9006

京浜急行電鉄(9006)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

陸運業 運輸・物流

事業の概要

  • 交通事業が基盤
    京浜急行電鉄は、鉄道、バス、タクシーを核とする交通事業を主要な収益源としています。特に京急線沿線での鉄道事業は、通勤・通学客や羽田空港利用客の輸送を担い、安定した収益基盤を形成しています。子会社を通じてバスやタクシーも展開し、地域住民の移動を多角的に支えるビジネスモデルです。
  • 不動産事業で収益多様化
    交通事業で培った沿線価値を活かし、不動産販売や賃貸事業も展開しています。駅周辺や沿線の土地開発を通じて、マンションや商業施設を供給し、賃貸収入や売却益を得ることで、収益の多様化を図っています。これは鉄道会社が沿線開発と一体で成長する典型的なビジネスモデルと言えます。
  • 多角的な生活関連事業
    交通・不動産以外にも、ホテル、レジャー施設、百貨店、スーパーマーケット、建設、ビル管理など、幅広い事業を手掛けています。これらは沿線住民の生活を総合的にサポートする役割を担い、交通事業との相乗効果を生み出すことで、グループ全体の収益力を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 交通事業
    売上1,170.99億円、営業利益188.77億円。鉄道、バス、タクシーを運営する京急グループの基幹事業です。特に京急線は都心と羽田空港、横浜、三浦半島を結び、通勤・通学客や観光客の輸送を担っています。グループ全体の売上・利益の大部分を占める稼ぎ頭であり、安定した収益基盤を形成しています。
  • 不動産事業
    売上482.69億円、営業利益69.28億円。不動産の販売や賃貸を行う事業です。沿線開発を通じてマンションや商業施設を供給し、賃貸収入や売却益を得ています。交通事業と連携し、沿線の価値向上に貢献しており、グループの重要な収益源の一つとなっています。
  • レジャー・サービス事業
    売上285.15億円、営業利益49.46億円。ビジネスホテル、レジャー施設、ゴルフ場、マリーナなどを運営する事業です。沿線地域の観光・レジャー需要を取り込み、交通事業との相乗効果を生み出しています。地域活性化にも寄与し、グループの多様なサービス提供を支えています。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Transportation 事業 1,171 189 16.1%
RealEstate 事業 483 69 14.4%
LeisureServices 事業 285 49 17.3%
Retailing 事業 798 21 2.6%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2026|610 文字
3 【事業の内容】当社および当社の関係会社(子会社39社および関連会社22社)の営んでいる主要な事業内容は、次のとおりであります。なお、交通事業以下の各区分は、セグメント情報における事業区分と同一であります。 (1)交通事業(5社)事業の内容主要な会社名鉄道事業当社バス事業京浜急行バス㈱、川崎鶴見臨港バス㈱、東洋観光㈱ その他1社 (2)不動産事業(29社)事業の内容主要な会社名不動産販売業当社、京急不動産㈱不動産賃貸業当社、京急不動産㈱、京急開発㈱、臨港エステート㈱ その他25社 (3)レジャー・サービス事業(13社)事業の内容主要な会社名ビジネスホテル業当社、㈱京急イーエックスインレジャー関連施設業当社、京急開発㈱、㈱市原京急カントリークラブ、㈱葉山マリーナーレジャーその他当社、㈱京急アドエンタープライズ、京急ロイヤルフーズ㈱ その他6社 (4)流通事業(5社)事業の内容主要な会社名百貨店・ショッピングセンター業㈱京急百貨店ストア業㈱京急ストア その他3社 (5)その他(13社)事業の内容主要な会社名土木・建築工事業京急建設㈱輸送用機器修理業㈱京急ファインテック電気工事業京急電機㈱ビル管理業京急サービス㈱自動車教習所業㈱鴨居自動車学校 その他8社 (注)上記事業区分の会社数には、当社および京急開発㈱が重複して含まれております。 以上の企業集団の状況について、事業系統図を示すと次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
交通事業は公共輸送機関としての性格上、厳格な法規制の下に事業を行っており、運賃および料金の設定・変更に規制を受けているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
鉄道事業法、道路運送法および労働諸法制の定めにより、事業の拡大・縮小、通常の業務運営、運賃および料金の設定・変更や乗務員の労働条件などにおいて規制を受けている。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:少子高齢化の進行による地域人口減少 / 沿線地域に集中した事業展開による影響 / 在宅勤務増加など生活様式の変化による移動減
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

京急電鉄は、沿線に羽田空港、品川、横浜といった主要ターミナル駅を持ち、地域住民やビジネス客、観光客にとって不可欠な移動手段としてのブランド力を確立している。特に羽田空港へのアクセスは独占的とも言える地位を築いており、これが無形資産となっている。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

沿線住民や沿線企業にとっては、京急線以外の公共交通機関への乗り換えは、時間的・物理的コストが大きく、代替手段が限られる。特に都心部への通勤・通学者は、定期券の利用などから乗り換えのハードルが高い。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

鉄道事業自体に直接的なネットワーク効果は限定的。沿線開発や商業施設との連携はあるが、ユーザー数増加がサービス価値を直接高める構造ではない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

鉄道事業のインフラ維持・更新には巨額の固定費がかかる。規模の経済は働くものの、新規参入が困難な反面、既存事業者間のコスト競争力は限定的。沿線開発による不動産賃料収入などが補完。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

首都圏の主要私鉄として、広範な路線網と多くの駅を有し、一定の規模の経済を享受している。沿線人口や輸送密度は高く、効率的な運行が可能。ただし、JR東日本などの巨大インフラとの比較では限定的。

  • 沿線一体の多角的な事業展開
