事業の概要
- 情報コミュニケーション事業TOPPANホールディングスは、デジタル技術を活用した幅広い情報コミュニケーションサービスを提供しています。具体的には、ギフトカードASPサービス、RFIDソリューション、決済関連サービス、電子書籍、デジタルマーケティング、アプリケーション開発など多岐にわたります。これらのサービスを通じて、顧客企業のビジネス効率化や新たな価値創造を支援し、収益を上げています。
- 生活・産業事業この分野では、私たちの日常生活や産業活動に不可欠な製品を提供しています。軟包材や紙器、液体複合容器といったパッケージ関連製品、化粧シートや床材などの建装材、さらにはインキ製造なども手掛けています。これらの製品は、食品、日用品、建築など幅広い分野で利用されており、安定した収益基盤を形成しています。
- エレクトロニクス事業ディスプレイ関連製品や半導体関連製品の製造・販売を通じて収益を得ています。具体的には、ディスプレイ用カラーフィルター、反射防止フィルム、中小型TFT液晶パネル、調光フィルムなどがディスプレイ関連製品です。半導体関連では、フォトマスクやFC-BGA基板などを提供しており、高度な技術力を活かしてエレクトロニクス産業を支えています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 情報コミュニケーション事業このセグメントは、デジタルビジネス関連、BPO関連、セキュアメディア関連、コミュニケーションメディア関連の4つの分野で構成されています。売上高は8984.05億円、営業利益は456.58億円と、グループ内で最も大きな売上を誇る稼ぎ頭です。電子書籍やデジタルマーケティング、ICカードなど、幅広い情報関連サービスを提供しています。
- 生活・産業事業パッケージ関連、建装材関連、その他(インキ製造など)の分野が含まれます。売上高は5399.82億円、営業利益は333.29億円です。食品や日用品のパッケージ、住宅の内装材など、私たちの生活に密着した製品を提供しており、安定した収益を上げています。国内外に生産拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。
- エレクトロニクス事業ディスプレイ関連と半導体関連の2つの主要分野で構成されています。売上高は2795.73億円、営業利益は520.73億円と、売上規模は他のセグメントに劣るものの、高い営業利益率を誇る高収益事業です。ディスプレイ用カラーフィルターや半導体製造に不可欠なフォトマスクなど、高度な技術力を要する製品を提供しています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| InformationAndCommunicationReportableSegment | 事業 | 8,984 | 457 | 5.1% |
| LivingAndIndustryReportableSegment | 地域 | 5,400 | 333 | 6.2% |
| ElectronicsReportableSegment | 事業 | 2,796 | 521 | 18.6% |
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3 【事業の内容】当社グループ(当社、連結子会社247社、持分法適用非連結子会社8社及び持分法適用関連会社28社(2026年3月31日現在)により構成)におきましては、情報コミュニケーション事業分野、生活・産業事業分野及びエレクトロニクス事業分野の3事業分野にわたり幅広い事業活動を展開しております。各事業における当社グループの主な事業内容と、各事業に係る位置づけ等及びセグメントとの関連は次のとおりであります。なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しております。これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 セグメント区分主要な製品主要な関係会社情報コミュニケーション事業分野デジタルビジネス関連ギフトカードASPサービス、RFIDソリューション、決済関連サービス、電子書籍、デジタルマーケティングサービス、デジタルコンテンツ制作、アプリケーション開発など(製造販売)TOPPAN㈱、TOPPANエッジ㈱、TOPPANデジタル㈱、㈱BookLive、TOPPAN Next Pte. Ltd. BPO関連バックオフィス業務代行、顧客コンタクト業務など(製造販売)TOPPAN㈱、TOPPANエッジ㈱セキュアメディア関連証券類全般、データ・プリント・サービス、ICカード、ICタグ、偽造防止デバイスなど(製造販売)TOPPAN㈱、TOPPANエッジ㈱、TOPPANデジタル㈱、TOPPAN Next Pte. Ltd. (製 造)TOPPANコミュニケーションプロダクツ㈱コミュニケーションメディア関連ビジネスフォーム、書籍、雑誌、教科書、カタログ、パンフレット、POPなどのSPツール、プロモーション・イベントの企画・運営など(製造販売)TOPPAN㈱、TOPPANエッジ㈱、TOPPANクロレ㈱、東京書籍㈱、TOPPAN Next Pte. Ltd.(製 造)TOPPANコミュニケーションプロダクツ㈱、 TOPPANグラフィックコミュニケーションズ㈱生活・産業事業分野パッケージ関連軟包材、紙器、液体複合容器、プラスチック成形品、コントラクト・受託充填、透明バリアフィルム、リチウムイオン二次電池外装材など(製造販売)TOPPAN㈱、タマポリ㈱、 TOPPAN Packaging Americas Holdings Inc.、 TOPPAN Thermoformed Packaging Holdings Inc.、InterFlex Investment Holdings,Inc.、PT. TOPPAN Flexible Packaging Indonesia、Toppan Speciality Films Private Limited(製 造)TOPPANパッケージプロダクツ㈱、 TOPPANプラスチック㈱ 建装材関連化粧シート、床材、化粧板、エクステリア建材、不燃商材など(製造販売)TOPPAN㈱、INTERPRINT GmbH(製 造)TOPPAN建装プロダクツ㈱その他インキ製造など(製造販売)artience㈱ エレクトロニクス事業分野ディスプレイ関連ディスプレイ用カラーフィルタ、反射防止フィルム、中小型TFT液晶パネル、調光フィルムなど(製造販売)TOPPAN㈱、 TOPPAN・TOMOEGAWAオプティカルフィルム㈱(製 造)TOPPANエレクトロニクスプロダクツ㈱半導体関連フォトマスク、FC-BGA基板など(製造販売)TOPPAN㈱、TOPPAN America Inc.、 テクセンドフォトマスク㈱(製 造)TOPPANエレクトロニクスプロダクツ㈱ 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 PQC(耐量子計算機暗号)対応ICカードシステムや多要素認証ソリューションなどの独自技術。 |
|---|---|
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:気候変動及び生物多様性の損失に関するリスク / 環境汚染に関するリスク / 地震や風水害等の自然災害及びパンデミックに関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
長年の歴史で培われた「TOPPAN」ブランド力と、印刷技術を核とした多様な事業展開(情報・コミュニケーション、エレクトロニクス、ライフサイエンス等)におけるノウハウが強み。特に、高精細印刷技術やセキュリティ印刷、グローバル展開における信頼性が無形資産として機能している。
スイッチングコスト★★☆☆☆
BtoB事業が多く、顧客との長期的な取引関係や、特定のソリューション導入による一定のスイッチングコストは存在する。しかし、印刷業界全体としては代替サービスも存在し、顧客の乗り換え障壁は限定的。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
ネットワーク効果を直接的に生み出すようなプラットフォーム事業やサービスは主要事業ではない。
コスト優位★★☆☆☆
印刷事業においては、規模の経済や効率的な生産体制によるコスト競争力はある程度存在する。しかし、素材調達やエネルギー価格の変動リスク、競合他社との価格競争は常に存在する。
規模の経済★★★☆☆
印刷業界において長年の実績と広範な事業領域を持つ大手企業であり、一定の規模の経済は享受している。しかし、グローバル市場ではさらに巨大な競合も存在し、絶対的なコスト優位を築くには至っていない。
- 多角的な事業展開TOPPANホールディングスは、情報コミュニケーション、生活・産業、エレクトロニクスの3つの事業分野で幅広い事業活動を展開しています。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、安定した収益基盤を築いていると考えられます。各分野での専門性と総合力を活かし、多様な顧客ニーズに対応できる点が強みです。
- 高度な技術力と製品群デジタルビジネス関連のソリューションから、ICカードや偽造防止デバイスといったセキュアメディア、さらにはディスプレイ用カラーフィルターや半導体関連のフォトマスクまで、多岐にわたる製品とサービスを提供しています。これらの製品群は、長年にわたる研究開発と技術蓄積によって培われたものであり、高い技術力が競争優位の源泉となっています。
- 強固なグループ体制連結子会社224社、持分法適用非連結子会社6社、持分法適用関連会社34社からなる強固なグループ体制を構築しています。これにより、各事業分野での専門性を高めつつ、グループ全体としてのシナジー効果を追求できる可能性があります。国内外に広がるネットワークも、事業展開の大きな強みと言えるでしょう。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、持株会社体制のもと、グループ全体が方向性を同じくし、これまで以上に社会的価値創造を推進すべく、Purpose(存在意義)とValues(価値観)から構成される「TOPPAN's Purpose & Values」をグループ理念としております。「Breathing life into culture, with technology and heart./人を想う感性と心に響く技術で、多様な文化が息づく世界に。」をPurposeに掲げ、その実現のために「Integrity(誠意を持って行動し、信頼関係を築く)」「Passion(情熱を持ち、積極果敢に挑戦する)」「Proactivity(周囲に先駆けて考え、スピーディーに行動する)」「Creativity(創造力を駆使して、新しい価値を生み出す)」の4つのValuesを共有しております。グループ理念に基づき、当社グループ各企業が持つ強みや特長を掛け合わせ、ステークホルダーの皆さまと共に、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指してまいります。 (2) 中期的な経営戦略及び対処すべき課題当社グループは、2025年度までの中期経営計画において「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、社会やお客さま、TOPPANグループのビジネスを、デジタルを起点として変革させる「DX(Digital Transformation)」と、事業を通じた社会的課題の解決と持続可能性を重視した経営を目指す「SX(Sustainable Transformation)」を柱に、ワールドワイドに事業を展開いたしました。また、中期的な経営課題を、事業ポートフォリオ変革・経営基盤強化・ESGの取り組み深化とし、経営資源の最適配分と有効活用を進めてまいりました。そして今回、2026年度から新たにスタートする「中期経営計画 2028」を策定し、2031年度までの目指す姿として、「True Value Transformation」をキーコンセプトに定め、その実現に向け、マテリアリティについても再策定し、各セグメントにおいて価値ある製品・サービスを提供していくことで、顧客課題や社会課題を解決し、社会価値と経済価値の向上につなげるサステナビリティ経営を実践してまいります。※2027年3月期の期首より、成長戦略に沿って名称を「情報コミュニケーション」から「情報ソリューション」に変更 (経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)当社グループの経営においては、諸利益の中でも特に、営業利益の拡大に注力するとともに、株主価値重視の観点からROEの向上を目指しております。また、2025年度より本業の収益力を表すNon-GAAPベースの指標も導入しております。当社グループは、当中期経営計画の最終年度である2028年度に、営業利益1,300億円、ROE8%、Non-GAAP営業利益1,450億円、Non-GAAP ROE9%を目標とし、達成に向けた収益力の飛躍的な向上と、資本効率を徹底的に追求する取り組みを進めてまいります。また、その先の持続的な成長の実現につなげ、2031年度には営業利益2,000億円、ROE10%、Non-GAAP営業利益2,100億円、Non-GAAP ROE11.5%の水準を目指してまいります。 ※Non-GAAP利益は、会計上の利益から買収に伴うのれん・無形資産の償却費、M&A関連費用、構造改革関連費用、投資有価証券売却損益等の本業との関連が低い費用を調整して算出する利益指標です。 (目標達成のための重点施策)当中期経営計画における経営課題については、①事業ポートフォリオ変革、②コーポレート改革、③バランスシート改革の3つを設定し、これらを踏まえた次の施策を展開することにより、事業・人財・資本を磨き、世界に真の価値を提供してまいります。 ① 事業ポートフォリオ変革成長事業への集中投資と低収益事業の構造改革を推進し、高収益体質への転換を図ります。全事業を成長性や収益性などに基づいて「重点的成長事業」「戦略的注力事業」「安定的拡大事業」「改善・転換事業」の4つに分類し、安定的拡大事業で創出したキャッシュを重点的成長事業、戦略的注力事業へと最適配分するとともに、改善・転換事業を中心に構造改革を推進いたします。 情報ソリューション事業分野では、AIの進展、国内の人口減少、IDソリューション市場の拡大が進む中、現場理解に基づく業務設計力やセキュリティ・認証技術の保有によるセキュア基盤の提供力を当社の優位性とし、リアルとデジタルにAIを組み合わせ、高付加価値で継続型なソリューションを提供することで、高収益化を図ります。また、既存印刷事業では、収益性・効率性改善を推進いたします。生活・産業事業分野では、サーキュラーエコノミーの進展、正面市場の成長、地政学リスクの顕在化の中、環境課題解決に貢献する独自のSX製品開発力、競争優位製品の世界展開を可能とするグローバル供給体制、調達リスクを低減するグローバルネットワークが当社の優位性となります。これらの事業環境と優位性を踏まえ、SX戦略の推進による収益力強化、安定需要の取り込みとグローバル連携によるシナジー創出を図ります。エレクトロニクス事業分野では、半導体市場の長期的な成長、要求技術・品質の高度化、フラットパネルディスプレイの大型化といった事業環境の中、技術優位性を源泉とした最先端のキーデバイスの開発・供給力、顧客・材料メーカーとの強固なパートナーシップを当社の優位性とし、次世代を含めた半導体パッケージ事業を中心に経営資源を集中することで、半導体パッケージ事業での高収益化・高成長を実現いたします。また、低収益事業では、事業見直しなどの構造改革を推進いたします。 ② コーポレート改革事業の高付加価値化と同時に、ホールディングス、事業部門それぞれで「人財マネジメント改革による適正配置の推進」と「全社AI推進による間接部門の業務効率化・高度化」を実施し、販管費率を改善いたします。人財マネジメント改革では、事業戦略に基づき必要な人財要件と人員規模を明確化し、タレントマネジメントシステム導入によるスキルの可視化を図ることで、適正な人員配置を推進いたします。全社AI推進では、経営システムの効率化・高度化を加速させます。ホールディングス部門をはじめとする全社業務のデータとプロセスを連携・標準化することで、全社視点での効率化を図るためのAI変革ネットワークの構築を推進いたします。 ③ バランスシート改革ROE目標達成に向け、保有資産の見直しを行い、保有資産の圧縮を図ります。海外の金融子会社の活用による海外子会社の資本集約を通じた手許流動資金の圧縮や、全社ベースでの運転資本の循環適正化によるキャッシュ創出施策を推進いたします。また、生産拠点の集約やノンコア事業の見直しによる保有資産の効率性向上に加え、政策保有株式の売却をさらに加速いたします。さらに、本施策によって創出された資金と構造改革の推進により、自己資本の追加的な圧縮を進めるとともに、利益計画と投資計画の進捗に応じた有利子負債の絶対額管理を重要指標として、バランスシート全体の最適な管理を推進いたします。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) 会社の経営の基本方針当社グループは、持株会社体制のもと、グループ全体が方向性を同じくし、これまで以上に社会的価値創造を推進すべく、Purpose(存在意義)とValues(価値観)から構成される「TOPPAN's Purpose & Values」をグループ理念としております。「Breathing life into culture, with technology and heart./人を想う感性と心に響く技術で、多様な文化が息づく世界に。」をPurposeに掲げ、その実現のために「Integrity(誠意を持って行動し、信頼関係を築く)」「Passion(情熱を持ち、積極果敢に挑戦する)」「Proactivity(周囲に先駆けて考え、スピーディーに行動する)」「Creativity(創造力を駆使して、新しい価値を生み出す)」の4つのValuesを共有しております。グループ理念に基づき、当社グループ各企業が持つ強みや特長を掛け合わせ、ステークホルダーの皆さまと共に、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指してまいります。 (2) 中期的な経営戦略及び対処すべき課題当社グループは、2025年度までの中期経営計画において「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、社会やお客さま、TOPPANグループのビジネスを、デジタルを起点として変革させる「DX(Digital Transformation)」と、事業を通じた社会的課題の解決と持続可能性を重視した経営を目指す「SX(Sustainable Transformation)」を柱に、ワールドワイドに事業を展開いたしました。また、中期的な経営課題を、事業ポートフォリオ変革・経営基盤強化・ESGの取り組み深化とし、経営資源の最適配分と有効活用を進めてまいりました。そして今回、2026年度から新たにスタートする「中期経営計画 2028」を策定し、2031年度までの目指す姿として、「True Value Transformation」をキーコンセプトに定め、その実現に向け、マテリアリティについても再策定し、各セグメントにおいて価値ある製品・サービスを提供していくことで、顧客課題や社会課題を解決し、社会価値と経済価値の向上につなげるサステナビリティ経営を実践してまいります。※2027年3月期の期首より、成長戦略に沿って名称を「情報コミュニケーション」から「情報ソリューション」に変更 (経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)当社グループの経営においては、諸利益の中でも特に、営業利益の拡大に注力するとともに、株主価値重視の観点からROEの向上を目指しております。また、2025年度より本業の収益力を表すNon-GAAPベースの指標も導入しております。当社グループは、当中期経営計画の最終年度である2028年度に、営業利益1,300億円、ROE8%、Non-GAAP営業利益1,450億円、Non-GAAP ROE9%を目標とし、達成に向けた収益力の飛躍的な向上と、資本効率を徹底的に追求する取り組みを進めてまいります。また、その先の持続的な成長の実現につなげ、2031年度には営業利益2,000億円、ROE10%、Non-GAAP営業利益2,100億円、Non-GAAP ROE11.5%の水準を目指してまいります。 ※Non-GAAP利益は、会計上の利益から買収に伴うのれん・無形資産の償却費、M&A関連費用、構造改革関連費用、投資有価証券売却損益等の本業との関連が低い費用を調整して算出する利益指標です。 (目標達成のための重点施策)当中期経営計画における経営課題については、①事業ポートフォリオ変革、②コーポレート改革、③バランスシート改革の3つを設定し、これらを踏まえた次の施策を展開することにより、事業・人財・資本を磨き、世界に真の価値を提供してまいります。 ① 事業ポートフォリオ変革成長事業への集中投資と低収益事業の構造改革を推進し、高収益体質への転換を図ります。全事業を成長性や収益性などに基づいて「重点的成長事業」「戦略的注力事業」「安定的拡大事業」「改善・転換事業」の4つに分類し、安定的拡大事業で創出したキャッシュを重点的成長事業、戦略的注力事業へと最適配分するとともに、改善・転換事業を中心に構造改革を推進いたします。 情報ソリューション事業分野では、AIの進展、国内の人口減少、IDソリューション市場の拡大が進む中、現場理解に基づく業務設計力やセキュリティ・認証技術の保有によるセキュア基盤の提供力を当社の優位性とし、リアルとデジタルにAIを組み合わせ、高付加価値で継続型なソリューションを提供することで、高収益化を図ります。また、既存印刷事業では、収益性・効率性改善を推進いたします。生活・産業事業分野では、サーキュラーエコノミーの進展、正面市場の成長、地政学リスクの顕在化の中、環境課題解決に貢献する独自のSX製品開発力、競争優位製品の世界展開を可能とするグローバル供給体制、調達リスクを低減するグローバルネットワークが当社の優位性となります。これらの事業環境と優位性を踏まえ、SX戦略の推進による収益力強化、安定需要の取り込みとグローバル連携によるシナジー創出を図ります。