6758

ソニーグループ(6758)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器 電機・精密

事業の概要

ソニーグループは、多岐にわたる事業を展開するグローバル企業です。主な収益源は、ゲーム機やデジタルコンテンツの制作・販売を行う「ゲーム&ネットワークサービス」、音楽制作・出版、アニメーションを手掛ける「音楽」、映画・テレビ番組の制作・配給を行う「映画」といったエンタテインメント分野です。加えて、テレビやカメラ、スマートフォンなどのエレクトロニクス製品を扱う「エンタテインメント・テクノロジー&サービス」、イメージセンサーを開発・製造する「イメージング&センシング・ソリューション」、そして生命保険や損害保険、銀行業を含む「金融」事業も展開しており、幅広い分野で収益を上げています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

ソニーグループの事業セグメントは多岐にわたります。「ゲーム&ネットワークサービス」は、家庭用ゲーム機やデジタルゲーム、ネットワークサービスを提供。「音楽」は、音楽制作・出版、アニメーション制作が中心。「映画」は、映画・テレビ番組の制作・配給を行います。「エンタテインメント・テクノロジー&サービス」は、テレビ、オーディオ、カメラ、スマートフォンなどのエレクトロニクス製品を扱います。「イメージング&センシング・ソリューション」は、主にイメージセンサーの開発・製造を担います。「金融」は、生命保険、損害保険、銀行業を展開。その他、ディスク製造などの事業も含まれます。これらのセグメントは相互に関連し、特にイメージセンサーはゲームやエレクトロニクス製品に供給されるなど、グループ内で連携しています。

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FY2026|2,445 文字
3【事業の内容】 ゲーム&ネットワークサービス(以下「G&NS」)分野には、主にデジタルソフトウェア・アドオンコンテンツの制作・販売、ネットワークサービス事業及び家庭用ゲーム機の製造・販売が含まれています。音楽分野には、主に音楽制作、音楽出版及び映像メディア・プラットフォーム事業が含まれています。映画分野には、主に映画製作、テレビ番組制作及びメディアネットワーク事業が含まれています。エンタテインメント・テクノロジー&サービス(以下「ET&S」)分野には、主にイメージング事業、サウンド事業、ネットワークサービス事業及びディスプレイ事業が含まれています。イメージング&センシング・ソリューション(以下「I&SS」)分野には、主にイメージセンサー事業が含まれています。その他分野は、ディスク製造事業、記録メディア事業等の様々な事業活動から構成されています。ソニーの製品及びサービスは、一般的にはそれぞれのオペレーティング・セグメントにおいて固有のものです。なお、金融事業のパーシャル・スピンオフにともない、金融事業を非継続事業に分類しました。非継続事業の詳細については、「第5 経理の状況」 連結財務諸表注記『33.非継続事業』をご参照ください。 2026年3月31日現在の子会社数は1,485社、関連会社数は148社であり、このうち連結子会社(ストラクチャード・エンティティ含む)は1,453社、持分法適用会社(共同支配企業を含む)は132社です。 なお、当社の連結財務諸表はIFRSにもとづいて作成しており、関係会社の情報についてもIFRSの定義にもとづいて開示しています。「第2 事業の状況」及び「第3 設備の状況」においても同様です。 また、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当し、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの数値にもとづいて判断することとなります。 G&NS、音楽、映画、ET&S、I&SS及びその他の各分野の事業内容ならびに主要会社は以下のとおりです。事業区分及び主要製品主要会社 ゲーム&ネットワークサービス デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツネットワークを通じて販売するソフトウェアタイトル及びアドオンコンテンツ㈱ソニー・インタラクティブエンタテインメントSony Interactive Entertainment LLCSony Interactive Entertainment Europe Ltd.ネットワークサービスゲーム/ビデオ/音楽コンテンツ関連のネットワークサービスハードウェア・その他家庭用ゲーム機、パッケージソフトウェア 音楽 音楽制作ストリーミング/パッケージ/ダウンロードによるデジタルの音楽制作物の販売、アーティストのライブパフォーマンス及び物販からの収入㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントSony Music EntertainmentSony Music Publishing LLC 音楽出版楽曲の詞、曲の管理及びライセンス 映像メディア・プラットフォームアニメーション作品及びゲームアプリケーションの制作・販売、音楽・映像関連商品のサービス提供 映画 映画製作実写及びアニメーション映画作品の製作・買付・配給・販売Sony Pictures Entertainment Inc.Columbia Pictures Industries, Inc.CPT Holdings, Inc. テレビ番組制作テレビ番組の制作・買付・販売 メディアネットワークテレビネットワーク、DTC(Direct-to-Consumer)配信サービスのオペレーション エンタテインメント・テクノロジー&サービス イメージングレンズ交換式カメラ及び交換レンズを含む映像制作機器ならびにソリューションソニー㈱ソニーネットワークコミュニケーションズ㈱ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ㈱ソニーマーケティング㈱Sony Electronics Inc.Sony Electronics (Singapore) Pte. Ltd.Sony EMCS (Malaysia) Sdn. Bhd.Sony Europe B.V.索尼(中国)有限公司 サウンドヘッドホン、ワイヤレススピーカー ネットワークサービスインターネット関連サービス ディスプレイ液晶テレビ、有機ELテレビ及びプロジェクターなどのディスプレイ製品 その他スマートフォン、家庭用オーディオ製品、医療用機器、スポーツ審判支援及びコンテンツ制作支援サービス イメージング&センシング・ソリューション イメージセンサーソニーセミコンダクタソリューションズ㈱ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング㈱ソニーセミコンダクタエネルギーマネジメント㈱ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ㈱Sony Electronics Inc.Sony Electronics (Singapore) Pte. Ltd.Sony Europe B.V.Sony Device Technology (Thailand) Co., Ltd.その他 上記カテゴリーに含まれない製品やサービス、ディスク製造、記録メディア、その他の事業当社ソニーストレージメディア㈱ソニーマーケティング㈱ [ビジネスセグメントの関連性] I&SS分野では、国内及び海外の製造会社が製造した一部のイメージセンサー等を、G&NS分野及びET&S分野の会社に供給しています。 音楽分野及びその他分野のディスク製造では、国内及び海外の製造会社が製造した一部のパッケージメディアを、G&NS分野及び映画分野の会社に供給しています。 事業の系統図は以下のとおりです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
競合他社との価格競争が激化しており、価格の下落に比例して費用が下落しない場合には利益率の低下につながるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
イメージセンサーのように、現在ソニーが強い競争力を有している製品においても、競合他社の技術力の向上により優位性を保てなくなる可能性があるため。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:一層激化する競争による収益・営業利益率の低下 / 研究開発投資の失敗や新製品・サービスの不振 / 買収、合弁、投資、組織再編成の不成功
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★★★
根拠:強いブランド・特許・許認可

ソニーグループ(6758)は、PlayStationブランド、強力な映像・音楽IP(例:Marvel作品、米アカデミー賞受賞作品)、半導体技術(イメージセンサー)、アニメ事業(Aniplex)など、強力かつ多岐にわたる無形資産を保有。これらは長年の投資とブランド構築の賜物であり、模倣困難な競争優位の源泉となっている。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

PlayStationエコシステムは、ゲーム機本体、ゲームソフト、オンラインサービス(PS Plus)が連携し、ユーザーの離脱コストを一定程度発生させる。特に、長年積み上げたゲームライブラリやフレンドリストは、他プラットフォームへの移行を躊躇させる要因となりうる。

ネットワーク効果★★★★☆
根拠:強い利用者増が価値を生む

PlayStation Networkは、ユーザー数が増加するほど、オンラインマルチプレイの質やゲーム開発者にとっての魅力が増すというネットワーク効果を持つ。また、PlayStation Storeでのゲーム購入やPS Plusの加入者増加も、プラットフォームの魅力を高める。

コスト優位☆☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

ソニーグループは多角的な事業を展開しており、特定の事業において構造的なコスト優位性を確立しているとは言えない。各事業は技術開発やマーケティングに多額の投資を必要とする。