    京急グループは、鉄道・バスといった交通インフラを基盤に、不動産、レジャー、流通、建設など多岐にわたる事業を沿線地域で展開しています。これにより、交通利用者の増加が不動産価値向上につながり、商業施設の利用促進にも寄与するなど、各事業が相互に連携し、沿線全体の価値を高める相乗効果を生み出しています。
  • 羽田空港へのアクセス優位性
    京急線は、都心(品川)と羽田空港を結ぶ主要なアクセス路線の一つであり、この立地は大きな競争優位性です。国内外からの観光客やビジネス客の利用が多く、安定した輸送需要を確保しています。将来的な羽田空港のさらなる発展は、京急グループの交通事業にとって引き続き重要な成長ドライバーとなる可能性があります。
  • 地域密着型の強固な顧客基盤
    長年にわたり京急線沿線で事業を展開してきたことで、地域住民からの高い信頼とブランド力を確立しています。交通、不動産、流通、レジャーなど、生活に密着した多様なサービスを提供することで、沿線住民の生活を包括的にサポートし、強固な顧客基盤を築いています。これにより、他社の新規参入に対する障壁も形成されています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

  • 沿線価値共創戦略の推進
    京急グループは、鉄道などの「移動プラットフォーム」と不動産・レジャーなどの「まち創造プラットフォーム」を連携させ、沿線全体の価値を高める「沿線価値共創戦略」を掲げています。これにより、地域とグループの持続的な発展を目指し、鉄道会社やデベロッパーの枠を超えた「ローカルプラットフォーマー」としての役割を強化する方針です。
  • 不動産事業の構造変革
    不動産事業において、長期保有前提の賃貸事業から、私募ファンドや私募リートを活用した「回転型事業」への転換を図ります。2030年度までに1,000億円以上の不動産を流動化し、資本収益性の向上と成長投資の原資確保を目指します。これにより、不動産価値を顕在化させ、アセットマネジメントなどのフィービジネス収益源も確保する計画です。
  • 財務マネジメントと資本効率向上
    大規模成長投資を推進しつつ、財務健全性の確保と資本効率向上を両立させることを重視しています。ROE目標の引き上げや株主還元の強化、最適資本構成に基づく自己資本比率目標の明確化など、資本コストや株価を意識した経営を推進します。各事業の資本収益性向上に向けたROIIC-WACC管理も徹底し、持続的な企業価値向上を目指します。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】本項に記載されている将来に関する事項は、当連結会計年度末において入手可能な情報に基づき、判断したものであります。 (1)経営の基本方針 京急グループは、「都市生活を支える事業を通して、新しい価値を創造し、社会の発展に貢献する」ことなどをグループ理念として掲げております。また、グループ理念の持続的な実現が、社会と京急グループの持続可能性を高めることにつながるという考えのもと、グループ理念と不可分一体の方針として、サステナビリティ基本方針を策定しております。引き続き、社会価値および企業価値の持続的な向上を図ってまいります。 グループ理念(抜粋) <経営理念>■京急グループは、都市生活を支える事業を通して、新しい価値を創造し、社会の発展に貢献する■京急グループは、伝統のもとに、創意あふれる清新な気風をもって、総合力を発揮し、社業の躍進をめざす■京急グループは、グループの繁栄と全員の幸福との一致を追求する サステナビリティ基本方針(抜粋) 京急グループは、グループ理念のもとで、「社会の持続的発展への貢献」と「京急グループの持続的発展」のよりよい循環を目指します。 (2)総合経営計画 イ.第20次総合経営計画の概要2024年度から、2040年度を長期ビジョンの実現年度、2024年度から2026年度までを中期経営計画期間とした第20次総合経営計画を推進しています。サステナビリティ基本方針に基づき社会価値・企業価値向上を目指す「サステナビリティ推進方針」を、あらゆる事業・経営活動の基礎として掲げたうえで、移動プラットフォームとまち創造プラットフォームの相互価値共創を軸とする「沿線価値共創戦略」と、その推進を支える「経営基盤重点項目」を設定しています。また、経営計画期間中に、当社グループならではの強みを活かし、特に重点的に取り組む事業として「重点事業展開」を設定しています。 (京急グループ総合経営計画体系図・骨子)(注)京急グループ総合経営計画の詳細は、当社ウェブサイト(https://www.keikyu.co.jp/ir/policy/vision/)に掲載しております。 ロ.沿線価値共創戦略沿線価値共創戦略は、社会課題や価値観の多様化に、移動とまち創造の両プラットフォームの「相互価値共創」のスパイラルアップによって新しい価値を創出することで対応し、地域と当社グループの持続的な発展を目指す戦略です。「相互価値共創」とは、鉄道事業をはじめとする「移動プラットフォーム」が、あらゆる交通手段を用いた移動環境の最適化を通じて、まちの価値向上と沿線範囲を拡大する一方で、不動産・レジャー事業などの「まち創造プラットフォーム」が、移動のきっかけや人の流れの需要を創出することで、相互の事業による相乗効果を最大化し、新しい価値を生み出すことを意味します。この沿線価値共創戦略を通じて、鉄道会社やデベロッパーの枠を超えた、地域事業者や自治体等の沿線全体で価値を共創する「ローカルプラットフォーマー」として、沿線の各地域に「移動」と「住・働・楽・学」が揃う多極型まちづくりを推進しています。(沿線価値共創戦略の概念図) ハ.経営基盤重点項目(イ)事業構造変革不動産事業において、不動産価値の顕在化による資本収益性の向上と成長投資の原資確保を目的に、長期保有前提の賃貸事業から回転型事業への本格転換を図ります。具体的には、私募ファンドに加えて私募リートを組成し、2030年度までに総額1,000億円以上の運用資産規模を目指しておりますが、さらなる検討を進め、2029年度までに1,500億円以上の不動産流動化の可能性について精査を行っております。私募リート・私募ファンドへの不動産売却により、沿線地域のプラットフォーマーとして継続的な関与余地を残すことで、まちづくり・沿線価値共創に貢献するとともに、アセットマネジメント、プロパティマネジメント、ビルマネジメント業務等を通じたフィービジネス収益源の確保を目指します。さらに、これらの取り組みを着実に推進するため、事業の推進・モニタリング体制、事業計画の妥当性検証の仕組みおよび外部人材の活用等によりノウハウを強化するなど、不動産事業の推進・モニタリング体制をいっそう強化しています。このほか、鉄道事業においては、ワンマン運転をはじめとする次世代型オペレーションを推進するほか、バス事業においては、さらなる路線最適化等を実施し、効率化・省人化を図るなど、各事業において資本収益性向上に資する施策に取り組みます。(ロ)顧客視点の徹底顧客の多様なニーズに応じたサービス提供による顧客体験価値向上を目指し、当社グループが提供しているサービスを通じて蓄積したデータの一元化・可視化、グループ全体での横断的活用を推進することに加え、体制整備や人財育成による意識・風土改革を進めています。 (ハ)人的資本経営の推進多様な視点・顧客視点で物事を捉え、価値創造・共創ができる「個」の成長の後押しと、信頼と協力を大切にして、異なる「個」の創発を促す組織・カルチャー醸成の両輪により、長期ビジョンの実現・企業価値の向上を目指します。また、エンゲージメントサーベイを継続的に実施し、人的資本経営に関わる各取り組みの仮説検証を組織・職場の様々なレベルで実行できる体制を確立します。(ニ)財務マネジメントの強化当社グループは、大規模成長投資を着実に推進するための財務健全性の確保と資本効率向上の両立、および資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を長期的な基本方針として、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向けた取り組みを推進しています。また、当社グループが注力する品川駅周辺開発をはじめとする成長投資を着実に実行するため、重要経営指標として「純有利子負債/EBITDA倍率」に加え、最適資本構成をもとに「自己資本比率」目標を明確化することで、バランスシートマネジメントを推進します。さらに、各事業の資本収益性の向上に向けた事業別ROIC(注1)-WACC(注2)管理を拡充・継続するなど、様々な取り組みを徹底することで財務マネジメントの強化を推進してまいります。(注1)投下資本利益率(投下した資本に対して生み出した利益の割合)(注2)加重平均資本コスト(資金調達に要する費用の平均値)(不動産回転型ビジネスの推進イメージ図) (目標経営指標の内容) ニ.重点事業展開第20次総合経営計画において、当社グループならではの強みを活かし、特に重点的に取り組む事業として「重点事業展開」を設定しており、各エリアにおいて取り組みを進めています。具体的には、品川・羽田・横浜を結んだ「成長トライアングルゾーン」と各エリアとの相互連携により、沿線の発展・活性化を図ります。品川エリアにおいては、トヨタ自動車㈱と共同で高輪3丁目地区事業計画の2029年度竣工・開業を目指すとともに、当社グループが行う開発・品川駅整備のみならず、周辺開発やリニア中央新幹線の開業等の効果を最大限取り込み、沿線全体に波及させます。羽田エリアにおいては、羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線の整備によって抜本的に輸送力を増強するとともに、周辺エリアの活性化を図り、日本の玄関口・羽田空港のポテンシャルを最大限に活用します。このほか、川崎や横浜エリアにおける開発プロジェクトのほか、都市近郊リゾートみうらの創生、沿線各地に「住・働・楽・学」が揃う中核拠点を整備する多極型まちづくりの推進等により、沿線全体の活性化に取り組んでいます。(重点事業展開の全体像)
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境および対処すべき課題等】本項に記載されている将来に関する事項は、当連結会計年度末において入手可能な情報に基づき、判断したものであります。 (1)経営の基本方針 京急グループは、「都市生活を支える事業を通して、新しい価値を創造し、社会の発展に貢献する」ことなどをグループ理念として掲げております。また、グループ理念の持続的な実現が、社会と京急グループの持続可能性を高めることにつながるという考えのもと、グループ理念と不可分一体の方針として、サステナビリティ基本方針を策定しております。引き続き、社会価値および企業価値の持続的な向上を図ってまいります。 グループ理念(抜粋) <経営理念>■京急グループは、都市生活を支える事業を通して、新しい価値を創造し、社会の発展に貢献する■京急グループは、伝統のもとに、創意あふれる清新な気風をもって、総合力を発揮し、社業の躍進をめざす■京急グループは、グループの繁栄と全員の幸福との一致を追求する サステナビリティ基本方針(抜粋) 京急グループは、グループ理念のもとで、「社会の持続的発展への貢献」と「京急グループの持続的発展」のよりよい循環を目指します。 (2)総合経営計画 イ.第20次総合経営計画の概要2024年度から、2040年度を長期ビジョンの実現年度、2024年度から2026年度までを中期経営計画期間とした第20次総合経営計画を推進しています。サステナビリティ基本方針に基づき社会価値・企業価値向上を目指す「サステナビリティ推進方針」を、あらゆる事業・経営活動の基礎として掲げたうえで、移動プラットフォームとまち創造プラットフォームの相互価値共創を軸とする「沿線価値共創戦略」と、その推進を支える「経営基盤重点項目」を設定しています。また、経営計画期間中に、当社グループならではの強みを活かし、特に重点的に取り組む事業として「重点事業展開」を設定しています。 (京急グループ総合経営計画体系図・骨子)(注)京急グループ総合経営計画の詳細は、当社ウェブサイト(https://www.keikyu.co.jp/ir/policy/vision/)に掲載しております。 ロ.沿線価値共創戦略沿線価値共創戦略は、社会課題や価値観の多様化に、移動とまち創造の両プラットフォームの「相互価値共創」のスパイラルアップによって新しい価値を創出することで対応し、地域と当社グループの持続的な発展を目指す戦略です。「相互価値共創」とは、鉄道事業をはじめとする「移動プラットフォーム」が、あらゆる交通手段を用いた移動環境の最適化を通じて、まちの価値向上と沿線範囲を拡大する一方で、不動産・レジャー事業などの「まち創造プラットフォーム」が、移動のきっかけや人の流れの需要を創出することで、相互の事業による相乗効果を最大化し、新しい価値を生み出すことを意味します。この沿線価値共創戦略を通じて、鉄道会社やデベロッパーの枠を超えた、地域事業者や自治体等の沿線全体で価値を共創する「ローカルプラットフォーマー」として、沿線の各地域に「移動」と「住・働・楽・学」が揃う多極型まちづくりを推進しています。(沿線価値共創戦略の概念図) ハ.経営基盤重点項目(イ)事業構造変革不動産事業において、不動産価値の顕在化による資本収益性の向上と成長投資の原資確保を目的に、長期保有前提の賃貸事業から回転型事業への本格転換を図ります。具体的には、私募ファンドに加えて私募リートを組成し、2030年度までに総額1,000億円以上の運用資産規模を目指しておりますが、さらなる検討を進め、2029年度までに1,500億円以上の不動産流動化の可能性について精査を行っております。私募リート・私募ファンドへの不動産売却により、沿線地域のプラットフォーマーとして継続的な関与余地を残すことで、まちづくり・沿線価値共創に貢献するとともに、アセットマネジメント、プロパティマネジメント、ビルマネジメント業務等を通じたフィービジネス収益源の確保を目指します。さらに、これらの取り組みを着実に推進するため、事業の推進・モニタリング体制、事業計画の妥当性検証の仕組みおよび外部人材の活用等によりノウハウを強化するなど、不動産事業の推進・モニタリング体制をいっそう強化しています。