経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ソニーの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。 ソニーは、グローバルに多様な事業を展開しており、ウクライナ・ロシア情勢や中東情勢等の不透明さが増していることや、米中関係等の地政学リスクの高まり、人工知能(以下「AI」)のような技術の急速な進化、地球環境問題や社会の分断への対応等の世界情勢の変化により、ソニーの事業を取り巻く環境は大きく変化しています。 ソニーは、これらの事業環境の変化に迅速に対応し、各事業の収益構造の強化に取り組むとともに、長期視点の経営を重視し、グループ全体の企業価値向上のための取り組みを続けてきました。 2026年5月8日に開催した経営方針および業績に関する説明会では、社長 CEO(最高経営責任者)の十時裕樹が、2024年度から2026年度の3年間の中期経営計画(以下「第五次中期経営計画」)の最終年度を迎えるにあたり、現在のソニーの事業の状況と、経営上の重点テーマ及び今後の方向性について説明しました。 ソニーは、エンタテインメント、IP、コンテンツクリエイション及びリアルタイム・クリエイション技術を軸とした事業の進化の方向性を示す長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」を掲げ、テクノロジーの力でクリエイターを支援し、リアルとデジタルの両方の空間でファンに新たな体験を届け、IPの価値を最大化することをめざしています。説明会の冒頭では、十時が、長期ビジョンの実現に向けた進捗について、各事業における主なトピックとともに振り返りました。続けて、アニメがソニーにとって重要な成長領域であると述べ、その取り組みを紹介するとともに、アニメDTCプラットフォームCrunchyrollの有料会員数が2026年3月末時点で2,100万人を突破したことを発表しました。 十時は、AIはソニーグループの各事業にとって最重要テーマの一つであり、新たな価値創出を促し、エンタテインメント領域で新しい成長機会を生み出す可能性がある一方で、人のクリエイティビティが常に中心にあるべき、との考えを強調しました。また、「AIはアーティストやクリエイターに取って代わるものではない」と述べ、各事業でAIがどのように活用されているかについて具体例を紹介しました。加えて、G&NS分野におけるAIの活用事例を、SIEの社長 CEOの西野秀明が紹介しました。 続いて十時より、SSSが、イメージセンサー事業の成長と収益性の改善をめざし、次世代イメージセンサーの開発・製造に関する戦略的提携に向けて、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited(以下「TSMC」)との間で法的拘束力をともなわない基本合意書(以下「MOU」)を締結したことを発表しました。 また、技術的・地政学的な変化が起こる中、各事業を推進していく上で、適応力が重要であると強調し、ソニーの事業と人材の多様性が今後もソニーの成長を支えていくと締めくくりました。 2026年5月8日の経営方針および業績に関する説明会において発表した経営方針の詳細は、以下のとおりです。 1.「Creative Entertainment Vision」の推進 ソニーは「Creative Entertainment Vision」のもと、テクノロジーの力でクリエイターを支援し、リアルとデジタルの両空間でファンに新たな体験を届けるとともに、エンタテインメント事業におけるIP価値最大化をめざしている。 ・アニメ領域では、制作からファンエンゲージメント、マーケティング、グローバル配信に至るまで、グループ各社及び戦略パートナーと連携し、シナジーを生み出している。これにより、アニメを世界中の幅広いオーディエンスへ届けることが可能となっている。・㈱アニプレックス(以下「Aniplex」)とパートナー各社による世界的な大ヒット作『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、アニメの世界的な急成長を象徴している。・Crunchyrollは、2026年3月末時点で、世界で2,100万人を超える有料会員を擁している。成長をさらに加速させるため、「クランチロール アニメアワード」では、㈱Gaudiyとのパートナーシップのもと、MyAnimeListをファン投票のプラットフォームとして初導入したほか、今秋には各分野を牽引する企業が一堂に会する「クランチロール アニメ・フューチャー・フォーラム」を初開催し、アニメファンや日本のパブリッシャー、クリエイターとの関係強化を進めていく。 2.事業ポートフォリオの最適化 第五次中期経営計画期間において、主に以下の施策を通じて事業ポートフォリオの最適化を進めている。・金融事業のパーシャル・スピンオフを2025年10月1日付で実行。・ET&S分野のホームエンタテインメント領域における戦略的提携に向けた確定契約をソニー㈱がTCL Electronics Holdings Limited及びその子会社(以下「TCL」)と2026年3月31日に締結。 こうした施策と並行して、成長が期待され、競争優位性の高い領域への投資も継続している。・㈱バンダイナムコホールディングス(以下「バンダイナムコ」)との戦略的業務提携により、アニメ領域等における競争力を強化。・WildBrain Ltd.が保有するPeanuts Holdings LLC(以下「Peanuts Holdings」)の持分を追加取得し、持分比率を80%に引き上げ。・Pink Floyd及びQueenのカタログ取得に続き、米国ソニー・ミュージックグループがGIC Private Limitedと提携する等、音楽IPへの継続的な投資を実施。 3.AIによる成長の推進 AIは、新たな価値創出と成長機会をもたらす一方、アーティストやクリエイターに取って代わるものではなく、人の可能性を引き出すツールであるという前提のもと、各事業におけるAIの活用事例を紹介。 (1)AIが果たす役割・AIは単なる効率化のためのツールではなく、創造性を広げ、クリエイターを力強く支える機会をもたらす。時間やコストの制約で困難だった、より革新的なプロジェクトへの挑戦を促進している。・バンダイナムコと、生成AIを含む最新技術の活用に関する試験的な取り組みを継続し、映像制作の大幅な速度向上や、一人あたりの生産性向上といった成果を確認。今後もソニーが持つ技術と生成AIを統合することで、クリエイターが感性を最大限に拡張し、安心して利用できる制作基盤の確立をめざす。 (2)AIによるプレイステーションの体験進化・AIによって制作のハードルが下がり、コンテンツの量と多様性が増す中、プレイステーションプラットフォームとスタジオは、高品質な体験を提供し、プレイヤーが最適なコンテンツに出会えるようにする上で、引き続き重要な役割を果たす。・スタジオビジネスでは、AIを活用したツールが、ソフトウェア開発、品質保証、3Dモデリング、アニメーションなどの領域において、反復作業を自動化し、生産性を向上。これにより、制作チームはより豊かな世界観やゲーム体験の創出に注力できる。・プラットフォームビジネスでは、AIが大規模な効率化や、一人ひとりに最適化された体験の提案を推進。また、AIと機械学習への継続的な投資により、映像表現のさらなる進化を追求し、より高品質なプレイヤー体験を提供。・全体として、AIはSIEのスタジオの創造性をさらに引き出し、より洗練されたユーザー中心のプラットフォームを支え、世界中のプレイヤーコミュニティ、豊富なIP資産、統合されたエコシステムに支えられたプレイステーションの体験をさらに向上させる。 4.クリエイティビティを支えるセンサー技術における競争力強化 長年にわたり蓄積してきたアナログ領域の知見を基盤として、中長期の事業成長と価値創出を見据えた形でセンサー技術の競争力を強化し、顧客に最高の撮影体験を提供している。 ・ソニーのイメージセンサーは、単なるスペック競争の段階を超え、画素構造、積層技術、回路、プロセスといった領域において長年培ってきた深いアナログ技術の知見を生かすことで、容易に模倣できない強みを有し、持続的な競争優位性を支えている。・I&SS分野の中核であるモバイル向けイメージセンサー事業では、さらなる高性能化をめざし、微細プロセス技術や積層技術による高密度化の開発を進める。・次世代イメージセンサーの開発・製造に関する戦略的提携に向けて法的拘束力をともなわないMOUをSSSがTSMCと締結。本提携のもと、ソニーが過半数の株式を保有し支配株主となる合弁会社を設立し、熊本県合志市に完成したソニーの新工場を活用した開発・生産ラインの構築に向けた検討を進める計画。 5.変化する世界への対応 AIインフラ需要の急拡大にともなう足元の半導体メモリ不足を含め、国際的なサプライチェーンに影響を与える技術的・地政学的変化に対して、慎重に対応している。地政学上の複雑化や急速な変化に直面する中でも、ソニーの事業と人材が持つ力と多様性がさらなる成長を支え続けていく。 第五次中期経営計画 経営数値目標及びキャピタルアロケーションとその進捗<経営数値目標とキャピタルアロケーション>・当社は、2024年5月14日に第五次中期経営計画の数値目標を発表しました。・第五次中期経営計画においては、利益ベースの成長をより重視することとし、金融分野を除く連結ベース*1の営業利益の成長率及び営業利益率をグループ全体の経営数値目標としました。具体的には、2024年度から2026年度の3年間の連結営業利益の年平均成長率を10%以上とすること、及び3年間累計の連結営業利益率を10%以上とすることを目標としています。・第五次中期経営計画におけるキャピタルアロケーションについては、設備投資に1.7兆円、戦略投資については、各事業における成長投資と機動的な自己株式の取得に1.8兆円を割り当てる計画としました。また、キャピタルアロケーションの主な原資である3年間累計の金融分野を除く連結ベースの営業キャッシュ・フローは、第五次中期経営計画期間における利益成長に加え、2021年度から2023年度の3年間の第四次中期経営計画期間で増加した運転資金の回収により、第四次中期経営計画の実績を上回る、4.5兆円の見通しとしました。・株主還元については、総還元性向を重視し、これを第五次中期経営計画期間を通して段階的に増加させ、最終年度の2026年度には、40%程度とすることを目標としました。 *1 金融事業のパーシャル・スピンオフの実行方針に係る2025年5月14日の取締役会決議にともない、2025年度第1四半期より、金融事業を非継続事業に分類し、金融事業を除く継続事業とは区分して表示しているため、2025年5月14日以降、第五次中期経営計画の経営数値目標は継続事業ベースの営業利益の成長率及び営業利益率としています。 <進捗>・2025年度については、グループ全体の利益成長を牽引するG&NS分野、音楽分野及びI&SS分野で過去最高益を更新し、継続事業ベースの営業利益額の2023年度からの年平均成長率は18%、2024年度及び2025年度の2年間累計の営業利益率は11.1%となりました。・キャピタルアロケーションについては、主たる原資である3年間累計の継続事業ベースの営業キャッシュ・フローの見通しを、2025年度の実績も踏まえ、前回見通しの4.8兆円から5.7兆円に見直しました。第五次中期経営計画では、株主還元強化を重要施策の一つと位置付けており、かかる原資の増加は、主に株主還元の増額に割り当てる計画です。戦略投資は1.8兆円と当初計画からの変更はありません。設備投資は当初計画の1.7兆円から1.8兆円に見直しました。・戦略投資の進捗については、2026年5月8日時点までの実行済及び意思決定済案件の合計が約1兆円となっています。株主還元については、2025年5月15日から2026年3月24日までの期間で総額5,000億円の自己株式取得を実施するとともに、2025年度には、株式分割考慮後*2で2024年度から1株につき5円増配となる年間25円(総額1,486億円)*3の配当を実施しました。2026年度については、2026年5月11日から2027年5月10日までの1年間で、5,000億円を上限とした自己株式取得枠を設定しており、配当は増配のペースを引き上げ、2025年度から1株につき10円増配*3となる年間35円を予定しています。 *2 当社は、2024年9月30日を基準日、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行いました。*3 上記の2025年度の1株当たり配当金の額及び2026年度の増配予定額は、金融事業のパーシャル・スピンオフによるSFGI株式の現物配当を考慮していません。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ソニーの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。 ソニーは、グローバルに多様な事業を展開しており、ウクライナ・ロシア情勢や中東情勢等の不透明さが増していることや、米中関係等の地政学リスクの高まり、人工知能(以下「AI」)のような技術の急速な進化、地球環境問題や社会の分断への対応等の世界情勢の変化により、ソニーの事業を取り巻く環境は大きく変化しています。 ソニーは、これらの事業環境の変化に迅速に対応し、各事業の収益構造の強化に取り組むとともに、長期視点の経営を重視し、グループ全体の企業価値向上のための取り組みを続けてきました。 2026年5月8日に開催した経営方針および業績に関する説明会では、社長 CEO(最高経営責任者)の十時裕樹が、2024年度から2026年度の3年間の中期経営計画(以下「第五次中期経営計画」)の最終年度を迎えるにあたり、現在のソニーの事業の状況と、経営上の重点テーマ及び今後の方向性について説明しました。 ソニーは、エンタテインメント、IP、コンテンツクリエイション及びリアルタイム・クリエイション技術を軸とした事業の進化の方向性を示す長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」を掲げ、テクノロジーの力でクリエイターを支援し、リアルとデジタルの両方の空間でファンに新たな体験を届け、IPの価値を最大化することをめざしています。説明会の冒頭では、十時が、長期ビジョンの実現に向けた進捗について、各事業における主なトピックとともに振り返りました。続けて、アニメがソニーにとって重要な成長領域であると述べ、その取り組みを紹介するとともに、アニメDTCプラットフォームCrunchyrollの有料会員数が2026年3月末時点で2,100万人を突破したことを発表しました。 十時は、AIはソニーグループの各事業にとって最重要テーマの一つであり、新たな価値創出を促し、エンタテインメント領域で新しい成長機会を生み出す可能性がある一方で、人のクリエイティビティが常に中心にあるべき、との考えを強調しました。また、「AIはアーティストやクリエイターに取って代わるものではない」と述べ、各事業でAIがどのように活用されているかについて具体例を紹介しました。加えて、G&NS分野におけるAIの活用事例を、SIEの社長 CEOの西野秀明が紹介しました。 続いて十時より、SSSが、イメージセンサー事業の成長と収益性の改善をめざし、次世代イメージセンサーの開発・製造に関する戦略的提携に向けて、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited(以下「TSMC」)との間で法的拘束力をともなわない基本合意書(以下「MOU」)を締結したことを発表しました。 また、技術的・地政学的な変化が起こる中、各事業を推進していく上で、適応力が重要であると強調し、ソニーの事業と人材の多様性が今後もソニーの成長を支えていくと締めくくりました。 2026年5月8日の経営方針および業績に関する説明会において発表した経営方針の詳細は、以下のとおりです。 1.「Creative Entertainment Vision」の推進 ソニーは「Creative Entertainment Vision」のもと、テクノロジーの力でクリエイターを支援し、リアルとデジタルの両空間でファンに新たな体験を届けるとともに、エンタテインメント事業におけるIP価値最大化をめざしている。 ・アニメ領域では、制作からファンエンゲージメント、マーケティング、グローバル配信に至るまで、グループ各社及び戦略パートナーと連携し、シナジーを生み出している。これにより、アニメを世界中の幅広いオーディエンスへ届けることが可能となっている。・㈱アニプレックス(以下「Aniplex」)とパートナー各社による世界的な大ヒット作『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は、アニメの世界的な急成長を象徴している。・Crunchyrollは、2026年3月末時点で、世界で2,100万人を超える有料会員を擁している。成長をさらに加速させるため、「クランチロール アニメアワード」では、㈱Gaudiyとのパートナーシップのもと、MyAnimeListをファン投票のプラットフォームとして初導入したほか、今秋には各分野を牽引する企業が一堂に会する「クランチロール アニメ・フューチャー・フォーラム」を初開催し、アニメファンや日本のパブリッシャー、クリエイターとの関係強化を進めていく。 2.事業ポートフォリオの最適化 第五次中期経営計画期間において、主に以下の施策を通じて事業ポートフォリオの最適化を進めている。・金融事業のパーシャル・スピンオフを2025年10月1日付で実行。・ET&S分野のホームエンタテインメント領域における戦略的提携に向けた確定契約をソニー㈱がTCL Electronics Holdings Limited及びその子会社(以下「TCL」)と2026年3月31日に締結。 こうした施策と並行して、成長が期待され、競争優位性の高い領域への投資も継続している。・㈱バンダイナムコホールディングス(以下「バンダイナムコ」)との戦略的業務提携により、アニメ領域等における競争力を強化。・WildBrain Ltd.が保有するPeanuts Holdings LLC(以下「Peanuts Holdings」)の持分を追加取得し、持分比率を80%に引き上げ。・Pink Floyd及びQueenのカタログ取得に続き、米国ソニー・ミュージックグループがGIC Private Limitedと提携する等、音楽IPへの継続的な投資を実施。 3.AIによる成長の推進 AIは、新たな価値創出と成長機会をもたらす一方、アーティストやクリエイターに取って代わるものではなく、人の可能性を引き出すツールであるという前提のもと、各事業におけるAIの活用事例を紹介。 (1)AIが果たす役割・AIは単なる効率化のためのツールではなく、創造性を広げ、クリエイターを力強く支える機会をもたらす。時間やコストの制約で困難だった、より革新的なプロジェクトへの挑戦を促進している。・バンダイナムコと、生成AIを含む最新技術の活用に関する試験的な取り組みを継続し、映像制作の大幅な速度向上や、一人あたりの生産性向上といった成果を確認。今後もソニーが持つ技術と生成AIを統合することで、クリエイターが感性を最大限に拡張し、安心して利用できる制作基盤の確立をめざす。 (2)AIによるプレイステーションの体験進化・AIによって制作のハードルが下がり、コンテンツの量と多様性が増す中、プレイステーションプラットフォームとスタジオは、高品質な体験を提供し、プレイヤーが最適なコンテンツに出会えるようにする上で、引き続き重要な役割を果たす。・スタジオビジネスでは、AIを活用したツールが、ソフトウェア開発、品質保証、3Dモデリング、アニメーションなどの領域において、反復作業を自動化し、生産性を向上。これにより、制作チームはより豊かな世界観やゲーム体験の創出に注力できる。・プラットフォームビジネスでは、AIが大規模な効率化や、一人ひとりに最適化された体験の提案を推進。また、AIと機械学習への継続的な投資により、映像表現のさらなる進化を追求し、より高品質なプレイヤー体験を提供。・全体として、AIはSIEのスタジオの創造性をさらに引き出し、より洗練されたユーザー中心のプラットフォームを支え、世界中のプレイヤーコミュニティ、豊富なIP資産、統合されたエコシステムに支えられたプレイステーションの体験をさらに向上させる。 4.クリエイティビティを支えるセンサー技術における競争力強化 長年にわたり蓄積してきたアナログ領域の知見を基盤として、中長期の事業成長と価値創出を見据えた形でセンサー技術の競争力を強化し、顧客に最高の撮影体験を提供している。 ・ソニーのイメージセンサーは、単なるスペック競争の段階を超え、画素構造、積層技術、回路、プロセスといった領域において長年培ってきた深いアナログ技術の知見を生かすことで、容易に模倣できない強みを有し、持続的な競争優位性を支えている。・I&SS分野の中核であるモバイル向けイメージセンサー事業では、さらなる高性能化をめざし、微細プロセス技術や積層技術による高密度化の開発を進める。・次世代イメージセンサーの開発・製造に関する戦略的提携に向けて法的拘束力をともなわないMOUをSSSがTSMCと締結。本提携のもと、ソニーが過半数の株式を保有し支配株主となる合弁会社を設立し、熊本県合志市に完成したソニーの新工場を活用した開発・生産ラインの構築に向けた検討を進める計画。 5.変化する世界への対応 AIインフラ需要の急拡大にともなう足元の半導体メモリ不足を含め、国際的なサプライチェーンに影響を与える技術的・地政学的変化に対して、慎重に対応している。地政学上の複雑化や急速な変化に直面する中でも、ソニーの事業と人材が持つ力と多様性がさらなる成長を支え続けていく。 第五次中期経営計画 経営数値目標及びキャピタルアロケーションとその進捗<経営数値目標とキャピタルアロケーション>・当社は、2024年5月14日に第五次中期経営計画の数値目標を発表しました。・第五次中期経営計画においては、利益ベースの成長をより重視することとし、金融分野を除く連結ベース*1の営業利益の成長率及び営業利益率をグループ全体の経営数値目標としました。具体的には、2024年度から2026年度の3年間の連結営業利益の年平均成長率を10%以上とすること、及び3年間累計の連結営業利益率を10%以上とすることを目標としています。・第五次中期経営計画におけるキャピタルアロケーションについては、設備投資に1.7兆円、戦略投資については、各事業における成長投資と機動的な自己株式の取得に1.8兆円を割り当てる計画としました。また、キャピタルアロケーションの主な原資である3年間累計の金融分野を除く連結ベースの営業キャッシュ・フローは、第五次中期経営計画期間における利益成長に加え、2021年度から2023年度の3年間の第四次中期経営計画期間で増加した運転資金の回収により、第四次中期経営計画の実績を上回る、4.5兆円の見通しとしました。・株主還元については、総還元性向を重視し、これを第五次中期経営計画期間を通して段階的に増加させ、最終年度の2026年度には、40%程度とすることを目標としました。 *1 金融事業のパーシャル・スピンオフの実行方針に係る2025年5月14日の取締役会決議にともない、2025年度第1四半期より、金融事業を非継続事業に分類し、金融事業を除く継続事業とは区分して表示しているため、2025年5月14日以降、第五次中期経営計画の経営数値目標は継続事業ベースの営業利益の成長率及び営業利益率としています。 <進捗>・2025年度については、グループ全体の利益成長を牽引するG&NS分野、音楽分野及びI&SS分野で過去最高益を更新し、継続事業ベースの営業利益額の2023年度からの年平均成長率は18%、2024年度及び2025年度の2年間累計の営業利益率は11.1%となりました。・キャピタルアロケーションについては、主たる原資である3年間累計の継続事業ベースの営業キャッシュ・フローの見通しを、2025年度の実績も踏まえ、前回見通しの4.8兆円から5.7兆円に見直しました。第五次中期経営計画では、株主還元強化を重要施策の一つと位置付けており、かかる原資の増加は、主に株主還元の増額に割り当てる計画です。戦略投資は1.8兆円と当初計画からの変更はありません。設備投資は当初計画の1.7兆円から1.8兆円に見直しました。・戦略投資の進捗については、2026年5月8日時点までの実行済及び意思決定済案件の合計が約1兆円となっています。株主還元については、2025年5月15日から2026年3月24日までの期間で総額5,000億円の自己株式取得を実施するとともに、2025年度には、株式分割考慮後*2で2024年度から1株につき5円増配となる年間25円(総額1,486億円)*3の配当を実施しました。2026年度については、2026年5月11日から2027年5月10日までの1年間で、5,000億円を上限とした自己株式取得枠を設定しており、配当は増配のペースを引き上げ、2025年度から1株につき10円増配*3となる年間35円を予定しています。 *2 当社は、2024年9月30日を基準日、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行いました。*3 上記の2025年度の1株当たり配当金の額及び2026年度の増配予定額は、金融事業のパーシャル・スピンオフによるSFGI株式の現物配当を考慮していません。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。(1)重要な会計上の見積り IFRSに従った連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような、マネジメントによる見積り及び仮定を必要とします。ソニーは、継続的に、過去のデータ、将来の予測及び状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な仮定にもとづき見積りを評価します。これらの評価の結果は、他の方法からは容易に判定しえない資産・負債の簿価あるいは費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、これらの見積りと大きく異なる場合があります。ソニーは、会社の財政状態や業績に重要な影響を与え、かつその適用にあたってマネジメントが重要な判断や見積りを必要とするものを重要な会計上の見積りであると考えます。ソニーは、以下に述べる項目を会社の重要な会計上の見積りとして考えています。なお、重要な会計上の見積りの各項目に関連する会計方針については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『2.作成の基礎』及び『3.重要性がある会計方針の要約』をご参照ください。非金融資産の減損 ソニーは、棚卸資産、契約コスト及び繰延税金資産を除く非金融資産について、個々の資産又は資金生成単位に係る減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能性の検討を行っています。これに加え、各資金生成単位に配分されているのれん、耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産の帳簿価額については、年に1回第4四半期に減損テストを実施しています。 当年度の減損判定において、主に映画分野でのれんを持つ資金生成単位において、のれんの減損損失を認識しましたが、当該資金生成単位を除き、のれんを持つ資金生成単位の回収可能価額は帳簿価額を超過していたため、のれんの減損損失を認識することはありませんでした。また、重要なのれんを持つ資金生成単位において回収可能価額は帳簿価額を少なくとも10%以上超過しています。耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産においても、回収可能価額が帳簿価額を超過していたため、減損損失を認識することはありませんでした。 中期計画を除く、2025年度ののれんの減損判定において実施された資金生成単位の回収可能価額への影響に関する感応度分析を含む重要な前提の検討は下記のとおりです。詳細は「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『11.のれん及び無形資産』をご参照ください。・税引後割引率は6.0%から15.5%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、割引率を1ポイント増加させた場合においても、重要なのれんの減損損失を認識することはありませんでした。・G&NS分野、ET&S分野、I&SS分野の資金生成単位におけるターミナル・バリューに適用された成長率は2.0%です。音楽分野の資金生成単位における中期計画を超える期間の成長率は1.0%から3.4%の範囲、映画分野では△5.0%から10.0%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、成長率を1ポイント減少させた場合においても、重要なのれんの減損損失を認識することはありませんでした。・映画分野の資金生成単位におけるターミナル・バリューの算定に使用される利益倍率は8.9から11.0、収益倍率は1.5です。他の全ての前提を同一とし、利益倍率を1.0、収益倍率を0.25それぞれ減少させた場合においても、重要なのれんの減損損失を認識することはありませんでした。 マネジメントは、のれんの減損判定における回収可能価額の見積りに用いられた前提は、合理的であると考えています。しかしながら、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、回収可能価額の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、結果として、将来においてソニーが非金融資産の減損損失を認識することになる可能性があります。企業結合 被取得企業における識別可能資産及び負債は、限定的な例外を除き、取得日の公正価値で測定しています。 企業結合で移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額及びソニーが従来保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能資産及び負債の正味価額を上回る場合にはその超過額がのれんとして認識され、下回る場合には純利益として認識されます。 見積りや前提には固有の不確実性が含まれるため、この移転された対価は異なる金額で評価され、識別可能資産及び負債に割り当てられる可能性があります。実際の結果が異なる可能性があること又は予想しない事象及び状況がこのような見積りに影響を与える可能性があることから、識別可能資産及びのれんの減損損失の計上又は識別可能負債の増加が必要となる可能性があります。 映画分野における予想総収益の見積り 映画会計においては、作品のライフサイクルを通した予想総収益を見積もる過程でマネジメントの判断が必要となります。この予想総収益の見積りは、繰延映画製作費及び映画分野における未払分配金債務の測定にあたり重要となります。 映画作品が製作され関連する費用が資産化される際に、その繰延映画製作費の公正価値が減損し、回収不能と見込まれる額を評価減する必要があるかどうかを決定するため、マネジメントは発生時に費用化される配給関連費用を含む追加で発生する費用を控除した予想総収益を見積もる必要があります。また、映画作品に関する売上原価として認識される繰延映画製作費の額は、その映画作品がそのライフサイクルにおいて様々な市場で公開されることから、残りの予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合にもとづいて計上されています。 マネジメントが各作品の予想総収益を見積もる際に基礎とするのは、同種の過去の作品の収益、主演俳優の人気度、その作品の公開される予測映画館数、BD/DVD等のパッケージメディアやデジタル販売、テレビ放映及びその他の付随マーケットでの期待収益ならびに将来の売上に関する契約等です。この見積りは、各作品の直近までの実現収益及び将来予測収益にもとづいて定期的に見直されます。例えば、公開当初数週間の劇場収入が予想を下回った場合には、通常、劇場、BD/DVD等のパッケージメディアやデジタル販売、及びテレビ放映の生涯収益等を下方に修正することになります。そのような下方修正を行わなかった場合、当該期間における繰延映画製作費の償却費の過少計上になる可能性があります。さらに、未払分配金債務は残りの予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合に応じて計上されます。 繰延税金資産の評価 繰延税金資産は、将来それらを利用できる課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識しています。したがって、繰延税金資産の計上金額は、繰延税金資産の回収可能性に関連する入手可能な証拠にもとづいて、定期的に評価されます。 繰延税金資産の評価は、財政状態計算書日時点で適用されている税制や税率にもとづいており、また、ソニーの財務諸表及び税務申告書で認識されている事象に関して将来に起こり得る税務上の結果についてのマネジメントの判断と最善の見積り、様々な税務戦略を実行する能力、一定の場合においての将来の結果に関する予測、事業計画及びその他の見込みを反映しています。ソニーが事業を行っているそれぞれの税務管轄における現在の税制や税率の改正は、実際の税務上の結果に影響を与える可能性があり、市場経済の悪化やマネジメントによる構造改革の目標未達は、将来における業績に影響を与える可能性があります。そして、これらのいずれかが、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性があります。将来の結果が計画を下回る場合、税務調査の結果や連結会社間の移転価格に関する事前確認制度の交渉が現在の損益配分に関する予想と異なる結果となる場合、及び税務戦略の選択肢が実行可能ではなくなる場合や売却を予定する資産の価値が税務上の簿価を下回ることになる場合には、繰延税金資産に対して評価減の計上が要求される可能性があります。一方、将来の予測される利益の改善や継続した利益の計上、ビジネス構造の変革といった他の要因によって、関連し得る要因の評価の結果、将来において、税金費用の減額をともなう評価減の戻し入れが計上される可能性があります。現在の見込みにおいて予想していないこれらの起こり得る要因や変化は、評価減が計上又は取崩される期間において、ソニーの業績又は財政状態に重要な影響を与える可能性があります。 (2)生産、受注及び販売の状況 ソニーの生産・販売品目は極めて広範囲かつ多種多様であり、また、ゲーム機やゲームソフト、音楽・映像ソフト、エレクトロニクス機器等は、その性質上、原則として見込生産を行っているため、分野別に生産規模及び受注規模を金額又は数量で示すことはしていません。