ソニーグループの優位性は、ゲーム、音楽、映画といったエンタテインメントコンテンツと、エレクトロニクス製品、イメージセンサーなどの技術を組み合わせた幅広い事業ポートフォリオにあります。特に、ゲーム分野ではプラットフォームと魅力的なソフトウェアの提供、イメージセンサー分野では高い技術力による競争優位性を持っています。また、エンタテインメント分野では、才能ある人材や魅力的なコンテンツを獲得するための競争力も強みです。これらの多様な事業が相互に連携し、技術やコンテンツを供給し合うことで、単一事業に特化した企業にはない強固な事業基盤を築いています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ソニーの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。 ソニーは、グローバルに多様な事業を展開しており、ウクライナ・ロシア情勢や中東情勢等の不透明さが増していることや、米中関係等の地政学リスクの高まり、人工知能(以下「AI」)のような技術の急速な進化、地球環境問題や社会の分断への対応等の世界情勢の変化により、ソニーの事業を取り巻く環境は大きく変化しています。 ソニーは、これらの事業環境の変化に迅速に対応し、各事業の収益構造の強化に取り組むとともに、長期視点の経営を重視し、グループ全体の企業価値向上のための取り組みを続けてきました。 2026年5月8日に開催した経営方針および業績に関する説明会では、社長 CEO(最高経営責任者)の十時裕樹が、2024年度から2026年度の3年間の中期経営計画(以下「第五次中期経営計画」)の最終年度を迎えるにあたり、現在のソニーの事業の状況と、経営上の重点テーマ及び今後の方向性について説明しました。 ソニーは、エンタテインメント、IP、コンテンツクリエイション及びリアルタイム・クリエイション技術を軸とした事業の進化の方向性を示す長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」を掲げ、テクノロジーの力でクリエイターを支援し、リアルとデジタルの両方の空間でファンに新たな体験を届け、IPの価値を最大化することをめざしています。説明会の冒頭では、十時が、長期ビジョンの実現に向けた進捗について、各事業における主なトピックとともに振り返りました。続けて、アニメがソニーにとって重要な成長領域であると述べ、その取り組みを紹介するとともに、アニメDTCプラットフォームCrunchyrollの有料会員数が2026年3月末時点で2,100万人を突破したことを発表しました。 十時は、AIはソニーグループの各事業にとって最重要テーマの一つであり、新たな価値創出を促し、エンタテインメント領域で新しい成長機会を生み出す可能性がある一方で、人のクリエイティビティが常に中心にあるべき、との考えを強調しました。また、「AIはアーティストやクリエイターに取って代わるものではない」と述べ、各事業でAIがどのように活用されているかについて具体例を紹介しました。加えて、G&NS分野におけるAIの活用事例を、SIEの社長 CEOの西野秀明が紹介しました。 続いて十時より、SSSが、イメージセンサー事業の成長と収益性の改善をめざし、次世代イメージセンサーの開発・製造に関する戦略的提携に向けて、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited(以下「TSMC」)との間で法的拘束力をともなわない基本合意書(以下「MOU」)を締結したことを発表しました。 また、技術的・地政学的な変化が起こる中、各事業を推進していく上で、適応力が重要であると強調し、ソニーの事業と人材の多様性が今後もソニーの成長を支えていくと締めくくりました。 2026年5月8日の経営方針および業績に関する説明会において発表した経営方針の詳細は、以下のとおりです。 1.「Creative Entertainment Vision」の推進 ソニーは「Creative Entertainment Vision」のもと、テクノロジーの力でクリエイターを支援し、リアルとデジタルの両空間でファンに新たな体験を届けるとともに、エンタテインメント事業におけるIP価値最大化をめざしている。 ・アニメ領域では、制作からファンエンゲージメント、マーケティング、グローバル配信に至るまで、グループ各社及び戦略パートナーと連携し、シナジーを生み出している。これにより、アニメを世界中の幅広いオーディエンスへ届けることが可能となっている。・㈱アニプレックス(以下「Aniplex」)とパートナー各社による世界的な大ヒット作『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、アニメの世界的な急成長を象徴している。・Crunchyrollは、2026年3月末時点で、世界で2,100万人を超える有料会員を擁している。成長をさらに加速させるため、「クランチロール アニメアワード」では、㈱Gaudiyとのパートナーシップのもと、MyAnimeListをファン投票のプラットフォームとして初導入したほか、今秋には各分野を牽引する企業が一堂に会する「クランチロール アニメ・フューチャー・フォーラム」を初開催し、アニメファンや日本のパブリッシャー、クリエイターとの関係強化を進めていく。 2.事業ポートフォリオの最適化 第五次中期経営計画期間において、主に以下の施策を通じて事業ポートフォリオの最適化を進めている。・金融事業のパーシャル・スピンオフを2025年10月1日付で実行。・ET&S分野のホームエンタテインメント領域における戦略的提携に向けた確定契約をソニー㈱がTCL Electronics Holdings Limited及びその子会社(以下「TCL」)と2026年3月31日に締結。 こうした施策と並行して、成長が期待され、競争優位性の高い領域への投資も継続している。・㈱バンダイナムコホールディングス(以下「バンダイナムコ」)との戦略的業務提携により、アニメ領域等における競争力を強化。・WildBrain Ltd.が保有するPeanuts Holdings LLC(以下「Peanuts Holdings」)の持分を追加取得し、持分比率を80%に引き上げ。・Pink Floyd及びQueenのカタログ取得に続き、米国ソニー・ミュージックグループがGIC Private Limitedと提携する等、音楽IPへの継続的な投資を実施。 3.AIによる成長の推進 AIは、新たな価値創出と成長機会をもたらす一方、アーティストやクリエイターに取って代わるものではなく、人の可能性を引き出すツールであるという前提のもと、各事業におけるAIの活用事例を紹介。 (1)AIが果たす役割・AIは単なる効率化のためのツールではなく、創造性を広げ、クリエイターを力強く支える機会をもたらす。時間やコストの制約で困難だった、より革新的なプロジェクトへの挑戦を促進している。・バンダイナムコと、生成AIを含む最新技術の活用に関する試験的な取り組みを継続し、映像制作の大幅な速度向上や、一人あたりの生産性向上といった成果を確認。今後もソニーが持つ技術と生成AIを統合することで、クリエイターが感性を最大限に拡張し、安心して利用できる制作基盤の確立をめざす。 (2)AIによるプレイステーションの体験進化・AIによって制作のハードルが下がり、コンテンツの量と多様性が増す中、プレイステーションプラットフォームとスタジオは、高品質な体験を提供し、プレイヤーが最適なコンテンツに出会えるようにする上で、引き続き重要な役割を果たす。・スタジオビジネスでは、AIを活用したツールが、ソフトウェア開発、品質保証、3Dモデリング、アニメーションなどの領域において、反復作業を自動化し、生産性を向上。これにより、制作チームはより豊かな世界観やゲーム体験の創出に注力できる。・プラットフォームビジネスでは、AIが大規模な効率化や、一人ひとりに最適化された体験の提案を推進。また、AIと機械学習への継続的な投資により、映像表現のさらなる進化を追求し、より高品質なプレイヤー体験を提供。・全体として、AIはSIEのスタジオの創造性をさらに引き出し、より洗練されたユーザー中心のプラットフォームを支え、世界中のプレイヤーコミュニティ、豊富なIP資産、統合されたエコシステムに支えられたプレイステーションの体験をさらに向上させる。 4.クリエイティビティを支えるセンサー技術における競争力強化 長年にわたり蓄積してきたアナログ領域の知見を基盤として、中長期の事業成長と価値創出を見据えた形でセンサー技術の競争力を強化し、顧客に最高の撮影体験を提供している。 ・ソニーのイメージセンサーは、単なるスペック競争の段階を超え、画素構造、積層技術、回路、プロセスといった領域において長年培ってきた深いアナログ技術の知見を生かすことで、容易に模倣できない強みを有し、持続的な競争優位性を支えている。・I&SS分野の中核であるモバイル向けイメージセンサー事業では、さらなる高性能化をめざし、微細プロセス技術や積層技術による高密度化の開発を進める。・次世代イメージセンサーの開発・製造に関する戦略的提携に向けて法的拘束力をともなわないMOUをSSSがTSMCと締結。本提携のもと、ソニーが過半数の株式を保有し支配株主となる合弁会社を設立し、熊本県合志市に完成したソニーの新工場を活用した開発・生産ラインの構築に向けた検討を進める計画。 5.変化する世界への対応 AIインフラ需要の急拡大にともなう足元の半導体メモリ不足を含め、国際的なサプライチェーンに影響を与える技術的・地政学的変化に対して、慎重に対応している。地政学上の複雑化や急速な変化に直面する中でも、ソニーの事業と人材が持つ力と多様性がさらなる成長を支え続けていく。 第五次中期経営計画 経営数値目標及びキャピタルアロケーションとその進捗<経営数値目標とキャピタルアロケーション>・当社は、2024年5月14日に第五次中期経営計画の数値目標を発表しました。・第五次中期経営計画においては、利益ベースの成長をより重視することとし、金融分野を除く連結ベース*1の営業利益の成長率及び営業利益率をグループ全体の経営数値目標としました。具体的には、2024年度から2026年度の3年間の連結営業利益の年平均成長率を10%以上とすること、及び3年間累計の連結営業利益率を10%以上とすることを目標としています。・第五次中期経営計画におけるキャピタルアロケーションについては、設備投資に1.7兆円、戦略投資については、各事業における成長投資と機動的な自己株式の取得に1.8兆円を割り当てる計画としました。また、キャピタルアロケーションの主な原資である3年間累計の金融分野を除く連結ベースの営業キャッシュ・フローは、第五次中期経営計画期間における利益成長に加え、2021年度から2023年度の3年間の第四次中期経営計画期間で増加した運転資金の回収により、第四次中期経営計画の実績を上回る、4.5兆円の見通しとしました。・株主還元については、総還元性向を重視し、これを第五次中期経営計画期間を通して段階的に増加させ、最終年度の2026年度には、40%程度とすることを目標としました。 *1 金融事業のパーシャル・スピンオフの実行方針に係る2025年5月14日の取締役会決議にともない、2025年度第1四半期より、金融事業を非継続事業に分類し、金融事業を除く継続事業とは区分して表示しているため、2025年5月14日以降、第五次中期経営計画の経営数値目標は継続事業ベースの営業利益の成長率及び営業利益率としています。 <進捗>・2025年度については、グループ全体の利益成長を牽引するG&NS分野、音楽分野及びI&SS分野で過去最高益を更新し、継続事業ベースの営業利益額の2023年度からの年平均成長率は18%、2024年度及び2025年度の2年間累計の営業利益率は11.1%となりました。・キャピタルアロケーションについては、主たる原資である3年間累計の継続事業ベースの営業キャッシュ・フローの見通しを、2025年度の実績も踏まえ、前回見通しの4.8兆円から5.7兆円に見直しました。第五次中期経営計画では、株主還元強化を重要施策の一つと位置付けており、かかる原資の増加は、主に株主還元の増額に割り当てる計画です。戦略投資は1.8兆円と当初計画からの変更はありません。設備投資は当初計画の1.7兆円から1.8兆円に見直しました。・戦略投資の進捗については、2026年5月8日時点までの実行済及び意思決定済案件の合計が約1兆円となっています。株主還元については、2025年5月15日から2026年3月24日までの期間で総額5,000億円の自己株式取得を実施するとともに、2025年度には、株式分割考慮後*2で2024年度から1株につき5円増配となる年間25円(総額1,486億円)*3の配当を実施しました。2026年度については、2026年5月11日から2027年5月10日までの1年間で、5,000億円を上限とした自己株式取得枠を設定しており、配当は増配のペースを引き上げ、2025年度から1株につき10円増配*3となる年間35円を予定しています。 *2 当社は、2024年9月30日を基準日、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行いました。*3 上記の2025年度の1株当たり配当金の額及び2026年度の増配予定額は、金融事業のパーシャル・スピンオフによるSFGI株式の現物配当を考慮していません。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ソニーの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。 ソニーは、グローバルに多様な事業を展開しており、ウクライナ・ロシア情勢や中東情勢等の不透明さが増していることや、米中関係等の地政学リスクの高まり、人工知能(以下「AI」)のような技術の急速な進化、地球環境問題や社会の分断への対応等の世界情勢の変化により、ソニーの事業を取り巻く環境は大きく変化しています。 ソニーは、これらの事業環境の変化に迅速に対応し、各事業の収益構造の強化に取り組むとともに、長期視点の経営を重視し、グループ全体の企業価値向上のための取り組みを続けてきました。 2026年5月8日に開催した経営方針および業績に関する説明会では、社長 CEO(最高経営責任者)の十時裕樹が、2024年度から2026年度の3年間の中期経営計画(以下「第五次中期経営計画」)の最終年度を迎えるにあたり、現在のソニーの事業の状況と、経営上の重点テーマ及び今後の方向性について説明しました。 ソニーは、エンタテインメント、IP、コンテンツクリエイション及びリアルタイム・クリエイション技術を軸とした事業の進化の方向性を示す長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」を掲げ、テクノロジーの力でクリエイターを支援し、リアルとデジタルの両方の空間でファンに新たな体験を届け、IPの価値を最大化することをめざしています。説明会の冒頭では、十時が、長期ビジョンの実現に向けた進捗について、各事業における主なトピックとともに振り返りました。続けて、アニメがソニーにとって重要な成長領域であると述べ、その取り組みを紹介するとともに、アニメDTCプラットフォームCrunchyrollの有料会員数が2026年3月末時点で2,100万人を突破したことを発表しました。 十時は、AIはソニーグループの各事業にとって最重要テーマの一つであり、新たな価値創出を促し、エンタテインメント領域で新しい成長機会を生み出す可能性がある一方で、人のクリエイティビティが常に中心にあるべき、との考えを強調しました。また、「AIはアーティストやクリエイターに取って代わるものではない」と述べ、各事業でAIがどのように活用されているかについて具体例を紹介しました。加えて、G&NS分野におけるAIの活用事例を、SIEの社長 CEOの西野秀明が紹介しました。 続いて十時より、SSSが、イメージセンサー事業の成長と収益性の改善をめざし、次世代イメージセンサーの開発・製造に関する戦略的提携に向けて、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited(以下「TSMC」)との間で法的拘束力をともなわない基本合意書(以下「MOU」)を締結したことを発表しました。 また、技術的・地政学的な変化が起こる中、各事業を推進していく上で、適応力が重要であると強調し、ソニーの事業と人材の多様性が今後もソニーの成長を支えていくと締めくくりました。 2026年5月8日の経営方針および業績に関する説明会において発表した経営方針の詳細は、以下のとおりです。 1.「Creative Entertainment Vision」の推進 ソニーは「Creative Entertainment Vision」のもと、テクノロジーの力でクリエイターを支援し、リアルとデジタルの両空間でファンに新たな体験を届けるとともに、エンタテインメント事業におけるIP価値最大化をめざしている。 ・アニメ領域では、制作からファンエンゲージメント、マーケティング、グローバル配信に至るまで、グループ各社及び戦略パートナーと連携し、シナジーを生み出している。これにより、アニメを世界中の幅広いオーディエンスへ届けることが可能となっている。・㈱アニプレックス(以下「Aniplex」)とパートナー各社による世界的な大ヒット作『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、アニメの世界的な急成長を象徴している。・Crunchyrollは、2026年3月末時点で、世界で2,100万人を超える有料会員を擁している。成長をさらに加速させるため、「クランチロール アニメアワード」では、㈱Gaudiyとのパートナーシップのもと、MyAnimeListをファン投票のプラットフォームとして初導入したほか、今秋には各分野を牽引する企業が一堂に会する「クランチロール アニメ・フューチャー・フォーラム」を初開催し、アニメファンや日本のパブリッシャー、クリエイターとの関係強化を進めていく。 2.事業ポートフォリオの最適化 第五次中期経営計画期間において、主に以下の施策を通じて事業ポートフォリオの最適化を進めている。・金融事業のパーシャル・スピンオフを2025年10月1日付で実行。・ET&S分野のホームエンタテインメント領域における戦略的提携に向けた確定契約をソニー㈱がTCL Electronics Holdings Limited及びその子会社(以下「TCL」)と2026年3月31日に締結。 こうした施策と並行して、成長が期待され、競争優位性の高い領域への投資も継続している。