事業の概要
- 地域電力供給北陸電力グループは、富山県、石川県、福井県(一部を除く)、岐阜県の一部という特定の地域に電気を安定的に供給することを主たる事業としています。これは、地域に密着した電力インフラを基盤としたビジネスモデルであり、地域の経済活動や住民生活を支える重要な役割を担っています。
- 多角的な事業展開電力供給だけでなく、発電事業、送配電事業、電力設備の建設・保守、資機材の製造・販売、情報通信事業、さらには不動産管理や海外電気事業など、幅広い事業を展開しています。これにより、電力事業で培った技術やノウハウを活かし、グループ全体で収益源を多様化しています。
- グループシナジー当社と58の関係会社(子会社34社、関連会社24社)が連携し、発電から送配電、設備保守、資機材製造、情報通信まで、電力供給に必要なバリューチェーン全体をグループ内で完結させる体制を構築しています。これにより、効率的な事業運営と安定した収益確保を目指しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 発電・販売事業主に北陸三県と岐阜県の一部に電気を供給する事業です。日本海発電(株)や黒部川電力(株)などの子会社・関連会社が発電を行い、当社が中心となって顧客へ販売しています。売上高は7,164.43億円とグループの主要な収益源であり、安定的な電力供給を担っています。
- 送配電事業発電された電気を顧客へ届けるための送電線や配電網の運営・管理を行う事業です。北陸電力送配電(株)がこの事業を担っており、売上高は528.27億円です。電力の安定供給を支える重要なインフラであり、地域社会の基盤を形成しています。
- その他事業電力供給に関連する多岐にわたる事業が含まれます。設備保守・建設工事(北陸プラントサービス(株)など)、資機材の製造・販売(日本海コンクリート工業(株)など)、情報・通信事業(北陸通信ネットワーク(株)など)、エネルギー・事業投資・不動産管理などが含まれます。これらの事業は、グループ全体の効率化や新たな収益機会の創出に貢献しています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| PowerGenerationSales | 事業 | 7,164 | − | − |
| TransmissionAndDistribution | 事業 | 528 | − | − |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】当社グループは、当社及び関係会社58社(子会社34社、関連会社24社)で構成されている。当社はその中心として、主に北陸三県[富山県、石川県、福井県(一部を除く)]と岐阜県の一部に電気を供給することを主たる事業としている。当社の関係会社には、発電事業を行い主に当社へ供給している会社をはじめ、北陸域内における一般送配電事業を営んでいる会社、主に電力の供給に必要な設備の建設・補修や資機材の製造を行っている会社、当社が保有する技術等を活用して情報・通信事業を営んでいる会社、更に、当社の事業運営に付随するサービス業務等に携わっている会社がある。 (発電・販売事業)当社子会社 :日本海発電(株)、北陸電力ビズ・エナジーソリューション(株)、(株)加賀ふるさとでんき関連会社:黒部川電力(株)、富山共同自家発電(株)、舟橋蓄電所(同)(注1)、(株)なんとエナジー、 氷見ふるさとエネルギー(株)、入善マリンウィンド(同)、仙台港バイオマスパワー(同)、 越前吉野瀬川水力(同)、(同)黒滝沢小水力発電所(注2)(送配電事業)子会社 :北陸電力送配電(株)(その他)○ 設備保守及び建設工事(発電・送電・配電・業務設備等の保守・運営・管理、電力設備等の保守及び建設工事の受託・請負)子会社 :北陸プラントサービス(株)、日本海建興(株)、北電テクノサービス(株)、中山建設(株)、 大井工業(株)(注3)、(株)フェイスワン(注4)、セブンプライド(株)関連会社:北陸電気工事(株)(注5)○ 資機材等の製造・販売(コンクリート製品・電力量計・開閉器・変圧器等電力関連資機材)子会社 :日本海コンクリート工業(株)関連会社:北陸計器工業(株)、北陸電機製造(株)、協和アスコン(株)(注3)、北陸エナジス(株)○ 情報・通信事業(専用通信回線サービス、データ伝送回線サービス、ソフトウェアの開発、データセンター事業、有線テレビ放送サービス)子会社 :北陸通信ネットワーク(株)、(株)パワー・アンド・IT、北電情報システムサービス(株)、 (株)江守情報マネジメント、(株)江守情報コーポレーション、(株)江守情報、 日本ケミカルデータベース(株)、(株)イー・アイ・エル、(株)アイティーエス、 (株)ブレイン関連会社:(株)ケーブルテレビ富山○ エネルギー、事業投資、不動産管理、海外電気事業等(エネルギー、事業投資、不動産管理、エネルギーソリューション、環境調査、土木・建築工事の調査・設計、 家庭向け営業業務、シェアードサービス、オフィスサポート業務、農産物の生産など)子会社 :北陸エルネス(株)、北陸電力ビジネス・インベストメント(同)、北電産業(株)、 北電産業小松ビル(同)、日本海環境サービス(株)、北電技術コンサルタント(株)、 (株)北陸電力リビングサービス、北電パートナーサービス(株)、北陸電力ウィズスマイル(株)、(株)フレデリッシュ、Hokuriku International Investment,Inc.、(株)ジェスコ 関連会社:金沢エナジー(株)、福井都市ガス(株)、F3 Holding company B.V.、F3 O&M Company Ltd、 National Carbon Technologies-California,LLC、 Formosa Seagull Power Investment Co., Ltd.、北配電業(株)、福電興業(株)、 Sun-eee Pte. Ltd.(注)1.2026年1月14日に舟橋蓄電所(同)に出資し、関係会社とした。 2.当社子会社の北陸電力ビジネス・インベストメント(同)が、2025年4月25日に(同)黒滝沢小水力発電所に出資し、関係会社とした。 3.当社子会社の日本海建興(株)が2025年8月29日に大井工業(株)の株式を取得し、子会社とするとともに協和アスコン(株)を関係会社とした。 4.当社子会社の日本海建興(株)が2025年4月1日に(株)フェイスワンを設立し、子会社とした。 5.北陸電気工事(株)は、2025年8月22日付で株式給付信託制度への自己株式35万株の信託完了により、信託された自己株式数に相当する議決権総数が増加し、当社が保有する議決権所有割合が過半数を下回ったため、同社を連結の範囲から除外し、持分法の適用範囲に含めた。これにより、北陸電気工事(株)の子会社である(株)日建、ホッコー商事(株)を連結の範囲から除外した。 当社及び各関係会社の業務を事業系統図で示すと、次のとおりである。○ 事業系統図