販売の状況については後述の「(3)経営成績の分析」において各分野の業績に関連付けて示しています。 (3)経営成績の分析 連結業績概況 継続事業*:2024年度(億円)2025年度(億円)売上高120,349124,796営業利益12,76614,475税引前利益13,43214,224当社株主に帰属する当期純利益10,67410,309 * 上記の表には継続事業のみの金額を表示しています。2025年度の非継続事業を含む連結の当社株主に帰属する当期純利益(損失)は3,269億円の損失(前年度は1兆1,416億円の利益)となりました。 2025年度の業績は、以下のとおりです((+)は主な改善要因、(-)は主な悪化要因)。 売上高:12兆4,796億円(前年度比4,447億円増収) (+)I&SS分野、音楽分野の増収 (売上高の内訳の詳細は、後述の「分野別営業概況」参照) (後述の比率分析のうち、セグメントに関するものについては、セグメント間取引を含んで計算されています。) 売上原価:8兆6,352億円(前年度比1,304億円増加) 売上高に対する比率は前年度の70.7%から69.2%に改善。 研究開発費(売上原価に全額含まれる):7,620億円(前年度比274億円増加) 売上高に対する比率は6.1%(前年度は6.1%)。 (詳細は「第2 事業の状況」『6 研究開発活動』参照) 販売費及び一般管理費:2兆2,986億円(前年度比418億円増加) 売上高に対する比率は前年度の18.8%から18.4%に改善。 その他の営業損(益)(純額):341億円の損失(前年度は112億円の利益) (-)Bungieの無形資産等の減損1,201億円(G&NS分野) (+)金融事業のパーシャル・スピンオフの実行にともなう過年度に当社からソニー生命に譲渡した土地に係る未実現利益の実現439億円(全社(共通)及びセグメント間取引消去) (+)Peanuts Holdingsの持分追加取得にともなう再評価益347億円(音楽分野) (「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『23.連結損益計算書についての補足情報』参照) 持分法による投資利益(損失):642億円の損失(前年度は79億円の損失) (-)その他分野におけるソニー・ホンダモビリティのEVモデルの発売中止にともなう持分法投資損失の追加計上449億円 営業利益:1兆4,475億円(前年度比1,709億円増加) (+)I&SS分野及び音楽分野の増益 金融収益:760億円(前年度比630億円減少)金融費用:1,012億円(前年度比287億円増加)金融収益及び費用(純額):251億円の費用(前年度は666億円の収益) (-)Spotify Technology S.A.株式等の評価益の減少 税引前利益:1兆4,224億円(前年度比792億円増加) 法人所得税:3,671億円(前年度比1,096億円増加)実効税率:25.8%(前年度は19.2%) 税率の変動は主に以下の要因の影響によるものです。 ・2024年度において子会社からの資本の払い戻しにともなう税金費用の減少があったことの反動(484億円) ・2024年度において子会社の解散にともなう税金費用の減少があったことの反動(353億円) (「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『25.法人所得税』参照) 非支配持分に帰属する当期純利益:244億円(前年度比61億円増加) 継続事業からの当社株主に帰属する当期純利益:1兆309億円(前年度比365億円減少) 継続事業からの基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益:172.51円(前年度は176.45円)継続事業からの希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益:171.44円(前年度は175.71円) (当社は、2024年9月30日を基準日、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行いました。上記の基本的1株当たり当期純利益及び希薄化後1株当たり当期純利益は、前年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しています。1株当たり当社株主に帰属する当期純損益の詳細については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『26.基本的及び希薄化後EPSの調整表』参照) 分野別営業概況 以下の情報はセグメント情報にもとづきます。各分野の売上高はセグメント間取引消去前のものであり、また各分野の営業損益はセグメント間取引消去前のもので配賦不能費用は含まれていません。(「第5 経理の状況」 連結財務諸表注記『4.セグメント情報』参照) G&NS分野 主要経営数値 2024年度(百万円)2025年度(百万円)製品部門別の外部顧客向け売上高 デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツ2,290,4982,415,305ネットワーク669,873763,126ハードウェア・その他1,583,2001,391,622外部顧客向け売上高の合計4,543,5714,570,053セグメント間取引126,473115,598セグメント売上高4,670,0444,685,651セグメント営業利益414,819463,258 2025年度のG&NS分野の業績は、以下のとおりです。 売上高:4兆6,857億円(前年度比ほぼ横ばい、為替影響:+873億円) (+)為替の影響 (+)ネットワークサービスの増収 (+)自社制作以外のゲームソフトウェア販売増加 (-)販売台数減少によるハードウェアの減収 営業利益:4,633億円(前年度比484億円増益、為替影響:+543億円) (+)ネットワークサービスの増収の影響 (+)為替の好影響 (-)Bungieの無形資産等の減損(1,201億円) 事業環境及び事業戦略 2025年度の当分野の業績は、拡大したPS5のインストールベースを背景とした、ネットワークサービスとゲームソフトウェア販売からの安定的な収益拡大を反映し、当分野として過去最高益を更新しました。このような環境下、ソニーは、プレイステーション®プラス(以下「PS Plus」)の収益拡大、プレイステーション®ストアにおけるユーザー一人当たりの平均売上高の最大化、自社制作のゲームソフトウェアの販売拡大、及びコストコントロールとサプライチェーン管理の強化を通じて、安定した事業成長をめざしています。具体的には、ハードウェアについては、半導体メモリの価格高騰及び供給不足の影響があるものの、販売台数やプロモーション等の計画を柔軟に見直し、損益への影響をマネージしていきます。ネットワークサービスについては、PS Plusにおいて、ユーザーエンゲージメントを高めるとともに、サービスやコンテンツの価値を継続的に向上させ、上位ティアへのユーザーの移行を促すことで、利益成長に注力しています。また、自社制作以外のゲームソフトウェアについては、サードパーティスタジオとの関係性を維持・強化し、主要なフランチャイズ作品からの安定的な収益貢献を継続させるとともに、新たなヒット作品の創出のためのクリエイター支援の取り組みも継続していきます。自社制作のゲームソフトウェアにおいては、ソニーが従来から強みを持つシングルプレイヤーゲームを毎年継続的にリリースするとともに、ライブサービスゲームのポートフォリオ構築にも取り組むことで、安定した収益基盤の構築に注力しています。また、AIを活用して、スタジオの創造性をさらに引き出し、プレイステーションの体験をさらに向上させることに取り組んでいます。スタジオビジネスでは、制作チームがより豊かな世界観やゲーム体験の創出に注力できるよう、AIを活用したツールによる生産性の向上を図っています。プラットフォームビジネスでは、プレイステーションストアにおける決済処理の効率化やユーザー一人ひとりに最適化されたコンテンツの提案へのAIの活用に取り組んでいます。また、AI及び機械学習への投資を通じて映像表現のさらなる進化を追求し、より高品質なゲーム体験の提供をめざします。さらに、プレイステーションのゲームIPの映画化・テレビ番組化の取り組みを継続し、IPのさらなるリーチ拡大と収益化を図っていきます。音楽分野 音楽分野の業績には、日本のSMEJの円ベースでの業績、ならびにその他全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、SME及びSMPの円換算後の業績が含まれています。 主要経営数値 2024年度(百万円)2025年度(百万円)ビジネス部門別の外部顧客向け売上高 音楽制作(ストリーミング)788,772852,672音楽制作(その他)407,260492,656音楽出版379,812419,864映像メディア・プラットフォーム244,419325,342外部顧客向け売上高の合計1,820,2632,090,534セグメント間取引22,34129,576セグメント売上高1,842,6042,120,110セグメント営業利益357,255446,986 2025年度の音楽分野の業績は、以下のとおりです。 売上高:2兆1,201億円(前年度比2,775億円増収、為替影響:△169億円) (+)音楽制作及び音楽出版におけるストリーミングサービスからの収入増加 (+)音楽制作における興行・物販からの収入増加 (+)映像メディア・プラットフォームの増収(+)2025年度に公開した『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』及び『国宝』の貢献(+)モバイル向けを中心としたゲームアプリケーションの収入増加 営業利益:4,470億円(前年度比897億円増益) (+)増収の影響 (+)Peanuts Holdingsの持分追加取得にともなう再評価益の計上(347億円) 事業環境及び事業戦略 2025年度の当分野の業績は、音楽ストリーミング市場の拡大が続く中、これまで積極的に行ってきた才能あるアーティストやソングライターの発掘・育成の強化及び音楽カタログへの投資によるストリーミングサービスからの収入の安定的な成長を反映したものとなりました。また、映像メディア・プラットフォームにおける『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の世界的ヒットも、当分野の売上成長に貢献しました。このような環境下、ソニーは、グローバル音楽事業においては、配信プラットフォーム各社との強固な関係を維持しながら、事業全体ならびにラテンアメリカ、インド及びその他アジア諸国等の、拡大する新興市場での事業成長をめざしています。この成長を実現するため、優良な音楽カタログへの戦略的投資機会の継続的な探索による収益機会の拡大、アーティストやソングライターの発掘・育成及びローカルのインディーズレーベルやアーティストとの関係構築・強化、The OrchardやAWAL等のインディーズレーベル向けディストリビューションやインディーズアーティスト向けサービスの収益拡大に取り組んでいます。また、アーティストやコンテンツのファンに向けたライブ興行・物販等の事業展開にも注力しています。加えて、ソニー・ミュージック所属アーティストの伝記映画やドキュメンタリー、ライブイベントを通じたIP活用の拡大にも引き続き取り組んでいます。さらに、様々なパートナーと連携して、革新的な音楽コンテンツの創出や新しいアイデアの実現のためのツールとしてのAI等の最先端技術の活用を探求するとともに、ライセンス契約を通じた新たな収益チャネルの開拓・拡大を進めていきます。同時に、アーティストの権利保護やAIで生成された楽曲に関する消費者への透明性の確保等にも引き続き取り組んでいきます。日本国内の音楽事業においては、YOASOBIや米津玄師といったJ-POPアーティストの海外展開のさらなる拡大を進めていきます。映像メディア・プラットフォームにおいては、アニメ事業のさらなる成長に向けて、有力IPの新規開発及び獲得のための企画力・制作力の強化と、基幹IPの海外市場を含む展開力強化を進めていきます。また、2026年3月に、「ピーナッツ」IPの権利保有・事業運営を行うPeanuts Holdingsの持分を追加取得し、ソニーグループの強みを生かして、長期視点でさらなる事業拡大とブランド価値の一層の向上に取り組んでいきます。ゲーム事業においては、新規タイトルによるヒット創出と既存タイトルのライフタイムバリュー最大化の両立に引き続き取り組んでいきます。映画分野 映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結しているSPEの円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。 主要経営数値 2024年度(百万円)2025年度(百万円)ビジネス部門別の外部顧客向け売上高 映画製作610,313495,655テレビ番組制作459,281512,372メディアネットワーク428,940478,269外部顧客向け売上高の合計1,498,5341,486,296セグメント間取引7,41012,994セグメント売上高1,505,9441,499,290セグメント営業利益117,284104,872 2025年度の映画分野の業績は、以下のとおりです(要因分析は米ドルベース)。 売上高:1兆4,993億円(前年度比ほぼ横ばい、米ドルベース:18百万米ドル増収) (+)有料会員数の増加及び『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』のグローバル配給*によるCrunchyrollの増収 (+)テレビ番組制作における納入作品数の増加 (-)映画製作における当年度劇場公開作品からの収入減少 * Crunchyrollとソニー・ピクチャーズは、日本と一部のアジア地域を除く全世界で同作品の配給を行いました。 営業利益:1,049億円(前年度比124億円減益、米ドルベース:87百万米ドル減益) (-)VFX事業やバーチャルプロダクション事業等を運営するPixomondo Holdings, Inc.及びその連結子会社の資産の減損及び事業収束に関連する費用(271億円) (-)映画製作における減収の影響 (+)映画製作におけるカタログ作品の貢献の増加 (+)Crunchyrollの増収の影響 事業環境及び事業戦略 2025年度の当分野の業績は、当年度劇場公開作品からの収入減少があったものの、有料会員数の増加及び『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』のグローバル配給による、アニメDTCプラットフォームであるCrunchyrollの業績貢献の拡大等を反映したものとなりました。このような環境下、ソニーは、あらゆる配信プラットフォームにコンテンツを提供できる独立系コンテンツサプライヤーとしての強みを活かし、引き続きIPの長期的な価値最大化をめざします。映画製作においては、映画作品の劇場公開を重視する戦略を継続するとともに、グローバルでのマーケティング及び劇場配給の能力により、タレントやクリエイターとの関係を強化しています。2026年度には、『Spider-Man: Brand New Day』や『Jumanji: Open World』をはじめとする、強力なIPの映画作品の劇場公開を予定しています。テレビ番組制作においては、多様なジャンルにおける制作能力を引き続き強化するとともに、スピンオフ作品の開発等によるフランチャイズの拡大に積極的に取り組んでいきます。メディアネットワークにおいては、CrunchyrollやSonyLIV等のDTCサービスの展開をさらに強化していきます。特に、Crunchyrollは、当分野の成長の重要な柱であり、ストリーミングサービスにとどまらず、アニメグッズ等のeコマース、アニメイベント、モバイルゲーム、マンガアプリ等を通じてファンとのタッチポイントを拡大し、より幅広い視聴者にリーチしていきます。また、当分野は、ソニーグループ内の事業間シナジーやコラボレーションを生み出すハブの役割を担い、「Creative Entertainment Vision」の実現に貢献することをめざします。例えば、Aniplex、SMEJ及びPlayStation Productionsによる『Ghost of Tsushima』のアニメシリーズ化、SPEとPlayStation Productionsによる『Bloodborne』及び『HELLDIVERS』の映画化等、今後もプレイステーションのゲームIPを題材とした作品展開やアニメ領域におけるグループ内コラボレーションを拡大していきます。 ET&S分野 主要経営数値 2024年度(百万円)2025年度(百万円)製品部門別の外部顧客向け売上高 イメージング737,639722,465サウンド290,538278,846ネットワークサービス179,704188,308ディスプレイ597,777476,305その他557,180518,891外部顧客向け売上高の合計2,362,8382,184,815セグメント間取引46,43775,717セグメント売上高2,409,2752,260,532セグメント営業利益190,926158,584 2025年度のET&S分野の業績は、以下のとおりです。 売上高:2兆2,605億円(前年度比1,487億円減収、為替影響:+71億円) (-)ディスプレイにおける販売台数減少 営業利益:1,586億円(前年度比323億円減益、為替影響:+53億円) (-)ディスプレイにおける減収の影響 (+)オペレーション費用の削減 事業環境及び事業戦略 2025年度の当分野の業績は、ディスプレイにおける競争の激化や米国追加関税等の厳しい事業環境の中、これらの環境変化に柔軟に対応するための徹底した在庫管理や固定費削減等の収益性を重視する取り組みを反映したものとなりました。このような環境下、ソニーは、収益性の高いイメージング事業等のクリエイションを軸とした事業の拡大を着実に進めており、「収益性維持と成長戦略を両立する事業構造の確立」という経営方針の下、「企業価値向上」と「キャッシュ創出」を目標に掲げ、中期的な事業の変革を推進しています。当分野では、各事業を「領域拡大」、「成長・創出」、「構造改革・転換」の3つの領域に分けています。「領域拡大」領域であるイメージング事業及びサウンド事業では、安定収益基盤を強化し、事業領域を拡大させ、さらなる成長をめざします。具体的には、イメージング事業では、優れた技術力・商品力による競争優位性で事業領域を拡大し、エコシステムを構築していきます。サウンド事業においても、サウンド制作からコンスーマー製品まで、End to Endのエコシステムの構築をめざします。イメージング事業のソリューションや、サウンド事業のクリエイションを含む領域では、既存のビジネスで培った技術をベースにソフトウェアの付加価値を加えることでクリエイターの表現力を拡張し、クリエイションの多様化により事業を拡大させ、クリエイターのすそ野も拡大していきます。「成長・創出」領域であるスポーツ事業やニューコンテンツクリエイション事業では、事業モデルの進化と新たな事業創出をめざします。具体的には、スポーツ事業では、判定支援から、データエンハンスメントのテクノロジーを活用した新たなエンタテインメントの創造へと事業を進化させていきます。ニューコンテンツクリエイション事業においては、空間キャプチャリングやクリエイティブツールのテクノロジーを活用し、新たなクリエイション産業の創出をめざします。「構造変革・転換」領域であるディスプレイ事業では、構造変革を加速し、ボラティリティの低減を進め、リスクのコントロールをめざします。2026年3月に、ソニー㈱とTCLとの間でホームエンタテインメント領域における戦略的提携に関する確定契約を締結し、今後は、ソニーの高画質・高音質技術、ブランド力、オペレーションマネジメント力と、TCLの先端ディスプレイ技術、コスト競争力、垂直統合されたサプライチェーンといった両社の強みを結集することで、同事業の競争力をさらに強化し、持続的な事業成長をめざします。なお、当分野では、足元の半導体メモリ価格の高騰及び供給不足に対して、調達・設計・販売の各領域での対応する施策を通じて影響を抑制していく計画であり、今後、半導体メモリ価格がさらに変動した場合も、為替や競合環境等を踏まえながら、柔軟に販売戦略等を見直し、収益の維持に努めます。 I&SS分野 主要経営数値 2024年度(百万円)2025年度(百万円)外部顧客向け売上高の合計1,712,5342,059,020セグメント間取引86,47192,513セグメント売上高1,799,0052,151,533セグメント営業利益261,147357,318 2025年度のI&SS分野の業績は、以下のとおりです。 売上高:2兆1,515億円(前年度比3,525億円増収、為替影響:△150億円) (+)モバイル機器向けイメージセンサーの増収(+)製品ミックスの改善(+)販売数量の増加 営業利益:3,573億円(前年度比962億円増益、為替影響:△125億円) (+)増収の影響 (-)構造改革費用の計上(-)Sony Semiconductor Israel Ltd.の持分売却にともなう損失(199億円)(-)ディスプレイデバイス事業に関連する固定資産の一部減損(165億円) 事業環境及び事業戦略 2025年度の当分野の業績は、一時的な構造改革費用の計上があったものの、主にハイエンドスマートフォンを中心にモバイル機器向けイメージセンサーの大判化、高画質・高性能化の傾向が継続したことや、販売数量の増加により、売上高及び営業利益ともに過去最高を更新しました。このような環境下、ソニーは、イメージセンサーにおける世界No.1ポジションをさらに強固なものとし、事業環境の不確実性が増している中でも収益性をともなう成長を実現するために経営基盤の再構築に取り組んでいます。当分野では、各事業を「成長牽引事業領域」、「収益事業領域」、「戦略事業領域」の3つに分け、それぞれの戦略の方向性を踏まえて事業を運営しています。成長牽引事業領域であるモバイル機器向けイメージセンサー事業では、競争に勝ち抜くための技術力強化と成長投資を継続します。2026年度は、モバイル機器向けイメージセンサーの大判化の進展が一旦緩やかになる見通しであること、半導体メモリ市況の影響に不透明さが残ることなどから、市場の成長を慎重に見ているものの、中長期的な大判化進展のトレンドには変わりはないとみています。今後は大判化に加えて、イメージセンサーのさらなる高付加価値化を実現し、動画を活用した様々なクリエイションに貢献するために、先端プロセス技術の開発として、プロセスノードの適合化による平面方向の高密度化と、積層技術による多層化を通じた垂直方向の高密度化による技術革新に取り組み、さらなる事業成長を図ります。収益事業領域であるカメラ及び産業・社会インフラ向けイメージセンサー事業においては、高い競争力を堅持し安定した収益貢献をめざします。戦略事業領域である車載向けイメージセンサー事業や半導体レーザー事業等については、将来のビジネスの柱とすべく、事業拡大と収益とのバランスを取りながら、規律を持った事業運営を行っていきます。車載向けイメージセンサー事業はこれまで順調に成長しており、金額シェアは想定どおり拡大しています。市場が拡大する中で、センサー特性の総合力を一層強化し、引き続きグローバルでOEMやパートナーとの関係構築・強化を進め、収益拡大をめざします。また、低収益事業の見直し施策を実施し、当分野の収益性向上に取り組んでいます。このような状況のもと、当分野の設備投資については、第五次中期経営計画期間においては投資を厳選し、第四次中期経営計画比で減らしていく方向性には変わりはありません。また、2026年5月、SSSは、TSMCとの間で、次世代イメージセンサーの開発・製造に関する戦略的提携に向けたMOUを締結しました。本提携により、ソニーの高い設計技術とTSMCのプロセス・製造技術を組み合わせ、高密度化等の将来のイメージセンサーの技術競争力を大きく高めていくことに加えて、車載やロボティクス等の「フィジカルAI」応用領域における新たな機会の探索・対応も進めていく方針であり、将来のイノベーションやさらなる技術発展に向けた基盤を築くことをめざします。財務面では、本提携を通じた生産設備投資負担の軽減や設備調達コストの軽減により、当分野のキャッシュ・フローの改善、投下資本の低減や収益性の改善を期待しています。 その他分野 2025年度のその他分野の業績は、以下のとおりです。 売上高:891億円(前年度比73億円減少) 営業損益:746億円の損失(前年度比567億円の悪化) (-)ソニー・ホンダモビリティのEVモデルの発売中止にともなう持分法投資損失の追加計上(449億円) 為替変動とリスク・ヘッジ 2025年度の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ150.7円、174.7円と前年度の平均レートに比べ米ドルは1.8円の円高、ユーロは11.0円の円安となりました。 2025年度の継続事業の売上高は、前年度に比べ4,447億円(4%)増加し、12兆4,796億円となりました。前年度の為替レートを適用した場合、売上高は約3%の増収となります。為替変動による売上高及び営業損益への影響については後述の『注記』をご参照ください。 2025年度のG&NS分野、ET&S分野及びI&SS分野において、米ドルに対する1円の円高の影響は、売上高では約330億円、営業損益では約25億円の減少と試算されます。ユーロに対する1円の円高の影響は、売上高では約114億円、営業損益では約63億円の減少と試算されます。(「第2 事業の状況」『3 事業等のリスク』参照) ソニーの連結業績は、主に収入と費用において通貨構成が異なることから生ずる為替変動リスクにさらされています。G&NS分野では、米ドル建てのコストの割合が高いのに対して、売上高は日本円、米ドル又はユーロで計上されるため、米ドルに対する円高は営業利益に好影響を、ユーロに対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。ET&S分野では、主要製品における米ドル建ての製造コスト等の割合が高いこと等から米ドルに対する円高は営業利益に好影響を及ぼします。一方で、新興国での売上高の割合が高いため、新興国通貨に対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。I&SS分野では、米ドル建ての販売契約の割合が高い一方、主に日本で製造を行っていることから、米ドルに対する円高は営業利益に大幅な悪影響を及ぼします。 これらの為替変動によるリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針に従い、先物為替予約、通貨オプション契約を含むデリバティブを利用しています。ソニーが行っているこれらのデリバティブは、主に当社及び当社の子会社の予想される外貨建て取引及び外貨建て営業債権や営業債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するために利用されています。 ソニーは、総合的な財務サービスを当社及び当社の子会社・関連会社に提供することを目的として、Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)を英国に設立しています。為替変動リスクにさらされている当社及び全ての子会社が、リスク・ヘッジのための契約をSGTSとの間で結ぶことがソニーの方針となっており、当社及び当社の子会社のほとんどはこの目的のためにSGTSを利用しています。為替リスク集中の原則にもとづき、SGTSと当社がソニーグループ全体の相殺後のほとんどの為替変動リスクをヘッジしています。ソニーの方針として、金融機関との為替デリバティブ取引は、リスク管理のため、原則としてSGTSに集中しています。SGTSはグループ外の信用の高い金融機関との間で外国為替取引を行っています。ほとんどの外国為替取引は、実際の輸出入取引が行われる前の予定された取引や債権・債務に対して行われます。一般的には、実際の輸出入取引が行われる当月又は1ヵ月前からヘッジを行っています。ソニーは金融機関との外国為替取引を主にヘッジ目的のために行っており、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。 キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は、当初累積その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時点で損益に振り替えられます。一方、ヘッジ会計の要件を満たさない先物為替予約、通貨オプション契約、及びその他のデリバティブは時価評価され、その変動は、直ちに金融収益・金融費用に計上されます。2025年度末における外国為替契約の負債に計上された公正価値(純額)の合計は76億円となっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『15.デリバティブ及びヘッジ活動』参照) 『注記』前年度の為替レートを適用した場合の売上高の状況、及び為替変動による影響額について 前年度の為替レートを適用した場合の売上高の状況は、当年度の現地通貨建て月別売上高に対し、前年度の月次平均レートを適用して算出しています。ただし、音楽分野のSME及びSMP、ならびに映画分野については、米ドルベースで集計した上で、前年度の月次平均米ドル円レートを適用した金額を算出しています。 映画分野の業績の状況は、米国を拠点とするSPEが、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結していることから、米ドルベースで記載しています。 為替変動による影響額は、売上高については前年度及び当年度における平均為替レートの変動を主要な取引通貨建て売上高に適用して算出し、営業損益についてはこの売上高への為替変動による影響額から、同様の方法で算出した売上原価ならびに販売費及び一般管理費への為替変動による影響額を差し引いて算出しています。I&SS分野では、独自に実施した為替ヘッジ取引の影響が、売上高及び営業損益への為替変動による影響額に含まれています。 これらの情報はIFRSに則って開示されるソニーの連結財務諸表を代替するものではありません。しかしながら、これらの開示は、投資家の皆様にソニーの営業概況をご理解頂くための有益な分析情報と考えています。 所在地別の業績 所在地別の業績は、顧客の所在国又は地域別に分類した売上高を「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『4.セグメント情報』に記載しています。 (4)財政状態の分析 2025年度末におけるソニーの連結財政状態については、以下のとおりです。 資産合計は15兆6,835億円と、前連結会計年度末に比べて19兆6,097億円の減少となりました。負債合計は7兆1,699億円と、前連結会計年度末に比べて19兆6,131億円の減少となりました。資本合計は8兆5,136億円と、前連結会計年度末に比べて34億円の増加となりました。この資産及び負債の減少は、主に、2025年度において、金融事業のパーシャル・スピンオフの実行にともない、金融事業を営むSFGIを連結除外したことによるものです。 (5)キャッシュ・フローの状況の分析営業活動によるキャッシュ・フロー:1兆9,456億円の受取超過(前年度比3,761億円の受取の減少) 継続事業からの営業活動キャッシュ・フロー:1兆9,663億円の受取超過(前年度比51億円の受取の減少) (-)営業債権及び契約資産の減少額の縮小 (-)棚卸資産の減少額の縮小 (-)営業債務の増加額の縮小 (+)非資金調整項目(減価償却費及び償却費(契約コストの償却を含む)、その他の営業損(益)(純額)、有価証券に関する利益(純額)ならびに持分法による投資損失(純額)(受取配当金相殺後))を加味した後の税引前利益の増加 投資活動によるキャッシュ・フロー:1兆9,705億円の支払超過(前年度比1兆404億円の支払の増加) 継続事業からの投資活動キャッシュ・フロー:7,842億円の支払超過(前年度比1,190億円の支払の減少) (+)固定資産の購入による支払の減少 (+)ビジネスの買収等による支出の減少 (-)投資及び貸付額の増加 非継続事業からの投資活動キャッシュ・フロー:1兆1,863億円の支払超過(前年度比1兆1,594億円の支払の増加) (-)2025年度において、金融事業のパーシャル・スピンオフの実行にともない、金融事業を営むSFGIを連結除外したことによる影響 財務活動によるキャッシュ・フロー:8,428億円の支払超過(前年度比5,445億円の支払の増加) 継続事業からの財務活動キャッシュ・フロー:8,335億円の支払超過(前年度比5,562億円の支払の増加) (-)自己株式の取得額の増加 (-)非支配持分からの払込による収入の減少 (-)長期借入債務による調達額の減少 為替変動の影響を加味した2026年3月末に係る連結財政状態計算書の現金及び現金同等物期末残高:2兆2,089億円(前年度末比7,721億円の減少) (6)資本の財源及び資金の流動性についての分析 以下の基本方針及び数値情報は、独自に流動性を確保している一部の子会社を除いたソニーの連結事業にもとづいて説明しています。 流動性マネジメントと資金の調達 ソニーは、事業活動に必要な流動性を保ちながら健全な財政状態を維持することを財務の重要な目標と考えています。ソニーは、現金及び現金同等物(以下「現預金等」。ただし、国の規制等で資金の移動に制約があるものを除く)及びコミットメントラインの未使用額を合わせた金額を流動性として位置づけています。 流動性の保持に必要な資金は、営業活動及び投資活動(資産売却を含む)によるキャッシュ・フロー及び現預金等でまかないますが、ソニーは必要に応じて社債、CP、銀行借入等の手段を通じて、金融・資本市場からの資金調達を行っています。 当社、SGTS及び米国の子会社Sony Capital Corporation(以下「SCC」)は日本・米国・欧州の各市場へアクセス可能なCPプログラム枠を有しています。2025年度末時点で当社、SGTS及びSCCは、円換算で合計1兆2,993億円分のCPプログラム枠を保有しています。2025年度末における発行残高はありません。 金融・資本市場が不安定な混乱状況に陥り、前述の手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、ソニーは、多様な金融機関との契約によるコミットメントラインも保持しています。2025年度末の未使用のコミットメントラインの総額は円換算で7,896億円です。未使用のコミットメントラインの内訳は、日本の銀行団と結んでいる3,500億円の円貨コミットメントライン、日本の銀行団と結んでいる1,700百万米ドルの複数通貨建てコミットメントライン、外国の銀行団と結んでいる1,050百万米ドルの複数通貨建てコミットメントラインです。