経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。 <目次>(1) 経営の基本方針(2) 「住友の事業精神」による住友不動産グループの「持続的成長戦略」① 市況の変化に強く利益が下振れしにくい強固な事業基盤イ. 東京は世界最大、最優良のオフィス市場ロ. 「金の卵を産む鶏」=プライム資産ハ. 当社独自の「オフィスデパート戦略」② 積極的な成長投資による賃貸事業の大幅拡充イ. 最大の成長エンジン:東京ロ. 第2の成長エンジン:インド・ムンバイ③ 持続的成長が、持続的株主還元増、持続的賃上げをもたらすイ. 持続的な株主還元増ロ. 持続的な賃上げ④ 持続的成長と企業価値向上を促すガバナンス体制の強化イ. 経営体制改革ロ. 政策保有株の縮減および持続的成長戦略への有効活用⑤ 持続的成長に資する新たな成長分野イ. 既存住宅事業(リフォーム・流通)の強化ロ. 国内の開発分譲型事業を「マンション分譲事業」と「収益物件分譲事業」の二本柱に(3) 第十次中期経営計画の進捗① 第十次中期経営計画骨子② 第十次中期経営計画1年目を終えて今後の課題への対処イ. 金利上昇に負けないオフィスビルの賃料改定ができるかロ. 建築費上昇や工期長期化への対策はあるかハ. 新築分譲マンション事業環境の見通しとその対策はあるか (1) 経営の基本方針430年の歴史「住友の事業精神」を継承した経営理念当社は、住友本社を継承した住友グループの総合不動産会社として、430年もの歴史を刻む“住友の事業精神”を経営理念としています。世界で最も永続している企業グループの一つである住友グループは、「信用を重んじ、浮利を追わない」、「自身を利するとともに社会を利する」といった事業精神を脈々と受け継いでおり、住友不動産グループでも、これら先人の教えを踏まえ、信用を大切に、目先の利益を追わず、自己利益の追求による経済価値だけでなく、先々まで世に必要とされる持続的な社会価値をも一体的に創出することを理念に掲げています。この理念に即し、当社は、『より良い社会資産を創造し、それを後世に残していく』ことを基本使命とし、各事業を通じて環境をはじめとする様々な社会課題の解決に取り組みつつ、企業価値の最大化を目指すことを経営の基本方針としています。さらには、この企業姿勢をコーポレートスローガン『信用と創造』として掲げ、そして、ステークホルダーの皆様との信頼関係を大切に、且つ、高い目標を掲げ、新たな発想で新分野に挑戦し、“新しい価値を創造”することを行動指針として事業展開を進めています。 (2) 「住友の事業精神」による住友不動産グループの「持続的成長戦略」当社は、市況の変化に強く利益が下振れしにくい強固な事業基盤を築くとともに、常に成長のための投資を怠らず、一過性の利益に頼らない持続的な成長を成し遂げ、その果実として持続的な株主還元増と賃上げを可能にするという「持続的成長戦略」を経営の根本としています。 ① 市況の変化に強く利益が下振れしにくい強固な事業基盤当社のこれまでの成長を支えてきた原動力は、東京都心のオフィスビルを中核とした不動産賃貸事業です。不動産賃貸事業の営業利益は当社全体の7割近くを占め、まさに、大黒柱として企業価値の根幹を成しています。当社は、1970年代初頭からおよそ半世紀にわたり、東京都心に特化したオフィスビル開発を推進、事業基盤を拡充してまいりました。これまで様々な環境変化を経てきましたが、首尾一貫して資産売却による一時的な利益を追わず、開発用地を自ら創り出してビルを開発、保有賃貸して長期安定的な賃貸利益を蓄積するという長期視点による経営方針を貫き、継続しています。その結果、景気の動向に耐性のある強固な収益構造を確立しています。 東京都心の賃貸ビルを中心としたプライム資産を保有し安定収益を積み上げることは、当社の持続的成長において最も重要な基本戦略です。当社は、「世界最大、最優良のオフィス市場である東京」で、立地や規模の希少性が高く高収益で、今後も得難く持ち続ける意義のある「金の卵を産む鶏」=プライム資産を、他社には真似できない当社独自の“オフィスデパート戦略”のもと積み上げてきたことで、競争力の高い事業基盤を築いてまいりました。今後も長期的な競争力強化のため、プライム資産をさらに積み上げてまいります。 当社は、大型用地の希少な東京都心において、細分化された土地を買い纏めたり、地権者の権利関係を調整する再開発の手法を用いて土地を創り出しています。今ではこの「土地を創る力」こそが当社最大の強みであり、企業価値創出の源泉となっています。当社は、「土地を創る力」をはじめこれまで培ってきた経営基盤や強みを活かし、さらなる収益力の拡大と企業価値の向上を目指してまいります。 イ. 東京は世界最大、最優良のオフィス市場 a. 東京はニューヨーク、ロンドンよりも大きい、世界最大のマーケット東京のオフィス総床面積は1,750万坪で、ニューヨーク、ロンドンを上回る世界最大の市場規模であるとともに、過去20年間の平均空室率が約5%、直近空室率2.2%と極めて安定しており、世界最大・最優良のオフィスビルマーケットです。東京,NY,ロンドンのオフィス総床面積東京(都心5区)空室率と賃料の推移 b. 建替え再開発が中心であり、オフィス床のネット供給増は差引年間1%未満近年の東京では、都市防災を強化して社会基盤整備を進めるため、容積緩和などのインセンティブが付与されるのを受け、都心一等地の建替型再開発が進んでいます。しかしながら、追加付与される容積率の多くは商業床やホテル床などに充当することが義務付けられ、新しいオフィス床の増加は限定的で、取り壊される旧オフィス建物の滅失面積を差し引いたオフィス床のネット供給量は、直近20年間で年1%程度の増加に留まっており、長期的に見れば需給関係はバランスが取れたものとなっています。 オフィス総床面積の推移(東京23区) c. 大企業が集結、多様な産業が揃う世界に類例のないマーケット日本の大企業(時価総額上位 100 社)の8割は東京に本社を置き、本社を地方に置く大企業も東京本社を併設していることが一般的です。これに対し、ニューヨークでは1割強、ロンドンも5割に留まっています。 また、業種別に見ても製造、サービス、情報通信、金融など、東京には多様な業種が集結しており、金融業が中心のニューヨークなど、産業クラスターが諸都市に分散する諸外国とは大きく異なっています。このため、オフィスニーズも裾野の広い安定した構造となり、業種ごとに好不況はあっても、縮む業界の床を伸びる業界が吸収し、その結果、需給が安定し、諸外国と比べ相対的に空室率は低水準に留まっています。 東京の企業集積(時価総額上位100社の本社所在地と業種) d. 充実した都市交通インフラゆえ、都心の希少価値が揺るがない東京都心の交通手段で核となる環状山手線に、四方から鉄道網 42 路線が接続され、安全かつ正確な時間で運行される鉄道インフラを利用して、首都圏全方位から通勤者が都心に集まっています(首都圏オフィスワーカーの8割超が公共交通機関を利用)。この効率的な交通インフラのおかげで、企業にはオフィスを郊外に移転する積極的メリットが生じず、結果、東京には将来にわたって動くことのない都心が形成され、東京都心の希少価値は揺るがないものとなっています。 都心への交通インフラ網ターミナル駅の乗降客数 e. 構造的・継続的な人口流入 首都圏には多くの企業や大学、ホテル、病院、充実した商業施設など、人が集まる魅力があります。そのため、首都圏の人口は、長期間にわたり流入超過となっており、しかも、その牽引役は20 歳前後の若年層となっています。東京に集積する大学への地方からの進学者は変わらず多く、卒業後もそのまま東京の企業に就職する傾向が長年にわたり定着し、大学、企業の集積が人を呼び、人の集積が企業を呼び込む好循環となっています。人口流入超過数 ロ. 「金の卵を産む鶏」=プライム資産この世界最大・最優良の東京オフィスマーケットにおいて、当社は床面積規模でNo.1の地位にあります。また、保有延床150万坪超のポートフォリオの中でも、立地や規模の希少性が高く、今後も得難く持ち続ける意義のある「金の卵を産む鶏」をプライム資産と定義しており、こうしたプライム資産を保有することで毎年生み出される潤沢なキャッシュフローが当社の持続的利益成長の源泉となっています。 ■主なプライム資産 ハ. 当社独自の「オフィスデパート戦略」当社は不動産賃貸事業の中核を担うオフィスビル賃貸事業において、賃貸オフィスビルポートフォリオの大部分(95%)が東京23区に、84%がビジネス主要エリアの集中する東京都心部(都心7区)に所在しています。また、その多くは、主要な鉄道路線・地下鉄駅の至近に位置し、ビジネス拠点として優位なアクセス利便性を有しており、当社ビルに入居する約1,800社のテナント企業は、大企業からベンチャー企業まで企業規模や業種が多岐に渡り、景気や社会の変化に耐性が強く安定した収益の確保を実現しています。 ◇ 規模の多様性…大企業からベンチャー企業まで対応◇ 立地の多様性…都心各エリアに展開しており、各業界の多様なニーズに対応 ② 積極的な成長投資による賃貸事業の大幅拡充当社の最大の成長エンジンは東京都心の大規模再開発事業であり、六本木、八重洲、築地、池袋、飯田橋など、当社所有予定延床約60万坪に既投資額を含め2.6兆円超を投じる計画です。また、第2の成長エンジンとして、インド・ムンバイに既投資額を含め1兆円を投じます。交通インフラの整備が急ピッチで進められ、将来、東京都心部に匹敵するビジネスエリアに進化する可能性を強く感じさせるムンバイで、延床約50万坪の開発プロジェクトが動き出しています。 イ. 最大の成長エンジン:東京東京都心で完成済稼働物件を取得する場合、通常は2.5~3.5%程度の利回りにしかならないところ、当社は、デベロッパーとしての開発力を発揮してきたことで7%を超える高利回り(NOI利回り)を実現しています。当社の含み益は、この高利回りを時価評価した結果であり、未活用資産の含み益とは全く異なっています。 利便性が高い都心ほど再開発が進み、ビル立地が郊外化していないことからも、事業適地の範囲は自ずと限られてきます。仮に、売却によってプライム資産の含み益を実現したとしても、事業性の高い物件の開発機会を得ることは容易ではなく、単純に「売って利益を出した後で、安く買い直す」ことは極めて困難です。したがって、プライム資産を売却して一過性の売却益を獲得することは、毎年のキャッシュ・フローを減らして、持続的成長を損なうことになると考えています。例えて言えば、鉄道会社が線路を売る、メーカーが最新鋭製品を作る工場を売るのと同じで、当社の主力事業の縮小を意味しており、当社は、プライム資産を一過性の利益を得るために売却するのではなく、寧ろ積み上げていくことが必要であると考えています。 ≪現在進行中の主な開発計画≫プロジェクト名所在地延床面積※ (坪)竣工(予定)八重洲二丁目中計画中央区117,0002029/3期東池袋一丁目計画豊島区47,0002030/3期八重洲二丁目南計画中央区42,000十一次以降(開発推進中)富士見二丁目計画千代田区14,000〃九段南一丁目計画千代田区25,000〃秋葉原駅前東計画千代田区16,000〃後楽二丁目南計画文京区84,000〃築地一丁目計画中央区56,000〃六本木五丁目西計画港区327,000〃 ※当社グループ外の第三者持分を含んだ総延床面積 八重洲二丁目南計画延床面積:42,000坪六本木五丁目西計画延床面積:327,000坪 ロ. 第2の成長エンジン:インド・ムンバイ当社は、2019 年以来、大規模用地を単独で取得し、オフィスビルなどの開発・リーシング・管理まで一貫して行う「東京同様の当社オフィスビル事業」をインド・ムンバイで推進しています。単独出資による事業は、インドの複雑な制度やリスクを直接我が事として理解することで当社なりの工夫の余地が生まれ、リスクを小さく、リターンを大きくできると考えています。この考え方は、当社が従来より、東京都心で、社員自ら多数の地権者と直接交渉し、大きな再開発を次々と実現してきたDNAを引き継ぐものです。当社は、高い経済成長率と市場規模を備えたインド・ムンバイを、“東京に並ぶ一大事業拠点”とすることを目指してまいります。 インドは総人口14.5億人、平均年齢28.4歳の世界最大の民主主義国家であり、2028年には日本・ドイツを抜いて世界第3位のGDPに至ると想定される経済大国です。その中で、マハラシュトラ州都ムンバイは、市域人口約1,840万人を誇り、インドにおける経済の中心地として古くから栄えています。グローバル金融機関のインド本社、インド各財閥の本社が集中しており、現在の都心を中心に公共交通機関の整備が進められているなど、東京と同様、都心が動かない都市構造となっています。インド経済発展の弱点とされていたインフラ面の強化に伴い、今後、経済大国としてのインドの地位はさらに高まることが予想され、ムンバイでは将来にわたり都心のオフィスビル競争力が揺るがないと判断しています。 ① 経済成長■インドの経済成長は近年さらに勢いを増しており、2028年にはGDP世界3位へ(2011年対比の経済成長率では、すでに中国を上回る水準で推移)主要国GDP順位の推移2011年以降の主要国GDP順位の推移インドの1人あたり名目GDPの推移と今後の見通し② 人口■人口世界一、生産年齢人口は全人口の2/3✓総人口は2024年時点で中国を抜き世界1位の14.5億人、平均年齢は28歳 ≪現在の各物件の進捗状況≫■ BKC第1号物件2026年秋の竣工に向けて建築工事は順調に進捗しています。■ BKC第2号物件建築工事に着手済みで、2029年の竣工を予定しています。■ BKC第3号、第4号物件第1号、第2号物件での開発経験を活かし、早期の着工を目指してまいります。■ワーリー商品企画、行政協議など着工に向けた準備を着々と進めています。 BKC第1~4号物件 開発用地 ③ 持続的成長が、持続的株主還元増、持続的賃上げをもたらす イ. 