体製造装置向けの販売増加に加えて、関税の売価転嫁を実施した影響もあり増収となりました。欧州は市況悪化の影響を受けて販売が低迷し減収となりました。中国では工作機械向けを中心に販売が増加し増収となりました。この結果、産業機械事業の売上高は3,774億91百万円(前期比+4.4%)、営業利益は欧州事業の構造改革による一時的な費用を計上した影響もあり125億65百万円(前期比△9.9%)となりました。当事業では、アフターマーケット向けや精機製品等、重点領域の拡大を通じた、ポートフォリオの変革を推進することや、構造改革を完遂させることに加え、適正売価の浸透を図ることで営業利益率10%以上の収益水準への回復を目指していきます。また、補修・交換用製品の供給にとどまらず、状態監視ソリューションを組み合わせたPLM(Product Lifecycle Management)ビジネスの拡大を図るとともに、ヒューマノイドロボットなど新領域における市場開拓に積極的に取り組んでいきます。 (自動車事業)一部地域における減収の影響があったものの、関税に対して売価転嫁を推進したこと等により当連結会計年度の売上高は対前期比で横ばいとなりました。地域別では、日本は自動変速機用部品の販売が減少し減収となりました。米州では自動車販売が堅調だったことに加えて関税の売価転嫁を実施した影響もあり増収となりました。欧州は需要の低迷が継続し減収となりました。中国では日本車の販売不振による影響があったものの、電動ブレーキ用ボールねじの拡販により売上高は横ばいとなりました。この結果、自動車事業の売上高は4,033億4百万円(前期比+0.4%)、営業利益は欧州事業の構造改革による一時的な費用を計上したものの173億66百万円(前期比+18.0%)となりました。当事業では、自動車の電動化を背景に、eAxle向け軸受や電動ブレーキ向けボールねじなどの拡販を推進しています。それに加え、適正売価の浸透、国内外における生産体制の再編を通じた体質改善を進め、国際競争力の確保と収益基盤の強化を図っていきます。これまで培ってきた技術基盤及び顧客基盤を活用し、新商品の継続的な開発を推進することで、安全で環境にやさしいモビリティの実現に貢献していきます。 (ステアリング事業)当連結会計年度におけるステアリング事業の売上高は1,005億54百万円、営業利益は77億30百万円となりました。上記には、支配獲得日(2025年9月1日)以降のNS&C及び同社の子会社の売上高、損益ならびに、支配獲得に伴い一時的に発生した損益が含まれています。当事業では、ストラテジック・パートナー探しの方針を継続するとともに黒字体質の維持、収益向上を図ります。 ③財政状態の分析当連結会計年度において、資産合計は前連結会計年度末に比べて202億25百万円増加した1兆2,397億69百万円となり、負債合計は27億20百万円減少した5,476億33百万円となりました。資本合計は、剰余金の配当があったものの、親会社の所有者に帰属する当期利益、その他の資本の構成要素の増加等により、前連結会計年度末に比べて229億46百万円増加した6,921億35百万円となりました。 ④キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益、減価償却費及び償却費、運転資本等の加減算に加え、NS&C及び同社の子会社を連結子会社としたことによる負ののれんの発生益や段階取得に係る差損を計上した結果、978億6百万円の収入となりました(前連結会計年度は821億76百万円の収入)。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、政策保有株式の縮減を進めたことに伴うその他の金融資産の売却による収入があった一方で、有形固定資産及び無形資産の取得、NS&C株式の取得に加えて、AIロボティクス企業への戦略的投資を行ったことに伴う関連会社株式の取得等により、647億51百万円の支出となりました(前連結会計年度は587億53百万円の支出)。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払に加え、借入金の純減等により、377億90百万円の支出となりました(前連結会計年度は337億41百万円の支出)。 上記により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて38億69百万円増加した1,421億23百万円となりました。 ⑤目標とする経営指標の達成状況等当社は2022年5月に発表した『中期経営計画2026』(2023年3月期から2027年3月期)に基づき、「収益を伴う成長」「経営資源の強化」「ESG経営」の3つの経営課題に取り組んできました。