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 燃料費調整制度や市場価格調整単価により価格変動を電気料金に反映できるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 規制 電気事業は国の制度変更や脱炭素社会に向けた環境規制強化の影響を強く受けるため。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 低い(分散) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:原子力発電所の停止長期化や稼働率低下 / 電気事業に関わる制度の変更や環境規制強化 / 経済状況や天候等による販売電力量等の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
規制産業であり、新規参入には経済産業省の許認可が必要。しかし、ブランド力や特許による明確な競争優位性は限定的。地域独占的な側面はあるものの、それが直接的な収益力強化に結びつくかは疑問。
スイッチングコスト★★☆☆☆
電力自由化により、家庭や一部事業者は電力会社を自由に選択可能になった。しかし、インフラ設備への投資負担や、長年の取引関係から、スイッチングコストは依然として一定程度存在する。特に大規模工場などは切り替えにくい。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
電力供給はインフラ事業であり、ネットワーク効果は基本的に見られない。供給網の広がりが直接的な顧客価値向上に繋がるわけではない。
コスト優位★★★☆☆
地域独占的な電力供給インフラを保有しており、新規参入企業が同等の設備投資を行うことは困難。発電コストや送電コストにおいて、効率的な運用ができれば一定のコスト優位性を維持できる可能性がある。
規模の経済★★★★☆
北陸地域における電力供給において、ほぼ独占的な地位を確立している。広範な送配電網の維持・管理には巨額の固定費が必要であり、規模の経済が強く働く。この規模が新規参入障壁となっている。
- 地域独占的供給北陸三県と岐阜県の一部という特定の供給エリアにおいて、長年にわたり電力供給を担ってきた実績と信頼があります。これは新規参入が極めて難しいインフラ事業であり、安定した顧客基盤と収益基盤を形成する強みとなります。
- 垂直統合型事業発電から送配電、設備保守、資機材製造までをグループ内で一貫して手掛ける垂直統合型のビジネスモデルを構築しています。これにより、電力供給の安定性を高めるとともに、コスト効率の改善や技術ノウハウの蓄積に繋がっています。
- 多角化された事業ポートフォリオ電力供給事業を核としながらも、情報通信事業やエネルギーソリューション、海外事業など、多岐にわたる事業を展開しています。これにより、電力市場の変動リスクを分散し、新たな収益源を確保することで、持続的な成長を目指しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
- 安定供給と収支改善中東情勢の緊迫化や七尾大田火力発電所2号機の停止長期化といった喫緊の課題に対し、「2026需給・収支対策本部」を立ち上げ、電力の安定供給と燃料安定調達、収支・キャッシュフローへの機動的な対応を図ります。震災で得た知見を活かし、災害対応力の強化と地域復興支援も継続します。
- 脱炭素化の推進2050年カーボンニュートラル達成に向け、富山新港火力発電所LNG2号機建設や再生可能エネルギー電源開発を着実に進めます。2030年代早期に再エネ開発量を+100万kW以上、2030年度の非化石電源比率50%以上、CO2排出量50%以上削減を目標とし、電源の脱炭素化と送配電網の次世代化に取り組みます。
- 新事業領域の拡大グループ各社の連携によるビジネスチャンスの拡大や、IT戦略本部を中心としたグループ横断的なDX推進により、グループ経営を強化します。電気事業の枠を超え、カーボンニュートラル関連事業や海外事業、エネルギーソリューションなど、新たな付加価値を創出し、持続的な成長を目指します。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループは、2023年度に、2027年度までの5年間の「北陸電力グループ新中期経営計画<2023~2027年度>」(以下、新中期経営計画)として、Ⅰ「安定供給確保と収支改善及び財務基盤強化」Ⅱ「地域と一体となった脱炭素化の推進」Ⅲ「持続的成長に向けた新事業領域の拡大」の経営の3本柱及び財務目標を公表し、新中期経営計画のもと、事業活動を行っている。 現在、中東情勢の緊迫化による地政学リスクの顕在化や、七尾大田火力発電所2号機の運転停止の長期化など、電力の安定供給や収支に大きな影響を与えうる経営環境に直面している。加えて、今後、データセンター等による将来的な電力需要の増加の想定等も踏まえ、10年・20年先を見据え、安定供給と脱炭素化の両立という社会的課題にも対応していく必要がある。 