持続的な株主還元増今中計より、毎年得られるキャッシュフローが拡大した結果、借入金を増やすことなく『成長投資』と『株主還元の拡充』を両立できるステージに上がりました。当社は、長期的な収益基盤強化のための積極的な成長投資は継続しつつ、株主の皆様への還元強化のため、利益成長に沿った「持続的増配(累進配当)」を行う方針とし、配当性向35%到達まで年8円以上の累進配当を確約しています。この成長・還元の好循環を永きにわたって継続するためにも、今後も成長投資を怠らず、一過性の利益に頼らず、持続的成長を図っていく方針です。 当期利益と配当の推移 2026年3月期の当期純利益は計画を超過達成しましたので、2026年3月期末の配当に1円追加し、従来計画の年8円増配を9円増配としました(35円→44円)。次期以降も、公約である年8円の累進配当を基本とし、さらに増配ペースを早めるべく利益の上積みを目指してまいります。増配の推移 ロ. 持続的な賃上げ当社の給与制度は、定期昇給がない代わりに、年齢、性別、社歴を問わず、役割と成果のみで評価し、社員の成長に応じて年収を上げる仕組みとしています。言い換えれば、「年収がアップした社員」が多いほど、当社の生産性、企業価値が向上したということであり、「人件費はコストではなく投資」を体現する制度と言えるものです。なお、2025年3月期は5.7%、2026年3月期は 6.0%の賃上げを実現しました。(人材戦略の詳細については、「5.従業員の状況等」をご参照下さい。) <勤続功労株式報酬制度>当社は、2024年12月に住友不動産ハウジング株式会社の従業員向けに勤続功労株式報酬制度を新設し、その後2025年2月に当社グループ従業員全体(退職金制度がある当社またはグループ会社従業員を除く。)に対象範囲を拡大し、現在はグループ従業員約1.4万人のうち1万人が対象となりました。本制度は従業員の毎年の貢献に応じて当社株式の受取権を割り当てるもので、年々当社株の受取権が累増します。また、当社の基本方針である持続的成長によって株価が上昇すれば、さらに受取報酬は増えていきます。本制度により、従業員が大いに力を発揮し、当社の株価上昇によって自らも受取報酬が増加するという好循環を作り出すことができます。 ※> ※実質ROE:株式市場の変動で大きく上下する保有有価証券の評価差益を除く自己資本を分母とする現在の実質ROEは10.6%です。当社は、一過性の資産売却益に依存せず、安定収益であるオフィス賃貸収入を着実に増やし、引き続き安定的に且つ高い利益成長を実現することで、ROEの維持・向上を目指す方針です。 ④ 持続的成長と企業価値向上を促すガバナンス体制の強化 イ. 経営体制改革当社はこれまで、社内取締役の減員と、社外取締役の増員並びに多様性の確保を進め、取締役会の監督機能を継続強化してまいりました。2020年に執行役員制度を導入して以降、執行体制の強化にもあわせて取り組み、2025年には同制度をグループ主要会社に拡大するなど、経営の監督と執行を分離する経営体制改革を着々と進めてきています。また、2025年6月開催の定時株主総会にて取締役の任期を短縮(2年→1年)し、監督機能に必要十分な取締役定数へ削減(12名→9名)しました。 これまでの主な取り組み 当社は、現監査役4名の会社法に定める任期保証を尊重しつつ、2027年定時株主総会において監査等委員会設置会社に移行して社外取締役を過半数とする方針を既に公表しており、本年定時株主総会にて、1年後の株主総会終了時をもって監査等委員会設置会社に移行する旨の定款変更議案を上程します。 ロ. 政策保有株の縮減および持続的成長戦略への有効活用当社は、政策保有株の縮減目標として取得価格ベース(簿価)の株主資本に対する比率を10%以下とする目標を掲げてきました。当期末におきまして、1年間に及ぶ相手先との精力的な協議を経て、売却ないし、「信託を用いた、上場有価証券売却スキーム」を導入して純投資に振替えることで、取得価格ベースの株主資本比率は7.8%となり、目標を2年前倒し(2022年5月に策定した当初目標からは5年前倒し)で達成しました。また、今後概ね10年間で「政策保有株式を含む上場有価証券4,000億円を売却し、持続的成長戦略に有効活用する方針」につきましても、当期に売却した約500億円と合わせ、同スキームの導入により約3,400億円(当期末時価ベース)に目途をつけたこととなります。なお、今後発生する売却益は、特別損失と金利増を相殺して、営業利益の増加を当期利益の増加に直結させるために活用し、売却資金は、10%以上の高利回りが期待可能なインドなどへの成長投資へ充当することとしています。これにより、当社は、政策保有株の縮減と持続的成長を同時に実現してまいります。 (保有株式の詳細は、「4.コーポレートガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」を併せてご参照下さい) ⑤ 持続的成長に資する新たな成長分野首都圏における新築分譲マンションの供給戸数は、1990年代のピーク時約10万戸から現在は2万戸台に大幅に減少しています。一方で、中古住宅の流通戸数は増加を続けており、2010年代中盤には新築供給戸数を逆転し、現在も継続して増加しています。既存住宅が大きく数を増やしてきた背景には、建築費の高騰に加えて、耐震性能向上などによって耐用年数が長期化し、適切なリフォームをすることで長く使い続けることが可能となったことなどがあります。また、既存住宅は新築に比べて取得総額を抑えやすく、多くの選択肢から物件を選びやすいという特徴があることに加えて、地球環境負荷の軽減という観点からも、社会全体として『既存住宅ストック』の有効活用を推し進めるべきだという時代に変わってきました。こうした動きから、住宅マーケットは、従来の『新築』を中心としたマーケットから『既存』を中心とするマーケットへと、大きく構造が変化していると捉えています。 住宅の軸足は新築から中古へ イ. 既存住宅事業(リフォーム・流通)の強化 a. リフォーム事業:住友不動産ハウジング当社グループのリフォーム事業「新築そっくりさん」は、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、戸建て住宅を「建替えより安く、地震に強い住宅に再生できないか」という思いから誕生した商品です。安心安全な住まいづくりを根本とし、確かな耐震補強、安心の定価制などの特徴を備え、大規模リフォームの分野において業界一位の実績を誇るまでに成長しました。「新築そっくりさん」は、既存建物の基礎や柱、梁など、活かせるものは最大限に活かして工事を施工しますので、新築に比べ低コストで、新築並みの性能に向上させることができます。現在、国内の住宅の多くは耐震不安に加え、断熱性能の低い「暑くて寒い家」となっています。当社は、住む人の健康を守り、社会課題であるCO2削減にも大いに寄与する『高断熱リフォーム』の認知拡大と普及を図り、更なる成長に繋げてまいります。 一方で、建築の担い手不足が深刻化していく中、「ニーズはあれども、工事が出来ない」という、施工キャパシティ不足が成長の阻害要因になりかねない状況となっています。そこで、高品質・高性能の商品力を武器に着実にシェア・利益を増やしてきた新築注文住宅を担う事業と「新築そっくりさん」を担うリフォーム事業を分社化・統合し、店舗網、住宅設備、設計、施工体制など、様々な面を共通化することで、棟梁さん、設備業者さんといった多くのパートナーとの共存共栄を目指す構造改革に取り組んでいます。 b. 不動産流通事業:住友不動産ステップ不動産流通事業は、インターネットの普及から始まり、DXの進化、更にはAI社会の到来により、水面下では大きな市場変化の最中にあります。従来は駅前店舗を拡大し、チラシを大量に配布するなどしてお客様を集客し、売り情報と買い情報を結び付ける、いわゆるマッチング型ビジネスが事業の中心でした。一方で将来の不動産流通事業は、マーケット変化の予測や需要動向などを分析した上で、適正価格での透明性の高い取引の推進をはじめ、コンプライアンスの強化を基盤とした安心・安全な取引の支援、さらには税務や相続相談も含めた、お客様を総合的に支援する高度且つ幅広い付加価値が求められる時代になると考えています。 住友不動産ステップでは、透明性の高い取引を実現する「ステップオークション」を導入、さらにはDX化によって徹底した業務の見える化を図るなど、お客様の利益を損なう「囲い込み」が生じ得ない、疑われようがない体制構築を推進しています。また、店舗網を集約・統合して一店舗あたりの人員を増やすことで、OJTに依存していた従業員への指導体制を見直して専門人材育成の強化を図るなど、個人能力に依存した体制から脱却し、チームで専門能力を提供する体制へと移行するとともに、併せて歩合給の廃止を含む人事給与制度の改革も実施しています。 一時的な痛みは伴いますが、将来の更なる飛躍を目指すため、聖域なき構造改革に取り組んでまいります。 ロ. 国内の開発分譲型事業を「マンション分譲事業」と「収益物件分譲事業」の二本柱にマンション分譲事業は当社の大きな柱であり、今後数年は現在の高い利益水準を維持できる見通しですが、土地代・建築費の高騰による事業化可能エリアの縮小、住宅マーケットにおける「新築」から「既存」への変化もあり、今後持続的に供給量を拡大することは困難であると考えています。 このような事業環境の変化を見据え、当社は、投資家向けの収益物件分譲事業を強化する方針を公表しました。国内での不動産投資家が厚みを増す中、本事業をマンション分譲事業と並ぶ二本目の柱として育てていくことで、国内の開発分譲型事業を更に成長させていきます。なお、本事業は、更地を取得し、その上に建物を建設、更にはテナントを誘致してから売却というサイクルが基本となりますので、業績への寄与は次期(第十一次)中計以降となる見込みです。 <非プライム資産の有効活用>当社は、保有資産を中計ごとに再度評価し、保有を継続するもの(=プライム資産)、賃貸稼働させたまま投資家に売却するもの、用途変更を伴う建て替えを実施してプライム資産化するもの、もしくは開発して売却するものなど、様々な手法で持続的成長に資するよう、保有資産の最有効活用を図ってまいりました。 今後、東京60万坪、インド・ムンバイ50万坪の成長投資によってプライム資産の更なる強化、賃料収入の大幅な拡大が確実となり、非プライム資産の賃料収入に頼ることなく成長を持続できるステージに入ってきたため、これまでの非プライム資産の有効活用を更に加速させ、様々な用途で活用していく方針も併せて公表しています。 ・「今後も堅持する2つの方針」と「しなやかに適応する4つの新方針」(2025年11月11日)https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/release_20251111_1_JP.pdf・2025年9月期 決算説明会資料https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/IRPresentationMaterial202509.pdf 開発分譲型事業をマンション分譲型事業と収益物件分譲事業の二本柱に (3) 第十次中期経営計画の進捗当社は、3年毎に策定する中期経営計画の達成を最重要課題とし、これを着実に遂行することにより企業価値を高めてきました。 ① 第十次中期経営計画骨子 ≪中計3ヵ年合計の数値目標≫■ 2027年3月期(中計2年目)経常利益3,000億円到達■ 15期連続 当期利益最高益更新■ 長期的ターゲット:今後10年以内 経常利益4,000億円超 ② 第十次中期経営計画1年目を終えて今後の課題への対処 第十次中計の初年度となる2026年3月期は、13期連続の当期純利益最高益更新を達成し、堅調なスタートを切ることができました。他方、金利上昇や建築費高騰、国際紛争リスクなど、事業環境の不透明さは増してきています。第十次中計1年目を終えて、当社が何を課題とし、その解決に向けて如何なる対処を講じているかについては以下の通りです。 同内容の詳細は、2026年5月13日公表のステートメントおよび決算説明会資料をご参照ください。 ・第十次中期経営計画1年目を終えて 今後の課題への対処https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/release_20260513_1_JP.pdf・2026年3月期 決算説明会資料https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/IRPresentationMaterial202603.pdf イ. 金利上昇に負けないオフィスビルの賃料改定ができるか金利上昇リスクに対しては、これまでも借入期間の長期化および金利の固定化により備えてきましたが、昨年来、金利上昇が鮮明になる中、その上昇に負けないオフィスビルの賃料改定を実現できるかが重要な課題となっています。 東京のオフィス市場は需給逼迫により賃料上昇現在、東京のオフィス市場は空室率が大幅に低下し、増床意欲の旺盛な企業が残り少ない空室を取り合う状況となっており、賃料相場は上昇し続けています。当社における直近半年(2026年3月期下期)の新規成約平均賃料は前年同期比で約10%上昇しています。また、2026年3月期の賃料改定につきましては、ほぼ全件に値上げをご理解いただき、最大20%超、平均7%台の賃料上昇を実現しています。 デフレ時代からインフレ時代への大転換期を迎え、持続的な賃料上昇局面に突入東京オフィス市場は、空室率の大幅低下に加え、失われた30年からインフレ時代への大転換期を迎え、本格的な賃料上昇局面に突入しています。過去を振り返ると、ピーク時(1991年)における東京都心5区の平均賃料(全グレード平均)が坪4.4万円であったのに対し、35年経った現在は未だ坪2.2万円程度です。