・㈱バンダイナムコホールディングス(以下「バンダイナムコ」)との戦略的業務提携により、アニメ領域等における競争力を強化。・WildBrain Ltd.が保有するPeanuts Holdings LLC(以下「Peanuts Holdings」)の持分を追加取得し、持分比率を80%に引き上げ。・Pink Floyd及びQueenのカタログ取得に続き、米国ソニー・ミュージックグループがGIC Private Limitedと提携する等、音楽IPへの継続的な投資を実施。 3.AIによる成長の推進 AIは、新たな価値創出と成長機会をもたらす一方、アーティストやクリエイターに取って代わるものではなく、人の可能性を引き出すツールであるという前提のもと、各事業におけるAIの活用事例を紹介。 (1)AIが果たす役割・AIは単なる効率化のためのツールではなく、創造性を広げ、クリエイターを力強く支える機会をもたらす。時間やコストの制約で困難だった、より革新的なプロジェクトへの挑戦を促進している。・バンダイナムコと、生成AIを含む最新技術の活用に関する試験的な取り組みを継続し、映像制作の大幅な速度向上や、一人あたりの生産性向上といった成果を確認。今後もソニーが持つ技術と生成AIを統合することで、クリエイターが感性を最大限に拡張し、安心して利用できる制作基盤の確立をめざす。 (2)AIによるプレイステーションの体験進化・AIによって制作のハードルが下がり、コンテンツの量と多様性が増す中、プレイステーションプラットフォームとスタジオは、高品質な体験を提供し、プレイヤーが最適なコンテンツに出会えるようにする上で、引き続き重要な役割を果たす。・スタジオビジネスでは、AIを活用したツールが、ソフトウェア開発、品質保証、3Dモデリング、アニメーションなどの領域において、反復作業を自動化し、生産性を向上。これにより、制作チームはより豊かな世界観やゲーム体験の創出に注力できる。・プラットフォームビジネスでは、AIが大規模な効率化や、一人ひとりに最適化された体験の提案を推進。また、AIと機械学習への継続的な投資により、映像表現のさらなる進化を追求し、より高品質なプレイヤー体験を提供。・全体として、AIはSIEのスタジオの創造性をさらに引き出し、より洗練されたユーザー中心のプラットフォームを支え、世界中のプレイヤーコミュニティ、豊富なIP資産、統合されたエコシステムに支えられたプレイステーションの体験をさらに向上させる。 4.クリエイティビティを支えるセンサー技術における競争力強化 長年にわたり蓄積してきたアナログ領域の知見を基盤として、中長期の事業成長と価値創出を見据えた形でセンサー技術の競争力を強化し、顧客に最高の撮影体験を提供している。 ・ソニーのイメージセンサーは、単なるスペック競争の段階を超え、画素構造、積層技術、回路、プロセスといった領域において長年培ってきた深いアナログ技術の知見を生かすことで、容易に模倣できない強みを有し、持続的な競争優位性を支えている。・I&SS分野の中核であるモバイル向けイメージセンサー事業では、さらなる高性能化をめざし、微細プロセス技術や積層技術による高密度化の開発を進める。・次世代イメージセンサーの開発・製造に関する戦略的提携に向けて法的拘束力をともなわないMOUをSSSがTSMCと締結。本提携のもと、ソニーが過半数の株式を保有し支配株主となる合弁会社を設立し、熊本県合志市に完成したソニーの新工場を活用した開発・生産ラインの構築に向けた検討を進める計画。 5.変化する世界への対応 AIインフラ需要の急拡大にともなう足元の半導体メモリ不足を含め、国際的なサプライチェーンに影響を与える技術的・地政学的変化に対して、慎重に対応している。地政学上の複雑化や急速な変化に直面する中でも、ソニーの事業と人材が持つ力と多様性がさらなる成長を支え続けていく。 第五次中期経営計画 経営数値目標及びキャピタルアロケーションとその進捗<経営数値目標とキャピタルアロケーション>・当社は、2024年5月14日に第五次中期経営計画の数値目標を発表しました。・第五次中期経営計画においては、利益ベースの成長をより重視することとし、金融分野を除く連結ベース*1の営業利益の成長率及び営業利益率をグループ全体の経営数値目標としました。具体的には、2024年度から2026年度の3年間の連結営業利益の年平均成長率を10%以上とすること、及び3年間累計の連結営業利益率を10%以上とすることを目標としています。・第五次中期経営計画におけるキャピタルアロケーションについては、設備投資に1.7兆円、戦略投資については、各事業における成長投資と機動的な自己株式の取得に1.8兆円を割り当てる計画としました。また、キャピタルアロケーションの主な原資である3年間累計の金融分野を除く連結ベースの営業キャッシュ・フローは、第五次中期経営計画期間における利益成長に加え、2021年度から2023年度の3年間の第四次中期経営計画期間で増加した運転資金の回収により、第四次中期経営計画の実績を上回る、4.5兆円の見通しとしました。・株主還元については、総還元性向を重視し、これを第五次中期経営計画期間を通して段階的に増加させ、最終年度の2026年度には、40%程度とすることを目標としました。 *1 金融事業のパーシャル・スピンオフの実行方針に係る2025年5月14日の取締役会決議にともない、2025年度第1四半期より、金融事業を非継続事業に分類し、金融事業を除く継続事業とは区分して表示しているため、2025年5月14日以降、第五次中期経営計画の経営数値目標は継続事業ベースの営業利益の成長率及び営業利益率としています。 <進捗>・2025年度については、グループ全体の利益成長を牽引するG&NS分野、音楽分野及びI&SS分野で過去最高益を更新し、継続事業ベースの営業利益額の2023年度からの年平均成長率は18%、2024年度及び2025年度の2年間累計の営業利益率は11.1%となりました。・キャピタルアロケーションについては、主たる原資である3年間累計の継続事業ベースの営業キャッシュ・フローの見通しを、2025年度の実績も踏まえ、前回見通しの4.8兆円から5.7兆円に見直しました。第五次中期経営計画では、株主還元強化を重要施策の一つと位置付けており、かかる原資の増加は、主に株主還元の増額に割り当てる計画です。戦略投資は1.8兆円と当初計画からの変更はありません。設備投資は当初計画の1.7兆円から1.8兆円に見直しました。・戦略投資の進捗については、2026年5月8日時点までの実行済及び意思決定済案件の合計が約1兆円となっています。株主還元については、2025年5月15日から2026年3月24日までの期間で総額5,000億円の自己株式取得を実施するとともに、2025年度には、株式分割考慮後*2で2024年度から1株につき5円増配となる年間25円(総額1,486億円)*3の配当を実施しました。2026年度については、2026年5月11日から2027年5月10日までの1年間で、5,000億円を上限とした自己株式取得枠を設定しており、配当は増配のペースを引き上げ、2025年度から1株につき10円増配*3となる年間35円を予定しています。 *2 当社は、2024年9月30日を基準日、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行いました。*3 上記の2025年度の1株当たり配当金の額及び2026年度の増配予定額は、金融事業のパーシャル・スピンオフによるSFGI株式の現物配当を考慮していません。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。(1)重要な会計上の見積り IFRSに従った連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような、マネジメントによる見積り及び仮定を必要とします。ソニーは、継続的に、過去のデータ、将来の予測及び状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な仮定にもとづき見積りを評価します。これらの評価の結果は、他の方法からは容易に判定しえない資産・負債の簿価あるいは費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、これらの見積りと大きく異なる場合があります。ソニーは、会社の財政状態や業績に重要な影響を与え、かつその適用にあたってマネジメントが重要な判断や見積りを必要とするものを重要な会計上の見積りであると考えます。ソニーは、以下に述べる項目を会社の重要な会計上の見積りとして考えています。なお、重要な会計上の見積りの各項目に関連する会計方針については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『2.作成の基礎』及び『3.重要性がある会計方針の要約』をご参照ください。非金融資産の減損 ソニーは、棚卸資産、契約コスト及び繰延税金資産を除く非金融資産について、個々の資産又は資金生成単位に係る減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能性の検討を行っています。これに加え、各資金生成単位に配分されているのれん、耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産の帳簿価額については、年に1回第4四半期に減損テストを実施しています。 当年度の減損判定において、主に映画分野でのれんを持つ資金生成単位において、のれんの減損損失を認識しましたが、当該資金生成単位を除き、のれんを持つ資金生成単位の回収可能価額は帳簿価額を超過していたため、のれんの減損損失を認識することはありませんでした。また、重要なのれんを持つ資金生成単位において回収可能価額は帳簿価額を少なくとも10%以上超過しています。耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産においても、回収可能価額が帳簿価額を超過していたため、減損損失を認識することはありませんでした。 中期計画を除く、2025年度ののれんの減損判定において実施された資金生成単位の回収可能価額への影響に関する感応度分析を含む重要な前提の検討は下記のとおりです。詳細は「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『11.のれん及び無形資産』をご参照ください。・税引後割引率は6.0%から15.5%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、割引率を1ポイント増加させた場合においても、重要なのれんの減損損失を認識することはありませんでした。・G&NS分野、ET&S分野、I&SS分野の資金生成単位におけるターミナル・バリューに適用された成長率は2.0%です。音楽分野の資金生成単位における中期計画を超える期間の成長率は1.0%から3.4%の範囲、映画分野では△5.0%から10.0%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、成長率を1ポイント減少させた場合においても、重要なのれんの減損損失を認識することはありませんでした。・映画分野の資金生成単位におけるターミナル・バリューの算定に使用される利益倍率は8.9から11.0、収益倍率は1.5です。他の全ての前提を同一とし、利益倍率を1.0、収益倍率を0.25それぞれ減少させた場合においても、重要なのれんの減損損失を認識することはありませんでした。 マネジメントは、のれんの減損判定における回収可能価額の見積りに用いられた前提は、合理的であると考えています。しかしながら、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、回収可能価額の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、結果として、将来においてソニーが非金融資産の減損損失を認識することになる可能性があります。企業結合 被取得企業における識別可能資産及び負債は、限定的な例外を除き、取得日の公正価値で測定しています。 企業結合で移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額及びソニーが従来保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能資産及び負債の正味価額を上回る場合にはその超過額がのれんとして認識され、下回る場合には純利益として認識されます。 見積りや前提には固有の不確実性が含まれるため、この移転された対価は異なる金額で評価され、識別可能資産及び負債に割り当てられる可能性があります。実際の結果が異なる可能性があること又は予想しない事象及び状況がこのような見積りに影響を与える可能性があることから、識別可能資産及びのれんの減損損失の計上又は識別可能負債の増加が必要となる可能性があります。 映画分野における予想総収益の見積り 映画会計においては、作品のライフサイクルを通した予想総収益を見積もる過程でマネジメントの判断が必要となります。この予想総収益の見積りは、繰延映画製作費及び映画分野における未払分配金債務の測定にあたり重要となります。 映画作品が製作され関連する費用が資産化される際に、その繰延映画製作費の公正価値が減損し、回収不能と見込まれる額を評価減する必要があるかどうかを決定するため、マネジメントは発生時に費用化される配給関連費用を含む追加で発生する費用を控除した予想総収益を見積もる必要があります。また、映画作品に関する売上原価として認識される繰延映画製作費の額は、その映画作品がそのライフサイクルにおいて様々な市場で公開されることから、残りの予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合にもとづいて計上されています。 マネジメントが各作品の予想総収益を見積もる際に基礎とするのは、同種の過去の作品の収益、主演俳優の人気度、その作品の公開される予測映画館数、BD/DVD等のパッケージメディアやデジタル販売、テレビ放映及びその他の付随マーケットでの期待収益ならびに将来の売上に関する契約等です。この見積りは、各作品の直近までの実現収益及び将来予測収益にもとづいて定期的に見直されます。例えば、公開当初数週間の劇場収入が予想を下回った場合には、通常、劇場、BD/DVD等のパッケージメディアやデジタル販売、及びテレビ放映の生涯収益等を下方に修正することになります。そのような下方修正を行わなかった場合、当該期間における繰延映画製作費の償却費の過少計上になる可能性があります。さらに、未払分配金債務は残りの予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合に応じて計上されます。 繰延税金資産の評価 繰延税金資産は、将来それらを利用できる課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識しています。したがって、繰延税金資産の計上金額は、繰延税金資産の回収可能性に関連する入手可能な証拠にもとづいて、定期的に評価されます。 繰延税金資産の評価は、財政状態計算書日時点で適用されている税制や税率にもとづいており、また、ソニーの財務諸表及び税務申告書で認識されている事象に関して将来に起こり得る税務上の結果についてのマネジメントの判断と最善の見積り、様々な税務戦略を実行する能力、一定の場合においての将来の結果に関する予測、事業計画及びその他の見込みを反映しています。ソニーが事業を行っているそれぞれの税務管轄における現在の税制や税率の改正は、実際の税務上の結果に影響を与える可能性があり、市場経済の悪化やマネジメントによる構造改革の目標未達は、将来における業績に影響を与える可能性があります。そして、これらのいずれかが、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性があります。将来の結果が計画を下回る場合、税務調査の結果や連結会社間の移転価格に関する事前確認制度の交渉が現在の損益配分に関する予想と異なる結果となる場合、及び税務戦略の選択肢が実行可能ではなくなる場合や売却を予定する資産の価値が税務上の簿価を下回ることになる場合には、繰延税金資産に対して評価減の計上が要求される可能性があります。一方、将来の予測される利益の改善や継続した利益の計上、ビジネス構造の変革といった他の要因によって、関連し得る要因の評価の結果、将来において、税金費用の減額をともなう評価減の戻し入れが計上される可能性があります。現在の見込みにおいて予想していないこれらの起こり得る要因や変化は、評価減が計上又は取崩される期間において、ソニーの業績又は財政状態に重要な影響を与える可能性があります。 (2)生産、受注及び販売の状況 ソニーの生産・販売品目は極めて広範囲かつ多種多様であり、また、ゲーム機やゲームソフト、音楽・映像ソフト、エレクトロニクス機器等は、その性質上、原則として見込生産を行っているため、分野別に生産規模及び受注規模を金額又は数量で示すことはしていません。販売の状況については後述の「(3)経営成績の分析」において各分野の業績に関連付けて示しています。 (3)経営成績の分析 連結業績概況 継続事業*:2024年度(億円)2025年度(億円)売上高120,349124,796営業利益12,76614,475税引前利益13,43214,224当社株主に帰属する当期純利益10,67410,309 * 上記の表には継続事業のみの金額を表示しています。2025年度の非継続事業を含む連結の当社株主に帰属する当期純利益(損失)は3,269億円の損失(前年度は1兆1,416億円の利益)となりました。 2025年度の業績は、以下のとおりです((+)は主な改善要因、(-)は主な悪化要因)。 売上高:12兆4,796億円(前年度比4,447億円増収) (+)I&SS分野、音楽分野の増収 (売上高の内訳の詳細は、後述の「分野別営業概況」参照) (後述の比率分析のうち、セグメントに関するものについては、セグメント間取引を含んで計算されています。) 売上原価:8兆6,352億円(前年度比1,304億円増加) 売上高に対する比率は前年度の70.7%から69.2%に改善。 研究開発費(売上原価に全額含まれる):7,620億円(前年度比274億円増加) 売上高に対する比率は6.1%(前年度は6.1%)。 (詳細は「第2 事業の状況」『6 研究開発活動』参照) 販売費及び一般管理費:2兆2,986億円(前年度比418億円増加) 売上高に対する比率は前年度の18.8%から18.4%に改善。 