このほか、鉄道事業においては、ワンマン運転をはじめとする次世代型オペレーションを推進するほか、バス事業においては、さらなる路線最適化等を実施し、効率化・省人化を図るなど、各事業において資本収益性向上に資する施策に取り組みます。(ロ)顧客視点の徹底顧客の多様なニーズに応じたサービス提供による顧客体験価値向上を目指し、当社グループが提供しているサービスを通じて蓄積したデータの一元化・可視化、グループ全体での横断的活用を推進することに加え、体制整備や人財育成による意識・風土改革を進めています。 (ハ)人的資本経営の推進多様な視点・顧客視点で物事を捉え、価値創造・共創ができる「個」の成長の後押しと、信頼と協力を大切にして、異なる「個」の創発を促す組織・カルチャー醸成の両輪により、長期ビジョンの実現・企業価値の向上を目指します。また、エンゲージメントサーベイを継続的に実施し、人的資本経営に関わる各取り組みの仮説検証を組織・職場の様々なレベルで実行できる体制を確立します。(ニ)財務マネジメントの強化当社グループは、大規模成長投資を着実に推進するための財務健全性の確保と資本効率向上の両立、および資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を長期的な基本方針として、持続的な成長と中長期的な企業価値向上の実現に向けた取り組みを推進しています。また、当社グループが注力する品川駅周辺開発をはじめとする成長投資を着実に実行するため、重要経営指標として「純有利子負債/EBITDA倍率」に加え、最適資本構成をもとに「自己資本比率」目標を明確化することで、バランスシートマネジメントを推進します。さらに、各事業の資本収益性の向上に向けた事業別ROIC(注1)-WACC(注2)管理を拡充・継続するなど、様々な取り組みを徹底することで財務マネジメントの強化を推進してまいります。(注1)投下資本利益率(投下した資本に対して生み出した利益の割合)(注2)加重平均資本コスト(資金調達に要する費用の平均値)(不動産回転型ビジネスの推進イメージ図) (目標経営指標の内容) ニ.重点事業展開第20次総合経営計画において、当社グループならではの強みを活かし、特に重点的に取り組む事業として「重点事業展開」を設定しており、各エリアにおいて取り組みを進めています。具体的には、品川・羽田・横浜を結んだ「成長トライアングルゾーン」と各エリアとの相互連携により、沿線の発展・活性化を図ります。品川エリアにおいては、トヨタ自動車㈱と共同で高輪3丁目地区事業計画の2029年度竣工・開業を目指すとともに、当社グループが行う開発・品川駅整備のみならず、周辺開発やリニア中央新幹線の開業等の効果を最大限取り込み、沿線全体に波及させます。羽田エリアにおいては、羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線の整備によって抜本的に輸送力を増強するとともに、周辺エリアの活性化を図り、日本の玄関口・羽田空港のポテンシャルを最大限に活用します。このほか、川崎や横浜エリアにおける開発プロジェクトのほか、都市近郊リゾートみうらの創生、沿線各地に「住・働・楽・学」が揃う中核拠点を整備する多極型まちづくりの推進等により、沿線全体の活性化に取り組んでいます。(重点事業展開の全体像)
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。 また、本項に記載されている将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、判断したものであります。 (1)経営成績等の状況の概要イ.経営成績の状況当期のわが国経済は、中東情勢の影響等を注視する必要があるものの、雇用および所得環境が改善するなど、緩やかな回復基調で推移しました。このような事業環境のなか、当社グループは、2025年5月に見直しを公表した「京急グループ第20次総合経営計画」で掲げる重要経営指標の達成に向けて、鉄道事業における次世代型オペレーションや不動産事業における不動産回転型ビジネスの推進など、事業構造変革を進めるとともに、財務健全性の確保と資本収益性の向上を目指す財務マネジメントの強化に努めました。以上の結果、営業収益は3,041億9千2百万円(前期比3.5%増)となりましたが、前期の事業用地の持分売却の反動などにより、営業利益は335億5千3百万円(前期比5.9%減)、経常利益は288億5千4百万円(前期比17.5%減)となりました。これに、特別利益として品川駅西口基盤整備事業に基づく国道用地の譲渡などの固定資産売却益を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は274億9千2百万円(前期比13.1%増)となりました。次に、セグメント別の業績についてご報告いたします。 (イ)交通事業鉄道事業では、全線の輸送人員は、移動需要が増加したことなどにより、前期比で2.3%増(定期1.7%増、定期外3.0%増)となりました。さらに、羽田空港駅の輸送人員は、羽田空港国内線および国際線の航空旅客数が増加したことなどにより、前期比で5.4%増(第1・第2ターミナル駅6.1%増、第3ターミナル駅3.2%増)となりました。このほか、ダイヤ改正を実施し、三浦エリアの多様な移動需要に対応すべく、イブニング・ウィング号の行先の延長やウィング・シートの運行時間の繰り上げを一部列車で実施したほか、朝時間帯の一部の急行列車の待ち合わせ駅を変更し、速達性および利便性の向上を図りました。また、インバウンドのお客様の利便性向上およびキャッシュレス需要拡大に伴うサービス向上に繋げるための施策として、クレジットカード等のタッチ決済による乗車サービスを全線全駅で開始しました。さらに、引き続き安全対策を最重要課題とし、大森町駅、六郷土手駅、大師橋駅および小島新田駅にホームドアを設置しました。バス事業では、前期に実施した運賃改定などにより、京浜急行バス㈱では空港中距離路線が、川崎鶴見臨港バス㈱では一般路線等が好調に推移しました。以上の結果、交通事業の営業収益は1,215億9千1百万円(前期比2.6%増)となったものの、人件費の増加などにより、営業利益は186億8千3百万円(前期比1.0%減)となりました。なお、当社は、経営資源の集中を図るため、京急タクシーグループ6社の全株式を他社に譲渡しました。 (業種別営業成績) 業種別当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)営業収益(百万円)前期比(%)鉄道事業85,9262.4バス事業31,9783.7タクシー事業3,686△1.5営業収益計121,5912.6 (提出会社の鉄道事業運輸成績) 区分単位当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日) 前期比(%)営業日数日365-営業キロキロ87.0-客車走行キロ千キロ108,5710.2輸送人員定期千人231,6051.7定期外〃224,6833.0計〃456,2882.3旅客運輸収入定期百万円29,4051.7定期外〃54,1072.9計〃83,5132.5運輸雑収〃2,488△3.0収入合計〃86,0022.3乗車効率%42.3- (注)乗車効率の算出方法旅客人員×平均乗車キロ×100客車走行キロ×平均定員 (ロ)不動産事業不動産販売業では、当社および京急不動産㈱は、分譲マンション「プライム横須賀中央」を完売しました。