エレクトロニクス事業分野では、半導体市場の長期的な成長、要求技術・品質の高度化、フラットパネルディスプレイの大型化といった事業環境の中、技術優位性を源泉とした最先端のキーデバイスの開発・供給力、顧客・材料メーカーとの強固なパートナーシップを当社の優位性とし、次世代を含めた半導体パッケージ事業を中心に経営資源を集中することで、半導体パッケージ事業での高収益化・高成長を実現いたします。また、低収益事業では、事業見直しなどの構造改革を推進いたします。 ② コーポレート改革事業の高付加価値化と同時に、ホールディングス、事業部門それぞれで「人財マネジメント改革による適正配置の推進」と「全社AI推進による間接部門の業務効率化・高度化」を実施し、販管費率を改善いたします。人財マネジメント改革では、事業戦略に基づき必要な人財要件と人員規模を明確化し、タレントマネジメントシステム導入によるスキルの可視化を図ることで、適正な人員配置を推進いたします。全社AI推進では、経営システムの効率化・高度化を加速させます。ホールディングス部門をはじめとする全社業務のデータとプロセスを連携・標準化することで、全社視点での効率化を図るためのAI変革ネットワークの構築を推進いたします。 ③ バランスシート改革ROE目標達成に向け、保有資産の見直しを行い、保有資産の圧縮を図ります。海外の金融子会社の活用による海外子会社の資本集約を通じた手許流動資金の圧縮や、全社ベースでの運転資本の循環適正化によるキャッシュ創出施策を推進いたします。また、生産拠点の集約やノンコア事業の見直しによる保有資産の効率性向上に加え、政策保有株式の売却をさらに加速いたします。さらに、本施策によって創出された資金と構造改革の推進により、自己資本の追加的な圧縮を進めるとともに、利益計画と投資計画の進捗に応じた有利子負債の絶対額管理を重要指標として、バランスシート全体の最適な管理を推進いたします。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(業績等の概要)(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の期首より、在外子会社等の収益及び費用は、決算日の直物為替相場により円貨に換算する方法から、期中平均為替相場により円貨に換算する方法に変更し、遡及適用後の前連結会計年度の数値との比較を行っております。 ① 財政状態及び経営成績の状況当期における経営環境につきましては、地政学リスクの顕在化や世界的な物価の高止まり、為替変動の影響など、先行き不透明な状況が続きました。一方で、サステナブル意識の高まりに加え、AIやIoTをはじめとするデジタル技術の進展やそれに伴う半導体市場の成長などにより、市場機会のさらなる拡大が見込まれます。このような環境の中で当社グループは、「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、社会やお客さま、TOPPANグループのビジネスを、デジタルを起点として変革させる「DX(Digital Transformation)」と、事業を通じた社会的課題の解決と持続可能性を重視した経営を目指す「SX(Sustainable Transformation)」を柱に、ワールドワイドに事業を展開いたしました。以上の結果、当期の売上高は前期に比べ5.0%増の1兆8,050億円となりました。また、営業利益は21.1%減の671億円、経常利益は15.5%減の757億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は28.1%減の648億円となりました。また、ROEは4.9%となりました。一方で、本業での収益力を示す指標であるNon-GAAP営業利益は3.5%減の941億円、Non-GAAP当期純利益は5.9%増の712億円、Non-GAAP ROEは5.4%となりました。セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 a 情報コミュニケーション事業分野デジタルビジネス関連では、顧客の業界特性に合わせたビジネス変革支援などを推進するマーケティングDXが増加したほか、セキュアビジネスでは、アフリカをはじめとするグローバルサウス諸国を含む政府系ID事業の拡大に加え、昨年1月に買収した政府系IDソリューション大手北欧企業のHID社の市民ID事業部門や、アジア全域でスマートカードソリューションを提供するタイ企業のDZ Card社の買収効果もあり、当事業全体で増収となりました。BPO関連では、金融・行政分野を中心に案件を獲得したものの、前年度の一過性案件の反動減があり、減収となりました。 セキュアメディア関連では、データ・プリント・サービスなどが増加し、増収となりました。コミュニケーションメディア関連では、出版・商業印刷が減少し、減収となりましたが、TOPPANクロレ株式会社に出版印刷事業を集約し、当事業の収益性を改善いたしました。また、ビジネスフォームの拠点再編など、当事業のさらなる構造改革を推進しております。以上の結果、情報コミュニケーション事業分野の売上高は前期に比べ0.2%減の9,232億円、営業利益は1.1%減の450億円となりました。 b 生活・産業事業分野パッケージ関連では、EUにてPPWR(包装・包装廃棄物規則)が2025年2月に発効されるなど環境対応包材へのシフトが本格化する中、バリアフィルム製造を含めたSXパッケージのグローバル供給体制を強化しております。海外では、食品向けなどのパッケージや、チェコ新工場が本格稼働し、モノマテリアル素材を活用した透明バリアフィルム「GL BARRIER」の販売が拡大したことに加え、SONOCO PRODUCTS COMPANYの軟包装事業や、高い環境性能を有するフィルムの製造販売を行うIrplast S.p.A.の買収効果もあり、増収となりました。国内においても、サステナブルブランド「SMARTS」のもと再生材使用フィルムを活用したSXパッケージなどが拡大し、当事業全体で増収となりました。 建装材関連では、海外は、欧米における化粧シートの拡販や、新興国市場の開拓を進め、国内も、環境配慮型化粧シートや空間演出ブランド「expace(エクスペース)」が拡大し、当事業全体で増収となりました。また、空間演出事業のさらなる拡大のため、2026年1月にオフィス設計・施工に実績を持つ株式会社アロワーズを買収いたしました。以上の結果、生活・産業事業分野の売上高は前期に比べ31.4%増の7,230億円、営業利益は1.1%減の330億円となりました。 c エレクトロニクス事業分野半導体関連では、AIをはじめとするデジタル技術の進展やそれに伴う半導体市場の成長を背景に、高密度半導体パッケージ基板のFC-BGAは先端品の認定を複数取得したほか、通信用途の需要が増加いたしました。さらなる競争力強化に向けては、技術開発や量産の新たな拠点である石川工場にて、次世代半導体パッケージのパイロットラインの立上げを進めております。また、先端半導体向けの大型・高多層なハイエンド製品に対応するため、FC-BGA基板の生産拠点である新潟工場に新たな製造ラインを構築し、稼働を開始いたしました。さらに、技術進化への貢献と新たなビジネス機会創出のため、日米混合コンソーシアム「US-JOINT」に参画し、米国における次世代半導体パッケージの評価プラットフォームの創成と最先端技術の開発を進めております。なお、テクセンドフォトマスク株式会社を持分法適用関連会社に移行した影響により、当事業全体で減収となりましたが、当影響を除くと増収となりました。ディスプレイ関連では、反射防止フィルムの顧客の在庫適正化影響や、Giantplus Technology Co.,Ltd.を持分法適用関連会社に移行した影響もあり、減収となりました。以上の結果、エレクトロニクス事業分野の売上高は前期に比べ34.2%減の1,863億円、営業利益は36.5%減の336億円となりました。 財政状態の状況は、次のとおりであります。当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ430億円増加し2兆5,581億円となりました。これは現金及び預金が3,301億円減少したものの、無形固定資産のその他が1,127億円、のれんが814億円、受取手形、売掛金及び契約資産が387億円、投資有価証券が294億円、機械装置及び運搬具が284億円、商品及び製品が176億円、原材料及び貯蔵品が171億円、建物及び構築物が164億円、それぞれ増加したことなどによるものです。 負債は、前連結会計年度末に比べ516億円増加し1兆1,481億円となりました。これは短期借入金が1,876億円、未払法人税等が576億円、それぞれ減少したものの、長期借入金が1,403億円、社債が800億円、流動負債のその他に含まれる預り金が720億円、それぞれ増加したことなどによるものです。 純資産は、前連結会計年度末に比べ85億円減少し1兆4,100億円となりました。これは自己株式が690億円減少し、為替換算調整勘定が354億円増加したものの、利益剰余金が567億円、非支配株主持分が521億円、それぞれ減少したことなどによるものです。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ3,419億円減少し、4,111億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,053億円に減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行った結果、861億円の収入となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入があった一方、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得や設備投資などを行ったことから、3,821億円の支出となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入があった一方、自己株式の取得や長期借入等の返済、配当金の支払などを行ったことから、289億円の支出となりました。 (生産、受注及び販売の状況)(1) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)情報コミュニケーション事業分野900,6200.7生活・産業事業分野719,22232.4エレクトロニクス事業分野187,836△32.6合 計1,807,6795.3 (注) 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。 (2) 受注状況当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)情報コミュニケーション事業分野888,568△1.865,944△18.9生活・産業事業分野708,08825.9124,8935.1エレクトロニクス事業分野143,245△52.2150,596△28.0合 計1,739,902△1.5341,434△16.6 (注) 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。 (3) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)情報コミュニケーション事業分野903,9301.0生活・産業事業分野715,22732.0エレクトロニクス事業分野185,875△34.3合 計1,805,0335.0 (注) 1 セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。