その他の営業損(益)(純額):341億円の損失(前年度は112億円の利益) (-)Bungieの無形資産等の減損1,201億円(G&NS分野) (+)金融事業のパーシャル・スピンオフの実行にともなう過年度に当社からソニー生命に譲渡した土地に係る未実現利益の実現439億円(全社(共通)及びセグメント間取引消去) (+)Peanuts Holdingsの持分追加取得にともなう再評価益347億円(音楽分野) (「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『23.連結損益計算書についての補足情報』参照) 持分法による投資利益(損失):642億円の損失(前年度は79億円の損失) (-)その他分野におけるソニー・ホンダモビリティのEVモデルの発売中止にともなう持分法投資損失の追加計上449億円 営業利益:1兆4,475億円(前年度比1,709億円増加) (+)I&SS分野及び音楽分野の増益 金融収益:760億円(前年度比630億円減少)金融費用:1,012億円(前年度比287億円増加)金融収益及び費用(純額):251億円の費用(前年度は666億円の収益) (-)Spotify Technology S.A.株式等の評価益の減少 税引前利益:1兆4,224億円(前年度比792億円増加) 法人所得税:3,671億円(前年度比1,096億円増加)実効税率:25.8%(前年度は19.2%) 税率の変動は主に以下の要因の影響によるものです。 ・2024年度において子会社からの資本の払い戻しにともなう税金費用の減少があったことの反動(484億円) ・2024年度において子会社の解散にともなう税金費用の減少があったことの反動(353億円) (「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『25.法人所得税』参照) 非支配持分に帰属する当期純利益:244億円(前年度比61億円増加) 継続事業からの当社株主に帰属する当期純利益:1兆309億円(前年度比365億円減少) 継続事業からの基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益:172.51円(前年度は176.45円)継続事業からの希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益:171.44円(前年度は175.71円) (当社は、2024年9月30日を基準日、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行いました。上記の基本的1株当たり当期純利益及び希薄化後1株当たり当期純利益は、前年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しています。1株当たり当社株主に帰属する当期純損益の詳細については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『26.基本的及び希薄化後EPSの調整表』参照) 分野別営業概況 以下の情報はセグメント情報にもとづきます。各分野の売上高はセグメント間取引消去前のものであり、また各分野の営業損益はセグメント間取引消去前のもので配賦不能費用は含まれていません。(「第5 経理の状況」 連結財務諸表注記『4.セグメント情報』参照) G&NS分野 主要経営数値 2024年度(百万円)2025年度(百万円)製品部門別の外部顧客向け売上高 デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツ2,290,4982,415,305ネットワーク669,873763,126ハードウェア・その他1,583,2001,391,622外部顧客向け売上高の合計4,543,5714,570,053セグメント間取引126,473115,598セグメント売上高4,670,0444,685,651セグメント営業利益414,819463,258 2025年度のG&NS分野の業績は、以下のとおりです。 売上高:4兆6,857億円(前年度比ほぼ横ばい、為替影響:+873億円) (+)為替の影響 (+)ネットワークサービスの増収 (+)自社制作以外のゲームソフトウェア販売増加 (-)販売台数減少によるハードウェアの減収 営業利益:4,633億円(前年度比484億円増益、為替影響:+543億円) (+)ネットワークサービスの増収の影響 (+)為替の好影響 (-)Bungieの無形資産等の減損(1,201億円) 事業環境及び事業戦略 2025年度の当分野の業績は、拡大したPS5のインストールベースを背景とした、ネットワークサービスとゲームソフトウェア販売からの安定的な収益拡大を反映し、当分野として過去最高益を更新しました。このような環境下、ソニーは、プレイステーション®プラス(以下「PS Plus」)の収益拡大、プレイステーション®ストアにおけるユーザー一人当たりの平均売上高の最大化、自社制作のゲームソフトウェアの販売拡大、及びコストコントロールとサプライチェーン管理の強化を通じて、安定した事業成長をめざしています。具体的には、ハードウェアについては、半導体メモリの価格高騰及び供給不足の影響があるものの、販売台数やプロモーション等の計画を柔軟に見直し、損益への影響をマネージしていきます。ネットワークサービスについては、PS Plusにおいて、ユーザーエンゲージメントを高めるとともに、サービスやコンテンツの価値を継続的に向上させ、上位ティアへのユーザーの移行を促すことで、利益成長に注力しています。また、自社制作以外のゲームソフトウェアについては、サードパーティスタジオとの関係性を維持・強化し、主要なフランチャイズ作品からの安定的な収益貢献を継続させるとともに、新たなヒット作品の創出のためのクリエイター支援の取り組みも継続していきます。自社制作のゲームソフトウェアにおいては、ソニーが従来から強みを持つシングルプレイヤーゲームを毎年継続的にリリースするとともに、ライブサービスゲームのポートフォリオ構築にも取り組むことで、安定した収益基盤の構築に注力しています。また、AIを活用して、スタジオの創造性をさらに引き出し、プレイステーションの体験をさらに向上させることに取り組んでいます。スタジオビジネスでは、制作チームがより豊かな世界観やゲーム体験の創出に注力できるよう、AIを活用したツールによる生産性の向上を図っています。プラットフォームビジネスでは、プレイステーションストアにおける決済処理の効率化やユーザー一人ひとりに最適化されたコンテンツの提案へのAIの活用に取り組んでいます。また、AI及び機械学習への投資を通じて映像表現のさらなる進化を追求し、より高品質なゲーム体験の提供をめざします。さらに、プレイステーションのゲームIPの映画化・テレビ番組化の取り組みを継続し、IPのさらなるリーチ拡大と収益化を図っていきます。音楽分野 音楽分野の業績には、日本のSMEJの円ベースでの業績、ならびにその他全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、SME及びSMPの円換算後の業績が含まれています。 主要経営数値 2024年度(百万円)2025年度(百万円)ビジネス部門別の外部顧客向け売上高 音楽制作(ストリーミング)788,772852,672音楽制作(その他)407,260492,656音楽出版379,812419,864映像メディア・プラットフォーム244,419325,342外部顧客向け売上高の合計1,820,2632,090,534セグメント間取引22,34129,576セグメント売上高1,842,6042,120,110セグメント営業利益357,255446,986 2025年度の音楽分野の業績は、以下のとおりです。 売上高:2兆1,201億円(前年度比2,775億円増収、為替影響:△169億円) (+)音楽制作及び音楽出版におけるストリーミングサービスからの収入増加 (+)音楽制作における興行・物販からの収入増加 (+)映像メディア・プラットフォームの増収(+)2025年度に公開した『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』及び『国宝』の貢献(+)モバイル向けを中心としたゲームアプリケーションの収入増加 営業利益:4,470億円(前年度比897億円増益) (+)増収の影響 (+)Peanuts Holdingsの持分追加取得にともなう再評価益の計上(347億円) 事業環境及び事業戦略 2025年度の当分野の業績は、音楽ストリーミング市場の拡大が続く中、これまで積極的に行ってきた才能あるアーティストやソングライターの発掘・育成の強化及び音楽カタログへの投資によるストリーミングサービスからの収入の安定的な成長を反映したものとなりました。また、映像メディア・プラットフォームにおける『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の世界的ヒットも、当分野の売上成長に貢献しました。このような環境下、ソニーは、グローバル音楽事業においては、配信プラットフォーム各社との強固な関係を維持しながら、事業全体ならびにラテンアメリカ、インド及びその他アジア諸国等の、拡大する新興市場での事業成長をめざしています。この成長を実現するため、優良な音楽カタログへの戦略的投資機会の継続的な探索による収益機会の拡大、アーティストやソングライターの発掘・育成及びローカルのインディーズレーベルやアーティストとの関係構築・強化、The OrchardやAWAL等のインディーズレーベル向けディストリビューションやインディーズアーティスト向けサービスの収益拡大に取り組んでいます。また、アーティストやコンテンツのファンに向けたライブ興行・物販等の事業展開にも注力しています。加えて、ソニー・ミュージック所属アーティストの伝記映画やドキュメンタリー、ライブイベントを通じたIP活用の拡大にも引き続き取り組んでいます。さらに、様々なパートナーと連携して、革新的な音楽コンテンツの創出や新しいアイデアの実現のためのツールとしてのAI等の最先端技術の活用を探求するとともに、ライセンス契約を通じた新たな収益チャネルの開拓・拡大を進めていきます。同時に、アーティストの権利保護やAIで生成された楽曲に関する消費者への透明性の確保等にも引き続き取り組んでいきます。日本国内の音楽事業においては、YOASOBIや米津玄師といったJ-POPアーティストの海外展開のさらなる拡大を進めていきます。映像メディア・プラットフォームにおいては、アニメ事業のさらなる成長に向けて、有力IPの新規開発及び獲得のための企画力・制作力の強化と、基幹IPの海外市場を含む展開力強化を進めていきます。また、2026年3月に、「ピーナッツ」IPの権利保有・事業運営を行うPeanuts Holdingsの持分を追加取得し、ソニーグループの強みを生かして、長期視点でさらなる事業拡大とブランド価値の一層の向上に取り組んでいきます。ゲーム事業においては、新規タイトルによるヒット創出と既存タイトルのライフタイムバリュー最大化の両立に引き続き取り組んでいきます。映画分野 映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結しているSPEの円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。 主要経営数値 2024年度(百万円)2025年度(百万円)ビジネス部門別の外部顧客向け売上高 映画製作610,313495,655テレビ番組制作459,281512,372メディアネットワーク428,940478,269外部顧客向け売上高の合計1,498,5341,486,296セグメント間取引7,41012,994セグメント売上高1,505,9441,499,290セグメント営業利益117,284104,872 2025年度の映画分野の業績は、以下のとおりです(要因分析は米ドルベース)。 売上高:1兆4,993億円(前年度比ほぼ横ばい、米ドルベース:18百万米ドル増収) (+)有料会員数の増加及び『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』のグローバル配給*によるCrunchyrollの増収 (+)テレビ番組制作における納入作品数の増加 (-)映画製作における当年度劇場公開作品からの収入減少 * Crunchyrollとソニー・ピクチャーズは、日本と一部のアジア地域を除く全世界で同作品の配給を行いました。 営業利益:1,049億円(前年度比124億円減益、米ドルベース:87百万米ドル減益) (-)VFX事業やバーチャルプロダクション事業等を運営するPixomondo Holdings, Inc.及びその連結子会社の資産の減損及び事業収束に関連する費用(271億円) (-)映画製作における減収の影響 (+)映画製作におけるカタログ作品の貢献の増加 (+)Crunchyrollの増収の影響 事業環境及び事業戦略 2025年度の当分野の業績は、当年度劇場公開作品からの収入減少があったものの、有料会員数の増加及び『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』のグローバル配給による、アニメDTCプラットフォームであるCrunchyrollの業績貢献の拡大等を反映したものとなりました。このような環境下、ソニーは、あらゆる配信プラットフォームにコンテンツを提供できる独立系コンテンツサプライヤーとしての強みを活かし、引き続きIPの長期的な価値最大化をめざします。映画製作においては、映画作品の劇場公開を重視する戦略を継続するとともに、グローバルでのマーケティング及び劇場配給の能力により、タレントやクリエイターとの関係を強化しています。2026年度には、『Spider-Man: Brand New Day』や『Jumanji: Open World』をはじめとする、強力なIPの映画作品の劇場公開を予定しています。テレビ番組制作においては、多様なジャンルにおける制作能力を引き続き強化するとともに、スピンオフ作品の開発等によるフランチャイズの拡大に積極的に取り組んでいきます。メディアネットワークにおいては、CrunchyrollやSonyLIV等のDTCサービスの展開をさらに強化していきます。特に、Crunchyrollは、当分野の成長の重要な柱であり、ストリーミングサービスにとどまらず、アニメグッズ等のeコマース、アニメイベント、モバイルゲーム、マンガアプリ等を通じてファンとのタッチポイントを拡大し、より幅広い視聴者にリーチしていきます。また、当分野は、ソニーグループ内の事業間シナジーやコラボレーションを生み出すハブの役割を担い、「Creative Entertainment Vision」の実現に貢献することをめざします。例えば、Aniplex、SMEJ及びPlayStation Productionsによる『Ghost of Tsushima』のアニメシリーズ化、SPEとPlayStation Productionsによる『Bloodborne』及び『HELLDIVERS』の映画化等、今後もプレイステーションのゲームIPを題材とした作品展開やアニメ領域におけるグループ内コラボレーションを拡大していきます。 ET&S分野 主要経営数値 2024年度(百万円)2025年度(百万円)製品部門別の外部顧客向け売上高 イメージング737,639722,465サウンド290,538278,846ネットワークサービス179,704188,308ディスプレイ597,777476,305その他557,180518,891外部顧客向け売上高の合計2,362,8382,184,815セグメント間取引46,43775,717セグメント売上高2,409,2752,260,532セグメント営業利益190,926158,584 2025年度のET&S分野の業績は、以下のとおりです。 売上高:2兆2,605億円(前年度比1,487億円減収、為替影響:+71億円) (-)ディスプレイにおける販売台数減少 営業利益:1,586億円(前年度比323億円減益、為替影響:+53億円) (-)ディスプレイにおける減収の影響 (+)オペレーション費用の削減 事業環境及び事業戦略 2025年度の当分野の業績は、ディスプレイにおける競争の激化や米国追加関税等の厳しい事業環境の中、これらの環境変化に柔軟に対応するための徹底した在庫管理や固定費削減等の収益性を重視する取り組みを反映したものとなりました。このような環境下、ソニーは、収益性の高いイメージング事業等のクリエイションを軸とした事業の拡大を着実に進めており、「収益性維持と成長戦略を両立する事業構造の確立」という経営方針の下、「企業価値向上」と「キャッシュ創出」を目標に掲げ、中期的な事業の変革を推進しています。当分野では、各事業を「領域拡大」、「成長・創出」、「構造改革・転換」の3つの領域に分けています。「領域拡大」領域であるイメージング事業及びサウンド事業では、安定収益基盤を強化し、事業領域を拡大させ、さらなる成長をめざします。具体的には、イメージング事業では、優れた技術力・商品力による競争優位性で事業領域を拡大し、エコシステムを構築していきます。サウンド事業においても、サウンド制作からコンスーマー製品まで、End to Endのエコシステムの構築をめざします。イメージング事業のソリューションや、サウンド事業のクリエイションを含む領域では、既存のビジネスで培った技術をベースにソフトウェアの付加価値を加えることでクリエイターの表現力を拡張し、クリエイションの多様化により事業を拡大させ、クリエイターのすそ野も拡大していきます。「成長・創出」領域であるスポーツ事業やニューコンテンツクリエイション事業では、事業モデルの進化と新たな事業創出をめざします。具体的には、スポーツ事業では、判定支援から、データエンハンスメントのテクノロジーを活用した新たなエンタテインメントの創造へと事業を進化させていきます。ニューコンテンツクリエイション事業においては、空間キャプチャリングやクリエイティブツールのテクノロジーを活用し、新たなクリエイション産業の創出をめざします。「構造変革・転換」領域であるディスプレイ事業では、構造変革を加速し、ボラティリティの低減を進め、リスクのコントロールをめざします。