金融・資本市場の流動性がなくなった場合でも、ソニーは現預金等及びこれらのコミットメントラインを使用することによって十分な流動性を維持することができると現時点では考えています。 ソニーは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、安定した一定水準の信用格付けの維持を重要な経営目標の一つと位置づけています。ただし、グループ全体の主要な資金調達に関する金融機関との契約において、ソニーの信用格付けが低下した場合に、強制的に早期弁済を求められるものはありません。また、これら契約のうち一部のコミットメントライン契約については、ソニーの信用格付けにより借入コストが変動する条件が含まれているものがありますが、未使用のコミットメントラインからの借入を禁ずる条項を含んでいるものはありません。 キャッシュ・マネジメント ソニーは日本においては当社、米国においてはSCC、それ以外の地域においてはSGTSを中心にグローバルな資金管理を行っています。資本取引に規制があり資金移動を制限されている国や地域は一部存在しますが、大部分の子会社における資金の過不足は、当社、SGTS及びSCCにより純額ベースで運用又は調達をしています。ソニーは資金の効率化をめざし、各子会社に資金余剰が出た場合は当社、SGTS及びSCCに預け、また各子会社に資金不足が生じた場合には当社、SGTS及びSCCを通じて資金の貸し借りを行うことで、余剰資金を活用し、外部借入を削減することができます。関係会社間の効率的な資金移動が制限されている国や地域では、ソニーは当社、SGTS及びSCCの外に資金を残していますが、必要な流動性資金はキャッシュ・フローや外部からの借入(もしくはその両方)によって調達しています。ソニーは、海外に所在する移動を制限されている資金が、ソニー全体の流動性や財務状況ならびに業績に重大な影響を与えるとは考えていません。 なお、ソニーグループが創出した営業活動によるキャッシュ・フローに関する、成長投資、手許資金及び株主還元への配分についての考え方に関しては「第2 事業の状況」「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等『第五次中期経営計画 経営数値目標及びキャピタルアロケーションとその進捗』」をご参照ください。 オフバランス取引 ソニーは、流動性と資金調達手段の確保、及びクレジットリスクを軽減するためにオフバランス取引を行っています。これらの取引は、ソニーが営業債権に対する支配を放棄したことから、売却として会計処理されます。 借入債務、コミットメント及び偶発債務等 2026年3月31日現在におけるソニーの借入債務、コミットメント及び偶発債務等は以下のとおりです。 借入債務 「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『6.金融商品に関連するリスク管理 (4) 流動性リスク』及び『14.短期借入金及び長期借入債務』をご参照ください。 ローン・コミットメント、パーチェス・コミットメント及び訴訟に関する偶発債務 「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『32.パーチェス・コミットメント、偶発債務及びその他』をご参照ください。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ソニーの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。 2024年度の世界経済は、地政学リスクが高止まりする一方で、インフレ率の低下及びそれにともなう金融緩和により、底堅い成長を維持しました。特に米国経済は、金利が上昇した状況下においても、安定した雇用・所得環境を背景とした個人消費の回復に下支えされ、堅調に推移しました。一方で、米国と日本の金利差を背景に、円相場は2023年度に引き続き大きく変動しました。中国では政府の景気支援策により個人消費や不動産販売の改善が見られたものの、不動産投資の落ち込みを中心とする不動産市場の長期的な低迷が成長を下押ししました。今後の世界経済の見通しは、ウクライナ・ロシア情勢や中東情勢等の不透明さが増していることに加え、米国の一連の関税政策及びそれにともなうグローバルでの景気減速懸念等により、不確実性が急速に高まっています。 ソニーは、グローバルに多様な事業を展開しており、これらの世界経済の状況の変化に加えて、米中関係等の地政学リスクの高まりや人工知能(以下「AI」)のような技術の急速な進化、地球環境問題や社会の分断への対応等、ソニーの事業を取り巻く環境は大きく変化しています。 ソニーは、これらの事業環境の変化に迅速に対応し、各事業の収益構造の強化に取り組むとともに、長期視点の経営を重視し、グループ全体の企業価値向上のための取り組みを続けてきました。 2025年5月14日に開催した経営方針および業績に関する説明会では、社長 CEO(最高経営責任者)の十時裕樹が長期戦略、経営の方向性と重点領域を紹介しました。 十時は、長年にわたり経営の軸足をエンタテインメントに移してきたことがソニーグループの変革と好調な業績に寄与しており、今後もこれら注力領域の成長をめざすと強調しました。足元の好調な勢いとこれまでの実績を糧に、長期ビジョンである「Creative Entertainment Vision」の実現に注力することが、今後のグループ経営方針の中核であると述べ、このビジョン実現のカギとなる主要事業の進捗と重点施策を語りました。 2024年5月23日に開催した経営方針説明会で発表したソニーの「Creative Entertainment Vision」は、クリエイティビティとテクノロジーを通じて感動を届け、IPの価値を最大化し、クリエイター、パートナー、社員とともに、また、ソニーの様々な事業間のシナジーを通じて、「Create Infinite Realities」すなわち、無限の感動を届ける未来の実現をめざしています。十時は、ソニーの事業間コラボレーションを基盤とし、エンタテインメント領域全体で多様なファンコミュニティをつなぐエンゲージメントプラットフォームの活用や、アニメ等の成長領域におけるソニーの強みを活かすことが、このビジョンの実現において重要であると強調しました。 2025年5月14日の経営方針および業績に関する説明会において発表した経営方針の詳細は、以下のとおりです。 1.「Creative Entertainment Vision」の実現を支えるエンタテインメント事業 クリエイティビティとテクノロジーによる感動を届けることをめざす長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」を、クリエイター、パートナー、社員とともに、またソニーグループの多様な事業間のシナジーを通じて実現していく。 (1)G&NS分野・プレイステーション®5(以下「PS5®」)が今後も安定した利益をもたらす見込みであり、「FUTURE OF PLAY(遊びの未来)」の創造に向けて、思慮深く戦略的な投資を実行。・インストールベース拡大にともなう月間アクティブユーザー数の増加や、プレイステーション®プラスの収益拡大等による、ネットワークビジネスの売上・利益の安定的な成長を見込む。・『Ghost of Yōtei』やライブサービスゲームの『Marathon』等の新作を通じたユーザー層の拡大と、『HELLDIVERS 2』や『Destiny 2』等の既存のライブサービスゲームの継続的な成功による、スタジオビジネスのさらなる成長に期待。・ベータ版クラウドストリーミング機能に対応したPlayStation Portal™ リモートプレーヤー等、強力かつ収益性の高い周辺機器への注力。 (2)音楽分野・グローバル音楽事業では、グローバル市場でのポジション強化に向けて、主要市場における楽曲レパートリー、強力なレーベル及びアーティストサービス、インディーアーティスト向けに最適化されたサービス及びDIY(自作型)配信、音楽出版等、主要な事業価値を強化し、継続的に収益性を向上させる。・国内音楽事業では、2024年度はYOASOBI等のJ-POPアーティストの海外展開で大きな成功を収め、今後もさらなる拡大を進める。・オーガニック成長と戦略的買収の二軸での事業全体及び拡大市場での成長、注力領域や音楽カタログへの戦略的投資機会の探索、プレゼンスの向上、ファンへのサービス提供、ソニー・ミュージック所属アーティストのIPの拡大に注力。・AI等の最先端技術の活用を探求し、価値を創造するとともに、アーティストの権利保護にも取り組む。 (3)映画分野・SPEでは、『Spider-Man: Brand New Day』、Jumanjiシリーズの最新作、『Spider-Man: Beyond the Spider-Verse』、劇場限定公開予定のビートルズの伝記映画4作品等、大型作品の公開を予定している。・アニメ専門配信サービスCrunchyrollは会員数やサービスを順調に拡大し、アニメが映画分野の成長を牽引する見込み。・SPEが引き続き事業間シナジーや、コラボレーションを生み出すハブの役割を担うことを期待。 2.事業間連携とシナジー 「Creative Entertainment Vision」のもと、ここ数年で事業間連携がもたらす価値や可能性が顕在化。 (1)アニメ① グループの複数の事業において、成長を牽引する重要な領域であり、㈱アニプレックス(以下「Aniplex」)やCrunchyrollの事業を基盤に、アニメにおけるリーチの拡大と、コンテンツ開発の強化を進めている。・ゲーム「Ghost of Tsushima: Legends/冥人奇譚」のアニメシリーズ化・アニメをプロデュースする㈱HAYATE(以下「HAYATE」)の設立・㈱KADOKAWA(以下「KADOKAWA」)との戦略的資本業務提携 ② 今後もアニメ市場の成長が見込まれる中、Crunchyrollの成長をさらに加速させるための施策を強化。・アニメグッズ等のeコマース、モバイルゲームライブラリサービス、マンガアプリ等、アニメファンに対するサービスを拡充。・2025年3月31日時点で有料会員が1,700万人超に拡大しているが、さらなる会員獲得に向け、プレイステーションネットワーク(以下「PSN」)との連携を推進。PS5上からのCrunchyrollの有料サービスへの登録を円滑化しており、今後はPSNの収益化機能の活用を通じてCrunchyrollのサービスを強化。 (2)エンゲージメントプラットフォーム・PSNのネットワーク基盤をベースに、決済・データ基盤・セキュリティ等のバックエンドのコア機能を活用し、ユーザーとクリエイターをつなぐ新たなエンゲージメントプラットフォーム構築に取り組んでいる。このプラットフォームはより質の高い収益化にむけたソニーグループ共通基盤として活用されることで、グループ各社が事業の競争力強化や差異化に経営資源を集中し、顧客エンゲージメントの拡大と深化に注力できることをめざす。 (3)ロケーションベースエンタテインメント(以下「LBE」)・LBEは、長期目線で様々なエンタテインメント領域のIP価値を最大化できる領域と位置づけ、初期的な探索を実施。 3.エンタテインメント事業のイネーブラーとなるテクノロジー(1)ET&S分野:商品やサービスの軸足をコンテンツクリエイションにシフト。・α™(Alpha™)の成功をもとに、成長の原動力としてイメージング領域のエコシステム拡大を推進。・スポーツデータの利活用能力の強化のため、昨年KinaTraxを買収。リアルタイムコンテンツクリエイション技術も活用し、新たな視聴層を獲得するオルタナティブ放送の拡大を図る。・空間コンテンツの制作を支援するXYN™、リアルタイムVFX、360 Virtual Mixing Environment等により技術革新を追求。 (2)I&SS分野・モバイル向けイメージセンサー事業ではセンサーサイズの大判化トレンドの継続が見込まれる中、次世代製造プロセスと2層トランジスタ画素積層型のTRISTA等を組み合わせ、センサーの高付加価値化・差異化で顧客の期待に応えさらなる成長をめざす。・投資を適切なレベルに抑制し、投資効率を引き上げるための施策を検討する。・モバイル向けイメージセンサー以外の事業領域では、カメラ向けや産業機器・社会インフラ向けセンサー等で安定した収益を確保しつつ、車載向けセンサー等の将来の成長が期待される事業では、市場成長のスピードや事業性を見極めながら、最適な開発費や体制のもとでの中長期的な成長をめざす。 4.多様な事業と人材による成長の実現 ソニーの事業と人の多様性は、「Creative Entertainment Vision」の実現において最も重要であり、約11万人の社員が多様な視点やアイデアを生み出す環境から生まれるシナジーが、ソニー独自の競争力の源泉。 ソニーはクリエイターの創造性を解放し、無限のリアリティ、エンタテインメント、感動が生まれる世界の実現に努めていく。 第五次中期経営計画 経営数値目標及びキャピタルアロケーションとその進捗<経営数値目標とキャピタルアロケーション>・当社は、2024年5月14日に2024年度から2026年度の3年間の中期経営計画(以下「第五次中期経営計画」)の数値目標を発表しました。・第五次中期経営計画においては、利益ベースの成長をより重視することとし、金融分野を除く連結ベース*1の営業利益の成長率及び営業利益率をグループ全体の経営数値目標としました。具体的には、3年間の連結営業利益の年平均成長率を10%以上とすること、及び3年間累計の連結営業利益率を10%以上とすることを目標としています。・第五次中期経営計画におけるキャピタルアロケーションについては、設備投資に1.7兆円、戦略投資については、各事業における成長投資と機動的な自己株式の取得に1.8兆円を割り当てる計画としました。また、キャピタルアロケーションの主な原資である3年間累計の金融分野を除く連結ベースの営業キャッシュ・フローは、第五次中期経営計画期間における利益成長に加え、2021年度から2023年度の3年間の第四次中期経営計画期間で増加した運転資金の回収により、第四次中期経営計画の実績を上回る、4.5兆円の見通しとしました。・株主還元については、総還元性向を重視し、これを第五次中期経営計画期間を通して段階的に増加させ、最終年度の2026年度には、40%程度とすることを目標としました。 *1 金融事業のパーシャル・スピンオフの実行方針に係る2025年5月14日の取締役会決議にともない、2025年度第1四半期より、金融事業を非継続事業に分類し、金融事業を除く継続事業とは区分して表示するため、2025年5月14日以降、第五次中期経営計画の経営数値目標は継続事業ベースの営業利益の成長率及び営業利益率としています。 <進捗>・2024年度については、主にG&NS分野及びI&SS分野が利益成長を牽引し、金融分野を除く連結ベース*2の営業利益額の2023年度からの成長率は23%、営業利益率は10.6%となりました。・キャピタルアロケーションについては、主たる原資である3年間累計の継続事業ベースの営業キャッシュ・フローの見通しを、2024年度の実績も踏まえ、当初計画の4.5兆円から4.8兆円に見直しました。第五次中期経営計画では、株主還元強化を重要施策の一つと位置付けており、かかる原資の増加は、株主還元の増額に割り当てる計画です。戦略投資は1.8兆円、設備投資は1.7兆円と、当初計画からの変更はありません。・戦略投資の進捗は、2025年5月14日時点までの実行済及び意思決定済案件の合計が約5,140億円となっています。株主還元については、2024年4月1日から2025年4月11日までの期間で総額3,075億円の自己株式取得を実施するとともに、2024年度には、株式分割考慮後*3で2023年度から1株につき3円増配となる年間20円(総額1,206億円)の配当を実施しました。2025年度については、2025年5月15日から2026年5月14日までの1年間で、2,500億円を上限とした自己株式取得枠を設定しており、配当は増配のペースを引き上げ、株式分割考慮後*3で、2024年度から1株につき5円増配となる年間25円*4を予定しています。 *2 金融分野を除く連結ベースの数値はIFRSに則った開示ではありませんが、ソニーは、この開示が投資家の皆様に有益な情報を提供すると考えています。*3 当社は、2024年9月30日を基準日、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行いました。*4 上記の1株当たり配当金の予定額には、金融事業のパーシャル・スピンオフによるSFGI株式の現物配当は含めていません。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ソニーの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。 2024年度の世界経済は、地政学リスクが高止まりする一方で、インフレ率の低下及びそれにともなう金融緩和により、底堅い成長を維持しました。特に米国経済は、金利が上昇した状況下においても、安定した雇用・所得環境を背景とした個人消費の回復に下支えされ、堅調に推移しました。一方で、米国と日本の金利差を背景に、円相場は2023年度に引き続き大きく変動しました。中国では政府の景気支援策により個人消費や不動産販売の改善が見られたものの、不動産投資の落ち込みを中心とする不動産市場の長期的な低迷が成長を下押ししました。今後の世界経済の見通しは、ウクライナ・ロシア情勢や中東情勢等の不透明さが増していることに加え、米国の一連の関税政策及びそれにともなうグローバルでの景気減速懸念等により、不確実性が急速に高まっています。 ソニーは、グローバルに多様な事業を展開しており、これらの世界経済の状況の変化に加えて、米中関係等の地政学リスクの高まりや人工知能(以下「AI」)のような技術の急速な進化、地球環境問題や社会の分断への対応等、ソニーの事業を取り巻く環境は大きく変化しています。 ソニーは、これらの事業環境の変化に迅速に対応し、各事業の収益構造の強化に取り組むとともに、長期視点の経営を重視し、グループ全体の企業価値向上のための取り組みを続けてきました。 2025年5月14日に開催した経営方針および業績に関する説明会では、社長 CEO(最高経営責任者)の十時裕樹が長期戦略、経営の方向性と重点領域を紹介しました。 十時は、長年にわたり経営の軸足をエンタテインメントに移してきたことがソニーグループの変革と好調な業績に寄与しており、今後もこれら注力領域の成長をめざすと強調しました。足元の好調な勢いとこれまでの実績を糧に、長期ビジョンである「Creative Entertainment Vision」の実現に注力することが、今後のグループ経営方針の中核であると述べ、このビジョン実現のカギとなる主要事業の進捗と重点施策を語りました。 2024年5月23日に開催した経営方針説明会で発表したソニーの「Creative Entertainment Vision」は、クリエイティビティとテクノロジーを通じて感動を届け、IPの価値を最大化し、クリエイター、パートナー、社員とともに、また、ソニーの様々な事業間のシナジーを通じて、「Create Infinite Realities」すなわち、無限の感動を届ける未来の実現をめざしています。十時は、ソニーの事業間コラボレーションを基盤とし、エンタテインメント領域全体で多様なファンコミュニティをつなぐエンゲージメントプラットフォームの活用や、アニメ等の成長領域におけるソニーの強みを活かすことが、このビジョンの実現において重要であると強調しました。 2025年5月14日の経営方針および業績に関する説明会において発表した経営方針の詳細は、以下のとおりです。 1.「Creative Entertainment Vision」の実現を支えるエンタテインメント事業 クリエイティビティとテクノロジーによる感動を届けることをめざす長期ビジョン「Creative Entertainment Vision」を、クリエイター、パートナー、社員とともに、またソニーグループの多様な事業間のシナジーを通じて実現していく。 (1)G&NS分野・プレイステーション®5(以下「PS5®」)が今後も安定した利益をもたらす見込みであり、「FUTURE OF PLAY(遊びの未来)」の創造に向けて、思慮深く戦略的な投資を実行。・インストールベース拡大にともなう月間アクティブユーザー数の増加や、プレイステーション®プラスの収益拡大等による、ネットワークビジネスの売上・利益の安定的な成長を見込む。・『Ghost of Yōtei』やライブサービスゲームの『Marathon』等の新作を通じたユーザー層の拡大と、『HELLDIVERS 2』や『Destiny 2』等の既存のライブサービスゲームの継続的な成功による、スタジオビジネスのさらなる成長に期待。・ベータ版クラウドストリーミング機能に対応したPlayStation Portal™ リモートプレーヤー等、強力かつ収益性の高い周辺機器への注力。 (2)音楽分野・グローバル音楽事業では、グローバル市場でのポジション強化に向けて、主要市場における楽曲レパートリー、強力なレーベル及びアーティストサービス、インディーアーティスト向けに最適化されたサービス及びDIY(自作型)配信、音楽出版等、主要な事業価値を強化し、継続的に収益性を向上させる。・国内音楽事業では、2024年度はYOASOBI等のJ-POPアーティストの海外展開で大きな成功を収め、今後もさらなる拡大を進める。・オーガニック成長と戦略的買収の二軸での事業全体及び拡大市場での成長、注力領域や音楽カタログへの戦略的投資機会の探索、プレゼンスの向上、ファンへのサービス提供、ソニー・ミュージック所属アーティストのIPの拡大に注力。・AI等の最先端技術の活用を探求し、価値を創造するとともに、アーティストの権利保護にも取り組む。 (3)映画分野・SPEでは、『Spider-Man: Brand New Day』、Jumanjiシリーズの最新作、『Spider-Man: Beyond the Spider-Verse』、劇場限定公開予定のビートルズの伝記映画4作品等、大型作品の公開を予定している。・アニメ専門配信サービスCrunchyrollは会員数やサービスを順調に拡大し、アニメが映画分野の成長を牽引する見込み。・SPEが引き続き事業間シナジーや、コラボレーションを生み出すハブの役割を担うことを期待。 2.事業間連携とシナジー 「Creative Entertainment Vision」のもと、ここ数年で事業間連携がもたらす価値や可能性が顕在化。 (1)アニメ① グループの複数の事業において、成長を牽引する重要な領域であり、㈱アニプレックス(以下「Aniplex」)やCrunchyrollの事業を基盤に、アニメにおけるリーチの拡大と、コンテンツ開発の強化を進めている。・ゲーム「Ghost of Tsushima: Legends/冥人奇譚」のアニメシリーズ化・アニメをプロデュースする㈱HAYATE(以下「HAYATE」)の設立・㈱KADOKAWA(以下「KADOKAWA」)との戦略的資本業務提携 ② 今後もアニメ市場の成長が見込まれる中、Crunchyrollの成長をさらに加速させるための施策を強化。・アニメグッズ等のeコマース、モバイルゲームライブラリサービス、マンガアプリ等、アニメファンに対するサービスを拡充。・2025年3月31日時点で有料会員が1,700万人超に拡大しているが、さらなる会員獲得に向け、プレイステーションネットワーク(以下「PSN」)との連携を推進。PS5上からのCrunchyrollの有料サービスへの登録を円滑化しており、今後はPSNの収益化機能の活用を通じてCrunchyrollのサービスを強化。 (2)エンゲージメントプラットフォーム・PSNのネットワーク基盤をベースに、決済・データ基盤・セキュリティ等のバックエンドのコア機能を活用し、ユーザーとクリエイターをつなぐ新たなエンゲージメントプラットフォーム構築に取り組んでいる。このプラットフォームはより質の高い収益化にむけたソニーグループ共通基盤として活用されることで、グループ各社が事業の競争力強化や差異化に経営資源を集中し、顧客エンゲージメントの拡大と深化に注力できることをめざす。 (3)ロケーションベースエンタテインメント(以下「LBE」)・LBEは、長期目線で様々なエンタテインメント領域のIP価値を最大化できる領域と位置づけ、初期的な探索を実施。 3.エンタテインメント事業のイネーブラーとなるテクノロジー(1)ET&S分野:商品やサービスの軸足をコンテンツクリエイションにシフト。・α™(Alpha™)の成功をもとに、成長の原動力としてイメージング領域のエコシステム拡大を推進。・スポーツデータの利活用能力の強化のため、昨年KinaTraxを買収。リアルタイムコンテンツクリエイション技術も活用し、新たな視聴層を獲得するオルタナティブ放送の拡大を図る。・空間コンテンツの制作を支援するXYN™、リアルタイムVFX、360 Virtual Mixing Environment等により技術革新を追求。 (2)I&SS分野・モバイル向けイメージセンサー事業ではセンサーサイズの大判化トレンドの継続が見込まれる中、次世代製造プロセスと2層トランジスタ画素積層型のTRISTA等を組み合わせ、センサーの高付加価値化・差異化で顧客の期待に応えさらなる成長をめざす。・投資を適切なレベルに抑制し、投資効率を引き上げるための施策を検討する。・モバイル向けイメージセンサー以外の事業領域では、カメラ向けや産業機器・社会インフラ向けセンサー等で安定した収益を確保しつつ、車載向けセンサー等の将来の成長が期待される事業では、市場成長のスピードや事業性を見極めながら、最適な開発費や体制のもとでの中長期的な成長をめざす。 4.多様な事業と人材による成長の実現 ソニーの事業と人の多様性は、「Creative Entertainment Vision」の実現において最も重要であり、約11万人の社員が多様な視点やアイデアを生み出す環境から生まれるシナジーが、ソニー独自の競争力の源泉。 ソニーはクリエイターの創造性を解放し、無限のリアリティ、エンタテインメント、感動が生まれる世界の実現に努めていく。 第五次中期経営計画 経営数値目標及びキャピタルアロケーションとその進捗<経営数値目標とキャピタルアロケーション>・当社は、2024年5月14日に2024年度から2026年度の3年間の中期経営計画(以下「第五次中期経営計画」)の数値目標を発表しました。・第五次中期経営計画においては、利益ベースの成長をより重視することとし、金融分野を除く連結ベース*1の営業利益の成長率及び営業利益率をグループ全体の経営数値目標としました。具体的には、3年間の連結営業利益の年平均成長率を10%以上とすること、及び3年間累計の連結営業利益率を10%以上とすることを目標としています。・第五次中期経営計画におけるキャピタルアロケーションについては、設備投資に1.7兆円、戦略投資については、各事業における成長投資と機動的な自己株式の取得に1.8兆円を割り当てる計画としました。また、キャピタルアロケーションの主な原資である3年間累計の金融分野を除く連結ベースの営業キャッシュ・フローは、第五次中期経営計画期間における利益成長に加え、2021年度から2023年度の3年間の第四次中期経営計画期間で増加した運転資金の回収により、第四次中期経営計画の実績を上回る、4.5兆円の見通しとしました。・株主還元については、総還元性向を重視し、これを第五次中期経営計画期間を通して段階的に増加させ、最終年度の2026年度には、40%程度とすることを目標としました。 *1 金融事業のパーシャル・スピンオフの実行方針に係る2025年5月14日の取締役会決議にともない、2025年度第1四半期より、金融事業を非継続事業に分類し、金融事業を除く継続事業とは区分して表示するため、2025年5月14日以降、第五次中期経営計画の経営数値目標は継続事業ベースの営業利益の成長率及び営業利益率としています。 <進捗>・2024年度については、主にG&NS分野及びI&SS分野が利益成長を牽引し、金融分野を除く連結ベース*2の営業利益額の2023年度からの成長率は23%、営業利益率は10.6%となりました。・キャピタルアロケーションについては、主たる原資である3年間累計の継続事業ベースの営業キャッシュ・フローの見通しを、2024年度の実績も踏まえ、当初計画の4.5兆円から4.8兆円に見直しました。第五次中期経営計画では、株主還元強化を重要施策の一つと位置付けており、かかる原資の増加は、株主還元の増額に割り当てる計画です。戦略投資は1.8兆円、設備投資は1.7兆円と、当初計画からの変更はありません。・戦略投資の進捗は、2025年5月14日時点までの実行済及び意思決定済案件の合計が約5,140億円となっています。株主還元については、2024年4月1日から2025年4月11日までの期間で総額3,075億円の自己株式取得を実施するとともに、2024年度には、株式分割考慮後*3で2023年度から1株につき3円増配となる年間20円(総額1,206億円)の配当を実施しました。2025年度については、2025年5月15日から2026年5月14日までの1年間で、2,500億円を上限とした自己株式取得枠を設定しており、配当は増配のペースを引き上げ、株式分割考慮後*3で、2024年度から1株につき5円増配となる年間25円*4を予定しています。 *2 金融分野を除く連結ベースの数値はIFRSに則った開示ではありませんが、ソニーは、この開示が投資家の皆様に有益な情報を提供すると考えています。*3 当社は、2024年9月30日を基準日、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行いました。*4 上記の1株当たり配当金の予定額には、金融事業のパーシャル・スピンオフによるSFGI株式の現物配当は含めていません。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。(1)重要な会計上の見積り IFRSにしたがった連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような、マネジメントによる見積り及び仮定を必要とします。ソニーは、継続的に、過去のデータ、将来の予測及び状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な仮定にもとづき見積りを評価します。これらの評価の結果は、他の方法からは容易に判定しえない資産・負債の簿価あるいは費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、これらの見積りと大きく異なる場合があります。ソニーは、会社の財政状態や業績に重要な影響を与え、かつその適用にあたってマネジメントが重要な判断や見積りを必要とするものを重要な会計上の見積りであると考えます。ソニーは、以下に述べる項目を会社の重要な会計上の見積りとして考えています。なお、重要な会計上の見積りの各項目に関連する会計方針については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『2.作成の基礎』及び『3.重要性がある会計方針の要約』をご参照ください。金融商品 ソニーは、金融商品の契約の当事者になった時点で、金融商品を金融資産又は金融負債として認識しています。金融資産及び金融負債は公正価値で当初測定されます。 ソニーの保有する金融商品は測定方法にしたがって分類され、このうち公正価値で測定される金融商品については、将来における公正価値の変動により連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。 また、負債性証券の信用損失の評価は、多くの場合、主観的であり、発行企業の信用格付け、業績予想、事業計画及び将来キャッシュ・フローに関するある特定の前提及び見積りが必要とされます。したがって、現在、信用損失がないと判断している負債性証券について、信用格付けの低下、継続的な業績の低迷、将来の世界的な株式市況の大幅悪化又は市場金利変動の影響等の事後的に利用可能となる情報の評価にもとづき、将来、信用損失に関する引当金が測定され、費用として認識されることにより、将来の収益を減少させる場合があります。非金融資産の減損 ソニーは、棚卸資産、契約コスト及び繰延税金資産を除く非金融資産について、個々の資産又は資金生成単位に係る減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能性の検討を行っています。これに加え、各資金生成単位に配分されているのれん、耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産の帳簿価額については、年に1回第4四半期に減損テストを実施しています。 当年度の減損判定において、のれんを持つ全ての資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を超過していたため、のれんの減損損失を認識することはありませんでした。また、重要なのれんを持つ資金生成単位において回収可能価額は帳簿価額を少なくとも10%以上超過しています。耐用年数が確定できない無形資産及び未だ利用可能でない無形資産においても、回収可能価額が帳簿価額を超過していたため、減損損失を認識することはありませんでした。 中期計画を除く、2024年度ののれんの減損判定において実施された資金生成単位の回収可能価額への影響に関する感応度分析を含む重要な前提の検討は下記のとおりです。詳細は「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『11.のれん及び無形資産』をご参照ください。・税引後割引率は3.9%から14.0%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、割引率を1ポイント増加させた場合においても、重要なのれんの減損損失を認識することはありませんでした。・G&NS分野、ET&S分野、I&SS分野及び金融分野の資金生成単位におけるターミナル・バリューに適用された成長率はおおよそ1.0%から2.0%の範囲です。音楽分野の資金生成単位における中期計画を超える期間の成長率は1.0%から3.0%の範囲、映画分野では△5.0%から17.0%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、成長率を1ポイント減少させた場合においても、重要なのれんの減損損失を認識することはありませんでした。・映画分野の資金生成単位におけるターミナル・バリューの算定に使用される利益倍率は8.5から14.3、収益倍率は1.4から1.8です。他の全ての前提を同一とし、利益倍率を1.0、収益倍率を0.25それぞれ減少させた場合においても、重要なのれんの減損損失を認識することはありませんでした。 