2 相手先別販売実績につきましては、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 (2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、5.0%増の1兆8,050億円となりました。売上原価は前期比5.7%増の1兆3,807億円、売上原価率は0.5ポイント増加して76.5%となりました。この結果、売上総利益は前期比2.6%増の4,242億円となりました。売上原価率の低減に向けては、引き続き組織のスリム化や生産の効率化、原材料調達の見直しなどに取り組んでまいります。 当期の販売費及び一般管理費は前期比8.8%増の3,571億円となりました。販管費率は19.8%で、前期の19.1%から0.7ポイント上昇しました。これは、新規連結によるのれん償却の増加などが主な要因となります。当社グループは、事業の高付加価値化と同時に、当社、事業部門それぞれで、人財マネジメント改革による適正配置の推進と、全社AI推進による間接部門の業務効率化・高度化を実施し、販管費率改善に注力いたします。営業利益は前期比21.1%減の671億円となりました。売上高営業利益率は3.7%で、前期の4.9%から1.2ポイント減少しております。これは、当期の下期よりテクセンドフォトマスク株式会社を持分法適用関連会社に移行した影響が主な要因となります。当社グループは、本業の収益力を測る指標として営業利益を重視しており、その拡大に向けた施策を今後も積極的に講じる方針です。なお、税金等調整前当期純利益は前期比43.1%減の1,053億円となりました。以上の結果、非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比28.1%減の648億円となり、1株当たり当期純利益は前期の298円62銭から227円07銭に減少いたしました。利益率は、総資産当期純利益率(ROA)が前期の3.6%から2.6%へ、自己資本当期純利益率(ROE)が前期の6.7%から4.9%へ、それぞれ減少いたしました。また、政策保有株式については売却を進めた結果、2026年3月末時点での連結純資産比率は12.3%となり、前中期経営計画の目標である15%未満を達成いたしました。今後も売却を進め、資産効率化に注力いたします。 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。情報コミュニケーション事業分野の総資産は2,126億円(22.1%)増加し、1兆1,738億円となりました。生活・産業事業分野の総資産は3,831億円(69.5%)増加し、9,341億円となりました。エレクトロニクス事業分野の総資産は508億円(16.0%)減少し、2,669億円となりました。なお、セグメント別の経営成績については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 (3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの運転資金は主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、売上原価や販売費及び一般管理費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築、情報システムの整備等に支出されております。これらの必要資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローから創出し、必要に応じて柔軟的かつ機動的に借入や社債発行等により調達しており、資産効率の向上と今後の持続的な成長を実現させるため、M&Aなどの事業投資を含む成長投資や構造改革等の投資財源へ充当してまいります。また、当社グループは手元流動性残高から有利子負債を控除したネットキャッシュの水準を重視した資金管理を実施しており、必要な流動性資金は十分に確保しております。これらの資金をグループ内ファイナンスで有効に活用することにより、効率的な資金運用を図っております。これらの方針により、持続的成長に向けた投資の強化、構造改革の推進及び安定的な株主還元のバランスをとり、財務健全性との両立を重視した運営を堅持してまいります。
事業リスク
- 事業環境の変化による影響情報コミュニケーション事業ではデジタル化の進展、生活・産業事業では原材料価格の変動、エレクトロニクス事業では技術革新の加速など、各事業分野で外部環境の変化が常に発生します。これらの変化に適切に対応できない場合、製品やサービスの需要減少、コスト増加、競争力低下などにより、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 技術革新への対応遅れ特にエレクトロニクス事業や情報コミュニケーション事業においては、技術革新のスピードが速く、常に最新の技術動向を把握し、研究開発に投資し続ける必要があります。もし、競合他社に比べて技術開発が遅れたり、新たな技術トレンドへの対応が不十分だったりした場合、市場での競争力を失い、収益性が低下するリスクがあります。
- グローバル展開に伴うリスク海外にも多くの連結子会社を持つため、各国の政治・経済情勢の変動、為替レートの変動、法規制の変更、地政学的リスクなどが業績に影響を与える可能性があります。例えば、貿易摩擦の激化や特定の地域での景気後退は、生産活動や販売戦略に大きな影響を及ぼし、収益を圧迫する可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項について説明いたします。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。 (1) リスクマネジメント体制当社グループは3線モデルに基づく全社的リスクマネジメント体制を整えております。2024年4月よりChief Risk Officer(CRO)を任命し、グループ全体のリスク管理を統括する部門(GRC本部)を設置いたしました。また、2025年度より新たに設置されたリスクマネジメントに関する委員会は、執行側と監督側の2つのレベルで構成されております。執行側の委員会は「リスクマネジメント推進委員会(2026年4月にリスク管理推進委員会より改称)」としてリスクの検討や対策実施・モニタリングに責任を持ち、さらに監督側に「リスクマネジメント委員会(2026年4月にリスク管理委員会より改称)」を設置し、十分なけん制機能を担保しております。 ①リスクマネジメント委員会 取締役会メンバー全員で構成されるリスクマネジメント委員会は、当社グループのリスクに特化して討議する場です。この委員会は、リスクマネジメント推進委員会に対するけん制機能(指導・助言の役割)を果たすほか、当社グループの経営に関連する重大なリスクについて討議する場、さらにリスクやリスクマネジメントに関する最新の動向や情報を共有する場として設置されており、原則として年2回以上開催するほか、必要に応じて臨時に開催いたします。 ②リスクマネジメント推進委員会 当社グループの経営に関連する重大なリスクについて討議し、その管理方針を決定する場として、さらにリスク対策の活動状況をモニタリングする目的で、第一線、第二線の役員をメンバーとするリスクマネジメント推進委員会を設置しており、原則として年2回以上開催するほか、必要に応じて臨時に開催いたします。また、リスクマネジメント委員会と同様に、当社グループに関わる重要なリスクの共有や外部環境の最新動向・情報を共有する場でもあります。 ③第一線(事業会社) 当社グループの事業会社には、ビジネスユニット制(BU制)を採用している子会社と、していない子会社があります。いずれの場合もコーポレート機能部門が策定したリスク対応計画を踏まえ対策を講じた上で業務を遂行しております。リスクマネジメントの責任は、各子会社の社長、もしくはBU制を採用している子会社においては、それらのBU長が担っております。通常、子会社の管理部署(事業戦略・経理・法務・総務)の業務は第一線業務のサポートを行うこともあり、体制図において1.5線と記載しております。 ④第二線(TOPPANホールディングスのコーポレート機能部門) コーポレート機能部門は、経営企画、財務、法務、人事労政などの管理部門を指します。平時のリスク管理においては、毎年、各事業会社に「リスクアセスメント」の実施を指示し、その進捗状況をモニタリングしております。また、コーポレート機能部門は、当社グループに関連する主要なリスク項目を示した「事業等のリスク」を毎年選定し、対応計画の策定及び進捗管理を行っております。選定されたリスク項目は、取締役会に報告され承認を得ます。危機管理に関しては、事業会社からインシデント報告を受けた場合、第二線の責任部門が対応指示を出すか、直接対応いたします。インシデントの内容が重要であると判断された場合には、危機管理委員会が招集されます。 ⑤第三線(経営監査室) 経営監査室は内部監査を行う部署であり、第一線、第二線が適正に機能しているかを独立した立場から分析・評価並びに保証と助言の提供をしております。具体的には、法令・会社諸規則の遵守状況や不正防止の仕組みに問題がないかなどの業務監査と、経営目標との整合性やリスクコントロールが必要十分であるか否かについて、プロセスを重視して検証・評価する経営監査を毎年実施しております。その結果を代表取締役社長、取締役会、監査役会に対して報告しております。 (2) 危機管理体制 当社グループは、リスクが顕在化した場合に備え、対応体制及び手続きを定めております。グループ内での連絡体制を整備するとともに、リスク種類ごとに第二線の責任部門を設定し、当該部門が中心となって対応する体制を確立しております。万一、リスクが顕在化した場合には、影響を最小限に抑えるため、リスクが顕在化した事業会社と第二線の責任部門が連携し、事態の対処及び再発防止策の検討を行います。重大な事案については関連部門を招集、危機管理委員会を開催し、詳細な討議を行った後、その結果は取締役会及びリスクマネジメント委員会・リスクマネジメント推進委員会に報告されます。さらに緊急対応を要する場合には、社長または副社長を責任者とし、監査役、弁護士等の社外有識者を危機管理委員会に加え、速やかな事態の収束を図ります。 また、第一線・第二線の各組織の担当者で構成される会議体を設置しており、情報の共有及び連携の強化を図っております。 (3) 平時のリスク管理手続き①「事業等のリスク」項目選定プロセス 「事業等のリスク」の選定プロセスについては、外部環境の変化や新たに高まったリスクを踏まえ、毎年、当社グループに影響する主要なリスク項目を各責任部門と協議し選定しております。見直し後の「事業等のリスク」については、取締役会に報告され、承認を得ております。なお、各責任部門との協議に当たっては、新興リスクや外部環境の影響を評価・分析するとともに、「リスクカテゴリー」(当社グループに関係するリスク項目を網羅的に一覧化したリスクマネジメントを目的とする内部資料)の各項目において、前年度との比較でリスクが大きく高まっている項目がないかを評価・分析いたします。