まず、喫緊の課題として、「中東情勢の緊迫化」「七尾大田火力発電所2号機の停止長期化」への対応があるが、これらに対しては、2026年3月に、全社横断の「2026需給・収支対策本部」を立上げ、確実な電力安定供給や燃料安定調達及び収支・キャッシュフローへの対応など、機動的に行っていく。また、新中期経営計画の4年目として、計画達成に向け、経営の3本柱は堅持しつつ現在の状況を踏まえた、2026年度の強化ポイントを設定。(柱Ⅰの強化ポイント)震災知見の実践的ブラッシュアップと全国との共有及び復興支援の継続未曽有の災害で得た知見・経験の共有化に加え、今後は北陸全エリアにおいて、関係機関等との連携強化により実践的な災害対応力の強化を図る。また、地域に根差したエネルギー事業者として、地域の復興を『自分事』として捉えた支援を徹底的に継続していく。(柱Ⅱの強化ポイント)長期的視点にたった安定供給と脱炭素化の両立のための基本戦略確立富山新港火力発電所LNG2号機建設や再エネ電源開発を着実に進めつつ、大規模電源開発には長い期間を要することを念頭に、安定供給・脱炭素・競争力の観点から、将来の電源の基本戦略を策定する。(柱Ⅲの強化ポイント)利益最大化に資する一体的な企業集団を目指したグループ経営の推進グループ各社の連携によるビジネスチャンスの拡大及び本年7月設置のIT戦略本部を中心としたグループ横断的なDXを推進するなど、本年度を「グループ経営元年」と位置づけ、グループ最適を目指した取組みを強化し、事業領域の拡大を図っていく。 引き続き、従来の枠組みにとらわれないチャレンジングな取組みにより、新たな付加価値を創出し、持続的な成長を目指していく。 (1)北陸電力グループ新中期経営計画<2023~2027年度>及び2026年度アクションプラン ①北陸電力グループ新中期経営計画<2023~2027年度>(経営の3本柱)柱Ⅰ:安定供給確保と収支改善及び財務基盤強化柱Ⅱ:地域と一体となった脱炭素化の推進柱Ⅲ:持続的成長に向けた新事業領域の拡大■経営基盤を支える取組みの強化 ※財務目標及び株主還元に関する方針については、2025年10月に以下のとおり見直しを行っている。(財務目標) 見直し前<2023~2027年度>見直し後<2025~2027年度>連結経常利益450億円以上単年:550億円以上累計:1,800億円以上連結自己資本比率<2027年度末>20%以上25%以上連結自己資本利益率(ROE)8%以上8%以上 (株主還元に関する方針)見直し前<2023~2027年度>見直し後<2025~2027年度>毀損した財務基盤の回復を図りつつ、株主の期待にお応えする。一定程度回復した自己資本比率を踏まえた『株主還元』及び『財務基盤』の強化により、皆さまの期待にお応えし続ける。 (成長投資に関する方針)成長投資については、北陸地域のカーボンニュートラルの推進や成長事業に向けた投資をタイムリーに実施する。(2023~2027年度で総額1,500億円程度)投資判断に際しては、事業リスクを勘案しつつ、収益性を重視するために、ROIC等の手法を用いた事業評価により投資を厳選する。 ②2026年度アクションプラン(環境変化を踏まえた喫緊の課題)・中東情勢の緊迫化への対応[燃料の安定確保・収支対策]・七尾大田火力発電所2号機の停止長期化への対応[早期復旧・供給力確保・収支対策] (柱Ⅰの強化ポイント)震災知見の実践的ブラッシュアップと全国との共有及び復興支援の継続・震災知見の実践的なブラッシュアップ及び全国との共有・被災設備の復旧対応・復興支援の継続 等 (柱Ⅱの強化ポイント)長期的視点にたった安定供給と脱炭素化の両立のための基本戦略確立・再エネ電源開発の推進・火力電源の低炭素化へ向けた戦略の確立・志賀原子力発電所2号機の早期再稼働に向けた着実な対応 等 (柱Ⅲの強化ポイント)利益最大化に資する一体的な企業集団を目指したグループ経営の推進・グループ一体となった事業拡大・グループの力を最大限発揮する基盤整備 等 (2)2050年の将来像及びカーボンニュートラル達成に向けたロードマップ脱炭素社会の実現に向けた社会の動きの加速などを踏まえ、2050年に向けて当社グループが既存の電気事業の枠を超えて事業を展開していく将来像及びカーボンニュートラル達成に向けたロードマップを策定し、地域の課題解決及びカーボンニュートラルの実現に向けて取組みを進めている。 ①2050年の将来像既存の電気事業の枠を超えて事業を展開し、地球温暖化問題への対応及び地域の持続可能な発展とスマート社会の実現という社会課題の解決に貢献していく。 ②カーボンニュートラル達成に向けたロードマップ地球温暖化対策としての脱炭素社会の実現は大きな社会的課題であり、当社グループは、信頼され選択される責任あるエネルギー事業者として、「電源の脱炭素化」、「送配電網の次世代化」及び「お客さま・地域のゼロエミッション支援」を通じ、2050年カーボンニュートラルに挑戦する。 (主要目標)・2030年代早期に再エネ開発量を+100万kW以上(+30億kWh/年以上)※1・2030年度時点での発電電力量に占める非化石電源比率を50%以上・2030年度時点でのCО2排出量を△50%以上※2※1:2018年度対比※2:2013年度対比、小売販売電力量ベース
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループは、2023年度に、2027年度までの5年間の「北陸電力グループ新中期経営計画<2023~2027年度>」(以下、新中期経営計画)として、Ⅰ「安定供給確保と収支改善及び財務基盤強化」Ⅱ「地域と一体となった脱炭素化の推進」Ⅲ「持続的成長に向けた新事業領域の拡大」の経営の3本柱及び財務目標を公表し、新中期経営計画のもと、事業活動を行っている。 現在、中東情勢の緊迫化による地政学リスクの顕在化や、七尾大田火力発電所2号機の運転停止の長期化など、電力の安定供給や収支に大きな影響を与えうる経営環境に直面している。加えて、今後、データセンター等による将来的な電力需要の増加の想定等も踏まえ、10年・20年先を見据え、安定供給と脱炭素化の両立という社会的課題にも対応していく必要がある。 