マネジメントは、のれんの減損判定における回収可能価額の見積りに用いられた前提は、合理的であると考えています。しかしながら、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、回収可能価額の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、結果として、将来においてソニーが非金融資産の減損損失を認識することになる可能性があります。企業結合 被取得企業における識別可能資産及び負債は、限定的な例外を除き、取得日の公正価値で測定しています。 企業結合で移転された対価、被取得企業の非支配持分の金額及びソニーが従来保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計が、取得日における識別可能資産及び負債の正味価額を上回る場合にはその超過額がのれんとして認識され、下回る場合には純利益として認識されます。 見積りや前提には固有の不確実性が含まれるため、この移転された対価は異なる金額で評価され、識別可能資産及び負債に割り当てられる可能性があります。実際の結果が異なる可能性があること又は予想しない事象及び状況がこのような見積りに影響を与える可能性があることから、識別可能資産及びのれんの減損損失の計上又は識別可能負債の増加が必要となる可能性があります。 映画分野における予想総収益の見積り 映画会計においては、作品のライフサイクルを通した予想総収益を見積もる過程でマネジメントの判断が必要となります。この予想総収益の見積りは、繰延映画製作費及び映画分野における未払分配金債務の測定にあたり重要となります。 映画作品が製作され関連する費用が資産化される際に、その繰延映画製作費の公正価値が減損し、回収不能と見込まれる額を評価減する必要があるかどうかを決定するため、マネジメントは発生時に費用化される配給関連費用を含む追加で発生する費用を控除した予想総収益を見積もる必要があります。また、映画作品に関する売上原価として認識される繰延映画製作費の額は、その映画作品がそのライフサイクルにおいて様々な市場で公開されることから、残りの予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合にもとづいて計上されています。 マネジメントが各作品の予想総収益を見積もる際に基礎とするのは、同種の過去の作品の収益、主演俳優の人気度、その作品の公開される予測映画館数、BD/DVD等のパッケージメディアやデジタル販売、テレビ放映及びその他の付随マーケットでの期待収益ならびに将来の売上に関する契約等です。この見積りは、各作品の直近までの実現収益及び将来予測収益にもとづいて定期的に見直されます。例えば、公開当初数週間の劇場収入が予想を下回った場合には、通常、劇場、BD/DVD等のパッケージメディアやデジタル販売、及びテレビ放映の生涯収益等を下方に修正することになります。そのような下方修正を行わなかった場合、当該期間における繰延映画製作費の償却費の過少計上になる可能性があります。さらに、未払分配金債務は残りの予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合に応じて計上されます。 繰延税金資産の評価 繰延税金資産は、将来それらを利用できる課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識しています。したがって、繰延税金資産の計上金額は、繰延税金資産の回収可能性に関連する入手可能な証拠にもとづいて、定期的に評価されます。 繰延税金資産の評価は、財政状態計算書日時点で適用されている税制や税率にもとづいており、また、ソニーの財務諸表及び税務申告書で認識されている事象に関して将来に起こり得る税務上の結果についてのマネジメントの判断と最善の見積り、様々な税務戦略を実行する能力、一定の場合においての将来の結果に関する予測、事業計画及びその他の見込みを反映しています。ソニーが事業を行っているそれぞれの税務管轄における現在の税制や税率の改正は、実際の税務上の結果に影響を与える可能性があり、市場経済の悪化やマネジメントによる構造改革の目標未達は、将来における業績に影響を与える可能性があります。そして、これらのいずれかが、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性があります。将来の結果が計画を下回る場合、税務調査の結果や連結会社間の移転価格に関する事前確認制度の交渉が現在の損益配分に関する予想と異なる結果となる場合、及び税務戦略の選択肢が実行可能ではなくなる場合や売却を予定する資産の価値が税務上の簿価を下回ることになる場合には、繰延税金資産に対して評価減の計上が要求される可能性があります。一方、将来の予測される利益の改善や継続した利益の計上、ビジネス構造の変革といった他の要因によって、関連し得る要因の評価の結果、将来において、税金費用の減額をともなう評価減の戻し入れが計上される可能性があります。現在の見込みにおいて予想していないこれらの起こり得る要因や変化は、評価減が計上又は取崩される期間において、ソニーの業績又は財政状態に重要な影響を与える可能性があります。 保険料配分アプローチを適用せずに測定している保険契約負債の測定 保険契約グループの帳簿価額は、発生保険金に係る負債と残存カバーに係る負債の合計です。残存カバーに係る負債は、保険契約から生じる履行キャッシュ・フロー及び契約上のサービス・マージンを算定することによって測定されます。保険契約グループの履行キャッシュ・フローは、将来キャッシュ・フロー、割引率及び非金融リスクに係るリスク調整に関する現在の見積りを用いて、報告日時点で測定されます。将来キャッシュ・フローの現在価値の見積りを測定するために使用している死亡率、罹患率、解約・失効率及び割引率は、保険契約負債を測定するために用いられる重要な仮定です。 (2)生産、受注及び販売の状況 ソニーの生産・販売品目は極めて広範囲かつ多種多様であり、また、ゲーム機やゲームソフト、音楽・映像ソフト、エレクトロニクス機器等は、その性質上、原則として見込生産を行っているため、分野別に生産規模及び受注規模を金額又は数量で示すことはしていません。販売の状況については後述の「(3)経営成績の分析」において各分野の業績に関連付けて示しています。 (3)経営成績の分析 営業概況 ソニー連結:2023年度(億円)2024年度(億円)売上高 *1130,208129,571営業利益12,08814,072税引前利益12,68714,737当社株主に帰属する当期純利益9,70611,416 金融分野を除く連結ベース *2:2023年度(億円)2024年度(億円)売上高 *1112,650120,439営業利益10,35312,766税引前利益11,45113,432当社株主に帰属する当期純利益8,96610,674*1 IFRSにおける「売上高及び金融ビジネス収入」を「売上高」として表示しています(以下同じ)。*2 金融分野を除く連結ベースの数値はIFRSに則った開示ではありませんが、ソニーはこれらの開示が投資家の皆様に有益な情報を提供すると考えています。金融分野を除く連結ベースの財務諸表の作成については、後述の「金融分野を分離した経営成績情報」をご参照ください(以下同じ)。 連結業績 2024年度の連結業績は、以下のとおりです((+)は主な改善要因、(-)は主な悪化要因)。 売上高:12兆9,571億円(前年度比637億円減収) (-)金融分野の減収 (+)G&NS分野、音楽分野及びI&SS分野の増収 (売上高の内訳の詳細は、後述の「分野別営業概況」参照) (後述の「売上原価」、「研究開発費」及び「販売費及び一般管理費」に関する売上高に対する比率分析において、売上高には、純売上高のみが考慮されており、金融ビジネス収入は除かれています。これは、金融ビジネス費用は連結財務諸表上、売上原価や販売費及び一般管理費とは別に計上されていることによります。さらに、後述の比率分析のうち、セグメントに関するものについては、セグメント間取引を含んで計算されています。) 売上原価:8兆5,048億円(前年度比4,155億円増加) 売上高に対する比率は前年度の71.8%から70.7%に改善。 研究開発費(売上原価に全額含まれる):7,346億円(前年度比82億円減少) 売上高に対する比率は6.1%(前年度は6.6%)。 (詳細は「第2 事業の状況」『6 研究開発活動』参照) 販売費及び一般管理費:2兆2,568億円(前年度比1,007億円増加) 売上高に対する比率は前年度の19.1%から18.8%に改善。 その他の営業損(益)(純額):92億円の利益(前年度比202億円減少) (-)2023年度に発生した以下の要因の影響がなかったこと・従来持分法で会計処理されていた会社の連結子会社化による再評価益60億円(音楽分野)・ソニーペイメントサービス㈱(以下「ソニーペイメントサービス」)株式の一部譲渡にともなう売却益及び再評価益198億円(金融分野) (「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『23.連結損益計算書についての補足情報』参照) 持分法による投資利益(損失):78億円の損失(前年度は105億円の利益) (-)その他分野における持分法による投資損益の悪化 営業利益:1兆4,072億円(前年度比1,983億円増加) (+)G&NS分野、I&SS分野及び音楽分野の増益 (-)金融分野の減益 2023年度の営業利益には、前述のその他の営業損(益)(純額)に計上された要因が含まれています。 金融収益:1,390億円(前年度比134億円増加)金融費用:725億円(前年度比67億円増加)金融収益及び費用(純額):666億円の収益(前年度比67億円増加) (+)受取利息(純額)の増加 税引前利益:1兆4,737億円(前年度比2,051億円増加) 法人所得税:3,138億円(前年度比257億円増加)実効税率:21.3%(前年度は22.7%) 税率の変動は主に以下の要因の影響によるものです。 ・子会社からの資本の払い戻しにともなう税金費用の減少(484億円) ・子会社の解散にともなう税金費用の減少(353億円) ・日本の税制改正にともなう税率上昇から生じる繰延税金資産及び負債の再評価による税金費用の増加 (「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『25.法人所得税』参照) 非支配持分に帰属する当期純利益:183億円(前年度比84億円増加) 当社株主に帰属する当期純利益(非支配持分に帰属する当期純利益を除く):1兆1,416億円(前年度比1,710億円増加) 基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益:188.71円(前年度は157.66円)希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益:187.92円(前年度は157.14円) (当社は、2024年9月30日を基準日、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行いました。上記の基本的1株当たり当期純利益及び希薄化後1株当たり当期純利益は、前年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しています。1株当たり当社株主に帰属する当期純損益の詳細については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『26.基本的及び希薄化後EPSの調整表』参照) 分野別営業概況 以下の情報はセグメント情報にもとづきます。各分野の売上高はセグメント間取引消去前のものであり、また各分野の営業損益はセグメント間取引消去前のもので配賦不能費用は含まれていません。(「第5 経理の状況」 連結財務諸表注記『4.セグメント情報』参照) G&NS分野 主要経営数値 2023年度(百万円)2024年度(百万円)製品部門別の外部顧客向け売上高 デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツ1,934,5862,290,498ネットワーク545,537669,873ハードウェア・その他1,692,8711,583,200外部顧客向け売上高の合計4,172,9944,543,571セグメント間取引94,740126,473セグメント売上高4,267,7344,670,044セグメント営業利益290,184414,819 2024年度のG&NS分野の業績は、以下のとおりです。 売上高:4兆6,700億円(前年度比4,023億円増収、為替影響:+1,700億円) ・(+)アドオンコンテンツを含む自社制作以外のゲームソフトウェア販売増加 ・(+)為替の影響 ・(+)ネットワークサービスの増収 ・(-)販売台数減少によるハードウェアの減収 ・(-)自社制作のゲームソフトウェア販売減少 営業利益:4,148億円(前年度比1,246億円増益、為替影響:+2億円) ・(+)ネットワークサービスの増収の影響 ・(+)自社制作以外のゲームソフトウェア販売増加の影響 ・(-)自社制作のゲームソフトウェア販売減少の影響 事業環境及び事業戦略 2024年度の当分野の業績は、PS5のインストールベースの拡大を背景に、アドオンコンテンツを含むゲームソフトウェア販売の好調なモメンタムの継続、プレイステーション®プラス(以下「PS Plus」)における上位ティアへのシフト等によるネットワークサービスからの継続的な収益拡大等にともなうユーザーエンゲージメントの安定的な拡大を反映したものとなりました。このような環境下、ソニーは、PS Plusの収益拡大、プレイステーション®ストアにおけるユーザー一人当たりの平均売上高の最大化、これまで積極的に開発を強化してきた自社制作のゲームソフトウェアの販売拡大、及びコストコントロールとサプライチェーン管理の強化を通じて、収益性の高い安定した事業成長をめざしていきます。具体的には、ハードウェアについては、収益性とのバランスを保ちながらPS5のインストールベースを継続的に拡大させるとともに、ユーザーに新しいゲームの楽しみ方を提供するPlayStation Portalリモートプレーヤー等の周辺機器の販売も引き続き推進していきます。ネットワークサービスについては、PS Plusにおいて、ユーザーエンゲージメントを高めるとともに、提供しているサービスやコンテンツの価値を継続的に向上させ、上位ティアへのユーザーの移行を促すことで、利益成長に注力していきます。また、自社制作以外のゲームソフトウェアについては、サードパーティスタジオとの関係性を維持・強化し、毎年リリースされる主要なフランチャイズ作品からの安定的な収益貢献を継続させるとともに、新たなヒット作品の創出のためのクリエイター支援の取り組みも継続していきます。自社制作のゲームソフトウェアにおいては、ソニーが従来から強みを持つシングルプレイヤーゲームを毎年継続的にリリースするとともに、ライブサービスゲームのポートフォリオ構築にも注力することで、安定した収益基盤の構築に取り組んでいきます。また、PC等のマルチプラットフォームへの自社制作のゲームソフトウェアの展開や、ソニーグループ内連携によるプレイステーションのゲームIPの映画化・テレビ番組化の取り組みを継続し、IPのさらなるリーチ拡大と収益化を図っていきます。音楽分野 音楽分野の業績には、日本のSMEJの円ベースでの業績、ならびにその他全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、SME及びSMPの円換算後の業績が含まれています。 主要経営数値 2023年度(百万円)2024年度(百万円)ビジネス部門別の外部顧客向け売上高 音楽制作(ストリーミング)709,453788,772音楽制作(その他)356,646407,260音楽出版326,727379,812映像メディア・プラットフォーム202,129244,419外部顧客向け売上高の合計1,594,9551,820,263セグメント間取引24,00322,341セグメント売上高1,618,9581,842,604セグメント営業利益301,662357,255 2024年度の音楽分野の業績は、以下のとおりです。 売上高:1兆8,426億円(前年度比2,236億円増収、為替影響:+738億円) ・(+)音楽制作及び音楽出版におけるストリーミングサービスからの収入増加 ・(+)為替の影響 ・(+)映像メディア・プラットフォームにおける㈱イープラスの連結子会社化の影響 ・(+)音楽制作における興行・物販及びライセンスからの収入増加 営業利益:3,573億円(前年度比556億円増益) ・(+)増収の影響 ・(+)為替の好影響 ・(-)販売費及び一般管理費の増加 事業環境及び事業戦略 2024年度の当分野の業績は、音楽ストリーミング市場の拡大が続く中、これまで積極的に行ってきた優れたアーティストやソングライターの発掘・育成の強化及び音楽カタログへの投資によるストリーミングサービスからの収入の安定的な成長を反映したものとなりました。また、The OrchardやAWAL等のインディーズレーベル向けディストリビューションやインディーアーティスト向けサービスの収益拡大も、当分野の成長に貢献しています。このような環境下、ソニーは、グローバル音楽事業においては、配信プラットフォーム各社との強固な関係を維持しながら、事業全体ならびにラテンアメリカ、インド及びその他アジア諸国等の、拡大する新興市場での事業成長をめざしています。この成長を実現するため、注力地域及び音楽カタログへのさらなる戦略的投資機会の探索による収益機会の拡大、アーティストやソングライターの発掘・育成及びローカルのインディーズレーベルやアーティストとの関係構築・強化を進めていきます。また、アーティストやコンテンツのファンに向けたライブ興行・物販等の事業展開にも注力していきます。また、様々なパートナーと連携して、革新的な音楽コンテンツの創出や新しいアイデアの実現のためのツールとして、AI等の最先端技術の活用を探求するとともに、アーティストの権利保護にも引き続き取り組んでいきます。加えて、ソニーグループ内連携により、ソニー・ミュージック所属アーティストの伝記映画やドキュメンタリー、ライブイベントを通じたIP活用の拡大に取り組んでいきます。日本国内の音楽事業においては、YOASOBI等のJ-POPアーティストの海外展開のさらなる拡大を進めていきます。映像メディア・プラットフォームにおいては、アニメ事業のさらなる成長に向けて、有力IPの新規開発及び獲得のための企画力・制作力の強化と、基幹IPの海外市場を含む展開力強化を進めていきます。例えば、2025年3月には、海外市場を見据えた高品質なアニメの企画力・制作力強化のためにAniplexとCrunchyrollとの共同出資により、HAYATEを設立しました。ゲーム事業においては、新規タイトルによるヒット創出と既存タイトルのライフタイムバリュー最大化の両立に引き続き取り組んでいきます。 映画分野 映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結しているSPEの円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。 主要経営数値 2023年度(百万円)2024年度(百万円)ビジネス部門別の外部顧客向け売上高 映画製作542,044610,313テレビ番組制作551,035459,281メディアネットワーク393,638428,940外部顧客向け売上高の合計1,486,7171,498,534セグメント間取引6,3337,410セグメント売上高1,493,0501,505,944セグメント営業利益117,702117,284 2024年度の映画分野の業績は、以下のとおりです(要因分析は米ドルベース)。 売上高:1兆5,059億円(前年度比ほぼ横ばい、米ドルベース:416百万米ドル減収) ・(-)2023年度のWGA及びSAG-AFTRAのストライキによる作品制作の遅れ等によるテレビ番組制作における納入作品数の減少 ・(-)メディアネットワークにおけるインド事業の視聴料及び広告料収入減少 ・(+)有料会員数増加等によるCrunchyrollの増収 ・(+)Alamo Drafthouse Cinemaの買収の影響 営業利益:1,173億円(前年度比ほぼ横ばい、米ドルベース:34百万米ドル減益) ・(-)映画製作におけるカタログ作品の貢献の減少 ・(-)減収の影響 ・(+)劇場公開に係る広告宣伝費の減少 事業環境及び事業戦略 2024年度の当分野の業績は、2023年度のWGA及びSAG-AFTRAのストライキがコンテンツ制作に与えた影響による、テレビ番組制作における作品納入の後ろ倒しを中心とした悪影響があったものの、充実したコンテンツIPや規律ある事業運営等のソニーの強みを反映したものとなりました。また、アニメDTCプラットフォームであるCrunchyrollは、豊富なコンテンツライブラリと配信チャンネルの拡大により有料会員数が順調に成長し、当分野への業績貢献を拡大しました。このような環境下、ソニーは、あらゆる配信プラットフォームにコンテンツを提供できる独立系コンテンツサプライヤーとしての強みを活かし、引き続きIPの長期的な価値最大化をめざします。映画製作においては、映画作品の劇場公開を重視する戦略を継続するとともに、グローバルでのマーケティング及び劇場配給の能力により、タレントやクリエイターとの関係を強化しています。今後は、2026年度に公開予定の『Spider-Man: Brand New Day』をはじめとする、強力なIPの映画作品の劇場公開を予定しています。テレビ番組制作においては、多様なジャンルにおける制作能力を引き続き強化するとともに、スピンオフ作品の開発等によるフランチャイズ拡大に積極的に取り組んでいきます。メディアネットワークにおいては、CrunchyrollやSonyLIV等のDTCサービスの展開をさらに強化していきます。特に、Crunchyrollは、当分野の成長の重要な柱であり、ストリーミングサービスにとどまらず、アニメグッズ等のeコマース、モバイルゲーム、マンガアプリ等を通じてファンとのタッチポイントを拡大し、より幅広い視聴者にリーチしていきます。また、当分野は、ソニーグループ内の事業間シナジーやコラボレーションを生み出すハブの役割を担い、「Creative Entertainment Vision」の実現に貢献することをめざします。例えば、Aniplex、SMEJ及びPlayStation Productionsによる『Ghost of Tsushima』のアニメシリーズ化等、今後もプレイステーションのゲームIPを題材とした作品展開やアニメ領域におけるグループ内コラボレーションを拡大していきます。また、LBEや、2024年6月に買収したAlamo Drafthouse Cinema等の、IPを活用して体験価値を提供する領域において、既存IPからの収益機会を積極的に追求していきます。ET&S分野 主要経営数値 2023年度(百万円)2024年度(百万円)製品部門別の外部顧客向け売上高 テレビ624,264564,154オーディオ・ビデオ412,067391,664静止画・動画カメラ643,429665,144モバイル・コミュニケーション299,905279,834その他435,281462,042外部顧客向け売上高の合計2,414,9462,362,838セグメント間取引38,77246,437セグメント売上高2,453,7182,409,275セグメント営業利益187,399190,926 2024年度のET&S分野の業績は、以下のとおりです。 売上高:2兆4,093億円(前年度比444億円減収、為替影響:+789億円) ・(-)販売台数減少によるテレビ及びスマートフォンの減収 ・(+)為替の影響 営業利益:1,909億円(前年度比35億円増益、為替影響:+123億円) ・(+)オペレーション費用の削減 ・(+)為替の好影響 ・(-)テレビの減収の影響 ・(-)構造改革費用の増加 事業環境及び事業戦略 2024年度の当分野の業績は、引き続き厳しい事業環境の中、テレビにおける販売台数の減少及びスマートフォンにおける製品ラインナップの見直しや競争の激化による販売台数の減少による減収があったものの、事業環境の変化に機敏に対応するための徹底したサプライチェーンの最適化や構造改革を含む固定費削減等の各種施策を実行するとともに、各事業において収益性を重視し、高付加価値商品へのシフトを推進した成果を反映したものとなりました。このような環境下、ソニーは、収益性の高いイメージング事業等のクリエイションを軸とした事業の拡大を着実に進めており、「収益性維持と成長戦略を両立する事業構造の確立」という経営方針の下、「企業価値向上」と「キャッシュ創出」を目標に掲げ、中期的な事業の変革を推進しています。具体的には、テレビ及びスマートフォン事業においては、販売、製造、設計の構造変革を推進することで、収益水準の向上とボラティリティの低減を進め、リスクをコントロールしていきます。テレビ及びスマートフォンで用いるディスプレイ及び通信の技術はクリエイションの拡大に必要不可欠であると考えており、両事業においては、売上の規模を追うのではなく、クリエイションに集中した技術開発を進めることでさらなる事業転換を進めます。イメージング及びサウンド事業においては、安定した収益基盤を強化し、事業領域を拡大させることで、さらなる成長をめざします。イメージング事業では、優れた技術力・商品力による競争優位性で事業領域を拡大し、エコシステムを構築していきます。サウンド事業においても、サウンド制作からコンスーマー製品まで、End to Endでエコシステムの構築をめざします。イメージング事業のソリューションや、サウンド事業のクリエイションを含む領域では、既存のビジネスで培った技術をベースにソフトウェアの付加価値を加えることでクリエイターの表現力を拡張し、クリエイションの多様化により事業を拡大させ、クリエイターのすそ野も拡大していきます。スポーツ及びニューコンテンツクリエイション事業においては、事業モデルの進化やバリューチェーンの拡大を加速するために、規律を持ちながらも積極的に投資を行っていきます。スポーツ事業では、判定支援から、データエンハンスメントのテクノロジーを活用した新たなエンタテインメントの創造へと事業を進化させていきます。ニューコンテンツクリエイション事業においては、空間キャプチャリングやクリエイティブツールのテクノロジーを活用し、新たなクリエイション産業の創出をめざします。I&SS分野 主要経営数値 2023年度(百万円)2024年度(百万円)外部顧客向け売上高の合計1,503,9061,712,534セグメント間取引98,83286,471セグメント売上高1,602,7381,799,005セグメント営業利益193,541261,147 2024年度のI&SS分野の業績は、以下のとおりです。 売上高:1兆7,990億円(前年度比1,963億円増収、為替影響:+959億円) ・(+)為替の影響 ・(+)モバイル機器向けイメージセンサーの増収 ・(+)製品ミックスの改善 ・(+)販売数量の増加 営業利益:2,611億円(前年度比676億円増益、為替影響:+634億円) ・(+)為替の好影響 ・(+)増収の影響 ・(+)モバイル機器向けイメージセンサーの新製品量産立上げにおける費用の減少 ・(-)製造経費の増加 ・(-)減価償却費の増加 事業環境及び事業戦略 2024年度の当分野の業績は、為替の好影響に加え、ハイエンドスマートフォンを中心にモバイル機器向けイメージセンサーの大判化、高画質・高性能化の傾向が継続したことや、2023年度に発生した新製品の歩留り悪化が解消したことにより、売上高及び営業利益ともに過去最高を更新しました。このような環境下、ソニーは、イメージセンサーにおける世界No.1ポジションをさらに強固なものとし、事業環境の不確実性が増している中でも収益性をともなう成長を実現するために経営基盤の再構築に取り組んでいます。当分野では、各事業を「成長牽引事業領域」、「収益事業領域」、「戦略事業領域」の3つに分け、それぞれの戦略の方向性を踏まえて事業を運営しています。成長牽引事業領域であるモバイル機器向けイメージセンサー事業では、競争に勝ち抜くための技術力強化と成長投資を継続します。足元ではスマートフォン市場が緩やかな回復基調にあることに加え、イメージセンサーの大判化は引き続き順調に推移しています。今後は大判化に加えて、イメージセンサーのさらなる高付加価値化を実現し、動画を活用した様々なクリエイションに貢献するために、先端プロセス技術の開発として、プロセスノードの適合化による平面方向の高密度化と、積層技術による多層化を通じた垂直方向の高密度化による技術革新に取り組み、さらなる事業成長を図ります。収益事業領域であるカメラ及び産業・社会インフラ向けイメージセンサー事業においては、高い競争力を堅持し安定した収益貢献をめざします。戦略事業領域である車載向けイメージセンサー事業、システムソリューション事業、半導体レーザー事業及びディスプレイデバイス事業については、将来のビジネスの柱とすべく、事業拡大と収益とのバランスを取りながら、規律を持った事業運営を行っていきます。車載向けイメージセンサー事業はこれまで順調に成長しており、金額シェアは想定どおり拡大しています。市場が拡大する中で、センサー特性の総合力を一層強化し、引き続きグローバルでOEMやパートナーとの関係構築・強化を進め、収益拡大をめざします。半導体レーザー事業は、生成AIの普及にともなうデータセンター市場におけるストレージ需要の拡大により、中長期的な需要拡大を見込んでいます。このような状況のもと、当分野の設備投資については、第五次中期経営計画期間においては投資を厳選し、第四次中期経営計画比で減らしていく方向性には変わりはないものの、モバイル機器向けイメージセンサー事業において、前述の先端プロセスの導入が当初の想定より早まったこと等により、昨年度時点での見通しとの比較では増加する見込みです。同時に、継続する投資負担を軽減するために様々な選択肢を検討していくとともに、今後はフリーキャッシュ・フローの黒字を維持することを財務規律とし、当分野から創出されるキャッシュ・フローを必要な設備投資資金に充当する方針です。 金融分野 金融分野には、SFGI及びSFGIの連結子会社(以下あわせて「ソニーフィナンシャルグループ」)であるソニー生命、ソニー損保、ソニー銀行等の業績が含まれています。金融分野に記載されている業績は、ソニーフィナンシャルグループが日本の会計基準に則って個別に開示している業績とは異なります。 主要経営数値 2023年度(百万円)2024年度(百万円)金融ビジネス収入1,769,954931,400営業利益173,576130,528 2024年度の金融分野の業績は、以下のとおりです。 金融ビジネス収入:9,314億円(前年度比8,386億円減収) ・(-)ソニー生命の減収(△8,638億円、収入:6,601億円) ・(-)市況変動による特別勘定における資産運用益の減少 営業利益:1,305億円(前年度比430億円減益) ・(-)2023年度におけるソニーペイメントサービス株式の一部譲渡にともなう売却益及び再評価益の計上(△198億円) ・(-)ソニー生命の減益(△131億円、ソニー生命の営業利益:1,134億円) ・(-)変額保険の最低保証等に係る市況変動による利益の減少 事業環境及び事業戦略 2024年度の当分野の業績は、日本経済と債券市場の状況を反映したものとなりました。日本経済は、円安等による輸入価格の高止まりや食料価格上昇等による物価高が長引いたことで、個人消費の本格回復には至らず、景気は踊り場となりました。債券市場は、日米の景気及び金融政策の動向による影響を大きく受けました。2024年夏頃までは日本銀行の国債買い入れ縮小観測等を受けて、日本の長期金利は1%を超える水準まで上昇しました。しかし、8月に米国において失業率上昇等を受けて景気後退観測が高まり、国際金融市場が大きく不安定化したため、日本の長期金利は急転して1%以下まで低下しました。2024年度後半は、米国経済に対する過度な悲観論が後退する中、国内物価の上振れリスク等から日本銀行による追加利上げ観測が高まり、長期金利は上昇基調を強めました。2025年1月には政策金利が0.5%に引き上げられ、同年の春闘では前年を超える賃上げ率となったこと等から、3月には長期金利が約16年ぶりとなる1.5%超をつけました。このような環境下、ソニーは、当分野の業績に対する金利感応度低減のため、保有する債券の売却や入れ替え、一部の既契約ブロックの出再に取り組んでいます。2025年10月に予定している金融事業のパーシャル・スピンオフにより、SFGIは当社の持分法適用関連会社となる予定です。金融事業のパーシャル・スピンオフ実行後も、ソニーは金融事業のさらなる成長のために、ソニーのブランドとテクノロジーを軸とした、金融事業とソニーグループの連携強化を図っていきます。ブランドに関しては、金融事業のパーシャル・スピンオフ実行後も、ソニーフィナンシャルグループは、ソニーブランドの継続使用が可能であり、ソニーグループとの事業間連携を通じて金融事業のブランド価値のさらなる向上をめざします。テクノロジーに関しては、Web3関連技術を活用したBorderless Digital Bankingサービスの開発、ライフプランナー向けの営業支援等におけるデータ解析・利活用、AIによる顧客対応アシスト、ゲーム関連技術やコンテンツのリハビリ用途への活用等、ソニーグループが持つ技術やIP、エンタメを活用することで、非金融から金融へのシームレスな顧客体験の創出を図ります。また、これまで着実に成長してきたソニーフィナンシャルグループの各事業のコアコンピタンスを、付加価値の伸びが最も大きいと考えられるソニー生命に実質的に融合し、今後はソニー生命をコアとした金融グループ一体での価値提供を行っていきます。ソニーフィナンシャルグループは、ソニー生命を軸とした既存事業の利益成長に加えて、ソニー損保が持つ高いブランド認知度や集客力、ソニー銀行が持つ資金循環基盤等、各事業のコアコンピタンスを事業の垣根を越えて活かすことで新たな付加価値を顧客に提供し、さらなる成長をめざします。 金融分野を分離した経営成績情報 以下の表は金融分野の要約損益計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約損益計算書です。これらの要約損益計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられたIFRSには準拠していませんが、金融分野はソニーのその他の分野とは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。 