当社は、足元の賃料上昇はまだまだ入口段階に過ぎず、今後持続的に上昇していくと考えています。そして、東京都心部におけるオフィス所有床面積No.1の当社は、賃料上昇の恩恵を最も享受できる立ち位置にいるため、金利上昇分を吸収し、さらなる収益拡大が期待できると考えています。 東京都心5区 ピーク時(1991年)との賃料比較 ロ. 建築費上昇や工期長期化への対策はあるか労務費、資材費の上昇や工期長期化などに伴い、再開発などの事業規模の大きい案件において、他社では事業計画の大幅な見直し、場合によっては頓挫を余儀なくされた事例が発生しています。当社では、長年にわたりゼネコンさんやサブコンさんと培ってきたパートナー関係を活かし、合理的な建築費抑制と工期短縮に共同で取り組んでいます。 長年にわたるゼネコンさん、サブコンさんとのパートナー関係当社は工事発注先を決定するにあたり、着工直前に複数の相手先に相見積もりを依頼して発注先を選定することに拘らず、ゼネコンさん、サブコンさんと用地取得の段階から事業目的や事業スケジュールを共有した上で、建築費を含む事業計画について繰り返し協議を行っています。これにより過剰設計や独善設計、一方的な工期の押し付けを避け、コストアップを最低限に抑え、事業計画が頓挫するリスクを大幅に軽減しています。 東京都心60万坪の開発方針に変更なし建築費は上昇しているものの、前述の通り賃料水準も持続的に上昇する局面に突入していることから、東京都心60万坪の開発は引き続き推進していく方針です。 ハ. 新築分譲マンション事業環境の見通しとその対策はあるか首都圏における新築マンションの供給戸数は、ピーク時の年10万戸から、直近では年2.2万戸程度まで大幅に減少しました。それに加え、中東情勢の悪化に伴う資材不足による工期遅延と価格高騰への懸念も重なり、業界全体としては安定的な分譲マンション供給が不透明な状況となっています。 3年分の完成“財”庫これに対し当社は、約3年分、6,000戸を超える完成在庫(※)を有していますので、当面の間安定的な供給が可能です。当社では、竣工前完売が業界の常識であった20年以上前から、建物竣工後も安易な値引きをせず、「完成在庫は売れ残りではなく、むしろ財産である」という考えに基づき、実際の建物をご確認いただきながら時間をかけて大切に販売することで事業利益を確保してきました。この“財”庫は、中東情勢の悪化により工期遅延が懸念される局面においても、今後の安定的な供給と事業利益を支える貴重な財産となっています。なお、2027年3月期計上予定戸数については期初時点で大半の契約が完了し、現在の営業活動の主戦場は、2028年3月期計上予定分となっています。(※)2027年3月期以降に引き渡し予定の契約済み住戸含む 将来的な新築分譲マンション市場の供給減を見据え、「分譲宅地事業」を強化していくこととし、2026年2月に分譲宅地+注文住宅の新ブランド「シティガーデン」を発表しました。「分譲宅地+注文住宅」は、同価格帯・同エリアの分譲マンションと比較し、より広い居住面積を活かした自由な空間設計が可能となるうえ、「シティガーデン」は高品質住宅設備や高性能住宅など、当社ならではの上質な邸宅品質で、引き続き需要が旺盛な新築住宅へのニーズに応えていくものです。都心部へのアクセスが良好な利便性の高い立地で、城南・城西・城北エリア・東京都下、横浜市、さいたま市など首都圏を中心に全国で年間300区画以上を供給していく方針です。 (シティガーデン イメージパース)
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。 <目次>(1) 経営の基本方針(2) 「住友の事業精神」による住友不動産グループの「持続的成長戦略」① 市況の変化に強く利益が下振れしにくい強固な事業基盤イ. 東京は世界最大、最優良のオフィス市場ロ. 「金の卵を産む鶏」=プライム資産ハ. 当社独自の「オフィスデパート戦略」② 積極的な成長投資による賃貸事業の大幅拡充イ. 最大の成長エンジン:東京ロ. 第2の成長エンジン:インド・ムンバイ③ 持続的成長が、持続的株主還元増、持続的賃上げをもたらすイ. 持続的な株主還元増ロ. 持続的な賃上げ④ 持続的成長と企業価値向上を促すガバナンス体制の強化イ. 経営体制改革ロ. 政策保有株の縮減および持続的成長戦略への有効活用⑤ 持続的成長に資する新たな成長分野イ. 既存住宅事業(リフォーム・流通)の強化ロ. 国内の開発分譲型事業を「マンション分譲事業」と「収益物件分譲事業」の二本柱に(3) 第十次中期経営計画の進捗① 第十次中期経営計画骨子② 第十次中期経営計画1年目を終えて今後の課題への対処イ. 金利上昇に負けないオフィスビルの賃料改定ができるかロ. 建築費上昇や工期長期化への対策はあるかハ. 新築分譲マンション事業環境の見通しとその対策はあるか (1) 経営の基本方針430年の歴史「住友の事業精神」を継承した経営理念当社は、住友本社を継承した住友グループの総合不動産会社として、430年もの歴史を刻む“住友の事業精神”を経営理念としています。世界で最も永続している企業グループの一つである住友グループは、「信用を重んじ、浮利を追わない」、「自身を利するとともに社会を利する」といった事業精神を脈々と受け継いでおり、住友不動産グループでも、これら先人の教えを踏まえ、信用を大切に、目先の利益を追わず、自己利益の追求による経済価値だけでなく、先々まで世に必要とされる持続的な社会価値をも一体的に創出することを理念に掲げています。この理念に即し、当社は、『より良い社会資産を創造し、それを後世に残していく』ことを基本使命とし、各事業を通じて環境をはじめとする様々な社会課題の解決に取り組みつつ、企業価値の最大化を目指すことを経営の基本方針としています。さらには、この企業姿勢をコーポレートスローガン『信用と創造』として掲げ、そして、ステークホルダーの皆様との信頼関係を大切に、且つ、高い目標を掲げ、新たな発想で新分野に挑戦し、“新しい価値を創造”することを行動指針として事業展開を進めています。 (2) 「住友の事業精神」による住友不動産グループの「持続的成長戦略」当社は、市況の変化に強く利益が下振れしにくい強固な事業基盤を築くとともに、常に成長のための投資を怠らず、一過性の利益に頼らない持続的な成長を成し遂げ、その果実として持続的な株主還元増と賃上げを可能にするという「持続的成長戦略」を経営の根本としています。 ① 市況の変化に強く利益が下振れしにくい強固な事業基盤当社のこれまでの成長を支えてきた原動力は、東京都心のオフィスビルを中核とした不動産賃貸事業です。不動産賃貸事業の営業利益は当社全体の7割近くを占め、まさに、大黒柱として企業価値の根幹を成しています。当社は、1970年代初頭からおよそ半世紀にわたり、東京都心に特化したオフィスビル開発を推進、事業基盤を拡充してまいりました。これまで様々な環境変化を経てきましたが、首尾一貫して資産売却による一時的な利益を追わず、開発用地を自ら創り出してビルを開発、保有賃貸して長期安定的な賃貸利益を蓄積するという長期視点による経営方針を貫き、継続しています。その結果、景気の動向に耐性のある強固な収益構造を確立しています。 東京都心の賃貸ビルを中心としたプライム資産を保有し安定収益を積み上げることは、当社の持続的成長において最も重要な基本戦略です。当社は、「世界最大、最優良のオフィス市場である東京」で、立地や規模の希少性が高く高収益で、今後も得難く持ち続ける意義のある「金の卵を産む鶏」=プライム資産を、他社には真似できない当社独自の“オフィスデパート戦略”のもと積み上げてきたことで、競争力の高い事業基盤を築いてまいりました。今後も長期的な競争力強化のため、プライム資産をさらに積み上げてまいります。 当社は、大型用地の希少な東京都心において、細分化された土地を買い纏めたり、地権者の権利関係を調整する再開発の手法を用いて土地を創り出しています。今ではこの「土地を創る力」こそが当社最大の強みであり、企業価値創出の源泉となっています。当社は、「土地を創る力」をはじめこれまで培ってきた経営基盤や強みを活かし、さらなる収益力の拡大と企業価値の向上を目指してまいります。 イ. 東京は世界最大、最優良のオフィス市場 a. 東京はニューヨーク、ロンドンよりも大きい、世界最大のマーケット東京のオフィス総床面積は1,750万坪で、ニューヨーク、ロンドンを上回る世界最大の市場規模であるとともに、過去20年間の平均空室率が約5%、直近空室率2.2%と極めて安定しており、世界最大・最優良のオフィスビルマーケットです。東京,NY,ロンドンのオフィス総床面積東京(都心5区)空室率と賃料の推移 b. 建替え再開発が中心であり、オフィス床のネット供給増は差引年間1%未満近年の東京では、都市防災を強化して社会基盤整備を進めるため、容積緩和などのインセンティブが付与されるのを受け、都心一等地の建替型再開発が進んでいます。しかしながら、追加付与される容積率の多くは商業床やホテル床などに充当することが義務付けられ、新しいオフィス床の増加は限定的で、取り壊される旧オフィス建物の滅失面積を差し引いたオフィス床のネット供給量は、直近20年間で年1%程度の増加に留まっており、長期的に見れば需給関係はバランスが取れたものとなっています。 オフィス総床面積の推移(東京23区) c. 大企業が集結、多様な産業が揃う世界に類例のないマーケット日本の大企業(時価総額上位 100 社)の8割は東京に本社を置き、本社を地方に置く大企業も東京本社を併設していることが一般的です。これに対し、ニューヨークでは1割強、ロンドンも5割に留まっています。 また、業種別に見ても製造、サービス、情報通信、金融など、東京には多様な業種が集結しており、金融業が中心のニューヨークなど、産業クラスターが諸都市に分散する諸外国とは大きく異なっています。このため、オフィスニーズも裾野の広い安定した構造となり、業種ごとに好不況はあっても、縮む業界の床を伸びる業界が吸収し、その結果、需給が安定し、諸外国と比べ相対的に空室率は低水準に留まっています。 東京の企業集積(時価総額上位100社の本社所在地と業種) d. 充実した都市交通インフラゆえ、都心の希少価値が揺るがない東京都心の交通手段で核となる環状山手線に、四方から鉄道網 42 路線が接続され、安全かつ正確な時間で運行される鉄道インフラを利用して、首都圏全方位から通勤者が都心に集まっています(首都圏オフィスワーカーの8割超が公共交通機関を利用)。この効率的な交通インフラのおかげで、企業にはオフィスを郊外に移転する積極的メリットが生じず、結果、東京には将来にわたって動くことのない都心が形成され、東京都心の希少価値は揺るがないものとなっています。 都心への交通インフラ網ターミナル駅の乗降客数 e. 構造的・継続的な人口流入 首都圏には多くの企業や大学、ホテル、病院、充実した商業施設など、人が集まる魅力があります。そのため、首都圏の人口は、長期間にわたり流入超過となっており、しかも、その牽引役は20 歳前後の若年層となっています。東京に集積する大学への地方からの進学者は変わらず多く、卒業後もそのまま東京の企業に就職する傾向が長年にわたり定着し、大学、企業の集積が人を呼び、人の集積が企業を呼び込む好循環となっています。人口流入超過数 ロ. 「金の卵を産む鶏」=プライム資産この世界最大・最優良の東京オフィスマーケットにおいて、当社は床面積規模でNo.1の地位にあります。また、保有延床150万坪超のポートフォリオの中でも、立地や規模の希少性が高く、今後も得難く持ち続ける意義のある「金の卵を産む鶏」をプライム資産と定義しており、こうしたプライム資産を保有することで毎年生み出される潤沢なキャッシュフローが当社の持続的利益成長の源泉となっています。 ■主なプライム資産 ハ. 当社独自の「オフィスデパート戦略」当社は不動産賃貸事業の中核を担うオフィスビル賃貸事業において、賃貸オフィスビルポートフォリオの大部分(95%)が東京23区に、84%がビジネス主要エリアの集中する東京都心部(都心7区)に所在しています。また、その多くは、主要な鉄道路線・地下鉄駅の至近に位置し、ビジネス拠点として優位なアクセス利便性を有しており、当社ビルに入居する約1,800社のテナント企業は、大企業からベンチャー企業まで企業規模や業種が多岐に渡り、景気や社会の変化に耐性が強く安定した収益の確保を実現しています。 ◇ 規模の多様性…大企業からベンチャー企業まで対応◇ 立地の多様性…都心各エリアに展開しており、各業界の多様なニーズに対応 ② 積極的な成長投資による賃貸事業の大幅拡充当社の最大の成長エンジンは東京都心の大規模再開発事業であり、六本木、八重洲、築地、池袋、飯田橋など、当社所有予定延床約60万坪に既投資額を含め2.6兆円超を投じる計画です。また、第2の成長エンジンとして、インド・ムンバイに既投資額を含め1兆円を投じます。交通インフラの整備が急ピッチで進められ、将来、東京都心部に匹敵するビジネスエリアに進化する可能性を強く感じさせるムンバイで、延床約50万坪の開発プロジェクトが動き出しています。 イ. 最大の成長エンジン:東京東京都心で完成済稼働物件を取得する場合、通常は2.5~3.5%程度の利回りにしかならないところ、当社は、デベロッパーとしての開発力を発揮してきたことで7%を超える高利回り(NOI利回り)を実現しています。当社の含み益は、この高利回りを時価評価した結果であり、未活用資産の含み益とは全く異なっています。 利便性が高い都心ほど再開発が進み、ビル立地が郊外化していないことからも、事業適地の範囲は自ずと限られてきます。仮に、売却によってプライム資産の含み益を実現したとしても、事業性の高い物件の開発機会を得ることは容易ではなく、単純に「売って利益を出した後で、安く買い直す」ことは極めて困難です。したがって、プライム資産を売却して一過性の売却益を獲得することは、毎年のキャッシュ・フローを減らして、持続的成長を損なうことになると考えています。