これらのプロセスを経て、前年度の「事業等のリスク」で選定した項目を見直し、今年度の「事業等のリスク」の項目を決定いたします。 なお、リスクの概要及びリスク対応策については、後述の「(4)事業等のリスク」の該当項目をご参照ください。 ②第一線と第二線のリスク管理手続き これまで主に以下の手続きを期中に行い、第一線及び第二線が連携して、当社グループに関連する事業等のリスクに適切に対応してきました。また、活動は取締役会に報告してまいりました。・第一線を対象としたリスクアセスメントの実施(毎年)・「事業等のリスク」の項目ごとに、第二線内で責任部門を決定。各責任部門は、それぞれのリスク項目に対する管理方針や体制構築を計画、実行(毎年)上記に加え、以下の取り組みによって平時のリスク管理をさらに強化しております。 1) 第一線によるリスクアセスメントに対し、第二線による分析、モニタリング、指導・助言のPDCAサイクル手続きをより明確化2) 第二線による「事業等のリスク」の各項目に対する計画と実績の管理(第二線によるリスクアセスメント)に対し、リスク管理を統括するGRC本部によるけん制機能(PDCA手続き)の導入3) グループ全体で優先的に取り組むべきリスクに関する課題を明確化した上で、その対応状況の継続的モニタリング(詳細は「③リスクマネジメント推進委員会/リスクマネジメント委員会での討議」参照)4) 監督側及び執行側の双方のリスクマネジメント委員会に対するリスク動向や(上記1)及び2)を含む)管理状況の報告 ③リスクマネジメント推進委員会/リスクマネジメント委員会での討議 2025年度より、グループ全体で優先的に取り組むべきリスクに関する課題(討議テーマ)を明確にし、それらに内在するリスクや対策を、リスクマネジメント推進委員会を中心に討議・モニタリングしております。討議テーマごとに、リスクマネジメント推進委員会メンバーの中からリスクオーナーを指名いたします。リスクオーナーは、当該テーマに内在するリスクの分析や評価、それに基づくリスク低減や解決に向けた対策の検討を主導し、その進捗状況を次回以降の委員会で報告する責任を負います。一方、リスクマネジメント委員会は、リスクマネジメント推進委員会で討議された内容の報告を受け、それに対して適切なけん制機能を果たします。 討議テーマは、以下の2つのアプローチ(トップダウンアプローチとボトムアップアプローチ)を組み合わせた計4つの方法でGRC本部(リスクマネジメント統括部門)が情報を収集・分析を行い、第二線との協議を経て決定いたします。 1) トップダウンアプローチ ・取締役、執行役員へのインタビュー ・各事業会社の重要施策に内在するリスクとリスク対策を分析2) ボトムアップアプローチ ・第一線を対象としたリスクアセスメントの分析結果 ・第二線を対象としたリスクアセスメントの分析結果 ④リスクアペタイトの考え方に基づく個別事業案件ごとのリスク許容判断 当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を目指す上で、事業機会を捉えるためのリスクテイクが経営戦略及び施策推進の重要な要素と考えております。そのため、組織的な意思決定の際には、リスクアペタイト(当社グループが許容できるリスクの種類と量)を適切に評価できる体制・手続きを整えております。 具体的には、当社及びグループ会社による重要な事業活動の種類(投資・出資、固定資産取得、契約締結などのうち重要性の高い事項)ごとに、関連する様々なリスク(例:財務リスク、カントリーリスク、新規事業リスクなど)を勘案した「承認を要する閾値」をあらかじめ設定しております。これらの閾値は、設定時に財務状況、市場環境、関連法令などを総合的に勘案した上で、当社が定めた関係会社を管理する社内規程等に明文化されております。 この閾値を超える重要な案件については、経営会議または取締役会において、リスク特性、リターン、そして当社グループ全体のポートフォリオへの影響などを多角的に討議・審議した上で承認の可否を決定いたします。これにより、当社グループ全体として許容できるリスクの範囲内で重要性の高い事業活動が実行され、資本効率の最大化と企業価値の向上に貢献することを確実にしております。 一方、上記閾値を超えない事業活動については、リスクアペタイトの範囲内であるとみなし、グループ会社の自律的な経営判断に委ねております。これにより、迅速な意思決定を可能とし、市場機会への機動的な対応を実現する、効率的かつ実効性のあるリスクマネジメント体制を構築しております。 (4) 事業等のリスク 2026年度の「事業等のリスク」は19項目を網羅的に選定しており、項目としては前年度から大きな変更はありません。 ①気候変動及び生物多様性の損失に関するリスク(リスクの概要)年々深刻さを増す気候変動の影響は大きく、環境規制の強化・低炭素な事業活動や代替素材利用への要請といった「移行リスク」と、洪水などの激甚災害による事業所罹災・サプライチェーン寸断による調達停滞といった「物理的リスク」があり、それぞれに適切に対応できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、生物多様性においては、豊かな自然の保全と社会経済活動が両立する自然共生社会を目指すことが事業活動の中で求められております。自然資本の毀損は原材料調達や水資源の確保に直結しております。特に自然再興への要請が高まる中、これらに適切に対応できない場合、社会的信用の低下を招く恐れがあります。(主なリスク対応策)気候変動リスク対応について当社グループでは、サステナビリティ推進委員会が対応策の取りまとめを行っております。「移行リスク」については、SBT認証を受けた温室効果ガス削減目標を設定し、ICP制度活用による省エネ活動や再生可能エネルギーの導入でPDCAサイクルを回しております。「物理的リスク」については、BCP対策として罹災に対する備え、被害の軽減策(防風・防水)、製造と調達のバックアップ体制構築による供給体制の維持継続を行っており、長期的な視点でリスクを分析し、対策を進めております。また、サプライチェーンに対して「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」を通じて、エネルギー消費量及び温室効果ガス削減目標を設定し、継続的削減活動に取り組む事を求めております。また、生物多様性リスク対応については、サプライチェーン全体での自然資本の保全を推進しております。具体的には、用紙原料調達における森林破壊防止のための合法性確認をはじめ、自然共生地域の保全への貢献や事業所での節水活動に取り組み、調達への配慮と環境保全の両立を図っております。 ②環境汚染に関するリスク(有害汚染物質の漏洩、廃棄物の不法投棄等)(リスクの概要)当社グループの製造や研究開発で使用する有害物質の予期せぬ流出は、近隣住民や従業員への健康被害、行政からの製造設備停止命令など、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、廃棄物処理の委託先が不適切な処理を行った場合、法令に基づく社名公表に加え、顧客情報が記された廃棄物の流出がSNS等で拡散されることで、当社及び得意先の社会的信用を著しく毀損するリスクがあります。(主なリスク対応策)環境汚染に関するリスク対応として、当社内の設備管理のガイドラインに沿った設備の運用を行い、設備導入・更新時は、事前に環境法令遵守や環境事故防止の施策が行われることを確認しております。有害物質の流出防止に向け、日常での設備点検と貯蔵設備の管理ガイドラインに基づく劣化診断や計画的な更新を行っております。また、当社内の化学物質管理において、高リスク化学物質の使用を禁止、または管理することを義務付けており、事故の未然防止を図っております。加えて、薬液取り扱い時の漏洩を想定した緊急事態対応手順を整備し、定期訓練を通じて実効性を検証しております。廃棄物リスク対応では、廃棄物処理委託事業者への評価シートでの確認や現地視察などを行っております。有害廃棄物については、海外拠点を含めて排出抑制、適正処理、再資源化に取り組んでおります。 ③地震や風水害等の自然災害及びパンデミックに関するリスク(リスクの概要)当社グループでは、地震、台風等の自然災害の発生や感染症拡大の影響により、事業所の設備や従業員等が大きな被害を受け、その一部または全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業活動、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(主なリスク対応策)当社グループでは災害が発生した際に、従業員の安全を確保し、事業活動への影響を最小限にとどめるために、事業継続計画(BCP)を策定しております。そして、全社体制と対応手順を「災害対策基本計画」にまとめ、毎年見直しを行っております。事業継続マネジメント(BCM)活動を進めるにあたっては、当社法務本部内に設置されたBCP推進チームが中心となり、当社各本部及びTOPPAN株式会社内のビジネスユニットごとに配置したBCP推進担当者と活動を行っております。また、BCPにおけるサプライチェーンの重要性を鑑み、その強化を目的として、外部講師による取引先向けの勉強会を年1回開催しております。なお、セキュア系事業においては、お客さまからの信頼に応えるために、IS022301の認証を取得しており、継続的に体制の維持・強化に取り組んでおります。 ④人権に関するリスク(リスクの概要)当社グループでは「人間尊重」の精神を基本に事業活動を行っており、人権を事業活動やサステナビリティの取り組みを推進するにあたり、最も重要なテーマであると捉えております。しかしながら、セクシュアルハラスメントやパワーハラスメントをはじめとする人権問題が発生した場合には、職場環境の悪化にとどまらず、労災補償やブランド価値の毀損などが発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (主なリスク対応策)当社グループでは、「人権方針」を2021年10月に制定するとともに、自社の行動規範である「行動指針」で、人格と個性の尊重、差別行為やハラスメント行為の禁止、児童労働・強制労働の禁止など、基本的人権を尊重することを定めております。従業員に対しては定期的にこれらの重要な当社グループ方針等を遵守するように教育プログラムを実行しております。また、「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」においても人権を重視する姿勢を明示し、サプライチェーン全体で人権に関する取り組みを推進しております。さらに、国内外グループ会社・サプライヤー等の当社グループを取り巻くステークホルダーへの調査・ヒアリングを通じて人権リスクの軽減・是正に向けた取り組みを行っております。また、取り組み内容については適切に情報開示を行い、一連の人権デューデリジェンスを実行しております。推進体制としては、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」の下部に設置されている「コーポレートESGプロジェクト」における「人的資本ワーキンググループ」が人権尊重の取り組みを主管し、グループ全体への浸透を進め、あらゆる人権リスクに対する対応基盤の構築を目指してまいります。また、ハラスメントに対しては、TOPPANグループ行動指針にハラスメント行為の禁止を定め、研修などを通じて徹底しております。