要約損益計算書(3月31日に終了した1年間) (単位:百万円)金融分野金融分野を除くソニー連結ソニー連結 2023年度2024年度2023年度2024年度2023年度2024年度売上高--11,265,04312,043,90311,260,03712,034,917金融ビジネス収入1,769,954931,400--1,760,731922,147売上高及び金融ビジネス収入合計1,769,954931,40011,265,04312,043,90313,020,76812,957,064売上原価--8,101,9908,514,3258,089,3178,504,810販売費及び一般管理費--2,148,4722,256,2942,156,1562,256,829金融ビジネス費用1,615,594798,954--1,606,370789,702その他の営業損(益)(純額)△19,2711,982△10,133△11,224△29,404△9,241売上原価、販売費・一般管理費及びその他の一般費用合計1,596,323800,93610,240,32910,759,39511,822,43911,542,100持分法による投資利益(損失)△556410,557△7,86510,502△7,801営業利益173,576130,5281,035,2711,276,6431,208,8311,407,163金融収益(費用)(純額)--109,86466,53059,83166,563税引前利益173,576130,5281,145,1351,343,1731,268,6621,473,726法人所得税49,06356,359239,105257,467288,168313,839当期純利益124,51374,169906,0301,085,706980,4941,159,887当期純利益の帰属 金融分野の当期純利益123,98674,169----金融分野を除くソニー連結の当期純利益--896,6361,067,419--当社株主に帰属する当期純利益----970,5731,141,600非支配持分に帰属する当期純利益527-9,39418,2879,92118,287 その他分野 2024年度の売上高は、前年度比70億円増加し、963億円となりました。営業損益は、前年度の16億円の利益に対し、2024年度は180億円の損失となりました。この損益悪化は、前述の増収の影響があったものの、主に持分法による投資損益の悪化によるものです。 為替変動とリスク・ヘッジ 2024年度の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ152.5円、163.6円と前年度の平均レートに比べ米ドルは8.1円、ユーロは7.0円の円安となりました。 2024年度の連結売上高は、前年度比ほぼ横ばいの12兆9,571億円となりました。前年度の為替レートを適用した場合、売上高は約4%の減収となります。為替変動による売上高及び営業損益への影響については後述の『注記』をご参照ください。 G&NS分野、ET&S分野及びI&SS分野の為替変動による売上高及び営業損益への影響については、以下の表をご参照ください。また、詳細については、「経営成績の分析」の分野別概況における各分野の分析をご参照ください。為替の影響が大きかった分野やカテゴリーについて、その影響に言及しています。 2023年度(億円)2024年度(億円)為替変動による影響額(億円)G&NS分野売上高42,67746,700+1,700 営業利益2,9024,148+2ET&S分野売上高24,53724,093+789 営業利益1,8741,909+123I&SS分野売上高16,02717,990+959 営業利益1,9352,611+634 なお、2024年度の音楽分野の売上高は前年度比14%増加の1兆8,426億円となりましたが、前年度の為替レートを適用した場合、約9%の増収でした。映画分野の売上高は前年度比ほぼ横ばいの1兆5,059億円となりましたが、米ドルベースでは、前年度比約4%の減収でした。詳細な分析は、「(3)経営成績の分析」の「音楽分野」及び「映画分野」をご参照ください。ソニーの金融分野は、円ベースのSFGIを連結しています。同分野の事業のほとんどが日本で行われていることから、ソニーは金融分野の業績の分析を円ベースでのみ行っています。 2024年度のG&NS分野、ET&S分野及びI&SS分野において、米ドルに対する1円の円高の影響は、売上高では約318億円、営業損益では約13億円の減少と試算されます。ユーロに対する1円の円高の影響は、売上高では約118億円、営業損益では約65億円の減少と試算されます。(「第2 事業の状況」『3 事業等のリスク』参照) ソニーの連結業績は、主に収入と費用において通貨構成が異なることから生ずる為替変動リスクにさらされています。G&NS分野では、米ドル建てのコストの割合が高いのに対して、売上高は日本円、米ドル又はユーロで計上されるため、米ドルに対する円高は営業利益に好影響を、ユーロに対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。ET&S分野では、主要製品におけるドル建ての製造コスト等の割合が高いこと等から米ドルに対する円高は営業利益に好影響を及ぼします。一方で、新興国での売上高の割合が高いため、新興国通貨に対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。I&SS分野では、米ドル建ての販売契約の割合が高い一方、主に日本で製造を行っていることから、米ドルに対する円高は営業利益に大幅な悪影響を及ぼします。 これらの為替変動によるリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針に従い、先物為替予約、通貨オプション契約を含むデリバティブを利用しています。ソニーが行っているこれらのデリバティブは、主に当社及び当社の子会社の予想される外貨建て取引及び外貨建て営業債権や営業債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するために利用されています。 ソニーは、総合的な財務サービスを当社及び当社の子会社・関連会社に提供することを目的として、Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)を英国に設立しています。為替変動リスクにさらされている当社及び全ての子会社が、リスク・ヘッジのための契約をSGTSとの間で結ぶことがソニーの方針となっており、当社及び当社の子会社のほとんどはこの目的のためにSGTSを利用しています。為替リスク集中の原則にもとづき、SGTSと当社がソニーグループ全体の相殺後のほとんどの為替変動リスクをヘッジしています。ソニーの方針として、金融機関との為替デリバティブ取引は、リスク管理のため、原則としてSGTSに集中しています。SGTSはグループ外の信用の高い金融機関との間で外国為替取引を行っています。ほとんどの外国為替取引は、実際の輸出入取引が行われる前の予定された取引や債権・債務に対して行われます。一般的には、実際の輸出入取引が行われる当月又は1ヵ月前からヘッジを行っています。ソニーは金融機関との外国為替取引を主にヘッジ目的のために行っています。ソニーは、金融分野を除き、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。金融分野においては、主に資産負債の総合管理の一環としてデリバティブを活用しています。 キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は、当初累積その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時点で損益に振り替えられます。一方、ヘッジ会計の要件を満たさない先物為替予約、通貨オプション契約、及びその他のデリバティブは時価評価され、その変動は、直ちに金融収益・金融費用に計上されます。2024年度末における外国為替契約の負債に計上された公正価値(純額)の合計は5億円となっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『15.デリバティブ及びヘッジ活動』参照) 『注記』前年度の為替レートを適用した場合の売上高の状況、及び為替変動による影響額について 前年度の為替レートを適用した場合の売上高の状況は、当年度の現地通貨建て月別売上高に対し、前年度の月次平均レートを適用して算出しています。ただし、音楽分野のSME及びSMP、ならびに映画分野については、米ドルベースで集計した上で、前年度の月次平均米ドル円レートを適用した金額を算出しています。 映画分野の業績の状況は、米国を拠点とするSPEが、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結していることから、米ドルベースで記載しています。 為替変動による影響額は、売上高については前年度及び当年度における平均為替レートの変動を主要な取引通貨建て売上高に適用して算出し、営業損益についてはこの売上高への為替変動による影響額から、同様の方法で算出した売上原価ならびに販売費及び一般管理費への為替変動による影響額を差し引いて算出しています。I&SS分野では独自に為替ヘッジ取引を実施しており、売上高及び営業損益への為替変動による影響額に同取引の影響が含まれています。 これらの情報はIFRSに則って開示されるソニーの連結財務諸表を代替するものではありません。しかしながら、これらの開示は、投資家の皆様にソニーの営業概況をご理解頂くための有益な分析情報と考えています。 所在地別の業績 所在地別の業績は、顧客の所在国又は地域別に分類した売上高及び金融ビジネス収入を「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『4.セグメント情報』に記載しています。 (4)財政状態の分析 以下の表は金融分野の要約財政状態計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約財政状態計算書です。これらの要約財政状態計算書はソニーの連結財務諸表の作成に用いられたIFRSには準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引を含んでおり、両者の繰延税金資産と繰延税金負債を相殺する前の金額となっています。これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。 要約財政状態計算書 (単位:百万円)科 目金融分野金融分野を除くソニー連結ソニー連結2023年度末2024年度末2023年度末2024年度末2023年度末2024年度末資 産 の 部流動資産 現金及び現金同等物 *1913,8151,216,277993,2981,764,6791,907,1132,980,956金融分野における投資及び貸付 *2398,153453,677--398,153453,677営業債権、その他の債権及び契約資産127,016126,0522,033,1701,820,6882,158,1961,943,184棚卸資産--1,518,6441,310,7701,518,6441,310,770その他の金融資産57,254117,71968,11127,473125,365145,192その他の流動資産50,48725,882625,539604,486669,335621,209流動資産合計1,546,7251,939,6075,238,7625,528,0966,776,8067,454,988非流動資産 持分法で会計処理されている投資4,9053,171418,839344,547423,744347,718金融分野における投資及び貸付 *218,939,79418,736,298--18,939,79418,736,298金融分野への投資(取得原価)--550,483550,483--有形固定資産14,16213,3351,508,1511,499,9981,522,6401,513,660使用権資産76,28876,291428,224446,455503,395521,685のれん及び無形資産(コンテンツ資産含む) *377,32386,6013,953,4924,342,3804,030,8154,428,981繰延税金資産-3,149520,613546,501499,550559,284その他の金融資産52,88260,496848,5991,108,426897,3411,164,630その他の非流動資産165,049153,880421,258484,529513,405565,929非流動資産合計19,330,40319,133,2218,649,6599,323,31927,330,68427,838,185合 計20,877,12821,072,82813,888,42114,851,41534,107,49035,293,173 負 債 及 び 資 本 の 部流動負債 短期借入金1,802,3371,872,486227,979258,9182,030,3162,131,404営業債務及びその他の債務61,15393,0102,005,1122,010,4442,064,9052,100,144銀行ビジネスにおける顧客預金3,670,5673,981,193--3,670,5673,981,193未払法人所得税10,0505,902142,02483,583152,07489,485映画分野における未払分配金債務--251,743236,752251,743236,752その他の金融負債77,52374,68038,52236,009116,044110,689その他の流動負債209,555225,5311,704,1581,822,9931,906,3962,039,121流動負債合計5,831,1856,252,8024,369,5384,448,69910,192,04510,688,788非流動負債 長期借入債務703,106690,2491,355,0111,376,5932,058,1172,066,842退職給付に係る負債39,28438,806208,299198,135247,583236,941繰延税金負債36,3688,202165,877172,139166,424175,228保険契約負債12,931,99512,689,306--12,931,99512,689,306映画分野における未払分配金債務--206,081188,919206,081188,919その他の金融負債214,414313,800175,263263,675386,761574,351その他の非流動負債7,6076,751176,767177,380162,379162,647非流動負債合計13,932,77413,747,1142,287,2982,376,84116,159,34016,094,234負 債 合 計19,763,95919,999,9166,656,8366,825,54026,351,38526,783,022金融分野の株主に帰属する資本1,113,1691,072,912----金融分野を除くソニー連結の株主に帰属する資本--7,062,6577,695,469--当社株主に帰属する資本----7,587,1778,179,745非支配持分--168,928330,406168,928330,406資 本 合 計1,113,1691,072,9127,231,5858,025,8757,756,1058,510,151合 計20,877,12821,072,82813,888,42114,851,41534,107,49035,293,173 (注)*1 2024年度末の金融分野を除くソニー連結における現金及び現金同等物の変動要因は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の『(5)キャッシュ・フローの状況の分析』をご参照ください。*2 2023年度末及び2024年度末の金融分野における投資及び貸付の変動については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『5.金融商品』をご参照ください。*3 2024年度末の金融分野を除くソニー連結におけるのれん及び無形資産(コンテンツ資産含む)の増加は、主に音楽分野及び映画分野におけるコンテンツ資産の増加によるものです。 (5)キャッシュ・フローの状況の分析 営業活動によるキャッシュ・フロー:2024年度において営業活動から得た現金及び現金同等物(純額)は、前年度比9,485億円増加し、2兆3,217億円となりました。 金融分野を除くソニー連結では、1兆9,724億円の受取超過となり、前年度比7,946億円の受取の増加となりました。この増加は、営業債権及び契約資産が増加から減少に転じたこと、非資金調整項目(減価償却費及び償却費(契約コストの償却を含む)、その他の営業損(益)(純額)ならびに有価証券に関する損(益)(純額))を加味した後の税引前利益が増加したこと、営業債務が減少から増加に転じたこと、ならびに棚卸資産の減少額の拡大等によるものです。一方で、コンテンツ資産の増加額が拡大したこと等のキャッシュ・フローを悪化させる要因もありました。 金融分野では3,503億円の受取超過となり、前年度比1,039億円の受取の増加となりました。この増加は、ソニー銀行における住宅ローンの増加額が縮小したこと等によるものです。 投資活動によるキャッシュ・フロー:2024年度において投資活動に使用した現金及び現金同等物(純額)は、前年度比1,112億円増加し、9,301億円となりました。 金融分野を除くソニー連結では、9,044億円の支払超過となり、前年度比1,102億円の支払の増加となりました。この増加は、主にビジネスの買収等による支出が前年度に比べて増加したことによるものです。 金融分野ではほぼ前年度並みの269億円の支払超過となりました。 財務活動によるキャッシュ・フロー:2024年度において財務活動に使用した現金及び現金同等物(純額)は、前年度比875億円増加し、2,982億円となりました。 金融分野を除くソニー連結では、2,772億円の支払超過となり、前年度比799億円の支払の増加となりました。この増加は、主に長期借入債務による調達額が前年度に比べ減少したことによるものです。 金融分野では209億円の支払超過となり、前年度比424億円の支払の減少となりました。この減少は、配当金の支払を行わなかったこと等によるものです。 現金及び現金同等物:以上の結果、為替変動の影響を加味した2025年3月末の現金及び現金同等物期末残高は2兆9,810億円となりました。金融分野を除くソニー連結の2025年3月末における現金及び現金同等物期末残高は、2024年3月末に比べ7,714億円増加し、1兆7,647億円となりました。金融分野の2025年3月末における現金及び現金同等物残高は、2024年3月末に比べ3,025億円増加し、1兆2,163億円となりました。 金融分野を分離したキャッシュ・フロー情報 以下の表は、金融分野の要約キャッシュ・フロー計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約キャッシュ・フロー計算書です。この要約キャッシュ・フロー計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられたIFRSには準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。 要約キャッシュ・フロー計算書 (単位:百万円)項 目金融分野金融分野を除くソニー連結ソニー連結2023年度2024年度2023年度2024年度2023年度2024年度営業活動によるキャッシュ・フロー 税引前利益(損失)173,576130,5281,145,1351,343,1731,268,6621,473,726営業活動から得た又は使用した(△)現金及び現金同等物(純額)への税引前利益(損失)の調整 減価償却費及び償却費(契約コストの償却を含む)27,68927,3991,117,2921,125,5881,144,9811,152,987その他の営業損(益)(純額)△19,2711,981△10,133△11,222△29,404△9,241有価証券に関する損(益)(純額)(金融分野以外)--△73,166△75,742△73,166△75,742資産及び負債の増減 営業債権及び契約資産の増加(△)・減少△20,843959△200,071226,098△243,646228,623棚卸資産の増加(△)・減少--75,641199,91675,641199,916金融分野における投資及び貸付の増加(△)・減少△1,748,913△824,443--△1,748,913△824,443コンテンツ資産の増加(△)・減少--△486,183△683,388△486,183△683,388営業債務の増加・減少(△)27,11631,309△40,882107,6019,188136,952保険契約負債(保険契約資産との純額)の増加・減少(△)1,370,580573,749--1,370,580573,749銀行ビジネスにおける顧客預金の増加・減少(△)536,688401,014--536,688401,014生命保険ビジネス及び銀行ビジネスにおける借入債務の増加・減少(△)△41,51666,783--△41,51666,783法人所得税以外の未払税金(純額)の増加・減少(△)387△1,304△22,878△14,157△22,491△15,461その他△59,081△57,649△326,927△245,428△387,208△303,800営業活動から得た又は使用した(△)現金及び現金同等物(純額)246,412350,3261,177,8281,972,4391,373,2132,321,675投資活動によるキャッシュ・フロー 有形固定資産及びその他の無形資産の購入△18,167△26,542△606,844△622,187△623,946△647,527投資及び貸付(金融分野以外)--△95,506△98,536△95,506△98,536投資の売却又は償還及び貸付の回収(金融分野以外)--92,67946,54092,67946,540その他△7,560△382△184,553△230,215△192,113△230,597投資活動から得た又は使用した(△)現金及び現金同等物(純額)△25,727△26,924△794,224△904,398△818,886△930,120財務活動によるキャッシュ・フロー 借入債務の増加・減少(△)△11,633△21,54590,289△48,82778,656△70,372配当金の支払△50,037-△98,620△115,253△98,620△115,253その他△1,693605△188,977△113,111△190,745△112,618財務活動から得た又は使用した(△)現金及び現金同等物(純額)△63,363△20,940△197,308△277,191△210,709△298,243現金及び現金同等物に対する為替相場変動の影響額--82,595△19,46982,595△19,469現金及び現金同等物の純増加・減少(△)額157,322302,462268,891771,381426,2131,073,843現金及び現金同等物期首残高756,493913,815724,407993,2981,480,9001,907,113現金及び現金同等物期末残高913,8151,216,277993,2981,764,6791,907,1132,980,956 (6)資本の財源及び資金の流動性についての分析 以下の基本方針及び数値情報は、独自に流動性を確保している金融分野及び一部の子会社を除いたソニーの連結事業にもとづいて説明しています。なお、金融分野については当該項目において別途説明しています。 流動性マネジメントと資金の調達 ソニーは、事業活動に必要な流動性を保ちながら健全な財政状態を維持することを財務の重要な目標と考えています。ソニーは、現金及び現金同等物(以下「現預金等」。ただし、国の規制等で資金の移動に制約があるものを除く)及びコミットメントラインの未使用額を合わせた金額を流動性として位置づけています。 流動性の保持に必要な資金は、営業活動及び投資活動(資産売却を含む)によるキャッシュ・フロー及び現預金等でまかないますが、ソニーは必要に応じて社債、CP、銀行借入等の手段を通じて、金融・資本市場からの資金調達を行っています。 当社、SGTS及び米国の子会社Sony Capital Corporation(以下「SCC」)は日本・米国・欧州の各市場へアクセス可能なCPプログラム枠を有しています。2024年度末時点で当社、SGTS及びSCCは、円換算で合計1兆2,468億円分のCPプログラム枠を保有しています。2024年度末における発行残高はありません。 金融・資本市場が不安定な混乱状況に陥り、前述の手段により十分な資金調達ができなくなった場合に備え、ソニーは、多様な金融機関との契約によるコミットメントラインも保持しています。2024年度末の未使用のコミットメントラインの総額は円換算で7,607億円です。未使用のコミットメントラインの内訳は、日本の銀行団と結んでいる3,500億円の円貨コミットメントライン、日本の銀行団と結んでいる1,700百万米ドルの複数通貨建てコミットメントライン、外国の銀行団と結んでいる1,050百万米ドルの複数通貨建てコミットメントラインです。金融・資本市場の流動性がなくなった場合でも、ソニーは現預金等及びこれらのコミットメントラインを使用することによって十分な流動性を維持することができると現時点では考えています。 ソニーは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、金融・資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、安定した一定水準の信用格付けの維持を重要な経営目標の一つと位置づけています。ただし、グループ全体の主要な資金調達に関する金融機関との契約において、ソニーの信用格付けが低下した場合に、強制的に早期弁済を求められるものはありません。また、これら契約のうち一部のコミットメントライン契約については、ソニーの信用格付けにより借入コストが変動する条件が含まれているものがありますが、未使用のコミットメントラインからの借入を禁ずる条項を含んでいるものはありません。 キャッシュ・マネジメント ソニーは日本においては当社、米国においてはSCC、それ以外の地域においてはSGTSを中心にグローバルな資金管理を行っています。資本取引に規制があり資金移動を制限されている国や地域は一部存在しますが、大部分の子会社における資金の過不足は、当社、SGTS及びSCCにより純額ベースで運用又は調達をしています。ソニーは資金の効率化をめざし、各子会社に資金余剰が出た場合は当社、SGTS及びSCCに預け、また各子会社に資金不足が生じた場合には当社、SGTS及びSCCを通じて資金の貸し借りを行うことで、余剰資金を活用し、外部借入を削減することができます。関係会社間の効率的な資金移動が制限されている国や地域では、ソニーは当社、SGTS及びSCCの外に資金を残していますが、必要な流動性資金はキャッシュ・フローや外部からの借入(もしくはその両方)によって調達しています。ソニーは、海外に所在する移動を制限されている資金が、ソニー全体の流動性や財務状況ならびに業績に重大な影響を与えるとは考えていません。 金融分野 SFGI、ソニー生命、ソニー損保及びソニー銀行の各マネジメントは、業務の遂行にともなう支払義務を履行するのに十分な流動性を確保することが重要だと認識しています。ソニー生命、ソニー損保及びソニー銀行は、法令(保険業法及び銀行法等)や金融庁及びその他関係規制当局の定める各種規制を遵守することに加え、それに準拠した社内規程を制定、運用しながら、十分な現預金等を準備し、支払能力を確保することに努めています。ソニー生命及びソニー損保は、受取保険料を主な資金の源泉とし、有価証券を中心とした投資を行うにあたり、保険金等の円滑な支払等に十分な水準の流動性を確保しています。ソニー銀行は、顧客からの円貨・外貨建て預金を主な資金の源泉とし、住宅ローンを中心とする貸出と主に市場性のある有価証券投資を行う中で、円滑な決済等に必要な水準の流動性を確保しています。外貨建て顧客預金で得られた資金は、主に同じ通貨建の金融商品に投資されています。 なお、金融分野の子会社は、保険業務、銀行業務の公共性から、その信用を維持し、契約者や預金者の保護を確保することが保険業法、銀行法で定められています。したがって、金融分野の子会社と金融分野以外のソニーグループ会社間で資金の貸借を行うことは厳格に制限されており、金融分野の子会社は、上記の当社、SGTS及びSCCを介したグローバルなキャッシュ・マネジメントからも隔離されています。 なお、ソニーグループが創出した営業活動によるキャッシュ・フローに関する、成長投資、手許資金及び株主還元への配分についての考え方に関しては「第2 事業の状況」「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等『第五次中期経営計画 経営数値目標及びキャピタルアロケーションとその進捗』」をご参照ください。 オフバランス取引 ソニーは、流動性と資金調達手段の確保、及びクレジットリスクを軽減するためにオフバランス取引を行っています。これらの取引は、ソニーが営業債権に対する支配を放棄したことから、売却として会計処理されます。なお、一部の営業債権売却プログラムにはストラクチャード・エンティティが関与しています。「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『28.ストラクチャード・エンティティ』をご参照ください。 借入債務、コミットメント及び偶発債務等 2025年3月31日現在におけるソニーの借入債務、コミットメント及び偶発債務等は以下のとおりです。 借入債務 「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『6.金融商品に関連するリスク管理 (4) 流動性リスク』及び『14.短期借入金及び長期借入債務』をご参照ください。 ローン・コミットメント、パーチェス・コミットメント及び訴訟に関する偶発債務 「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『32.パーチェス・コミットメント、偶発債務及びその他』をご参照ください。 保険契約負債 「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『13.金融分野における保険契約 (9) 保険及び市場リスク』をご参照ください。