まず、喫緊の課題として、「中東情勢の緊迫化」「七尾大田火力発電所2号機の停止長期化」への対応があるが、これらに対しては、2026年3月に、全社横断の「2026需給・収支対策本部」を立上げ、確実な電力安定供給や燃料安定調達及び収支・キャッシュフローへの対応など、機動的に行っていく。また、新中期経営計画の4年目として、計画達成に向け、経営の3本柱は堅持しつつ現在の状況を踏まえた、2026年度の強化ポイントを設定。(柱Ⅰの強化ポイント)震災知見の実践的ブラッシュアップと全国との共有及び復興支援の継続未曽有の災害で得た知見・経験の共有化に加え、今後は北陸全エリアにおいて、関係機関等との連携強化により実践的な災害対応力の強化を図る。また、地域に根差したエネルギー事業者として、地域の復興を『自分事』として捉えた支援を徹底的に継続していく。(柱Ⅱの強化ポイント)長期的視点にたった安定供給と脱炭素化の両立のための基本戦略確立富山新港火力発電所LNG2号機建設や再エネ電源開発を着実に進めつつ、大規模電源開発には長い期間を要することを念頭に、安定供給・脱炭素・競争力の観点から、将来の電源の基本戦略を策定する。(柱Ⅲの強化ポイント)利益最大化に資する一体的な企業集団を目指したグループ経営の推進グループ各社の連携によるビジネスチャンスの拡大及び本年7月設置のIT戦略本部を中心としたグループ横断的なDXを推進するなど、本年度を「グループ経営元年」と位置づけ、グループ最適を目指した取組みを強化し、事業領域の拡大を図っていく。 引き続き、従来の枠組みにとらわれないチャレンジングな取組みにより、新たな付加価値を創出し、持続的な成長を目指していく。 (1)北陸電力グループ新中期経営計画<2023~2027年度>及び2026年度アクションプラン ①北陸電力グループ新中期経営計画<2023~2027年度>(経営の3本柱)柱Ⅰ:安定供給確保と収支改善及び財務基盤強化柱Ⅱ:地域と一体となった脱炭素化の推進柱Ⅲ:持続的成長に向けた新事業領域の拡大■経営基盤を支える取組みの強化 ※財務目標及び株主還元に関する方針については、2025年10月に以下のとおり見直しを行っている。(財務目標) 見直し前<2023~2027年度>見直し後<2025~2027年度>連結経常利益450億円以上単年:550億円以上累計:1,800億円以上連結自己資本比率<2027年度末>20%以上25%以上連結自己資本利益率(ROE)8%以上8%以上 (株主還元に関する方針)見直し前<2023~2027年度>見直し後<2025~2027年度>毀損した財務基盤の回復を図りつつ、株主の期待にお応えする。一定程度回復した自己資本比率を踏まえた『株主還元』及び『財務基盤』の強化により、皆さまの期待にお応えし続ける。 (成長投資に関する方針)成長投資については、北陸地域のカーボンニュートラルの推進や成長事業に向けた投資をタイムリーに実施する。(2023~2027年度で総額1,500億円程度)投資判断に際しては、事業リスクを勘案しつつ、収益性を重視するために、ROIC等の手法を用いた事業評価により投資を厳選する。 ②2026年度アクションプラン(環境変化を踏まえた喫緊の課題)・中東情勢の緊迫化への対応[燃料の安定確保・収支対策]・七尾大田火力発電所2号機の停止長期化への対応[早期復旧・供給力確保・収支対策] (柱Ⅰの強化ポイント)震災知見の実践的ブラッシュアップと全国との共有及び復興支援の継続・震災知見の実践的なブラッシュアップ及び全国との共有・被災設備の復旧対応・復興支援の継続 等 (柱Ⅱの強化ポイント)長期的視点にたった安定供給と脱炭素化の両立のための基本戦略確立・再エネ電源開発の推進・火力電源の低炭素化へ向けた戦略の確立・志賀原子力発電所2号機の早期再稼働に向けた着実な対応 等 (柱Ⅲの強化ポイント)利益最大化に資する一体的な企業集団を目指したグループ経営の推進・グループ一体となった事業拡大・グループの力を最大限発揮する基盤整備 等 (2)2050年の将来像及びカーボンニュートラル達成に向けたロードマップ脱炭素社会の実現に向けた社会の動きの加速などを踏まえ、2050年に向けて当社グループが既存の電気事業の枠を超えて事業を展開していく将来像及びカーボンニュートラル達成に向けたロードマップを策定し、地域の課題解決及びカーボンニュートラルの実現に向けて取組みを進めている。 ①2050年の将来像既存の電気事業の枠を超えて事業を展開し、地球温暖化問題への対応及び地域の持続可能な発展とスマート社会の実現という社会課題の解決に貢献していく。 ②カーボンニュートラル達成に向けたロードマップ地球温暖化対策としての脱炭素社会の実現は大きな社会的課題であり、当社グループは、信頼され選択される責任あるエネルギー事業者として、「電源の脱炭素化」、「送配電網の次世代化」及び「お客さま・地域のゼロエミッション支援」を通じ、2050年カーボンニュートラルに挑戦する。 (主要目標)・2030年代早期に再エネ開発量を+100万kW以上(+30億kWh/年以上)※1・2030年度時点での発電電力量に占める非化石電源比率を50%以上・2030年度時点でのCО2排出量を△50%以上※2※1:2018年度対比※2:2013年度対比、小売販売電力量ベース
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。 ① 財政状態及び経営成績の状況(財政状態)資産合計は、前連結会計年度末に比べ177億円減の1兆8,420億円(前期末比 99.0%)となった。負債合計は、前連結会計年度末に比べ682億円減の1兆3,907億円(同 95.3%)となった。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ504億円増の4,513億円(同 112.6%)となった。 (経営成績)当連結会計年度の経営成績は、売上高(営業収益)7,865億円(前期比 91.6%)、経常利益850億円(同 93.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は544億円(同 83.6%)となった。 (セグメントごとの経営成績[セグメント間の内部取引消去前])発電・販売事業は、売上高7,219億円(前期比 94.2%)、経常利益663億円(同 108.0%)となった。送配電事業は、売上高2,217億円(同 100.2%)、経常利益196億円となった(同 89.5%)。その他の事業は、売上高1,272億円(同 82.6%)、経常利益39億円(同 30.3%)となった。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、営業活動により1,174億円増加したが、投資活動により485億円、財務活動により579億円減少し、これに現金及び現金同等物に係る換算差額並びに連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額を加えた全体で前連結会計年度末に比べ13億円減少し、当連結会計年度末には929億円(前期末比 98.5%)となった。③ 生産、受注及び販売の実績当社グループ(当社及び連結子会社)においては、電気を供給することを主たる事業としており、また、それ以外の事業は、広範囲かつ多種多様であり、生産、受注、販売といった画一的な区分による表示が困難である。このため、発電及び販売の実績のみを記載している。 a. 発電実績種別当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前期比(%)発電電力量水力発電電力量(百万kWh)6,113106.7火力発電電力量(百万kWh)19,06193.9原子力発電電力量(百万kWh)——再生可能エネルギー発電電力量(百万kWh)5114.0合計(百万kWh)25,17896.7 (注)1.当社の発電電力量を記載している。2.四捨五入のため合計が一致しない場合がある。 b. 販売実績(a)販売電力量種別当連結会計年度(自 2025年4月1日 至 2026年3月31日)前期比(%)電灯(百万kWh)7,39998.2電力(百万kWh)17,377104.0電灯電力合計(百万kWh)24,776102.2他社販売(百万kWh)8,381109.2総販売電力量(百万kWh)33,157103.9 (注)1.送配電事業関連の販売を除く。2.他社販売は期末時点で把握している実績を記載している。3.四捨五入のため合計が一致しない場合がある。 (b)料金収入種別当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前期比(%)電灯(百万円)178,61395.7電力(百万円)355,22096.3電灯電力合計(百万円)533,83396.1他社販売(百万円)123,71188.3 (注)1.送配電事業関連の販売を除く。 2.他社販売は期末時点で把握している実績を記載している。3.「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおり、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」、「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」及び「「強い経済」を実現する総合経済対策」に基づく施策である「電気・ガス料金支援」により、国が定める値引き単価による電気料金の値引きを行っている。c. 資材の実績 石炭、重油、原油、木質バイオマス、LNGの受払実績種別当連結会計年度(自 2025年4月1日至 2026年3月31日)前期比(%)石炭(t)期首残高384,26389.8受入5,085,63691.9払出5,143,50392.2期末残高326,39684.9重油(kl)期首残高142,86162.2受入23,77037.0払出35,78023.7期末残高130,85191.6原油(kl)期首残高6,07399.7受入--払出6,07328,919.0期末残高--木質バイオマス(t)期首残高13,27147,396.4受入449,447293.0払出439,437313.6期末残高23,281175.4LNG(t)期首残高62,30994.5受入496,74699.2払出497,17698.6期末残高61,87999.3(注)1.払出には、販売分・棚卸差異分を含む。 2.四捨五入のため合計が一致しない場合がある。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたり採用する重要な会計方針については「第5 経理の状況」に記載している。当社グループは、連結財務諸表を作成するにあたり、繰延税金資産の回収可能性、令和6年能登半島地震に係る災害復旧費用引当金、退職給付に係る負債及び資産などに関して、過去の実績等を勘案し、合理的と考えられる見積り及び判断を行っているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。このうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a. 売上高及び経常収益売上高(営業収益)は、総販売電力の増加はあったものの、燃調収入や容量確保契約金額の減少などにより、前連結会計年度に比べ717億円減の7,865億円(前期比 91.6%)となり、これに営業外収益を加えた経常収益は622億円減の8,015億円(同 92.8%)となった。b. 経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益経常利益は、総販売電力の増加や水力発受電量の増加はあったものの、設備関連費等の増加や七尾大田火力発電所2号機の停止影響などにより、前連結会計年度に比べ63億円減の850億円(前期比 93.1%)となった。また、これに特別利益、特別損失及び法人税等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ106億円減の544億円(同 83.6%)となった。