また、総務部門を通じた各職場への啓発活動、各職場の行動指針推進リーダーを中心とした日常業務レベルでの浸透・徹底、各職場の管理職への教育、アンケートによる実態把握などを行っております。各種ハラスメントに関する相談体制を整備しており、内部通報制度「TOPPANグループ・ヘルプライン」にも通報することができるようにすることで、早期に発見し適切に対処する機能を果たしております。さらに、労使で「ハラスメント防止協定」を締結しており、労使でハラスメントの問題を認識し、その行為の防止に当たるとともに、各事業所に労務相談の窓口を設け、ハラスメント相談員の資格を持った担当者が対応に当たるなど、労務トラブルの未然防止に努めております。 ⑤グループ統制に関するリスク(リスクの概要)当社グループは、国内外に多くのグループ会社を持つことから、グループ統制が重要であると認識しております。そのため、財務報告に係る内部統制を含め、「内部統制システム構築の基本方針」に基づき、内部統制システムを整備・運用しておりますが、グループ会社が行った経営上の意思決定に際し、結果的に法令違反や巨額の損失が発生した場合には、当社グループの社会的信用を失墜し、業績に影響を及ぼす可能性があります。(主なリスク対応策)当社グループは、グループ会社の事業運営の独立性と自立性を尊重しつつ、グループ会社の取締役の職務執行の適正を確保するため、「関係会社管理規程」において、管理項目ごとに報告等の手続き方法を定め、報告を受けることとしております。また、当社グループは、コンプライアンス基本規程として「TOPPANグループ行動指針」を定め、この周知徹底を図ることで従業員の職務執行の適法性を確保しております。そのために、当社法務本部コンプライアンス部を中心に、グループ会社の法務部門等と連携し、グループ全体の法令遵守と企業倫理の確立を図るとともに、国内では行動指針推進リーダー制度を導入し、各職場での浸透活動を展開しております。なお、2025年度においては、より効果的な浸透活動を行う観点から、各部門の部門長クラス全員を推進責任者とする新制度への見直しを実施いたしました。海外においては、ガバナンス上必要な規程類や手続きを明確にした「オペレーティングガイドライン」を発行しております。このガイドラインは毎年見直しを行い、遵守状況の確認も実施しております。さらに、当社の内部監査部門が、定期的に当社及びグループ会社における業務執行状況を監査し、その結果を代表取締役、取締役会、監査役会及びグループ会社の取締役等に直接報告しております。 ⑥不祥事(重大な不正、不適切な行為等)、コンプライアンス違反(談合、贈賄、その他法的規制違反)に関するリスク(リスクの概要)当社グループは、国内外で多くの拠点を持ち、多種多様な業界にわたる多くの得意先と取引をしていることから、関連する法令や規制は多岐にわたっております。事業活動を行うにあたり、会社法、金融商品取引法、税法、独占禁止法、取適法、贈賄関連諸法などの法規制に従うほか、免許・届出・許認可等が必要とされるものもあります。万一、従業員による重大な不正や不適切な行為等の不祥事があった場合、あるいはコンプライアンス違反があった場合には、法令による処罰、損害賠償の請求だけでなく、社会的信用の失墜、得意先や取引先の離反などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(主なリスク対応策)当社グループは、従業員一人ひとりの遵法精神と企業倫理に基づく行動のあり方を示した「TOPPANグループ行動指針」を制定し、この行動指針の徹底こそがコンプライアンスの実践であると考えております。そこで、国内では行動指針推進リーダー制度を導入し、各職場の行動指針推進リーダーを中心として、日常業務レベルでの行動指針の浸透・徹底を図っております(2026年度より新制度へ移行)。海外においては、「オペレーティングガイドライン」を通じて、不祥事やコンプライアンス違反を防止するための具体的な手続きを海外子会社と共有しております。また、海外従業員のコンプライアンス意識向上を図るため、「ガバナンスニュースレター」を毎月配信し、不祥事やコンプライアンス違反のリスク低減に努めております。また、談合・カルテル、取適法違反、贈賄などを防止するため、研修や監査を実施するなど、従業員のコンプライアンス意識向上のための施策を実施しております。当社グループは、法令違反の早期発見と迅速かつ適切な対応を行うため、グループ共通の内部通報窓口を設置しております。なお、2025年度は、2026年12月施行予定の公益通報者保護法の改正に先立ち、内部通報に関する社内規程上で、通報妨害の禁止や通報対象者の拡大を含んだ改定を実施しております。 ⑦ビジネス環境や他社との競争等、市場環境の変化に関するリスク(リスクの概要)当社を取り巻く市場環境は、為替変動や地政学リスク、社会のグローバル化や近年急激に進むAI等の情報技術の革新、ネットワーク化の進展のほか、地球環境保全などサステナブル意識の高まりなどにより大きく変化しております。これらの市場環境変化に対する施策が不十分である場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(主なリスク対応策)既存印刷事業の需要が減少する中、グローバルで市場成長が見込める事業への転換や新事業の創出を進めるとともに、低収益事業に対する構造改革を強化していくことにより、事業ポートフォリオの変革を推進しております。具体的には、海外パッケージ事業において、グローバルでの競争優位確立に向けた供給体制の構築を進めております。グローバルセキュア事業においては、政府系ソリューションを中心に事業拡大に必要なプラットフォーム構築を進めております。半導体関連事業においては、需要増に応じた生産体制の構築を進めるとともに、次世代製品の事業化に向けた開発を推進しております。新事業においては、競争優位を持つテクノロジー・ビジネスモデルを核に、ヘルスケア、センサ関連などの領域で、事業化を推進してまいります。 ⑧市場性のある有価証券の価格変動に関するリスク(リスクの概要)当社グループは、市場性のある有価証券を保有しております。従って、株式市場及び金利相場等の変動によっては、有価証券の時価に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(主なリスク対応策)当社グループは、政策保有株式について資産効率向上を目的とし縮減する方針をとっており、中期経営計画においてその縮減目標を定めております。保有については、事業運営面と投資資産としての価値の両面から総合的に分析し、その保有の合理性について定期的に検証を行うとともに、保有先の財務状況等を把握することでリスクの低減に努めております。また、その状況については取締役会に報告するとともに、保有意義の薄れた銘柄については売却の判断を行っております。 ⑨外国為替相場の変動に関するリスク(リスクの概要)当社グループは、グローバルに事業活動を行っており、為替相場の変動は当社グループが現地で販売する製品の価格、現地生産品の製造・調達コスト、国内における販売価格にも影響を与えることが想定されます。また、海外での売上収益、費用、資産・負債等は、連結財務諸表を作成する際に円に換算されるため、結果として換算する時点での為替相場の変動に影響され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(主なリスク対応策)当社グループでは、為替相場の変動について、リスク管理のガイドラインを制定し、グループ全体で為替リスクの軽減に努めております。事業の中で発生する為替変動リスクは取引の中で極力吸収することに努めるとともに、為替予約等のヘッジ手段も適宜活用しながら為替変動リスクを最小化することに努めております。 ⑩提携や企業買収等、事業戦略やグループ戦略に関するリスク(リスクの概要)当社グループは、事業戦略やグループ戦略の実現に向け、他社との戦略的提携、合弁事業、投資を実施しており、将来におきましても、他の企業を買収する可能性があります。このような活動は、新技術の獲得、新製品の発売、新規市場参入のためには重要です。しかし、様々な要因により、提携関係を継続できない場合や、当初期待した効果を得られない場合など、事業戦略やグループ戦略を実現できない場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。(主なリスク対応策)当社グループは、各投資の実行に際しては、少額出資検討会、投資・契約検討会、経営会議等の承認プロセスを経て投資判断を行っており、出資等の実行後も定期的にモニタリングを実施しております。また、特に出資先がスタートアップ企業や海外の企業等の場合は、必要に応じて外部の調査機関も活用し、十分なデューデリジェンスを行った上で投資を実行しております。しかしながら、当初想定どおりの効果(回収)が得られないと判断された投資案件は、改善プランを策定し、改めてリスク等の精査に基づく挽回策を実施しておりますが、その上でなお成果が得られないと判断した場合は、事業戦略やグループ戦略の見直しを検討するとともに、株式売却や清算等もやむなく実施してまいります。こうしたケースは知見やノウハウを蓄積するための重要な機会であり、内容の精査・原因分析を通じて次の投資検討案件へのリスク低減と成功確率を高める活動へつなげてまいります。 ⑪研究開発投資の損失等、製品の研究開発上のリスク(リスクの概要)当社グループの研究開発活動につきましては、「第2 事業の状況 6 研究開発活動」に記載のとおりであります。当社グループは、各事業分野の新商品開発をはじめ、コストダウン、品質ロスミス削減へ向けての研究開発、さらに産官学との連携を図りながら中長期の収益の柱となる新規事業の創出のための研究開発にも投資をしております。しかしながら、予測を超えた市場の変化、投資先・アライアンス先の業績悪化、事業化や上市のタイミングの遅れ、AI関連技術の急速な進化により研究開発中の製品・サービスの競争優位性が低下することなどにより、研究開発投資が十分な成果をもたらさなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(主なリスク対応策)当社グループの研究開発活動の管理を担う技術開発本部を設置しております。技術開発本部では、グループの研究開発による新事業創出の確度向上を目的とし、事業化の蓋然性に応じた追加投資の優先性や要否判断による経営リソースの有効活用、グループ保有の情報やアセットの活用強化・促進を実施しております。さらに、追加投資対象の研究開発テーマに対し、定期的な進捗確認により抽出した課題をもとに、開発リソースの最適化を図っております。なお、AIに関する案件については、当社の「全社AI推進室」と連携の上、研究開発テーマにおけるAI活用の可能性及び競争優位性への影響を適宜検証し、必要に応じて開発方針及び経営リソース配分の見直しを行っております。 ⑫事業の発展を支える人材確保等に関するリスク(リスクの概要)当社グループが将来にわたり事業を発展させていくためには、既存製品における高品質化と、高度な新技術導入による新製品・新サービスの開発が重要であると認識しております。とりわけ、急速に発展するAI技術の進展への適用並びに活用は重要な課題と認識しております。そのためには、高度な技術力・企画提案力・適応力を有した優れた人材が不可欠です。