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ソニーのマネジメントが認識している経営課題とそれに対処するための取り組みは以下のとおりです。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。 世界経済は米中貿易摩擦の激化や英国の欧州連合離脱(以下「ブレグジット」)などの地政学的な緊張感の高まりから、2019年度の上半期にかけて低迷が続いていました。下半期には、米中貿易交渉に関する好材料が断続的に見られたことや、合意なきブレグジットに対する懸念の低下などにより、世界経済の減速が底を打ちつつあるという期待感が高まりました。しかし、2020年の年明け以降、世界各地での新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の影響により状況は一変し、世界経済は2019年度末にかけて急速に減速しました。足元では、依然として新型コロナウイルス感染拡大の収束を見通すことが困難であることや、米中貿易摩擦が再燃していることなどにより、今後の世界経済に関する不確実性が高まっています。 ソニーは、グローバルに多様な事業を展開しており、これらの世界経済の状況の変化に加えて、競合他社との価格競争にともなう価格低下圧力の高まり、一部の主要な製品やサービスにおける市場の縮小及び商品サイクルの短期化といった経営環境の変化は、ソニーの各分野の事業に影響を及ぼしています。(分野別の経営環境の詳細については、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」及び「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。) このような経営環境の下、ソニーは、長期視点の経営を重視し、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というソニーのPurpose(存在意義)と「人に近づく」という経営の方向性にもとづき、各事業の進化と成長に加え、One Sonyの動きを加速することにより、グループ全体の企業価値向上のための取り組みを続けてきました。(分野別の2019年度の実績については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」もあわせてご参照ください。) 事業ポートフォリオ ソニーの事業ポートフォリオは、「人」を軸に以下の事業により構成されています。 ・ 「人の心を動かす」コンテンツ事業及びDirect-to-Consumer(以下「DTC」)事業 クリエイターと共に感動コンテンツを創り、それをユーザーに届けるコンテンツ事業及びDTC事業は、「人の心を動かす」ことを目的としています。 ・ 「人と人を繋ぐ」ブランデッドハードウェア事業及びCMOSイメージセンサー事業 ブランデッドハードウェア事業は、クリエイターが感動コンテンツを制作するために必要な機器やユーザーが感動コンテンツを楽しむために欠かせない機器を提供しています。また、CMOSイメージセンサー事業は、世界中の人々が感動を共有するために利用しているスマートフォンのキーデバイスを提供しています。これらの事業は、「人と人を繋ぐ」ことを目的としています。 ・ 「人を支える」車載センシング事業、メディカル事業及び金融事業 自動運転のためのイメージング・センシング技術を用いて、人の「安全」を支え、モビリティの未来に貢献する車載センシング事業、イメージングやメカトロニクスなどの技術を活用して人の「健康」に貢献するメディカル事業、及び生命保険、損害保険、銀行などの金融サービスを通じて人の生活と経済的な「安心」に貢献する金融事業は、「人を支える」ことを目的としています。ソニーはこれらの事業をソニーのテクノロジーを活用した長期視点の成長事業と位置づけています。 グループ経営と各事業の進化の方向性 <グループ経営の強化施策> ソニーは、各事業の進化をリードし、事業ポートフォリオの多様性をさらなる強みとしていくため、以下のとおり、経営機構改革を実施します。 ・ グループ本社「ソニーグループ株式会社」の発足(2021年4月1日付)・ 2021年4月1日付で、当社の商号を「ソニーグループ株式会社」(英文表記:Sony Group Corporation)に変更します。・ 現在、グループ本社機能とエレクトロニクス事業の本社間接機能の両方を有している当社の機能を分離・再定義し、当社は「ソニーグループ株式会社」として、グループ本社機能に特化した会社となります。・ 「ソニーグループ株式会社」の主なミッションは、長期視点でのグループ全体の企業価値向上の観点から、(1)事業ポートフォリオ管理とそれにもとづくキャピタルアロケーション、(2)グループシナジーと事業インキュベーションによる価値創出、(3)イノベーションの基盤である人材と技術への投資を行うこととし、2021年4月に向けて、詳細な機能・組織・人員の設計を行っていきます。・ なお、当該商号の変更及びそれにともなう定款の一部変更は、2020年6月26日に開催された当社の定時株主総会において承認されました。 ・ エレクトロニクス事業(EP&S分野)による商号「ソニー株式会社」の継承(2021年4月1日付)・ 「ソニーグループ株式会社」の発足にともない、2021年4月1日付で「ソニー株式会社」の商号は、ソニーグループの祖業であるエレクトロニクス事業(EP&S分野)を行う「ソニーエレクトロニクス株式会社」が継承します。・ エレクトロニクス事業(EP&S分野)については、2020年4月1日付で同事業を束ねる中間持株会社「ソニーエレクトロニクス株式会社」を設立しました。今後同社と傘下の事業会社・プラットフォーム組織のさらなる一体運営の推進、組織・人材・事業ポートフォリオの最適化と一層の競争力強化、及び新規事業の推進を行います。 ・ 金融事業の完全子会社化・ 金融事業のさらなる成長とガバナンス強化を通じて、グループ全体の企業価値向上を図ることを目的に、当社が約65%の株式を保有している金融事業の持株会社であるSFHの完全子会社化に向けて、同社株券等に対する公開買付けを実施することを決定し、かかる公開買付けを2020年5月20日に開始しています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『29 重要な後発事象』参照)・ 金融事業は、ソニーの長期的な成長戦略の一翼を担うコア事業です。この事業は、成長に向けた資金調達の柔軟性などの観点から子会社上場を維持してきましたが、今般、上場子会社という一定の制約のもとに独自の資金調達手段を保持させるよりも、迅速かつ柔軟な経営判断を優先し、個々の事業に即した戦略の実行やさらなるグループシナジーの追求に取り組むべきと考え、完全子会社化に向けた公開買付けを実施することを決定しました。 <G&NS>・ 「イマーシブ(没入感)」と、「シームレス(いつでも、どこでも切れ目なく)」を進化のテーマとします。・ 2020年の年末商戦期に発売予定のプレイステーション®5(以下「PS5™」)の導入により、コンソールでの「イマーシブ」なゲーム体験をさらに進化させます。具体的には、演算性能のさらなる向上と超高速広帯域の専用SSDとの組み合わせによる圧倒的な「スピード」、コントローラーの進化によりプレイヤーの五感に訴えかける「触感」、及び3Dオーディオによる多様かつ複雑な「音」の表現が一体となることで、これまでにない次世代機にふさわしい「イマーシブ」なゲーム体験を提供します。・ クラウドストリーミングゲームサービスの「プレイステーション™ナウ」(以下「PS Now」)や「リモートプレイ」機能により、いつでもどこでも「シームレス」なゲーム体験を提供します。・ コンピューティング、ストリーミング、クラウド、5Gなどの最新技術と、優れたコンテンツにより、「プレイステーション」のミッションである「The Best Place to Play」を追求していきます。 <音楽>・ 定額ストリーミング市場の伸びから得られる事業機会を最大化するため、音楽カタログの質と量を強化するとともに、アーティストの発掘や育成を通して、新たな音楽コンテンツを生み出していきます。・ 2018年度に行ったEMIの完全子会社化による音楽出版事業の強化とストリーミング市場の伸長により、安定した成長を見込んでいます。・ 海外の音楽事業では、2019年8月に音楽制作事業と音楽出版事業を合わせたSony Music Groupを発足しており、「Most Talent Friendly Music Company」のビジョンのもと、今後もアーティストを全方位からサポートしていきます。・ 音楽、アニメ、キャラクタービジネスなど多様なIPの軸でヒットを創出する日本の音楽事業においても、アーティストマネジメントを強化していきます。 <映画>・ 独立系スタジオとしての強み、再活性化が可能な数多くのコンテンツIPライブラリ、及びソニーグループ内のIPシナジーによって、強い競争ポジションの獲得をめざします。・ 足元では、DTCサービスが続々と立ち上がり、映像コンテンツの需要が以前にも増して高まる中、独自IPの展開とクリエイティビティの強化への投資を通じて、幅広いジャンルで優れた映像コンテンツの製作を継続していきます。・ 新型コロナウイルス感染拡大の影響による映像コンテンツの消費行動の変化を注視し、映画作品の劇場公開の再開に向けて、クリエイティブコミュニティや劇場などのサプライチェーンパートナーと連携していきます。 <アニメ>・ アニメDTCサービスを通じて、日本のアニメを世界中に届けることにグループを挙げて貢献していきます。・ 成長が見込まれる中国のデジタルエンタテインメント市場において、アニメ、ゲーム、音楽等の領域で現地企業との関係強化に努めていきます。※アニメは、ソニーの業績報告におけるビジネスセグメントではなく、その業績はG&NS分野、音楽分野及び映画分野の各分野に含まれています。 <EP&S>・ EP&S分野に含まれる、テレビ、オーディオ・ビデオ、静止画・動画カメラ及びスマートフォンなどのソニーブランドを冠する商品群をブランデッドハードウェアと定義し、音、映像、通信の技術によって「リアリティ」と「リアルタイム」を極める商品及びサービスを展開するとともに、人と人、人とモノを遠隔でつなぐ「リモート」ソリューションへのニーズの高まりにも貢献していきます。・ メディカル事業では、長年培ってきたイメージング、ディスプレイ、メカトロニクスの技術を活用し、長期視点で人々の健康に貢献する取り組みを一層強化します。・ 新型コロナウイルス感染拡大による商品の需要やサプライチェーンへの影響に鑑み、環境変化に応じた経営体質の強化に取り組みます。 <I&SS>・ スマートフォンに搭載されるカメラの多眼化・大判化によって、中長期的なCMOSイメージセンサーの需要は引き続き拡大していくと想定しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響などにともなう足元の不透明な市場環境を踏まえ、生産能力増強のための設備投資の実行は慎重に検討していくものの、イメージング用途での世界No.1を堅持し、センシング用途でも世界No.1をめざすという目標を維持します。・ Time-of-Flightセンサーなどの「人と人を繋ぐ」モバイル機器でのセンシングの領域に加え、長期的な成長が期待される「人を支える」車載センシングの領域にも注力していきます。・ CMOSイメージセンサーは、AI時代のキーデバイスになるとの考えのもと、世界最高水準にある積層技術を生かし、新たな付加価値をもたらすAIセンシング・ソリューションを幅広いアプリケーションに展開していきます。 <金融>・ SFHの新経営体制のもと、中核事業である生命保険事業のコアバリューともいえるライフプランナーのさらなる付加価値向上などの施策に取り組んでいきます。・ ソニーのテクノロジーの活用など、さらなるグループ内シナジーの実現もめざします。 「人」、「社会」、「地球」への貢献 ソニーの社会的使命は「感動」を創り、それを人々に届け続けることです。人々が「感動」で繋がるためには、「人」、「社会」、「地球環境」が健全であることが前提となります。したがって、ソニーは、今後も事業活動や様々な社会支援を通じて、「人」、「社会」、「地球」へ貢献していきます。例えば、環境負荷の軽減にもつながるモビリティの進化への貢献をはじめ、様々な環境への取り組みを実施していきます。また、新型コロナウイルス感染拡大に対する支援として、1億USドルのグローバル支援基金を立ち上げるなど、様々な方法で、「医療」、「教育」、「クリエイティブコミュニティ」への支援を実施していきます。また、Sony Music Groupは、世界中の社会的正義と反人種差別主義の取り組みを支援するために1億USドルのグローバル基金を立ち上げました。 第三次中期経営計画 数値目標とその進捗<数値目標>・ 当社は、2018年5月22日に2018年度から2020年度の3年間の中期経営計画(以下「第三次中期経営計画」)を発表しました。・ 経営をより長期視点で行っていくため、経営指標には3年間累計の指標を用いることとし、第三次中期経営計画においては、営業活動によるキャッシュ・フローを最も重視する経営指標としました。2018年度から2020年度の3年間において、金融分野を除くソニー連結ベースで累計2兆2,000億円以上の営業活動によるキャッシュ・フローを創出するという数値目標を設定しました。・ 営業活動によるキャッシュ・フローは、一時的な損益の影響を含まないことから、事業の持続的な稼ぐ力をより適切に表すとともに、マネジメントの観点で設備投資、戦略投資及び配当の計画との比較が容易であることから、ソニーが重視する長期視点の経営に適した経営指標であると考えています。・ 創出されたキャッシュの配分(以下「キャピタルアロケーション」)については、CMOSイメージセンサーへの投資増額により、設備投資に1兆1,000億円~1兆2,000億円を支出することとしました。残る1兆円~1兆1,000億円については、さらなる企業価値の向上のために、戦略投資を優先しつつ、株主還元にも適切なバランスのもと配分することとしました。ただし、現在の不透明な市場環境に鑑み、設備投資計画は慎重に見極めていきます。配当については、長期、安定的な増額を進めていく方針としました。・ また、連結株主資本利益率(以下「ROE」)は10%以上の水準を継続することをめざします。 <進捗>・ 2018年度から2019年度において、金融分野を除くソニー連結ベースで累計約1兆5,000億円の営業活動によるキャッシュ・フローを創出しました。また、事業や資産の売却によるキャッシュ・インフローは、約2,000億円となりました。これらのキャッシュをCMOSイメージセンサーの増産投資やEMIの買収など、成長投資に優先して充当してきました。2018年度から2019年度において、設備投資として累計約7,000億円を支出したほか、戦略投資として、約9,000億円を支出しました。戦略投資には主に、約3,900億円を支出した(有利子負債の承継を含む)EMIの完全子会社や、3,000億円の自己株式の取得が含まれます。・ 自己株式の取得については、一株当たり利益の成長を重視する考えのもと、今後も長期的な株主価値向上に向けて、戦略的な投資機会や財務状況、株価水準等を勘案した上で、機動的にその実施を検討していく方針です。・ 2018年度及び2019年度の連結ROEは、それぞれ27.3%及び14.8%となり、経営数値目標として掲げている10%以上の水準を維持しました。・ なお、前述のキャピタルアロケーションとは別に、2020年度において、公開買付けを含む一連の手続きによるSFHの完全子会社化のために約4,000億円を支出する見込みであり、その資金は全額、金融・資本市場から調達する予定です。ただし、当社の資金の状況によっては、その一部を手許資金で充当する可能性があります。 新型コロナウイルス感染拡大への対応方針 新型コロナウイルス感染拡大に対しては、社員と社員の家族、そしてお客様をはじめとするステークホルダーの安全確保、感染拡大の防止を最優先に取り組んでいます。また、社会やお客様からの要請にできるだけ応えるとともに、事業への影響を最小限に抑えるべく、情報収集に努め、必要な対応を迅速に行っています。さらに、前述のとおり、新型コロナウイルス感染拡大により世界各地で影響を受けている人々に対する支援基金を立ち上げるなど、引き続きグローバルカンパニーとしての社会的責任を果たしていきます。(新型コロナウイルス感染拡大による分野別の影響の詳細については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。) 環境中期目標「Green Management(グリーンマネジメント) 2020」 2015年6月に当社は、2016年度~2020年度のグループ環境中期目標「Green Management(グリーンマネジメント)2020」を策定しました。この中期目標では、以下の3点を注力すべき重点項目とし、環境負荷を低減するための様々な施策を推進しています。・ G&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野においては、2020年度までに製品の年間消費電力量の平均30%削減(2013年度比)、音楽分野及び映画分野では、コンテンツの活用を通じて全世界で数億人以上に持続可能性の課題を伝えることをめざすなど、各事業領域で特色を活かした目標を策定し、施策を推進・ 製造委託先や部品調達先に温室効果ガス排出量や水使用量などの削減を求めるなど、バリューチェーン全体における環境負荷低減の働きかけを強化・ 再生可能エネルギーの導入を加速 ソニーグループは、2050年までに自社の事業活動及び製品のライフサイクルを通して「環境負荷ゼロ」を達成することを長期的ビジョンとして掲げています。「Green Management 2020」は、「環境負荷ゼロ」達成のために、2020年度までに成し遂げなければならないことを2050年から逆算して定めています。「Green Management 2020」の実行により、「環境負荷ゼロ」達成に向けて環境負荷低減活動をさらに加速していきます。この一環として、当社は国際NGO団体であるThe Climate GroupがCDPとのパートナーシップの下で運営するイニシアチブである「RE100」に加盟し、2040年までに自社の事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることをめざします。 また、当社はWWF(世界自然保護基金)が実施する温室効果ガス排出削減プログラムであるクライメート・セイバーズ・プログラムに引き続き参加します。気候変動にかかる目標については、その難易度及び進捗状況について、WWF及び第三者認証機関による検証を受けています。 グループ環境中期目標「Green Management(グリーンマネジメント)2020」及び環境への取り組みの詳細は、ソニーのサステナビリティレポート(https://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr_report/)をご参照ください。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ソニーのマネジメントが認識している経営課題とそれに対処するための取り組みは以下のとおりです。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。 世界経済は米中貿易摩擦の激化や英国の欧州連合離脱(以下「ブレグジット」)などの地政学的な緊張感の高まりから、2019年度の上半期にかけて低迷が続いていました。下半期には、米中貿易交渉に関する好材料が断続的に見られたことや、合意なきブレグジットに対する懸念の低下などにより、世界経済の減速が底を打ちつつあるという期待感が高まりました。しかし、2020年の年明け以降、世界各地での新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の影響により状況は一変し、世界経済は2019年度末にかけて急速に減速しました。足元では、依然として新型コロナウイルス感染拡大の収束を見通すことが困難であることや、米中貿易摩擦が再燃していることなどにより、今後の世界経済に関する不確実性が高まっています。 ソニーは、グローバルに多様な事業を展開しており、これらの世界経済の状況の変化に加えて、競合他社との価格競争にともなう価格低下圧力の高まり、一部の主要な製品やサービスにおける市場の縮小及び商品サイクルの短期化といった経営環境の変化は、ソニーの各分野の事業に影響を及ぼしています。(分野別の経営環境の詳細については、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」及び「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。) このような経営環境の下、ソニーは、長期視点の経営を重視し、「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」というソニーのPurpose(存在意義)と「人に近づく」という経営の方向性にもとづき、各事業の進化と成長に加え、One Sonyの動きを加速することにより、グループ全体の企業価値向上のための取り組みを続けてきました。(分野別の2019年度の実績については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」もあわせてご参照ください。) 事業ポートフォリオ ソニーの事業ポートフォリオは、「人」を軸に以下の事業により構成されています。 ・ 「人の心を動かす」コンテンツ事業及びDirect-to-Consumer(以下「DTC」)事業 クリエイターと共に感動コンテンツを創り、それをユーザーに届けるコンテンツ事業及びDTC事業は、「人の心を動かす」ことを目的としています。 ・ 「人と人を繋ぐ」ブランデッドハードウェア事業及びCMOSイメージセンサー事業 ブランデッドハードウェア事業は、クリエイターが感動コンテンツを制作するために必要な機器やユーザーが感動コンテンツを楽しむために欠かせない機器を提供しています。また、CMOSイメージセンサー事業は、世界中の人々が感動を共有するために利用しているスマートフォンのキーデバイスを提供しています。これらの事業は、「人と人を繋ぐ」ことを目的としています。 ・ 「人を支える」車載センシング事業、メディカル事業及び金融事業 自動運転のためのイメージング・センシング技術を用いて、人の「安全」を支え、モビリティの未来に貢献する車載センシング事業、イメージングやメカトロニクスなどの技術を活用して人の「健康」に貢献するメディカル事業、及び生命保険、損害保険、銀行などの金融サービスを通じて人の生活と経済的な「安心」に貢献する金融事業は、「人を支える」ことを目的としています。ソニーはこれらの事業をソニーのテクノロジーを活用した長期視点の成長事業と位置づけています。 グループ経営と各事業の進化の方向性 <グループ経営の強化施策> ソニーは、各事業の進化をリードし、事業ポートフォリオの多様性をさらなる強みとしていくため、以下のとおり、経営機構改革を実施します。 ・ グループ本社「ソニーグループ株式会社」の発足(2021年4月1日付)・ 2021年4月1日付で、当社の商号を「ソニーグループ株式会社」(英文表記:Sony Group Corporation)に変更します。・ 現在、グループ本社機能とエレクトロニクス事業の本社間接機能の両方を有している当社の機能を分離・再定義し、当社は「ソニーグループ株式会社」として、グループ本社機能に特化した会社となります。・ 「ソニーグループ株式会社」の主なミッションは、長期視点でのグループ全体の企業価値向上の観点から、(1)事業ポートフォリオ管理とそれにもとづくキャピタルアロケーション、(2)グループシナジーと事業インキュベーションによる価値創出、(3)イノベーションの基盤である人材と技術への投資を行うこととし、2021年4月に向けて、詳細な機能・組織・人員の設計を行っていきます。・ なお、当該商号の変更及びそれにともなう定款の一部変更は、2020年6月26日に開催された当社の定時株主総会において承認されました。 ・ エレクトロニクス事業(EP&S分野)による商号「ソニー株式会社」の継承(2021年4月1日付)・ 「ソニーグループ株式会社」の発足にともない、2021年4月1日付で「ソニー株式会社」の商号は、ソニーグループの祖業であるエレクトロニクス事業(EP&S分野)を行う「ソニーエレクトロニクス株式会社」が継承します。・ エレクトロニクス事業(EP&S分野)については、2020年4月1日付で同事業を束ねる中間持株会社「ソニーエレクトロニクス株式会社」を設立しました。今後同社と傘下の事業会社・プラットフォーム組織のさらなる一体運営の推進、組織・人材・事業ポートフォリオの最適化と一層の競争力強化、及び新規事業の推進を行います。 ・ 金融事業の完全子会社化・ 金融事業のさらなる成長とガバナンス強化を通じて、グループ全体の企業価値向上を図ることを目的に、当社が約65%の株式を保有している金融事業の持株会社であるSFHの完全子会社化に向けて、同社株券等に対する公開買付けを実施することを決定し、かかる公開買付けを2020年5月20日に開始しています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『29 重要な後発事象』参照)・ 金融事業は、ソニーの長期的な成長戦略の一翼を担うコア事業です。この事業は、成長に向けた資金調達の柔軟性などの観点から子会社上場を維持してきましたが、今般、上場子会社という一定の制約のもとに独自の資金調達手段を保持させるよりも、迅速かつ柔軟な経営判断を優先し、個々の事業に即した戦略の実行やさらなるグループシナジーの追求に取り組むべきと考え、完全子会社化に向けた公開買付けを実施することを決定しました。 <G&NS>・ 「イマーシブ(没入感)」と、「シームレス(いつでも、どこでも切れ目なく)」を進化のテーマとします。・ 2020年の年末商戦期に発売予定のプレイステーション®5(以下「PS5™」)の導入により、コンソールでの「イマーシブ」なゲーム体験をさらに進化させます。具体的には、演算性能のさらなる向上と超高速広帯域の専用SSDとの組み合わせによる圧倒的な「スピード」、コントローラーの進化によりプレイヤーの五感に訴えかける「触感」、及び3Dオーディオによる多様かつ複雑な「音」の表現が一体となることで、これまでにない次世代機にふさわしい「イマーシブ」なゲーム体験を提供します。・ クラウドストリーミングゲームサービスの「プレイステーション™ナウ」(以下「PS Now」)や「リモートプレイ」機能により、いつでもどこでも「シームレス」なゲーム体験を提供します。・ コンピューティング、ストリーミング、クラウド、5Gなどの最新技術と、優れたコンテンツにより、「プレイステーション」のミッションである「The Best Place to Play」を追求していきます。 <音楽>・ 定額ストリーミング市場の伸びから得られる事業機会を最大化するため、音楽カタログの質と量を強化するとともに、アーティストの発掘や育成を通して、新たな音楽コンテンツを生み出していきます。・ 2018年度に行ったEMIの完全子会社化による音楽出版事業の強化とストリーミング市場の伸長により、安定した成長を見込んでいます。・ 海外の音楽事業では、2019年8月に音楽制作事業と音楽出版事業を合わせたSony Music Groupを発足しており、「Most Talent Friendly Music Company」のビジョンのもと、今後もアーティストを全方位からサポートしていきます。・ 音楽、アニメ、キャラクタービジネスなど多様なIPの軸でヒットを創出する日本の音楽事業においても、アーティストマネジメントを強化していきます。 <映画>・ 独立系スタジオとしての強み、再活性化が可能な数多くのコンテンツIPライブラリ、及びソニーグループ内のIPシナジーによって、強い競争ポジションの獲得をめざします。・ 足元では、DTCサービスが続々と立ち上がり、映像コンテンツの需要が以前にも増して高まる中、独自IPの展開とクリエイティビティの強化への投資を通じて、幅広いジャンルで優れた映像コンテンツの製作を継続していきます。・ 新型コロナウイルス感染拡大の影響による映像コンテンツの消費行動の変化を注視し、映画作品の劇場公開の再開に向けて、クリエイティブコミュニティや劇場などのサプライチェーンパートナーと連携していきます。 <アニメ>・ アニメDTCサービスを通じて、日本のアニメを世界中に届けることにグループを挙げて貢献していきます。・ 成長が見込まれる中国のデジタルエンタテインメント市場において、アニメ、ゲーム、音楽等の領域で現地企業との関係強化に努めていきます。※アニメは、ソニーの業績報告におけるビジネスセグメントではなく、その業績はG&NS分野、音楽分野及び映画分野の各分野に含まれています。 <EP&S>・ EP&S分野に含まれる、テレビ、オーディオ・ビデオ、静止画・動画カメラ及びスマートフォンなどのソニーブランドを冠する商品群をブランデッドハードウェアと定義し、音、映像、通信の技術によって「リアリティ」と「リアルタイム」を極める商品及びサービスを展開するとともに、人と人、人とモノを遠隔でつなぐ「リモート」ソリューションへのニーズの高まりにも貢献していきます。・ メディカル事業では、長年培ってきたイメージング、ディスプレイ、メカトロニクスの技術を活用し、長期視点で人々の健康に貢献する取り組みを一層強化します。・ 新型コロナウイルス感染拡大による商品の需要やサプライチェーンへの影響に鑑み、環境変化に応じた経営体質の強化に取り組みます。 <I&SS>・ スマートフォンに搭載されるカメラの多眼化・大判化によって、中長期的なCMOSイメージセンサーの需要は引き続き拡大していくと想定しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響などにともなう足元の不透明な市場環境を踏まえ、生産能力増強のための設備投資の実行は慎重に検討していくものの、イメージング用途での世界No.1を堅持し、センシング用途でも世界No.1をめざすという目標を維持します。・ Time-of-Flightセンサーなどの「人と人を繋ぐ」モバイル機器でのセンシングの領域に加え、長期的な成長が期待される「人を支える」車載センシングの領域にも注力していきます。・ CMOSイメージセンサーは、AI時代のキーデバイスになるとの考えのもと、世界最高水準にある積層技術を生かし、新たな付加価値をもたらすAIセンシング・ソリューションを幅広いアプリケーションに展開していきます。 <金融>・ SFHの新経営体制のもと、中核事業である生命保険事業のコアバリューともいえるライフプランナーのさらなる付加価値向上などの施策に取り組んでいきます。・ ソニーのテクノロジーの活用など、さらなるグループ内シナジーの実現もめざします。 「人」、「社会」、「地球」への貢献 ソニーの社会的使命は「感動」を創り、それを人々に届け続けることです。人々が「感動」で繋がるためには、「人」、「社会」、「地球環境」が健全であることが前提となります。したがって、ソニーは、今後も事業活動や様々な社会支援を通じて、「人」、「社会」、「地球」へ貢献していきます。例えば、環境負荷の軽減にもつながるモビリティの進化への貢献をはじめ、様々な環境への取り組みを実施していきます。また、新型コロナウイルス感染拡大に対する支援として、1億USドルのグローバル支援基金を立ち上げるなど、様々な方法で、「医療」、「教育」、「クリエイティブコミュニティ」への支援を実施していきます。また、Sony Music Groupは、世界中の社会的正義と反人種差別主義の取り組みを支援するために1億USドルのグローバル基金を立ち上げました。 第三次中期経営計画 数値目標とその進捗<数値目標>・ 当社は、2018年5月22日に2018年度から2020年度の3年間の中期経営計画(以下「第三次中期経営計画」)を発表しました。・ 経営をより長期視点で行っていくため、経営指標には3年間累計の指標を用いることとし、第三次中期経営計画においては、営業活動によるキャッシュ・フローを最も重視する経営指標としました。2018年度から2020年度の3年間において、金融分野を除くソニー連結ベースで累計2兆2,000億円以上の営業活動によるキャッシュ・フローを創出するという数値目標を設定しました。・ 営業活動によるキャッシュ・フローは、一時的な損益の影響を含まないことから、事業の持続的な稼ぐ力をより適切に表すとともに、マネジメントの観点で設備投資、戦略投資及び配当の計画との比較が容易であることから、ソニーが重視する長期視点の経営に適した経営指標であると考えています。・ 創出されたキャッシュの配分(以下「キャピタルアロケーション」)については、CMOSイメージセンサーへの投資増額により、設備投資に1兆1,000億円~1兆2,000億円を支出することとしました。残る1兆円~1兆1,000億円については、さらなる企業価値の向上のために、戦略投資を優先しつつ、株主還元にも適切なバランスのもと配分することとしました。ただし、現在の不透明な市場環境に鑑み、設備投資計画は慎重に見極めていきます。配当については、長期、安定的な増額を進めていく方針としました。・ また、連結株主資本利益率(以下「ROE」)は10%以上の水準を継続することをめざします。 <進捗>・ 2018年度から2019年度において、金融分野を除くソニー連結ベースで累計約1兆5,000億円の営業活動によるキャッシュ・フローを創出しました。また、事業や資産の売却によるキャッシュ・インフローは、約2,000億円となりました。これらのキャッシュをCMOSイメージセンサーの増産投資やEMIの買収など、成長投資に優先して充当してきました。2018年度から2019年度において、設備投資として累計約7,000億円を支出したほか、戦略投資として、約9,000億円を支出しました。戦略投資には主に、約3,900億円を支出した(有利子負債の承継を含む)EMIの完全子会社や、3,000億円の自己株式の取得が含まれます。・ 自己株式の取得については、一株当たり利益の成長を重視する考えのもと、今後も長期的な株主価値向上に向けて、戦略的な投資機会や財務状況、株価水準等を勘案した上で、機動的にその実施を検討していく方針です。・ 2018年度及び2019年度の連結ROEは、それぞれ27.3%及び14.8%となり、経営数値目標として掲げている10%以上の水準を維持しました。・ なお、前述のキャピタルアロケーションとは別に、2020年度において、公開買付けを含む一連の手続きによるSFHの完全子会社化のために約4,000億円を支出する見込みであり、その資金は全額、金融・資本市場から調達する予定です。ただし、当社の資金の状況によっては、その一部を手許資金で充当する可能性があります。 新型コロナウイルス感染拡大への対応方針 新型コロナウイルス感染拡大に対しては、社員と社員の家族、そしてお客様をはじめとするステークホルダーの安全確保、感染拡大の防止を最優先に取り組んでいます。また、社会やお客様からの要請にできるだけ応えるとともに、事業への影響を最小限に抑えるべく、情報収集に努め、必要な対応を迅速に行っています。さらに、前述のとおり、新型コロナウイルス感染拡大により世界各地で影響を受けている人々に対する支援基金を立ち上げるなど、引き続きグローバルカンパニーとしての社会的責任を果たしていきます。(新型コロナウイルス感染拡大による分野別の影響の詳細については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。) 環境中期目標「Green Management(グリーンマネジメント) 2020」 2015年6月に当社は、2016年度~2020年度のグループ環境中期目標「Green Management(グリーンマネジメント)2020」を策定しました。この中期目標では、以下の3点を注力すべき重点項目とし、環境負荷を低減するための様々な施策を推進しています。・ G&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野においては、2020年度までに製品の年間消費電力量の平均30%削減(2013年度比)、音楽分野及び映画分野では、コンテンツの活用を通じて全世界で数億人以上に持続可能性の課題を伝えることをめざすなど、各事業領域で特色を活かした目標を策定し、施策を推進・ 製造委託先や部品調達先に温室効果ガス排出量や水使用量などの削減を求めるなど、バリューチェーン全体における環境負荷低減の働きかけを強化・ 再生可能エネルギーの導入を加速 ソニーグループは、2050年までに自社の事業活動及び製品のライフサイクルを通して「環境負荷ゼロ」を達成することを長期的ビジョンとして掲げています。「Green Management 2020」は、「環境負荷ゼロ」達成のために、2020年度までに成し遂げなければならないことを2050年から逆算して定めています。「Green Management 2020」の実行により、「環境負荷ゼロ」達成に向けて環境負荷低減活動をさらに加速していきます。この一環として、当社は国際NGO団体であるThe Climate GroupがCDPとのパートナーシップの下で運営するイニシアチブである「RE100」に加盟し、2040年までに自社の事業活動で使用する電力を100%再生可能エネルギーにすることをめざします。 また、当社はWWF(世界自然保護基金)が実施する温室効果ガス排出削減プログラムであるクライメート・セイバーズ・プログラムに引き続き参加します。気候変動にかかる目標については、その難易度及び進捗状況について、WWF及び第三者認証機関による検証を受けています。 グループ環境中期目標「Green Management(グリーンマネジメント)2020」及び環境への取り組みの詳細は、ソニーのサステナビリティレポート(https://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr_report/)をご参照ください。
MD&A(経営者による分析)