例えて言えば、鉄道会社が線路を売る、メーカーが最新鋭製品を作る工場を売るのと同じで、当社の主力事業の縮小を意味しており、当社は、プライム資産を一過性の利益を得るために売却するのではなく、寧ろ積み上げていくことが必要であると考えています。 ≪現在進行中の主な開発計画≫プロジェクト名所在地延床面積※ (坪)竣工(予定)八重洲二丁目中計画中央区117,0002029/3期東池袋一丁目計画豊島区47,0002030/3期八重洲二丁目南計画中央区42,000十一次以降(開発推進中)富士見二丁目計画千代田区14,000〃九段南一丁目計画千代田区25,000〃秋葉原駅前東計画千代田区16,000〃後楽二丁目南計画文京区84,000〃築地一丁目計画中央区56,000〃六本木五丁目西計画港区327,000〃 ※当社グループ外の第三者持分を含んだ総延床面積 八重洲二丁目南計画延床面積:42,000坪六本木五丁目西計画延床面積:327,000坪 ロ. 第2の成長エンジン:インド・ムンバイ当社は、2019 年以来、大規模用地を単独で取得し、オフィスビルなどの開発・リーシング・管理まで一貫して行う「東京同様の当社オフィスビル事業」をインド・ムンバイで推進しています。単独出資による事業は、インドの複雑な制度やリスクを直接我が事として理解することで当社なりの工夫の余地が生まれ、リスクを小さく、リターンを大きくできると考えています。この考え方は、当社が従来より、東京都心で、社員自ら多数の地権者と直接交渉し、大きな再開発を次々と実現してきたDNAを引き継ぐものです。当社は、高い経済成長率と市場規模を備えたインド・ムンバイを、“東京に並ぶ一大事業拠点”とすることを目指してまいります。 インドは総人口14.5億人、平均年齢28.4歳の世界最大の民主主義国家であり、2028年には日本・ドイツを抜いて世界第3位のGDPに至ると想定される経済大国です。その中で、マハラシュトラ州都ムンバイは、市域人口約1,840万人を誇り、インドにおける経済の中心地として古くから栄えています。グローバル金融機関のインド本社、インド各財閥の本社が集中しており、現在の都心を中心に公共交通機関の整備が進められているなど、東京と同様、都心が動かない都市構造となっています。インド経済発展の弱点とされていたインフラ面の強化に伴い、今後、経済大国としてのインドの地位はさらに高まることが予想され、ムンバイでは将来にわたり都心のオフィスビル競争力が揺るがないと判断しています。 ① 経済成長■インドの経済成長は近年さらに勢いを増しており、2028年にはGDP世界3位へ(2011年対比の経済成長率では、すでに中国を上回る水準で推移)主要国GDP順位の推移2011年以降の主要国GDP順位の推移インドの1人あたり名目GDPの推移と今後の見通し② 人口■人口世界一、生産年齢人口は全人口の2/3✓総人口は2024年時点で中国を抜き世界1位の14.5億人、平均年齢は28歳 ≪現在の各物件の進捗状況≫■ BKC第1号物件2026年秋の竣工に向けて建築工事は順調に進捗しています。■ BKC第2号物件建築工事に着手済みで、2029年の竣工を予定しています。■ BKC第3号、第4号物件第1号、第2号物件での開発経験を活かし、早期の着工を目指してまいります。■ワーリー商品企画、行政協議など着工に向けた準備を着々と進めています。 BKC第1~4号物件 開発用地 ③ 持続的成長が、持続的株主還元増、持続的賃上げをもたらす イ. 持続的な株主還元増今中計より、毎年得られるキャッシュフローが拡大した結果、借入金を増やすことなく『成長投資』と『株主還元の拡充』を両立できるステージに上がりました。当社は、長期的な収益基盤強化のための積極的な成長投資は継続しつつ、株主の皆様への還元強化のため、利益成長に沿った「持続的増配(累進配当)」を行う方針とし、配当性向35%到達まで年8円以上の累進配当を確約しています。この成長・還元の好循環を永きにわたって継続するためにも、今後も成長投資を怠らず、一過性の利益に頼らず、持続的成長を図っていく方針です。 当期利益と配当の推移 2026年3月期の当期純利益は計画を超過達成しましたので、2026年3月期末の配当に1円追加し、従来計画の年8円増配を9円増配としました(35円→44円)。次期以降も、公約である年8円の累進配当を基本とし、さらに増配ペースを早めるべく利益の上積みを目指してまいります。増配の推移 ロ. 持続的な賃上げ当社の給与制度は、定期昇給がない代わりに、年齢、性別、社歴を問わず、役割と成果のみで評価し、社員の成長に応じて年収を上げる仕組みとしています。言い換えれば、「年収がアップした社員」が多いほど、当社の生産性、企業価値が向上したということであり、「人件費はコストではなく投資」を体現する制度と言えるものです。なお、2025年3月期は5.7%、2026年3月期は 6.0%の賃上げを実現しました。(人材戦略の詳細については、「5.従業員の状況等」をご参照下さい。) <勤続功労株式報酬制度>当社は、2024年12月に住友不動産ハウジング株式会社の従業員向けに勤続功労株式報酬制度を新設し、その後2025年2月に当社グループ従業員全体(退職金制度がある当社またはグループ会社従業員を除く。)に対象範囲を拡大し、現在はグループ従業員約1.4万人のうち1万人が対象となりました。本制度は従業員の毎年の貢献に応じて当社株式の受取権を割り当てるもので、年々当社株の受取権が累増します。また、当社の基本方針である持続的成長によって株価が上昇すれば、さらに受取報酬は増えていきます。本制度により、従業員が大いに力を発揮し、当社の株価上昇によって自らも受取報酬が増加するという好循環を作り出すことができます。 ※> ※実質ROE:株式市場の変動で大きく上下する保有有価証券の評価差益を除く自己資本を分母とする現在の実質ROEは10.6%です。当社は、一過性の資産売却益に依存せず、安定収益であるオフィス賃貸収入を着実に増やし、引き続き安定的に且つ高い利益成長を実現することで、ROEの維持・向上を目指す方針です。 ④ 持続的成長と企業価値向上を促すガバナンス体制の強化 イ. 経営体制改革当社はこれまで、社内取締役の減員と、社外取締役の増員並びに多様性の確保を進め、取締役会の監督機能を継続強化してまいりました。2020年に執行役員制度を導入して以降、執行体制の強化にもあわせて取り組み、2025年には同制度をグループ主要会社に拡大するなど、経営の監督と執行を分離する経営体制改革を着々と進めてきています。また、2025年6月開催の定時株主総会にて取締役の任期を短縮(2年→1年)し、監督機能に必要十分な取締役定数へ削減(12名→9名)しました。 これまでの主な取り組み 当社は、現監査役4名の会社法に定める任期保証を尊重しつつ、2027年定時株主総会において監査等委員会設置会社に移行して社外取締役を過半数とする方針を既に公表しており、本年定時株主総会にて、1年後の株主総会終了時をもって監査等委員会設置会社に移行する旨の定款変更議案を上程します。 ロ. 政策保有株の縮減および持続的成長戦略への有効活用当社は、政策保有株の縮減目標として取得価格ベース(簿価)の株主資本に対する比率を10%以下とする目標を掲げてきました。当期末におきまして、1年間に及ぶ相手先との精力的な協議を経て、売却ないし、「信託を用いた、上場有価証券売却スキーム」を導入して純投資に振替えることで、取得価格ベースの株主資本比率は7.8%となり、目標を2年前倒し(2022年5月に策定した当初目標からは5年前倒し)で達成しました。また、今後概ね10年間で「政策保有株式を含む上場有価証券4,000億円を売却し、持続的成長戦略に有効活用する方針」につきましても、当期に売却した約500億円と合わせ、同スキームの導入により約3,400億円(当期末時価ベース)に目途をつけたこととなります。なお、今後発生する売却益は、特別損失と金利増を相殺して、営業利益の増加を当期利益の増加に直結させるために活用し、売却資金は、10%以上の高利回りが期待可能なインドなどへの成長投資へ充当することとしています。これにより、当社は、政策保有株の縮減と持続的成長を同時に実現してまいります。 (保有株式の詳細は、「4.コーポレートガバナンスの状況等 (5)株式の保有状況」を併せてご参照下さい) ⑤ 持続的成長に資する新たな成長分野首都圏における新築分譲マンションの供給戸数は、1990年代のピーク時約10万戸から現在は2万戸台に大幅に減少しています。一方で、中古住宅の流通戸数は増加を続けており、2010年代中盤には新築供給戸数を逆転し、現在も継続して増加しています。既存住宅が大きく数を増やしてきた背景には、建築費の高騰に加えて、耐震性能向上などによって耐用年数が長期化し、適切なリフォームをすることで長く使い続けることが可能となったことなどがあります。また、既存住宅は新築に比べて取得総額を抑えやすく、多くの選択肢から物件を選びやすいという特徴があることに加えて、地球環境負荷の軽減という観点からも、社会全体として『既存住宅ストック』の有効活用を推し進めるべきだという時代に変わってきました。こうした動きから、住宅マーケットは、従来の『新築』を中心としたマーケットから『既存』を中心とするマーケットへと、大きく構造が変化していると捉えています。 住宅の軸足は新築から中古へ イ. 既存住宅事業(リフォーム・流通)の強化 a. リフォーム事業:住友不動産ハウジング当社グループのリフォーム事業「新築そっくりさん」は、1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、戸建て住宅を「建替えより安く、地震に強い住宅に再生できないか」という思いから誕生した商品です。安心安全な住まいづくりを根本とし、確かな耐震補強、安心の定価制などの特徴を備え、大規模リフォームの分野において業界一位の実績を誇るまでに成長しました。「新築そっくりさん」は、既存建物の基礎や柱、梁など、活かせるものは最大限に活かして工事を施工しますので、新築に比べ低コストで、新築並みの性能に向上させることができます。現在、国内の住宅の多くは耐震不安に加え、断熱性能の低い「暑くて寒い家」となっています。当社は、住む人の健康を守り、社会課題であるCO2削減にも大いに寄与する『高断熱リフォーム』の認知拡大と普及を図り、更なる成長に繋げてまいります。 一方で、建築の担い手不足が深刻化していく中、「ニーズはあれども、工事が出来ない」という、施工キャパシティ不足が成長の阻害要因になりかねない状況となっています。そこで、高品質・高性能の商品力を武器に着実にシェア・利益を増やしてきた新築注文住宅を担う事業と「新築そっくりさん」を担うリフォーム事業を分社化・統合し、店舗網、住宅設備、設計、施工体制など、様々な面を共通化することで、棟梁さん、設備業者さんといった多くのパートナーとの共存共栄を目指す構造改革に取り組んでいます。 b. 不動産流通事業:住友不動産ステップ不動産流通事業は、インターネットの普及から始まり、DXの進化、更にはAI社会の到来により、水面下では大きな市場変化の最中にあります。従来は駅前店舗を拡大し、チラシを大量に配布するなどしてお客様を集客し、売り情報と買い情報を結び付ける、いわゆるマッチング型ビジネスが事業の中心でした。一方で将来の不動産流通事業は、マーケット変化の予測や需要動向などを分析した上で、適正価格での透明性の高い取引の推進をはじめ、コンプライアンスの強化を基盤とした安心・安全な取引の支援、さらには税務や相続相談も含めた、お客様を総合的に支援する高度且つ幅広い付加価値が求められる時代になると考えています。 住友不動産ステップでは、透明性の高い取引を実現する「ステップオークション」を導入、さらにはDX化によって徹底した業務の見える化を図るなど、お客様の利益を損なう「囲い込み」が生じ得ない、疑われようがない体制構築を推進しています。また、店舗網を集約・統合して一店舗あたりの人員を増やすことで、OJTに依存していた従業員への指導体制を見直して専門人材育成の強化を図るなど、個人能力に依存した体制から脱却し、チームで専門能力を提供する体制へと移行するとともに、併せて歩合給の廃止を含む人事給与制度の改革も実施しています。 一時的な痛みは伴いますが、将来の更なる飛躍を目指すため、聖域なき構造改革に取り組んでまいります。 ロ. 国内の開発分譲型事業を「マンション分譲事業」と「収益物件分譲事業」の二本柱にマンション分譲事業は当社の大きな柱であり、今後数年は現在の高い利益水準を維持できる見通しですが、土地代・建築費の高騰による事業化可能エリアの縮小、住宅マーケットにおける「新築」から「既存」への変化もあり、今後持続的に供給量を拡大することは困難であると考えています。 このような事業環境の変化を見据え、当社は、投資家向けの収益物件分譲事業を強化する方針を公表しました。国内での不動産投資家が厚みを増す中、本事業をマンション分譲事業と並ぶ二本目の柱として育てていくことで、国内の開発分譲型事業を更に成長させていきます。なお、本事業は、更地を取得し、その上に建物を建設、更にはテナントを誘致してから売却というサイクルが基本となりますので、業績への寄与は次期(第十一次)中計以降となる見込みです。 <非プライム資産の有効活用>当社は、保有資産を中計ごとに再度評価し、保有を継続するもの(=プライム資産)、賃貸稼働させたまま投資家に売却するもの、用途変更を伴う建て替えを実施してプライム資産化するもの、もしくは開発して売却するものなど、様々な手法で持続的成長に資するよう、保有資産の最有効活用を図ってまいりました。 今後、東京60万坪、インド・ムンバイ50万坪の成長投資によってプライム資産の更なる強化、賃料収入の大幅な拡大が確実となり、非プライム資産の賃料収入に頼ることなく成長を持続できるステージに入ってきたため、これまでの非プライム資産の有効活用を更に加速させ、様々な用途で活用していく方針も併せて公表しています。 ・「今後も堅持する2つの方針」と「しなやかに適応する4つの新方針」(2025年11月11日)https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/release_20251111_1_JP.pdf・2025年9月期 決算説明会資料https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/IRPresentationMaterial202509.pdf 開発分譲型事業をマンション分譲型事業と収益物件分譲事業の二本柱に (3) 第十次中期経営計画の進捗当社は、3年毎に策定する中期経営計画の達成を最重要課題とし、これを着実に遂行することにより企業価値を高めてきました。 ① 第十次中期経営計画骨子 ≪中計3ヵ年合計の数値目標≫■ 2027年3月期(中計2年目)経常利益3,000億円到達■ 15期連続 当期利益最高益更新■ 長期的ターゲット:今後10年以内 経常利益4,000億円超 ② 第十次中期経営計画1年目を終えて今後の課題への対処 第十次中計の初年度となる2026年3月期は、13期連続の当期純利益最高益更新を達成し、堅調なスタートを切ることができました。他方、金利上昇や建築費高騰、国際紛争リスクなど、事業環境の不透明さは増してきています。第十次中計1年目を終えて、当社が何を課題とし、その解決に向けて如何なる対処を講じているかについては以下の通りです。 同内容の詳細は、2026年5月13日公表のステートメントおよび決算説明会資料をご参照ください。 ・第十次中期経営計画1年目を終えて 今後の課題への対処https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/release_20260513_1_JP.pdf・2026年3月期 決算説明会資料https://www.sumitomo-rd.co.jp/uploads/IRPresentationMaterial202603.pdf イ. 金利上昇に負けないオフィスビルの賃料改定ができるか金利上昇リスクに対しては、これまでも借入期間の長期化および金利の固定化により備えてきましたが、昨年来、金利上昇が鮮明になる中、その上昇に負けないオフィスビルの賃料改定を実現できるかが重要な課題となっています。 東京のオフィス市場は需給逼迫により賃料上昇現在、東京のオフィス市場は空室率が大幅に低下し、増床意欲の旺盛な企業が残り少ない空室を取り合う状況となっており、賃料相場は上昇し続けています。当社における直近半年(2026年3月期下期)の新規成約平均賃料は前年同期比で約10%上昇しています。また、2026年3月期の賃料改定につきましては、ほぼ全件に値上げをご理解いただき、最大20%超、平均7%台の賃料上昇を実現しています。 デフレ時代からインフレ時代への大転換期を迎え、持続的な賃料上昇局面に突入東京オフィス市場は、空室率の大幅低下に加え、失われた30年からインフレ時代への大転換期を迎え、本格的な賃料上昇局面に突入しています。過去を振り返ると、ピーク時(1991年)における東京都心5区の平均賃料(全グレード平均)が坪4.4万円であったのに対し、35年経った現在は未だ坪2.2万円程度です。当社は、足元の賃料上昇はまだまだ入口段階に過ぎず、今後持続的に上昇していくと考えています。そして、東京都心部におけるオフィス所有床面積No.1の当社は、賃料上昇の恩恵を最も享受できる立ち位置にいるため、金利上昇分を吸収し、さらなる収益拡大が期待できると考えています。 東京都心5区 ピーク時(1991年)との賃料比較 ロ. 建築費上昇や工期長期化への対策はあるか労務費、資材費の上昇や工期長期化などに伴い、再開発などの事業規模の大きい案件において、他社では事業計画の大幅な見直し、場合によっては頓挫を余儀なくされた事例が発生しています。当社では、長年にわたりゼネコンさんやサブコンさんと培ってきたパートナー関係を活かし、合理的な建築費抑制と工期短縮に共同で取り組んでいます。 長年にわたるゼネコンさん、サブコンさんとのパートナー関係当社は工事発注先を決定するにあたり、着工直前に複数の相手先に相見積もりを依頼して発注先を選定することに拘らず、ゼネコンさん、サブコンさんと用地取得の段階から事業目的や事業スケジュールを共有した上で、建築費を含む事業計画について繰り返し協議を行っています。これにより過剰設計や独善設計、一方的な工期の押し付けを避け、コストアップを最低限に抑え、事業計画が頓挫するリスクを大幅に軽減しています。 東京都心60万坪の開発方針に変更なし建築費は上昇しているものの、前述の通り賃料水準も持続的に上昇する局面に突入していることから、東京都心60万坪の開発は引き続き推進していく方針です。 ハ. 新築分譲マンション事業環境の見通しとその対策はあるか首都圏における新築マンションの供給戸数は、ピーク時の年10万戸から、直近では年2.2万戸程度まで大幅に減少しました。それに加え、中東情勢の悪化に伴う資材不足による工期遅延と価格高騰への懸念も重なり、業界全体としては安定的な分譲マンション供給が不透明な状況となっています。 3年分の完成“財”庫これに対し当社は、約3年分、6,000戸を超える完成在庫(※)を有していますので、当面の間安定的な供給が可能です。当社では、竣工前完売が業界の常識であった20年以上前から、建物竣工後も安易な値引きをせず、「完成在庫は売れ残りではなく、むしろ財産である」という考えに基づき、実際の建物をご確認いただきながら時間をかけて大切に販売することで事業利益を確保してきました。この“財”庫は、中東情勢の悪化により工期遅延が懸念される局面においても、今後の安定的な供給と事業利益を支える貴重な財産となっています。なお、2027年3月期計上予定戸数については期初時点で大半の契約が完了し、現在の営業活動の主戦場は、2028年3月期計上予定分となっています。(※)2027年3月期以降に引き渡し予定の契約済み住戸含む 将来的な新築分譲マンション市場の供給減を見据え、「分譲宅地事業」を強化していくこととし、2026年2月に分譲宅地+注文住宅の新ブランド「シティガーデン」を発表しました。「分譲宅地+注文住宅」は、同価格帯・同エリアの分譲マンションと比較し、より広い居住面積を活かした自由な空間設計が可能となるうえ、「シティガーデン」は高品質住宅設備や高性能住宅など、当社ならではの上質な邸宅品質で、引き続き需要が旺盛な新築住宅へのニーズに応えていくものです。都心部へのアクセスが良好な利便性の高い立地で、城南・城西・城北エリア・東京都下、横浜市、さいたま市など首都圏を中心に全国で年間300区画以上を供給していく方針です。 (シティガーデン イメージパース)
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 財政状態及び経営成績の状況5期連続経常最高益、13期連続当期純利益最高益更新当連結会計年度の業績は下表の通りで、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてにおいて過去最高を更新しました。(売上高2期連続、営業利益4期連続、経常利益5期連続、当期純利益13期連続) 主力の不動産賃貸事業が過去最高の増益額で業績を牽引部門別では、東京のオフィスビルを中心とする不動産賃貸事業が過去最高の大幅増益で最高益を更新し、業績を牽引しました。また、販売価格の上昇を背景に高水準の利益を確保した分譲マンションを中心とする不動産販売事業、中古マンション価格の上昇などにより取扱単価が大幅に上昇したステップ事業も過去最高益を達成しました。 営業外損益は支払利息の増加などにより前期比67億円の悪化、特別損益は、従業員向けの勤続功労株式報酬制度導入に伴う過年度功労分を引当計上した一方で、投資有価証券売却益を計上したことにより同88億円の改善となりました。 その結果、売上高1兆577億円(前期比+4.3%)、営業利益2,991億円(同+10.2%)、経常利益2,892億円(同+7.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益2,125億円(同+10.9%)となりました。 (百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増 減 (2024.4.1~2025.3.31)(2025.4.1~2026.3.31) 売上高1,014,2391,057,765+43,525 営業利益271,516299,155+27,639 経常利益268,323289,233+20,910 親会社株主に帰属する当期純利益191,681212,535+20,854 部門別の営業成績は下表の通りです。 (百万円) 売上高前連結会計年度当連結会計年度増 減 (2024.4.1~2025.3.31)(2025.4.1~2026.3.31) 不動産賃貸433,684460,637+26,952 不動産販売294,755324,033+29,278 ハウジング204,259188,905△15,353 ステップ73,17475,360+2,185 連結計1,014,2391,057,765+43,525 (百万円) 営業利益前連結会計年度当連結会計年度増 減 (2024.4.1~2025.3.31)(2025.4.1~2026.3.31) 不動産賃貸188,654210,181+21,526 不動産販売64,21676,223+12,006 ハウジング21,58613,420△8,165 ステップ19,50123,601+4,099 連結計271,516299,155+27,639 <不動産賃貸事業部門>過去最高の増益額で最高益を更新当連結会計年度は、既存ビルの稼働率改善と値上げの浸透、「住友不動産中野駅前ビル」、「住友不動産新宿南口ビル」などの通期稼働効果に加え、高級賃貸マンション(ラ・トゥール)、ホテル、イベントホールなどの単価増や稼働率向上も寄与した結果、過去最高の増益額となり、売上、営業利益ともに過去最高を更新しました。 空室率大幅改善、新規ビルのテナント募集も堅調に推移当期末の空室率は、4.3%(前期末比△1.5pt)となりました。働きやすいオフィス環境を志向する企業や事業拡大のため採用強化を図る企業の新規需要は引き続き旺盛で、契約面積が解約面積を上回る状況が継続しております。また、前期竣工の「住友不動産六本木セントラルタワー」は満室となり、当期竣工の「住友不動産大崎ツインビル西館」、「住友芝公園ビル」も内定率は9割を超えるなど募集は堅調に推移しました。 前期末(2025.3月末)当期末(2026.3月末)既存ビル空室率5.8%4.3% <不動産販売事業部門>増収増益、最高益更新当連結会計年度は、「シティタワー虎ノ門」、「シティテラス多摩川」、「シティタワーズ板橋大山」などが引渡しを開始、マンション、戸建、宅地の合計で3,368戸(前期比△158戸)を販売計上しました。当事業部門の9割を占める分譲マンション市場では、供給が限られる一方で需要は底堅く、販売価格は一段と上昇しました。結果、計上戸数は減少したものの増収増益を達成、営業利益は過去最高を更新しました。 マンション契約順調、営業の軸足は次々期計上分当連結会計年度のマンション契約戸数は2,398戸(前期比△222戸)となりました。契約戸数は順調に推移しており、期首時点で次期計上予定分の大半を確保し、営業の軸足は次々期計上予定分に移行しております。 前連結会計年度当連結会計年度増 減 (2024.4.1~2025.3.31)(2025.4.1~2026.3.31) マンション契約戸数2,6202,398△222 計上戸数3,5263,368△158 マンション・戸建 3,4403,276△164 宅地8692+6 売上高(百万円)246,402276,007+29,605 マンション・戸建 227,151252,267+25,115 宅地・その他19,25023,740+4,490 <ハウジング事業部門>次期の業績反転に向け、期末受注残高はコロナ禍以降最高当連結会計年度の受注棟数は、「新築そっくりさん」事業で6,559棟(前期比△485棟)、注文住宅事業で1,786棟(同△354棟)となりました。当部門の業績は、建築基準法改正の影響もあり主に上期の受注が大きく減少したこと、分社化に伴う費用が発生したことなどから、大幅な減益となりました。一方で、年明け以降は企図した改革の成果も徐々に出始め、第4四半期の受注棟数・受注高はともに前年同期を上回り、期末受注残高はコロナ禍以降最高となっています。 前連結会計年度当連結会計年度増 減 (2024.4.1~2025.3.31)(2025.4.1~2026.3.31) 受注棟数9,1848,345△839 新築そっくりさん7,0446,559△485 注文住宅2,1401,786△354 受注高(百万円)192,143187,998△4,145 新築そっくりさん110,821104,811△6,010 注文住宅81,32283,187+1,864 計上棟数9,2798,343△936 新築そっくりさん7,0356,453△582 注文住宅2,2441,890△354 売上高(百万円)204,799188,876△15,923 新築そっくりさん110,310103,344△6,965 注文住宅94,48885,531△8,957 <ステップ事業部門>取扱単価が上昇し最高益更新、構造改革は継続当連結会計年度は、仲介引渡し件数は減少しましたが、中古マンション価格の上昇やステップオークションの浸透などにより取扱単価が大幅に上昇し、営業利益は過去最高を更新しました。当事業部門は、人事制度改革や店舗網の再編など、お客様ファーストを志向した構造改革に取り組んでおりますが、次期もこの取組みを着実に進めてまいります。 