また、「パークタワー大森」、「プライム東神奈川」および「プライムパークス横浜並木 ザ・レジデンス」などの販売および引渡しを行いました。不動産賃貸業では、前期に開業した複合施設「横浜シンフォステージ」の稼働率が上昇したことなどにより、増収となりました。また、「都市近郊リゾートみうらの創生」の実現に向けて、当社が所有する土地にヒューリック㈱の高級温泉旅館「ふふ 城ヶ島 海風のしらべ」を誘致したほか、横浜市旧市庁舎街区において、他7社と共同で開発した複合施設「BASEGATE横浜関内」を開業しました。このほか、当社および京急不動産㈱は、事業用地の取得および賃貸物件等の売却を行い、不動産回転型ビジネスの推進による資本収益性の向上を図りました。また、京急グループとして、沿線の事業用地のさらなる有効活用や不動産回転型ビジネスおよびフィービジネスを強化するため、京急不動産㈱は、㈱グリップの株式を取得しました。しかしながら、前期の事業用地の持分売却の反動などにより、不動産事業の営業収益は509億9千6百万円(前期比5.5%減)、営業利益は46億8千万円(前期比32.4%減)となりました。なお、京急グループとして、不動産回転型ビジネスの推進体制を強化するため、京急アセットマネジメント㈱は、三井住友信託銀行㈱および三井住友トラスト不動産投資顧問㈱と資本提携を行い、商号を京急SMTBアセットマネジメント㈱に変更するなど、私募リートの組成に向けた準備を進めました。また、品川駅西口地区において、トヨタ自動車㈱と共同で、複合施設の建設に着手しました。 (業種別営業成績) 業種別当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)営業収益(百万円)前期比(%)不動産販売業30,151△12.9不動産賃貸業20,8447.6営業収益計50,996△5.5 (ハ)レジャー・サービス事業ビジネスホテル業では、京急EXホテル・京急EXインは、国内宿泊需要の増加により、客室単価および稼働率が上昇し、好調に推移しました。また、「京急 EXホテル 高輪」および「京急 EXイン 横浜駅東口」をリニューアルオープンしました。レジャー関連施設業では、京急開発㈱は、「ボートレース平和島」において、ボートレース事業の施行者への施設賃貸に係る料率を見直したことなどにより増収となりました。また、改修中のボートレース場は、新スタンド棟I期をオープンしました。以上の結果、レジャー・サービス事業の営業収益は345億9千4百万円(前期比9.1%増)、営業利益は55億6千1百万円(前期比12.4%増)となりました。なお、当社は、「都市近郊リゾートみうらの創生」の実現に向けて、三井不動産㈱と三浦半島油壺における新たなリゾートエリアの創出に向けた事業計画を共同で検討するための協定を締結しました。 (業種別営業成績) 業種別当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)営業収益(百万円)前期比(%)ビジネスホテル業10,8466.5レジャー関連施設業12,5707.5レジャーその他11,17713.8営業収益計34,5949.1 (ニ)流通事業ストア業では、㈱京急ストアの既存店舗が好調に推移したほか、2024年4月に株式を取得した㈱エフ・クライミングの売上計上などにより増収となりました。また、㈱京急ストアは、「もとまちユニオン本店」をリニューアルオープン、「もとまちユニオンそごう横浜店」を開業したほか、新たに㈱シャトレーゼとフランチャイズ契約を締結し、「シャトレーゼブランチ横浜南部市場店」の運営を開始しました。百貨店業では、京急百貨店は、大型専門店が好調に推移したほか、新たにオープンした専門店の集客効果などにより、来店客数が増加しました。ショッピングセンター業では、新規店舗を開業したことなどにより「ウィング久里浜」等が好調に推移しました。以上の結果、流通事業の営業収益は848億7千4百万円(前期比4.5%増)、営業利益は21億5千6百万円(前期比3.5%増)となりました。 (業種別営業成績) 業種別当連結会計年度 (自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)営業収益(百万円)前期比(%)百貨店・ショッピングセンター業16,596△0.2 百貨店業12,043△4.5 ショッピングセンター業4,55313.3ストア業68,2785.7 スーパーマーケット業53,4466.8 コンビニエンスストア・物品販売業ほか14,8311.7営業収益計84,8744.5 (ホ)その他京急建設㈱および京急電機㈱は、ホームドアをはじめとした鉄道の安全対策工事等を行いました。以上の結果、その他の事業の営業収益は577億9千7百万円(前期比19.6%増)、営業利益は38億1千5百万円(前期比4.7%増)となりました。 ロ.財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は、分譲土地建物および建設仮勘定の増加などにより、前連結会計年度末と比べ890億1千2百万円増加しました。セグメントごとの資産の状況は、次のとおりであります。セグメント別当連結会計年度(2026年3月31日)帳簿価額(百万円)前期比(%)交通事業633,15130.4不動産事業325,1673.2レジャー・サービス事業64,4812.8流通事業11,715△60.2その他37,29415.5調整額56,910△50.3資産合計1,128,7208.6 負債は、社債および長期前受工事負担金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ711億6千9百万円増加しました。また、純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末と比べ178億4千3百万円増加しました。 ハ.キャッシュ・フローの状況(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上などにより、479億1千7百万円の資金収入(前期は148億4千7百万円の資金収入)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、687億1千万円の資金支出(前期は692億2千8百万円の資金支出)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入などにより、138億7千2百万円の資金収入(前期は209億3千3百万円の資金支出)となりました。 