2026年3月に、ソニー㈱とTCLとの間でホームエンタテインメント領域における戦略的提携に関する確定契約を締結し、今後は、ソニーの高画質・高音質技術、ブランド力、オペレーションマネジメント力と、TCLの先端ディスプレイ技術、コスト競争力、垂直統合されたサプライチェーンといった両社の強みを結集することで、同事業の競争力をさらに強化し、持続的な事業成長をめざします。なお、当分野では、足元の半導体メモリ価格の高騰及び供給不足に対して、調達・設計・販売の各領域での対応する施策を通じて影響を抑制していく計画であり、今後、半導体メモリ価格がさらに変動した場合も、為替や競合環境等を踏まえながら、柔軟に販売戦略等を見直し、収益の維持に努めます。 I&SS分野 主要経営数値 2024年度(百万円)2025年度(百万円)外部顧客向け売上高の合計1,712,5342,059,020セグメント間取引86,47192,513セグメント売上高1,799,0052,151,533セグメント営業利益261,147357,318 2025年度のI&SS分野の業績は、以下のとおりです。 売上高:2兆1,515億円(前年度比3,525億円増収、為替影響:△150億円) (+)モバイル機器向けイメージセンサーの増収(+)製品ミックスの改善(+)販売数量の増加 営業利益:3,573億円(前年度比962億円増益、為替影響:△125億円) (+)増収の影響 (-)構造改革費用の計上(-)Sony Semiconductor Israel Ltd.の持分売却にともなう損失(199億円)(-)ディスプレイデバイス事業に関連する固定資産の一部減損(165億円) 事業環境及び事業戦略 2025年度の当分野の業績は、一時的な構造改革費用の計上があったものの、主にハイエンドスマートフォンを中心にモバイル機器向けイメージセンサーの大判化、高画質・高性能化の傾向が継続したことや、販売数量の増加により、売上高及び営業利益ともに過去最高を更新しました。このような環境下、ソニーは、イメージセンサーにおける世界No.1ポジションをさらに強固なものとし、事業環境の不確実性が増している中でも収益性をともなう成長を実現するために経営基盤の再構築に取り組んでいます。当分野では、各事業を「成長牽引事業領域」、「収益事業領域」、「戦略事業領域」の3つに分け、それぞれの戦略の方向性を踏まえて事業を運営しています。成長牽引事業領域であるモバイル機器向けイメージセンサー事業では、競争に勝ち抜くための技術力強化と成長投資を継続します。2026年度は、モバイル機器向けイメージセンサーの大判化の進展が一旦緩やかになる見通しであること、半導体メモリ市況の影響に不透明さが残ることなどから、市場の成長を慎重に見ているものの、中長期的な大判化進展のトレンドには変わりはないとみています。今後は大判化に加えて、イメージセンサーのさらなる高付加価値化を実現し、動画を活用した様々なクリエイションに貢献するために、先端プロセス技術の開発として、プロセスノードの適合化による平面方向の高密度化と、積層技術による多層化を通じた垂直方向の高密度化による技術革新に取り組み、さらなる事業成長を図ります。収益事業領域であるカメラ及び産業・社会インフラ向けイメージセンサー事業においては、高い競争力を堅持し安定した収益貢献をめざします。戦略事業領域である車載向けイメージセンサー事業や半導体レーザー事業等については、将来のビジネスの柱とすべく、事業拡大と収益とのバランスを取りながら、規律を持った事業運営を行っていきます。車載向けイメージセンサー事業はこれまで順調に成長しており、金額シェアは想定どおり拡大しています。市場が拡大する中で、センサー特性の総合力を一層強化し、引き続きグローバルでOEMやパートナーとの関係構築・強化を進め、収益拡大をめざします。また、低収益事業の見直し施策を実施し、当分野の収益性向上に取り組んでいます。このような状況のもと、当分野の設備投資については、第五次中期経営計画期間においては投資を厳選し、第四次中期経営計画比で減らしていく方向性には変わりはありません。また、2026年5月、SSSは、TSMCとの間で、次世代イメージセンサーの開発・製造に関する戦略的提携に向けたMOUを締結しました。本提携により、ソニーの高い設計技術とTSMCのプロセス・製造技術を組み合わせ、高密度化等の将来のイメージセンサーの技術競争力を大きく高めていくことに加えて、車載やロボティクス等の「フィジカルAI」応用領域における新たな機会の探索・対応も進めていく方針であり、将来のイノベーションやさらなる技術発展に向けた基盤を築くことをめざします。財務面では、本提携を通じた生産設備投資負担の軽減や設備調達コストの軽減により、当分野のキャッシュ・フローの改善、投下資本の低減や収益性の改善を期待しています。 その他分野 2025年度のその他分野の業績は、以下のとおりです。 売上高:891億円(前年度比73億円減少) 営業損益:746億円の損失(前年度比567億円の悪化) (-)ソニー・ホンダモビリティのEVモデルの発売中止にともなう持分法投資損失の追加計上(449億円) 為替変動とリスク・ヘッジ 2025年度の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ150.7円、174.7円と前年度の平均レートに比べ米ドルは1.8円の円高、ユーロは11.0円の円安となりました。 2025年度の継続事業の売上高は、前年度に比べ4,447億円(4%)増加し、12兆4,796億円となりました。前年度の為替レートを適用した場合、売上高は約3%の増収となります。為替変動による売上高及び営業損益への影響については後述の『注記』をご参照ください。 2025年度のG&NS分野、ET&S分野及びI&SS分野において、米ドルに対する1円の円高の影響は、売上高では約330億円、営業損益では約25億円の減少と試算されます。ユーロに対する1円の円高の影響は、売上高では約114億円、営業損益では約63億円の減少と試算されます。(「第2 事業の状況」『3 事業等のリスク』参照) ソニーの連結業績は、主に収入と費用において通貨構成が異なることから生ずる為替変動リスクにさらされています。G&NS分野では、米ドル建てのコストの割合が高いのに対して、売上高は日本円、米ドル又はユーロで計上されるため、米ドルに対する円高は営業利益に好影響を、ユーロに対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。ET&S分野では、主要製品における米ドル建ての製造コスト等の割合が高いこと等から米ドルに対する円高は営業利益に好影響を及ぼします。一方で、新興国での売上高の割合が高いため、新興国通貨に対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。I&SS分野では、米ドル建ての販売契約の割合が高い一方、主に日本で製造を行っていることから、米ドルに対する円高は営業利益に大幅な悪影響を及ぼします。 これらの為替変動によるリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針に従い、先物為替予約、通貨オプション契約を含むデリバティブを利用しています。ソニーが行っているこれらのデリバティブは、主に当社及び当社の子会社の予想される外貨建て取引及び外貨建て営業債権や営業債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するために利用されています。 ソニーは、総合的な財務サービスを当社及び当社の子会社・関連会社に提供することを目的として、Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)を英国に設立しています。為替変動リスクにさらされている当社及び全ての子会社が、リスク・ヘッジのための契約をSGTSとの間で結ぶことがソニーの方針となっており、当社及び当社の子会社のほとんどはこの目的のためにSGTSを利用しています。為替リスク集中の原則にもとづき、SGTSと当社がソニーグループ全体の相殺後のほとんどの為替変動リスクをヘッジしています。ソニーの方針として、金融機関との為替デリバティブ取引は、リスク管理のため、原則としてSGTSに集中しています。SGTSはグループ外の信用の高い金融機関との間で外国為替取引を行っています。ほとんどの外国為替取引は、実際の輸出入取引が行われる前の予定された取引や債権・債務に対して行われます。一般的には、実際の輸出入取引が行われる当月又は1ヵ月前からヘッジを行っています。ソニーは金融機関との外国為替取引を主にヘッジ目的のために行っており、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。 キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は、当初累積その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時点で損益に振り替えられます。一方、ヘッジ会計の要件を満たさない先物為替予約、通貨オプション契約、及びその他のデリバティブは時価評価され、その変動は、直ちに金融収益・金融費用に計上されます。2025年度末における外国為替契約の負債に計上された公正価値(純額)の合計は76億円となっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『15.デリバティブ及びヘッジ活動』参照) 『注記』前年度の為替レートを適用した場合の売上高の状況、及び為替変動による影響額について 前年度の為替レートを適用した場合の売上高の状況は、当年度の現地通貨建て月別売上高に対し、前年度の月次平均レートを適用して算出しています。ただし、音楽分野のSME及びSMP、ならびに映画分野については、米ドルベースで集計した上で、前年度の月次平均米ドル円レートを適用した金額を算出しています。 映画分野の業績の状況は、米国を拠点とするSPEが、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結していることから、米ドルベースで記載しています。 為替変動による影響額は、売上高については前年度及び当年度における平均為替レートの変動を主要な取引通貨建て売上高に適用して算出し、営業損益についてはこの売上高への為替変動による影響額から、同様の方法で算出した売上原価ならびに販売費及び一般管理費への為替変動による影響額を差し引いて算出しています。I&SS分野では、独自に実施した為替ヘッジ取引の影響が、売上高及び営業損益への為替変動による影響額に含まれています。 これらの情報はIFRSに則って開示されるソニーの連結財務諸表を代替するものではありません。しかしながら、これらの開示は、投資家の皆様にソニーの営業概況をご理解頂くための有益な分析情報と考えています。 所在地別の業績 所在地別の業績は、顧客の所在国又は地域別に分類した売上高を「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『4.セグメント情報』に記載しています。 (4)財政状態の分析 2025年度末におけるソニーの連結財政状態については、以下のとおりです。 資産合計は15兆6,835億円と、前連結会計年度末に比べて19兆6,097億円の減少となりました。負債合計は7兆1,699億円と、前連結会計年度末に比べて19兆6,131億円の減少となりました。資本合計は8兆5,136億円と、前連結会計年度末に比べて34億円の増加となりました。この資産及び負債の減少は、主に、2025年度において、金融事業のパーシャル・スピンオフの実行にともない、金融事業を営むSFGIを連結除外したことによるものです。 (5)キャッシュ・フローの状況の分析営業活動によるキャッシュ・フロー:1兆9,456億円の受取超過(前年度比3,761億円の受取の減少) 継続事業からの営業活動キャッシュ・フロー:1兆9,663億円の受取超過(前年度比51億円の受取の減少) (-)営業債権及び契約資産の減少額の縮小 (-)棚卸資産の減少額の縮小 (-)営業債務の増加額の縮小 (+)非資金調整項目(減価償却費及び償却費(契約コストの償却を含む)、その他の営業損(益)(純額)、有価証券に関する利益(純額)ならびに持分法による投資損失(純額)(受取配当金相殺後))を加味した後の税引前利益の増加 投資活動によるキャッシュ・フロー:1兆9,705億円の支払超過(前年度比1兆404億円の支払の増加) 継続事業からの投資活動キャッシュ・フロー:7,842億円の支払超過(前年度比1,190億円の支払の減少) (+)固定資産の購入による支払の減少 (+)ビジネスの買収等による支出の減少 (-)投資及び貸付額の増加 非継続事業からの投資活動キャッシュ・フロー:1兆1,863億円の支払超過(前年度比1兆1,594億円の支払の増加) (-)2025年度において、金融事業のパーシャル・スピンオフの実行にともない、金融事業を営むSFGIを連結除外したことによる影響 財務活動によるキャッシュ・フロー:8,428億円の支払超過(前年度比5,445億円の支払の増加) 継続事業からの財務活動キャッシュ・フロー:8,335億円の支払超過(前年度比5,562億円の支払の増加) (-)自己株式の取得額の増加 (-)非支配持分からの払込による収入の減少 (-)長期借入債務による調達額の減少 為替変動の影響を加味した2026年3月末に係る連結財政状態計算書の現金及び現金同等物期末残高:2兆2,089億円(前年度末比7,721億円の減少) (6)資本の財源及び資金の流動性についての分析 以下の基本方針及び数値情報は、独自に流動性を確保している一部の子会社を除いたソニーの連結事業にもとづいて説明しています。 流動性マネジメントと資金の調達 ソニーは、事業活動に必要な流動性を保ちながら健全な財政状態を維持することを財務の重要な目標と考えています。ソニーは、現金及び現金同等物(以下「現預金等」。ただし、国の規制等で資金の移動に制約があるものを除く)及びコミットメントラインの未使用額を合わせた金額を流動性として位置づけています。 流動性の保持に必要な資金は、営業活動及び投資活動(資産売却を含む)によるキャッシュ・フロー及び現預金等でまかないますが、ソニーは必要に応じて社債、CP、銀行借入等の手段を通じて、金融・資本市場からの資金調達を行っています。 当社、SGTS及び米国の子会社Sony Capital Corporation(以下「SCC」)は日本・米国・欧州の各市場へアクセス可能なCPプログラム枠を有しています。2025年度末時点で当社、SGTS及びSCCは、円換算で合計1兆2,993億円分のCPプログラム枠を保有しています。2025年度末における発行残高はありません。 金融・資本市場が不安定な混乱状況に陥り、前述の手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、ソニーは、多様な金融機関との契約によるコミットメントラインも保持しています。2025年度末の未使用のコミットメントラインの総額は円換算で7,896億円です。未使用のコミットメントラインの内訳は、日本の銀行団と結んでいる3,500億円の円貨コミットメントライン、日本の銀行団と結んでいる1,700百万米ドルの複数通貨建てコミットメントライン、外国の銀行団と結んでいる1,050百万米ドルの複数通貨建てコミットメントラインです。金融・資本市場の流動性がなくなった場合でも、ソニーは現預金等及びこれらのコミットメントラインを使用することによって十分な流動性を維持することができると現時点では考えています。 ソニーは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、安定した一定水準の信用格付けの維持を重要な経営目標の一つと位置づけています。ただし、グループ全体の主要な資金調達に関する金融機関との契約において、ソニーの信用格付けが低下した場合に、強制的に早期弁済を求められるものはありません。また、これら契約のうち一部のコミットメントライン契約については、ソニーの信用格付けにより借入コストが変動する条件が含まれているものがありますが、未使用のコミットメントラインからの借入を禁ずる条項を含んでいるものはありません。 キャッシュ・マネジメント ソニーは日本においては当社、米国においてはSCC、それ以外の地域においてはSGTSを中心にグローバルな資金管理を行っています。資本取引に規制があり資金移動を制限されている国や地域は一部存在しますが、大部分の子会社における資金の過不足は、当社、SGTS及びSCCにより純額ベースで運用又は調達をしています。ソニーは資金の効率化をめざし、各子会社に資金余剰が出た場合は当社、SGTS及びSCCに預け、また各子会社に資金不足が生じた場合には当社、SGTS及びSCCを通じて資金の貸し借りを行うことで、余剰資金を活用し、外部借入を削減することができます。関係会社間の効率的な資金移動が制限されている国や地域では、ソニーは当社、SGTS及びSCCの外に資金を残していますが、必要な流動性資金はキャッシュ・フローや外部からの借入(もしくはその両方)によって調達しています。ソニーは、海外に所在する移動を制限されている資金が、ソニー全体の流動性や財務状況ならびに業績に重大な影響を与えるとは考えていません。 なお、ソニーグループが創出した営業活動によるキャッシュ・フローに関する、成長投資、手許資金及び株主還元への配分についての考え方に関しては「第2 事業の状況」「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等『第五次中期経営計画 経営数値目標及びキャピタルアロケーションとその進捗』」をご参照ください。 オフバランス取引 ソニーは、流動性と資金調達手段の確保、及びクレジットリスクを軽減するためにオフバランス取引を行っています。これらの取引は、ソニーが営業債権に対する支配を放棄したことから、売却として会計処理されます。 借入債務、コミットメント及び偶発債務等 2026年3月31日現在におけるソニーの借入債務、コミットメント及び偶発債務等は以下のとおりです。 借入債務 「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『6.金融商品に関連するリスク管理 (4) 流動性リスク』及び『14.短期借入金及び長期借入債務』をご参照ください。 ローン・コミットメント、パーチェス・コミットメント及び訴訟に関する偶発債務 「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『32.パーチェス・コミットメント、偶発債務及びその他』をご参照ください。