引渡しベース前連結会計年度当連結会計年度増 減 (2024.4.1~2025.3.31)(2025.4.1~2026.3.31) 仲介件数31,00328,848△2,155 取扱高 (百万円)1,434,3901,488,451+54,060 取扱単価(百万円)46.351.6+5.3 契約ベース前連結会計年度当連結会計年度増 減 (2024.4.1~2025.3.31)(2025.4.1~2026.3.31) 仲介件数31,32527,668△3,657 取扱高 (百万円)1,486,4221,460,795△25,627 取扱単価(百万円)47.552.8+5.3 <その他の事業部門>フィットネスクラブ事業、飲食業などその他の事業は、売上高17,917百万円(前期比+4,882百万円)、営業利益5,452百万円(同+3,281百万円)となりました。 <中期経営計画の達成状況>当社は、2025年4月より「第十次中期経営計画」に取り組んでおります。計画1年目となる当期は、前述の通り、5期連続経常最高益、13期連続当期純利益最高益更新を達成しました。その結果、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてにおいて、下表の通り3ヵ年累計目標の概ね3分の1を達成、中計最高業績連続更新に向けて順調な滑り出しとなりました。 (億円) 3ヵ年累計目標※(2025.4.1~2028.3.31)当期業績(2025.4.1~2026.3.31)達成率売上高32,00010,57733%営業利益9,3002,99132%経常利益9,0002,89232%当期純利益6,5002,12533% ※2025年3月28日公表<資産、負債、純資産の状況>当連結会計年度における総資産は、7兆1,856億円(前期末比+4,632億円)となりました。主に販売用不動産と賃貸ビルを主とする有形固定資産、投資有価証券が増加しました。負債合計額は、4兆7,149億円(前期末比+1,606億円)となりました。コマーシャルペーパー発行額の増加などが主たる要因です。純資産合計額は2兆4,707億円(前期末比+3,026億円)となりました。また、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益が2,125億円となり利益剰余金が増加、自己資本比率は34.4%(前期末32.3%)となりました。なお、当連結会計年度における連結有利子負債の長期比率は94%(前期末97%)、固定金利比率は81%(同87%)となっております。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、 営業活動によるキャッシュ・フロー 127,287百万円(前期比 △125,884百万円) 投資活動によるキャッシュ・フロー △154,387百万円(前期比 △ 10,771百万円) 財務活動によるキャッシュ・フロー △ 12,756百万円(前期比 +104,091百万円)となり、現金及び現金同等物は39,947百万円減少して58,286百万円となりました。 <営業活動によるキャッシュ・フロー>当期の経常利益は2,892億円、減価償却費は763億円となりました。棚卸資産の増加、法人税等支払い額の増加などもあり、営業キャッシュ・フローは1,272億円の収入となりました。 <投資活動によるキャッシュ・フロー>賃貸事業の増強を目的として、有形固定資産投資やムンバイ子会社の増資などを行った一方で、政策保有株式を約500億円売却したことにより、投資キャッシュ・フローは1,543億円の支出となりました。 <財務活動によるキャッシュ・フロー>社債の償還550億円、および自己株式の取得605億円、配当金の支払361億円に対応し、差引1,490億円のコマーシャル・ペーパー発行を実施した結果、財務キャッシュ・フローは127億円の支出となりました。 ③ 生産、受注及び販売の状況生産、受注及び販売の状況については、前掲「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(イ) 概況当連結会計年度は、売上高1兆577億円(前連結会計年度比+435億円)、営業利益2,991億円(同+276億円)、経常利益2,892億円(同+209億円)となりました。売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてにおいて過去最高を更新しました。 (ロ) 売上高および営業利益当連結会計年度は、東京のオフィスビルを中心とする不動産賃貸事業が過去最高の大幅増益で最高益を更新し、業績を牽引しました。また、販売価格の上昇を背景に高水準の利益を確保した分譲マンションを中心とする不動産販売事業、中古マンション価格の上昇などにより取扱単価が大幅に上昇したステップ事業も過去最高益を達成しました。その結果、売上高は1,057,765百万円(前連結会計年度比+43,525百万円、同+4.3%)、営業利益は299,155百万円(同+27,639百万円、同+10.2%)となりました。なお、各事業部門の詳細については、前掲「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。 (ハ) 営業外損益営業外収益は、受取配当金などにより、20,498百万円(前連結会計年度比△648百万円)となりました。また、営業外費用は、支払利息の増加などにより、30,419百万円(同+6,079百万円)となりました。その結果、営業外損益は△9,921百万円(同6,728百万円の悪化)となりました。 (ニ) 特別損益当連結会計年度は、投資有価証券売却益などにより特別利益は33,233百万円(前連結会計年度比△5,262百万円)となった一方、減損損失や固定資産除却損など18,900百万円(同△14,078百万円)の特別損失を計上しました。その結果、特別損益は、差引14,332百万円の利益(同8,816百万円の改善)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報親会社株主に帰属する当期純利益が212,535百万円となり、株主資本が前連結会計年度末比116,397百万円増加 した結果、当連結会計年度末の自己資本は、2,470,712百万円(同+302,604百万円)、自己資本比率は34.4%となりました。 資金調達においては、当連結会計年度中に、期限到来に伴う長期借入金3,577億円の返済、社債550億円の償還に対応し、コマーシャルペーパー差引き1,490億円の発行、3,510億円の長期借入を実施しました(ノンリコース含む)。その結果、連結有利子負債は、3,975,920百万円(前連結会計年度末比+83,995百万円)となりました。 なお、当連結会計年度における連結有利子負債の長期比率は94%(前期末97%)、固定金利比率は81%(同87%)となっております。 2025年4月より開始した「第十次中期経営計画」では、更なる収益基盤強化のため、東京都心およびインド・ムンバイにおける賃貸資産への投資を継続推進することとしております。必要な資金は、拡大する賃貸キャッシュフローにより賄うこととしており、併せて累進配当による株主還元も強化していく方針としております。詳しくは、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。 ③ 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針等が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。 販売用不動産(仕掛含む)及び賃貸資産の評価当社グループは、販売用不動産(仕掛含む)について、連結財務諸表の注記事項に記載のとおり、主として個別法に基づく原価法(収益性の低下による簿価切り下げの方法)により評価しております。また、賃貸資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、資産のグルーピング、減損の兆候の識別、減損損失の認識の判定及び測定を行っております。 なお、詳細は第5[経理の状況]の連結財務諸表の(重要な会計上の見積り)に記載しております。
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社は、430年以上の歴史を刻む住友グループの総合不動産会社であり、「信用を重んじ、浮利を追わず」という住友の事業精神を受け継ぎ、従業員、顧客、取引先、債権者、株主等のステークホルダーに対し、当社の企業姿勢を示すスローガンとして「信用と創造」を掲げております。これには、何よりも「信用」を大切にして「浮利を追わず」に、開拓精神を持って新しい企業価値を創り出す、デベロッパーとしての矜持を込めております。このスローガンのもと、「よりよい社会資産を創造し、それを後世に残していく」ことを基本使命とし、各事業を通じて、環境をはじめとする様々な社会課題の解決に貢献しつつ、企業価値の最大化を目指すことを経営の基本方針としております。 (2)中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び対処すべき課題 ①住友不動産グループの持続的成長戦略 当社は、市況の変化に強く利益が下振れしにくい強固な事業基盤を築くとともに、常に成長のための投資を怠らず、一過性の利益に頼らない持続的な成長を成し遂げ、その果実として持続的な賃上げと持続的な株主還元を可能にするという「持続的成長戦略」を経営の根本としております。 持続的成長戦略の現在地■賃貸事業という強固な事業基盤を核に、リーマンショック、コロナ禍を乗り越え、しかも一過性の利益に依存しない『質の高い利益成長』を実現■今後も成長投資を継続。投資資金は借入せずとも営業CFで賄えるようになった⇒成長投資を継続しながら、株主還元強化の段階へ ②「持続的成長戦略」の推進、「第十次中期経営計画」スタート本年3月28日に持続的成長戦略の長期展望と、「第十次中期経営計画」(計画期間:2026年3月期~2028年3月期)を、本年5月13日に「持続的成長戦略の着実な進展と株主還元強化、経営体制改革推進について」を公表いたしました。内容は、以下の通りです。 APPENDIX-補足- 【当社の持続的成長戦略】 市況の変化に強く利益が下振れしにくい強固な事業基盤を築くとともに、常に成長のための投資を怠らず、一過性の利益に頼らない持続的な成長を成し遂げ、その果実として持続的な賃上げと持続的な株主還元を可能にするという「持続的成長戦略」を、経営の根本としております。 中でも重要な2点の基本戦略につき、補足します。 1.東京都心の賃貸ビルを中心としたプライム資産を保有し安定収益を積み上げる (1)東京は世界最大・最優良のオフィス市場 ■ 東京はNY、ロンドンよりも大きい、世界最大のマーケット ■ 建替え再開発が中心であり、ネット供給増は差引年間1%未満、また、ストックの2割が未だ旧耐震 ■ 大企業が集結、全産業が揃う世界に類例のないマーケット ■ 充実した都市交通インフラゆえの都心の希少価値が不変 ■ 構造的・継続的な人口流入 (2)他社には真似できない当社独自の”オフィスデパート戦略” ■ 賃貸オフィスビルポートフォリオの95%が東京23区、83%が都心7区に所在 ■ 多くは主要な鉄道路線・地下鉄駅の至近に位置、ビジネス拠点として優位なアクセス利便性 ■ 約2,000社のテナント企業は、大企業からベンチャー企業まで企業規模や業種が多種多様 →景気や社会の変化に耐性が強く安定した収益の確保を実現 (3)当社のプライム資産は「金の卵を産む鶏」、高い希少性 2.インド・ムンバイを東京に次ぐ ”一大事業拠点” へ (1)インドは世界屈指の高成長市場 ■ GDPは2025年には日本、2028年にはドイツを抜き、アメリカ・中国に次ぐ世界第3位へ ■ 国民1人あたり名目GDPも、自動車等の耐久消費財の消費が加速する3千米ドルラインを 数年後には突破、日本の高度経済成長期を彷彿とさせる確かな経済成長 ■ 総人口は、2024年時点で中国を抜き世界第1位の14.5億人、平均年齢は28.4歳 (2)当社が事業を展開するムンバイは賃料高く、高収益が期待可 ■ ムンバイの市域人口は約1,840万人でインドにおける経済の中心地として古くから繁栄 ■ 課題の1つである渋滞解消の為、国を挙げてのインフラ整備が進捗 ■ ムンバイBKC地区の優良オフィスビル賃料は東京都心並の高水準 (3)当社のハイスペックオフィスが市場から高評価 ■ 2019年に取得した「BKC1号計画」は来秋稼働開始 ⇒国際水準の高スペックオフィスビルとして市場から高く評価 大手グローバル金融企業が“東京都心最高水準相当“の賃料単価で内定 【東京の賃貸オフィスビル事業】 ◇ 東京は世界最大のオフィスマーケット ◇ 都心ほどスクラップアンドビルドの「建替型」→建物滅失面積控除後のストック増加は限定的 ◇ 東京の空室率は低位安定 ◇ 日本の大企業(時価総額上位100位)の8割が東京に本社 (NY 1割、ロンドン 5割) 製造、サービス、情報・通信など全業種が揃い(NYは金融だけで7割)業種ごとの好不況の影響を受けづら く、安定した事業基盤を構成 ◇ 加えて、ベンチャー・VCも7割が東京に集中 ◇ 交通の核となる環状山手線に42路線接続 ◇ 人口減の日本において、首都圏の人口は長期間 にわたって流入超過 しかも、そのけん引役は20歳前後の若者安全且つ正確な時間で運行する鉄道インフラを利用して、首都圏全方位から都心に集まる 郊外にオフィスを移転する積極的メリット無し オフィス以外にもホテル、商業、病院など社会資本が都心に効率的に配置 ◇ 東京の空室率は過去30年間、平均約5%と低位で安定 (コロナ禍の出社抑制、コスト削減による解約増も短期間で回復)◇ 現在は優秀な人材確保のための採用増などによりオフィス需要が増加、市況は大幅に回復 ⇒空室減により、明らかな賃料増額ステージへ ■ 当社独自の“オフィスデパート戦略” 当社は不動産賃貸事業の中核を担うオフィスビル賃貸事業において、賃貸オフィスビルポートフォリオの多く(95%)を東京23区に展開、83%がビジネス主要エリアの集中する東京都心部(都心7区)に所在しています。 