当社グループは計画的な人材の採用と育成に向けた教育に注力しておりますが、優秀な人材を確保または育成できなかった場合には、当社グループが将来にわたって成長し続けていくことができない可能性があります。(主なリスク対応策)当社グループでは、効果的な採用広報により、当社グループに関心を持つ人材の母集団形成を図るとともに、就業型インターンシップの導入、ジョブマッチング採用、コース別採用、リファラル採用、カムバック採用など、新卒採用と経験者採用の両面において様々な採用チャネルを構築し、幅広い領域の人材を採用しております。また、社内の人材開発プログラムを常に更新し、基礎的能力から実践的スキルまで一貫して習得する場を提供し、事業を牽引する人材を育成しているほか、人事処遇や働き方の改革により従業員のエンゲージメント向上に努めております。また、全社員に向けたAIリテラシーの向上に向けた実践教育や、AIエージェントの導入・活用による業務変革・改善を推進しております。さらに、タレントマネジメントシステムを導入し、成長事業への円滑な人材シフトやローテーションを実現させる基盤を構築することで、事業の発展を支える人材が、自身の強みを発揮し、活躍できる事業基盤の強化につなげてまいります。 ⑬財務に関するリスク(リスクの概要)資金調達に関しては、事業活動の資金を営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの借入や社債の発行等により調達しております。資金需要の一部は、事業計画に基づき外部から調達する場合がありますが、金利情勢の大幅な変化や格付け機関による当社の債券格付けの引下げ等が生じた場合、資金調達コストの増加や必要十分な追加資金を調達することができない可能性があります。棚卸資産に関しては、環境変化による需要の減少等で市場価格が大きく下落した場合や経年劣化した場合、棚卸資産の評価損が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。売上債権に関しては、多種多様な国・地域及び業界の得意先と取引をしておりますが、得意先の経営不振等により、多額の債権の回収が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。(主なリスク対応策)資金調達に関しては、事業計画に基づく資金調達を円滑に遂行するため、資金調達手段と調達期間を適切に分散しております。金利上昇リスクに対しては、金利スワップ取引等を活用しリスクの低減を図っております。また、有事の際においても事業継続に必要な資金調達を可能とするため、格付けの維持にも資する健全な財務体質の維持・強化に努めております。さらに、金融市場の動向に関する最新の情報と事業環境の分析に基づき、資金計画の見直しを適時に行っております。棚卸資産に関しては、営業部門、製造部門、管理部門が連携し、販売促進による回転効率の向上及び棚卸資産の品質と管理状況の定期的なチェックによる品質の保持を徹底することで、不良棚卸資産発生と長期在庫化のリスク回避に努めております。売上債権に関しては、リスクマネジメントや与信管理に関する社内規程等に基づき、各国及び取引先ごとに与信限度額を設定するとともに、定期的な与信の見直しを行っております。加えて、回収遅延や信用不安が発生した場合には、迅速に債権保全策を講じ、貸倒リスクの回避に努めております。 ⑭情報セキュリティに関するリスク(リスクの概要)当社グループでは、事業の一環として得意先から預託された機密情報や個人情報の収集・保管・運用を行っております。特に、BPO事業につきましては、政府・地方自治体や企業等のアウトソーシング需要の取り込みにより、取り扱う情報量が増加しております。また、当社グループが推進するDXにおきましては、データの収集・分析を通じた製品・サービスの提供をビジネスモデルとして実施しており、個人情報を含む情報の利活用を進めております。DXを推進し、得意先の重要情報を取り扱う当社グループにとって、サイバー攻撃及び当社グループ社員もしくは業務の委託会社等の不正行為等による情報の不適切な取り扱いや情報漏洩の発生は、特に重大なリスクであると認識しております。ランサムウェア攻撃をはじめとして、最近ではあらゆるものがネットにつながる「IoT」やネットワーク機器の脆弱性をついたサイバー攻撃が急増し、攻撃手法も高度化・巧妙化しております。また、生成AI技術の普及・進化を受け、生成AIやAIエージェントが組み込まれたシステム・機器の活用を当社グループにおいても積極的に推進しております。しかしながら、これらに対するサイバー攻撃により、情報漏洩や生成AIモデル(LLM)の改ざんによる不正な振る舞い、不正な指示を受けることでの遠隔操作やシステム停止などにつながる脅威が増大しております。万一、サイバー攻撃や不正行為等により情報漏洩やデータの破壊・改ざん、システム停止、サービス停止などの被害が生じた場合には、当社グループの社会的評価が悪影響を受け、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(主なリスク対応策)機密情報や個人情報を含む重要な情報については、厳重な情報セキュリティ管理体制により管理しております。具体的には、当社グループにおいては、「TOPPANグループ情報セキュリティ基本方針」のもと、国内外の法規制及び情報セキュリティに関する規格をもとにした規程を定め、法改正等に合わせた規程類の改定整備や、当社グループ各社のセキュリティ対策状況、成熟度の評価・改善指導を適宜行っております。また、従業員等に対しての定期教育による当該規程類の周知や、内部監査及び委託先監査による遵守状況の確認、改善指導も行っております。外部からのサイバー攻撃等による情報漏洩やシステム停止に対する対策としては、端末の振る舞い検知や不正接続端末の遮断、ネットワーク監視、クラウド基盤統制等の技術的な対策の実施に加え、標的型攻撃メールや各種インシデントへの対応、開発部門や製造部門等の特定部門での対応力強化のための教育など、全従業員対象及び各職種・各階層に合わせた教育を実施し、教育、訓練・演習、診断・評価のサイクルを回しながら定着を図っております。生成AIやAIエージェントの脅威に対しては、利用者向け・開発者向けガイドラインの策定や従業員教育を行うことでリスクが高い利用を抑制し、シャドーAI(未許可のAI利用)の検知・監視により情報漏洩や不正アクセスを防止いたします。また、重要情報を取り扱うエリアを限定しかつ業務監視を行うなど漏洩対策を実装し、適宜強化・最適化を行っております。さらに当社グループのサービスの脆弱性の監視やサイバー脅威情報を収集・評価・分析し対策に反映させる運用体制を整備するとともに、インシデント対応のためのCSIRT機能(Computer Security Incident Response Team)である「TOPPAN-CERT」(当社グループ全体を対象)が関係機関等と連携してサイバーリスク低減に取り組んでまいります。 ⑮製品、デジタルサービスの品質に関するリスク(リスクの概要)当社グループは、全ての製品及びデジタルサービスの提供において品質管理を最重要課題の1つと位置づけ、事故やクレームの未然防止に努めております。しかし、万一、重大な品質問題が発生した場合、事業に多大な影響を及ぼす可能性があります。製品においては、安全性が損なわれた状態で市場に流出した場合、顧客と連携し自主回収(リコール)が必要となる可能性があります。この場合、多額の回収費用や賠償費用の発生に加え、社会的信用の失墜により、事業活動や業績に影響を及ぼす恐れがあります。デジタルサービスにおいては、ITシステムの不具合、機器故障、または人的ミスなどによる機能不全が発生した場合、顧客と合意したレベルでサービスが提供できなくなる可能性があります。この場合も同様に、多額の賠償費用が生じるほか、社会的信用の失墜により、事業活動や業績に影響を及ぼす恐れがあります。また、AI活用においては、製品、デジタルサービスともに、AI特有の不確実性やデータの偏りに起因する予期せぬ動作・事象などにより、安全性や信頼性を損なうリスクがあります。(主なリスク対応策)当社グループでは、「TOPPANグループ品質基本方針」に基づき、各事業において国際規格に準拠した品質マネジメントシステムを構築・運用し、品質管理の徹底と継続的改善を推進しております。製品においては万一、重大な品質事故が発生した際には、製造本部品質保証センターが中心となり、原因究明と再発防止策を指導、全社展開を行う体制を整えております。また、特に高い安全性が求められる食品関連及びヘルスケア関連事業においては、当社が制定する「品質保証ガイドライン」及び「品質監査チェックシート」を用いた事前監査を実施し、独自の製造許可認定制度を採用することで、品質事故の未然防止を徹底しております。デジタルサービスにおいては、当社グループ内で統一したルールを定め、当社のサービス品質統括室が中心となり、サービスのライフサイクル全体を通じて、品質やリスクの管理を徹底するとともに、継続的な改善を全社的に推進しております。また、AI活用にあたり、「TOPPANグループAI倫理方針」に従い、データの妥当性検証や人による監視プロセスを組み込むことで、AI特有の誤作動やバイアス等のリスク最小化に努めております。 ⑯サプライチェーンに関するリスク(原材料の供給問題、不適正な発注、取引先の不正行為等)(リスクの概要)当社グループは事業に必要な原材料・エネルギーの調達や、パートナー企業との協業・業務委託により製品・サービスを提供しております。これらの事業活動を安定的に継続するためには、当社グループのリスク対策を踏まえて、原材料やエネルギーを適正な価格で安定的に確保するとともに、サプライチェーン全体の安全性・信頼性を維持することが重要です。しかしながら、当社グループのみならず、サプライチェーンにおいても、昨今の中東情勢に見られるように、戦争や紛争及び国家間対立をはじめとした地政学的リスクによる価格高騰や供給制限、エネルギー価格の高騰や物流の混乱、サイバー攻撃等による取引先のシステム障害・情報漏洩、さらには当社またはサプライチェーン上の企業におけるコンプライアンス違反や法令違反の発生等により、取引の停止、供給の遅延、事業活動の一時的な停滞等が生じる可能性があります。これらの事象が発生した場合、原材料やエネルギーの安定的な調達や製品・サービスの提供に支障が生じるほか、社会的信用の低下や追加的な対応コストの発生等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (主なリスク対応策)当社グループでは、原材料・エネルギーの安定調達及びサプライチェーンの信頼性確保に向け、サステナブル調達の取り組みを推進しております。具体的には、社会的要請や国際的な規範を踏まえ「TOPPANグループ サステナブル調達ガイドライン」を策定し、サプライヤー及び協力会社と共有するとともに、人権・労働・環境・腐敗防止などに関する取り組み状況の確認や対話を通じて、サプライチェーン全体での持続可能な調達体制の強化に努めております。また、自然災害や社会情勢の変化等による供給途絶リスクに備え、サプライヤーや協力会社との連携による事業継続体制の確認や、重要な原材料・部材について複数の調達先を確保するなど、調達リスクの分散を図っております。エネルギー調達については、再生可能エネルギーの導入を推進するとともに、複数の供給元の確保等により安定的な調達体制の構築を進めております。