事業リスク

ソニーグループは、激化する競争環境に直面しており、価格競争や才能ある人材・コンテンツ獲得競争が収益性低下につながる可能性があります。また、生成AIなどの革新的な技術の進化や競合他社の活用により、既存のビジネスモデルが損なわれるリスクも存在します。さらに、消費者の嗜好の変化に対応し、魅力的で差別化された新製品やサービスを迅速に開発・導入できない場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。研究開発投資が想定通りの成果を生み出さないリスクや、エンタテインメント作品のヒットが予測困難であることも重要なリスク要因です。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|20,690 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあると考えています。なお、当該事項は、本書提出日現在において入手し得る情報にもとづいて判断したものです。 (1) ソニーは収益又は営業利益率の低下につながりかねない一層激化する競争を克服しなければなりません。 ソニーは、業種の異なる複数のビジネス分野に従事しており、さらにそれぞれの分野において数多くの製品・サービス部門を有するため、大規模な多国籍企業から、単一又は数少ないビジネス領域に特化し高度に専門化した企業にわたって、業界の既存企業や新規参入企業等の多くの企業と競争しています。また、潜在的には現在ソニーに製品を供給している企業も競合相手となる可能性もあります。これらの既存の及び潜在的な競合他社がソニーより高度な財務・技術・労働・マーケティング資源を有する可能性があり、ソニーの財政状態及び業績は、当該既存及び新規参入の競合他社に効率的に対抗する能力にかかっています。 ソニーが直面する競合要因は業種により異なります。例えば、G&NS分野、音楽分野及び映画分野では、ゲームクリエイター、アーティスト、作詞家、俳優、ディレクター、及びプロデューサーといった才能ある人材ならびに製作・制作、取得、ライセンス、又は配信されるエンタテインメント・コンテンツを得るため競争しています。才能ある人材や魅力的なコンテンツの獲得競争は、そのような人材やコンテンツの獲得に必要とされる費用の増加を増収により埋め合わせできない場合には、収益力の低下につながる可能性があります。また、AI等の革新的な技術の進化や競合他社による活用等により、既存のビジネスモデルが影響を受ける可能性があります。G&NS分野、音楽分野及び映画分野における業績は、予測が困難である作品に対する世界中の消費者からの支持による影響、ソニーの作品に代わり消費者が利用可能な娯楽及びレジャー活動による影響、ならびに、同時期もしくは近接した時期に公開・販売される他の競合作品による影響を受ける可能性があります。 また、G&NS分野、ET&S分野及びI&SS分野において、ソニーは、競合他社との間で価格や機能を含む様々な要素で競争しています。競合他社との価格競争は、価格の下落に比例して費用を削減できない場合には利益率の低下につながります。また、イメージセンサーのように、現在ソニーが強い競争力を有していると考えられる製品においても、競合他社の技術力の向上により、ソニーがその優位性を保てなくなる可能性もあります。さらに、一般消費者向けエレクトロニクス製品においては、製品に対する消費者の関心が絶えず変化し、例えば、消費電力の低減や、製品や包装材として地球環境に配慮した材料の使用を求める等、一層多様化する消費者の嗜好に訴求する製品を作るため、あるいは、消費者の多くが同種の製品をすでに保有しているという状況に対処するために、ソニーはより優れた技術を開発し、消費者の嗜好を予測し、競争力ある価格と特長を有する、魅力的で差異化された製品を迅速に開発する必要があります。ソニーは、様々な一般消費者向け製品において、一層激化する競合他社との価格競争にともなう価格低下圧力の高まり、小売業者の集約化、新規の販売・流通チャネルの構築、及び製品サイクルの短期化に直面しています。仮に、ソニーが、技術その他の競争力を持つ分野においてその優位性を保てなくなった場合、ソニーの一般消費者向け製品に対して頻繁に影響を及ぼす継続的な価格下落又はその事業に影響を及ぼすコスト圧力について効果的に予測し対応できない場合、既存の事業モデルや消費者の嗜好が変化した場合、又はソニーの一般消費者向け製品の平均価格の下落スピードが当該製品の製造原価削減のスピードを上回った場合には、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (2) ソニーは、競争力を維持し消費者の需要を喚起し、製品及びサービスの革新を実現するために研究開発投資を行う必要があり、また、新しい製品及びサービスの頻繁な導入を適切に管理しなければなりません。 ソニーは、製品及びサービスの競争力を強化するため、特にG&NS分野及びI&SS分野といった成長分野において、研究開発投資を継続的に行っています。しかしながら、ソニーとして、著しい成長可能性を持った製品及びサービス、ならびに市場動向を特定できなかった場合やそれらを把握できなかった場合、研究開発投資が成功しない可能性があります。加えて、ソニーの研究開発投資が革新的な技術を生み出さない可能性、想定した成果が十分かつ迅速にもたらされない可能性、又は競合他社に技術開発を先行されてしまう可能性があります。これらは、競争力のある新たな製品やサービスを商品化するソニーの機会を妨げる要因となり得ます。 ソニーは、継続的に製品及びサービスを導入し、これらを拡充させることにより、顧客の需要を喚起し、維持する必要があります。これらの製品及びサービスは、年末商戦における消費者需要に特に影響を受けます。G&NS分野の売上及び収益性には、ゲームストリーミングを含め、プラットフォームの導入及び普及の成否が重要な影響を及ぼし、この成否は、魅力的なソフトウェアの品揃えとオンラインサービスが消費者に提供されるか否かに影響されます。しかしながら、外部のソフトウェアの開発・販売事業者のような主要な協力業者がソフトウェアの開発や供給をし続ける保証はなく、また、当該協力業者とのソフトウェアや関連サービスの取引条件が維持される保証もありません。加えて、ソニーは、売上の拡大及び収益性の向上を図るために、ハードウェア、AIを含むソフトウェア、エンタテインメント・コンテンツ及びネットワークサービスの統合を促進させること、消費電力を最小限に抑えること、ならびにそのような統合の効果を達成するための研究開発への投資が不可欠であると考えています。しかしながら、この戦略は、AI及びネットワークサービス技術のさらなる開発能力、ソニーの様々な事業ユニット・販売チャネル間の戦略上及びオペレーション上の課題の調整と適切な優先順位付け、ユーザーインターフェースを含むエネルギー効率に優れたネットワークプラットフォームをシームレスに接続するための、消費者にとって革新的であり、エネルギー効率に優れ、かつ価格競争力のある魅力的な高性能ハードウェアの継続的な提供に依存しています。そして、業界内やネットワークに接続可能なソニーの製品や事業間における技術やインターフェース規格の標準化を行う能力にも依存しています。加えて、G&NS分野、音楽分野及び映画分野では、消費者の支持を得られるかどうかが分かる前に、社内で開発されたソフトウェアのタイトル、アーティスト、ミュージック・カタログ、映画作品、テレビ番組の製作及び番組の放送に関連して、相当の先行投資を含め、多額の投資を行わなければなりません。さらに、映画作品の初期の流通市場における業績と、その後の流通市場における業績には高い相関性がみられるため、初期の流通市場における映画作品の業績が想定を下回った場合、公開年及び将来におけるソニーの業績にも悪影響を及ぼす可能性があります。 新製品及びサービスの導入ならびに切り替えの成功は、開発をタイムリーにかつ成功裏に完了させること、市場における受け入れ度合、効果的なマーケティング戦略の企画及び実行、新製品の導入の管理、生産立ち上げ時における課題への対処、新製品向けアプリケーションソフトウェアが入手できること、品質管理、及び年末商戦における消費者需要の集中度等、数多くの要素に依存しています。研究開発への投資に対して想定した成果を達成できない場合、新製品及びサービスの頻繁な導入を適切に管理できない場合、新製品やサービスが消費者に受け入れられない場合、又は統合戦略を実行できない場合、ソニーの評判、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (3) ソニーの戦略的目的を達成するための買収、第三者との合弁、投資、資本的支出、組織再編成、構造改革は成功しない可能性があります。 ソニーは、技術獲得や効率的な新規事業開発のため、又は事業の競争力強化のため、買収、第三者との合弁、資本的支出及びその他の戦略的出資を積極的に実施しています。例えば、2024年度には、㈱KADOKAWAの株式の追加取得を行いました。2025年度には、バンダイナムコの株式の取得及びPeanuts Holdingsの持分の追加取得を行いました。 買収や合併、第三者との合弁の完了は、関係当局の承認及び許可の取得等が条件となる場合がありますが、競争法制度や競争法当局の審査の厳格化により、確定契約締結後の審査に想定以上の時間がかかる可能性や承認もしくは許可を得られない可能性があります。また、買収・合併する会社の戦略や財務状況の想定外の変化等により、確定契約において定められた取引完了の前提条件が満たされず、買収や合併が想定どおり進展しない可能性や、確定契約が変更又は解除される可能性があります。その結果、ソニーが事業機会を逸失し、当初想定した買収や合併の効果の一部又は全部を実現できない可能性があります。なお、本書提出日現在において、既に確定契約を締結し、関係当局の承認及び許可の取得等が取引完了の条件となっている買収や合併、第三者との合弁として、例えば、2026年3月に確定契約を締結した、ソニー㈱とTCLとのホームエンタテインメント領域における戦略的提携による合弁会社の設立があります。 ソニーは、買収・合併する会社の技術、会計、税務、財務、人事及び法的な観点等における包括的な分析と評価を行いますが、多額の買収コスト又は統合費用の発生や、新たに買収・合併した会社におけるIT及び情報セキュリティリスク、想定したシナジーが実現できないこと、期待された収益の創出とコスト改善の失敗、主要人員の喪失や債務の引受け等により、ソニーの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。 ソニーが第三者と合弁会社を設立したり戦略的パートナーシップを構築したりする場合、ソニーの財政状態及び業績は、パートナーとの戦略の相違又は文化的相違、利害の対立、シナジーが実現できないこと、合弁会社及びパートナーシップ維持のために必要となる追加出資や債務保証、合弁パートナーからの持分買取義務、ソニーが保有する合弁持分の売却義務、もしくはパートナーシップの解消義務、キャッシュ・フローの管理を含む不十分な経営管理、特許技術やノウハウの喪失、減損損失、及びソニーブランドを使用する合弁会社の行為又は事業活動から受ける風評被害により、悪影響を受ける可能性があります。例えば、2026年3月に発表されたHondaによる四輪電動化戦略の見直しにともない、当社とHondaとの合弁会社であるソニー・ホンダモビリティが、EVモデルの開発・発売中止及び事業縮小を決定したことを受け、ソニーは2025年度において449億円の持分法投資損失を追加的に計上しました。詳細は「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『8.関連会社及び共同支配企業に対する投資』をご参照ください。 ソニーは、スマートフォンやその他の製品向けイメージセンサー用製造設備等に多額の投資を行っています。ソニーは、競争環境、想定を下回る消費者需要、ソニーの主要顧客の財政状態やビジネス上の意思決定の変更又は生産設備や装置の調達の遅れに起因して、これらの資本的支出を計画どおりに実行できない又は一部もしくは全部を計画した期間内に回収できない場合があります。ソニーは、イメージセンサーの生産能力増強等のために、2024年度及び2025年度にそれぞれ、2,274億円及び2,467億円の資本を投資しました。 さらに、ソニーは、収益力、事業の自律性及び株主価値を向上させ、また、ソニー全体の事業ポートフォリオにおける各事業の位置づけを明確にするため、構造改革及び事業構造変革の施策を実施しています。しかし、社内外で生じるビジネス上の阻害要因や予想を上回る市況の悪化が原因となり、想定された収益性レベルの達成を含め、これらの施策の実施によって期待される恩恵が得られない可能性があります。ソニーがこれらの施策を達成できない場合、ソニーの業績、財政状態、評判、競争力又は収益性に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4) ソニーの売上や収益性は卸売事業者、小売事業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者の業績の影響を受ける可能性があります。 ソニーは、製品の流通を卸売事業者、小売事業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者に依存しており、その多くが競合他社の製品を同時に取り扱っています。例えば、映画分野では、映画配給においては第三者の映画館運営会社に、映画やテレビ番組の配信においてはケーブル、衛星、インターネット及びその他配信システムに依存しており、当該第三者からソニーが受領するライセンス料の減少が映画分野の売上に悪影響を与える可能性があります。映画分野における様々なテレビネットワークを通じた配信も、第三者のケーブル、衛星及びその他配信システム経由で行われ、これらの第三者配信会社との契約を更新できない、又は不利な条件で契約を更新する場合は、これらの第三者ネットワークを通じた広告販売及び予約販売の実績に悪影響を及ぼす可能性があります。ソニーは、卸売事業者、小売事業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者に対して、ソニーの製品を市場に導入し、販売を促進するインセンティブを与えることを目的としたプログラムに資金を投入しています。しかしながら、それらのプログラムの提供が、消費者を競合他社の製品の代わりにソニーの製品を買うように促し、結果的にソニーに大きな利益や追加収入をもたらすことを保証するものではありません。 多くの卸売業者、小売業者、その他の再販売事業者及び第三者の販売業者の業績及び財政状態は、特にオンライン小売業者との競争と景気の後退により悪影響を受けます。これらの業者の財政状態が継続的に悪化したり、ソニーの製品を取り扱うことを中止したり、もしくはソニーの製品に対する需要が不透明になるなどの要因によりこれらの業者がソニーの製品の発注数やマーケティング活動、販売奨励金、又は販売を減少させたり縮小させたりするような場合、ソニーの業績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。 (5) ソニーはグローバルに事業を展開しているため、多くの国々において広範な法規制の適用を受けるとともに、企業の社会的責任を含むサステナビリティに係る取り組みに関する株主、消費者、地域社会、NGO等の外部ステークホルダーの関心の高まりに直面しています。これらの法規制や外部ステークホルダー及び規制当局の関心は大きく変わる可能性があり、その変化がソニーの事業活動費用の増加、事業活動の制約及びソニーの評判への悪影響につながる可能性があります。 ソニーはグローバルに事業を展開しているため、広告、販売促進、消費者保護、輸出入、腐敗防止、反競争的行為、環境保護(気候変動対策にともなう脱炭素規制及び特定の有機フッ素化合物等の有害物質の使用・漏出に係る規制を含む)、データプライバシー及びデータ保護、製品セキュリティ、コンテンツや放送規制、AIの開発や利用、知的財産、労働、安全衛生、製造物責任、課税(デジタルサービスからの収入に係る税金を含む)、外国投資規制、政府調達、為替管理、経済制裁を含む多数の地域における事業活動に影響を与える世界中の多くの国々の法規制の適用を受けます。 これらの法規制を遵守することは事業活動における負担をともない、また、遵守にともない費用が発生する可能性があります。これらの法規制は継続的に変更されるとともに、管轄ごとに異なるものとなる可能性があり、その遵守や事業遂行のための費用が増加する可能性があります。このような変更は、場合によっては頻繁に又は事前の通知なくして起こり、消費者にとってのソニーの製品又はサービスの魅力の低下、新製品又はサービスの導入の遅延もしくは禁止、あるいはソニーの事業遂行の変更や制約に結びつく可能性があります。