3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。(1)重要な会計方針及び見積り 米国会計原則にしたがった連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告金額及び偶発資産・負債の開示、及び報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与えるような、マネジメントによる見積り・前提を必要とします。ソニーは、継続的に、過去のデータ、将来の予測及び状況に応じ合理的と判断される範囲での様々な前提にもとづき見積りを評価します。これらの評価の結果は、他の方法からは容易に判定しえない資産・負債の簿価あるいは費用の報告金額についての判断の基礎となります。実際の結果は、これらの見積りと大きく異なる場合があります。新型コロナウイルス感染拡大がソニーの事業に悪影響を与え得るタイミングや度合いは、非常に不確実であり、今後の事態の進展によります。この不確実性は、会計上の見積り及び前提に追加の変動をもたらす可能性がありますが、主に営業権及び長期性資産の減損や繰延税金資産の評価に使用する見積り及び前提に影響する可能性があります。ソニーは、会社の財政状態や業績に重要な影響を与え、かつその適用にあたってマネジメントが重要な判断や見積りを必要とするものを重要な会計方針であると考えます。ソニーは、以下に述べる項目を会社の重要な会計方針として考えています。投資 ソニーの投資は、原価法あるいは持分法により会計処理されている負債及び持分証券を含みます。負債証券の投資価値に一時的でない下落が認められた場合は減損を認識し、その投資は公正価値まで評価減されます。ソニーは、個々の負債証券の一時的でない減損を判定するため、投資ポートフォリオを定期的に評価しています。公正価値の下落が一時的であるか否かを判断するにあたっては、公正価値が取得原価を下回っている期間及びその程度、発行企業の財政状態、業績、事業計画及び将来見積キャッシュ・フロー、公正価値に影響するその他特定要因、発行企業の信用リスクの増大、ソブリンリスクならびに公正価値の回復が見込まれるのに十分な期間までソニーが保有し続けることができるか否かなどを考慮します。 売却可能証券に区分された負債証券の減損の判定において、公正価値が長期間(通常6ヵ月間)取得価額に比べ20%以上下落した場合、公正価値の下落が一時的でないと推定されます。この基準は、その公正価値の下落が一時的でない負債証券を判定する兆候として採用されています。公正価値の下落が一時的でないと推定された場合でも、下落期間又は下落率を上回る、公正価値の下落が一時的であることを裏付ける十分な根拠があれば、この下落は一時的であると判断されます。一方で、公正価値の下落が20%未満又は長期間下落していない場合でも、公正価値の下落が一時的でないことを示す特定要因が存在する場合には、減損が認識されることがあります。 満期保有目的の負債証券に一時的でない減損が発生した場合、損益に認識される一時的でない減損の金額は、この負債証券を売却する意思があるかどうか、又は償却原価まで価値を回復する前にこの負債証券の売却が必要となる可能性の方が高いかどうかに左右されます。負債証券がこのいずれかの基準を満たす場合、損益に認識される一時的でない減損金額は、減損測定日における負債証券の償却原価と公正価値の差額全額です。これらの2つの基準を満たさない負債証券の一時的でない減損については、損益に認識される正味金額は償却原価とソニーの将来キャッシュ・フローの最善の見積りを、負債証券の減損前における計算上の実効金利を用いて割り引くことにより計算される正味現在価値の差額にあたる信用損失です。減損測定日における負債証券の公正価値と正味現在価値の差額は累積その他の包括利益に計上されます。一時的でない減損が損益に認識された負債証券の未実現損益は累積その他の包括利益の独立した項目として計上されます。 投資の公正価値の下落が一時的であるか否かの判定は、多くの場合、主観的であり、発行企業の業績予想、事業計画及び将来キャッシュ・フローに関するある特定の前提及び見積りが必要とされます。したがって、現在、投資価値の下落が一時的であると判断している負債証券について、継続的な業績の低迷、将来の世界的な株式市況の大幅悪化あるいは市場金利変動の影響等の事後情報の評価にもとづき、将来、公正価値の下落が一時的でないと判断され、投資の未実現評価損が費用として認識され将来の収益を減額する場合があります。棚卸資産の評価 ソニーは原価と正味実現可能価額とのいずれか低い金額で棚卸資産を評価します。棚卸資産原価と正味実現可能価額(すなわち、通常の事業過程における見積販売価格から、合理的に予測可能な完成及び処分までの費用を控除した額)の差額を評価減計上します。ソニーは、部品や製品が陳腐化したり、在庫量が使用見込みを上回ったり、又は在庫の帳簿価額が正味実現可能価額を上回る場合、在庫の評価減を行います。市場環境が予測より悪化してさらなる値下げが必要な場合には、将来において追加の評価減計上が必要となります。長期性資産の減損 ソニーは、保有して使用される長期性資産及び処分予定の長期性資産又は資産グループの簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合には、減損の有無を検討しています。保有して使用される長期性資産は割引前将来キャッシュ・フローと長期性資産又は資産グループの簿価を比較することにより減損の検討が行われています。この検討は、主として製品カテゴリーごと、特定の場合には、企業ごとの将来キャッシュ・フローの見積りにもとづいて行われます。資産又は資産グループの簿価が減損していると判断された場合、簿価が公正価値を超える部分について、減損損失を認識します。公正価値は将来見積キャッシュ・フロー(純額)の現在価値、又は比較可能な市場価格により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来見積キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続価値(ターミナル・バリュー)を決定する際に適用される永続成長率、適切な市場における比較対象の決定、比較対象に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定など多くの見積り・前提を使用します。 マネジメントは将来キャッシュ・フロー及び公正価値の見積りは、新型コロナウイルス感染拡大による潜在的な影響などを含め、合理的であると考えています。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大により影響を受ける期間や度合いは不確実であり、今後の事態の進展によってはソニーの見積りや前提に変動をもたらす可能性があります。またこれらの見積りが実績と乖離する可能性があります。結果として、ソニーのビジネスや前提条件の予測不能な変化によって見積りが変更となることにより、将来キャッシュ・フローや公正価値が減少し、長期性資産の評価に悪影響を与える可能性があります。 企業結合 ソニーは取得法の適用時に、みなし取得価額を識別可能資産及び引受負債に割り当て、残余の取得価額は営業権として計上しています。取得価額の割当では、識別可能資産及び引受負債、特に無形固定資産の公正価値の決定に重要な見積りが使用されます。通常、独立した外部の第三者が評価プロセスに関与します。重要な見積り及び前提は、収益及び将来キャッシュ・フローの計上時期及び金額、将来キャッシュ・フローに固有のリスクを反映した割引率、ならびにターミナル・バリューを決定する際に適用される永続成長率等を含みます。 見積りや前提には固有の不確実性が含まれるため、この取得価額は異なる金額で評価され、取得資産及び引受負債に割り当てられる可能性があります。実際の結果が異なる可能性があること又は予想しない事象及び状況がこのような見積りに影響を与える可能性があることから、営業権を含む取得資産の減損損失の計上又は引受負債の増加が必要となる可能性があります。 営業権及びその他の無形固定資産 営業権及び耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産は、年1回第4四半期及び減損の可能性を示す事象又は状況の変化が生じた時点で減損の判定を行います。事象又は状況の変化とは、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場や産業固有の変動などで、それらはマネジメントにより定期的に見直されています。 2019年度第4四半期において、ソニーは営業権の定性的評価を行わず、報告単位の公正価値とその報告単位の営業権を含む帳簿価額の比較による定量的手続を行いました。報告単位とは、ソニーの場合、オペレーティング・セグメントあるいはその一段階下のレベルを指します。報告単位の公正価値がその帳簿価額を上回る場合、その報告単位の営業権について減損損失は認識されません。報告単位の帳簿価額がその公正価値を上回る場合には、報告単位に配分された営業権の総額を超えない範囲で、その超過分を減損損失として認識します。耐用年数が確定できない非償却性無形固定資産の減損判定では、公正価値と帳簿価額を比較し、帳簿価額がその公正価値を超過する場合には、その超過分を減損損失として認識します。 営業権の減損判定における報告単位の公正価値の決定は、その性質上、判断をともなうものであり、多くの場合、重要な見積り・前提を使用します。同様に、非償却性無形固定資産の公正価値の決定においても、見積り・前提が使用されます。これらの見積り・前提は減損が認識されるか否かの判定及び認識される減損金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。 これらの減損判定において、ソニーは、社内における評価を行い、またマネジメントが妥当と判断する場合には第三者による評価を活用するとともに、一般に入手可能な市場情報を考慮に入れています。報告単位及び非償却性無形固定資産の公正価値は通常、割引キャッシュ・フロー分析により算定しています。この手法は、将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)、将来キャッシュ・フロー固有のリスクを反映した割引率、永続成長率、利益倍率、類似企業の決定、類似企業に対してプレミアムあるいはディスカウントが適用されるべきかどうかの決定等多くの見積り及び前提を使用します。営業権を持たない報告単位も含めて、報告単位の公正価値の総額に対するソニーの時価総額を考慮し、適切なコントロール・プレミアムとともに、個々の報告単位に配分されない全社に帰属する資産と負債も考慮します。 将来見積キャッシュ・フロー(その支払・受取時期を含む)に使用される前提は、それぞれの報告単位における見込み及び中期計画にもとづいており、過去の経験、市場及び産業データ、現在及び見込まれる経済状況を考慮しています。永続成長率は主に中期計画の3ヵ年予測期間後のターミナル・バリューを決定するために使用されています。映画分野の報告単位など、特定の報告単位においては、より長い見込期間、及び予測期間最終年度の見積キャッシュ・フローに適用される利益倍率を用いた出口価格に、コントロール・プレミアムを加味して算定されたターミナル・バリューを使用しています。割引率は類似企業の加重平均資本コストにより算出されています。 2019年度の減損判定において、営業権を持つ全ての報告単位の公正価値が帳簿価額を超過していたため、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。また、重要な営業権を持つ報告単位において公正価値は帳簿価額を少なくとも10%以上超過しています。耐用年数の確定できない非償却性資産においても、公正価値が帳簿価額を超過していたため、減損損失を認識することはありませんでした。 2020年3月31日現在のセグメントごとの営業権の帳簿価額は以下のとおりです。 金額(単位:百万円)G&NS170,974音楽391,325映画152,374EP&S12,189I&SS46,192金融10,834合計783,888 上述の中期計画を除く、2019年度の減損判定における、ソニーの報告単位の公正価値への影響に関する感応度分析を含む重要な前提の検討は下記のとおりです。・割引率は5.2%から10.8%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、割引率を1%増加させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。・G&NS分野、EP&S分野、I&SS分野及び金融分野の報告単位におけるターミナル・バリューに適用された成長率はおおよそ1.0%から1.5%の範囲です。音楽分野の報告単位における中期計画を超える期間の成長率は0%から5.2%の範囲、映画分野では3.0%から4.5%の範囲です。他の全ての前提を同一とし、成長率を1%減少させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。・映画分野の報告単位におけるターミナル・バリューの算定に使用される利益倍率は9.0から10.0の範囲です。他の全ての前提を同一とし、利益倍率を1.0減少させた場合においても、営業権の減損損失を認識することはありませんでした。 マネジメントは、営業権の減損判定における公正価値の見積りに用いられた前提は、新型コロナウイルス感染拡大による潜在的な影響などを含め、合理的であると考えています。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大により影響を受ける期間や度合いは不確実であり、今後の事態の進展によってはソニーの見積りや前提に変動をもたらす可能性があります。またこれらの見積りが実績と乖離する可能性があります。結果として、将来の予測不能なビジネスの前提条件の変化による、将来キャッシュ・フローや公正価値の下落を引き起こすような見積りの変化が、これらの評価に不利に影響し、将来においてソニーが営業権及びその他の無形固定資産の減損損失を認識することになる可能性があります。退職年金費用 従業員の退職年金費用及び債務は、最新の統計数値にもとづく割引率、退職率及び死亡率を含む特定の前提条件に加え、年金制度資産の長期期待収益率及びその他の要因にも左右されます。特に割引率と長期期待収益率は、期間退職・年金費用及び退職給付債務を決定する上で、二つの重要な前提条件です。前提条件は、少なくとも年に一度、又はこれらの重要な前提条件に重大な影響を与えるような事象の発生又は状況の変化があった場合に評価されます。 米国会計原則にしたがって、前提条件と実際の結果が異なる場合は、その差異が累積され将来期間にわたって償却されます。これにより実際の結果は、通常、将来認識される退職年金費用及び退職給付債務に影響します。マネジメントはこれらの前提条件が適切であると考えていますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が、ソニーの退職給付債務及び将来の退職年金費用に影響を及ぼす可能性があります。 ソニーの主要な年金制度は国内年金制度です。個別の海外年金制度に関して、年金制度資産及び退職給付債務の国内及び海外総額にとって重要性のあるものはありません。 ソニーは2020年3月31日現在の国内年金制度の退職給付債務の決定において、0.6%の割引率を適用しました。割引率は、現在利用可能かつ退職給付債務の満期までの期間において利用可能であると見込まれる高格付けの債券の収益率情報を使用し、給付の見込支払額と時期を考慮して決定されます。この収益率情報には、公表されている市場情報及び複数の格付け機関から提供される数値が使用されています。この0.6%の割引率は2018年度と同等の水準であり、昨今の日本における市場金利状況を反映しています。 年金制度資産の長期期待収益率を決定するため、ソニーは、現在及び見込みの資産配分に加え、様々な種類の年金制度資産に関する過去及び見込長期収益率も考慮しています。ソニーの年金運用方針は、退職給付債務の性質が長期的であることにより見込まれる債務の増加や変動リスク、各資産クラスの収益とリスクの分散及びその相関を考慮して定められます。各資産の配分は、慎重かつ合理的に考慮した流動性及び投資リスクの水準に沿って、収益を最大化するように設定されます。年金運用方針は、直近のマーケットのパフォーマンス及び過去の収益を適切に考慮して定められているのに対し、ソニーが使用する運用前提条件は、対応する退職給付債務の性質が長期的であるのに合わせて長期的な収益を達成できるように設定されています。国内年金制度における2019年3月31日及び2020年3月31日現在の年金資産の長期期待収益率は、それぞれ2.6%及び2.5%でした。2018年度及び2019年度の実際の収益率は、それぞれ2.7%及び1.3%でした。2019年度において実際の収益率が期待収益率を下回った要因としては、主に2019年度第4四半期における新型コロナウイルス感染拡大に起因する世界的な株価下落が挙げられます。実際の結果と年金制度資産の長期期待収益との差異は、累積され、退職年金費用の一部として将来の一定期間にわたって償却されます。その結果、毎年の退職年金費用のボラティリティが軽減されています。2019年3月31日及び2020年3月31日現在における、ソニーの国内年金制度についての年金制度資産の損失を含む年金数理純損失は、それぞれ3,111億円及び2,234億円でした。2019年度において、年金制度資産の実際の収益率が長期期待収益率を下回ったものの、主に国内年金制度の変更の影響により、年金数理純損失は減少しました。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『16 年金及び退職金制度』参照) 以下の表は、他の前提条件を2020年3月31日より一定とした場合の、2020年度における国内年金制度の割引率と年金制度資産の長期期待収益率の変動による影響を表しています。 前提条件の変更予測給付債務退職年金費用当期純利益割引率 0.25ポイント増/0.25ポイント減-/+186億円+/-2億円-/+1億円年金制度資産の長期期待収益率 0.25ポイント増/0.25ポイント減--/+11億円+/-7億円 繰延税金資産の評価 繰延税金資産の帳簿価額は、入手可能な証拠にもとづいて50%超の可能性で回収可能性がないと考えられる場合、評価性引当金の計上により減額することが要求されます。したがって、繰延税金資産にかかる評価性引当金計上の要否は、繰延税金資産の回収可能性に関連するあらゆる肯定的及び否定的証拠を適切に検討することにより定期的に評価されます。この評価に関するマネジメントの判断は、それぞれの税務管轄ごとの当期及び累積損失の性質、頻度及び重要性、不確実な税務ポジションを考慮した将来の収益性予測、税務上の簿価を超える資産評価額、繰越欠損金の法定繰越可能期間、過去における繰越欠損金の法定繰越可能期間内の使用実績、繰越欠損金及び繰越税額控除の期限切れを防ぐために実行される慎重かつ実行可能な税務戦略を特に考慮します。 過年度に計上した損失の結果、2020年3月31日現在、繰延税金資産に対して総額で6,082億円の評価性引当金を計上しています。この評価性引当金には、日本における当社とその連結納税グループの法人税にかかるものが2,748億円、地方税にかかるものが1,255億円含まれています。日本において、繰延税金資産に対して評価性引当金を引き続き計上するかどうかの分析における重要な要素は、比較的に短い繰越欠損金の繰越可能期間を考慮したうえでの収益見通しとなります。2020年初頭からの新型コロナウイルス感染拡大による影響により将来の収益性の見込が不確実であることから、2019年度においては過去数年にわたって利益を計上しているものの、日本における当社とその連結納税グループにおける繰延税金資産(純額)には引き続き評価性引当金を計上しています。また、米国において、主に外国税額控除及び一部の試験研究費税額控除に関する約600百万米ドルの繰延税金資産に対して評価性引当金を引き続き計上しています。今後の米国の税務ポジション及びこれらの繰延税金資産の使用状況によっては、将来において当該繰延税金資産にかかる評価性引当金を取り崩す可能性があります。 ソニーは、日本及び様々な税務管轄において法人税を課されており、通常の営業活動、とりわけ連結会社間の移転価格において、最終的な税額の決定が不確実な状況が多く生じています。繰延税金資産の金額は、連結会社間の移転価格の決定による各税務管轄における課税所得の最終的な配分などに関するソニーの判断にもとづき不確実な税務ポジションのうち50%超の可能性で起こり得る最終的な結果を考慮しています。繰延税金資産の評価に関する見積りは、貸借対照表日時点で適用されている税制や税率にもとづいており、また、ソニーの財務諸表及び税務申告書で認識されている事象に関して将来に起こり得る税務上の結果についてのマネジメントの判断と最善の見積り、様々な税務戦略を実行する能力、一定の場合においての将来の結果に関する予測、事業計画及びその他の見込みを反映しています。ソニーが事業を行っているそれぞれの税務管轄における現在の税制や税率の改正は、実際の税務上の結果に影響を与える可能性があり、市場経済の悪化やマネジメントによる構造改革の目標未達は、将来における業績に影響を与える可能性があります。そして、これらのいずれかが、繰延税金資産の評価に影響を与える可能性があります。将来の結果が計画を下回る場合、税務調査の結果や連結会社間の移転価格に関する事前確認制度の交渉が現在の損益配分に関する予想と異なる結果となる場合、及び税務戦略の選択肢が実行可能ではなくなる場合や売却を予定する資産の価値が税務上の簿価を下回ることになる場合には、繰延税金資産を回収可能額まで減額するために、将来において追加的な評価性引当金の計上が要求される可能性があります。一方、将来の予測される利益の改善や継続した利益の計上、ビジネス構造の変革といった他の要因によって、関連する質的要因や不確実性を考慮した上で、税金費用の戻し入れをともなう評価性引当金の取崩しが計上される可能性があります。現在の見込みにおいて予想していないこれらの要因や変化は、評価性引当金が計上又は取崩される期間において、ソニーの業績又は財政状態に重要な影響を与える可能性があります。 米国税制改革法により企業に対する米国の課税方法が大きく変わりました。米国税制改革法では、従来の米国の税法では要求されていなかった複雑な計算や米国税制改革法の規定の解釈における重要な判断、計算における重要な見積り、ならびに従来は関連性がないもしくは定期的に作成されていない情報の収集と分析が必要となります。米国財務省、内国歳入庁ならびにその他基準設定機関により、米国税制改革法の規定の適用・施行に関する解釈とガイダンスの発行が引き続き行われる予定です。ガイダンスが今後発行されることにより、従来計上した税金引当額に対して修正を行い、当該修正を行う期間の財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。映画会計 映画会計においては、作品ごとの予想総収益を見積もる過程でマネジメントの判断が必要となります。この予想総収益の見積りは次の2点において重要となります。第一に、映画作品が製作され関連する費用が資産化される際に、その繰延映画製作費の公正価値が減損し、回収不能と見込まれる額を評価減する必要があるかどうかを決定するため、マネジメントは発生時に費用化される配給関連費用を含む追加で発生する費用を控除した予想総収益を見積もる必要があります。第二に、ある映画作品に関する売上原価として認識される繰延映画製作費の額は、その映画作品がそのライフサイクルにおいて様々な市場で公開されることから、予想総収益に対する当該年度の収益実績額の割合にもとづいています。 マネジメントが各作品の予想総収益を見積もる際に基礎とするのは、同種の過去の作品の収益、主演俳優あるいは女優の人気度、その作品の公開される予測映画館数、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売、テレビ放映及びその他の付随マーケットでの期待収益ならびに将来の売上に関する契約などです。この見積りは、各作品の直近までの実現収益及び将来予測収益にもとづいて定期的に見直されます。例えば、公開当初数週間の劇場収入が予想を下回った場合には、通常、劇場、BD/DVDなどのパッケージメディアやデジタル販売、及びテレビ放映の生涯収益などを下方に修正することになります。そのような下方修正を行わなかった場合、当該期間における映画製作費の償却費の過少計上になる可能性があります。保険契約債務 後述の最低保証給付に対する債務を除き、保険契約債務は、主として個人保険契約に関連しており、保有する契約から将来発生が予測される債務に見合う額が引当てられています。これらの債務はマネジメントの高度な判断と見積りを必要とし、将来の資産運用利回り、罹患率、死亡率及び契約脱退率等についての予測にもとづき平準純保険料式の評価方法により算定されます。当該保険契約債務は0.5%から4.5%の範囲の利率を適用して計算されており、市場環境や期待投資利益などの要素が反映されています。保険契約債務の見積りに使用される罹患率、死亡率及び契約脱退率は、保険子会社の実績あるいは保険数理上の種々の統計表によっています。通常は、これらの前提条件は契約時に固定されますが、前提条件と実績が大きく異なる場合、あるいは前提条件を大きく変更する場合には、ソニーは保険契約債務の追加計上を必要とする可能性があります。 保険契約債務には変額年金保険契約及び変額保険契約における最低保証給付に対する債務を含んでいます。変額年金保険契約及び変額保険契約に関して、ソニーは最低保証(死亡、年金原資など)を行っており、契約上定められた最低給付額を保険契約者に支払う義務を負っています。最低保証が付帯する変額年金保険契約には公正価値オプションを適用しています。(詳細については「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『14 公正価値による測定』を参照)公正価値オプションを適用している部分を除き、当該最低保証給付に係る保険契約債務は、契約の存続期間全体の予想される超過支払いの現在価値を予想される総徴収の現在価値で除した比率に基づいて計算しています。当該計算の重要な前提条件には、死亡率、解約率、割引率及び資産運用利回りが含まれています。生命保険ビジネスにおける契約者勘定 生命保険ビジネスにおける契約者勘定は、勘定預り金累積元本に付与利息を加えたものから、引出額、経費及び危険保険料を差し引いた額を表しており、ユニバーサル保険及び投資契約等から構成されています。ユニバーサル保険には、利率変動型終身保険及び変額保険が含まれています。利率変動型終身保険に対する付与利率は1.7%から2.0%です。変額保険契約については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。投資契約には、主に一時払養老保険契約、一時払学資保険契約、変額個人年金保険契約及び年金開始後契約が含まれています。投資契約(変額個人年金保険除く)に対する付与利率は、0.01%から6.3%です。変額個人年金保険契約については、保険契約の価値は投資ユニットの観点から表示されます。各ユニットは資産ポートフォリオに関連しており、ユニットの価値の増減は、関連する資産ポートフォリオの価値にもとづいています。生命保険ビジネスにおける契約者勘定には最低保証が付帯する変額年金保険契約及び変額保険契約に関する債務を含んでいます。また、このうち一部の生命保険ビジネスにおける契約者勘定には公正価値オプションを適用しています。(詳細については「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『14 公正価値による測定』参照)(2)生産、受注及び販売の状況 ソニーの生産・販売品目は極めて多種多様であり、ゲーム機やゲームソフト、音楽・映像ソフト、エレクトロニクス機器等は、その性質上、原則として見込生産を行っています。なお、ソニーはG&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野においては、市場の変化に柔軟に対応して生産活動を行っていることから、生産状況は販売状況に類似しています。このため生産及び販売の状況については後述の「(3)経営成績の分析」内のG&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野の業績に関連付けて示しています。 (3)経営成績の分析営業概況 2018年度(億円)2019年度(億円)売上高及び営業収入86,65782,599持分法による投資利益(損失)△3096営業利益8,9428,455税引前利益10,1167,995当社株主に帰属する当期純利益9,1635,822 連結業績売上高 2019年度の売上高及び営業収入(以下「売上高」)は、前年度比4,058億円減少し、8兆2,599億円となりました。これは、I&SS分野の大幅な増収などがあったものの、EP&S分野及びG&NS分野の大幅な減収などによるものです。なお、2019年度の売上高には、特定のライセンス契約締結にともなう特許料収入79億円が含まれており、全社(共通)及びセグメント間取引消去に計上されています。売上高の内訳の詳細については、後述の「分野別営業概況」をご参照ください。 (後述の「売上原価」、「研究開発費」及び「販売費及び一般管理費」に関する売上高に対する比率分析において、売上高には、純売上高及び営業収入のみが考慮されており、金融ビジネス収入は除かれています。これは、金融ビジネス費用は連結財務諸表上、売上原価や販売費及び一般管理費とは別に計上されていることによります。さらに、後述の比率分析のうち、セグメントに関するものについては、セグメント間取引を含んで計算されています。) 売上原価、販売費及び一般管理費、その他の営業益(純額) 2019年度の売上原価は、前年度比3,976億円減少して4兆7,532億円となり、売上高に対する比率は前年度の69.7%から68.3%に改善しました。 研究開発費(売上原価に全額含まれる)は、前年度比181億円増加して4,993億円となり、売上高に対する比率は前年度の6.5%に対し7.2%になりました。(詳細は「第2 事業の状況」『5 研究開発活動』参照) 販売費及び一般管理費は、前年度比742億円減少し、1兆5,026億円になりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は前年度の21.3%から21.6%に悪化しました。 その他の営業益(純額)は、前年度比680億円減少し、36億円の利益となりました。この大幅な悪化は、主に以下の2019年度に発生した要因の寄与及び2018年度に発生した要因による影響がなかったことによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『21 連結損益計算書についての補足情報』参照) 2019年度に発生した要因・SREホールディングス㈱株式の上場及び一部売出しにともなう再評価益及び売却益 173億円(その他分野)・㈱NSFエンゲージメント株式の一部譲渡にともなう売却益及び再評価益 63億円(全社(共通)及びセグメント間取引消去) 2018年度に発生した要因・EMIの連結子会社化による再評価益1,169億円(音楽分野)・スマートフォン事業における長期性資産の減損損失 192億円(EP&S分野)・ストレージメディア事業における長期性資産及び営業権の減損損失 129億円(その他分野) 持分法による投資利益(損失) 2019年度の持分法による投資利益(損失)は、前年度の30億円の損失に対し、96億円の利益を計上しました。この損益改善は主に、前年度において音楽分野に含まれるEMIの持分約60%の取得にともない発生した新株予約権関連費用及びマネジメントインセンティブ費用等により、EMIの持分法投資損失116億円を計上していたことによるものです。 営業利益 2019年度の営業利益は、前年度比488億円減少し、8,455億円となりました。この減益は、I&SS分野及びその他分野の大幅な増益などがあったものの、音楽分野及びG&NS分野の大幅な減益などがあったことによるものです。なお、当年度及び前年度の営業利益には、前述のその他の営業益(純額)として計上された要因が含まれています。 その他の収益及び費用 2019年度のその他の収益は、前年度から1,228億円減少し、219億円となりました。一方、その他の費用は前年度に比べ406億円増加し、680億円となりました。その他の収益からその他の費用を差し引いた純額は、前年度比1,634億円悪化し、460億円の費用となりました。これは主に前年度において、Spotify Technology S.A.(以下「Spotify」)株式の上場及び一部売却にともなう売却益及び評価益1,178億円を計上したこと、当年度は持分証券に関する損失(純額)を計上したこと及び為替差損(純額)が増加したことによるものです。 為替差損(純額)は、前年度比155億円増加し、268億円を計上しました。なお、受取利息及び配当金は、前年度比23億円減少し、193億円となりました。支払利息は前年度比13億円減少し、111億円となりました。 税引前利益 2019年度の税引前利益は、前年度比2,122億円減少し、7,995億円となりました。 法人税等 2019年度の法人税等は、1,772億円を計上し、実効税率は前年度の4.5%を上回り22.2%となりました。これは主に、前年度において、米国の連結納税グループにおける相当部分の繰延税金資産に対する評価性引当金を取り崩した結果、法人税等が1,542億円減少したこと、及びEMI持分に関する再評価益に対して税金費用を計上しなかったことによるものです。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『22 法人税等』参照) 非支配持分に帰属する当期純利益 2019年度の非支配持分に帰属する当期純利益は、前年度比102億円減少し、401億円となりました。 当社株主に帰属する当期純利益 2019年度の当社株主に帰属する当期純利益(非支配持分に帰属する当期純利益を除く)は、前年度比3,341億円減少し、5,822億円となりました。 基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の723.41円に対し、2019年度は471.64円となりました。また、希薄化後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前年度の707.74円に対し、2019年度は461.23円となりました。(1株当たり当社株主に帰属する当期純損益の詳細については、「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『23 基本的及び希薄化後EPSの調整表』参照) 分野別営業概況 以下の情報はセグメント情報にもとづきます。各分野の売上高及び営業収入は、セグメント間取引を含みます。(「第5 経理の状況」 連結財務諸表注記『28 セグメント情報』参照) G&NS分野 主要経営数値 2018年度(百万円)2019年度(百万円)製品部門別の外部顧客向け売上高 デジタルソフトウェア・アドオンコンテンツ1,102,2311,010,296ネットワーク326,524337,265ハードウェア・その他795,867572,199外部顧客向け売上高の合計2,224,6221,919,760セグメント間取引86,25057,791セグメント売上高2,310,8721,977,551セグメント営業利益311,092238,400 主要製品の売上台数(万台)(万台)PS4ハードウェア1,7801,360 2019年度のG&NS分野の売上高は、前年度比3,333億円減少し、1兆9,776億円となりました。