特別利益については、近年の災害激甚化に伴い2021年4月に創設された「災害等復旧費用の相互扶助制度」に基づき、電力広域的運営推進機関から交付金決定通知を受けた、令和6年能登半島地震及び令和6年奥能登豪雨に伴う仮復旧費用に対する災害等扶助交付金22億円を計上している。特別損失については、福井火力発電所三国1号機の廃止を決定したことに伴い、固定資産に係る減損損失等87億円を火力発電所廃止損失として計上している。(セグメントごとの経営成績[セグメント間の内部取引消去前])a. 発電・販売事業発電・販売事業は、国内における発電・小売電気事業等を展開している。当連結会計年度の総販売電力量については、前連結会計年度に比べ12億38百万キロワット時増の331億57百万キロワット時(前期比 103.9%)となった。このうち、小売販売電力量については、電灯で冬季の気温が前年より高かったことにより暖房需要が減少した一方、電力で契約電力が増加したことなどから、247億76百万キロワット時(同 102.2%)となった。また、卸販売電力量については、卸電力取引所等への販売が増加したことから、83億81百万キロワット時(同 109.2%)となった。供給力については、志賀原子力発電所1・2号機が引き続き運転できなかったことや、敦賀火力発電所2号機・七尾大田火力発電所2号機の計画外停止等があったものの、水力・火力発電所の補修時期の調整や、水力発電所の増発に加え、卸電力取引所等からの調達など、供給面での諸対策を講じた結果、期を通じて安定供給を維持することができた。収支については、売上高は総販売電力の増加はあったものの、燃調収入や容量確保契約金額の減少などにより、前連結会計年度に比べ446億円減の7,219億円(同 94.2%)となった。また、経常利益は、七尾大田火力発電所2号機の停止影響はあったものの、総販売電力の増加や水力発受電量の増加などにより、前連結会計年度に比べ49億円増の663億円(同 108.0%)となった。b. 送配電事業送配電事業は、北陸域内における一般送配電事業等を展開している。売上高は、エリア需要電力量の減少はあるものの、再生可能エネルギー電源の買取に伴う卸電力取引所での販売の増加などにより、前連結会計年度に比べ3億円増の2,217億円(前期比 100.2%)となった。また、経常利益は、修繕費の増加などにより、前連結会計年度に比べ23億円減の196億円(同 89.5%)となった。 c. その他売上高は、請負工事の受注が減少したこと及び2025年8月に北陸電気工事(株)が連結子会社から持分法適用会社となったことなどにより、前連結会計年度に比べ268億円減の1,272億円(前期比 82.6%)となり、経常利益は、前連結会計年度に比べ89億円減の39億円(同 30.3%)となった。 (キャッシュ・フロー及び財政状態の分析)a. キャッシュ・フロー営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の収入は、前連結会計年度に比べ348億円減の1,174億円(前期比 77.1%)となった。これは、仕入債務の減少などによるものである。投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ1,854億円減の485億円(同 20.8%)となった。これは、投融資による支出が減少したことなどによるものである。財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ90億円増の579億円(同 118.5%)となった。これは、社債の償還による支出が増加したことなどによるものである。上記に現金及び現金同等物に係る換算差額並びに連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額を加え、当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度末に比べ13億円減の929億円(前期末比 98.5%)となった。 b. 資産資産合計は、前連結会計年度末に比べ177億円減の1兆8,420億円(前期末比 99.0%)となった。これは、当社連結子会社の北陸電気工事(株)が持分法適用会社となったことなどによるものである。 c. 負債負債合計は、前連結会計年度末に比べ682億円減の1兆3,907億円(前期末比 95.3%)となった。これは、有利子負債の減少などによるものである。 d. 純資産純資産合計は、前連結会計年度末に比べ504億円増の4,513億円(前期末比 112.6%)となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の利益剰余金への計上などによるものである。 (資本の財源及び資金の流動性に係る情報)a. 資金需要主として電気事業固定資産に係る設備投資及び修繕費、社債の償還及び借入金の返済、火力燃料の購入等に資金を充当している。b. 資金の源泉主として営業活動によるキャッシュ・フロー、社債の発行、金融機関からの借入等により、必要とする資金を調達している。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローに係る情報については、「(キャッシュ・フロー及び財政状態の分析)」に記載している。(有利子負債)有利子負債に係る情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表」に記載している。なお、当連結会計年度末現在、長期発行体格付は株式会社投資格付情報センター(R&I)にてA+となっている。また、電気事業法の下、2024年度以前に当社により発行された社債については一般担保が付されており、償還請求において社債権者は無担保債権者よりも優先される。2025年度以降に発行された社債については無担保であるが、投資家保護を重視し、既に発行済の一般担保付社債と同様に社債管理者を設置している。 c. 流動性当社グループは、営業活動により十分なキャッシュ・フローを得ていることに加え、国内普通社債発行登録及び短期社債発行枠の設定により、必要に応じて資本市場及び金融機関より資金調達することが可能である。