例えば、米国及びその他の地域における関税、輸出規制等の貿易制限措置及び報復的措置の導入が、ソニーの製品に賦課される関税率の増加、部品の調達費用の増加、又は既存及び将来的なソニーの製品及びサービスの顧客への販売の制限又は中止につながり、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、ソニーがオンライン上を含め事業を行う上で依拠又は適用を受ける法規制又はそれに関連する裁判所の解釈に変化が生じた場合や、ソニーがこのような変化を想定できなかった場合にも、ソニーの法的責任に対するリスクの増加、法規制遵守のための費用の増加又は一部の事業活動に対する制限、制約もしくは中止を含む事業活動の変更につながる可能性があります。また、欧州等の規制当局はAIに関する法規制を進めています。ソニーはAIの開発や利用を行っていることから、それら法規制の遵守にともなう費用が増加する可能性があります。 ソニー、又はソニーの役員・従業員、第三者サプライヤー、ビジネスパートナー、もしくは代理人が法規制に違反すると、ソニーが罰金、刑罰、法的制裁の対象となり、また、ソニーの事業遂行への制約や評判への悪影響につながる可能性があります。加えて、気候変動やサプライチェーンにおける人権尊重等、企業のサステナビリティに係る取り組みに対し、全世界的に規制当局や外部ステークホルダーの注目が高まっており、また、これらの事項に関する情報開示の法的規制が強化されています。例えば、アジア地域で操業する電子部品及び製品の製造事業者や製造/設計受託事業者(OEM/ODM)における労働環境を含む労働慣行への注目が高まっています。ソニーは製品の製造に多くの部品や原材料を使用しており、それらの部品や原材料の供給を第三者サプライヤーに依存しているため、これらの領域における規制の強化や外部ステークホルダーの関心の高まりによって、ソニーの法規制の遵守のための費用が増加する可能性があります。さらに、かかる法規制の不遵守があった場合、又は外部ステークホルダーの関心の高まりに対してソニーが適切に対処していないとみなされた場合には、それが法的に求められているか否かにかかわらず、ソニーの評判、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6) ソニーは市況変動の大きい環境のなか、部品・原材料、ソフトウェア、及びネットワークサービスの在庫量、入手可能性、費用及び品質をコントロールするために第三者のサプライヤー及びその他のビジネスパートナーからの大量かつ広範な調達品を管理する必要があります。 ソニーの製品やサービスは、例えば、半導体、プレイステーションのゲーム機及びモバイル製品向けチップセット、ならびにモバイル製品、テレビ及びサービスに利用されている液晶パネルやアンドロイドOSを含め、部品・原材料、ソフトウェア、及びネットワークサービスに関して、第三者のサプライヤー及びその他のビジネスパートナーに大きく依存しています。したがって、第三者サプライヤーやパートナーにおけるこれらの供給不足、当該第三者サプライヤーやパートナーから提供を受ける部品等の価格変動、品質問題、製造の中止、取引条件の変更、又は第三者サプライヤーやパートナーがエレクトロニクス領域以外の顧客あるいはソニーの競合他社を優先させた場合、ソニーの業績、ブランド及び評判に悪影響を与える可能性があります。例えば、2025年度の後半から、半導体メモリの世界的な需要増大により、価格高騰及び供給不足が発生しています。ソニーは、第三者サプライヤーとの協議による合理的な価格での調達確保に加え、製品設計や販売戦略における施策により、影響の最小化に努めていますが、今後かかる価格高騰及び供給不足がより深刻化又は長期化した場合には、G&NS分野、ET&S分野及びI&SS分野の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、第三者のソフトウェア及び技術への依存は、競合他社の製品とソニーの製品との差異化をますます難しくする可能性があります。さらに、特にソニーが一社に部品の調達を依存している場合、特注の部品の生産能力に限界がある場合、もしくは新しい技術を使用する製品の初期生産能力に制約がある場合には、部品の供給不足や出荷遅延が生じ、その結果、ソニー又はビジネスパートナーの製造事業所における生産調整又は生産停止が起こる可能性があります。 ソニーは消費者需要の予測にもとづいて事前に決定した生産量及び在庫計画に沿って部品を発注していますが、そうした消費者需要の変動は大きく、また、予測が難しいものです。不正確な消費者需要予測や不十分な在庫管理は、在庫不足もしくは過剰在庫を招き、その結果、生産計画に混乱が生じることにより売上の機会損失や在庫調整につながる可能性もあります。ソニーでは、部品や製品が陳腐化したり、在庫レベルが使用見込み数量を上回ったり、もしくは在庫の帳簿価額が正味実現可能価額を上回る場合には、在庫の評価減を行います。過去にこのような売上機会の損失及び在庫調整、ならびに部品の供給不足がソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼしたことがあり、今後も及ぼす可能性があります。 (7) ソニーの売上、収益性及び事業活動は、世界及び地域の経済動向及び政治動向ならびに情勢に敏感です。 ソニーの売上及び収益性は、ソニーが事業を営む主要市場の経済動向に敏感です。2025年度のソニーの売上高において、日本、米国、欧州における構成比はそれぞれ10.6%、32.6%、22.7%でした。これらの市場が深刻な景気後退に陥ると、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。ソニーの主要市場における経済状況の悪化や今後悪化するという見通しにより、最終消費が低迷して法人顧客の事業が悪影響を受け、その結果、ソニーの製品やサービスに対する需要が減少する可能性があります。 また、ソニーは世界各地において事業活動を行っており、このような世界規模での事業遂行、特に一部の新興市場での事業遂行には困難がともなうこともあります。例えば、ET&S分野、I&SS分野及びG&NS分野においては、中国やその他のアジアの国々・地域において製品及び部品を生産、調達しているため、これらの地域外の市場に製品を供給するために要する時間が長くなり、変化する消費者需要に迅速に対応することがより難しくなる可能性があります。さらにソニーは、複数の国において、ソニーにとって望ましくない政治的・経済的な要因により、事業を企画・管理する上で困難に直面する可能性があります。この例としては、武力紛争、外交関係の悪化、通商・関税政策の変更、期待される行動規範からの逸脱、及び十分なインフラの欠如等があります。不安定な国際政治又は国内政治・軍事情勢が今後生じた場合、ソニーやそのビジネスパートナーの事業活動が阻害されることにより、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、そのような不安定な情勢に起因して、部品・原材料の価格高騰及び供給不足や、物流の混乱による輸送のリードタイムの長期化及び輸送価格の高騰等が発生した場合、ソニーの製造及び物流コストの増加につながり、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、2021年度に発生したウクライナ・ロシア情勢の悪化を受け、本書提出日現在において、ソニーはロシアにおける事業を中断しています。今後、情勢がさらに悪化した場合、国際情勢の不安をもたらし、ソニーの他地域での事業又は世界的な経済状況の悪化につながり、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、2025年度後半以降の中東情勢の急速な悪化による、原油の価格高騰や供給への影響がより深刻化又は長期化した場合には、G&NS分野、ET&S分野及びI&SS分野の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) ソニーの業績及び財政状態は外国為替変動の影響を受ける可能性があります。 ソニーの製品の多くは開発、製造された国・地域と異なる国・地域で販売されるため、ソニーの業績と財政状態は外国為替相場の変動による影響を受けます。例えば、エレクトロニクス領域においては、研究開発費や本社間接費は主に円で、原材料及び部品の調達や外部委託生産を含む製造費用は主に米ドル及び円で発生しています。売上は日本・米国・欧州・中国・新興国市場を含むその他地域において、それぞれの地域の通貨で計上されています。結果として、特に米ドルに対する大幅な円安、ユーロに対する大幅な円高、ならびに新興国通貨に対する米ドル高は、ソニーの業績に悪影響をこれまでも及ぼしており、今後も及ぼす可能性があります。また、ソニーの連結損益計算書は世界中の各子会社の現地通貨ベースの業績を円換算して作成されていることから、外国為替相場の変動が、かかる換算にともないソニーの業績に悪影響を与える可能性があります。さらに、近年では中国や新興国市場を含むその他地域におけるビジネス拡大とともに、これらの地域の通貨の米ドル及び円に対する為替レートの変動の影響も大きくなっています。中長期的な為替レート水準の変動により、ソニーの経営資源のグローバルな配分が妨げられたり、ソニーが研究開発、資材調達、生産、物流、販売といった活動を、収益力を保った形で遂行する能力が低下したりする可能性があります。 また、ソニーは、短期の外貨建て債権債務(純額)の一部を取引が発生する前にヘッジすることで為替リスクの低下に努めていますが、かかるヘッジ活動によっても、ヘッジされている為替について限られた期間に為替が不利に変動する場合に、全くもしくは一部しか財政状態への悪影響を解消できない可能性があります。 さらに、ソニーの連結財政状態計算書は世界中の各子会社の現地通貨ベースの資産及び負債を円換算して作成されるため、米ドル及びユーロならびにその他の外国通貨に対して円高が進行すると、ソニーの自己資本に悪影響を与える可能性があります。 (9) 信用格付けの低下や国際金融市場における深刻かつ不安定な混乱状況は、ソニーの資金調達や資金調達コストに悪影響を及ぼす可能性があります。 ソニーの業績及び財政状態の悪化は、ソニーの信用格付け評価にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。信用格付けの低下は、資金調達コストの上昇を招き、ソニーのコマーシャル・ペーパー(以下「CP」)及び中長期債市場からの受諾可能な条件での調達に悪影響を与える可能性があります。 また、国際金融市場が深刻かつ不安定な混乱状況に陥った場合、金融その他の資産価格全般に下落圧力が生じたり、資金調達に影響が生じたりする可能性があります。従来、ソニーは、営業活動によるキャッシュ・フロー、CP及び中長期債の発行、銀行やその他の融資機関からの借入金等により資金を調達してきました。しかしながら、将来にわたってこのような資金源からソニーにとって受諾可能な条件で必要かつ十分な資金調達が可能となる状況が継続するという保証はありません。 その結果、ソニーは弁済期限到来時のCPや中長期債の返済、その他事業遂行上必要ある場合や必要な流動性を賄うために、金融機関と契約しているコミットメントラインや資産の売却等の代替的な資金源を活用する可能性がありますが、そのような資金源からソニーにとって受諾可能な条件で必要かつ十分な資金調達ができない可能性があります。その結果、ソニーの業績、財政状態及び流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10) ソニーの成功は、挑戦心と成長意欲に満ちた多様な人材との良好な関係の維持と、それら人材の採用・確保に依存しています。 ソニーが、ますます競争が激しくなる市場において、コンテンツの制作やサービスの開発、製品の設計、製造、マーケティング及び販売を継続するためには、高い専門性や豊富な経験を有する人材が不可欠です。そのため、マネジメント人材、新たな価値創出を担うクリエイティブな人材、及びAI等の各種技術に精通したテクノロジー人材といった、社内外の重要な人材を惹きつけ、確保し、それらの人材との間で良好な関係を維持することが必要となります。しかしながら、そのような人材には高い需要があります。加えて、事業譲渡や構造改革及びその他の事業構造変革施策の実施により、経験豊かな人材やノウハウが意図せず喪失又は流出してしまう可能性があります。また、特にエンタテインメント領域において、労働組合によるストライキが生じた場合、又はそのおそれがある場合、作品のリリースの遅れやコストの増加につながることもあります。さらに、日本国内においては、少子高齢化にともなう労働人口の減少や、企業間の専門人材獲得競争の激化、人件費の高騰等が進んでおり、人事制度の設計・運用が不十分である場合、必要な人材を確保することが困難となる可能性があります。もしこれらの事象が起きた場合、あるいは高い専門性や豊富な経験を持った人材や重要なマネジメント人材を惹きつけ、確保し、良好な関係を維持できなかった場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。 (11) ソニーの知的財産は不正利用や窃取の被害を受け、また、第三者が保有する知的財産のソニーによる利用が制限される可能性があります。 ソニーは、ソニーの製品やサービスに関連する知的財産の不正利用や窃取の被害を受ける可能性があります。例えば、デジタル技術、デジタルメディアの利用、世界的なインターネットの普及及び生成AIを含むAI技術の拡大は、ソニーが著作権で保護されたコンテンツを違法コピー及び盗用、偽造等から保護することを困難にさせ、正規の製品・サービスの販売にも悪影響を与えます。ソニーは、知的財産権の保護のために費用を計上しており、今後も引き続き費用を計上します。しかしながら、ソニーが行っているこれらの知的財産保護のための様々な取り組みが想定している効果を達成できない可能性があり、ソニーの競争上の地位や研究開発投資に悪影響を与えるおそれがあります。 さらに、ソニーの知的財産権に関して紛争が生じたり、無効にされたりする可能性があります。また、ソニーの知的財産権が、ソニーの競争力を維持するうえで十分ではない可能性があります。 また、多くのソニーの製品やサービスは、第三者が保有する特許その他の知的財産権のライセンス供与を受けて設計・開発・製造されています。過去の経験や業界の慣行により、将来的にビジネスに必要な様々な知的財産権のライセンス供与を受け又は更新できるとソニーは考えていますが、全く供与されない、又は受諾可能な条件で供与されない可能性があります。そのような場合には、ソニーは、製品又はサービスの設計変更や、マーケティング、販売、あるいは提供もしくは配信の断念を余儀なくされる可能性があります。 ソニーの製品やサービスに利用されている第三者の部品、ソフトウェア及びネットワークサービスを含め、ソニーの製品やサービスが第三者の保有する知的財産権を侵害しているという主張がソニーに対してなされており、また、今後もなされる可能性もあります。特に、新規技術やより高度な機能が製品及びサービスに導入されることにともない、競合他社又は第三者の権利者から、かかる主張がなされる可能性があります。ソニーは、かかる主張により、和解やライセンス契約の締結、又は多額の損害賠償金の支払いを余儀なくされる可能性があり、差止命令、あるいはソニーの製品やサービスの一部についてマーケティング、販売、又は提供の中止に直面する可能性があります。 ソニーの知的財産権の第三者による不正利用や窃取を防止できない場合、必要とされる第三者の知的財産権のライセンスが受けられない場合、ソニーの知的財産権が無効になる場合、又は第三者との間で知的財産の権利侵害の訴えについて和解が成立する場合には、ソニーの評判、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12) 新たな技術や配信プラットフォームによる消費行動の変化や、デジタル音楽配信会社による寡占度が高まること、及び配信会社自らがコンテンツを制作することは、音楽分野及び映画分野の業績に悪影響を与える可能性があります。 音楽分野及び映画分野で使用される技術、特にデジタル技術は進化を続け、デジタルコンテンツの発掘及び消費の方法とプラットフォームは急速に変化しつつあります。このような技術の進歩は、消費者行動を変化させ、消費者が、デジタルコンテンツを消費するタイミング、場所及び方法を、これまでよりも消費者自身がコントロールすることを可能とさせています。 デジタルストリーミングネットワークやその他新規メディアの普及が、従来のテレビ放送や劇場での映画鑑賞にも影響を与え、その結果、映画分野の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、より多くの音楽や映像コンテンツがデジタルストリーミングのネットワークで消費されることにより、デジタル音楽配信会社の寡占度がさらに高まり、ソニーの音楽コンテンツの競争力を減少させることで、ソニーの価格設定に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、デジタルの音楽や映像コンテンツの配信会社は生成AI等の技術も活用して自らのサービスのための自社制作コンテンツを増やす可能性があり、ソニーが制作するコンテンツに対する需要が減少する可能性があります。