(2024年5月に2027年3月期の経営指標の目標値を修正)当連結会計年度の当社グループの業績は前期に比べて増収増益となりましたが、『中期経営計画2026』において想定していた事業環境に対して、グローバル自動車生産台数の下振れに加え、工作機械など生産財及び家電など消費財の需要回復の遅れもあり、軸受業界全体の競争環境はより厳しいものになりました。そのため、更なる収益体質の改善と製品ポートフォリオの変革が必要であると判断し、1年前倒しで次期中期経営計画を策定し、2026年5月に『中期経営計画2028』を発表しました。当社が経営上の目標として掲げる指標と実績は、次のとおりです。 経営指標『中期経営計画2026』目標2026年3月期実績 『中期経営計画2028』目標 事業ポートフォリオの変革収益を伴う成長営業利益率8%4.3% 8%以上資本コストを上回る資本効率性の追求ROE8%3.5% 8%ROIC6%2.6% 6%持続的な成長を支える財務基盤の安定維持ネットD/Eレシオ0.4倍以下0.24倍 0.4倍未満 『中期経営計画2028』の初年度となる2027年3月期の事業環境は、AI需要の拡大により半導体関連分野を中心に需要増加を見込んでいます。またグローバル自動車生産台数は前年度と同水準を想定しています。このような環境下においても、当社のコアバリューである「安全・品質・環境・コンプライアンス」を経営の意思決定や行動において最優先される共通の価値基準とし、企業理念に基づいた企業活動とMOTION & CONTROL™の進化を通じて、社会的課題の解決と社会の持続的発展への貢献を続けていきます。 (3) 資本の財源及び資金の流動性①財務戦略の基本方針当社グループは、安定した財務体質のもと、収益から創出されたキャッシュを持続的成長のための投資と安定的・継続的な株主還元に配分を行い、資本コストを意識した経営を推進することにより、中長期的な企業価値向上を実現することを財務戦略の基本方針とします。 ②財務状況当連結会計年度の財務状況は次のとおりです。 財務戦略の基本方針経営指標『中期経営計画2026』目標2026年3月期 実績2026年3月期の評価・コメント 財務安定性の維持ネットD/Eレシオ0.4倍以下0.24倍健全な財務体質を維持収益を伴う成長ROE8%3.5%事業環境の変化を受け、収益計画に遅れ『中期経営計画2028』においてROE8%に再挑戦ROIC6%2.6%安定的な利益還元配当性向30%~50%72.7%年間配当金 34円/株安定的な利益還元を継続DOE2.5%を下限の目安2.5% ③財務活動の振り返り当社グループは、経営資源を有効活用するため、引き続き資産効率の向上に取り組んでいます。当連結会計年度においては、政策保有株式の縮減を進めたことに伴うその他の金融資産の売却により155億14百万円の収入がありました。これにより、当社が保有する政策保有株式の銘柄数は当連結会計年度に4銘柄(うち上場株式3銘柄)を縮減し、連結資本合計に対する株式保有金額の比率は3.5%まで低下しています。資金調達においては、日本銀行が2025年12月に政策金利を引き上げる前の2025年9月に国内無担保普通社債300億円を発行して、当連結会計年度の社債償還資金と借入金返済資金に充当しました。また、環境負荷低減に資する設備投資を推進するためグリーンローンによる長期借入も実行し、調達した資金は太陽光発電設備の導入や空調のエネルギー使用量の削減のための設備投資に充当しました。当社グループのカーボンニュートラル活動を進めるため、これからもサステナブルファイナンスのスキームを用いた資金調達に取り組んでいきます。利益還元については、『中期経営計画2026』では配当性向30%~50%に加えて、DOE2.5%を下限の目安に株主の皆様へ安定的・継続的な配当を実施する方針を掲げました。この方針を踏まえた上で、当期の業績や今後の事業環境等を総合的に勘案した結果、当連結会計年度の1株当たり配当金は前連結会計年度と同額の34円としました。 ④『中期経営計画2028』の重点施策 (a) ROE2029年3月期にROE8%達成を目指します。株主資本コストについては、当社は一般的なCAPM(Capital Asset Pricing Model、資本資産評価モデル)を用いて算出しています。国債金利、当社の過去の株価動向と事業特性及び中長期的な株式市場の期待値から算出した当社の株主資本コストは概ね8%~9%台と認識しています。『中期経営計画2028』の重点施策である「ポートフォリオ変革」、「不断の構造改革」、「適切な自己資本コントロール」の遂行により、『中期経営計画2028』の最終年度となる2029年3月期までにROE8%となる体質を作り上げます。さらに、『NSKビジョン2036』の実現に向けて収益力と資本効率を高めることにより、株主資本コストを上回るROE10%以上の達成に向けて取り組んでまいります。 (b) 財務健全性の維持ネットD/Eレシオを0.4倍未満とし、格付Aを維持するよう適切に自己資本をコントロールします。 (c) 政策保有株式政策保有株式の縮減を進めて、『中期経営計画2028』の期間中に政策保有株式ゼロを目指します。 (d) 資産の有効活用政策保有株式の売却資金、手元現金、有利子負債を有効活用します。 (e) 安定配当『中期経営計画2028』では、配当性向30%~50%、DOE2.5%を下限の目安に、株主の皆様へ安定的・継続的な配当を実施する方針です。また、DOEはROE改善の進捗に合わせて段階的に引き上げることにより、2029年3月期にはDOE3.5%を目標とします。 (f) 自己株式取得資本効率の改善に向けて、機動的な自己株式取得を適切に実施します。 ⑤キャッシュ・アロケーション『中期経営計画2028』のキャッシュ・アロケーションは次の通りです。 『中期経営計画2028』で掲げた「ポートフォリオ変革」、「構造改革/効率化」の施策を実行し、収益率を高めてキャッシュ創出力を増大させることにより、中期経営計画の3年間で2,700億円の営業キャッシュ・フローを創出する計画です。加えて、政策保有株式の売却や、当社グループの財務安定性を維持しつつ有利子負債を活用することにより、更なるキャッシュ創出ができると認識しています。創出したキャッシュは、当社グループが持続的に成長するための設備投資に1,700億円、株主の皆様への安定配当に500億円を配分する計画です。利益還元については、配当性向30%~50%、DOE2.5%を下限の目安として、株主の皆様へ安定的・継続的な配当を実施する方針です。なお、DOEはROE改善の進捗に合わせて段階的に引き上げを図り、『中期経営計画2028』の最終年度にはDOE3.5%を目標とします。さらに、収益力を高めることで創出したキャッシュは、M&Aを含むBeyond領域の拡大に向けた戦略的投資や、資本効率の改善に向けた機動的な自己株式の取得にも配分したいと考えています。 ⑥資金調達の方針当社グループは現在、自己資金及び金融機関からの借入れ等により資金調達を行っています。運転資金について借入れによる資金調達を行う場合、期限が一年以内の短期借入金で各連結会社がその現地通貨で調達することが一般的で、生産設備などの長期資金は、主として長期借入金及び社債で調達しています。 有価証券報告書提出日現在において、格付投資情報センターから「A」、日本格付研究所から「A+」の格付を取得しており、外部からの資金調達に関しては問題なく実施可能と認識しています。当社グループは、その健全な財務状況、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出す能力、金融機関とのコミットメントライン契約金額400億円や、コマーシャルペーパー発行枠500億円などにより必要資金の確保と緊急時の流動性を確保しています。 (4) 生産、受注及び販売の実績当社グループの販売・生産品目は極めて広範囲かつ多種多様であり、また見込み生産を行う製品もあるため、生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示していません。このため、販売及び生産の状況については、「(2) 財政状態及び経営成績の状況」に関連づけて記載しています。 (5) 経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの事業展開、経営成績及び財務状況等に重要な影響を与えるリスク要因については、「3[事業等のリスク]」に記載のとおりです。

事業リスク

  • 技術革新への対応遅れリスク
    自動車の電動化や産業の自動化・デジタル化といった技術革新のスピードが速く、市場の変化や顧客の要求に対応する開発が遅れる可能性があります。これにより、競争力を失い、収益に悪影響を及ぼす恐れがあります。
  • 自然災害・品質問題による操業停止リスク
    地震やパンデミックなどの自然災害、または製品の重大な品質問題が発生した場合、工場での生産活動が停止したり、大規模なリコールが発生したりする可能性があります。これにより、多額の損失や企業イメージの低下を招く恐れがあります。
  • グローバルな事業環境の変化リスク