また、必要な現預金残高を確保しているとともに、原則として元利確定の銀行預金等で運用することを定めており、十分な流動性を確保している。(目標とする経営指標の達成状況等)当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、2025年10月から「連結経常利益 単年:550億円以上[3か年累計:1,800億円以上]」「(2027年度末)連結自己資本比率25%以上」「連結自己資本利益率(ROE)8%以上」を財務目標(2025~2027年度)として掲げている。当連結会計年度における連結経常利益は850億円、連結自己資本比率は24.4%、連結自己資本利益率は13.1%となった。今後も、「安定供給確保と収支改善及び財務基盤強化」、「地域と一体となった脱炭素化の推進」及び「持続的成長に向けた新事業領域の拡大」に取り組み、財務目標の達成を図っていく。(事業等のリスクに係る情報) 事業等のリスクに係る情報については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載している。
事業リスク
- 原子力発電所の状況志賀原子力発電所の新規制基準適合性確認審査の長期化や、原子力政策・規制の見直しにより、発電所の停止が長期化したり稼働率が低下したりする可能性があります。これにより、代替電源の調達費用が増加し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 制度変更と環境規制電力システム改革による市場競争の激化や、GX推進法に基づくカーボンプライシング導入、脱炭素社会実現に向けた環境規制強化など、電気事業を取り巻く制度や規制の変更が、事業運営コストの増加や収益構造の変化に繋がり、業績に影響を与える可能性があります。
- 燃料価格と市場価格変動石炭、原油、LNGなどの火力燃料価格は、需給状況や為替相場、地政学リスクにより変動し、燃料調達コストが増加する可能性があります。また、卸電力市場価格の変動も、販売収入や調達費用に影響を与え、業績を変動させる可能性があります。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】当社グループの業績に影響を及ぼす可能性のある主なリスクについては、以下に記載のとおりである。なお、記載した将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において判断したものである。(1) 原子力を取り巻く状況について①志賀原子力発電所の状況当社は、東北地方太平洋沖地震による福島第一原子力発電所の事故を受け、早期に安全強化策を取りまとめ、実施してきた。引き続き、新規制基準も踏まえた安全性向上施策に関する工事を進めており、2号機については新規制基準への適合性確認審査を受けている。安全性向上施策については、先行他社の審査状況を踏まえ得られた知見・評価を反映しながら2号機の工事を進めており、工事完了時期については、今後の審査や工事の進捗を踏まえて決定する。なお、1号機については引き続き検討を進めていく。また、新規制基準への適合性確認審査の場では、これまで敷地内断層の審査が中心に行われてきたが、2023年3月、敷地内断層は活断層ではないとする当社の評価が認められた。現在、敷地周辺断層、地震動、津波などの審査が継続しており、引き続き、先行他社の審査状況及び令和6年能登半島地震等による新たな知見を踏まえて新規制基準等に的確に対応し、世界最高水準の安全性を目指していくとともに、安全対策や適合性確認審査の内容を地域の皆さまに適時的確にご説明し、ご理解いただけるよう最大限努力していく。なお、新規制基準への適合性確認審査の進捗や原子力政策・規制の見直し等によって、原子力発電所の停止が長期化する場合や稼働率が低下する場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。②原子力バックエンド事業原子力バックエンド事業については、使用済燃料の再処理・放射性廃棄物の処分・原子力施設の廃止措置等に多額の資金と長期にわたる事業期間が必要であり、事業に必要な費用については、国の制度措置等に基づき費用計上・拠出している。具体的には、使用済燃料の再処理及び放射性廃棄物の処分に係る費用については、法令に基づき事業を実施する各機構から通知される拠出金単価を基に、原子力発電所の運転に伴い発生する使用済燃料や特定放射性廃棄物の量に応じた金額を拠出している。また、原子力施設の廃止措置に係る費用については、廃炉に要する資金の確保・管理・支弁を行う使用済燃料再処理・廃炉推進機構から通知される拠出金額を当機構に拠出している。これらの制度措置等により事業者のリスクは低減されているものの、今後の制度の見直しや将来費用の見積額の変更等がある場合には、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。(2) 電気事業に関わる制度の変更等について電力システム改革については、小売全面自由化や送配電部門の法的分離が実施された。市場取引については、非化石価値取引市場、ベースロード市場、容量市場、需給調整市場等での取引が開始されている。2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、今後、DXやGXなどの進展により電力需要が増加に転じることが見込まれる中、安定供給と脱炭素を両立する観点から、再生可能エネルギーは主力電源として最大限導入するとともに、原子力は再生可能エネルギーと並び最大限活用していく方針が示され、また、火力は安定供給等に重要な役割を担っている電源であり、火力全体で安定供給に必要な発電容量(kW)を維持・確保しつつ、非効率な石炭火力を中心に発電量(kWh)を減らしていくことが示されている。