ソニーがこのような変化に適切に対応できない場合、又は新たな市場の変化に効果的に適応することができない場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。 (13) 大規模な災害や停電、感染症等が生じた場合、ソニーの設備や事業活動は被害や損害を受け、それがサプライチェーンや、製造その他の事業遂行における混乱を引き起こし、ソニーの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ソニーの本社及びイメージセンサー等の最先端の製造拠点の多くは、地震のリスクが比較的高い日本国内に所在しています。日本において大規模な地震その他の自然災害が発生した場合、建物や設備、棚卸資産が被害を受け、生産活動の中断や復旧費用の計上等により、ソニーの事業活動、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。さらに、気候変動の影響により気温上昇が進むにつれて異常気象が激甚化・頻発化することにより、上記のリスク及び不確実な要素に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、ネットワーク、情報通信システムインフラ、研究開発、資材調達、製造、映画やテレビ番組の製作・制作、物流、販売及び、オンライン又はその他のサービスに使用される、ソニーやそのサプライヤー、外部サービスプロバイダ及びその他のビジネスパートナーの世界各地にあるオフィスや設備は、自然災害、感染症、テロ行為、武力紛争、大規模停電、大規模火災等の予期できない大惨事により、破壊されたり、一時的に機能が停止したり、混乱に陥ったりする可能性があります。これらのオフィスや設備のいずれかが前述の大惨事により重大な損害を受けた場合、事業活動の停止、設計・開発・生産・出荷・売上計上の遅れ、又はオフィスや設備の修繕・置換えのための多額の費用計上等が生じる可能性があります。さらに、原材料及び部品の価格高騰や、法人顧客の需要減少が、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14) ソニーあるいは外部のサービスプロバイダやその他のビジネスパートナーの情報セキュリティに対する侵害又はその他の不正行為があった場合、ソニーのブランドイメージ及び評判や事業への悪影響が及ぶ可能性や、ソニーが法的な責任を追及される可能性があります。 ソニーならびに外部のサービスプロバイダ、サプライヤー及びその他のビジネスパートナーは、AIを含む情報技術を広範に活用することで営業活動を行い、また、顧客に対しネットワークサービスやオンラインサービスを提供しています。これらの事業及びサービス、ならびにソニーのビジネス情報は、国家が支援する組織を含む悪意をもった組織、犯罪者、犯罪組織による侵害、又は、外部のサービスプロバイダ、サプライヤー、その他のビジネスパートナー、又はソニーの従業員の故意又は過失により侵害を受ける可能性があります。そのような組織や個人は、悪意のあるソフトウェアをインストールしたり、情報技術の脆弱性を利用したり、ソーシャル・エンジニアリングを用いて役員・従業員又はビジネスパートナーの認証情報や機密情報を開示させたり、分散DoS(サービス停止)攻撃を仕組んだり、AIシステムを使用して、脆弱性を発見したり、より自動化され、標的を絞った組織的なサイバー攻撃を実行したりするなど、様々な技術の組み合わせにより、サービスを停止させる可能性があります。さらに、ソニーならびにビジネスパートナー及びその他の第三者によるAIの利用拡大が、新たな脆弱性や攻撃機会を生み出す可能性があります。また、サプライヤー及びその他のビジネスパートナーがサイバー攻撃を受けた場合、ソニーへの部品・材料、その他役務の供給をすることができなくなる可能性があり、その結果、ソニーのビジネスに影響を与える可能性があります。ソニーはこれまでにサイバー攻撃の対象とされたことがあります。詳細は、「第4 提出会社の状況」『4コーポレート・ガバナンスの状況等』(1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治に関するその他の事項 <サイバーセキュリティに関する活動状況>をご参照ください。 サイバー攻撃がますます高度化かつ自動化し、より容易にツールやリソースを利用できるようになりつつあることから、外部からの不正な侵入の防止あるいは検知、侵入への対応、データへのアクセス制限、ビジネス情報の消失、破壊、改変、あるいは流出の防止、それらの攻撃の悪影響を抑制するためにソニーが行っている対策及びセキュリティへの取り組みや管理が、完全に安全な情報セキュリティを確保できる保証はありません。また、ソニーの役員・従業員は、出社による勤務とリモート勤務を併用しています。ソニーは、リモート勤務者に対し適切な情報セキュリティ保護が確実に実施されるように措置を講じていますが、外部からの不正な侵入の防止あるいは検知、侵入への対応、データへのアクセス制限、ビジネス情報の消失、破壊、改変、あるいは流出の防止、それらの攻撃の悪影響を抑制するためにソニーが行っている対策及びセキュリティへの取り組みや管理が、完全に安全な情報セキュリティを確保できる保証はありません。その結果、個人を識別できる情報を含むソニーのビジネス情報の消失、破壊、漏洩、悪用、改変、又は承諾を得ない第三者による不正アクセスが発生し、ソニー、あるいは外部のサービスプロバイダ及びその他のビジネスパートナーの情報システム又は事業が破壊される可能性があります。また、悪意をもった第三者は、ソニーに知られることなく、ソニーの外部の事業パートナーを侵害するためのプラットフォームとしてソニーのネットワークに不正にアクセスする可能性があります。 こうした情報セキュリティインシデントによって、多額の復旧費用が発生する可能性があります。加えて、ソニーのネットワークやオンラインサービス、情報技術への破壊行為、その他のソニーの情報セキュリティに対する侵害行為によって、売上の喪失、ビジネスパートナー及びその他の第三者との関係の悪化、専有情報の不正漏洩、改変、破壊あるいは悪用、ならびに顧客の維持や勧誘の失敗等が生じ、その結果、ソニーの事業や活動が重大な打撃を受ける可能性があります。さらに、これらの破壊や侵害行為がマネジメントの関心や経営資源の分散につながる可能性があります。他にも、メディアの報道に悪影響をもたらし、ソニーのブランドイメージや評判を傷つける可能性があります。また、ソニーは、訴訟や、規制当局による調査や法的措置を含む法的手続の対象となる可能性があります。ソニーが加入しているサイバー攻撃に対する保険は、発生する費用や損失の全額を填補できない可能性があり、その結果、ソニー又は外部のサービスプロバイダやその他のビジネスパートナーの情報セキュリティに対する、それらの侵害その他の不正行為が、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。 (15) 訴訟及び規制当局による措置が不利な結果に終わった場合、ソニーの評判、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。 ソニーは、様々な国において事業の遂行に関して、訴訟及び規制当局による措置に服するリスクにさらされています。訴訟及び規制当局による措置により、ソニーは、多額かつ不確定な損害賠償や事業活動に対する制約を要求される場合がありますが、その発生の可能性や影響の程度を予測するには相当の期間を要することがあります。例えば、公正な競争に反すると申し立てられた市場慣行に関して規制当局が行う調査が、訴訟や規制当局による措置につながる可能性があります。多大な法的責任や規制当局による不利な措置が課された場合や、訴訟及び規制当局による措置への対応に多大なコストがかかった場合、ソニーの評判や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (16) ソニーは製品品質、製品セキュリティ及び製造物責任による財務上のリスクや評判を損なうリスクにさらされています。 急速な技術の進化や、モバイル製品及びオンラインサービスに対する需要増にともない、一般消費者向けエレクトロニクス製品、業務用及び産業用製品、部品、半導体、ソフトウェア、ならびにネットワークサービス等のソニーの製品・サービスは一層高機能かつ複雑になっており、また、多くの製品が常にインターネットやソニー又は第三者が提供するサービスにつながっている環境におかれています。ソニーは、製品品質及び製品セキュリティを維持しながら、技術の急速な進展や、モバイル製品及びオンラインサービスの需要増加に対応できない可能性があり、これにより、製造物責任問題に関するリスクが高まる可能性があります。その結果、ソニーの評判に悪影響を及ぼし、製品回収やアフターサービス等の費用が発生する可能性があります。加えて、既存の製品及びサービスへの販売後のアップグレード、機能の拡充、又は新機能の導入に成功しない可能性や、既存の製品及びサービスを、他の技術及びオンラインサービスとの間で便宜的かつ効果的に連携させ続けることができない可能性があります。その上、インターネットに接続されている製品に対するサイバー攻撃は劇的に増加しており、ソニーの製品・サービスが他者からの攻撃にさらされる事態、顧客情報ならびにソニー及び他社の技術情報が流出する事態、又は製品・サービスが利用不能となる事態や他者への攻撃に悪用される事態が生じるおそれがあります。ソニーが導入したセキュリティ対策は、ソニーの製品及びサービスに対する侵害を防止できる保証はありません。 そのため、ソニーの既存の製品及びサービスについて、顧客満足を維持できない可能性や、需要の減少、競争力の低下、あるいは陳腐化を招く可能性があり、その結果、ソニーの評判や業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、根拠の有無にかかわらず、ソニーの製品及びサービスに関するセキュリティ脆弱性、健康面や安全性の問題に関する申立て又は訴訟は、直接的に、ソニーのブランドイメージや、高品質な製品やサービスを提供する企業であるという評価に対して影響を与え、その結果として、ソニーの業績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの問題は、ソニーがその製品を製造したか否かに関係なく、また、ソニーが直接顧客に販売する製品のみならず、半導体等のソニー製の部品が搭載された他社製品においても生じる可能性があります。 (17) ソニーの業績及び財政状態は確定給付制度債務により悪影響を受ける可能性があります。 ソニーは、確定給付年金制度に関する会計基準に従い、確定給付年金制度ごとの確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額を確定給付負債又は資産の純額として認識しています。制度資産の公正価値が確定給付制度債務の現在価値を超過している場合、資産計上額は、利用可能な制度からの返還及び将来掛金の減額の現在価値を上限としています。制度資産の公正価値の減少や割引率の低下、その他の年金数理計算前提となる比率の変動による確定給付制度債務の現在価値増加にともない確定給付負債又は資産の純額が増加又は減少し、その結果、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、ソニーの業績及び財政状態は、日本の確定給付企業年金法の年金積立要求により悪影響を受ける可能性があります。確定給付企業年金法により、ソニーは定期的な財政再計算や年次の財政決算を含む年金財政の検証を行うことが求められています。法定の責任準備金等に対して制度資産の公正価値がこれを下回り、かつ法令もしくは特別な政令等により認められた期間内にそのような状況が回復しないと見込まれる場合には、ソニーは年金制度への追加拠出が必要となり、キャッシュ・フローを減少させる可能性があります。同様に、海外の年金制度についても各国の法令にもとづき追加拠出が必要となる場合、キャッシュ・フローを減少させる可能性があります。また、今後、法令が定める掛金の更新にともなって制度資産の長期期待収益率等の前提を見直したことにより、年金制度への拠出金の水準が引上げられた場合、ソニーのキャッシュ・フローに対して悪影響を及ぼす可能性があります。 (18) 繰延税金資産に対して評価減を計上している税務管轄におけるさらなる損失の発生、ソニーが繰延税金資産を最大限に利用できないこと、各国の法令にもとづく繰延税金資産の使用の制限、追加的な税金負債あるいは税率の変動がソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ソニーは、日本及び様々な税務管轄において法人所得税を課されており、通常の営業活動において連結会社間の移転価格取引により最終的な税額の決定に不確実な状況が多く生じています。また、ソニーは、多くの税務管轄において税務当局から継続的な調査を受けています。ソニーの税金引当額、及び繰越欠損金や繰越税額控除を含む税金資産の帳簿価額の計算には将来の課税所得の見積りを含む高度な判断と見積りが要求されます。ソニーは、決算日において、繰延税金資産に対して計上している評価減の妥当性を判断するため、これら資産の再評価を行います。2026年3月31日現在、総額で2,775億円の評価減が計上されています。これら評価減の増加は、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 繰延税金資産は、税務管轄ごとに評価されます。2026年3月31日時点において、ソニーは主に日本及び海外の一部の子会社において評価減を計上しています。さらに、充分な課税所得を適切な税務管轄内で生み出せないなど様々な理由により、繰延税金資産は未使用のまま消滅、又は回収できない可能性があります。繰延税金資産が未使用のまま消滅した場合、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 一部の税務管轄において、繰越欠損金又は繰越税額控除の使用が、翌期以降の課税所得に対する一定の水準に制限されており、ある特定の要因の所得との相殺にしか使用できない場合があります。したがって、ソニーは、課税所得が発生した税務管轄において、多額の繰越欠損金又は繰越税額控除があるにもかかわらず、税金の支払いが発生するため税金費用を計上する可能性があります。 また、ソニーの将来における実効税率は、法定税率の変更や異なる法定税率が適用される各国での利益の割合の変化、又は最低税率に関する枠組み、ロイヤルティや利息の損金算入制限、及び税額控除の使用制限を含む租税法規の改正やそれらの解釈の変更等により不利な影響を受ける可能性があります。 上記に加え、ソニーのビジネスには、実効税率に直接影響しないものの、デジタルサービス税を含む新たな形態の総収益に対する課税や取引税が課される可能性があり、その結果、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (19) ソニーは、のれん、コンテンツ資産、その他の無形資産、もしくは有形固定資産の減損損失を計上する可能性があります。 ソニーは多くののれん、コンテンツ資産、その他の無形資産ならびに製造施設及び設備を含む有形固定資産を保有しています。これらの資産については、業績の悪化や時価総額の減少、将来のキャッシュ・フローの見積額の減少、世界経済情勢の変化、減損の判定に用いられる高度な判断を必要とする見積り・前提の変更により、減損損失を計上する可能性があります。減損の可能性を示す事象又は状況の変化には、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動等が含まれます。なお、ソニーがさらされている国際的な競争環境の激化や技術動向の急激な変化により、減損の判定に用いられる見積り、前提及び判断が変動し、減損損失の計上の可能性が増加することがあります。このような減損損失の計上は、ソニーの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、G&NS分野では、2025年度において、Bungieの事業環境を踏まえ、将来の見通しの見直しを行った結果、帳簿価額を上回る十分な将来キャッシュ・フローが得られないと判断したことにともない、Bungieの無形資産等の減損1,201億円を計上しました。詳細は「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『12.非金融資産の減損』をご参照ください。

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