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ69億7千3百万円減少し、670億3千3百万円となりました。 ニ.生産、受注および販売の状況当社グループの事業内容は広範囲かつ多種多様であり、そのほとんどが生産、受注および販売の形態をとっていないため、「生産、受注および販売の状況」については、「(1)経営成績等の状況の概要」の「イ.経営成績の状況」において業種別営業成績等として記載しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。また、本項に記載されている将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、判断したものであります。 イ.重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産・負債および報告期間における収益・費用の金額ならびに開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況および今後の見通しに応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、異なる場合があります。重要な会計上の見積りには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当報告書提出日現在において判断したものであります。 (イ)棚卸資産の評価当社グループは、分譲土地建物については、原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しており、これらの価値は、個別物件の販売計画によって見積りを行っております。なお、当該見積りには、営業収益に影響する市況や周辺相場の変動の見込みなどの仮定を用いております。そのため、市況の変化による販売計画の見直し等により、当該見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、損失が発生する可能性があります。 (ロ)固定資産の減損当社グループは、資産または資産グループに減損が生じている可能性を示す事象がある場合には、減損損失を認識するか否かの判定を行っております。この判定は、資産または資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって行い、資産または資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。なお、回収可能価額は使用価値及び正味売却価額により測定しており、いずれか高い方の金額としております。減損損失を認識するか否かの判定や使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローの見積りは、各事業の外部環境に関する情報を総合的に勘案して策定している「京急グループ総合経営計画」に基づいており、当該見積りには、各事業に影響を及ぼす市況の見込みなどの仮定を用いております。そのため、市況の悪化や各事業の収益力の低下等により、当該見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降において、減損損失が計上され、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、将来キャッシュ・フローの見積り算出における主要な仮定は、不動産事業での稼働率、賃料単価及び修繕コスト等であります。 (ハ)繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について、将来の収益力に基づく課税所得の発生時期及びその金額に基づき回収可能性を判断したうえで計上しております。課税所得の見積りは、各事業の外部環境に関する情報を総合的に勘案して策定している「京急グループ総合経営計画」に基づいており、当該見積りには、各事業に影響を及ぼす市況の見込みなどの仮定を用いております。そのため、市況の悪化や各事業の収益力の低下等により、当該見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌連結会計年度以降において、繰延税金資産の追加計上または取り崩しが必要となるなど、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、将来の課税所得の見積り算出における主要な仮定は、鉄道事業での輸送人員、ビジネスホテル事業における稼働率や宿泊単価であります。 (ニ)退職給付債務および費用の計算当社グループは、退職給付債務および費用について、数理計算上で設定される諸前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率および長期期待運用収益率等の仮定が含まれます。そのため、将来の不確実な経済条件の変動等により、実際の結果が前提条件と異なることとなった場合、または前提条件に変更が生じた場合、退職給付に係る負債および退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。 ロ.当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討(イ)営業収益および営業利益当連結会計年度の決算については、国内移動需要および宿泊需要の拡大により交通事業やレジャー・サービス事業が好調に推移したものの、前期の不動産事業用地の持分売却の反動や人件費増加などにより、営業収益は3,041億9千2百万円(前期比3.5%増)、営業利益は335億5千3百万円(前期比5.9%減)となりました。交通事業は、鉄道事業における移動需要の拡大およびバス事業における運賃改定などにより、30億6千万円の増収となったものの、バス事業における人件費の増加などにより、1億9千4百万円の減益となりました。不動産事業は、不動産賃貸業において、前期に開業した複合施設「横浜シンフォステージ」の稼働率が上昇したことなどにより、増収となったものの、不動産販売業における、前期の事業用地の持分売却の反動などにより、不動産事業全体で29億6千8百万円の減収、22億4千7百万円の減益となりました。レジャー・サービス事業は、ビジネスホテル業において、国内宿泊需要の増加により、客室単価および稼働率が上昇したことや、レジャー関連施設業において、ボートレース事業の施行者への施設賃貸に係る料率を見直したことなどにより、28億9千万円の増収、6億1千5百万円の増益となりました。流通事業は、ストア業において、㈱京急ストアの既存店舗が好調に推移したほか、2024年4月に株式を取得した㈱エフ・クライミングの売上計上などにより、流通事業全体で、36億2千2百万円の増収、7千2百万円の増益となりました。その他の事業は、工事請負関係において、完成工事が増加したことなどにより、94億6千2百万円の増収、1億6千9百万円の増益となりました。 (ロ)営業外損益および経常利益当連結会計年度の営業外収益は、投資有価証券売却益が減少したことなどにより、前連結会計年度の41億7千6百万円から13億2千4百万円減少し、28億5千1百万円となりました。営業外費用は、支払利息の増加などにより、前連結会計年度の48億4千7百万円から27億3百万円増加し、75億5千万円となりました。この結果、経常利益は288億5千4百万円(前期比17.5%減)となりました。 (ハ)特別損益および親会社株主に帰属する当期純利益当連結会計年度の特別利益は、品川駅西口基盤整備事業に基づく国道用地の譲渡などの固定資産売却益の増加はありましたが、前期に計上した工事負担金等受入額の反動減などにより、前連結会計年度の444億8千3百万円から205億5千3百万円減少し、239億3千万円となりました。特別損失は、上大岡京急ビルおよび久里浜線複線化などの減損損失を計上しましたが、前期に計上した固定資産圧縮損の反動減などにより、前連結会計年度の478億9千4百万円から317億8千8百万円減少し、161億6百万円となりました。この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は366億7千8百万円となり、ここから法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、274億9千2百万円(前期比13.1%増)となりました。 (ニ)指標水準当社グループでは、「1 経営方針、経営環境および対処すべき課題等」の「(2)総合経営計画」に記載のとおり、2024年度から2026年度までを中期経営計画期間と定め、移動とまち創造の両プラットフォームによる相互価値共創の具現化に向けた取り組みを進めるとともに、品川駅周辺開発事業の着実な推進、財務健全性の確保と資本収益性の中長期的な向上を両立させる財務マネジメントを強化する方針としております。2025年5月12日に公表した目標経営指標等の見直しにおいては、ROE目標の引き上げと達成時期を明確化し、中期経営計画期間の最終年度である2026年度の指標水準を以下のとおり設定しております。(2026年度指標水準)・営業利益 :450億円・純有利子負債/EBITDA倍率:7倍台以下・ROE :8% (ホ)財政状態当連結会計年度末の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」の「ロ.財政状態の状況」に記載しております。 (ヘ)資本の財源および資金の流動性についての分析a.財務戦略当社グループでは、大規模成長投資を着実に推進するための財務健全性の確保と資本効率向上の両立、および資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応を、長期的な財務戦略の基本方針としております。なお、2024年度から2026年度までの中期経営計画期間においては、資本収益性の向上に向けた事業別ROIC(注1)-WACC(注2)管理の導入等により、グループ全体で財務マネジメントを強化してまいります。(注1)投下資本利益率(投下した資金に対して生み出した利益の割合)(注2)加重平均資本コスト(資金調達に要する費用の平均値)b.資金調達当社グループでは、鉄道事業をはじめ各事業において多額の設備投資を継続して行っており、事業の特性に鑑み、その資金は金融機関からの借入や社債の発行など長期の負債を中心に、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら調達しております。c.資金の流動性当社グループでは、鉄道事業を中心に日々の収入金があり、また、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入し、グループ内余剰資金の有効活用に努めているほか、災害等緊急時においても機動的な資金確保ができるよう震災対応型コミットメントラインを設定していることから、緊急時の一時的な対応も含め、必要な流動性資金は十分に確保しております。

事業リスク

  • 人口減少と生活様式の変化
    少子高齢化による沿線人口の減少や、在宅勤務の増加による移動需要の減少は、交通事業の収益に直接的な影響を与える可能性があります。特に、京急グループの事業が沿線地域に集中しているため、地域経済の停滞はグループ全体の業績に大きな打撃となるリスクがあります。
  • 大規模開発と競争激化
    品川駅周辺の大規模開発は、一時的な土地譲渡や施設閉鎖により業績に影響を与える可能性があります。また、羽田空港への新たなアクセス路線の検討は、将来的に競争激化を招き、京急グループの主要な収益源である空港輸送における優位性が低下するリスクをはらんでいます。
  • 金利変動と災害・事故
    多額の有利子負債を抱えているため、市場金利の大幅な上昇は利息負担を増加させ、業績を圧迫する可能性があります。また、地震や台風などの自然災害、テロ、大規模な事故、感染症の流行は、交通インフラの損壊や利用客の減少、事業活動の停止などにより、グループ全体の財政状態や業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|3,333 文字
3 【事業等のリスク】当社グループの財政状況および業績に影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項については、以下のようなものがあります。当社グループは、これらの事業等のリスクを認識したうえで、事態発生の回避および発生時の対応に努めております。当該リスクの顕在化する可能性の程度や時期については、現時点において、明確に想定できませんが、事業の遂行にあたっては、取締役会において、想定されるリスクとその対応を含めて、意思決定を行っております。また、グループ重要リスク調査を実施し、想定しうるリスクの洗い出し、リスクを最小化するための取組計画の策定および取組状況を集約し、取締役会でリスクの確認と対応の方向性について報告した後、グループ会社社長が出席するグループ社長会で共有しております。さらに、リスク管理・コンプライアンス委員会では当社グループのリスク情報を集約し、一元的に管理することでリスク管理体制の強化に努めております。また、本項に記載されている将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、判断したものであります。 (1)社会的・経済的な影響イ.少子高齢化の進行による影響少子高齢化の進行などの要因により地域人口が減少した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。ロ.リスクが沿線全域に与える影響当社グループの事業は、都心から品川、羽田空港、川崎、横浜を経て三浦半島に至る当社線沿線を中心とした地域に集中して展開しているため、沿線地域の発展と当社グループの業績は密接な関係にあります。このため、社会的・自然的要因等により沿線地域の発展が阻害された場合、あるいは沿線地域が壊滅的な被害を受けた場合、当社グループは大きな経済的影響を受ける可能性があります。