2023年5月に成立した「GX推進法」では、将来的なカーボンプライシングの導入が示されており、2025年5月に成立した「改正GX推進法」において、CO2排出量が一定規模以上の事業者は、排出量取引制度への参加と、排出量と同量の排出枠の償却が義務付けられ、政府指針に基づき事業者毎に割り当てられた排出枠が排出量と比べて不足する場合には、排出枠を調達する必要がある。2026年度の制度開始当初は、燃種に応じた排出枠が無償で割り当てられるが、2033年度から排出枠が段階的に全量有償化される。このような当社事業に関連する制度の変更や脱炭素社会の実現に向けた環境規制強化などにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。当社グループとしては「低廉で良質なエネルギーを安定的にお届けする」という社会的使命に変わりはなく、お客さまをはじめステークホルダーの皆さまの視点に立ち、安定供給や更なる経営効率化に不断の努力で取り組むとともに、2021年4月に策定・公表した2050年カーボンニュートラル達成に向けたロードマップに基づき、電源の脱炭素化及びお客さまや地域のゼロエミッション支援などに取り組んでいく。 (3) 経済状況や天候等による販売電力量等の変動について販売電力量は、経済活動や天候(特に気温)の状況、電力市場における競争状況、企業の海外移転などによる産業空洞化、感染症の流行などによって変動することから、営業収益の増減により当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。また、年間の降雨降雪量の変動により水力発電所の発電量が増減し、火力燃料費等が変動することから、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。 (4) 燃料価格、卸電力市場価格の変動等について火力燃料は、石炭、原・重油、LNGであり、需給状況や外国為替相場の動向により、火力燃料価格が急激に変動した場合や、政治情勢の変動や調達地域でのトラブル等により、燃料が円滑に調達できない場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。なお、燃料価格の変動については、価格変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」によって一定の調整が図られるが、特定小売供給約款の適用を受ける契約には燃料費調整単価に上限が設けられている。また、当社グループは、卸電力取引所を通じ、供給余力を活用した販売や不足時の調達を行っているが、需給状況や燃料価格の動向により、卸電力取引所の市場価格が変動した場合、販売収入や調達費用が増減し、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。なお、卸電力取引所の市場価格の変動については、高圧・特別高圧の契約を対象に価格変動を電気料金に反映させる市場価格調整単価を導入し、業績の変動幅を抑制している。また、燃料・卸電力市場価格動向や自社の需給状況を評価し、燃料・電力デリバティブ取引の活用や販売ポートフォリオの最適化などにより、最大限、収支変動リスクの抑制を図っていく。(5) 金利・物価等の動向について当社グループの有利子負債残高は、当連結会計年度末で1兆978億円であり、市場金利や格付の低下等に伴う調達金利の上昇により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。ただし、有利子負債の殆どは中長期的に利率が確定している社債や長期借入金で構成されていることから、金利上昇による業績への影響は限定的と考えられる。また、企業年金資産等の一部は、株価・金利等の変動により時価が変動することから、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。資機材の調達において、物価・労務費等が変動した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。なお、競争発注の拡大やまとめ発注など調達方法の工夫により、資機材調達価格の低減を図っていく。(6) 自然災害・設備支障等について当社グループは、電力供給設備を中心に、多くの設備を保有しており、その保守・保全には万全を期しているが、当社グループの設備及び当社グループが受電している他社の設備において地震・台風等の大規模な自然災害や設備支障等が発生した場合、修繕費用や代替電源の調達費用の増加等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。なお、自然災害については、令和6年能登半島地震を踏まえ、被災した設備の早期本格復旧に加え、災害対応力の更なる強化を図っていく。また、設備支障等については、適正な設備点検補修を実施するとともに、AI・IoT技術等を活用し、トラブルの未然防止及び早期発見・早期復旧に繋がる対策の強化に努めている。(7) 電気事業以外の事業について当社グループは、これまでカーボンニュートラルに係る事業・サービスや海外事業などを展開している。また、2023年4月に公表した新中期経営計画においても「地域と一体となった脱炭素化の推進」「持続的成長に向けた新事業領域の拡大」を掲げており、電気事業の枠を超えた事業領域の開拓を進め、挑戦し続けていく。これらの事業については、その将来性や収益性を十分勘案して取り組んでいるが、他業者との競合進展等の市場環境の変化や、国際情勢などにより、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。(8) 企業倫理の遵守等について企業倫理に反した行為やサイバー攻撃による被害が発生した場合、当社グループへの社会的信用の低下や対応に要する費用の増加等により、当社グループの業績は影響を受ける可能性がある。当社グループは、コンプライアンスの徹底を経営方針に掲げ、「行動規範」や「個人情報保護規程」の制定・遵守に加え、コンプライアンス研修を充実するなど、企業倫理を遵守した業務運営を定着させるための取組みに努めているとともに、サイバー攻撃の早期発見・早期復旧するための体制構築など、情報セキュリティ対策の強化に努めている。