この大幅な減収は、プレイステーション®プラス(以下「PS Plus」)の増収はあったものの、プレイステーション®4(以下「PS4®」)のハードウェアの減収、ゲームソフトウェアの減収、及び為替の影響などによるものです。 営業利益は、前年度比727億円減少し、2,384億円となりました。この大幅な減益は、PS Plusの増収及びコスト削減などがあったものの、主に前述のゲームソフトウェアの減収及び為替の悪影響によるものです。 2019年度の当分野の業績は、事前購入ではなく少額課金によって収益を得るFree-to-play型のゲームの勢いが落ちた一方で、ハードウェア、ソフトウェア、及びネットワークサービスにおいては継続的な需要があったことを反映したものとなりました。クラウドベースのゲームストリーミングサービスは、引き続き市場の関心事となっています。このような環境の下、ソニーはPS Plusや、リモートプレイ、及びPS Nowなどの独自のゲームストリーミングサービスなど、様々な方法でネットワークサービスを拡大によって、プレイステーションユーザーにイマーシブなゲーム体験を提供する予定です。これに加え、2019年度において、ソニーは自社ソフトウェアの強化策の一つとしてInsomniac Games, Inc.の買収を完了しました。2020年度もこれらの活動を継続しながら、PS5の発売に注力していきます。 新型コロナウイルス感染拡大による事業への影響に関する現状認識・ PS4のハードウェア生産に関して部品のサプライチェーン上の問題により、生産に若干の影響は出ているものの、現状の在庫で足元の需要には対応しており、販売は堅調に推移しています。・ ゲームソフトウェアのダウンロード売上やPS Plus及びPS Nowの会員数は大幅に増加しています。・ PS5の立ち上げについては、社員の在宅勤務や海外渡航制限などにより、一部の検証作業や生産ラインの確認などに制約が出ていますが、必要な対応策を講じており、2020年の年末商戦期での発売に向け、準備を進めています。・ 自社スタジオ及びパートナー各社のゲームソフトウェア開発スケジュールに関しては現時点で顕在化している大きな問題はありません。 音楽分野 2018年11月14日、ソニーは従来持分法適用会社であったEMIについて、ムバダラインベストメントカンパニーが主導するコンソーシアムが保有する約60%の持分全てを取得したことにより、EMIはソニーの完全子会社となりました。2018年度において音楽分野に含まれているEMIの業績は、2018年4月1日から11月13日までの期間は持分法による投資損益、2018年11月14日から2019年3月31日までの期間は売上高及び営業損益に含まれています。2019年度においては、2019年4月1日以降、音楽分野の売上高及び営業損益に含まれます。 音楽分野の業績には、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony Music Entertainment(以下「SME」)、Sony/ATV Music Publishing(以下「Sony/ATV」)、及びEMIの円換算後の業績、ならびに円ベースで決算を行っている日本の㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントの業績が含まれています。 主要経営数値 2018年度(百万円)2019年度(百万円)ビジネス部門別の外部顧客向け売上高 音楽制作(ストリーミング)227,513276,039音楽制作(その他)199,413191,114音楽出版106,666157,478映像メディア・プラットフォーム261,433213,961外部顧客向け売上高の合計795,025838,592セグメント間取引12,46411,317セグメント売上高807,489849,909セグメント営業利益232,487142,345 2019年度の音楽分野の売上高は、前年度比424億円増加し、8,499億円となりました。この増収は、モバイル向けゲームアプリ「Fate/Grand Order」の減収などによる映像メディア・プラットフォームの減収があったものの、主にEMIを連結したことで音楽出版において売上が増加したこと、及びストリーミング配信の売上が増加したことなどによる音楽制作の増収によるものです。 営業利益は、前年度比901億円減少し、1,423億円となりました。この大幅な減益は、前年度においてEMIの持分約60%の取得にともない持分法投資損失116億円を計上したこと、及び前述の増収の影響があったものの、前年度においてEMIの連結子会社化により再評価益1,169億円を計上したことなどによるものです。 2019年度の当分野の業績は、物理メディアやダウンロード販売の減収の一方で、デジタルストリーミング配信の拡大などによりレコード音楽市場の成長が続いていることを反映したものとなりました。このような環境の下、ソニーは引き続き音楽出版における新作や音楽出版への投資を続けることで、ストリーミング配信、パフォーマンス収入、及びその他ライセンスからの収入を増加させてきましたが、2020年度もこれら取り組みを継続させ、アニメ作品をもとにしたモバイル向けゲームアプリの開発・販売を行っていきます。 新型コロナウイルス感染拡大による事業への影響に関する現状認識・ 米国をはじめとする世界各国において、アーティストによる楽曲のレコーディングや音楽ビデオの制作に影響が出ていることなどにより、新曲のリリースに遅れが出ています。・ ストリーミングの普及率が高い米国などでは、現時点でこの新曲リリースの遅れによる収益への影響は限定的であるものの、まだ普及率が低い日本やドイツなどでは、外出制限の影響により、CDなどのパッケージメディアの販売が減少しています。・ コンサートその他のイベントが延期又は中止となっている日本などで、ライブ興行や物販、映像ビデオの制作・販売などが減少しています。・ 世界的な広告活動の縮小により、広告型ストリーミングサービスからの収入や、テレビCMなどからの楽曲使用料が減少しています。また、映画の製作やテレビ番組の制作の遅れも楽曲使用料を減少させています。 映画分野 映画分野の業績は、全世界にある子会社の業績を米ドルベースで連結している、米国を拠点とするSony Pictures Entertainment Inc.(以下「SPE」)の円換算後の業績です。ソニーはSPEの業績を米ドルで分析しているため、一部の記述については「米ドルベース」と特記してあります。 主要経営数値 2018年度(百万円)2019年度(百万円)ビジネス部門別の外部顧客向け売上高 映画製作436,017475,061テレビ番組制作288,816301,224メディアネットワーク260,437234,429外部顧客向け売上高の合計985,2701,010,714セグメント間取引1,6031,140セグメント売上高986,8731,011,854セグメント営業利益54,59968,157 2019年度の映画分野の売上高は、前年度比250億円(3%)増加し、1兆119億円となりました(米ドルベースでは、5%の増収)。この米ドルベースでの増収は、主に「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」、「ジュマンジ/ネクスト・レベル」及び「バッドボーイズ・フォー・ライフ」の貢献により全世界での劇場興行収入が増加したこと、及びテレビ番組作品のライセンス収入が増加したことによるものです。一方、メディアネットワークにおける、前年度に実施したチャンネルポートフォリオ見直しの影響などによる減収の影響もありました。 営業利益は、前年度比136億円増加し、682億円となりました。この大幅な増益は、前述のチャンネルポートフォリオ見直しの効果、及び映画製作におけるカタログ作品の収益性の改善などによるものです。一方、テレビ番組制作における番組企画費の増加や米国の放送局及びケーブルテレビ向けの新規番組の増加にともなう費用の増加の影響、ならびに前年度に128億円計上したポートフォリオ見直し費用が今年度は170億円に増加したことによる影響もありました。 2019年度の当分野の業績は、配信事業者がさらにコンテンツの保有を追求し、オンデマンド型デジタルビジネスモデルへの移行が非連続的に進んだことを反映したものとなりました。このような環境の下、ソニーは、コンテンツのグローバルな魅力を高め、開発及び取得した知的財産を強化するために尽力し、同時に、世界中のトップコンテンツクリエーター及び主要放送局との強力な関係の構築・維持に努めてきました。かかる戦略の一環として、2019年度において、米国におけるテレビクイズ・ゲーム番組ビジネスを牽引することを目的としたAT&T Inc.が保有するGame Show Networkの持分の取得、子ども向けコンテンツ事業を強化することを目的とした、Silvergate Mediaの買収を行いました。さらに2019年度にはメディアネットワークにおいて事業合理化と強化をさらに進化させるべくポートフォリオ見直しを行いました。2020年度もクリエイターとの強固な関係を維持しながらコンテンツの強化を続けていきます。 新型コロナウイルス感染拡大による事業への影響に関する現状認識・ 全世界の映画館において、徐々に閉鎖解除の動きは出始めているものの、未だその多くが閉鎖又は閉鎖解除後も観客動員に制限を受けている状況にあり、映画興行ビジネス全体に影響が出ています。そのため、ソニーにおいても、既に製作が完了している作品について劇場でのリリースが基本的にできない状況にあります。・ 人の移動が制限されていることにより、米国をはじめ世界各国において、ソニーの新作映画の製作やテレビ番組作品の制作スケジュールに大幅な遅れが発生しています。このため、映画製作においては、劇場興行収入や、それに続くホームエンタテインメントやテレビ向けライセンスなどの収入の減少が見込まれる一方で、新型コロナウイルス感染拡大前にソニーが劇場公開した一部の作品のデジタルのビデオレンタルやビデオ販売などの収入は好調に推移しています。テレビ番組制作においては、テレビ局や動画配信事業者への番組の納入が遅れることにより、売上への影響が出はじめています。・ メディアネットワークにおいては、世界的な広告の減少により、インドなどでソニーの広告収入が大幅に減少しています。 EP&S分野 主要経営数値 2018年度(百万円)2019年度(百万円)製品部門別の外部顧客向け売上高 テレビ788,423646,513オーディオ・ビデオ362,580346,060静止画・動画カメラ421,506384,142モバイル・コミュニケーション487,330362,144その他243,328231,021外部顧客向け売上高の合計2,303,1671,969,880セグメント間取引17,46121,388セグメント売上高2,320,6281,991,268セグメント営業利益76,50887,276 主要製品の売上台数(万台)(万台)テレビ1,130930デジタルカメラ *(静止画・動画カメラ事業)360290スマートフォン650320* 「主要製品の売上台数」のデジタルカメラは、コンパクトデジタルカメラ、及びレンズ交換式一眼カメラを含みます。 2019年度のEP&S分野の売上高は、前年度比3,294億円減少し、1兆9,913億円となりました。この大幅な減収は、主にスマートフォン及びテレビの販売台数の減少、ならびに為替の影響によるものです。 営業利益は、前年度比108億円増加し、873億円となりました。この増益は、分野全体の減収の影響及び為替の悪影響はあったものの、主にモバイル・コミュニケーションにおけるオペレーション費用の削減や、モバイル・コミュニケーションにおける長期性資産の減損損失の減少によるものです。 2019年度の当分野の業績は、テレビ、デジタルカメラ及びスマートフォンの市場縮小を反映したものとなりました。このような環境の下、ソニーは各商品において高付加価値商品のさらなる強化を実施し、さらに、モバイル・コミュニケーションにおいては、2020年度における営業損失からの脱却を見据え、オペレーション費用の削減を行いました。2020年度においてもこのような取り組みを継続し、オペレーションを強化していきます。 新型コロナウイルス感染拡大による事業への影響に関する現状認識・ テレビを製造する主力4工場のうち、マレーシアの自社工場、メキシコとスロバキアの生産委託工場で、現地政府の方針により3月中旬以降順次稼働を停止していました。これらの3工場では、既に部分的に稼働を再開していますが、一部で供給が需要に追い付いていない状況が続いています。・ 中国やタイにあるデジタルカメラやスマートフォンの自社工場については、現時点では通常どおり稼働しています。・ 販売店舗の世界的な休業などにより、店頭売上が大幅に減少しており、アジア、中南米の一部市場ではその影響が継続しています。一方で、日本、欧州、北米及び中国においては、販売店舗の営業再開が進んでいます。また、デジタルカメラについては、全世界で需要が大幅に減少しており、売上・利益共に大きな影響を受けています。 I&SS分野 主要経営数値 2018年度(百万円)2019年度(百万円)外部顧客向け売上高の合計770,622985,259セグメント間取引108,70885,317セグメント売上高879,3301,070,576セグメント営業利益143,874235,584 2019年度のI&SS分野の売上高は、前年度比1,912億円増加し、1兆706億円となりました。この大幅な増収は、為替の影響があったものの、製品ミックスの改善や販売数量の増加にともなうモバイル機器向けイメージセンサーの大幅な増収などによるものです。 営業利益は、前年度比917億円増加し、2,356億円となりました。この大幅な増益は、減価償却費及び研究開発費の増加、ならびに為替の悪影響などがあったものの、前述の増収の影響などによるものです。 2019年度の当分野の業績は、現在、ソニーのイメージセンサーにとって最も重要な市場であるモバイル機器向けイメージセンサーの需要が継続的に成長したことを反映したものとなりました。この成長は、主にスマートフォンカメラの多眼化・大判化の進展により、高付加価値イメージセンサーに対する需要が増加したことによるものです。このような環境の下、ソニーは第三次中期経営計画上のキャピタルアロケーションにおいて、イメージセンサーへの設備投資を重点分野として位置付け、イメージセンサーの生産能力を増強するための投資を継続し、需要を慎重に見極めながら顧客基盤を拡大してきました。2020年度においてもこのような取り組みを継続していきます。 新型コロナウイルス感染拡大による事業への影響に関する現状認識・ イメージセンサーの国内の各製造事業所は、現時点で大きな影響を受けておらず、通常どおり稼働しています。・ イメージセンサーの販売先である主要なスマートフォンメーカー各社の工場の稼働やサプライチェーンも回復が進んできていると認識しています。・ 一方で、最終製品であるスマートフォン市場の減速については、その度合いを注視しています。 以下の棚卸資産、外部顧客に対する売上高の地域別分析、地域別の生産状況及び新型コロナウイルス感染拡大による製造事業所における状況は、G&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野に関するものです。 棚卸資産 2018年度(億円)2019年度(億円)G&NS751563EP&S2,2132,065I&SS2,5342,505合計5,4985,133 外部顧客に対する売上高の地域別分析 2018年度2019年度日本16.6%16.6%米国23.8%26.7%欧州26.6%24.7%中国13.0%12.3%アジア・太平洋地域13.3%13.0%その他地域6.7%6.8%合計100%100% 地域別の生産状況 以下の表は、G&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野合計の年間全生産高の自社生産高及び社外への生産委託による生産高の内訳、ならびに年間自社生産高の地域別内訳を示したものです。 自社生産高及び社外への生産委託による生産高の内訳* 2018年度2019年度自社生産高64%73%社外への生産委託による生産高36%27%合計100%100% 自社生産高の地域別内訳* 自社生産高の地域別内訳におけるカッコ内の数値は、各地域からそれ以外の地域に輸出された製品の比率を示しています。 2018年度2019年度日本47%(89%)63%(92%)中国19%(55%)12%(60%)アジア・太平洋地域31%(72%)24%(66%)米州及び欧州3%(5%以下)1%(20%)合計100%100%* 小数点以下を四捨五入して記載しております。したがって、各欄の合計が合計額の欄と一致しない場合があります。 新型コロナウイルス感染拡大による製造事業所における状況・ 中国には4つの自社工場(上海市に2カ所、江蘇省無錫市及び広東省恵州市にそれぞれ1カ所)があり、2020年1月24日に春節休暇に入って以降、2月9日までは現地政府の指導にもとづく休暇の延長により、全ての工場の稼働を停止していました。当該4工場では、2月10日以降、順次稼働を再開しています。部品の供給問題はほぼ解消し、稼働は感染拡大前の水準に戻りました。・ マレーシアには2つの自社工場(クアラルンプール及びペナン)があり、現地政府の方針により3月18日から稼働を停止していましたが、4月16日に現地当局から稼働を条件付きで承認され、稼働は感染拡大前の水準に戻りつつあります。・ イギリス(ウェールズ)にある自社工場は、現地政府の方針により3月26日から稼働を停止していましたが、3月31日より現地当局の合意を得て、段階的に稼働を開始しています。・ 国境を越えた人の移動の制限により、新製品の立ち上げや生産指導のために生産拠点である中国及び東南アジア諸国へエンジニアを派遣することが困難になるなどの影響が出ています。 金融分野 金融分野には、SFH及びSFHの連結子会社であるソニー生命、ソニー損害保険㈱(以下「ソニー損保」)、ソニー銀行㈱(以下「ソニー銀行」)等の業績が含まれています。金融分野に記載されているソニー生命の業績は、SFH及びソニー生命が日本の会計原則に則って個別に開示している業績とは異なります。 主要経営数値 2018年度(百万円)2019年度(百万円)金融ビジネス収入1,282,5391,307,748営業利益161,477129,597 2019年度の金融ビジネス収入は、前年度比252億円増加し、1兆3,077億円となりました。これは主に、ソニー生命において、特別勘定の運用損益の悪化があったものの、一時払保険を主とする保険料収入が増加したことなどによるものです。なお、ソニー生命の収入は、前年度比286億円増加し、1兆1,717億円となりました。 営業利益は、ソニー生命及びソニー銀行の減益により、前年度比319億円減少し、1,296億円となりました。ソニー生命の営業利益は、前年度比221億円減少し、1,235億円となりました。この減益は、主に株式相場の下落や金利の低下などにともなう責任準備金繰入額の増加及び資産運用損益の悪化によるものです。また、ソニー銀行の減益は有価証券評価損益の悪化によるものです。 2019年度の当分野の業績は、日本経済と債券市場の状況を反映したものとなりました。日本経済は、前半は底堅く推移しましたが、後半は大幅に悪化しました。債券市場は米国の金融政策の影響を強く受け、市場金利は低下しました。また、2020年に入ると世界的な新型コロナウイルス感染拡大により、景気後退は不可避なものとなり、3月には金利が乱高下しました。このような環境の下、ソニーは、お客さまに最も信頼される金融サービスグループをめざして、健全な財務基盤を維持しつつ、お客さま一人ひとりに付加価値の高い商品と質の高いサービスを提供すべく、商品・サービスの強化・拡充、内部管理態勢の一層の充実など、様々な取組みを行ってまいりました。ソニーは今後も質の高い金融商品とサービスを提供することで他社との差異化を図り、引き続き成長をめざしていきます。 新型コロナウイルス感染拡大による事業への影響に関する現状認識・ 日本政府の緊急事態宣言発出を受け、4月以降ソニー生命のライフプランナーによる対面での営業活動を停止していましたが、5月25日に緊急事態宣言が全面解除されたことを受け、6月1日以降、営業活動を再開しています。営業活動を停止していた間、新規契約の申込の減少などの影響がありました。・ 金融市場における相場変動が当分野の業績に影響を与える可能性があります。 金融分野を分離した経営成績情報 以下の表は金融分野の要約損益計算書、及び金融分野を除くソニー連結の要約損益計算書です。これらの要約損益計算書は、ソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則では要求されていませんが、金融分野はソニーのその他の分野とは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。 要約損益計算書(3月31日に終了した1年間) (単位:百万円)金融分野金融分野を除くソニー連結ソニー連結 2018年度2019年度2018年度2019年度2018年度2019年度金融ビジネス収入1,282,5391,307,748--1,274,7081,299,847純売上高及び営業収入--7,396,4016,965,9717,390,9796,960,038売上高及び営業収入合計1,282,5391,307,7487,396,4016,965,9718,665,6878,259,885売上原価--5,160,2844,764,0145,150,7504,753,174販売費及び一般管理費--1,572,7141,497,7641,576,8251,502,625金融ビジネス費用1,120,2761,179,776--1,112,4461,171,875その他の営業損(益)(純額)104△1,729△71,672△3,841△71,568△3,611売上原価、販売費・一般管理費及びその他の一般費用合計1,120,3801,178,0476,661,3266,257,9377,768,4537,424,063持分法による投資利益(損失)△682△104△2,3179,741△2,9999,637営業利益161,477129,597732,758717,775894,235845,459その他の収益(費用)(純額)△73△20133,929△28,299117,413△46,009税引前利益161,404129,577866,687689,4761,011,648799,450法人税等44,76336,311335141,55245,098177,190当期純利益116,64193,266866,352547,924966,550622,260控除―非支配持分に帰属する当期純利益2354838,7787,09250,27940,069金融分野の当期純利益116,40692,783----金融分野を除くソニー連結の当期純利益--857,574540,832--当社株主に帰属する当期純利益----916,271582,191 その他分野 2019年度の売上高は、前年度比943億円減少し、2,514億円となりました。この大幅な減収は主に、ディスク製造事業及びストレージメディア事業の売上高が減少したことによるものです。 営業損益は、前年度の111億円の損失に対し、当年度は163億円の利益となりました。前述の減収の影響はあったものの、SREホールディングス㈱株式の上場及び一部売出しにともなう再評価益及び売却益173億円、ならびに前年度においてストレージメディア事業の長期性資産及び営業権の減損損失129億円を計上したことなどにより、大幅な損益の改善となりました。 構造改革 厳しい経営環境の中、ソニーは組織の最適化や事業の業績向上のため、事業や製品カテゴリーからの撤退、従業員数の削減、販売・間接部門の能率化など、様々な構造改革を実施しました。例えば、2019年度には、EP&S分野に含まれるスマートフォン事業の収益構造の改善などに向けた施策を中心に構造改革を実行しました。また、映画分野に含まれるメディアネットワークにおける集中と選択を進めるために2018年度に開始したチャンネルポートフォリオの見直しの継続など、他の分野においても様々な構造改革を実施しました。 競争環境は今後も一層厳しくなるとみており、事業の規模や環境の変化を考慮して、常にコスト水準や収益構造の見直しを行い、ソニーが適切だと考えるコスト削減を継続します。 2018年度及び2019年度における構造改革に関連する費用(「構造改革に関連する資産の減価償却費」を含む)は以下のとおりです。(詳細は「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『20 構造改革にかかる費用』参照) 2018年度(百万円)2019年度(百万円)構造改革費用33,09124,966 為替変動とリスク・ヘッジ 2019年度の米ドル、ユーロに対する平均円レートはそれぞれ108.7円、120.8円と前年度の平均レートに比べ米ドルは2.2円、ユーロは7.7円の円高となりました。 2019年度の連結売上高は、前年度に比べ4,058億円(5%)減少し、8兆2,599億円となりました。前年度の為替レートを適用した場合、売上高は約3%の減少となります。 連結営業利益は、前年度比488億円減少し、8,455億円となりました。主にG&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野において為替変動の悪影響が生じました。 前述の分野ごとの為替変動による売上高及び営業損益への影響については、以下の表をご参照ください。また、詳細については、「経営成績の分析」の分野別概況における各分野の分析をご参照ください。為替の影響が大きかった分野やカテゴリーについて、その影響に言及しています。 2018年度(億円)2019年度(億円)為替変動による影響額(億円)G&NS分野売上高23,10919,776△654 営業利益3,1112,384△122EP&S分野売上高23,20619,913△598 営業利益765873△230I&SS分野売上高8,79310,706△222 営業利益1,4392,356△182 なお、2019年度の音楽分野の売上高は前年度比5%増加の8,499億円となりましたが、前年度の為替レートを適用した場合、約7%の増収でした。映画分野の売上高は前年度比3%増加の1兆119億円となりましたが、米ドルベースでは、前年度比約5%の増収でした。詳細な分析は、「(3)経営成績の分析」の「音楽分野」及び「映画分野」をご参照ください。ソニーの金融分野は、円ベースのSFHを連結しています。同分野の事業のほとんどが日本で行われていることから、ソニーは金融分野の業績の分析を円ベースでのみ行っています。 2019年度のG&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野において、米ドルに対する1円の円高の影響は、売上高では約230億円の減少、営業損益はほぼなしと試算されます。ユーロに対する1円の円高の影響は、売上高では約90億円、営業損益では約50億円の減少と試算されます。(「第2 事業の状況」『2 事業等のリスク』参照) ソニーの連結業績は、主に収入と費用において通貨構成が異なることから生ずる為替変動リスクにさらされています。G&NS分野では、米ドル建てのコストの割合が高いのに対して、売上高は日本円、米ドル又はユーロで計上されるため、米ドルに対する円高は営業利益に好影響を、ユーロに対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。EP&S分野では、主要製品におけるドル建ての製造コスト等の割合が高いことなどから米ドルに対する円高は営業利益に好影響を及ぼします。一方で、新興国での売上高の割合が高いため、新興国通貨に対する円高は営業利益に悪影響を及ぼします。I&SS分野では、米ドル建ての販売契約の割合が高い一方、主に日本で製造を行っていることから、米ドルに対する円高は営業利益に大幅な悪影響を及ぼします。 これらの為替変動によるリスクを軽減するため、ソニーは一貫したリスク管理方針に従い、先物為替予約、通貨オプション契約を含むデリバティブを利用しています。ソニーが行っているこれらのデリバティブは、主に当社及び当社の子会社の予想される外貨建て取引及び外貨建て売上債権や買入債務から生じるキャッシュ・フローの為替変動によるリスクを低減するために利用されています。 ソニーは、総合的な財務サービスを当社及び当社の子会社・関連会社に提供することを目的として、Sony Global Treasury Services Plc(以下「SGTS」)を英国に設立しています。為替変動リスクにさらされている当社及び全ての子会社が、リスク・ヘッジのための契約をSGTSとの間で結ぶことがソニーの方針となっており、当社及び当社の子会社のほとんどはこの目的のためにSGTSを利用しています。為替リスク集中の原則にもとづき、SGTSと当社がソニーグループ全体の相殺後のほとんどの為替変動リスクをヘッジしています。ソニーの方針として、金融機関との為替デリバティブ取引は、リスク管理のため、原則としてSGTSに集中しています。 SGTSはグループ外の信用の高い金融機関との間で外国為替取引を行っています。ほとんどの外国為替取引は、実際の輸出入取引が行われる前の予定された取引や債権・債務に対して行われます。一般的には、実際の輸出入取引が行われる1ヵ月前から3ヵ月前までの間にヘッジを行っています。ソニーは金融機関との外国為替取引を主にヘッジ目的のために行っています。ソニーは、金融分野を除き、売買もしくは投機目的でこれらのデリバティブを利用していません。金融分野においては、主に資産負債の総合管理(以下「ALM」)の一環としてデリバティブを活用しています。 また、特にG&NS分野、EP&S分野及びI&SS分野では、為替変動が業績に与える影響を極力小さくするために、海外において市場により近い地域での資材・部品調達、設計、生産を推進しています。 キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブの公正価値変動は、当初累積その他の包括利益に計上され、ヘッジ対象取引が損益に影響を与える時点で損益に振替えられます。一方、ヘッジ会計の要件を満たさない先物為替予約、通貨オプション契約、及びその他のデリバティブは時価評価され、その変動は、ただちにその他収益・その他費用に計上されます。2019年度末における外国為替契約の想定元本の合計及び資産に計上された公正価値(純額)の合計は、それぞれ1兆6,974億円、52億円となっています。(「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『15 デリバティブ及びヘッジ活動』参照)注:この章において、為替変動による影響額は、売上高については前年度及び当年度における平均為替レートの変動を主要な取引通貨建て売上高に適用して算出し、営業損益についてはこの売上高への為替変動による影響額から、同様の方法で算出した売上原価ならびに販売費及び一般管理費への為替変動による影響額を差し引いて算出しています。I&SS分野では独自に為替ヘッジ取引を実施しており、営業損益への為替変動による影響額に同取引の影響が含まれています。また、EP&S分野では前年度までモバイル・コミュニケーションにおいて独自に実施していた為替ヘッジ取引の影響が、営業損益への為替変動による影響額に含まれています。前年度の為替レートを適用した場合の売上高の状況は、当年度の現地通貨建て月別売上高に対し、前年度の月次平均レートを適用して算出しています。音楽分野のSME、Sony/ATV及びEMI、ならびに映画分野については、米ドルベースで集計した上で、前年度の月次平均米ドル円レートを適用した金額を算出しています。これらの情報は米国会計原則に則って開示されるソニーの連結財務諸表を代替するものではありません。しかしながら、これらの開示は、投資家の皆様にソニーの営業概況をご理解頂くための有益な分析情報と考えています。 所在地別の業績 所在地別の業績は、顧客の所在国又は地域別に分類した売上高及び営業収入を「第5 経理の状況」連結財務諸表注記『28 セグメント情報』に記載しています。 (4)財政状態の分析 以下の表は金融分野の要約貸借対照表、及び金融分野を除くソニー連結の要約貸借対照表です。これらの要約貸借対照表はソニーの連結財務諸表の作成に用いられた米国会計原則には準拠していませんが、金融分野はソニーのその他のセグメントとは性質が異なるため、ソニーはこのような比較表示が連結財務諸表の理解と分析に役立つものと考えています。なお、以下の金融分野と金融分野を除くソニー連結の金額には両者間の取引(非支配持分を含む)を含んでおり、これらの相殺消去を反映した後のものがソニー連結の金額です。 要約貸借対照表 (単位:百万円)金融分野金融分野を除くソニー連結ソニー連結 2018年度末2019年度末2018年度末2019年度末2018年度末2019年度末資産 流動資産 現金・預金及び現金同等物 *1 509,595 550,039 960,478 962,318 1,470,073 1,512,357 有価証券 *2 1,324,538 1,847,772 - - 1,324,538 1,847,772 受取手形、売掛金及び契約資産(評価性引当金控除後) 16,479 10,532 1,055,669 999,976 1,065,802 1,002,920 棚卸資産 - - 653,278 589,969 653,278 589,969 未収入金 63,921 73,117 159,758 115,100 223,620 188,106 前払費用及びその他の流動資産 133,214 181,247 376,778 413,496 509,301 594,021 流動資産合計 2,047,747 2,662,707 3,205,961 3,080,859 5,246,612 5,735,145 繰延映画製作費 - - 409,005 427,336 409,005 427,336 投資及び貸付金 *3 11,400,938 12,457,977 399,696 351,936 11,724,651 12,734,132 金融ビジネスへの投資(取得原価) - - 153,968 153,968 - - 有形固定資産 22,920 18,247 752,847 890,640 777,053 908,644 その他の資産 使用権資産 - 58,897 - 333,753 - 392,610 無形固定資産 42,968 49,871 874,998 856,439 917,966 906,310 営業権 7,225 10,834 761,327 773,054 768,552 783,888 繰延保険契約費 595,265 600,901 - - 595,265 600,901 繰延税金 3,533 10,365 198,953 200,021 202,486 210,372 その他 32,085 38,949 311,653 305,028