さらに、取引の透明性及び公正性の確保に向けて、サプライヤーや協力会社との継続的な対話を通じた課題把握を行うとともに、相談・通報窓口として「サプライヤーホットライン」を当社コーポレートウェブサイト上に設置しております。また、「パートナーシップ構築宣言」の社内外への周知に加え、取適法をはじめ取引関連法規に関する社内教育及び監査を通じた確認・是正活動を実施するなど、サプライヤーと協力会社との信頼関係の構築と健全な取引関係の維持に努めております。加えて、サプライチェーンにおけるサイバーセキュリティやコンプライアンスに関するリスクへの対応として、社内規程の整備や教育・啓発活動の実施、サプライヤーや協力会社との協働によるリスク低減活動などを進め、サプライチェーン全体のリスク把握と管理体制の強化に取り組んでおります。これらの取り組みにより、事業環境の変化に適切に対応しつつ、安定的な事業運営の確保に努めております。 ⑰労働安全衛生に関するリスク(火災、労災、労働法規違反、労務トラブル等)(リスクの概要)当社グループでは、従業員を会社の貴重な財産、すなわち「人財」と捉え、「企業は人なり」という理念のもと、従業員が「やる気」「元気」「本気」の3つの「気」を持つことで、従業員がそれぞれの力を十分に発揮することが大切であると考えております。それを実現するために、従業員の労働については、国の政策や法制度の動向を踏まえ、労働組合と協議しながら、様々な施策を展開しております。また、「安全は全てに優先する」を第一義とする「安全衛生・防火基本方針」をグループ会社一丸となって、安全衛生・防火活動に取り組むべく、2025年10月に改定しております。労働安全衛生において、労働法規違反により当局から行政処分などを受けた場合や、労務・安全衛生・防火の管理において不備があった場合は、当社グループの社会的評価に悪影響を与える可能性があります。また、火災や労働災害が発生した場合、従業員や事業所の設備等が大きな被害を受け、その一部または全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があり、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業活動、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。(主なリスク対応策)当社及び当社グループでは、従業員が心身ともに健康で、安心して能力を発揮できる職場環境の整備を経営の最優先事項の1つとして掲げ、昨今の多様化する労働リスクへの対応や、グローバルなサプライチェーンにおける社会的責任への期待に応えるべく、国際標準に基づいた客観的な評価・改善プロセス導入を目指し、2025年3月に労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格であるIS045001の認証を4製造会社・4工場で取得、2026年3月には国内7製造会社・44工場へとその適用範囲を拡大いたしました。日本国内の事業所においては、安全師範や安全推進担当者を配置し、安全意識の浸透を図るべく、リスクアセスメントなどの安全勉強会等を開催しております。また、安全に対する意識と危険に対する感受性の向上を目指すため、「挟まれ・巻き込まれ」や「発火・爆発」などを実際に体感することができる「安全道場」を国内外の主要製造拠点に開場しており、RST資格保持者による職長教育を中心とした階層別教育も行っております。また、従業員の健康増進の観点から、健康保険組合と連携し、ヘルスアップ推進委員を中心に各拠点でヘルスアップ活動を推進しているほか、従業員の働きがいの向上に向け、「フレックス勤務制度」や「リモートワーク制度」による働き方改革を進め、従業員が自律的かつ効率的に業務を行える環境を整備しております。一方で、グループ全体での労働時間や年次休暇の取得状況を把握できる体制・システムを構築し、生産性向上による労働時間の短縮を目指すとともに、法令順守の体制を構築しております。 ⑱特許権や著作権等の知的財産権を侵害するリスクまたは侵害されるリスク(リスクの概要)当社グループは、知的財産・無形資産を事業競争力の源泉となる重要な経営資産と位置づけ、マーケット志向と研究開発活動を一層密着させた知財戦略をもとにグローバルな視点での積極的な知財活動を展開しております。しかしながら、当社グループの技術等が、見解の相違等により他者の知的財産権を侵害しているとされる可能性や訴訟に巻き込まれる可能性があります。また、他者が当社グループの知的財産を不正使用することを防止できない可能性や、侵害を防ぐための対応が成功しない可能性があります。さらに、当社グループは、お客さまに印刷物や商品パッケージのデザインを提案する業務において、著作物を日常的に取り扱っております。また、近年では、当該提案業務において生成AIを用いることがあります。そのため、当社グループが取り扱う著作物の権利について、事前かつ十分に処理状況を確認できなかった等の理由により、他者の著作権を侵害しているとされる可能性や訴訟に巻き込まれる可能性があります。(主なリスク対応策)当社グループは、他者の知的財産権を尊重し、事業を行う際には侵害回避や予防策として、最新のAI技術を調査・分析に活用しながら適切な措置を講じます。特に、他者の知的財産権を継続的に調査・経過観察することにより、他者の知的財産権を侵害するリスクを未然に防止しております。当社グループは、各国における知的財産権に関する法律や規制を遵守するとともに、第三者による知的財産権への侵害行為に対しては、AIを用いたモニタリング等を通じて検知精度を高め、適切かつ正当な権利行使を行ってまいります。また、知的財産に関する階層別の社内教育を定期的に実施して、他者の知的財産権の尊重とその重要性について社内に周知徹底しております。さらに、著作権教育についても、社内をはじめ、委託先である外部デザイナーに向けて定期的に実施し、事前かつ適切な著作権処理を徹底しております。また、生成AIに関しては、利用ガイドラインを設け、社内に周知徹底することにより、適正な生成AIの利用を行っております。これらにより、他者の著作権を侵害するリスクを未然に防止してまいります。 ⑲地政学に関するリスク(リスクの概要)当社グループは、グローバルに事業活動を行っており、今後も海外市場への事業拡大を重点戦略の1つとして展開いたします。事業展開する国や地域における政治及び経済面における不安定さは、当社グループの事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。昨今の中東情勢に見られるように、戦争や紛争及び国家間対立をはじめとした地政学リスクは近年特に高まりを見せており、先行き不透明感が増しております。加えて、そのような状況から派生した原材料やエネルギーの調達困難や価格高騰、輸出入規制の強化、資金決済への制限など、当社グループのビジネスにも影響が及んでおります。紛争の長期化や激化、新たな戦闘や抗争による事業停止や撤退など、さらなる影響を受ける可能性があります。(主なリスク対応策)情勢の変化を見ながら当社グループへの影響分析、評価を行い、特に重要な海外地域については綿密なBCP策定をするなどの対策を講じております。紛争等がビジネスに広範な影響を及ぼすと判断した場合には、原材料の調達状況や中期経営計画への影響度などの情報を即座に集約し、経営判断に直結させる体制を構築しております。また平時より、事業を営む国、進出する国のカントリーリスク評価を行い、関連情報を継続的にモニタリングし、リスク変化に対してより柔軟に対処できる組織体制を整えております。このカントリーリスク評価の手続きでは、当社グループのリスクアペタイト基準が定められており、リスクの大きさに沿って、検討・対応すべき内容や事業進退の判断が、客観的なデータや情報をもとにできる仕組みとなっております。万一、不測の事態が発生した場合には、日本政府(外務省)やアメリカ政府(国務省)などが発表する海外安全情報(渡航情報)や現地からの報告をもとに、全従業員の健康・安全確保の対策を直ちに講じ、場合によっては現地からの退避を速やかに実施してまいります。また同時に、サプライチェーンへの影響を極小化するよう、重要な原材料・部材やエネルギーについては、複数の調達先・供給元の確保等により、グループ全体で最適な事業環境を保てる施策を講じるとともに、内容の改善・見直しを継続してまいります。 (5) 新興リスク 当社グループは、「事業等のリスク」として認識しているリスクに加え、現時点ではその発生可能性や影響度が高くないものの、将来的に当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性のある新興リスク(Emerging Risks)についても、その動向を継続的に注視し、認識に努めております。現在認識している主な新興リスクは以下のとおりであります。 ①米国における政策及び経済情勢の変化による影響 米国の自国優先の姿勢及び他国への厳しい姿勢は一段と強まっております。これまでの制裁措置にとどまらず、ベネズエラ、イランで発生した事象に見られるような直接的圧力も生じております。こうした不透明な地政学的リスクの拡大は、世界経済の不安定化を招く懸念があり、当社グループのグローバルな事業環境に深刻な影響を及ぼすリスクとして、重大な関心を持って注視しております。 また、中国に対しては極めて厳しい対応が継続されており、現地の製造業をはじめとする実体経済に多大な影響を与えていると認識しております。当社グループは、中国国内の拠点に大きく依存する事業構造ではありませんが、取引先の多くがサプライチェーンや販売において同国市場と深く関わっていること、さらに、経済安全保障の観点から米国による対中規制のさらなる強化及びそれに各国政府が追随する事態も想定されることから、その動向を注視してまいります。 これら不透明な外部環境に備え、関連情報の収集体制及びサプライチェーンにおけるリスク把握の強化を継続して進め、いかなる事態においても経営のレジリエンスを確保できる体制整備に努めてまいります。 ②AI技術の発展と社会実装に伴う影響 当社グループでは、AI技術の急速な発展に伴う倫理的・法的課題やビジネスモデルの変容を早期から新興リスクとして認識し、グループ横断での対策を講じております。これまで「TOPPANグループAI倫理方針」の策定と役職員への教育、各事業部門での事業影響分析などを通じて、適切なガバナンス体制の整備・運用を続けてまいりました。こうした対応が浸透する一方で、当社グループ内の各組織へもAIによる業務変革が浸透しており、その活用方法次第で、組織のレジリエンスや長期的な競争力に負の影響を及ぼすリスクが内在していると捉えております。AIのメリットを最大化しつつ、以下の新興リスクを適切に認識・コントロールすることで、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。業務の正確性と継続性:AI特有の誤情報(ハルシネーション)に起因する判断ミスや、社内基幹業務への過度な依存によるシステム障害時の事業継続リスク。人的資本と組織力:AIに対する行き過ぎた依存が社員の思考プロセスや経験蓄積を阻害することで、人財育成が停滞し、不測の事態に臨機応変に対処できる組織の柔軟性が失われるリスク。社会的責任の遂行:AI活用による必要以上の効率化により、地域雇用や人財開発といった社会的役割を果たす機会が損なわれ、中長期的な社会との共生に影響を及ぼすリスク。