また、その多くは、主要な鉄道路線・地下鉄駅の至近に位置し、ビジネス拠点として優位なアクセス利便性を有しており、当社ビルに入居する約2,000社のテナント企業は、大企業からベンチャー企業まで企業規模や業種が多岐に渡り、景気や社会の変化に耐性が強く安定した収益の確保を実現しています。 ◇ 規模の多様性 大企業からベンチャー企業まで対応 ◇ 立地の多様性 都心各エリアに展開しており、 各業界の多様なニーズに対応 ■ “金の卵を産む鶏” 生まれ変わったプライム資産「新宿住友ビル」 「新宿住友ビル」は1974年に竣工し築50年を迎えております。当社のポートフォリオの中で最も古いこのビルを、建て替えではなく再生する選択肢を選びました。足元に大屋根をかけ、天候に左右されない大規模イベントを 開催できるようにし、最上階にあったレストラン街を1~2階に移転して、オフィスフロアに再整備しました。設備を一新し、長周波地震に備える耐震性を強化しました。 この50年間の累計キャッシュフロー(償却前営業利益)は4千億円を超えており、80年代の高金利時代からバブル崩壊やリーマンショック、アベノミクス景気まで様々な経済変動を乗り越えながら、50年経った今もなお年間100億円を超える賃貸キャッシュフローをもたらす旗艦ビルの一つとなっております。 <リニューアル前><リニューアル後> 新宿住友ビル(地上52階/地下4階) 竣 工 :1974年3月敷地面積: 14,446.46㎡リニューアル:2020年6月延床面積:180,195.16㎡三 角 広 場 :約3,250㎡ ・全天候型アトリウム空間(天井高:約25m) ・災害時帰宅困難者約2,800名受け入れ可能 【インドの賃貸ビル事業】 ■ インドの経済成長は近年さらに勢いを増しており、2028年にはGDP世界3位へ (2011年対比の経済成長率では、すでに中国を上回る水準で推移) ■ 人口世界一、生産年齢人口は全人口の2/3 ◇ 総人口は2024年時点で中国を抜き世界1位の14.5億人 平均年齢は28.4歳 ■ ムンバイはインド経済の中心 市域人口は約1,840万人 ■ アジア有数の金融センター (ボンベイ証券取引所及びインド企業の本社、外資系大手IT企業などの主要拠点が所在) ■ 国を挙げてのインフラ整備が進む ⇒ 地下鉄、高速道路の敷設 ■ BKC地区の賃料は東京都心最高水準相当 ⇒ 高い期待利回り ■ 開発難易度は高いが、東京で長年培ってきたノウハウを最大限に活用すべく当社100%出資で事業に取り組む ■ ムンバイは東京に次ぐ“一大事業拠点”: 総事業費1兆円規模へ ■ 2019年取得の1号物件は2026年秋 稼働 ▼ 国際水準のハイスペックオフィスと市場から高い評価 大手グローバル金融企業が東京都心最高水準相当の賃料で内定
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針当社は、430年以上の歴史を刻む住友グループの総合不動産会社であり、「信用を重んじ、浮利を追わず」という住友の事業精神を受け継ぎ、従業員、顧客、取引先、債権者、株主等のステークホルダーに対し、当社の企業姿勢を示すスローガンとして「信用と創造」を掲げております。これには、何よりも「信用」を大切にして「浮利を追わず」に、開拓精神を持って新しい企業価値を創り出す、デベロッパーとしての矜持を込めております。このスローガンのもと、「よりよい社会資産を創造し、それを後世に残していく」ことを基本使命とし、各事業を通じて、環境をはじめとする様々な社会課題の解決に貢献しつつ、企業価値の最大化を目指すことを経営の基本方針としております。 (2)中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び対処すべき課題 ①住友不動産グループの持続的成長戦略 当社は、市況の変化に強く利益が下振れしにくい強固な事業基盤を築くとともに、常に成長のための投資を怠らず、一過性の利益に頼らない持続的な成長を成し遂げ、その果実として持続的な賃上げと持続的な株主還元を可能にするという「持続的成長戦略」を経営の根本としております。 持続的成長戦略の現在地■賃貸事業という強固な事業基盤を核に、リーマンショック、コロナ禍を乗り越え、しかも一過性の利益に依存しない『質の高い利益成長』を実現■今後も成長投資を継続。投資資金は借入せずとも営業CFで賄えるようになった⇒成長投資を継続しながら、株主還元強化の段階へ ②「持続的成長戦略」の推進、「第十次中期経営計画」スタート本年3月28日に持続的成長戦略の長期展望と、「第十次中期経営計画」(計画期間:2026年3月期~2028年3月期)を、本年5月13日に「持続的成長戦略の着実な進展と株主還元強化、経営体制改革推進について」を公表いたしました。内容は、以下の通りです。 APPENDIX-補足- 【当社の持続的成長戦略】 市況の変化に強く利益が下振れしにくい強固な事業基盤を築くとともに、常に成長のための投資を怠らず、一過性の利益に頼らない持続的な成長を成し遂げ、その果実として持続的な賃上げと持続的な株主還元を可能にするという「持続的成長戦略」を、経営の根本としております。 中でも重要な2点の基本戦略につき、補足します。 1.東京都心の賃貸ビルを中心としたプライム資産を保有し安定収益を積み上げる (1)東京は世界最大・最優良のオフィス市場 ■ 東京はNY、ロンドンよりも大きい、世界最大のマーケット ■ 建替え再開発が中心であり、ネット供給増は差引年間1%未満、また、ストックの2割が未だ旧耐震 ■ 大企業が集結、全産業が揃う世界に類例のないマーケット ■ 充実した都市交通インフラゆえの都心の希少価値が不変 ■ 構造的・継続的な人口流入 (2)他社には真似できない当社独自の”オフィスデパート戦略” ■ 賃貸オフィスビルポートフォリオの95%が東京23区、83%が都心7区に所在 ■ 多くは主要な鉄道路線・地下鉄駅の至近に位置、ビジネス拠点として優位なアクセス利便性 ■ 約2,000社のテナント企業は、大企業からベンチャー企業まで企業規模や業種が多種多様 →景気や社会の変化に耐性が強く安定した収益の確保を実現 (3)当社のプライム資産は「金の卵を産む鶏」、高い希少性 2.インド・ムンバイを東京に次ぐ ”一大事業拠点” へ (1)インドは世界屈指の高成長市場 ■ GDPは2025年には日本、2028年にはドイツを抜き、アメリカ・中国に次ぐ世界第3位へ ■ 国民1人あたり名目GDPも、自動車等の耐久消費財の消費が加速する3千米ドルラインを 数年後には突破、日本の高度経済成長期を彷彿とさせる確かな経済成長 ■ 総人口は、2024年時点で中国を抜き世界第1位の14.5億人、平均年齢は28.4歳 (2)当社が事業を展開するムンバイは賃料高く、高収益が期待可 ■ ムンバイの市域人口は約1,840万人でインドにおける経済の中心地として古くから繁栄 ■ 課題の1つである渋滞解消の為、国を挙げてのインフラ整備が進捗 ■ ムンバイBKC地区の優良オフィスビル賃料は東京都心並の高水準 (3)当社のハイスペックオフィスが市場から高評価 ■ 2019年に取得した「BKC1号計画」は来秋稼働開始 ⇒国際水準の高スペックオフィスビルとして市場から高く評価 大手グローバル金融企業が“東京都心最高水準相当“の賃料単価で内定 【東京の賃貸オフィスビル事業】 ◇ 東京は世界最大のオフィスマーケット ◇ 都心ほどスクラップアンドビルドの「建替型」→建物滅失面積控除後のストック増加は限定的 ◇ 東京の空室率は低位安定 ◇ 日本の大企業(時価総額上位100位)の8割が東京に本社 (NY 1割、ロンドン 5割) 製造、サービス、情報・通信など全業種が揃い(NYは金融だけで7割)業種ごとの好不況の影響を受けづら く、安定した事業基盤を構成 ◇ 加えて、ベンチャー・VCも7割が東京に集中 ◇ 交通の核となる環状山手線に42路線接続 ◇ 人口減の日本において、首都圏の人口は長期間 にわたって流入超過 しかも、そのけん引役は20歳前後の若者安全且つ正確な時間で運行する鉄道インフラを利用して、首都圏全方位から都心に集まる 郊外にオフィスを移転する積極的メリット無し オフィス以外にもホテル、商業、病院など社会資本が都心に効率的に配置 ◇ 東京の空室率は過去30年間、平均約5%と低位で安定 (コロナ禍の出社抑制、コスト削減による解約増も短期間で回復)◇ 現在は優秀な人材確保のための採用増などによりオフィス需要が増加、市況は大幅に回復 ⇒空室減により、明らかな賃料増額ステージへ ■ 当社独自の“オフィスデパート戦略” 当社は不動産賃貸事業の中核を担うオフィスビル賃貸事業において、賃貸オフィスビルポートフォリオの多く(95%)を東京23区に展開、83%がビジネス主要エリアの集中する東京都心部(都心7区)に所在しています。 また、その多くは、主要な鉄道路線・地下鉄駅の至近に位置し、ビジネス拠点として優位なアクセス利便性を有しており、当社ビルに入居する約2,000社のテナント企業は、大企業からベンチャー企業まで企業規模や業種が多岐に渡り、景気や社会の変化に耐性が強く安定した収益の確保を実現しています。 ◇ 規模の多様性 大企業からベンチャー企業まで対応 ◇ 立地の多様性 都心各エリアに展開しており、 各業界の多様なニーズに対応 ■ “金の卵を産む鶏” 生まれ変わったプライム資産「新宿住友ビル」 「新宿住友ビル」は1974年に竣工し築50年を迎えております。当社のポートフォリオの中で最も古いこのビルを、建て替えではなく再生する選択肢を選びました。足元に大屋根をかけ、天候に左右されない大規模イベントを 開催できるようにし、最上階にあったレストラン街を1~2階に移転して、オフィスフロアに再整備しました。設備を一新し、長周波地震に備える耐震性を強化しました。 この50年間の累計キャッシュフロー(償却前営業利益)は4千億円を超えており、80年代の高金利時代からバブル崩壊やリーマンショック、アベノミクス景気まで様々な経済変動を乗り越えながら、50年経った今もなお年間100億円を超える賃貸キャッシュフローをもたらす旗艦ビルの一つとなっております。 <リニューアル前><リニューアル後> 新宿住友ビル(地上52階/地下4階) 竣 工 :1974年3月敷地面積: 14,446.46㎡リニューアル:2020年6月延床面積:180,195.16㎡三 角 広 場 :約3,250㎡ ・全天候型アトリウム空間(天井高:約25m) ・災害時帰宅困難者約2,800名受け入れ可能 【インドの賃貸ビル事業】 ■ インドの経済成長は近年さらに勢いを増しており、2028年にはGDP世界3位へ (2011年対比の経済成長率では、すでに中国を上回る水準で推移) ■ 人口世界一、生産年齢人口は全人口の2/3 ◇ 総人口は2024年時点で中国を抜き世界1位の14.5億人 平均年齢は28.4歳 ■ ムンバイはインド経済の中心 市域人口は約1,840万人 ■ アジア有数の金融センター (ボンベイ証券取引所及びインド企業の本社、外資系大手IT企業などの主要拠点が所在) ■ 国を挙げてのインフラ整備が進む ⇒ 地下鉄、高速道路の敷設 ■ BKC地区の賃料は東京都心最高水準相当 ⇒ 高い期待利回り ■ 開発難易度は高いが、東京で長年培ってきたノウハウを最大限に活用すべく当社100%出資で事業に取り組む ■ ムンバイは東京に次ぐ“一大事業拠点”: 総事業費1兆円規模へ ■ 2019年取得の1号物件は2026年秋 稼働 ▼ 国際水準のハイスペックオフィスと市場から高い評価 大手グローバル金融企業が東京都心最高水準相当の賃料で内定
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要① 財政状態及び経営成績の状況4期連続経常最高益、12期連続純利益最高益更新当連結会計年度の業績は下表の通りで、売上高、営業利益、経常利益、純利益のすべてにおいて過去最高を更新しました。 全部門増収増益、不動産賃貸事業が業績を牽引、不動産販売事業、完成工事事業も最高益部門別では、需給改善傾向が続く東京のオフィスビルを中心とする不動産賃貸事業が大幅増益となり業績を牽引しました。分譲マンションが堅調に推移した不動産販売事業に加え、高い環境性能を備えた商品を中心に売上高が増加した完成工事(ハウジング)事業も最高益を更新しました。Web広告強化の取組みなどによって集客が増加に転じた不動産流通事業も含め、全部門増収増益を達成しました。 営業外損益は支払利息の増加により31億円のマイナス(前期比△16億円)となり、特別損益は、減損損失を187億円計上した一方、投資有価証券売却益を383億円計上した結果、55億円(同+53億円)のプラスとなりました。 その結果、売上高1兆142億円(前期比+4.8%)、営業利益2,715億円(同+6.6%)、経常利益2,683億円(同+6.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益1,916億円(同+8.2%)となりました。 (百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増 減 (2023.4.1~2024.3.31)(2024.4.1~2025.3.31) 売上高967,6921,014,239+46,547 営業利益254,666271,516+16,849 経常利益253,111268,323+15,211 親会社株主に帰属する当期純利益177,171191,681+14,510 部門別の営業成績は下表の通りです。 (百万円) 売上高前連結会計年度当連結会計年度増 減 (2023.4.1~2024.3.31)(2024.4.1~2025.3.31) 不動産賃貸444,406472,571+28,165 不動産販売241,207246,402+5,194 完成工事205,058215,827+10,768 不動産流通72,30873,174+866 連結計967,6921,014,239+46,547 (百万円) 営業利益前連結会計年度当連結会計年度増 減 (2023.4.1~2024.3.31)(2024.4.1~2025.3.31) 不動産賃貸176,580191,295+14,715 不動産販売60,20860,389+181 完成工事20,84122,776+1,935 不動産流通18,73919,501+761 連結計254,666271,516+16,849 <不動産賃貸事業部門>増収増益、最高益更新当連結会計年度は、既存ビルの稼働率改善と値上げの浸透、「住友不動産東京三田ガーデンタワー」、「住友不動産新宿ファーストタワー」の入居進捗、「住友不動産中野駅前ビル」、「住友不動産新宿南口ビル」などの新規稼働に加え、ホテル、イベントホールなどの収益増も業績に寄与した結果、大幅な増収増益となり、売上、営業利益ともに過去最高を更新しました。 需給改善継続、新規ビル募集順調当期末の空室率は、5.8%(前期末比△1.1p)となりました。働きやすいオフィス環境を志向する企業や事業拡大のため採用強化を図る企業の新規需要は引き続き旺盛で、契約面積が解約面積を上回る状況が継続しております。また、当第4四半期に竣工した「住友不動産六本木セントラルタワー」ほか新規ビルのテナント募集も進捗し始めました。 前期末(2024.3月末)当期末(2025.3月末)既存ビル空室率6.9%5.8% <不動産販売事業部門>増収増益、最高益更新当連結会計年度は、「シティテラス善福寺公園」、「THE ASAKUSA RESIDENCE」、「シティハウス横浜」、「シティテラス若江岩田」などが引渡しを開始、マンション、戸建、宅地の合計で3,526戸(前期比+2戸)を販売計上した結果増収増益となり、営業利益は過去最高を更新しました。 マンション契約順調、次期計上分確保済当連結会計年度のマンション契約戸数は2,620戸(前期比△661戸)となりました。期首時点で次期計上予定分は概ね確保済みとなり、さらに次々期計上予定分の契約も順調に進捗しております。 前連結会計年度当連結会計年度増 減 (2023.4.1~2024.3.31)(2024.4.1~2025.3.31) マンション契約戸数3,2812,620△661 計上戸数3,5243,526+2 マンション・戸建 3,4753,440△35 宅地4986+37 売上高(百万円)241,207246,402+5,194 マンション・戸建 227,741227,151△589 宅地・その他13,46619,250+5,783 <完成工事事業部門>販売単価増、最高益更新当連結会計年度の受注棟数は、「新築そっくりさん」事業で7,044棟(前期比+97棟)、注文住宅事業で2,140棟(同△82棟)となりました。「高断熱リフォーム」や、ZEH仕様を標準とする「住友不動産の栖(すみか)」など環境性能を訴求した商品の受注は引き続き好調で、1棟当たり単価が上昇したことに加え、マンションスケルトンリフォームの着実な成長もあり、受注高は両事業部門とも前年比プラスとなりました。当事業部門の業績は、両事業ともに計上棟数の減少を販売価格の上昇でカバーして、増収増益となり最高益を更新しました。 前連結会計年度当連結会計年度増 減 (2023.4.1~2024.3.31)(2024.4.1~2025.3.31) 受注棟数9,1699,184+15 新築そっくりさん6,9477,044+97 注文住宅2,2222,140△82 受注高(百万円)183,025192,143+9,117 新築そっくりさん105,402110,821+5,418 注文住宅77,62381,322+3,698 計上棟数9,4799,279△200 新築そっくりさん7,2047,035△169 注文住宅2,2752,244△31 売上高(百万円)194,588204,799+10,210 新築そっくりさん106,538110,310+3,772 注文住宅88,05094,488+6,438 <不動産流通事業部門>増収増益、先行指標の改善傾向継続当連結会計年度は、仲介引渡し件数が減少しましたが、取扱単価の上昇により増収増益となりました。当期は、Web広告強化の取組みなどにより問い合わせ件数が増加、契約ベースでは、件数、取扱高とも前年比プラスとなり、改善傾向が続いております。 引渡しベース前連結会計年度当連結会計年度増 減 (2023.4.1~2024.3.31)(2024.4.1~2025.3.31) 仲介件数31,50231,003△499 取扱高 (百万円)1,392,8691,434,390+41,521 取扱単価(百万円)44.246.3+2.1 契約ベース前連結会計年度当連結会計年度増 減 (2023.4.1~2024.3.31)(2024.4.1~2025.3.31) 仲介件数30,75331,325+572 取扱高 (百万円)1,389,4301,486,422+96,991 取扱単価(百万円)45.247.5+2.3 <その他の事業部門>フィットネスクラブ事業、飲食業などその他の事業は、売上高13,034百万円(前期比+1,756百万円)、営業利益2,170百万円(同+751百万円)となりました。 <中期経営計画の達成状況>2022年4月より取り組んできた「第九次中期経営計画」は当期(2025年3月期)をもって終了しました。計画最終年度の当期は、前掲「当期の経営成績」に記載の通り、4期連続経常最高益、12期連続純利益最高益更新を達成しました。3ヵ年累計業績は下表の通りで、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてにおいて八次実績を上回るとともに、経常利益と当期純利益は当初目標を超過達成することができました。 (億円) 八次実績 (2019.4.1~2022.3.31) 九次実績(3ヵ年累計) 八次比 九次目標※(2022.4.1~2025.3.31) 前々期 (2022.4.1~2023.3.31)前期(2023.4.1~2024.3.31) 当期 (2024.4.1~2025.3.31) 売上高2兆8,704 9,3999,67710,1422兆9,218 +514 3兆0,000 営業利益6,875 2,4132,5472,7157,675 +800 7,700 経常利益6,556 2,3672,5312,6837,581 +1,025 7,500 当期純利益4,328 1,6191,7721,9175,308 +979 5,000 ※2022年5月12日公表<資産、負債、純資産の状況>当連結会計年度における総資産は、6兆7,224億円(前期末比+440億円)となりました。仕掛販売用不動産と賃貸ビルを主とする有形固定資産が増加しました。負債合計額は、4兆5,543億円(前期末比△734億円)となりました。連結有利子負債が3兆8,919億円(同△696億円)と減少しました。純資産合計額は2兆1,681億円(前期末比+1,175億円)となりました。当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益が1,916億円となり、利益剰余金が増加しました。自己資本比率は32.3%(前期末30.7%)となりました。なお、当連結会計年度における連結有利子負債の長期比率は97%(前期末97%)、固定金利比率は87%(同84%)となっております。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、 営業活動によるキャッシュ・フロー 253,171百万円(前期比 + 21,138百万円) 投資活動によるキャッシュ・フロー △143,616百万円(前期比 +167,078百万円) 財務活動によるキャッシュ・フロー △116,847百万円(前期比 △113,192百万円)となり、現金及び現金同等物は△4,890百万円減少して98,234百万円となりました。 <営業活動によるキャッシュ・フロー>当期の経常利益は2,683億円、減価償却費は748億円となりました。法人税等の支払を差し引いた営業キャッシュ・フローは2,531億円の収入となりました。 <投資活動によるキャッシュ・フロー>主に賃貸事業の増強を目的として合計1,655億円の有形固定資産投資を行う一方、投資有価証券を455億円売却した結果、投資キャッシュ・フローは1,436億円の支出となりました。 <財務活動によるキャッシュ・フロー>賃貸事業の増強に伴う有形固定資産投資がキャッシュ・フローで賄える状況となったため、当連結会計年度中に、期限到来に伴う長期借入金(ノンリコース含む)2,937億円の返済、社債900億円の償還、コマーシャルペーパー差引き260億円の償還に対応し、3,372億円の長期借入を実施しました。その結果、財務キャッシュ・フローは1,168億円の支出となりました。 ③ 生産、受注及び販売の状況生産、受注及び販売の状況については、前掲「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(イ) 概況当連結会計年度は、売上高1兆142億円(前連結会計年度比+465億円)、営業利益2,715億円(同+168億円)、経常利益2,683億円(同+152億円)となりました。売上高、営業利益、経常利益、純利益のすべてにおいて過去最高を更新しました。 (ロ) 売上高および営業利益当連結会計年度は、需給改善傾向が続く東京のオフィスビルを中心とする不動産賃貸事業が大幅増益となり業績を牽引しました。分譲マンションが堅調に推移した不動産販売事業に加え、高い環境性能を備えた商品を中心に売上高が増加した完成工事(ハウジング)事業も最高益を更新しました。Web広告強化の取組みなどによって集客が増加に転じた不動産流通事業も含め、全部門増収増益を達成しました。その結果、売上高は1,014,239百万円(前連結会計年度比+46,547百万円、同+4.8%)、営業利益は271,516百万円(同+16,849百万円、同+6.6%)となりました。なお、各事業部門の詳細については、前掲「(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。 (ハ) 営業外損益営業外収益は、受取配当金の増加などにより、21,146百万円(前連結会計年度比+549百万円)となりました。また、営業外費用は24,339百万円(同+2,187百万円)となりました。その結果、営業外損益は△3,192百万円(同1,637百万円の悪化)となりました。 (ニ) 特別損益当連結会計年度は、投資有価証券売却益などにより特別利益は38,495百万円(前連結会計年度比+25,599百万円)となった一方、減損損失や固定資産除却損など32,978百万円(同+20,234百万円)の特別損失を計上しました。その結果、特別損益は、差引5,516百万円の利益(同5,365百万円の改善)となりました。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報親会社株主に帰属する当期純利益が191,681百万円となり、株主資本が前連結会計年度末比144,022百万円増加 した結果、当連結会計年度末の自己資本は、2,168,107百万円(同+117,525百万円)、自己資本比率は32.3%となりました。 資金調達においては、賃貸事業の増強に伴う有形固定資産投資がキャッシュ・フローで賄える状況となったため、当連結会計年度中に、期限到来に伴う長期借入金(ノンリコース含む)2,937億円の返済、社債900億円の償還、コマーシャルペーパー差引き260億円の償還に対応し、3,372億円の長期借入を実施しました。その結果、連結有利子負債は、3,891,925百万円(前連結会計年度末比△69,639百万円)となりました。 なお、当連結会計年度における連結有利子負債の長期比率は97%(前期末97%)、固定金利比率は87%(同84%)となっております。 2025年4月より開始した「第十次中期経営計画」では、更なる収益基盤強化のため、東京都心およびインド・ムンバイにおける賃貸資産への投資を継続推進することとしております。必要な資金は、拡大する賃貸キャッシュフローにより賄うこととしており、併せて累進配当による株主還元も強化していく方針としております。詳しくは、前掲「1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](2)中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び対処すべき課題」をご参照ください。 ③ 重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、第5[経理の状況]の連結財務諸表の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針等が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。 販売用不動産(仕掛含む)及び賃貸資産の評価当社グループは、販売用不動産(仕掛含む)について、連結財務諸表の注記事項に記載のとおり、主として個別法に基づく原価法(収益性の低下による簿価切り下げの方法)により評価しております。また、賃貸資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、資産のグルーピング、減損の兆候の識別、減損損失の認識の判定及び測定を行っております。 なお、詳細は第5[経理の状況]の連結財務諸表の(重要な会計上の見積り)に記載しております。