    世界的なインフレの継続、特定の国での経済回復の遅れ、追加関税政策、為替変動など、グローバルな経済状況や政策の変化が事業に影響を与える可能性があります。これにより、売上減少やコスト増加、収益性の悪化につながる恐れがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|2,064 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が中・長期的観点も含め連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している重要なリスクは、次のとおりです。なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 当社は、経営陣の主要なリスク認識を基にグループ全体を対象にリスク・アセスメントを実施し、経営会議にてリスク重要度を決定し、取締役会にも報告しています。リスク・アセスメントのプロセスにおいては、リスクを発生可能性と影響度の二軸で評価し、さらに総合的な重要度に従い数段階に管理レベルを分けています。また、抽出したリスクは、当連結会計年度末時点での残余リスクに基づき評価していますが、対応策を講じることでその発生可能性と影響度を低減することを意図しています。管理レベルの高い重要リスクへの対応策の進捗状況を定期的に経営陣に報告する仕組みを構築しています。 2026年度の重要リスクは次の表のとおりです。 代表的リスクと対応策リスク項目代表的リスク内容対応策1地政学リスク・国際紛争による物流遮断や調達の難化、生産停止、原材料・エネルギー価格の高騰リスク・各国の通商・経済安全保障政策が当社の収益を圧迫するリスク・サプライチェーンの可視化と各種代替手段の検討・タイムリーな情報収集とそれに基づく販売価格の調整や生産地変更の検討2技術革新に係るリスク・技術革新に伴う市場の変化や顧客の技術要求に開発対応が遅れるリスク・中・長期方針に基づく開発計画の管理・運営の徹底・オープンイノベーションやアライアンスの活用3安全・防火及び自然災害に係るリスク・自然災害・パンデミック等へのBCP対応不備が操業に影響するリスク・重大な労働災害が発生するリスク・火災発生により操業が停止するリスク・影響度分析を通じた優先付けと具体的対策の特定・実施・重点拠点の管理体制強化と防止活動充実・グループ内教育活動の充実4品質に係るリスク・重大な品質問題の発生リスク・品質保証体制の不備により問題への対応力が低下するリスク・品質データの偽装、改ざんリスク・過去案件の分析に基づく対応策の強化・全社トレーサビリティシステムの導入による問題発生時の影響軽減・情報共有と品質監査活動の充実、教育強化5環境に係るリスク・長期エネルギー削減施策の遅れが事業機会の逸失や企業価値毀損を招くリスク・環境負荷物質の漏洩や排出基準超過が発生するリスク・エネルギー削減目標達成サイクルに基づく投資計画の実行・重点拠点の管理体制強化と防止活動充実6コンプライアンスに係るリスク・各種法令や規制の変化への対応が遅れるリスク・グローバルな税務課題に関する対応力が不足するリスク・グループコンプライアンス体制を通じた情報共有、教育研修の実施・国際税務対応リソースの拡充や親子会社間でのデータとリスク共有など税務マネジメント体制の強化7人材・労務に係るリスク・グローバルに有能な人材の確保ができず事業拡大や戦略遂行に支障をきたすリスク・働き方に対する価値観が多様化する中、人事諸制度、諸施策の見直しが遅れるリスク・各国の労働関連法令に適宜対応できず、事業運営に支障をきたすリスク・各国各地域や事業・機能の状況に応じた採用プロセスの強化とサクセッションプランニングの充実・エンゲージメント調査に基づくグループ内施策・アクションプランの策定と実施及び啓発活動の強化・各地域の人事部門との定期的情報交換とモニタリング、外部専門家との連携8調達に係るリスク・特定供給元への依存が円滑な調達に支障をきたすリスク・代替品の検討、調達先の複数化、現地調達の推進9DXや情報セキュリティに係るリスク・基幹システムの導入に係る納期遅延とコスト増大リスク・サイバー攻撃や機密情報流出などの情報セキュリティリスク・プロジェクト管理の徹底と厳格な追加開発審査プロセスの構築・計画的システム更新と定期的な脆弱性診断評価・早期検知と対処能力の向上、早期復旧体制の強化10中・長期的な企業価値向上に係るリスク・事業環境の想定外の変化により、中期経営計画の達成に支障をきたすリスク・株主・投資家や従業員等ステークホルダーとの対話が不十分なことにより企業価値向上や外部評価に影響を与えるリスク・計画の達成度のモニタリングと変化が生じた際の新たな対応策の策定と実行・各ステークホルダーとのエンゲージメント活動の活発化や開示・発信のレベルアップ 一方、インシデント発生時には、グループ内の各事業所・部署より報告が速やかにリスク管理部署になされる体制を整備し、影響の軽減と収束に向けた措置を講じることとしています。また、当社経営監査部は、各拠点や地域の内部監査部門と連携し、各拠点からの報告や実地監査等を通してリスクやインシデントの管理状況のモニタリングを行い、その結果を監査委員会に報告しています。

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