ハ.生活様式の変化による影響在宅勤務の増加による移動減をはじめとした生活様式の変化によっては、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。ニ.品川駅周辺開発による影響国土交通省による品川駅西口基盤整備事業の推進に伴い、当社所有地の段階的な譲渡や施設の一部閉鎖など、一時的に当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新しい生活様式や社会的価値観の変化などにより、不動産の賃貸需要が著しく減少した場合、もしくは建設工事費が高騰した場合、開発計画が変更となる可能性があります。ホ.羽田空港への新たなアクセス路線による影響羽田空港への新たなアクセス路線が検討されているため、この推移によっては、将来的に競争の激化により、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。ヘ.訪日外国人の減少による影響世界的な恐慌とりわけアジア諸国における景気の急速な減退、東ヨーロッパおよびロシア地域における政治的・軍事的緊張の高まりによる安全保障情勢の変化、感染症等による国際的な渡航制限等により訪日外国人が大幅に減少した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。 (2)法的規制・規制緩和等による影響イ.法的規制による影響当社グループの基幹事業である交通事業は、鉄道、バスなど公共輸送機関としての性格上、厳格な法規制の下に事業を行っているため、鉄道事業法、道路運送法および労働諸法制の定めにより、事業の拡大・縮小、通常の業務運営、運賃および料金の設定・変更や乗務員の労働条件などにおいて規制を受けており、規制の強化や社会情勢等の変化によっては、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。ロ.規制緩和による影響バス事業においては、規制緩和による他業種などからの新規参入が容易であることから、引き続き厳しい競争にさらされる可能性があり、これらの推移によっては、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。ハ.環境規制による影響交通事業は、公共交通機関として環境負荷が小さいという長所があるものの、今後、環境に対する規制が強化された場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。 (3)財政的な影響イ.金利変動・格付引下げによる影響当社グループは、鉄道事業をはじめ各事業において多額の設備投資を行っており、金融機関からの借入金や社債等の有利子負債残高が高水準で推移しております。このため、今後、市場金利の大幅な変動や格付機関による当社発行債券の格付の引下げがあった場合、利息負担の増加や調達金利の変動などにより、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。ロ.金融市場の混乱等による影響金融市場の混乱等により、資金調達に制約を受けた場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。ハ.地価・株価の変動や税制の改正による影響当社グループは、事業の性格上必要な土地(事業用および販売用)や株式などの投資有価証券等を多く保有しておりますが、市況の動向等による地価や株価の大幅な下落や保有に対する課税強化などの税制の改正等があった場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。ニ.人件費負担増による影響当社グループは、主として労働集約型の事業を展開しているため、退職者の増加、採用難による人手不足の影響により、賃金水準が急激に高騰した場合、人件費負担増などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。ホ.物価・燃料費の高騰による影響当社グループは、修繕工事等の継続的な実施や事業に必要な電力、軽油等を多大に消費しているため、物価や燃料価格が高騰した場合、あるいはその供給不足が発生した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。 (4)事故等による影響イ.安全を阻害する事態による影響当社グループは、鉄道、バス、ホテル、百貨店、ストアなどの営業施設を多くのお客さまにご利用いただいており、安全の確保、無事故の継続を最も重要な課題として取り組んでおります。このうえで、不慮の火災や事故・障害の発生など、安全に対する信頼を損なうような事態が発生した場合、当社グループ全体の根幹を揺るがすような重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、食品等を取り扱う各事業において、衛生管理には十分注意しておりますが、当社グループ固有の管理および社会全般にわたる一般的な品質問題等が発生した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。ロ.個人情報流出等の問題による影響当社グループは、鉄道やカード事業をはじめ、各事業において個人情報を保有しており、適正な管理に努めておりますが、万一、個人情報が流出するなどの問題が発生した場合、当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。 (5)災害・テロ、疾病等による影響イ.自然災害または不法行為による影響地震、台風等の自然災害あるいはテロ等の不法行為等により、当社グループの営業施設やコンピューターシステム等の設備の損壊を受けた場合、当社グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。ロ.疾病の発生・流行による影響新型ウイルスなどによる疾病の発生・流行等による恐慌等により、お客さまや従業員等が罹患し被害を受けた場合、当社グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (6)不正・不法行為、不祥事等による影響当社グループは、「コンプライアンス規程」、「京急グループ・コンプライアンス指針」および「京急グループ・役員および従業員行動基準」に基づいてコンプライアンス順守に関する教育を定期的に実施するなどの啓発活動に努めておりますが、役職員等による重大な不正・不法行為、不祥事等が発生した場合、当社グループへの信頼の低下などにより、財政状態や業績に影響を及ぼす可能性があります。 なお、上記の記載事項は、当社グループの事業その他について予測される主なリスクを可能な限り具体的に例示したものであり、ここに記載されたものが当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものとは限りません。

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